JPH10501763A - モノリシック印刷ヘッド用の電源接続 - Google Patents

モノリシック印刷ヘッド用の電源接続

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JPH10501763A JP8531091A JP53109196A JPH10501763A JP H10501763 A JPH10501763 A JP H10501763A JP 8531091 A JP8531091 A JP 8531091A JP 53109196 A JP53109196 A JP 53109196A JP H10501763 A JPH10501763 A JP H10501763A
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シルヴァーブルック,キーア
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イーストマン コダック カンパニー
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    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
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    • B41J2/135Nozzles
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    • B41J2/14451Structure of ink jet print heads discharging by lowering surface tension of meniscus

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  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 数千のノズルを持つ大型の印刷ヘッドは20アンペアを越える電流を消費する場合がある。標準的な相互接続技術を使用した場合には、このために重大な問題を生じる。本発明は、印刷ヘッドの長縁部全体を電力端子として利用することにより、印刷ヘッドに非常に大きな電流を供給する。V+およびV-接続は、印刷方向に垂直なチップの縁部に沿って、1ミクロンのアルミニウムの幅200ミクロンのストリップの形で製造されている。アルミニウムのラインがV+接続から、V-接続に最も近いノズルの列まで延びている。これらのラインは、それぞれの第2のノズルの間を通っており、デバイスレイアウトとプロセス技術とが許す限りの広い幅を持つ。アルミニウムのラインはV-接続から、V+接続に最も近いノズルの列まで延びている。これらラインはV+ラインと組み合っている。こうした電源の構成により、非常に低い電気抵抗を持つ印刷ヘッドに対して、チップ上の接続の温度を有意に上昇させることなしに数十アンペアを供給することができる。また、電子移動もデバイスの信頼性に有意な影響を与えない程度に十分低い。

Description

【発明の詳細な説明】 モノリシック印刷ヘッド用の電源接続 技術分野 本発明は、コンピュータ制御印刷装置に関し、特に単一の基板上に複数のノズ ルを統合させた熱作動ドロップオンデマンド(DOD)印刷ヘッドの構成および 製造プロセスに関するものである。 発明の背景 現在まで、多くの異なるタイプのディジタル制御印刷システムが発明され、多 くのタイプのものが現在生産されている。これらの印刷システムは、種々の作動 機構、種々のマーキング剤および種々の記録媒体を使用する。現在使用されてい るディジタル印刷システムの例としては、レーザ電子写真プリンタ、LED電子 写真プリンタ、ドットマトリックスインパクトプリンタ、熱式ペーパープリンタ 、フィルムレコーダ、熱式ワックスプリンタ、染料分散熱式移動プリンタおよび インクジェットプリンタ等がある。しかし、現在のところ、従来の方法が、設定 に非常に費用が掛かり、特定のページを数千枚印刷する場合でなければ、商業的 にほとんど引き合わないにもかかわらず、電子印刷システムが機械的印刷機に取 って代わっているケースはまだまだ少ない。それ故、例えば、普通紙を使用して 、高速、低コストで高品質のカラーイメージを印刷することができる改良型ディ ジタル制御印刷システムが求められている。 インクジェット印刷は、ディジタル制御電子印刷分野での極めて優れた競争相 手とされてきた。何故なら、例えば、インパクト型ではなく、騒音が少なく、普 通紙に印刷でき、トナーの転写や定着を行う必要がないからである。 現在までに、多くのタイプのインクジェット印刷機構が発明されてきた。これ らのインクジェット印刷機構は、連続インクジェット(CIJ)またはドロップ オンデマンド(DOD)インクジェットに分類することができる。連続インクジ ェット印刷の歴史は古く、少なくとも1929年には発明されていた。ハンセル の米国特許第1、941、001号参照。 1967年のスイート他の米国特許第3、373、437号は、印刷に使用さ れるインクの粒子が選択的に電荷を与えられ、記録媒体に向けて偏向される、連 続インクジェットノズルのアレーを開示している。この技術は、二進法偏向CI Jとして周知であり、エルムジェットおよびサイテックスのような数社のメーカ ーが使用している。 1966年のヘルツ他の米国特許第3、416、153号は、小さな孔を通る インクの粒子の数を変調するために、電荷を帯びたインクの粒子の流れを静電的 に分散させることによって、CIJ印刷で印刷した点の濃度を光学的に変化させ る方法を開示している。この技術は、イリスグラフィックス社が製造したインク ジェットプリンタに使用されている。 1970年のカイザー他の米国特許第3、946、398号は、圧電クリスタ ルに高電圧を掛け、クリスタルを曲げ、インクタンクに圧力を掛け、必要に応じ てインクの粒子を噴出させるDODインクジェットプリンタを開示している。多 くのタイプの圧電ドロップオンデマンドプリンタが次から次へと発明されたが、 これら圧電プリンタは、圧電クリスタルを、曲げモード、押しモード、せん断モ ードおよび絞りモードで使用している。圧電DODプリンタは、高温溶融インク (例えば、テクトロニクスおよびデータプロダクトプリンタ)を使用して、商業 的に成功したが、その家庭用およびオフィス用のイメージ解像度は最高720d piであった(セイコーエプソン)。圧電DODプリンタは、広い範囲の種類の インクを使用することができるという利点を持っている。しかし、圧電印刷機構 は、通常、複雑な高電圧駆動回路と容積の大きい圧電クリスタルアレーを必要と し、そのため製造が困難であり、性能の上でも不利になっている。 1979年の遠藤他の英国特許第2、007、162号は、ノズル内のインク と熱的に接触している電熱トランスジューサ(ヒータ)に、電力パルスを加える 電熱DODインクジェットプリンタを開示している。ヒータは、急速に、水をベ ースとしたインクを高温に加熱し、その場合、少量のインクは急速に蒸発しバブ ルを形成する。このようなバブルが形成されると、その結果、圧力波ができ、こ の圧力波はインクの粒子をヒータの基板の縁部にそって、小さな孔部から排出さ せる。この技術は、BubblejetTM(日本のキャノン社の登録商標)と呼 ばれ、キャノン、ゼロックスおよびその他のメーカーが製造している多くの種類 の印刷システムで使用されている。 1982年のボート他の米国特許第4、490、728号は、バブルの形成に よって作動する電熱粒子排出システムを開示している。このシステムの場合、粒 子はヒータの上に設置されている孔部を持つ板に形成されているノズルを通して 、ヒータの基板の面に垂直な方向に排出される。このシステムは熱インクジェッ トと呼ばれ、ヒューレット−パッカード社が製造している。本明細書には熱イン クジェットという用語は、ヒューレット−パッカード社のシステムおよびBub blejetTMと通常呼ばれているシステムの両方を指すのに使用されている。 熱インクジェット印刷は、通常、一つの粒子を排出するのに約2マイクロ秒中 に約20マイクロジュールを必要とする。各ヒータが10ワットの有効電力を消 費するのは、それ自身不利であるうえに、特別なインクを必要とし、ドライバエ レクトロニクスが複雑になり、ヒータ素子の劣化が促進される。 技術文献には、他のインクジェット印刷システムも記載されているが、現在は 商業的には使用されていない。例えば、米国特許第4、275、290号は、熱 パルスと水圧で、所定の印刷ヘッドノズルのアドレスを一致させることにより、 インクが印刷ヘッドの下を通して、スペーサにより分離されている紙に自由に流 れることができるシステムを開示している。米国特許第4、737、803号、 第4、737、803号および第4、748、458号は、印刷ヘッドノズル内 のインクのアドレスを熱パルスおよび静電誘引フィールドに一致させることによ り、印刷シートにインクの粒子を排出させるインクジェット記録システムを開示 している。 上記各インクジェット印刷システムは、利点と欠点とを持つ。しかし、例えば 、コスト、速度、品質、信頼性、電力利用、簡単な構造と操作、耐久性および消 耗品の点で有利な改良型インクジェット印刷方法が依然として求められているこ とは広く知られている。 発明の概要 「液体インク印刷装置およびシステム」および「同時粒子選択、粒子分離印刷 方法およびシステム」という名称の、本出願と一緒に提出された出願には、上記 の従来技術の問題を克服するための、有意な改良を行うことができる新しい方法 および装置が記載されている。これらの発明は、例えば、粒子の大きさおよび粒 子の印刷場所の正確さ、達成できる印刷速度、電力利用、耐久性および遭遇する 動作上の熱応力および他のプリンタ性能特性、並びに製造が容易であることおよ び有益なインクの特性に関して、重要な利点を持っている。本発明の一つの重要 な目的は、上記出願に開示されている構造および方法をさらに改善し、それによ り印刷技術の進歩に貢献することである。 本発明の一つの目的は、同時力印刷原理に基づいて動作するドロップオンデマ ンド印刷ヘッド用の電源接続を提供することにある。 ある態様において、本発明は、シリコンチップ上に形成されている複数の電熱 ヒータ素子と、上記電熱素子に電力を供給する電力接続とを有するドロップオン デマンド印刷ヘッドを構成し、上記接続は、印刷ヘッドの縁部と概ね対向してい るチップ表面の縁部に形成され、対応する縁部の全長に概ね等しい距離にまで延 びるようにした改良がなされている。 他の態様において、本発明は、シリコン基板上に形成されている複数の集積回 路と上記集積回路から外部回路までの電気的接続の配置とを有し、上記配置が、 上記集積回路の基板に形成されている斜面に置かれた上記集積回路との接触領域 により特徴づけられるドロップオンデマンド印刷ヘッドを構成している。 図面の簡単な説明 図1(a)は、本発明の一つの例示としての印刷装置の簡単なブロック図であ る。 図1(b)は、本発明のノズルチップの一例の断面図である。 図2(a)−図2(f)は、インク粒子選択の流体力学シミュレーションであ る。 図3(a)は、本発明の一実施形態の作動中のノズルの有限要素流体力学シミ ュレーションである。 図3(b)は、インク粒子選択および分離の際の継続メニスカス位置である。 図3(c)は、インク粒子選択サイクル中の種々の点における温度である。 図3(d)は、種々のインク添加物に対する測定表面張力対温度曲線である。 図3(e)は、図3(c)の温度曲線を発生させるためのノズルヒータに送ら れる電力パルスである。 図4は、本発明を実施するための印刷ヘッド駆動回路の簡単なブロック図であ る。 図5は、故障許容を使用もしくは使用しない、本発明の特徴を実施するA4ペ ージ幅のカラー印刷ヘッド用の予想製造歩留まりである。 図6は、印刷ヘッドを使用する一般化したブロック図である。 図7は、その内部に多数のノズルがエッチングされた単一のシリコン基板であ る。 図8(a)−8(d)は、印刷ヘッドの小さな断面に対して有り得るノズルの レイアウトと寸法である。 図8(b)は図8(a)の細部である。 図9(a)−図9(o)は、標準的な集積回路の製造に付加したいくつかのプ ロセスの単純化した製造ステップを示している。 図10は、大電流電力接続の示された6色印刷ヘッドのレイアウトの一部を示 している。 図11(a)は、印刷ヘッドのある一色の小部分に対するノズルの配置を示し ている。 図11(b)は、図11(a)のノズルの中の三本の周囲の領域を拡大した細 部である。 図12(a)および図12(b)は、従来のシステムの問題を解決する印刷ヘ ッド用の接続を示す横断面図である。 好適な実施形態の詳細な説明 一つの一般的な態様では、本発明は、ドロップオンデマンド印刷機構からなり 、そこでは、印刷に使用されるインク粒子を選択する手段が、選択されたインク 粒子と、選択されていないインク粒子との間の位置関係を変えるが、これはイン ク粒子がインクの表面張力に打ち勝ち、インクの本体から分離するには不十分で あり、さらにインク本体から、選択されたインク粒子を分離させるために別の手 段が使用されている。 インク粒子選択手段をインク粒子分離手段から分離すると、どのインク粒子を 印刷に使用するのかを選択するのに必要なエネルギーが有意に低減する。インク 粒子選択手段だけを、各ノズルに対する個々の信号によって駆動すればよいから である。インク粒子分離手段は、電界または条件に応じて、すべてのノズルに同 時に使用することができる。 インク粒子選択手段は、下記のリストから選択することができるが、リストに 記載されているものだけに限定されるわけではない。 1)圧力が掛けられているインクの表面張力の電熱低減 2)インク粒子の排出を起こさせるには不十分なバブル体積による、電熱バルブ の発生 3)インク粒子を排出させるには不十分な容積の変化を持つ圧電 4)各ノズルに一つの電極を使用する静電吸引 インク粒子分離手段は、下記のリストから選択することができるが、リストに 記載されているものだけに限定されるわけではない。 1)近接(印刷ヘッドに近接している記録媒体) 2)振動インク圧による近接 3)静電吸引 4)磁気吸引 「DOD印刷技術の目標」テーブルは、ドロップオンデマンド印刷技術のいく つかの望ましい特性を示す。このテーブルはまた、それにより本明細書に記載し たいくつかの実施形態、または本発明に関連する他の出願に記載されているいく つかの実施形態が使用し、それにより従来技術を改良したいくつかの方法を表示 している。 熱的インクジェット(TIJ)および圧電インクジェットシステムの場合には 、選択したインク粒子が確実にインクの表面張力に打ち勝ち、インク本体から分 離し、記録媒体に吹き付けられるためには、インク粒子の秒速は好適には約10 メートルであることが好ましい。上記システムの電気的エネルギーを、インク粒 子の運動エネルギーに変換する効率は非常に低い。TIJシステムの効率は、約 0.02%である。このことは、TIJ印刷ヘッド用の駆動回路は、大電流を切 り替えなければならないことを意味する。圧電インクジェットヘッド用の駆動回 路は、大電圧を切り替えなければならないか、または大きな容量性の負荷を切り 替えなければならない。ページ幅のTIJ印刷ヘッドの全消費電力は、非常に高 い。1秒間に1つの4カラーブラックイメージを印刷する、800dpiのA4 全カラーページ幅のTIJ印刷ヘッド印刷は、約6キロワットの電力を消費する が、その大部分は無駄な熱になる。この熱を除去するのが難しいので、ローコス トで、高速、高解像度の小型のページ幅TIJシステムの生産がなかなかうまく いかない。 本発明の実施形態の一つの重要な特徴は、印刷に使用するインク粒子の選択に 必要なエネルギーを有意に低減する手段である。上記のエネルギーの低減は、イ ンク粒子を選択するための手段を、選択したインク粒子を確実にインク本体から 分離し、また記録媒体上にドットを形成するための手段から分離することによっ て達成される。インク粒子選択手段だけは、各ノズルに対する個々の信号によっ て駆動しなければならない。インク粒子分離手段は、すべてのノズルに適用され るフィールドまたはコンディションとなる。 「インク粒子選択手段」を示すテーブルには、本発明のインク粒子を選択する ための可能な手段がいくつか表示されている。インク粒子選択手段は、選択され たインク粒子の位置を十分に変化させるのに必要であり、それにより、インク粒 子分離手段は、選択されたインク粒子を、選択されなかったインク粒子から区別 することができるわけである。 他のインク粒子選択手段も、使用することができる。 水をベースとするインク用の好適なインク粒子選択手段は、方法1:「圧力下 のインクの表面張力を電熱により低減する」方法である。このインク粒子選択手 段は、他のシステムと比較すると、多くの利点を持つ。その利点としては下記の ものが含まれる。すなわち、動作電力が低いこと(TIJの約1%)、CMOS VLSIチップ製造法と互換性を持っていること、動作電圧が低いこと(約1 0V)、ノズル密度が高いこと、低温で動作できること、および適当なインク組 成の範囲が広いことである。インクの表面張力は、温度の上昇に従って、低下し なければならない。 高温溶融インクまたはオイルをベースとするインク用の好適なインク粒子選択 手段は、方法2:「変動インク圧とともに、インクの粘度を電熱により下げる」 方法である。上記インク粒子選択手段は、温度の上昇と共に、粘度が大幅に低下 するが、表面張力は少ししか低下しないインクと一緒に使用するのに特に適して いる。特に、比較的高い分子量を持つ非極性インクキャリヤの場合に適している 。これは特に、高温溶融インクおよびオイルをベースにしているインクの場合に 適している。 「インク粒子分離手段」を示すテーブルには、選択されたインク粒子をインク 本体から分離し、選択したインク粒子により、印刷媒体上にドットを形成するの に使用することができるいくつかの方法が示されている。