JPH1044159A - 成形型及びこれを用いた成形装置 - Google Patents

成形型及びこれを用いた成形装置

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JPH1044159A
JPH1044159A JP20808596A JP20808596A JPH1044159A JP H1044159 A JPH1044159 A JP H1044159A JP 20808596 A JP20808596 A JP 20808596A JP 20808596 A JP20808596 A JP 20808596A JP H1044159 A JPH1044159 A JP H1044159A
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molding
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政義 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】極めて短時間にかつ小電力で成形型を予熱で
き、また成形型の温度を容易に所定温度に保つことがで
きる。 【解決手段】複数の成形型11が下型11a及び上型1
1bをそれぞれ有し、下型11aと上型11bを合わせ
て形成されるキャビティ11cに原料12が入れられ
る。複数の成形型11が所定の間隔をあけて搬送手段1
3により搬送され、キャビティ11cに入れられた原料
12が加熱手段14により加熱・焼成される。下型11
a及び上型11bが導電性材料によりキャビティ11c
内面に相応した外面を有し、下型11a及び上型11b
の主要部分が2〜15mmの肉厚を有する。成形型11
の上面及び下面に密着して配設されたコイル14a,1
4bに1〜100kHzの周波数の交流電流を流すこと
により、成形型11が誘導加熱され、キャビティ11c
内の原料12が加熱される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形品を成形する
成形型及びこの成形型を用いた成形装置に関する。更に
詳しくは原料として澱粉を主成分とする原料を用い、こ
の原料により緩衝資材、包装資材、容器、トレー、皿、
菓子、アイスクリームコーン等の成形品を成形するため
の成形型及びこれを用いた成形装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の成形品の製法として、本
出願人らは、澱粉と水との混練物に柔軟性付与剤、耐水
性付与剤、酸化防止剤、保存料等を添加して得られた成
形品用原料を開放加圧プレスにて成形するように構成さ
れた、生分解性を有する成形品用原料の製法と生分解性
を有する成形品の製法を特許出願した(特開平7−22
4173)。この製法では、成形型の下型及び上型の下
面及び上面にそれぞれ電気ヒータが添着され、下型及び
上型を合わせることにより成形品用原料が入れられるキ
ャビティが形成される。また成形品が緩衝資材の場合に
は、上型の上面からキャビティに連通する水蒸気抜き孔
が形成され、成形品が皿の場合には、下型及び上型の側
面から下型及び上型の合わせ面を介してキャビティに連
通する水蒸気抜き孔が形成される。このように構成され
た成形品の製法では、電気ヒータにより下型及び上型を
加熱することにより、キャビティ内の原料が加熱され、
発泡して焼成される。このとき、原料中の水分の蒸発に
より発生する水蒸気は上記水蒸気抜き孔からキャビティ
外に排出されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の生
分解性を有する成形品の製法では、成形型の下型及び上
型が厚く大型であるため、成形型の予熱に多くの時間と
電力を要する不具合があった。また成形型周囲の温度が
高温になるため、作業環境の改善の余地があった。更に
成形型が大型であるため、成形型を製作するのに多くの
費用を要する問題点もあった。一方、電気ヒータに代え
て、下型の下方及び上型の上方から下型の下面及び上型
の上面に向ってそれぞれガスを噴射して燃焼させる、バ
ーナによる加熱方法があった。しかし、この加熱方法で
は僅かな気流の乱れにより炎がゆらぐため、或いは炎を
下向きにすることが難しいため、成形型の温度制御が困
難であり、成形作業に熟練度を要する問題点があった。
また成形型周囲の温度が上記電気ヒータを用いた場合よ
り更に高温になるため、作業環境の改善の余地があっ
た。
【0004】本発明の目的は、極めて短時間にかつ小電
力で成形型を予熱でき、また成形型の温度を熟練度を必
要とせずに容易に所定温度に保つことができる、成形型
及びこれを用いた成形装置を提供することにある。本発
明の別の目的は、作業環境を改善でき、成形型の製作費
を大幅に低減できる、成形型及びこれを用いた成形装置
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1及び図3に示すように、下型11a及び上型11b
を有し、下型11aと上型11bを合わせて形成される
キャビティ11cに原料12が入れられるように構成さ
れた成形型11の改良である。その特徴ある構成は、下
型11a又は上型11bの一方又は双方がキャビティ1
1c内面に相応した外面を有しかつ下型11a又は上型
11bの一方又は双方の主要部分が2〜15mmの範囲
内の肉厚を有するところにある。この請求項1に係る成
形型では、下型11a及び上型11bの熱容量が小さ
く、熱し易く冷め易いため、極めて短時間に成形型11
を予熱でき、成形型11の温度調節が比較的容易とな
る。
【0006】請求項2に係る発明は、図1及び図3に示
すように、請求項1記載の成形型11が導電性材料によ
り又は前記導電性材料を接着若しくは内蔵することによ
り形成され、成形型11のキャビティ11c内の原料1
2を加熱し焼成する加熱手段14が成形型11の上面及
び下面に密着又は接近して配設されたコイル14aと、
コイル14aに所定の周波数の交流電流を流すことによ
り成形型11を誘導加熱する電源14cとを備え、成形
型11の誘導加熱によりキャビティ11c内の原料12
が加熱され焼成されるように構成された成形装置であ
る。この請求項2に係る成形装置では、コイル14a,
14bに所定の周波数の交流電流が流れるので、下型1
1a及び上型11bに渦電流が流れジュール熱が発生し
て下型11a及び上型11bが加熱される。この結果、
