JPH10503921A - 診断並びに治療におけるターゲットとしてのnadhオキシダーゼ - Google Patents

診断並びに治療におけるターゲットとしてのnadhオキシダーゼ

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JPH10503921A JP7525945A JP52594595A JPH10503921A JP H10503921 A JPH10503921 A JP H10503921A JP 7525945 A JP7525945 A JP 7525945A JP 52594595 A JP52594595 A JP 52594595A JP H10503921 A JPH10503921 A JP H10503921A
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Abstract

(57)【要約】 原形質膜NADHオキシダーゼは、診断及び治療における様々な使用に対するターゲットであることが開示される。特に、腫瘍細胞に関連するNADHオキシダーゼは、正常細胞に関連するNADHオキシダーゼとは免疫学的及び生物学的に相違している。従って、患者中の腫瘍細胞の存在は、NADHオキシダーゼに関連する疾患の存在に対する血清又は生検試料を監視することによって監視することができる。阻害剤のターゲットとしてNADHオキシダーゼを用いることにより、腫瘍細胞、ウイルス感染した細胞及び多剤耐性細胞は、特に影響を受けるが、正常細胞は影響を受けない。正常NADHオキシダーゼに比較して、疾患に関連するNADHオキシダーゼに対する上昇した活性を有する特異的阻害剤が提供される。腫瘍細胞に関連するNADHオキシダーゼの利用は、腫瘍細胞に特異的で、且つ制癌剤又は成長阻害剤として提供される薬剤をスクリーニングする検定のための機会を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 診断並びに治療におけるターゲットとしてのNADHオキシダーゼ技術分野 本発明の属する技術分野は、NADHオキシダーゼをターゲットとして利用する、 疾患状態の診断並びに疾患状態の治療処置である。背景 添加された電子受容体の不在下における、還元型ピリジンヌクレオチド(NADH) から分子状酸素への、酵素による電子の伝達が、該NADHオキシダーゼの活性を規 定する。この活性は、動物および植物両者由来の、水性2-相分配により高度に精 製された、単離原形質膜小胞中に見出される。この活性は成長の制御に関連し、 また原形質膜電子担体の末端基オキシダーゼとしての調節機能または関連するチ オール−ジスルフィド交換機能を果たすものと考えられている。このNADHオキシ ダーゼ活性は、発癌物質により誘発された増殖性結節および肝癌の原形質膜中で 高いことが、報告されている。腫瘍形成組織由来のこれら膜中において、該NADH オキシダーゼは、見掛け上は最早成長因子の調節の影響を受けない。 この原形質膜NADHオキシダーゼは、シアナイドに対して非感受性であるという 点において、ミトコンドリアオキシダーゼおよび細胞パーオキシダーゼとは異な っている。これにより、以前はNADH-Fe2トランスフェリンオキシドリダクターゼ および以前に報告された成長因子およびホルモンによって刺激された人工的電子 受容体によるNADH酸化によるものとされていた、トランスフェリンによるNADH酸 化を説明できる。NADHオキシダーゼと、成長、成長因子による正常な細胞中での 刺激および腫瘍形成性細胞内での応答の喪失との関連のために、NADHオキシダー ゼは、その生理学的役割および治療の目的での該役割に影響を与える能力の決定 のための興味あるターゲットとなっている。 NADHオキシダーゼの一般的な説明は、モレ(Morre')等,Protoplasma,1986,1 33: 195-197;ブライトマン(Brightman)等,Plant Physiol.,1988,86: 1264 -1269;モレ等,Biochim.et Biophys.Acta,1991,1057: 140-146; モレおよび ブライトマン,J.Bioenergetics and Biomembranes,1991,23: 469-489; ブラ イトマン等,同上,1992,1105: 109-117;およびブルーノ(Bruno)等,Biochem. J.,1992,284: 625-628に見い出すことができる。 NADHオキシダーゼの種々の形態およびその作用機構の説明は、バビオール(Bab ior),J.Clin.Inv.,1984,73: 599-601; シーガル(Segal)等,同上,1989,8 3: 1785-1793;スミス&カルナット(Smith and Curnutte),Blood,1991,77: 67 3-686;アボ(Abo)等,Nature,1991,353: 668-670; ヌノワ(Nunoi)等,Science ,1988,242: 1298-1301;およびボルプ(Volpp)等,Science,1988,242:1295-12 97 に見い出すことができる。 トランスフェリン−アドリアマイシン複合体(コンジュゲート)による、経− 原形質膜(trans-plasma membrane)電子担持の阻害が、サン(Sun)等(Biochim.et Biophys.Acta,1992,1105: 84-88)により報告されている。 発明の概要 NADHオキシダーゼは、細胞疾患状態、特に腫瘍形成性およびウイルス感染細胞 の診断並びに治療において、かかる疾患状態の治療に有効な薬物のスクリーニン グ並びに多種薬物抵抗性を克服するための、ターゲットとしての用途が見出され ている。特に、疾患状態にある細胞と関連した該NADHオキシダーゼは、正常な細 胞のNADHオキシダーゼとは、生理的および機能的に異なっていることが分かって いる。循環血液中に存在するNADHオキシダーゼは、疾患の持続状態を決定するた めの診断薬として使用できる。原形質膜NADHオキシダーゼの、診断用ターゲット としての使用は、原形質膜を貫通する必要のない、不浸透性の薬物または不浸透 性の担体に結合した薬物の使用を可能とする。 興味ある阻害剤はN-アシル化カテコールメチルアミン類、特にモノメチルエー テルを包含する。少なくとも部分的に精製された該化合物類を、腫瘍形成性細胞 をもつまたは該細胞が生成されていると思われる細胞集団に、該腫瘍形成性細胞 の増殖率を実質上低減するのに十分な量で投与する。特に興味深いのはカプサシ ノイド類(capsacinoids)またはその複合体であり、ここで該カプサシノイド類の 脂肪酸アシル基の長さ、分枝および飽和度は変えることができる。 図面の簡単な説明 第1図は、RLT-N 肝癌由来の原形質膜NADHオキシダーゼ活性のアドリアマイシ ンによる阻害(ここで阻害に関するED50は約1μMである)およびHeLa細胞(ヒ ト卵巣癌)由来の原形質膜NADHオキシダーゼのアドリアマイシンによる阻害(こ こでED50は約0.7 μMである)を示すグラフである。 第2図は、HeLa細胞から単離された原形質膜由来のNADHオキシダーゼ活性の、 アセトゲニン(acetogenin)、ブラタシン(bullatacin)による阻害を示すグラフで ある。この阻害は、ブラタシン添加後の最初の5分間に渡り測定した。ブラタシ ンによる阻害は、時間依存性であり、かつより長時間の阻害(20分まで)により 、あるいは10nMの EGFの添加によって、該オキシダーゼに対するブラタシンの結 合を加速することにより、より強力な阻害が達成できる。 第3図は、HeLa細胞からおよびラットの肝臓から調製した原形質膜由来のNADH オキシダーゼ活性の、カサノイド(quassanoid)、(-)-グラウカルボルン(glaucar ubolone)の濃度の関数としての、阻害を示すグラフである。この活性は、HeLa原 形質膜については0.1 nMなる最終濃度において、また肝臓原形質膜については1 nMなる最終濃度において、50% 阻害された。 第4図は、Fe2-トランスフェリン−アドリアマイシン形状に複合化された、ア ドリアマイシンの濃度の関数としての、NADHオキシダーゼ活性を示すグラフであ り、アドリアマイシンに対して感受性(白丸)またはこれに耐性(黒丸)の細胞 由来の原形質膜と対比してある。 第5図は、HeLa細胞原形質膜由来のNADHオキシダーゼの、DMSO中のカプサイシ ン(capsaicin)(黒丸)または等量のDMSO(白丸)に対するドーズ応答を示すグラ フである。ラット肝臓原形質膜小胞のカプサイシンに対する応答は、白抜きの三 角により示した。これらの値は2回の測定値の平均±標準偏差である。 第6図は、HeLa細胞原形質膜由来のNADHオキシダーゼの、スルホニルウレアLY 237868(黒丸)またはLY237868とα−シクロデキストリンとの複合体(白丸)に 対するドーズ応答を示すグラフである。これらの値は2回の測定値の平均±標準 偏差である。 第7図は、スルホニルウレアLY181984、LY237868またはLY237868−α−シクロ デキストリン複合体の存在下での、HeLa細胞の成長を示すグラフである。 第8Aおよび8B図は、それぞれカプサイシンの尾部および頭部をもつカプサイシ ン−α−シクロデキストリン複合体の構造を示す図である。 第9図は、カプサイシン、または第8A図に示した如きカプサイシンのT-複合体 の存在下で、72時間後の、HeLa細胞の成長を示すグラフである。 第10図は、α−シクロデキストリンに結合したクロロアニリン、遊離のクロロ アニリン、または抗腫瘍性スルホニルウレアLY181984の存在下での、HeLa細胞の 成長阻害を示すグラフである。 特定の態様の説明 本発明によれば、NADHオキシダーゼを、診断並びに治療における種々の目的の ためのターゲットとして使用する。特に、NADHオキシダーゼは、その化学的およ び生物学的特性において、該酵素の起源となる細胞の状態に依存して、異なるこ とが分かっている。疾患状態の細胞、例えば腫瘍形成性細胞によって生産された NADHオキシダーゼは、正常な細胞由来のNADHオキシダーゼと区別でき、また生物 学的にはその種々の試薬に対する応答によって識別できる。ウイルス感染細胞に ついては、これらは血清学的にはウイルス蛋白に特異的な抗体によって検出され 、従ってこれら細胞に関連したNADHは、本発明の目的に対するターゲットとなり 得る。 このNADHオキシダーゼは、任意の動物起源、特に哺乳動物起源、例えば鳥類、 家畜または実験動物、例えば二十日鼠、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウサギ、ヒツ ジ、霊長類、特にヒト由来のものであり得る。更に、NADHオキシダーゼは組み換 え技術によって調製することができる。 このNADHオキシダーゼは、細胞が腫瘍形成性であると考えられる場合における 診断手段として有用である。このようなものとして、生検によって単離された組 織、または循環系に存在するNADHオキシダーゼを検出することができる。この検 出は、正常な細胞のNADHオキシダーゼと疾患状態にある細胞のNADHオキシダーゼ とを識別できる抗体を使用して、免疫学的に行うことができる。あるいはまた、 この検出は腫瘍関連NADHオキシダーゼの変更された薬物応答性に基づくものであ ってもよい。 