インク粒子分離手段は 、選択されなかったインク粒子が、印刷媒体上に絶対にドットを形成しないよう にするために、選択されたインク粒子を選択されなかったインク粒子から区別す る。 他のインク粒子分離手段も使用することができる。 好適なインク粒子分離手段は、用途によって変わる。 ほとんどの用途の場合には、方法1:「静電誘引」または方法2:「交流電界 」が最も適している。平滑なコーティングが行われた紙またはフィルムが使用さ れ、非常な高速が絶対必要ではない場合には、方法3:「近接」が適当である。 高速、高品質を必要とする場合には、方法4:「転送近接」を使用することがで きる。方法6:「磁気誘引」は、印刷媒体が、近接印刷に対してあまりにざらざ らしていて、静電インク粒子分離用に必要な高電圧が望ましくない、ポータブル 印刷システムに適している。すべての用途に適用できるはっきりした「最善の」 インク粒子分離手段はない。 本発明の種々のタイプの印刷システムのより詳細な説明は、その開示が参考文 献として本明細書に記載されている、1995年4月12日付けの下記のオース トラリアの特許明細書に記載されている。すなわち、 「液体インク故障許容(LIFT)印刷機構」(出願番号:PN2308) 「LIFT印刷の際の電熱インク粒子選択」(出願番号:PN2309) 「印刷媒体近接によるLIFT印刷の際のインク粒子分離」(出願番号:PN 2310 「ヘッドと媒体の間の距離を変化させることによる、近接LIFT印刷におけ るインク粒子の大きさの調整」(出願PN2311) 「音響インク波を使用する増大近接LIFT印刷」(出願番号:2312) 「LIFT印刷における静電インク粒子分離」(出願番号:PN2313) 「近接印刷における多重同時インク粒子サイズ」(出願番号:PN2321) 「熱作動印刷ヘッドの自己冷却動作」(出願番号:PN2322) 「熱的粘度低減LIFT印刷」(出願番号:PN2323) 図1(a)は、本発明の一つの好適な印刷システムの略図である。 イメージ源52は、スキャナまたはコンピュータからのラスタイメージデータ であってもよいし、ページ記述言語(PDL)の形のアウトラインイメージデー タであってもよいし、または他の形のディジタルイメージ表現であってもよい。 このイメージデータは、イメージ処理システム53によってピクセルマップされ たページイメージに変換される。上記イメージ処理システムは、PDLイメージ データの場合には、ラスタイメージプロセッサ(RIP)かも知れないし、ラス タイメージデータの場合には、ピクセルイメージ操作であるかもしれない。イメ ージ処理ユニット53によって生じた連続トーンデータは、ハーフトーンである 。ハーフトーン化は、ディジタルハーフトーン化ユニット54によって行われる 。ハーフトーン化されたビットマップイメージデータは、イメージメモリ72に 記憶される。プリンタおよびシステム構成によって、イメージメモリ72は全ペ ージメモリであったり、バンドメモリであったりする。ヒータ制御回路71は、 イメージメモリ72からデータを読み取り、印刷ヘッド50の一部であるノズル ヒータ(図1(b)の103)に、時変電気パルスを送る。上記パルスは適当な 時間に、適当なノズルに送られ、その結果、選択されたインク粒子は、イメージ メモリ72のデータによって指定された、記録媒体51上の適当な場所に点を形 成する。 記録媒体51は、マイクロコントローラ315によって制御されている、ペー パー移動制御システム66によって電子的に制御されている、ペーパー移動シス テム65によって、ヘッド50に対して移動する。図1(a)に示すペーパー移 動システムはその略図にしか過ぎず、多くの異なる機械的構成を使用することが できる。ページ幅印刷ヘッドの場合には、記録媒体51を、定置型のヘッド50 に接触させながら移動させるのが最も便宜的な方法である。しかし、走査印刷シ ステムの場合には、相互にラスタ動作が行われるように、普通ヘッド50を軸( サブ走査方向)上にそって移動し、記録媒体51を直行軸(主走査方向)にそっ て移動するのが最も便宜的な方法である。マイクロコントローラ315は、また インク圧レギュレータ63およびヒータ制御回路71を制御することができる。 表面張力の低減を利用する印刷の場合には、インクは圧力が掛けられた状態で インクタンク64に収容されている。(インク粒子が排出されない)静止状態の 場合には、インク圧は表面張力に打ち勝って、インク粒子を排出するほどまだ十 分高くない。インク圧レギュレータ63の制御の下で、インクタンク64に圧力 を加えることによって、インクに一定の圧力を加えることができる。別の方法と しては、大型の印刷システムの場合には、ヘッド50上の適当な高さのところに 、インクタンク64のインク頂面を設定することによって、インク圧を非常に正 確に発生し、制御することができる。インクレベルは、簡単なフロート弁(図示 せず)により調整することができる。 粘度の低減を利用する印刷の場合には、インクはインクタンク64に収容され ていて、インク圧は振動により与えられる。この振動を発生するための手段とし ては、インクチャネル(図示せず)に実装されている圧電アクチュエータを使用 することができる。 インク粒子分離手段と共に適当に配置すれば、選択されたインク粒子は、記録 媒体51上に点を形成し、一方、選択されなかったインク粒子はインク本体の一 部として残る。 インクは、インクチャネル装置75によって、ヘッド50の背面に分配される 。インクは、好適にはヘッド50のシリコン基板に彫られたスロットおよび/ま たは孔部を通って、ノズルおよびアクチュエータが設置されている前面に流れる ことが好ましい。熱的選択が行われる場合には、ノズルアクチュエータは、電熱 ヒータである。 本発明のある種のタイプのプリンタの場合には、選択されたインク粒子をイン ク本体から確実に分離し、記録媒体51の方向に確実に移動させるのに、外部電 界74が必要になる。インクは容易に電導性を持つことができるので、手ごろな 外部電界74として、定電界を使用することができる。この場合、ペーパーガイ ドまたはプラテン67を、電導性の材料で作ることができ、電界を発生する一つ の電極として使用することができる。もう一方の電極としては、ヘッド50自身 を使用することができる。他の実施形態は、選択されたインク粒子と選択されな かったインク粒子とを区別するための手段として、印刷媒体の近接を使用してい る。 小さなインク粒子の場合には、インク粒子に掛かる重力は非常に小さい。すな わち、表面張力の約10-4で、ほとんどの場合、重力は無視することができる。 このため、印刷ヘッド50および記録媒体51を、局部的な重力の場に対して任 意の方向に向けることができる。このことはポータブル型のプリンタにとって、 重要な要件である。 図1(b)は、修正CMOSプロセスを使用して製造した、本発明の単一の顕 微鏡的ノズルチップの実施形態の断面の詳細な拡大図である。ノズルは基板10 1に彫られていて、この基板はシリコン、ガラス、金属または他の任意の適当な 材料で作ることができる。基板が半導体でない材料でできている場合には、(無 定型シリコンのような)半導体材料を基板上に配置して、表面に半導体層に集積 駆動トランジスタおよびデータ分配回路を形成することができる。単結晶シリコ ン(SCS)基板は、下記に記載する利点を含めて、いくつかの利点を持つ。 1)高性能の駆動トランジスタ、および他の回路をSCS内に作ることができる 。 2)標準VLSI処理装置を使用して、現在の施設(工場)で印刷ヘッドを作る ことができる。 3)SCSは機械的強度および剛性が高い。 4)SCSは高い熱伝導性を持つ。 この例の場合には、ノズルは円筒形をしていて、環状のヒータ103を持つ。 ノズルチップ104は、CMOS駆動回路の形成過程中に形成された二酸化シリ コン層から作られている。ノズルチップは、窒化シリコン膜で保護されている。 突出しているノズルチップは、印刷ヘッド表面上の圧力が掛かっているインク1 00の接触点を制御している。印刷ヘッドの表面も、印刷ヘッドの前面を横切っ て、不必要にインクが広がらないように疎水化されている。 多くの他の構成のノズルを使用することができ、本発明のノズルの実施形態の 形、大きさおよび使用材料をいろいろに変えることができる。その上にヒータお よび駆動エレクトロニクスが形成されている基板に彫られたモノリシックなノズ ルは、オリフィス板を必要としないという利点を持つ。オリフィス板を使用しな いですむので、製造およびを組立の際のコストを有意に節減することができる。 オリフィス板を使用しないですむ最近の方法としては、ゼロックスに譲渡された 堂本他の1986年の米国特許第4、580、158号、ヒューレット−パッカ ード社に譲渡されたミラー他の1994年の米国特許第5、371,527号に 記載されている方法のような「渦巻」アクチュエータ等がある。しかし、これら の方法は、動作が複雑で、製造が難しい。本発明の印刷ヘッド用のオリフィス板 を使用しない好適な方法は、アクチュエータの基板内にオリフィスを内蔵させて いる。 このタイプのノズルは、インク粒子を分離するために種々の技術を使用してい る印刷ヘッドに対して使用することができる。 静電インク粒子分離を使用する動作 最初の例として、図2に表面張力の熱による低減および静電式インク粒子分離 を使用する動作を示す。 図2は、米国、イリノイ州所在のフルイドダイナミック社が販売している商業 的な流体の動的シミュレーションソフトウエアパッケージであるFIDAPを使 用して行ったエネルギーの移動および流体の動的シミュレーションの結果を示す 。このシミュレーションは、周囲温度が30℃の場合の、直径が8ミクロンの熱 的インク粒子選択ノズルの実施形態についてのものである。ヒータに供給された 全エネルギーは、276nJで、それぞれが4nJのエネルギーを持つ69のパ ルスによって与えられる。インク圧は、周囲の空気圧より10kPa高く、30 ℃のインクの粘度は1.84cPsであった。インクは水をベースとするもので 、温度が上昇するにつれて、表面張力を大きく低下させるために、0.1%のパ ルミチン酸のゾルを含む。図に示すように、ノズルの中心軸から半径方向へのノ ズルチップの断面の長さは40ミクロンである。シリコン、窒化シリコン,アモ ルファス二酸化シリコン、結晶状二酸化シリコンを含むノズル材料内、および水 をベースとするインク中を流れる熱を、それぞれの密度、熱容量、および熱伝導 性を使用してシミュレートした。シミュレーションの時間的ステップは0.1マ イクロ秒である。 図2(a)は、ヒータが作動する直前の静止状態を示す。平衡状態にあり、そ のため静止状態の場合には、インク圧プラス外部電界は、絶対に、周囲温度での 表面張力に打ち勝つことができないので、ノズルからインクが噴出しない。静止 状態の場合には、インクのメニスカスは、印刷ヘッドの表面より有意に突出しな いので、そのため静電界はメニスカスに有意に集中しない。 図2(b)は、ヒータ加熱パルスの供給が開始してから5マイクロ秒後の5℃ 間隔の等温線を示す。ヒータが加熱すると、ノズルチップと接触しているインク は急速に加熱される。表面張力が低下すると、メニスカスの加熱された部分が冷 たいインクのメニスカスに対して急速に膨張する。この状況下では、対流が起こ り、この対流がこの熱をノズルチップのインクの自由面の一部上を通して急速に 移動させる。この場合、熱をインクがヒータと接触していないところを通して分 配しないで、インクの表面上を通して分配する必要がある。なぜなら、固体のヒ ータに対して粘り気のあるインクが伝わると、ヒータと直接接触しているインク が移動できなくなるからである。 図2(c)は、ヒータ加熱パルスの供給が開始してから、10マイクロ秒後の 5℃毎の等温線を示す。温度が上昇すると、表面張力が低下し、力の平衡状態が 破れる。全メニスカスが加熱されると、インクが流れ始める。 図2(d)は、ヒータ加熱パルスの供給が開始してから、20マイクロ秒後の 5℃毎の等温線を示す。インク圧により、インクが新しいメニスカス部分に流れ 、印刷ヘッドから突き出る。静電界は、突き出た電導性のインク粒子によって集 中する。 図2(e)は、ヒータ加熱パルスの供給が開始してから、30マイクロ秒後の 5℃毎の等温線を示す。ヒータパルスの持続時間は24マイクロ秒であるので、 この等温線はヒータパルスの終了後6マイクロ秒のものである。ノズルチップは 、酸化層を通しての熱伝導、および流動中のインクへの熱伝導により急速に冷却 する。ノズルチップは、インクにより効果的に水冷される。静電誘引により、イ ンク粒子の記録媒体へ向かっての加速が開始される。ヒータパルスが有意に短く なると(この場合は、16マイクロ秒以下になると)、インクは印刷媒体の方向 に加速されず、ノズルの方向に戻る。 図2(f)は、ヒータパルスの供給が終了してから、26マイクロ秒後の5℃ 毎の等温線を示す。ノズルチップの温度は、周囲温度と比較した高さが5℃以下 になる。これにより、ノズルチップ周囲の表面張力が増大する。ノズルからイン クが引き出される速度が、ノズルを通してのインクの流れの粘度による制限値を 超えると、ノズルチップの領域内のインクが「くびれ」を起こし、選択されたイ ンク粒子がインク本体から分離する。その後、選択されたインク粒子は、外部の 静電界の影響を受けながら、記録媒体に向かって移動する。その後、ノズルチッ プのインクのメニスカスは、静止位置に戻り、次の加熱パルスに対して次のイン ク粒子を選択する準備が整う。各加熱パルスに対して、一つのインク粒子が選択 され、分離され、記録媒体上に点を形成する。加熱パルスは電気的に制御されて いるので、ドロップオンデマンドインクジェット動作を行うことができる。 図3(a)は、ヒータ加熱パルスの供給が開始されてから5マイクロ秒毎の、 インク粒子選択サイクル中の連続メニスカスの位置を示す。 図3(b)は、メニスカスの中心の点の移動を示す、メニスカスの位置対時間 のグラフである。ヒータパルスはシミュレーションが開始してから10秒後にス タートする。 図3(c)は、時間の経過中の、ノズルのいろいろな点での温度の合成曲線で ある。グラフの垂直軸は100℃単位の温度である。グラフの水平軸は、10マ イクロ秒単位の時間である。図3(b)の温度曲線は、0.1マイクロ秒毎にF IDAPにより計算したものである。局部的な周囲温度は30℃である。三つの 点での温度履歴を示す。 A−ノズルチップ:不動態化層、インクおよび空気の間の接触円の温度履歴で ある。 B−メニスカスの中間点:ノズルチップとメニスカスの中心との間のインクメ ニスカスの中間点上の円である。 C−チップ表面:ノズルの中心から20ミクロン離れた、印刷ヘッドの表面上 の点である。温度は数度しか上がらない。このことは、能動回路をノズルに非常 に接近して設置しても、温度上昇による性能または寿命の劣化は起こらないこと を示している。 図3(e)は、ヒータに加えられる電力を示す。最適な動作を行うには、ヒー タパルスの供給が開始されたときに、温度が急速に上昇しなければならず、パル スが持続している時間、温度をインクの沸点より少し低い温度に維持する必要が あり、またパルスの供給が停止された場合には、温度が急速に低下しなければな らない。そうするために、ヒータに供給される平均エネルギーを、パルスの持続 時間中変動させる。この場合、上記変動は、それぞれが4nJのエネルギーを持 つ、0.1マイクロ秒のサブパルスをパルス周波数変調することによって行われ る。ヒータに供給されるピーク電力は40ミリワットで、ヒータパルスの持続時 間中の平均電力は、11.5ミリワットである。この場合、サブパルス周波数は 5Mhzである。この周波数は、印刷ヘッドの動作に有意な影響を与えずに、簡 単に変化させることができる。もっと高いサブパルス周波数を使用すれば、ヒー タに供給される電力をもっと細かく調整することができる。サブパルス周波数と しては、13.5Mhzが適当である。何故なら、この周波数はまた無線周波数 の干渉(RFI)の影響を最低限度に抑えるのに適しているからである。 負の温度係数の表面張力を持つインク 温度が上昇するに従ってインクの表面張力が低下しなければならないという要 件があるからといって、インクの選択が大きな制限を受けることはない。何故な ら、大部分の純粋な液体および多くの混合液は、上記特性を持っているからであ る。任意の液体に対する表面張力対温度の関係を表す式はない。しかし、多くの 液体に対しては、ラムザイとシールドの下記の経験式で十分である。 但し、γTは温度Tにおける表面張力であり、kは定数であり、Tcは液体の臨 界温度であり、Mは液体の分子量であり、xは液体の結合の度合いであり、ρは 液体の密度である。この式は、温度が液体の臨界温度に達すると、大部分の液体 の表面張力はゼロに下がることを示している。大部分の液体の場合には、臨界温 度は、大気圧の下での沸点よりかなり高い。そのため、実際の排出温度付近で、 小さな温度変化で、表面張力が大きく変わるようなインクを作るには、界面活性 剤の混合物を使用することを勧める。 界面活性剤の選択は重要である。例えば、熱式インクジェットプリンタ用の水 をベースとするインクは、多くの場合、表面張力を低下させ、急速に乾燥させる ためにイソプロピルアルコール(2−プロパノール)を含んでいる。イソプロピ ルアルコールの沸点は、水の沸点より低い82.4℃である。温度が上昇すると 、アルコールは水より速く蒸発し、アルコールの濃度が低下し、表面張力が大き くなる。1−ヘクサノール(沸点:158℃)のような界面活性剤は、このよう な効果を抑えるために使用することができ、温度が上昇すると、表面張力を少し 下げる。しかし、温度の上昇と共に表面張力が比較的大きく下がるということは 、動作のラチチュードを最大にするために望ましいことである。大きな動作マー ジンを達成するには、好適には、30℃以上の温度で、表面張力が20mN/m だけ減少するのが好ましいが、一方、本発明の印刷ヘッドの動作を行うには、1 0mN/m程度の低い表面張力の低下を使用することができる。 大きなΔγTを持つインク 温度上昇に従って、表面張力を大きく下げるには、いつくかの方法を使用する ことができる。そのような方法の中の二つを以下に説明する。 