この熱がキャビティ11c内の原料12に速やかに伝わ
り、原料12がキャビティ11c内で加熱・焼成され、
成形品16が成形される。
【0007】請求項3に係る発明は、図13及び図14
に示すように、請求項1記載の成形型51が低誘電材料
又は低誘電損材料により形成され、成形型51のキャビ
ティ51cを加熱し焼成する加熱手段54が成形型51
を上下方向から挟むように配設された第1及び第2電極
54a,54bと、第1及び第2電極54a,54b間
に所定の周波数の交流電圧を印加することによりキャビ
ティ51c)内の原料12を誘電加熱する電源54cと
を備えた成形装置である。この請求項3に係る成形装置
では、第1及び第2電極54a,54b間に高周波電流
による高周波電界が発生すると、キャビティ51c内の
絶縁体である原料12に誘電体損が生じて発熱する。こ
の結果、低誘電材料により形成された上型51b及び下
型51aが加熱されることなく、原料12が直接誘電加
熱され焼成されて、成形品16となる。
【0008】請求項4に係る発明は、図15に示すよう
に、請求項1記載の成形型61が低誘電材料又は低誘電
損材料により形成され、成形型61のキャビティ内の原
料を加熱し焼成する加熱手段64が成形型61を覆うオ
ーブン64aと、オーブン64a内に所定の周波数のマ
イクロ波を導入してキャビティ内の原料をマイクロ波加
熱するマイクロ波発生手段64bとを備えた成形装置で
ある。この請求項4に係る成形装置では、マイクロ波発
生手段64bで発生したマイクロ波がオーブン64a内
に導入され、このマイクロ波によりオーブン64a内の
成形型61の原料が直接加熱される。
【0009】請求項5に係る発明は、図16及び図17
に示すように、請求項1記載の成形型71が高熱伝導材
料により形成され、成形型のキャビティ71c内の原料
12を加熱し焼成する加熱手段74が成形型71の上面
及び下面に対向して配設され成形型71の上面及び下面
に赤外線又は遠赤外線をそれぞれ照射して成形型71を
加熱する赤外線発生手段74a又は遠赤外線発生手段を
備え、成形型71の赤外線又は遠赤外線による加熱にて
キャビティ71c内の原料12が加熱され焼成されるよ
うに構成された成形装置である。この請求項5に係る成
形装置では、赤外線又は遠赤外線により加熱された成形
型71の熱がキャビティ71c内の原料12に伝わり、
原料12が加熱・焼成され、成形品16となる。
【0010】請求項6に係る発明は、図18に示すよう
に、請求項1記載の成形型81が導電性材料により又は
導電性材料を接着若しくは内蔵することにより形成さ
れ、成形型81のキャビティ81cを加熱し焼成する加
熱手段84が成形型81の上面及び下面に配設され通電
により発熱して成形型81を加熱する発熱体84a,8
4bを備え、成形型81の加熱によりキャビティ81c
内の原料12が加熱され焼成されるように構成された成
形装置である。この請求項6に係る成形装置では、発熱
体84a,84bに通電することにより発熱体84a,
84bが発熱し、この熱が成形型11を介してキャビテ
ィ11c内の原料12に伝わり、原料12が加熱・焼成
され、成形品16となる。
【0011】請求項7に係る発明は、図20及び図21
に示すように、請求項1記載の下型91a及び上型91
bが導電性材料により又は導電性材料を下型91a及び
上型91bのうちキャビティ91cを形成する内面に接
着することにより形成されかつ下型91a及び上型91
b間が電気的に絶縁され、キャビティ91c内の原料1
2に電解質が溶解され、下型91a及び上型91b間に
交流電圧を印加し原料12に電流を流すことにより原料
12が加熱され焼成されるように構成された成形装置で
ある。この請求項7に係る成形装置では、原料12が導
電性を有するため、下型91a及び上型91b間に交流
電流を流すと、原料12が加熱・焼成され、成形品16
となる。
【0012】請求項8に係る発明は、請求項2ないし7
いずれかに係る発明であって、更に図11及び図12に
示すように、請求項1記載の上型41b又は下型41a
の少なくともいずれか一方が磁性材料により又は磁性材
料を接着又は内蔵することにより形成され、下型41a
又は上型41bのいずれか一方に型締め機構41dが取
付けられ、型締め機構41dが上型41b又は下型41
aを電磁力にて吸引することにより上型41b又は下型
41aを下型41a又は上型41bに密着した状態で一
時的に固定するように構成されたことを特徴とする。こ
の請求項8に係る成形装置では、上型41bの下型41
aに対する一時的な固定を極めて簡単な操作で行うこと
ができる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に本発明の第1の実施の形態を
図面に基づいて詳しく説明する。図1〜図3に示すよう
に、成形装置10は下型11a及び上型11bを有し下
型11aと上型11bを合わせて形成されるキャビティ
11cに原料12が入れられる複数の成形型11と、こ
れらの成形型11を所定の間隔をあけて搬送する搬送手
段13と、キャビティ11cに入れられた原料12を加
熱して焼成することにより成形品16を成形する加熱手
段14とを備える。キャビティ11cは成形品16に相
応する形状を有する(図1)。また原料12は澱粉と水
とを所定の割合で混合して混練した混練物を用いること
が好ましく、澱粉としてはトウモロコシ、モチトウモロ
コシ、コメ、モチゴメ、コムギ、ジャガイモ、サツマイ
モ、ユリ、クズ、タピオカ、ナガイモ、ヒシ、クリ、食
用カンナ、エンドウ豆、ヤシの木等から精製される澱粉
が用いられる。また混練物12には乳化剤・安定剤・品
質改良剤等のほか、大豆タンパク・白卵・寒天・ゼラチ
ン・植物油等の耐水性付与剤・柔軟性付与剤及び物性改
良材や、酸化防止剤や、保存料や、剥離剤(離型剤)
や、食品用着色剤などを適量添加することができる。こ
の実施の形態では、成形品16は混練物12を加熱して
焼成した比較的浅い底を有する円板状のトレーである
が、一般的トレーの他に緩衝資材、包装資材、容器、蓋
付き容器、深底のどんぶり、カップ、皿、アイスクリー
ムコーン、発泡又は非発泡の菓子等でもよい。
【0014】図1に詳しく示すように、下型11a及び
上型11bはキャビティ11c内面に相応した外面を有
し、かつ下型11a及び上型11bの主要部分が2〜1
5mmの範囲内の肉厚を有する。ここで主要部分とは成
形品16の主要部分に相当し、通常、成形型16の周縁
を含まない部分をいう。例えば成形品16の厚さが0.
