JPH10477A - 殺菌作用の持続性に優れたAg合金被覆活性炭 - Google Patents

殺菌作用の持続性に優れたAg合金被覆活性炭

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JPH10477A
JPH10477A JP8174129A JP17412996A JPH10477A JP H10477 A JPH10477 A JP H10477A JP 8174129 A JP8174129 A JP 8174129A JP 17412996 A JP17412996 A JP 17412996A JP H10477 A JPH10477 A JP H10477A
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Eiki Takeshima
鋭機 竹島
Kaoru Kojima
薫 兒島
Yasushi Shirai
安 白井
Kazuaki Otsuki
和明 大槻
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 殺菌効果及び殺菌作用の持続性に優れたAg
合金被覆活性炭を得る。 【構成】 粒状又は繊維状活性炭の表面を、0.1〜
5.0重量%のAg合金で被覆している。Ag合金とし
ては、Ag:20〜60原子%,Cu:20〜60原子
%,Zn:20〜60原子%の組成をもつものが使用さ
れ、非晶質相であることが好ましい。このAg合金は、
スパッタリング法で粒状又は繊維状活性炭の表面にコー
ティングされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浄水器中の蒸留水を殺
菌するのに好適で、優れた殺菌効果を長期間にわたって
持続するAg合金被覆活性炭に関する。
【0002】
【従来の技術】水道水から塩素や悪臭物質を除去し、良
質の水を得るため、水道に浄水器を取り付けることが多
くなってきている。浄水器としては種々の形式がある
が、内蔵した活性炭により塩素及び悪臭物質を吸着除去
し、水道水を浄化するものが多い。水道水には、微量で
はあるが細菌やその胞子が含まれている。そのため、本
来殺菌用に添加されている塩素が浄水器で除去される
と、浄化された水が殺菌力を失い、微量に存在する細菌
が活発に繁殖する環境になる。たとえば、水道水中の細
菌数は通常状態で100個/ml以下であるが、浄水器
中に水を滞留させたまま2時間放置すると10,000
個/ml以上になり、時として100,000個/ml
を超えることもある。その結果、浄水器を取り付けて良
質の水を得ようとすることに反し、繁殖した細菌に起因
する悪臭が発せられ、衛生的な観点からも問題になる。
【0003】細菌の繁殖は、担体に担持されたAg又は
Ag化合物を活性炭と共に浄水器に内蔵させ、Agイオ
ンの殺菌力を利用して防止できる(特開昭47−419
20号公報,特開昭49−3462号公報,特公平4−
22616号公報,特公昭52−38666号公報等参
照)。Ag又はAg化合物は、何れも硝酸銀水溶液を使
用した銀鏡反応で担持させている。具体的には、先ず活
性炭を硝酸銀水溶液中に浸漬して硝酸銀を活性炭に吸着
させた後、過剰の硝酸銀を洗浄除去し、次いでアルカリ
溶液を加えて還元する。活性炭は、酸化銀を担持した状
態になる。更に、アルミニウム又は亜鉛を投入して還元
反応を進行させると、微細な金属銀が担持された状態に
なる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】銀鏡反応で生成する析
出銀は、1μm程度の大きさの粒状であり、主として活
性炭の表面にある窪みや亀裂等に析出している。そのた
め、活性炭に対する密着性が十分でなく、使用時に流出
し易い。また、析出銀は、完全な金属銀ではなく5.0
原子%を超える多量の酸素が固溶している。このような
析出銀は、固溶酸素が少ない金属銀に比較すると水に極
めて溶解し易く、短時間のうちに流出してしまう。銀イ
オンが殺菌力をもつことは古くから知られており、非常
の際には緊急用の海水軟化剤のような塩化銀飽和液を飲
用に使用することもある。しかし、銀含有水を常用する
ことは、健康上から好ましくなく、米国公衆衛生局では
飲用水中の銀イオン濃度を50ppb以下に規制してい
