JPH1042407A - 気動車両の動力装置 - Google Patents

気動車両の動力装置

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JPH1042407A
JPH1042407A JP9141497A JP9141497A JPH1042407A JP H1042407 A JPH1042407 A JP H1042407A JP 9141497 A JP9141497 A JP 9141497A JP 9141497 A JP9141497 A JP 9141497A JP H1042407 A JPH1042407 A JP H1042407A
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Yukio Ota
幸雄 大田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 気動車両の運動・位置のエネルギの処理方法
と関係機構を改善し、燃料消費量を節減する。 【構成】 車両内に蓄電器11を搭載し、エンジン1と
負荷との間に電動機3を挿入し、電動機3のエンジン側
に摩擦クラッチ単体または逆転機2を、負荷側に変速機
4を配して気電駆動ユニット5を構成し、電動機2台ま
たは電機子巻線2組の直・並列及びY・Δ切り替えを持
つ電動機回路32と、チョッパ38、46の主回路電圧
制御及び界磁制御により、昇圧・過電圧変成を含む、電
動・回生回路が作動して蓄電器11の充放電を行ない、
気電負荷分担制御・操作を伴って、車両の電動発進、気
電共働加速・力行、気動力行及び回生制動・抑速並びに
予・補充電をするよう主動力・電気系統を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気動車や自動車等の如
き、主に内燃機関で走行する車両(以下、気動車両と呼
ぶ)の動力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、鉄道のディーゼル動車(以下、
気動車と呼ぶ)及びディーゼル機関車や乗用車、バス及
びトラックの如き自動車の動力は、ディーゼルエンジン
やガソリンエンジン即ち内燃機関(以下、エンジンと呼
ぶ)が使用されており、トルクコンバータ等の増力流体
接手と自動変速機あるいはペダル操作の摩擦クラッチと
手動変速機を介して車輪を駆動し、変速機を低速段から
順次に切り替え操作して車両の発進及び加速を行ない、
軌道や道路の勾配による負荷や車両の走行速度に応じ、
その速比を選定操作して運転されている。
【0003】各車輪に配した摩擦ブレーキ(以下、車輪
ブレーキと呼ぶ)で減速・制動を行ない、また、エンジ
ンの空転抵抗(以下、エンジンブレーキと呼ぶ)も緩減
速や降坂時の抑速に使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】車両の運転において、
平坦路の定常走行では軽負荷であるが、加速や登坂では
重負荷で大きな動力を要し、減速・制動や降坂抑速で
は、車両の運動のエネルギや位置のエネルギを、車輪ブ
レーキやエンジンブレーキで熱に戻して大気中に放散し
ており、その損失エネルギは消費動力量の大半に及ぶ。
【0005】最近は特に、燃料の石油資源の枯渇及び排
気ガスによる環境汚染や温暖化が地球規模の問題にな
り、その源を車両分野もかなりの割合を占めているの
で、燃料消費量の低減が排気ガスの有害成分の抑制とと
もに切実に求められている。
【0006】一般に車両は、各駅間で、発進・加速−力
行−惰行−減速・停止または発進・加速−定常力行−減
速・停止の運転サイクルを、運行区間の登坂・降坂を伴
って、繰り返すが、車両運転における主な抵抗は、車輪
の転がり抵抗と車体の空気抵抗を併せた走行抵抗Fv
(なお、曲線路では曲線抵抗Fr がこれに加わる)、加
速・減速に伴う慣性抵抗Fi 及び登坂・降坂に伴う勾配
抵抗Fs であり、走行抵抗Fv は常に正(+)の値であ
るが、慣性抵抗Fi は加速時に正(+)、減速時に負
(−)の値を、勾配抵抗Fs は登坂時に正(+)、降坂
時に負(−)の値を取り、走行距離Sにおいて、駅間の
運転サイクル毎の慣性仕事量ΣWi =Σ(Fi *S)は
運動のエネルギとして、運行区間の往復サイクル毎の登
・降坂仕事量ΣWs=Σ(Fs *S)は位置のエネルギ
として、それぞれ相殺されてゼロ(Zero)になる無効動
力(交流電力の無効成分に比喩)の如く働き、走行抵抗
分の仕事量ΣW=Σ(Fv *S)が実効動力(交流電力
の有効成分に比喩)として働いたことになる。
【0007】なお、登・降坂を伴う運行区間において、
途中駅の乗降客や通勤・通学者の朝・夕の一方向移動が
あり、往復サイクル毎の登・降坂仕事量ΣWs は、載荷
重の不等分として正(+)あるいは負(−)の値として
残るが、その値は、車両の自重分に比べ格段に小さく、
全日サイクル(日毎の複数の往復サイクル)では、両方
向移動として正・負相殺され、上記のようにゼロになる
無効動力として考えてよい。
【0008】そのような無効動力の正(+)側は、実効
動力とともにエンジンの駆動力で与えられるが、エンジ
ンはエネルギ処理について非可逆のため、負(−)側は
車輪ブレーキやエンジンブレーキで再利用不可能の熱に
戻して捨てられており、一般に車両は、重量に比べ走行
抵抗Fv が極めて小さいため慣性抵抗Fi や勾配抵抗F
s が格段に大きく、そのエネルギ損失が消費エネルギの
大半に及び、各駅停車や急勾配区間の運行では著しい。
【0009】なお、無効動力の正(+)側において、変
速機の増力流体接手の滑りにより、車両の発進・加速の
過負荷ではエネルギ損失が大きく、定常力行において
も、該流体接手のクラッチ直結速度以下の低・中速運転
ではかなりのエネルギ損失となり、また、高速運転で
は、逆転・変速機構の空転トルクによる伝達効率低下が
あり、なお、車両内設備動力の大部分を占める冷房用冷
媒圧縮機の消費動力も無視できない。
【0010】本発明は、上述の問題に鑑み、気動車両の
慣性抵抗及び勾配抵抗に係る運動及び位置のエネルギの
処理方法と動力系統の関係機構の改善により、動力装置
のエネルギ効率を向上し、燃料消費量の低減を目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の動力装置においては、エンジンと負荷と
の間に電動機を挿入し、車両内に蓄電器(Capacitor)
を搭載し、電動機のエネルギの可逆性と蓄電器の充放電
機能で以て、慣性抵抗及び勾配抵抗が為す無効動力を処
理し、エンジンは主に走行抵抗が為す実効動力を負担す
るような機構を提供する。
【0012】電動機のエンジン側及び負荷側に、それぞ
れ緩連結の油圧操作式摩擦クラッチを配し、エンジン側
のクラッチは、気動車では単独または逆転機のものを使
用、自動車では単独のものとし、小形車では逆作動式
(バネ推力で接、油圧で脱)のものを使用し、負荷側の
クラッチは、両者とも変速機のものを利用し、これら一
連の機器で以て気電駆動ユニットを構成し、車軸用減速
歯車《自動車では差動歯車》を介して車輪(動輪)を駆
動し、遊輪を含む全車輪に車輪ブレーキを配して、主動
力系統を構成する。
【0013】自動車では、1組の気電駆動ユニットで差
動歯車を介して主荷重軸(後輪1軸または2軸)を駆動
し、気動車では、1組の該ユニットで車軸用減速歯車を
介して1台車の2軸駆動、あるいは、2組の該ユニット
で台車毎に各1軸即ち2軸駆動または各2軸即ち全4軸
駆動とし、車両毎あるいは永久連結2車両毎に蓄電器と
組み合わせて動力単位を構成する。
【0014】動力単位毎に、電動機回路の一方(正極
側)に接触器またはサイリスタの如きスイッチング素子
(以下、電動用接触器と呼ぶ)とダイオード(以下回生
用ダイオードと呼ぶ)を、他方(負極側)にリアクトル
(以下、主リアクトルと呼ぶ)を経てダイオード(以
下、主還流ダイオードと呼ぶ)とチョッパを、ブリッジ
形に配しそれぞれ接触器(以下、主接触器と呼ぶ)を介
して上述の蓄電器の正・負極に接続し、主電気系統を構
成する。
【0015】上記に加えて、該チョッパの入力側と負極
との間にダイオード(以下、過渡ダイオードと呼ぶ)と
平滑コンデンサとを、主還流ダイオードと負極との間
に、リアクトル(以下副リアクトルと呼ぶ)とダイオー
ド(以下、副還流ダイオードと呼ぶ)とをそれぞれ直列
に配し、過渡ダイオードに並列及び該チョッパの出力側
と副リアクトル・還流ダイオードの直列接続点とに、そ
れぞれ接触器(以下、副接触器と呼ぶ)を配し、主電気
系統を補足する。
【0016】蓄電器は、直流蓄電用のものを使用し、車
両の運転サイクルにおける加速・減速及び運行区間の登
坂・降坂による運動及び位置のエネルギを、電動機及び
制御装置に許容される電圧変動の限度内で、効率よく充
放電処理するに必要且つ充分な静電容量(F値)及び突
入電流耐量(A値)を有し、内部抵抗(Ω値)が極めて
小さいものとし、回路遮断器を介してコンデンサ(以
下、過渡コンデンサと呼び、容量はμF級)とともに主
電気系統に接続する。
【0017】エンジンは、ターボ過給機付きの高速ディ
ーゼルエンジンが小形・軽量・高出力・高効率を要する
車両用として最適であり、ガスタービンも使用でき、小
形車両ではガソリンエンジンや天然ガスエンジンでもよ
い。
【0018】電動機は、回転界磁形三相同期機に分配器
を付し、サイリスタで構成の3相ブリッジ形インバータ
と組み合わせた直流無整流子電動機を使用するのが、構
造、過負荷・過電圧耐量及び効率について好都合であ
り、界磁制御と電機子巻線のY・Δ切り替え回路を配
し、あるいはそれに加えて、電機子に単巻変圧器及びそ
の接続・切り離し回路を、または電動機2台の場合は、
直・並列切り替え回路を配して、電動機回路を構成し、
なお、前述の過渡ダイオードを平滑コンデンサから切り
離し、主リアクトルに並列接続するよう接触器(以下、
始動用接触器と呼ぶ)を配する。
【0019】単ユニットや大容量ユニットの場合等、必
要に応じ、電機子に電気角30度の位相差で2組の巻線
を施し、各巻線に上記のY・Δ切り替え回路及びインバ
ータを配し、1台の電動機で上記の2台の電動機と同様
に直・並列切り替え回路を構成し、また、該インバータ
で電機子電圧制御も行なう場合は、両インバータの直流
側に鉄芯共通且つ直流磁束相殺の極性のリアクトル及び
還流ダイオードをそれぞれ配する。
【0020】回転界磁は、スリップリング(Slipring)
または固定励磁コイル等の機構で、ゼロ速度から全励磁
可能のものとし、分配器は、ゼロ速度でも作動し、ま
た、電機子反作用による磁極位相変位及びY・Δ切り替
えに伴う電機子位相転移(30度)に即応して、インバ
ータのゲートパルス位相を調整及び切り替えするよう、
ゲート制御回路を構成する。
【0021】直流整流子電動機を使用の場合は、車両毎
に2台の電機子の直・並列切り替え、あるいはそれに加
えて、永久連結編成の2車の電機子組の直・並列切り替
えを加え、分巻界磁は一括励磁制御するよう、電動機回
路を構成するのがよい。
【0022】逆転機は、気動車ではエンジンと電動機と
の間に配し、出力軸で遊転する正・逆転歯車と摩擦クラ
ッチで構成し、エンジンの定格に見合う動力伝達容量と
し、自動車では電動機のみの電気的逆転で後進可能とす
る。
【0023】なお、気動車において、エンジン側に単独
の摩擦クラッチを配し、車軸用減速歯車の遊転且つ正・
逆転の2個の従動側傘歯車と歯クラッチ(Tooth Crutc
h)で逆転機構を構成してもよく、その歯クラッチは、
停車中に油圧または電磁操作で連結するよう構成する。
【0024】変速機は、入力軸、中間軸及び出力軸を持
つ3軸形とし、入・出力側の各軸対に配した2組の歯車
の従動側を遊転とし摩擦クラッチを付した2段変速機構
を、直列に配して3段または4段変速機構を構成し、あ
るいは、その出力側の軸対のものを同期噛合いクラッチ
とし、入力側の軸対の摩擦クラッチが「脱」の間に同期
噛合いクラッチが「接・脱」作動するよう、油圧操作機
構を構成する。
【0025】なお、自動車の如く集中遠隔操作を必要と
しない単一車両では、上記の同期噛合いクラッチを変速
操作レバーによる手動操作としてもよく、その場合は、
変速操作レバーのノッチストッパ機構等に連動して、上
記の摩擦クラッチが先行「脱」及び後続「接」の作動を
するよう油圧操作機構を構成する。
【0026】気電駆動ユニットにエンジン回転数、電動
機回転数(分配器周波数カウンタ形等)、走行速度、負
荷電流、蓄電電圧、空気圧等の各種センサ、制御装置及
び各種計器・表示器、並びに、気動車では主幹制御器及
び制動空気弁を、《自動車では舵輪、変速操作レバー、
アクセルペダル及びブレーキペダルを》配する。
【0027】主幹制御器には前後進レバー及び運転操作
レバーを配し、前後進レバーは、FH(前進高速)、F
L(前進低速)、N(中立)及びR(後進低速)の操作
ノッチを持ち、運転操作レバーは、A(加速)、D(走
行)、N(中立)、B(制動)及びQB(急制動)の操
作ノッチを持ち、Nノッチで交差片方向{E(エンジ
ン)}及びDノッチで交叉両方向{E(エンジン)・M
(電動機)}に可動、なお、該レバー頭部にボタン(自
動)を配し、制動空気弁は、B(制動)、K(保持)、
R(解除)の操作位置を持ち、《単一車両では、変速操
作レバーには、P(駐車)、R(後進)、DH(高速走
行)、DL(低速走行)の各操作ノッチ及びレバー頭部
にボタン(自動)を配する》。
【0028】上述の走行速度センサの出力で作動する速
度記憶器、車両の速度−加速度特性及び平坦路での速度
−走行抵抗特性を設定した関数発生器並びに電動機電流
センサの出力で作動し電動・回生系統の負荷−損失特性
を設定した関数発生器を、前述の制御装置に配する。
【0029】エンジン始動用セルモータ、補機・照明、
前照・信号灯及び制御用の低圧電源として蓄電池及び充
電用発電機を、単独クラッチ、逆転機及び変速機の操作
用として油圧ポンプを、制動用空気源として自動発停ク
ラッチ付き圧縮機及び空気槽を配し、小形車両では、気
電駆動ユニットの電動機をエンジン始動及び蓄電池充電
に兼用する。
【0030】エンジンの冷却水系に一次熱交換器及び排
気系に二次熱交換器を配し、後者には蓄熱材を内蔵し、
その熱媒液でもって暖房放熱器や冷房用冷却装置(吸収
式冷却機等)にエンジン排熱を利用するコ・ゼネレーシ
ョンシステム(Co-Generation System)を構成し、小形
車両では、暖房は冷却水熱を利用し、冷房はエンジン駆
動または電動の冷媒圧縮機を配する。
【0031】
【作用】上記のように構成した動力装置は、下記のよう
に働くが、主に気動車の場合について説明し、自動車の
場合の相違点を《》内に示し、なお、計算式の乗除算符
号は*、/、平方、平方根等はX^2、X^0.5の如く表わ
す。
【0032】[クラッチ作動と運転種別] クラッチ作
動は、エンジン側「接」・負荷側「脱」のモードI、エ
ンジン側「脱」・負荷側「接」のモードII及び両クラッ
チとも「接」のモードIII の3種のクラッチモードと両
クラッチとも「脱」のモード0を有し、停車中はモード
Iで電動機をエンジンに連結して、アイドリング回転で
蓄電器の補充電を行ない、モードIIで電動機をエンジン
から切り離し負荷に連結して、電動で車両を発進、モー
ドIII にてエンジンに再連結し、気電共働で加速して気
動定常走行、モードIに戻して惰行・補充電、モードII
に切り替えて回生ブレーキで減速、また、モードIII で
登坂力行及び気動を加えた増充電回生抑速、モードIIで
電動機のみの回生抑速、また、非常用としてモードIII
で気電共働(エンジンブレーキ併用)の抑速・制動も可
能とする。
【0033】なお、エンジン始動はモード0でセルモー
タにて行い《小形車では、エンジン側逆作動クラッチ
「接」即ちモードIにて電動機3でエンジン始動を行な
い》、前後進レバーの操作で逆転機の進行側のクラッチ
(あるいはエンジン側の単独のクラッチ及び車軸減速歯
車の進行側のクラッチ)を「接」にして上記のモードI
に替わる。
【0034】[主電気系統の作動] チョッパ周りの主
接触器が「入」において電動用接触器が「入」で電動モ
ード、「切」で通常回生モード及びチョッパ周りの補接
触器のみが「入」で過電圧回生モードの3モードを有
し、電動モードでは、正極−電動用接触器−電動機回路
−主リアクトル−チョッパ−主接触器−負極の回路を形
成し、界磁全励磁とチョッパの電圧制御で定トルク加速
し、該チョッパが全通に至って界磁制御で全電圧定出力
の電動作動に移り、通常回生モードでは、負極−回生用
ダイオード−電動機回路−主リアクトル−チョッパ−主
接触器−負極及び主リアクトル−主接触器−還流ダイオ
ード−正極の回路を形成し、電動モードと同一方向の電
動機電流の発電作動で、高速域では、チョッパ全通と界
磁制御で全電圧定出力、界磁全励磁の回生下限以下の低
速域に至ってチョッパの制御作動と主リアクトルによる
昇圧変成で定トルクの回生作動に移り、微速に至って電
動機主回路抵抗による発電ブレーキに移行し停止寸前ま
