JPH10501970A - 避妊ワクチン - Google Patents

避妊ワクチン

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JPH10501970A
JPH10501970A JP8502335A JP50233596A JPH10501970A JP H10501970 A JPH10501970 A JP H10501970A JP 8502335 A JP8502335 A JP 8502335A JP 50233596 A JP50233596 A JP 50233596A JP H10501970 A JPH10501970 A JP H10501970A
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アルベス,ケネス
グプタ,サニル・ケー
ホリス,グレゴリー・フランクリン
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メルク エンド カンパニー インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 この発明は、ヒトPH30β鎖タンパク質及びマウスPH30β鎖タンパク質の中から選択された、実質的に純粋な形態の精子表面タンパク質に係わる。このようなタンパク質はヒト及びマウスそれぞれにおいて避妊ワクチンとして有用であり、また精子と卵子との相互作用及び受精を途絶させる小分子の同定に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】発明の名称 避妊ワクチン発明の分野 本発明は、受精の防止に有用である精子表面タンパク質、及び該タンパク質を コードするDNA配列を提供する。特に、マウス及びヒトPH30β鎖遺伝子の クローニング及び特性解明、並びにマウス及びヒトPH30β鎖の避妊ワクチン としての使用を開示する。発明の背景 米国で現在使用可能な家族計画法は、断種、禁断、中絶及び避妊の4種である 。これら4種のバースコントロール法のうち、避妊が最も広く用いられている。 避妊については米国でも世界でもかなりの需要が有るにもかかわらず、現在使用 可能な方法は市場のニーズに応えていない。今日の避妊市場では経口避妊薬及び 遮断法が支配的であるが、これらには重大な欠点が有る。経口避妊薬は効力が大 きいが、心血管疾患及び乳癌の危険性の増大を含めた重大な副作用との関連性が 報告されており、35才を過ぎた女性には勧められない。遮断法は、安全ではあ るのだが、失敗率が20%に迫る。避妊薬をより用いやすくし、かつその効 力を高め、それによって安全性、効力、利便性及び許容可能性に優れ、かつ世界 中の女性及び男性にとって入手可能な避妊薬を得る必要性が明らかに存在する。 従って、受精能を制御する新規な方法を見出さなければならない。 雄性及び雌性動物を全精子抽出物で免役することによって不妊が惹起されるこ とは公知である(K.Tung等,J.Reproductive Immun ol.1,pp.145−158,1979;A.Menge等,Biol.o f Reproduction 20,pp.931−937,1979)。そ のうえ、自発的に抗精子抗体を産生する男性及び女性は、その他の点では健康で あっても不妊である(R.Bronson等,Fert.and Steril e 42,pp.171−183,1984)。決定的な精子抗原は未知である が、上記のような観察から、避妊ワクチンの開発に精子タンパク質が有用である かもしれないという提言がなされた。 哺乳動物種では、精子タンパク質は精子を卵の透明帯に付着させる役割を有す ると考えられる。PH30タンパク質は精子と卵との結合に関与することが知ら れており、P H30に結合する抗体が前記相互作用を抑制する。PH30は精子の後頭部(p osterior head)に存在する内在性の膜タンパク質であり、精子と 卵母細胞との融合を媒介する。PH30タンパク質は、免疫学的に異なるαとβ との二つのサブユニットから成る。いずれのサブユニットもより大きい前駆体と して形成され、その後最終的に、精子が授精適応性(competent)とな る副睾丸においてプロセシングを受ける(P.Primakoff等,J.Ce ll Biology 104,pp.141−149,1987;C.P.B lobel等,J.Cell Biology 111,pp.69−78,1 990)。PH30を識別するモノクローナル抗体はin vitroで精子と 卵母細胞との融合を抑制し、このことは受精におけるPH30の重要性を示して いる(P.Primakoff等,上掲誌,1987)。 モルモットPH30α及びβ鎖がBlobel等によってクローン化されてい る。成熟PH30α鎖は289アミノ酸から成り、膜貫通ドメインと、風疹ウイ ルスのE2糖タンパク質の潜在性(potential)融合ペプチド に類似する内在性融合ペプチド(82〜102)とをコードする。モルモットP H30β鎖は353アミノ酸の読み取り枠を有し、やはり膜貫通ドメインをコー トする(C.P.Blobel等,Nature 356,pp.248−25 1,1992)。PH30β鎖タンパク質の推定アミノ酸配列はヘビ毒中に見出 される、「ディスインティグリン(disintigrins)」と呼称される 一群のタンパク質に対して有意の相同性を有する。ディスインティグリンは、「 インテグリン(integrins)」と呼称される一群のタンパク質に結合し てこのタンパク質が細胞接着において正常に機能するのを妨げることが知られて いる(良く研究されている一例に血小板凝集が有る)。PH30βのN末端の9 0アミノ酸から成るインテグリン結合ディスインティグリンドメインが、卵母細 胞上に存在するPH30の推定(putative)インテグリン受容体へのP H30の結合結合を媒介すると仮定されている。マウス及びヒトのPH30β鎖 遺伝子をクローン化して配列決定すれば、精子と卵との結合及び融合を制御する 新規な方法が可能となろう。前記方法には、PH30β鎖タンパク質の全体また は一部に対する免疫応答を惹起す ること、及びPH30β鎖タンパク質を、精子と卵との相互作用を改変する小型 分子を同定する選別手段(screen)の一部として用いることが非限定的に 含まれる。 哺乳動物の受精は大抵の場合種特異的である。即ち、モルモット以外の種にお いて有効な長期避妊を実現しようとすれば、当該種の受精にとって重要な精子表 面タンパタ質を同定及び単離することが有用となろう。これまでは、精子の有望 な付着タンパク質の生化学的同定、単離及びクローニングが行なわれなかったた めに、科学者はヒトその他の哺乳動物種用の有効な避妊薬を開発できなかった。発明の概要 本発明は、ヒトPH30β鎖タンパク質、マウスPH30β鎖タンパク質、及 びヒトまたはマウスPH30β鎖タンパク質と実質的に相同のアミノ酸配列の中 から選択された、実質的に純粋な形態の精子タンパク質に係わる。 本発明の一実施態様において、精子タンパク質はTDEでないインテグリン結 合配列を有する。 本発明の精子タンパク質のうちの或るものにおいては、インテグリン結合配列 はFEE及びQDEの中から選択される。 