る。したがって、浄水器の場合も浄水中の銀イオン濃度
を50ppb以下にする必要がある。そのため、銀を多
量に担持させることができず、従来では0.1重量%程
度と極めて少ない担持量であった。
【0005】担持量が少ないと、銀の溶出量が短時間に
減少し、蛇口から細菌の侵入を防止できない。そのた
め、浄水器使用開始後の30秒間程度、浄水を捨て水に
することが余儀なくされている。また、短時間で銀が消
失してしまうことから、浄水器の殺菌力を長時間持続さ
せることもできなかった。本発明は、このような問題を
解消すべく案出されたものであり、特定組成のAg合金
を被覆することにより、殺菌効果及び殺菌作用の持続性
を改善したAg合金被覆活性炭を提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のAg合金被覆活
性炭は、その目的を達成するため、粒状又は繊維状活性
炭の表面を、活性炭に対し0.1〜5.0重量%の割合
のAg合金で被覆していることを特徴とする。Ag合金
としては、Ag:20〜60原子%,Cu:20〜60
原子%,Zn:20〜60原子%の組成をもつものが使
用され、非晶質相であることが好ましい。このAg合金
は、スパッタリング法で粒状又は繊維状活性炭の表面に
コーティングされる。
【0007】
【実施の形態】本発明者等は、活性炭の表面に被覆する
Ag合金の組成について種々調査・研究した結果、スパ
ッタリング法で被覆した場合に殺菌効果及び殺菌作用の
持続性に優れたコーティングが施されることを見い出し
た。活性炭には、石炭,コークス,木炭,ヤシガラ,樹
脂,動物の骨等の原料から製造され、比表面積が100
〜2,000m2 /gの範囲にあるものが好ましい。活
性炭の形状には粒状,球状,円柱状,破砕状,粉末状,
顆粒状,繊維状等があるが、浄水器の構造から水道水の
水圧によって微細化されていない粒状又は繊維状の活性
炭が好ましい。活性炭以外にもシリカ,アルミナ,ケイ
藻土,コーラルサンド,軽石,ウレタン発泡樹脂,ポリ
エチレン発泡樹脂等の担体も使用可能であるが、浄水器
の構造面から微粉化しないものが使用される。
【0008】粒状の活性炭は、マクロポアが発達した構
造を持っており、細孔径の表面積が大きいため、Ag合
金を溶出させ易い。繊維状の活性炭は、マクロポアが発
達していないが、繊維径が10〜30μmと細かく、外
表面積が大きい。この場合、Ag合金が被覆される部分
が外表面に特定されるので、粒状の活性炭に被覆した場
合と同程度の量でAg合金被覆が施される。活性炭に施
されるAg合金被覆には、Ag合金としては、所期の殺
菌効果を確保するためにAg:20〜60原子%,C
u:20〜60原子%,Zn:20〜60原子%の組成
をもつAg合金を使用することが好ましい。なかでも、
非晶質相を呈するAg合金は、各合金成分の作用が十分
に発揮され、一層優れた殺菌特性を発現する。
【0009】微生物に対して殺菌特性を示すのに必要な
Agの限界濃度は、一般に20ppb以上と極微量でも
十分であるといわれている。しかし、Ag系の金属塩類
及び有機金属化合物の使用量が少ないと持続性に問題が
あり、逆に多すぎると健康上好ましくない。そこで、殺
菌効果と殺菌作用の持続性を改善するためにAgの含有
量を可能な限り多くすると共に、浄水器の使用時にAg
イオンとしての遊離を抑制する必要がある。この点、本
発明で使用するAg合金では、Cu及びZnとの共存に
よる犠牲防食作用によってAgイオンの過剰な溶出が抑
制される。しかも、Ag,Zn及びCuがそれぞれイオ
ン化して溶出するときの比率が一定である。これは、そ
れぞれの金属のイオン化傾向によるものであり、Znの
溶出量が最も多く、Agの溶出量が最も少ない。
【0010】通常の金属Cuでは、腐食や酸化によって
表面に緑青等が発生する。このような皮膜が生成する
と、Cuイオンの溶出量が大きく変化するばかりでな
く、二価イオンとして溶出するために殺菌作用が劣化す
る。しかし、Ag−Cu−Znの三元系合金では、Zn
による還元作用があるため、殺菌性に優れた一価イオン
としてCuが溶出する。更に、Ag,Zn,Cuの三種
類の金属イオンの相乗効果によって、Ag単体よりも極
めて強力な殺菌作用が発現される。そのため、従来品に
比較して緑膿菌,黄色ブドウ球菌,大腸菌等の細菌や青
