JPH10502284A - モジュール方式の人工装具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 モジュール方式の股関節用ステム人工装具（１２）は、別個の交換可能なステムピース（１８）と、基端側の肩部ピース（１４）とを備えている。冠状のスロット及び矢状のスロット（２５、２７）が、ステムの丸い先端に形成されている。ネック部材（４２）が、肩部ピース（１４）から角度をなして外方に伸長していて、骨盤ソケットに挿入される球形のボール（７０）を受ける形状を有している。基端側の肩部ピース（１４）は、ステムピース（１８）の上方端に形成された軸孔（２６）の中に挿入される円筒形の突出部（４８）を有している。環状のリップ（３０）が、軸孔（２６）を画成している側壁に形成され、円筒形の突出部が上記軸孔に挿入された時に、円筒形の突出部の先端（５２）が、上記リップに当接する。半径方向の歯が（５２）が、円筒形の突出部の先端に形成されていて、環状のリップ（３０）に形成された対応する歯に嵌合し、これにより、肩部ピース（１４）が取り外し可能にステム（１８）に取り付けられることを可能にしている。ロックネジ（１６）が、肩部ピース（１４）をステムピース（１８）に確実に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】 モジュール方式の人工装具 発明の背景 １．発明の分野 本発明は一般に、人工関節の分野に関係する。より詳細に言えば、本発明は、 大腿部の痛みを緩和するために安定性及び先端側の可撓性が増大され、取り外し 可能に取り付けることができ、且つ、段階的に回転可能で高い回転安定性を有す る基端側の肩部を備え、股関節の脱臼を防止し且つ骨の損失を補償するために、 上記基端側の肩部が選択可能な寸法とされている、モジュール方式の股関節用ス テム人工装具（補綴具）（ｍｏｄｕｌａｒ ｈｉｐ ｓｔｅｍ ｐｒｏｓｔｈｅ ｓｉｓ）に関する。 ２．背景技術 当業界においては、股関節を人工的な股関節用ステムと交換することが知られ ている。種々の人工装具が入手可能であり、そのような人工装具を装着して、自 然の股関節を人工的なボール及びソケットで置き換えることができる。髄管（ｍ ｅｄｕｌｌａｒｙ ｃａｎａｌ）とよばれる通路が、大腿骨の上方端に、リーマ あるいは他の手段によって形成される。人工的なインプラントのステム部分を、 髄管の上記リーマ形成された通路の中に挿入して、確実に着座させる。ネック部 材が、上記ステムから離れる方向に外方に伸長し、球状のノブで終端している。 このノブは、骨盤に挿入され、３つの主要な直交軸線の周囲で回転可能なように 骨盤に接触する。 上述のタイプのインプラントは、単一の部品から成る一体部材として形成され てきた。単一部品の人工装具を用いる股関節交換術は、適正な寸法及び形態を得 るために、インプラントのセットの中から特定の股関節用ステムインプラントを 選択する工程を含む。しかしながら、関連する骨の解剖学的な構造は、患者によ って非常に細部にわたって大きく異なり、外科手術の間に遭遇すると予想される 総ての解剖学的な条件を満たすためには、非常に広い範囲の人工装具のセットを そろえておくことが必要とされる。その結果、規格化された広範囲の、それぞれ が一体部品である人工装具のセットを用意して、実質的に総ての解剖学的な条件 を カバーしなければならない。 対応性及び余裕性の欠如に対する部分的な解決策が、人工ステムを取り外し可 能に収容するように設計された一連のスリーブの開発において試みられた。スリ ーブは、髄管のリーマ形成された部分の輪郭及び角度に合致するよう設計され、 大腿骨に関する大きな回転安定性をステムに与えるようになされる。スリーブお よびステムの組み合わせの例は、米国特許第４，７９０，８５２号、及び、米国 特許第４，８４６，８３９号（１９８８年１２月１３日及び１９８９年７月１１ 日にそれぞれＮｏｉｌｅｓに発行された）に開示されている。そのような米国特 許に開示されるスリーブは、ステム部分の基端に交換可能に取り付けられる。上 記米国特許のスリーブを用いれば、外科医は、まず適当な寸法のネック及びステ ムのピースを選択し、それから、適正なスリーブ／ステムの組み合わせが得られ るまで、選択されたピースを多数の異なるスリーブと単に交換するだけでよくな った。 上記米国特許のスリーブの構造は、例えば、ネック部分の調節性がない等の制 約を依然として有しているが、モジュール性を股関節用ステム人工装具の分野に 導入したことは、有用な発見であったことが証明されている。モジュール性の導 入は、股関節用ステムと、該ステムに取り外し可能に取り付けられる、相方のネ ックアセンブリとを備える股関節用ステム人工装具の開発を触発した。そのよう なモジュール方式の股関節用ステム人工装具の例は、米国特許第５，００２，５ ７８号（１９９１年３月２６日にＬｕｍａｎに発行された）に開示されている。 このＬｕｍａｎの米国特許に開示されている股関節用ステムは、外科医が、２又 はそれ以上のモジュール方式の要素から特定の股関節用ステム人工装具を組み立 てることを可能とする。 当業界にモジュール性が導入される前には、各特定の要素の寸法に対して、一 体型のインプラントの完全なシリーズ（セット）が必要とされていた。例えば、 ２０の異なるネック角度が必要な場合には、各々の特定の形態のステムは、異な るネック寸法及び形態に対して２０回にわたって組み替えられなければならない ことになる。２０の異なるステムの形態がある場合には、２つの変数が存在する ことになるだけで、４００の組み合わせの可能性があることになる。要素の変数 が追加されることにより、一体型の組み合わせの数は指数関数的に複雑になる。 しかしながら、上述の例におけるモジュール性の利点は、２０の異なるネック及 び２０の異なるステムを可能とし、そのようなネック及びステムは総て互いに交 換可能であることである。４００を用意する代わりに、４０のピースだけで同じ ものを得ることができるのである。 股関節用ステム人工装具の分野で今日まで行われた前進は、有用ではあるが、 欠点を有している。モジュール性だけでは、当業界において継続して存在してい る問題の多くを解決することはできない。例えば、従来技術の股関節用ステム装 置は、ステムを挿入する間の周方向応力、そして、大腿部の痛みを除去するため に必要とされる、ステム部分の可撓性を極めて大きくすることはできない。従来 技術の股関節用ステム装置は、また、大腿骨のひび割れ及び／又は骨折を生じさ せるであろうような危険なモーメントの腕の作用をネックに生じさせることなく 、股関節の脱臼を阻止するに十分な間隔を大腿骨と骨盤との間に与えることがで きない。従来技術の装置は更に、ネックの高い回転安定性、並びに、ステムに対 するネックの変更角度の正確な段階的な調節性をもたらすことができない。また 、従来技術の装置は、ステムから取り外すことができる、高度の回転方向の調節 性を有するネック部分を、強度を大きく損なうことなく、提供することもできな い。