本発明の精子タンパク質にはヒトPH30β鎖タンパク質が含まれる。 この精子タンパク質の一例に、インテグリン結合配列を有し、該配列がFEE である精子タンパク質が有る。 本発明はその別の形態において、上記精子タンパク質または該精子タンパク質 の、少なくとも1個のエピトープの構成に十分な部分をコードするDNA配列も 提供する。 本発明のDNA配列の一例では、上記エピトープは天然タンパク質に存在する 。 本発明のDNA配列の例に、ヒトPH30β鎖タンパク質の全体または一部を コードするDNA配列が有る。 本発明のDNA配列の更に別の例に、ヒトPH30βタンパク質の全体または 一部をコードするDNAが配列番号1に示したDNA配列と標準的条件下にハイ ブリダイズする能力によって特徴付けられることを特徴とするDNA配列が有る 。 本発明はその特別の形態において、治療有効量の本発明のタンパク質、または 該タンパク質のセグメントと実質的に同じアミノ酸配列を有する、少なくとも1 個のエピトープの構成に十分なポリペプチドと、医薬に許容可能なキャ リヤとを含有する避妊薬組成物を提供する。 本発明の組成物の一例では、上記エピトープは天然タンパク質に存在する。 本発明の組成物の例に、タンパク質がヒトPH30β鎖タンパク質であること を特徴とする避妊薬組成物が有る。 本発明の組成物の特定例に、タンパク質が組み換えDNA発現ベクターに組み 込まれた、精子タンパク質の免疫原エピトープをコードする遺伝子の発現によっ て生産されることを特徴とする避妊薬組成物が有る。 本発明はその特別の態様において、本発明のタンパタ質をコードするDNA配 列が挿入されたベクターも提供する。 本発明のベクターの一例に、挿入されたDNA配列が配列番号1及び3のDN A配列の中から選択されたDNA配列と標準的条件下にハイブリダイズする能力 によって特徴付けられることを特徴とするベクターが有る。 本発明は、本発明のベクターと相容性である、前記ベクターを保持する宿主も 提供する。 本発明はその特定の態様において、ヒトまたはマウスPH30β鎖精子タンパ ク質を製造する方法も提供し、この方法はPH30β鎖DNAを有する細胞を培 養するステッ プ、及び細胞培養物から前記精子タンパク質を回収するステップを含む。 本発明の方法の一例に、PH30β鎖タンパク質の全体または一部をコードす るDNAが配列番号1及び3のDNA配列の中から選択されたDNA配列と標準 的条件下にハイブリダイズする能力によって特徴付けられることを特徴とする方 法が有る。 本発明はその特定の態様において、避妊を必要とするヒトまたはマウス被検者 を避妊させる方法も提供し、この方法は前記被検者に本発明の精子タンパク質を 、該精子タンパク質にin vivoで結合する抗体の刺激に有効な量で投与し 、それによって精子と卵との融合を防止するか、または前記融合の融合率を実質 的に低下させることを含む。 本発明の避妊方法の一例に、精子タンパク質がTDEでないインテグリン結合 配列を有することを特徴とする方法が有る。 本発明は、本発明の製造方法で製造したPH30β鎖タンパク質も提供する。 本発明は、ヒトPH30β鎖タンパク質をコードする、配列番号1に示したD NA配列も提供する。 本発明は更に、実質的にポリペプチドをコードするDNA配列から成る精製及 び単離されたDNA配列も提供し、前記ポリペプチドのアミノ酸配列はヒトまた はマウスPH30βのアミノ酸配列に対して、精子−卵結合を開始させ、または 精子−卵融合を促進する生物学的特性の保有を可能にする十分な重複性を有する 。上記のような生物学的活性は、in vitro精子−卵母細胞結合/融合ア ッセイを用いて測定可能である(Primakoff等,上掲誌,1987)。 本発明の上記DNA配列の一例に、ポリペプチドのアミノ酸配列がTDEでな いインテグリン結合配列を含むことを特徴とするDNA配列が有る。図面の簡単な説明 図1はヒトPH30βタンパク質をコードするヒトPH30β cDNA遺伝 子配列を、三文字コードで表わしたヒトPH30βタンパク質の推定アミノ酸配 列と共に示す説明図である。図1に開示した配列に、配列番号1及び2を付す。 図2はマウスPH30β cDNA遺伝子配列を、三文字コードで表わしたマ ウスPH30βタンパク質の推定ア ミノ酸配列と共に示す説明図である。図2に開示した配列に、配列番号3及び4 を付す。 図3はヒトPH30β cDNA配列の制限マップである。 図4はマウスPH30β cDNA配列の制限マップである。発明の詳細な説明 本発明は、受精にとって重要である精子表面タンパク質またはその一部と、避 妊法でのそれらの使用とに係わる。例えば精子表面タンパタ質に対するモノクロ ーナル抗体、または精製された当該タンパク質に対するポリクローナル抗体が精 子に結合した時in vitroもしくはin vivo受精を抑制するか、ま たはin vitro受精の任意のステップを抑制する場合、当該タンパク質は 受精にとって重要である。受精過程は、2個の配偶子(精子及び卵)が結合また は融合し、続いてそれらの核同士が融合して新生生物のゲノムを形成することと 定義される。精子表面タンパク質は精子の原形質膜及び/または内側先体膜に存 在し得る。このタンパク質は、タンパク質または糖タンパク質であり得る。免疫 に用いられる単離タンパク質は 表面タンパク質全体か、または表面タンパク質の(細胞外に位置する)免疫原部 分を含み得る。このような精子表面タンパク質のうちの二つが、マウス及びヒト PH30β鎖精子表面タンパク質である。PH30β遺伝子は、精子細胞の表面 に存在する、受精にとって重要なタンパク質をコードする。 本明細書中、「実質的に純粋」なタンパク質またはペプチドとは、そのタンパ ク質またはペプチドが天然に会合する他の分子を実質的に伴わないところまで精 製したタンパタ質またはペプチドのことである。「実質的に純粋」という語は、 本発明のペプチドが天然に会合するタンパク質またはペプチドに関して用いてあ り、本発明のペプチドと、タンパク質でない医薬用キャリヤもしくは賦形剤とを 混合して得られる組成物を除外することを意図していない。 本明細書中、「言及中のPH30βタンパク質と実質的に相同であるアミノ酸 配列」とは、言及中のPH30βタンパク質またはそのペプチドのアミノ酸配列 に対して少なくとも70%、好ましくは80%、最も好ましくは90%の配列相 同性を有するアミノ酸配列のことである。例えば、或るアミノ酸配列をマウスP H30βタンパク質と整列さ せた時に該配列のアミノ酸残基の少なくとも70%が前記タンパク質と同じであ れば、そのアミノ酸配列はマウスPH30βタンパク質と実質的に相同である。 加えて、実質的に相同であるアミノ酸配列はインテグリン結合配列を含むことが 好ましい。 本明細書中、「言及中のPH30βタンパク質と実質的に相同であるDNA配 列」とは、言及中のPH30βタンパク質のDNA配列に対して少なくとも70 %、好ましくは80%、最も好ましくは90%の配列相同性を有するDNA配列 のことである。そのうえ、言及中のPH30βタンパク質と実質的に相同である DNA配列は、標準的条件下に言及中のPH30βのDNA配列とハイブリダイ ズする能力によって特徴付けられる。