1)インクは、周囲温度では固体だが、しきい値温度で溶解する界面活性剤の低 濃度のゾルを含むことができる。粒子サイズは、1,000Å以下のものが望ま しい。水をベースとするインク用の界面活性剤の望ましい融点は、50−90℃ であり、好適には60−80℃であることが好ましい。 2)インクは、転相温度(PIT)が最高周囲温度より高いが、インクの沸点よ り低いオイル/水のマイクロ乳剤を含むことができる。安定状態に保持するため に、マイクロ乳剤のPITは、好適には、インクが遭遇する最大非動作温度より 20℃またはそれ以上高いことが好ましい。約80℃のPITが適当である。 界面活性剤のゾルを含むインク インクを、必要な温度範囲で溶解する小さな粒子の界面活性剤のゾルとして調 製することができる。上記界面活性剤のいくつかの例をあげると、下記の炭素数 が14−30のカルボン酸等がある。 粒子サイズが小さいゾルの融点は、普通バルク材料の融点より少し低いので、 必要なインク粒子選択温度より少し高い融点を持つカルボン酸を選ぶのが好まし い。望ましい例としてはアラキジン酸がある。 上記カルボン酸は、高純度、低価格で入手できる。必要な界面活性剤の量は、 非常に少なくてすむので、インク以外のコストは問題にならないほど安い。鎖の 長さが少しずつ違うカルボン酸を、ある温度範囲にわたって融点の範囲を広くす るために使用することができる。そのような混合物のコストは、通常純粋な酸よ り安い。 界面活性剤の選択範囲を、簡単な直鎖のカルボン酸だけに制限する必要はない 。分岐した鎖またはフェニール基、または疎水部分を持っている界面活性剤を使 用することができる。また、カルボン酸を使用する必要もない。多くの高い極性 の部分は、界面活性剤の疎水性の終端部として適している。分散を助け、凝集を 防止する目的で、界面活性剤の粒子の表面を帯電させるために、極性を持つ端部 を水中でイオン化することが望ましい。カルボン酸の場合には、水酸化ナトリウ ムまたは水酸化カリウムのようなアルカリを添加することにより、上記イオン化 を行うことができる。 界面活性剤ゾルを含むインクの調製 界面活性剤ゾルは、別個に高濃度で調製することができ、必要な濃度でインク に添加することができる。 界面活性剤ゾルを調製する例示としてのプロセスは下記の通りである。 1)酸素を含まない空間内で、純化した水にカルボン酸を加える。 2)混合物を、カルボン酸の融点以上に加熱する。水を沸騰させる。 3)100−1,000Åの範囲の、通常の大きさのカルボン酸の小さな粒子が 得られるまで、混合物に超音波を当てる。 4)混合物を冷却する。 5)混合物の頂部から大きな粒子を他に移す。 6)NaOHのようなアルカリを加え、粒子の表面において、カルボン酸の分子 をイオン化する。適当なpHは約8である。このステップは絶対に必要なもので はないが、ゾルを安定させるのに役立つ。 7)ゾルを遠心分離する。カルボン酸の密度は水より低いので、より小さな粒子 が遠心分離機の外側に堆積し、大きな粒子が中心に集まる。 8)5000Å以上のすべての粒子を除去するために、微小な孔を持つフィルタ を使用して、ゾルをろ過する。 9)界面活性剤ゾルを、調製したインクに加える。ゾルの濃度は極めて薄いもの であってよい。 調製したインクも、染料または色素、殺菌剤、また静電インク粒子分離を使用 した場合には、インクの電導性を高めるための薬剤、湿潤剤、および必要とした 他の薬剤を含んでいる。 泡消し剤は、一般に必要ではない。何故なら、インク粒子排出プロセス中には バブルは形成されないからである。 陽イオン性界面活性剤ゾル 陰イオン性界面活性剤ゾルで調製したインクは、通常陽イオン性の染料または 色素と一緒に使用するのには適していない。何故なら、陽イオン性の染料または 色素は、陰イオン性の界面活性剤と一緒に使用すると、沈澱や凝集を起こすから である。陽イオン性の染料および色素を使用するためには、陽イオン性の界面活 性剤ゾルが必要である。この目的のためには、アルキルアミン属が適している。 以下の表にこの目的に適している種々のアルキルアミンを示す。 陽イオン性界面活性剤ゾルの調製方法は、本質的には、pHバランスを調製し 、界面活性剤の粒子上の電荷を増大するために、アルカリの代わりに酸を使用す るという点を除けば、陰イオン性界面活性剤ゾルを調製する方法と類似している 。HClを使用するpH6が適当である。 マイクロ乳剤をベースとするインク ある種の温度しきい値である表面張力を大きく下げる他の方法は、マイクロ乳 剤上のインクに基づく方法である。必要な排出しきい値温度付近に転相温度(P IT)を持つマイクロ乳剤を選ぶ。PIT以下の温度では、マイクロ乳剤は水中 にオイルの形(O/W)になっているが、PIT以上の温度では、マイクロ乳剤 はオイルの中の水の形(W/O)になっている。温度が低い場合には、マイクロ 乳剤を形成している界面活性剤は、オイルの周囲の曲率の高い表面に好んで集ま り、温度がPITより有意に高い場合には、界面活性剤は水の周囲の曲率の高い 表面に好んで集まる。温度がPITに近い場合には、マイクロ乳剤は、水とオイ ルとが位相的につながっている連続状態の「スポンジ」を形成する。 表面張力を下げるには、二つのメカニズムがある。PIT付近では、界面活性 剤は、非常に曲率が低い表面に好んで集まる。その結果、界面活性剤の分子は、 オイル乳剤の曲率より遥かに大きい曲率を持つインク/空気の界面に移動する。 それにより、水の表面張力は下がる。温度が転相温度より高い場合には、マイク ロ乳剤は、O/WからW/Oに変化し、そのためインク/空気の界面は水/空気 からオイル/空気に変化する。オイル/空気の界面は、低い表面張力を持つ。 マイクロ乳剤をベースとするインクは、非常に種々様々な方法で調製すること ができる。 インク粒子を急速に排出する場合には、好適には、粘度の低いオイルを選択す ることが好ましい。 多くの場合、適当な極性溶媒は水である。しかし、ある場合には、異なる極性 溶媒が必要になる場合がある。これらの場合には、表面張力を大きく下げること ができるように、表面張力の高い極性溶媒が選ばれる。 転相温度が必要な範囲に収まるようにするために、界面活性剤を選ぶことがで きる。例えば、(Cn2n+146(CH2CH2O)mOHという一般化学式のポ リ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル(エトキシ化アルキルフェノー ル))を選ぶことができる。界面活性剤の親水性は、mを大きくすることによっ て増大させることができ、疎水性は、nを大きくすることによって増大させるこ とができる。mの適当な数値は約10であり、nの適当な数値は8である。 市販の低コストの製剤は、種々の分子比の酸化エチレンとアルキルフェノール を重合させて製造される。これらの市販の製剤で十分であり、特定の数のオキシ エチレン基を持つ非常に純粋な界面活性剤を使用する必要はない。 この界面活性剤の化学式は、C81746(CH2CH2O)nOHである(n の平均=10)。 類似の界面活性剤は、オクトキシノール−10、PEG−10オクチルフェニ ールエーテルおよびPOE(10)オクチルフェニールエーテルを含む。 HLBは13.6であり、融点は7℃であり、曇り点は65℃である。 この界面活性剤の市販の製剤は、種々のブランド名で販売されている。次の表 にメーカーおよびブランド名を示す。 表に表示した界面活性剤は、大量に低価格(ポンド当たり1ドル以下)で入手 することができ、5%の濃度の界面活性剤を含むマイクロ乳剤を調製する場合、 1リットルに占めるコストは10セント以下である。 他の適当なエトキシ化アルキルフェニールとしては、以下に記載するものがあ る。 マイクロ乳剤をベースとするインクは、表面張力が制御できる他に種々の利点 を持つ。 1)マイクロ乳剤は、熱力学的に安定で、分離しない。それ故、貯蔵期間が非常 に長い。時々しか使用されない事務所用およびポータブル型のプリンタの場合に は、このことは特に重要である。 2)特定の粒子サイズのマイクロ乳剤を、容易に作ることができ、乳化したオイ ルの粒の大きさを確実に特定の範囲に制限するために、長くかき混ぜたり、遠心 分離したり、ろ過する必要がない。 3)インクに含まれているオイルの量を、非常に高くすることができるので、オ イルにまたは水に溶ける染料、または両方に溶ける染料を使用することができる 。また、特定の色を得るために、水に溶ける染料、オイルに溶ける他の染料の混 合物を使用することもできる。 4)オイルの微細な油滴に捕らわれたとき、オイルと混合することができる色素 が、凝集するのを防止することができる。 5)マイクロ乳剤を使用することによって、印刷媒体の表面で、種々の色の染料 が混じり合うのを、少なくすることができる。 6)マイクロ乳剤の粘度は、非常に低い。 7)湿潤剤のための要件を緩やかにすることもできるし、無視することもできる 。 マイクロ乳剤をベースとするインクの染料および色素 水の混合物のオイルの含有量を、40%まで増やすことができ、それでもO/ Wマイクロ乳剤を形成することができる。そうすることにより、染料および顔料 の含有量を増やすことができる。 染料と顔料の混合物を使用することができる。染料と顔料の両方を含むマイク ロ乳剤をベースとする一例を以下に示す。 1)水70% 2)水溶性染料5% 3)界面活性剤5% 4)オイル10% 5)オイルと混合できる顔料10% 下記の表は、使用することができるマイクロ乳剤のオイル相および水相内の着 色剤の九つの基本的な組み合わせを示す。 着色剤を含まない、9番目の組み合わせは、透明なコーティング、紫外線イン クおよび選択的グロスハイライトに印刷する際に役に立つ。 多くの染料は両親媒性であるので、オイルと水の境界層に大量の染料も溶かす ことができる。何故なら、この層は非常に広い表面積を持っているからである。 また、各相に複数の染料と顔料を含ませることもできるし、各相に染料と顔料 の混合物を含ませることもできる。 複数の染料または顔料を使用する場合には、調製されたインクの吸収スペクト ルは、使用したいくつかの着色剤の吸収スペクトルの加重平均になる。それによ り二つの問題が生じる。 1)両方の着色剤の吸収ピークが平均されると、吸収スペクトルは広くなる傾向 がある。そうなると、色が「濁る」傾向を示す。輝かしい色を出したい場合には 、人間の視覚に感じる色に頼るだけではなく、その吸収スペクトルに基づいて、 染料および顔料を注意深く選択しなければならない。 2)インクの色は、基質が異なると違って見えることがある。染料と顔料とを組 み合わせて使用すると、吸収力の高い紙の上に印刷したインクの色に対する染料 の色の影響が、低くなる傾向がある。何故なら、染料は紙に吸収されるが、顔料 は「吸収されずに、紙の表面に留まる」傾向があるからである。これはいくつか の状況においては有利なものとして使用することができる。 インク粒子選択温度範囲にクラフト点を持つ界面活性剤 イオン性の界面活性剤の場合には、それ以下の温度では溶解性が非常に低いあ る温度(クラフト点)があり、溶液は本質的にミセルを含んでいない。クラフト 温度点以上の温度においては、ミセルが形成されるようになり、界面活性剤の溶 解性が急速に増大する。臨界ミセル濃度(CMC)が、特定の温度で界面活性剤 の溶解性を超えると、どちらかといえば、CMCのところで溶解性が最大になる ところで、表面張力が最小になる。界面活性剤は、通常クラフト点以下の温度で は効果が非常に低くなる。 この性質は、温度が上昇した場合、表面張力を下げるのに使用することができ る。室温の場合には、界面活性剤の一部だけが溶ける。ノズルヒータをオンにす ると、温度が上昇し、もっと多くの界面活性剤が溶け、表面張力を下げる。 インクの温度が到達する温度範囲の一番高い温度付近にクラフト点がある、界 面活性剤を選ぶべきである。そうすることにより、室温での溶液中の界面活性剤 の濃度と、インク粒子選択温度における溶液中の界面活性剤の濃度との間の、マ ージンを最大にすることができる。 界面活性剤の濃度は、クラフト点におけるCMCに、ほぼ等しいものでなけれ ばならない。このようにすることにより、表面張力の低下が、上昇した温度にお いて最大になり、室温において最小になる。 下記の表は、クラフト点が必要とする温度範囲にある市販のいくつかの界面活 性剤を示す。 インク粒子選択温度範囲内に、曇り点を持つ界面活性剤 ポリオキシエチレン(POE)鎖を使用する非イオン性界面活性剤は、温度が 上昇するにつれて、表面張力が低下するインクを調製するのに使用することがで きる。温度が低い場合には、POE鎖は親水性で、界面活性剤は溶液の状態にな っている。温度が上昇するにつれて、分子のPOE部分の周囲に形成された水は 分裂し、POE部分は疎水性になる。温度が高くなればなるほど、界面活性剤は ますます水に溶け難くなり、その結果、空気/インク界面の界面活性剤の濃度が 増大し、それにより表面張力が下がる。非イオン性界面活性剤のPOE部分が親 水性になる温度は、その界面活性剤の曇り点と関連している。POE鎖それ自身 は、特に適してはいない。何故なら、曇り点は一般に100℃より高いからであ る。 低温における疎水性を増大しないでPOE鎖の曇り点を下げるために、ポリオ キシプロピレン(POP)を、POE/POPブロックコポリマーのPOEと、 結合させることができる。 下記の二つの主な形状を持つ対称的なPOE/POPコポリマーを入手するこ とができる。 1)(一般的に、CAS9003−11−6)であるポロクサマクラスの界面活 性剤のような、分子の末端部にPOE部分を持ち、中心部にPOP部分を持つ界 面活性剤 2)(一般的にCAS9003−11−6)であるメロクサポールクラスの界面 活性剤のような、分子の末端部にPOP部分を持ち、中心部にPOE部分をもつ 界面活性剤 下記の表に、室温で高い表面張力を持ち、曇り点が40℃以上100℃以下で ある種々のポロクサメールおよびメロクサポールのうちのいくつかを示す。 他の種類のポロクサメールおよびメロクサポールは、周知の技術により容易に 合成することができる。望ましい特性は、室温での表面張力ができるだけ高いこ と、曇り点が40−100℃の範囲にあり、好適には60−80℃の範囲にある ことである。 xおよびzの平均が約4であり、yの平均が約15である種々のメロクサポー ル[HO(CHCH3CH2O)x(CH2CH2O)y(CHCH3CH2O)2OH ]が適している。 インクの電導性を高めるために塩を使用する場合には、界面活性剤の曇り点に 対する塩の影響を考慮しなければならない。 POEの曇り点は、(I-のような)水の構造を破壊するイオンによって高く なり、それによりPOE酸素の孤立したペアと水素結合を形成するのに使用でき る、水の分子の数がさらに増える。POE界面活性剤の曇り点は、(Cl-、O H-のような)水構造を形成するイオンによって下がる。水素結合を形成するの に使用できる水の分子の数が少なくなるからである。臭化物イオンは比較的弱い 効果しか持っていない。ブロックコポリマー界面活性剤のPOE鎖およびPOP 鎖の長さを変えることにより、また電導性を高くするために添加される塩(例え ば、Cl-,Br-、I-)を変えることによって、インクの組成を、必要な温度 に合わせて「調製」することができる。NaClは、価格も安く、毒性もないの で、インクの電導性を高めるには、最適の塩であるように思われる。NaClは 、非イオン性界面活性剤の曇り点を少し下げる。 高温溶融インク インクは室温で液体である必要はない。印刷ヘッドおよびインクタンクをイン クの融点以上に加熱することにより、固体の「高温溶融」インクを使用すること ができる。高温溶融インクは、溶融したインクの表面張力が温度が上昇するに従 って下がるように調製しなければならない。ワックスおよび他の物質を使用する 多くの上記調剤の表面張力は、約通常2mN/m下がる。しかし、粘度の減少よ りも表面張力の減少を使用する場合には、良い動作マージンを得るためには、表 面張力の低下は約20mN/mであることが望ましい。 静止状態の温度とインク粒子選択温度との間の温度差は、水をベースとするイ ンクの場合よりも、高温溶融インクの場合のほうが大きい場合がある。何故なら 、水をベースとするインクは水の沸点によって制限を受けるからである。 インクは静止温度で液体でなければならない。静止温度は、印刷されたページ がなるかもしれない最高の周囲温度より高くなければならない。静止温度は、ま た印刷ヘッドを加熱するのに要する電力を少なくし、静止温度とインク粒子排出 温度との間のマージンを最大にするために、できるだけ低くなければならない。 他の温度も使用することができるが、適当な静止温度は、一般に60−90℃の 範囲の温度である。また一般に、適当なインク粒子排出温度は、160−200 ℃の範囲の温度である。 温度が上昇するにつれて表面張力を低下を促進するには、いくつかの方法があ る。 1)融点が静止温度より実質的に高いが、インク粒子排出温度より実質的に低い 界面活性剤の分散している微小な粒子を、液相で高温溶融インクに添加すること ができる。 2)極性および非極性化合物両方の融点より、好適には少なくとも20℃高いP ITを持つ極性/非極性マイクロ乳剤 温度が上昇するにつれて表面張力を大きく下げるには、静止温度の時に、高温 溶融インクキャリヤが比較的高い表面張力(30mN/m以上)を持っているこ とが望ましい。この条件だと、ワックスのようなアルカン類は除外される。適当 な材料は、一般に強い分子間引力を持っているが、この分子間引力は、例えば、 融点が88℃であるヘクサンテトロールのようなポリオールのような多重水素結 合によるものである。 種々の溶液の表面張力の低下 図3(d)は、下記の添加剤を含む種々の水性調剤の表面張力に対する測定効 果を示す。 1)アテアリン酸の0.1%ゾル 2)パルミチン酸の0.1%ゾル 3)プルロン酸10R5の0.1%溶液(商標:BASF) 4)プルロン酸L35の0.1%溶液(商標:BASF) 5)プルロン酸L44の0.1%溶液(商標:BASF) 本発明の印刷システムに適するインクは、その開示内容が参考文献として本明 細書に記載されている下記のオーストラリア特許明細書に開示されている。 