更に、従来技術は、金属間の接触によって起こる磨耗による微小物の発生に より生ずる骨溶解（ｏｓｔｅｏｌｙｓｉｓ）を適正に抑制することもできない。 発明の目的及び概要 従って、本発明の目的は、股関節を交換するためのモジュール方式の股関節用 ステム人工装具を提供することである。 本発明の別の目的は、容易に装着できる上述の人工装具を提供することである 。 本発明の更に別の目的は、磨耗による微小物の発生を抑制する上述の如き人工 装具を提供することである。 本発明の１つの特徴によれば、本発明の更に別の目的は、ステム部分の可撓性 を増大させる上述の如き人工装具を提供することである。 本発明の１つの特徴によれば、本発明の更に別の目的は、大腿骨と骨盤との間 に、股関節の脱臼を阻止するに十分な間隔を与え、その一方で、大腿骨のひび割 れ及び／又は骨折を生じさせるような危険なモーメントの腕の作用がネックに生 じないようにする上述の如き人工装具を提供することである。 本発明の１つの観点によれば、本発明の更に別の目的は、ネックの回転安定性 を増大させると共に、ステムに対するネックの変更角度の段階的な正確な調節可 能性をもたらす上述の如き人工装具を提供することである。 本発明の１つの観点によれば、本発明の更に別の目的は、大腿骨の骨の損失を 補償することのできる上述の如き人工装具を提供することである。 本発明の１つの観点によれば、本発明の更に別の目的は、ステムから取り外す ことができ、且つ、高度の回転方向の調節可能性を有するネック部分を、強度を 大幅に損なうことなくもたらす、上述の如き人工装具を提供することである。 上述の目的、並びに、特に述べなかった他の目的は、モジュール方式の股関節 用ステム人工装具の例示的な実施例において明らかになる。冠状方向のスロット （ｃｏｒｏｎａｌ ｓｌｏｔ）及び矢状方向のスロット（ｓａｇｇｉｔａｌ ｓ ｌｏｔ）が、ステムの丸められた先端（ｄｉｓｔａｌ ｅｎｄ）に形成され、こ れらスロットは、互いに関して実質的に直角な向きに配列される。ネック部材が 、基端側の肩部ピースに取り付けられていて、該ネック部材は、股関節ソケット に挿入される球形の股関節球を受ける形状になされている。基端側の肩部ピース は、ステムの上方端に形成された軸孔の中に挿入される、円筒形（円柱形）の突 出部を有している。環状のリップが、軸孔を形成する側壁に形成されており、上 記円筒形の突出部が上記軸孔の中に挿入された時に、上記突出部の先端が、上記 リップに当接する。半径方向の歯が、上記円筒形の突出部の先端に形成されてい て、上記環状のリップに形成された対応する歯に係合し、これにより、肩部ピー スを取り外し可能に上記ステムに取り付けることを可能にしている。ロック（係 止）ネジが、上記肩部ピースを上記ステムにしっかりと接続する。肩部ピースは 、種々の厚み及び幅を有する肩部ピースのセットから選択することができ、これ により、大腿骨と骨盤との間に２つの方向の間隔を与え、これにより、脚の延び すぎ及び大腿骨のひび割れの問題を生ずることなく、股関節の脱臼の危険性を減 少させる。上記肩部ピースの寸法は、大腿骨の骨の損失を補償する目的からも、 選択することができる。 本発明の別の目的及び利点は、以下の記載において説明するが、そのような目 的及び利点の一部は、以下の記載から明らかであるか、あるいは、本発明を実施 することにより理解することができる。本発明の目的及び利点は、添付の請求の 範囲に特に記載する器具及びその組み合わせによって実現され且つ達成される。 図面の簡単な説明 本発明の上述の及び他の目的、特徴、並びに、利点は、添付図面に関連して述 べる以下の詳細な説明を考慮することにより、明らかとなろう。添付図面におい ては、 図１は、本発明の原理に従って形成されたモジュール方式の股関節用ステム人 工装具を分解して示す側面図であり、 図２は、図１のモジュール方式の股関節用ステム人工装具のステム部分の先端 を示す立面図であり、 図３は、図１のモジュール方式の股関節用ステム人工装具を分解して示す立面 図であり、 図４は、図１乃至図３のモジュール方式の股関節用ステム人工装具が大腿骨及 び骨盤の中に埋め込まれて組み立てられた状態を示す側面図であり、 図５は、図１のモジュール方式の股関節用ステム人工装具の別の実施例を分解 して示す立面図である。 現時点において好ましい実施例の詳細な説明 ここで、同様の構造には同様の参照符号が付されている図面を参照する。 図１乃至図４は、参照符号１０でその全体が示されたモジュール方式の股関節 用ステム人工装具の主要な特徴を示している。この人工装具１０は、細長いステ ム部材１２と、基端側の肩部１４と、該基端側の肩部１４をステム部材１２に取 り付けるためのロックネジ１６とを備えている。 ステム部材１２は、細長い円筒形のシャフト１８を備えており、該シャフトは 、その基端に位置するカラー（鍔）２０と、その先端に位置する複数の長手方向 の溝２２とを有している。ステム部材１２は更に、丸められた先端チップ２４と 、該先端チップ２４に形成された、冠状のスロット２５及び矢状方向のスロット ２７とを備えている。軸孔２６が、カラー２０の基端２０ａに形成されており、 こ の軸孔２６は、実質的に円筒形の側壁２８によって画成されている。軸孔２６は 、狭い孔部分２６ａ及び広い孔部分２６ｂを備えており、これにより、これら狭 い孔部分と広い孔部分との間の境界に位置する側壁２８には、環状のリップ３０ が形成されている。鋸歯状の第１の接触構造３２が、環状のリップ３０に形成さ れている。雌ネジ部２３が、狭い孔部分２６ａの側壁２８に形成されている。 カラー２０は、概ね楕円体の形態を有しており、概ね楕円形の一連の段部３４ が、カラー２０の外側面の輪郭を形成している。カラー２０は、その基端２０ａ において、全体的に最も幅が広く、該基端２０ａからステム１２の先端に向かっ て、内方に向かって徐々にテーパ形状になっていて、カラーの先端２０ｂにおい てシャフト１８に合流している。 基端側の肩部１４は、傾斜し且つ片寄ったネック４０を有しており、このネッ クは、テーパ部分４２で終端となっている。このテーパ部分４２は、股関節球７ ０に対する取り付けピースとして作用する。基端側の肩部１４の寸法は、厚み方 向の寸法４４と、幅方向の寸法４６とを有している。円筒形（円柱形）の突出部 ４８が、肩部１４の下面５０に設けられており、上記突出部４８の寸法は、該突 出部が入れ子式に挿入される軸孔２８の広い孔部２６ｂの寸法に対応している。 鋸歯状の第２の接触構造５２が、円筒形の突出部４８の先端に形成されており、 上記接触構造５２は、上記鋸歯状の第１の接触構造３２の寸法に対応する寸法を 有していて、この第１の接触構造に係合することができる。肩部１４は、ロック ネジ１６を収容するための、貫通孔５４及び皿穴５６を有している。ロックネジ １６は、雄ネジ部６０を有しており、この雄ネジ部は、上記雌ネジ部２７の寸法 に対応する寸法を有していて、該雌ネジ部に係合することができる。 