5〜10mmの場合には、下型11a及び上型11bの
厚さは2〜10mmの範囲に形成されることが好まし
く、下型11a及び上型11bの厚さの範囲は成形品1
6の成形時の機械的強度を考慮して決められる。また下
型11a及び上型11bの材質は鉄、アルミニウム、チ
タン、銅又はこれらの合金等の導電性材料に切削・研磨
加工、鍛造加工、或いはプレス加工等を施して形成され
る。但し、アルミニウムを用いる場合にはフェライト鋼
等の磁性体の薄板を埋設したり或いは外面に接着したり
することが好ましい。なお、下型及び上型を導電性材料
でない材料により形成する場合には、下型及び上型に導
電性材料を接着又は内蔵してもよい。
【0015】下型11aの一端には被枢着部(図示せ
ず)が突設され、上型11bの一端には被枢着部に対向
する枢着部11fが突設される(図2)。枢着部11f
は被枢着部にヒンジピン11gを介して枢着される。ま
た下型11aの他端には被固定部(図示せず)が突設さ
れ、上型11bの他端には被固定部に対向する固定部1
1hが突設される。被固定部には固定部11hを被固定
部に密着した状態で固定可能なクランプ11iが取付け
られる。また下型11a及び上型11bの周縁の密着面
には、キャビティ11c内の混練物12の加熱により発
生する水蒸気を排出するため、キャビティ11cと大気
とを連通する複数の細い凹溝(図示せず)が形成され
る。
【0016】加熱手段14は下型11aの下面及び上型
11bの上面に密着してそれぞれ渦巻き状に巻かれたロ
アコイル14a及びアッパコイル14bと(図1及び図
2)、これらのコイル14a,14bに電気的に接続さ
れた高周波電源14cとを有する(図3)。下型11a
の下面及び上型11bの上面はロアコイル14a及びア
ッパコイル14bとともに断熱材14d,14eにより
それぞれ被覆される(図1)。これらのコイル14a,
14bは耐熱性を有する導電性材料により形成され、か
つ表面が絶縁性を有する膜により被覆される。例えば表
面が絶縁膜により被覆された銅線、銅パイプ、或いは銅
パイプの内部に絶縁体を介して螺旋状に巻回された銅線
等が用いられる。またコイル14a,14bの巻き数や
巻き密度等は下型11a及び上型11bの形状や熱容量
を考慮して下型11a及び上型11bが均一に加熱され
るように適宜決められる。断熱材14d,14eとして
は、石膏、電融シリカセメント、焼成シリカセメント、
高アルミナ質セメント、炭化けい素質セメント、電融マ
グネシヤ質セメント、焼成マグネシヤ質セメント、けい
石質コイルセメント、アルミナ質コイルセメント、グラ
ファイトプラスチックス等が用いられる。断熱材14d
下面の中央部及び端部には先端が下方に突出する集電ブ
ラシ14g,14gの基端を収納するブラシケース14
f,14fがそれぞれ設けられる。集電ブラシ14f,
14fにはロアコイル14aの両端が電気的にそれぞれ
接続される。また断熱材14e上面の中央部及び端部に
は先端が上方に突出する集電ブラシ14f,14fの基
端を収納するブラシケース14h,14hがそれぞれ設
けられる。集電ブラシ14g,14gにはアッパコイル
14bの両端が電気的にそれぞれ接続される。集電ブラ
シ14gは図示しないばねによりブラシケース14f,
14hから突出する方向に付勢される。
【0017】搬送手段13は大型のチェーンコンベヤで
あり、同一水平面内で所定の間隔をあけて平行に配設さ
れた駆動軸13a及び従動軸13bと、駆動軸13a及
び従動軸13bにそれぞれ嵌着された大型の駆動スプロ
ケット13c及び従動スプロケット13dと、これらの
スプロケット13c,13dに掛け渡された大型のロー
ラチェーン13eとを備える(図1〜図3)。駆動軸1
3aは図示しないが減速機を介してモータの出力軸に連
結される。駆動軸13a及び従動軸13bには成形型1
1の外径より大きな間隔をあけて駆動スプロケット13
c及び従動スプロケット13dがそれぞれ2個ずつ嵌着
され、2本のチェーン13e,13eがそれぞれ掛け渡
される。
【0018】チェーン13eは大型のローラリンクプレ
ート13fと大型のピンリンクプレート13gとをピン
13hにより交互に連結して構成され、成形型11は2
本のチェーン13e,13eの間のうちローラリンクプ
レート13f,13fに対向する位置に配設される(図
1及び図2)。2本のチェーン13e,13eの各ピン
13hはそれぞれ支持部材13i,13iを介して連結
され、これらの支持部材13i,13i上に下型11a
の被枢着部及び被固定部を断熱材(図示せず)を介して
載せて固定することにより複数の成形型11がチェーン
13eに所定の間隔をあけて取付けられる。この断熱材
としては、焼成マイカボード、マイカレックス、マイカ
ナイト、グラスウールボード、アスベストボード、アス
ベストセメント、スレート等が用いられる。なお、駆動
軸及び従動軸を鉛直面内で上下又は左右に所定の間隔を
あけて平行に配設してもよく、或いは従動軸を2本以上
配設してもよい。これらは成形装置を設置する場所によ
り適宜選択される。
【0019】チェーン13eの張り側、即ち上側の水平
移動部13jの下方及び上方にはそれぞれ一対の集電レ
ール14i,14iがチェーン13eに平行に配設さ
れ、これらのレール14i,14iにはチェーン13e
の上側の水平移動部13jに到来した成形型11の集電
ブラシ14gがそれぞれ摺動するようになっている(図
1及び図3)。レール14iは上述の高周波電源14c
に電気的に接続され、この電源14cによりコイル14
a,14bに1kHz〜100kHzの周波数の交流電
流を通電可能に構成される。図1中の符号17は混練物
供給手段であり、混練物12を貯留するホッパ17a
と、ホッパ17aから混練物12を所定量ずつ押出して
下型11aに落下させる押出し部17bとを有する。
【0020】また下型11a及び上型11bの略中央に
は図示しないが小径の孔があけられ、これらの孔には温
度センサが挿入される。この温度センサの検出出力は図
示しないコントローラの制御出力に接続され、コントロ
ーラの制御出力は高周波電源14cに接続される。また
コントローラの制御入力には下型11a及び上型11b
の温度設定スイッチ(図示せず)がそれぞれ接続され、
コントローラの制御出力には温度センサの検出した実際
の温度を表示する温度表示部(図示せず)に接続され
る。温度センサとコントローラとの接続は図示しないが
上記コイルと電源との接続と同様に集電ブラシや集電レ
ールを用いて行われる。コントローラは各成形型に取付
けられた温度センサの検出出力のうち最も高い温度を検
出した温度センサの検出出力を温度表示部の設定値に一
致させるように電源を制御するようになっている。
【0021】このように構成された成形装置10の動作
を説明する。先ず温度設定スイッチを所定の温度に設定
し、成形型11のキャビティ11c内に混練物12を入
れない状態で駆動スプロケット13cを所定の回転速度
で回転させる。このとき集電レール14iに対向する位