「マイクロ乳剤に基づくインク組成物」(1995年9月6日出願、出願番号 :PN5223) 「界面活性剤ゾルを含むインク組成物」(1995年9月6日出願、出願番号 :PN5224) 「インク粒子選択温度ゾルに近いクラフト点を持つ、DODプリンタ用のイン ク組成物」(1995年10月30日出願、出願番号:PN6240) 「マイクロ乳剤をベースとする、インクの染料および顔料」(1995年10 月30日出願、出願番号:PN6241) 粘度の低下を使用する動作 二番目の例として、高温溶融インクと組み合わせて、粘度の熱的低下および近 接インク粒子選択を使用する実施形態の動作を以下に説明する。プリンタを作動 する前に、インクタンク64内で固体のインクの溶融が行われる。インクタンク 、印刷ヘッドへのインクの通路、インクチャネル75および印刷ヘッド50は、 インク100が液状になっているが、比較的粘度が高い(例えば、約100cP )状態に保持される温度に保たれる。インク100は、インクの表面張力により ノズル中に保持される。インク100は、温度が上昇するにつれて粘度が下がる ように調製される。インク圧は、ノズルからのインク粒子排出周波数の整数倍の 周波数で変動する。インク圧が変動するので、ノズルチップのインクのメニスカ スは変動するが、インクの粘度が高いのでこの変動は小さい。通常の動作温度で は、この変動はインク粒子を分離させるには不十分な振幅しか持っていない。ヒ ータ103をオンにすると、選択されたインク粒子を形成するインクが加熱され 、粘度が好適には5cP以下であることが好ましい数値まで下がる。粘土が低下 すると、その結果として、インク圧サイクルの高圧部分の間に、インクのメニス カスはさらに移動する。記録媒体51は、選択されたインク粒子が、記録媒体5 1に接触するには印刷ヘッド50に十分に近接して配置されているが、選択され なかったインク粒子が、記録媒体51に接触しないように、十分な距離を置いて 設置されている。記録媒体51と接触すると、選択されたインク粒子の一部がフ リーズし、記録媒体に付着する。インク圧が下がると、インクはノズルに戻り始 める。インク本体は記録媒体上にフリーズするインクから分離している。その後 、ノズルチップのインク100のメニスカスは、低い変動振幅に戻る。残りの熱 がバルクインクおよび印刷ヘッドに逃げるので、インクの粘度は静止時のレベル まで上がる。一つのインク粒子が選択され、分離され、各ヒートパルス毎に記録 媒体51上に点を形成する。ヒートパルスは電気的に制御されているので、ドロ ップオンデマンドインクジェット動作を行うことができる。 印刷ヘッドの製造 本発明のモノリシック印刷ヘッドの製造プロセスは、その開示内容が参考文献 として本明細書に記載されている、1995年4月12日出願の下記のオースト ラリア特許明細書に記載されている。 「モノリシックLIFT印刷ヘッド」(出願番号:PN2301) 「モノリシックLIFT印刷ヘッド用の製造プロセス」(出願番号:PN23 02) 「LIFT印刷ヘッド用の自己整合ヒータ」(出願番号:PN2303) 「集積4色LIFT印刷ヘッド」(出願番号:PN2304) 「モノリシックLIFT印刷ヘッドでの電力要件の軽減」(出願番号:PN2 305) 「異方性ウエットエッチングを使用する、モノリシックLIFT印刷ヘッドの ための製造プロセス」(出願番号:PN2306) 「モノリシックドロップオンデマンド印刷ヘッドへのノズルの設置」(出願番 号:PN2307) 「モノリシックLIFT印刷ヘッド用のヒータ構造体」(出願番号:PN23 46) 「モノリシックLIFT印刷ヘッド用の電源接続」(出願番号:PN2347 ) 「近接LIFT印刷ヘッド用の外部接続」(出願番号:PN2348) 「モノリシックLIFT印刷ヘッド用の自己整合製造プロセス」(出願番号: PN2349) 「LIFT印刷ヘッドのCMOSプロセス互換製造」(1995年9月6日出 願、出願番号:PN5222) 「ノズルリムヒータ付き、LIFT印刷ヘッド用の製造プロセス」(1995 年10月30日出願、出願番号:PN6238) 「モジューラLIFT印刷ヘッド」(1995年10月30日出願、出願番号 :PN6237) 「印刷ノズルのパッキング密度を増大する方法」(1995年10月30日出 願、出願番号:PN6236) 「同時にプリントされるインク粒子間の低減静電相互作用のノズル分散」(1 995年10月30日出願、出願番号:PN6239) 印刷ヘッドの制御 本発明のページイメージデータを供給し、印刷ヘッドのヒータ温度を制御する 方法は、その開示内容が参考文献として本明細書に記載されている、1995年 4月12日出願の下記のオーストラリア特許明細書に記載されている。 「LIFT印刷ヘッドの集積駆動回路」(出願番号:PN2295) 「液体インク故障許容(LIFT)印刷用のノズル清掃手順」(出願番号:P N2294) 「LIFT印刷システムの温度に対するヒータ電力補償」(出願番号:PN2 314) 「LIFT印刷システムの熱的遅れに対するヒータ電力補償」(出願番号:P N2315) 「LIFT印刷システムの印刷密度に対するヒータ電力補償」(出願番号:P N2316) 「印刷ヘッドの温度パルスの正確な制御」(出願番号:PN2317) 「モノリシックLIFT印刷ヘッドのデータ分配」(出願番号:PN2318 ) 「LIFT印刷システム用のページイメージおよび故障許容ルーティング装置 」(出願番号:PN2319) 「LIFT印刷ヘッド用の取り外し可能な圧力下の液体インクカートリッジ」 (出願番号:PN2320) 印刷ヘッド用のイメージ処理 本発明の印刷システム一つの目的は、オフセット印刷を使用して印刷した、人 々が高品質のカラー刊行物で見慣れているのと、同じ高品質の印刷を行うことで ある。この目的は、約1,600dpiの印刷解像度を使用することによって、 達成することができる。しかし、1,600dpi印刷は、印刷が難しく、高価 である。シアンおよびマジェンタに対して、ピクセル当たり2ビットを使用し、 黄および黒に対してピクセル当たり1ビットを使用して、800dpi印刷を使 用すれば、同じような高品質の印刷を行うことができる。本明細書では、このカ ラーモデルをCC’MM’YKと呼ぶ。高品質のモノクロイメージの印刷が必要 な場合には、黒に対して、ピクセル当たり2ビットを使用することができる。本 明細書では、このカラーモデルをCC’MM’YYK’と呼ぶ。本発明のシステ ムおよび他の印刷システムに適するカラーモデル、ハーフトーン化、データ圧縮 、およびリアルタイム拡張システムは、その開示内容が参考文献として、本明細 書に記載されている、1995年4月12日出願の下記のオーストラリア特許明 細書に記載されている。 「2レベルカラー印刷用の4レベルインクセット」(出願番号:PN2339 ) 「ページイメージ用の圧縮システム」(出願番号:PN2340) 「圧縮ページイメージ用のリアルタイム拡張装置」(出願番号:PN2341 ) 「ディジタルカラープリンタ用の大容量圧縮文書イメージ」(出願番号:PN 2342) 「テキスト存在中の改良JPEG圧縮」(出願番号:PN2343) 「圧縮ページイメージ用の拡張およびハーフトン化装置」(出願番号:PN2 344) 「イメージのハーフトーン化の改良」(出願番号:PN2345) 本発明の印刷ヘッドを使用する出願 本発明の印刷装置および方法は、下記の広い範囲の用途に適しているが、(こ れに限定されない)。オフィスでのカラーおよびモノクロ印刷;短期間のディジ タル印刷;高速ディジタル印刷;プロセスカラー印刷;スポットカラー印刷;オ フセットプレス補足印刷;走査印刷ヘッドを使用する低コストプリンタ;ページ 幅の印刷ヘッドを使用する高速プリンタ;ポータブル型のカラーおよびモノクロ プリンタ;カラーおよびモノクロ複写機;カラーおよびモノクロファクシミリ; プリンタ、ファクシミリおよび複写機一体型マシン;ラベル印刷;大型書式プロ ッタ;写真複写;ディジタル写真処理用プリンタ;ディジタル「インスタント」 カメラに組み込まれたポータブルプリンタ;ビデオ印刷;光学CDイメージの印 刷;「個人用ディジタルアシスタント」用ポータブルプリンタ;壁紙印刷;室内 看板印刷;掲示板印刷;および布地印刷 本発明の印刷システムは、その開示内容が参考文献として、本明細書に記載さ れている、1995年4月12日出願の下記のオーストラリア特許明細書に記載 されている。 「大容量ディジタルページイメージ記憶装置を備えた、オフィス用高速カラー プリンタ」(出願番号:PN2329) 「大容量ディジタルページイメージ記憶装置を備えた、短期間ディジタルカラ ープリンタ」(出願番号:PN2330) 「LIFT印刷技術を使用するディジタルカラー印刷機」(出願番号:PN2 331) 「モジュラディジタル印刷機」(出願番号:PN2332) 「高速ディジタル布地プリンタ」(出願番号:PN2333) 「カラー写真コピーシステム」(出願番号:PN2334) 「LIFT印刷システムを使用する、高速カラー写真複写機」(出願番号:P N2335) 「LIFT印刷技術を使用する、ポータブルカラー写真複写機」(出願番号: PN2336) 「LIFT印刷技術を使用する、写真処理システム」(出願番号:PN233 7) 「LIFT印刷システムを使用する、普通紙ファクシミリ」(出願番号:PN 2338) 「内蔵プリンタ付きの写真CDシステム」(出願番号:PN2293) 「LIFT印刷技術を使用する、カラープロッタ」(出願番号:PN2291 ) 「内蔵LIFT印刷システムを備えた、ノートブックコンピュータ」(出願番 号:PN2292) 「LIFT印刷システムを使用する、ポータブルプリンタ」(出願番号:PN 2300) 「オンラインデータベース質問、およびカスタム化されたマガジン印刷付きの ファクシミリ」(出願番号:PN2299) 「ミニアチュアポータブルカラープリンタ」(出願番号:PN2298) 「LIFT印刷システムを使用する、カラービデオプリンタ」(出願番号:P N2296) 「LIFT印刷システムを使用する、内蔵プリンタ、複写機、スキャナおよび ファクシミリ」(出願番号:PN2297) 環境条件に対する印刷ヘッドの補償 ドロップオンデマンド印刷システムのインク粒子は、一定で予測することがで きる大きさと位置を持っていることが望ましい。インク粒子の大きさおよび位置 が不必要な変動を起こすと、それにより印刷の光学的密度が変動し、目に映る印 刷の品質が劣化する。上記変動は通常のインク粒子の量およびピクセルの間隔に 関して、それぞれ小さなものでなければならない。多くの環境変数の影響を無視 することができる程度にまで低減するために、それら環境変数を補償することが できる。ノズルヒータに供給される電力を変化させることで、いくつかの要因に ついて実効ある補償が達成される。 印刷ヘッドの一実施形態の最適の温度分布は、ノズルチップの活性な領域を瞬 間的に放出温度へ上昇させること、パルスの持続時間中この領域を放出温度に維 持すること、およびこの領域の周囲温度への瞬間的な冷却を含んでいる。 この最適状態は、本発明のノズルの製造に使用される種々の材料の蓄積熱容量 および熱伝導度によっては達成できない。しかし、印刷ヘッドの有限要素シミュ レーションを反復修正して得られる曲線を使用して電力パルスを整形することに より、性能を改善できる。ヒータに供給される電力は、下記のものを含むが、そ れに限定されない種々の技術によって時間変化させることができる。 1)ヒータに供給される電圧の変化 2)一連の短いパルスの幅の変調(PWM) 3)一連の短いパルスの周波数の変調(PFM) 正確な結果を得るためには、自由面のモデル化による遷移流体動的シミュレー ションを行う必要がある。何故なら、インク内の対流およびインクの流れが、特 定の電力曲線により達成した温度に有意の影響を与えるからである。 印刷ヘッド基板上に適当なディジタル回路を組み込むことによって、各ノズル に供給される電力を実際に個々に制御することができる。この制御を行う一つの 方法は、印刷ヘッドチップを横切って、種々の異なるディジタルパルストレイン を「広く伝播し」、多重化回路を使用して、各ノズルに対して適当なパルストレ インを選択するという方法である。 以下の「環境要因に対する補償」表に、補償することができる環境要因の一例 を示す。この表は、(合成多重チップ印刷ヘッド内の各チップに対して)チップ 毎、およびノズル毎の、(印刷ヘッド全体に対して)どの環境要因が全体として 最もよく補償することができるかを示す。 大部分の用途の場合、これら変数全体を補償する必要はない。ある変数の持つ 影響は少なく、非常に高いイメージの品質が必要な場合にだけ、補償する必要が ある。 印刷ヘッド駆動回路 図4は、本発明の印刷ヘッド駆動回路の一例の電子的動作を示すブロック構成 図である。この制御回路は、ヒータの電力変調を実現するために、印刷ヘッドに 加えられる電源電圧のアナログ変調を使用しているが、各ノズルに供給される電 力の個々の制御は行わない。図4は、CC’MM’YKカラーモデルを使用して 、プロセスカラーを印刷する800dpiページ幅印刷ヘッドを使用する、シス テムのブロック図を示す。印刷ヘッド50は、全部で79、488のノズルを持 ち、そのうち39、744は主ノズルであり、39,744は冗長ノズルである 。主ノズルおよび冗長ノズルは、六つの色に分けられ、各色は8の駆動相に分け られる。各駆動相は、ヘッド制御ASIC400からのシリアルデータを、ヒー タ駆動回路をイネーブルするためのパラレルデータに変換する、シフトレジスタ を持つ。全部でシフトレジスタの数は96であり、各シフトレジスタは、828 のノズルに対してデータを供給する。各シフトレジスタは、828のシフトレジ スタ段217からなり、その出力は、NANDゲート215によって、相イネー ブル信号と論理的に論理積される。NANDゲート215の出力は、反転用バッ ファ216を駆動し、反転バッファは、駆動トランジスタ201を制御する。駆 動トランジスタ201は、電熱ヒータ200を作動させるが、この電熱ヒータと しては、図1(b)に示すヒータ103を使用することができる。イネーブルパ ルス中、シフトしたデータを有効に維持するには、シフトレジスタへのクロック を停止し、イネーブルパルスがクロックストッパ218により能動状態になる。 図面を簡単にするために、このクロックストッパは単一のゲートで図示してある が、好適には、任意の範囲の周知のグリッチを起こさないクロック制御回路であ ることが好ましい。シフトレジスタのクロックを停止させることは、印刷ヘッド 内のパラレルデータラッチの必要性をなくすが、ヘッド制御ASIC 400内 の制御回路が少し複雑になる。データは、故障状態バスの適当な信号の状態次第 で、データルータ219によって、主ノズルまたは冗長ノズルのどちらかに送ら れる。 図4に示す印刷ヘッドは、単純化したもので、ブロック故障許容のような生産 性を改善するための種々の手段は図示されていない。異なる構成の印刷ヘッド用 の駆動回路は、本明細書に開示してある装置から容易に作ることができる。 記録媒体上に印刷するドットのパターンを表すディジタル情報は、図1(a) のイメージメモリ72と同じものであってもよい、ページまたはバンドメモリ1 513内に記憶される。単色のドットを表す32ビット語内に含まれるデータは 、アドレスマルチプレクサ417によって選ばれたアドレスおよびメモリインタ フェース418が発生した制御信号により、ページまたはバンドメモリ1513 から読み出される。上記アドレスは、アドレス発生装置411により発生し、こ のアドレス発生装置は、「パーカラー回路」410の一部を形成し、6色の構成 部分のそれぞれに対して一つの回路が使用されている。アドレスは、印刷ヘッド に対するノズルの位置に基づいて発生する。ノズルの相対的な位置は、印刷ヘッ ドが異なると違ってくるので、アドレス発生装置411は、好適にはプログラム 可能であることが好ましい。アドレス発生装置411は、通常主ノズルの位置に 対応するアドレスを発生する。しかし、欠陥のあるノズルがある場合には、欠陥 を持つノズルのブロックの位置を、欠陥マップRAM412内にマークすること ができる。欠陥マップRAM412は、ページが印刷されるときに読み出される 。メモリがノズルのブロックに欠陥があることを示している場合には、アドレス 発生装置411が、冗長ノズルの位置に対応するアドレスを発生するように、ア ドレスの変更が行われる。ページまたはバンドメモリ1513から読みき出され たデータは、ラッチ413によりタッチされ、マルチプレクサ414によって四 つのシーケンシャルなバイトに変換される。これらのバイトのタイミングは、F IFO415により、他の色を表すデータのタイミングと整合するように調整さ れる。その後、このデータは、バッファ430によりバッファされ、印刷ヘッド 50への48ビットの主データバスを形成する。印刷ヘッドが、ヘッド制御AS ICから比較的遠い場所に位置している場合、データはバッファされる。欠陥マ ップRAM412からのデータも、FIFO416に対する入力を形成する。こ のデータのタイミングは、FIFO415のデータ出力と整合され、バッファ4 31によってバッファされ、欠陥状態バスを形成する。 プログラム可能な電源320は、印刷ヘッド50に対して電力を供給する。電 源320の電圧は、RAMとDACとの組み合わせ(RAMDAC)316の一 部を形成している、DAC313によって制御される。RAMDAC316は、 二重ポートRAM317を含む。二重ポートRAM317の内容は、マイクロコ ントローラ315によってプログラムされる。温度は、二重ポートRAM317 の内容を変更することによって補償される。上記数値は、熱センサ300によっ て感知された温度に基づいて、マイクロコントローラ315によって計算される 。熱センサ300からの信号は、アナログ−ディジタルコンバータ(ADC)3 11に送られる。ADC311は、好適にはマイクロコントローラ315内に設 置することが好ましい。 ヘッド制御ASIC400は、熱的遅れ補償および印刷密度に対する制御回路 を含む。熱的遅れの補償を行うには、ヘッド50への電源電圧は、ヒータに対す るイネーブルパルスと同期している急速な時変電圧でなければならない。