で制動、過電圧回生モードでは、負極−回生用ダイオー
ド−電動機回路−主リアクトル−チョッパ−副接触器−
副リアクトル−主還流ダイオード−正極の回路を形成
し、高速域で界磁全励磁の回生過電圧をチョッパの制御
作動で蓄電電圧に降圧変成する。
【0035】主還流ダイオードは、蓄電電圧の逆流阻止
とともにチョッパの制御作動による主リアクトルの誘起
電力を、電動モードでは電動用接触器を経て、通常回生
モードでは蓄電器(充電方向)及び回生用ダイオードを
経て、電動機回路に還流して電動機電流を平滑にし、な
お、過渡ダイオードは、平滑コンデンサの充電電圧を保
持してチョッパによる短絡放電を防ぐ。
【0036】なお、過電圧回生モードでは、チョッパの
制御作動による降圧変成において、主リアクトルの誘起
電力を平滑コンデンサ及び回生用ダイオード経て電動機
回路に還流して過電圧の電動機電流を平滑にし、蓄電電
圧に降圧変成された回生電力を副リアクトル及び主還流
ダイオードを経て蓄電器に充電するとともに、副還流ダ
イオードで副リアクトルの誘起電力を蓄電器に還流して
充電電流を平滑にする。
【0037】チョッパの制御作動において、電動及び通
常回生では、蓄電器の充放電電流は断続波形(矩形波)
であり、電動機回路電圧Eと蓄電電圧Vにおいて、回路
抵抗による電力損失は平滑な平均電流の場合のV/E倍
に大きくなるが、蓄電器の内部抵抗が極めて小さいので
その電力損失は微小であり、主リアクトルの誘起電力の
還流による電動機電流の平滑化で電動機の銅損増加を防
ぎ、また、過電圧回生では、主・副リアクトルの誘起電
力の還流による電動機電流及び充電電流の平滑化で、E
/V倍に増加した大きな回生電力においても電動機の銅
損値及び蓄電器の電力損失率は増加しない。
【0038】なお、電動・回生作動中に関連接触器を遮
断した時、電動機回路や主・副リアクトルが発生する大
きく急峻な過渡サージエネルギ(Surge Energy)を、関
連の還流回路(短絡等の故障で回路遮断器が作動した時
は、蓄電器に代わって過渡コンデンサが還流回路を保
持)で抵抗なく吸収・消滅するので、該接触器の接点ア
ーク(Arc )及び機器や回路要素えの電気的ショックは
なく、なお、チョッパの制御作動周波数が高い(数百H
z以上)のため両リアクトルのインダクタンス(mH
値)及び巻線抵抗(mΩ値)や平滑・過渡コンデンサの
容量(μF値)は小さく、主回路電流による銅損や過渡
サージエネルギによるタイムラグ(Time Lag)も微小で
ある。
【0039】電動機用インバータが高速域の回生過電圧
を制御整流するよう構成した場合は、上記の平滑コンデ
ンサを副還流ダイオードに置き換え、副リアクトルを省
略でき、また、該インバータで始動を含む電動の電圧制
御をするよう構成し、Y・Δ及び直・並列切り替えを伴
って充分低速まで制動できる場合は、チョッパを、電動
用接触器と同一操作の、接触器またはスイチング素子に
置き換えることができる。
【0040】[無効動力の処理] 電動機のエネルギ可
逆性即ち電動・発電機能と蓄電器の蓄電・充放電機能に
より、制動・抑速において、従来の車輪ブレーキやエン
ジンブレーキで無益に捨てていた運動・位置のエネルギ
を、モードIIで無効動力の負(−)の部分を成す回生作
動の電動機に集中して回収・充電し、次の加速・登坂で
放電して無効動力の正(+)の部分を成す電動作動に利
用し、エンジンの負荷を軽減する。
【0041】[エンジン負荷] 従って、エンジンは、
主に定常走行抵抗負荷と、上記の無効動力の処理に伴う
電動・回生系統の損失及び界磁の励磁電力を含む車両内
設備用動力とを分担するので平準化された軽負荷であ
り、走行速度と負荷に見合う変速段を選択し適切なトル
ク負荷率の回転数で効率良く駆動する。
【0042】[逆転・変速機] 電動機のエンジン側に
挿入した逆転機《単独クラッチ、後進は電動機の逆転で
対応》は、エンジン出力の一方向伝達のため軽負荷であ
り、気電共働且つ突入過負荷(エンジン定格の数倍)を
伴う電動機の負荷側は機構簡潔に構成の変速機として電
動・回生の往復動力伝達損失を低減し、無効動力の処理
効率(変速機、電動機、蓄電器及び制御装置より成る電
動・回生系統の総合効率の2乗)の低下を避ける。
【0043】逆転機は、その正・逆転歯車及び摩擦クラ
ッチが互いに逆方向に回転するため、モードIII の高速
運転では潤滑油の攪拌に加え、空転側のクラッチは、軸
回転数の2倍の相対速度で回転する対向板間の潤滑油の
粘性摩擦による空転損失(相対速度の略々3乗に比例)
が激増(2^3=8倍)し、モードIIの両クラッチ「脱」
では、歯車はエンジンのアイドリングで低速回転し攪拌
損失は軽微なるも、出力軸が負荷とともに全速回転し、
両クラッチとも空転しその相対速度は両者平均で全速と
なり、略々クラッチ2個分の全速空転損失を生ずるが、
エンジン出力のみの伝達トルク容量(気電共働過負荷ト
ルクの数分の一)にして歯車及びクラッチの攪拌・空転
損失を低減し、電動・回生系統への影響を軽減する。
【0044】なお、電動機のエンジン側に単独の摩擦ク
ラッチを挿入の場合は、微小な潤滑油の攪拌損失のみで
エンジン出力の伝達効率が良く、クラッチ「脱」の対向
板の相対速度は負荷側の回転数とエンジンのアイドリン
グ回転数との差であり、クラッチの空転損失とその電動
・回生系統の往復動力伝達効率えの影響は更に小さくな
り、気動車では、その代わりに電動・回生系統の途中に
逆転機構が必要になるが、車軸減速歯車の従動側に配し
た歯クラッチは、小形・大伝達トルク容量・低空転トル
クで対向歯板間の相対速度が小さいため、その空転損失
及び正逆転の遊転傘歯車の攪拌損失は小さく、電動・回
生系統の途中にあるがその往復動力伝達効率への影響は
あまり大きくない。
【0045】変速機は、軸対毎に2段の変速比i(例え
ば入力側1/1.41、出力側1/2)で、両軸対のものの
積で4段の変速比Σi(=1/2.828 )が得られ、空転
クラッチの対向板の相対速度はN*(1−i)、空転損
失は各軸対につき相対速度がNの場合の(1−i)^3/
iの和(0.035 +0.354 =0.389)の如く激減し、多段
・高変速比が軽微な空転損失で得られ、空転クラッチ側
の歯車対に逆増速なく潤滑油攪拌損失も軽微であり、ま
た、出力側の軸対に同期噛合クラッチを使用すれば、小
形で高速・高トルク伝達容量且つ低空転トルクのため、
高変速比でも空転損失が更に小さくなり、変速機全体と
して歯車の噛合い損失が主となる高い伝達効率が得ら
れ、中立で全速惰行においては、中間軸が浮遊転して両
軸対に空転損失を均分するよう相対速度を分割するの
で、全クラッチ空転に拘らず損失は軽微であり、なお、
同期噛合クラッチは、入力側の摩擦クラッチが「脱」の
間に小さい操作力で迅速・確実に接・脱作動する。
【0046】[蓄電器] 蓄電原理が単純な静電気作用
のため即応的且つ完全な静止機器であり、内部抵抗は対
向電極及び引き出し導体の抵抗のみで極めて小さく製作
でき、数秒から数十秒に集中の慣性抵抗による突入負荷
や、数分から十数分に集中の勾配抵抗による重負荷にお
いて、蓄電限度電力量いっぱいの急速充放電を寿命短縮
なく円滑且つ高効率に行なう。
【0047】[電動機回路] 電機子回路は3相交流の
ためY・Δ切り替えでき、インバータの直流側で電動機
2台または電機子巻線2組の直・並列切り替えにより、
Y直列、Y並列及びΔ並列で定トルク速度上限が1:
2:3.464 の電気的変速段が得られ、界磁制御の定出力
ではそれぞれ略々倍速度に及び、エンジンの最高回転数
を超える速度まで電動作動が、アイドリング回転数を下
回る速度まで全電圧回生作動が可能であり、その最高速
度及び進・戻段点では、界磁全励磁で定格の1.732 〜2
倍に達する電機子起電力でもトラブル(Trouble )な
く、回生出力も銅損増加なく同様に倍加し、全速度域で
定トルクの増出力回生作動も可能であり、なお、始動用
接触器で過渡ダイオードを主リアクトルに並列接続し、
平滑作用を殺してチョッパの断続流をインバータに与
え、始動時ゼロ速度のサイリスタの転流を助ける。
【0048】なお、1台の電動機のY・Δ切り替えのみ
でも、界磁制御に直巻や複巻特性を持たせれば、エンジ
ンのアイドリング回転数を発電域に包含し、最大トルク
発生の速度域を超える高速まで電動域を得、エンジント
ルクが弱い低速域で充分な電動力補助が可能であり、ま
た、高速域で単巻変圧器(2:1または1.732 :1)を
接触器で接続し、電機子起電力Eを電源電圧Vに変圧す
るよう構成すれば、Y、Δ及びΔ変圧の定トルクの電気
的変速段が可能且つ該変圧器は電動機の半容量且つ周波
数が高いので小形軽量で済み、なお、補充電をエンジン
の中速回転で行ない、電動機はY・Δ切り替えのみと
し、Y接続で上記のY直・並列の速度域に対応させるこ
ともできる。
【0049】[電機子2巻線] 電気角30度の位相差
を持つ2組の電機子巻線の各々3相交流電力は、ブリッ
ジ形インバータで両波変換され6相脈動の軸トルク及び
電力となり、直流側で30度の位相差で合成され恰も1
2相の如く脈動率は極めて小さく、始動が極めて円滑に
なり、1台の電動機で上記のY直列、Y並列及びΔ並列
の電気的変速段が得られ、複数電動機の永久並列と相ま
って、加速・制動時の車輪粘着性も向上し、また、鉄芯
共通のリアクトルは直流分磁束を相殺し磁気飽和やイン
ダクタンス低下なく、還流ダイオードとの共働で有効な
平滑作用を行なうので、直・並列ともインバータによる
電機子電圧制御作動も可能にする。
【0050】[トルク特性] 他励界磁の直流整流子電
動機と同様なトルク特性が得られ、主回路電圧の変動は
軸トルク/電流比に影響せず、また、整流損失やトラブ
ルなく過電圧・過電流耐量が大きく、Y・Δ切り替えに
伴う位相転移は勿論、負荷電流に応じインバータの作動
位相を調整し電機子反作用の影響を軽減し、加速・制動
時の突入過負荷においても、トルク特性及び効率の低下
は軽小である。
【0051】[制御装置] チョッパやインバータの主
回路素子のサイリスタやダイオードは、電圧降下(1素
子毎に1V程度)が回路電圧(数百V)に比べ極めて小
さく、チョッパの作動周波数を高く(数百Hz)できる
のでリアクトルは小形軽量で充分なリアクタンスと極め
て小さい抵抗のものが得られ、また、上述の電気的変速
により主回路素子の債務を軽減し、始動初期及び昇圧回
生終期の微速を除く回転数の全域に亘り、電動・回生と
も電圧変成比ε=E/V(過電圧回生ではε=V/E)
を0.5以上としてチョッパの転流損失を含む制御作動
損失を抑え、変成・変換効率を向上する。
【0052】[運転性能] 過負荷トルクの大きな電動
機とトルク特性の平坦なエンジンとの共働及び変速機構
の進・戻段作動により、急勾配路中速から平坦路高速に
亘り動力効率よく走行し、加・減速度を大きくして平均
速度を向上し、回生ブレーキで微速まで減速して車輪ブ
レーキの債務を著しく軽減する。
【0053】[発進] 運転操作レバーのDノッチ《変
速操作レバーの走行(DH、DL)ノッチ》で、モード
Iでアイドリング回転の電動機の慣性が、モードIIに切
り替わった時、変速クラッチの緩連結で電動トルクを助
け、ゼロ速度付近の軸トルク脈動域を速やかに通過し、
始動を円滑・確実にする。
【0054】[加速・制動] 運転操作レバーをAノッ
チに押すと《アクセルペダルを踏むと》モードIII に切
り替わり、エンジンを再連結して気電共働と変速進段で
加速し、運転操作レバーをBノッチに引くと《ブレーキ
ペダルを踏むと》モードIIに切り替わり、回生ブレーキ
と変速戻段で減速する。
【0055】エンジン及び電動機の両回転数センサの出
力による等速制御で、エンジンの再連結では、過渡時に
回転数を電動機に合わせてエンジン側クラッチを連結
し、また、電動機回転数と走行速度の両センサの出力に
よる等速制御が作動し、変速進段では、過渡時に燃料・
電流を低減・遮断して気・電動回転数を下げ負荷に合わ
せて該進段クラッチを連結し、変速戻段では過渡時に電
流遮断して該戻段クラッチを連結し、各クラッチの緩連
結と相まって各々過渡時のショックと滑りエネルギを局
限する。
【0056】[停止] 上記の制動操作で微速まで充分
減速の上、運転操作レバーをNまたはDノッチに戻して
《ブレーキペダルをフリーにして》微速走行し、所定の
位置で制動制御器を操作して《ブレーキペダルを再び踏
んで》車輪ブレーキで停止する。
【0057】[定速制御] 上記の加速・制動で所定の
速度に達した時、運転操作レバーをDノッチに戻すと
《アクセル・ブレーキペダルをフリーにすると》、その
時の速度で記憶器が働き、その記憶値と負荷に適切な変
速段を選択し、その記憶器と速度センサの両出力の差に
よる定速制御でエンジンの燃料制御および電動機の界磁
制御による定速力行・抑速で《電動機の界磁制御による
定速抑速で》走行する。
【0058】[気電負荷分担] 運転操作レバーDノッ
チの定速走行中には、走行抵抗Fvに相当の負荷Pv を
エンジンが、勾配抵抗Fs 分の負荷Ps を電動機が、そ
れぞれ分担する方式として、降坂負荷はPb =Pv −P
s のため、 Case-I :登坂では負荷Pd =Pv +Ps の内、Pv を
エンジンで、Ps を電動機が分担、降坂では回生電力P
s =Pb +Pv を得るため、モードIII のままエンジン
でPv を電動機に増負荷、あるいは、 Case-II :登坂では2*Pv をエンジンが、Pb を電動
機が分担、降坂ではモードIIに切り替わってエンジンは
ゼロ負荷、電動機がPb を負担 の2様のもので、いずれも電動・回生系統の諸損失pL
をエンジン負荷に加え、蓄電器の充放電が平衡するよう
働き、前者は登坂と降坂にエンジン負荷を均分するので
Pv が大きい緩勾配・高速走行に、後者は電動機負荷を
軽減し気電負荷を均分するのでPs が大きい急勾配・中
速走行に適用を可とし、なお、加速・制動においては、
運転操作レバーAノッチ・Bノッチで、上式のPs に慣
性抵抗負荷Pi が代わったCase-II の負荷分担である
が、高速域では2*Pv +pL がエンジン出力Pe を超
え電動補助を増し放電超過になるので、定常走行、惰行
や停車中に均し下記の如き操作で補充電を行なう。
【0059】[負荷分担操作] 運転操作レバーのボタ
ンで負荷分担モードを切り替え、自動モードでは、走行
速度vに応じ走行抵抗Fv 及び電動・回生損失pL の各
関数発生器と関係演算器により燃料制御が作動して、上
記の走行抵抗負荷Pv に諸損失pL を加えたPe =Pv
+pL またはPe =2*(Pv +pL )をエンジンが分
担し、電動機は負荷Pd に即応して残部(Ps またはP
b )を分担し、運転操作レバーの交叉方向(E、M)の
倒角に応じエンジン出力を増減し、気電負荷分担を切り
替え(Case-I 、Case-II )または無段調整し、手動モ
ードでは、力行は気動主体、負荷がエンジントルク限度
を超えると気電共働、抑速は降坂負荷Pb で回生、交叉
方向の倒角に応じエンジン出力を増減して、気電負荷分
担を手動調整し、なお、運転操作レバーをNノッチでは
モードに拘らず、E側への倒角でエンジン出力を調整
し、定常走行、惰行及び停車中の補充電電力を調整でき
る。
【0060】《変速操作レバーのボタンで負荷分担モー
ドを切り替え、上記と同様な気電負荷分担であるが、自
動モードでは上述のCase-II のみとし、急加速や高速登
・降坂の放電超過を、手動モードで低・中速域の気動主
体の充電超過で補うよう操作し、PノッチやNノッチで
停車中や惰行中にアイドリングで自動補充電し、なお、
アクセルペダルを踏んで増充電もできる。》
【0061】[急減速] 操作レバーをQBノッチに引
くと《ブレーキペダルを深く踏み込むと》、モードIIで
高速域の過電圧定トルク回生が作動し、増出力回生ブレ
ーキトルクで急減速する。
【0062】[非常制動] 走行中に緊急停止の場合
は、制動操作レバーをB位置に押し付けると《ブレーキ
ペダルを強く踏むと》、直ちに車輪ブレーキが作動し全
車輪の全粘着力で急制動・停止する。
【0063】[排熱利用] エンジンの冷却水と排気で
2段加熱し、運転サイクルや登・降坂サイクルでのエン
ジンの軸負荷変動に伴う排熱温度(特に排気温度)の変
動を二次熱交換器内蔵の蓄熱材で平準化し、高温且つ定
温の熱媒で、直接または冷却機(吸収式温冷変換)を経
て、暖・冷房用放熱器を働かせる。
【0064】
【実施例1】実施例1として、2軸の台車2台と気電駆
動ユニット2組を持ち表1に示す要目の気動車の動力装
置を挙げ、図面を参照して説明する。
【0065】表1
【0066】[主動力系統] 図1(a)において、エ
ンジン1、逆転機2、電動機3及び変速機4で気電駆動
ユニット5を構成し、伝導軸6及び減速歯車7を介して
車輪8(動輪)を駆動し、車輪ブレーキ9を遊輪(図示
省略)を含む全車輪8に配して、主動力系統を構成し、
図1(b)に各2台のエンジン1及び電動機3を記載の
如く2組の気電駆動ユニット5を配して、台車2台の各
1軸を駆動する。
【0067】[クラッチ] 逆転機2は、正・逆転機構
GF(正転用)及びGR(逆転用)を、変速機4は、変