標準的なハイブリダイゼーション条件は、 T.Maniatis等,“Molecular Cloning,”Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Sprin g Harbor,New York,1989に述べられている。 本明細書に用いた「発現ベクター」もしくは「ベクター」という語は、問題の 遺伝子の発現に適するシグナル が当該ベクターに存在するようにして前記遺伝子をその中へクローン化し得るプ ラスミド、バクテリオファージ、ウイルス、または他の分子を意味する。 本明細書に用いた「エピトープ」という語は、有効な、即ち避妊を実現する免 疫応答を誘起し得る最小のPH30β配列を意味する。 本明細書に用いた「治療有効量」という語は、研究者または臨床医が求める生 物学的または医学的応答を惹起する薬物量または医薬量を意味する。 免疫原の生産及び精製 避妊免疫原として用いる精子表面タンパク質を生産する好ましい一方法では組 み換えDNA技術を用いる。この技術を用いて上記タンパク質を生産するために は、該タンパク質またはその免疫原部分をコードするDNAを単離してクローン 化しなければならない。問題の遺伝子をクローン化する試みで用い得る様々な方 法は、当業者には良く知られている。しかし、せいぜい目的の単離タンパク質を もつだけのことで、上記のような試みの成功を妥当な確度で予測することはでき ない。 後出の実施例において、本発明者は、マウス及びヒトP H30β鎖遺伝子のクローニング及び特性解明について説明する。マウス及びヒ トPH30β鎖遺伝子は、モルモットPH30β鎖遺伝子をコードするcDNA を用いて単離した。本発明は、精子と卵との結合並びに結合後のシグナリング及 び有効な諸事象(effective events)を抗PH30特異的免疫 応答で抑制することに的を絞って受精の制御に介入することを可能にする特定の 配列の情報を提供する。上記のような配列は、精子と卵との相互作用に関与する 卵母細胞タンパク質の単離に用いられる試薬の生成を可能にする。 実施例に提示した情報は、当業者がマウスまたはヒトPH30β鎖遺伝子を単 離及びクローン化することを可能にする。例えば、問題の哺乳動物(例えばマウ ス、ヒト)から単離した睾丸細胞もしくは精子形成細胞からcDNAライブラリ ーを調製する。このようなライブラリーを次に、例えば標識したモルモットPH 30 DNAプローブを用いてスクリーニングする。ヒトまたはマウスPH30 の全体または一部をコードするDNAは、実施例1に述べたようなハイブリダイ ゼーション条件下に上記のようなプローブ配列とハイブリダイズする能力によっ て特徴付けられる。 標識方法及びハイブリダイゼーションによるスクリーニング方法は当業者に良く 知られている。陽性クローンを分析し、完全長cDNAを通常の方法で構築する 。 クローン化した遺伝子または該遺伝子の、PH30タンパク質の免疫原領域を コードする部分は、コーディング領域を発現ベクターに挿入して発現構築物を作 製することにより発現させ得る。上記発現ベクターは多数が当業者に公知である 。それらの発現ベタターは、目的の遺伝子のためのプロモーター、並びに付加的 な転写及び翻訳シグナルを有する。発現ベクターは、真核宿主細胞向けのものも 原核宿主細胞向けのものも広く入手可能である。DNA発現構築物を用いて適当 な宿主細胞を形質転換する。 真核生物タンパク質の発現には真核生物、特に哺乳動物由来の宿主細胞をしば しば用いる。例えば、真核生物タンパク質は原核細胞において発現されると折り 畳み(folding)の問題を生じさせる恐れが有ることが判明している。加 えて、クローン化したDNAから真正の生物活性な真核生物タンパク質が産生さ れる場合には、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、リン酸化、または細菌細 胞では行なわれない特異的タンパク質分解切断プロセスといっ た翻訳後修飾が時に必要となる。このことは特に膜タンパク質の場合に該当する 。精子表面タンパク質は宿主細胞の転写及び翻訳成分(components) を用いて産生される。適当な増殖及び発現期間の経過後、宿主細胞培養物を溶解 させ、溶解物から精子表面タンパク質を精製する。溶解緩衝液には典型的には、 ノニオン界面活性剤、プロテアーゼ阻害剤等が含まれる。 精子表面タンパク質は可溶化した細胞抽出物から、超遠心、カラムクロマトグ ラフィー、高速液体クロマトグラフィー、電気泳動等といった物理的及び生化学 的方法によって精製及び単離し得る。あるいはまた、精子表面タンパク質を、モ ノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いるアフィニティークロマトグラフ ィーによって単離することも可能である(Primakoff等,Biol.o f Reprod.38,pp.921−934,1988参照)。このような タンパク質精製方法は当業者に良く知られている。 先に述べたように、精子表面タンパク質の抗原部分もしくはエピトープは完全 長タンパク質と共に、免疫原として有用である。抗原フラグメントは、例えば完 全長タンパク 質をタンパク質分解消化し、その後所望のフラグメントを単離することによって 作製し得る。あるいはまた化学合成を用い、モノマーアミノ酸残基から出発して 所望のフラグメントを生成させることも可能である。 PH30タンパク質に関しては、幾つかの抗原ドメインが避妊ワクチンに好ま しく用いられると考えられる。後出の実施例において詳述するように、PH30 βサブユニットは、ディスインテグリン(disintegrins)として知 られている一群のタンパク質と比較した場合に高度に保存されたドメインを有す る。このドメインと同等または実質的に同等であるペプチド(またはその一部) が、本発明の避妊方法で好ましく用いられる。上記「実質的に同等」という語は 、ペプチドのアミノ酸配列の少なくとも70%がPH30βディスインテグリン ドメインの対応する部分と同等であることを意味する。 ディスインテグリンは例えばヘビ毒中に見出され、インテグリンとして知られ ている一群の血小板表面タンパク質に結合することが知られている。ディスイン テグリンのインテグリンへの結合は血液凝固を抑制することが判明している。こ のことから類推して、PH30βディスインテグ リンドメインに対応するペプチドは精子と卵との結合及び融合において活性であ ると考えられる。 避妊ワクチン 精子表面タンパク質を生産及び精製したら、該タンパク質またはその一部を、 免疫するべく被検者に投与するのに適したキャリヤと組み合わせることによって ワクチンを製造し得る。免疫原が組織特異性を示すこと、即ち標的組織でのみ発 現されることがワクチン開発の成功のためには必要であり、また生殖過程にとっ て重要であるはずである。精子でのみ発現されるPH30タンパク質が精子と卵 との結合に関与し、PH30に結合する抗体が前記のような相互作用を抑制する ことが知られている。 ヒトPH30βのクローニング及び特性解明によって、ヒトの受精を制御する ための標的としてPH30を用いる新規な方法が可能となる。PH30βタンパ ク質またはペプチドは、PH30β鎖タンパク質の全体または関連部分に対する 免疫応答を惹起する抗原として直接用い得る。上記方法を試験するには、十分な 量のPH30βタンパク質が入手可能でなければならない。