本件発明が完全に理解され、また評価されるように、次に、股関節用ステム人 工装具の全般的な目的を説明する。ここで、図４を参照すると、ステム部材１２ が、患者の大腿骨８０の中に埋め込まれており、大腿骨が、髄管８５を形成する 軟らかい骨すなわち髄質の内側コア８４を包囲する硬い骨の外殻８２を有してい ることが分かる。股関節の運動は、球形状の股関節球７０の周囲で起こる。股関 節を人工的な股関節用ステム人工装具で置き換える時には、外科医は、簡単な直 線的リーマ通し作業を行うことによって、大腿骨８０の上方端にある内側コア８ ４をある量だけ取り除いて、髄管８５の中に通路８６を形成する。この通路８６ を形成する外科医の準備作業は、その大部分が、大腿骨８０の上方端の特性及び 形状に依存する。一方、通路８６は、外科医が選択すべきステム部材１２の寸法 を決定する。 次の工程は、通路８６の上方部分の輪郭をカラー２０の外側の輪郭に合致させ ることである。外科医は、特別の努力を払って、ステム部材１２と大腿骨８０と の間の嵌合を可能な限り最適にし、これにより、人工装具１０と大腿骨８０との 間の応力伝達の分布が可能な限り最適になるようにする。段部３４をその周囲の 髄管内の骨８４に係合させて、ステム１２の回転運動を阻止すると共に、その周 囲で支持する骨の成長を刺激する。溝２２も、大腿骨８０に対して相対的なステ ム部材１２の回転に対する抵抗を与えるように作用する。ステム１２を、適正に 調整された大腿骨８０の中に挿入すると、図２及び図３に示す冠状方向のスロッ ト２５が若干圧縮される。この圧縮作用はまた、長手方向の溝２２が弾性的に押 圧される状態で、包囲する骨８４に接触させる。従って、ステム１２は、大腿骨 ８０の中に確実に係合される。 ステム部材１２が大腿骨８０の中に適正に埋め込まれた後に、基端側の肩部１ ４が、肩部の組すなわちセットから選択されて、ステム部材１２のカラー２０に 接合される。基端側の肩部１４がカラー２０に接合される前又は接合された後に 、股関節球７０が、ネック４０のテーパ部分４２に取り付けられる。股関節球７ ０を骨盤９０に埋め込んで、股関節交換施術をほぼ完了する。当業界で周知のよ うに、ドーム状の構造７２、及び／又は、同様な構造を骨盤９０の中に挿入して 、股関節球７０を収容することができる。人工股関節交換術を行うために大腿骨 ８０及び骨盤９０を調整するための当業界で周知の方法及び施術のこれ以上の詳 細は、上の発明の背景の項で参照した特許から学ぶことができる。本発明の原理 は、どのような関節にも応用することができ、従って、股関節を含む用途に限定 されるものではないことを理解する必要がある。 上に述べた要素、特徴及び概念の目的並びに相互関係を以下に詳細に説明する 。 股関節交換術において外科医が直面する多くの課題の１つは、当業界で大腿痛 と呼ばれている痛みを抑制することである。毎日繰り返し脚を動かしまた曲げる ことにより、大腿骨８０に応力が生じ、そのような応力のかなりの部分は、ある 程度の可撓性を有する軟らかい骨の内側コア８４を通って伝達される。ステム１ ２が、該ステムが置き換わる内側コア８４の部分よりも小さい可撓性を有してい る場合には、大腿骨の通常の応力経路を介して分配される応力が小さくなること は理解されよう。そうではなく、そのような応力は、大腿部を通る別の異常な分 布経路を見つけ、これにより、大腿痛を生じる。 大腿痛を軽減する際の上記課題は、ステム１２は、股関節によってこれに与え られる通常の曲げ及び引張力に耐えるに十分な強度を有する必要があるという事 実によって、更に困難なものとなる。上述のような総ての力及び応力の伝達を可 能とするために、幾つかの材料が開発されているが、大腿痛の問題は依然として 残っている。冠状方向のスロット２５は、ある限度の横方向の可撓性をステム１ ２に与えるために採用された。大腿骨８０に力が作用すると、冠状方向のスロッ ト２５は、ステム１２が幾分圧縮して、上述の別の応力分布を幾分か減少させ、 これにより、大腿痛を幾分軽減することを可能とする。 外科医が直面する別の課題は、当業界でフープ応力（周方向の応力）と呼ばれ ている応力を抑制することである。通路８６をステム部材１２よりも幾分狭くし て、溝２２と周囲の骨８４との間の嵌合を緊密にさせる。これにより、ステム１ ２を通路８６の中に挿入する間、及び、そのような挿入の後に、溝２２が押圧さ れた状態で骨８４に強く接触し、これにより、ステム１２と大腿骨８０との間に 、回転に対する大きな抵抗性をもたらす。しかしながら、そのような方法は、フ ープ応力の発生の可能性、並びに、ステム１２を通路８６の中に挿入する間の手 術中の大腿骨の破損の可能性を増大させる。 本発明者等は、冠状方向のスロット２５は、大腿痛を軽減させる際に単に部分 的にしか成功しないものであり、その理由は、そのような冠状方向のスロットは 、一方向にしかステム１２の可撓性を許容しないからであることを見い出した。 しかしながら、ステム部材１２の先端チップ２４に追加のスロットを形成する際 の危険性の１つは、ステム部材の曲げ剛性及び強度が低下することである。その ような低下は、「キャッチ２２（ｃａｔｃｈ−２２）」すなわち悪循環あるいは あちらを立てればこちらが立たず、の状況を生ずるように思われる。（多くのス ロッ トを有する）ステム部材１２の最適な可撓性と、（１つのスロットを有するか、 スロットを全く持たない）ステム部材１２の最適な強度及び曲げ剛性とが、大腿 痛を軽減するために必要である。 本発明者等は、上述の矢状方向のスロット２７が、冠状方向のスロット２５の 可撓性の方向に対して実質的に直交する第２の方向の可撓性をステム部材１２に 与えることによって、フープ応力及び大腿痛の両方を効果的に軽減するというこ とを見い出した。第２のスロット、すなわち、矢状方向のスロット２７を冠状方 向のスロット２５と組み合わせることにより、ステム１２に対して直交する総て の半径方向の可撓性を効果的に生じさせることは理解されよう。すなわち、冠状 方向のスロット２５は、１つの平面における可撓性だけを与えるが、矢状方向の スロット２７と組み合わせると、無限数の平面における可撓性を与える。これは 、捻れにおける可撓性をステム１２に与える。また、矢状方向のスロット２７が 、冠状方向のスロット２５よりも短くなるように形成された場合には、十分な強 度及び曲げ剛性がステム部材１２に維持される。この知見は、どのような人工装 具要素にも用いることができる。スロット２５、２７は、実質的に直交して配列 されるのが好ましいが、そのようなスロットの間の角度的な向きを変えることが できる。冠状方向のスロット及び矢状方向のスロット２５、２７には、多くの異 なる長さの組み合わせを用いることができ、現時点においては、矢状方向のスロ ット２７は、冠状方向のスロット２５の平均長さの約６０％である平均長さを有 するのが好ましい。また、スロット２５、２７は、実質的に平坦な側壁によって 、ステム部材１２と平行な向きに形成されるのが好ましい。種々の長さ及び直径 を有するステム部材１２を形成することができる。