速機構G1(1速用)、G2(2速用)及びG3(3速
用)を、それぞれ構成する歯車列及びクラッチを有し、
各クラッチは、電磁油圧操作の緩作動形の摩擦クラッチ
を使用する。
【0068】なお、点線図示のように、エンジン1と電
動機3との間には単独の摩擦クラッチ2(CE)のみと
し、車軸減速機7の従動側に正逆転且つ遊転の傘歯車と
歯クラッチ(Tooth Crutch)より成る正・逆転機構G
F、GRを配し、停車中に切り替えるよう構成してもよ
い。
【0069】[運転・制御系統] 燃料は燃料槽10か
らエンジン1に、電力は蓄電器(Capacitor )11から
制御装置12を介して電動機3に、車両運転の主動力源
としてそれぞれ供給し、エンジン始動、補機・照明(前
照・信号・車内)及び制御用の低圧電源は蓄電池(Batt
ery )13から、逆転機2及び変速機4のクラッチ操作
用油圧・潤滑油は油圧ポンプ14から、車輪ブレーキ9
の操作用空気圧は蓄圧槽15から、それぞれ供給し、そ
れぞれ共通1組の機器で2組の気電駆動ユニット5に給
油、給電、給圧及び制御を行なう。
【0070】各エンジン1の充電用発電機16で共通1
台の蓄電池13を浮動充電し、蓄圧槽15の空気圧に応
じ自動発停クラッチ18が作動し、空気圧縮機17をエ
ンジン駆動して補充圧し、油圧ポンプ14は低圧電源で
運転し逆転機2及び変速機4の回転数に見合う吐出量に
制御する。
【0071】エンジン1の回転数センサ19及び変速機
4の出力軸に配した走行速度センサ20の出力信号を制
御装置12に与え、車両両端の各運転室に主幹制御器2
1及び制動制御器22を配し、制御装置12を介して気
電駆動ユニット5の運転操作を、各車両の制動空気弁2
3を介して車輪ブレーキ9の空気圧操作を行なう。
【0072】[エンジン排熱利用] 熱交換器24は、
2台のエンジン1の排熱(冷却水熱及び排気熱)を、暖
・冷房用温・冷風に変換する(詳細は後述参照)。
【0073】[主電気系統] 図1(b)において、蓄
電器11の正極側は断路器25及び回路遮断器26を介
して正極線27Pに、負極側は電流センサ28を介して
負極線27Nに、過渡コンデンサ29とともに接続し、
なおヒューズ30を介して電圧センサ31を配し、主電
源回路を構成する。
【0074】2台の電動機3より成る電動機回路32の
正極側に電流センサ33を介して電動用接触器34及び
回生用ダイオード35を、負極側に主リアクトル36を
介して、主還流ダイオード37及びチョッパ38を、主
接触器39を介しそれぞれ配してブリッジ回路を形成
し、正極線27Pと27Nに接続し、また、過渡ダイオ
ード40と平滑コンデンサ41とを直列にしてチョッパ
38の入力側と負極27Nとに、副リアクトル42と副
還流ダイオード43とを直列にして主還流ダイオード3
7と負極27Nとにそれぞれ接続し、過渡ダイオード4
0と並列及びチョッパ38の出力側と副リアクトル42
・副還流ダイオード43の直列接続点との間に副接触器
44をそれぞれ配して、運転主回路を構成し上記の主電
源回路とともに主電気系統を形成、なお、回路遮断器4
5を介してチョッパ46を電動機3の界磁の励磁制御用
として配する。
【0075】[電動・回生作動] 主接触器39が
「入」のとき、電動用接触器34が「入」では、正極線
27Pから電動機回路32、主リアクトル36及びチョ
ッパ38を経て負極線27Nに至る回路で、電動電流I
m の電動モードを、電動用接触器34が「切」では、負
極線27Nから回生用ダイオード35を経て、電動機回
路32、主リアクトル36及びチョッパ38を通る回路
で、電動モードと同一方向の電流Ig で発電し、主還流
ダイオード37を経て正極線27Pに至る通常回生モー
ドを成し、副接触器44が「入」のとき、チョッパ38
から副リアクトル42を通る回路が加わって過電圧回生
モードを成す。
【0076】電動モードにおいて、チョッパ38の制御
作動(通流Ionの幅tonを制御、以下同じ)による電圧
制御で定トルク加速、チョッパ38が全通後はチョッパ
46による界磁制御で全電圧定出力の加速・力行が働
き、通常回生モードにおいて、高速域ではチョッパ38
が全通と界磁制御で全電圧定出力の制動・抑速が、低速
域では界磁全励磁とチョッパ38の制御作動で主リアク
トル36の誘起電力による昇圧変成の定トルクの制動
が、微速に至って発電電圧が主回路抵抗の電圧降下まで
下がり発電ブレーキに移行して停止寸前まで働き、過電
圧回生モードにおいては、高速域で界磁全励磁での発電
過電圧をチョッパ38の制御作動と副リアクトル42に
よる降圧変成で増出力の定トルク制動が働く。
【0077】主還流ダイオード37は、チョッパ38の
制御作動(通流Ion)による電動機回路32及びリアク
トル36の誘起電流Ioff を、電動モードでは電動用接
触器34を経て、通常回生モードでは蓄電器11(充電
方向)及び回生用ダイオード35を経て、電動機回路3
2に還流して電動機電流Im 、Ig を平滑にするよう働
き、平滑コンデンサ41及び副還流ダイオード43は、
チョッパ38の制御作動(通流IL 及びIon)による電
動機回路32・主リアクトル36の誘起電流Icf及び副
リアクトル42の誘起電流Ioff を、回生用ダイオード
35及び主還流ダイオード37を経て、電動機回路32
及び蓄電器11に還流して電動機電流Ig 及び充電電流
Ic を平滑にするよう働き、また、過渡ダイオード40
は、通常回生モードにおいて平滑コンデンサ41の充電
電圧を保持してチョッパ38での短絡放電を防ぎ、副リ
アクトル42は、過電圧回生モードにおいて平滑コンデ
ンサ41及び蓄電器11の容量性負荷が為すチョッパ3
8の尖頭電流を抑制する。
【0078】電動・通常回生モードにおいて、電動用接
触器34を遮断した時には直ちに回生用ダイオード35
により、主接触器39を遮断した時には過渡ダイオード
40により、過電圧回生モードで副接触器44を遮断し
た時には過渡ダイオード40と副還流ダイオード43に
より、それぞれ還流回路が働いて電動機回路32及び主
・副リアクトル36、42の過渡サージエネルギを抵抗
なく消滅し、なお、短絡等の故障で回路遮断器26が作
動した時は、過渡コンデンサ29が蓄電器11に代わっ
て還流回路を保持し過渡サージエネルギを処理する。
【0079】[操作系統] 図2において、主幹制御器
21にエンジンスイッチ47、前後進レバー48及び運
転操作レバー49を、制動制御器22に制動操作レバー
50及び制動空気圧計51を配し、表示盤52に速度計
53、エンジン回転計54、蓄電電圧計55、充放電電
流計56、各種表示灯及び燃料計・エンジン温度計等
(図示省略)を配し、上述の制御装置12及び制動空気
弁23に接続する。
【0080】前後進レバー48は、FH(前進高速)F
L(前進低速)・N(中立)・R(後進低速)の操作ノ
ッチを有し、運転操作レバー49は、A(加速)・D
(運転)・N(中立)・B(制動)・QB(急制動)の
操作ノッチと、頭部に気電負荷分担選択用ボタン57を
有し、Nノッチで該レバー49を交差方向のE(エンジ
ン)側に、DノッチでE(エンジン)側またはM(電動
機)側に操作でき、制動操作レバー50はB(制動)、
K(保持)、R(解除)の操作位置を有する。
【0081】[クラッチ作動] 図3(a)のように、
逆転機2のクラッチGFまたはGRが「接」且つ変速機
4が中立(クラッチG1、G2、G3が全て「脱」)
で、電動機3がエンジン1に連結され且つ負荷から切り
離されてモードIを、図3(b)のように、逆転機2が
中立(クラッチGF・GRとも「脱」)且つ変速機4が
変速段(クラッチG1、G2、G3のいずれかが
「接」)にあるとき、電動機3がエンジン1から切り離
され負荷に連結されてモードIIを、図3(c)、(d)
のように、逆転機2がクラッチ「接」且つ変速機4が変
速段にあるとき、電動機3がエンジン1及び負荷に連結
されてモードIII を形成し、なお、逆転機2、変速機4
の両方とも中立の場合は、モードO(図示省略)とな
る。
【0082】[エンジン始動] モードOで、エンジン
スイッチ47でエンジン1を始動し、アイドリング回転
で蓄電池13に浮動充電しながら、補機・照明・制御装
置に低圧電力を供給し、油圧ポンプ14が始動し逆転機
2及び変速機4に油圧・潤滑油を給油し、蓄圧槽15の
空気圧に応じ発停クラッチが働き中・高速回転数で圧縮
機17を駆動し補充圧する。
【0083】[ 停車補充電] 主幹制御器21で前
後進レバー48をFH・FL{またはR}ノッチに操作
すると、進行方向に逆転機構2のクラッチが「接」にな
って、図3(a)のようにモードIとなり、回生モード
でアイドリング回転し、エンジン出力Pe を軸入力Pg
として受け、発電損失pg (制御・充電損失を含む、以
下同じ)だけ減じた電力Pc が、蓄電器11に補充電と
して充電され、また、運転操作レバー49をNノッチで
E側に倒し、その倒角に応じたエンジン回転数上昇で補
充電を増加することができる。
【0084】[ 発進] 運転操作レバー49をDノ
ッチに入れると、図3(b)の如く、モードIIと電動モ
ードに切り替わり、蓄電器11の放電電力Pc を電動入
力として受け、電動損失pm (制御・放電損失を含む、
以下同じ)を減じた軸出力Pm が変速機4に与えられ、
更にその変速損失pt を減じた動力Pd で微速発進す
る。
【0085】[-1 気電共働加速・力行] 運転操作
レバー49をAノッチに押すと、図3(c)の如く、モ
ードIII に替わり気電共働で加速、即ち電動出力Pm =
Pc−pm と、エンジン出力Pe との和から変速損失pt
を減じた動力Pd で加速し、なお、登坂路でDノッチ
に戻すと、電動出力Pm とエンジン出力Pe で定速制御
(後述参照)の気電共働で力行する。
【0086】[-2 気動力行] 平坦路で運転操作レ
バー49をDノッチに戻すと、図3(c)の如く、モー
ドIII のままで、電動機は無電圧になって空転し定速制
御の気動力行、即ちエンジン出力Pe から変速損失pt
を減じた動力Pd で力行する。
【0087】[ 惰行補充電] 運転操作レバー49
をNノッチに戻すと変速機4が中立になって、図3
(a)の如く、モードIに戻って車両は惰力で走行し、
上記のと同様に回生モードで補充電する。
【0088】[ 回生制動・抑速] 運転操作レバー
49をBノッチに入れると{またはQBノッチに引く
と}、図3(b)のように、モードIIと通常{または過
電圧}回生モードで、高速域では定出力{または定トル
ク}で、低速域では定トルクで、制動動力Pb から変速
損失pt を減じた軸入力Pg を受け、発電損失pg を減
じた電力Pc を充電・回収し、なお、Dノッチで降坂の
場合は、同様の動力勘定の充電・回収で回生抑速する。
【0089】[-1 予・補充電気動力行] 平坦路や
緩勾配路を上述の-2と同様に気動力行の際、運転操作
レバー49をE側に倒すと、エンジン出力Pe −pt が
負荷Pd を超えるので回生モードに切り替わり、その倒
角に応じ、図3(c)の如く、その超過分即ちエンジン
出力の余裕Pegが電動機3の軸入力Pg となり、発電損
失pg を減じた電力Pc を以て充電しながら気動力行、
高落差急勾配登坂の気電共働力行の前の予充電及び後の
補充電を行なう。
【0090】[-2 予・補放電電動力行] 平坦路や
緩勾配路を上述の-2と同様に気動力行の際、運転操作
レバー49をM側に倒せば、エンジン出力Pe を減じそ
の倒角に応じて電動出力Pm に移行し、全倒で図3
(b)の如くモードIIに替わって電動力行し、高落差急
勾配降坂の気電共働力行の前の予放電及び後の補放電を
行なう。
【0091】[ 増充電回生抑速] 上述の(回生
抑速)において、運転操作レバー49を「E」側に倒せ
ば、図3(d)の如くモードIII に替わり、その倒角に
応じエンジン出力Pe が加わり、走行抵抗負荷Pv 相当
のエンジン出力Pe が加わり、電動機3の軸入力はPg
=Pe +Pb −pt になって充電電力Pc を増す。
【0092】[ 気電共働抑速] 上述の(回生抑
速)において、手動モードで、運転操作レバー49をM
側に全倒すれば、図3(d)の如くモードIII に替わ
り、エンジンブレーキPebを加えて回生軸入力Pg を減
じ、回生出力Pc を抑制して過充電を避け、抑速トルク
を強化あるいはエンジンブレーキで抑速も可能である
が、エネルギ損失を伴うので非常操作に限定する。
【0093】[運転サイクル] 図4(a)において、
一般に車両は各駅間で、短距離では中間が一部点線で示
す曲線vL のように、発進・加速−力行−惰行−制動・
停止、長距離では加速終期が一部点線で示す曲線vH の
ように、発進・加速−定常力行−制動・停止の、運転サ
イクルを繰り返すが、それを実線折線α−v−β(加速
−定常力行−制動)のようにモデル化し、標準的な駅間
距離S、最小曲線半径R、走行速度v及び加・減速度
α、βを想定した運転サイクルが為す、走行抵抗Fv 及
び慣性抵抗Fi*並びにそれぞれの動力P* 及び仕事量W
* について、表2を参照しながら説明する(* は諸量種
別に伴う付属符号)。
【0094】表2
【0095】[走行抵抗] 走行抵抗Fv は、ゼロ速度
で最小値、走行速度vに従い増減し、常に正(+)の値
をとり、加速距離Sa 、定常走行距離Sv 及び減速距離
Sbについての仕事量Wea、Wev及びWebも正(+)の
値をとり、その合計値ΣWeは、駅間距離Sの運転にお
ける走行仕事量であり実効動力として働く。
【0096】[慣性抵抗] 発進・加速においては、定
トルク域の上限速度vcaまで定加速度αで、続いて定出
力域では速度vに略々反比例(Fi*+Fv が反比例)す
る加速度αで車両を加速し、制動・停止においては、速
度vcaまでの定出力域では速度vに略々反比例(同上)
する減速度βで、続いて定トルク域では定減速度βで車
両を減速し、それぞれ慣性抵抗Fia(正の値)及びFib
(負の値)を、加速距離Sa 及び減速距離Sb について
積分した値Wia(正の値)及びWib(負の値)がそれぞ
れの慣性仕事量であり、運転サイクル毎の合計値ΣWi
=Wia+Wibは、正(+)・負(−)相殺されてゼロに
なる無効動力として働く)。
【0097】[牽引力・制動力・仕事量] 気電駆動ユ
ニットの軸負荷となる牽引力及び制動力は走行抵抗Fv
と慣性抵抗Fi*との代数和であり、加速及び定常力行時
の牽引力はFda=Fv +Fia及びFdv=Fv 、減速時の
制動力はFb =Fv +Fib(負の値)となり、それぞれ
が作用した距離Sa 、Sv 及びSb についての積分値が
それぞれの仕事量Wda、Wdv及びWb となり、牽引に消
費するエネルギΣWd=Wda+Wdvに対する上述の走行
仕事量ΣWe の割合εe =ΣWe /ΣWd が実効動力
率、制動仕事量Wb の割合εb =Wb /ΣWd が制動動
力率であり、また、εb =1−εe の関係がある。
【0098】[回収エネルギ] このようにして求めた
制動動力率εb は、例えば駅間短距離(1.3〜4.5
km)・中速(50〜85km/h)の市街線区や支線
区では65〜48%、中距離(4.5〜10km)・高
速(85〜120km/h)の幹線区でも48〜31%
に達するが、従来の気動車では、それを主に車輪ブレー
キ(エンジンブレーキで補助)で熱に戻して捨てている
が、本発明による回収と次サイクルでの再利用は、動力
系統の効率(前述の表1参照)を想定してエネルギ回収
率εr を試算すれば、前者では43〜33%、後者では
33〜21%に及ぶ燃料消費量の節減を可能とし、ま
た、そのために主動力系統において、特に無効動力を為
す慣性エネルギWi*の処理を司る電動・回生系統(蓄電
器、制御装置、電動機及び変速機)の往復動力効率ηr
=ηp^2 (ηp はその系統の突入負荷での総合効率)
と、微速vb から停止までの発電ブレーキを含む車輪ブ
レーキによる損失即ち車輪ブレーキ率εw =(vb /
v)^2が重要である。
【0099】なお、曲線路では、曲線抵抗Fr が実効分
として走行抵抗Fv に加わり、表2では全距離曲線の場
合を上述の直線路のものと併せて示すが、特に狭隘な山
間部の区間を除き大半あるいは大部分は直線路であり、
制動動力率εb 及びエネルギ回収率εr への影響は小さ
い。
【0100】[気電負荷分担] 図4(b)において、
気電駆動ユニット5は、発進・加速では軸負荷Pd が定
トルク加速でPdaに達し定出力加速、定常力行ではPdv
となるが、モードIで電動(Pm=Pda)発進し加速途
中からモードIII でエンジン出力Pe が加わりPe +P
m =Pdaで気電共働加速、定常走行ではPe =Pdvとな
って気動力行(電動機3は空転)、制動ではモードIIで
エンジン1を切り離し電動機3に負荷Pb (負の値)が
集中し、回生ブレーキの軸負荷Pg で定出力減速続いて
定トルク減速し、回生下限速度vb の微速に達し、発電
ブレーキに移行し続いて車輪ブレーキで停止する。
【0101】加速・制動時(時間ta ・tb )の充放電
電力Pc (電力量Wc )の平衡には、電動と回生の軸負
