JPH10504306A - ラミニンγ1鎖の単一EGF様モチーフへのニドゲン結合に寄与する2つの非隣接領域 - Google Patents

ラミニンγ1鎖の単一EGF様モチーフへのニドゲン結合に寄与する2つの非隣接領域

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JPH10504306A
JPH10504306A JP8507386A JP50738696A JPH10504306A JP H10504306 A JPH10504306 A JP H10504306A JP 8507386 A JP8507386 A JP 8507386A JP 50738696 A JP50738696 A JP 50738696A JP H10504306 A JPH10504306 A JP H10504306A
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フォックス,ジェイ,ダブリュー.
ティンプル,ルパート
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Abstract

(57)【要約】 ラミニンに対するニドゲンの高親和性結合が、マウス・ラミニンγ1鎖のEGF様リピートγ1III4によって仲介され、またこの結合は、合成ペプチド及びリコンビナント突然変異体を利用して、その56残基配列の2つの短い非隣接領域に制限される。リピートのジスルフィド・ループa、bと修飾されたループa、cとは、それぞれ、5000分の1倍及び300分の1倍に低下した親和性を示し、完全に結合を阻害しうる。合成ループc、dは阻害活性を欠く。しかしながら、突然変異と側鎖修飾によって、ループcにおけるTry819の結合寄与が示された。このことをループ・キメラの研究と考え合わせると、上記2つの結合部位の間には顕著な協働性があると考えられる。ループの主要な結合部位は、ヘプタペプチドNIDPNAV(位置:798−804)に局在してしていた。Asp800からAsnへの変化及びAla803からValへの変化の結果、結合活性に強い減少が見られたか、一方、Pro801からGlnへの変化及びIle799からValへの変化では効果はわずかであった。後者の置換は、Drosophilaラミニンγ1鎖の同一領域に見いだされる、単一の置換に対応する。しかし、Asn802からSerへの変化あるいはVal804からSerへの変化(これらはラミニンγ2鎖に存在する事が知られている)は、有害な突然変異であった。このことから、遠く離れた関係にある種のラミニンにおいて結合構造が保存されており、ラミニン・イソフォームの相同鎖の間には保存されていないことが判明した。

Description

【発明の詳細な説明】 ラミニンγ1鎖の単一EGF様モチーフへの ニドゲン結合に寄与する2つの非隣接領域 本発明の一部は、米国立衛生研究所の基金を受けた研究(R55GM4745 1)に基づいたものである。 発明の背景技術分野 : 本発明はラミニンとニドゲンの相互作用を特異的に阻止するペプチド拮抗剤に 関する。背景技術 : 交差型ラミニンの種々のイソフォームが、基底膜およびその他細胞外構造の主 要な細胞接着性および構造性蛋白質として同定されている(エンゲル[Engel],J .(1993),Molecular and Cellular Aspec ts of Basement Membranes,ロールバッハ[Rohrbach] ,D.H.およびティンプル[Timpl],R.編、Academic Press ,サンディエゴ,カリフォルニア,147−176頁;ティンプル[Timpl],R .およびブラウン[Brown],J.C.(1994),Matrix Biol. )。これらは大きなマルチドメイン蛋白質(600−900kDa)であり、ジ スルフィドで結合されたα、βおよびγ鎖で構成されている(最近の命名例につ いては、バージソン[Burgeson],R.E.ら(1994)、Matrix Bi ol.,14,209−211;ティンプル[Timpl],R.およびブラウン[Brow n],J.C.(1994)、Matrix Biol.を参照されたい)。鎖組 成α1β1γ1を有するラミニン1についても多くの異種相互作用部位(例えば 150kDa基底膜蛋白質ニドゲンに対する単一の高親和性結合部位(κD=0 .5 nM))が示されている(フォックス[Fox],J.W. ら(1991),EMBO J.,10,3137−3146)。ニドゲンはI V型コラーゲン、プロテオグリカン・パーレカン(perlecan)およびその他の細胞 外リガンドにも結合し、これによってラミニン1とその他の成分の間の三元複合 体の形成を仲介する(メイヤー[Mayer],U.およびティンプル[Timpl],R.( 1994)Extracellular Matrix Assembly a nd Structure,ユルチェンコ[Yurchenco],P.D.,バーク[Birk ],D.およびメチャム[Mecham],R.P.編、Academic Press ,オーランド,フロリダ,389−416頁;ブラウン[Brown],J.C.ら, (1994),J.Cell Sci.,107,329−338)。したがっ て、ニドゲンのラミニンへの結合は、基底膜の表層分子構成における決定的に重 要なステップであると考えられる。この解釈は、ラミニン1のニドゲン結合部位 を遮断する抗体に関する研究(メイヤー[Mayer],U.ら(1993)、EMB O J.,12,1879−1885)および胎性器官培養における腎細管形成 ならびに肺分枝形成を阻止する抗体の研究(エクブロム[Ekblom],P.ら,(1 994)Development,120,2003−2014)により最近裏 付けられた。 高親和性ニドゲン結合部位は、マウス・ラミニンγ1鎖の短アームドメインI IIに存在する上皮細胞成長因子(EGF)の単一モチーフに局在することが突 きとめられている(ゲール[Gerl],M.ら(1991),Eur.J.Bioc hem.,292,167−174;メイヤー[Mayer],U.ら(1993)E MBO J.,12,1879−1885)。このラミニンのEGF様リピート γ1III4は、EGFとの相同関係(クーク[Cooke],R.M.