このこ とは、上記電圧を発生するためのプログラム可能な電源320を、プログラムす ることによって行われる。アナログ時変プログラミング電圧は、二重ポートRA M317から読み出されたデータに基づいて、DAC313が発生する。データ は、カウンタ403が発生したアドレスに従って読み出される。カウンタ403 は、一つのイネーブルパルスの周期の間に、アドレスの一つの完全なサイクルを 発生する。同期は確実に行われる。何故なら、カウンタ403は、システムクロ ック408によってクロック制御され、カウンタ403の最大の数値はイネーブ ルカウンタ404を、クロック制御するのに使用されるからである。その後、イ ネーブルカウンタ404からのカウントは、デコーダ405によって解読され、 バッファ432によってバッファされ、ヘッド50に対するイネーブルパルスが 発生する。カウントの状態の数が、一つのイネーブルパルス中のクロック周期の 数より少ない場合には、カウンタ403が、プリスケーラを含む場合がある。ヒ ータの熱的遅れを正確に補償するには、16の電圧状態を使用するのが適当であ る。上記16の電圧状態は、カウンタ403と二重ポートRAM317との間の 、4ビットの接続を使用して指定することができる。しかし、これらの16の電 圧状態は、時間間隔を直線的にとることはできない。これら電圧状態の時間的間 隔を非直線的にしてもよいように、カウンタ403は、自らが非直線的にカウン トすることができるように、ROMまたは他の装置を含むことができる。他の方 法としては、16以下の電圧状態を使用することもできる。 印刷密度を補償するために、各イネーブル周期中に、(「オン」ピクセル)イ ンク粒子が印刷されるピクセルの数をカウントして、印刷密度が検出される。「 オン」ピクセルは、オンピクセルカウンタ402によってカウントされる。8の イネーブル相のそれぞれに対して、一つのオンピクセルカウンタ402が使用さ れる。本発明の印刷ヘッド内のイネーブル相の数は、特定の設計によって違って くる。相の数が2の累乗である必要はないが、よく使用される数は4、8および 16である。オンピクセルカウンタ402は、1ニブルのデータのビットの中の いくつがオンになっているかを判断する、組み合わせ論理ピクセルで構成するこ とができる。その後、この数字は、加算器421およびアキュミュレータ422 によって累算される。ラッチ423は、イネーブルパルスの持続時間中、累算さ れた数値を有効に保持する。マルチプレクサ401は、イネーブルカウンタ40 4によって決定された、現在のイネーブル相に対応するラッチ423の出力を選 択する。マルチプレクサ401の出力は、二重ポートRAM317の一部を形成 する。「オン」ピクセルの数の正確なカウントは必要ではなく、このカウントの 最上位の四つのビットで十分である。 熱的遅れ補償アドレスの4ビットと、印刷密度補償アドレスの4ビットとを組 み合わせるということは、二重ポートRAM317は、8ビットのアドレスを持 つことを意味する。このことは、二重ポートRAM317は、二次元のアレーで ある256の数字を含むことを意味する。これら二つの次元は、(熱的遅れ補償 に対する)時間と、印刷密度である。第三の次元、温度を含めることもできる。 印刷ヘッドの周囲温度は、ゆっくりとしか変化しないので、マイクロコントロー ラ315は、現在の温度で熱的遅れおよび印刷密度を補償する256の数字のマ トリックスを計算するのに十分な時間がある。周期的に(例えば、1秒間に数回 )、マイクロコントローラは、現在の印刷ヘッドの温度を感知し、このマトリッ クスを計算する。 印刷ヘッド50へのクロックは、ヘッドクロック発生装置407によりシステ ムクロック408から作られ、バッファ406によりバッファされる。ヘッドコ ントロールASICの試験を容易にするために、JTAG試験回路499を含め ても良い。 熱的インクジェット技術との比較 「熱的インクジェットと本発明との比較」の表には、本発明による印刷の種々 の態様と熱的インクジェット印刷技術との比較が行われている。 本発明と熱的インクジェット技術とを直接比較したのは、両方とも熱的アクチ ュエータおよび液体インクを使用して動作するドロップオンデマンドシステムで あるからである。両者は類似しているように見えるが、二つの技術は異なる原理 により動作している。 熱的インクジェットプリンタは、下記の基本的な動作原理を使用している。電 気抵抗加熱により発生した熱インパルスにより、液体インク中にバブルが突発的 に形成される。急速で継続的なバブルは、インクを過熱することによって形成さ れ、その結果、バブルの形成が完了する以前に十分な熱がインクに伝えられる。 水をベースとするインクの場合には、インクの温度は約280−400℃でなけ ればならない。バブルが形成されると、圧力波が発生し、この圧力波によりイン ク粒子は高速で開口から落下する。その後、バブルは壊れ、インクタンクから流 れ出るインクによりノズルは再び満たされる。ノズルの密集度が高く、信頼度の 高いIC製造技術の使用により、熱インクジェット印刷は商業的に非常な成功を 収めた。しかし、熱インクジェット印刷技術は、多くの部分を精密に製造しなけ ればならないとか、装置の歩留まり、イメージの解像度、「ペッパー」ノイズ、 印刷速度、駆動トランジスタ電力、無駄な電力消費、余分なインク粒子の形成、 熱応力、不均一な熱膨張、キャビテーション、修正拡散およびインク調整が難し いことなどのかなり困難な技術的な問題に当面することになる。 本発明の印刷は、熱インクジェット印刷の多くの利点を持ち、熱インクジェッ ト技術の特有の問題の多くを完全または実質的に解決している。 歩留まりおよび故障許容 ほとんどの場合、製造時に完全に機能しない時には、モノリシック集積回路は 修理することができない。ウェーハから生産される動作装置の動作する百分率を 歩留まりと呼ぶ。歩留まりは製造コストに直接影響する。歩留まりが5%の装置 は、歩留まりが50%である同じ装置と比較すると、その生産コストは10倍で ある。 歩留まりの測定法は大きく分けて三つある。 1)製造歩留まり 2)ウェーハ選別歩留まり 3)最終試験歩留まり 大型のダイの場合は、全歩留まりに最も重大な影響を持つ、ウェーハ選別歩留 まりが通常使用される。本発明の全ページ幅カラー印刷ヘッドは、通常のVLS I回路と比較すると非常に大きい。ウェーハ選別歩留まりがよいということが、 上記印刷ヘッドの製造のコストパフォーマンスに非常に重要なことである。 図5は、本発明のモノリシック全幅カラーA4ヘッドの実施形態の、ウェーハ 選別歩留まり対欠陥密度のグラフである。この印刷ヘッドは、長さが215ミリ 、幅が5ミリである。非故障許容歩留まり198は、広く使用されている歩留ま り予測法であるマーフィー法を使用して計算する。欠陥密度が、1平方センチ当 たりの欠陥が一つであるという場合には、マーフィー法による歩留まりの予測は 1%以下である。このことは製造した印刷ヘッドの中の99%を廃棄しなければ ならないことを意味する。このような低い歩留まりは非常に望ましくない。何故 なら、印刷ヘッドの製造コストは、非常に高いからである。 マーフィー法は、欠陥の不均一の分布の影響を近似する。図5は、また欠陥ク ラスタ化係数の導入により、欠陥の集合をはっきりとモデル化する非故障許容歩 留まり197のグラフである。欠陥クラスタ化係数は、製造の際に制御すること ができるパラメータではなく、製造プロセスに特有なものである。製造プロセス に関する欠陥クラスタ化係数は、約2であると予想することができ、この場合、 歩留まりの予測部分はマーフィー法とよく一致する。 歩留まりが低い場合の解決法は、チップ上に、欠陥のある機能ユニットと交換 するために使用する、冗長機能ユニットを設置することによって、故障許容を導 入する方法である。 メモリチップおよび大部分のウェーハスケール集積(WSI)装置の場合には 、チップ上の冗長サブユニットの物理的な位置は重要ではない。しかし、印刷ヘ ッドの場合には、冗長サブユニットは、一つまたはそれ以上の印刷アクチュエー タを含むことができる。これらアクチュエータは、印刷中のページに対して空間 的に固定された位置関係に設置されていなければならない。欠陥を起こしたアク チュエータの印刷位置と同じ位置に、ドットを印刷させるためには、冗長のアク チュエータを、走査方向でない方向に移動させてはならない。しかし、欠陥のあ るアクチュエータの代わりに、走査方向に移動する冗長アクチュエータを使用す ることができる。冗長のアクチュェータが、欠陥のあるアクチュエータと同じ場 所にドットを必ず印刷するために、走査方向への移動を補償する目的で、冗長ア クチュエータへのデータタイミングを変えることができる。 すべてのノズルを交換することができるようにするためには、完全な一組の冗 長ノズルがなければならない。これは冗長度が100%であるということである 。100%の冗長度を達成するには、通常二倍以上のチップ面積を必要とするが 、この場合、冗長ユニットを置き換える前の一次歩留まりが非常に大きく低下し 、故障許容の利点の大部分が失われてしまう。 しかし、本発明の印刷ヘッドの実施形態を使用すれば、印刷ヘッドチップの最 小の物理的寸法は、印刷されるページの幅、印刷ヘッドチップの脆さ、およびイ ンクをチップの裏面に供給するインクチャネルの製造上の制限によって決まる。 A4サイズの紙を印刷するための全幅、フルカラーヘッドの最小の実用サイズは 、約215ミリ x 5ミリである。1.5ミクロンのCMOS製造技術を使用 すれば、チップ面積を有意に増大しないで、100%の冗長度を達成することが できる。それ故、一次歩留まりを有意に下げないで、高いレベルの故障許容を実 現することができる。 装置に故障許容を導入した場合、標準の歩留まりの式を使用することはできな い。上記式をそのまま使わずに、故障許容の機構および程度を、特別に分析し、 歩留まりの式に導入しなければならない。図5は、種々の形の故障許容を含む全 幅カラーA4印刷ヘッドに対する故障許容選別歩留まり199である。そのモデ ル化は歩留まりの式に含まれている。このグラフは、欠陥の頻度および欠陥の集 中の関数としての予測歩留まりである。図5に示す歩留まりの予測は、故障許容 を完全に実行すると、ウェーハ選別歩留まりを、同一の製造条件の下で、1%以 下から90%以上へと改善することができることを示している。このように歩留 まりを改善することにより、製造コストを係数100だけ下げることができる。 数千の印刷ノズルを含む印刷ヘッドの歩留まりと信頼性を改善し、それにより ページ幅の印刷ヘッドを実用化するために、故障許容の導入を強く勧める。しか し、故障許容が本発明の本質的な部分であるとは考えてほしくない。 ドロップオンデマンド印刷システム内の故障許容は、その開示内容が本明細書 に参考文献として記載されている、1995年4月12日出願の下記のオースト ラリア特許明細書に記載されている。 「印刷機構の集積故障許容」(出願番号:PN2324) 「集積印刷ヘッドのブロック故障許容」(出願番号:PN2325) 「集積印刷ヘッドの故障許容用二重ノズル」(出願番号:PN2326) 「印刷ヘッドの欠陥ノズルの検出」(出願番号:PN2327) 「大容積印刷ヘッドの故障許容」(出願番号:PN2328) 印刷システムの実施形態 図6は、本発明の印刷ヘッドを使用する電子印刷システムの略図である。この 図は、記録媒体51上に多数のインク粒子からなるイメージ60を印刷する、モ ノリシック印刷ヘッド50である。上記媒体は、通常紙であるが、上向き透明フ ィルム、クロス、またはインク粒子を受けつける多くの他の実質的に平らな面で もよい。印刷されるイメージはイメージ源52によって供給されるが、このイメ ージとしては、ピクセルの二次元アレーに変換できる任意のタイプのものを使用 することができる。通常のイメージ源は、イメージスキャナ、ディジタル的に記 憶されたイメージ、アドービポストスクリプト、アドービポストスクリプトレベ ル2またはヒューレット−パッカード PCL5のようなページ記述言語(PD L)でコード化されたイメージ、アップルクイックドロウ、アップルクイックド ロウ GXまたはマイクロソフト GDIのような手続き呼出に基づくラスタ化 装置によって発生したページイメージ、またはASCIIのような電子形式のテ キストである。その後、イメージデータはイメージ処理システム53によって、 特定の印刷システムに適するピクセルの二次元アレーに変換される。このイメー ジはカラーの場合もあり、モノクロの場合もあり、データは、通常イメージ源お よび印刷システムの仕様に従って、ピクセル当たり1−32ビットを持っている 。ソースイメージがページ記述である場合には、イメージ処理システムは、ラス タイメージプロセッサ(RIP)を使用することができ、ソースイメージがスキ ャナからのものである場合には、二次元イメージ処理システムを使用することが できる。 連続トーンイメージが必要な場合には、ハーフトーン化システム54が必要で ある。適当なタイプのハーフトーン化は、分散形ドット配列ディザまたはエラー 拡散に基づいている。この目的に適しているものとしては、通常確率的スクリー ニングまたは周波数変調スクリーニングと呼ばれる、上記ハーフトーン化システ ムの種々のタイプのものがある。オフセット印刷に通常使用されるハーフトーン 化システム、すなわち、集合形ドット配列ディザは適していない。何故なら、こ の技術を使用すると、有効なイメージ解像度が不必要に無駄になるからである。 ハーフトンー化システムの出力は、本発明による印刷システムの解像度を持つ、 二進法のモノクロまたはカラーイメージである。 二進法のイメージは、データシフトレジスタ56に、正しい順序でピクセルデ ータを供給する(図4のヘッド制御ASIC400に内蔵できる)データ位相回 路55によって処理される。ノズルの配置および紙の動きを補償するためには、 データを正しい順序に並べなければならない。データがシフトレジスタ56にロ ードされると、そのデータはヒータ駆動回路57に並列に送られる。正しいタイ ミングで、駆動回路57は、対応するヒータ58を、パルス整形回路61および 電圧レギュレータ62によって発生した電圧パルスに電子的に接続する。ヒータ 58は、ノズル59の先端を加熱し、インクの物理的な特性を変化させる。イン ク粒子60は、ヒータ駆動回路に供給されたディジタルインパルスに対応するパ ターンで、ノズルから排出される。インクタンク64内のインクの圧力は、圧力 レギュレータ63によって調整される。選択されたインク粒子60は、選択され たインク粒子分離手段によって、インク本体から分離され、記録媒体51と接触 する。印刷中、記録媒体51は、紙移送システム65によって、印刷ヘッド50 に対して連続的に移動する。印刷ヘッド50が、記録媒体51の印刷領域全体を カバーする幅を持っている場合には、記録媒体51を一つの方向だけに移動させ るだけでよく、印刷ヘッド50を固定しておけばよい。もっと小型の印刷ヘッド 50が使用される場合には、ラスタ走査システムを実行する必要がある。このこ とは、通常記録媒体51を長手方向に移動させながら、印刷ヘッド50を横方向 に走査することによって行うことができる。 本発明の一実施形態について説明してきた。本発明の範囲から逸脱することな く種々の修正を行うことができることは当業者であれば自明であろう。 単一モノリシック印刷ヘッド内の複数のノズル オフィス用プリンタまたは写真複写器のような機器内で使用することを意図し た新しい印刷システムは、高速で印刷できることが望ましい。1分間に60枚の A4ページ(1秒間に1ページ)という印刷速度が、一般に多くの用途に適して いる。しかし、1分間に60ページの電子制御された印刷速度を達成するのは簡 単なことではない。 1ページを印刷するのに必要とする最小の時間は、ページ上のドット位置の数 に1ドットを印刷するのに必要な時間を掛けたものを、同時に印刷できる各色の ドット数で割ったものに等しい。 実現できる画質は、映像を作成するのに使用できるインクドットの全数で決ま る。分散ドットディジタルハーフトーン化を使用したフルカラーマガジン(maga zine)品質の印刷の場合には、1インチ当たり約800ドット(1ミリ当たり3 1.5ドット)が要求される。紙の上のドット間の間隔は31.75ミクロンで ある。 標準A4ページは210ミリ × 297ミリである。1ミリ当たり31.5 ドットの場合には、モノクロ全ブリード(bleed)A4ページに対して61,8 86,632ドットが必要である。高品質プロセスカラー印刷の場合には、4色 、すなわちシアン,マジェンタ,黄色および黒が必要である。それ故、必要な全 ドット数は247,546,528である。紙の縁部の狭いマージン内に印刷を 許さない場合は幾分これを減らすことができるが、必要な全ドット数は依然とし て非常に多い。1ドットを印刷するのに要する時間が144ミリ秒であり、一色 につき一本だけノズルが用意されているとすると、1枚のページを印刷するのに 2時間以上掛かることになる。 本発明の上記印刷システムを使用して高速高品質の印刷を行うために、多くの 小さなノズルを持つ印刷ヘッドを抜てきしている。印刷ヘッドの幅が紙の全幅で あれば、1秒間に1枚のカラーA4ページを800dpiで印刷できる。印刷ヘ ッドを固定しておき、それを越えて1秒周期で紙を進ませることもできる。幅2 10ミリの4色800dpi印刷ヘッドは、26,460個のノズルを必要とす る。 このような印刷ヘッドは、26,460本の作動ノズルと26,460本の冗 長(スペア)ノズルを持つことができ、合計して52,920本のノズルになる 。シアン,マジェンタ,黄色および黒プロセスカラーのそれぞれに対して6,6 15本の作動ノズルがある。 多数のノズルを持つ印刷ヘッドを低価格で製造できる。これは、1枚のシリコ ンウェーハ内に、数千のノズルを同時に製造する半導体製造プロセスを用いて達 成できる。印刷ヘッドをいくつかの部品で製造して組み立てた場合に生じる機械 的な整合および示差熱膨張についての問題を排除するために、印刷ヘッドは1枚 のシリコンから製造される。