JPH10502521A - 植物アラビノガラクタン蛋白質(agp)遺伝子 - Google Patents

植物アラビノガラクタン蛋白質(agp)遺伝子

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JPH10502521A JP7515298A JP51529895A JPH10502521A JP H10502521 A JPH10502521 A JP H10502521A JP 7515298 A JP7515298 A JP 7515298A JP 51529895 A JP51529895 A JP 51529895A JP H10502521 A JPH10502521 A JP H10502521A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、植物アラビノガラクタン蛋白質(AGP)およびそれらの遺伝子を提供する。AGPは、ニコチアナ アラタ(Nicotiana alata)、ニコチアナ プラムバギナホリア(Nicotiana plumbaginafolia)およびピルス コムニス(Pyruscommunis)から分離したAGPである。分離AGPペプチド分子のアミノ酸配列が提示される。分離AGPペプチド分子をオリゴヌクレオチド プローブの合成に使用して、ニコチアナ アラタ、ニコチアナ プラムバギナホリアおよびピルス コムニスのcDNAライブラリイのスクリーニング用のRNAプローブを、またはPCR用のオリゴヌクレオチド プライマーを調製した。分離AGP分子のアミノ酸配列をコードするcDNAクローンが分離された。本発明は、対応するAGP遺伝子から誘導される完全AGPアミノ酸配列を初めて提示した発明である。本発明はまた、特別に分離されたヒドロキシプロリン−富裕(OAST−富裕)配列または特別に分離されたヒドロキシプロリン−貧弱配列を含むAGPペプチドをコードするAGP遺伝子の獲得に有用な方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 植物アラビノガラクタン蛋白質(AGP)遺伝子発明の分野 本発明の主題は、植物、例えばニコチアナ アラタ(Nicotiana alata)、ニコ チアナ プラムバギナホリア(Nicotiana plumbaginafolia)およびピルス コム ニス(Pyrus communis)からのアラビノガラクタン蛋白質(AGP)の分離に関 し、およびまたAGPの蛋白質幹鎖をコードする対応する植物遺伝子の分離にお ける各種AGP断片のアミノ酸配列の利用に関する。発明の背景 アラビノガラクタン蛋白質(AGP)は、試験された各系統樹群からの有花植 物に見出される。これらのプロテオグリカン類は、多くの高級植物に広く分布し ており、葉、茎、根、花部分、種子およびかなりのそれらの分泌物を包含するほ とんど全部の組織に存在する。AGPの多様な所在場所は、多部位局所限定され ている或る種の動物プロテオグリカン類と類似しているものと見做される。しか しながら、化学構造に関しては、植物AGP類と動物プロテオグリカンとの間の 類似性はほとんどないように見える。 AGP類は、高割合の炭水化物と通常10重量パーセントよりも少ない量の蛋 白質とを含有する、構造的に関連したグリコシル化分子の一族である[Clarke等 によるAust.J.Plant Physiol.,5:707〜722(1978);Fincher等 によるAnn.Rev.Plant Physiol.,34:47〜70(1983)]。しかし ながら、約59%の蛋白質含有量を有するAGP類も知られている[Fincher等 による上記刊行物(1983);Anderson等によるphytochem.,18:609〜 610(1979)]。この炭水化物は、1,3−β−D−ガラクトピラノシル 幹鎖および(1,3−β−または1,6−β−)D−ガラクトピラノシル(Ga lp)残基の側鎖を有し、およびまた多くの場合に、末端にβ−D−Galpお よびα−L−アラビノフラノシル(Araf)残基を有する多糖類鎖からなる[F incher等による上記刊行物(1983)]。その他の中性糖類および ウロン酸が低レベルではあるが、また検出されている。存在できる単糖類は、L −ラムノピラノース、D−マンノピラノース、D−キシロピラノース、D−グル コピラノース、D−グルクロン酸およびその4−O−メチル誘導体ならびにD− ガラクツロン酸およびその4−O−メチル誘導体である[Fincher等による上記 刊行物(1983)]。しかしながら、大部分の場合に、ガラクトース(Gal )およびアラビノース(Ara)が優勢である。 蛋白質含有量は通常、2〜10パーセントである[Fincher等による上記刊行 物(1983)]。この蛋白質がアラニン(Ala)、ヒドロキシプロリン(H yp)、セリン(Ser)、およびスレオニン(Thr)に富んでいるものと見 做されている以外には、このAGP類のコア蛋白質の構造および起源については 、ほとんど知られていない[Fincher等による上記刊行物(1983)]。本発 明の以前においては、一体として分離されたAGPの完全アミノ酸配列は公的に 利用することはできなかった。AGP類の高炭水化物含有量が、配列決定(sequ encing)を困難にしているように見做される;この炭水化物部分を化学的に除去 しようとする試みは通常、不完全な脱グリコシル化および種々のレベルの炭水化 物含有量を有する生成物をもたらした。炭水化物−蛋白質架橋は、小麦およびラ イグラスから分離されたAGPにおいて、β−ガラクトシル−ヒドロキシプロリ ン架橋であるとして同定されている[Gleeson等によるAGP News,5:30〜 36(1985)およびMcNamaraおよびStoneによるLebensum.-Wiss.u-Techno l.,14:182〜187(1981)]。 AGP類は、アカシア(Acacia)樹木から産生されるガム状沁出物であるアラ ビアゴムの構成成分であり、そして熱、乾燥および外傷などのストレス状態で生 産されることが知られている[Clarke等によるPhytochemistry,18:520〜 540(1979)]。このガムは、プデイング、デザート、ケーキミックスお よびスープミックスなどのドライミックス製品における風味封入剤として広く使 用されており、またソフトドリンク中の必須油の乳化に、およびまた製菓製品に おける糖結晶化の防止に使用されている[Randall等によるFood Hydrocolloids, 3:65〜75(1989)]。このガムの総合的構造および機能特性に対する 蛋白質成分の重要性は認識されている[Vandevelde等によるCarbohydr.Polymers , 5:251〜273(1985);Connolly等によるFood Hydrocolloids,1: 477〜480(1987)およびConnolly等によるCarbohydr.Polymers,8 :23〜32(1988)]。このガムの蛋白質に富んだ部分の乳化性に対する 重要性も、証明されている[Randall等によるFood Hydrocolloids,2:131 〜140(1988)]。 天然の複雑な炭水化物または多糖類の製造には、多くの場合に問題がある。植 物沁出物、種子抽出物または根抽出物の場合には、この生産は、気候および栽培 条件に依存する。例えば、アフリカ(主要原産国)におけるアラビアゴムの生産 は、天候状態、特に旱魃、労働力供給、自然災害、政治状況などの関数として毎 年変化することがある[Meer等によるFood Technology,29:22〜30(1 975)]。この信頼できない供給は、アラビアゴムの価格変化をもたらす。海 草抽出物からの寒天は、栽培経費により高価である。さらにまた、手による寒天 および種子ガム、例えばグアガム、の収穫は純度の問題を導入する。従って、信 頼でき、比較的安価なガムまたは一群のガムが、多くの工業界で明らかに必要と されている。 AGPを含有する栽培植物細胞ガムが、従来のガム、例えばアラビアゴム、グ アガム、キサンタンガム、アルギン酸ガム、寒天、アルギン酸カルシウム、カラ ゲニン、カラヤ、ロカストビーンガム、アルギン酸カリウムまたはナトリウム、 トラガカントガムまたはその他のガムの代用品として使用されている。例えば、 分離または培養植物細胞ガムは、増粘剤、乳化剤、接着剤、インキ、塗料、練り 歯磨、化粧品、医薬品、布地プリント、サイジングおよびコーティング、油井掘 搾用マッド、コンクリートなどとして使用することができる。多くの場合に、植 物細胞ガムは、従来のガムより少ない量で使用して、均等な機能上の有効性を達 成することができる。 AGP類は、植物発芽、細胞−細胞接着、花粉−柱頭識別、および病気抵抗性 を包含する数種の生物学的プロセスで機能する。AGP類はまた、グルとして機 能することができ、あるいはまた花粉管成長に関して栄養物を供給することがで きる。AGP蛋白質か、細胞外空間でレクチン類またはその他の蛋白質と相互反 応することがあり、およびまた細胞外オリゴ糖類シグナル分子に対する細胞応答 [NormanらによるPlanta,181:365〜373(1990)]に含まれるこ とがあることが示唆されている[Fincher等による上記刊行物(1983)]。 AGP類はヤリブ(Yariv)抗原およびフラボノールグリコシド類と相互反応する ことから[JermynによるJ.Plant Physiol.,5:563〜571(1978)] 、これらはレクチン様性質を有するものと考えられている。AGP類の分子構造 について、炭水化物ブロックが中心ポリペプチド鎖に共有結合しているブロック コポリマーに類似の構造が提案されており[Randall等によるFood Hydrocolloid s,3:65〜75(1989)]、これはエマルジョンおよび分散液を立体的に 安定化させるその能力を説明している。 従来技術において、植物AGP遺伝子は未知であり、本発明の以前においては 、植物AGP遺伝子のヌクレオチド配列は公開されたことはない。極めて最近に なって、PCR戦略が、ジャガイモ塊茎cDNAライブラリイからのAGP配列 、ジャガイモ塊茎レクチンおよびエクステンシンのクローン化に使用されている 。ニンジンエクステンシンプローブにハイブリッドされたPCR生成物が、最近 研究されている数種の推定クローンを与えたことが報告された。AGP遺伝子に 対応するクローンは記載されていない。 AGPクローンを得る方法は、複雑で、かつまた問題が多いことが見出されて いる。AGPおよびそれらの遺伝子が付随する問題点には3点があり、すなわち (1)これらが密接に関連する分子種の一員としてしばしば存在することから単 独AGP種の同定が困難である点、(2)AGPペプチドの特徴的アミノ酸配列 が非常に大きい冗長部分を有する点、すなわち(a)高含有量でヒドロキシプロ リンを含有する領域および(b)高含有量でヒドロキシプロリン、アラニン、セ リン、およびスレオニンを含有する領域(OAST)が存在する点;および(3 )対応するオリゴヌクレオチドのGC富裕がハイブリド形成の特異性による問題 を導く点がある。例えばPCR技術における、核酸ハイブリド形成中の明確では ない、不正確な整列は、AGPクローンを得る能力の欠如をもたらす。この結果 として、起源の鋳型に比較して、不正確な配列の増幅(amplification)が生じる 。植物はまた、GC−富裕DNAによりコードされる種々のグリシン−富裕蛋白 質を含有することが知られている。本発明の開示は、上記問題を回避し、A GP遺伝子の分離を可能性にするものである。 植物抽出物からのAGP分離に関する従来の研究では、2つの手段が使用され ている。この手段の1つは、植物抽出物の古典的分別からなる[Fincher等によ るAust.J.Biol.Sci.,27,117〜132(1974);AspinallによるA dv.Carbohydrate Chem.,24:333〜379(1969)]。植物抽出物か らのAGP分離に関するもう一つの手段は、ジアゾ化した4−アミノフェノール グリコシドをフロログルシノールにカプリングさせることにより生成される一群 の染料を用いる沈殿である[Jermyn等による上記刊行物(1975)]。これら の染料は、抗体に対するグリコシド抗原決定基に係わる抗原を沈殿させるものと して、ヤリブ(Yariv)等により初めて製造され、β−グリコシル人造炭水化物抗 原が、大豆、ジャック豆およびトウモロコシからのアラビノースおよびガラクト ース含有ポリマーを沈殿させることが示された[Yariv等によるBiochem,J.,1 05:1c〜2c(1967)]。この時から、この沈殿反応は、AGP類の分 離に広く使用されている。 これらの染料はまた、植物組織中のAGPの局所限定に、細胞化学試薬として 使用されている[Clarke等によるJ.Cell Sci.,19:157〜167(197 5);Clarke等によるQ.Rev.Biol.,53:3〜28(1978)]。ヤリブ 試薬に対するAGPの結合性質は理解されていないが、炭水化物残基と蛋白質残 基との両方を包含するものと見做されている。AGPのヤリブ試薬に対する結合 は、アラビノース残基の除去により影響を受けないが[Gleeson等による上記刊 行物(1979);Akiyama等による上記刊行物(1981)]、AGPの進行 する酸加水分解により壊滅される[Fincher等による上記刊行物(1983)] 。 高級植物では、AGPはそれらのヒドロキシプロリンの高含有量によって特徴 付けられる群の蛋白質に属するものとして分類される。これらのヒドロキシプロ リンに富んだ糖蛋白質類(HRGP)は、アラビノースおよびガラクトースを含 有する炭水化物側鎖を有するという特徴を有する。この群は伝統的に、主要3群 に分類されている:細胞壁付随エクステンシン類;可溶性アラビノガラクタン− 蛋白質類(AGPs);およびナス科レクチン類。これら3群の相違点を、表1 .0にまとめて示す。HRGP分類における最も重要な因子は、それらの炭水化 物 の量、組成および配列、ポリペプチド幹鎖の配列および組成、炭水化物と蛋白質 との間の結合およびその場所である。 プロリン−富裕蛋白質類(PRP)である新規な一群の蛋白質が最近、開示さ れた。PRPはまた、ヒドロキシプロリン/プロリン−富裕蛋白質または反復性 プロリン−富裕蛋白質と称されている。PRPのアミノ酸組成のあるものは等量 のプロリンおよびヒドロキシプロリンの存在を示唆した[Averyhart-Fullhard等 によるProc.Nart.Acad.,85:1082〜1085(1988);Datta等に よるPlant Cell,1:945〜952(1989);Kleis-San Francisco等によ るPlant Physiol.,94:1897〜1902(1990)]。しかしながら、 PRP類は、グリコシル化されているようには見えず、この点で、HRGP類( ヒドロキシプロリン−富裕糖蛋白質)とは相違している。発明の要旨 本発明は、植物アラビノガラクタン蛋白質類(非グリコシル化AGP類)の蛋 白質幹鎖をコードするDNA断片を初めて提供する。本発明の特別の態様により 、ニコチアナ アラタ(Nicotiana alata)(NaAGP1)、ニコチアナ プラ ムバギナホリア(Nicotiana plumbaginafolia)(NpAGP1)およびピルス コムニス(Pyrus communis)(PcAGP23、PcAGP9およびPcAGP 2)の細胞懸濁培養物からの、およびまたニコチアナ アラタ(Nicotiana alta )花柱(Na35−1およびAGPNa1)からの非グリコシル化AGPをコー ドするcDNAクローンが提供される。この非グリコシル化AGPをコードする cDNAの完全鎖長および部分鎖長ヌクレオチド配列が開示される。これらのc DNAを含有するDNA組換えベクターがまた提供される。本発明のもう一つの 態様により、植物非グリコシル化AGPをコードするゲノムDNAおよびこのゲ ノムDNAを含有する組換えベクターがまた提供される。本発明はまた、植物A GP遺伝子の分離における、およびまた植物AGPのアミノ酸配列に基づくオリ ゴヌクレオチドプローブのハイブリド化する配列の検出における使用を包含する 。 本発明はまた、分離されたAGP蛋白質およびAGP蛋白質断片のアミノ酸配 列を提供する。AGPペプチドが、ニコチアナ アラタ、ニコチアナ プラムバ ギナホリアおよびピルス コムニスから分離された。分離されたAGPペプチド 断片から得られたアミノ酸配列は、ヒドロキシプロリンに富んでいるか、または ヒドロキシプロリンに富んでいないかのどちらかである。特に、ヒドロキシプロ リン−富裕配列は、(i)高含有量のヒドロキシプロリンおよび(または)(ii )ヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオニンの高含有量(OAS T−富裕)を有することを特徴としている。AGP遺伝子の獲得に直ちに有用な 配列は、(i)ヒドロキシプロリンに富んでいない配列、および(または)ヒド ロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオニンに富んでいない配列(OA STが富裕ではない配列)であった。本発明の以前においては、完全植物AGP のアミノ酸配列は公的に利用することはできなかった。AGPをコードするもの と考えられるcDNAは開示されているが、これらの場合には、これらの配列と 分離AGPからのアミノ酸配列データとの間の一致の証拠が欠落している。 本発明はまた、AGP遺伝子のヌクレオチド配列に由来する必須アミノ酸配列 を有する実質的に純粋なAGPを提供する。本発明の特定の態様によって、ニコ チアナ アラタ、ニコチアナ プラムバギナホリアおよびピルス コムニスから のAGP遺伝子のヌクレオチド配列から誘導される配列から基本的になるアミノ 酸配列を有するAGPが提供される。 本発明の目的はまた、植物AGP遺伝子を得る方法を提供することにある。こ の方法は、AGPペプチドからヒドロキシプロリンが貧弱な、すなわちOAST 含有量が貧弱である、断片を得る工程を包含する。このヒドロキシプロリンが貧 弱な配列を次いで使用して、例えばハイブリド化するクローンについて植物遺伝 子ライブラリイをスクリーニングするのに有用なPCR断片を得るために使用す ることができるヌクレオチドプライマーをデザインする。この手段は、一般的使 用とは相違している。通常は、AGPを特に特徴付ける配列(すなわち、ヒドロ キシプロリン富裕配列またはOAST含有量に富んだ配列)が、ハイブリド化す るクローンを得る手段として使用するためのオリゴヌクレオチドプライマーのデ ザインに利用されている。本発明の手段では、AGPを特に特徴付けるヒドロキ シプロリン富裕ペプチド配列は利用せず、かつまたその使用を回避し、その代わ りに、AGPの特徴的配列を含んでいない配列(すなわち、ヒドロキシプロリン −貧弱配列)をAGP遺伝子の分離に使用された。本発明の特定の態様では、ヒ ドロキシプロリンまたはOAST含有量に富んでいないアミノ酸配列を、N.ア ラタ、N.プラムバギナホリアおよびP.コムニスの花柱抽出物からまたは懸濁 培養細胞の培養濾液から分離されたAGPからのペプチドから分離された。これ らの配列は、対応するcDNAクローンの分離を可能にした。 本発明はまた、ヒドロキシプロリン富裕AGP配列を利用することによってA GP遺伝子を得る方法を提供する。本発明の開示以前においては、ヒドロキシプ ロリン富裕AGP断片に関する公知知見は、対応するAGP遺伝子の分離を可能 にするものではなかった。この理由は、生成したGC−富裕領域によって問題が 課せられるからである。本発明により提供される方法は、対応する遺伝子の分離 に、特定のヒドロキシプロリン富裕AGPペプチド配列の使用を可能にする。こ のヒドロキシプロリン富裕配列を使用する方法は、ライブラリイのスクリーニン グ用の一重鎖アンチセンス(antisemse)RNAプローブと組合わされている長鎖 長ゲスマー(guessmers)の使用を包含する。この長鎖長ゲスマーをRNAプロー ブとともの使用することによって、短鎖長オリゴヌクレオチドプローブの使用に より生じる問題を克服することができる。長鎖長ゲスマーはまた、ミスマッチを より容易に受け入れることができ、かつまたアンチセンスRNAプローブの使用 は、ASTアミノ酸に係わるアンチコドンの第三位置で使用される「U」の使用 を可能にし、これによって標的配列へのゲスマーハイブリド化の見込みが増大さ れる。生成したRNA分子は、重度に標識することができ、これは検出レベルを より大きく増大させ、かつまたDNAプローブよりもその標的配列へのより強力 な結合を可能にする。 本発明はまた、cDNAライブラリイをスクリーニングして、特定のAGP遺 伝子を分離するための、特定のAGPcDNA配列および特定のオリゴヌクレオ チドプローブ配列を提供する。一例として、特別の態様において、下記のcDN Aクローンが提供される: 供給源 cDNAクローン N.アラタ細胞懸濁培養物 NaAGP1(配列番号:24) N.プラムバギナホリア細胞懸濁培養物 NpAGP1(配列番号:25) P.コムニス細胞懸濁培養物 PcAGP23(配列番号:49) P.コムニス細胞懸濁培養物 PcAGP9(配列番号:66) P.コムニス細胞懸濁培養物 PcAGP2(配列番号:91) N.アラタ花柱 Na35−1(配列番号:63) N.アラタ花柱 AGPNa1 1(配列番号:7 2) 以下に示す名称は、これらの態様のクローンに対応する遺伝子に相当する: cDNAクローン 遺伝子 NaAGP1 AGP Na1 NpAGP1 AGP Np2 PcAGP9 AGP Pc1 PcAGP2 AGP Pc2 AGPNa1 1 AGP Na1 本発明はまた、アンチセンスRNAプローブを提供し、このプローブは同一ま たは相違するAGPを現わすOAST富裕アミノ酸配列をコードする1種または 2種以上のヌクレオチド配列を含有するようにデザインされている。本発明はま た、植物AGPのOAST富裕コンセンサス(consensus)配列をコードするヌク レオチドを含むRNAプローブを提供する。ゲスマー−アンチセンスRNAプロ ーブを用いる手段はまた、OAST−貧弱AGP配列とともに、対応するAGP 遺伝子の分離に使用することができる。 本発明の目的はまた、実質的に純粋な植物AGPまたはその断片に対する抗体 を提供し、この抗体は、植物AGP遺伝子から誘導される完全または部分アミノ 酸配列から基本的になるものである。本発明はまた、ヒドロキシプロリンに富ん でいない分離AGPペプチドに対する抗体を提供する。本発明はまた、合成AG Pペプチドまたはその断片に対する抗体を提供する。 本発明はさらにまた、実質的に純粋なAGPペプチド、ヒドロキシプロリンま たはOAST含有量に富んでいないAGPペプチド断片、あるいは合成AGPペ プチドに対する抗体の、(a)AGP含有混合物または組織中のAGP検出、分 離または診断における使用および(b)天然の生物学的および化学的AGP活性 の減少または抑制における使用を包含する。この点に関して、AGPまたはAG Pペプチドに対するポリクローナルあるいはモノクローナル抗体は、脱グリコシ ル化されているか、AGPの蛋白質幹鎖を露出させるために別様に予め処理され ている、AGP含有混合物または組織中のAGPの検出、分離または診断に最も 有効である。 本発明はまた、非グリコシル化AGPが発現されるように、異種(hetrologous )プロモーターの制御下に、植物AGP遺伝子からなる遺伝子工学操作により生 成されるDNA分子を提供する。本発明の特定の態様においては、N.アラタ、 N.プラムバギナホリアおよびP.コムニスから得られたAGP遺伝子を、非グ リコシル化AGPが発現されるように、宿主細胞中で異種プロモーター(例えば 、細菌、ウイルス、植物などのプロモーター)の背後に挿入する。 本発明の目的はまた、グリコシル化AGPが発現されるように、異種プロモー ターの制御下に植物AGP遺伝子からなる遺伝子工学操作により生成されたDN A分子を提供することにある。