JPH10505213A - 可変特性アンテナを備える移動無線固定局 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 デジタル時分割多重接続（ＴＤＭＡ）方式を利用して動作する移動無線システムにおける固定局のアンテナ装置（１）の指向性ビーム（放射特性）を、制御機構（５）が自在に切り替えることによって、放射特性を送信に関連する時間で移動局の位置方向に整合するように瞬時に形成して送信する。また、受信に関連する時間で移動局の位置方向に整合するように瞬時に形成して受信する。本発明を、ＤＥＣＴ規格のコードレス電話に有効に適用する。

Description

【発明の詳細な説明】 移動無線システムにおける固定局 技術分野 本発明は、請求の範囲１の前文に記載した固定局に関する。 背景技術 固定局及び一つ以上の移動局を備えて構成される移動無線局、例えばコードレ ス電話の通信範囲（サービスエリア）は、主に送信電力及び受信感度によって左 右される。この場合、送信電力は全ての方向に一様に放射される。すなわち、略 オムニレンジに放射され、各方向における任意の状況（位置）で通信に利用でき る。しかしながら、通信を時間的に考えた場合、その一つの時間における通信を 固定局、すなわちコードレス電話の基地局の視点で捉えると、この基地局からの 送信電力のエネルギーの一部のみが、この時間で通信を行うコードレス電話の移 動局で利用（受信）される。したがって、送信電力エネルギーの大部分は利用さ れず、しかも他の無線装置に混入して、その通信を妨害するおそれがある。 送信の放射範囲（到達範囲）は、送信電力、電波伝播路での減衰及び受信感度 によって制限される。電波伝播路での減衰は一定の定数であり、この定数を小さ くすることは出来ない。また、送信電力を無限に増大させることも出来ない。こ の送信電力の増大は原理的に、送信電力を指向性ビームを形成して放射すること によって増大させることが出来る。すなわち、特定の方向に集中して送信電力の エネルギーを放射する指向性アンテナを用いることによって、実質的に送信電力 を増大（主ビーム方向の放射電界強度が増大）させることが出来る。このための 無線通信システムにおける指向性アンテナの利用は一般的に良く知られている。 本発明の目的は、固定局を新たに考慮することによって、移動無線システム、 特にコードレス電話の固定局と移動局との間の送信動作（通信）の格段の向上を 図ることである。 発明の開示 この目的は、請求の範囲１の特徴部分で特定された形態によって、請求の範囲 １の前文に記載した固定局の場合に達成される。 そして、請求の範囲１で特徴づけた固定局の適切な発展的な新たな考慮を請求 の範囲２〜６で特定している。 図面の簡単な説明 図１は、本発明による固定局を説明するためのブロック図である。 発明を実施するための最良の形態 以下、本発明の好適な実施の形態による移動無線システムにおける固定局を図 １を参照しながら説明する。 この図１に示す移動無線システムにおける固定局は、例えばＤＥＣＴ規格で動 作するコードレス電話の基地局である。 図示した固定局はアンテナ装置１を有し、このアンテナ装置１をアンテナ共用 器（アンテナデュープレクサ）２を通じて送信機３及び受信機４と接続する。こ のアンテナ装置１を複数の放射素子を有するフェーズドアレイアンテナとして構 成する。このフェーズドアレイアンテナでは、任意の指向性ビーム（放射特性） を形成できる。すなわち、このフェーズドアレイアンテナの個々の放射素子を電 気的に接続し又は切り離し、特定の位相を個々の放射素子の間で選択して、適切 な放射特性の指向性ビームを形成し、この指向性ビームを異なる任意方向（移動 局方向）に設定できるようにしている。図示した固定局は、アンテナ装置１での 前記放射特性（指向性ビーム特性）を調整する制御機構５を備えている。この放 射特性が得られるアンテナ装置１をアンテナ共用器２を通じて送信機３及び受信 機４に接続する。