荷Pm (動力量Wm )とPg =Pb (動力量Wg =Wb
)とは、Pm /ηp =Pc =Pg *ηp になることが
必要であるが、加速時の突入負荷Pdaは過負荷トルクの
大きい電動負荷に偏りその値はPm =Pda−Pe で加速
に伴い増加し、中・高速域ではPcs=Pcm−Pcgだけ放
電超過になるので、鎖線図示の如く定常走行中(時間t
v )に気電共働でta /tv に平準化した値Pgcで、運
転サイクル毎または数サイクル毎に纒めて前述の-1補
充電気動力行、あるいは、前述の停車中補充電(Pgc
=Pei)を行なう。
【0102】[蓄電器充放電] 前サイクルの制動での
充電電力量Wc =Wb*ηp *(1−εw )で上昇した
蓄電電圧V=Vo +δV/2で発進し、加速時の電動放
電電力量Wc =Wm /ηp でV=Vo −δV/2まで低
下し、定常気動力行中は充放電はゼロで電圧不変、制動
時の回生充電電力量Wc で再びV=Vo +δV/2まで
上昇のサイクルを繰り返し、なお、鎖線図示の如く上記
の放電超過(Pcs)で蓄電電圧Vの平均値が下がるので
補充電(Pgc)で回復させる。
【0103】上述の[気電負荷分担]及び[蓄電器充放
電]における諸量を、気電動力容量Pem、Pm 、Pg 、
平坦路における最大加速度αmax 、βmax 及び前述の運
転加・減速度α、βを発揮できる限度勾配smax ・軸負
荷Pmax とともに表3に示す。
【0104】表3
【0105】[勾配抵抗負荷] 図5(a)において、
車両58が速度vで、平坦路(勾配s=0)、登坂路
(+s)、降坂路(−s)、平坦路(s=0)を走行す
る運行サイクルを実線折線で、平坦路(s=0)、降坂
路(−s)、登坂路(+s)、平坦路(s=0)を走行
する運行サイクルを破線折線で示せば、図5(b)にお
いて、気電駆動ユニット5の軸負荷は、平坦路では走行
抵抗負荷Pv のみ、勾配路ではそれに勾配抵抗負荷Ps
が加わるが、勾配抵抗負荷Ps は、登坂時に正(+)、
降坂時に負(−)の値をとり、標高差Hがある2地点間
の距離Sの往復運行では、その運行サイクル毎の位置の
エネルギとして、登・降坂の仕事量Ws =Fs *S(F
s は勾配抵抗)の総計値ΣWs は正(+)・負(−)相
殺してゼロになる無効動力として働く。
【0106】[力行・抑速負荷] 前述の常に正(+)
の値をとり実効動力として働く走行抵抗負荷Pv と、上
記の勾配抵抗負荷との代数和が、登坂力行負荷Pd 及び
降坂抑速負荷Pb であり、その比Pb /Pd は、抑速動
力率εb として各負荷諸量とともに、各々勾配sと走行
速度vについて表4に示すように、例えば急・中勾配
(35〜20o/oo)の中速運転(50〜85Km/h)では
εb =77〜48%に、中・緩勾配(20〜15o/oo)
の高速運転(85〜120km/h)でもεb =48〜17
%に及び、従来の気動車では、登坂に費やした力行動力
Pd の大半(平均的な値)に及ぶ抑速動力Pb を、主に
エンジンブレーキ(車輪ブレーキで補助)で無益に捨て
ているが、本発明の回収・再利用で、動力装置の効率
(表1参照)を想定して試算のエネルギ回収率εr は、
同じく表4に示すように、それぞれεr =59〜37%
やεr =28〜13%に及ぶ燃料消費量の節減を可能と
し、そのために、動力系統の定常負荷効率、特に勾配抵
抗負荷Ps の処理を司る電動・回生系統の往復動力効率
ηr =ηp^2 (ηp はその系統の定常負荷での総合効
率)が重要である。
【0107】表4
【0108】[負荷分担 Case-I] 図5(c)におい
て、勾配抵抗負荷Ps を充放電電力Pc として処理する
場合( Case-I)について、気電負荷分担と動力勘定を
示し、その諸量を表5に登・降坂最大標高差Hmax とと
もに示す。
【0109】表5
【0110】平坦路では、走行抵抗負荷Pv と変速損失
pt との和Pe をエンジン1が負担して気動力行し、登
坂路では、力行負荷Pd と変速損失pt との和が変速機
構4の電動機側の軸入力となるが、放電電力Pc (=P
s )から電動損失pm を減じた動力Pm を電動機3が、
残りの動力Ped=Pv +pt +pm をエンジン1が、そ
れぞれ分担し、降坂路では、抑速負荷Pb から変速損失
pt を減じた値が変速機構4の電動機側の軸出力となる
が、登坂力行での放電電力Pc (=Ps )と同じ充電電
力に回生損失pg を加えた電動機3の軸入力Pg として
必要のため、走行抵抗負荷Pv を抑速負荷Pb の変速損
失pt と共に即ちPeg=Pv +pt +pg をエンジン1
で電動機3に増動力として与え、前述の[増充電回生
抑速]を行ない、従ってエネルギ回収率はεr =Pm /
(Pm +Ped+Peg)となり、上述のεb *ηr に略々
等しくなる。
【0111】[負荷分担 Case-II] 図5(d)におい
て、降坂抑速負荷Pb を充放電電力Pc として処理する
場合( Cace-II)について、気電負荷分担と動力勘定を
示し、その諸量を表6に登・降坂最大標高差Hmax とと
もに示す。
【0112】表6
【0113】平坦路では、前述のCase-I と同様に、走
行抵抗負荷Pv と変速損失ptとの和Pe エンジン1が
負担して気動力行し、登坂路では、Pd +ptdが変速機
構4の電動機側の軸入力であり、放電Pc でPm =Pc
−pm を電動機3が、残りの動力Pe =Pd +ptd−P
m をエンジン1が、それぞれ分担するが、降坂路では、
Pg =Pb −ptbを電動機3が分担、Pc =Pm −pg
を充電し、エンジン1は切り離されて(モードII)無負
荷、従って登坂力行でのエンジン1の負荷分担は、Pe
=2*Pv +ptd+ptb+pm +pg となり、前述のCa
se-I の降坂時の増負荷Pv +ptb+pg だけ電動機3
からエンジン1に転移したことになり、また、エネルギ
回収率は、単純にεr =Pm /(Pm +Pe )となり、
前述のεb *ηr に等しくなる。
【0114】[蓄電電圧] 図5(e)において、蓄電
電圧Vc は、平坦路では気動力行で変動ゼロ、実線折線
で示す如く、距離Sを気電共働力行で登坂して放電電力
量(−Wc )でVc −δVに下がり、続いて距離Sを回
生抑速で降坂して充電電力量(+Wc )で上がりVc に
戻り、また、破線折線で示す如く、距離Sを回生抑速で
降坂して充電(+Wc )で上がりVc +δV、続いて距
離Sを気電共働力行で登坂して放電(−Wc )で下がり
Vc に戻る。
【0115】[調整充放電] 図5(d)(e)におい
て、登坂路の手前の距離Sjgを気動走行中に、鎖線図示
のように、前述の-1予充電気動力行で以て、エンジン
1の余裕出力{Pe −(Pv +pt )}を電動機3に軸
入力Pg として与え、電力Pcg=Pg −pg で電力量W
c /2を充電し蓄電電圧をVc +δV/2に上げてお
き、上記の登坂力行・降坂抑速でそれぞれ距離Sを走行
すれば、蓄電電圧は、まず気電共働力行でWc を放電し
てVc −δV/2に下がり、続いて回生抑速でWc /2
を充電してVc +δV/2に上がり、平坦路で前述の
-2補放電電動力行で以て、距離Sjm=Sjg*Pcg/Pcm
をモードIIの電動(Pm =Pcm−pm )で力行してPcm
でWc /2を放電し元のVc に戻せば、また、点線図示
のように、予放電電動力行−降坂抑速−登坂力行−補充
電気動力行でも同様にして、電圧変動δVは半減される
ので、その予充電・予放電の電力量をWc に倍増し蓄電
電圧を±δVに調整してから勾配路に入れば、利用電力
量は2*Wc となり登・降坂の標高差Hを倍増すること
ができ、なお、始発駅及び終着駅近くの各駅停車区間の
中速走行で同様に予充電及び補充電して蓄電電力量Wc
を稼ぎ、それを途中の急行区間で走行抵抗負荷Pv が大
きい高速走行に利用して電動負荷を増し、前述の[Case
-I ]の如き気電負荷分担でエンジン負荷の軽減も可能
である。
【0116】[負荷分担の適用] 上述のCase-I は、
走行抵抗負荷Pv が大きく抑速動力率εb が負(−)及
び小さい中・緩勾配路の高速運転(85km/h以上)に適
し、エンジン負荷Pe を登・降坂に略々均分して軽減
し、Case-II は、走行抵抗負荷Pv が小さく抑速動力率
εb が大きい急・中勾配路で中速運転(85kkm/h以
下)に適し、電動・回生負荷を軽減して気電負荷を略々
均分し、また、登・降坂の標高差HをPs /Pb だけ前
者より高めることができ、上記の調整充放電と相まって
標高差Hが大きな連続急勾配路を運行できる。。
【0117】[負荷分担制御] 図6において、関数発
生器59、60で、走行速度センサ20の出力vと電動
機3の負荷電流センサ33の出力Im を受けて、走行抵
抗トルクTv と電動・回生損失τL をそれぞれ出力し、
演算器61でTv +τL を求め、エンジンの無制御トル
クとして設定した一定値Temとの切り替えを、運転操作
レバー49の自動信号で作動するリレー62で行ない、
該レバー49のE〜M信号に従い演算器63で調整し
て、実負荷特性図表64の如く自動モードではエンジン
トルクTe =a*(Tv +τL )、手動モードではTe
=a*Temを以てエンジン出力Pe を制御し、また、走
行速度センサ20の出力vを受けて記憶器65がその記
憶値vo を更新するが、運転操作レバー49がDノッチ
でリレー66が作動して記憶器65の入力vを遮断し記
憶値vo が保持され、演算器67の出力vo −vで電動
機3の分巻界磁制御で実負荷特性図表68のトルクTd
、Tb の如く速度記憶値vo に定速制御の電動・回生
負荷Pd 〜Pb となり、それにエンジン出力Pe を実負
荷加算69で重ね合わせ、電動機3の分担出力は(Pd
〜Pb )−Pe =(Pm 〜Pg )となり、合成図表70
のように、運転操作レバー49のボタン57で自動、手
動のモード切り替えと該レバー49のE〜Mの倒角によ
る係数a=ae 〜0の調整でCase-I とCase-II との切
り替えを含む増充電気動〜予放電電動の調整が可能であ
る。
【0118】運転操作レバー49のA、BまたはQBノ
ッチでは、関数発生器71が走行速度vに見合う加・減
速度+α、−α(=β)を出力し、実負荷特性図表68
に点線図示の+α、−αで加・減速制御する他は、上記
の自動モード(Case-II のみ)と手動モードの気電負荷
分担制御が働く。
【0119】[蓄電器の特性] 図7(a)において、
本発明に使用する静電容量C(F) の蓄電器(Capacitor
)の充放電特性を、縦軸に電圧V、横軸に蓄電電気量
Q及び蓄電電力量Wをそれぞれ%目盛で表わせば、電気
量Q(C) =C*Vは電圧Vに比例する直線、電力量W
(J) =Q*V=C*V^2は電圧Vの2乗に比例する曲線
(放物線)となるので、定格電圧Vo (電圧Vが100
%)での電気量Qo 及び電力量Wo から、放電してV1
=Vo −δV、充電してV2 =Vo +δVでのそれぞれ
電気量及び電力量は、Q1 =C*V1 、Q2 =C*V2
及びW1 =C*V1^2 、W2 =C*V2^2 となり、定格
電圧Vo の点Oを中点として放・充電すれば、電気量Q
は点O1 、O2 でQ1 、Q2 、電力量Wは点P1 、P2
でW1 、W2となるが、充放電電流Iと内部抵抗rc に
よる電圧降下er =I*rc があるため、充電では点O
1 からA〜B、放電では点O2 からC〜Dの軌跡を動い
て、電力損失pc =er *I=I^2*rc を為すので、
蓄電器効率はηc =1−pc 、充放電効率はηcd=Vd
/Vc =ηc^2 となるが、内部抵抗rc は対向電極と引
き出し導体の金属抵抗のみで、より大きな負荷に対して
は点線図示のように、A’〜B’、C’〜D’のように
電圧降下er が電流Iに比例して増す程度のため、下記
の蓄電池(Battery )に比べ、電力損失pc が極めて小
さい訳であり(交流電力蓄電器では0.3%程度)、往
復動力損失を伴う電動・回生系統の効率ηp の向上には
誠に好都合であり、なお、蓄電電力量W(MJ)は蓄電電
圧V(V )に正確且つ明確に相関するので、電圧センサ
31及び電圧計55で容易に表示・管理可能である。
【0120】[蓄電池の特性] 図7(b)において、
蓄電池車等の電源として使用されている蓄電池(Batter
y )は、充電毎の運行距離や時間に見合う大きな容量を
持っており、慣性抵抗負荷Pi の如き突入過負荷や勾配
抵抗負荷Ps の如き重負荷に対する充放電では、蓄電電
圧Vは略々一定の電気量域にあり無負荷電圧Vo は殆ど
変動しないが、駅間運転や登・降坂の短時充放電サイク
ルでは、内部抵抗による電圧降下er に、分極作用によ
る逆起電力ec 及びed が加わり、充電時には点O1 か
らA〜Bを辿る電圧Vc =V+(er +ec )と放電時
には点O2 からC〜Dを辿る電圧Vd =V−(er +e
d )のように無負荷電圧Vとは大差が出るので、電力損
失pc =(er+ec)*Iまたは(er+ed)*Iは大
きく、充放電効率ηcd=Vd /Vc はかなり下がり、一
般に、5〜10時間率充放電でも80〜70%、1時間
率の如き短時間充放電では点線図示の電圧曲線A’〜
B’とC’〜D’の如く電圧差が大きく開き、電力損失
pc が大半に達し、充放電効率ηcdは著しく低下するた
め、往復動力損失を伴う電動・回生系統において、突入
過負荷や重負荷を伴う無効動力の充放電処理による、燃
料消費量低減の効果はあまり期待できない訳であり、な
お、このような充放電電圧特性のため電圧計55では蓄
電電気量Q(AH値)は把握できない。
【0121】[蓄電器の容量] 図7(a)において、
蓄電電圧Vの変化±δV(%)に対する蓄電電力量Wの
変化は、 W1 =Wo *(1−δV)^2=Wo *(1−2*δV+
δV^2) W2 =Wo *(1+δV)^2=Wo *(1+2*δV+
δV^2) となり、δW1 =Wo−W1とδW2 =W2−Woとの平均
充放電電力量Wc は、 Wc =(W2 −W1 )/2=Wo *2*δV であり、交流電気鉄道と同様に許容変動値δV=±20
%とすれば、定格電圧Vo の蓄電電力量Wo の±40%
の充放電電力量Wc (J)を得ることができ、また、重
量m(kg)の車両が標高差H(m)の2地点間を走行す
れば、その登・降坂仕事量即ち位置のエネルギはWs
(J)=m*g*H(gは重力の加速度)となるので、
運行区間の最大標高差Hmax での位置のエネルギWsmax
を上回る充放電電力量Wc (J)となるよう、蓄電器の
静電容量C(F)を選定すればよく(前述の表5及び表
6を参照)、前述の予・補充電気動力行や予・補放電電
動力行を併用して蓄電調整し蓄電電圧を両振り(+δV
〜−δV)にすればδV=±10%に抑制でき、あるい
は、Wc を倍増(Wo の80%)して特別高標高差の連
続急勾配路に対応可能である。
【0122】前述の表5及び表6のように、各々走行速
度v(Case-II では85km/h以下)での限度勾配smax
における登・降坂標高差Hmax (273〜483m)を
為す距離Smax の走行時間tmax は、電力量Wc =11
2.5MJを数分〜十数分で急速充放電する如き、即ち
定格蓄電電力量Wo =281.25MJ(蓄電池換算で
104AH*24V*31個直列)の30分前後の充放
電時間率の如き、蓄電池では耐えられない極めて重債務
なることを示している。
【0123】[電動機回路] 図8(a)において、各
電動機3に、サイリスタ等の制御素子で3相ブリッジ形
に構成したインバータ73及びY・Δ切り替え用接触器
74Y、74Δを配して、その電機子3Aに接続、2台
の電動機3をインバータ73の直流側で接触器75S、
75Pで直・並列切り替えを加えて、Y直列、Y並列及
びΔ並列の電気的変速段を持つ直流無整流子電動機を形
成し、また、蓄電器11から回路遮断器45で分岐し、
チョッパ46で電流制御し正・逆転接触器76F、76
Rを経て電動機3の界磁3Fを励磁し、還流ダイオード
77で界磁電流の平滑作用を為し、ボタンスイッチ78
及びダイオード79は、蓄電器11の初期充電の際に、
蓄電池13の低圧電源で界磁3Fを励磁し、なお、電動
機3の軸に配した分配器3Dの位相信号で、ゲート制御
器80が作動してインバータ73の各制御素子にゲート
パルスを、Y・Δ接続切り替え(Y・Δ信号)に伴う位
相転移(φ=30度、次項参照)及び、負荷電流(Im
信号)による電機子反作用に伴う位相変位に合わせて与
え、また、電動・回生作動(M・G信号)に伴う整流子
作用と整流器作用の切り替えを行なう。
【0124】[電機子起電力・位相] 図8(b)にお
いて、電機子3AのY・Δ接続における両者の起電力と
位相を示せば、同一の励磁と回転数における電機子の1
相(例えばR相)の巻線の起電力及び位相はY・Δとも
同一であるが、Y接続の線電圧Ey(例えばR・T線
間)はΔ接続の線電圧Eδの3^0.5(=1.732 )倍であ
り、回転数が上がり線電圧Eyが電源電圧Vに達し即ち
Y接続の定トルク電動域上限に至った時、Δ接続に切り
替えると線電圧EδがV/1.732 に下がり、回転数が1.