カビ,黒カビ等のカビ類に対しても幅広い殺菌活性が示
される。Ag合金が非晶質相を呈するとき、通常の金属
結晶からなる組織をもつ合金に比較して耐食性や耐酸化
性が著しく向上する。また、イオン化傾向の高いZnが
優先的に溶出することなく、各成分がほぼ均等に溶出す
る。そのため、高温度下,酸性,アルカリ性等の使用環
境であっても、Ag,Cu,Znの溶出量がほぼ一定と
なり、極めて安定した性能が長期間持続する。非晶質相
のAg合金を得るためには、Ag,Cu,Znの原子量
比が原理的に1:1:1であり、Ag:20〜60原子
%,Cu:20〜60原子%,Zn:20〜60原子%
の組成を外れると非晶質化しにくくなる。
【0011】本発明に従った非晶質合金は、通常の非晶
質合金を製造する場合と同様に合金溶湯を極めて短時間
に急冷凝固する方法でも製造されるが、活性炭の表面に
施すことからスパッタリング法が好適である。スパッタ
リング法により、活性炭の表面にAg合金を直接施すこ
とができる。このとき使用されるスパッタリング法とし
ては、たとえば本発明者等が開発したスパッタリング装
置を使用し、回転容器の内部に形成した活性炭の流動層
に対してスパッタリングする方法(特開平2−1530
68号公報),活性炭の落下流に対してスパッタリング
する方法(特開昭62−250172号公報)等が採用
できる。スパッタリング法では、形成しようとする非晶
質合金被覆と同じ平均組成をもち、焼結法や溶融法で用
意された複数の結晶質ターゲットを使用し、少なくとも
スパッタリング中の粉末を300℃以下の温度に保持す
ることが好ましい。或いは、形成しようとする非晶質合
金被覆の主成分からなる金属板に合金化しようとする金
属を埋め込んだ複合ターゲットを使用することもでき
る。
【0012】非晶質合金は、Ag,Cu,Zn以外に、
10原子%以下の含有量であればNi,Cr,Sb,C
o,Mn,Ti,Al,Mo,Ta,Zr,Nb,H
f,W,N,B,P,Ca,Mgから選ばれた1種又は
2種以上を含むことができる。Cr,Co,Mn,Ti
等は、耐食性の向上に有効である。Al,Mo,Ta,
Zr,Nb,Hf,W等は、耐熱性を向上させる。N,
B,P等は、非晶質の生成を容易にする。Ca,Mg等
は、飲料水に溶けてミネラル成分になる。活性炭に対す
るAg合金の被覆量は、0.1〜5.0重量%の範囲に
定められる。被覆量が0.1重量%に満たないと、Ag
合金の溶出量が少なく、短期間に大部分が溶出し、殺菌
作用の持続性が劣る。しかし、5.0重量%を超える被
覆量では、Ag合金の溶出量が増大し、健康衛生面から
好ましくない。
【0013】Ag合金を被覆した浄水器用活性炭は、A
g合金を被覆していない活性炭と均一に混合して使用さ
れるが、Ag合金を被覆した活性炭とAg合金を被覆し
ていない活性炭とを交互に順次重ねて4〜10層の多層
にしても良い。また、これらを単独又は混合して繊維
状,シート状等に紡糸,抄造することもできる。この場
合、Ag合金を被覆した活性炭は、Ag合金を被覆して
いない活性炭に対して1重量%以上,好ましくは5〜5
0重量%の割合で混合される。Ag合金が被覆された活
性炭は、飲料水の浄化に使用されるが、その外に特定の
菌を増殖させる場合に水中の雑菌を予め除去するバイオ
テクノロジー分野,LSI等の生産工場で用いられる水
から雑菌を除去する水処理,貯蔵水の腐敗を防止するこ
と等においても使用される。Ag被覆活性炭をプール,
タンク,防火用水,養魚用や鑑賞用の水槽に使用した場
合、浄水用活性炭を使用しない場合に比較して藻類の成
長が抑制され、透明な水質状態を保持する上で顕著な効
果がある。たとえば、金魚鉢や熱帯魚水槽では、青藻が
発生して懸濁したり、ガラス壁に付着した場合、著しく
透明度が低下し、金魚や熱帯魚の鑑賞が妨げられる。こ
のような場合、水槽内部や水循環系にAg合金被覆活性
炭を配置しておくと、藻類の成長が抑制され、鑑賞に適
した透明度の高い水質状態が長期間にわたって維持され
る。
【0014】
【実施例】粒度分布40〜100メッシュの粒状活性炭
の表面にAg合金を0.1〜5.0重量%の割合でスパ
ッタリングした。スパッタリング装置としては、図1に
示す構造のものを使用した。すなわち、内径200m
m,胴長200mmの回転ドラム1を2本のロール2,
2で支持し、一方のロール2をモータ3で回転させた。