該疾患に関連するNADHオキシダーゼに対して特異的な抗体は、公知の方法を利 用して、適当な哺乳動物宿主を、細胞外部分または該宿主の諸部分において、該 NADHオキシダーゼで感作して、抗体産生に関する免疫応答を活性化することによ り調製される。これについては、例えばアンチボディーズ(Antibodies): アラボ ラトリーマニュアル(A Laboratory Manual),Ed ハーロウ(Harlow),デービッド レーン(David Lane)編、コールドスプリングハーバーラボラトリーズ、コールド スプリングハーバー、NY.,1988を参照のこと。有利には、精製蛋白質を得、こ れ自体を、あるいはこれとアジュバント、例えばミョウバン、完全フロインドア ジュバント、マイコバクテリアフラグメント等との組み合わせを、免疫源として 使用する。脾細胞とミエローマとの融合を可能とするマウスまたは他の哺乳動物 宿主を使用することにより、あるいはその他のウイルスまたは癌遺伝子等の不死 化手段を利用して、細胞を単離し、増殖し、疾患関連NADHオキシダーゼに対して 特異的な抗体の産生につきスクリーニングすることができる。次いで、この不死 化された細胞を増殖し、腹水としてあるいは培地中で育成させ、該抗体を収穫す る。 多数のイムノアッセイが公知であり、ここでは特定の被検体に対して特異的な 抗体が入手できる。かくして、該抗体は広範な標識、例えば放射性同位元素、酵 素、蛍光発光体、化学発光体等と結合することができる。ここで、該標識は検出 可能なシグナルを与える。NADHオキシダーゼを検出するための特定の様式は、本 発明において限定的なものではなく、必要な感度をもつ任意の公知のアッセイを 利用することができる。 また、種々の試薬に対する異なる応答性によって、種々のNADHオキシダーゼを 識別することができる。この態様においては、ある疾患状態に関連していると思 われるサンプルについてアッセイを実施する。この生理的サンプルは組織サンプ ル、原形質膜フラグメント、溶解物、血清、もしくは他の有利な生理的流体であ り得る。公知のアッセイを、NADHオキシダーゼについて使用することができ、こ こではミトコンドリアオキシダーゼ活性を阻害するために、シアナイドを含むこ とができる。この酵素活性は、NADHのまたは検出可能なシグナルを与える電子受 容体の濃度変化に追随する可能性がある。該NADHオキシダーゼは、更にその蛋白 質ジスルフィド−チオール交換活性により特徴付けることができ、ここで該交換 活性の阻害は、該NADHオキシダーゼを阻害する試薬について測定することができ る。 疾患をもつ細胞由来のNADHオキシダーゼと、正常な細胞由来のNADHオキシダー ゼとを識別するであろう種々の試薬を使用することができる。このような試薬に は、アドリアマイシン、アドリアマイシン複合体、例えばトランスフェリン、ラ クトトランスフェリン、バソプレッシン、グルカゴン、または他のNADHオキシダ ーゼ刺激剤、カプセイシンおよびカプセイシン誘導体等が含まれる。かくして、 疾患をもつ細胞由来のNADHオキシダーゼと、正常な細胞由来のNADHオキシダーゼ とを識別する阻害剤の一定の量を添加することによって、疾患状態にある細胞の 存在についてアッセイすることができる。特に、アドリアマイシンは約0.5 μM 以下、一般的には約0.2 μM以下の濃度で使用することができ、ここで特定の疾 患状態にある細胞に依存して、アドリアマイシンのED50は0.1〜1nMの範囲内で 変化し得る。 腫瘍形成状態の確認のために、正常な細胞由来のNADHオキシダーゼに対する活 性を高めるが、異常な細胞由来のNADHオキシダーゼには実質上何の影響も与えな い因子を使用することができる。かくして、表皮成長因子(EGF)、トランスフェ リン、下垂体抽出物、ラクトトランスフェリン、バソプレッシンおよびグルカゴ ンを、約0.05〜0.5 μg/mlの範囲の濃度で、該アッセイ培地に添加し、該添加物 の効果を測定できる(これについては、ブルーノ(Bruno)等,Biochem.J.,1992 ,284: 625-628を参照のこと)。必要ならば、該アッセイを、阻害剤と因子との 組み合わせを使用して実施できる。一定量のEGF と変動する量のアドリアマイシ ンとの組み合わせを使用した場合、結果は二段階的であり、約10-6M 以下の低濃 度においては、アドリアマイシンは阻害性であり、一方でその濃度が10-6M を越 えた場合には、アドリアマイシンは正常な細胞を刺激する。この成長因子は、腫 瘍形成性細胞由来の酵素の活性には実質上何の影響も与えない。しかしながら、 腫瘍形成性細胞由来のNADHオキシダーゼは、正常な細胞由来の因子により活性化 されたNADHオキシダーゼについて観測されたものと類似の、アドリアマイシンに 対するドーズ−依存応答性を有するものと考えられる。最後に、正常細胞由来の NADHオキシダーゼは、疾患をもつ細胞由来のNADHオキシダーゼとは対照的に、約 7μMのED50で、アドリアマイシンによる阻害に抵抗し、ここで阻害に関するア ドリアマイシンのED50は約0.7 nMである。 これらのアッセイを実施するに際して、一般的にはコントロールを使用するで あろう。ここで、該コントロールは正常な細胞由来のNADHオキシダーゼである。 正常な細胞由来のNADHオキシダーゼについて得られた結果と、NADHオキシダーゼ を含むサンプルについて得られた結果とを比較することによって、上記のような 応答における差異を腫瘍形成によるものとすることができる。 特に興味あるのは、NADHオキシダーゼに関するアッセイにおける電子受容体、 有利にはアスコルベートラジカルの使用であり、ここでは該アッセイの条件下で の、該アスコルベートラジカルの消失速度を追跡することができる。ウインクラ ー(Winkler),Biochem.et Biophys.Acta,1987,925: 258-264に記載されたよ うに、分光光度計を使用して、265 nmにおけるアスコルベートフリーラジカルの 減少を測定することができる。アスコルベートを含有する有利な緩衝培地中に懸 濁した完全な細胞を使用し、該細胞懸濁液をインキュベートし、次いで上記のよ うにアスコルベートの減少を追跡することができる。また、アルカイン(Alcain) 等,Biochem.et Biophys.Acta,1991,1073: 380-385およびナバス(Navas)等 ,FEBS Letters,1992,299: 223-226をも参照のこと。 NADHオキシダーゼ活性につきアッセイするに際して、NADHの消失速度、NAD の 出現、またはそれぞれ直接的または間接的に、反応生成物または試薬の出現また は消失速度を測定することができる。特定の検出法の選択は、所望する感度の程 度、該サンプルの特性および得られるシグナルの測定の容易性に依存するであろ う。 該NADHオキシダーゼの追跡は、種々の異なる状況において、例えば疾患状態、 特に腫瘍形成状態が存在するか否かを決定するために、化学療法およびその腫瘍 成長に及ぼす効果を追跡するために、外科手術または化学療法後の癌の再発を追 跡する等のために、利用することができる。腫瘍形成性であり得る試薬の研究、 ウイルスによるトランスフェクションの効率の追跡、細胞集団の変異誘発の研究 等の目的で、これを培養物中で使用することもできる。この系は、異常な細胞が 免役学的にまたは生物学的に、正常な細胞由来のNADHオキシダーゼと識別可能な NADHオキシダーゼを与える多数の機会をもたらす。 異常な細胞由来のNADHオキシダーゼと、正常な細胞由来のNADHオキシダーゼと の差異は、また種々の試薬および該試薬の、該異常細胞関連NADHオキシダーゼに 及ぼす作用をスクリーニングする機会を与える。該NADHオキシダーゼは該細胞の 成長と関連していると考えられるので、このNADHオキシダーゼ活性の阻害は、静 細胞因子として機能し、ここで該成長の阻害された細胞は結果的に死滅するであ ろう。NADHオキシダーゼ阻害剤である広範な試薬の使用が生理的に許容され、低 濃度で使用することができ、その活性は正常細胞と異常細胞との間の識別を可能 とし、腫瘍形成細胞を処理して、その成長を阻害できる。 興味あるNADHオキシダーゼ阻害剤は、カテコールメチルアミンの親油性脂肪酸 アミド類を含む。特に興味深いものは、バニリルメチルアミン類の脂肪酸アミド 類であり、ここで該脂肪酸は少なくとも6個の炭素原子をもち、かつ飽和または 不飽和の脂肪族脂肪酸であり得る。これらの化合物は、生理的に許容される脂肪 族カルボン酸とカテコールメチルアミンとの脂肪酸アミド類であると考えること ができ、より特定的にはヒドロキシル基の一つが、1〜3個、好ましくは1個の 炭素原子をもつアルキル基、即ちメチル基でアルキル化され、かつ環上での置換 基が1-アミノメチル-3,4- ジヒドロキシ基であるようなものであり、特に該3-ヒ ドロキシル基がアルキル化されているものである。組成物を使用して、上記化合 物の1種またはその組み合わせの、腫瘍形成誘発性のNADHオキシダーゼを阻害す る量と、該細胞とを接触させることにより、インビボまたは培養物中での、細胞 集団内での腫瘍形成細胞の成長を阻害する。 該アミンをアシル化する脂肪酸は、一般的に少なくとも6個の炭素原子、より 一般的には少なくとも約8個で、しかも約26個以下、通常は約24個以下の炭素原 子、好ましくは約8〜18個の炭素原子、より好ましくはは約8〜11個の炭素原子 をもつものである。これらの脂肪族カルボン酸は直鎖または分枝鎖、好ましくは ペナルティメート炭素原子(Ω-1)において分枝したもの(イソアルカン酸また はその不飽和類似体)であり得、ここで該分枝は通常1〜2個の、より一般的に は1個の炭素原子をもつものであろう。不飽和はエチレン系またはアセチレン系 (二重結合または三重結合)であり得、ここで該不飽和は該連鎖中の任意のサイ ト、特にΩ・4- Ω・2であり得、Ω・4はΩ・4とΩ・3との間の不飽和を意味する。即 ち、最後の炭素原子を1として、これから3番目と4番目の炭素原子間の不飽和 を意味する。用途が見出されている脂肪酸は、9-メチルデセン-7- 酸(9-methyld ec-7-enoic acid)、9-メチルオクテン-6- 酸(9-methyloct-6-enoic acid)、ラウ リン酸、カプロン酸、オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸 、オクタン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、アラキドン酸および天然産の、 トウガラシの活性成分としてのバニリルメチルアミンを有することが分かってい る酸を包含する。 処方用の組成物において、あるいは培養物または他の培地への添加に際して、 対象とする化合物に対して、バニリルメチルアミンの脂肪酸アミドは、少なくと も部分的に精製された形状のものとして、通常は少なくとも20重量%、より一般 的には少なくとも約50重量%、通常は少なくとも約90重量%、かつ100 重量%ま での量で使用されるであろう。これらの化合物は、該脂肪酸上に、特に該脂肪酸 の末端炭素原子上にある官能基を与えることにより改質できる。これら組成物は 、該カテコールメチルアミンをアシル化することにより容易に調製できるので、 適当な生物学的および化学的活性をもつ任意のアシル化基を使用できる。