ら(1987 )Nature,327,339−341;モンテリオン[Montelione],G.T .ら(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,52 26−5230)、並びにその他の代表的な配列の特徴(ササキ[SasaKi],M. およびヤマダ[Yamada],Y.(1987),J.Biol.Chem.,262 ,17111−17117;エンゲル[Engel],J.(1989),FEBS Lett.,251,1−7)に示されているように、56の残基とジスルフィ ド結合の4つのループ(a−d)で構成されてい る。ニドゲン結合に対するこれと同じ親和性はまた、鎖組成α2β1γ1および α2β2γ1のヒト・ラミニン2および4にも認められており(ブラウン[Brown ],J.C.ら(1994),J.Cell Sci.,107,329−33 8)、マウスとヒトγ1III4の配列同一性が97%ということでも説明され ている(ピカライネン[Pikkarainen],T.ら(1987),J.Biol.C hem.,263,6751−6758)。さらにこのリピートの低い配列同一性 (61%)か、ショウジョウバエ・ラミニンγ1鎖(チャイ[Chi],H.C.お よびフイ[Hui],C.F.(1989),J.Biol.Chem.,264, 1543−1550)、およびヒト・ラミニンγ2鎖イソフォーム(77%;カ ルンキ[Kallunki],P.ら(1992),J.Cell.Biol.,119, 679−693)でも示されている。このことから、これらのラミニン類がニド ゲンに対しても親和性を有するか否かという疑問が浮上し、また分子解釈論上、 マウス・リピートγ1III4の結合構造の正確なマッピングの必要性が出てき ている。 多くの細胞外および膜結合蛋白質中にEGF様のリピートが数多く同定されて いるが(ローズ[Roes],D.J.G.ら(1988),EMBO J.,7,2 053−2061;セランダー-スネルハーゲン[Selander-Sunnerhagen],M. ら(1992),J.Biol.Chem.,267,19642−19649 参照)、それらの結合特性ならびにそれらに関連する構造に関しては殆ど知られ ていない。これらリピートが重要であることの生物学的証左は、マルファン症候 群を起こすと考えられているフィブリリン(細繊維)変異(ディエッツ[Dietz] ,H.C.ら(1991)Nature,352,337−339;リー[Lee] ,B.ら(1991)Nature,352,330−334)およびショウジ ョウバエ神経性蛋白質ノッチにおける致命的突然変異(ケリー[Kelley],M.R .ら(1987)Cell,51,539−548)の研究で明らかであるが、 それらの機能的な基礎はまだ解明されていない。しかしながら、EGF様リピー のループaとループ間領域中に存在するカルシウム結合配列の正確な同定は、い くつかの凝固因子から行なわれている(ハンドフォード[Handford],P.A.ら (1991),Nature,351,164−167;セランダー−スネルハ ーゲン[Selander-Sunnerhagen],Mら(1992),J.Biol. Chem.,267,19642−19649)。EGFのレセプター結合部位 のマップを作るために部位指向変異誘発手法も使用されており、ループcを超え たC末端、およびループbとcの間のヒンジ領域に決定的な残基かあることが示 されている(モイ[Moy],F.J.ら(1989),Proc.Natl.Ac ad.Sci,USA.,86,9836−9840;カンピオン[Campion], S.R.ら(1992)J.Cell Biochem.,50,35−42; カンピオン,S.R.ら(1993)Protein Engng.,6,65 1−659)。 ラミニンに対するニドゲン結合の潜在的な重要性を考えた場合、ラミニンとニ ドゲンの相互作用を阻止するペプチド拮抗剤を提供することか望まれるところで ある。発明の開示 したがって、本発明の目的の1つはラミニンへのニドゲンの結合を阻止する新 規なペプチド拮抗剤を提供することにある。 本発明の第2の目的は、結合に必須な個々の残基がジスルフィド・ループ内の 非隣接領域内に限定される新規なペプチド拮抗剤を提供することにある。 本発明者らはこれらの目的を、式(I)のペプチジル化合物(配列番号1)に より達成した: ここで、R1は水素またはN末端保護基であり; R2は水素、NH2または配列(II)(配列番号2)のN末端Leuで 始まる1−14のアミノ酸残基を含むペプチジル基であり; Wは原子価結合またはアミノ酸残基であり; Xは原子価結合またはアミノ酸残基であり; Yはアミノ酸残基であり; ZはGlyまたは配列III(配列番号3)の1から11アミノ酸残基 を含むペプチジル基である。 ただし、R3は水素または、NH2あるいはNHMeのようなアミンであり; 本発明のその他さまざまな目的、特徴および付随する利点は、添付の図面を参 照しながら以下の詳細な説明を理解することにより、さらに明らかになるであろ う。図面の簡単な説明 図1は、ラミニンγ1鎖のドメインIII中のEGF様リピート3および4の 矢)の境界を示し; 図2は、合成γ1IIIペプチドと修飾フラグメントによるニドゲンとラミニ ン・フラグメントP1の間の放射性リガンド結合の阻止を示すグラフである。使 用されたインヒビターは、ラミニンフラグメントp1(●)、リコンビナントフ ラグメントγ1III3−5(○)、ナイトレート化γ1III3−5(◇)お よび合成酸化ループa,b(▲)、非酸化ループa,b(△)、酸化ループc( ▼)、酸化ループd(▽)、酸化ループa,c(■)、並びに合成NIDPNA V(□)(配列番号5)であり; 図3は、ラミニンのEGF様リピートγ1III4中のニドゲン結合部位のマ ップである。個々の残基の相対的な結合寄与度を円(○)の中に示しており、本 文中に記述するように残基が変化した場合の親和力の消失を、<10倍(白丸の まま)、10倍から100倍(半黒)、および>100倍(黒)で表示している 。(−)はγ1III4(配列番号6)の部位指向変異誘発の結果から判断して 寄与がないことを示す。