マウス及びヒトPH 30β鎖のクローニング及び配列決定によって、PH30βタ ンパク質の全体または一部を組み換え技術で発現させるのに必要な情報が得られ る。発現されたPH30βタンパク質をアジュバントと共に、またはアジュバン ト無しで用いて女性または雌のマウスを免役する。誘起された体液性免疫応答を 、抗原としてPH30βを用いるアッセイによって監視する。雌性生殖器系にお いて分泌された抗体は精子頭部に結合し、受精を途絶させる(disrupt) 。組み換えマウスPH30βタンパク質が入手可能となることで、PH30に基 づく特異的受精制御方法の効果、可逆性及び安全性を試験する動物モデル系が確 立され得る。 ワクチンは1種以上の精子表面タンパク質を含有し得る。本発明の精子表面タ ンパク質は、免疫系の非特異的刺激因子を含有するアジュバントと配合可能であ る。アジュバントを適正に用いれば、外来抗原(即ち精子表面タンパク質)に対 する強い抗体応答を誘起することができる。アジュバントの作用は完全には解明 されていないが、ほとんどのアジュバントは二つの成分を含む。一つは、抗原を 異化作用から保護する沈着(deposit)の形成のために用いられる物質で ある。沈着形成方法には、鉱油を用いる方法と水酸化アルミニウム沈澱物を用い る方法との二つ が有る。フロイントアジュバントなど、アジュバントが鉱油を含有する場合は、 免疫原を油中水型乳濁液中に加えて製剤化する。水酸化アルミニウム含有の場合 は免疫原が予め生成した沈澱剤に吸着するか、または沈澱時に捕捉される。 有効なアジュバントに必要な第二の成分は、免疫系を非特異的に刺激する物質 である。前記物質は、リンフォカインとして知られる一連の様々な可溶性ペプチ ド因子の産生を刺激する。次いで、リンフォカインは抗原処理細胞の活性を直接 刺激し、注射部位において局所的炎症反応を惹起する。リピドAとして知られる リポ多糖成分が通常用いられる。リピドAは、リポ多糖よりはるかに毒性の低い 幾つかの合成形態及び天然形態で入手可能であるが、その場合にもなおリポ多糖 分子の望ましいアジュバント特性のほとんどを保持する。リピドA化合物はしば しばリポソームを用いて送達される。非特異的刺激因子としてアジュバント中に 通常用いられる細菌に、百日咳菌及び結核菌の2種が有る。これらの細菌は、全 菌体として用いる場合は使用前に熱で殺さなければならない。百日咳菌の免疫調 節媒介因子には、リポ多糖成分及び百日咳菌毒素が含まれる。百日 咳菌毒素は既に精製され、市販されている。結核菌は通常、完全フロイントアジ ュバント中に見出される。結核菌の最も活性な成分は、幾つかの形態で入手可能 なムラミルジペプチドであることが確認されている。 免疫(接種及び追加免疫注射) 免疫するべき被検者は、受容し得る(competent)免疫系を有する任 意の哺乳動物とし得る。哺乳動物被検者の例には、ヒト及び家畜(例えば、イヌ 、ネコ、ウシ、ウマ等)、並びに実験用または他の用途用の動物(例えばマウス 、ラット、ウサギ等)が含まれる。 最初の免疫での適正な用量を決定する際には、二つの異なる基準を考慮するこ とが重要である。第一の基準は最強の応答を達成するための最適の用量であり、 第二の基準は有用なポリクローナル抗体の産生を誘導すると考えられる最少の用 量である。注射した物質の多くは、適当な標的免疫細胞に到達する前に異化され 、清浄化される。この過程の効率は、ホスト因子(host factors) 、注射経路、アジュバントの使用、及び注射する表面タンパク質固有の特性に応 じて様々となる。即ち、免疫系に送達される有効用量は、導入量に対して僅かな 関連性しか有しな い恐れが有り、従って必要な用量は経験的に決定しなければならない。このよう な決定は当業者には容易に可能である。二次注射及び追加免疫は初回注射と同様 の量でか、またはより少ない量で行ない得る。 注射経路は、1)どれほどの量を送達しなければならないか、2)免疫原と共 にどんな緩衝液及び他の成分を注射するか、並びに3)どれほど急速に免疫原を リンパ系または循環系内へ放出するべきか、という三つの実際的な決定によって 定まる。例えば、ウサギでは大量の注射液は通常多数の皮下部位に投与する。マ ウスでは、大量投与は腹腔内注射でのみ可能である。注射液がアジュバントまた は粒状物質を含有する場合は、免疫原を静脈内送達するべきでない。接種材料の 徐放を望む場合は、筋肉内注射または皮内注射を行なうべきである。即時放出の ためには静脈内注射を用いる。 一次抗体応答は、特に抗原が溶解性で容易に異化される場合はしばしば非常に 弱い。そこで、最初の免疫後に二次もしくは追加注射が必要となる。初回抗原刺 激を受けた被検者にタンパク質を再導入する前には間隔を置かなければならない 。2週間または3週間の最短間隔が推奨されるが、 より長い間隔を置くことも可能である。二次以降の注射に対する抗体応答ははる かに強くなる。抗体の力価が大きくなるが、更に重要なことには、血清中に存在 する抗体の性質及び量が変化する。この変化によって高親和性抗体がもたらされ る。二次、三次、及びそれ以降の注射相互の間隔は様々に設定し得るが、普通は 、抗体の循環レベルが十分に低下して新たに注射された抗原の急激な清浄化を防 止することが可能となるような長さに設定しなければならない。 避妊の継続のためには、減少した循環抗体が次の追加刺激注射によって増加す ることが必要である。二次以降の注射相互の実際の間隔は種によって異なる。し かし、この間隔は当業者には、精子表面タンパク質抗体の血清中レベルを監視す ることによって決定可能である。 別の実施態様では、精子表面タンパク質に対するアロ抗血清またはモノクロー ナル抗体を被検者に投与することによって避妊を達成し得る。アロ抗血清は、同 じ種の別の個体において生成させてその個体の血清から単離し、受容被検者への 注射に適したキャリヤ中に加えて調製する。投与用のモノクローナル抗体を調製 及び配合する方法は、当業者には良く知られている。 精子に対する天然抗体が女性の不妊を惹起することには有力な証拠が有る(R .A.Bronson等,Fertility and Sterility 42,pp.171−183,1984)。上記不妊は血清と相関するよりも、 頸管粘液中の抗体力価と相関する(G.N.Clark,Amer.J.Rep rod.Immunol.5,pp.179−181,1984)。不妊女性の 頸管粘液中には抗精子抗体が存在し、その結果精子は頸管粘液を通過して浸透し にくくなり、かつ凝集し、それによって受精に有効な精子の数が減少する。即ち 、避妊ワクチンの成否は特に、雌性生殖路(tract)内での抗精子抗体の力 価の維持を含めた粘膜性免疫応答の誘起に依存する。 通常、抗原の局所適用は当該粘膜による抗体応答を刺激する有効な一手段であ る(J.Mestecky,J.Clin.Immunol.7,pp.265 −276,1987)。しかし、雌性生殖路においては局所的な粘膜性免疫は、 内腔上皮の遮蔽機能と生殖路内腔からの抗原の急激な消失とに起因して無効であ る。粘膜性免疫応答の誘起では、粘膜表面上での抗原の安定性及び付着性 が重要となる(H.J.de Aizpurua及びG.J.Russell− Jones,J.Exp.Med.167,p.440,1988)。