置に到来した成形型11の集電ブラシ14gが集電レー
ル14iを摺動し、ロアコイル14a及びアッパコイル
14bに所定の周波数の交流電流が流れるので、下型1
1a及び上型11bに渦電流が流れジュール熱が発生し
て下型11a及び上型11bが加熱される、即ち下型1
1a及び上型11bが誘導加熱される。下型11a及び
上型11bが薄く形成されており、熱容量が小さいた
め、成形装置10を作動して数分間後に温度表示部の温
度が温度設定スイッチにより設定した温度に達する。こ
の結果、成形型11の予熱は極めて短時間で行うことが
できる。
【0022】次に従動スプロケット13dの上部に到来
した成形型11のクランプ11iを解除して上型11b
を開き、押出し部17bを作動させ所定量の混練物12
をホッパ17aから押出して下型11aに落とした後、
上型11bを閉じてクランプ11iにより固定する。こ
の混練物12が入れられた成形型11は図3の一点鎖線
の矢印の方向に移動して集電レール14iに対向する位
置に到来し、集電ブラシ14gが集電レールを摺動して
コイル14a,14bに交流電流が流れる。この結果、
下型11a及び上型11bが加熱され、この熱がキャビ
ティ11c内の混練物12に速やかに伝わり、混練物1
2が加熱・焼成され,成形品16となる。このときキャ
ビティ11c内で発生した水蒸気は凹溝(図示せず)を
通って大気中に排出される。
【0023】この成形型11が駆動スプロケット13c
の上部に到来したときに、成形型11のクランプ11i
を解除すると、この成形型11が駆動スプロケット13
cの下部に到来したときに上型11bが自重により開く
ので、成形型11内の成形品16はその自重により落下
する。成形品16が下型11a又は上型11bにくっつ
いてしまって落下しないときには作業者が引き剥がし工
具等を用いて下型11a又は上型11bから引き剥が
す。この成形型11は上型11bが開いたままチェーン
13eの弛み側、即ち下側の水平移動部13kを二点鎖
線矢印の方向に移動するため、従動スプロケット13d
の上部に達したときも上型11bは開いた状態に保たれ
る。なお、上型の開閉や、混練物のホッパから下型への
落下等を、成形型の位置検出センサ等の検出出力に基づ
いてコントローラが各種アクチュエータを駆動すること
により自動的に行ってもよい。
【0024】図4〜図6は本発明の第2の実施の形態を
示す。この実施の形態では、搬送手段23が縦長の直方
体のフレーム23aに鉛直方向に延びて回転可能に取付
けられ減速機付モータ23bにより駆動可能な主軸23
cと、この主軸23cに中心が嵌着された円形のターン
テーブル23dとを備え、このテーブル23dに同一円
周上に所定の間隔をあけて成形型21が挿着される。タ
ーンテーブル23dの下方にはこのテーブル23dと平
行な扇状のロア固定テーブル23eがフレーム23aに
ステー23gを介して取付けられ、ターンテーブル23
dの上方にはこのテーブル23dと平行な扇状のアッパ
固定テーブル23fがフレーム23aにステー23hを
介して取付けられる。ロア固定テーブル23eにはター
ンテーブル23dの成形型11が挿着された円周と同一
円周上に互いに接近して加熱手段24のロアコイル24
aが取付けられ、アッパ固定テーブル23fにはロアコ
イル24aに対向してアッパコイル24bが取付けられ
る。ロアコイル24a及びアッパコイル24bは図示し
ないがこれらのコイル24a,24bに所定の周波数の
交流電流を流す高周波電源に集電ブラシや集電レールを
用いずに電気的に接続される。成形型21の下面とロア
コイル24aの上面との間、及び成形型21の上面とア
ッパコイル24bの下面との間にはそれぞれ所定の隙間
が設けられる。
【0025】成形型21は下型21a及び上型21bを
有し、下型21aは第1の実施の形態の下型と同一の薄
肉に形状に形成され、上型21bは上面が平らな比較的
厚肉に形成される。下型21a及び上型21bは第1の
実施の形態の下型及び上型と同一材料により形成され、
下型21aの下部周面を被覆する断熱材24cは第1の
実施の形態の下型の下面を被覆する断熱材と同一材料に
より形成される。またこの実施の形態ではロアコイル2
4a及びアッパコイル24bは上記下型21aの下部周
面を被覆する断熱材21dと同一材料により被覆され
る。なお、これらのコイルを断熱材により被覆せずに、
絶縁性を有する一対のプレートにより挟んだ状態でロア
固定テーブル及びアッパ固定テーブルに取付けてもよ
い。またこの実施の形態では成形装置をフレーム内に上
下2つ設けたが、1つ又は3つ以上設けてもよい。更に
この実施の形態ではターンテーブルの同一円周上に所定
の間隔をあけて1つずつ成形型を配設したが、これに加
えてターンテーブルの別の同一円周上に所定の間隔をあ
けて1つずつ成形型を配設してもよい。
【0026】このように構成された成形装置20では、
成形型21がロアコイル24a及びアッパコイル24b
に対向する位置で加熱され、成形型21がこれらのコイ
ル24a,24bに対向しない位置、即ちロア固定テー
ブル23e及びアッパ固定テーブル23fが切り欠かれ
た位置で、混練物12をキャビティ21cに入れる作業
や、成形された成形品16をキャビティ21cから取出
す作業が行われる。また集電ブラシや集電レールが不要
になるので、この実施の形態の成形装置は第1の実施の
形態の成形装置より構成が簡単になる。
【0027】図7及び図8は本発明の第3の実施の形態
を示す。この実施の形態では、搬送手段33である一対
のスライドレール33b,33bが横長の直方体のフレ
ーム33aに水平方向に延びて取付けられ、これらのレ
ール33b,33bの間に設けられた成形型31がこれ
らのレール33b,33bに沿って往復動可能に構成さ
れる。フレーム33aの一端側にはこの一端側に位置す
る成形型31の下面及び上面からそれぞれ所定の隙間を
あけてロアコイル34a及びアッパコイル34bが取付
けられる。ロアコイル34a及びアッパコイル34bは
図示しないがこれらのコイル34a,34bに所定の周
波数の交流電流を流す高周波電源に電気的に接続され
る。
【0028】成形型31は薄肉に形成された下型31a
と、比較的厚肉に形成され上面が平らな上型31bを有
する。また下型31aの外周面と上型31bの上面及び
外周面は断熱材31d,31eにより被覆される。下型
31aには一対のブラケット33c,33cを介して一
対の移動体33d,33dが取付けられ、これらの移動
体33d,33dが上記スライドレール33b,33b
に沿って移動可能に取付けられる。これらの移動体33
dにはレール33bを転動可能な複数のボール(図示せ
ず)が自転可能に収容される。図7中の符号31fはキ
ャビティ31c内に発生した水蒸気を排出する凹溝であ
る。また図8中の符号31gはトグルリンクを有し上型
31bを下型31aに密着した状態で固定するクランプ
であり、符号31hはヒンジピンである。
【0029】このように構成された成形装置30の使用
方法を説明する。先ず成形型31をフレーム33aの他