そして、送信機３は送信に関連する時間で移動局の位置方向に 制御機構５によって指向性ビームを瞬時に形成して送信し、かつ、受信機４は受 信に関連する時間で移動局の位置方向に制御機構５によって指向性ビームを瞬時 に形成して受信する。 アンテナ装置１での各種の放射特性を調整する駆動データは、アルゴリズムを 用いて、制御機構５の電界強度測定部６で測定した受信電界強度から取り出し、 及び／又は、ビット／バースト誤り識別部７からのビット／バーストの誤り識別 データであるデジタル受信データから直接取り出す。この駆動データを決定する ための実演算評価は、アルゴリズムを実行する制御機構５内の中央制御部８で処 理される。制御機構５内の放射特性メモリ（記憶装置）９は、多数の移動局１〜 ｎのそれぞれに対応したアンテナ装置１の放射特性の駆動データをバッファリン グ（緩衝記憶）するために用いられる。 制御機構５の放射特性メモリ９は、二つの放射特性の良好な記憶に用いられる 。すなわち、この二つの放射特性の差を小さな放射特性の変化に対応させること によって、移動局が非移動中でのフェージング損失（フェージングホール）によ る受信中断を回避できるようになる。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】１９９７年４月２２日 【補正内容】 明細書 可変特性アンテナを備える移動無線固定局 技術分野 本発明は、請求の範囲１の前文に記載した可変特性アンテナを備える移動無線 固定局に関する。 背景技術 固定局及び一つ以上の移動局を備えて構成される移動無線局、例えばコードレ ス電話の通信範囲（サービスエリア）は、主に送信電力及び受信感度によって左 右される。この場合、送信電力は原則的に全ての方向に一様に放射される。すな わち、略オムニレンジに放射され、各方向における任意の状況（位置）で通信に 利用できる。しかしながら、通信を時間的に考えた場合、その一つの時間におけ る通信を固定局、すなわちコードレス電話の基地局の視点で捉えると、この基地 局からの送信電力のエネルギーの一部のみが、この時間で通信を行うコードレス 電話の移動局で利用（受信）される。したがって、送信電力エネルギーの大部分 は利用されず、しかも他の無線装置に混入して、その通信を妨害するおそれがあ る。 送信の放射範囲（到達範囲）は、送信電力、電波伝播路での減衰及び受信感度 によって制限される。電波伝播路での減衰は一定の定数であり、この定数を小さ くすることは出来ない。また、送信電力を無限に増大させることも出来ない。こ の送信電力の増大は原理的に、送信電力を指向性ビームを形成して放射すること によって増大させることが出来る。すなわち、特定の方向に集中して送信電力の エネルギーを放射する指向性アンテナを用いることによって、実質的に送信電力 を増大させることが出来る。このための無線通信システムにおける指向性アンテ ナの利用は一般的に良く知られている。 特開昭５８−１５１１４２号公報に関する１９８３年１１月２９日の日本の特 許要約Ｖｏｌ．００７，Ｎｏ．２６７（Ｅ−２１３）では、ＴＤＭ接続を行う装 置を開示している。この装置は主局及び複数の従属局を有する無線遠隔通信シス テムに適用されるものである。例えば、主局が複数の従属局と無線遠隔通信によ って回線接続される。送信電力を増大させずに従属局との確実な通信を行うため に、この主局にはフェーズドアレイアンテナ及び制御機構を備えている。この制 御機構は、ＴＤＭＡにおける特定配置のバーストに同期して各従属局に対する指 向性ビームを形成するフェーズドアレイアンテナの素子位相を予め作成したダイ ヤグラムに基づいて制御している。 また、国際特許出願公開明細書第９４／１１９５６号では、可変指向性アンテ ナを有する無線システムを開示している。この無線システムは、一つ以上の遠隔 局に無線信号を送信するとともに、この遠隔局からの無線信号を受信する基地局 とを備えている。基地局の受信アンテナは、水平方向（方位）可変用のダイヤグ ラムを有するとともに、このダイヤグラムによる方位角に受信アンテナを可変す る可変機構を備えている。この場合のダイヤグラムは、基地局の通信範囲に配置 された遠隔局から送信された同期信号を基地局が受信するまで、その方位角を変 化させるためのものである。 