また、ステム部材１２は、種 々の解剖学的な条件に適合するように、種々の湾曲した形状、あるいは、図示の 直線的な形状として形成することができる。 外科医が直面する別の課題は、股関節の転位又は脱臼を抑制することである。 小転子（ｌｅｓｓｅｒ ｔｒｏｃｈａｎｔｅｒ）８０ａと骨盤の縁部９０ａとの 間には、十分な間隔が存在することが重要である。そうでなければ、何等かの動 きにより、小転子８０ａが骨盤の縁部９０ａに当たり、これにより、骨盤９０が 球すなわちボール９０から浮き上がり、股関節の転位又は脱臼が生ずることにな る。上記間隔は、ネック４０の角度方向の向き、並びに、ネック４０の長さの関 数である。しかしながら、本発明者等は、転位又は脱臼の問題の解決策として、 ネックの４０の長さ及び角度方向の向きを変えると、結果的に他の問題が生ずる ことを見い出した。例えば、ネック４０の長さが増大すると、ネック４０が大腿 骨８０に対して角度をなしているので、患者の脚部が長くなることがある。また 、ネック４０の長さが増大すると、そのようなネックのモーメント腕の作用が必 然的に増大する。股関節の自然な設計及び大腿骨の強度だけが、大腿骨に埋め込 まれた人工ステム１２に与えられるある程度のモーメント作用を許容することが できる。モーメント腕が増大した長いネック４０は、大腿骨８０がひび割れ又は 骨折を生ずる危険性を高める。従って、本発明者等の知見が得られる前には、幾 つかの解剖学的な状況においては、外科医は、股関節の脱臼と大腿骨の骨折との 間の兼ね合いで悩んでいた。股関節の脱臼の危険性を減少させると、大腿骨の骨 折及び脚部の伸びの危険性が増大し、また、その反対も然りである。 本発明者等は、垂直方向及び水平方向におけるある向き及び間隔が、大腿骨の 骨折及び脚部の伸びを生ずることなく、股関節の脱臼の危険性を減少させること を見い出した。基端側の肩部１４の厚み４４及び／又は幅４６の寸法を増大させ ることにより、脚部を伸ばすことなく、あるいは、ネック４０のモーメント腕の 作用を過度に増大させることなく、骨盤９０が大腿骨８０から離れる方向に押さ れる。外科医は、寸法４４及び／又は４６のバリエーションを、大腿骨８０に対 するネック／骨盤の前傾又は後傾の向きのバリエーションと組み合わせて、小転 子８０ａと骨盤の縁部９０ａとの間の最適な間隔を得ることができる。厚み４４ のバリエーションも、大腿骨８０の骨の損失を補償するための構造的なサポート を与えるように作用する。 基端側の肩部１４の寸法４４、４６は、種々の方法で変化させることができる 。好ましい方法は、外科医が選択できるように、基端側の肩部のピース１４のシ リーズを準備することである。そのようなピースは各々、異なる寸法４４、４６ を有している。大腿骨８０に作用する大部分の荷重は、ステム１２の基端側の肩 部１４及び基端側の部分２９の協働作用によって、吸収され且つ伝達されるとい うことに注目することが重要である。ネック４０の長さではなく、寸法４４、４ ６ を増大させると、ネック４０の過剰なモーメント作用を生じさせることなく、上 述の臨界荷重を吸収する要素を強化し、且つ、そのような要素を通る応力の伝達 を適正に維持することができる。現時点においては、基端側の肩部１４の厚み４ ４は、１０ｍｍの単位で変えることが好ましく、また、幅４６は、４ｍｍの単位 で変えることが好ましい。しかしながら、他の単位で変化させることも本発明の 範囲内である。 股関節交換術において外科医が直面する他の課題としては、基端側の肩部１４ とステム１２との間の回転に対する抵抗性並びに適正な角度方向の向きを達成す ることが挙げられる。従来技術においては、そのような課題を達成するために、 ネックからステムの対応するテーパ形状の孔の中に伸長するテーパ形状のシャフ ト部分にテーパ形状の嵌合部を形成している。そのようなテーパ形状は、通常、 約３°のテーパ角度を有するように形成されており（当業界では、モーステーパ （Mose taper）と呼ばれる）、特に、捻れに強い特徴がある。しかしながら、そ のような解決策も、別の問題を生ずる。外科医が、ネック４０とステム１２との 間の角度を厳密に且つ正確に変えることは、不可能でないとしても、困難なこと である。例えば、ネックを１０°回転させようとする外科医は、見当によってし かそのような回転を行うことができない。 テーパ形状の係合における別の問題は、テーパ形状の係合を解いて、次に、テ ーパ形状の部材を再度係合させることにより、ねじり強度が大きく損なわれるこ とである。例えば、ネック４０を再位置決めするために、外科医がテーパ形状の 嵌合を解かなければならない場合には、その後の嵌合の強度はかなり低下する。 ある研究によれば、解放（離脱）及び再嵌入を受けた、テーパ形状のスリーブ／ ステムの境界面のねじり強度の低下は、１６．７パーセントから３５．７％の間 であると測定されている（参考文献：Stephen D．Cook，Ph．D.，”Torsional R esistance And Wear Of A Modular Sleeve/Stem Hip System,”Joint Implant S urgery and Research Foundation Update News，April，1992）。特に股関節用 ステム人工装具におけるテーパ形状の係合によって呈示されるねじり強度に関す る上記Cookの研究の結論は、「スリーブ／ステムの境界面を繰り返し離脱及び嵌 入することにより、ステムの前傾を調節することの推奨される特徴は、ねじり抵 抗 の大幅な減少により、断念せざるをえなくなる」ということである（同文献）。 従って、関連する文献は、モジュール方式の人工装具の主要な目的が調節可能性 だったとしても、モジュール方式の股関節用ステム人工装具におけるステムの調 節は避けるべきであることを実際に教示している。 テーパ形状の係合の別の問題は、テーパ面の間の十分な接触面積が、基本的に は、基端側及び先端側の接触領域でしか得られないことである（参考文献：上述 のCookの"Torsional Resistance And Wear Of A Modular Sleeve/Stem Hip Syst em,"）。不均一なテーパ形状の係合の問題は、高温焼結プロセスにより生ずる歪 みの結果であろうと判断されている（同文献）。そのような焼結プロセスは、楕 円体の段部３４の外側面に多孔質のコーティングを与えるものであり、骨の内部 成長を促進するために用いられる。 テーパ形状の係合に関する従来技術の別の問題は、接続される２つの要素の非 テーパ形状の構造が互いに接触してはならないことである。そうしなければ、テ ーパ形状の嵌合の完全性がおそらく得られなくなるだろう。その理由は、隣接す る要素間での、どのような非テーパ形状部分の接触も、テーパ形状部分の嵌合を 阻害するからである。例えば、図１及び図２の突出部４８が、テーパ形状の孔に 嵌合するテーパ形状を有する（図示の例においてはそうではないが）ように設計 された場合には、向かい合う面５０、２０ａは接触してはならない。