732 倍に上がるまで、チョッパ38の電動機回路32の
電圧制御による定トルク電動域が拡大され、また、Y・
Δ切り替えに伴う位相転移はφ=30度である。
【0125】[電動・回生作動] インバータ73は電
動モードでは整流子作用、回生モードでは整流器作用の
みを行なって電機子電流を全波流とし、前述の図1
(b)と同様の運転主回路で、チョッパ38の電圧制御
とチョッパ46の界磁制御を行ない、Y直列は、チョッ
パ38の電圧制御で発進の他はアイドリング回転数付近
の電動・発電作動を界磁制御として、微速走行及び停車
中・惰行中の補充電に使用し、Y並列及びΔ並列は、電
圧制御(定トルク)及び界磁制御(定出力)で加速・力
行に、界磁制御(定出力)または過電圧回生(定トル
ク)及び昇圧回生(定トルク)で抑速・制動に使用す
る。
【0126】インバータ73には、GTO(Gate Turn-
Off Thirister )等の如く自己転流機能を持つ制御素子
を使用するのがよいが、始動時に接触器81で過渡ダイ
オード40を主リアクトル36との並列に切り替え、リ
アクトル36の誘起電圧を短絡してインバータ73にチ
ョッパ38の断続流を与え、制御素子の転流を助けると
ともに、転流異常時の瞬時突入電流を抑制することがで
きる。
【0127】過電圧回生は、銅損増加なく増出力が得ら
れるが、鉄損増加を伴うので中・低速域の制動や高速域
の急制動に使用し、また、Y並列及びΔ並列ではインバ
ータ73の電機子電圧制御でも可能であり、後述の如く
運転主回路を簡略化できるが、ゲート制御器80の複雑
化と電機子の断続流による銅損増加を来し、Y直列では
車輪の直径誤差や滑り不同で2台の電動機の位相差不定
による作動不安定もあり、電動とともに、昇圧回生では
必須のチョッパ38の制御作動によるのがよい。
【0128】電動機回路32における直・並列やY・Δ
切り替えにより、発進及び停止直前の微速を除き、電圧
制御の変成比εを0.5以上にし、チョッパ38、リア
クトル36、42及び還流ダイオード37、43の債務
即ち制御作動損失や銅損を軽減する。
【0129】[電機子2巻線] 図9(a)において、
1台の電動機の電機子にψ=30度の位相差を持つ2組
の巻線3a、3bを施し、各巻線組にY・Δ切り替え用
接触器74Y、74Δとインバータ73a、73bをそ
れぞれ配し、直流側に直列用ダイオード75Sまたは接
触器(同符号、図示省略)及び並列用スイッチング素子
75Pまたは接触器(同符号、図示省略)を配して、上
記の2台の電動機と同様に電動機回路32を構成すれ
ば、1台の電動機でY直列、Y並列及びΔ並列の電気的
変速段を形成できるので、1組の気電駆動ユニットで駆
動する場合に好都合であり、また、図9(b)におい
て、Y・Δ接続とも、電機子の巻線3aの位相はRa ・
Sa ・Ta 、巻線3bの位相はRb 、Sb 、Tb でその
位相差ψ=30度であり、3相ブリッジ形インバータ7
3a、73bで各相の正(+)、負(−)とも電流−ト
ルク変換即ち両波変換されるため、それぞれ6相交流R
a 、ta 、Sa 、ra 、Ta 、sa 及びRb 、tb 、S
b 、rb 、Tb 、sb として働き、直流側の直・並列接
続で以て位相差ψ=30度で合成されてRa 、Rb 、t
a 、tb 、Sa 、Sb 、ra 、rb 、Ta 、Tb 、sa
、sbの恰も12相交流の電流−トルク変換の如くな
り、脈動が極めて小さい軸トルク及び整流出力が得られ
るので始動が円滑になる。
【0130】電機子単巻線・2巻線とも、図8(a)に
示す電動用接触器34及び始動用接触器81は図9
(a)のように、直・並列切り替え回路のダイオード7
5S及びスイッチング素子75Pとともに、無接点のス
イッチング素子34(同符号)及び81Sに置き換えれ
ば、2個のスイッチング素子75Pの順次作動による過
渡トルクの中断・急変が無い直・並列切り替えととも
に、市街地運行の自動車のように高頻度の始動・加速や
制動に劣化や損耗によるトラブルなく対応でき、なお、
インバータ73の制御整流で過電圧回生を働かせ、過渡
ダイオード40、平滑コンデンサ41及び副リアクトル
42を廃し、副還流ダイオード43と副接触器44を図
9(a)の如く配して、運転主回路を簡略化してもよ
い。
【0131】図9(a)に点線図示の如く、副リアクト
ル42を鉄芯共通且つ直流分磁束を相殺する極性の42
a、42bに分割し、副還流ダイオード43a、43b
とともに配すれば、電動・回生ともインバータ73a、
73bの制御作動の脈動に対しインダクタンスの低下な
く有効な平滑作用を持ち、2組の電機子巻線3a、3b
の位相差(ψ=30度)が不変のため、インバータ73
a、73bは、直列においても安定した電機子電圧制御
ができるので、その制御素子の自己転流が始動時にも可
能で、変速機構4の変速比が大きく1速段のY直列の過
電圧回生で微速まで減速できれば、実線図示の主リアク
トル36、始動用スイッチング素子81及びチョッパ3
8を廃して、点線図示のように、電動用スイッチング素
子34(または接触器)に替え、運転主回路を更に簡略
化が可能である。
【0132】[気電動力特性] 図10において、前述
の表1に示す実施例1の車両の気電駆動ユニット5の回
転数N(rpm) とトルクT(kg-m)及び電機子起電力E(V)
(直流側に換算)との関係を図表に示せば、エンジン1
のトルクTe は、アイドリング回転数Neiから暫増し回
転数Ntmにて最大トルクTemax、暫減して最高回転数N
emaxに達して最大出力Pemax相当のトルクTepm であ
り、電動機3の定格電動トルクTm は、Y直列、Y並列
及びΔ並列について、それぞれの無負荷回転数Nyse 、
NyeおよびNδe より電機子抵抗rによる電圧降下e
(%) (=I*r/V)だけ低い回転数に、電圧制御によ
る定トルク特性(領域A)から界磁制御による定出力特
性(領域B)に移行の変曲点を持つ、曲線Tmys 、Tmy
及びTmδ、過負荷トルクTmeも同様に曲線Tmyse、Tm
ye 及びTmδeであり、定格気電共働トルクは、それぞ
れTe +Tmys 、Te +Tmy、及びTe +Tmδ 、過負
荷気電共働トルクは、それぞれTe +Tmyse、Te +T
mye 、及びTe +Tmδeとなる。
【0133】定格回生トルクTg は、Y直列、Y並列及
びΔ並列について、それぞれの無負荷回転数Nyse 、N
yeおよびNδe より電機子抵抗rによる電圧降下e(%)
だけ高い回転数に発電域下限を持つ折線Tgys 、Tgy及
びTgδ 、過負荷トルクTgeも同様に、折線Tgyse、T
gye 及びTgδeであり、それぞれ発電域では、界磁制御
全電圧回生の定出力特性のもの(垂下曲線)と過電圧回
生の定トルク特性のもの(水平線)の2モードがあり、
なお、Δ並列及びY並列の発電域下限以下では、昇圧回
生の定トルク特性のTgu(定格)及びTgue (過負荷)
である。
【0134】界磁制御は過励磁(Φ125%)から減励磁
(Φ57.7%) の範囲としており、電機子起電力Eは、Y
直列、Y並列及びΔ並列においてそれぞれ過励磁(Φ12
5%)で直線Eyse 、Eye及びEδe 並びに全励磁(Φ10
0%)で直線Eys、Ey 及びEδであり、それぞれ主電源
の定格電圧Vo (水平線)との交点yse、ye 及びδe
並びにys 、y及びδを通る垂線がそれぞれの無負荷回
転数Nyse 、Nye及びNδe 並びにNys、Ny 及びNδ
であり、なお、Δ並列・減励磁(Φ57.7%) の起電力E
δu と定格電圧Vo との交点δu を通る垂線は、電動機
3の回生作動の最高回転数Ngmaxである。
【0135】電機子起電力Eが電源電圧V以下は電動域
であり、チョッパ38(またはインバータ73)による
電圧制御で定トルク特性、V−e(eは電機子抵抗rに
よる電圧降下でI*r)に達し界磁制御で定出力特性の
電動作動をし、V以上は発電域であり、チョッパ38
(またはまたはインバータ73)による電圧制御で定ト
ルク特性の回生作動となり、最高起電力Emax は、Δ並
列・過励磁のEδeでは3^0.5*1.25*Vo =2.165*V
o 、Y並列のEye及びY直列のEyse についても略々同
様な過電圧となる。
【0136】通常の抑速・制動において、定格トルク
は、Δ並列では実線図示の界磁制御の定出力のTgδ 、
その発電域下限(Nδe +e)以下ではΔ並列、Y並列
とも昇圧回生で定トルクのTguを、過負荷トルクは、Δ
並列では実線図示の定出力Tgδe、Y並列では過電圧回
生のTgye を、Y並列の発電域下限(Nye+e)以下で
は昇圧回生のTgue を使用し、短時抑速(定格トルク)
及び急制動(過負荷トルク)において、Δ並列では点線
図示の過電圧回生で定トルクのTgδ 及びTgδeを、ア
イドリング補充電には、Y直列界磁制御の定出力のTgy
s を使用、なお、前述の電機子2巻線のインバータ73
a、73bで電圧制御の場合は、Y並列昇圧回生のTgu
の代わりに、鎖線図示且つ()内記載のY直列の過電圧
回生のTgys 及びTgyseを使用することができる。
【0137】回生過負荷における主回路抵抗rによる電
圧降下e(%) (=e/E)による損失トルク即ち発電ブ
レーキ分を、Δ並列、Y並列及び昇圧回生について示せ
ば、それぞれ点線曲線τgδe、τgye 及びτgue とな
り、停止直前の微速では、E>eの回生ブレーキからE
=eの発電ブレーキに移行するので、Y並列の回生下限
Nyeでの昇圧回生トルクTgue の有効分(1−e(%) =
η、ηは主電気系統の総合効率)で等価回生下限の回転
数Nb を想定し、それ以下は前述の図4に示す発電・車
輪ブレーキ損失Ww と見做して、前述の表2における車
輪ブレーキ率εwとする。
【0138】負荷に応じ、Y直列の電動トルクTmys 〜
Tmyseで微速始動、Y並列のTmy〜Tmye でエンジン連
結してTe +Tmy〜Te +Tmye 続いてΔ並列のTe +
Tmδ 〜Te +Tmδe で気電共働加速・力行、Δ並列
の定出力電動域におけるエンジンの最大トルク域Nmd〜
Nmuで変速加速を、同じく定出力回生域におけるNgu〜
Ngdで変速減速を行ない、回生作動は電動機のみで行な
うので、エンジンの最高回転数Nemaxを超えるNgmaxま
で使用し、変速減速域Ngu〜Ngdは変速加速域Nmd〜N
muより高い回転数域とすることができる。
【0139】[負荷特性] 図11において、表7に示
す各変速段での気電駆動ユニット5の軸出力(1両2組
分)に従い、走行速度v(km/h)に対するトルクT(kgf-
m) (1組分)を示せば、定格トルクは気動Te 、気電
共働Te +Tm 及び回生Tg 、過負荷トルクは気電共働
Te +Tme及び回生Tgeの各特性曲線となり、これに緩
・急の軌道勾配s(o/oo)について負荷トルク曲線及び平
坦路(s=0)における加速度α(km/h/s)の目盛りを併
せて示す。
【0140】表7
【0141】前述の表2〜表6では、表1に示す動力車
Mを2両連結した2M編成のものを示したが、例えば4
両(4M)〜8両(8M)に増結すると、走行抵抗Fv
の計算式(表1参照)の空気抵抗分を示す第2項におい
て、先頭車(Ch =0.0269)に比し後続車(Cf =0.00
79)は小さい(Cf /Ch =29.4% )ので、上述の表7
に示すように、1両当たりの平坦路での走行抵抗負荷P
v は軽くなり、高速域でその傾向が大きいので、長編成
の高速運転が軽負荷になり、あるいは、非動力車Tを増
結して例えば4M1Tや6M2Tとしてもエンジン定格
以下の走行抵抗負荷Pv で運転可能であり、その1例と
して6M2T編成の車両について、前述の表2〜表4に
倣い、表8〜表10に慣性抵抗及び勾配抵抗に関する諸
量を示す。
【0142】表8
【0143】表9
【0144】表10
【0145】6M2T編成は、動力車のみの編成(2M
〜8M)に比し、動力車1両当たりの牽引総重量Σm/
nが約28.8%増すので、慣性・勾配抵抗に係るエネ
ルギ回収率εr がやや向上する反面で、定加速度上限速
度vca、高速域の加・減速度α、β、限度勾配smax や
登・降坂最大標高差Hmax が少し下がるが、それでも電
動車両並の性能(αo =2.0km/h/s)で殆どの線区
(smax =25o/oo、Hmax =212〜290m)を運
行可能なことを、上記の各表が示している。
【0146】[変圧増速・増力] 1組の気電駆動ユニ
ット5では、図12(b)において、電動機3は、Y接
続でエンジン1のアイドリング回転数の発電電圧Ey が
蓄電電圧Vの低速定格として界磁制御{Ey (Φ100%)
〜Eye(Φ125%)}で補充電作動し、Δ接続で倍速近く
(*1.732 )のエンジン1の中速域まで定トルク(直線
Tmδ-A)、それ以上の高速ではなお倍速(*2)まで
界磁制御の定出力(曲線Tmδ-B)、それ以上は直巻や
複巻特性の垂下出力(曲線Tmδ-C)の電動域を得てエ
ンジン1の最大トルク発生の高速域(Netm 付近)に対
応し、エンジン1の低・中速域の弱トルクを補った気電
共働トルク(曲線Te +Tmδ )が得られるが、Δ接続
の定トルク電動域(Tmδ-A)の上限Nδに達した時、
図12(a)の如く、接触器82「切」、83「入」で
巻線比σ(例えば1.732 /1〜2/1)の三相単巻変圧
器84を電機子回路に挿入してインバータ側を半電圧V
/σとし、その巻線比σだけ電動域を破線Tmh−A・B
の如く、回生トルクについても同様に破線曲線Tghの如
く、銅損増加なく更にNh =σ*Nδだけ拡張・増力で
き、該変圧器84は、電機子電圧Eδと周波数fは共に
増すので過励磁なく有効に働き、電動機3の半容量(4
2.3%または50%)で小形の静止機器のため電力損
失は軽微であり、低い周波数f(50Hz以下)の中・低
速域(Nδ以下)では接触器82「入」、83「切」で
切り離され電力損失は無い。
【0147】[整流子電動機] 図13において、電動
機回路32に直流整流子電動機を使用した場合につい
て、車両毎に2台の電動機3の電機子3Aは、接触器7
5S、75Pで直・並列切り替えして電機子組をなし、
更に車両間に接触器85S、85Pを配して直・並列切
り替えし、全直列、2台直・並列(車両毎に直列)及び
全並列の電気的変速段を形成し、分巻巻界磁3Fは4台
分纒めて接触器76F、76Rの正・逆転切り替えと共
に電動機回路32を構成し、図1(a)に示す電源回路
及び運転主回路を付して1動力単位の主電気系統を構成
し、全直列でエンジン1のアイドリング回転数での補充
電を、車両毎の直列でエンジン連結するのがよく、ある
いは、単一車両で動力単位を構成する場合は、2台の電
機子3Aの直列での昇圧回生作動でアイドリング回転数
での補充電をしてもよい。
【0148】前述の無整流子電動機のΔ接続の高速定格
と同様に、定格回転数をエンジンの最大トルク域の回転
数に合わせ、整流子を強化して250%の過電圧耐量を
持たせ、チョッパ38による電圧制御の定トルクとチョ
ッパ46による界磁制御の定出力で、電動・回生作動す
るのがよい。
【0149】[気電容量選定] 気電駆動ユニット5を
構成するエンジン1と電動機3の容量選定において、エ
ンジン1の定格出力Pe は、平坦路(曲線路を含む)の
最高速度vmax での走行抵抗負荷Pvmaxに界磁の励磁電
力及び補機・照明等の車内設備の消費動力を加えた値を
必須とし、運行区間の最大勾配smax (例えばJR対象
の鉄道構造規則ではs=35o/oo)を変速段1速で気動
登坂可能とするよう余裕及び変速比を与えるのが、過放
電等で運転に支障を避けるために望ましい。
【0150】電動機3の定格出力は、エンジン1の最大
トルク点の出力Petm (但し車内設備の消費動力を除く
主動力、以下同じ)と回転数Netm に略々同等に、Δ接
続の高速定格Pδ、Nδを選定するのが適当であり、そ
の関係を示せば、定格出力を支配する銅損即ち電流容量
Im は電動・回生とも同一で、回生軸入力Pg は電動軸
出力Pm の1/ηp^2 倍(ηp は、定常負荷での電動・
回生系統の総合効率)とし、その高速定格使用の定加速
度上限速度vcaで Pg *=Pm /ηp^2 =(Pe *ηt +Pm )*εb の関係が必要であり(ηt は変速機効率)、所要の電動
機容量は Pm =Pe ηt *εb *ηp^2 /(1−εb *ηp^2 ) となり、前述の表1からηp =0.876 及びηt =0.97
と、前述の表4からvca=72km/hの登・降坂の限度勾配
の平均値(s=30o/oo)のεb =0.667 を代入すれば、
Pm =1.017 *Pe の電動機容量でよいことになるの
で、表1に示すように、Netm =2500rpm でのPe =10
2KW と略々同一のΔ接続の高速定格(104KW・2598rpm、
2500rpm換算で100KW)となり、Y接続の中速定格が60KW
・1500rpm を選定することになる。
【0151】突入負荷(例えば300%)においては、εb
は略々1に近いので、前項の関係式は 3*Pg =3*Pm /ηp^2 =Pe *ηt +3*Pm となり、前項の気電定格値及びηp=0.822(突入負荷)
を代入すれば、左辺(回生)の444KW は右辺(気電共
働)の399KW より大きく、また、前述の表3〜表6に示
す各々運転速度vにおける限度勾配smax のように、降
坂の回生抑速のものが登坂の気電共働より大きく、気電
共働で為した運動・位置のエネルギを電動機だけで集中
処理可能なことが判る。
【0152】
【実施例2】実施例として、1組の気電駆動ユニット5
を持ち、表11に示す要目の自動車の動力装置における
実施例を挙げ、図面を参照して説明する。
【0153】[主動力系統] 図14(a)において、
エンジン1、クラッチ2、電動機3及び変速機4を以て
気電駆動ユニット5を構成し、伝導軸6及び差動歯車7
を介して車輪8を駆動し、車輪ブレーキ9を遊輪(図示
省略)を含む全車輪8に配して、主動力系統を構成す
る。
【0154】[クラッチ] クラッチ2は、油圧操作の
緩作動形摩擦クラッチで、主に(大形車以外では)バネ
(Spring)の推力で緩連結(接)し油圧で解放(脱)す
る逆作動形を使用し、変速機4は変速段G1(1速)〜
G4(4速)を持ち、油圧操作の緩作動形摩擦クラッチ
で変速作動し、変速操作レバーのPノッチで機械的に直
接操作の爪車のGP(パーキング)を持つ。
【0155】[運転・制御系統] 車両運転の主動力源
の燃料槽10及び蓄電器11、制御装置12、低圧電源
の蓄電池(Battery )13、クラッチ2及び変速機4の
操作用油圧源の油圧ポンプ14、エンジン回転数センサ
19及び走行速度センサ20を実施例1の気動車と同様
に配し、車両の運転席に変速操作レバー48、アクセル
ペダル49、ブレーキペダル50を配し、制御装置12
を介して気電駆動ユニット5の運転操作を、制動制御器
22を介して車輪ブレーキ9を制動操作をする。
【0156】[冷暖房] エンジン1の冷却水熱により