英国のロンドンで刊行された“ＳＭＡＲＴ Ａｎｔｅｎｎａｓ”のドキュメン トＩＥＥＥ Ｃｏｌｏｑｕｉｍの７／１〜７／６のＲ．Ａｒｎｏｔｔ等の“Ｄｅ ｖｅｌｏｐｍｅｎｔ ｏｆ ａｎ Ａｄａｐｔｉｖｅ Ａｎｔｅｎｎａ Ｄｅｍ ｏｎｓｔｒａｔｏｒ ｆｏｒ ＤＥＣＴ”には試験装置が開示されている。この 試験装置は、無線遠隔通信システムに適合するアンテナ技術に対応するものであ り、フェーズドアレイアンテナを含むアンテナを容易かつ有効に試験する機能（ アーキテクチャ）を備えている。 本発明の目的は、可変特性アンテナを備える移動無線固定局を新たに考慮する ことによって、移動無線システムであるコードレス電話の固定局と移動局との間 の送信動作（通信）を格段に向上できるようにし、特に固定局アンテナの放射特 性を、演算が複雑化せずに移動局の位置（方向）へ瞬時（迅速に）整合させるこ とである。 発明の開示 この目的は、請求の範囲１の特徴部分で特定された形態によって、請求の範囲 １の前文に記載した可変特性アンテナを備える移動無線固定局の場合に達成され る。 そして、請求の範囲１で特徴づけた可変特性アンテナを備える移動無線固定局 の適切な発展的な新たな考慮を請求の範囲２〜５で特定している。 図面の簡単な説明 図１は、本発明による可変特性アンテナを備える移動無線固定局を説明するた めのブロック図である。 発明を実施するための最良の形態 以下、本発明の好適な実施の形態による移動無線システムにおける可変特性ア ンテナを備える移動無線固定局を図１を参照しながら説明する。 この図１に示す移動無線システムにおける可変特性アンテナを備える移動無線 固定局は、例えばＤＥＣＴ規格で動作するコードレス電話の基地局である。 図示した固定局はアンテナ装置１を有し、このアンテナ装置１をアンテナ共用 器（アンテナデュープレクサ）２を通じて送信機３及び受信機４と接続する。こ のアンテナ装置１を複数の放射素子を有するフェーズドアレイアンテナとして構 成する。このフェーズドアレイアンテナでは、任意の指向性ビーム（放射特性） を形成できる。すなわち、このフェーズドアレイアンテナの個々の放射素子を電 気的に接続し又は切り離し、特定の位相を個々の放射素子の間で選択して、適切 な放射特性の指向性ビームを形成し、この指向性ビームを異なる任意方向（移動 局方向）に設定できるようにしている。図示した固定局は、アンテナ装置１での 前記放射特性（指向性ビーム特性）を調整する制御機構５を備えている。この放 射特性が得られるアンテナ装置１をアンテナ共用器２を通じて送信機３及び受信 機４に接続する。そして、送信機３は送信に関連する時間で移動局の位置方向に 制御機構５によって指向性ビームを瞬時に形成して送信し、かつ、受信機４は受 信に関連する時間で移動局の位置方向に制御機構５によって指向性ビームを瞬時 に形成して受信する。 アンテナ装置１での各種の放射特性を調整する駆動データは、アルゴリズムを 用いて、制御機構５の電界強度測定部６で測定した受信電界強度から取り出し、 及び／又は、ビット／バースト誤り識別部７からのビット／バーストの誤り識別 データであるデジタル受信データから直接取り出す。この駆動データを決定する ための実演算評価は、アルゴリズムを実行する制御機構５内の中央制御部８で処 理される。制御機構５内の放射特性メモリ（記憶装置）９は、多数の移動局１〜 ｎのそれぞれに対応したアンテナ装置１の放射特性の駆動データをバッファリン グ（緩衝記憶）するために用いられる。 制御機構５の放射特性メモリ９は、二つの放射特性の良好な記憶に用いられる 。すなわち、この二つの放射特性の差を小さな放射特性の変化に対応させること によって、移動局が非移動中でのフェージング損失（フェージングホール）によ る受信中断を回避できるようになる。 請求の範囲 １．