例えば、本発明は、発現された非グリコシル化A GPを、グリコシル化性および炭水化物−蛋白質結合性酵素(例えば、プロリル ヒドロキシラーゼ、グリコシルトランスフェラーゼなど)のための基質として利 用して、グリコシル化AGPを生成させることを包含する。本発明の目的はまた 、 グリコシル化AGPが発現されるように、異種プロモーターの制御下に植物AG P遺伝子からなる遺伝子工学操作により生成されたDNAにより形質転換された 宿主細胞(例えば、単子葉植物、双子葉植物など)を提供する。本発明のもう一 つの目的は、非グリコシル化AGPの過剰生産(over-producing)または過少生 産(under-producing)の可能性を有する植物AGP遺伝子−形質転換された宿主 細胞を提供することにある。本発明のさらにもう一つの目的は、発現された非グ リコシル化AGPをさらに代謝処理できる植物AGP遺伝子−形質転換された宿 主細胞を提供することにある。 本発明はさらにまた、植物AGPプロモーターを含有する遺伝子工学操作によ り生成されたDNAを提供する。本発明の特定の態様に従い、このAGPプロモ ーターが、N.アラタ、N.プラムバギナホリアおよびP.コムニスから分離さ れた。引続いて、組換えDNA分子を遺伝子工学操作に付して、構造遺伝子が植 物AGPプロモーターの制御下に発現されるように、異種構造遺伝子に隣接して 配置されている植物AGPプロモーターを構築する。また、この遺伝子のコード 領域を、組織−特異性プロモーターの背後で(behind)で使用して、完全植物の 特定部位でAGPを発現させることができる。これはまた、例えば害虫抵抗性な どの機能を果たすという観点で、表現型を変えることができる。 本発明はまた、植物沁出物、例えばアラビアゴム、グアガムなどからのその分 離に依存しないAGP供給源を提供する。AGP含有ガムの天然供給源、例えば 樹木、根、種子、海草などの供給源の利用には、収穫量、旱魃、労働力、発酵、 分離、純度、および高価格を伴う問題が存在する。組換え遺伝子工学操作を使用 するAGPの製造は、(a)収穫量の問題とは独立しているAGP供給方法、( b)高レベルの品質管理の可能性、(c)実質的に純粋なAGP生成物の供給源 の提供、(d)宿主細胞におけるAGP過剰生産の可能性、およびまた(e)所 望の性質を有する特別に工作されているAGPの製造に対する適合可能性、を確 実なものとする。従って、本発明は、植物ガムの更新できるが、縮小する供給源 を見出す必要もなく、アラビアゴムなどの植物ガムの機能を供給しおよび利用す る手段を提供する。これらの機能には、増粘剤、ゲル化剤、乳化剤、分散剤、懸 濁剤、安定剤、封入剤、綿状固化剤、フィルム形成剤、サイジング剤、接着剤、 結合剤および(または)コーティング剤としての、および(または)滑剤、保水 剤および凝集剤としての、広い用途が見出される。図面の簡単な説明 図1Aおよび1Bは、オリゴヌクレオチドからの一重鎖アンチセンスRNAプ ローブの調製に関する相違する戦略を示している。図1A:一重鎖オリゴヌクレ オチドプローブ:(図A1−1)2本の相補的ゲスマーが相互にアニーリングし て、T7プロモーターを含有する二重鎖構築物を形成している。(図1A−2) 短鎖長プライマーがアニーリングされて、二重鎖T7プロモーター配列を形成し ている。図1B:二重鎖オリゴヌクレオチドプローブ:(図B1−1)2本の相 補的ゲスマーが、それらの3″末端部位で相補的アダプター配列を経て相互にア ニーリングされている。(図1B−2)2本の相補的ゲスマーが、それらのアダ にアニーリングされている。別のプロモーター、例えばT3またはSp6RNA ポリメラーゼもまた使用できる。 図1Cは、コマシーブルー(Coomassie blue)染色した、各種供給源からの脱 グリコシル化および非脱グリコシル化AGPのSDS−PAGEゲルブロット分 析を示している。このAGPはヤリブ(Yariv)沈殿およびトリフルオロメタンス ルホン酸(TFMS)による脱グリコシル化により、N.アラタ、N.プラムバ ギナホリアおよびセイヨウナシ(ピルス コムニス)の懸濁培養濾液から分離し た。この脱グリコシル化AGPおよび非脱グリコシル化AGPを、17.5%S DS−PAGEゲル上で分離し、次いでPVDF膜上にブロットする。コマシー ブルーで染色した後に、脱グリコシル化されたN.アラタAGPからの主要バン ド(MW20〜30kD、矢印で示されている)を削り取り、配列決定する。 図1Dは、N.アラタ細胞懸濁培養物からの脱グリコシル化AGP幹鎖のアミ ノ酸配列に対応するNaAGP1遺伝子のクローン化のためのPCR戦略を示し ている。NaAGP1のためのクローンの分離に使用されたNaR1、NaF1 およびNaF2プライマーの配列は、表1.1および図1Eに示されている。 図1Eは、160−bpプライマー伸長断片のヌクレオチドおよび誘導アミノ 酸配列を示している。蛋白質微小配列決定(microsequencing)によるペプチド配 列に対応する誘導アミノ酸配列には、下線が引かれている。星印(*)は、誘導 配列と同一である直接微小配列決定により得られたペプチドのアミノ酸を示して いる。AGP遺伝子の3′−断片を増幅するためにデザインされている2種のオ リゴヌクレオチド(NaF1、NaF2)の配列には、二重下線が引かれている 。プライマー(NaR1)に対応するヌクレオチド配列には、下線が引かれてい る。 図1Fは、N.アラタ細胞懸濁培養物(NaAGP1)からのNaAGP1c DNAのヌクレオチドおよび予想アミノ酸配列を示している。PCRにより得ら れた、すなわちcDNAクローンと重なっていないヌクレオチド配列は、イタリ ック体で書かれている。蛋白質微小配列決定によるペプチド配列に対応する誘導 アミノ酸配列には、下線が引かれている。星印(*)は、誘導配列と同一である 直接微小配列決定により得られたペプチドのアミノ酸を示している。予想シグナ ル配列は、下方に点下線で示されている。X=未決定残基。 図1Gは、NaAGP1cDNAの誘導アミノ酸配列の鍵となる構造上の特徴 をまとめて示すものである。各アミノ酸の水に対する性質を示す数値は、カイト (Kyte)およびドーリツル(Doolittle)の重量系(1982)に従い、9個のア ミノ酸間隔を使用して決定した。点線以上の数値は、疎水性領域を示し、そして 点線以下の数値は、親水性領域を示している。 図1Hは、細胞懸濁培養物(NpAGP1)から誘導されたN.プラムバギナ ホリアAGPのヌクレオチド配列および予想アミノ酸配列を示している。蛋白質 微小配列決定によるペプチド配列に対応する誘導アミノ酸配列には、下線が引か れている。星印(*)は、誘導配列と同一である直接微小配列決定により得られ たペプチドのアミノ酸を示している。O=ヒドロキシプロリン。 図1Iは、NaAGP1cDNAおよびNpAGP1cDNAの誘導アミノ酸 配列の配列を示している。NaAGP1cDNAの誘導アミノ酸配列は上の方に で示されており、そしてNpAGP1cDNAの誘導アミノ酸配列は下の方に示 されている。同一配列の残基は‘|’で示されている。この配列を最大にする必 要がある場合には、空間を導入した。 図1Jは、NaAGP1cDNA配列およびNpAGP1cDNA配列の配列 を示している。NaAGP1cDNAのヌクレオチド配列は上の方に示されてお り、そしてNpAGP1cDNAのヌクレオチド配列は下の方に示されている。 同一配列の残基は‘|’で示されている。この配列を最大にする必要がある場合 には、空間を導入した。 図1Kは、NaAGP1およびNpAGP1のノザン法分析を示している。 図1K−1:総合的(total)RNAは、N.アラタの(1)葉、(2)花粉、 (3)花柱、(4)茎、(5)花弁、(6)根および(7)懸濁培養した細胞か ら分離した。等量(10μg/レーン)のRNAを、ホルムアルデヒドアガロー スゲル上で分別し、ハイボンド(Hybond)−N膜に移し、次いで32P標識したN aAGP1cDNAの各5′−プローブ(1〜540bp)および3′−プロー ブ(541〜1700bp)とハイブリド形成した。 図1K−2:N.アラタおよびN.プラムバギナホリアの懸濁培養した細胞か ら分離した総合的RNA(10μg/レーン)をブロットし、次いでNaAGP 1cDNAとハイブリド形成した。 このRNA転写のサイズは右側に示されている。 図2A〜2Dは、ニコチアナ プラムバギナホリアの細胞懸濁培養濾液からの AGPペプチドの分離および配列決定を説明するフローチャートである。 図3A〜3Fは、ピルス コムニスの細胞懸濁培養濾液からのAGPペプチド の分離および配列決定を説明するフローチャートである。 図3Gは、350bpPCR断片のヌクレオチド配列および誘導アミノ酸配列 を示している。蛋白質配列決定によるペプチド配列と一致する誘導アミノ酸配列 には、下線が引かれている。PcA23F2aプライマーに対応するヌクレオチ ド配列には二重下線が引かれている。 図3Hは、セイヨウナシ細胞懸濁培養物からのAGP幹鎖をコードするPcA GP23cDNAのヌクレオチド配列および予測アミノ酸配列を示している。翻 訳開始部位および停止部位は肉太文字で示されている。予測分泌シグナルには、 点下線が引かれている。2つの潜在的N−グリコシル化部位には、二重下線が引 かれている。AGP蛋白質幹鎖から得られたペプチド配列とマッチする配列には 、下線が引かれている。蛋白質配列決定により同定されたヒドロキシル化される プロリン残基は、下部の“O”により示されている。 図4A〜4Cは、ニコチアナ アラタの花柱抽出物からのAGPペプチドの分 離および配列決定を説明するフローチャートである。 図4Dは、Na35−1遺伝子のクローン化戦略を示している。 図4Eは、RT35−特異性プライマーおよび予測アミノ酸配列を使用するこ とによるPCR断片のヌクレオチド配列を示している。蛋白質微小配列決定によ るペプチド配列に対応する誘導アミノ酸配列には、下線が引かれている。RT3 5特異性プライマーには、二重下線が引かれている。 図4Fは、NA35−1cDNAクローンのヌクレオチド配列および予測アミ ノ酸配列を示している。蛋白質微小配列決定によるペプチド配列に対応する誘導 アミノ酸配列には、下線が引かれている。 図4Gは、N.アラタの種々の部分におけるNA35−1遺伝子発現のノザン 法分析結果を示している。N.アラタ花柱からの(S22、S33、S66:そ れぞれ10μg)、葉からの(S66、10μg)、茎からの(S66、10μg )および根からの(S66、6.3μg)、総合的RNAはホルムアルデヒドア ガロースゲル上で分別し、ナイロン膜に移し、次いで32P標識したNA35−1 プローブとハイブリド化した。このRNA転写産物の大きさは、キロ単位ヌクレ オチドで示されている。 図4Hは、各種懸濁培養細胞および植物におけるNA35−1遺伝子発現のノ ザン法分析結果を示している。N.アラタおよびN.プラムバギナホリアの懸濁 培養細胞、ピルスおよびN.アラタ(S66)およびL.ペルビアナムの花柱か ら分離した総合的RNA(10μg/レーン)をブロットし、次いでNA35− 1プローブとハイブリド形成した。このRNA転写産物の大きさは、キロ単位ヌ クレオチドで示されている。 図4Iは、RT25蛋白質幹鎖のテルモリシン分解生成物の逆相HPLC(R P−HPLC)分離を示している。RT25蛋白質幹鎖(5〜10μg)をテル モリシンにより消化し、次いで0.1%TFA中において1ml/分で平衡にした RP−300カラム(2.1×100mm、C8、ABT)上に配置した。未結合 物質を採取し、次いで結合物質を直線勾配(0.1%TFA中の0〜60%アセ トニトリル;60分;100μl/分)で溶離した。このカラムから溶離された ペプチド(P1〜6)をA215nmで追跡した。40分間の保有時間の後に、テル モリシンを溶離した。各ペプチドをアミノ酸配列決定に付した。 図4Jは、RT25蛋白質幹鎖のエンドプロテイナーゼAsp−N分解生成物 の逆相HPLC(RP−HPLC)分離を示している。RT25蛋白質幹鎖をエ ンドプロテイナーゼAsp−Nにより消化した。生成するペプチドを次いで、0 .1%TFA中において1ml/分で平衡にしたRP−300カラム(2.1×1 00mm、C8、ABI)上に配置した。未結合物質を採取し、次いで結合物質を 直線勾配(0.1%TFA中の0〜60%アセトニトリル;60分;100μl /分)で溶離した。このカラムから溶離されたペプチドをA215nmで追跡した。 ペプチドA1およびA2をアミノ酸配列決定に付した。未消化出発材料(RT2 5)がまた検出された。 図4Kは、AGPNa1 1cDNAのヌクレオチド配列および予測アミノ酸 配列(配列番号:72)を示している。推定分泌シグナル(secretion signal) (点下線)は、ホンヘイジン(Von Heijne)により開示された方法[Nucl.Acids Res.,14:4683〜4690(1986)]に基づき、PSIGNALプロ グラム(PC/遺伝子ソフトウエア、IntelliGenetics)を用いて予測した。アミ ノ酸配列からの内部ペプチド配列は、立体下線で示されており、Hypは丸囲み により示されている。ダッシュ(−)は、停止コドンを示している。 図4Lは、AGPNa1 1cDNAからの予測アミノ酸配列の水に対する性 質(hydropathy)のグラフである。この予測アミノ酸配列の疎水度は、カイト( Kyte)およびドーリツル(Doolittle)により開発された方法[J.Mol.Biol.,1 57:105〜132(1982)]に基づき、SOAPプログラム(PC/遺 伝子ソフトウエア、IntelliGenetics)により計算した。推定分泌シグナル(影に より表示)は、ホンヘイジン(Von Heijne)により開示された方法[上記刊行物 (1986)]に基づき、PSIGNALプログラム(PC/遺伝子ソフトウエ ア、IntelliGenetics)を用いて予測した。。 図4Mは、N.アラタおよびその他の植物におけるAGPNa1 1の発現の RNAブロット分析結果を示している。N.アラタの花柱、子房、花弁、葯、茎 、葉および根の組織(遺伝子型:S66)(図4M−1)およびN.アラタ、 N.シルベストリス(N.sylvestris)、N.タバカム(N.tabacum)、N.グラ ウカ(N.glauca)、L.ペルビアナム(L.peruvianum)の花柱(図4M−2)およ びアラビドプシス(Arabidopsis)およびライグラスの葉から分離した総合的RN A(10μg/レーン)を、2%アガロースゲル(15%ホルムアルデヒド;4 0mM MOPS緩衝液、pH7.0)上に流し、次いでハイボンド−Nナイロン 膜(Amersham)上にブロットした。AGPNa1 1cDNA断片には、32P− dCTPにより108cpm/μgまで標識した。ハイブリド形成は、0.22M NaCl、15mM NaH2PO4、1.5mM EDTA、1%SDS、1% B LOTTOおよび4mg/mlニシン精子DNA中で一夜にわたり60℃で行った。 この膜を室温で、2×10分間、2×SSC、1%SDSで;60℃で2×10 分間、2×SSC、1%SDSで、洗浄した。 図4Nは、種々の精製段階におけるN.アラタ花柱AGPのSDS−PAGE 分析結果を示している。SDS−PAGE(10%ゲル)に引続いて、銀染色( 図4N−1)およびβ−グルコシル ヤリブ試薬染色(図4N−2)を行った。 レーン1:総花柱抽出液(1μg AGP)、レーン2:95%(NH4)2SO4− 上清(4μg AGP)、レーン3:モノQ−結合AGP含有フラクション(4μ g AGP)、レーン4:セファロース6AGP含有フラクション(4μg AGP )、レーン5:レーン3と同様であるが、20μg AGPを含有する、レーン6 :レーン4と同様であるが、20μg AGPを含有する。蛋白質分子量マーカー (M)は、左側に示されている。 図4Oは、N.アラタの花柱からのAGPの、分別処理中の、交差電気泳動の 結果を示している。粗製花柱抽出液からのAGP(図4O−1)、95%(NH4 )2SO4−上清(図4O−2)、モノQ−結合AGP含有フラクション(図4O −3)およびモノQ−結合フラクション(図4O−4)を先ず、1%アガロース ゲル中で平行電気泳動に付し、次いでβ−グルコシル ヤリブ試薬含有ゲル中で 垂直電気泳動に付した。 図5Aは、ピルス コムニス細胞からのAGPの蛋白質幹鎖をコードするPc AGP9のヌクレオチド配列および予測アミノ酸配列を示している。推定分泌ペ プチドには、点下線が引かれている。蛋白質配列決定により得られたペプチ ド配列とマッチする配列には、下線が引かれている。後−翻訳によりヒドロキシ プロリンに変換されるプロリン残基は、下方に“O”で示されている。X=未決 定残基。 図5Bは、PcAGP9遺伝子のノザン法分析結果を示している。(図5B− 1)総合的RNAは、ピルス コムニスの肉茎(1)および培養細胞(2);ニ コチアナ プラムバギナホリアの培養細胞(3);ブラシカ ナプス(Brassica napus)の芽(4);アラビドプシス タリアナ(Arabidopsis thaliana)の芽 (5)およびリコペルシコン エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)の芽 (6)、ならびにロリウム テムレンタム(Lolium temulentum)の葉(7)から 分離した。等量(10μg/レーン)のRNAをホルムアルデヒドアガロースゲ ル上で分別し、ハイボンド−N膜上に移し、次いで32P−標識したPcAGP9 cDNAと55℃でハイブリド化した。最終洗浄は、55℃で30分間、1×S SC+0.1%SDSにより行った。(図5B−2)同一RNAブロットをハイ ブリド化し、次いでより強い緊縮の下に洗浄した(65℃)。ピルス コムニス 培養細胞におけるPcAGP9RNA転写産物のサイズは、左側に示されている 。 図5Cは、PcAGP9の予測アミノ酸配列(配列番号:66)の水に対する 性質を示すグラフである。各アミノ酸の水に対する性質を示す数値は、カイトお よびドーリツルの方法に従い[KyteおよびDoolittleによる上記刊行物(198 2)]、5〜15個のアミノ酸間隔を使用して決定した。点線以上の数値は、疎 水性領域を示し、そして点線以下の数値は親水性領域を示している。 図5Dは、ピルス コムニス(セイヨウナシ)細胞懸濁培養物からのAGPの 分離およびそれらの蛋白質幹鎖の分離を示すフローチャートである。 A.β−グルコシルヤリブ試薬による沈殿により調製されたAGPのRP−H PLC(RP−300カラム、4.6×100mm)プロフィール。AGPを付加 し、次いでカラムを溶剤(H2O中0.1%TFA)により洗浄した。未結合フ ラクションを採取した(図示されていない)。結合物質を、直線勾配で洗浄した (0〜100%溶剤B;流動速度1ml/分;60分間)(溶剤B:溶剤A中の6 0%アセトニトリル)。5回の分離操作からのフラクションを集め、引続いて精 製した。 B.Aに示されている主要結合ピークからのAGPのRP−HPLC(RP− 300カラム、4.6×100mm)プロフィール(保有時間:5.0〜10.5 7分)。結合した物質を浅い勾配で溶離した(0.15%溶剤B;流動速度:1 ml/分;60分間)。2つのフラクション(1および2)を別々に採取し、次い でサイズ排除FPLCに付した。 C.Aからの未結合フラクションおよびBからの2つの溶離フラクション中の AGPのセファロース−6FPLCプロフィール。試料は、25%アセトニトリ ル、0.2M KCl、5mM KH2PO4(流動速度:0.4ml/分)中で溶離 した。未結合フラクションおよびフラクション1は単一のピークを示した。フラ クション2は、2つのピークに分離していた(ピーク2Aおよび2B)。 D.CのAGPからHF脱グリコシル化により誘導された蛋白質幹鎖のセファ デックス−75FPLCプロフィール。試料は、Cで使用された緩衝液と同一の 緩衝液中に溶離した(流動速度:0.8ml/分)。この蛋白質のサイズは、標準 蛋白質マーカー(Pharmacia)から推定した。 x軸は保有時間(分)である。ペプチド配列を得たAGPフラクションの精製 経路は、点画で示されている。 図5Eは、P.コムニスの懸濁培養細胞からの推定AGP幹鎖をコードするP cAGP2cDNA(配列番号:91)のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列 を示している。翻訳開始部位および停止部位は、肉太文字で示されている。予測 分泌シグナルは、点下線で示されている。2つの長い直接反復は、二重下線で示 されている。AGP蛋白質幹鎖から得られたペプチド配列とマッチする配列には 、下線が引かれている。Hypに変換されるプロリン残基は、“O”で示されて いる。発明の詳細な説明 下記の詳細な説明は、本明細書および請求の範囲におけるそれらの使用の意図 または範囲を明確にするものである。 本明細書で使用されているものとして、「アラビノガラクタン蛋白質」または 「AGP」の用語は、ヤリブ試薬−沈殿性のグリコシル化分子であって、その蛋 白質成分が代表的に、この分子の分子量の約2〜10%に相当し[ただし、この 範囲以外の蛋白質量を有するAGPも公知である(Anderson等による上記刊行物 (1979))]、かつまたその炭水化物が通常、分子の大部分を占めている分 子を意味する。ガラクトースおよびアラビノースは、主要炭水化物成分を構成し ており、小割合の成分として、その他の単糖類およびウロン酸を含有する。その ガラクトシル残基は、組織化されてC(0)6を経る分枝を有する3−架橋ガラ クトースの幹鎖を形成している;そのアラビノシル残基は主として、末端位置に 存在する。詳細には、AGPは赤色複合体としてβ−グリコシル−ヤリブ試薬に 結合し、この試薬により沈殿する。AGPは通常、ヒドロキシプロリン、アラニ ン、セリンおよびスレオニンに富む領域(1ヶ所または数ヶ所)からなる。 本明細書で使用されているものとして、「ヤリブ(Yariv)試薬−沈殿性」の用 語は、β−グリコシル−ヤリブ試薬により沈殿する可能性を有するAGPを意味 する。 本明細書で使用されているものとして、「生のAGP」(native AGP)の 用語は、その天然の状態、すなわちグリコシル化されているAGPを意味する。 本明細書で使用されているものとして、「グリコシル化AGP」の用語は、蛋 白質骨格または幹鎖に結合した炭水化物からなるAGP分子を意味する。 本明細書で使用されているものとして、「脱グリコシル化AGP」の用語は、 炭水化物の除去処理に付されており、その結果として、減少しているが、種々の 炭水化物含有量を有する生のAGPまたはグリコシル化AGPを意味する。 本明細書で使用されているものとして、「非グリコシル化AGP」または「非 グリコシル化AGP幹鎖」の用語は、グリコシル化されていないAGP分子の蛋 白質骨格または幹鎖を意味する。 本明細書で使用されているものとして、「合成AGP」の用語は、化学的に合 成されたAGP分子を意味する。 本明細書で使用されているものとして、「合成非グリコシル化AGP」の用語 は、化学的に合成されたAGPのペプチド幹鎖を意味する。 本明細書で使用されているものとして、「ヒドロキシプロリンに富んでいる」 または「ヒドロキシプロリンに富んだ」または「ヒドロキシプロリン−富裕」の 用語は、15%より多い、通常約50%またはそれ以上のヒドロキシプロリン含 有量を有するアミノ酸配列の領域または区域もしくは区分を意味する。 本明細書で使用されているものとして、「OASTに富んでいる」または「高 含有量のヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオニン」または「O AST含有量に富んでいる」の用語は、ヒドロキシプロリン、アラニン、セリン およびスレオニン残基の合計が、総アミノ酸残基の少なくとも約35%、好まし くは少なくとも約60%を構成しているアミノ酸配列の領域を意味する。 本明細書で使用されているものとして、「ヒドロキシプロリン−貧弱」または 「ヒドロキシプロリンに富んでいない」の用語は、好ましくは15%より少ない 、さらに好ましくは10%より少ない、最も好ましくは5%よりも少ないヒドロ キシプロリン含有量を有するペプチド配列の区域または領域を意味する。