冬季暖房を、自動発停クラッチ18を介してエンジン駆
動の冷媒圧縮機90で夏季冷房を行なうが、大形車では
前述の実施例1の気動車と同様に、できるだけエンジン
1の排熱利用の熱交換器24(点線図示)を採用するの
がよい。
【0157】[主電気系統] 図14(b)において、
前述の実施例1の気動車と同様の運転主回路としてもよ
いが、前述の図9(a)にも示したように、主リアクト
ル36の電動機回路側と負極27Nとの間に副還流ダイ
オード43とを接触器44を配して、電動機回路32の
インバータ73の制御整流の過電圧回生における主アク
トル36の誘起電力Ioff の蓄電器11への還流回路を
形成し、還流ダイオード43を始動用接触器81(点線
図示)で主リアクトル36に並列接続すれば、前述の図
1(a)の主接触器39、平滑コンデンサ41及び副リ
アクトル42を省略し簡潔な運転主回路が得られ、ある
いは、特に低・中速域でのアクセル・ブレーキ操作頻度
を考慮し、電動用スイッチング素子34及び始動用スイ
ッチング素子81S(実線図示)を、図9(a)の如く
直・並列切り替え用ダイオード75S及びスイッチング
素子75Pとともに無接点化するのがよく、また、回路
遮断器86で主電源回路から分岐し、チョッパ87、リ
アクトル88及び電流センサ89を介し、還流ダイオー
ド90で平滑にして蓄電池13を充電するが、大形車両
では、図14(a)に点線図示のように、エンジン駆動
の充電用発電機16に代えてもよい。
【0158】[操作系統] 図15において、変速操作
レバー48は、P(パーキング)、R(後進)、N(中
立)、DH(高速)、DL(低速)の各ノッチ及びボタ
ン(自動)57を有し、Pノッチ以外ではエンジンスイ
ッチ47の始動操作及びキー抜きが不可能のインタロッ
クを施し、アクセルペダル49は踏角センサを、ブレー
キペダル50は油圧シリンダを、制動制御器22はの油
圧センサ及び電磁弁の如き制御機器を持ち、運転席正面
の表示盤52に実施例1の図2と同様に各種計器及び表
示灯を配する。
【0159】[作動モード] クラッチ2が「接」と変
速機構4が「中立」でモードIを、クラッチ2が「脱」
と変速機構4が各変速段(1速〜4速)でモードIIを、
クラッチ2が「接」に戻ってモードIII を、前述の図3
と同様にそれぞれ形成し、電動・回生とも、その作動モ
ードは実施例1と同様である。
【0160】[エンジン始動] 変速操作レバー48の
PノッチでモードIにあり、エンジンスイッチ47
「入」で電動モードになり「始動」でチョッパ38が制
御作動して電動始動、アイドリング回転に達し回生モー
ドに切り替わり発電作動して蓄電器11に補充電、低圧
電源用チョッパ87が作動して蓄電池13を浮動充電
し、油圧ポンプ14が始動してクラッチ2及び変速機4
を作動準備状態にし、あるいは大形車両では実施例1と
同様に、エンジンスイッチ47「入」で油圧ポンプ14
を始動しモードIとした後、セルモータ(図示省略)で
始動する。
【0161】[発進・加速・力行] 変速操作レバー4
8をDLノッチに入れると、モードIIと電動モードに切
り替わり、変速段「1速」に作動して微速始動し、アク
セルペダル49を踏むと、モードIII に切り替わり、ペ
ダル踏角に対応の加速度で気電共働加速し、「2速」に
達し気動力行に移行し、DHノッチに入れるとペダル踏
角に対応の速度に応じ、「3速」または「4速」まで変
速進段と気電共働で加速し気動力行に移行する。
【0162】[惰行] 変速操作レバー48をNノッチ
に戻すとモードIに戻り変速機構4を「中立」にして惰
行できるが、DLやDHノッチのままで、後述の定速制
御によるモードIIの無トルク惰行及び定速抑速の方が、
下記の制動操作に回生ブレーキが即応するので安全上好
都合である。
【0163】[制動] ブレーキペダル50を踏むと、
制動制御器22の油圧センサ作動でクラッチモードIIと
回生モードになり、該ペダル踏み角に対応の減速度で
「3速」まで回生制動、操作レバー48をDLノッチに
戻すと1速まで回生減速、変速ノッチDH、DLに対応
の発電ブレーキの微速に達し、制動制御器22の電磁弁
作動で車輪ブレーキの油圧作動に移行し、該ペダル踏み
力に対応の制動力で停止する。
【0164】[急ブレーキ] ブレーキペダル50を強
く踏むと、直ちに制動制御器22の油圧センサ作動で運
転主回路を遮断し、電磁弁作動でブレーキペダル50の
制動油圧で全車輪8の車輪ブレーキ9が作動し、急制動
・停止する。
【0165】[後進] 変速操作レバー48をRノッチ
に入れると、モードIのまま回生モードで停止寸前まで
急減速し、接触器76Rに替わって界磁3Fを逆励磁
し、電動モードに替わって電動機3を逆転し、続いて変
速機4が1速に入ってモードIIに替わり後進側に電動発
進し、アクセル・ブレーキペダル49、50の操作で電
動・回生・車輪ブレーキが作動し加速・走行・制動・停
止を行ない、Nノッチに戻しても逆励磁のままモード0
で電動機3は空転して次の後進操作に備え、DLノッチ
に入れると、回生モードで急減速の上、接触器76Fの
正励磁と電動モードに替わって正転し、モードIIに替わ
って前進発進し、あるいはPノッチに戻せば、回生モー
ドで急減速の上、正励磁とモードIに替わって電動機3
がエンジンとのアイドリングに移る。
【0166】[慣性・勾配抵抗] 表11に示す要目を
持つ本実施例の小形乗合自動車(Bus )について、実施
例1の図4及び図5と同様にモデル化して、標準的な駅
間距離S、走行速度v及び加・減速度α、βを想定した
運転サイクルにおける走行抵抗及び慣性抵抗と、勾配s
の道路の登・降坂の運行サイクルにおける勾配抵抗に関
して、表12にそれぞれ動力関係諸量を示すように、制
動エネルギ率εb 及び抑速動力率εb とそれぞれのエネ
ルギ回収率εr は、実施例1の気動車のものと同様に、
本発明によるかなりの燃料消費量の節減が期待でき、ま
た、そのために電動・回生系統の往復動力効率ηr =η
p^2 (ηp はその系統の突入・定常負荷における総合効
率)と車輪ブレーキ率εw が重要である。
【0167】表11
【0168】表12
【0169】特に一般交通道路の中速運転(40〜72
km/h)では、慣性抵抗Fia、Fibによる制動動力率εb
は71〜49%に、平均的な勾配路(s=6%)で抑速
動力率εs は63〜46%に達し、従来の車両では加速
や登坂に費やした動力量の大半を車輪ブレーキやエンジ
ンブレーキで熱に戻して捨てているが、本発明の運動・
位置のエネルギの回収と再利用によるエネルギ回収率ε
r は、それぞれ48〜33%及び48〜35%に達し、
なお、交通信号や曲折等の交通状況から駅間途中の制
動、停止及び再始動・加速も加わってそれらの値はかな
り増加し、燃料消費量の半減即ち1リットル当たりの走
行距離の倍増が、また、高速道路の運転(72〜120
km/h)においても、側線からの出入りや交通密度等に伴
う加・減速毎の加速・制動エネルギWda・Wb が大きい
ので、燃料消費量のかなりの節減が、それぞれ期待でき
る訳である。
【0170】[負荷分担・定速制御] 図16におい
て、走行速度センサ20の出力v(km/h)及び電動機負
荷電流センサ32の出力Im (A)で、それぞれ関数発
生器59、60が働き走行抵抗特性Tv 及び電動・回生
損失τL の出力を発生し、演算器61で加算してTv +
τL を得、変速操作レバー48のボタン57「自動」で
作動するリレー62で定値信号Temとの切り替えを行な
い、演算器63でアクセルペダル49の踏み角aとの掛
算により、「自動」ではTe =a*(Tv +τL)、
「手動」ではTe =a*Temで実負荷特性図表64の如
くエンジン出力Peを操作し、また、走行速度センサ2
0の出力vで記憶器65の記憶値vo を更新しているの
で、演算器67の出力vo −v=0であり、アクセルペ
ダル49の出力+αまたはブレーキペダル50の出力−
αにより、実負荷特性図表68の如く走行速度vで分巻
特性トルクTd 〜Tb を±αに移動するよう制御され、
電動・回生の実負荷(慣性・勾配抵抗を含む)のPd 〜
Pb となり、エンジン出力Peを実負荷加算69で重ね
合わせ、電動負荷分担はPm =Pd −Pe 、回生負荷は
エンジンが切り離されてPg =Pb となり、加速・力行
または制動、また、両ペダル49、50をフリーにした
時または変速操作レバー48をNノッチからDHまたは
DLノッチに入れた時、リレー66の作動で記憶器65
は入力vを遮断され記憶値vo を保持し、演算器67の
出力vo −vで該制御器68が記憶値の速度vo に制御
作動し、降坂ではPg =Pb の定速制御の回生抑速が作
動し、平坦路や登坂では電動無トルクで惰行となる。
【0171】[負荷分担の適用] 加速・力行は、自動
モードでは前述のCase-II 、手動モードではエンジン1
のトルク限度まで気動、超えると電動を加え気電共働、
制動・抑速は、両者とも電動機に負荷を集中し(Pg =
Pb )回生ブレーキとなるが、自動モードでは、走行抵
抗負荷Pv が大きく勾配抵抗負荷Ps が小さい高速走行
では、加・減速や登・降坂で放電側に偏り、手動モード
では、Pv が小さくPs が大きい中速走行で充電側に偏
るので、蓄電電圧Vと路線状況により、負荷分担モード
を選択するのがよい。
【0172】前述の表3と同様に、本実施例の慣性抵抗
Fia、Fibに係る気電負荷分担及び蓄電器充放電におけ
る諸量を、気電動力容量Pem、Pm 、Pg 、最大加速度
αmax 、βmax 、及び前述の運転加速度α、βを発揮で
きる限度勾配smax ・軸負荷Pdmax、Pbmaxとともに表
13に示す。
【0173】表13
【0174】前述の表4及び表6と同様且つ要部を抽出
して、本実施例の勾配抵抗Fs に係る負荷、気電負荷分
担と動力勘定を、登・降坂最大標高差Hmax とともに表
14に示す。
【0175】表14
【0176】各々走行速度v(100km/h以下)の限度
勾配smax における最大標高差Hmax は517〜790
mに達するので殆どの路線に運行可能であり、その登・
降坂距離Smax の走行時間tmax は、電力量Wc =2
2.5MJを数分で急速充放電する如き、即ち100F
・750V(前述の表11参照)の蓄電器の定格蓄電電
力量Wo =56.25MJ(蓄電池換算で21AH*2
4V*31個直列)を10〜30分の充放電時間率の如
き、蓄電池では耐えられない極めて重債務なることを示
している。
【0177】[動力・負荷特性] 気電動力特性は、電
動機3の定格容量が異なる他は前述の図10と同様であ
り図示省略、負荷特性は、前述の図11と同様に示せば
図17の如くなり、高速道路の平坦路を設計最高速度
(120km/h)で4速Te の気動走行ができ、一般交通
道路本線の最急勾配s=12%を1速Te の気動登坂、
支道や登山道等の最急勾配s=25%を1速Te +Tm
の気電共働登坂、1速Tg の回生降坂での定常走行がで
き、単時過負荷(1速・2速のTe +TmeとTge)を伴
って車輪のスリップ限度勾配s=45%まで登・降坂可
能を示している。
【0178】なお、変速操作レバーのDHノッチのみで
発進・加速・制動し、高速道路の最急勾配s=6%で
は、3速Te で85km/hの気動登坂を、4速Te +Tm
及びTg で120km/hの気電共働登坂及び回生降坂を、
一般交通道路本線の最急勾配s=12%では、72km/h
で3速Te +Tm の気電共働登坂と3速Tg の回生降坂
を、それぞれ余裕を以て定常走行ができ、支道や登山道
等の急勾配s=12%以上ではDLノッチで走行し、発
進前または走行中に道路勾配に応じ変速ノッチDLまた
はDHを選択し、1速−2速または3速−4速の進・戻
段は負荷に応じて自動操作し、また、追い越し等でアク
セルペダルを深く踏むだけで過負荷トルクTe +Tmeが
働き急加速もできる。
【0179】
【実施例3】実施例3として、本発明の主動力系統にお
ける逆転機2及び変速機4について、主に実施例1の気
動車のものを、実施例2の自動車のものは《》内に相違
点を、図面を参照し説明する。
【0180】[逆転機] 図18(a)において、逆転
機2{図1(a)参照}の正・逆転機構GF・GRは、
エンジン1に連結の入力軸91と電動機3に連結の出力
軸92との間に、正転用歯車93、94(中間歯車)、
95と逆転用歯車96、97を配し、従動側の歯車9
5、97は軸受98、99を内蔵して遊転し、油圧カプ
ラー100を介して油圧操作のそれぞれク摩擦ラッチC
F、CRで出力軸92に選択連結し、出力軸92が入力
軸91と同一または逆方向に回転するよう構成し、エン
ジン1の定格トルクに見合う伝達トルク容量Pe とす
る。
【0181】図18(b)の計算表において、クラッチ
CFまたはCRが連結して、入力軸91が全速回転(N
e =100%)すれば軸92が正転または逆転方向に全
速回転し、空転側のクラッチCRまたはCFの対向摩擦
板の相対回転数δNは軸回転数Ne の2倍となり、空転
損失は、δNの3乗に略々比例するので損失係数κe=
2^3のように、単クラッチの全速空転(δN=100
%)のときの約8倍に達し、両クラッチ「脱」(前述の
クラッチモードII)では、入力軸91及び全歯車が低速
のアイドリング回転数(例えばNe =20%)、出力軸
92が電動機3の全速回転数(Nm =100%)で回転
し、両クラッチCF及びCRの対向摩擦板の相対回転数
δN=Nm ±Ne は80%及び120%、損失係数κe
=0.8^2+1.2^2のように2.24倍に達するが、
伝達トルク容量Te は気電共働の突入過負荷を伴う変速
機4の伝達トルク容量(Pe +Pme)の約1/4であ
り、変速機4に比べクラッチや歯車が小さいので空転損
失や攪拌損失がそれだけ小さく、往復動力伝達の変速機
4への影響は、損失係数κ=κe /4となり、それぞれ
κ=8/4=2及び2.24/4=0.56の如く低減
される。
【0182】[変速機] 図19(a)において、変速
機4{図1(a)及び図14(a)参照}は、入力軸1
01と出力軸102との間に中間軸103を持ち、入力
側の軸対101・103には、速比i1 、i2 の歯車対
104・105、106・107を配し、その従動側の
歯車105、107に軸受108、109を内蔵して遊
転とし、油圧カプラ110を経て油圧操作される摩擦ク
ラッチC1、C2で従動側の中間軸103に選択連結、
出力側の軸対103・102にも同様に、速比i3 、i
4 の歯車対111・112、113・114を配し、そ
の従動側の歯車112、114に軸受115、116を
内蔵して遊転とし、油圧カプラ117を経て油圧操作さ
れる摩擦クラッチC3、C4で従動側の出力軸102に
選択連結するよう構成した3軸形歯車変速機構のもので
あり、各変速段において、1速ではクラッチC1・C3
が接で速比Σi=i1 *i3 、2速ではC2・C3が接
でΣi=i2 *i3 、3速ではC1・C4が接でΣi=
i1 *i4 、4速ではC2・C4が接でΣi=i1 *i
4 となり、各クラッチC1、C2、C3、C4の伝達ト
ルク容量は、入力軸101のトルクの1/i1 、1/i
2 、1/(i1 *i3 )、1/(i1 *i4 )であり、
全速空転トルクも略々同じ比率である。
【0183】両軸対とも同じ速比i1 =i3 、i2 =i
4 とし、全後進レバー48(図2参照)のFLノッチ及
びRノッチでクラッチC3、FHノッチでC4を選択
し、前者でのクラッチC2接の速比(Σi=i2 *i3
)と後者でのC1接の速比(Σi=i1 *i4 )とを
同一にして3段変速の変速機構G1〜G3{図1(a)
参照}《両軸対の速比i1^2 =i3 、i2 =i4 とし、
変速操作レバー48(図15参照)のDLノッチ及びR
ノッチでC3、DHノッチでC4を選択し、前・後者と
もクラッチC1、C2で2段変速で4段変速の変速機構
G1〜G4{図14(a)参照}》を形成する。
【0184】図19(b)の計算表において、各軸対の
空転クラッチの対向摩擦板の相対回転数δNは、駆動側
の軸回転数Nとし、入力側軸対のものを示せば、 δN=N*(i2 −i1 ) となり、空転損失係数κ1 は、連結クラッチ側の速比を
ic とすれば、 κ1 =δN1^3*ic/i1+δN2^3*ic/i2 但しδN1 (C1)、δN2 (C2)は、連結側はゼ
ロ、空転側はδNとなり、出力側軸対のものについても
同様にして空転損失係数κ2 を求め、両者の和κ1 +κ
2 =κを求めるが、前述の表1に記載の変速段と速比を
得るよう、i1 =i3 =1/1.618 、i2 =i4 =1/
1として、3段変速を行なう場合について、それぞれの
速比を上式に代入して空転損失係数κを求めれば、最大
値となる3速(最速段)でもκ=0.236 となり著しく小
さい値となり、全歯車対とも同一回転方向で隣接歯車対
間の相対速度は空転クラッチと同様に小さいため攪拌損
失も軽微であり、動力伝達損失pt は連結側の歯車列の
噛合い損失(約2%)に近い値に低減される。
【0185】なお、全クラッチが脱即ちクラッチモード
Iの全速惰行においては、入力軸101は気電ともアイ
ドリング回転数(例えばNin=20%)、出力軸102
は全速回転(Nout =100%)であるが、その中間の
回転数(Nmid =略々70%)で中間軸103が浮遊転
するため、各クラッチの相対速度δNは両軸対に分配さ
れ、それぞれ上記の計算式をic =1/1として適用す
れば空転損失係数κ=0.957 となり、全クラッチ4個の
空転に拘らず、伝達トルク容量が最小のクラッチC2単
体の全速空転損失係数(δN=100%でκ=1)と同
等の値であり、惰行時の空転抵抗は低減される。
【0186】図20(a)に示す変速機4は、上述の3
軸形歯車変速機構の出力側の軸対103・102に配し
た摩擦クラッチC3、C4を同期噛合いクラッチに替
え、結合スリーブ118を油圧カプラ117を経て油圧
駆動されるプランジャ119及び摺動フォーク120で
操作して該クラッチC3、C4を選択連結し、入力側の
軸対101・103に配した摩擦クラッチC1、C2が
「脱」の間に該クラッチC3、C4が「接・脱」するよ
う油圧操作機構を構成したものであり、その構造上、伝
達トルク容量が大きく、空転トルクが小さいため(摩擦
クラッチの略々20%に想定)大きい方の空転損失係数
κ2 が減少し、図19(b)の変速比において、3速で
はκ1 =0.035 、κ2 =0.146 *0.2 、中立では、同期
噛合いクラッチC3、C4の空転トルクが小さいため、
中間軸103の浮遊転回転数Nmidが入力軸101の回
転数Ninに近づき(Nmid =約55%)、κ1 =0.168
、κ2 =0.123 (図示省略)、総合の空転損失係数κ
はそれぞれ0.119 、0.291 (図示省略)の如く著しく小
さく、動力伝達損失pt は連結側の歯車列の噛合い損失
に更に近くなり、惰行時の空転抵抗は更に低減される。
【0187】《図20(b)の計算表において、前述の
表11に記載の変速段と速比を得るよう、i1 =1/1.