発明を実施するための最良の形態 ラミニンγ1鎮ドメインIII(γ1III4)のニドゲン結合EGF様リピ ート4は56のアミノ酸残基で構成され、ジスルフィド結合で4つのループ(a −d)に折畳まれている(図1)。この配列はγ1鎖内で特異的なものであり( エンゲル[Engel],J.(1993),Molecular and Cell ular Aspects of Basement Membranes,ロ ールバッハ[Rohrbach],D.H.およびティンプル[Timpl],R.編,Acad emic Press,サンディエゴ,カリフォルニア,147−176頁)、 ニドゲン結合に認められる高度な特異性を説明するものである(ゲール[Gerl], M.ら(1991),Eur.J.Biochem.,292,167−174; メイヤー[Mayer],U.ら(1993)EMBOJ.,12,1879−188 5)。これを図1に、キメラ体構築に使用されたリピート3配列との比較で示す 。リピートγ1III4のすべての領域が親和性に一様に重要ではないと考えら れるため、本発明者らはペプチド合成またはリコンビナント法により作られたフ ラグメントまたは変異の種々の結合部位のマップをさらに詳細に作成した。それ らの結合活性は、参照用インヒビターとして標準ラミニンフラグメントP1また は関連するリコンビナントフラグメントを使用した高感度放射リガンド競合アッ セイで測定した(図2)。 結合構造体は、ラミニンの単一EGF様モチーフγ1III4に局在すること が突きとめられている(メイヤー[Mayer],U.ら(1993)EMBO J. ,12,1879−1885)。このモチーフは、リコンビナントおよび化学法 の組合わせにより結合部位をより正確に同定するためには小さすぎるものである 。 γ1III4のジスルフィドループaおよびcは、高親和性結合には不可欠の ものである。各セグメント単体では、1/5,000の親和力(ループa)また は測定できないほど低い親和力(ループc)のいずれかしか持たない。キメラ構 築体の場合にも同様の差異が認められ、ループaはループCよりも結合に大きな 寄与を示している。さらに、人工ペプチドリンクによるループaとcの結合は、 親和力を20倍に増加させた。これは、高結合活性の発現のためにはこの両方の ループが空間的に密接な関係にあることが必要であることを強調するものである 。 ループaの低い結合活性が、ヘプタペプチド配列NIDPNAV(配列番号5 )のマップ上に示されている(図3)。ヘプタペプチドの合成変種並びに化学修 飾は、Aspのβ-カルボキシル基の結合に対して大きな寄与を示した。中央の AsnおよびC末端ValをSerに変更した場合もまた、活性を顕著に消失さ せた。AlaをValによってより保存的に置換した場合も活性を16分の1に 減少させた。このことは、これら4つの残基がニドゲン結合に対する基本的な接 触部位を提供していることを示している。N末端Asn−Ileおよび中央Pr oを含む他の3つの残基は、フラグメント化または置換で示されているように、 あまり重要でないようであり、結合に対するProの低い寄与は、Proがルー プ構造中のβ折り返しに不可欠のものであるという多くの証拠を考えると意外な ことである。それでもなお、合成ループaの結合活性がジスルフィド結合による ものではなく、このループはより融通性に富んだコンホメーションを有している ことを示唆している。 ループcもまた高親和性結合に重要であるということのさらなる証拠は、合成 品を分析した場合には活性が認められなかったものの、化学修飾およびリコンビ ナント研究から導き出すことができた。これらの研究においては、Tyr819 (ただしTyr825は違う)が結合に寄与し、これを修飾した場合は親和力を 1/60程度に減少させた。γ1III4ループcを非結合性EGF様リピート からの別のループc(フラグメントγ1III4ab3cd;表IV参照)に置 き換えると、さらに親和力を1/30に減少させた。これはTyr819以外の ループc残基の高親和性結合への関与をさらに突きとめなければならないことを 示している。われわれのフラグメント化データではまた、ループbは結合に不可 欠ではないことも示している。 上記に基づいて、本発明者らは下記の最小配列(I)(配列番号1)を有する ペプチド拮抗剤が、ラミニンのニドゲン結合を阻止することを確認した: ここで、R1は水素またはN末端保護基であり; R2は水素、NH2または配列(II)(配列番号2)のN末端Leuで 始まる1−14のアミノ酸残基を含むペプチジル基であり; Wは原子価結合またはアミノ酸残基であり; Xは原子価結合またはアミノ酸残基であり; Yはアミノ酸残基であり; ZはGlyまたは配列III(配列番号3)の1から11アミノ酸残基 を含むペプチジル基: ただし、R3は水素または、NH2あるいはNHMeのようなアミンであり; 本発明のR1として有用なN末端保護基として好適なものにはアセチル、ベン ジルおよびベンゾイル基が含まれる。 本発明に有用なアミノ酸残基として好適なものとしては、Ala、Asn、A sp、Gly、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Tyr、Cys、M et、Glu、Gln、Arg、Lys、His、Phe、Tyr、Trp、P ro、Hyp(ヒドロキシプロリン)、Hyl(ヒドロキシリジン)、Orn( オルニチン)、シトルリン、ホモセリン、ホモシステイン、などが含まれる。 Wは原子価結合または上記アミノ酸残基のいずれでもよいが、好ましくはAs n、Asp、GlnおよびGluであり、特に好ましくはAsnである。 Xは上記アミノ酸残基のいずれでもよいが、好ましくはIle、Leu、Al aおよびValであり、特に好ましくはIleである。 Yは原子価結合または上記アミノ酸残基のいずれでもよいが、好ましくはPr o、HypおよびGlnであり、特に好ましくはProである。 本発明の第1実施態様においては、このペプチド拮抗剤はフレキシブルなもの であり、R2は配列(II)のN末端Leuで始まる1−14のアミノ酸残基を 含むペプチジル基であり: ただし、R3は水素または、NH2あるいはNHMeのようなアミンであり; 本発明の第2実施態様においては、このペプチド拮抗剤は限定されたものであ 原子価結合を表わす。 