これら の組成物は予防の目的で使用でき、ここで環境上のストレス、負荷、遺伝的素因 、偶発症候、または他の形質転換刺激のために、哺乳動物宿主は、腫瘍形成に対 する高い傾向をもつ可能性がある。この対象とする化合物に、予防的な特性を付 与することにより、NADHオキシダーゼの、腫瘍型に依存する癌形成の可能性を実 質的に減ずることが可能となる。 興味ある他のNADHオキシダーゼ阻害剤は、アンスラサイクリン類、例えばアド リアマイシンおよびアドリアマイシン複合体;アセトゲリン類、例えばブラタシ ン;カサノイド類(quassanoids)、例えばシマリカラクトン(simalikalactone)D および(-)-グローカルボロン(glaucarubolone);スルホニルウレア類、例えばN- (5- インダニルスルホニル)-N'-(4-クロロフェニル)ウレア(LY186641)、N-(4-メ チルフェニルスルホニル)-N'-(4-クロロフェニル)ウレア(LY181984)および4'- アミノフェニルスルホニル-4'-(4- クロロフェニル)ウレア(LY237868)およびク ロロアニリンを包含する。 活性阻害剤を担体分子に結合して、該対象とする化合物の腫瘍形成性細胞に対 する特異性を増大することができる。特に興味深いのは、不浸透性薬物または担 体との結合である。不浸透性薬物または不浸透性担体と結合した不浸透性薬物の 使用は、該活性試薬を、該細胞外NADHオキシダーゼに対するターゲットとするこ とを可能とし、これにより該薬物活性に対する付随的な選択性並びに特異性が付 与される。該阻害剤を薬物または担体と複合化するに際して、当分野において公 知の、種々のリンカーを使用できる。 有利には、該阻害剤上のアミノ基が複合化のために使用でき、あるいは該阻害 剤のアミノアルキル誘導体を使用することができる。複素官能基をもつ多数の化 合物を、該実在物への結合のために利用できる。該実在物の例は、アジドベンゾ イルヒドラジド、N-[4-(p-アジドサリチルアミノ)ブチル]-3'-[2'- ピリジルジ チオ]プロピオンアミド)、ビス−スルホサクシンイミジルスベレート、ジメチル アジピンイミデート、ジサクシンイミジルタルタレート、N-γ−マレイミドブチ リルオキシサクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスルホサクシンイミジル-4- アジドベンゾエート、N-サクシンイミジル[4- アジドフェニル]-1,3'- ジチオプ ロピオネート、N-サクシンイミジル[4-ヨードアセチル〕アミノベンゾエート、 グルタルアルデヒド、サクシンイミジル4-[N- マレイミドメチル〕シクロヘキサ ン-1- カルボキシレートおよび1-イソブトキシカルボニル-2- イソブトキシ-1,2 - ジヒドロキノリンを包含する。 複合化に適した不浸透性化合物は、ターゲット細胞の表面上の分子、例えば腫 瘍細胞抗原、ウイルス感染細胞を目標とするための、ウイルス蛋白質等に対する 抗体を包含する。ウイルス感染細胞に対する好ましい抗原は、ウイルスの外皮蛋 白質、特にHIV-1 gp160 および他のレトロウイルスの外皮蛋白質である。特異的 な抗体は、側鎖アミノまたはスルフヒドリル基と複素官能性架橋剤を介して、該 阻害剤に結合できる。 第二の細胞表面ターゲットを目標とする他の複合体は細胞表面受容体および蛋 白質に対するリガンド、例えばFe2 トランスフェリン受容体に対するFe2 トラン スフェリン;1またはそれ以上の型の細胞または器官に対する、高い特異性を有 する成長因子またはホルモン;糖タンパク質に結合するレクチン等を包含する。 例えば、エストロゲン依存性乳癌については、対象とする化合物をエストロゲン と結合することができる。T細胞白血病については、対象とする化合物を適当な サイトカイン、該T細胞と反応する主な組織適合性の抗原等と結合することがで きる。 該不浸透性化合物は、またタンパク質、例えばアルブミン;ポリサッカライド 類、例えばデキストラン、シクロデキストリン等の生理的に不活性な担体であり 得、または当分野で公知の他の担体分子であり得る。該ポリサッカライド類は、 有利には過ヨウ素酸塩を使用して酸化して、アルデヒド官能基を付与することが でき、該官能基は、特に還元式アミノ化条件下でアミノ置換基と複合化すること ができる。特に興味あるものは、宿主内に注入した場合に低い抗原性を有する担 体である。該阻害剤対該担体の比は広範囲に渡り変えることができ、通常は少な くとも約1:1 である。 幾つかの場合において、該複合体中の両結合相手は、NADHオキシダーゼの阻害 剤として不活性であるが、該複合体は活性である。この種の複合体は、遊離分子 としては低い活性を有するが、上記のように不浸透性の担体と複合化した場合に は、著しく増大した活性を呈する、クロロアニリンおよびキノリンサイト阻害剤 を包含する。 種々の技術が、NADHオキシダーゼの阻害剤とリガンドまたは担体とを複合化す るのに使用できる。多数の異なる活性化剤を使用することができ、ここで該複合 体の一員としてのカルボキシルを、該複合体の他の構成員であるアミノ基との反 応のために活性化することができる。また、チオール基を活性化されたオレフィ ン、例えばマレイミドと結合して、チオエーテルとすることができる。糖を開裂 して、アルデヒドを得、これを還元式アミノ化条件下で、アミノ基と共有結合的 に結合することができる。特定の結合法は、該複合体の2つの構成員の性質に依 存して広範囲に渡る。 特に興味深いのは、モノクローナル抗体と原形質膜NADHオキシダーゼ阻害剤と の複合体である。この阻害剤は、一般的に約20μM未満、通常は約10μM未満、 好ましくは約100 μM未満のED50値をもつであろう。これらのモノクローナル抗 体と阻害剤とは、任意の有利な手段によって共有結合的に結合でき、多数の化合 物が、例えば開裂された糖を介して、還元式アミノ化、マレイミド形成、および チオールとの反応によるチオエーテルの生成、エルマンの試薬(Ellman's reagen t)の使用およびチオエーテルまたはジスルフィドの形成等によって、抗体と結合 されている。 種々の試薬を選択された化合物と結合して、治療効果を更に改善することがで きる。かくして、イムノトキシン類、パーフォリン、増殖阻害剤等を包含する細 胞毒性または抗ウイルス活性をもつ広範な薬物を使用することができる。 これらの目的とする組成物は、腫瘍形成をもたらす細胞を有する、あるいはか かる細胞の形質転換をうける可能性のある任意の脊椎動物宿主を治療するのに使 用できる。該組成物は、哺乳動物例えばウマ、ウシ、イヌ、ネコ、囓歯類等、特 に霊長類、より特定的にはヒトについて使用できる。 本発明の対象とする組成物は、癌、黒色腫、肉腫、白血病、リンパ腫等を包含 する異常なNADHオキシダーゼを発現する任意の腫瘍状態について使用でき、ここ で関与する組織は前立腺、乳腺、ニューロン、精巣、肺、皮膚組織、リンパ節、 粘膜組織、筋肉組織、リンパ球、卵巣、腺例えば膵臓等であり得る。該組成物は 過増殖性組織、例えば前癌性かつ腫瘍形成性病変、単一腫瘍、または転移性腫瘍 等について使用できる。 本発明の対象となるNADHオキシダーゼ阻害剤の有効な投与量が、特定の患者の 要求に応じて投与されるであろう。治療の目的で該対象とする化合物を使用し、 該化合物が公知であり、そのインビボでの活性がすでに立証されている場合、そ の投与法、投与頻度および投与量を経験的に決定でき、あるいはしばしば該薬物 について通常使用されている投与量、または経験的に決定されるであろう量より も低い投与量を使用することも可能である。この投与量は、投与形式、徴候の性 質、該薬物を投与する目的、等に依存して変えることができる。カプサイノイド 類が正常な細胞に対して低毒性であるために、このような組成物は種々の期間に 渡り繰り返し投与でき、ここで治療サイクル当たりの累積投与量は、特定の処方 の有効性、投与サイト、投与方法、腫瘍の起源および疾患状態に依存して、通常 体重1kg当たり約1〜100 mgの範囲内にあるであろう。治療サイクルは、必要に 応じて繰り返されるであろう。 本発明の対象とする薬物は単独で、またはNADHオキシダーゼ阻害剤との組み合 わせで投与できる。該対象とする薬物は、生理的に許容されるビヒクル、例えば 塩水、PBS 、水、水性エタノール、植物油、グリセロール、25% ジメチルスルホ キシド等に分散した状態で投与されるであろう。該対象とする組成物の濃度は、 一般的に局所的に投与されるクリーム、軟膏または膏薬については、約0.003 〜 1%の範囲、および他の経路に対しては1〜100mg/mlの範囲であり、ここで該量は その投与頻度、投与の性質、腫瘍の特性等に応じて変動するであろう。 投与は任意の有利な手段、例えば非経口、経口、吸入、経皮等により実施でき る。投与法は血管内、腹腔内、皮下、筋肉内投与等を包含し得る。この投与は、 溶液、懸濁液、錠剤、エーロゾル等により実施でき、ここで該化合物は、適当な 用量で、生理的に許容される媒体中に分散されている。投与頻度は、患者の要求 に依存して、4時間、1日、3日、1週間、1カ月またはそれ以上の間隔であり 得る。特定の養生は、徴候、治療に対する応答などに従って、経験的に決定され るであろう。 治療効果を更に高めるために、連続的にまたは同時に、該対象とする化合物と 共に、酸化剤および還元剤を使用することができ、これらはアスコルビン酸、デ ヒドロアスコルビン酸、グルタチオン、ジチオスレイトール、N-アシルシステイ ン、システイン等を包含するがこれらに限定されない。これら化合物は、その通 常の治療的範囲内で使用され、あるいはその服用量は公知の手順に従って経験的 に決定されるであろう。その安全特性の観点から、広い範囲で変えることができ る。 多くの例において、組み合わせ治療の利用が望ましい場合があり、そこでは該 目的の化合物は他の公知の薬物と共に使用し得る。組み合わせとして使用できる 薬物は公知の薬物、例えばカルムスチン(carmustine)等のアルキル化剤;5-フル オロウラシル等の代謝拮抗物質;アドリアマイシン、ブレオマイシンおよびダウ ノマイシン等の抗生物質;ビンブラスチン等のアルカロイド類;タキソール等の 生物学的な変性剤;インターロイキン等の生物学的応答改良剤;および他の薬物 例えばシス−プラチン等を包含する。 多くの細胞集団において、腫瘍形成性または他の異常細胞の実質的な不在下で 、正常な細胞を成長させたい場合がある。該異常細胞が腫瘍形成細胞に関連する NADHオキシダーゼを発現する場合、該対象とする組成物の成長阻害量を、その育 成培地中で使用することができる。該培地中の該対象とする化合物の濃度は、通 常は少なくとも約10nMおよび約1μM以下であろう。このように、細胞集団は種 々の期間に渡り培養液中で増殖または維持でき、一方で腫瘍形成細胞の成育を阻 止することができる。 対象とするNADHオキシダーゼ阻害剤の使用は、レシピエント哺乳動物宿主に投 与される前に培養液中に維持される移植片、例えば骨髄、器官、血液等と共に適 用されることが分かっている。更に、研究の目的で、即ち細胞成長および増殖、 種々の化合物または刺激に対する代謝的応答の変化、未発達状態での維持等の研 究で使用するために、細胞を培地中で樹立する場合、腫瘍細胞の成長過多を、該 培地中での、該対象とするNADHオキシダーゼ阻害剤の使用により阻止できる。 この対象とするNADHオキシダーゼ阻害剤は、また種々の組成物を腫瘍形成細胞 に送るために使用できる。