付着性抗 原は、それ自体が有効な粘膜性免疫原であることからのみでなく、他の抗原のた めの担体タンパク質であることからも、粘膜性免疫の成功にとって重要である。 コレラ毒素は、粘膜に適用した場合に有効な免疫原であるが、他の抗原と組み合 わせて適用するとアジュバントとして作用する(S.J.McKenzie及び J.A.Halsey,J.Immunol.133,p.1818,1984 )。有効な免疫は、粘膜表面上での抗原の安定性にも依存する。粘膜ワクチン中 に用いられる多くの抗原はさほど免疫原性でなく、なぜならそれらの抗原は粘膜 表面の酸性及びタンパク質分解条件下では生存し得ないからである(D.T.O ’Hagen,Curr.Opin.Infect.Dis.3,p.393, 1990)。DL−ラクチド−コ−グリコリド(DL−lactide−co− glycolide;DL−PLG)微小球、即ち微小粒子(micropar ticle)担体系は粘膜性免疫に最適の系の一つ である。DL−PLG微小球は粘膜表面において抗原を保護し、また粘膜リンパ 組織に取り込まれてそこで粘膜性免疫を誘導する(J.H.Eldridge等 ,Curr.Top.Microbiol.Immunol.146,p.59 ,1989)。リポソーム、及び不活性化された微生物も微小粒子担体として用 いられる。Avridineなどの幾つかの非経口アジュバント、リポイドアミ ン、及び完全フロイントアジュバント中のミコバクテリアの活性成分であるムラ ミルジペプチド(MDP)も、経口粘膜アジュバントとして活性であり、粘膜性 免疫を促進することが判明している(A.O.Anderson及びJ.A.R eynolds,J.Reticuloendothel.Soc.26(su ppl.),p.667,1979;M.A.Taubman等,Ann.NY Acad.Sci.409,p.637,1983)。雌性生殖路における粘 膜性免疫応答の誘起は、様々なアジュバントや微小粒子担体の使用、粘膜表面の 局所もしくは遠隔免疫、または非経口免疫と粘膜性免疫との組み合わせによって 最適化できる。 精子と卵との相互作用及び受精を途絶させる小型分子の同定へのPH30βの使 用 マウスとヒトとのいずれのPH30β鎖遺伝子がコードするタンパク質もヘビ 毒中に見出される、ディスインテグリンと呼称される一群のタンパク質に対して 有意の配列相同性を有することが比較によって判明している。ディスインテグリ ンはインテグリンと呼称される一群の細胞表面分子と結合し、それによって細胞 接着における前記分子の正常な機能を妨げることが知られている。上記相同性に 依拠すれば、卵母細胞上のPH30受容体はインテグリンであると結論すること が至当である。モルモット、マウス及びヒトのPH30β鎖遺伝子のディスイン テグリンドメイン配列を比較すると、その推定リガンド結合ドメイン配列に有意 の相違が認められる。特に、この領域の配列は他のディスインテグリンのものと も、上記三つの種の間でも相違している。組み換えマウス及びヒトPH30βタ ンパク質を用いて親和性樹脂(affinity resins)を製造し、そ れによってマウス及びヒトPH30受容体を精製し、同定し、かつその特性を解 明する。組み換えPH30βは、他の組織において発現された他のインテグ リンに対するその相対親和性の測定にも、またPH30受容体のクローニングの ためのリガンドとしても用いることができる。 PH30βのインテグリン認識配列は種特異的であるので、種特異的に受精を 途絶させる小型分子の同定には配列情報が必要である。PH30受容体に対し拮 抗物質として作用してPH30結合を途絶させるか、または作用物質として作用 して、膜貫通信号発生、卵制御顆粒放出、及び透明帯(zona)反応を誘導す るPH30受容体を刺激し、それによって卵を受精のための侵入不能(impe netrable)とする小型分子を同定する選別手段を、組み換えマウス及び ヒトPH30βを用いて創出する。 本発明を、以下の実施例において更に詳述する。実施例1 マウス及びヒトPH30βをコードするDNAの単離 A.cDNAライブラリー平板培養 λgt11中のヒト睾丸cDNAライブラリー(Clontech,Palo Alto,CA)と、UNI−ZAP XRを用いたマウス睾丸cDNAライ ブラリー(Stratagene,La Jolla,CA) との両方から得た100万個の独立組み換えバクテリオファージを平板培養した 。プレート上にニトロセルロースフィルターを2分間置き、このフィルターを変 性溶液(0.5M NaOH、1.5M NaCl)、中和緩衝液(pH7.5 の0.5Mトリス、1.5M NaCl)及び2×SSC(3M NaCl、p H7.0の0.35Mクエン酸ナトリウム)で各2分間処理することによってプ ラークを二重に写し取った。フィルターを室温で30分間乾燥し、その後真空オ ーブン内で80℃で2時間ベークした。 B.プローブの作製 モルモットPH30β cDNAをRT−PCR(逆転写酵素−ポリメラーゼ 連鎖反応)によって、94%のコーディング配列を含む1020bp(塩基対) のHindIII/BamHI断片として単離した。この断片をpBluescr ipt SK+ベクター(Stratagene,La Jolla,CA)中 へサブクローン化し、配列解析によって確認した。精製した1020bpモルモ ットPH30β断片のニックトランスレーションによってプローブを作製した。 上記フィルターを、106cpm(1分当たりの計数)/mlの標識プローブを 含有するハイブ リダイゼーション溶液(pH7.5の7mMトリス、40%ホルムアミド、4× SSC、0.8×Denhard液、20μg/mlのサケ精子DNA、及び1 0%硫酸デキストラン)中で42℃で15時間精査(probe)した。フィル ターを室温で15分掛けて2回、いずれも2×SSC/0.2% SDS(ドデ シル硫酸ナトリウム)で洗浄し、その後室温で2回0.2×SSC/0.1% SDSで洗浄し、次いで42℃で30分掛けて1回、0.1×SSC/0.1% SDSで洗浄した。このフィルターに対してXARフィルム(Eastman KodakCo.,Rochester,NY)を15時間露光した。陽性プ ラークを1mlのSM(0.1M NaCl、10mM硫酸マグネシウム、2% ゼラチン、pH7.5の50mMトリス)中に取り、再び上述のようにスクリー ニングした。4ラウンドのスクリーニング後、精製したプラークを得た。 マウス睾丸ライブラリーの精製プラークを、EX ASSITヘルパーファー ジ及びSOLR細胞(Stratagene,La Jolla,CA)を用い てpBluescript SK+ベクター中へサブクローン化し た。ヒト睾丸ライブラリーの精製プラーク由来のDNAを、軽量(light) PLG管を用い、かつ製造元(Clontech,Palo Alto,CA) の指示に従って単離した。次に、単離したDNAを制限酵素EcoRIで消化し てpBluescript SK+中に連結し、これを用いてコンピテントな大 腸菌株HB101細胞を形質転換した。 C.DNA配列決定及び解析 クローン化した挿入部分の両鎖を、Sequenaseキット(United States Biochemical,Cleveland,Ohio)を 用いて配列決定した。