「ヒド ロキシプロリン−貧弱」領域はまた、好ましくは50%より少ない、さらに好ま しくは35%より少ない、最も好ましくは20%より少ない、OAST含有量を 有することができる。 本明細書で使用されているものとして、「特徴付け配列」または「AGPを特 徴付ける配列」の用語は、OAST含有量に富んでいる配列および(または)ヒ ドロキシプロリンに富んでいる配列を意味する。 本明細書で使用されているものとして、「ゲスマー」(guessmer)の用語は、各 位置に可能なコドンのサブセットのみを含有するオリゴヌクレオチドを意味する 。ゲスマーの用語は、当業界で慣用であり、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,J.Sambrook,E.F.FritshおよびT.Maniatis,2版、Cold Spring Ha rbor Laboratory Press,1989,11.11〜11.16頁に充分に説明され ている。かなりの場合に、ゲスマーは、化学的に合成された一重鎖オリゴヌクレ オチドであり、30〜70ヌクレオチド長さを有し、かつまた真性遺伝子にほと んどマッチするコドンの組合わせを含有する。 本明細書で使用されているものとして、「アンチセンスRNAプローブ」(an tisense RNA probe)の用語は、所望のアミノ酸配列をコードするDNA鋳型 から生成されたRNA鎖を意味する。このRNAのヌクレオチド配列は、DNA 鋳型配列のコード鎖に対して相補性である。 本明細書で使用されているものとして、「実質的に純粋」の用語は、天然では 付随する別種の蛋白質を実質的に含有していない蛋白質を意味する。 本明細書で説明されている、N.アラタ、N.プラムバギナホリアおよびP. コムニス懸濁培養物およびN.アラタ花柱からのAGP遺伝子の分離は、本発明 の例であり、本発明はまた、植物細胞からのAGPペプチドの領域のアミノ酸配 列の、対応する植物AGP遺伝子の分離における使用を包含する。AGPペプチ ドの全部の領域または区域が、AGP遺伝子の分離に利用できるオリゴヌクレオ チドの生成に使用できるわけではない。AGP遺伝子は、2種の相違する戦略を 使用することによって成功裏に分離することができる。 (A)対応するAGP遺伝子を得るためのプライマー鋳型としてのヒドロキシ プロリン−富裕配列の使用、および (B)そのゲスマーが、ヒドロキシプロリン−富裕区分をコードするヌクレオ チド配列を含有し、それによってヒドロキシプロリン−富裕区分の配列をコード するAGP遺伝子を得ることができる、ゲスマー−アンチセンスRNAプローブ 手段の使用。 戦略Aにおいて、好適配列はヒドロキシプロリン含有量が低いか、またはヒド ロキシプロリンが欠失している配列である。ヒドロキシプロリン−貧弱配列は、 AGPペプチドの末端領域およびまた先頭領域に見出される。合成オリゴペプチ ドプライマーの合成に選択されるAGPペプチドの配列またはその断片は、低ヒ ドロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオニン(OAST)含有量を有 するとまた好ましい。これら4種のアミノ酸残基の合計含有量が、全アミノ酸残 基の50%より少ない、さらに好ましくは35%より少ない、最も好ましくは2 0%より少ないと、特に好ましい。PCR技術を使用するAGP遺伝子の分離に 有用なAGP配列、すなわちヒドロキシプロリン−貧弱配列、あるいはOAST −貧弱配列は、従来技術では利用することはできない。オリゴヌクレオチドプラ イマー合成用の鋳型として選択されるアミノ酸配列は、濃厚「GC−富裕」領域 を有するPCR縮重プライマー(degenerate primer)を与えるものであるべきで はない。濃厚「GC−富裕」配列を有するプライマーは、PCR技術によってc DNAを得ようとする試みを失敗させ、無駄に終らせることがある。例えば、当 業界で公表されているAGPペプチド断片には、下記の断片がある: ニンジンから(Jermynによる上記刊行物、1985)* ライグラス、ロリウム マルチフロラム(Lolium multiflorum)から(Gleeson 等による上記刊行物、1989)* およびバラから(Komalavilas等による上記刊行物、1990) カッコ内の残基は、未確認残基を示す。X=未決定残基。 ニンジン、ライグラスおよびバラからのAGPペプチド断片のこれらのアミノ 酸配列は当業界で公知であるけれども、これらのペプチド断片に対応するAGP 遺伝子は当業界でいまだに知られていない。これら従来公知の植物AGPペプチ ド断片は全部が、高含有量でヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレ オニンを含有することを特徴とするアミノ酸配列を有する。これらのアミノ酸部 分配列は、GC−富裕オリゴヌクレオチドプライマーをもたらす。この理由から 今日まで、これらの配列から直接に、AGPcDNAを得ることは成功していな い。 初期に、分離AGP断片から得られたヒドロキシプロリン富裕配列を使用して 植物AGP遺伝子を得ようとする試みがなされた。下記の配列が使用されたが、 成功しなかった: N.アラタAGPおよびN.プラムバギナホリアAGPの両方に見出される配 列(i)、(ii)および(iii)をそれぞれ、N.アラタおよびN.プラムバギナ ホリアの両方で使用して、AGP遺伝子を分離することができる。配列(iv)は 、P.コムニスからAGP遺伝子を得るために使用した。これらの配列の中で、 主としてDNAハイブリド形成に基づく方法による対応する遺伝子の分離を導く ものはなかった。これらの配列は全て、格別に冗長なかつまた非常にGCに富ん だ(ある場合には、80%以上)オリゴヌクレオチドプライマーをもたらす。従 って、格別に厳格にしても、配列決定に際して、アミノ酸配列に無関係のハイブ リド形成バンドが得られるという問題が明らかになった。上記配列を検討すると 、これらの4種の配列の全部が、OASTに富んでいることを見ることができる 、すなわちこれらの含有量は、それぞれ(i)50%、(ii)85.7%、(iii )64.3%および(iv)84.2%である。(本発明の別の態様において、こ れらの配列は実際に、別のハイブリド形成原理に基づく方法による対応する遺伝 子の検出および分離に利用できることが認められる)。 本発明は、この問題を克服する。従来技術で分離されていた植物AGPが独占 的に、ヒドロキシプロリンまたはOASTを高含有量で有するペプチド断片によ ることを特徴としていたのに対して(すなわち、ヒドロキシプロリンまたはOA STを低含有量で含有するAGP配列は利用できなかった)、本発明により分離 され、開示されたAGPは、ヒドロキシプロリンに富んでいるペプチド断片によ るばかりでなく、またヒドロキシプロリンが欠失していない場合には、ヒドロキ シプロリンが貧弱であるペプチド断片によることを特徴とするものである。ヒド ロキシプロリンが富裕ではないAGPペプチド断片が分離され、配列決定された こと、およびまたヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオニン含有 量がまた低い、この配列が縮重プライマーの合成に利用されたことによって、G C−富裕プライマーが付随する問題の解消が可能になり、かつまた対応するAG PcDNAの分離を導いた。 分離された植物AGPのN−末端領域を使用して、対応する植物AGP遺伝子 を得ることができる。本発明の特定の態様において、N.アラタ懸濁培養から得 られたAGPペプチドのN−末端領域は、ヒドロキシプロリンが貧弱な領域を包 含していた。このN−末端ペプチド配列、A−K−S−K−F−M−I−I−P −A−S−X−T−X−A(配列番号:11)を、オリゴヌクレオチドプライマ ーの合成に、鋳型として利用した。このプライマーをまた、N.アラタおよびN .プラムバギナホリアの両方からのハイブリド化するAGP遺伝子の分離に利用 した。 本発明のもう一つの態様において、P.コムニス懸濁培養物からのおよびN. アラタ花柱からの、AGPの内部領域からのヒドロキシプロリン−貧弱配列を使 用して、対応するAGP遺伝子を得た。一例として、P.コムニスの場合に、P cAGP23遺伝子(配列番号:49)によりコードされるAGP幹鎖は、その 末端領域でばかりでなく、また内部領域でもヒドロキシプロリンが貧弱である。 この内部配列(配列番号:41)を使用して、セイヨウナシAGP遺伝子を得た 。同様に、Na35−1cDNAクローンによりコードされるN.アラタ花柱A GP幹鎖の場合に(図4F)、そのN−末端領域および内部領域は、低いヒドロ キシプロリン含有量を有し、この内部領域(配列番号:58)を使用して、N. アラタ花柱AGP遺伝子を得た。 植物AGP遺伝子を得るための、この基本手段(戦略A)は、N.アラタ、N .プラムバギナホリアおよびP.コムニスの細胞懸濁培養物からの、ならびにN .アラタ花柱からのAGP遺伝子の分離を成功させることができた。各場合に、 cDNAクローンは、ヒドロキシプロリン−貧弱領域およびヒドロキシプロリン −富裕領域(OASTに富んだ領域)を含有する誘導アミノ酸配列からなる。 戦略Bにおいて、対応する遺伝子の分離に特定のOAST−富裕AGPペプチ ド配列の使用を可能にする方法が提供された。この方法は、所望の特定のOAS T−富裕AGPペプチド配列をコードする一重鎖長ゲスマー(single long gues smer)(各位置に可能なコドンのサブセットのみを含有するオリゴヌクレオチド )から調製されたRNAプローブを用いるライブラリイのスクリーニングを包含 する。DNAオリゴヌクレオチドからRNAプローブを調製するためには、バク テリオファージ プロモーター(例えば、T7またはT7RNAポリメラーゼ プロモーター)を、このオリゴヌクレオチドの5′−末端に結合させる。さらに 、一重鎖である、このオリゴヌクレオチドは、部分的に、または完全に、二重鎖 DNA断片に変換しなければならない。この理由は、T7(またはT3)RNA ポリメラーゼは、一重鎖プロモーター配列を認識することができないからである 。DNA鋳型からDNAプローブまたはRNAプローブのどちらかを得るための 関連方法は、当業界で公知である[BergerおよびKimmelによるMethods in Enzym ology,152(1987)]。 図1Aには、一重鎖(図1A)または二重鎖(図1B)オリゴヌクレオチドプ ローブの使用を包含するRNAプローブ調製のための、数種の経路が模式図とし て示されている。例えば、図1A−1では、所望のAGPペプチドをコードする ゲスマーに対して相補性である第二のオリゴヌクレオチドを合成し、これら2つ のオリゴヌクレオチドをアニーリングして、二重鎖DNAを形成する。別法とし て、図1A−2に示されているように、短い相補性プライマーをゲスマーのプロ モーター配列にアニーリングして、二重鎖RNAポリメラーゼ プロモーター配 列を形成する。二重鎖オリゴヌクレオチド プローブ手段を使用し(図1B−1 )、このゲスマー(オリゴヌクレオチド1)の3′−末端にアダプター配列(1 5〜18bp長さ)を付加し、次いで相違するOAST−富裕AGPペプチド配 列をコードし、第一のオリゴヌクレオチドのアダプターに対して相補性のアダプ ター配列を有する、第二のゲスマー(オリゴヌクレオチド2)を合成する。これ ら2種のゲスマーを、それらの相補性アダプター配列を経てアニーリングし、次 いでこの突出している一重鎖領域を、プライマー伸長により満たして、二重鎖D NA断片を生成させる。図1B−2はまた、アダプター配列がメデイエーター DNAの反対の鎖に結合されるように、このアダプター配列をデザインする。こ れによって、PCR反応により、これら2種のゲスマーを一緒に結合させること ができ、二重鎖DNA断片を形成することができる。 一重鎖RNAプローブは、ライブラリイのスクリーニング用のDNAプローブ よりも優れている。RNAプローブは、特異活性をさらに高めるために、かつま た標的DNAにさらに緊密に結合させるために、標識することができ、これによ りハイブリド形成反応における強力なシグナルを生じさせることができる。RN Aを含有するハイブリドのより大きい安定性は、より高いハイブリド形成緊縮(h igher hybredization stringency)の使用を可能にし、従ってハイブリド形成特 異性を増大させることができる。ハイブリド形成されないRNAプローブは、R Nアーゼにより除去することができ、これにより背景がさらに減少される。 短い縮重オリゴヌクレオチドよりも、一重鎖長ゲスマー(40〜70bp)を 使用することによって、OAST−富裕AGPペプチド配列に付随する大きすぎ る縮重を回避することができる。長鎖オリゴヌクレオチドにより形成されるハイ ブリドの安定性を増加するためには、ゲスマーが40bpよりも長いと好ましく 、これによりミスマッチの有害な作用を補うことができる。Pro(Hyp)、 Ala、Thr、およびSerには、アンチコドンGGU、CGU、UGUおよ びAGUをそれぞれ使用すべきである。これは、ヌクレオチド塩基“A”が、P ro、AlaおよびThrのためのコドンの第三の位置で塩基を好むという考察 に基づいている。ヌクレオチド塩基“U”が“A”と対をなすばかりでなく、ま た“G”とも同一程度に対をなすという別の考察があり、従って例えば、GGU はプロリン残基に係わりCCAまたはCCGと対をなすことができる。従って、 ライブラリイのスクリーニングに、センスRNAプローブよりも、アンチセンス RNAが使用されるものと考えられる。 AGPペプチドは、ヤリブ試薬(ヤリブにより1967年に開示された赤色染 料、β−グルコシル試薬)による沈殿によって、植物細胞懸濁液から分離した。 この染料は、ジアゾ化した4−アミノフェニルグルコピラノシドをフロログルシ ノールにカプリングさせることによって調製される。この試薬を使用して、AG Pを沈殿させた。懸濁培養細胞からのAGPは、培養培地から、またはバイ オポリマー(Biopolymer)生成物(細胞懸濁培養濾液から4倍量のエタノールを 用いて沈殿させた高分子量物質)から、AGPを沈殿させることにより製造した 。ヤリブ試薬に依存しない分離方法を使用することにより、植物細胞からまた、 AGPが得られた。(ヤリブ試薬は、AGP含有フラクションを同定するための 後の分離法で使用した)。N.アラタ花柱からのAGPは、(NH4)2SO4沈殿 およびモノQ(Pharmacia)アニオン交換クロマトグラフイによるAGP含有上清 の引続く分別により製造した。別の方法では、AGPを先ず、J539ミエロー マ抗体(Gal1−6βGal配列に対して特異性)を使用するイムノアフィニ ティクロマトグラフイにより分別した。 当業界で公知であるように、AGPは、数種の方法により単離することができ 、この方法には、例えばガラクトース結合性蛋白質を用いるアフィニティクロマ トグラフイ、古典的クロマトグラフイ、例えばゲル濾過、イオン−交換など、お よびまた選択的試薬、例えばヤリブ試薬、レクチン(例えば、これらに制限され ないものとして、トリダクニン、落花生アグルチニン、リシヌス コムニス[Ri cinus communis]レクチン(RCA120)およびミエローマ蛋白質J539[Cla rke等によるPhytochemistry,18:521〜540(1979);Fincher等に よるAnn.Rev.Plant Physiol.,34:58(1983)]を包含するガラク トシル残基に結合するレクチン類)あるいは特定の炭水化物エピトープに対する 抗体[Pennell等によるJ.Cell Biol.,108:1967〜1977(1989 )およびNorman等によるPlanta,181:365〜373(1990)]による 沈殿が包含される。 AGPフラクションは、トリフルオロメタンスルホン酸(TFMS)で処理す ることによって、または無水フッ化水素(HF)で処理することによって、脱グ リコシル化した。さらに、公知の蛋白質と炭水化物とを相互に分離する別法も本 発明に包含される[Jermyn等によるAust.J.Plant Physiol.,2:501(1 975)参照]。AGPとAGP断片、グリコシル化または脱グリコシル化AG Pとグリコシル化または脱グリコシル化AGP断片とは、公知の分離技術、例え ばSDS−PAGE、HPLC逆相クロマトグラフイなどにより分離した。或る 場合には、これらのペプチドをさらに、分離前に、テルモリシン消化により断片 化した。HPLC逆相およびイオン−交換から得られた、分離したペプチドを直 接配列決定に付した。しかしながら、或る場合には、分離したペプチドを、アミ ノ酸配列決定用のPVDF膜に移した[Ward等によるElectrophoresis,11: 883〜891(1990)]。テルモリシンの代わりに、またはテルモリシン に加えて、別の公知プロテアーゼも、本発明に従い使用することができる。同様 に、本発明は、純粋ペプチド試料調製に係わるアミノ酸配列決定用の当業界で公 知のその他の技術の使用も包含する。 試験した各供給源から、多数のAGP幹鎖が見出された。これらの多数の幹鎖 は、そのAGPが先ず分離され、次いでそれぞれ脱グリコシル化されたものであ るか、あるいは完全AGP調製物が先ず脱グリコシル化され、次いで各ペプチド に分離されたものであるかにかかわらず、再現性をもって得られる。 本発明の特定の態様において、生の総合的AGPを、N.アラタの懸濁培養濾 液からヤリブ沈殿させ、次いでTFMSを用いて脱グリコシル化することによっ て分離した。主要バンド(MW:20〜30kD;図1C)を削り取り、次いで 配列決定した。N−末端ペプチド配列A−K−S−K−F−M−I−I−P−A −S−X−T−X−A(配列番号:11)が得られた。 本発明の特定の態様において、N.アラタAGPのN−末端ペプチド配列(配 列番号:11)を使用して、N.アラタおよびN.プラムバギナホリア ライブ ラリイからAGP遺伝子を分離した(図1D)。AGPのN−末端アミノ酸配列 の一部、すなわちK−F−M−I−I−Pに対応する縮重逆向きプライマー(deg enerate raverse primer)を合成し(表1.1)、次いでこれを使用して、16 0bpプライマー伸長生成物を得た(図1E)。このプライマーを次いでPCR により増幅させた。この160bp伸長断片を、サブクローン化し、次いで配列 決定した。このヌクレオチド配列(配列番号:21)は、N.アラタ懸濁培養か ら分離されたペプチド配列(配列番号:11)にマッチした誘導ペプチドを包含 していた。 配列上で、この160bp断片の一部に対応する、追加のプライマー(例えば 、NaF1およびNaF2;図1E)を合成し、この組合わせPCRによりAG P遺伝子の3′−部分を増幅させた。1.6kb断片を増幅させ、次いで配列決 定 した。これら2つのPCR反応から得られた配列の列を1679bpのDNA配 列に高めた(図1F)。このPCR断片は、2つのミスマッチ(すなわち、位置 1のAlaに対するArgおよび位置12のHisに対するPro)を有する分 離ペプチド配列(配列番号:11)を含有する蛋白質をコードした(図1F)。 この1.6kbPCR断片を使用して、N.アラタ細胞懸濁培養物から分離さ れたRNAから作成されたcDNAライブラリイをスクリーニングし、3種の陽 性クローンを分離し、次いで配列決定した。cDNA配列を伴う、このPCR配 列の列を、7bpのポリ(A)テイルを含む1700bp配列(配列番号:24 )にまで伸長した(図1F)。 この配列をNaAGP1と命名した。引続くプライマー伸長実験が示唆され、 1.7kbNaAGP1cDNA(配列番号:24)は、AGP転写産物の完全 長さの配列を示した。 このNaAGP1cDNAは、読取り枠スパンニング(spanning)1383ヌ クレオチドを含有していた。この読取り枠は、51.8kDの計算分子量および 3.84の予測pIを有する461アミノ酸残基を含有するポリペプチドをコー ドした。この蛋白質は、アスパラギンが高度に富裕であり(25%)、かつまた セリン(8.9%)、チロシン(7.5%)、プロリン(7.2%)およびグル タミン(7.0%)が比較的富裕であった(表1.2)。この蛋白質は、4領域 に分割することができた(図1G)。非常に疎水性である推定上のトランスメン ブランヘリックスがN−末端に存在していた。 この蛋白質の引続く1/3(残基26〜173)はまた、疎水性であり、かつ また大部分のプロリン残基(93.8%)、アラニン残基(76.5%)および スレオニン残基(76.2%)を含有していた。これら3種のアミノ酸は、この 領域の全アミノ酸の39.7%を占めていた(Pro、20.2%;Thr、1 0.8%およびAla、8.7%)(図1G)。この領域は、ヒドロキシプロリ ン残基を経て結合している鎖を含有するGal/Araによるグリコシル化部位 であるものと推定される。このプロリン残基(図1F中の残基37、39、41 および43)は、ヒドロキシル化されることが知られており、従ってこれらは、 N.プラムバギナホリアの脱グリコシル化AGPから得られたペプチド配列にヒ ドロキシプロリン(図1H中の残基25、27、29および31)として現れる 。このようなヒドロキシル化およびグリコシル化は、分子をより格別に疎水性に するものと見做される。 この蛋白質のアミノ酸位置174〜436に相当する部分は、親水性であり、 この領域の全アミノ酸のそれぞれ44.1%および12.1%に相当する、アス パラギン残基(95.1%)およびチロシン残基(94.1%)の大部分を含有 していた(図1Fおよび図1G)。このアスパラギン残基は、ポリペプチド鎖に 沿ってクラスター(clusters)(残基2〜10)に分布していた。この領域は、 プロリン残基を含有していなかった。C−末端の最終25残基は、親水性であっ た(図1G)。 N.プラムバギナホリア細胞懸濁cDNAライブラリイをまた、PCR断片に よりスクリーニングし、4つのcDNAクローンを分離し、配列決定した。この 4つのクローンは同一であり、1430bpの挿入物を含有していた(配列番号 :25;図1H)。このAGPを、NaAGP1と命名した。これらのcDNA は不完全であり、その5′−末端で、その転写産物の完全長配列より約100b p短いものと推定された。このNpAGP1は、そのヌクレオチド配列レベルお よび誘導アミノ酸配列レベルの両方で、NaAGP1sと同一ではないが、非常 に類似していた(それぞれ、86%および84.7%の同一性)(図1I図1J および表1.2)。トランスメンブランヘリックスは、その不完全配列により、 NpAGP1では欠失していた。これら2種のAGP遺伝子間の相違は主として 、中央付近の1/3の配列にあり、他方そのN−末端およびC−末端部分は高度 に保有していた(図1Iおよび図1J)。NaAGP1cDNAを、5′−転写 さ れない部分に相当する5′−半分(残基1〜540)、トランスメンブランヘリ ックスおよびプロリン−富裕領域ならびにアスパラギン−富裕領域を包含する3 ′−半分(残基540〜1700)、C−末端、および3′−転写されない部分 に切断した。これらのcDNAの2部分を別々に使用して、N.アラタおよびN .プラムバギナホリアの懸濁培養細胞から、およびまたN.アラタ植物の各種組 織から分離されたRNAのノザン法分析により徹底的に検索した[Sambrook等に よる上記刊行物(1989)]。これら2種のプローブは、同一のハイブリド形 成パターンを示した。これにより、これら2種の相違する領域が、同一転写産物 の一部であることが証明された(図1K)。NaAGP1cDNAプローブは、 試験されたN.アラタの組織の全部からのRNA試料とハイブリド化した。しか しながら、ハイブリド形成の度合および転写産物のサイズは、組織の相違に従い 相違していた。最高シグナルは、N.アラタ懸濁培養細胞からのRNAで検出さ れ、他方花弁におけるシグナルはほとんど検出されなかった。花粉および花柱組 織は、約1.0kbの小さい転写産物を有するのに比較して、N.