回転ドラム1の内部には、2個のAg合金スパッタリン
グ源4(周波数13.56MHz,出力1.5KWのマ
グネトロン型)を配置しており、投入した活性炭5にA
g合金がスパッタリングされる。外周に加熱コイル6を
備えた減圧処理室7が回転ドラム1の上方に配置されて
おり、バルブ8を備えた供給管9を介して減圧処理室7
の底部が回転ドラム1に接続されている。供給管9は、
バルブ8より下側位置でArガス導入管10が内部に挿
入された二重管構造になっている。この供給管9は、回
転ドラム1の側面から内部に挿入され、先端が回転ドラ
ム1の底部に伸張している。供給管9のバルブ8より下
側に分岐管11が設けられ、分岐管11の先端が流体ジ
ェットミル12に接続されている。流体ジェットミル1
2の出側は、循環管13から減圧処理室7の上部に接続
されている。分岐管11,循環管13にバルブ14,1
5がそれぞれ挿入されており、循環管13に固気分離装
置16が接続されている。
【0015】回転ドラム1に活性炭5を95g投入し、
減圧処理室7を3.0×10-3Paに減圧した後、Ar
ガス導入管10から10体積%の空気を混合したArガ
スを15cm3 /分の流量で導入し、分岐管11,流体
ジェットミル12及び循環管13を経て活性炭5を減圧
処理室7に吸引移送した。そして、減圧処理室7で加熱
コイル6により200℃に30分間加熱することによ
り、活性炭を乾燥,脱ガスした。次いで、回転ドラム1
の雰囲気を10体積%の空気を混合したArガスで完全
に置換した後、減圧処理室7の活性炭5を供給管9から
回転ドラム1に落下させ、回転ドラム1を5rpmの速
度で回転させた。回転ドラム1の回転によって流動状態
になっている活性炭5に、3.0×10-1Paの減圧雰
囲気下でスパッタリング源4からスパッタリングを施し
た。このとき、非晶質のAg合金皮膜を形成する場合に
は活性炭5を250℃以下の温度に冷却保持し、結晶質
のAg合金皮膜を形成する場合には活性炭5を350℃
以上に加熱保持した。
【0016】10分後にスパッタリングを中止し、減圧
処理室7を減圧にすると共に、Arガス導入管10から
Arガスを導入した。そして、活性炭5を流体ジェット
ミル12経由で減圧処理室7に吸引移送し、スパッタリ
ング中に塊状になった活性炭をできるだけ粒状にほぐし
た。減圧処理室7に返送された活性炭5には、0.1重
量%のAg合金が被覆されていた。このスパッタリング
操作を繰り返すことにより、所定量のAg合金を被覆し
た後、固気分離装置16からAg合金被覆活性炭を回収
した。形成されたAg合金被覆層と殺菌作用,溶出量と
の関係を表1に示す。表1の比較例では、硝酸銀7.8
5g(Ag換算で5.0g)を100mlの水に溶解
し、これに実施例で使用した粒状活性炭95gを室温で
10分間浸漬した後、取り出して、5%NaOH溶液で
還元し、水洗,乾燥することによりAg合金被覆活性炭
を調製した。処理された活性炭のAg被覆量は、5重量
%であった。
【0017】殺菌作用及びAg溶出量は、次のように測
定した。実施例及び比較例で作製したAg及びAg合金
を被覆した活性炭を、内径80mm,有効高さ80mm
の円筒状試験容器に充填し、水道水の浄化試験に供し
た。円筒状試験容器への充填は、何れの場合でも無被覆
の活性炭にAg又はAg合金を被覆した活性炭を1〜5
0重量%の範囲で均一に混合したものを100g充填し
た。水道水の浄化試験では、先ず3リットル/分の流量
で10分間,合計30リットルの水道水を流し、次いで
24時間止水し、その後に再び同じ流量で水道水を流し
た。直後の浄水を採取し、採取水100mlに含まれる
一般細菌数及びAgの溶出量を測定した。また、最初に
流す水道水の量30リットルを同流量で1200リット
ル,24000リットルに増水した場合の浄水について
も同様の測定を行った。なお、一般家庭で必要な飲料水
の量は300リットル/月といわれている。
【0018】一般細菌数は、上水試験法で定められてい
る標準寒天培地法(高濃度の有機栄養物を含み、非選択
性の標準寒天培地を用いて混釈培養する方法)に基づい
て次のように測定した。すなわち、先ず最初にペプトン
5.0g,粉末酵母エキス2.5g,ブドウ糖1.0
g,粉末寒天15.0gを精製水1リットル中に加熱溶
解し、滅菌後にpH7.0±0.1となるようにpH調