FASTAプログラム(University of W isconsin,Genetics Computer Group)を用い てGeneBank及びEMBL DNA配列データベースを検索することによ って配列を解析し、GAPプログラムを用いて配列比較を行なった。 D.cDNAクローンの特性解明 マウス睾丸ライブラリーを1020bpモルモットPH30βプローブでスク リーニングして、1.7kb(キロ 塩基対)のcDNAクローンを単離した。このcDNAクローンは1371ヌク レオチドの読み取り枠と、329ヌクレオチドの3′非翻訳領域とを有する。モ ルモット及びマウスPH30βの成熟部分同士を比較したところ、マウスPH3 0βクローンはモルモットPH30βに対して、ヌクレオチドレベルで最高63 %の同等性を示した。457アミノ酸から成る推定アミノ酸配列のアミノ末端の 103残基はマウスPH30βの、精子成熟時に切断される前駆体領域である。 アミノ酸レベルでは、成熟マウスPH30βと成熟モルモットPH30βとは5 4%同等であり、その際システインは総て同じ位置を占めた。 ヒト睾丸cDNAライブラリーをスクリーニングして、1959ヌクレオチド の読み取り枠と、372ヌクレオチドの3′非翻訳領域とを有する2.331k bのcDNAを同定した。ヒトPH30βクローンはその読み取り枠において、 マウス及びモルモットPH30β遺伝子それぞれに対して63%及び67%同等 であった。653アミノ酸から成る派生(derived)アミノ酸配列と、マ ウス及びモルモットPH30βとの比較は、アミノ末端の299アミノ酸がヒト PH30βの前駆体であり、カルボキシ 末端の354アミノ酸がヒトPH30βの成熟部分であることを示している。成 熟ヒトPH30βのアミノ酸配列は成熟モルモット及びマウスPH30βタンパ ク質と54%相同であった。 マウス及びヒトPH30βをモルモットPH30βディスインテグリン及びヘ ビ毒ディスインテグリンとタンパク質配列比較したところ、有意の相同性が示さ れた。この解析によって構造的構成(structural organiza tion)の類似性が明らかとなり、またマウス及びヒトPH30β中にメタロ プロテアーゼドメイン及びディスインテグリンドメインが存在することが示され た。 マウス及びヒトPH30βのメタロプロテアーゼドメインは、モルモットPH 30βのメタロプロテアーゼドメインに対しては有意の類似性を有したが、モル モットPH30αディスインテグリンまたは他のディスインテグリンのメタロプ ロテアーゼドメインに対してはさほどの類似性は有しなかった。亜鉛依存性メタ ロプロテアーゼの活性部位特徴(signature)配列は、PH30αディ スインテグリン及びヘビ毒ディスインテグリン、Jararhagin並びにT rigraminに存在する(T.G. Wolfsberg等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90 ,pp.10783−10797,1993)。モルモットPH30βと同様に 、マウス及びヒトメタロプロテアーゼドメインは活性部位特徴配列を欠き、これ らのドメインはいずれもモルモットPH30βメタロプロテアーゼ活性部位配列 に対しては80%同等であったが、モルモットPH30αメタロプロテアーゼ活 性部位配列に対しては30%しか同等でなかった。ヒトPH30βメタロプロテ アーゼドメインとモルモットPH30βメタロプロテアーゼドメインとは60% 同等であった。 モルモットPH30βと同様に、マウス及びヒトPH30βもディスインテグ リンドメインを有する。マウスPH30βのディスインテグリンドメインは91 アミノ酸(残基111〜202)から成り、ヒトPH30βのディスインテグリ ンドメインは93アミノ酸(残基299〜392)から成る。ヘビ毒のほとんど のディスインテグリンは、共通のインテグリン結合配列RGDを有する。カルボ キシル末端のシステインに富むドメインに連結する、別に一群を成すヘビ毒ディ スインテグリンはRGDトリペプチドを 欠くが、ユニークなトリペプチドと隣接システインとを有する。モルモット、マ ウス及びヒトPH30βタンパク質もRGDトリペプチドを有せず、上記後者の ディスインテグリン群の方により類似する。上記後者のヘビ毒ディスインテグリ ン、並びにモルモット、マウス及びヒトPH30βのディスインテグリンドメイ ンはトリペプチド配列のカルボキシル末端に、負に荷電された残基を有する。モ ルモットPH30βインテグリン結合配列はTDEである。当業者は、他の哺乳 動物種のPH30βのインテグリン結合部位もTDEであろうと考えていた。し かし、ヒト及びマウスのPH30βを単離したところ、そうではないことが判明 した。意外にも、本発明者はインテグリン結合部位の重要な配列が保存されない ことを発見した。モルモット、マウス及びヒトPH30βディスインテグリンド メインの比較によって、これらのドメインの推定インテグリン結合配列はそのカ ルボキシル末端は同じであるものの有意に変化していることが明らかとなった。 PH30βの推定インテグリン結合残基はマウスではQDE、ヒトではFEEで あった。インテグリン結合配列が種間でこのように相違することは意外な、驚く べき発見であった。 マウス及びヒトのPH30βはいずれも、モルモットPH30βの類似領域と 60%同等である表皮成長因子様反復部分及び膜貫通ドメインを有する。実施例2 マウス及びヒトPH30βの5′末端のクローニング マウス及びヒトPH30βの5′末端を、GibcoBRLの「cDNA末端 急速増幅用5′RACEシステム」を用い、かつ製造元のプロトコルに従ってク ローン化した。各鋳型に関して二つのオリゴヌクレオチドを合成した。オリゴ1 はアンチセンスプライマーであり、オリゴ2もアンチセンスプライマーで、オリ ゴ1の内側に存在し、5′末端にクローニングを容易にするCAU配列を有した 。オリゴ1をマウスまたはヒト睾丸mRNAにアニールし、SuperScri pt II逆転写酵素を用いてcDNAコピーを作製した。mRNA鋳型をRNア ーゼHで分解した。一本鎖cDNAコピーをGlassMAX Spinカラム で精製し、その後dCTP及びターミナルトランスフェラーゼで3′末端にテイ リングした。テイリングしたcDNAコピーを、5′CAUクローニング部位を 有する提供されたアンカープライマー、及びオリゴ2を用いて増 幅した。増幅系はTaqポリメラーゼとした。次に、増幅生成物をゲル精製し、 Uracil DNA Glycosylaseで処理し、ベクターpAMP1 中へサブクローン化し、これをコンピテントな大腸菌DH5細胞の形質転換に用 いた。サブクローン化された断片を有するコロニーを同定し、該コロニーを先に 述べたように配列決定した。 完全長のマウスcDNA配列、及びマウスPH30βタンパク質の推定アミノ 酸配列を配列番号5及び6に示す。完全長のヒトcDNA配列、及びヒトPH3 0βタンパク質の推定アミノ酸配列を配列番号7及び8に示す。 ヌクレオチドレベルにおいて、完全長のヒトPH30βはマウスPH30βと は68%、モルモットPH30βとは68.6%同等である。マウスのDNA配 列とモルモットのDNA配列とは65.5%同等である。