該目的化合物をリポソーム上のマーカーとして使用す ることにより、即ち細胞毒性薬物を該リポソームのルーメンに含めることにより 、該リポソームを選択的に腫瘍形成細胞に誘導することができる。カプサイシノ イド類に少なくとも約12個の炭素原子をもつアシル基をもたせて、これをリポソ ーム膜中に含有せしめることができ、また該アシル基の末端炭素原子を、公知の 方法によりヒドロキシルまたはアミノ基で官能化することができ、また官能基は 少なくとも約12個の炭素原子、特に14〜30個の炭素原子をもつ脂肪酸でアシル化 される。リポソームは公知の方法に従って、該脂質の一つとして該目的の化合物 を使用して、作ることができる。コレステロール、ホスファチジルコリン、アシ ルグリセロール等と、興味ある1種以上の薬物の水性溶液とを併合し、得られる 混合物を激しく攪拌することにより、リポソームを形成することができ、ここで 該リポソーム膜は、該対象とする組成物を含み、これは優先的に腫瘍細胞関連NA DH オキシダーゼに結合するであろう。 該対象のNADHオキシダーゼ阻害剤は、また競合免役アッセイにおいて使用する こともでき、ここでは興味あるハプテン被検体に阻害剤が結合複合化される。こ の複合化は公知の方法に従って実施でき、該方法において該アシル基は上記の如 く官能化される。該複合体は、ハプテン被検体に対する抗体については、該腫瘍 形成細胞関連NADHオキシダーゼを含有するアッセイ培地中の被検体と競合するこ とができる。該複合体に結合する抗体の量は、該アッセイ培地中のハプテンの量 に比例するであろう。該複合体は、未結合の場合には該NADHオキシダーゼ酵素を 阻害し、かつ抗体に結合した場合には、該酵素を阻害することを阻止する。従っ て、該酵素の活性は該アッセイ培地中のハプテン被検体の量と関連付けることが できる。これについては、特に米国特許第3,935,074 号を参照のこと。 NADHオキシダーゼの阻害剤を、細胞の多種薬物抵抗性を阻害するのに使用でき る。NADHオキシダーゼの阻害剤とトランスフェリンまたは正常な細胞由来の、NA DHオキシダーゼの他の刺激剤との複合体を使用することにより、種々の疾患状態 にある細胞中の多種薬物抵抗性の阻害を達成でき、ここでは該細胞の成長に影響 を与える点において興味がある。特に興味深いのは、多種薬物抵抗性が一つの因 子であり得る腫瘍または他の疾患の場合におけるような、細胞毒性薬物との組み 合わせである。細胞毒性薬物はシスプラチン、ビンカアルカロイド類、メトトレ キセート、5-フルオロウラシル等を包含する。薬物を細胞表面ターゲットに制限 することにより細胞を殺すことができ、ここで該細胞は内部で作用する広範囲の 薬物に対して抵抗性である。 ラット肝臓の原形質膜から精製し、かつ天然のゲル上で分析された、あるいは HPLCによって精製されたNADHオキシダーゼ複合体は、分子量約34、52および72kD a を有する少なくとも3つのペプチド鎖の複合体からなる。これらの化合物は、 公知の方法で均質状態にまで精製し得る。例えば、蛋白質は非−イオン性界面活 性剤、トライトン(Triton)X-100によって可溶化し、アフィニティーカラム、例 えばコンカナバリンA−セファロースカラム上で分画し、次いでゲル濾過および アニオン交換クロマトグラフィー処理することができる。 これら3種のペプチドは、ミトコンドリアNADH−ユビキノンリダクターゼおよ びバクテリアNAD-還元デヒドロゲナーゼ(これらは、それぞれ24および51kDa、並 びに24および74kDa のサブユニットを含む)(ピルキングトン(Pilkington)等,Bi ochemistry,1991,30: 2166)に対して、分子量における幾分かの類似性をもつ が、該ミトコンドリアまたはバクテリア酵素の何れかの任意のサブユニットをも つ、原形質膜NADHオキシダーゼのペプチドの何れかとの配列類似性は殆どまたは 全くない。 該34(36)kDa のペプチドは、公知のキノン結合タンパク質に対する配列類似性 を有し、これは該複合体中にキノン結合サイトが存在することを示している。ラ ット肝臓および大豆由来の該34(36)kDa のペプチドからのペプチドも、チオール オキシドリダクターゼに対する幾分かの類似性を示し、これはN-エチルマレイミ ドおよびスルフヒドリル試薬、例えばジチオスレイトールおよびメルカプトエタ ノールに対する該オキシダーゼ応答性によって立証されたように、活性チオール 基を含むことと一致する。 52kDa のペプチドを含有する、該55kDa バンド内に含まれる物質は、ジヒドロ リポアミドジヒドロゲナーゼとの配列相同性を有する少なくとも1個のタンパク 質を含む。 該NADHオキシダーゼ複合体由来の該72kDa のペプチドは、一般的に入手可能な データベース中の任意のタンパク質との同定可能な、一次配列相同性を有してい ない。 精製の任意の段階における該オキシダーゼ複合体中のヘム鉄の組み込みは観測 されないように思われる。ヘム鉄のないことは、該原形質膜においては一般的で ある。このオキシダーゼ活性は、鉄キレート剤によりおよびミトコンドリアのキ ノンデヒドロゲナーゼとの相似性によって阻害される。この観測に基づいて、該 3種のペプチドは、キノンサイトに加えて、1またはそれ以上の鉄−硫黄中心を 含むことができる。 阻害剤ターゲットは、補助因子を結合するサブユニットの部分から、該活性触 媒サイトに変化する可能性があり、該触媒サイトはNADHと結合し、かつ電子を電 子受容体に移動する。従って、該阻害剤は、該特定の結合サイトターゲットとの 関連で、その構造が変化する可能性がある。キノン−類似の構造をもつ阻害剤は 該キノン−結合性サブユニットに結合する。 ブライトマン(Brightman)等(Biochem.Biophys.Acta,1992,1105: 109-117) によって報告されているように、正常なラット肝臓の原形質膜小胞由来のNADHオ キシダーゼは、成長因子およびホルモンによって刺激される。 肝癌原形質膜を使用して、該オキシダーゼの濃度を高め、最早成長因子の添加 により刺激されないまでにする。該ホルモン−および成長因子−刺激NADHオキシ ダーゼの活性はグアニンヌクレオチドに応答する。このNADHオキシダーゼはマス トパラン(mastoparan)によって活性化されるが、アルミニウムフルオライドは僅 かに阻害される。コレラおよび百日咳毒素は、辺縁部応答のみを誘起する。この 活性はGDP およびGTP[γ-S]により、Mg2+の存在下で阻害され、これは該原形質 膜NADHオキシダーゼのグアニンヌクレオチド調節を示している。 哺乳動物細胞表面の多くのエクト蛋白に特徴的であるように、NADHオキシダー ゼ活性が血清およびHeLa細胞培養物濾液中に存在する。HeLa細胞を含む培地の該 NADHオキシダーゼ活性は、インキュベーション時間および添加した培地の量に比 例する。NADH濃度に対する応答は、15μMなる低いNADH濃度においてKmをもつ2 段階型である。この活性は、トリプシン、N-エチルマレイミドおよびPCMB、並び にグアノシンヌクレオチドと共に、85℃にて20分間処理することにより阻害され る。これらの活性は該原形質膜−結合型のものと類似する特性を有する。該循環 型は該膜−結合型のものよりも低い分子量(約32kD)をもつものと思われる。 癌患者の血清中の循環型のNADHオキシダーゼは、アドリアマイシンによって阻害 され、一方で健康な個人の血清中の循環型のNADHオキシダーゼはこれにより阻害 されない。この観察の更なる詳細は以下の実施例に見出される。 以下の実施例は、本発明の例示のために与えられるものであって、本発明を限 定するものではない。 実施例 実施例1方法 細胞の育成 :HeLa細胞(ATCC CCL2)を、150 cm2のフラスコ内の、10% の子牛血清 (加熱により不活性化したもの)+50mg/lのゲンタマイシン硫酸塩(シグマ(Sigm a))を含む、最小必須培地(Minimal Essential Medium)(ギブコ(Gibco))中で、pH 7.4にて、37℃で成長させた。細胞を1〜2分間、シグマ(Sigma)IXトリプシン で、トリプシン処理し、掻き集めて収穫し、かつ最終的細胞濃度0.1g(湿潤重量( gww))/ml まで、TD-tris バッファー(140 mM のNacl、3mMのKCl、0.7mMのNa2HP O4および25mMのトリス(Tris)、pH 7.4)中に分散させた。ラット肝臓からの原形質膜の精製 :ゴルジ装置(ゴルジ体)(モレ(Morre')(1971), Meth.Enzymol.,22: 130-148)の調製物から得た5000xgのペレットが出発物質で あった。ゴルジ装置画分を含む該綿毛状の層を混合し、取り出し、かつ原形質膜 調製物から回収した。冷却した1mMのNaHCO3(5ml)を各チューブに添加し、該ペ レットの脆い黄褐色の上部部分をペン−ブラシで再懸濁させ、攪乱されなかった 該ペレットの赤色がかった密に充填された底部部分を残した。該再懸濁物を、手 動で、20回に渡り、30mlのステンレススチールホモジナイザー(デュラグライン ド(Duragrind))内で均質化して、各々5mlのアリコートとした。これらのホモジ ネートを併合し、冷1mM NaHCO3(1:1 希釈)で希釈し、かつHBローター中で15分 間、6000xgにて遠心分離処理した。上澄を捨て、得られたペレットを2−相分離 のために使用した(モレ(Morre')&モレ(Morre')(1989),BioTechniques,7:946- 958)。 この2−相系は6.4%(w/w)のデキストラン(Dextran)T-500(ファルマーシア (Pharmacia))、6.4%(w/w)のポリエチレングリコール3350(フィッシャー(Fisher ))および5mMの燐酸カリウムバッファー(pH 7.2)を含んでいた(モレ(Morre') &モレ(Morre')(1989)の上記文献)。該ホモジネート(1g)を該2-相系に添加し、 該系の重量を蒸留水で8gとした。該チューブを、低温(4℃)にて40回に渡り激 しく反転させた。これらの相を、ソルバリ(Sorvali)HB 4ロータ中で5分間、750 rpm(150xg)にて遠心分離処理することにより分離した。パスツールピペットで、 注意して上部の相を取り出し、半分に分けて、40mlのプラスチック製遠心管に移 し、冷却した1mMのNaHCO3溶液で希釈した。この精製した原形質膜を、HBロータ で30分間10,000xgにて遠心分離処理することにより集めた。原形質膜ペレットを 50mMのTris-Mesバッファー(pH 7.2)に再懸濁し、-70 ℃にて保存した。蛋白質を 標準物質としてウシ血清アルブミンを使用した、ビシンコニン酸(bicinchoninic acid: BCA)アッセイ(スミス(Smith)等,(1985),Anal.Biochem.,100: 76-85)を 利用して決定した。収率は肝臓10g 当たり約3-5 mgであった(ナバス(Navas)等 ,CancerRes.,1989,49: 2146-2147)。 ラット肝臓からのこの原形質膜調製品を、形態学的および酵素学的基準に基づ いて徹底的に特徴付けした(モレ(Morre')の上記文献(1971)およびスミス等の上 記文献(1985))。電子顕微鏡を用いた形態学的分析から、この調製品は90±4% の原形質膜を含む。汚染物はミトコンドリア(4%)および小胞体(3%)を含む。