時分割多重接続（ＴＤＭＡ）によって無線伝送路上で動作する移動無線局、 特に固定局及び一つ以上の移動局を備えてＤＥＣＴ規格で動作するコードレス電 話の固定局であって、アンテナ装置を有し、このアンテナ装置の放射特性が可変 であり、前記放射特性を調整する制御機構を有し、この制御機構か指向性アンテ ナの放射特性を自在に切り替えることによって、放射特性を、送信に関連する時 間で移動局の位置方向に整合するように瞬時に形成して送信し、かつ、受信に関 連する時間で移動局の位置方向に整合するように瞬時に形成して受信する移動無 線システムにおける可変特性アンテナを備える移動無線固定局において、 前記制御機構（５）に記憶装置（９）を備え、この記憶装置によって、移動局 １〜ｎのそれぞれに対応した前記アンテナ装置（１）に関する放射特性の駆動デ ータを緩衝記憶することを特徴とする移動無線システムにおける可変特性アンテ ナを備える固定局。 ２．前記制御機構（５）は、アルゴリズムに基づいた前記アンテナ装置（１）の 各放射特性を設定する駆動データを、受信電界強度及び／又は受信したデジタル データから直接取り出すことを特徴とする請求の範囲１に記載の移動無線システ ムにおける可変特性アンテナを備える移動無線固定局。 ３．各移動局は、記憶した二つのアンテナ装置（１）の二つの放射特性の差を小 さな放射特性の変化に対応させて、移動局が非移動中でのフェージングホールに よる受信中断を回避することを特徴とする請求の範囲１又は２に記載の移動無線 システムにおける可変特性アンテナを備える移動無線固定局。 ４．前記アンテナ装置（１）は、複数の放射素子を有するフェーズドアレイアン テナとして構成し、複数の個々の放射素子を電気的に接続し又は切り離し、相違 するアンテナ装置の放射特性を達成するために異なる位相に設定することを特徴 とする請求の範囲１〜３のいずれか１つに記載の移動無線システムにおける可変 特性アンテナを備える移動無線固定局。 ５．相違するアンテナ装置（１）の放射特性の切り替えをバースト間で行うこと を特徴とする請求の範囲１〜４のいずれか１つに記載の移動無線システムにおけ る可変特性アンテナを備える移動無線固定局。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．時分割多重接続（ＴＤＭＡ）によって無線伝送路上で動作する移動無線局、 特に固定局及び一つ以上の移動局を備えてＤＥＣＴ規格で動作するコードレス電 話の固定局であり、アンテナ装置を有し、このアンテナ装置の放射特性が可変で ある移動無線システムにおける固定局において、 前記放射特性を調整する制御機構を設け、この制御機構が指向性アンテナの放 射特性を自在に切り替えることによって、放射特性を、送信に関連する時間で移 動局の位置方向に整合するように瞬時に形成して送信し、かつ、受信に関連する 時間で移動局の位置方向に整合するように瞬時に形成して受信することを特徴と する移動無線システムにおける固定局。 ２．前記制御機構（５）は、アルゴリズムに基づいた前記アンテナ装置（１）の 各放射特性を設定するための駆動データを、受信電界強度及び／又は受信したデ ジタルデータから直接取り出すことを特徴とする請求の範囲１記載の移動無線シ ステムにおける固定局。 ３．前記制御機構（５）に記憶装置（９）を備え、この記憶装置によって、移動 局１〜ｎのそれぞれに対応した前記アンテナ装置（１）に関する放射特性の駆動 データを緩衝記憶することを特徴とする請求の範囲１又は２記載の移動無線シス テムにおける固定局。 ４．各移動局は、記憶した二つのアンテナ装置（１）の二つの放射特性の差を小 さな放射特性の変化に対応させて、移動局が非移動中でのフェージングホールに よる受信中断を回避することを特徴とする請求の範囲３記載の移動無線システム における固定局。 ５．前記アンテナ装置（１）は、複数の放射素子を有するフェーズドアレイアン テナとして構成し、複数の個々の放射素子を電気的に接続し又は切り離し、相違 するアンテナ装置の放射特性を達成するために異なる位相に設定することを特徴 とする請求の範囲１〜４のいずれか１つに記載の移動無線システムにおける固定 局。 ６．相違するアンテナ装置（１）の放射特性の切り替えをバースト間で行うこと を特徴とする請求の範囲１〜５のいずれか１つに記載の移動無線システムにおけ る固定局。