しかしなが ら、総てのモジュール方式の金属間の接触点は、磨耗による微小物（ｄｅｂｒｉ ｓ）を発生する。磨耗による微小物が体内に放出されると、骨溶解を生ずる。テ ーパ形状の嵌合を維持するために従来技術で必要とされる間隔は、磨耗による微 小物が人工装具から自然の関節領域に放出されて骨溶解を生じさせる危険性を高 める。 モーステーパの手法によって生ずる上記別の問題は、円筒形の突出部４８、及 び、広い孔部２６ａ、並びに、鋸歯状の第１及び第２の接触構造３２、５２の間 の係合によって、解消される。構造３２、５２の歯付きの形態は、外科医が、測 定可能な正確な量だけ、ネック４０の角度方向の向きを変えることを可能とする 。また、係合構造３２、５２と、ロックネジ１６との組み合わせにより、上述の モーステーパの手法によって得られるものよりもはるかに優れた回転安定性が得 ら れる。鋸歯状の接触構造３２、５２は各々、実質的に共通の寸法を有する複数の 歯を含むのが好ましく、これにより、１つの歯の分だけの肩部１４の回転は、１ ０°の回転に等しくなる。また、各々の歯の頂点は、最適な回転強度を得るため に、約６０°の角度によって形成されるのが好ましい。従って、ネック４０及び ／又は肩部１４に与えられる回転力は、鋸歯状の接触構造３２、５２の間の係合 によって、抵抗される。構造５２を円筒形の突出部４８の先端に形成することに より、基端側の肩部１４の安定性が更に増大する。その理由は、突出部４８は、 側壁２８に対して半径方向に当接することにより、強度を増大せしめられている からである。従って、上記構造５２は、肩部１４の下面５０に直接形成される場 合（半径方向の付加的な当接が全く生じない）よりも優れた配置となっている。 乱暴な取り扱いを受けるテーパ形状部分の係合が存在しないので、従来技術で 生じていたようなねじり強度の大幅な損失を生じることなく、構造３２、５２の 間のかみ合い係合を分離したり再係合させたりすることができることが理解され よう。また、焼結プロセスによって生ずる高温が、係合構造３２、５２によって 得られるねじり強度を弱めるように作用しないことも理解されよう。この理由も 、テーパ形状部分の係合が存在しないからである。 更に、テーパ形状の係合を必要としない独特な設計が、面５０、２０ａの接触 を許容することも理解されよう。これは、金属間の接触点で発生する磨耗による 微小物が人工装具の中に捕捉される、という大きな利点をもたらす。面５０、２ ０ａの間の封止接触圧力を最大にし、これにより、そのような面の間から磨耗に よる微小物が放出されないようにする、発展した実施例を提供することができる 。 本発明の原理的な特徴は、ネック４０の角度の調節可能性と、基端側の肩部１ ４の寸法４４、４６のバリエーションとの組み合わせにあることを理解する必要 がある。ボールすなわち球７０と、該球７０の、基端側の肩部１４及びステム１ ２に対する相対的な向きとが、大腿頭の正常な位置に合致して、当業界で周知の ように、外転筋の力間の機構的なバランスを適正にすることが必要である。ネッ ク４０の位置の、測定された、段階的な可変性と、寸法４４、４６の可変性とに より、人工装具の垂直方向の高さと、バージョン角度（version angle）と、内 側の変位（medial offset）との中での所望の組み合わせが可能となる。これに より、基端側の肩部１４及びステム１２に対する球７０の正しい位置を得ること ができ、従って、神経麻痺を防止すると共に、動きの範囲の減少、股関節の脱臼 、外転筋の動きの不足、並びに、大腿骨インプラントに作用するねじり力を防止 することができる。 円筒形の突出部４８は、カラー２０の面２０ａに形成することもでき、また、 軸孔２６及びこれに形成される係合ないし嵌合構造は、基端側の肩部１４の下面 ５０に形成することもできることも、理解する必要がある。 本発明の別の実施例が図５に示されている。ステム部材１２は、第２の肩部ピ ース１２ａと、先端側のステムピース１２ｂとに分割されている。先端側のステ ムピース１２ｂは、第２の肩部ピース１２ａと交換可能にロックすることができ 、上記第２の肩部ピースは、基端側の肩部１４をステム部材１２に交換可能にロ ックする際の構造及び組み合わせと実質的に同じ構造及び組み合わせを有してい る。第２の肩部ピース１２ａは、第２の軸孔２９を備えており、この第２の軸孔 は、軸孔２６と実質的に同軸状に配列され、且つ、上記狭い孔部分２６ａと組み 合わされている。第２の突出部３３が、先端側のステム１２ｂの基端３１に形成 されていて、そこから外方に伸長して第２の軸孔２９の中に入れ子式に挿入され るようになされている。第２の突出部３３には、第３の軸孔３５が形成されてお り、この第３の軸孔は、第２の雌ネジ３７が形成されている側壁によって画成さ れている。第２の突出部３３が第２の軸孔２９の中に挿入されると、第２の雌ネ ジ３７が雌ネジ２３と出会う。これにより、ロックネジ１６が、ネジ部２３、３ ７に嵌合することができ、同時に、基端側の肩部手段１４、第２の肩部ピース１ ２ａ、及び、先端側のステム１２ｂを互いにしっかりと固定する。 図５の実施例は、人工装具１０に更なるモジュール方式を導入していることが 理解されよう。鋸歯状の接触歯４１、４３は、上述の鋸歯状の接触構造３２、５ ２と同様な態様で係合するような寸法になされている。従って、基端側の肩部１ ４が第２の肩部ピース１２ａに対して歯毎に段階的に回転可能なばかりではなく 、第２の肩部ピース１２ａも、先端側のステムピース１２ｂに対して歯毎に段階 的に回転方向の取り付け位置を変更可能である。歯構造３２、５２、４１、４３ は、実質的に共通の寸法的な形態を有するのが好ましい。図５の実施例によりも たら される利点は、回転方向の取り付け位置変更の可能性及び対応性が増大し、従来 技術のモーステーパの嵌合に比較してより大きな強度を有する回転抵抗性が、第 ２の肩部ピース１２ａと先端側のステム１２ｂとの間にもたらされることである 。 更に図５を参照すると、第２の突出部３３は、破線で示すように、第２の肩部 ピース１２ａの下面２０ｃに設けることもできることを理解する必要がある。第 ２の突出部３３は、円筒形の突出部４８が肩部１４の下面５０から外方に伸長す るのと概ね同様な態様で、第２の肩部ピース１２ａから外方に伸長することがで きる。第２の軸孔２９を先端側のステム１２ｂの基端３１に形成することができ る。この構造は、ネジ１６を長くすることを必要とすることがある。 基端側の肩部１４及び第２の肩部ピース１２ａは、基端側のボディと呼ばれる 一体の部材として形成することができる。この構造においては、基端側のボディ が、先端側のステムピース１２ｂに対してモジュール方式であり、基端側の肩部 １４と第２の肩部ピース１２ａとの間のモジュール方式は、勿論排除されること になる。本件出願人のユニークな歯同士の接触構造に関する上述の利点及び関連 する特徴は、上述の別の実施例に当てはまる。