マー カー酵素の分析に基づいて、小胞体の混入は3%と評価され、ミトコンドリアの混 入は15% であり、かつゴルジ体のそれは1%と評価された。原形質膜の回収率は、 酵素マーカーの回収率を基準として、平均18% であると見積もられた。HeLa 細胞由来の原形質膜の精製 :HeLa細胞は、ウマ血清、Fe2トランスフェリン およびヘパリンを補充した最小必須培地(MEM)中での懸濁培養物として成長させ た。細胞を6〜15分間に渡り、1000〜3000 rpmにて遠心分離処理することにより 集めた。この細胞ペレットを、適当な比率の0.2mM EDTA/1mM NaHCO3中に、108個 の細胞当たり1mlの割合で再懸濁し、氷上で10〜30分間インキュベーションして 、該細胞を膨潤させた。均質化は、7〜8mlのアリコート中で、PT-PA 3012/23 またはST−プローブを使用して、30〜40秒間、10,500 rpmにて、ポリトロン ホモジナイザー(Polytron Homogenizer)によって実施した。破壊の程度を評価す るために、均質化の前後において、該細胞を光学顕微鏡で追跡した。核の破壊な しに、少なくとも90% の細胞破壊が日常的に達成された。 これらのホモジネートを、10分間、1,000rpm(175g)にて遠心処理して、未破壊 の細胞および核を除去し、かつ得られた上澄を1.4x106g min(例えば、23,500g にて1時間)2回目の遠心分離処理にかけて、ミクロソーム画分に富んだ原形質 膜を調製した。上澄を捨て、得られたペレットを5x108個の細胞を含むペレット 当たり約1mlの割合の、0.2M燐酸カリウムバッファー中に再懸濁した。次いで、 この再懸濁した膜を、ラット肝臓につき上記した如く、重量基準で作成した2− 相系に適用した。原形質膜に富んだ上部相を、1mMの重炭酸ナトリウム溶液で5 倍に希釈し、該膜を遠心分離によって集めた。この原形質膜の純度は電子顕微鏡 モルホメトリー(morphometry)により、>90%であると測定された。収率は、1010 個の細胞から、原形質膜蛋白質20mgであった。NADH オキシダーゼの分光学的アッセイ :NADHオキシダーゼ活性は、25mMのTris-M esバッファー(pH 7.2)、低レベルの混入ミトコンドリアオキシダーゼ活性を阻害 するための1mMのKCNおよび150 μMのNADHを含有する反応混合物中で、340 nm で、37℃にて一定速度で攪拌しつつ測定した、NADHの消失量として測定された。 活性は、ヒタチ(Hitachi)U3210 分光光度計を使用して、各々5分間の2回の期 間に渡り連続的に記録しつつ測定した。6.22mMなる吸光係数を使用して、比活性 を決定した。原形質膜NADHオキシダーゼの精製 :ラット肝臓原形質膜の水性2-相分配調製物を 1mMのEDTA、50mMのTris(pH 7.6)および可溶化のための 10%グリセロール洗液と 併合する。次いで、この可溶化した蛋白質をDE52イオン交換カラムで濃縮し、次 にTSK ゲル濾過クロマトグラフィーおよびヒドロキシアパタイトクロマトグラフ ィー処理する。次いで、該蛋白質をSDS-PAGEで精製することができる。更なる精 製はSDS のセントリコン(Centricon)除去および蛋白濃縮、引き続いてのC-18逆 相カラムクロマトグラフィーを利用して達成される。正常なおよび癌細胞並びに組織からの原形質膜由来のNADHオキシダーゼの応答パ ターン 正常な原形質膜源としてのラット肝臓由来の原形質膜によれば、NADHオキシダ ーゼ活性は、ED50約7μMをもつ抗腫瘍性薬物であるアドリアマイシンによる阻 害に抵抗する。これとは対照的に、表皮成長因子により刺激されたNADHオキシダ ーゼ活性によれば、成長因子−刺激活性は0.1 μMのアドリアマイシンにより完 全に阻害される。 ラット肝癌の原形質膜を使用した場合、該NADHオキシダーゼ活性は、アドリア マイシンによって阻害され、かつ最早成長因子に対して応答性ではなく、本質的 に活性化されるように思われる。このラット肝癌の本質的に活性化された、原形 質膜NADHオキシダーゼは、第1図に示した如く、選択的に低濃度のアドリアマイ シンによって阻害される。アドリアマイシン濃度0.1 μMにおいて、該活性は肝 癌原形質膜によって40% 阻害されるが、肝臓原形質膜によっては阻害されなかっ た。アドリアマイシンの濃度が1μMを越えると、肝臓および肝癌原形質膜両者 のNADHオキシダーゼ活性は阻害される。培地中で成長したヒト卵巣癌細胞(HeLa) の原形質膜に関する結果は、第1図のデータによって示されるように、NADHオキ シダーゼの阻害に関するアドリアマイシンのED50が0.7 nMであることを立証して いる。 アドリアマイシンが、原形質膜に関連するある電子移動活性を阻害するという 事実は、細胞から遊離した電子(還元当量)による、アスコルベートの0.2mM 溶 液からのアスコルベートラジカルの消失の阻害に基づくアッセイからのデータに より、更に強化される(ナバス等の上記文献)。これらの条件の下で、電子の流 れが、アドリアマイシン感受性HL-6細胞において成長を阻害した濃度のアドリア マイシンによって阻害されるが、アドリアマイシン−耐性細胞によっては阻害さ れず、成長も阻害されない。感染性細胞によるこれらの阻害は、知覚可能なラグ なしに観測された。また、該応答は、アドリアマイシンとの予備インキュベーシ ョンなしに観測された。これら後者の組の観測は、アドリアマイシンが、該細胞 核に入って、DNA 合成の阻害を介する膜形成の酵素に及ぼす作用を通して、経膜 電子流動の阻害を生ずることはないという結論を支持している。抗癌剤を同定するためのスクリーニング法における原形質膜NADH酸化酵素の 使用 NADH酸化酵素タンパクは、成長因子、ホルモン、及び抗癌剤へと応答性が 変化し、また、NADH酸化酵素が阻害される細胞は成長しないので、NADH 酸化酵素は、効力かつ特異性が高い新規及び/または改良された抗癌剤の開発及 びデザインのための重要なターゲットを提供する。阻害されるNADH酸化酵素 活性能または薬剤に結合するNADH酸化酵素能は、インンビトロにおける抗癌 性効力の迅速な予測スクリーニングに使用することができる。対応する正常細胞 由来の原形質膜との比較は、特異性を与える。低濃度において、完全にターゲッ ト細胞のNADH酸化酵素を完全に阻害し、ターゲット細胞のNADH酸化酵素 を阻害するのに必要な濃度の10〜100倍高い濃度においても、非ターゲット 細胞のNADH酸化酵素に影響することがない物質が探索されている。 NADH酸化酵素を阻害し、同時に成長を阻害する効力を示す抗腫瘍性または 抗癌性の薬剤には、次のものが挙げられる。 a)アドリアマイシン及びアドリアマイシン複合体;アドリアマイシンは、ラ ットヘパトーム原形質膜及びHeLa細胞の原形質膜両方のNADH酸化酵素を、図 1に示されるように、低濃度で阻害する。しかし、正常肝臓の原形質膜のNAD H酸化酵素活性は、アドリアマイシンの濃度がマイクロモルのオーダーより低い 濃度では阻害されない。 b)アセトゲニン;アセトゲニンは、その例としてブラタシン(bullatacin) が挙げられ、これは、ミトコンドリアのNADH−キノン還元酵素を阻害し、抗 癌活性を示す。これらは、図2のデータに示されるようにNADH酸化酵素を同 様に阻害する。阻害は、癌細胞の成長を阻害するのと同様の濃度範囲で起こる。 c)クアサノイド(quassanoid);クアサノイドは抗癌活性を示すさらに上の クラスの化合物であり、その作用機作は知られていない(Moher et al.(1992 )J.Am.Chem.Soc.114: 2264; Gross et al.(1990)ibid 112:9430)。こ のシリーズの二つの化合物、シマリカラクトン(simalikalactone)D及び(-)-グ ラウ カルボロン(glaucarubolone)の試験がなされ、図3の(-)-グラウカルボロンの阻 害データに示されるように、NADH酸化酵素を、癌細胞の成長を阻害するのと 同じ濃度範囲で阻害する。ラットヘパトーム原形質膜のNADH酸化酵素活性は DMSO中の最終濃度0.4 μMにおいて、クアサノイド、シミリカラクトンDに より阻害される。ただし、同量のDMSOは効果を示さない。 d)スルホニルウレア;N−(5−インダニルスルホニル)−N′−(4−ク ロロフェニル)ウレア(LY186641、スロフェヌル(Sulofenur))、N−(4−メ チルフェニルスルホニル)−N’−(4−クロロフェニル)ウレア(LY181984) 及び4’−アミノフェニルスルホニル−4’−(4−クロロフェニル)(LY2378 68)のようなジアリールスルホニルウレア類は、様々なインビボ及びインビトロ の動物モデルにおいて、有効な抗癌剤であることが示された(Rush et al.(1992) Biochem Pharmacol 44:2387-94)。その作用機作は知られていない。ミトコンド リアはスロフェヌルを蓄積することが見いだされた。従って、ミトコンドリアが 薬剤の作用におけるターゲットであろう。有効な抗癌剤である多数のジアリール スルホニルウレア類はまた、ミトコンドリアの酸化的リン酸化の脱共役剤である 。原形質膜NADH酸化酵素の、多剤耐性を回避するための薬剤ターゲットとして の使用 アドリアマイシンのトランスフェリンとの複合体は、その培養内の癌細胞成長 阻害活性が、非複合体の薬剤に対して10倍のオーダーであることが報告されて いる(Faulk et al.,Lancet 2:390-392(1982); Fauk et al.,Mol.Biotherm. 2:57-60(1990); Fauk et al.,In Oxidoreduction at the Plasma Membrane: Re lation to Growth and Transport(Crane,F.L.,Morr0,and L6w,H.,eds.)CRC Press,Boca Raton,pp.205-224; Sun et al.,Biochim,et Biophys.Acta 1 105:84-88(1992); 及びこれらに記載の文献参照)。この複合体はまた、アドリ アマイシン−耐性細胞系の成長を阻害することが可能であるという興味深い性質 を有している。この阻害は、耐性の機序には関係なく発現する(例えば、原形質 膜の170 kDa P-グリコプロテインをコードするMDR遺伝子の発現)。アドリア マイシン複合体は細胞内に進入して細胞毒性を示す必要がなく、また、複 合体も複合体から誘導されるフリーのアドリアマイシンも細胞毒性を示すような 濃度で、細胞核に到達しない。 既に報告されているように、HL-60 細胞からの電子伝達は、アドリアマイシン により阻害される。しかし、耐性細胞においては、成長も電子伝達も阻害されな い。同様に、アドリアマイシン−耐性HL-60 細胞のNADH酸化酵素はアドリア マイシンにより阻害されないが、正常なHL-60 細胞の場合には阻害される。アド リアマイシンとトランスフェリンとの複合体(Dr.W.Page Faulk,Center for R eproduction and Transplantation Immunology,Methodist Hospital,Indianap olis により提供された)はアドリアマイシン−耐性細胞の成長を阻害すること が知られている。