ノズルおよびインクチャネルはシリコンにエッチン グされる。ヒータ素子は、電気抵抗を持つ材料を蒸着させ、標準的な半導体製造 プロセスを使用したその後の写真石版印刷により形成される。 数千のノズルを持つ印刷ヘッド上で必要とされる多数の接続の数を減らすため に、データ分配回路および駆動回路も印刷ヘッド上に集積させることができる。 図7は、チップの背面から見るとともに数本のノズルにわたって切断した印刷 ヘッドの一部を単純化した図である。基板120は単一のシリコン結晶から作る ことができる。ノズル121は、例えば半導体写真石版印刷および化学湿式エッ チングまたはプラズマエッチングプロセスによって基板内に製作される。インク は、印刷ヘッドの上面のノズルから入り、基板を通ってノズルチップ123から 抜ける。ヒータおよび駆動回路はウェーハの下面上にプレーナ製作される。すな わち、印刷ヘッドは、能動回路が製作される表面に対して「上下を反対にした」 関係で示されている。基板の厚さ124は標準シリコンウェーハの厚さと同じく 約650ミクロンにされる。印刷ヘッド幅125は、色数,ノズルの配置,ノズ ル間の間隔,駆動回路および相互接続に必要なヘッド面積に関係している。モノ クロ印刷ヘッドの場合には適当な幅は約2ミリである。プロセスカラー印刷ヘッ ドの場合には適当な幅は約5ミリである。CC’MM’YKカラー印刷ヘッドの 場合には適当な幅は約8ミリである。印刷ヘッド126の長さは用途によって異 なる。非常に低価格の印刷の場合には、1ページ全体を走査しなければならない 短い印刷ヘッドを使用しても良い。高速の用途では、固定のページ幅のモノリシ ックまたは多重チップ印刷ヘッドを使用することができる。印刷ヘッドの一般的 な長さの範囲は1−21センチであるが、大量の紙またはファブリック(fabric )印刷の場合には21センチよりも長い印刷ヘッドが適している。 異方性湿式エッチングを用いた自己整合印刷ヘッドの製造 モノリシック印刷ヘッドの製造は標準シリコン集積回路の製造に類似している 。しかし、通常のプロセスの流れがいくつかの方法で変更される。このことは、 ノズル,ノズル用バレル,ヒータおよびノズルチップを形成する上で非常に重要 である。モノリシック印刷ヘッドの生産は多くの異なる半導体プロセスに基づい ている。これらの半導体プロセスのそれぞれに対して、必要な構造を形成するた めに多くの個となる方法で基本的なプロセスが変更される。 印刷ヘッドを生産する工場を建設するコストを削減するためには、簡単なプロ セスに基づいた生産が望ましい。また、実用的であってできる限り粗末な一組の 設計ルールを使用することが望ましい。何故なら、細い幅のラインを生産するの はより高価であり、同等の歩留まりを達成するに、よりクリーンな環境を必要と するからである。 少量の製造での操業の際の資本コストを最小限にするには、ノズルを形成する のに必要な追加の処理ステップを低い投資の投資で達成することが望ましい。本 特許は主として異方性湿式エッチングプロセスを使用してノズルの形成がなされ る製造プロセスを記載している。その結果、高価なプラズマエッチング装置が必 要ない。 ここに記載されたプロセスは標準半導体製造プロセスに基づいており、1.5 ミクロンのライン幅用に設計された装置を使用することができる。本質的に時代 遅れの石版印刷装置を使用することにより(執筆時点においては、最新のIC製 造装置は0.25ミクロンのライン幅の能力がある)、ヘッドの生産のための工 場の建設コストを有意に削減できる。 VLSI CMOSのような低電力,高速プロセスを使用する必要もない。必 要とする速度は中程度のもので、電力消費はインクジェットノズルに必要なヒー タ電力によって支配される。それ故、nMOSのような単純な技法が適当である 。しかし、CMOSが最も実際的な生産手段であると思われる。何故なら、1− 2ミクロンのライン幅には、多量の使用されていないCMOS製造能力を利用で きるからである。 適当な基本製造プロセス ノズル製造に必要な製造ステップは多くの異なる半導体処理システム内に組み 込むことができる。例えば、下記の技術を修正することによって印刷ヘッドを生 産できる。 1)nMOS 2)pMOS 3)CMOS 4)バイポーラ 5)ECL 6)種々のガリウムひ素プロセス 7)ガラス基板上の薄膜トランジスタ(TFT) 8)能動半導体回路のないマイクロメカニカル製造 基本技術の選択はほとんどノズルの製造能力に依存しない。まだ発明されてい ない半導体処理手順にノズル製造ステップを組み込む方法も、当業者にとっては 明らかであろうと思われる。最も簡単な製造プロセスは、同じウェーハ上に能動 半導体デバイスを製作しないで、シリコンマイクロメカニカル処理を使用してノ ズルを製作することである。しかし、このアプローチは多数のノズルを持つ印刷 ヘッドには実用的ではない。何故なら、ヘッドに対して少なくとも一つの外部接 続が各ノズルに必要となるからである。大型のヘッドの場合、駆動トランジスタ およびデータ分配回路をノズルと同じチップ上に製作することは非常に有利であ る。 CMOSは現在最も一般的な集積回路プロセスである。現在、多くのCMOS プロセスが商業的に使用されており、その一般に使用されているライン幅は0. 35ミクロンの細さである。CMOSは印刷ヘッドの製作に際して下記の利点を 持つ。 1)周知で特徴がよくわかっている生産プロセス。 2)静止電流がほとんどゼロ。 3)高い信頼性。 4)高いノイズ免疫性。 5)広い電力供給動作範囲。 6)金属ライン内での電子移動が少ない。 7)シフトレジスタおよび故障許容論理のより単純な回路設計。 8)ウェーハの表の面から基板の接地が可能。 しかし、CMOSは集積された駆動回路を含むヘッドの製作において、nMO Sおよび他の技術に対していくつかの欠点を持つ。これらには以下のものが含ま れる。 1)同じチップ上に高品質のNMOSおよびPMOSを同時に形成するには、多 数の処理ステップを必要とする。 2)CMOSはラッチアップの影響を受け易い。これは、ヒータ回路に必要なV ddより通常高い電圧での大電流に特に関わっている。 3)他のMOS技術と同様に、CMOSは静電電荷による損傷を受け易い。この 欠点は、入力のところに保護回路を設けて注意深く取り扱うことによって最小限 にできる。 有り得る全ての構成の印刷ヘッドに適用できる絶対的に「最善な」基本製造プ ロセスはない。そうではなくて、ノズルに特有な製造ステップを製造者が抜てき したプロセスに組み込む必要がある。ほとんどの場合、現在するプロセスの流れ 、使用する装置、抜てきしたフォトトレジストおよび抜てきした化学プロセスに 対して互換性を持つものにするために、ノズル製造ステップに特有な工程の細部 に少し変更を行う必要がある。これらの変更は、当業者にとっては自明であって 、本発明の範囲から逸脱しないで行うことができる。 レイアウトの例 図8(a)は、800dpiの4色印刷ヘッドの断面のレイアウト例である。 800dpi印刷用のノズルピッチは31.75ミクロンである。図8(a)は 、シアン,マジェンタ,黄色および黒インク用の4列のノズルを示している。こ れら4列の各々は4つの平行なインクチャネルを含む。インクチャネルは、ウェ ーハの大部分にわたってエッチングされており、それぞれが64のノズルを含む 。2本のインクチャネルは主ノズル用のもので、2本のインクチャネルは冗長ノ ズル用のものである。ノズルは各インクチャネルに沿ってピクセルの幅二つ分( 63.5ミクロン)の間隔を持つ。各カラー用の2本の主インクチャネルの中の 1本にあるノズルは、他の主インクチャネル内のノズルからピクセル幅一つ分( 31.75ミクロン)だけオフセットが付けられている。冗長ノズルも同じ方法 で配置されているが、オフセットは印刷方向である。インクチャネルは印刷ヘッ ドの印刷領域の全長にわたって延びているわけではない。何故なら、そうすると 、印刷ヘッドが機械的にあまりに弱くなるからである。そうではなくて、64本 のノズルを含むインクチャネルは印刷方向に互い違いになっている。このように 互い違いのノズルアレーを使用すると、ノズルのオフセットを補償するような方 法でノズルを駆動するようにデータを供給しなければならない。これは、適切な 順序でメモリからページイメージを読み取って印刷ヘッドに供給するディジタル 回路によって実現できる。 短縁部のチップレイアウトに沿って幅100ミクロン、長さ200ミクロンの 矩形の領域が図示されている。これらはデータ,クロックおよびロジック電力お よび接地用のボンディングパッドである。V+およびV-ボンディングパッドはチ ップの二つの長縁部に沿って延びており、その幅は200ミクロンである。 図8(b)は、図8(a)の印刷ヘッドの一色に対するインクチャネルおよび ノズルの拡大した細部である。4,064ミリという距離は1本のチャネル内の ノズル間隔(63.5ミクロン)の64倍である。8,128ミクロンという距 離は1本のチャネル内のノズル間隔の128倍である。6790.6ミクロンと いう距離は、4064ミクロン+2*(1260ミクロン+(50ミクロン/t an70.52°)+(50ミクロン/tan54.74°)+50ミクロン許 容誤差)である。ウェーハの厚さが25ミクロン程度変動する場合があるので、 50ミクロンの許容誤差が必要である。 図8(c)は、単一のインクチャネルの端部を拡大した細部である。図示の角 度は、異方性エッチングプロセスによるもので、{111}結晶面の向きに由来 するものである。ウェーハ全体の厚さからインクチャネルの底部の点までの距離 は1260ミクロンである。これは、ウェーハ表面に対するtan-1(0.5) =26.57°の角度を持つ(111)結晶面によるものである。必要とする6 30ミクロンのエッチング深さを得るためには、エッチングする溝の端部に12 60ミクロンの余分な長さを与えておく必要がある。 図8(d)は、図8(c)のノズルのうちの二本の拡大した細部である。ノズ ルの半径は10ミクロンであって、それ故ノズルの直径は20ミクロンである。 ノズルバレルは点線で示す。ノズルバレルは明確な半径を持たない。何故なら、 ノズルバレルはKOHエッチングにホウ素拡散エッチング止めを行って形成され るからである。ノズルの縁部からインクチャネルの縁部までの距離は15ミクロ ンである。何故なら、ウェーハの表面は通常(110)結晶面と完全に整合して おらず、±1度程度変化することがあるからである。{111}結晶面が1度傾 斜すると、インクチャネルの底部は裏面マスクの位置から630ミクロン*ta n1°=11ミクロンだけ変位する。 図8(d)のAからBまでの線は図9の断面図が取られた線である。この線は 「A」面上のヒータ接続を含むとともに「B」面上のヒータの「直角な」断面を 通過する。 結晶面への整合 ここに記載する製造プロセスは、エッチングを制御するために単結晶シリコン ウェーハ内の固有の結晶面を使用する。{111}面へのマスキング手順の方向 は正確に制御しなければならない。シリコンウェーハ上の主要な平面の向きは、 通常、適切な結晶面の±1度以内の精度を持つに過ぎない。マスクおよび製造プ ロセスの設計には、この角度の許容範囲を考慮に入れることが非常に重要である 。例えば、215ミリの印刷ヘッドの長縁部に沿って1本の溝をエッチングする 場合、ウェーハとエッチング速度を制御する{111}面との間の整合に1°の 誤差があると、十分なエッチング時間を掛けた場合に、溝の幅には3,752ミ クロンの誤差が生じる。整合誤差は±0.1°またはそれよりも少ないことが要 求される。これは、まだ使用していないウェーハの領域内に試験溝をエッチング することで達成できる。ウェーハを整合させるために、溝は長く且つ主要な平面 を使用して(111)面に整合していなければならない。その後、{111}面 を露出させるために、試験溝は、50℃で水1リットル当たり500グラムのK OHの溶液を使用して過度にエッチングされる。この溶液は、〈111〉方向よ りも約400倍の速く〈100〉方向にシリコンをエッチングする。その後のこ の溝に対する角度整合は光学的に行うことができる。あるいはまた、ウェーハの 縁部にまで延びる溝を通してウェーハを完全にエッチングできる。これにより、 選択した(111)面と高い精度で整合するもう一つの平面がウェーハ上に造ら れる。その後この平面は機械的な角度整合に用いられる。 ウェーハの面の向きの精度も±1°に過ぎない。しかし、ウェーハの厚さは約 650ミクロンに過ぎず、表面の整合における±1°の誤差はウェーハ全体の厚 さにわたってエッチングを行うと、位置の不正確さは最大11.3ミクロンにな る。これはエッチング用のマスクの設計に際に調節される。 製造プロセスの概要 図9(a)−図9(k)は好適な製造方法の概要を示している。これは下記の 主要なステップを含んでいる。 1)最初の製造ステップはウェーハの供給である。大きなものが入手できること ,低価格で高品質なウェーハ,基板としてのシリコンの強度,製造プロセスおよ び装置の一般的完成度により、シリコンウェーハがガリウムひ素のような他の材 料に対して大いに推奨される。 ここで説明する製造プロセス例は(110)結晶方向を持つnタイプのウェー ハを使用する。ウェーハは機械的若しくはレーザによるゲッター(getter)をす べきではない。なぜならこれにより裏面エッチングプロセスに影響を与えるから である。標準的な半導体装置および材料協会(SEMI)仕様に従って製造され た150ミリ(6インチ)のウェーハは、全体で25ミリの厚さの変動を許容す る。ここで説明するプロセスは、エッチングプロセス中にこの厚さの変動を調節 するので、標準的な許容誤差を持つウェーハを使用できる。執筆時点では、20 0ミリ(8インチ)のウェーハが使用され、国際規格は300ミリ(12インチ )のシリコンウェーハが設定されている。印刷ヘッドを製造するには300ミリ のウェーハが特に有用である。何故なら、ページ幅A4(またUSレター)印刷 ヘッドがこれらのウェーハ上で単一チップとして製造できるからである。 図9(a)は(110)nタイプ300ミリのウェーハである。このウェーハ は、印刷長さが210ミリの22 A4印刷ヘッドである。各印刷ヘッドチップ は長さ215ミリ×幅8ミリである。これらの印刷ヘッドはUSレターまたはA 4サイズの印刷に使用でき、あるいは、A3印刷,シート送りまたはウエブ(we b)送りディジタル印刷機,およびクロス印刷用の多重チップ印刷ヘッドの構成 部材として使用できる。各チップの境界は深い溝でエッチングされる。この溝は 能動デバイスに対するプロセスの流れに従って、能動デバイスのの製作前後でエ ッチングできる。しかし、溝のところでのレジストの縁部の盛り上がり(beadin g)に伴う問題を回避するために、大部分の製造ステップが完了した後で溝をエ ッチングすることが推奨される。 図9(b)はチップの短縁部に沿った境界溝の断面である。{111}系列の 結晶面がエッチング方向を制御し、その結果として、溝に26.56°の傾斜が 生じる。 図9(c)はチップの長縁部に沿った境界溝の断面を示している。{111} 系列の結晶面がエッチング方向を制御し、その結果、溝に垂直な側壁が生じる。 溝が必要なのは近接印刷ヘッドだけであり、印刷ヘッドへの電気的接続がチッ プの表面を越えて突出しないように形成される。これらの溝のエッチングは、チ ップ上に能動デバイスを製作した後に行うのが最良であって、以下のステップ5 )および6)で説明される。 2)その後、ホウ素エッチング止めがシリコン中に拡散される。エッチング止め が必要とされるのはインクチャネルの底部の領域だけであり、特大のマスクによ りノズルからマスクされる。ホウ素は15−20ミクロンの深さまで1立方セン チ当たり1020個の原子の濃度で拡散される。図9(d)は、ホウ素ドーピング 段階後におけるノズルチップ領域内のウェーハの断面を示している。 3)その後、二層金属を使用する従来の集積回路製造プロセスにより能動デバイ スが製作される。従来技術のプロセスとしては、nMOS、pMOS、CMOS 、バイポーラまたは他のプロセスがある。一般的にいって、能動回路は変更を加 えないプロセスを使用して製作される。しかし、大電流が印刷ヘッドを通って流 れるようにするには、ある種のプロセスを変更する必要がある。大型印刷ヘッド の場合には、充分にエネルギーを与えた場合にヒータ回路を通って28アンペア を越える電流が流れることがあり、電子移動を防止することが非常に重要である 。第一のレベルの金属としてはアルミニウムの代わりにモリブデンを使用するこ とができる。何故なら、それは電子移動を妨げるからである。しかし、モリブデ ンの場合はスパッタリングを行わなければならないので、基礎となるMOSまた はCMOS構造を損傷しないように注意しなければならない。電子移動を防止す る好適な方法は、印刷ヘッドの表面にグリッドを形成する非常に幅の広いアルミ ニウム線を設置する方法である。このアプローチは製造プロセスを変更する必要 はないが、マスクパターンの設計の際には考慮する必要がある。レベル間に誘電 層を形成する段階までは、従来技術による製造プロセスを修正しないで処理でき る。 4)レベル間誘電層の形成。これは3ミクロンのCVD二酸化シリコンで良い。 5)チップの境界での二酸化シリコンのマスク掛けおよびエッチング。チップの 縁部の内側の約200ミクロンの領域にエッチングする。これはボンディングパ ッド領域である。ボンディング領域にはV型溝がエッチングされる。ウェーハが 采の目に切られると、これらの溝は縦方向に切断されて、その結果、斜めの縁部 を持つチップが得られる。ボンディングパッドはこれら斜面に形成され、それに よりチップの表面の上を延びるボンディングワイヤまたはTABボンディングを 使用しないで、チップをボンディングできる。このことは近接印刷の場合に重要 である。何故なら、印刷ヘッドは記録媒体または転写ローラに非常に接近(約2 0ミクロン)していなければならないからである。従来のボンディング方法では 、このような近接した状態を作りだすのは難しい。 6)ボンディングパッド溝のエッチング。このエッチングは[100]結晶方向 で、好適には[111]方向にエッチングを行う異方性湿式エッチングによって 行うことができる。