従って、本明細書で使用する「基 端側の肩部」と言う用語は、図１、図３及び図５の要素１４を指し、また、本明 細書で使用する「基端側のボディ」と言う用語は、基端側の肩部１４及び第２の 肩部ピース１２ａの双方から成る一体型の部材を指す。 本発明は、股関節用ステム人工装具の分野における重大な前進を示す。本明細 書に記載した新規な要素（矢状方向のスロット２７、鋸歯状の係合接触構造３２ 、５２、及び、寸法４４、４６の可変性を含む））は、従来技術の装置の欠点を 導入することなく、本明細書に記載する重要な利点提供する役割を果たす。人工 装具１０を特定の解剖学的な条件に対してカスタマイズするユニークな方法は、 その有用性を高める。本発明の原理は、膝関節及び肩関節の如き他の関節用の人 工装具に使用することができる。上述の問題、及び、上で議論しなかった他の問 題が、本発明によってかなりの程度まで解決される。以上の記載から、当業者は 、上述の目的が本発明によって効果的に達成されることを理解できよう。 上述の構成は、本発明の原理の単なる応用例であることを理解する必要がある 。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者は、種々の変更例及び別 の 構成を考えることができ、添付の請求の範囲は、そのような変更例及び別の構成 を保護することを意図している。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ)， ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，Ｃ Ｈ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ， ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，Ｍ Ｎ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＴ， ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 キー，ジェリー アメリカ合衆国ユタ州84020，ドレイパー, ウエスト 12200 サウス 106 【要約の続き】 する。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 患者の第１の骨の端部に埋め込み可能であって、前記第１の骨と第２の 骨部材との間で機械的な応力を伝達するための、モジュール方式の人工装具であ って、 （１．１） 前記第１の骨の端部に形成された通路の中に挿入するためのステ ム手段であって、その基端に形成された軸孔を有しており、該軸孔が、側壁によ って画成されている、ステム手段を備えており、このステム手段は、更に、 （ｉ） 前記第１の骨に関する回転抵抗定性を前記ステム手段に与え、こ れにより、前記通路の中の前記ステム手段の回転運動を抑制するための、抑制手 段と、 （ｉｉ） 前記軸孔の開口端において前記側壁に形成された、環状のリッ プと、 （ｉｉｉ） 前記環状のリップにこれと一体の部品として形成された、鋸 歯状の第１の接触構造と、を有しており、 当該モジュール方式の人工装具は、更に、 （１．２）第１の側部を有する基端側の肩部手段を備えており、この基端側の 肩部手段が、更に、 （ｉ） 前記第２の骨部材に接続するように前記肩部手段に設けられてい るネック手段と、 （ｉｉ） 前記肩部手段の前記第１の側部に設けられていて、そこから先 端まで外方に伸長している係合突出部とを備えており、該突出部は、前記側壁と の間で当接関係を有するようにして前記軸孔の中に入れ子式に挿入されるような 寸法を有しており、また、前記突出部は、前記先端に形成された鋸歯状の第２の 接触構造を有しており、該鋸歯状の第２の接触構造は、前記鋸歯状の第１の接触 構造に係合して、前記肩部手段が前記ステム手段に相対的に回転するのを抑制す るように寸法づけられていることを特徴とするモジュール方式の人工装具。 ２． 請求項１の人工装具において、前記第１及び第２の鋸歯状の接触構造が 、尖端を有する第１及び第２の組の歯をそれぞれ有しており、これにより、前記 基端側の肩部手段は、前記ステム手段に対して相対的に、歯毎に段階的に回転方 向 に位置を変更可能であり、前記尖端の各々は、約５０°から７０°の範囲内の角 度で形成されていることを特徴とする人工装具。 ３． 請求項２の人工装具において、前記第１及び第２の歯の組は各々、実質 的に共通の寸法を有する３６の歯を備えており、これにより、前記ステム手段に 対する前記基端側の肩部手段の段階的な回転方向に沿った位置の変更が、１つの 歯当たり約１０°に等しいことを特徴とする人工装具。 ４． 請求項２の人工装具において、各々の歯を形成する角度が、約６０°で あることを特徴とする人工装具。 ５． 請求項１の人工装具において、前記軸孔を画成している前記側壁が、実 質的に円筒形であり、また、前記係合突出部が、実質的に円筒形であることを特 徴とする人工装具。 ６． 請求項１の人工装具において、前記軸孔を画成している前記側壁の少な くとも一部が、第１の雌ネジを有しており、前記基端側の肩部手段が、前記円筒 形の係合突出部を貫通する貫通孔を有しており、当該人工装具が更に、前記貫通 孔に挿入するためのロックネジを備えており、該ロックネジが、前記雌ネジに係 合して前記基端側の肩部手段を前記ステム手段に確実に接続するようになされた 雄ネジを有していることを特徴とする人工装具。 ７． 請求項６の人工装具において、前記ステム手段が更に、第２の肩部に対 して交換可能に接続／解放可能な先端側のステムを有していて、前記軸孔は前記 第２の肩部の第１の端部に形成されており、前記第２の肩部は更に、前記第１の 端部の反対側の第２の端部に形成され且つ環状のリップおよび鋸歯状の接触構造 を有する第２の軸孔を有しており、該環状のリップおよび鋸歯状の接触構造は、 請求項１に記載されたものと同様の形態を有しており、雌ネジを有する前記第１ の軸孔の部分が、前記第２の軸孔に連通しており、前記先端側のステムの基端が 、そこから外方に伸長する第２の係合突出部を有しており、該第２の係合突出部 は、請求項１に記載したものと同様の形態を有していて、前記側壁との間に当接 関係を有しながら前記第２の軸孔の中に入れ子式に挿入されるようになされてお り、前記第２の係合突出部は更に、第２の雌ネジを有する側壁によって画成され た第３の軸孔を有しており、前記先端側のステムの前記係合突出部が前記第２の 軸孔 の中に挿入された時に、前記第２の雌ネジが前記第１の雌ネジと出会って、前記 ロックネジが前記第１及び第２の雌ネジと係合することを許容し、同時に、前記 基端側の肩部手段、前記第２の肩部、及び、前記先端側のステムを確実に互いに 接続するようになされていることを特徴とする人工装具。 ８． 