この複合体は、図4のデータに示されるように、フリーのアド リアマイシンとは異なり、アドリアマイシン−耐性及びアドリアマイシン−感受 性HL-60 細胞の両方の原形質膜のNADH酸化酵素活性を阻害する。これは、N ADH酸化酵素活性が、複合体により阻害されるよりはむしろ刺激される、肝臓 の原形質膜とは対照的なものである。ラットの肝臓原形質膜中の二鉄性(diferr ic)のトランスフェリンにより刺激された活性は、複合体のトランスフェリン部 分に応答してもよい。 実施例において、薬剤を耐性酸化酵素を阻害するように改良して、NADH酸 化酵素に関連する多剤耐性を克服する。これらの発見は、組み合わせ治療におい て、多剤耐性に対して感受性である薬剤とNADH酸化酵素とを組み合わせるこ とによる、多剤耐性を克服するためのターゲットとしての原形質膜NADH酸化 酵素の利用を支持するものである。この組み合わせ治療では、二種類の薬剤をタ ーゲット部位に個々の化合物として同時に投与してもよく、またはリポソームま たは他の簡便な担体中で共有結合複合体、非共有結合複合体として投与してもよ い。原形質膜NADH酸化酵素の、癌の検出及び診断のマーカーとしての使用 この実施例の主題は、癌検出のベースとして、細胞表面に作用するアドリアマ イシン及びその他の抗癌剤により特異的に阻害される癌細胞のNADH酸化酵素 の循環形態を使用することである。本発明のこの実施態様は、ターゲットが細胞 表面に位置し、次に、正常細胞及び癌細胞から血液中へ移動するという観察に基 づいている。正常ヒト血清由来のNADH酸化酵素活性の決定は、活性が培養時 間及び血清濃度に比例していることを示している。NADH濃度への応答は、25 μMの低NADH濃度において、Kmと共に二相である。活性は、GTP、85℃ で20分間、トリプシン、N−エチルマレイミド及びp−クロロメルクリベンゾエ ート(PCMB)により阻害される。さらに、血清(またはその一部)のNAD H酸化酵素活性は、癌患者由来の血清の方が、正常な個体由来のものより、アド リアマイシンによる阻害に対してより感受性であった。これは、癌に罹患したラ ット(表1)及び癌患者の血清(表2)に対する両方の試験から、正しいことが 証明された。 12人の正常な個体及び18人の癌患者から得られた結果が表2に要約されて いる。正常な個体からの血清において、アドリアマイシンは一様に吸収における 変化を刺激した。しかし、18人の癌患者からの血清では、17人の試料につい ては活性が阻害され、1人の試料については変化が無かった。 循環酵素活性のアッセイは、癌の早期検出及び監視並びにホルモン及び成長因 子により刺激されるNADH酸化酵素の循環癌−特異的イソフォームの単離の機 会を与え、抗腫瘍剤のターゲットとして都合がよい。さらに、活性は、癌コント ロールのための化学療法剤への治療学的な応答性を予測する、健康な組織を冒す ことのない方法を与えるものである。 負の値は、活性の刺激を示す。正の値は、阻害を示す。表の値は、0.25μM濃 度のアドリアマイシンの添加による360 nmにおける吸収変化(Δ吸収)について 、正常な血清試料と癌患者の血清試料とを比較したものである。血清は凍結して 保存し、100 μlの試料を分析した。コントロールの比率は10分かけて測定し、 報告した比率は、アドリアマイシン添加5分後の結果である。 上記の結果からわかるように、NADH酸化酵素のターゲットとしての使用は 、診断及び病気の治療において多くの機会を与えるものである。免疫学的にまた は 化学的に腫瘍細胞に特異的に伴うNADH酸化酵素を検出することにより、癌細 胞を診断し、治療してもよい。または、特異的な活性を有する薬剤を用いてNA DH酸化酵素をターゲットとして、多剤耐性を阻害し、かつ腫瘍細胞の成長を抑 制してもよい。 原形質膜NADH酸化酵素の治療的ターゲットとしての使用は、一時的な薬剤 の使用または一時的な支持体と複合した薬剤の使用を可能とする。これらの薬剤 は、細胞外のターゲットに作用するものであり、例えばサイトプラズマまたは細 胞小器官のような、細胞内のターゲットに作用する薬剤に伴う多数の欠点を伴わ ず、また、薬剤は、原形質膜と交差し、サイトプラズマ環境で生存し、そして、 多くの場合において、細胞小器官膜に交差することが可能でなければならない。 さらに、腫瘍細胞に伴うNADH酸化酵素をターゲットとすることにより、NA DH酸化酵素抑制活性を有する物質をスクリーニングして、培養内またはインビ ボにおける、腫瘍細胞の成長阻害への利用性を見いだしてもよい。 実施例2 タンパクジスルフィド交換活性の決定及び抗癌性スルホニルウレアによる抑制 タンパクジスルフィドイソメラーゼまたはタンパクジスルフィドイソメラーゼ 様酵素は、タンパク基質中でジスルフィド−チオール交換反応を触媒する多機能 タンパクであり、タンパクジスルフィド還元、異性化の形成、または最初の基質 及び環境(例えば、酸化還元バッファー)によるチオール−ジスルフィド活性に よってはチオール酸化を行う。この実施例では、HeLa細胞から単離された原形質 膜小胞を使用したタンパクジスルフィドイソメラーゼ様活性は、抗癌性スルホニ ルウレアに応答性である。スルホニルウレアLY181984(ただし、この化合物は、 不活性な化合物N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N’−(フェニル)ウ レア(LY181985)とは構造上無関係である)は活性を阻害する。スルホニルウレア は、全体的には抗癌性ジアリールスルホニルウレアとして知られているが、イン ビボにおいて、ヒト癌に対し活性を有する合成有機化合物の一クラスである(How bert et al.(1990)J.Med.Chem.33: 2392-2407)。その作用機作は知られて いず、また、既に述べられた腫瘍分解性(oncolytic)薬剤の部類に関連していな いことは明らかである。方法 細胞の成育、原形質膜の精製及びスペクトル光度測定法は、実施例1の記載と 同様に行った。 タンパクジスルフィドイソメラーゼ(PDI)様活性の測定;PDI及びPD I様活性の測定は、二種類の方法で行った。両方とも、活性の測定方法として、 還元及び無作為に酸化(スクランブル)するか、または還元して不活性化したリ ボヌクレアーゼAのリホールディング(refolding)によるリボヌクレアーゼ活 性の復旧を含む。 第一の方法では、リボヌクレアーゼ活性Aは、RNAse(リボヌクレアーゼ) 基質としてcCMPをベースとしたスペクトル光度測定法を使用して測定した。 スクランブルしたRNAse(90.363 mg)を、50 Mm トリス-MESバッファー中で(pH 6.5、30℃、最終体積3 ml)、0.45 mM cCMPと共に培養した。RNAse触媒に よるcCMPの加水分解によるA296の増加により示されるように、膜不存在下 では、スクランブルしたRNAseは活性化した。このアッセイのバリエーション は、スクランブルしたRNAseを、1μM の全トランスレチノールの存在下また は不存在下において(コントロールにはエタノールを使用)、及び1μM の還元 または酸化グルタチオンまたは両方の混合物の存在下または不存在下において、 変異エンドプラズマ細網と共に20分間予備培養した。この20分間のRNAseの “再活性化(reactivation)”の後、cCMPを最終濃度0.45 mM へ添加し、反 応を開始した。296 nmにおける吸収の増加を、25分間に渡って記録し、cCMP の濃度を決定した(E=0.19 mM-1cm-1)。スペクトル光度測定は、サーモスタ ット細胞室を連続攪拌しながら30℃に維持した、ヒタチU3210 分光光度計により 行った。 第二の方法は、遊離の酸可溶性オリゴヌクレオチドの量を測定することにより 、酵母RNAの加水分解率を決定した。0/15酢酸ナトリウムバッファー(pH7.0)2 50 μl、試薬等級の水550 μl、0.1 mg/ml レチノール10μl、変異エンドプ ラズマ細網(400μg タンパク)10 μl、及びスクランブルまたは還元RNAse(3 60 mg/ml)50 μlを、1.5 mlのエッペンドルフ遠沈管内で、37℃で、20分間予 備培養を行った。アッセイのため、4管各管へ、100 μlを移動した。0分後及 び10分後に、反応を0.75% ウラニルアセテート含有25% 過塩素酸100 μlを加え て停止した。管を氷浴で5分間冷却し、遠心分離を行って、液を透明にした(2分 間、マイクロヒュージ(microfuge))。透明な上澄み的75μlを3.0 mlの水で希釈 した。培養していないブランクに対する、360 nmの吸収を測定した。1ユニット を、37℃及びpH5.0 における、A260における1.0 の吸収増加とした。 タンパクは、Smith et al(1985)Annal.Biochem.100:76-85に記載の方法に より決定した。 スクランブルしたRNAse基質の調製;酸化し、変性したRNAse基質(スク ランブルしたRNAse)を調製するために、天然のRNAseA(シグマ、ウシ膵 臓由来の1-AS型)(30μg/ml)を1時間、35℃で、9 M のウレア及び130 mMのDTT を含む50 mM のトリス−アセテート中(pH 8.6)で培養を行った。 完全に還元したタンパクを、氷酢酸でpH4.0 に調製して、0.1 M の酢酸で脱 気を行ったセファデックスG-25のカラムから流出することにより単離し、これら は直接使用するか、さらにスクランブルRNAseを産出するのに使用した。タン パク濃度は、天然のRNAseAを標準として使用し、280 nmのスペクトル光度測 定を行い決定した。スクランブルRNAseの調製のために、還元したRNAseを 0.1 M 酢酸により0.5 mg/ml の濃度に希釈した。次に、固体ウレアを最終濃度10 Mに加え、その後0.1 M ザルコシン塩酸塩を加えpHを1 M トリスでpH8.5 に 調整した。混合物を暗所において2-3 日間培養し、その間、タンパクを無作為に 酸化した。スクランブルした生成物を、氷酢酸でpH4に酸性化し、0.1 モル酢 酸で、セファデックスG−25から溶出することにより回収した。蛋白含有画分 を集め、pH8に調整し、4℃で保存した。5,5’−ジチオ(2−ニトロ安息 香酸)を用いて測定した遊離チオール基は、80〜90%酸化されていた。結果 Kalnitskyら、J.Biol.Chem.234:1512-1519(1959)の方法により、RNア ーゼを分析すると、HeLa細胞は、スクランブルした(scrambled)RNアーゼに対 する活性の回復によって示されるように、弱い蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ 様の活性を示した(以下の表3のデータ)。還元されたグルタチオン(GSH)の存 在の下では、この弱い活性は、NADHの添加により、約2〜3倍刺激された。基質 としてcCMPを使用してRNアーゼ活性を評価すると、弱い活性が観察されたが、 以下の表4に示されるように、GSHの存在下に予備温置(preincubate)した時 にのみ観察された。 スルホニル尿素は、DMSO中で調製し、添加した。スルホニル尿素阻害の濃 度依存性は、還元及びスクランブルRNアーゼの両者の活性化に対して、GSH の存在下では広い最適条件を示した。GSSGは、また活性化を促進した。DM SOコントロールを評価し、溶媒は、平均して、効果を有さなかった。