Zは原子価結合、Glyまたは配列(III)のN末端Glyからの1−9ア ミノ酸残基を含むペプチジルフラグメントである(配列番号3)。 本発明の1実施態様においては、Zは原子価結合である。本発明の別の実施態 様において、Zはグリシンまたは配列(III)のN末端Glyから1−9のア ミノ酸残基を含むペプチジルフラグメントである(配列番号3)。 本発明のペプチド拮抗剤は化学合成またはリコンビナント技術により得ること ができる。 ポリペプチドは、単一のアミノ酸および/または2つあるいはそれ以上のアミ ノ酸を望ましいポリペプチドの配列順に事前に形成したペプチドから、化学的に 合成することができる。固相または液相法を使用することができる。得られたポ リペプチドは、必要ならば薬学的に許容できる塩に変換することができる。 固相合成において、望ましいポリペプチドのアミノ酸配列は、不溶性樹脂に結 合されたC末端アミノ酸から順次構築される。望ましいポリペプチドが作られる と、ポリペプチドは樹脂から開裂される。液相合成を採用する場合もやはり、望 ましいポリペプチドはC末端アミノ酸から構築される。この酸のカルボキシ基は 適当な保護基によってその間ずっと遮断されており、合成が終わった時点で外さ れる。 固相または液相いずれの技法を採用する場合も、反応系に加えられるアミノ酸 は通常、保護されたアミノ基と活性化されたカルボキシ基を有する。機能性の側 鎖基もまた保護される。合成の各ステップ終了後に、アミノ保護基は除去される 。側鎖機能基は通常、合成が終わった時点で除去される。 本発明のペプチド拮抗剤は薬学的に許容できる塩類に変換することができる。 有機酸または無機酸により酸加塩にすることもできる。適当な酸としては、酢酸 、コハク酸および塩酸などがある。あるいは、ペプチドをアンモニウム塩、ナト リウムやカリウムのようなアルカリ金属塩などのカルボン酸塩にすることもでき る。 本発明のペプチド拮抗剤をリコンビナントDNA技術で作るためには、当該ペ プチド拮抗剤をコードする遺伝子を化学的に合成する。DNAを単離し、精製し て発現ベクターに挿入する。 ポリペプチドを発現させるためには、ポリペプチドをコードするDNA配列を 包含し、かつ適当な宿主に組み入れた時にそのポリペプチドを発現する能力のあ る発現ベクターを構築する。DNA配列のプロモーター、転写終結部位、および 翻訳開始および停止コドンなど、適当な転写および翻訳調節要素が組込まれる。 このDNA配列は、ベクターと適合性のある宿主中でペプチド拮抗剤を発現でき るような適切なフレームに入れられる。 発現ベクターは、典型的には複製のオリジンと、必要であれば抗生物質耐性遺 伝子のような選択可能なマーカー遺伝子を包含する。プロモーターはポリペプチ ドをコードするDNA配列に操作可能となるように結合される。発現ベクターは プラスミドでもよい。 ペプチド拮抗剤を発現する能力のある発現ベクターはどのような方法で調製し てもよい。ポリペプチドをコードするDNAフラグメントは、例えばプラスミド ベクターのような発現ベクターの適当な制限部位に挿入することができる。 ペプチド拮抗剤をコードする発現ベクターは適当な宿主中に組み入れられる。 細胞はペプチド拮抗剤をコードする遺伝子で形質転換される。形質転換宿主は、 ペプチド拮抗剤が発現するような条件下におかれる。例えば、形質転換細胞を発 現が可能なように培養する。適合性のあるものであれば、いかなる宿主−ベクタ ーシステムを使用してもよい。 形質転換宿主は、原核または真核宿主いずれでもよい。バクテリアまたは酵母 宿主、例えば大腸菌やS.cerevisiaeを使用できる。グラム陽性バク テリアを使用してもよい。 発現したペプチド拮抗剤は単離し、精製することができる。 本発明のペプチド拮抗剤は2つの主要用途、即ち1つは器官発達のinvit ro研究用の研究試薬として、2つ目は臨床用の治療薬としての用途を有する。 研究用試薬としては、本発明のペプチド拮抗剤を器官発達のモデルを得るために 使用することができる。例えば、予備的研究において腎臓、肺、唾液その他の腺 のモデルが作られた。それらのモデルは、本発明のペプチド拮抗剤の存在下で細 胞を培養することにより得られた。本発明のペプチド拮抗剤を腫瘍細胞系統と組 み合わせて細胞培養することにより、さらに別のモデルを得ることもできる。 本発明のペプチド拮抗剤は、基底膜の肥厚化が遅く、かつ慢性腎疾患や盲目( 網膜症)に至ることの多い致命的合併症の糖尿病患者の治療薬としても有用であ る。その他いくつかの脈管性損傷(脈管炎、硬皮症、全身性ループスを含む)も また、本発明のペプチド拮抗剤を使用して治療することができる。 腫瘍はしばしば腫瘍細胞のまわりに基底膜を形成し、この基底膜が免疫細胞が これらの細胞を排除する抗体を産生するのを阻止する。本発明のペプチド拮抗剤 の静脈注射はこれらの組織を破壊し、免疫細胞や抗体による攻撃を可能にする。 本発明のペプチド拮抗剤は、治療薬として有効量を静脈注射など適当な方法に より投与することができる。投与するペプチド拮抗剤の用量は、もちろん、患者 の体格、治療しようとする疾患の種類、ならびにその程度に応じたものとする。 正確な投与量および投与頻度は、臨床の応答性とその他の臨床パラメータに応じ て変わることになる。 本発明を全般的に説明してきたが、以下に示す特定の実施例を参照すればさら に理解を深めることができよう。ただし、これら実施例は説明の目的で提示した ものであって、特に断らない限り本発明を限定するものではない。実施例 リコンビナントEGF様リピートの発現 個別またはタンデム配列のリピートγ1III3−5、γ1III3−4、γ 1III3およびγ1III4(以前使用した用語B2IIIはγ1IIIに置 き換える;バージソン[Burgeson],R.E.ら(1994),MatrixBi ol.,14,209−211参照)を得るために使用したベクターについては 、メイヤー[Mayer],U.ら(1993),EMBO J.,12,1879− 1885に記述されている。ヒト胎性腎細胞293をトランスフェクトするため に、これらのベクターおよび変異ベクター類(下記参照)を使用し、安定な形質 転換体をピューロマイシン(puromycin)またはG418処理(ニシュ ト[Nischt],R.