プラムバギナ ホリア培養細胞では、1.6kbのそしてその他全部の組織では、1.7kbの 転写産物を含有していた(図1K)。ゲノムサザン法分析は、これらのAGP遺 伝子がN.アラタのゲノムであって、1つのみのコピイ遺伝子であるか、または 少量のコピイ遺伝子であることを示した。 本発明の好適態様において、cDNAライブラリイを、AGP蛋白質配列のN −末端またはヒドロキシプロリン−貧弱部分から誘導された、標識付き合成オリ ゴヌクレオチド プローブを用いてスクリーニングした。本発明の別の態様にお いて、cDNA内の各組換え体を、抗原の発現に係わりスクリーニングすること ができる(抗体認識)。組換え体cDNAライブラリイからのクローン形成配列 の選択方法は、キメルにより開示されている[KimmelによるMeth.Enzymol., 152:393〜399(1987)]。 本発明はまた、単子葉植物および双子葉植物のAGP遺伝子のハイブリド化す る配列の検出および分離にオリゴヌクレオチドプローブ、例えばAGPcDNA などを使用することを包含す志。セイヨウナシAGP(PcAGP9)転写産物 が双子葉植物およびまた単子葉植物から調製されたRNAで検出された。 強力なハイブリド形成シグナルを示すcDNAクローンの配列を決定して、A GPアミノ酸配列に対する相補性が確認される。さらにまた、このcDNAによ りコードされる蛋白質は、AGP特徴を有することが証明される。この証明は、 例えば適当なRNAポリメラーゼによりクローン配列を転写し、次いで例えば市 販されている小麦遺伝子抽出物インビトロ転写系において、そのmRNAを翻訳 することによってなされる。従って、クローンの同定は、懸濁培養細胞中への形 質転換、引続くこの生成物の適当なタッグを用いる同定により確認される。 本発明のもう一つの態様において、AGP蛋白質の存在が免疫学的に検出され る。一例として、AGPペプチドに対して生じさせ、精製し、次いでSDS−P AGEゲルから分離される抗体またはその断片は、精製AGPペプチドと交差反 応することが証明されている。AGP特異性抗体はまた、植物抽出物からのAG Pのおよびまたクローン化されているAGP遺伝子生成物の結合および沈殿に利 用される。AGPペプチドに対して特異性のポリクローナルおよびモノクローナ ル抗体はまた、当業界の標準的方法により調製される。この種の免疫学的試験は 、例えば受容有機体中のクローン化したAGPの発現を最適にするために使用さ れる。 本発明はまた、AGPのゲノムクローンの分離を包含する。ゲノムDNAが、 ヘルマンおよびフィシャフにより開示された方法[HerrmannおよびFischaefによ るMethods Enzymol.,152:180〜189(1987)]により分離する 。PCRに基づく方法を使用して、部分蛋白質配列[例えば、Aarts等によるPla nt Mol.Biol.,16:647(1991)]を使用して、またはcDNA断片 プローブ[例えば、King等によるPlant Mol.Biol.,10:401〜412( 1988)]を使用して、ゲノムDNAからの遺伝子をクローン化する。このc DNAの代わりにゲノムAGP遺伝子を使用して、特にその完全発現に天然プロ モーターまたは翻訳後システムが必要であるものと見做される宿主系、例えば植 物細胞においてAGPを発現させることができる。 当業界で充分に知られているように[例えば、GloverによるGene Cloning,Br ammarおよびEdidin編集)、ChapmanおよびHall,N.Y.(1984)参照]、c DNAライブラリイの創作にかかわるおよび相当するDNA組換え体ベ クター、例えばプラスミドのpUC一族あるいはλgt10またはλgt11フ ァージ ベクター中へのcDNAのクローン化にかかわる種々の戦略が存在する 。本発明の態様においては、DAN組換え体ベクターがクローン化する部位に隣 接する構成プロモーターまたは誘発プロモーターを運搬する。これにより転写産 物は相違するRNAポリメラーゼを用いることにより簡単に、このcDNAのど ちらかの鎖に対して特異性にされる。この方法で生成されたRNAは、ハイブリ ド形成プローブとして使用することができ、または細胞を含有していない蛋白質 合成系で翻訳することができる。 本明細書に記載の遺伝子工学操作により生成された組換えDNAの構造配列お よび特異要素に対して、遺伝子発現活性を損なうことなく修飾を行うことができ ることは当業界で理解されている。例えば、本発明の組換えDNA分子の機能に 有意の影響を与えることなく、エンハンサー調節要素および(または)プロモー ター[例えば、好ましくは誘発プロモーター(例えば、AdH1)]の選択に置 き換えを使用できることが考えられる。好適コドン、配置、配向、および種々の 調節要素のスペース形成を使用することによって、およびまた相互に関しておよ びまたTATAボックスの位置に関して、特定の要素の多重コピイを使用するこ とによって、遺伝子発現が最適化されることはまた理解されていることであり、 本明細書の教示を用いて当業者にとって明白になることである。 本発明のもう一つの態様においては、N.プラムバギナホリア懸濁培養物から AGPが分離された。このN.プラムバギナホリアの細胞懸濁培養物からの媒質 を、濾過により細胞から分離し、次いで高分子量物質を4倍量のエタノールによ り沈殿させた。ヤリブ沈殿に先立つCTAB(ヘキサデシルトリメチルアンモニ ウムブロマイド)によるペクチン出発物質の枯渇化の後に、生の総合的AGPを バイオポリマー(Biopolymer)生成物から精製した。この生の総合的AGPは2 種の経路で処理した。 経路1:脱グリコシル化を行い、次いで逆相HPLCを行い、その後に直接配 列決定するか、または酵素による消化(蛋白質分解的消化)の後に配列決定する (この経路は、例2(c)2〜5に詳細に説明されている)。 経路2:逆相HPLCを行い、その後に脱グリコシル化を行い、次いで再度逆 相HPLCを行う(この経路は、例1(c)6〜8に詳細に説明されている)。 経路1(脱グリコシル化を行い、次いでAGPを分離する)は、逆相HPLC において、未結合ピークおよび、それぞれ21分および32分の保有時間で、2 つの主要結合ピーク、RT21およびRT32を生成した。ピークRT21は、 テルモリシンで消化し、RP−HPLCにより再分別し、次いでアミノ酸配列を 決定した。ピークRT21から得られた配列(配列番号:26〜29)は、ヒド ロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオニンの高含有量を示した(OA ST−富裕配列)。 ピークRT21は直接配列決定に付し、配列R−K−S−K−F−M−I−I −P−A−S−O−T−O−A−O−T−O−I−N−E−I−S−F(配列番 号:30)を示した。この配列は、5′−末端において、N.アラタ細胞培養物 から得られたN−末端配列(配列番号:11)と非常に密接にマッチしており、 かつまたヒドロキシプロリン高含有量を示さず、またOAST高含有量、すなわ ちヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオニンの高含有量も示さな かった。ピークRT32配列(配列番号:30)は、高いOAST含有量を有す ることを特徴とする領域から構成されていた。 N.プラムバギナホリアAGPからのクロマトグラフイ フラクションのアミ ノ酸分析の結果が、表2.1に示されている。初期にクロマトグラフイ カラム に結合したAGPは全て、ヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオ ニン残基に富んでいることを示した。 本発明のもう一つの態様において、生の総合的AGPを、ピルス コムニス( セイヨウナシ)バイオポリマーからヤリブ沈殿により分離した。 これらのAGPを、先ず脱グリコシル化し、次いで逆相HPLC(RP−30 0)により分離するか(経路:1)、あるいは別法として、生の総合的AGPを 先ず、逆相HPLC(RP−300)により分別し、次いで脱グリコシル化し、 テルモリシンにより消化し、次いで配列決定した(経路:2)。 経路1(脱グリコシル化したAGPのHPLC分離)は、図3Aに示されてい るプロフィールを示した。表3.1にまとめて示されているように、主要ピーク (すなわち、未結合、ピークRT16.4およびピークRT18.2)のアミノ 酸分析結果は、全フラクションがヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよび スレオニン残基に富んでいることを示した。 図3AからのRT16.4ピークおよびRT18.2ピークを、テルモリシン 消化に付し、この消化生成物をRP−300カラムで分離した。この消化したR T16.4に係わるRP−300プロフィールを図3Bに示し、そしてRT18 .2に係わるRP−300プロフィールを図3Cに示す。 全体として、ピークの1つのみが(テルモリシン消化RT16.4のピーク1 :図3B)、純粋ペプチドであり、明確な配列、L−S−O−K−K−S−O− T−A−O−S−O−S−(S)−T−O−O−T−(T)(配列番号:31) を示した。これはヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオニンの高 含有量も示した。 RT16.4のピーク3および5(図3B)は、ヒドロキシプロリン、アラニ ン、セリンおよびスレオニンの高含有量をまた示す配列からなるものであった( それぞれ配列番号:11および配列番号:12)。 テルモリシン消化したRT18.2からのピーク(図3C)は、数個のピーク に分割された(配列番号:31、34〜38)。これらの配列はまた、高OAS T含有量を有することを特徴とするものであった。 経路2(生の総合的AGPフラクションの逆相HPLCによる分別)により、 図3Dに示されているプロフィールを得た。ピークRT7.8および未結合フラ クションをアミノ酸組成について分析した。表3.1に示されているように、こ れらの両方がヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよびスレオニンに富んで いることが見出された。ピークRT7.8および未結合フラクションを、脱グリ コシル化し、次いでHPLCで分別した。この脱グリコシル化ピークRT7.8 に係わるプロフィール(図3E)は、主要ピーク(ピークRT23)を示した。 このピークはテルモリシン消化および逆相HPLC(RP−300)による精製 の後に、6種のペプチド配列をもたらした。5種の配列(配列番号:39〜44 )は、OAST−富裕であるのに対して、配列の1種、L−V−V−V−V−M −T−P−R−K−H(配列番号:41)がまた、RT7.8中に生のAGPの 直接配列から得られた配列中に存在した。 図3Dの未結合フラクションは、脱グリコシル化および引続くHPLCによる 分別(経路2)の後に、図3Fに示されているプロフィールを示した。図3F中 の主要ピークRT16〜19[これらのピークは、経路2(分離後の脱グリコシ ル化)で得られた]は、図3A中のピークRT16〜19.9[これらのピーク は、経路1(脱グリコシル化後の分離)で得られた]と同様の保有時間を有して いた。 図3Dから明白なように、ピークRT7.8は、セイヨウナシからの総合的A GPの約27%を表わす。多重鎖を示すことがあるフラクションの一つに、少な くとも4個のN−末端が見出された。未結合フラクションは、セイヨウナシから の総合的AGPの約67%を表わし、数個のOAST−富裕配列を有する図3A のRT16.4〜19.9に対応するピークを示した。従って、本発明は、ピル ス コムニスからの2種の主要AGPのそれぞれからのアミノ酸配列データを提 供する。 本発明の特別の態様において、AGP遺伝子がP.コムニスから得られた。 ヒドロキシプロリン−貧弱およびOAST−貧弱である、この配列L−V−V −V−V−M−T−P−R−K−H(配列番号:41)を、セイヨウナシ細胞懸 濁培養物からAGPを得るための鋳型として選択した。 L−V−V−V−V−M−T−P−R−K−H配列(配列番号:41)に相当 する多数のプライマーを、PCR実験用にデザインし、合成した(表3.2)。 NaAGP1(図1D)のクローン化に使用された方法と同一の組合わせ(ne sted)PCR法を使用して、上記ペプチドをコードする遺伝子をクローン化した 、ただしこの場合のアニーリング温度は52℃であった。第一プライマーとして PcA23F1を使用し、かつまた第二プライマーとしてPcA23F2aを使 用して2つの順次反応を行った後に、350−bp断片を増幅させた。この断片 の配列を決定し、正しいペプチド配列をコードすることが見出された(配列番号 :48;図3G)。 このPCR断片を使用して、N.アラタ細胞懸濁培養物について上記したとお りに、セイヨウナシ細胞懸濁培養物からのmRNAから作成されたcDNAライ ブラリイをスクリーニングした。一つの陽性クローン(PcAGP23)を分離 し、配列決定した。このクローンは、760BPの挿入体を含有し、PCR配列 にマッチしていた。 このPcAGP23cDNA(配列番号:49)は、位置20の開始コドン( ATG)により始まり、位置560の停止コドンにより終了している読取り枠を コードした(図3H)。この読取り枠は、19.2kDの計算分子量を有し、か つまた8.46の推定pIを有する180アミノ酸残基を含有するポリペプチド をコードする。予測アミノ酸配列は、ペプチド配列L−V−V−V−V−M−T −P−R−K−H(配列番号:41)を含有し、これをPCR断片のクローン化 に使用した。さらに、ヌクレオチド428〜472から予測される、もう1種の ペプチド配列L−G−I−S−O−A−O−S−O−A−G−E−V−D−(G )は、RT18.2から得られた配列番号:34にマッチする(図3C)。しか しながら、ピークRT7.8からの別の配列(配列番号:39〜44)は、Pc AGP23には存在していない。これはこれらが相違するAGP幹鎖を有するこ とを示している。 予測蛋白質配列中で最も豊富なアミノ酸残基は、Ser(12.2%)、Gl y(10.5%)、Leu(9.4%)、Val(8.8%)、Ala(7.2 %)およびLys(7.2%)である(表3.3)。 PcAGP23は、5.5%のPro残基を含有し、ペプチド配列により同定 されているように、そのうちの若干は、後−翻訳によりヒドロキシプロリンに変 換された。相対的に言えば、このPro残基およびAla残基は、この配列の最 後の1/3に濃縮されている(C−末端の位置で)。 PcAGP23cDNAの配列(配列番号:49)では、予測分泌シグナルは Ala27とArg28との間に潜在的分裂部位を有するN−末端(1〜27)に存 在する。また、アミノ酸一36および87に、2個の潜在的N−グリコシル化部 位が存在する(図3H)。 本発明のもう一つの態様において、図5Dのフローチャートに例示されている ように、セイヨウナシ細胞培養濾液をさらに精製した。未結合フラクションおよ び2つの主要結合フラクション(図5D−A)は、このカラムに装填された総合 的AGPのそれぞれ72%、0.9%および0.1%に相当し、これらを上記お よび例3(a)に記載のとおりに精製した。 AGPの約27%に相当する、図5D−Aの主要ピークを採取し、次いで同一 カラムに再度適用した。浅い勾配で溶離すると、2つのピーク(フラクション1 および2)が分割された(図5D−B)。フラクション1中のAGPは、上記お よび例3(a)に記載されている。 フラクション2はサイズ排除FPLC分別により2成分に分割した(ピーク2 Aおよび2B、図5D−C3)。各フラクションの主要単糖類は、アラビノース およびガラクトースであった(表3.4)。 アラビノースは主として、少量の3′−結合残基および5′結合残基とともに 、末端位置に存在していた。両方のピークにおいて、ガラクトースは主として、 少割合の3,6−結合残基および末端残基として存在していた。しかしながら、 6−結合ガラクトシル残基の割合は、ピーク2Aにおけるよりもピーク2Bで大 きく、かつまた両方ともに、3−結合残基は小割合であった。 ピーク2Aおよび2BのAGPのアミノ酸組成分析を表3.5に示す。ピーク 2Bの物質のN−末端アミノ酸配列は、配列A−E−A−E−A−X−T−X− A−L−Q−V−V−A−E−A−X−E−L(配列番号:74)を示した。 ピーク2Aおよび2BのAGPを別々に脱グリコシル化し、生成する蛋白質幹 鎖をサイズ排除FPLCにより分離した(図5D−D1〜4)。各フラクション 毎に、蛋白質の見掛け上のMは相違していた。ピーク2Bは、1つの蛋白質幹鎖 を示し(Mr:10k)、ピーク2Aは、2つの蛋白質ピークを示した(Mr: 10kおよび54k)。ピーク2Aの10k蛋白質幹鎖は、ピーク2Bからの夾 雑である。54k蛋白質幹鎖のN−末端アミノ酸配列は、配列T−O−A−O− A(配列番号:75)を有し、他方ピーク2Bの10k蛋白質幹鎖は、配列A− E−A−E−A−O−T−O−A−L−Q−V−V−A−E−A−O−E−L( 配列番号:76)を示した。後者の配列は、脱グリコシル化以前のピーク2Bの AGPから得られたN−末端配列と同一であった。この配列において、不明確な 残基「X」はHypであると見做される。 54k蛋白質幹鎖および10k蛋白質幹鎖のアミノ酸組成は、それぞれピーク 2Aおよび2Bのそれらの親のAGPの組成と非常に類似していた。 54k蛋白質幹鎖は、ピーク2B中の10k蛋白質幹鎖(Hyp、19.5% ;Ser、6.0%)に比較して、高割合で、Hyp(27.5%)、Ser( 18.4%)を含有していた。他方、10k蛋白質幹鎖は、ピーク2A中の54 k蛋白質幹鎖(Glx、6.6%;Val、4.2%)に比較して、高割合で、 Glx(14.3%)およびVal(10.1%)を含有していた(表3.5) 。10k蛋白質幹鎖および54k蛋白質幹鎖を別々にテルモリシンにより消化し 、生成するRP−HPLCにより精製し、次いでスクリーニングした。 ピーク2A中の54k蛋白質から8種のペプチドの配列が得られ、そしてピー ク2B中の10k蛋白質から3種のペプチド配列が得られた(表3.6)。ピー ク2B中の10k蛋白質に係わり、3種の配列のうちの2種とN−末端配列と重 なって、配列A−E−A−E−A−O−T−O−A−L−Q−V−V−A−E− A−O−E−L−V−O−T−O−V−O−T−O−S−Y(配列番号:88) を有していた。 本発明のもう一つの態様において、N.アラタ花柱からAGPを分離した。こ の例では、生の総合的N.アラタ花柱AGPは、ヤリブ試薬沈殿技術により精製 しなかったが、イオン交換クロマトグラフイおよび引続くゲル濾過クロマトグラ フイ(GFC)により精製した。カラムフラクション中のAGPの存在は、ヤリ ブ試薬によるAGP沈殿により証明した。これらのAGPを次いで、HFにより 脱グリコシル化し、次いで逆相HPLCにより分別した。 脱グリコシル化およびHPLC分別の後に、2つの主要ピーク、RT25およ びRT35(図4C)が得られた。各フラクションおよびその天然物質のアミノ 酸分析値を表4.1に示す。 3種のフラクション間のアミノ酸組成の明確な相違は明らかである。未結合フ ラクションは少割合でHypを含有していたが、Gly、Glx、Serおよび Asxは豊富である。RT35フラクションはまた、Hypが貧弱であるが、A sx、GlxおよびAlaは豊富である。これら2種のフラクションは一緒にな って、生のAGPおよび脱グリコシル化したAGPで検出される一団のAsxお よびGlxの存在を証明している。フラクションRT25中の物質のアミノ酸組 成は、Hyp(18%)、Ala(20%)およびSer(15%)で占められ 、非常に僅かなTyrを付随している。従って、このRT25蛋白質幹鎖を引続 く分析用に選択した。 ピークRT25は、4配列を有しており(配列番号:50〜53)、そしてこ れらの配列はOAST−富裕である。これらの配列のうちの3つ(配列番号:5 0、51および52)は、N.プラムバギナホリアからのRT21の配列(配列 番号:27〜29)とそれぞれ緊蜜にマッチしていた。 RT25ピークでは、N−末端配列は得られなかった。次いで、ピログルタメ ートアミノペプチダーゼを使用して、N−末端ブロックされたピログルタメート 残基を除去し、配列Ala−Hyp−Glyを得た。RT25幹鎖をまた、エン ドプロテイナーゼテルモリシンで処理することによって断片を生成させた。生成 するペプチドを分離し、RP−HPLCによりさらに精製した。6種の主要ペプ チドをアミノ酸分析に付し(図41)、4配列を得た(配列番号:50、51、 53、67)。これらの配列は全部が、Hyp、SerおよびAlaに富裕であ った(52アミノ酸残基のうちの32)。 エンドプロテイナーゼAsp−Nをまた使用して、RT25蛋白質幹鎖をその Asp残基の部位で分裂させた。2つの主要ペプチドが生成された(A1および A2:図4J)。これらのペプチドは、RT25蛋白質中に1個のみのAspが 存在することを示した。出発物質(RT25蛋白質;図4J)の存在により示唆 されるように、この分裂は不完全であった。A2のペプチド配列を得た(配列番 号:68)。他のペプチド(A1)からは配列データは得られなかった。このこ とは、ブロックされたN−末端残基の存在を示している。A2(配列番号:68 )(図4J)とピーク3(配列番号:51)(図41)との間の重複が同定され 、26残基の連続アミノ酸配列が得られた:LASOOAOOTADTOAFA OSGGVALPOS(配列番号:69)。 ピークRT35は4配列を有しており(配列番号:54〜57)、低いOAS T含有量を有していた。これらの配列のうちの3配列(配列番号:55〜57) は、配列T−A−I−N−T−E−F−G−P(配列番号:58)を有すること を特徴としていた。 別の調製方法において、バシック等に従い[Bacic等によるPhytochem.,27 :679〜684(1988)]、N.アラタ花柱からAGP遺伝子を分離した 。配列:A−V−F−K−N−K−X−X−L−T−X−X−P−X−I−I (配列番号:59)を得た。 本発明の他の態様において、N.アラタ花柱からのAGP遺伝子を分離した。 図4Dのクローン化戦略を使用して、この遺伝子を得た。N.アラタ花柱から分 離されたピークRT35のペプチド配列のうちの数種は、配列T−A−I−N− T−E−F−G−P(配列番号:58)を含有していた。特定の態様において、 遺伝子特異性縮重オリゴヌクレオチドプライマーを、配列A−I−N−T−E− F−G(配列番号:60)に基づきデザインし、PCR断片をN.アラタの花柱 RNAからインビトロ増幅させた。380−bpPCR断片(配列番号:62; 図4E)を使用して、花柱cDNAライブラリイをスクリーニングし、cDNA を分離し、次いで完全配列を決定した。このN.アラタ花柱cDNAクローンを Na35−1と命名した。このcDNAクローンを挿入して、3′末端にポリ( A)テイルを有する800bp鎖長にした。このcDNA配列(配列番号:63 )は、その3′末端が3bp短いことを除いて、PCR配列と一致していた(図 4Eおよび図4F)。 Na35−1配列(配列番号:63)は、21位置に開始コドン(ATG)を 有し、530位値の停止コドン(TAA)で終結している読取り枠を有していた (図4F)。この読取り枠は、19.5kDの計算分子量および8.1の予測p Iを有する、169アミノ酸を含有するポリペプチドをコードした。この配列中 の最も豊富な残基は、プロリン(11.2%)、フェニルアラニン(9.5%) 、アラニン(7.7%)、ロイシン(7.7%)およびリジン(7.7%)であ った(表4.2)。 N.アラタ花柱cDNAから誘導されたアミノ酸配列(配列番号:63)は、 N.アラタ花柱から分離されたピーク35のペプチド断片、すなわち配列番号: 55、配列番号:56および配列番号:57とマッチする領域から構成されてい た。Na35−1遺伝子のノザン法分析(図4G)は、N.アラタに対するおよ び花柱組織に対する遺伝子の特異性を示した。