端側に移動した状態でクランプ31gを解除して上型3
1bを開き、この状態で混練物12を所定量だけ下型3
1aに入れた後、上型31bを閉じてクランプ31gに
より上型31bを下型31aに密着した状態で固定す
る。次にこの成形型31をフレーム33aの一端側に移
動し、成形型31の下型31a及び上型31bをロアコ
イル34a及びアッパコイル34bに対向させる。この
とき上記コイル34a,34bに流れる所定の周波数の
交流電流により下型31a及び上型31bが加熱されて
この熱がキャビティ31c内の混練物12に伝わり、混
練物12が加熱・焼成されて成形品16となる。所定時
間経過後、成形型31をフレーム33aの他端側に移動
し、上型31bを開いて成形品16を取出す。
【0030】図9〜図12は本発明の第4の実施の形態
を示す。この実施の形態では、搬送手段43である一対
のスライドレール43b,43bが横長の直方体のフレ
ーム43aに水平方向に延び開口部を上に向けたチャン
ネル材であり、下型41aに一対のブラケット43c,
43cを介して取付けられた一対の摺動部材43d,4
3dが上記レール43b,43bに遊挿されてレール4
3b,43b内底面に貼着されたフッ素樹脂製の帯板4
3e,43e上を摺動可能に構成され、更に下型41a
に取付けられた型締め機構41dの発生する電磁力によ
り上型41bが下型41aに密着した状態で一時的に固
定されることを除いて、上記第3の実施の形態と略同一
に構成される。上記型締め機構41dを採用する場合に
は、少なくとも上型41bが鉄等の磁性材料により形成
される。
【0031】型締め機構41dは図12に詳しく示すよ
うに、下型41aの被固定部41e下面に断熱材41j
を介して取付けられたケース41kと、ケース41kに
挿入され磁性材料により形成された鉄心41mと、鉄心
41mに巻回されケース41kに内蔵されたコイル(図
示せず)と、鉄心41mの上端に固着され磁性材料によ
り形成されたアーマチュア41nとを有する。アーマチ
ュア41nの先端には断熱材により形成され先端が先細
りに形成された位置決めピン41gが突設され、この位
置決めピン41gには断熱材41pが嵌着される。下型
41aの被固定部41eには鉄心41mの上端、アーマ
チュア41n及び断熱材41pを遊挿可能な通孔41r
が形成され、断熱材41rの上面は上型41bの固定部
41f下面に当接する。また上型41bの固定部41f
とこの上型41bの上面に固着された上型マウント部材
41uには上記位置決めピン41gに嵌入可能な透孔4
1s,41tがそれぞれ形成され、透孔41s,41t
を位置決めピン41gに嵌入することにより下型41a
に対する上型41bの合わせ位置を正確に決められるよ
うになっている。この型締め機構41dのコイルに通電
することにより鉄心41mを介してアーマチュア41n
に強磁界が発生し、この強磁界により上型41bの固定
部41fが下型41aの被固定部41eに断熱材41p
を介して吸着されるようになっている。また図10及び
図11中の符号41hはヒンジピンであり、図11及び
図12中の符号41iは上型41bを開閉するためのハ
ンドルである。
【0032】なお、上記型締め機構は上型を磁性材料に
より形成すれば、上記第1〜第3の実施の形態、或いは
後述する第7〜第9の実施の形態にも適用できる。ま
た、型締め機構を上型の上面に取付けることもできる。
この場合、下型が磁性材料により形成される。更に、後
述する第5及び第6の実施の形態のように、上型及び下
型のいずれもが磁性材料により形成されない成形装置に
上記型締め機構を採用する場合には、電磁力により吸引
される上型又は下型に磁性部材を接着又は内蔵し、この
磁性部材に対向するように下型又は上型に型締め機構を
取付ければよい。このように構成された成形装置40の
使用方法は型締め機構41dを除いて、第3の実施の形
態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0033】図13及び図14は本発明の第5の実施の
形態を示す。この実施の形態では、成形型51が比誘電
率2〜10の低誘電材料又は誘電体損失(tan δ)0.0
001〜0.1の低誘電損材料により形成され、加熱手
段54が成形型51を上下方向から挟むように配設され
た第1及び第2電極54a,54bと、第1及び第2電
極54a,54b間に20kHz〜100MHzの周波
数の交流電圧を印加することによりキャビティ51c内
の混練物12を誘電加熱する高周波電源54cと備え
る。成形型51は下型51a及び上型51bともに第1
の実施の形態のものと同様に薄肉に形成される。また比
誘電率が2〜10又は誘電体損失(tan δ)が0.000
1〜0.1の下型51a及び上型51bの材料として
は、例えば、フェライト、フッ素樹脂、シリカ、アロフ
ェン、石英ガラス、アルミナ、ステアタイト、ベリリア
等が用いられる。図14中の符号54g,54gは下型
51a及び上型51bに挿入された温度センサである。
この実施の形態の搬送手段53は第1の実施の形態の搬
送手段と同様に構成されたチェーンコンベヤであるが、
このコンベヤは上記下型51a及び上型51bと同様に
低誘電材料により形成される。
【0034】第1及び第2電極54a,54bはアルミ
ニウムやステンレス等の導電性材料により形成され、第
1及び第2電極54a,54bは上型51b及び下型5
1aの上面及び下面からそれぞれ所定の隙間をあけて設
けられる。また第1及び第2電極54a,54bは搬送
手段53の張り側、即ち上側の水平移動部53aに成形
型51の移動方向に所定の間隔をあけかつ互いに対向し
て配設される。第1電極51aは上記電源54cに電気
的に接続され、第2電極54bは接地される。上記電極
54a,54bはこれらの電極54a,54b間で発生
する高周波が電波となって外部に漏れるのを防止するた
めに金属製のハウジング54dにより覆われてシールド
され、このハウジング54dも接地される。またハウジ
ング54dには吸気口54e及び排気口54fが形成さ
れ、エアを吸気口54eから導入して排気口54fから
排出することにより成形型51から排出された水蒸気を
ハウジング54d外に排出するようになっている。な
お、搬送手段はチェーンコンベヤに限らず、第2の実施
の形態のターンテーブルや第3又は第4の実施の形態の
スライドレールであってもよい。
【0035】このように構成された成形装置50では、
高周波電源54cにより所定の高周波電流が第1及び第
2電極54a,54b間に流れ、第1及び第2電極54
a,54b間で高周波電界が発生する。キャビティ51
c内に絶縁体である混練物12が入れられた成形型51
が上記電極54a,54b間に到来すると、キャビティ
51c内の混練物12に誘電体損が生じて発熱する。こ
の結果、低誘電材料により形成された上型51b及び下
型51aが加熱されることなく、混練物12が直接誘電
加熱されて焼成され、成形品16となる。