ヒトPH30βのアミ ノ酸配列は、マウスPH30βとは58.9%、モルモットPH30βとは56 .5%同等である。アミノ酸レベルにおいて、マウスPH30βとモルモットP H30βとは55.2%同等である。実施例3 PH30βタンパク質の投与による避妊ワクチン投与 雌または雄のマウス(1回目の注射の時点で約7週齢)に下記量のPH30β を2回注射する。mAb−アフィニティークロマトグラフィーまたは生化学的方 法によって細胞系または精子から精製した組み換えまたは天然PH30βは、S DSゲル上での精製タンパク質の銀染色を用いて測定すると90%以上の純度を 示す(即ち、検出可能な汚染物質が10%以下しか存在しない)。雌または雄の 免疫に用いる各PH30調製物の純度は、SDSポリアクリルアミドケル電気泳 動及び銀染色によって確認する。アフィニティー精製したPH30βを、3mM のオクチグルコシド(OG)を含有する0.375mlのリン酸緩衝食塩水(P BS)に加え、これを0.375mlの完全フロイントアジュバント(CFA) で乳化する。各動物に、0.1mlの乳濁液を背中から皮下投与し、かつ0.0 5mlを後肢から筋肉内投与する。約3週間後、PBS及び3mMOG中の同量 のPH30βを不完全フロイントアジュバント(IFA)で乳化し、これを各動 物の同一部位に注射する。対照の雌及び雄には、PBS及び3mM OG並びに CFAまたはIFAは含有するがPH30βは含有しない 注射液を同一日程で同様に注射する。注射した雌を交尾させるべく、最初の注射 の約6週間後に前記雌を10日間雄と一緒にする。各ケージに1匹の雄(13週 齢)と、1匹のPH30β免疫雌と、2〜4匹の対照注射雌とを入れる。グルー プ化の24時間後から毎日、雌を膣栓に関して目視検査する。交尾開始の2週間 後、雌を取り出して個別ケージに入れる。3週間後、同腹仔及び子孫を有する( having litters and progeny)妊娠雌を計数する。 注射した雄を交尾させるためには、最初の注射の約6週間後、注射した雄1匹ず つを2匹の雌(10〜13週齢)と10日間一緒にする。その後、雌と雄とを分 離し、更に3週間経過後膣栓を計数する。実施例4 卵形質膜への精子融合の阻害薬としてのPH30ディスインテグリンペプチドの 使用 PH30βディスインテグリンドメイン由来のペプチドを、卵形質膜への精子 結合の抑制について試験する。 融合抑制アッセイを次のように行なう。幼若な雌のマウス(8〜10週齢)に 、0.9% NaCl中の5単位の妊馬血清(PMS)を腹腔内注射する。48 時間後、マウ スに0.9% NaCl中の5単位のhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)を IP注射して過剰排卵を惹起する。hCG注射の14〜16時間後、排卵された 卵母細胞を回収し、ヒアルロニダーゼで処理して卵丘(cumulus)細胞を 除去する。プロテアーゼ混合物で透明帯を除去する。透明帯を除去した卵を培地 中で、特定濃度のペプチドと共に30分間インキュベートする(B.Hogan 等,“Manipulating The Mouse Embryo,”pp .91−101,1986)。雄のマウスの副睾丸から採集した精子をインキュ ベーションによって授精可能とし(capacitate)、Fleming及 びYanagimachiが述べている(Gamete Res.4,pp.2 53−273,1981)ように先体反応させ、これを卵に添加して15分間イ ンキュベートする。次に、卵を無精子培地に移して更に1時間45分インキュベ ートする。その後、卵を、Primakoff等が述べている(J.Cell. Biol.104,p.141,1987)ように固定して染色する。腫脹した 精子頭部の総数を数える。腫脹した精子頭部は、精子と卵とが融合したことの指 標である。 上記のような観察に基づき、幾つかの指数が計算される。受精指数(F.I. )は腫脹頭部の総数を卵の総数で除算して算定する。受精率(F.R.)は受精 した卵の比率(%)である。抑制率(%)は、実験ペプチドの受精指数を対照ペ プチドの受精指数で除算して算定する。 PH30βディスインテグリンドメインは、精子と卵との融合において重要で あるエピトープである。このエピトープに特異的に結合する抗体は精子と卵との 融合を阻止する。実施例5 精子と卵との相互作用及び受精を途絶させる小型分子の同定へのPH30βの使 A.PH30β受容体拮抗物質の同定 PH30が卵上のその受容体に結合するのを特異的に妨害する化合物の同定は 、十分な量のPH30タンパタ質及び正常なヒト卵が使用可能でなかったために 制限されてきた。rPH30βの使用可能性は、PH30β受容体インテグリン cDNAの同定及びクローニングを容易にする。前記PH30β受容体cDNA を用いて組み換えPH30β受容体を生成させる。PH30β受容体の代替源は 、P H30βのその受容体への結合に影響する物質の同定を容易にする。 通常の方法を用いてチャイニーズハムスター卵巣細胞を、PH30β受容体を コードするcDNAでトランスフェクトし、それによってヒトPH30β受容体 インテグリンを大量に発現させる安定な形質転換細胞を生産する。このような形 質転換細胞は安定した組み換えPH30β受容体源を提供し、PH30βのその 受容体への結合の特性解明に、またPH30のその受容体への結合を抑制する化 合物をスクリーニングするアッセイの確立に有用である。 PH30β受容体に対する化合物の選択性を、同じβサブユニットと、近縁の α鎖とを有する他のインテグリン受容体を発現させる細胞系を用いることによっ て調べる。PH30βとその受容体との相互作用を特異的に抑制する化合物を、 精子−卵融合抑制アッセイ及び卵皮質(eggcortical)顆粒放出アッ セイのような生物学的アッセイにおいて更に試験して、その受精抑制効力を測定 する。 B.PH30β拮抗物質スクリーニングプロトコル PH30β受容体を発現させる細胞を抽出緩衝液(pH 7.6の50mMトリス、100mM n−オタチルβ−D−グルコピラノシド 、150mM NaCl、1mM MgCl2及び1mM CaCl2)で処理し 、溶解性物質を遠心によって分離し、−80℃で冷凍貯蔵する。アッセイ管に1 5μlの水、80μlのアッセイ緩衝液(pH7.6の125mMトリス、18 7.5mM NaCl、1.25mM CaCl2、1.25mM MgCl2及 び1.25% BSA)及び5μlの試料化合物または対照(40μMの冷PH 30β)を入れ、50μlの125I−PH30β(最終濃度40pM)及び50 μlの細胞抽出物(最終タンパク質濃度250μg/ml)と混合する。管を室 温で1時間インキュベートする。インキュベーション後、試料を、Tomtec Mach II−6x16細胞回収器及び印刷フィルターマットcat.# 1 205−404を用いて回収する。フィルターを乾燥し、LKB/Wallac β Plateカウンターで計数する。 計算及び解釈: 抑制率(%)=[(CPM平均総結合数−CPM平均試料数)/ (CPM平均総結合数−CPM平均陽性対照数)]×100 抑制率が60%を上回り、かつその抑制率が用量に関連する場合、当該試料を 活性と看做す。 C.精子−卵母細胞融合アッセイ 幼若な雌のマウス(約8〜10週齢)に、0.9% NaCl中の5単位の妊 馬血清(PMS)を腹腔内注射する。