トマト花柱、N.アラタ細胞懸濁 物、N.プラムバギナホリア細胞懸濁物およびセイヨウナシ細胞懸濁物からの転 写産物では、シグナルは検出されなかった(図4H)。このことは、Na35− 1PCR断片が、N.アラタ花柱AGP遺伝子に対して特異性であることを示し ている。 さらにまた、本発明のもう一つの態様は、N.アラタ花柱AGPに係わる異な る遺伝子の分離を開示するものである。このAGP蛋白質幹鎖の断片から分離さ れた5種のペプチド(配列番号:50、51、53、67および68)はいずれ も、52アミノ酸残基を有していた。これらの配列の多くは、Hyp、Serお よびAlaの隣接残基を含有しており、そのためにこのコドンは格別に冗長であ り、かつまたGC−富裕であった。しかしながら、分離されたペプチドの重複か ら生じる連続アミノ酸配列からの配列TADTOAFは、GC−富裕ではなく、 2個のみの縮重コドンを有する2個のアミノ酸を含有していた。このTADTO AF配列は、PCRに適するオリゴヌクレオチドのデザインおよびAGPNaL 1cDNAの最終的クローン化を可能にした。 遺伝子−特異性オリゴヌクレオチド(20ヌクレオチド)を、この連続26ア ミノ酸配列の一つの領域:TADTOAF(配列番号:70)からデザインした 。最初の2つのコドンの三番目の部位に、イノシンを使用して、このオリゴヌク レオチドの縮重度(degeneracy)を128に減少させた。生成するオリゴヌクレ オチドは、55%のGCを含有していた。アダプター配列と結合させたポリTを 使用して、総合的花柱RNAからcDNAを合成した。cDNA3′−末端(3 ′RACE)の迅速増幅を、この遺伝子特異性プライマーをアダプター配列で3 ′プライマーとともに使用して行った。400塩基対(bp)のPCR断片を生 成した。このPCR断片をクローン化し、次いで配列決定した。このPCRクロ ーンからの推定アミノ酸配列は、分離されたAGP配列、すなわち配列番号:5 0、51、53、67、68と一致していた。 次いで、このPCRクローンをプローブとして使用して、花柱cDNAライブ ラリイ(300,000プラーク)をスクリーニングした。3′末端の長さおよ び5′末端の長さのみが相違する2種のcDNAクローンが得られた。これらの クローンのうちの、AGPNa1 1と命名したクローン(図4K)を配列分析 の全部に使用した。AGPNa1 1cDNAクローンの3′末端は、PCRク ローンが20bp短く、かつまたポリAテイルを含有していることを除いて、P CRクローンと同一であった。この712−bpAGPNa1 1クローンは、 12.5kDの予測蛋白質をコードした(図4K)。誘導アミノ酸配列は、分離 AGPペプチドと同一の配列を包含する(配列番号:50、51、53、67お よび68)。アミノ酸配列決定により得られた、このペプチド配列中のプロリン 残基の大部分は、ヒドロキシル化されている。分泌シグナルペプチドが予測され る(図4Kおよび4L)。成熟蛋白質(10kD;pI6.8)の推定N−末端 は、Gln−Ala−Pro−Glyであり、この配列は得られたN−末端配列 データとマッチしている。このN−末端中のPro残基はまた、ヒドロキシル化 されている。推定成熟蛋白質および分離RT25蛋白質幹鎖のアミノ酸組成は一 般的に一致する(表4.1)。この推定蛋白質のC−末端は、非常にヒドロキシ ル化されており、トランスメンブラン ヘリックスであると予想される。 得られたcDNAクローン(図4K)は、N−末端およびC−末端の両方に存 在する疎水性伸長部分を特徴とする132アミノ酸蛋白質を予測させる(図4L )。このN−末端疎水性配列は、コードされる蛋白質の分泌を導くものと見做さ れるシグナルペプチドに相当する。これは公知分泌および花柱AGPの細胞外局 限化と一致する[Sedgley等によるMicrom Microscop.Acta,16:247〜25 4(1985)]。N−末端残基のGlnを分子内環形成により修飾することに よるピログルタメートの形成は慣用ではない。この環形成は、精製処理中に生じ させることができ、あるいはその場で生じさせることもでき、AGP幹鎖の安定 化に包含されることがある。同一のN−末端配列:Gln−Ala−Pro−G ly−Alaはまた、セイヨウナシから分離されたAGP幹鎖中にも存在する( 図5A)。そのC−末端疎水性配列は、トランスメンブラン ヘリックスである と予想され(図4L)、そしてこれはプラスマ膜にAGPを固定することができ るものと見做される。この疎水性C−末端領域はまた、別の蛋白質、例えばS− RNアーゼなどとAGPとの相互反応を潜在的に可能にすることができ、このS −RNアーゼはまた、非常に疎水性の配列を含有する(この場合には、N−末端 に;Mau等によるPlanata,169:184〜191(1986)]。この蛋白質 は、そのHyp、Ala、Ser残基の大部分を、その中央部分に含有する。こ のペプチド配列中のPro残基の大部分がヒドロキシル化されているという事実 は、この蛋白質の中央部分における長大なO−グリコシル化を示唆している。潜 在的N−グリコシル化部位は存在していない。豊富な潜在的O−グリコシル化部 位の存在は、炭水化物の高含有量と一致する(85重量/重量%)。各AGPは 、サッカライド鎖の種類および蛋白質幹鎖に沿ったグリコシル化部位の数 および場所の点で相違している。 AGPNa1 1cDNAにハイブリド化するmRNAは、N.アラタの大部 分の組織および関連ソラナコッカス(Solanaccous)種の花柱に存在する(図4M )。このことは、植物発現におけるこの転写産物(または密接に関連した転写産 物)の一般的役割を示唆している。N.アラタからの各種組織を、AGPNa1 1遺伝子の発現に係わり試験した。図4M−1に示されているように、約70 0〜750ヌクレオチドと類似する長さのmRNAが、全部の試験組織で検出さ れた。このことは、AGPNa1 1遺伝子またはその類縁体が、植物のかなり の部分で発現することを示唆している。花柱、子房、花弁、葉および茎は、同一 レベルの転写産物を有するが、高レベルのmRNA発現は根に見出される。 ハイブリド形成性転写産物の或る発現は、N.シルベストリス(N.sylvestris) およびN.タバクム(N.tabacum)の花柱で、およびまたN.グラウカ(N.glau ca)およびリコペルシコン ペルビアナム(Lycopersicon peruvirum)に低レベ ルで検出された(図4M−2)。アラビドプシス(arabidopsis)およびライグラ ス[ロリウム ペレネ(Lolium perenne)、単子葉植物]の葉は、検出可能な転 写産物は有していなかった。 本発明のもう一つの態様において、AGP遺伝子を、P.コムニスからヒドロ キシプロリン−富裕セイヨウナシAGPセグメントをコードするゲスマーオリゴ ヌクレオチド配列を使用して分離し、RNAポリメラーゼのための二重鎖プロモ ーターに結合させた。これは、アンチセンスRNAプローブの合成を可能にする (図1A参照)(戦略B)。従って、戦略Bは、特別のヒドロキシプロリン−富 裕ペプチド領域を特異的にコードするAGP遺伝子(配列番号:66)の分離を 可能にした(図5A参照)。ヒドロキシプロリン−富裕およびOAST−富裕領 域が、AGPの特徴的特性を示すことは明らかである。 AGPペプチド断片は、基本的に例3(a)に記載のとおりにして、分離し、 配列決定した。分離されたセイヨウナシAGP断片の配列A−K−S−O−T− A−T−O−O−T−A−T−O−O−S−A−V(配列番号:37)は、ヒド ロキシプロリン−富裕およびOAST−富裕を示した。この配列を、対応するセ イヨウナシAGP遺伝子の分離用に選択した。プロリンに対するこのコドンの使 用は、全プロリンコドンの73.3%に相当するCCAに対して強力にバイアス される;アラニンに係わるコドンは少ない程度ではあるが、CCTをバイアスす る(44.8%);他のアミノ酸に係わるコドンの使用における有意のバイアス は存在しない。 それぞれがヒドロキシプロリン−富裕AGP区分をコードするGC−富裕領域 を含むプライマーAF1T3およびAR2T7の配列を表5.1に示す。AF1 T3(配列番号:64)は、T3プロモーター配列、すなわち分離されたN.プ ラムバギナホリアAGPペプチド断片に相当する42bpGC−富裕ヌクレオチ ド配列(配列番号:27)およびNaAGP1から位置150〜167までに相 当する18bp配列(配列番号:24)を包含する。AR2T7プライマー(配 列番号:65)は、T7プロモーター、セイヨウナシからのヒドロキシプロリン −富裕(OAST−富裕)AGP配列(配列番号:37)およびNaAGP1c DNAから位置444〜461までに相当する18bp配列(配列番号:24) からなる。 T7ポリメラーゼを使用することによってゲスマーオリゴヌクレオチド鋳型か らアンチセンスRNAプローブを合成し、基本的に例3(b)に記載されている とおりに、セイヨウナシ細胞懸濁培養物から作成されたcDNAライブラリイの スクリーニングに使用した。3種のcDNAクローンが分離され、その配列を決 定した。最長のクローンPcAGP9の配列(配列番号:66)を図5Aに示す 。このcDNAクローンは、893bpの挿入体を含有し、そして145アミノ 酸残基の読取り枠をコードする。N−末端に推定分泌シグナルペプチドが存在す る。この予測ポリペプチドは、Pro、Ala、SerおよびThrが格別に豊 富であり(表5.2)、かつまた蛋白質配列決定によりセイヨウナシAGPから 以前に得られた2種のペプチド配列:AKSOTATOOTATOOSAV(配 列番号:37)およびVTAOTOSASOOSSTOA(S)TXA(配列番 号:38)と正確にマッチする2種の配列を含有する。このPcAGP9配列( 包含されている分泌シグナルを含む)は、10.79の推定pIおよび13.6 22kDの見掛け分子量を与えた。このPcAGP9配列(分泌シグナルを含ま ない) は、11.07の推定pIおよび11.238kDの見掛け分子量を与えた。 図5Cの水に対する性質のプロフィールに示されているように、このcDNA は3つの領域を有する、すなわち分泌シグナルをコードするN−末端疎水性配列 、大部分のプロリン残基を含有する中央親水性領域およびトランスメンブラン ヘリックスであると予測できる末端領域を有する。この成熟蛋白質のN−末端は 、分泌シグナルのプロセッシングから予測される配列に相当する。中央領域内の プロリン残基は主としてヒドロキシル化されており、かつまたグリコシル鎖を保 有している。ニコチアナ アラタの花柱からのAGPの蛋白質幹鎖をコードする cDNAは、類似の特徴を有する3つの領域を有する。これらの3つのcDNA によりコードされる蛋白質のアミノ酸組成は類似しているが、唯一の共通配列は 、成熟蛋白質のN−末端配列にある:Q−A−P−G−A−A(配列番号:73 )。これらのcDNAは、これらのプロテオグリカン類の量的主要部分である植 物抽出物中に存在する数種からの単一AGPの蛋白質幹鎖をコードする。 この配列の中央部分(アミノ酸24〜123)は、4種のアミノ酸(Pro、 29%;Ala、19%;Ser、23%およびThr、15%)により占めら れている。この配列の当該部分の主要特徴は、これら4種の残基が相互に散在し ていることにある;ここには、明白なモチーフは存在せず、およびまたどのアミ ノ酸についても数個の連続は存在していない。N−グリコシル化部位も予測され ない。 22アミノ酸残基のC−末端領域は、非常に疎水性であり、かつまたトランス メンブラン ヘリックスであるものと予測される[Eisenberg等によるJ.Mol.B iol.,179:125〜142(1984);Klein等によるBiochem.Biophyl.A cta,815:468〜476(1985);Rao等によるBiochem.Biophyl.Ac ta,869:197〜214(1986)]。C−末端トランスメンブランヘリ ックスと細胞外領域との間の境界付近に、数個の潜在的分裂部位が存在する[エ ンドプロテアーゼAsp−N、Ala114/Asp115、V8プロテアーゼ、As p115/Ala116、クロストリパイン(Clostripain)およびトリプシン(Trypsin) 、Arg127/Val128)[Allen等によるSequencing of Proteins and Peptid es(第二版)(1989);DrapeauによるCan.J.Chem.,56:534〜544 (1978);J.Biol.Chem.,255:839〜840(1980)]。数個 の分裂部位が存在するトリプシンの場合を除いて、これらは当該配列内の一つの 分裂部位を表わす。 PcAGP9cDNAをプローブとして使用して、双子葉植物[ピルス(Pyrus )、ニコチアナ(nicotiana)、ブラシカ(Brassica)、アラビドプシス(Arabidops is)およびリコペルシコン(Lycopersicon)]および単子葉植物[ロリウム(Lol ium)]の両方を代表する6種の植物からのRNAを含有するノザン法分析を行 った(図5B)。強い緊縮の下に(65℃)、ピルス コムニスの懸濁培養細胞 からのRNA試料で、0.9kb転写産物が検出された。N.プラムバギナホリ ア懸濁培養細胞におけるより大型の転写産物とともに同一植物の小花柄で、より 小型の転写産物が検出された(図5B−2)。減じられた緊縮の下に(55℃) 、被験単子葉植物および双子葉植物の両方のPcAGP9に対して相同性のAG P遺伝子の発現を指令する、その他全部の被験RNA試料でまた、RNA転写産 物が検出された(図5B−1)。 このPcAGP9cDNAはまた、N.アラタ花柱cDNA(AGPNaL 1クローン)に対して類似性を有する。両方の場合に、これらのcDNAクロー ンは、Pro、Ala、SerおよびThrから主として構成される蛋白質配列 を予測させる。アミノ酸組成の類似性を除いて、これらのcDNAクローンの配 列同一性は僅かである。実際に、AGPNaL lcDNAとPcAGP9cD NAとは、RNAブロット分析において、中程度ないし強度の緊縮の下に、交差 ハイブリド化しなかった。AGPNaL 1は、試験した組織の大部分でシング ル700〜750nt転写産物を検出し、他方PcAGP9は800〜900n tのmRNAを検出した。別のAGP類似ペプチドは配列が、N.プラムバギナ ホリア、セイヨウナシ、L.マルチフロラム(L.multiflorum)およびトウモロ コシ懸濁細胞培養濾液からのヒスチジン−富裕HRGPから報告されている[Ki eliszewski等によるPlant Physiol.,99:538〜547(1992)]。さ らにまた、これらのペプチドは、正確な配列は相違しているが、主としてHyp 、AlaおよびSerからなる。例えば、Ala−Pro−Ala−Pro反復 はL.マルチフロラムには存在するが、AGPNaL 1およびPcAGP9c DNAからの予測アミノ酸配列中には存在しない。 本発明のもう一つの態様において、もう1種のP.コムニスcDNA(PcA GP2;配列番号:91)が分離され、PcAGP9(配列番号:66)および PcAGP23(配列番号:49)クローンの両方から相違していることが示さ れた。このPcAGP2cDNAをクローン化する方法は、PcAGP9cDN Aの場合と基本的に同一であった(例5)。 FPLCでピーク2Bとして精製され、AEAEAOTOALQVVAEAO ELVOTOVOTOSY(配列番号:88)のアミノ酸配列を有する10k蛋 白質を、対応するセイヨウナシAGP遺伝子の分離に選択した。2つの逆向きお よび部分相補的長鎖「ゲスマー」[AcF1(配列番号:89)およびAcR2 (配列番号:90)、表5.3]を合成した。 この「ゲスマー」においては、全アミノ酸について第三コドンの位置で、ヌク レオチドAを使用して、CTAおよびTCAはLeu残基およびSer残基が予 測された。これら2種の「ゲスマー」の3′の最後の18bpは、逆向き−相補 的であり、これらをPCRで相互にアニーリングして、アミノ酸配列A−E−A −E−A−O−T−O−A−L−Q−V−V−A−E−A−O−E−L−V−O −T−O−V−O−T−O−S−Y(配列番号:88)のアミノ酸配列をコード する101bpの二重鎖DNA断片を生成した。このPCR断片をpBluescript II(Ks)ベクター中にサブクローン化した。この101bpDNA断片から、 T3RNAを使用して、32P−標識したアンチセンスRNAプローブを合成し、 セイヨウナシcDNAライブラリイのスクリーニングに使用した。5つのcDN Aクローンを分離し、配列決定した。1040bpのコンセンサス配列を図5E に示す。このcDNAを、PcAGP2と命名する(配列番号:91)。 このPcAGP2cDNA配列は、294残基のポリペプチドをコードし、4 領域に分割することができる(図5E)。最初の20アミノ酸配列は、疎水性で あり、Ser20とPhe21との間に潜在的分裂部位を有する分泌シグナルである と予測される。第二の領域(残基21〜51)は、Asnが富裕であり、5個の Asn残基の伸長部分を含有する。第三の領域(残基52〜135)は、Pro 、Ala、ThrおよびGluが富裕である。これら4種の残基の大部分は、こ の 領域に位置している。この領域はまた、蛋白質配列決定により得られるペプチド 配列の全部を包含している。第四の領域(残基136〜294)は、Asnおよ びGlyが富裕であり、34残基の2つの直接反復配列を含有する。この予測蛋 白質のアミノ酸組成は、シグナル配列を除いて、ピーク2B[これは、Asn( 14.2%)、Glu(8.0%)、Gly(10.5%)およびSer(9. 1%)が富裕である(表3.5)]中のグリコシル化AGPまたは脱グリコシル 化AGPから得られたものとは相違していた。しかしながら、残基53〜88か らの配列は、ピーク2B中のAGPから得られたアミノ酸組成と密接に一致する アミノ酸組成を有する。 以下に記載するように、蛋白質および蛋白質断片の分離および精製のための標 準的技法、配列決定、クロマトグラフイ、クローニング、DNA分離、増幅およ び精製、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼなどを 包含する酵素を用いる反応、PCR技法および種々の蛋白質分離および精製技法 は、公知の技術であり、当業界で一般的に採用されている。多くの標準技法は下 記の刊行物に記載されている:DeutscherによるMethods in Enzymology,182 :309〜539(1990);Maniatis等によるMolecular Clorning,Cold S pring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York(1982);Wu( 編集)によるMeth.Enzymol.,68(1979);Sambrook等による上記刊行物 (1989);Wu等によるMeth.Enzymol.,100および101(1983);Gro ssmanおよびMoldave(編集)によるMeth.Enzymol.,65(1980);Miller (編集)によるExperiments in Molecular Genetics,Cold Spring Harbor Labo ratory,Cold Sping Harbor,New York(1972);OldおよびPrimroseによる Principles of Gene Manipulation,University of California Press,Berkele y(1981);SchleifおよびWensinkによるPractical Mehtod of Molecular Bio logy(1982);Glover(編集)によるDNA Cloning.Vol IおよびII,IRL P ress,Oxford,UK(1985);HamesおよびHiggins(編集)によるNucleic Ac id Hybridization,IRL Press,Oxford,UK(1985);Setlow,Hollaenderに よるGenetic Engineering:Principles and Methods,Vol.1〜4,Plenum Pres s,New York(1979);およびDeutscher(編集) によるGuide to Protein Purification,Academic Press,New York(1990) 。ここで使用されている略語および命名は、当業界で標準であると見做し、本明 細書で引用されているような専門誌でも慣用されている。 本発明の目的が、ここに開示されている方法および技術の周知の変法、修飾ま たは均等物を使用して、高額な独特の実験を必要とすることなく達成することが できることは当業者にとって明白である。当業者はまた、本明細書に特別に記載 されている手段以外の別の手段を、意図する蛋白質精製におよびまた本明細書に 記載されている分子のフラクション特徴の入手に利用できること、さらにまた本 発明の分子の機能上の均等物を得るための別法を如何に使用するかについては、 当業者の認識できることである。本発明は、当業者に認識されるており、かつま た本発明の精神および範囲に包含される、これらの変法、修飾、代用および均等 物を包含するものとする。 下記の例は、本発明をより充分に明確にするために提供するものであって、本 発明の範囲を制限するものではない。本発明の精神および範囲から逸脱すること なく、本明細書に記載の方法および遺伝子に関して種々の修飾をなしうることは 、当業者に認識されることである。 例1 AGP含有植物細胞からAGPペプチドを分離および精製するための一般方法 1.細胞懸濁培養物の調製 AGP含有植物細胞の懸濁培養は、細胞増殖の品質を増強および改善するため に当業界で慣用されているように、植物ホルモン類、因子、緩衝剤、塩類などが 補給されている、ムラシゲ(Murashige)およびスコーグ(Skoog)の培地[Physiol .Plant,15:473〜497(1977)]で発芽させた実生の子葉から開 始した。 2.植物組織抽出物の調製 植物を、市販の種子から成長させ、標準ガラス温室条件の下に維持した。 3.総合的AGPの分離 総合的AGPは、その培養培地からヤリブ試薬[Yariv等によるBiochem.J., 105:1C(1967)]によりAGPを沈殿させ、次いでこのヤリブ試薬複 合体を解離させ、次いでAGPを採取することによって、調製した。別法として 、総合的AGPは、(NH4)2SO4沈殿、アニオン交換クロマトグラフイおよび (または)イムノアフィニティクロマトグラフイ(例えば、Gal1−6−B− Gal配列に特異性の抗体を使用する)、引続くゲル濾過クロマトグラフイ(例 えば、スペロース[superose]マトリックスを使用する)によって、植物組織抽 出物から調製した。 この総合的AGPプラクションのAGPを、イオン交換または逆相HPLCの どちらかを使用して分離した。各AGPを次いで、アミノ酸配列決定に付した。 別法として、総合的AGPフラクションを、例えばTFMSまたはHFを用いて 脱グリコシル化し、この脱グリコシル化AGPをSDS−PAGEまたは逆相H PLCで分離し、次いでアミノ酸配列決定用に調製した。いくつかの場合に、こ のペプチドを、蛋白質分解酵素で処理することによって消化し、その後に相違し て脱グリコシル化されているペプチドを分離した。 ヒドロキシプロリン−富裕AGP断片を、各種の特徴、例えば極性、免疫原性 などに基づくクロマトグラフ法により、ヒドロキシプロリン−貧弱断片から分離 した。例えば、アミノ酸R−基ヒドロキシルまたは抗体に対して特異性のリガン ドをOAST−富裕であるヒドロキシプロリン−富裕ペプチド断片に結合させる アフィニティクロマトグラフイ支持体を使用して、ヒドロキシプロリン−富裕ペ プチドを優先的に保有させた。ヒドロキシプロリン−富裕断片とヒドロキシプロ リン−貧弱断片との分離に有用な他の蛋白質精製技術は、DeutscherによるGuide to Protein Purification Methods in Enzymology,182(1990)に見出 される。 