【0036】図15は本発明の第6の実施の形態を示
す。この実施の形態では、成形型61が比誘電率2〜1
0の低誘電材料又は誘電体損失(tan δ)0.0001〜
0.1の低誘電損材料により形成され、加熱手段64が
搬送手段64の一部を覆い成形型61が内部を通過可能
なオーブン64aと、オーブン64a内に300MHz
〜3000MHzのマイクロ波を導入してキャビティ内
の混練物をマイクロ波加熱するマイクロ波発生手段64
bとを備える。成形型61及び搬送手段63は第5の実
施の形態のものと略同一に形成される。またオーブン6
4aも第5の実施の形態のハウジングと略同一に構成さ
れるが、このオーブン64aには導波管64cを介して
マイクロ波発生手段であるマグネトロン64b(磁電
管)が接続される。マグネトロン64bには電源64d
が電気的に接続される。マイクロ波の周波数としては、
混練物中の水分子のスピンを最も効率よく発生させる2
450MHzが好ましい。このように構成された成形装
置60では、マグネトロン64bで発生したマイクロ波
が導波管64cを介してオーブン64a内に導入され、
このマイクロ波によりオーブン64a内に到来した成形
型61の混練物が直接加熱される。
【0037】図16及び図17は本発明の第7の実施の
形態を示す。この実施の形態では、成形型71が熱伝導
率50〜240Wm-1deg-1の高熱伝導材料により形
成され、加熱手段74が成形型71の上面及び下面に対
向して配設され成形型71の上面及び下面に赤外線をそ
れぞれ照射して成形型71を加熱する赤外線発生手段7
4aを備え、成形型71の赤外線による加熱にてキャビ
ティ71c内の混練物12が加熱されるように構成され
る。成形型71の下型71a及び上型71bは第1の実
施の形態の下型及び上型と同様に薄肉に形成され、鉄、
アルミニウム、チタン、銅又はこれらの合金等の高い熱
伝導率を有する材料により形成される。また下型71a
及び上型71bの表面はカーボンブラックやグラファイ
ト等を塗布することにより黒色にされ、断熱材により被
覆されずに露出する。この実施の形態の搬送手段73は
チェーンコンベヤであるが、これに限らずベルトコンベ
ヤ、ターンテーブル、スライドテーブル等を用いること
ができる。また搬送手段73はセラミックスやステンレ
ス等の低熱伝導材料及び耐熱材料により形成されかつ表
面に熱を反射する白色・銀色等の塗料が塗布されること
が好ましい。
【0038】搬送手段73の張り側、即ち上側の水平移
動部73aはケース74bにより覆われる。このケース
74bの内面には搬送手段73に向って赤外線を照射す
る反射鏡付きの赤外線ランプ74aが複数取付けられ
る。またケース74bにはケース74b内の水蒸気を排
出するために吸気口74c及び排気口74dが設けられ
る。図17中の符号74eは温度センサである。なお、
赤外線ランプに代えて赤外線ヒータを用いてもよい。ま
た加熱手段として遠赤外線を成形型に照射する遠赤外線
ランプ又は遠赤外線ヒータを用いてもよい。これらのラ
ンプ又はヒータの照射する赤外線又は遠赤外線の波長は
0.78〜1000μm、更に好ましくは6〜1000
μmである。このように構成された成形装置70では、
先ずケース74b内に到来した成形型71の下型71a
及び上型71bが赤外線ランプ74aの発する赤外線に
より加熱される。このとき下型71a及び上型71bの
表面が黒色であるため、下型71a及び上型71bの熱
の吸収が効率よく行われる。次に下型71a及び上型7
1bの吸収した熱はキャビティ71c内の混練物12に
伝わり、混練物12が加熱・焼成され、成形品16とな
る。
【0039】図18及び図19は本発明の第8の実施の
形態を示す。図18において図1と同一符号は同一部品
を示す。この実施の形態では、成形型11が導電性材料
により形成され、加熱手段84が成形型11の上面及び
下面に配設され通電により発熱して成形型11を加熱す
る発熱体84a,84bを備え、成形型11の加熱によ
りキャビティ11c内の混練物12が加熱されるように
構成される。成形型11及び搬送手段13は第1の実施
の形態のものと同一に形成される。なお、成形型を導電
性材料でない材料により形成する場合には、成形型に導
電性材料を接着又は内蔵してもよい。発熱体84a,8
4bは、第1の実施の形態のロアコイル及びアッパコイ
ルと同様に、渦巻き状に巻かれて下型11aの下面及び
上型11bの上面に密着して配設されたロア発熱体84
a及びアッパ発熱体84bとを有する。発熱体84a,
8bとしてはシーズヒータ(sheathed heater)や抵抗
線ヒータが用いられる。シーズヒータは内面が黒色の金
属パイプ内に上記抵抗線を絶縁体を介して螺旋状に巻回
されたものであり、抵抗線ヒータは抵抗線を螺旋状に巻
回したものである。抵抗線ヒータを発熱体として用いる
ときにはこのヒータと下型及び上型との間にそれぞれ熱
伝導性の比較的良好な雲母やセラミックスや石綿等の絶
縁体を介装することが好ましい。
【0040】上記成形型11の温度を制御する温調手段
84cは、図19に詳しく示すように下型11a及び上
型11bにそれぞれ挿入された第1及び第2温度センサ
84d,84eと、ロア発熱体84a及びアッパ発熱体
84bと電源84jとを接続する回路の途中にそれぞれ
設けられた第1及び第2トライアック84f,84g
と、第1及び第2温度センサ84d,84eの検出出力
に基づいて第1及び第2トライアック84f,84gを
介して発熱体84a,84bに流れる電流をそれぞれ比
例制御する第1及び第2コントローラ84h,84iと
を備える。またコントローラ84h,84iには図示し
ないが成形型11の加熱温度を設定するボリュームスイ
ッチがそれぞれ設けられる。コントローラ84h,84
iはトライアック84f,84gのゲート・トリガ電圧
を一定に保った状態でその発振周波数又はパルス幅を調
整することにより、発熱体84a,84bに流れる電流
をそれぞれ比例制御するようになっている。
【0041】このように構成された成形装置80では、
先ず第1及び第2コントローラ84h,84iのボリュ
ームスイッチ(図示せず)をそれぞれ操作して成形型1
1の加熱温度を設定し、電源84jを投入すると、ロア
発熱体84a及びアッパ発熱体84bにそれぞれ電流が
流れてこれらの発熱体84a,84bが発熱し、この熱
により下型11a及び上型11bが加熱される。次に下
型11a及び上型11bに伝わった熱はキャビティ11
c内の混練物12に伝わり、混練物12が加熱・焼成さ
れ、成形品16となる。第1及び第2温度センサ84
d,84eの検出する下型11a及び上型11bの各温
度が設定温度より高くなると、コントローラ84h,8
4iはトライアック84f,84gのゲート・トリガ電
圧の発振周波数又はパルス幅を調整して発熱体84a,
84bに流れる電流をそれぞれ少なくし、また温度セン
サ84d,84eの検出する温度が設定温度より低くな
ると、コントローラ84h,84iは発熱体84a,8
4bに流れる電流を多くする。