請求項７の人工装具において、前記鋸歯状の接触構造の各々の組が、半 径方向に突出する一組の歯を有しており、各々の歯の組は、その対応する係合歯 と実質的に共通する寸法を有しており、これにより、前記基端側の肩部は、前記 第２の肩部ピースに対して相対的に、歯毎に段階的に回転方向に沿った位置を変 更可能であり、また、前記第２の肩部ピースは、前記先端側のステムに対して相 対的に、歯毎に段階的に回転方向に沿った位置を変更可能であり、各々の段階的 な回転方向に沿った移動は、１つの歯当たりの所定数の角度に等しいことを特徴 とする人工装具。 ９． 請求項６の人工装具において、前記ステム手段が更に、第２の肩部要素 に対して交換可能に接続／解放可能な先端側のステムを有しており、これにより 、前記軸孔が、前記第２の肩部の第１の端部に形成された第１の軸孔であり、前 記先端側のステムは更に、その基端に形成された環状のリップおよび鋸歯状の接 触構造を有する第２の軸孔を有しており、該環状のリップおよび鋸歯状の接触構 造は、請求項１に記載されたものと同様の形態を有しており、前記第２の肩部は 更に、その先端に形成されている第２の係合突出部を有しており、この第２の係 合突出部は、前記先端から外方に伸長し、且つ、請求項１に記載したものと同様 の形態及び鋸歯状の接触構造を有しており、これにより、前記側壁との間に当接 関係を有しながら前記第２の軸孔の中に入れ子式に挿入されるようになされてお り、それによって、前記第２の係合突出部の前記鋸歯状の接触構造は、前記第２ の軸孔の前記鋸歯状の接触構造に係合し、前記第２の肩部に形成された前記第１ の軸孔は、前記第２の軸方向の突出部を貫通する貫通孔となされており、これに より、前記第１の雌ネジは、前記第２の肩部ピースの前記環状のリップと前記第 ２の軸方向の突出部の先端との間で伸長しており、前記環状のリップの下方にあ る前記第２の軸孔の一部は、第２の雌ネジを有しており、これにより、前記第２ の肩部ピースの前記第２の係合突出部が前記第２の軸孔の中に挿入された時に、 前記第 ２の雌ネジが前記第１の雌ネジと出会って、前記ロックネジが前記第１及び第２ の雌ネジと係合することを許容し、同時に、前記肩部手段、前記第２の肩部、及 び、前記先端側のステムを一緒に確実に接続するようになされていることを特徴 とする人工装具。 １０． 請求項１の人工装具において、前記第２の骨部材が股関節部を含んでお り、前記ネック手段は、股関節の中に挿入されて該ネック手段が前記股関節部に 接続されるように、確実な固定位置に関節運動面を受けるようになされているこ とを特徴とする人工装具。 １１． 請求項１の人工装具において、前記基端側の肩部手段の寸法が、前記ス テム手段の軸方向に沿って可変であることを特徴とする人工装具。 １２． 請求項１の人工装具において、前記基端側の肩部手段の寸法が、前記ス テム手段の横方向に沿って可変であることを特徴とする人工装具。 １３． 請求項１の人工装具において、前記ステム手段は、その先端に形成され た冠状方向のスロットを備えており、これにより、前記ステム手段に対して、第 １の方向においてある限度の横方向の可撓性を与えており、また、前記ステム手 段は、前記先端に形成された矢状方向のスロットを備えており、該矢状方向のス ロットは、前記冠状のスロットに対して実質的に直角に配列されており、これに より、前記ステム手段に対して、前記第１の方向に対して実質的に直角な第２の 方向においてある限度の可撓性を与えていることを特徴とする人工装具。 １４． 大腿骨と股関節との間で機械的な応力を伝達するために患者の大腿骨の 上方端に埋め込み可能なモジュール方式の股関節用ステム人工装具であって、 前記大腿骨の上方端に形成された通路の中に挿入されるステム手段であって、 前記大腿骨に対する回転抵抗性を当該ステム手段に与え、これにより、前記通路 の中での当該ステム手段の回転運動を抑制するための抑制手段を有している、ス テム手段と、 前記肩部手段を前記ステム手段に取り外し可能に取り付けるための取り付け手 段を含む基端側の肩部手段とを備えており、該肩部手段は更に、この肩部手段を 前記股関節に回転可能に係合した状態で取り付けるためにその上に設けられた関 節運動面を含んでおり、前記肩部手段の寸法は、前記ステム手段に対して相対的 に、軸方向に沿って可変であることを特徴とするモジュール方式の股関節用ステ ム人工装具。 １５． 請求項１４のモジュール方式の股関節用ステム人工装具において、前記 肩部手段の前記軸方向における寸法の可変性は、前記大腿骨と骨盤との間の第１ の寸法の間隔を与えるに十分であり、これにより、股関節の脱臼を生ずる恐れの ある股関節と骨盤との間の接触を抑制することを特徴とするモジュール方式の股 関節用ステム人工装具。 １６． 請求項１４のモジュール方式の股関節用ステム人工装具において、前記 肩部手段の前記軸方向に沿った寸法の可変性は、前記肩部手段が大腿骨の中の骨 の損失を補償する構造的なサポートをもたらすに十分であることを特徴とするモ ジュール方式の股関節用ステム人工装具。 １７． 請求項１４のモジュール方式の股関節用ステム人工装具において、前記 基端側の肩部手段は更に、前記ステム手段に対して横方向位置の可変性を有して おり、該可変性は、前記大腿骨と前記骨盤との間に第２の方向の間隔を与えるに 十分であり、これにより、股関節の脱臼を生ずる恐れのある前記大腿骨と前記骨 盤との間の接触を抑制することを特徴とするモジュール方式の股関節用ステム人 工装具。 １８． 大腿骨と股関節との間で機械的な応力を伝達するために患者の大腿骨の 上方端に埋め込み可能なモジュール方式の股関節用ステム人工装具であって、 前記大腿骨の上方端に形成された通路の中に挿入されるステム手段であって、 前記大腿骨に対する回転抵抗性を当該ステム手段に与え、これにより、前記通路 の中での当該ステム手段の回転運動を抑制するための抑制手段を有している、ス テム手段と、 前記肩部手段を前記ステム手段に取り外し可能に取り付けるための取り付け手 段を含む基端側の肩部手段とを備えており、該肩部手段は更に、この肩部手段を 前記股関節に回転可能に係合した状態で取り付けるためにその上に設けられた関 節運動面を含んでおり、前記基端側の肩部手段は、前記ステム手段の横方向位置 における可変性を有しており、該可変性は、前記大腿骨と前記骨盤との間に第１ の方向の間隔を与えるに十分であり、これにより、股関節の脱臼を生ずる恐れの ある前記大腿骨と前記骨盤との間の接触を抑制することを特徴とするモジュール 方式の股関節用ステム人工装具。 １９． 請求項１８のモジュール方式の股関節用ステム人工装具において、前記 基端側の肩部手段の寸法は、前記ステム手段の軸方向に沿った可変性を有するよ うになされていることを特徴とするモジュール方式の股関節用ステム人工装具。 ２０． 請求項１９のモジュール方式の股関節用ステム人工装具において、前記 肩部手段の前記軸方向の寸法の可変性が、前記大腿骨と前記骨盤との間の第２の 寸法の間隔を与え、これにより、股関節の脱臼を生ずる恐れのある前記大腿骨と 前記骨盤との間の接触を抑制することを特徴とするモジュール方式の股関節用ス テム人工装具。 ２１． 