NADH の存在下で測定すると、NADHは、蛋白質ジスルフィド様イソメラーゼ活性を 刺激した。また、スルホニル尿素は、阻害活性を有していた。 HeLa形質膜は、また、シアン化カリウムの存在下でNADHを酸化し、ミトコ ンドリア活性を阻害する能力を示した。ここでは、シアン化物耐性NADHオキ シダーゼ活性がスルホニル尿素により抑制された。 スルホニル尿素は、表5に示されるように、活性化RNアーゼ単独に対する効 果を有さなかった。 2種類の方法を使用して、HeLa形質膜の蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ様又 は蛋白質ジスルフィド−チオール交換活性、並びにそのスルホニル尿素に対する 活性の応答を分析した。活性な抗腫瘍剤スルホニル尿素LY181984は、レドックス バッファー及び予備温置条件に従ってRNアーゼの再折り畳み(refolding)を阻 害した。予備温置なしで、又はGSH若しくはGSH及びGSSGの混合物で予 備温置した膜を使用する場合には、LY181984は、スクランブルRNアーゼの活性 化を阻害した。この知見から、応答が、初期基質のレドックス状態及び周辺のレ ドックスバッファーによって生じる印加(imposed)チオール−ジスルフィド電位 の両者に依存することが示唆される。レドックス状態が不均衡である場合には、 GSH又はGSSGの何れかを単独で使用すると、スルホニル尿素刺激が依然と して観察された。スルホニル尿素により阻害される活性は、小胞体ルーメン(lum en)の典型的な蛋白質ジスルフィドイソメラーゼとは明瞭に異なり、また、ピリ ジンヌクレオチド基質によって強制的に駆動される酸化還元酵素活性と明瞭に異 なるように考えられる。データによれば、形質膜NADHオキシダーゼ活性に関 与する蛋白質が、蛋白質ジスルフィド−チオール交換活性をも有することが示唆 される。 実施例3 形質膜NADHオキシダーゼのカプサイシンによる阻害 実施例1に記載したように、細胞を成長させ、形質膜を調製した。カプサイシ ンに対する、ラット肝臓の形質膜のNADHオキシダーゼ活性の投与量応答を調 べた。図5に示されるデータから分かるように、カプサイシンは、通常の細胞の 形質膜からのNADHオキシダーゼ活性に対して何ら影響しなかった。しかしな がら、HeLa細胞からの形質膜では、活性がカプサイシンにより阻害され、ED50 は約50nMであった。0.1 μMカプサイシンでは、活性は、ほとんど完全に阻害 された。 形質膜のNADHオキシダーゼの阻害に加えて、カプサイシンは、また、培地 中において、付着した(attached)HeLa細胞の成長を阻害した。細胞培養の通常の 条件下でカプサイシンにより72時間培養すると、付着HeLa細胞の成長の阻害が 観察された。初めにプレートされた細胞の数を引いた。結果を二重試験によって 平均化した。約1μMで50%成長が阻害された。しかしながら、成長因子条件 を操作して薬効を増大した付着HeLa細胞では、10〜100nMのカプサイシン濃 度で完全に成長は阻害された。この結果は、HeLa細胞形質膜のNADHオキシダ ーゼ活性の阻害と非常に相関した。 懸濁液で成長させたHL-60 細胞は、カプサイシンによっても阻害された。しか しながら、細胞をDMSOにより分化するように誘導すると、細胞は、カプサイ シンの阻害効果に対して耐性を有するようになった。DMSO誘導分化に続く数 日後に、細胞が迅速な成長を取り戻す場合には、カプサイシンは再びその成長を 阻害した。 HL-60 細胞では、単離した形質膜のNADHオキシダーゼ活性は、カプサイシ ンによっても阻害された。しかしながら、DMSOで新たに誘導した細胞から単 離した形質膜では、NADHオキシダーゼ活性は、カプサイシンによる阻害に対 して耐性であるように考えられた。 非ガン細胞型の例として、通常のラットの腎臓細胞の成長及びNADHオキシ ダーゼ活性を調べた。DMSO単独の場合と比較して、単離された形質膜の成長 及びNADHオキシダーゼ活性は共に、非常に高濃度(>10-5M)の場合を除い て阻害されなかった。 上記の結果は、HeLa細胞(ヒト卵巣カルチノーマ由来)のNADHオキシダー ゼ活性がカプサイシンによって阻害されるという結論を支持する。HeLa形質膜で の観察と対比して、ラット肝臓又は腎臓からの通常の細胞の形質膜は阻害されな かった。同様に、HL-60(ヒト白血病細胞)のNADHオキシダーゼは、カプサ イシンによって阻害されたが、DMSOによる誘導又は分化(Collinら、J.Exp .Medicine 14:969-974(1979))では、単離された形質膜小胞のNADHオキシダ ーゼ活性はそれほど阻害されなかった。 カプサイシンは、通常細胞ではなく、ガン細胞からの形質膜小胞のNADHオ キシダーゼを阻害するだけでなく、成長においても同様の応答を生じる。成長は 、HeLa及びHL-60 細胞では、カプサイシンによりほぼ完全に阻害されたが、DM SOで誘導して分化したラット腎臓及びHL-60 細胞は、カプサイシンによる影響 を実質的にあまり受けなかった。 チリペッパーの一群の刺激要因を代表するカプサイシンの効果は、ガン死亡率 と伝統的なチリペッパーの高い食事との間で逆比例関係があるという観察と相関 するかもしれない。米国と比べて、全ての地域におけるガン死亡率は、男性15 7、女性106であり、メキシコの男性56、女性71や、タイ(各国で最低の 国)における男性29、女性20と比較されるべきである。カプサイシンは、活 性となるために純粋である必要はない。表6のデータに示されているように、 からの抽出物は、HeLa細胞から調製した形質膜小胞のNADHオキシダーゼの活 性を阻害する。 11人の通常の個人の血清と比べて、カプサイシンは、100nMでは効果がな かった。12人のガン患者の血清では、活性は、9人について阻害され、3人に ついては刺激された。結果を以下の表に示す。 上記の結果から、本発明の組成物が、通常の細胞には実質的に影響を及ぼさな いが、腫瘍細胞の成長を阻害する有意な効果を示すことは明らかである。血流中 のNADHオキシダーゼの応答を測定することにより、本発明の化合物の使用に 対する応答について患者をモニターしてもよい。このようにして、本発明の治療 に対する患者の応答を測定するために、患者を都合良くスクリーニングすること ができる。本発明の化合物は、安全であり、天然物質又はその類似物であり、殆 ど副作用のなしに高濃度で使用することができ、更に活性にとって膜透過輸送は 要求されない。更に、本発明の組成物は、効果を保持しつつ、広範囲の方法によ って直ちに投与することができる。本発明の治療を採用することによって、腫瘍 増殖を低下し、もって腫瘍による負担を低下でき、また、副作用により従来では 許容できないような他の治療を使用することができる。更に、本発明の治療は、 宿主の免疫系に干渉せず、本発明の化合物の増殖阻害及び免疫系の細胞障害活性 と共同させることができる。 実施例4 非浸透化合物と原形質膜NADHオキシダーゼ阻害剤の複合体 方法 細胞の生育、原形質膜の調製、及び分光測光を実施例1に記載されているよう に実施した。 α−シクロデキストリンとの複合体形成 α−シクロデキストリン(α−CD)を、LY237868(4’−アミノフ ェニルスルホニル)-4’-(4- クロロフェニル)ウレアに連結剤である1-イソブト キシカルボニル-2- イソブトキシ-1,2- ジヒドロキノリンを使用して結合させた 。この操作のためにα−CDを無水コハク酸を反応させてスクシノイル化シクロ デキストリンを形成させ、それをSep-Pak C-18カートリッジによる不純物の抽出 により精製した。スクシノイル化シクロデキストリンを次いで過剰のLY237 868と反応させて生成物を形成させた。 LY237868とα−シクロデキストリン(α−CD)との複合体形成 α−CDを一夜 105℃で乾燥させ、1.86g(1.9 mmol)のα−CDを、50mlのピ リジン(NaOHで乾燥させた)と20mlのジメチルホルムアミド(DMF)を含む溶液に 溶解した。この溶液に、DMF50ml中の30gの無水コハク酸を加えた。50℃で 120 時間攪拌しながら反応させた。溶液はやがて暗褐色になった。反応の最後に 、溶液を50℃で真空下、最小容量(シロップ)にまで濃縮した。その暗褐色シロ ップを乾燥メタノールに溶解し、未反応の過剰の無水コハク酸を濾過により除去 した。そのメタノール溶液を減圧下でシロップに乾燥させ、微量(15ml)の2回 蒸留した水に溶解した。過スクシノイル化α−CDを濃縮し8時間真空下で五酸 化リンで乾燥させた(2.68f)。 過スクシノイル化α−CD(0.4g)と3.6 mmolのLY237868スルホニル ウレア(0.89)を6mlの乾燥メタノールに溶解した。この溶液に、0.8g(4 mmol)の 1-イソブトキシカルボニルカルボニル-2- イソブトキシ-1,2,-ジヒドロキノリン (IIDQ)を添加した。室温で一夜反応させた。スルホニルウレア結合α−CDを20 mlの水を添加することにより沈澱させ、濾過し乾燥させた(0.25g)。 スルホニルウレア−酢酸複合体の合成 N-ヒドロキシスクシンイミド酢酸エステル(0.037g)(0.23mmol)LY23786 8(0.045g)(0.14mmol)を2mlの乾燥メタノール(分子篩で乾燥させた)に溶解し た。室温で攪拌しながら5時間反応させた。複合体をシリカゲルクロマトグラフ ィー(50ml床容量、アイアトロンビーズ、アイアロトン(Iatoron)ラボラトリー ズ,Inc.,日本)(MeOH:CH2Cl2=10:1)で精製した。複合体を有する画分(Rf値=0 .79)を集めて乾燥した(26mg、0.07mmol)。結果 スルホニルウレアα−シクロデキストリン複合体 スルホニルウレアにより阻害されたNADHオキシダーゼが外表面からNAD Hに接近できるという概念を試験するために、B環(LY237868)の3位 においてアミノ基で置換されたLY181984類似体の非浸透複合体を使用し た。このアミノ基はその後、スルホニルウレアをシクロデキストリンに結合させ るのに使用した。 架橋は、遊離アミノ官能基の赤外スペクトルからの消失と、アミド結合による その置換により確認された。この研究において、シクロデキストリン複合体を調 製するのに使用したのと同じ活性エステル化学種を使用して、LY237868 を酢酸に結合させた。この操作のために、酢酸をN-ヒドロキシスクシンイミド活 性エステルに転換し、その後LY237868に結合して4’−アシルアミン誘 導体を形成した。その生成物は結果として、その正確なマススペクトロメトリー の測定により同定された:実測値:367.03767; 計算値:C15H14N3O4SClで367.03 936。 スルホニルウレアに基づいて、架橋化合物は、HeLa原形質膜のNADHオ キシダーゼを阻害することにおいて、親化合物と同等かそれ以上に活性であった 。活性の50%阻害が、1nMLY237868に当量の複合体濃度で観察された 。データを図6に示す。HeLa細胞の生育の阻害に関して試験すると、図7に 表されたデータにより示されるように、その複合体は親化合物よりも阻害しない 程度に、阻害的であった。そのように非浸透複合体がオキシダーゼを阻害したこ とは、スルホニルウレアの結合部位が原形質膜の外表面であることを示唆してい る。