ら(1991),Eur.J.Biochem.,200,5 29−536)により選択した。安定的にトランスフェクトされたクローンは、 ノーザンハイブリダイゼーションによるmRNA発現と、無血清培養液のSDS −PAGEにより、処理蛋白質を効率的に産生し分泌するクローンを同定するこ とにより特徴付けした(ニシュト[Nischt],R.ら(1991),Eur.J. Biochem.,200,529−536)。DEAEセルロースおよびモレ キュラーシーブ・クロマトグラフィによるリコンビナントフラグメントの精製は 、従来使用されているプロトコルにより行なった(メイヤー[Mayer],U.ら( 1993),EMBO J.,12,1879−1885)。 γ1III4突然変異用発現ベクターの構築 リコンビナント産物の生成および分泌をさせるために、望ましいフラグメント をNheI部位を介してヒトBM−40のシグナルペプチドに融合させた(メイ ヤー[Mayer],U.ら(1993),EMBO J.,12,1879−188 5)。変異、追加の制限部位および停止コドンは、試薬供給者の指示に従ってV entポリメラーゼ(Biolabs社)によるPCR増幅を使用して、プライ マーにより導入した。プライマーK24、K25、K27およびTilはメイヤ ー[Mayer],U.ら(1993),EMBO J.,12,1879−1885 に記述されており、またこの研究には下記の追加オリゴヌクレオチド類を使用し た(突然変異配列には下線を付した): 構築物γ1III3−5 Δ4は、γ1III3−5ベクターからのサブフラ グメントをプライマーTilxΔRまたはΔSxK24を使用して増幅し、ター ミナル・プライマーTilxK24によりフラグメントの融合および増幅をさせ て作り出した。構築物γ1III3ab4cdは、γ1III3−4からのフラ グメントをプライマーTilx3ab4Rおよび3ab4SxK27を使用して 増幅し、TilxK27によりフラグメント融合と増幅をさせて作り出した。構 築物γ1III4ab3cdは、γ1III4からのフラグメントをプライマー Tilx4ab3Rにより、またγ1III3からのフラグメントをプライマー 4ab3SxK24を使用して増幅し、TilxK25によりフラグメント融合 と増幅をさせて作り出した。すべてのフラグメントは、XbaIおよびXhoI により制限し、発現ベクターpRC/CMV(Invitrogen社)の対応 部位にクローン化した。 Tyr819(TAT)およびTyr825(TAC)のAla(GCTまた はGCC)への変異は、プライマーTilxRYmut(産生物としてE1)、 TilxRYwt(産生物E2)、SYmutxK27(産生物E3)およびS ywtxK27(産生物E4)を使用して、フラグメントをPCR増幅して導入 した。フラグメントE1およびE2を融合させて構築物γ1III4819−A とし、E2およびE3を融合させてγ1III4Y825−Aとし、 両方の変異はE1およびE3を融合させて、構築物γ1III4Y819/82 5−Aを得た。すべての融合フラグメントはプライマーTil x K27を使用 して増幅させ、XbaIおよびXhoIにより制限してpRC/CMVにクロー ン化した。 構築物pRC/D4は、γ1III4のHindIII−NorI挿入断片を ベクターpRC/CMV(Invitrogen社)に挿入して作り、このサブ ドメインの発現の代わりに使用した。構築物γ1III4D800−Nは、As p800(GAC)からAsn(AC)への変異を含むが、これはトランスフ ォーマー変異誘発システム(Clontech社)に基づいてpRC/D4に導 入した。変異はオリゴヌクレオチドMut−DおよびMut−Xbaにより導入 し、変異プラスミドの選択は試薬供給者の指示どおり、XbaIによる消化によ り行なった。正しいクローンは対応する領域をシークエンスした後で選定した。 Asn802(AAC)からSer(AGC)への変異を含む構築物γ1III 4N802−Sは、pRC/D4からTy(Biolabs社)XN−Mut/ RおよびMut−NxK27を使用した増幅により作り出した。フラグメントを 融合させ、T7xK27により増幅し、精製し、NheIおよびXhoIにより 制限して、pCis由来γ1III4に挿入し、NheIおよびXhoIにより 開裂した。すべての構築物は暫定挿入のDNA配列により確認を行なった。 ペプチドの合成と特徴付け ペプチドの合成は、バイオサーチ9600自動ペプチド合成システムを使用し 、ポリスチレン固相支持体上で行なった。9−フルオロニルメチルオキシカルボ ニルで保護されたアミノ酸を予備活性化してN−ヒドロキシベンゾトリアゾール (HoBt)エステルとした。これは等モルの2−(1H−ベンゾトリアゾール −1−イル)−1.1,3.3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレ ートと1.5相当量のジイソプロピルエチルアミンを、N−メチルアミノピロリ ジノン:ジメチルスルホキシド(3:1)溶液中に含むものである。カップリン グは通常、3倍モル過剰濃度で2時間行なった(グラント[Grant],G.A.( 1992),Synthetic Peptides,A User’s Guide,Freeman and Co.,ニューヨーク,36−38頁) 。各カップリングの後にカップリング効率をモニタするために、定性カイザーテ スト(Kaiser test)(スチュワート[Stewart],J.M.およびヤ ング[Young],J.D.(1984),Solid Phase Peptid e Synthesis,第2版,Pierce Chemical Comp any,ロックフォード,イリノイ,105−117頁)を実施した。カップリ ングが不完全な場合、6倍モル過剰量の予め生成したジイソプロピレンボジイミ ド対称無水物の塩化メチレン溶液を使用して再カップリングさせた(ボダンスキ ー[Bodanszky],M.(1984),Principles of Pepti de Synthesis,スプリンガー,ベルリン,36−39頁)。20分 後に、3倍モル過剰量のHOBとジイソプロピルエチルアミンを添加して活性エ ステルを形成させた。カップリングをさらに90分続け、反応が完全かどうかを 再び検査した。