48時間後、マウスに0.9% NaCl 中の5単位のhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)をIP注射して過剰排卵を 惹起する。hCG注射の14〜16時間後、排卵された卵母細胞を回収し、ヒア ルロニダーゼで処理して卵丘細胞を除去する。卵を0.1mg/mlのキモトリ プシンで短時間処理することによって透明帯を除去する。卵母細胞をHepes 緩衝培地で洗浄し、これに蛍光染料の4′,6−ジアミジノ−2−フェニルイン ドール二塩酸塩(DAPI)を、37℃で30分間インキュベートすることによ って保持させた。次に、卵母細胞を培地で洗浄してrPH30βまたは阻害薬化 合物と共に30分間インキュベートし、その後更に30分間、カルシウムイオノ フォアと共にインキュベートすることによって予め授精可能とした1×104個 の精子と共にインキュベートする。インキュベーション後、卵母細胞を洗浄し、 固定し、これを光学顕 微鏡で検査し、細胞質中に存在する、関連する尾部を伴った蛍光腫脹精子頭部に ついて評価する。 受精率=(融合した卵の数/試験した卵の数)×100 (結果は受精のパーセンテージで表わす) いかなる阻害薬も存在しないと、90%を越える卵母細胞が受精する。精子− 卵母細胞融合が60%を越える比率で抑制され、かつこの抑制が用量に関連する 場合、当該化合物を活性と看做す。 本発明を、その幾つかの好ましい具体例を参照して説明及び例示したが、前記 具体例の様々な変更、変形及び置き換えが本発明の思想及び範囲を逸脱すること なく可能であることは、当業者には理解されよう。従って、本発明は後出の請求 の範囲によってのみ限定されるものとし、その際請求の範囲は合理性が保たれる かぎりは広く解釈されるものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12N 1/21 9637−4B C12P 21/02 C 5/10 9735−4B C12N 5/00 B C12P 21/02 9051−4C A61K 37/02 //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CN,C Z,EE,FI,GE,HU,IS,JP,KG,KR ,KZ,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MN, MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,S K,TJ,TM,TT,UA,US,UZ (72)発明者 グプタ,サニル・ケー アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・ 07065、ローウエイ、イースト・リンカー ン・アベニユー・126 (72)発明者 ホリス,グレゴリー・フランクリン アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・ 07065、ローウエイ、イースト・リンカー ン・アベニユー・126

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.ヒトPH30β鎖タンパク質、マウスPH30β鎖タンパク質、及びヒトま たはマウスPH30β鎖タンパク質と実質的に相同のアミノ酸配列の中から選択 された、実質的に純粋な形態の精子タンパク質。 2.TDEでないインテグリン結合配列を有することを特徴とする請求項1に記 載のタンパク質。 3.インテグリン結合配列がFEE及びQDEの中から選択されることを特徴と する請求項2に記載のタンパク質。 4.ヒトPH30β鎖タンパク質であることを特徴とする請求項1に記載のタン パク質。 5.インテグリン結合配列を有し、該配列がFEEであることを特徴とする請求 項4に記載のタンパク質。 6.請求項1に記載の精子タンパク質、または該精子タンパク質の、少なくとも 1個のエピトープの構成に十分な部分、をコードするDNA配列。 7.前記エピトープが天然タンパク質に存在することを特徴とする請求項6に記 載のDNA配列。 8.ヒトPH30β鎖タンパク質の全体または一部をコードすることを特徴とす る請求項6に記載のDNA配列。 9.ヒトPH30βタンパク質の全体または一部をコードするDNAが配列番号 1に示したDNA配列と標準的条件下にハイブリダイズする能力によって特徴付 けられることを特徴とする請求項8に記載のDNA配列。 10.治療有効量の請求項1に記載のタンパク質、または該タンパク質のセグメ ントと実質的に同じアミノ酸配列を有する、少なくとも1個のエピトープの構成 に十分なポリペプチドと、医薬に許容可能なキャリヤとを含有する避妊薬組成物 。 11.前記エピトープが天然タンパク質に存在することを特徴とする請求項10 に記載の組成物。 12.タンパク質がヒトPH30β鎖タンパク質であることを特徴とする請求項 10に記載の組成物。 13.タンパク質が組み換えDNA発現ベクターに組み込まれた、精子タンパク 質の免疫原エピトープをコードする遺伝子の発現によって生産されることを特徴 とする請求項10に記載の組成物。 14.請求項1に記載のタンパク質をコードするDNA配列を挿入されたベクタ ー。 15.挿入されたDNA配列が配列番号1及び3のDNA 配列の中から選択されたDNA配列と標準的条件下にハイブリダイスする能力に よって特徴付けられることを特徴とする請求項14に記載のベクター。 16.請求項14に記載のベクターと相容性である、前記ベクターを保有する宿 主。 17.ヒトまたはマウスPH30β鎖精子タンパタ質を製造する方法であって、 請求項6に記載のDNAを有する細胞を培養するステップ、及び細胞培養物から 前記精子タンパク質を回収するステップを含む方法。 18.PH30β鎖タンパク質の全体または一部をコードするDNAが配列番号 1及び3のDNA配列の中から選択されたDNA配列と標準的条件下にハイブリ ダイズする能力によって特徴付けられることを特徴とする請求項17に記載の方 法。 19.避妊を必要とするヒトまたはマウス被検者を避妊させる方法であって、前 記被検者に請求項1に記載の精子タンパク質を、該精子タンパク質にin vi voで結合する抗体の刺激に有効な量で投与することを含む方法。 20.精子タンパク質がTDEでないインテグリン結合配列を有することを特徴 とする請求項19に記載の方法。 21.請求項17に記載の方法で製造したPH30β鎖タンパク質。 22.ヒトPH30β鎖タンパク質をコードする、配列番号1に示したDNA配 列。 23.実質的にポリペプチドをコードするDNA配列から成る精製及び単離され たDNA配列であって、前記ポリペプチドのアミノ酸配列がヒトまたはマウスP H30βのアミノ酸配列に対して、精子−卵結合を開始させ、または精子−卵融 合を促進する生物学的特性の保有を可能にする十分な重複性を有することを特徴 とするDNA配列。 24.ポリペプチドのアミノ酸配列がTDEでないインテグリン結合配列を含む ことを特徴とする請求項23に記載のDNA配列。
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