非常に速い選択的エッチング速度(約400:1)でエッチ ングを行う場合には、水1リットルに440グラムの水酸化カリウム(KOH) の溶液を使用することができる。 図9(b)は、このエッチングステップ終了後の印刷ヘッドの短縁部のところ のV溝の横断面である。 図9(c)は、チップの長縁部に沿った境界溝の横断面である。{111}系 列の結晶面がエッチング方向を制御し、その結果、溝の中に垂直な側壁が形成さ れる。 ボンディングパッドを基板から絶縁するために、V型溝をエッチングしてから 、0.5ミクロンのCVD二酸化シリコンの層を塗布しなければならない。 7)金属間ビアのエッチング。場合によっては、V型溝のエッチング用のマスク を形成するために、このステップを二酸化シリコンのエッチングと一緒に行うこ とができる。金属間二酸化シリコンは通常の場合より遥かに厚いので、ビアの側 壁をテーパ状にすることを勧める。 8)第二のレベルの金属の塗布。第一のレベルの金属と同じように電子移動を考 慮にいれなければならない。すべての大電流線用に大型のライン幅のものを使用 するとともに2%の銅を含むアルミニウム合金を使用することによって、電子移 動を最小限にすることができる。モリブデンの薄いフィルムにボンディングする のは難しいので、モリブデンの使用は勧められない。第二のレベルの金属のステ ップの適用範囲は重要である。何故なら、レベル間酸化物の厚さが通常より厚い からである。また、チップの長縁部に沿ったV-およびV+溝の垂直な側壁には、 コーティングを行う必要がある。低圧蒸着を使用することによって、ステップの 適用範囲を適当なものにできる。第一の金属が電界酸化物を覆っている領域だけ にビアを設けることで、ビアステップの適用範囲を改善できる。好適なプロセス としては、98%のアルミニウムと2%の銅とを低圧蒸着により1ミリ堆積させ るものである。 9)第二のレベルの金属のマスク掛けとエッチング。印刷ヘッドが近接印刷に使 用される場合には、ボンディングパッドのマスク掛けおよびエッチングに特別の 注意を払う必要がある。何故なら、それらはV型溝内に製作されるからである。 これは二つの問題を生じる。すなわち、V型溝の底部のレジストの厚さがより厚 くなることと、マスクの焦点がずれることである。このことは、チップの長縁部 では問題にならない。何故なら、これらはV+およびV-電力レール専用であり、 パターン化されていないからである。チップの短縁部上に製作されたボンディン グパッドは少なくとも100ミクロン離さなければならない。V型溝内には、能 動回路または細かい幾何学形状の線を形成してはならない。図9(e)は、この ステップ終了後でのノズル領域内のウェーハの横断面である。 10)ヒータの形成。ヒータ材(例えば、0.05ミクロンのTaAl合金また はHfB2またはZrB2のような耐火材)を低圧蒸着またはスパッタリングによ り塗布できる。ヒータは平面状なので、マスク掛けおよびエッチングは簡単にな される。ヒータは環状体よりはむしろ平円板でマスク掛けされる。平円板の中心 は、あとのノズル形成ステップ中にエッチングされる。これはヒータとノズルと の間に優れた整合を実現するためである。ヒータの半径は1.5ミクロンのプロ セスで通常得られるよりは精緻な許容誤差となるように制御しなければならない ので、0.5ミクロンのステッパプロセスを使用することを勧める。図9(f) は、このステップ終了後におけるノズル領域内のウェーハの横断面である。 11)Si34の保護コーティングの塗布。これはウェーハの表面だけに塗布さ れるが、ウェーハの裏面の長期間にわたる湿式エッチングによる腐食からウェー ハ表面を保護するために、少なくとも0.1ミクロンの厚さにすべきである。図 9(g)は、このステップ終了後におけるノズル領域のウェーハの横断面である 。 12)ウェーハの裏面のマスク掛け。Si34はマスクとして使用される。何故 なら、レジストは湿式エッチング溶液によって腐食され、二酸化シリコンのエッ チング速度は、マスクを有効に使用するにはあまりに速すぎる(約20Å/分) からである。Si34のエッチング速度は、約14Å/時である。ウェーハの裏 面には0.5ミクロンのSi34層が塗布され、その後に0.5ミクロンのレジ ストがスピンコーティングされる。インクチャネルのマスクを使用して、ウェー ハの裏面上のレジストの露光および現像が行われる。石版印刷装置の修正した整 合光学によりウェーハの表面から整合が行われる。このステップの整合は重要で はなく、約±4ミクロンの精度で行うことができる。その後にSi34がエッチ ングされて、レジストが除去される。 13)インクチャネルのエッチング。これは、水酸化カリウムの水溶液を使用し てシリコンを湿式エッチングして行われる。異方性プラズマエッチングに対する 湿式エッチングの利点は、結晶面によって決定された非常に正確なエッチング角 度との取り合わせによって、装置のコストが非常に安いことである。エッチング 剤により{111}面が露出する。これらの面のうちの4つは、ウェーハの表面 に対して90°の角度を向いている。インクチャネルはこれらの平行な面の中の 二つに平行な向きであるので、{111}面がインクチャネルの垂直な側壁を形 成する。別の二つの{111}面は、インクチャネルの平面のウェーハの表面に 対して、26.56°の角度を向いており、インクチャネルのエッチング深さを 制限する。この理由から、インクチャネルマスクは必要とするチャネルの長さよ り長くしなければならない。その結果、インクチャネルの必要な場所に充分な深 さのエッチングが行われる。KOHの50%水溶液により80℃でウェーハのエ ッチングが行われる。エッチング速度は約0.8ミクロン/分であり、必要なエ ッチングの深さは620ミクロンである。そのため、エッチングの持続時間は約 12.9時間にしなければならない。ホウ素によりエッチングが停止するのでエ ッチング時間を正確に守ることは重要ではない。この段階でのエッチングはバル クシリコンエッチングであり、ホウ素のエッチング止めに達する少し前に停止し なければならない。このエッチングステップの主な目的はインクチャネルのシリ コンの厚さを減らすことであり、その結果、ホウ素エッチング止めによるノズル バレルを形成するためのエッチングステップを遥かに短縮でき、ノズルチップの ところの二酸化シリコンの有意なほどにはエッチングしない。図9(h)は、エ ッチング終了後のいくつかのインクチャネルの斜視図である。この図はウェーハ の裏面から見たものである。図9(i)は、このステップ終了後におけるノズル 領域内のウェーハの横断面である。ウェーハ裏面からシリコン中にエッチングさ れたインクチャネルは非対称になっている。何故なら、AからBまでの線が直線 ではないからである。A面において断面はインクチャネルに垂直であり、B面に おいて断面はインクチャネルに沿って走っている。Si34のマスク層は除去し てはならない。 14)レジストによるノズルチップのマスク掛け。これは正確に行わなければな らない。何故なら、ヒータに対するノズルの整合およびノズルチップの半径は、 両方ともインク粒子の排出性能に影響するからである。これらのパラメータは、 0.5ミクロン以上の精度,好適には0.3ミクロン以上の精度で制御しなけれ ばならない。図9(j)は、このステップ終了後におけるノズル領域内のウェー ハの横断面である。 15)ノズルチップのエッチング。第一のステップはSi34層のエッチングで ある。第二のステップはヒータのエッチングである。ヒータは非常に薄いので、 湿式エッチングを使用すればよい。第三のステップはノズルチップを形成してい る二酸化シリコンのエッチングである。これは、例えば、CF4−H2混合ガスを 使用したRIEエッチングのような異方性エッチングでエッチングされねばなら ない。エッチングはシリコン内のノズル領域まで行う。その後にレジストが除去 される。図9(k)は、このステップ終了後におけるノズル領域内のウェーハの 横断面である。 16)ノズルバレルのエッチング。これもKOHを使用するシリコンの湿式エッ チングにより行われる。エッチングはウェーハの両面から,すなわち裏面からは インクチャネルを通してまた表面からはノズルチップと通して同時に行われる。 約20ミクロンの厚さのシリコンが両側から10ミクロンずつエッチングされる 。しかし、ホウ素によるエッチング止めにより最終的なノズルバレルの幾何学的 形状が制御されるので、エッチング時間は重要ではなく、ウェーハの厚さにおけ る25ミクロンの変動と可変エッチング速度を調節できるように、最短エッチン グ時間よりかなり長くすべきである。80℃で1時間、KOHの50%水溶液に よりウェーハのエッチングを行う。図9(l)は、このステップ終了後における 二本のインクチャネル内の数個のノズルバレルの斜視図である。この図は、ウェ ーハの裏面から二本の隣接インクチャネルを見たものである。丸い開口がノズル チップである。この配置はピクセル間隔が31.75ミクロンの800dPiプ リンタに対するものである。各チャネル内のノズルの間隔は63.5ミクロンで 、二つのチャネルの間のオフセットは31.75ミクロンである。ノズルチップ の直径は20ミクロンである。AからBまでの線は、図8(d)に示すように図 9の横断面の断面の線である。図9(m)は、このステップ終了後におけるノズ ル領域内のウェーハの横断面である。 17)不動態化層の形成。動作中、モノリシック印刷ヘッドは加熱された水をベ ースとするインクと接触しており、有効な不動態化層が絶対に必要である。PE CVDによって塗布された0.5ミクロンのSi34の等角層を使用できる。2 00sccmでSH4を使用し、2000sccmでNH3を使用し、50分間、 46ワットで、圧力を1.6torr、250℃の温度を使用する。図9(n) は、このステップ終了後のノズル領域のウェーハの断面である。 18)選択したコーティングがこの後の処理ステップでも残存するのであれば、 この段階で疎水性の表面コーティングを塗布しても良い。さもなければ、TAB ボンディングの後で疎水性コーティングを塗布しなければならない。使用するこ とができる疎水性コーティングは多く、塗布するために使用される多くの方法が ある。いくつかの例を上げると、ふっ素化ダイヤモンド様炭素(F*DLC)、 ふっ素で事実上飽和した外表面を持つアモルファス炭素フィルム等がコーティン グに適している。プラズマ改良化学蒸気蒸着(PECVD)装置を使用する上記 フィルムの塗布法は、米国特許第5,073,785号に記載されている。独立 の疎水層を塗布することは本質的に重要なことではない。その代わりに、疎水化 剤を使用して露出した誘電層を処理することができる。例えば、二酸化シリコン をSi34の代わりに不動態化層として使用する場合には、露出した二酸化シリ コンを疎水性にするためにジメチルジクロロシランで処理することができる。こ れは、疎水性のままに維持する必要がある領域をマスクしない限り、ノズル全体 が影響を受ける。何故なら、ジメチルジクロロシランの蒸気は、露出しているす べての二酸化シリコンに影響を与えるからである。 インクが水をベースとするものである場合か若しくは他の極性溶媒をベースと する場合には、疎水性の層を塗布する必要がある。インクがワックスをベースに するものであるか若しくは無極性溶媒を使用している場合には、印刷ヘッドの表 面を疎油性にすべきである。要するに、使用するインクを弾くように、印刷ヘッ ドの表面を製造するか処理するかすべきである。ここで開示する物理的デバイス 構成を使用する場合には、疎水性の層をデバイスの表面だけに限定する必要はな い。デバイスの性能に有意な影響を与えずに、デバイス全体を疎水性の層(また は無極性のインクを使用する場合には、疎油性の層)でコーティングしても良い 。デバイス全体がインクを弾く層で処理されている場合には、ノズルチップの外 径ではなく内径をノズルの半径と見なすべきである。 19)ボンディング、パッケージおよび試験。ボンディング、パッケージおよび 試験プロセスは標準的な製造技術を使用することができる。ボンディングパッド はSi34の不動態化層から切り開いておかなければならない。ボンディングパ ッドはV型溝内にある角度で形成することができるが、それらをマスクするには 特別な注意を払う必要はない。何故なら、V型溝の全領域からSi34を除去す ることができるからである。ボンディングパッドを切り開いたら、レジストをは ぎ取り、ウェーハをきれいに拭き取らなければならない。その後にウェーハを試 験することができる。その後にウェーハが采の目に切られる。長い印刷ヘッドが 破損するのを防ぐためと、ウェーハはノズルの列に沿って弱いので、ウェーハに 線を引いて折り取ったりせずに、ひき割らなければならない。その後、采の目に されたウェーハ(チップ)はインクチャネル内に装着される。カラー印刷ヘッド の場合には、この段階で独立したインクチャネルをチップに対して密封する。装 着後、チップがボンディングされ、乾いた状態でデバイスを試験する。その後、 デバイスをインク供給源に接続し、インク圧を掛けて、機能試験を行うことがで きる。図9(o)は、このステップ終了後におけるノズル領域のウェーハの断面 である。 図9(a)−図9(o)において、100はインク、101はシリコン、10 2はCVD二酸化シリコン、103はヒータ材、105はホウ素でドーピングし たシリコン、106は第二層の金属相互接続(アルミニウム)、107はレジス ト、108は窒化シリコン(Si34)、109は疎水性表面コーティングであ る。 他の製造プロセス 他の多くの製造プロセスを使用することができる。上記の製造プロセスは、使 用できるプロセスの中で最も簡単な製造プロセスでもなく、最も低価格で実用的 なプロセスでもない。しかし、上記プロセスは、同じウェーハ上にノズルとして 高性能のデータ分配装置および駆動トランジスタを製作できるという利点がある 。このプロセスはまた容易にサイズを変えることができ、必要であれば1ミリの ライン幅を使用することができる。 1ミクロンのライン幅(あるいはさらにもっと細かい幾何学的形状)を使用す ると、より多くの回路をウェーハ上に集積することができ、駆動トランジスタの 大きさや抵抗(あるいは両方)を減らすことができる。より小さなデバイスの幾 何学的形状を下記の方法で或いは下記の組み合わせで使用できる。 1)モノリシック印刷ヘッドの幅を狭くすること。 2)もっと優れた故障許容回路を内蔵させることで、印刷ヘッドの歩留まりを改 善すること。 3)チップ面積を増大させないで、印刷ヘッド上のノズルの数を増やすこと。 4)縦長の寸法でノズル間の間隔をさらに狭くすることによって、印刷ヘッドの 解像度を増大すること。 5)チップ上に全てのシステム回路の中のより多くのものを内蔵すること。例え ば、チップ上にデータ位相回路を内蔵することができ、印刷ヘッドに標準メモリ インタフェース,すなわちダイレクトメモリアクセスによって印刷データを入手 する経路を内蔵すること。 ノズル形成プロセスを多くの方法で変更できる。例えば、ここに開示した平面 ヒータ形成の代わりに自己整合垂直技術を使用してヒータを製造できる。 ここに記載したプロセスは、印刷ヘッドの製造に好適なプロセスである。何故 なら、高解像度が得られ、フルカラー印刷ヘッドは駆動回路,データ分配回路お よび故障許容を取り入れることができるからであり、標準的なCMOS生産プロ セスに比較的少ないコストを追加するだけで製造できるからである。多くのより 簡単な印刷ヘッド製造プロセスが導出できる。特に、能動回路を含まない印刷ヘ ッドを遥かに簡単なプロセスで製造できる。 電源接続 数千のノズルを持つ大型の印刷ヘッドは20アンペアを越える電流を消費する 場合がある。標準的な相互接続技術を使用した場合には、このために重大な問題 が生じる。本発明は、印刷ヘッドの長縁部全体を電力端子として利用することに より、印刷ヘッドに非常に大きな電流の供給が達成できる。 V+およびV-接続は、印刷方向に直角なチップの縁部に沿って、厚さ1ミクロ ン、幅200ミクロンのアルミニウムのストリップとして製作されている。アル ミニウムのラインがV+接続から、V-接続に最も近いノズルの列まで延びている 。これらラインはそれぞれの第2のノズルの間を通り、デバイスのレイアウトと 同じ幅を持ち、プロセス技術を使用できる。アルミニウムのラインは、V-接続 から、V+接続に最も近いノズルの列まで延びている。これらラインはV+ライン と組み合っている。 電源構成がこのようになっているので、非常に低い電気抵抗を持つ印刷ヘッド に対して、チップ上の接続に有意な温度の上昇をすることなく数十アンペアの電 流を供給することができる。 また、電子移動もデバイスの信頼性に有意な影響を与えない程度に十分低い。 例えば、付録Aの「LIFTタイプA4−6−800」表には、ページ幅フル カラーA4印刷ヘッドのある構成の特性のいくつかが表示されている。この印刷 ヘッドは、約1.3秒間に800dpiで(CC’MM’YKまたは他のカラー モデルを使用して)6色A4ページを印刷することができる。この印刷ヘッドは 39,744個の能動ノズルを持つ。また、故障許容用に39,744個の冗長 ノズルを内蔵している。最高4,968個のノズルヒータを一度に作動させるこ とができる。各能動ノズルに対する平均電流が6.0ミリアンペアである場合に は、全黒を印刷して間は印刷ヘッドに平均29.8アンペアを供給しなければな らない。このレベルの電流供給は集積回路に通常供給される電流より遥かに多い ので、標準的なワイヤボンディング接続またはTAB接続では不適当である。 通常、電力の浪費も問題になる。しかし、この印刷ヘッドは自己冷却で動作し 、実質的にすべての廃熱はインク内の温度上昇として消散する。自己冷却動作の ためには、水のような高い非熱を持つインクキャリアを使用することを勧める。 特別に「配管」を行わなずインクの循環を行わなくても、この印刷ヘッドは効果 的に「水冷」する。冷却剤(インク)の流れも一定しない電力消散に合わせて調 整される。何故なら、ほとんどすべての電力はインク粒子排出プロセス中に消散 するからである。これにより、印刷ヘッドの温度は狭い範囲内に維持される。 