例2 ニコチアナ アラタ(Nicotiana alata)およびN,プラムバ ギナホリア(N.p lumbaginafolia)からのAGPの蛋白質幹鎖をコードする遺伝子のクローン化 (a)ニコチアナ アラタの懸濁培養物からのAGPペプチドの分離および精製 1.懸濁培養物の調製 N.アラタ細胞の懸濁培養を、1g/リットルのmyo−イノシトール、2g/ リットルのMes/KOH(pH5.7)、4%(重量/容量)のスクロース、 0.1mg/リットルのギベレル酸(gibberellic acid)および5mg/リットルの α−ナフタレン−酢酸が補給されているムラシゲおよびスコーグの培地[上記刊 行物(1977)]で発芽させた実生の単子葉植物から開始した。これらの細胞 を、ギベレル酸を含有していない以外は同一の培地で毎週継代培養した。 2.AGPの精製および脱グリコシル化および配列決定 N.アラタの細胞を、2層のミラクロス(Miracloth)に通す濾過により培養培 地から分離した。この上清を遠心処理して(10,000xg;50分間)、す べての細胞残査を除去した。この上清に、NaClおよびβ−グルコシルヤリブ 試薬(Yariv等による、1967)をそれぞれ1%および0.2%の最終濃度ま で添加した。このAGP−ヤリブ複合体を遠心処理(10,000xg;50分 間)によりペレット化し、1%NaClにより2回洗浄し、次いで上記のとおり に遠心処理した。このペレットをH2O中に溶解し、未溶解物質を遠心処理(1 0,000xg;20分間)により除去した。このAGP−ヤリブ複合体を、1 %までのNaClの添加により再沈殿させ、この沈殿を洗浄し、次いでH2O中 に再溶解した。このヤリブ沈殿およびNaCl洗浄工程を2回反復した。このA GP−ヤリブ沈殿を、最終的にH2O中に溶解し、次いで亜二チオン酸ナトリウ ム(30%)を添加して、AGP−ヤリブ複合体を分解させた。この試料の容積 をジアフロ(Diaflo)(YM30膜;Mr30,000ダルトン排除)濾過によ り減少させ、次いでこの溶液を、10mM NH4HCO3で平衡にしたPD10カ ラム(Pharmacia)に通すことによって脱塩した。 N.アラタからのAGPを、エッジ(Edge)等の方法(1981)の変法を用 いて、トリフルオロメタンスルホン酸(TFMS)により脱グリコシル化した。 この脱グリコシル化AGPをラエミリ(Laemmli)(1970)に従い、17.5 %SDS−PAGEで分離した。17.5%SDS−PAGEゲルを200Vで 、上部貯蔵槽中のチオグリコール酸(1mM)を用いて操作し、前後に移動する染 料をゲルの底部に到達させた。このペプチドを、ブロッティング用緩衝液[10 mM3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)緩衝液 (pH11)、15%メタノール、チオグリコール酸(70μl/リットル)] によりPVDF膜上にトランスブロッティングした。このブロッティングは、冷 却しながら90Vで1.5時間行った。このブロットを、50%メタノール、1 0%酢酸中の0.1%コマシーブルーにより5分間染色し、次いで50%メタノ ール、10%酢酸中で5分間脱塩させた。このブロットを蒸留水により一夜にわ たり洗浄し、次いでバンドを削り取り、次いで配列決定した。約20〜30kD の分子量を有する主要バンドが、脱グリコシル化N.アラタAGPから得られた 。 3.配列決定 精製した蛋白質を、逆相HPLC微孔質カラムでクロマトグラフイに付し、次 いで気相セークエンサー(sequencer)で自動式エドマン(Edman)分解に付した[Ma u等によるPlanta,169:184〜191(1986)]。グレゴ等により開示 されたHPLCにより[Grego等によるEur.J.Biochem.,264:857〜8 62(1985)]、フェニルチオヒダントインアミノ酸を分析した。N−末端 アミノ酸配列:A−K−S−K−F−M−I−I−P−A−S−X−T−X−A (配列番号:11)が得られた。 (b)N.アラタおよびN.プラムバギナホリア細胞培養物からの遺伝子のクロ ーン化 1.cDNAの5′−末端のインビトロ増幅 N.アラタ懸濁培養細胞からの総合的RNA(10μg)を、40mM PIP E S(pH6.0)、1mM EDTAおよび0.4M NaClの10μl中 で、1.0pmolの遺伝子特異性放射性プライマーと混合した。この混合物を、8 0℃で5分間加熱し、次いで37°で一夜にわたりインキュベートした。このR NA/プライマー混合物を、エタノールにより沈殿させ、次いで50mMトリス− HCl(pH8.3)、60mM KCl、10mM MgCl2、1mM DTT、 20UのRNアーゼ阻害剤および50UのAMN逆転写酵素を含有する逆転写緩 衝液中に再懸濁した。1時間のインキュベーションの後に、この反応をEDTA の添加により停止させた。このRNAを、RNアーゼで処理することによって分 離し、このプライマー伸長生成物を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精 製した。 このプライマー伸長生成物に、ターミナルトランスフェラーゼによってdGT Pにより尾部を付け(tailed)、次いで(dC)15アダプター プライマーおよ び遺伝子特異性プライマーを用いるPCRによって増幅させた。このPCRは、 次の成分を含有する溶液100μl中で行った:1×PCR緩衝液[100mMト リス−HCl(H8.3)、500mM KCl]、2mM MgCl2、200μM dNTPs、100mgのポリdCプライマー、100〜200ngの遺伝子特異 性プライマーおよび2.5UのTagDNAポリメラーゼ。試料を、5分間沸騰 させることによって変質させ、次いで80°に冷却し、次いでTagDNAポリ メラーゼを添加した。このPCRサイクルは次のとおりであった:25X:93 °、30秒;42°、30秒;72℃、2分;4X:93°、30秒;42°、 30秒;72°、5分および1X:93°、30秒;42°、30秒;72°、 10分。このPCR生成物をサブクローン化し、次いで配列決定した。 2.cDNAの3′−末端のインビトロ増幅 10μgの総合的RNA、1×PCR緩衝液、50mM MgCl2、10mM d NTPs、5μMのdT(17)+アダプター、30UのRNアシンおよび50U のAMV逆転写酵素を含有する溶液20μl容積中で、42°において1時間で cDNAを合成した。このcDNA(2μl)を、この場合のアニーリング温度 が60°であることを除いて、上記のとおりにPCR反応に付した。 3.cDNAライブラリイのPCR断片によるスクリーニング 約5×104pfuファージ/プレート(λzap単位)のcDNAライブラ リイを採取した。37°で一夜にわたり増殖させた後に、ファージを、ニトロセ ルロース膜上にブロッティングし、次いで2×SSPE、1%SDS、0.5% BLOTTO、1%PEGおよび0.5mg/mlキャリヤDNAを含有するハイブ リド形成用緩衝液中で68°において一夜にわたり32P−標識したDNA断片と ハイブリド化した[Sambrook等による上記刊行物(1989)]。この膜を68° において30分間、1×SSC+0.1%SDS中で洗浄し、次いでX−線フィ ルムにさらした。陽性のλzapクローンを、配列分析に係わるストレータゲン (Stratagene)の指示マニュアルに記載のとおりのインビボ切り出しによりプラ スミドDNAに変換した。 4.細胞懸濁培養物からのAGPの精製およびN−末端配列決定 精製したAGPを、TFMSにより脱グリコシル化し、生成するペプチドを、 17.5%SDS−PAGEゲル上で分離し、次いでPVDF膜上にブロッティ ングした。主要バンド(MW:20〜30kD)(図1C)を切り出し、次いで 配列決定に付した。N−末端ペプチド配列:A−K−S−K−F−M−I−I− P−A−S−X−T−X−A(配列番号:11)が得られた。 5.N.アラタcDNAからのAGP遺伝子のPCRによるインビトロ増幅 ペプチド配列に対応する遺伝子のクローン化戦略は、図1Dに例示されている 。当該AGPアミノ酸配列の一部に対応する17bpの2群の縮重逆向きプライ マー(degenerate reverse primer)を合成した(表1.1)。群1プライマーを プライマー伸長実験で使用した場合には(図1D−1)、一重鎖160bpcD NA断片が得られた(図1E)。群1のプライマーを、それぞれが3つの17− マーを含有するように、6種の付属群に分けた(表1.1)。このプライマー伸 長実験は、群NaR1が160bp断片の最高収量をもたらすことを示した。従 って、これをプライマー伸長生成物の引続く大規模調製およびPCR実験におけ る遺伝子−特異性プライマーとして使用した。この160bpプライマー伸長生 成物を精製し、次いでdGTPにより尾部を付けた。この尾部を付けた一重鎖c DNAを次いで、オリゴNaR1およびプライマーとして(dC)15−アダプタ ーを用いるPCRにより増幅させた(図1D−1)。このPCR断片を、サブク ローン化し、次いで配列決定した(配列番号:21;図1E)。この配列は、分 離AGPペプチドから得られた配列(配列番号:11)とマッチする誘導ペプチ ドを包含していた。この配列には、1つのミスマッチが存在していた。すなわち 、ペプチド配列決定から得られたAlaの代わりに、cDNA誘導配列にはAr gが存在していた。この密接なマッチ(8/9アミノ酸)に基づいて、この16 0bp断片は、当該遺伝子の一部に対して正確な配列を示しているものと結論し た。 位置56〜78および101〜123(図1E)に対応する配列:5′CAT TATGGGTCATTTCACTAAGC3′(配列番号:22)(NaF1 );5′GGTGATCTCAACTCCATTGGTGC3′(配列番号:2 3)(NaF2)を有する2種の特異性プライマーを次いで、デザインし、2種 の3′−末端非特異性プライマー(Ad1およびAd2)と組合わせて使用し て、紙合わせPCRによるAGP遺伝子の3′一部分を増幅させた(図1D−2 )。1.6kb断片を増幅させ、次いで配列決定した。これらの2種のPCR反 応から得られた配列の整列は、1679bpのDNA配列をもたらした(図1F )。この160bp断片は、2つのミスマッチ、すなわち1位置Argの代わり にAlaおよび12位置のProの代わりにHisを有する蛋白質配列決定によ り得られたペプチドを含有する蛋白質をコードする(図1F)。 6.N.アラタおよびN.プラムバギナホリアcDNAライブラリからのcDN Aクローンの分離および配列分析 1.6kbPCR断片を使用して、懸濁培養中のN.アラタ細胞から分離され たRNAから作成されたcDNAライブラリイをスクリーニングし、3種の陽性 クローンを分離し、次いで配列決定した。このPCR配列をcDNAにより整列 させて、7bpのポリ(A)尾部を有する1700bp配列を生成させた(図1 F)。この配列をNaAGP1(配列番号:24)と命名する。引続く伸長実験 は、この1.7kbNaAGP1cDNAがAGP転写産物の完全鎖配列を示す ことを示唆した。 このNaAGP1cDNAは、読取り枠をコードする。この読取り枠は、60 位置の開始コドン(ATG)から始まり、1443位置の末端コドン(TAA) で終了する(図1F)。 7.予測AGP遺伝子のノザン法分析およびサザン法分析 このNaAGP1を、翻訳されない部分に相当する5′半分(1〜540)、 トランスメンブラン ヘリックスおよびプロリン−富裕領域、およびアスパラギ ン富裕領城、C−末端および3′翻訳されない部分を包含する3′半分(541 〜1700bp)に切断した。このcDNAのこれらの2部分を別々にプローブ として使用して、N.アラタおよびN.プラムバギナホリアの懸濁培養細胞およ びN.アラタ植物の各種組織から分離されたRNAのノザン法分析を行った[Sa mbrook等による上記刊行物(1989)]。 (c)ニコチアナ プラムバギナホリアの懸濁培養物からのAGPペプチドの分 離および精製 1.N.プラムバギナホリア バイオポリマーからの生の総合的AGPの分離 生の総合的AGPを、ヤリブ沈殿に先立ち、CTAB(ヘキサデシルトリメチ ルアンモニウムブロマイド)沈殿に付して出発物質のペクチン類を除去した後に 、ヤリブ試薬を用いる沈殿により、バオポリマー生成物から生の総合的AGPを 精製した。細胞懸濁培養物からの培地を濾過により細胞から分離し、次いで高分 子量物質を4倍量のエタノールにより沈殿させた。これをバイオポリマー生成物 と称する。 このバイオポリマー生成物(1g)を、1%NaCl溶液(100ml)中に溶 解し、次いで2層のミラクロスに通して濾過した。濾液を遠心処理し(10,0 00xg、10分間)、上清を採取した。等量のCTAB溶液(20mM Na2 SO4中の2%CTAB)を添加した。37°で1時間のインキュベーション後 に、この溶液を2層のミラクロスに通して濾過し、次いで遠心処理(10,00 0xg、20分間)して、全ての残留沈殿を除去した。この上清に4倍量のエタ ノールを添加し、次いで遠心処理(10,000xg、20分間)した。このペ レットを1%NaCl溶液100ml中に溶解し、次いで例2(a)2に記載のと おりに、ヤリブ試薬によりAGPを沈殿させた。この脱塩したAGP試料を、6 Mグアニジニウム−HCl中に溶解し、次いで50°で15分間インキュベート した。この試料を次いで、6M尿素および20mMトリス−HCl(pH8.8) により平衡にしたFPLC スペルデックス(Superdex)75(登録商品名)カラ ムでクロマトグラフイに付した。ボイド(Vo)フラクションを採取し、蒸留水 に対して透析し、次いで凍結乾燥させた。この試料は生の総合的AGPである。 この生の総合的AGPを、2経路のうちの1経路により処理した: 経路1:脱グリコシル化し、次いで逆相HPLCに付し、次いで直接配列決定 するか、または酵素による消化(蛋白質分解)の後に配列決定する。 経路2:逆相HPLC分別に付し、次いで脱グリコシル化し、次いで逆相HP LC分別に付して、さらに分離する。 経路1[この経路は、工程(2)〜(5)からなる] (2)無水HFを用いる生の総合的AGPの脱グリコシル化 AGP試料を減圧オーブン中で40°においてP25の存在の下に乾燥させた ;無水MeOH 0.2mlおよび無水HF 1ml[MortおよびLamportによる Anal.Biochem.,82:289〜309(1977)]を添加し、次いで充分に 混合して、試料の全部を溶解した。この混合物を、室温でアルゴン雰囲気の下に 3時間インキュベートし、次いで減圧吸引によりHFを除去した。氷冷TFA( 0.5ml)を添加し、次いでこの試料を0.1%TFAにより平衡にしたPD1 0カラムで脱塩し、次いで凍結乾燥させた。この試料を、総合的脱グリコシル化 AGPと称する。 (3)総合的脱グリコシル化AGP試料の還元およびカルボキシメチル化 総合的脱グリコシル化AGP試料を、6Mグアニジニウム−HCl(0.2M トリス−HCl、pH8.5および20mM DTT;600μl中)に溶解し、 次いでアルゴン雰囲気の下に2時間、25°でインキュベートした。新しく調製 したヨウド酢酸(100μl)を添加した。この混合物を、25°で3時間イン キュベートし、次いでDTTを100mMまで添加して停止させ、次いで希釈後に 、上記のとおりにクロマトグラフイに付した。 (4)総合的脱グリコシル化AGPのHPLC分離 還元およびカルボキシメチル化の後に、この総合的脱グリコシル化AGPを、 RP−300HPLCカラムにおいて直線勾配(60ml)(0〜100%溶剤B ;流動速度:1ml/分)(溶剤A:水中0.1%TFA、溶剤B:溶剤A中60 %アセトニトリル)を用いて分離した。このプロフィールを図2Aに示す。2つ の主要ピークRT21およびRT32(保有時間:ぞれぞれ21分および32分 )を採取し、さらに分析する。両ピークについてアミノ酸分析を行った(表2. 1参照)。このRT32ピークは、さらに処理することなく、配列決定に付した 。RT21ピークは、テルモリシン消化した後に、配列決定に付した。 (5)RT21のテルモリシン消化 RT21試料(12μg)を濃縮し、次いでツイーン20を添加して、0.0 1%のツイーン20最終濃度を有する最終容積を100μlにした。NH4HCO3 (0.01%ツイーン20中の1%;500μl)、CaCl2(0.1M:7 μl)およびテルモリシン(1mg/ml;7μl)を添加し、この混合物を55°に おいて3時間インキュベートした。この生成物を逆相HPLCで精製し、次いで 配列決定に付した。得られたペプチド配列を図2Aに示す。こ の配列を使用して、クローン化用のプライマーを構築した。RT21からの配列 L−A−S−O−O−A−O−O−T−A(配列番号:26)、L−A−S−O −O−A−O−O−T−A−D−T−O−A(配列番号:27)、F−A−O− S/N−G−G−V−A−L−P−O−S(配列番号:28)、およびI−G− A−A−O−A−G−S−O−T−S−S−P−N(配列番号:29)は、N. アラタ花柱のフラクションRT25から得られた配列と同一であるか、または類 似しており(図4C)、保存されていた組織−非特異性N.アラタ断片を表わし た。 ピーク32は、配列R−K−S−K−F−M−I−I−P−A−S−O−T− O−A−O−T−O−I−N−E−I−S−F(配列番号:30)を有し、その 5′−末端がN.アラタ懸濁培養物から得られたN−末端配列(配列番号:1) と非常に密接にマッチしていた。 経路2[この経路は、工程(6)〜(8)からなる] (6)生の総合的AGPのHPLC分別 生の総合的AGP試料を、6Mグアニジニウム−HCl中に溶解し、50°で 15分間放置した。この試料を次いで、逆相HPLC(RP−300;4.6mm ×10cmカラム)において直線勾配(60ml)(0〜100%溶剤B;流動速度 :1ml/分)(溶剤A:水中0.1%TFA、溶剤B:溶剤A中60%アセトニ トリル)を用いて、分別した。この分離から多くの主要ピークが得られた。これ らのピークはいずれも、ゲル拡散試験でヤリブ試薬と反応した(van Holstおよ びClarke、1985)(未結合、RT5、RT6、RT10、RT21〜23お よびRT34)(図2.2)。各フラクションを、バンホルストおよびクラーク (1985)により開示されたとおりにして[van HolstおよびClarke、198 5]、AGP含有量について定量した。生のAGPの各フラクションのアミノ酸 分析を表2.1に示す。 (7)HPLCからの生のAGPフラクションの脱グリコシル化 逆相HPLCからの生のAGPフラクション(図2B)をそれぞれ、上記した とおりに、無水HFを用いて脱グリコシル化した。 (8)脱グリコシル化AGPのHPLC分離 脱グリコシル化の後に、各試料を還元し、次いでカルボキシメチル化し、引続 いて逆相HPLC分離に付した(図2Cおよび2D)。得られたフラクションを 保存し、引続いて配列決定に付した。 例3 P.コムニス懸濁培養細胞からのAGPの蛋白質幹鎖をコードする遺伝子のク ローン化(PcAGP23クローン) (a)ピルス コムニス(セイヨウナシ)細胞培養物からのAGPペプチドの分 離および精製 1.ピルス コムニス(セイヨウナシ)バイオポリマーからの生の総合的AGP の分離および精製 総合的AGPを、例2(c)1にニコチアナ プラムバギナホリアのAGPに 関して記載されているとおりに、セイヨウナシ バイオポリマーからのヤリブ沈 殿により精製した。このAGPを脱グリコシル化し、生成するペプチドを逆相H PLC(RT−300)(経路1)により分離した。別法として、この生の総合 的AGPを、逆相HPLC(RT−300)(経路1)により分離し、脱グリコ シル化し、テルモリシンにより消化し、次いでこのペプチドを配列決定用に精製 した。 経路1[この経路は、工程(2)および(3)からなる] (2)配列決定用総合的脱グリコシル化AGPのHPLC分離 生の総合的AGPを、HFを用いて脱グリコシル化した。この試料を、例2( c)2に記載のとおりに、還元し、カルボキシメチル化し、次いで逆相HPLC (RT−300)により分離した。このプロフィールを図3Aに示す。主要ピー クのアミノ酸分析を表3.1にまとめて示す。 (3)C18微孔質カラムにおけるテルモリシン消化ピークの分離 脱グリコシル化したAGPフラクション(図3Aからの未結合、RT16.4 およびRT18.2)を、テルモリシン消化に付した。この生成物をRP−30 0カラムにおいて、直線勾配(6ml)(0〜100%B;流動速度:0.1ml/ 分)(溶剤A:水中0.1%TFA、溶剤B:溶剤A中60%アセトニトリル) を用いて、分離した。未結合フラクションは、消化後も未結合のままであった、 すなわちRP−300カラムに結合したペプチドは得られなかった。この消化R T16.4に係わるRT−300プロフィールを図3Bに、そしてRT18.2 に係わるRT−300プロフィールを図3Cに示す。 テルモリシン消化したRT16.4(図3A)からの各ピーク(ピーク1〜5 、図3B)を、C18微孔質カラム(2.1mm×10cm)で分離し、直線勾配( 50ml、0〜100%B;流動速度:0.1ml/分)(溶剤A:1%NaCl、 溶剤B:100%アセトニトリル)を用いて溶離した。これらのピークを、同一 カラムにおいてTFA−アセトニトリル系(溶剤A:0.1%TFA、溶剤B: 溶剤A中60%メタノール;0.1ml/分で60分間で0〜100%B)を用い てさらに分離した。これらのピークをさらに分離させる溶剤系はなかった。これ らのピークのうちの3ピーク(ピーク1、3および5)は、アミノ酸配列決定に 付した。ピーク1は、純粋ペプチドであり、明確な配列L−S−O−K−K−S −O−T−A−O−S−O−S−(S)−T−O−O−T−(T)(配列番号: 31)を有していた。ピーク3および5は、単一のペプチドではなく、少なくと も2列の配列が、未確実なこれらの2ピークのそれぞれから得られた。ピーク3 は、配列:V/A−A/T−A−O−S/O−O/Y−S−S−T/A−X−O −S−A−T−X−T−X−X−V−A(配列番号:32)を有し、一方ピーク 5は、配列:V/A−A−D/A/O−S/O−T/O/K−O−S/O−P− Q−S(配列番号:33)を有していた。 テルモリシン消化RT18.2からの各ピーク(ピーク1〜5、図3C)を、 RT16.4について上記したとおりにして分離した。一連のペプチドが得られ 、これらペプチドの配列を決定した: 最後の配列は、RT16.4のピーク1から得られた配列と同一である。 経路2[この経路は、工程(4)〜(7)からなる] (4)逆相HPLCによる生の総合的AGPの分別 生の総合的AGP試料を、基本的に例2(c)2〜4に記載のとおりにして、 逆相HPLCにより分離した。この分離から、多数の主要ピークが得られた。こ れらのピークは全て、ゲル拡散試験でヤリブ試薬と反応した(van HolstおよびC larke、1985)(未結合、RT7.8、RT17.2およびRT19.1) (図3D)。未結合フラクションおよびRT7.8フラクションのアミノ酸分析 を表3.1に示す。 (5)HPLCからの生のAGPフラクションの脱グリコシル化 逆相HPLCからの生のAGPフラクションのそれぞれを、例2(c)(7) と同様に、無水HFを用いて脱グリコシル化した。 (6)脱グリコシル化AGPのHPLC分離 脱グリコシル化後に、各試料を前記のとおりに還元し、カルボキシメチル化し 、次いで逆相HPLC(RP−300)で分離した。各試料のプロフィールを図 3Eおよび図3Fに示す。図3Fの主要ピークRT−16〜19は、図3Fのピ ークRT16〜19.9の群と同様の保有時間を有する。これらのピークは、一 成分からあるいは密接に関連する一群の成分から生じることがある。 (7)脱グリコシル化セイヨウナシAGPのテルモリシン消化 図3EからのピークRT23を、テルモリシンで消化し、生成するペプチドを 逆相HPLC(RP−300)で精製した。6種のペプチドを選択し、配列決定 し、下記のアミノ酸配列を得た(これは、図3にも示されている): (b)P.