414 、i2 =i4 =1/1、i3=i1^2=1/2とし
て、4段変速を行なう場合についてそれぞれの速比を前
述の計算式に代入して空転損失係数κを求めれば、多段
(4段)・高変速(1/2.828 〜1/1)においても4
速(最速段)でκ=0.071 の如く極めて小さい値とな
り、動力伝達損失pt は連結側の歯車列の噛合い損失に
極めて近くなる》。
【0188】《全クラッチが脱即ちクラッチモードIの
全速惰行においては、上述と同様に、入力軸101の回
転数Nin=20%、出力軸102の回転数Nout =10
0%、中間軸103は入・出力軸101、102の中間
の回転数Nmid =約55%で浮遊転し、空転損失係数κ
=0.273 は全クラッチ4個の空転に拘らず極めて小さ
く、変速機4の空転抵抗はゼロに近くなる》。
【0189】《実施例2の自動車の如き単一気電駆動ユ
ニット5を持つ単一車両では、点線図示の油圧プランジ
ャ119を操作ロッド121及び手動操作機構122に
置き換えてもよく、その場合は、変速操作レバー48
(図15参照)の操作(例えばDLからDHへ)に伴っ
て、そのノッチストッパ(図示省略)機構等で油圧回路
を閉じ、摩擦クラッチ(例えばC2)が「脱」になり、
同期噛合いクラッチ(例えばC3)を無トルクにし結合
スリーブ118を動かして「脱」、続いて所定の側のク
ラッチ(例えばC4)を「接」にした後、ノッチストッ
パ機構等が再び油圧回路を開き摩擦クラッチ(例えばC
1)を「接」にするよう油圧操作機構を構成する》。
【0190】図1(a)に点線図示のように、電動機3
のエンジン側に単独の摩擦クラッチCEを配し、車軸減
速歯車7に正・逆転機構GF、GRを加える場合は、図
21(a)において、入力軸91にエンジン1を、出力
軸92に電動機3を連結し、油圧カプラー100を介し
てクラッチCEが油圧操作され、図21(b)におい
て、入力軸123は伝導軸6に連結して、駆動側傘歯車
124で互いに逆転する従動側傘歯車125、126は
軸受127、128で遊転し、油圧カプラー129を介
して油圧操作の歯クラッチCF、CRが停車中に図2に
示す前後進レバー48をFL、FHまたはRノッチに入
れたとき「接」となるよう構成する。
【0191】歯クラッチCF、CRは小形で伝達容量が
大きく、減速従動側に配するため空転損失は軽少で、互
いに逆回転する2個の従動側傘歯車125、126の攪
拌損失とともに噛合い損失に加わるが、上記の単独クラ
ッチCEはスペース(Space)を取らないので、小形車
両に使用するのがよい。
【0192】[クラッチ連結操作] 逆転機2及び変速
機4の摩擦クラッチは油圧操作の緩作動で連結を緩やか
に行なうが、図22において、逆転機2の操作信号GF
またはGRで限時作動・瞬時復帰形タイマー(On-Deley
Timer)130を付勢するとともにリレー131が作動
し、タイマー130の限時作動でリレー131が復帰す
るまでのtd 秒間に、エンジン1と電動機3の回転数セ
ンサ19、3Dの出力Ne 、Nm の差即ち演算器132
の出力Nm −Ne がゼロになるよう気電等速制御を行な
い、発進・加速時と抑速から力行や制動から停車の移行
時に気電等速制御でエンジン連結を円滑にし、また、変
速機4の操作信号G1、G2、G3でタイマー133を
付勢するとともにリレー134が作動し、タイマー13
3の限時作動でリレー134が復帰するまでのtd 秒間
に、電動機3の回転数センサ3Dの出力Nm と走行速度
センサ20の出力vを演算器135で電動機軸換算の回
転数Nv との差即ち演算器136の出力Nv −Nm がゼ
ロになるよう変速進段過渡時に気・電動回転数Nm を下
げ、進段直後の回転数Nv に合わせて等速制御し、変速
戻段過渡時に回生電力をパワーオフ(Power Off )し、
電動機3を空転させてクラッチの滑り負荷を軽くし、ク
ラッチ連結を円滑にするとともに、クラッチの滑りエネ
ルギによる容量増加とそれに伴う空転損失増加を避け
る。
【0193】
【実施例4】実施例4として、前述の図1及び図14に
記載のエンジン1の排熱利用の熱交換器24について、
図23を参照し説明すれば、エンジン1の冷却水137
は、一次熱交換器138で熱媒139を加熱し、冷却放
熱器140で余熱を大気中に放散し、冷却水ポンプ14
1でエンジン1に戻り、熱媒139は、二次熱交換器1
42に入りエンジン1の排気143で加熱されて昇温し
蓄熱材144との熱授受をしながら、冷暖房切り替え弁
145を経て暖・冷房用放熱器146にまたは冷却機1
47(吸収式熱冷変換等)を通り、熱媒ポンプ148で
一次熱交換器138に戻り、冷媒149は、冷却機14
7から切り替え弁145を経て暖・冷房用放熱器146
に供給・循環するよう構成する。
【0194】冷却水137の温度は、車両の運転サイク
ルや登・降坂サイクルの如き短時周期では、その熱慣性
と、エンジン1の回転数Ne で駆動の冷却水ポンプ14
1の循環速度特性と冷却放熱器140の余熱放散で略々
一定に保たれるので、一次熱交換器138での熱媒13
9の温度はあまり変動しないが、排気ガス143の温度
は、エンジン軸負荷Pesに即応して変動し、加速時、高
速走行や急勾配登坂の重負荷と、平坦路の中速走行の軽
負荷や惰行、減速、降坂抑速及び停車中のアイドリング
とでは大差があるので、蓄熱材144で平準化し二次熱
交換器142での熱媒139の温度を略々一定に保ちな
がら高温の熱源を安定供給し、放熱器146や冷却機1
47のエネルギ効率を稼ぎ、車内の暖・冷房を行なうの
で、エンジンの軸出力からの動力は、熱媒循環ポンプ1
48、冷却機147内の冷媒循環ポンプ・送風機(図示
省略)及び放熱器146の送風機の如く極めて小さく、
充電用発電機16から蓄電池13を経て供給する。
【0195】車両用エンジンの熱効率ηe は30%程度
即ち燃料熱量Hf の約30%が軸出力Pesとなり、エン
ジン自体の機械損失等PeLや自然放熱Hr を除き、大部
分(約60%)の熱量が冷却水熱Hw 及び排気熱Hg で
あり、エンジン1の冷却性能への影響及び排気143の
背圧を避けるため両熱交換器138、142の熱交換効
率ηex1 、ηex2 を低く見て約50%としても、半量づ
つの回収熱H1 、H2で該エンジン1の軸出力Pe と同
等の熱出力Hexが得られ、冷却機147の熱・冷変換効
率ηcnv 及び放熱器146の熱交換効率ηo において、
暖房出力はHo=Hex*ηo 、冷房出力はHo=Hex*η
cnv *ηo が得られ、特に冷却機147の変換効率ηcn
v の向上が重要である。
【0196】
【発明の効果】一般に車両は、自重mと走行抵抗Fv の
比m/Fv が大きいので慣性抵抗及び勾配抵抗が大き
く、本発明においては、それらが為す大きな運動・位置
のエネルギを、駅間の加・減速を伴う運転サイクル毎及
び運行区間の登・降坂を伴う往復サイクル毎に正・負相
殺される無効動力と考え、エネルギ可逆性を持つ電動機
3と充放電機能を持つ蓄電器11で処理し、常に正
(+)の値をとる走行抵抗Fvが為す負荷を実効動力と
考え、無効動力処理に伴う主動力系統の往復動力伝達損
失とともに、エンジン1が負担することにより、従来の
車両が車輪ブレーキやエンジンブレーキ等で熱に戻し無
益に捨てている無効動力の負(−)の部分の回収と、次
サイクルの無効動力の正(+)の部分への再利用によ
り、燃料消費量を半減近く節減を可能とする訳である。
【0197】蓄電器11は、数分〜十数分の如き走破す
る勾配落差に見合う蓄電容量のもので充分のため、蓄電
池車の如き数時間走行の大容量を要せず、小形軽量が期
待でき、また、蓄電原理が静電・静止且つ極めて小さい
内部導体の抵抗損失及び対向電極の漏洩放電のみで円滑
且つ低損失で急速充放電でき、エネルギ回収率εr の向
上に極めて有効であり、そのような重債務・高頻度の充
放電を繰り返しても劣化やトラブルなく寿命は半永久的
のため、蓄電池の如き劣化や旧品・廃棄物処理に伴う問
題もなく、資源や環境保全上にも誠に好都合であり、な
お、蓄電電力量Wは、電圧Vの2乗に正確に比例し、負
荷による瞬時電圧昇降も極めて小さいので、簡単な電圧
計55で容易・確実に表示・管理が可能である。
【0198】気電駆動ユニット5は、前述の表1や表1
1に記載の如き高速ディーゼルエンジン1とそれに見合
う定格の電動機3を使用すれば、逆転機2や変速機4と
ともに小形・軽量のものとなり、上述の蓄電器11や制
御装置とともに、車両の床下装備、騒音抑制及び車重軽
量化が容易であり、また、3〜4段の変速により、平坦
・緩勾配路の高速から急勾配路の中速に亘る広い負荷・
速度域で、高出力を発揮し効率良く運転できる。
【0199】平坦路や緩勾配路で運転では、低・中速域
の走行抵抗負荷は軽く、変速中段例えば2速(3段変
速)や3速(4段変速)でも電動機3の過負荷トルクで
充分な加・減速度且つ低騒音で加速・制動でき、負荷に
合わせ2速〜3速(3段変速)や3速〜4速(4段変
速)の変速段を自動選択し低目の回転数で、急勾配路の
運転では、同様に1速〜2速(3段・4段変速とも)を
自動選択し強力な牽引・制動力で、気電とも効率よく定
常走行する。
【0200】電動機3は、間欠的な慣性・勾配負荷を負
担し、緩勾配を含む定常力行負荷は主にエンジン1が負
担するので、負荷時間率(ED%)は電動車両のものよ
りかなり小さく、また、その軸負荷容量は、主に主回路
の電流容量即ち銅損に支配されるので、回生負荷Pg は
電動負荷Pm の1/ηp ^2(ηp 総合効率)が可能であ
り、前述の表4《表12》の抑速動力率εb =Pb /P
d を併せ考えれば、エンジン1のトルク容量に近い定格
のもので以て、気電共働の力行負荷Pd と電動機3に集
中の抑速負荷Pb に同等の負荷率で対応でき、なお、両
者とも突入過負荷トルクは略々同等(正負対称)であ
る。
【0201】発進は電動のみで行ない、アイドリンク回
転の電動機3の慣性力が電動トルクに加わるので車両を
円滑・確実に始動し、加速・制動は変速進・戻段を伴っ
て気電共働及び回生で効率良く行なうので、電化線区の
電動車両と同等の運転性能(加速性、登・降坂力、制御
性)を発揮し、蓄電器11の充放電は運転・登降坂サイ
クル毎に平衡するので休止充電は不要、燃料給油毎の運
行距離の著増もあり、非電化線区で運行効率を著しく改
善でき、また、過電圧の増出力回生トルクで高速域の急
制動もでき、昇圧回生で停止寸前の微速まで制動するの
で、車輪ブレーキの債務は極めて軽くなる。
【0202】主電気系統において、界磁制御は勿論、平
滑回路や還流回路による電動機回路32の負荷電流Im
、Ig 及び蓄電器11の充放電電流Ic の平滑化で、
歪波形による電動機回路32の銅損や蓄電器11の充放
電損失の増加なく、低速域の電動と昇圧回生では断続流
の還流電流で充放電するが、蓄電器11の内部抵抗は極
めて小さいので損失増加は微小であり、また、チョッパ
38の作動周波数(数百Hz)が高いので、リアクトル
36、42は低インダクタンスで済み抵抗は極めて小さ
く小形・軽量にでき、電機子のY・Δ切り替え、変圧増
速や2台または2巻線の直・並列切り替えにより電気的
変速で運転主回路の債務を軽減するので電力損失は微小
である。
【0203】複数素子で構成のチョッパ38単数を、電
動、昇圧回生および過電圧回生の電圧制御及び電動始動
時のインバータ73の転流補助に共用するので運転主回
路は簡潔であり、なお、過電圧回生を実施例2の図14
(a)の如く電動機回路32のインバータ73の制御整
流で行なえば、主接触器39、副リアクトル42、過渡
ダイオード40及び平滑コンデンサ41を省略して更に
簡潔になり、電機子は歪波形電流による銅損増加を伴う
が、電圧変成率ε=V/Eは0.5以上であり、急制動
のみに適用すればその影響は軽微である。
【0204】直流無整流子電動機は、整流子火花・閃絡
の如きトラブルが無いため過負荷・過電圧耐量が大き
く、直流整流子電動機と同様なトルク特性が得られ、電
機子巻線のY・Δ切り替えで電動域の拡大(3^0.5=1.