各カップリング後に、遊離アミノ基をN−メチルピロリジノンの 10パーセント無水酢酸溶液を使用してアセチル化した。ペプチドは、90%ト リフルオロ酢酸(TFA)、5%チオアニソール、3%エタンジチオールおよび 2%アニソールの混合物で2時間処理して脱保護し、樹脂から開裂した。エーテ ル(3X)による抽出の後、ペプチドを25%酢酸中に溶解させ、セファデック ス(Sephadex)G−10でゲルろ過により50%酢酸中で脱塩した。集 めたアリコートを蒸発乾燥させ、次いで凍結乾燥するために水または酢酸中に再 希釈した。乾燥した生成物を、C18カラム上で0.1%TFA水溶液およびア セトニトリル勾配液を使用した逆相HPLCで精製した。 単一ジスルフィドの酸化を必要とするペプチドは、酢酸水溶液に濃度<0.1 mg/mlになるように溶解させた。pHは水酸化アンモニウムを使用して8.5に 調節した。この溶液にゆるく覆いをかけ、空気で泡立たせ、酸化が完了するまで 攪拌した。酸化が完全かどうかはエルマンのアッセイ(Ellman’s as say)(スチュワート[Stewart],J.M.およびヤング[Young],J.D.( 1984),Solid Phase Peptide Synthesis, 第2版,Pierce Chemical Company,ロックフォード, イリノイ,105−117頁)および HPLCにより確認した。酸化した材料は濃縮し、ゲルろ過により脱塩して凍結 乾燥した。2番目のジスルフィドを必要とするペプチドは、アセトアミドメチル (ACM)基により保護した2番目のシステイン対を用いて合成した。最初の酸 化は前述のように行なった。1回酸化したペプチドを凍結乾燥した後、350L のメタノール:水(1:6)溶液にペプチドを溶解(0.05nモル)してAC Mを取り除いた。この溶液を室温に維持し、1mMヨードを含むメタノール溶液 50mLを滴下しながら1時間攪拌した。この溶液を冷却および濃縮して、メタ ノールを除去した。残った溶液をクロロフォルムで抽出してヨードを除去した。 反応の完全性を確認するためにエルマンのアッセイを行なった。マトリックス割 当てレーザー式脱着イオン化迅速質量分光分析(matrix-assigned laser-desorpt ion ionization time-of-flight mass spectrometry)を行い、正しい生成物を確 認した。純度はいくつかの緩衝系中で逆相高速液クロにより分析した。化学的修 飾と蛋白分解修飾 ジスルフィド結合の完全な還元を、6Mのグアニジン−HCl、0.05Mの 燐酸緩衝液、pHδ.0と0.02Mのジチオスレイトール中で37℃で4時間 、続けて0.08M N−エチルマレイミドで2時間、室温でブロックすること により行なった。チロシンのナイトレートは、0.05Mトリス−HCl、pH 8.0中で、2倍モル過剰のテトラニトロメタンを1時間室温で加えて行なった (リォーダン[Riordan],J.F.およびバリー[Vallee],B.L.(1972 ),Methods Enzymol.,25,515−521)。チロシン水 酸基の選択的アセチル化は、1Mの酢酸ナトリウム、pH5.8、に大過剰の無 水酢酸を30分間室温で加えて行なった(オーニシ[Onishi],M.ら(1974 ),J.Biochem.,76,7−13)。リジンアミノ基の選択的アセチ ル化は、半飽和酢酸ナトリウム溶液中で、5×2 μL無水酢酸を40mgのプロ テインVδ0mlに加え、氷浴中で1時間インキュベートして行なった(フランケ ル−コンラット[Fraenkel-Conrat],H.(1957),Methods Enz ymol.4,247−269)。カルボキシ基(Asp、Glu)は、1−エ チル−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドで活性化し、次いでノルロイ シンメチルエステルでブロックした(ホア[Hoare],D.G.およびコシ ュランド[Koshland],D.E.(1967),J.Biol.Chem.,24 2,2447−2453)。0.02M NH4HCO3中での蛋白質開裂(24 時間、37℃)には、トリプシン(ウォーシントン社)とサーモリジン(メルク 社)を基質:酵素比=1:25、並びにエンドプロテイナーゼ Asp−N(配 列グルード、ボシュリンガー社)を1:200で使用した。次いで蛋白質分解フ ラグメントおよび修飾蛋白質を逆相HPLCで精製し、アミノ酸分析により同定 した(メイヤー[Mayer],U.ら(1991),Eur.J.Biochem. ,198,141−150)。 結合アッセイ 相対的な結合親和性の測定には放射リガンド競合検定(マン[Mann],Kら,1 988,Eur.J.Biochem.,178,71−80;フォックス[Fox ],J.W.ら(1991),EMBO J.,10,3137−3146)を使 用した。一定濃度のリコンビナント・ニドゲン(0.2nM)を種々の濃度のイ ンヒビターとともに1晩、4℃でインキュベートし、125I−標識ラミニン・フ ラグメントP1(0.01nM;10,000−20,000c.p.m.)を 加えて同一時間インキュベートした。次に結合および非結合フラグメントP1を 、ニドゲンに対する抗体で分離した。50%阻害を起こす競合濃度(IC50)を 、用量−応答曲線により確定した。すべてのアッセイは、非標識フラグメントP 1により較正したが、その結果14件の検定で平均IC50値(=SD)は0.0 5%=0.026nMであった。別の検定のIC50値との比較で単一のフラグメ ントP1値を標準化した。 側鎖修飾の効果 放射リガンド検定による前記の情況的証拠は、リピートγ1III4のループ c中の2つのチロシンのうちの1つが結合に寄与することを示している(メイヤ ー[Mayer],U.ら(1993),EMBO J.,12,1879−1885 )。そのような観察結果を確認し、拡張することは変異の設計にとって貴重なこ とであると考えられるので、いくつかの側鎖修飾手法を試みた。この側鎖修飾の 検討は、リピート3、4、5で構成され、かつ大量に得ることができるリコンビ ナントフラグメントγ1III3−5を用いて実施した。 2つの異なる手法でチロシンを修飾した場合、結合活性の75倍の減少を起こ した(表I)。