本発明は大電流電力接続の問題の解決方法を提供する。細長いボンディングパ ッドは、チップの対向する縁部の事実上の全長にわたって形成されている。V+ 接続は一方の端部上に形成されていて、V-接続は対向する縁部上に形成されて いる。使用するのに推奨される縁部は印刷方向に垂直な縁部である。上記縁部を 選択すると下記の利点がある。 1)縁部,すなわち電力接続の長さが、ノズルの数,したがって電源電流に比例 する。 2)電流の流れがこれら縁部に沿って均等に配分される。 3)多数のノズルを持つ印刷ヘッドの場合には、印刷方向に垂直な縁部は最も長 い縁部となり、それゆえ、大部分の電流に耐えられる。 4)近接印刷ヘッドの場合、印刷ヘッドと印刷媒体との間の距離が非常に短くな る。印刷方向に垂直な縁部上に電力供給レールを設置すると、ある種の構成にあ っては印刷媒体の縁部を超えられることから、他方の縁部上にデータ接続を配置 することで印刷ヘッドの構造を簡単にできる。 図10は、6色800dpiでA4ページ幅印刷ヘッドの実施可能な一つの基 本レイアウトである。印刷ヘッドは長さ215ミリ、幅8ミリで、人工宝石用素 材から縦方向に切断した単結晶シリコンウェーハから製作されている。表面の結 晶の向きは(110)である。インクチャネルおよびノズルは、〈100〉また は〈110〉方向よりも遥かに遅い速度で〈111〉方向にエッチングされる湿 式エッチング法を使用して異方性エッチングがなされる。V+およびV-接続は、 印刷方向に垂直なチップの縁部に沿って、1ミクロンで200ミクロン幅のアル ミニウムのストリップの形に製作される。アルミニウムのライン(図示せず)は V+接続から、V-接続に最も近いノズルの列まで延びている。これらラインは、 それぞれの第2のノズルの間を通っており、デバイスのレイアウトとプロセス技 術が許す限りの広い幅を持っている。ここで示したパラメータを使用した場合、 V+ラインの幅を30ミクロンにすることができる。アルミニウムのライン(同 様に図示せず)はV-接続から、V+接続に最も近いノズルの列まで延びている。 これらのラインはV+ラインと組み合っている。 チップの縁部の全長より短い長さの部分に沿ってV+およびV-用のボンディン グパッドを形成することもできるし、両方の縁部に沿ってV+およびV-接続を散 在させることもできる。 29.8アンペアを消費する215ミリ幅の印刷ヘッドの全長を走る1ミクロ ンのアルミニウム金属化部分を通る電流密度は、1.4×104A/平方センチ である。これは標準的な集積回路内の電源接続に対する許容最大電流密度よりか なり低い。 電子移動 アルミニウムの金属化部分内の大電流に関連して起こる恐れのある一つの問題 は電子移動である。冷却基板上に蒸着されたアルミニウムリード線の電子移動に よる故障平均時間(MTF)は、実験的に下記の式により近似できることが分か っている。 但し、 MTFは「時間」を単位としたものであり、 Aは平方センチ単位のリードの断面積であり、 Bは1A2時cm-6に等しい単位変換定数であり、 jはAcm-2での電流密度であり、 kはボルツマン定数=8.62×10-5eV/Kである。 参照文献:1969年の Proc.IEEE 57 の1587-1594ページのジェー ムズR.ブラックの「半導体デバイスのアルミニウム金属化部分内の電子移動故 障モード」 図11(a)は、800dpi印刷ヘッドのある色の小さな断面に対する実施 可能なノズルの配置である。6ピクセル幅(190.5ミクロン)の間隔を持つ 4列のノズルがある。2列は主ノズル用のもので、2列は冗長ノズル用のもので ある。各列内のノズルは2ピクセル幅(63.5ミクロン)だけの間隔を持ち、 隣接する列から1ピクセル幅(31.75ミクロン)だけずれている。 図11(b)は、11図(a)の小さな断面を拡大した細部であり、1列に3 本のノズルがあることを示している。この図は、ノズル200、駆動トランジス タ201、および反転バッファ216を示している。図11(b)は、V+およ びV-電源を伝える幅の広い垂直アルミニウムリード線である。作動しているヒ ータの異なるパターンに対して、電流の流れを確実に均等に配分するノズルの各 列間のV+およびV-ラインを接合した幅の広い水平接続も示されている。図示の 配置は、実施可能な多くの配置の中の一つであり、本発明の範囲から逸脱しない で、他の配置も容易に導出できる。 最も激しい電子移動が起こるには電力供給接続が最も薄い部分である。これは 、一列のノズルの間で発生する。図11(b)に示すレイアウトを使用した場合 には、各々の互い違いのノズル間のV+ラインは、少なくとも30ミクロンの幅 を使用できる。ノズル間の互い違いの場所に約30ミクロンのV-ラインを収容 できる。各V+又はV-ラインは、全電流の1/1653を運ぶことができ、最大 で18ミリアンペアである。チップに沿ってマトリックス接続が走っているので 、電流は個々のV+およびV-ラインに対して均等に分配される。 A = 30μm × 1μm = 3 × 10-7cm2、 j = 6 × 104A cm-2、 T = 50℃ = 323°K、 と見積もる。 すると、 MTF=1.05 × 108時間(約12,000年) このMTFは十分に大きく、本発明を使用する印刷ヘッドの場合には電子移動 はたいして問題にならないことを示している。 アルミニウム内に少量(1−2%)の銅を混ぜることにより、および/または 、アルミニウムの粒子の大きさの増大をいっそう促進させるために蒸着中に基板 を加熱することで、電子移動をさらに減らすことができる。 電源への接続 V+およびV-接続の電源への接続は、下記の方法を含む多くの方法で行うこと ができるが、それらに限定されない。 切り込みの入った金属の一片から形成されるV+およびV-パッドの全長に沿っ た複数のスプリング接点。 低い抵抗値の接続を確実に行うための導電性ペーストを使用した、V+および V-パッドの全長に沿った二枚の硬質の金属片への接続。 V+およびV-パッドの全長に沿って配置された複数のワイヤボンド。 V+およびV-パッドの全長に沿って半田の隆起(bump)を塗布することと、半 田の隆起にTABフィルムを塗布することを含んだTABボンディング。標準的 な半田の隆起を形成できるように、接続に使用するV+およびV-パッドの領域を 、すべて電気的に接続した100ミクロンの「パッド」に分割できる。 近接印刷ヘッドの場合には、記録媒体をノズルチップにできるだけ接近させる 必要がある。近接印刷ヘッドの好適な製造方法には、単結晶シリコンの基板を貫 通したノズルのエッチングが含まれる。このようにして印刷ヘッドを製造する場 合には、、駆動トランジスタおよびデータ分配回路を、ノズル及びノズルヒータ と同一のウェーハ上に製作することができる。この製造方法には多くの利点があ るが、印刷ヘッドへ外部接続を作るにあたって問題がある。標準的なワイヤボン ディング技術を使用すると、ワイヤが記録材の平面を貫通して突出する。単一チ ップページ幅印刷ヘッドの場合にはこのことは問題にならない。何故なら、記録 媒体の縁部を超えて電気的接続を行うことができるからである。しかし、記録媒 体よりは広くない印刷ヘッドの場合と多重チップ印刷ヘッドの場合には、このこ とは重大な問題になる。 本発明のもう一つの特徴は、上記問題を解決する印刷ヘッドボンディング技術 である。ボンディングパッドは、凹状または(好適には)面取りした領域内の印 刷ヘッド基板の表面上に形成される。ボンディングパッドは、周知の平面蒸着と エッチング技術を使用して形成される。ボンディングパッドのパターンを作成す るときには注意しなければならない。何故なら、半導体のパターン作成の際に使 用される光学的投影システムは視野の深さが非常に浅いからである。投影された イメージの焦点は合わないではあろうが、面取りまたは凹状の領域内にわずかな 特徴若しくはライン幅が絶対に現れないようにするか、ボンディングパッドの間 を充分に離すかによって、適切なパターン製造を行うことができる。 その後は、印刷ヘッドと記録媒体の間の距離と等しいか若しくはそれよりも大 きな距離によって、基板の表面を貫通して突出することのないような任意の技術 を使用することで、電気的接続を行うことができる。 ボンディングパッドの領域の基板を凹状に形成したり面取りしたりすることは 、種々の方法で行うことができるが、好適には化学的エッチングにより行うこと が好ましい。凹部形成は等方性エッチングまたは異方性エッチングにより行うこ とができ、面取りは好適には異方性エッチングで行うことが好ましい。 近接印刷用の電気的接続 図10は、本発明による6色800dpiA4ページ幅印刷ヘッド用の実施可 能な基本的レイアウトの一つである。この印刷ヘッドは長さ105ミリで幅8ミ リであって、150ミリの単結晶シリコンウェーハから製造される。表面の結晶 の向きは(110)である。インクチャネルとノズルは、〈100〉または〈1 10〉方向よりも遥かに遅い速度で〈111〉方向にエッチングを行う湿式エッ チング剤を使用して、異方性エッチングがなされる。V+およびV-接続は、印刷 方向に垂直なチップの縁部に沿って、1ミクロンのアルミニウムの200ミクロ ン幅のストリップの形に作られている。ボンディングパッド687は、印刷方向 に平行なチップの縁部に沿って、厚さ1ミクロンのアルミニウムの200ミクロ ン×100ミクロンの矩形として作られる。 図12(a)は、その上に外部接続が形成される表面が、記録媒体に非常に接 近しているのと同一の表面になっている近接印刷ヘッドが引き起こす問題を示し ている。シリコン基板101の表面は、記録媒体51から約20ミクロンである 。しかし、ワイヤボンド688は、シリコン基板の表面から数百ミクロン突出し ており、記録媒体51を妨害している。 図12(b)はこの問題を解決する構造を示している。シリコン基板101は 、図9(b)に示すように、ボンディングパッドの領域で面取りが行われている 。この面取りは〈100〉若しくは〈110〉の結晶方向よりもさらにゆっくり と〈111〉結晶方向にエッチングする異方性エッチングで実現されている。ボ ンディング接続689は、テープ自動化ボンディング(TAB)のような手段や 、記録媒体51を妨害するほど、面取り領域内のシリコン基板から突出しないよ うな他の手段によって実現される。 本発明の多数の好適な実施形態を説明してきた。当業者にとっては、本発明の 範囲から逸脱しないで、種々の修正を行うことができることは明らかであろう。
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.シリコンチップ上に形成された複数の電熱ヒータ素子と、上記電熱素子に 電力を供給する電力接続とを有し、上記接続が、印刷ヘッドの縁部と概ね対向し ているチップ表面の縁部に形成され、対応する縁部の長さに概ね等しい距離にま で延びるような改良がなされているドロップオンデマンド印刷ヘッド。 2.上記接続が、20アンペアを超過する電流を流すように適合させた請求項 1に記載の発明。 3.上記接続が、約200ミクロンに等しいか若しくはより広い幅を有する請 求項1に記載の発明。 4.上記接続が、約1ミクロンの厚さを有する請求項1に記載の発明。 5.上記接続が、通常は上記印刷ヘッドの印刷送り方向に直角である請求項1 に記載の発明。 6.上記チップ表面上の電力回路から外部回路までの主接続をさらに有し、上 記主接続が、上記チップの基板内に形成された凹部に位置する上記チップの電力 回路との接触領域で特徴づけられる請求項1に記載の発明。 7.上記凹部が、10ミクロンを超過し且つ上記基板の厚さ未満の深さに形成 される請求項6に記載の発明。 8.上記凹部が、上記主電気接続の頂部が上記チップ電力回路の表面を越えて 突出しないような深さに形成されている請求項6に記載の発明。 9.シリコン基板上に形成された複数の集積回路と、上記集積回路から外部回 路までの電気接続の配置とを有するドロップオンデマンド印刷ヘッドであって、 上記配置が、上記集積回路の基板内に形成された斜面に位置する上記集積回路と の接触領域で特徴づけられるドロップオンデマンド印刷ヘッド。 10.上記斜面が、上記主電気接続の頂部が上記集積回路の表面を越えて突出 しないような深さに形成され、上記表面が上記斜面が形成されている表面である 請求項9に記載の発明。 11.上記印刷ヘッドが、 (a)複数のインク粒子噴出ノズルと、 (b)上記ノズルに関連するインク本体と、 (c)少なくともインク粒子選択および分離中において、上記インク本体内の インクに周囲圧より少なくとも2%高い圧力を加える加圧手段と、 (d)予め定めたノズルを選択し、選択されたノズルと選択されなかったノズ ル内のインクの間のメニスカス位置に違いを生じさせるインク粒子選択手段と、 (e)選択されなかったノズル内にインクを保持しながら、選択したノズルか らのインクをインク粒子としてインク本体から分離するインク粒子分離手段と を有する請求項1に記載の発明。 12.上記印刷ヘッドが、 (a)複数のインク粒子噴出ノズルと、 (b)上記ノズルに関連するインク本体と、 (c)予め定めたノズルを選択し、選択されたノズルと選択されなかったノズ ル内のインクの間のメニスカス位置に違いを生じさせるインク粒子選択手段と、 (d)選択されなかったノズル内にインクを保持しながら、選択したノズルか らのインクをインク粒子としてインク本体から分離するインク粒子分離手段とを 有し、 上記インク粒子分離手段が存在しない場合に、上記インク粒子選択手段がメニ スカス位置に上記違いを生じさせることが可能な請求項1に記載の発明。 13.上記印刷ヘッドが、 (a)複数のインク粒子噴出ノズルと、 (b)上記ノズルに関連したインク本体であって、上記インクが、30℃以上 の温度範囲において少なくとも10mN/mの表面張力の低下を示すインク本体 と、 (c)予め定めたノズルを選択し、選択されたノズルと選択されなかったノズ ル内のインクの間のメニスカス位置に違いを生じさせるインク粒子選択手段と、 (d)選択されなかったノズル内にインクを保持しながら、選択したノズルか らのインクをインク粒子としてインク本体から分離するインク粒子分離手段と を有する請求項1に記載の発明。 14.上記印刷ヘッドが、 (a)複数のインク粒子噴出ノズルと、 (b)上記ノズルに関連するインク本体と、 (c)少なくともインク粒子選択および分離中において、上記インク本体内の インクに周囲圧より少なくとも2%高い圧力を加える加圧手段と、 (d)予め定めたノズルを選択し、選択されたノズルと選択されなかったノズ ル内のインクの間のメニスカス位置に違いを生じさせるインク粒子選択手段と、 (e)選択されなかったノズル内にインクを保持しながら、選択したノズルか らのインクをインク粒子としてインク本体から分離するインク粒子分離手段と を有する請求項9に記載の発明。 15.上記印刷ヘッドが、 (a)複数のインク粒子噴出ノズルと、 (b)上記ノズルに関連するインク本体と、 (c)予め定めたノズルを選択し、選択されたノズルと選択されなかったノズ ル内のインクの間のメニスカス位置に違いを生じさせるインク粒子選択手段と、 (d)選択されなかったノズル内にインクを保持しながら、選択したノズルか らのインクをインク粒子としてインク本体から分離するインク粒子分離手段とを 有し、 上記インク粒子分離手段が存在しない場合に、上記インク粒子選択手段がメニ スカス位置に上記違いを生じさせることが可能な請求項9に記載の発明。 16.上記印刷ヘッドが、 (a)複数のインク粒子噴出ノズルと、 (b)上記ノズルに関連したインク本体であって、上記インクが、30℃以上 の温度範囲において少なくとも10mN/mの表面張力の低下を示すインク本体 と、 (c)予め定めたノズルを選択し、選択されたノズルと選択されなかったノズ ル内のインクの間のメニスカス位置に違いを生じさせるインク粒子選択手段と、 (d)選択されなかったノズル内にインクを保持しながら、選択したノズルか らのインクをインク粒子としてインク本体から分離するインク粒子分離手段と を有する請求項9に記載の発明。
JP8531091A 1995-04-12 1996-04-10 モノリシック印刷ヘッド用の電源接続 Pending JPH10501763A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
AUPN2348A AUPN234895A0 (en) 1995-04-12 1995-04-12 External connections for proximity lift print heads
AU2347 1995-04-12
AUPN2347A AUPN234795A0 (en) 1995-04-12 1995-04-12 Power supply connection for monolithic lift print heads
AU2348 1995-04-12
PCT/US1996/004823 WO1996032280A1 (en) 1995-04-12 1996-04-10 Power supply connection for monolithic print heads

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JPH10501763A true JPH10501763A (ja) 1998-02-17

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JP8531091A Pending JPH10501763A (ja) 1995-04-12 1996-04-10 モノリシック印刷ヘッド用の電源接続

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JP (1) JPH10501763A (ja)
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WO1996032280A1 (en) 1996-10-17

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