コムニス細胞懸濁培養物からの遺伝子のクローン化 N.アラタおよびN.プラムバギナホリアからの遺伝子のクローン化に関して 記載の方法と基本的に同様の方法および処理に従い、P.コムニスからのAGP 遺伝子を得た。 L−V−V−V−V−M−T−P−R−K−H(配列番号:41)配列(図3 Dおよび3E)に対応する一連のプライマーを、PCR実験用にデザインし、合 成した(表3.2)。NaAGP1遺伝子のクローン化に使用された方法と同一 の組合わせPCR方法を使用して、上記ペプチドをコードする遺伝子をクローン 化する。ただし、この場合のアニーリング温度は、52℃であった。第一プライ マーとしてPcA23F1を、そして第二プライマーとしてPcA23F2aを 使用する2回のPCR反応の後に、350−bp断片を増幅させた。この断片を 配列決定に付し、正確なペプチド配列をコードすることが見出された(配列番号 :48;図3G)。 このPCR断片を使用して、N.アラタ細胞懸濁物に関して上記されていると おりに、セイヨウナシ細胞懸濁培養物からのmRNAから作成されたcDNAラ イブラリイをスクリーニングした。1つの陽性クローン(PcAGP23)を分 離し、配列決定した(配列番号:49;図3H)。このクローンは、760bp の挿入体を含有しており、かつまたPCR配列とマッチしていた。 例4 ニコチアナ アラタの花柱からのAGPペプチドをコードする遺伝子のクロー ン化 (a)ニコチアナ アラタの花柱からのAGPペプチドの分離および精製 N.アラタの生の総合的AGPを、イオン交換クロマトグラフイ(IEC)お よびゲル濾過クロマトグラフイ(GFC)により精製した。これらのAGPを次 いで、HFにより脱グリコシル化し、次いで逆相HPLCにより分別した。これ らの脱グリコシル化フラクションをテルモリシン消化した後に、ペプチド配列デ ータを得た。 1.生の総合的AGPの精製 花柱(柱頭を含む花柱500〜1000)を、新鮮なまま採取するか、または −70℃で貯蔵した。この花柱を液体窒素の存在の下に、ポリビニルピロリドン (1%重量/容量)とともに粉砕し、次いで抽出緩衝液(50〜100ml;10 0mMトリス、pH8.1、1mM EDTA、1mM β−メルカプトエタノール) を添加した。この混合物を遠心処理し(10,000xg、20分間)、細胞残 査を廃棄した。この抽出物を4°で95%硫酸アンモニウムに取り、遠心処理し (10,000xg、20分間)、次いで上清を採取し、ジアフロ(Diaflo)系 (YM−30膜、Mr30kD排除)を使用する限外濾過により約10〜20ml にまで濃縮した。この溶液を10mMトリス(pH8)で平衡にしたPD−10カ ラム(Pharmacia)で脱塩した。この試料をFPLCモノ(Mono)Qカラムに適用 した(Pharmacia;緩衝液A:10mMトリスpH8;緩衝液B:10mMトリスp H8、1M NaCl;勾配:0〜30%B、15分間、30〜100%B、0 .1分間)。結合したAGPフラクションを各試料に対するヤリブ試薬ゲル拡散 試験により検出した;AGP含有フラクションは約5〜15%緩衝液Bにより溶 離した(図4A)。AGPフラクションを集め、PD−10脱塩カラムを用いて 10mM NH4HCO3中に平衡化し、凍結乾燥させ、次いで6M尿素、10mMト リスpH8中のスペロース6βカラム(Pharmacia)でさらに精製した(図4B) 。AGP含有フラクションを上記と同様に、10mM NH4HCO3中に交換し、 次いで凍結乾燥させた。 この精製操作中の花柱AGPの回収は次のとおりである:粗製花柱抽出物(花 柱1000)、100%;95%(NH4)2SO4−上清、68.2%;モノQア ニオン交換カラム、未結合AGP5.4%、結合AGP44.5%、スペロース 6ゲル濾過カラム、25.4%。相違する精製段階で、AGPの存在が、SDS −PAGEゲルで証明される(図4N)。この分別中の、N.アラタの花柱から の交差−電気泳動を図4Oに示す。 2.生の総合的AGPの脱グリコシル化およびペプチドの配列決定 脱グリコシル化、ペプチド分裂および配列決定は、例2(c)2に記載のとお りに行った。脱グリコシル化の後に、2つの主要ピーク、RT25およびRT3 5(図4C)および未結合フラクションが得られた。各フラクションおよび生の 物質のアミノ酸分析を表4.1に示す。各フラクションを、テルモリシンにより 消化した。未結合フラクションから、RP−300カラム(2.1×100mm) に結合したペプチドは得られなかった。RT25からの3つの配列、F−A−O −S−G−G−V−A−L−P−O−S(配列番号:50)、L−A−S−O− O−A−O−O−T−A−D−T−O−A(配列番号:51)およびI−G−S −A−O−A−G−S−O−T−S−S−P−N(配列番号:53)は、N.プ ラムバギナホリアからのRT21について得られた配列(それぞれ配列番号:2 7〜29)と密接にマッチしていた。四番目のフラクションは、配列I/V−G /S−A/S−A/O−O/S−A/Q−G/S−S/O−O/S−T/A−S /A−S/A−P−O(配列番号:52)を示した。 このRT25蛋白質幹鎖でN−末端配列は得られなかったことから、ピログル タメートアミノペプチダーゼを使用して、N−末端ブロック ピログルタメート 残基を分離し[100mMリン酸カリウム緩衝液pH8、10mM EDTA、5mM DTT、5%グリセロール中で、37℃において一夜にわたり20μgピログル タメートアミノペプチダーゼ(Boehringer Mannheim)を使用した;脱ブロック蛋 白質はRP−HPLCにより分離し、次いでアミノ酸配列決定を行った]、配列 Ala−Hyp−Glyを得た。このRT25幹鎖はまた、テルモリシンで処理 することによっても分裂させた[テルモリシン(Boehringer Mannheim)を0.2 μg/μg蛋白質の量でRT25蛋白質幹鎖(2〜10μg)に添加し、次いで 1%重炭酸アンモニウム、pH7.8、1mM CaCl2および0.01%ツイ ーン20の500μl中で55℃において2時間インキュベートした]。生成す るペプチドをRP−HPLCにより分離した。6つの主要ペプチドが得られた( 図4I)。ピーク2は、アミノ酸配列VSAOSQSOSTAA(配列番号:6 7)、ならびにIGSAOAGSOTSSPN(配列番号:53)およびIGS AOAGSO(配列番号:53を含有)を示した。ピーク3は、配列LASOO AOOTADTOA(配列番号:51)を与え、およびまたピーク5は、配列F AOSGGVALPOS(配列番号:50)を与えた。これらの配列は両方とも に、Hyp、SerおよびAlaに富裕であった(53アミノ酸残基の33)。 エンドプロテイナーゼAsp−N(Sigma;0.1μg/μg蛋白質)をまた使 用して、RT25蛋白質幹鎖を、そのAsp残基の部位で分裂させ[1%重炭 酸アンモニウム、pH7.8、および0.01%ツイーン20の500μg中で 30℃において一夜]、次いでRP−HPLCにより分離した。2つの主要ペプ チドが生成された(ピークA1、A2;図4J)。これらのピークはRT25蛋 白質中には1個のみのAspが存在することを示した。この分裂は、出発物質の 存在により示されるように、不完全であった。最初に溶離されたペプチド(ピー クA1)はブロックされたN−末端残基を示唆する配列データを与えなかった。 A2ピークは、配列DTOAFAOSGGVAL(配列番号:68)を与えた。 A2のペプチド配列(図4J)は、ピーク3の配列(図4I)の配列(配列番号 :51)と重なっており(図4J)、26残基の連続アミノ酸配列LASOOA OOTADTOAFAOSGGVALPOS(配列番号:69)を生成した。N .アラタ花柱のRT35ピークから下記の4配列が得られた: これらの配列のうちの3つは、配列T−A−I−N−T−E−F−G−P(配 列番号:58)を有することを特徴としていた。 3.J539アフィニティクロマトグラフイによる花柱AGPの精製 AGPは、バシック等に従い[Bacic等によるPhytochem.,27:679〜6 84(1988)]、花柱から調製した。試料を、例1(b)に記載のとおりに 、TFMSにより脱グリコシル化し、分離し、次いでPVDF膜上にブロッティ ングした。N.アラタ懸濁培養細胞からのヤリブ沈殿により調製された主要バン ドと同一位置に現れる30kDバンドを配列決定に付した。配列A−V−F−K −N−K−X−X−L−T−X−X−P−X−I−I(配列番号:59)が得ら れた。 (b)N.アラタ花柱からの遺伝子のクローン化 1.cDNAの3′−末端のインビトロ増幅 cDNAは、N.アラタからの総合的花柱RNAを含有する溶液20μl、1 ×PCR緩衝液[10mMトリス−HCl(pH8.3)、50mM KCl]、5 mM MgCl2、1mM dNTPs、5μMのdT(17)+アダプター、30UのR Nアシンおよび50UのAMV逆転写酵素中で、42°において1時間で合成し た。このcDNA(2μl)を、ポリメラーゼ鎖形成反応に付した。1×PCR 緩衝液、1.5mM MgCl2、200μM dNTPs、30pmolの遺伝子−特 異性プライマー(図1.2)、30pmolのアダプタープライマーおよび2.5U のTaqDNAポリメラーゼを含有する溶液100μl中で行った。試料を、9 4°で2分間変性させ、次いで80°に冷却し、次いでTaqDNAポリメラー ゼを添加した。このPCRサイクルは次のとおりであった:35X:94°、3 0秒;52°、30秒;72°、1分30秒。このPCR生成物をサブクローン 化し、次いで配列決定に付した。 2.PCR断片によるcDNAライブラリイのスクリーニング 約5×104pfuファージ/プレート(λzap単位)のcDNAを取出し た。37℃で一夜の後に、ファージをニトロセルロース上にブロッティングし、 次いで0.22M NaCl、15mM NaH2PO4、1.5mM EDTA、1 %SDS、1%BLOTTOおよび4mg/mlキャリアDNAを含有するハイブリ ド形成用緩衝液[Sambrook等による上記刊行物(1989)]中で、65°にお いて一夜にわたり、32P−標識したPCR断片とハイブリド形成させた。この膜 を、65°において0.2×SSCおよび1%SDSにより洗浄し、次いでX− 線フィルムにさらした。陽性のλzapクローンを、Stratageneの指示マニュア ルに記載のとおりのインビボ切り出しによりプラスミドDNAに変換し、次いで 配列決定に付した。 3.AINTEFG配列に基づく遺伝子特異性プライマーのデザイン 例2(c)2、37〜38頁に記載されているように、この精製AGPをHF により脱グリコシル化し、生成するAGP幹鎖を、逆相HPLCにより分離した 。2つの主要ピーク、すなわち脱グリコシル化後に得られたRT25およびRT 35、ならびに未結合フラクションが得られた。プロテアーゼ消化の後に、両ピ ークからアミノ酸配列が得られた。ピークRT35からの4つのペプチド配列の うちの3つは、配列:TAINTEFGP(配列番号:58)を含有する。配列 : AINTEFG(配列番号:60)に基づき、縮重オリゴヌクレオチドを合成し た。合成されたRT−特異性プライマーは、次の配列を有していた: ここで、Iはイノシン残基である。 (a)N.アラタcDNAからのAGP遺伝子のPCRによるインビトロ増幅 RT35ペプチド配列をコードする遺伝子のクローン化戦略は、図4Dに例示 されている。RT35−特異性プライマーを、ポリメラーゼ連鎖反応でアダプタ ー プライマーと組合せて使用し、一重鎖380bpDNA断片を得た。このP CR断片をサブクローン化し、次いで配列決定した(配列番号:62、図4E) 。この配列は分離AGPペプチドから得られた配列とマッチする誘導ペプチドを 包含していた。 (b)N.アラタからのcDNAクローンの分離および配列決定 380bpPCR断片(配列番号:62、図4E)を使用して、N.アラタ花 柱から分離されたRNAから作成されたcDNAライブラリイをスクリーニング し、1つの陽性クローンを分離し、次いで配列決定に付した(配列番号:63、 図4F)。 (c)Na35−1遺伝子のノザン法分析 Na35−1PCR断片をプローブとして使用して、N.アラタ植物の各種部 分(図4G)、L.ペルビアナム(L.pleuvianum)(トマト)花柱およびN.アラ タ、N.プラムバギナホリアおよびセイヨウナシの懸濁培養細胞(図4H)から 分離したRNAのノザン法分析を行った[Sambrook等による上記刊行物(198 9)]。Na35−1プローブを、Na35−1cDNAの鎖長に対応する80 0ヌクレオチドの花柱転写産物にハイブリド化した。ノザン法分析のより長い露 出は、この植物の別の部分(すなわち、葉、茎、根)における如何なるシグナル も現わさなかった。このシグナルの強度は、N.アラタの表現型の相違により異 なっていた。最強のシグナルは、S66花柱からのRNAで検出された。ト マト花柱または懸濁培養細胞からは、同一ペプチドは検出されなかった(図4H )。 4.TADTOAF配列に基づく遺伝子−特異性プライマーのデザイン (a)オリゴヌクレオチドのデザインおよび合成 20ヌクレオチド長さの遺伝子−特異性プライマーを、配列番号:50、51 、53、67および68の重複ペプチド配列に従いデザインした。以下に示すよ うに、縮重度を減少させるために、イノシンを使用した: このオリゴヌクレオチドは、アプライド バイオシステムス DNA シンテ サイザー(Applied Biosystems DNA synthesizer)(モデル391、ABI)で 合成した。 (b)cDNAの3′−末端の迅速増幅(3′RACE) 総合的AGPを、マックレア等により開示されたとおりにして[McClure等に よるNature,342:955〜957(1990)]、N.アラタ花柱から分離 した。10mMトリス−HCl、pH8.3、50mM KCl、5mM MgCl2 、1mM dNTPs、5μMのdT(17)+アダプター、30UのRNアシンおよ び50UのAMT逆転写酵素(Promega)を含有する溶液20μl中で、42℃にお いて1時間で、相補性DNAを総合的花柱RNA(5μg)から合成した。cD NA(2μl)を、10mMトリス−HCl、pH8.3、50mM KCl、1. 5mM MgCl2、200μM dNTPs、30pmolの遺伝子特異性プライマー 、30pmolのアダプタープライマーおよび2.5UのTaqDNAポリメラーゼ (Perkin Elmer-Cetus)を含有する溶液100μl中でポリメラーゼ連鎖反応( PCR)に付した。試料を、96℃で2時間変性させ、次いで80℃に冷却し、 次いでTagDNAポリメラーゼを添加した。このPCRサイクルは次のとおり であった:35x:96℃、45秒;55℃、45秒;72℃、1分。このPC R生成物(400bp)をクローン化し、次いでアプライド バイオシステ ムス DNA セークエンサー(Applied Biosystems DNA sequencer)(モデル 373A、ABI)で配列決定した。このPCRクローンからの推定アミノ酸配 列は、分離AGP配列、すなわち配列番号:50、51、53、67、68にマ ッチしていた。 (c)cDNAライブラリイのスクリーニング 花柱cDNAライブラリイ(λZAP II:Stratagene)は、N.アラタの花 柱(接触後の6週間)からのmRNA(S66)を使用して、ジョウキン ロヨ 博士(Dr.Joaquin Royo)により構築された[Plant Cell Biology Research Ce nter,School of Botany,The University of Melbourne,Parkvill,Australia (PCBRC)]。このcDNAライブラリイ(300,000pfu)を取り 出し、製造業者の指示に従い、ハイボンド−N(Hybond−N)ナイロン膜(Amer sham)上にブロッティングした。PCR断片を、32P−dCTPで108cpm /μgまで標識した。ハイブリド形成は、0.22M NaCl、15mM Na H2PO4、1.5mM EDTA、1%SDS、1%BLOTTOおよび4mg/ml ニシン精子DNA中で、55℃で一夜にわたり行った。この膜を室温において2 ×SDS、1%SDS中で2×10分間、次いで55℃において0.2×SDS 、1%SDS中で2×10分間、洗浄した。陽性のλZAPクローンを、インビ ボで切り出し(Stratagene)、次いでDNA配列を分析した。このRT25蛋白 質幹鎖をコードするクローンを、AGPNa1 1cDNAと命名した。このヌ クレオチド配列および推定蛋白質配列を、PC/遺伝子ソフトウエアー(Intelli Genetics)を用いて分析した。 (d)RNAブロット分析 RNAブロット分析(Blot analysis)を、サムブロック等により開示されたと おりに行った[Sambrook等による上記刊行物(1989)]。ハイブリド形成お よび洗浄条件は、AGPNa1 1cDNAをプローブとして使用し、かつまた ハイブリド形成を60℃において行う以外は、前記と同一であった。 例5 アンチセンスRNAプローブを使用するP.コムニスからのAGP遺伝子のク ローン化 [1.]PcAGP9cDNAクローン(配列番号:66) (a)ピルス コムニス(Pyrus communis)(セイヨウナシ)の細胞培養物から のAGPペプチドの分離および精製 例3(a)に記載の方法と基本的に同一の方法に従い、AGPペプチド断片の アミノ酸配列を得た。この配列:A−K−S−O−T−A−T−O−O−T−A −T−O−O−S−A−V(配列番号:37)を対応するAGP遺伝子の分離の 対象として選択した。 (b)配列番号:37をコードするセイヨウナシAGP遺伝子のクローン化 本発明の前記例(例2、3および4)では、分離AGPペプチド断片のヒドロ キシプロリン−貧弱配列を利用して、GCに富んでいないオリゴヌクレオチドプ ライマーを合成することによって、AGP遺伝子を分離した。これに対して、こ の例(例5)では、ヒドロキシプロリン−富裕ペプチド配列を利用して、アンチ センスRNAプローブを構築した。 2種のオリゴヌクレオチド(AF1T3)および(AR2T7)の配列を使用 して、表5.1に示されているGC−富裕プローブを構築した。 アンチセンスRNAプローブは、T7RNAポリメラーゼ(Promega)を使用す ることによってPCR断片から合成し、セイヨウナシ細胞懸濁物から調製された cDNAライブラリイのスクリーニングに使用した。ハイブリド形成は、2×S SPE、1%SDS、0.5%BLOTTO、50%ホルムアミドおよび0.5 mg/ml変性ニシン精子DNA中で、40℃で行った。一夜にわたるハイブリド形 成の後に、このリフトを、先ず室温において2×SDS、1%SDS中で2×1 0分間、次いで55℃において2×SSC、0.1%SDSにより、次いで50 ℃で30分間、同一緩衝液により洗浄した。このリフトをさらに、50℃におい てさらに30分間、1×SSC、1%で洗浄した。3種のDNAクローンを分離 し、次いで配列決定した。最長cDNAクローンの配列(配列番号:66)を、 図5Aに示す。 [2.]PcAGP2cDNAクローン(配列番号:91) (a)ピルス コムニス(セイヨウナシ)の細胞培養物からのAGPペプチドの 追加の精製 セイヨウナシ細胞培養物中のAGPを、例3(a)に記載のとおりのβ−グル コシルヤリブ試薬による沈殿およびHPLCによる分別により精製した。この精 製生成物の流動様相を、図5Dに示す。図5D−Aの主要ピークは、カラムに装 填されたAGPの約27%に相当する。この主要ピークを採取し、同一カラムに 再適用した。浅い勾配で溶離すると、2つのピーク(フラクション1および2) に分割された(図5D−B)。フラクション1中のAGPは、例3および例5[ 1]に記載されている。 フラクション2(図5D−B)を、スペロース−6FPLCでサイズ排除分別 に付し、2成分、ピーク2Aおよび2Bに分割した(図5D−C3)。ピーク2 中の物質のN−末端配列は、配列AEAEAXTXALQVVAEAXEL(配 列番号:74)を与えた。 ピーク2Aおよび2B中のAGPは、別々に脱グリコシル化し、生成する蛋白 質幹鎖を、サイズ排除FPLCにより分離した(図5D−D1〜4)。ピーク2 Bは、10kの分子量を有する1つの蛋白質幹鎖をもたらした。ピーク2Aは、 54kおよび10kの分子量を有する2つの蛋白質ピークをもたらした。この5 4k蛋白質幹鎖のN−末端アミノ酸配列は、配列TOAOA(配列番号:75) を与え、他方ピーク2B中の10k蛋白質幹鎖は、配列AEAEAOTOALQ VVAEAOEL(配列番号:76)を与えた。 10kおよび54k蛋白質幹鎖を別々に、テルモリシンにより消化し、生成す るペプチドをRP−HPLCにより精製し、次いで配列決定に付した。ピーク2 Aの54k蛋白質からは8種のペプチド配列が得られ、そしてピーク2B中の1 0k蛋白質からは3種のペプチド配列が得られた(表3.6)。ピーク2B中の 10k蛋白質に係わり、これら3種の配列のうちの2種とN−末端配列は重なっ ており、配列AEAEAOTOALQVVAEAOELVOTOVOTOSY( 配列番号:88)を与えた。 (b)10k蛋白質幹鎖をコードするcDNAの分離 10k蛋白質幹鎖をコードするcDNAのクローン化操作は、PcAGP9c DNAのクローン化に使用された操作と基本的に同一であった。この1040b pのコンセンサス配列を図5Eに示す。このcDNAをPcAGP2と称する。 例6 ゲノムAGP遺伝子のクローン化および発現 (a)ゲノムAGP遺伝子のクローン化およびAGPプロモーター領域の同定 基本的に、cDNAクローンの分離に用いた方法を使用して、植物AGPのゲ ノムクローンを得た。可能な場合には、AGPcDNAを使用して、ゲノムライ ブラリイをスクリーニングする。N.アラタおよびN.プラムバギナホリアの懸 濁培養細胞からのゲノムAGPクローンの分離を説明する下記の方法は、所望の 植物細胞からのゲノムAGP遺伝子の分離に適応できる一般的方法である。 AGPゲノムクローンを分離するためには、N.アラタおよびN.プラムバギ ナホリアの懸濁培養細胞からゲノムDNAを分離し、次いでSau3AIにより 部分的に消化する。グリセロール勾配の下での超遠心分離によるサイズ選別の後 に、サイズ10〜23kbのDNA断片を、λDash(Stratagene)のような ベクター中にリゲートして、ゲノムライブラリイを作成する。このライブラリイ を次いで、NaAGP1cDNAおよびNpAGP1cDNAによりそれぞれス クリーニングして、相当するゲノムクローンを分離する。生成するゲノムクロー ンを、サザン法により分析し、若干のクローンを配列決定に付す。このAGP遺 伝子のプロモーター領域を次いで、DNA配列から同定する。 (b)組換え遺伝子構築 二重鎖DNA型に存在する植物遺伝子の発現は、RNAポリメラーゼ酵素によ るDNAの一本鎖からのメッセンジャーRNA(mRNA)の転写を包含し、こ のmRNAの引続く処理は主として、その核の内部を転写する。この処理には、 RNAの3′−末端にポリアデニレートヌクレオチドを付加する3′−転写され ない領域が包含される。DNAのmRNA中への転写は、プロモーターにより調 節される。このプロモーター領域は、RNAポリメラーゼを発信して、DNAと 会合し、RNAの対応する鎖を形成するための鋳型としてDNA鎖の1本を使用 するmRNAの転写を開始させる塩基配列を含有する。 植物細胞で活性である多くのプロモーターが、刊行物に記載されている。これ らには、ノパリンシンターゼ(NOS)およびオクトピンシンターゼ(OCS) プロモーター[これらのプロモーターは、アグロバクテリウム ツメファシエン ス(Agrobacterium tumefaciens)の腫瘍−誘発性プラスミド上に担持させる]、 カリフラワー モザイク ウイルス(Cauliflower Mosaic Virus)(CaMV) 19Sおよび35Sプロモーター、リボース ビス−ホスフェート カルボキシ ラーゼ(ssRUBISCO)の小型サブユニットからの光−誘発性プロモータ ーおよびマンノピン シンターゼ(MAS)プロモーターが包含される[Velten & SchellによるNoul.Acids Res.,13:6981〜6998(1985)]。 