同様の減少はAspおよびGluの修飾後にも認められたが、L ysのアセチル化後では低い効果(7倍)しか認められなかった。 合成ジスルフィドループ構造物および小ペプチド類の結合活性 リピートγ1III4の異なるジスルフィドループに対応する3つの大フラグ メントをペプチド合成により作り(図1)、これら生成物の2つのループ(a, b)または1つのループ(cまたはd)を酸化により正しく結合させた。適切な ジスルフィド結合の形成および精製ペプチドの保護基の脱離は、質量分光分析に より確認した。ループa,bの酸化状態または非酸化状態での競合アッセイでは 、両方とも同様にラミニン−ニドゲン結合を完全に阻害したことが示された。し かしながらそれらのIC50値(400nM)は、フラグメントP1で得られたも のより5,000倍大きかった(表II)。 酸化ループcおよび酸化ループdペプチドについては阻害効果は全く認められ なかった(IC50>90−200μM)。ループa,bのアミド化は活性の顕著 な低下をもたらし、これはより大きくて活性なフラグメントで認められる同様の 結果と符合した(表I)。 ループa,cに対応する修飾ペプチドもまた、ループbから第1および第3シ ステインと7つの残基を欠失させることにより合成した。次いで、残りの第1お よび第2対のシステインを酸化し、構造QCNDNIDPNAVGCLKCIY NTAGFYCD(配列番号30)を得た。このペプチドはループa,bに比べ て20倍高い阻害効果(IC50=22nM)を有し、フラグメントP1に比べて 活性は300分の1であった(表II)。これは、チロシン修飾の実験ですでに 示唆されているように、ニドゲンに対する高親和性会合に対して、ループaおよ びcの中にある結合部位が協働していることを示している。ループaおよびcの 協働には共有結合が必要である。なぜならばループa、bの活性は等量のループ cペプチドを添加しても増加しなかったからである(表II)。 非酸化ループa、bペプチド(24残基)を蛋白質分解実験に使用し、その結 合部位を調べた(表II)。トリプシンによるアルギニンでの開裂により、低活 性のC末端ヘキサペプチドT2と、活性低下のない大きなT1ペプチドが得られ た。T1のサーモリジン消化により不活性なC末端ペプチドTh1が放出され、 ループaが結合に関与していることが示された。 エンドプロテイナーゼAsp−NによりAsp残基で開裂すると、不活性N末 端ペンタペプチドE3および19残基ペプチドE1が放出されたが、殆ど活性は 変化しなかった(IC50=530nM)。しかしながら、E1のN末端配列As p−Asn−Ileが欠失した開裂産生物E2は、顕著な活性消失(IC50=3 μM)を示した。 これらのデータを考え合わせると、NIDPNAVGN(配列番号27)は最 小の結合配列であると考えられ、これは合成ペプチドがループa、bと比較した 場合に極く僅かな活性の消失(IC50=600nM)しか示さないことでも確認 された(表II)。さらに合成ヘプタペプチドNIDPNAV(配列番号5)は ほぼ同じ活性であった(IC50=800nM)。しかし、産生されたN末端As nを取り除くと、活性の低下は2倍となった(IC50=1.6μM)。阻害活性 は大きなN末端の欠失(NID)で消滅し、またC末端Valを取り除いても同 様に消滅した。これは、ヘプタペプチドNIDPNAV(配列番号5)(γ 1鎖の中の位置798−804)全体がループaの結合部位であることを示すも のである。 ループaヘプタペプチドの合成変種の検討 単一残基の組合わせがヘプタペプチドの阻害活性にどのように影響するかを、 1ないし3個の置換を含む合成相同体により調べた(表III)。D800をN に変えた場合、活性は100倍低下し、これはカルボキシ基の修飾後に観察され た消失と同程度で符合した(表IおよびII)。驚くべきことに、P801をQ に変えた場合の低下は3倍だけであった。保存A803をVに置換した場合は中 程度の16倍の低下が観察された。 相同ラミニン配列との比較からさらに置換物を設計した。ショウジョウバエγ 1鎖(チャイ[Chi],H.C.およびフイ[Hui],C.F.(1989),J.B iol.Chem.,264,1543−1550)は、そのヘプタペプチド領 域において単一保存1799のみがVに置換されたものである。この置換を合成 ペプチドで調べると、親和性には極く僅かな影響しか持っていない(表III) 。ヒトラミニンγ2鎖イソフォーム(カルンキ[Kallunki],P.ら(1992) ,J.Cell.Biol.,119,679−693)は、ショウジョウバエ ラミニンに見られた変化に加えて、N802がSに、またV804がSに変化し ている。ヘプタペプチド配列へそれぞれの置換を別々または同時に追加すると、 それぞれのケースで不活性化を起こした(表III)。 キメラ蛋白質モチーフおよび部位指向変異の産生と活性 従来の研究においては、リピートがシグナルペプチド配列に連結されている限 り、ラミニンγ1鎖の単独またはタンデム構成のEGF様リピートを、トランス フェクトしたヒト細胞クローンから十分な量を得ることができることが示されて いる(メイヤー[Mayer],U.ら(1993),EMBO J.,12,187 9−1885)。しかしながら、同一手法をループdまたはループa、bのいず れかが欠失したニドゲン結合EGF様リピートの欠失変異(図1)に対して適用 した場合には、培養液中に対応蛋白質を産生しなかった。ループdが欠失したい くつかのクローン類に関しては、ノーザンハイブリダイゼーションによって相当 多量の特異性mRNAが存在することを証明できたが、これはそれらの蛋白質産 生物中に細胞内変質があることが示唆するものである。このことは、適切な折畳 みと分泌のためには4つのループ構造が完全であることが必要であることを示唆 している。 また、不活性リピート3と活性リピート4の間でループa、bとループc、d を相互に交換することによりキメラ体を得たが、対応するフラグメントγ1II I3ab4cdおよびγ1III4ab3cdも何ら問題なく得られた。部位指 向変異誘発によりさらなる変異を、ループcの1つまたは両方のチロシン中(γ 1III4Y819−A、γ1III4Y825−A、γ1III4Y819/ 825−A、)またはループaの残基(フラグメントγ1III4D800−N およびγ1III4N802−S)中に、ヘプタペプチド実験で示したようにし て作り出した。