請求項１９のモジュール方式の股関節用ステム人工装具において、前記 肩部手段の前記軸方向の寸法の可変性が、前記大腿骨の中の骨の損失を補償する 構造的なサポートを与えるに十分であることを特徴とするモジュール方式の股関 節用ステム人工装具。 ２２． 患者の骨の端部の中に埋め込み可能な人工装具であって、 前記骨の端部に形成された通路の中に挿入するための先端を有するステム手段 を備えており、 該ステム手段が更に、 このステム手段の先端に形成されていて、第１の方向におけるある限度の横方 向の可撓性を該ステム手段に与える、冠状方向のスロットと、 前記冠状方向のスロットに関して実質的に直角な方向において、前記ステム手 段の前記先端に形成された、矢状方向のスロットとを備えており、該矢状方向の スロットが、前記第１の方向に対して実質的に直角な第２の方向において、ある 限度の横方向の可撓性を前記ステム手段に与えることを特徴とする人工装具。 ２３． 請求項２２の人工装具において、更に、 前記骨に対する回転抵抗性を前記ステム手段に与える手段を備えており、これ により、前記通路の中における前記ステム手段の回転運動を抑制することを特徴 とする人工装具。 ２４． 請求項２２の人工装具において、前記矢状方向のスロットは、前記冠状 方向のスロットの平均長さよりも短い平均長さを有していることを特徴とする人 工装具。 ２５． 請求項２２の人工装具において、前記冠状方向のスロット及び前記矢状 方向のスロットが各々、実質的に平坦な側壁によって形成されており、前記ステ ム手段に関して実質的に平行に配列されていることを特徴とする人工装具。 ２６． 患者の第１の骨の端部に埋め込み可能であって、前記第１の骨と隣接す る関節との間で機械的な応力を伝達するための、モジュール方式の人工装具であ って、 （２６．１） 前記第１の骨の端部に形成された通路の中に挿入するためのス テム手段であって、その基端に形成された軸孔を有しており、該軸孔が、側壁に よって画成されている、ステム手段を備えており、このステム手段は、更に、 （ｉ） 前記第１の骨に対する回転抵抗性を前記ステム手段に与え、これ により、前記通路の中の前記ステム手段の回転運動を抑制するための、抑制手段 と、 （ｉｉ） 前記軸孔の開口端において前記側壁に形成された、環状のリッ プと、 （ｉｉｉ） 前記環状のリップにこれと一体の部品として形成された、鋸 歯状の第１の接触構造とを有しており、 当該モジュール方式の人工装具は、更に、 （２６．２） 第１の側部を有する基端側のボディを備えており、該基端側の ボディが更に、 （ｉ） 前記関節に接続するように該基端側のボディに設けられている手 段と、 （ｉｉ） 前記基端側のボディの前記第１の側部に設けられていて、そこ から先端まで外方に伸長している係合突出部とを備えており、該突出部は、前記 側壁との間で当接関係を有しながら前記軸孔の中に入れ子式に挿入されるような 寸法を有しており、また、前記突出部は、前記先端に形成された鋸歯状の第２の 接触構造を有しており、該鋸歯状の第２の接触構造は、前記鋸歯状の第１の接触 構造に係合して、前記基端側のボディの前記ステム手段に対する回転を抑制する ような寸法を有していることを特徴とするモジュール方式の人工装具。 ２７． 患者の第１の骨と第２の骨部材との間で機械的な応力を伝達するための モジュール方式の人工装具を製造する方法であって、 （ａ） 前記第１の骨の端部に形成された通路の中に挿入可能なステム手段を 選択し、前記第１の骨の基端に軸孔を形成する工程と、 （ｂ） 前記ステム手段の軸孔を画成する側壁に環状のリップを形成する工程 と、 （ｃ） 前記環状のリップにその一体部品として第１の鋸歯状の接触構造を形 成する工程と、 （ｄ） 前記第２の骨部材に接続するためのネック手段を有する基端側の肩部 手段を選択し、前記肩部手段の第１の側部から先端まで外方に伸長すると共に、 前記画成側壁との間に当接関係を有しながら前記軸孔の中に入れ子式に挿入され るような寸法になされた、係合突出部を前記肩部手段の前記第１の側部に形成す る工程と、 （ｅ） 前記係合突出部の前記先端に第２の鋸歯状の接触構造を形成し、該第 ２の鋸歯状の接触構造の寸法を、前記第１の鋸歯状の接触構造に係合して前記ス テム手段に対する回転抵抗性を前記肩部手段に与えるような寸法にする工程とを 備えることを特徴とする製造方法。 ２８． 請求項２７の製造方法において、前記第１及び第２の鋸歯状の接触構造 が、実質的に共通の寸法を有すると共に半径方向の尖端を有している３６の歯か ら成る第１及び第２の歯の組をそれぞれ備えており、各々の尖端は、約５５°乃 至７０°の範囲内の角度によって形成されており、これにより、前記基端側の肩 部手段は、１つの歯当たり約１０°の回転角度で前記ステム手段に対して相対的 に歯毎に段階的に回転方向の位置を変更可能であることを特徴とする製造方法。 ２９． 請求項２７の製造方法において、更に、 （ｆ） 前記ステム手段に関する軸方向において前記基端側の肩部手段の寸法 を変える工程を備えることを特徴とする製造方法。 ３０． 請求項２７の製造方法において、更に、 （ｇ） 前記ステム手段に関する横方向において前記基端側の肩部手段の寸法 を変える工程を備えることを特徴とする製造方法。 ３１． 請求項２７の製造方法において、更に、 （ｈ） 前記ステム手段の先端に冠状方向のスロットを形成し、これにより、 第１の方向である横方向のある限度の可撓性を前記ステム手段に与える工程と、 （ｉ） 前記冠状方向のスロットに対して実質的に直角な向きの矢状方向のス ロットを前記先端に形成し、これにより、前記第１の方向に対して実質的に直角 な第２の方向である横方向のある限度の可撓性を前記ステム手段に与える工程と を備えることを特徴とする製造方法。 ３２． 患者の第１の骨と第２の骨部材との間で機械的な応力を伝達するために 前記第１の骨の端部に埋め込み可能なモジュール方式の人工装具であって、 前記第１の骨の端部に形成された通路の中に挿入されるステム手段であって、 前記第１の骨に対する回転抵抗性を該ステム手段に与え、これにより、前記通路 の中の該ステム手段の回転運動を抑制するための抑制手段を有している、ステム 手段と、 前記第２の骨部材に接続されるためのネック手段を有する基端側の肩部手段と 、 前記ステム手段と前記基端側の肩部手段との間に設けられ、これらステム手段 及び前記基端側の肩部手段を所望の向きで選択的に接続する、接続手段とを備え ており、 該接続手段が更に、 軸孔の側壁の該軸孔の開口端に形成された環状のリップと、 前記環状のリップにその一体部品として形成された第１の鋸歯状の接触構造と 、 前記側壁の間で当接する関係で前記軸孔の中に入れ子式に挿入される寸法を有 する係合突出部とを備えており、該係合突出部が、この係合突出部の先端に形成 された第２の鋸歯状の接触構造を有しており、該第２の鋸歯状の接触構造が、前 記第１の鋸歯状の接触構造に係合して、前記ステム手段に対して相対的な前記肩 部手段の回転を抑制するような寸法を有していることを特徴とするモジュール方 式の人工装具。