【0042】図20及び図21は本発明の第9の実施の
形態を示す。この実施の形態では、成形型91の下型9
1a及び上型91bが導電性材料により形成されかつ下
型91a及び上型91b間が電気的に絶縁され、キャビ
ティ91c内の混練物12に電解質が溶解され、下型9
1a及び上型91b間に交流電圧を印加し混練物12に
電流を流すことにより混練物12が加熱されるように構
成される。下型91a及び上型91bは薄肉に形成さ
れ、下型91aの下面及び上型91bの上面は断熱材9
1f,91gにより被覆される。また下型91aと上型
91bの密着面、即ち下型91aの周縁上面及び上型9
1bの周縁下面にはそれぞれ耐熱性及び絶縁性を有する
第1及び第2スペーサ91d,91eがそれぞれ固着さ
れる。これらのスペーサ91d,91eはマイカ板、焼
成マイカ板、フッ素樹脂板、セラミック板等により形成
される。
【0043】下型91aを被覆する断熱材91fの下面
には導電性材料により形成された導通板94aが固着さ
れ、この導通板94aと下型91aとは電気的に接続さ
れる。上型91bを被覆する断熱材91gの上面には上
方に突出する集電ブラシ94bの基端を収納するブラシ
ケース94cが設けられる。集電ブラシ94cは上型9
1bと電気的に接続される。集電ブラシ94bは図示し
ないばねによりブラシケース94cから突出する方向に
付勢される。成形型91のキャビティ91cの入れられ
る混練物12には予め塩化ナトリウムや塩化カリウム等
の水に溶解したときに水中に陰イオンと陽イオンとを生
じる電解質が混ぜられる。この電解質の濃度は0.3〜
2重量%であることが好ましい。なお、下型及び上型を
導電性材料でない材料により形成する場合には、下型及
び上型のうちキャビティを形成する下型及び上型の互い
に対向する内面に導電性材料を接着してもよい。この場
合、下型の下面の導通板は下型の内面に接着された導電
性材料に電気的接続され、下型及び上型に接着された導
電性材料に交流電圧が印加される。
【0044】搬送手段93としては、チェーンコンベ
ヤ、ベルトコンベヤ、ターンテーブル、スライドレール
等を用いることができる。下型91aの導通板94aは
搬送手段93と電気的に接続されて接地される。また搬
送手段93としてチェーンコンベヤを用いた場合、この
張り側、即ち上側の水平移動部93aに平行に集電レー
ル94dが設けられ、このレール94dには上記集電ブ
ラシ94bが摺動可能に構成される。集電レール94d
の終端近傍にはこの終端近傍に到来した成形型91の温
度を検出する温度センサ94eが成形型91から所定の
間隔をあけて設けられる。この温度センサ94eは成形
型91の発する放射熱を受けることにより成形型91の
温度を検出するようになっている。温度センサ94eの
検出出力はコントローラ94fの制御入力に接続され、
コントローラ94fの制御出力は交流電源回路(図示せ
ず)を介して集電レール94dに接続される。コントロ
ーラ94fは温度センサ94eの検出出力に基づいて交
流電源回路の電圧又は電流のいずれか一方又は双方を制
御することにより、成形型91の温度を設定値に保つよ
うになっている。
【0045】このように構成された成形装置90では、
混練物12が導電性を有するため、下型91a及び上型
91b間に所定の周波数、例えば50Hz又は60Hz
の交流電流が流れる。この結果、混練物12が加熱さ
れ、キャビティ91c全体に発泡して焼成され、成形品
16となる。この成形品16は絶縁体であるため、成形
品16が成形されると同時に下型91a及び上型91b
間に電流が流れなくなる。従って、図示しないが上型9
1bの下型91aに対する固定手段として電磁チャック
を用いているときには、上記電流が流れなくなったとき
に電磁チャックによる上記固定を解除するように構成す
ることができる。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、成
形型の下型又は上型の一方又は双方がキャビティ内面に
相応した外面を有しかつ下型又は上型の一方又は双方の
主要部分が2〜15mmの肉厚を有するので、下型及び
上型の熱容量が小さく、極めて短時間に成形型を予熱で
きる。また成形型が薄肉であり、プレス加工法やダイカ
スト法等により製作できるため、成形型を安価に製作で
き、成形型の量産性を向上できる。また、成形型のキャ
ビティ内の原料を、誘導、誘電、マイクロ波、赤外線、
遠赤外線、発熱体又は通電により加熱するように構成す
れば、小電力で成形型を予熱でき、また成形型の温度を
容易に所定温度に保つことができる。
【0047】また、成形型周囲の温度が高温になり、ま
た成形型の温度制御が難しかった従来の成形品の製法と
比較して、本発明の成形装置では成形型周囲の温度上昇
は僅かで済み、成形型の温度調節が比較的容易であるた
め、作業環境を改善でき、成形型の温度調節に熟練度を
必要とすることはない。更に上型又は下型の少なくとも
いずれか一方を磁性材料により又は磁性部材を接着又は
内蔵することにより形成し、下型又は上型のいずれか一
方に型締め機構を取付け、型締め機構が上型又は下型を
電磁力にて吸引することにより上型又は下型を下型又は
上型に密着した状態で一時的に固定するように構成すれ
ば、上型の下型に対する一時的な固定を極めて簡単な操
作で行うことができるので、作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の成形装置を示す図2の
A−A線断面図。
【図2】図1のB−B線断面図。
【図3】その成形装置の構成図。
【図4】本発明の第2実施形態の成形装置を示す図6の
C−C線断面図。
【図5】図6のD−D線断面図。
【図6】その成形装置の正面図。
【図7】本発明の第3実施形態の成形装置を示す図8の
E−E線断面図。
【図8】その成形装置の側面図。
【図9】本発明の第4実施形態の成形装置を示す図11
のF−F線断面図。
【図10】図9のG−G線断面図。
【図11】図9のH−H線断面図。
【図12】型締め機構を含む成形装置の要部断面図。
【図13】本発明の第5実施形態の成形装置の構成図。
【図14】その成形型の断面図。
【図15】本発明の第6実施形態の成形装置の構成図。
【図16】本発明の第7実施形態の成形装置の構成図。
【図17】その成形型の断面図。
【図18】本発明の第8実施形態の成形装置の図1に対
応する断面図。
【図19】その成形型の温度を制御するための回路図。
【図20】本発明の第9実施形態の成形装置の構成図。
【図21】その成形型の断面図。
【符号の説明】
10,20,30,40,50,60,70,80,9
0 成形装置 11,21,31,41,51,61,71,91 成
形型 11a,21a,31a,41a,51a,61a,7
1a,91a 下型 11b,21b,31b,41b,51b,61b,7
1b,91b 上型 11c,21c,31c,41c,51c,71c,9
1c キャビティ 12 混練物(原料) 13,23,33,43,53,63,73,93 搬