さらに、リピート3と5を結合させることによりEGF様リピー トの欠失物全体を調製した(フラグメントγ1III5−5Δ4)。これらすべ ての発現構築物において、対応する蛋白質産生物を得るこ とができ、これらを 精製したが、SDS−ゲル電気泳動により他のリコンビナントEGF様リピート で記述されているもの(メイヤー[Mayer],U.ら(1993),EMBO J. ,12,1879−1885)と同様の単一バンドが示された。それらは、非還 元条件で測定した場合の電気泳動度の低下、並びにペプシンに対する抵抗性(デ ータは提示していない)から、すべてジスルフィド結合のものであった。 キメラ・フラグメントでの阻害性検討(表IV)では、フラグメントγ1II I4ab3cd(IC50=80nM)は野生型γ1III4(0.05nM)と 比較して顕著な活性の低下が認められ、その活性度は合成酸化ループa、bと比 較して僅か3倍高いだけであった。キメラ・フラグメントγ1III3ab4c dではさらに強い減少が認められ、これは結合におけるループaとcの2つの役 割に関する前記の観察結果を裏付けるものである。キメラの活性は、欠失変異γ 1III3−5Δ4が測定できるほどの活性を持たないことから、EGF様リピ ート4によるものである。 検討した3つのチロシン変異では、Y819を含むものだけが30から60倍 の活性の減少を示した(表IV)。この消失は化学修飾後に観察されたものと同 程度の大きさである(表I)。しかしながら、単一残基の変異γ1III4Y8 25−Aは阻害活性に顕著な影響は生じていない。劇的な活性減少(〜100, 000倍)は、ヘプタペプチド結合領域に影響をもたらした突然変異γ1III 4N802−Sに認められた。興味深いことに、このフラグメントはループa、 b全体が他の小さなループ構造で置換されている(図I参照)キメラγ1III 3ab4cdより活性が5倍も小さい。ヘプタペプチド領域内でのさらなる突然 変異(フラグメントγ1III4D800−N)は、γ1III3ab4cdと 比べた場合に同様の活性減少を示している(表IV)。これらの変化はヘプタペ プチドの合成変種で観察されたものと対応している (表III)。 結合活性に対するジスルフィド結合の貢献度を調べるために、いくつかの選択 された変異体を変性条件下で還元し、アルキル化した(表IV)。ループa、b ペプチドレベルまでの相対的に最も大きな活性低下(〜300倍)は、γ1II I4Y819/825−Aで認められた。還元されたγ1III4ab3cdは ほぼ同程度の活性を有し、ループa、bはEGF様モチーフ全体がある場合には 、ジスルフィド結合型の方が幾分活性であることを示した。γ1III3ab4 cdの還元は、すでに低い活性をさらに6倍減少させた。従ってこのデータは、 適当なリコンビナント蛋白質で個別に調べた場合に、ループaおよびc結合領域 が僅かにジスルフィド依存性を示すことを示している。この両部位の間の高親和 性の協働は、γ1III4Y819/825−Aの場合に示されているように、 より依存性が高いようである。 以上本発明を説明してきたが、本明細書で規定した本発明の精神および範囲か ら逸脱することなく、多くの変更と修正ができることは当分野の普通の技術者に は明らかなことである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 38/00 AED C12P 21/02 C C07K 14/485 A61K 37/02 AED C12N 15/09 ZNA ADU C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA (72)発明者 ティンプル,ルパート ドイツ連邦共和国 D−82152 マルティ ンスライド,マックス プランク インス ティトゥツ フォー バイオケミストリー

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.式(I)で表されるペプチジル化合物(配列番号1): [式中、R1は水素またはN末端保護基であり; R2は水素、NH2または配列(II)(配列番号2)のN末端Leuで始 まる1−14のアミノ酸残基を含むペプチジル基であり; ここでWは原子価結合またはアミノ酸残基であり; Xは原子価結合またはアミノ酸残基であり; Yはアミノ酸残基であり; ZはGlyまたは配列III(配列番号3)の1から11アミノ酸残基 を含むペプチジル基: ただし、R2は水素または、NH2あるいはNHMeのようなアミンであり; 2.R2が水素でZがGlyである、請求項1に記載のペプチジル化合物。 3.WがAsn、Asp、Glu、及びGlnからなる群から選択されるアミノ 酸である、請求項1に記載のペプチジル化合物。 4.XがIle、Leu、及びAlaからなる群から選択されるアミノ酸である 、請求項1に記載のペプチジル化合物。 5.YがPro及びHypからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項1 に記載のペプチジル化合物。 6.R2が配列(II)(配列番号2)のN末端Leuで始まる1−14のアミ ノ酸残基を含むペプチジル基である、請求項1に記載のペプチジル化合物: 7.R2が配列(II)(配列番号2)のペプチジル基である、請求項6に記載 のペプチジル化合物: 8.Zが配列(III)(配列番号3)のN末端Glyで始まる1−9のアミノ 酸を含むペプチジル・フラグメントである、請求項7に記載のペプチジル化合物 : [式中、R3は水素、NH2あるいはNHMeである]。 9.ZがGlyである、請求項8に記載のペプチジル化合物。 10.R1−Asn−Ile−Asp−Pro−Asn−Ala−Val−R3で ある、請求項1に記載のペプチジル化合物。 11.R1−Asp−Pro−Asn−Ala−Val−R3である、請求項1に 記載のペプチジル化合物。 12.次式で表される(配列番号38)、請求項1に記載のペプチジル化合物:
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