クロロアニリンα−シクロデキストリン複合体 クロロアニリン、スルホニルウレアのB環を、スルホニルウレアに関して記載 したような結合基を介してα−シクロデキストリンに結合した。その複合体はH eLa細胞原形質膜由来のNADHオキシダーゼ活性を阻害し、一方遊離のクロ ロアニリンは活性がなかった。そのデータを図10に示す。複合体はまた、LY 181984よりも強くHeLa細胞の生育を阻害し、遊離クロロアニリンは活 性がなかった。非形質転換CHO細胞の生育阻害を試験したところ、複合体は生 育又はNADHオキシダーゼ活性を阻害しなかった。カプサイシンα−シクロデキストリン複合体 カプサイシンの“頭”と“尾”の環を、スルホニルウレアについて述べたよう にα−シクロデキストリンに結合した。尾の複合体の構造は図8Aに示されてい て、頭の複合体の構造は図8Bに示される。 72時間にわたる、天然のカプサイシンとT複合体とのHeLa細胞の生育を 阻害する能力を比較する生育阻害試験。そのデータを図9に示す。50%まで生 育を阻害することのできる薬剤の濃度はT複合体について約1mMで、天然のカプ サイシンについての10mMよりも高かった。 これらのデータは、非浸透担体分子とNADHオキシダーゼ阻害剤の複合体が 、 腫瘍細胞に関する原形質膜NADHオキシダーゼを阻害することができ、かつ腫 瘍細胞の生育を遅らせることができることを示す。その複合体は実質的に幾つか の化合物、特にスルホニルウレア、クロロアニリン及びバニリルメチルアミンの 活性を増進させる。抗体複合体 ウイルス感染細胞のNADHオキシダーゼを標的とした薬剤複合体は、これら の細胞の生育を、非感染細胞の生育に影響することなく防ぐ。 抗血清をネコ科の免疫不全ウイルス(FIV)の主要グリコプロテインのアミ ノ酸配列に由来する合成ペプチドに対して作った。2つは細胞外(表面)ドメイ ンに対してであり、2つは細胞質ドメインに対してであった。抗血清はウェスタ ンブロット分析により、そのウイルスのグリコプロテインについて特異的である ことが示された。2つ(S-I 及びS-II、細胞外)は特異的であって、L-1 及びL- II(細胞質)について、特にL-1 は宿主タンパク質に交叉反応性であった。 抗血清を、2-イソブトキシ-1- イソブトキシカルボニル-1,2- ジヒドロキシキ ノリンを使用して、アドリアマイシン遊離塩基のアミンに対して、抗体の活性化 されたカルボキシルを介して、アドリアマイシンに接合させた。その抗体は、Ag -BSAセファロースアフィニティカラムに結合されていた。接合させる薬剤の濃度 を分光器により決定し、最初は0.2μM の濃度で FIV−感染及び−非感染のクラ ンダル(Crandall)ネコ科動物の白血病細胞の生育に関して試験した。 最初の実験では、FIV −感染細胞について、生育は双方の表面抗原抗体複合体 により、及びL-1 に対する抗体の複合体により阻害され、L-IIに対するものでは 阻害されなかった。同様の結果が2回目の試験で得られた。非感染細胞は、同様 の濃度で試験した時に、正常細胞の表面グリコプロテインと交叉反応するL-1 と の複合体を除いて、薬剤複合体によって阻害されなかった。非接合薬剤は、正常 及び感染細胞の両方の生育を阻害したが、10μM の濃度あるいはそれよりも高い 程度であった。 希釈カーブは、S-1 の複合体が感染細胞について試験されたとき、ナノモル範 囲でさえ活性があり、その薬剤複合体に関して約10,000の安全性のマージン(非 感染細胞の生育を止めるのに必要な濃度と比較した感染細胞の生育を止める濃度 )が示唆される。 上述のように調製され原形質膜の小胞と結合したアドリアマイシン複合体がFI V-感染CFK細胞から単離された。その複合体は、単離された原形質膜のNAD Hオキシダーゼ活性を阻害することにおいて、遊離のアドリアマイシンよりも1 0倍有効であることが見出された。 本発明のこの態様の主要な用途は、抗ウイルス剤を目標としたものである。加 えて、抗ウイルス剤の設計の新しい戦略に関して、薬剤を抗体と結合させて効力 を増強させ望まない毒性を減じるという基礎を提供するものである。接合された 薬剤は有効であるために細胞内に入る必要はなく、特異的にウイルス−感染細胞 あるいは特定の抗原決定基を持つ他のタイプの細胞(例えばCD-4 Tリンパ球)を 標的とすることができる。本発明は、細胞表面を標的とし及び高度の特異性を提 供するものであるから、現在、存在するものを超えて改良されたものである。薬 剤は有効であるために、細胞に入る必要がない。感染細胞を特異的に標的とする ことにより、感染細胞だけが殺され、非感染細胞は害されないままである。 この明細書中に引用されたすべての文献及び特許出願は、ここに参照として、 各々の文献又は特許出願が具体的に及び個々に参照として組み込まれているよう に、織り込まれている。 本発明は理解を明瞭にする目的のため説明及び例示によりある程度詳しく述べ られたが、当業者にとって、この発明の教示に照らして、ここに添付した特許請 求の範囲の精神又は範疇からはずれることなくある種の変更あるいは改変をなす ことは容易に明らかであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 39/395 A61K 39/395 S 45/00 ADY 45/00 ADY C12N 9/99 C12N 9/99 9/02 // C12N 9/02 C12P 21/08 C12P 21/08 A61K 37/50 ADU (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TT, UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 クレイン フレデリック エル アメリカ合衆国 インディアナ州 47907 ウェスト ラファイエット インディア ン トレイル ドライヴ 1936 (72)発明者 モーア ドロシィ エム アメリカ合衆国 インディアナ州 47907 ウェスト ラファイエット チェリー レーン 1112

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.腫瘍細胞由来の原形質膜NADHオキシダーゼの抑制効果に対する薬剤のス クリーニング方法であって、 検定培地中で上記NADHオキシダーゼを、NADHの存在下に上記薬剤と 混合する工程と、 上記NADHオキシダーゼからの電子伝達の結果としての、NADHの消失 速度、反応物質の消失速度、又は反応生成物の生成速度を測定する工程を含むこ とを特徴とする方法。 2.上記反応物質がアスコルビン酸遊離基である、請求項1記載の方法。 3.上記NADHオキシダーゼが、原形質膜の一部として存在する、請求項1記 載の方法。 4.哺乳動物宿主内の腫瘍を検出する方法において、 上記宿主の生物試料中の腫瘍に関連するNADHオキシダーゼの存在を検出 する方法。 5.哺乳動物宿主中の腫瘍を検出する方法において、 検定培地中で、NADHの存在下に、原形質膜NADHオキシダーゼを含有 する上記宿主由来の生物試料、及び正常細胞由来のNADHオキシダーゼと腫瘍 細胞由来のNADHオキシダーゼとを識別するNADHオキシダーゼ阻害剤を混 合する工程;及び 上記阻害剤の濃度を測定する工程であって、その濃度において上記試料中の 上記NADHオキシダーゼが正常細胞由来のNADHオキシダーゼを対照として 阻害され、より低レベルの阻害が腫瘍を示すような工程を含むことを特徴とする 方法。 6.上記検出が、反応物質としてアスコルビン酸遊離基を用いて行われる、請求 項5記載の方法。 7.NADHオキシダーゼが、原形質膜の一部として存在する、請求項5記載の 方法。 8.上記阻害剤が抗腫瘍薬であり、更に、第2の検定において、NADHの存在 下、原形質膜NADHオキシダーゼを含有する上記宿主由来の生理学的試料及 び上記抗腫瘍薬を含む第2の検定培地にNADHオキシダーゼ刺激剤を添加する 工程;及び、上記抗腫瘍薬の濃度を測定する工程であって、その濃度において、 上記刺激剤の不存在下に、上記NADHオキシダーゼが正常細胞由来のNADH オキシダーゼを対照として阻害され、刺激剤の不存在下のNADHオキシダーゼ 活性に対する刺激剤の存在下の活性が、正常細胞を示すようなものである工程を 含むことを特徴とする方法。 9.上記生物試料が血液試料である、請求項5記載の方法。 10.ターゲット細胞の多剤耐性により治療方法に対して抵抗性を有する病気を有 する哺乳動物患者の治療のために薬剤を使用する治療方法において、 上記薬剤が原形質膜NADHオキシダーゼ阻害剤以外のものであり、 原形質膜NADHオキシダーゼを阻害する量の原形質膜NADHオキシダー ゼ阻害剤を患者に投与することを特徴とする方法。 11.上記阻害剤がアドリアマイシンである、請求項10記載の方法。 12.ウイルス感染した動物を治療する方法であって、 NADHオキシダーゼを阻害する量の、NADHオキシダーゼ阻害剤と上記 ウイルスに感染した細胞の原形質膜に存在するウイルスタンパクに特定的な抗体 との結合物を上記動物に投与する方法。 13.上記阻害剤がアドリアマイシンである、請求項12記載の方法。 14.上記アドリアマイシンが上記抗体に結合している、請求項13記載の方法。 15.原形質膜NADHオキシダーゼ阻害剤に共有結合したウイルスエンベロープ タンパクに対するモノクローナル抗体を含有する組成物。 16.上記NADHオキシダーゼ阻害剤がアドリアマイシンである、請求項15記 載の組成物。 17.腫瘍細胞の増殖阻害方法であって、 増殖を阻害する量の、少なくとも1種の精製された腫瘍細胞のNADHオキ シダーゼのN−アシル化カテコールメチルアミン(ここでアシル基は少なくとも 6個の炭素原子を含む)を、腫瘍細胞を含有すると思われる細胞集団に投与し、 それによって、腫瘍細胞の増殖を阻害する方法。 18.上記カテコールメチルアミンがカプサイシノイドである、請求項17記載の 方法。 19.上記カプサイシノイドがカプサイシンである、請求項18記載の方法。 20.カプサイシノイドの組み合わせを投与する、請求項18記載の方法。 21.哺乳動物宿主内の腫瘍細胞の増殖阻害方法であって、 上記宿主の血液試料を、ホルモン非応答性で且つカプサイシノイド応答性の NADHオキシダーゼに対して検定し、 上記NADHオキシダーゼ陽性の宿主に、腫瘍細胞を阻害する量の、少なく とも1種の精製されたカプサイシノイドを生理的に許容できる処方で、投与する 方法。 22.上記カプサイシノイドがカプサイシンである、請求項21記載の方法。 23.上記カプサイシノイド以外の化学療法剤を、上記カプサイシノイドと組み合 わせて投与する、請求項21記載の方法。 24.哺乳動物宿主内の腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、 カプサシノイドを阻害する量のNADHオキシダーゼを、生理学的に許容さ れる培地中で、ホルモン非応答性で且つカプサシノイド応答性のNADHオキシ ダーゼを発現する腫瘍細胞に、病巣内投与する工程を含む方法。 25.哺乳動物宿主内の腫瘍細胞の増殖を阻害する方法であって、 カプサシノイドを阻害する量のNADHオキシダーゼを、生理学的に許容さ れる培地中で、ホルモン非応答性で且つカプサシノイド応答性のNADHオキシ ダーゼを発現する腫瘍細胞を含む宿主内に、血管内投与する工程を含む方法。
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