これらのプロモーターは全部が、植物において発現される各種のDNA構築物の 創造に使用されている(例えばPCT公開WO84/02913参照)。 公知の、あるいは植物細胞においてRNAを転写することが見出されているプ ロモーターを、本発明で使用することができる。このようなプロモーターは、植 物または植物ウイルスから得ることができ、これらに制限されないものとして、 CAMV35Sプロモーターおよび植物遺伝子、例えばssRUBISCO遺伝 子から分離されるプロモーターが包含される。選択された特定のプロモーターは 好ましくは、有効量の蛋白質を生産する結果をもたらすのに充分の発現を生じさ せることが可能であるべきである。 本発明のDNA構築(すなわち、キメラ植物遺伝子)に使用されるプロモータ ーは、所望により、修飾して、それらの制御特性に影響を与えることができる。 例えば、CaMV35Sプロモーターは、光の不存在の下にssRUBISCO の発現を示すssRUBISCO遺伝子の部分にリゲートして、葉では活性であ るが、根では活性ではない、プロモーターを生成させることができる。生成する キメラプロモーターは、本発明で使用することができる。これを説明するために 、「CaMV35S」プロモーターの用語には、CaMV35Sプロモーターの 変種、例えばオペレーター領域、無作為または制御変異誘発物質などとのリゲー ションにより誘導されるプロモーターが包含される。さらにまた、これらのプロ モーターは、遺伝子発現を高めるために、多数の「エンハサー配列」を含有する ように変えることもできる。 本発明のDNA構築物により生成されるRNAはまた、5′−翻訳されないリ ーダー配列を含有する。この配列は、当該遺伝子が発現されるように選択された プロモーターから誘導することができ、そしてmRNAの翻訳が増大されるよう に特別に修飾することができる。この5′−翻訳されない領域はまた、ウイルス RNAから、適当な真核遺伝子から、あるいは合成遺伝子配列から得ることがで きる。本発明は、例に従って説明されている構築物に制限されるものではない。 むしろ、翻訳されないリーダー配列は、ウイルスコート蛋白質に対するコード配 列の翻訳されない領域の5′−末端の一部、あるいはプロモーター配列の一部で あることができ、あるいはいずれかの場合の無関係プロモーターまたはコード配 列から誘導することもできる。好ましくは、翻訳コンセンサス配列と一致する開 始部位の側面に位置する配列は、コザック(Kozak)により報告されている翻訳開 始を強化する役割を果たす[Nature,308:241〜246(1984)]。 本発明のDNA構築物はまた、植物における遺伝子の性能を強化するために、 変えられている修飾構造コード配列または完全合成構造コード配列を含有する。 例えば、この強化方法を適用して、植物AGP蛋白質をコードする修飾遺伝子お よび完全合成遺伝子をデザインすることができる。本発明の構造遺伝子は場合に より、アミノ−末端クロロプラスト変異ペプチド(chloroplast transit peptide )または分泌シグナル配列などを含む融合蛋白質をコードすることができる。 本発明のDNA構築物はまた、3′−翻訳されない領域を含有する。この3′ −翻訳されない領域は、植物においてウイルスRNAの3′−末端にポリアデニ レートヌクレオチドを付加させる機能を果たすポリアデニレート化シグナルを含 有する。適当な3′−領域の例には、(1)アグロバクテリウム腫瘍−誘発性( Ti)プラスミド遺伝子、例えばノパリンシンターゼ(NOS)遺伝子のポリア デニル化シグナルを含有する3′−転写され、翻訳されない領域、および(2) 大豆貯蔵蛋白質(7S)遺伝子およびRuBPカルボキシラーゼ(E9)遺伝子 の小型サブユニットがある。好適な3′−領域は、7S遺伝子からのものである 。 (c)植物形質転換 本発明の構造コード配列を含有するキメラ植物遺伝子は、いずれか適当な方法 により植物のゲノム中に挿入することができる。本発明の実施に使用するのに適 する植物には、これらに制限されないものとして、大豆、綿、アルファルファ、 脂肪種子セイヨウアブラナ、γlax、トマト、サトウダイコン、ヒマワリ、ジ ャガイモ、タバコ、トウモロコシ、米および小麦が包含される。適当な植物形質 転換ベクターには、アグロバクテリウム ツメファシエンスのTiプラスミドか ら誘導されるもの、および例えば次の刊行物に記載されているものが包含される :Herrera-Estrella等によるNature,303:209(1983);Bevan等に よるNature,304:184(1983);Klee等によるBio/Technology,3 :637〜642(1985)およびEPO公開120,516。アグロバクテ リウムの根−誘発(Ri)プラスミドまたはTiから誘導される植物形質転換ベ クターに加えて、別の方法を使用して、本発明のDNA構築物を植物細胞に挿入 することができる。このような方法には、例えばリポソーム、エレクトロポレー ション(electroporation)、遊離DNAの取り込みを増加させる化学物質、微小 物質拡大性ボンバードによる遊離DNAの供給、およびウイルスまたは花粉を用 いる形質転換の使用が包含される。 例えば、双子葉植物の形質転換に慣用のTiプラスミド カセット ベクター は、強化CaMV35Sプロモーターおよびベータ−コングリシニンのアルファ −プライムサブユニットをコードする大豆遺伝子からのポリアデニル化シグナル を包含する3′−末端からなることができる。遺伝子挿入のための、多数の制限 部位を有するマルチリンカーを、これら2つの要素の間に配置させることができ る。 (d)形質転換された細胞系によるAGPの過剰生産および過少生産 植物細胞系は全部が、多分、総構造複合炭水化物の約2〜10%(重量/重量 )のレベルで、いくらかのAGPを生産することは一般に認識されている[Show alterによるPlant Cell,5:9〜23(1993)]。これらの天然植物細胞 は全部が、転写、翻訳およびグリコシル化AGPを天然産物として生産する翻訳 後処理に関係する調節因子(プロモーター、エンハサー、酵素など)を含有する 。グリコシル化は、(a)プロリンをプロリルヒドロキシラーゼによりヒドロキ シル化する工程、(b)独特のβ−Hyp−ガラクトシルトランスフェラーゼを 用いるガラクトシル化工程、(c)各結合タイプに対して別々のガラクトシルト ランスフェラーゼによるガラクトース鎖の付加工程、および(d)アラ ビノシルトランスフェラーゼによるアラビノースの付加工程からなる。従って、 培養植物細胞(例えば、双子葉植物または単子葉植物)を、異種組換え遺伝子断 片により形質転換させることができ、そして非グリコシル化AGPの過剰生産ま たは過少生産に使用することができる。或る場合には、双子葉植物宿主を単子葉 植物遺伝子により形質転換させることができ、あるいは別法として、単子葉植物 宿主を、双子葉植物遺伝子により形質転換させることができる。別法として、正 常ではグリコシル化AGPを生産しない宿主細胞[例えば、イー.コリ(E.coli )]を形質転換させることができ、そしてそのプロリン残基がヒドロキシル化さ れていない非グリコシル化AGPペプチド幹鎖の過剰生産または過少生産に使用 することができる。 宿主細胞をAGP過剰生産性に形質転換させるためには、AGPcDNA(例 えば、NaAGP1またはNpAGP1)を、異種プロモーターにより5′−末 端に、かつまたターミネーター(例えば、NOS−ターミネーター)により3′ −末端に、結合させることができる。この場合には、このAGP遺伝子は、強力 なプロモーターであることが知られているCaMV35Sプロモーターの制御下 にある。この発現カセットは次いで、A.ツメファシエンスTiプラスミドから 誘導される二元ベクター中にサブクローン化して、N.アラタおよびN.プラム バギナホリアのどちらかの培養細胞を形質転換させ、AGPを過剰生産する細胞 系を生じさせる。このAGPはまた、そのAGPcDNA中に、6−ヒスチジン をコードするDNA断片を導入することによって、そのC−末端位置でヒスチジ ンを付加することができる。この6−ヒスチジン付加したAGPは次いで、ニッ ケル−ニトロロトリ酢酸セファロースカラムを用いることによって容易に分離す ることができる[Hochuli等によるBio/Technology,6:1321〜1325( 1988)]。別の手段には、タッグ、フラグ(Flag)(登録商品名)を使用す る手段があり[Hopp,T.P.等によるBiotechnology,6:1204〜1210 (1988)]、このタッグはAGP配列中に導入することによって、抗−フラ グ(登録商品名)モノクローナル抗体による精製を可能にすることができる。 宿主細胞を、AGPを過少生産するように形質転換させるためには、アンチセ ンス構築物を利用する。この構築物では、このAGPcDNAをCaMV35S プロモーターの反対方向に配置させて、アンチセンス転写産物を生成させる。こ の転写産物を、その対応するセンスmRNAにハイブリド化すると、その結果と して遺伝子発現の抑制が導かれる。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項 【提出日】1995年5月22日 【補正内容】 請求の範囲 1.補正)誘導ノデュリン(nodulin)蛋白質ではない、植物アラビノガラクタ ン蛋白質(AGP)の蛋白質幹鎖をコードするクローン化したDNA分子。 2.ソラナセアエ(Solanaceae)またはロサセアエ(Rosaceae)植物科からの アラビノガラクタン蛋白質の蛋白質幹鎖をコードするクローン化したDNA分子 。 3.上記アラビノガラクタン蛋白質がニコチアナ(Nicotiana)またはピルス(Py rus)からのアラビノガラクタン蛋白質である、請求項2に記載のクローン化した DNA分子。 4.上記アラビノガラクタン蛋白質がニコチアナ アラタ(Nicotiana alata) またはニコチアナ プラムバギナホリア(Nicotiana plumbaginafolia)からのア ラビノガラクタン蛋白質である、請求項3に記載のクローン化したDNA分子。 5.上記アラビノガラクタン蛋白質がピルス コムニス(Pyrus communis)か らのアラビノガラクタン蛋白質である、請求項3に記載のクローン化したDNA 分子。 6.上記アラビノガラクタン蛋白質がニコチアナ(Nicotiana)の花柱からのア ラビノガラクタン蛋白質である、請求項3に記載のクローン化したDNA分子。 7.上記クローン化したDNA分子がソラナセアエ(Solanaceae)からのDN A分子であって、基本的に配列番号:11および配列番号:26〜30のアミノ 酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に ハイブリド化するか、あるいは基本的に配列番号:13、配列番号:14および 配列番号:21〜25のヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチ ド配列にハイブリド化する、請求項2に記載のクローン化したDNA分子。 8.上記クローン化したDNA分子が基本的に配列番号:24または配列番号 :25のヌクレオチド配列からなる、請求項2に記載のクローン化したDNA分 子。 9.上記クローン化したDNA分子がゲノムAGP遺伝子である、請求項7に 記載のクローン化したDNA分子。 10.上記クローン化したDNA分子が基本的に配列番号:50〜60のアミノ 酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に ハイブリド化するか、あるいは基本的に配列番号:61〜63のヌクレオチド配 列からなる群から選択されるヌクレオチド配列にハイブリド化する、請求項6に 記載のクローン化したDNA分子。 11.上記クローン化したDNA分子が基本的に配列番号:50〜60および配 列番号:67〜70のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコ ードするDNA配列から、あるいは基本的に配列番号:71〜72からなる群か ら選択されるDNA配列から転写されるRNA配列にハイブリド化する、請求項 6に記載のクローン化したDNA分子。 24.(補正)誘導ノデュリン(nodulin)蛋白質ではない、実質的に純粋な植物 アラビノガラクタン蛋白質。 25.上記植物がソラナセアエ(Solanaceae)科またはロサセアエ(Rosaceae) 科からの植物である、請求項24に記載の植物アラビノガラクタン蛋白質。 26.基本的に配列番号:24、配列番号:25、配列番号:49、配列番号: 63、配列番号:66、配列番号:72および配列番号:91からなる群から選 択されるヌクレオチド配列から誘導されるアミノ酸配列から基本的になる、請求 項24に記載の実質的に純粋な植物アラビノガラクタン蛋白質。 27.請求項24に記載の実質的に純粋な植物アラビノガラクタン蛋白質に対す る抗体。 28.植物アラビノガラクタン遺伝子を得る方法であって、分離AGPペプチド またはその分子からのアミノ酸配列を使用して、植物遺伝子ライブラリイをハイ ブリド形成性クローンについてスクリーニングするのに有用であるヌクレオチド 配列をデザインする工程を包含する方法。 29.植物アラビノガラクタン遺伝子を得る方法であって、分離AGPペプチド またはその分子からのヒドロキシプロリン−富裕アミノ酸配列を使用して、植物 遺伝子ライブラリイをハイブリド形成性クローンについてスクリーニングするの に有用であるRNAプローブをデザインする工程を包含し、ここで上記ヒドロキ シプロリン−富裕アミノ酸配列はヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよび スレオニン(OAST)含有量に富んでいる配列であり、かつまた当該RNAプ ローブは上記ヒドロキシプロリン−富裕アミノ酸配列のコード配列を含有するヌ クレオチド配列を含むものである方法。 30.植物アラビノガラクタン蛋白質の蛋白質幹鎖をコードするクローン化した DNA分子から生成される植物AGPを含有する化学製剤または医薬製剤であっ て、この製剤は、乳化剤、エマルジョン安定剤、増粘剤、ゲル化剤、テキスチャ ー改良剤、サイズ剤、結合剤、コーティング剤、接着剤、分散剤、封入剤、懸濁 剤、滑剤、凝集剤およびその組合わせからなる群から選択される製剤として有用 である化学製剤または医薬製剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 16/16 7823−4B C12Q 1/68 A C12N 5/10 9637−4B C12P 21/02 C C12Q 1/68 9735−4B C12N 5/00 C // C12P 21/02 9051−4C A61K 37/02 (C12P 21/02 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AU,CA,FI,JP,N Z (72)発明者 ドウ,ヘ オーストラリア国 3051 ビクトリア,ノ ース メルボルン,キャンニング ストリ ート 11 (72)発明者 ゲイン,アリソン エム. オーストラリア国 3054 ビクトリア,ノ ース カールトン,ウィルソン ストリー ト 36 (72)発明者 バシック,アントニー オーストラリア国 3095 ビクトリア,エ ルサム,フランク ストリート 80 (72)発明者 クラーク,エイドリアン イー. オーストラリア国 3052 ビクトリア,パ ークビル,パーク ドライブ 35

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.植物アラビノガラクタン蛋白質(AGP)の蛋白質幹鎖をコードするクロ ーン化したDNA分子。 2.ソラナセアエ(Solanaceae)またはロサセアエ(Rosaceae)植物科からの アラビノガラクタン蛋白質の蛋白質幹鎖をコードするクローン化したDNA分子 。 3.上記アラビノガラクタン蛋白質がニコチアナ(Nicotiana)またはピルス(Py rus)からのアラビノガラクタン蛋白質である、請求項2に記載のクローン化した DNA分子。 4.上記アラビノガラクタン蛋白質がニコチアナ アラタ(Nicotiana alata) またはニコチアナ プラムバギナホリア(Nicotiana plumbaginafolia)からのア ラビノガラクタン蛋白質である、請求項3に記載のクローン化したDNA分子。 5.上記アラビノガラクタン蛋白質がピルス コムニス(Pyrus communis)か らのアラビノガラクタン蛋白質である、請求項3に記載のクローン化したDNA 分子。 6.上記アラビノガラクタン蛋白質がニコチアナ(Nicotiana)の花柱からのア ラビノガラクタン蛋白質である、請求項3に記載のクローン化したDNA分子。 7.上記クローン化したDNA分子がソラナセアエ(Solanaceae)からのDN A分子であって、基本的に配列番号:11および配列番号:26〜30のアミノ 酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に ハイブリド化するか、あるいは基本的に配列番号:13、配列番号:14および 配列番号:21〜25のヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチ ド配列にハイブリド化する、請求項2に記載のクローン化したDNA分子。 8.上記クローン化したDNA分子が基本的に配列番号:24または配列番号 :25のヌクレオチド配列からなる、請求項2に記載のクローン化したDNA分 子。 9.上記クローン化したDNA分子がゲノムAGP遺伝子である、請求項7に 記載のクローン化したDNA分子。 10.上記クローン化したDNA分子が基本的に配列番号:50〜60のアミノ 酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に ハイブリド化するか、あるいは基本的に配列番号:61〜63のヌクレオチド配 列からなる群から選択されるヌクレオチド配列にハイブリド化する、請求項6に 記載のクローン化したDNA分子。 11.上記クローン化したDNA分子が基本的に配列番号:50〜60および配 列番号:67〜70のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコ ードするDNA配列から、あるいは基本的に配列番号:71〜72からなる群か ら選択されるDNA配列から転写されるRNA配列にハイブリド化する、請求項 6に記載のクローン化したDNA分子。 12.上記クローン化したDNA分子が基本的に配列番号:63または配列番号 :72のヌクレオチド配列からなる、請求項6に記載のクローン化したDNA分 子。 13.上記DNA分子がゲノムAGP遺伝子である、請求項10または11に記 載のクローン化したDNA分子。 14.上記クローン化したDNA分子がピルス(Pyrus)からのDNA分子であっ て、基本的に配列番号:31〜44のアミノ酸配列からなる群から選択されるア ミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に、あるいは基本的に配列番号:45 〜49からなる群から選択されるヌクレオチド配列にハイブリド化する、請求項 2に記載のクローン化したDNA分子。 15.上記クローン化したDNA分子がピルス(Pyrus)からのDNA分子であっ て、基本的に配列番号:31〜44および配列番号:73〜88のアミノ酸配列 からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードするDNA配列から、あるいは 基本的に配列番号:64〜66および配列番号:89〜91からなる群から選択 されるDNA配列から転写されるRNA配列にハイブリド化する、請求項2に記 載のクローン化したDNA分子。 16.上記クローン化したDNA分子が基本的に配列番号:49、配列番号:6 6および配列番号:91からなる群から選択されるヌクレオチド配列からなる、 請求項2に記載のクローン化したDNA分子。 17.上記DNA分子がゲノムAGP遺伝子である、請求項14または15に記 載のクローン化したDNA分子。 18.請求項1または2に記載のクローン化したDNA分子を含むDNA組換え ベクター。 19.グリコシル化アラビノガラクタン蛋白質または非グリコシル化アラビノガ ラクタン蛋白質が発現されるように、請求項18に記載のクローン化したDNA 分子により形質転換された宿主細胞。 20.上記宿主細胞が細菌細胞または植物細胞である、請求項19に記載の宿主 細胞。 21.請求項1または2に記載の植物アラビノガラクタン蛋白質遺伝子を、グリ コシル化アラビノガラクタン蛋白質または非グリコシル化アラビノガラクタン蛋 白質が発現されるように、異種プロモーターの制御下に含有する遺伝子工学操作 されたDNA分子。 22.上記アラビノガラクタン蛋白質遺伝子が、基本的に配列番号:24、配列 番号:25、配列番号:49、配列番号:63、配列番号:66、配列番号:7 2および配列番号:91からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含有する 、請求項21に記載の遺伝子工学操作されたDNA分子。 23.植物AGPプロモーターが異種構造遺伝子に隣接して配置されており、こ れにより上記構造遺伝子が上記植物AGPプロモーターの制御下に発現される、 遺伝子工学操作されたDNA分子。 24.実質的に純粋な植物アラビノガラクタン蛋白質。 25.上記植物がソラナセアエ(Solanaceae)科またはロサセアエ(Rosaceae) 科からの植物である、請求項24に記載の植物アラビノガラクタン蛋白質。 26.基本的に配列番号:24、配列番号:25、配列番号:49、配列番号: 63、配列番号:66、配列番号:72および配列番号:91からなる群から選 択されるヌクレオチド配列から誘導されるアミノ酸配列から基本的になる、請求 項24に記載の実質的に純粋な植物アラビノガラクタン蛋白質。 27.請求項24に記載の実質的に純粋な植物アラビノガラクタン蛋白質に対す る抗体。 28.植物アラビノガラクタン遺伝子を得る方法であって、分離AGPペプチド またはその分子からのアミノ酸配列を使用して、植物遺伝子ライブラリイをハイ ブリド形成性クローンについてスクリーニングするのに有用であるヌクレオチド 配列をデザインする工程を包含する方法。 29.植物アラビノガラクタン遺伝子を得る方法であって、分離AGPペプチド またはその分子からのヒドロキシプロリン−富裕アミノ酸配列を使用して、植物 遺伝子ライブラリイをハイブリド形成性クローンについてスクリーニングするの に有用であるRNAプローブをデザインする工程を包含し、ここで上記ヒドロキ シプロリン−富裕アミノ酸配列はヒドロキシプロリン、アラニン、セリンおよび スレオニン(OAST)含有量に富んでいる配列であり、かつまた当該RNAプ ローブは上記ヒドロキシプロリン−富裕アミノ酸配列のコード配列を含有するヌ クレオチド配列を含むものである方法。 30.植物アラビノガラクタン蛋白質の蛋白質幹鎖をコードするクローン化した DNA分子から生成される植物AGPを含有する化学製剤または医薬製剤であっ て、この製剤は、乳化剤、エマルジョン安定剤、増粘剤、ゲル化剤、テキスチャ ー改良剤、サイズ剤、結合剤、コーティング剤、接着剤、分散剤、封入剤、懸濁 剤、滑剤、凝集剤およびその組合わせからなる群から選択される製剤として有用 である化学製剤または医薬製剤。
JP7515298A 1993-12-03 1994-12-01 植物アラビノガラクタン蛋白質(agp)遺伝子 Pending JPH10502521A (ja)

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