整した後、121℃で15分間高圧蒸気滅菌した。これ
を恒温水槽で45℃に保温し、標準寒天培地とした。次
いで、ペトリ皿2枚に検水を1mlずつ採取し、標準寒
天培地約15mlを用いて混釈平板を作成した。この混
釈平板を倒置状態で恒温器に収容し、36±1℃で24
±2時間培養した。培養後、形成した集落の全てを一般
細菌とした。また、Agの溶出量は、ICP分析法で測
定した。表1は、これらの測定結果を併せ示している。
【0019】
【0020】表1から明らかなように、比較例は、12
00リットル(4カ月相当)通水した時点で、すでに殺
菌効果が低下していた。また、Agの溶出量は、初期で
は40ppbとかなり多いのに、1200リットル通水
後で15ppb,2400リットル通水後で2ppbと
激減している。これに対し、本発明に従ってAg合金で
被覆した活性炭を使用した試験番号1〜5では、240
0リットル(8カ月相当)通水後も、当初の殺菌効果が
持続していた。また、Agの溶出量は、2400リット
ル通水後も20ppb以下と少なく、ほぼ一定した低位
で推移し、米国衛生局の規制値50ppbよりも遥かに
少なかった。なかでも、非晶質である試験番号2〜4
は、特にAgの溶出量が少なかった。
【0021】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明のAg−
Cu−Zn三元系の合金で被覆した活性炭は、Ag及び
Cuの殺菌作用とZnの還元作用が相乗的に働き合い、
従来にない優れた殺菌効果及び殺菌作用の持続性を示
す。特に非晶質化したAg−Cu−Zn三元系では、使
用環境に拘らず長期間にわたって各合金成分が均一に溶
出するため、安定した性能が持続される。そのため、浄
水器用のカートリッジに充填される殺菌剤を始めとし
て、各種水処理用に高品質の改質剤として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明実施例に置いて活性炭にAg合金を被
覆するために使用したスパッタリング装置
【符号の説明】
1:回転ドラム 2:ロール 3:モータ 4:
スパッタリング源 5:活性炭 6:加熱コイル 7:減圧処理室
8:バルブ 9:供給管 10:Arガス導入管
11:分岐管 12:流体ジェットミル 13:循環管 14,15:バルブ 16:固気分
離装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 25/08 A01N 25/08 25/34 25/34 B 59/16 59/16 A B01J 20/20 B01J 20/20 D C01B 31/08 C01B 31/08 Z C02F 1/28 C02F 1/28 G // A01N 59/20 A01N 59/20 (72)発明者 白井 安 千葉県市川市高谷新町7番1号 日新製鋼 株式会社技術研究所内 (72)発明者 大槻 和明 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒状又は繊維状活性炭の表面を、活性炭
    に対し0.1〜5.0重量%の割合のAg合金で被覆し
    ている殺菌作用の持続性に優れたAg合金被覆活性炭。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のAg合金がAg:20〜
    60原子%,Cu:20〜60原子%,Zn:20〜6
    0原子%の組成をもつ殺菌作用の持続性に優れたAg合
    金被覆活性炭。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のAg合金が非晶質
    相である殺菌作用の持続性に優れたAg合金被覆活性
    炭。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載のAg合金
    をスパッタリング法で粒状又は繊維状活性炭の表面にコ
    ーティングした殺菌作用の持続性に優れたAg合金被覆
    活性炭。
JP8174129A 1996-06-13 1996-06-13 殺菌作用の持続性に優れたAg合金被覆活性炭 Withdrawn JPH10477A (ja)

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