送手段 14,24,34,54,64,74,84,94 加
熱手段 14a,24a,34a,14b,24b,34b コ
イル 14c,54c 高周波電源(電源) 16 成形品 41d 型締め機構 54a 第1電極 54b 第2電極 64a オーブン 64b マグネトロン(マイクロ波発生手段) 74a 赤外線ランプ(赤外線発生手段) 84a,84b 発熱体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 5/00 CEP C08J 5/00 CEP // B29K 96:00 (72)発明者 丸山 敏彦 札幌市北区北19条西11丁目1番地 北海道 立工業試験場内 (72)発明者 小林 政義 札幌市北区北19条西11丁目1番地 北海道 立工業試験場内 (72)発明者 斎藤 弘 東京都杉並区阿佐谷南3丁目38番13−201 号

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下型(11a,21a,31a,41a,51a,61a,71a,91
    a)及び上型(11b,21b,31b,41b,51b,61b,71b,91b)を有
    し、前記下型と前記上型を合わせて形成されるキャビテ
    ィ(11c,21c,31c,41c,51c,71c,91c)に原料(12)が入れら
    れるように構成された成形型(11)において、 前記下型又は前記上型の一方又は双方が前記キャビティ
    内面に相応した外面を有しかつ前記下型又は前記上型の
    一方又は双方の主要部分が2〜15mmの範囲内の肉厚
    を有することを特徴とする成形型。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の成形型(11,21,31,41)が
    導電性材料により又は前記導電性材料を接着若しくは内
    蔵することにより形成され、 前記成形型(11,21,31,41)のキャビティ(11c,21c,31c,41
    c)内の原料(12)を加熱し焼成する加熱手段(14,24,34,4
    4)が前記成形型(11,21,31,41)の上面及び下面に密着又
    は接近して配設されたコイル(14a,24a,34a,14b,24b,34
    b)と、前記コイル(14a,24a,34a,14b,24b,34b)に所定の
    周波数の交流電流を流すことにより前記成形型(11,21,3
    1,41)を誘導加熱する電源(14c)とを備え、 前記成形型(11,21,31,41)の誘導加熱により前記キャビ
    ティ(11c,21c,31c,41c)内の前記原料(12)が加熱され焼
    成されるように構成された成形装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の成形型(51)が低誘電材料
    又は低誘電損材料により形成され、 前記成形型(51)のキャビティ(51c)を加熱し焼成する加
    熱手段(54)が前記成形型(51)を上下方向から挟むように
    配設された第1及び第2電極(54a,54b)と、前記第1及
    び第2電極(54a,54b)間に所定の周波数の交流電圧を印
    加することにより前記キャビティ(51c)内の前記原料(1
    2)を誘電加熱する電源(54c)とを備えた成形装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の成形型(61)が低誘電材料
    又は低誘電損材料により形成され、 前記成形型(61)のキャビティ内の原料を加熱し焼成する
    加熱手段(64)が前記成形型(61)を覆うオーブン(64a)
    と、前記オーブン(64a)内に所定の周波数のマイクロ波
    を導入して前記キャビティ内の前記原料をマイクロ波加
    熱するマイクロ波発生手段(64b)とを備えた成形装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の成形型(71)が高熱伝導材
    料により形成され、 前記成形型のキャビティ(71c)内の原料(12)を加熱し焼
    成する加熱手段(74)が前記成形型(71)の上面及び下面に
    対向して配設され前記成形型(71)の上面及び下面に赤外
    線又は遠赤外線をそれぞれ照射して前記成形型(71)を加
    熱する赤外線発生手段(74a)又は遠赤外線発生手段を備
    え、 前記成形型(71)の赤外線又は遠赤外線による加熱にて前
    記キャビティ(71c)内の前記原料(12)が加熱され焼成さ
    れるように構成された成形装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の成形型(81)が導電性材料
    により又は前記導電性材料を接着若しくは内蔵すること
    により形成され、 前記成形型(81)のキャビティ(81c)を加熱し焼成する加
    熱手段(84)が前記成形型(81)の上面及び下面に配設され
    通電により発熱して前記成形型(81)を加熱する発熱体(8
    4a,84b)を備え、 前記成形型(81)の加熱により前記キャビティ(81c)内の
    前記原料(12)が加熱され焼成されるように構成された成
    形装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の下型(91a)及び上型(91b)
    が導電性材料により又は前記導電性材料を前記下型(91
    a)及び前記上型(91b)のうちキャビティ(91c)を形成する
    内面に接着することにより形成されかつ前記下型(91a)
    及び上型(91b)間が電気的に絶縁され、 前記キャビティ(91c)内の原料(12)に電解質が溶解さ
    れ、 前記下型(91a)及び上型(91b)間に交流電圧を印加し前記
    原料(12)に電流を流すことにより前記原料(12)が加熱さ
    れ焼成されるように構成された成形装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の上型(41b)又は下型(41a)
    の少なくともいずれか一方が磁性材料により又は前記磁
    性材料を接着又は内蔵することにより形成され、前記下
    型(41a)又は前記上型(41b)のいずれか一方に型締め機構
    (41d)が取付けられ、前記型締め機構(41d)が前記上型(4
    1b)又は前記下型(41a)を電磁力にて吸引することにより
    前記上型(41b)又は前記下型(41a)を前記下型(41a)又は
    前記上型(41b)に密着した状態で一時的に固定するよう
    に構成された請求項2ないし7いずれか記載の成形装
    置。
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