732 倍)とともに強界磁で電機子反作用を抑えて突入過
負荷トルク効率を向上でき、過電圧回生作動で突入制動
トルクを格段に増加できるので、車両用として誠に好都
合である。
【0205】電気角30度の位相差の2組の電機子巻線
の無整流子電動機は、恰も12相交流の如く働き、軸ト
ルク及び起電力の脈動が極めて小さいので、始動が円滑
になり加速・制動における車輪の粘着性が向上し、1軸
でY直列、Y並列及びΔ並列の電気的変速段が得られ、
共通鉄芯・相殺極性のリアクトル及び還流ダイオードの
有効な平滑作用により、Y直列でもインバータの電機子
電圧制御は可能となるので、単ユニット駆動にも好都合
である。
【0206】直流整流子電動機でも、整流子を強化して
充分な過負荷耐量及び過電圧耐量(例えば300%Im 及び
250%Ea )を持てば、本発明に係る気電駆動ユニットに
使用するに充分である。
【0207】双方向運転の気動車には不可欠の逆転機2
は、気電共働や突入過負荷電動・回生の往復動力伝達を
行なう変速機から切り離し、エンジン1と電動機3の間
に配するので、エンジン1の出力のみの伝達容量(気電
共働過負荷の約1/4)として小形化でき、正・逆転歯
車やクラッチ対向摩擦板の相対速度(200%)による
空転損失の峻増(2^3=8倍)の影響を低減(1/4)
する。
【0208】《実施例1の自動車の後進は、空転損失や
攪拌損失が大きい逆転機構GF、GRを使用せず、電動
逆転によるものとして主動力系統を簡潔にし、過負荷ト
ルクで車輪スリップ限度勾配までの登・降坂も可能、一
般に駐車や終端駅での操車等低頻度且つ短距離のため蓄
電電力消費も少ない》。
【0209】変速機4について、図19に示す3軸形歯
車変速機構は、各軸対内の変速比が小さいため、各変速
段において摩擦クラッチの対向部の相対回転数が小さ
く、中立においても中間軸の浮遊転で各クラッチの相対
回転数が増大せず、いずれも空転損失は軽微になり、ま
た、図20に示す3軸形歯車変速機構は、出力側軸対の
ものを高伝達トルク・低空転トルクの同期噛合いクラッ
チに替えたもので、各変速段・中立段とも空転トルクが
著しく減少して、動力伝達損失pt が歯車の噛合い損失
に近付き、変速機4の効率ηt が向上し、なお、入力軸
側軸対の摩擦クラッチが「脱」の間に油圧操作《または
手動操作》で速やかに(略々0.5秒)接・脱でき、実
施例1の気動車では集中・遠隔操作、《実施例2の自動
車では変速操作レバーだけで(クラッチペダル不要)直
接操作》、いずれも容易・確実である。
【0210】例えば実施例1の変速比で、他の方式の変
速機構と比較するに、例えば2組の遊星歯車列と2組の
摩擦クラッチ・ブレーキで構成の遊星歯車形3段変速機
構では、1速(i1 =1/2.618 )及び2速(i2 =1
/1.618 )で作動するそれぞれ摩擦ブレーキの保持トル
クは、入・出力トルクとの平衡の原理から、 入力軸トルクの1/i1 −1=1.618 倍及び1/i2 −
1=0.618 倍 であり、3速(i3 =1/1)では両ブレーキとも全速
空転するので、その空転損失係数κは κ=1/i1 +1/i2 −2=2.236 は保持トルク倍率の和となり、一般に自動車用の高速回
転で動力伝達損失pt が5〜10%に達し、歯車の噛合
い損失(一般に約2%)から見て、空転損失は大半〜大
部分を占め、その度合いがこのκ値である。
【0211】1対の入・出力軸間に例えば3組の歯車対
と摩擦クラッチを並列に配して構成の2軸形歯車3段変
速機構では、いずれの変速段でも2個のクラッチが空転
するので、特に3速(i3 =1/1)では伝達トルクが
大きい1速・2速用クラッチの空転トルクが影響し、空
転損失係数κは κ=(1−i1 )^3/i1 +(1−i2 )^3/i2 となり、前項の各速比i1 、i2 を代入すれば、3速
(最速段)でκ=0.708の如く増加し、また、中立で全
速惰行では、入力軸はアイドリング回転(Nin=約20
%)で全3個のクラッチが大きな相対回転数δN=(1
−0.2 *i)で空転するので、空転損失係数κは κ=(1−0.2*i1)^3/i1+(1−0.2*i2)^3/
i2+(1−0.2)^3 となり、前項の各速比i1 、i2 を代入すれば、κ=3.
664 の如くクラッチ個数を上回る値となり、前項ととも
に空転損失係数κを図19(b)及び図20(b)のも
の(3速でκ=0.236 及び0.071 、中立でκ=0.957 及
び0.273 )と比較すれば、本発明の構成要素の3軸形歯
車変速機構は、空転損失が格段に小さく動力伝達損失p
t 及び惰行時の空転抵抗を著しく低減できる訳である。
【0212】図21(b)に示す車軸減速機は、減速従
動側にもう1個の傘歯車と小形で伝達容量が大きく空転
トルクが小さい歯クラッチを追加し、停車中に接脱する
簡潔な正逆転機構であり、その空転損失が気電共働・回
生の往復動力伝達効率ηr に多少影響するが、エンジン
1と電動機3との間には図21(a)に示す単独クラッ
チのみで空転損失は軽微であり、気電駆動ユニット5が
簡潔になるので、床下長さが充分とれない小形車両に好
都合である。
【0213】なお、変速機4に上記の如き歯クラッチに
よる逆転機構を配することも可能であるが、相対回転数
δN=200%の正逆転の歯車列は伝達トルク容量の関
係上寸法が大きく、攪拌損失が無視できないので、本発
明の対象にしない。
【0214】加速操作に伴うエンジン再連結や変速進・
戻段の過渡時には、自動車の手動変速操作手順の如く、
燃料・電力制御やパワーオフによる気・電相互や負荷側
との回転数を等速制御し、クラッチの連結時のショック
と滑りエネルギを軽減し、簡潔且つ小熱容量の逆転機及
び変速機で円滑な運転操作ができる。
【0215】エンジン1と電動機3は共に軸出力で負荷
を駆動し、緩勾配高速運転ではエンジン1に、急勾配中
速運転では電動機3に負荷が偏るので、気電負荷を前者
では実施例1の[Case−I]、後者では[Case−II]で
均分し且つ勾配抵抗に係る蓄電器11の充・放電を平衡
させ、また、慣性抵抗に係る突入過負荷では高速域で電
動機3に負荷が偏り放電超過するため、定常走行中や停
車中に運転操作レバー49の交叉方向操作(E〜M)で
[Case−I・II]の切り替え及びエンジン出力調整で予
・補充電することがでる。
【0216】エンジン1が主に分担する実効動力は、走
行抵抗負荷Pv と電動・回生系統の往復動力伝達損失p
L の和として制御され、走行速度vや勾配sに応じて上
記のCase−I・IIの負荷分担の自動制御と、走行速度v
に拘らずエンジントルク限度までは気動、超えると気電
共働として負荷分担の手動操作ができ、上記の交叉方向
操作(E〜M)により負荷分担率を無段調整して蓄電電
圧Vを路線状況に応じ定格や高めまたは低めにも調整で
き、なお、これを勾配路前・後の平坦路で予充・放電と
補放・充電で登・降坂標高差を稼ぎ、また、各駅停車の
中速区間で予・補充電し小駅通過の高速区間で電動補助
でエンジン負荷を軽減することもでき、蓄電電力の有効
利用と運転性能の向上が可能である。。
【0217】《実施例2では、気電負荷分担は、上述の
Case−IIのみの自動制御と、同様の手動操作であるが、
前者の放電超過傾向と後者の充電超過傾向とを使い分
け、停車中のアクセルペダル操作による予・補充電調整
を加え、路線状況に応じた蓄電電圧調整ができる》。
【0218】加速または制動し、所定の走行速度vo に
達して運転操作レバーのDノッチに戻した時その速度v
o を記憶し、その記憶値vo に保つよう電動・回生主導
の定速制御と、速度vo と勾配sに応じた上述の気電負
荷分担で、平坦・登坂路では気動・気電共働、降坂路で
は抑速が自動的に働き、簡単な操作で円滑な運転がで
き、《実施例2では、アクセルペダルまたはブレーキペ
ダルで加速・力行または制動し、ペダルフリーした時も
同様に、その速度記憶値vo に保つよう回生の定速制御
で、平坦・登坂路では無トルク惰行、降坂路では回生抑
速が働き、》従来の車両のエンジンブレーキの如き動力
損失や降坂勾配sによる速度変動なく、特に急勾配でも
強力な回生抑速で増速なく安全に降坂できる。
【0219】車両の冷房動力は、鉄道客車では、熱出力
3,3000〜4,2000kcal/h(38.4〜48.8KW)、冷媒圧縮機使
用のヒートポンプ式で消費動力は16〜20KW、車内
設備容量の大部分を占め、主動力のエンジンの軸出力P
es(例えば実施例1の257.4KW )の6〜8%に及び、そ
れだけ主動力への出力低下を来しあるいはエンジンの容
量増加を要するが、エンジンの排熱は軸出力Pesの略々
2倍以上の熱量を持ち、その大部分を占める冷却水熱H
w と排気熱Hg の回収を、その回収効率を50%程度に
してエンジンの冷却機能と排気背圧への悪影響を避け、
それぞれ半量としても、軸出力Pesに等しい回収熱出力
Hexが容易に得られるので、その15〜19%程度のの
冷房熱出力Hcnv は軸動力によらない吸収式冷却機でも
容易に得られる筈であり、一次・二次熱交換器での2段
加熱及び蓄熱材での均温化で、登・降坂サイクルの如き
短時周期では、高温の熱媒を略々定温で安定供給し該冷
却機の熱変換効率ηcnv を稼ぐことができ、暖房は勿
論、冷房も、熱・冷媒循環ポンプや送風機の軽微な消費
動力(蓄電池を介して給電)で可能となり、エンジンの
軸出力Pesの殆どを車両運転の主動力に利用できる。
【0220】本発明の構成機器について、エンジンは、
特に自動車用では、小形軽量のターボ過給機付き高速デ
ィーゼルエンジン(3000〜3600rpm)が数百馬力の大容
量機まで出現し且つ熱効率も向上しており、回転電機と
して最高効率の交流同期機と電力損失が極めて小さい静
止機器の半導体素子、リアクトル及びコンデンサは、逆
転機及び変速機の歯車、軸受及びクラッチとともに、産
業の各分野で広く使用されているので信頼性や耐久性に
ついて問題なく、蓄電器は、低圧(120V)では10
0F級のものが既に出現し電気自動車等の蓄電電源とし
て試用段階にあり、実施例1の如き高圧750V、大容
量500F《実施例2では750V、100F》且つ小
形・軽量のものもその分野の技術進歩により不可能では
なく、路線状況によっては半減に近い燃料消費量の著し
い節減と運転性能の向上のため鋭意実現すべきであり、
なお、吸収式冷却機は船舶用冷蔵庫等で半世紀前にも出
現しているので車載形のものも可能であり、車両主動力
として実施例1の257KW《実施例2の129KW》
の如き設備容量において、陸上固定施設と同様に、エン
ジン排熱利用のコ・ゼネレーションシステムは、燃料節
減と車載主動力の有効利用のために採用すべきと考え
る。
【0221】本発明の動力装置は、特に気電駆動ユニッ
ト及び制御装置について、主なエンジン容量毎に標準ユ
ニット化し、気動車両全般(気動機関車、気動客車、バ
ス、トラック、乗用車等)に客車等の旧車体の改装も含
め適用すれば、量産効果での充分な価額低減が期待で
き、著しい石油燃料の節減と排気ガスの低減は勿論、車
両の走行性能、操作性や稼動性の向上を伴い、その効果
は絶大なものと考える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の動力装置について、(a)は主動力
系統及び運転・制御系統を示す系統図、(b)は主電気
系統の主回路をその要部の動作電流波形とともに示す回
路図である。
【図2】実施例1の動力装置の運転操作機器を示す姿図
である。
【図3】気電駆動ユニットのクラッチの作動モードと動
力の流れを、(a)、(b)、(c)及び(d)に各種
の運転種目について示す流れ図である。
【図4】車両の駅間の運転サイクルにおける慣性抵抗に
関する諸量の状態を示す線図で、(a)は物理的諸量に
ついて、(b)は動力諸量について、それぞれ示す。
【図5】車両の勾配路の運行サイクルにおける勾配抵抗
に関する諸量の状態を示す線図で、(a)は登・降坂サ
イクルを、(b)は車両の牽引・制動力を、(c)は勾
配抵抗負荷を充放電電力とする場合(Case−I)の気電
負荷分担と動力勘定を、(d)は抑速負荷を充放電電力
とする場合(Case−II)の気電負荷分担と動力勘定を、
(e)は蓄電電圧を、それぞれ示す。
【図6】実施例1の気電負荷分担制御の作動を示す制御
系統図である。
【図7】蓄電器の充放電特性を蓄電池と比較して示す線
図で、(a)は蓄電器について、(b)は蓄電池につい
て、それぞれ示す。
【図8】直流無整流子電動機を使用した場合の電動機回
路について、(a)は回路図、(b)は電機子回路の位
相図である。
【図9】2組の電機子巻線を持つ直流無整流子電動機を
使用した場合の電動機回路について、(a)は回路図、
(b)は電機子回路の位相図である。
【図10】実施例1の気電駆動ユニットのエンジン及び
電動機の回転数とトルク及び電機子起電力との関係を示
す線図である。
【図11】実施例1の気電駆動ユニットについて、走行
速度と各変速段の出力トルク及び各勾配の負荷との関係
を示す線図である。
【図12】直流無整流子電動機の電機子回路に単巻変圧
器を組み合わせた場合の電動機回路について、(a)は
回路図、(b)はエンジン及び電動機の回転数とトル
ク、電機子起電力及び周波数との関係を示す線図であ
る。
【図13】直流整流子電動機を使用した場合の電動機回
路の回路図である。
【図14】実施例2の動力装置について、(a)は主動
力系統及び運転・制御系統を示す系統図、(b)は主電
気系統の主回路をその要部の動作電流波形とともに示す
回路図である。
【図15】実施例2の動力装置の運転操作機器を示す姿
図である。
【図16】実施例2の気電負荷分担制御の作動を示す制
御系統図である。
【図17】実施例2の気電駆動ユニットについて、走行
速度と各変速段の出力トルク及び各勾配の負荷との関係
を示す線図である。
【図18】逆転機の機構を示し、(a)は構造断面図、
(b)は空転損失に係る計算表である。
【図19】摩擦クラッチを使用した変速機の機構を示
し、(a)は構造断面図、(b)は実施例1の変速比に
ついて空転損失に係る計算表である。
【図20】摩擦クラッチと同期噛合いクラッチを混用し
た変速機の機構を示し、(a)は構造断面図、(b)は
実施例2の変速比について空転損失に係る計算表であ
る。
【図21】実施例1の逆転機構を車軸減速機に配した場
合について、(a)は単独の摩擦クラッチの、(b)は
車軸減速機の、それぞれ構造断面図である。
【図22】気電駆動ユニットの逆転機または単独クラッ
チと変速機のクラッチの連結や切り替えにおける過渡時
の等速制御の制御系統図である。
【図23】エンジンの排熱を車内の暖・冷房エネルギに
利用のコ・ゼネレーションシステムの流れ図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 逆転機、単独摩擦クラッチ GF、GR 正・逆転機構 CE 摩擦クラッチ 3 電動機 3A、3a、3b 電機子巻線 3F 界磁 3D 分配器 4 変速機 G1〜G4及びGP 変速機構(1速〜4速及び駐車) 5 気電駆動ユニット 6 伝導軸 7 車軸減速機、差動歯車 8 車輪 9 車輪ブレーキ 10 燃料槽 11 蓄電器 12 制御装置 13 蓄電池 14 油圧ポンプ 15 蓄圧槽 16 充電用発電機 17 圧縮機 18 自動発停クラッチ 19 回転数センサー 20 走行速度センサー 21 主幹制御器 22 制動制御器 23 制動空気弁 24 熱交換器 25 断路器 26、45、86 回路遮断器 27P 正極線 27N 負極線 28、33、89 電流センサ 29、41 コンデンサ 30 ヒューズ 31 電圧センサ 32 電動機回路 34 接触器、スイッチング素子 35、40、79 ダイオード 36、42、42a、42b、88 リアクトル 37、43、43a、43b、77、90 ダイオード 38、46、87 チョッパ 39、44 接触器 47 エンジンスイッチ 48 前後進レバー、変速操作レバー 49 運転操作レバー、アクセルペダル 50 制動操作レバー、ブレーキペダル 51 制動空気圧計 52 表示盤 53 速度計 54 エンジン回転計 55 蓄電電圧計 56 充放電電流計 57 ボタン(自動) 58 車両 59、60、71 関数発生器 61、63、67 演算器 62、66 リレー 64、68 実負荷特性線図 65 記憶器 69 実負荷加算 70 合成負荷線図 72 欠番 73、73a、73b インバータ 74Y、74Δ、76F、76R、85S、85P 接
触器 75S 直列用接触器、ダイオード 75P 並列用接触器、スイッチング素子 78 ボタンスイッチ 80 ゲート制御器 81、82、83 接触器 81S スイッチング素子 84 単巻変圧器 91、101、123 入力軸 92、102 出力軸 93、94、95、96、97 歯車 98、99 軸受 100、110、117、129 油圧カプラ 103 中間軸 CF、CR、C1、C2、C3、C4 クラッチ 104、105、106、107 歯車 108、109、115、116 軸受 111、112、113、114 歯車 118 結合スリーブ 119 油圧プランジャ 120 フォーク 121 操作ロッド 122 手動操作機構 124、125、126 傘歯車 127、128 軸受 130、133 タイマ 131、134 リレー 132、135、136 演算器 137 冷却水 138 一次熱交換器 139 熱媒 140 冷却放熱器 141 冷却水ポンプ 142 二次熱交換器 143 排気ガス 144 蓄熱材 145 切り替え弁 146 放熱器 147 冷却機 148 熱媒ポンプ 149 冷媒 [動力関係諸量の符号] V、Vo 、V1 、V2 蓄電電圧 δV 蓄電電圧変動値 E 電動機回路電圧 ε 変成比 Ion 通流電流 Ioff 還流電流 ton 通流時間 toff 遮断時間 Im 、Ig 電動・回正電流 Ic 充放電電流 Icf コンデンサ電流 IL リアクトル電流 Pe 、Pei エンジン出力・負荷 Pem エンジン出力容量 Peb エンジンブレーキ入力 Pm 、Pg 電動・回正出力・負荷 Pc 充放電電力 Pcg、Pcm、Pcs 充電・放電電力 Pgc 補充電電力 Pd 、Pb 力行・抑速負荷 pm 、pg 、pt 電動・回正・変速の動力損失 v 走行速度 vca 定加速度上限速度 vb 回生下限速度 α、β 加・減速度 αo 初加速度 ta 、tat、tap 加速時間 tb 、tpt、tbt 制動時間 Sa 、Sv 、Sb 加速・定常走行・制動距離 t、S 走行時間・距離 tst 停車時間 Fv 走行抵抗 Fi 、Fia、Fib 慣性抵抗 Fda、Fdv、Fb 加速・定常力行・制動抵抗 Wea、Wev、Web、ΣWe 実効仕事量 Wia、Wib 慣性仕事量(加速・制動) Wda、Wdv、ΣWd 牽引仕事量 Wb 制動仕事量 Pda、Pdv、Pb 牽引(加速・定常)・制動負荷 Pgc、Pgi 補充電電力(走行中・停車中) We 、Wm 、Wg 気動・電動・回生動力量 Ww 車輪ブレーキ仕事量 εe 実効動力率 εb 制動動力率、抑速動力率、 εw 車輪ブレーキ率 εr エネルギ回収率 ηp 総合効率 ηt 、ηm 、ηi 、ηc 変速機・電動機・制御装置・
蓄電器効率 s 勾配 H 標高差 Pv 走行抵抗負荷 Ps 勾配抵抗負荷 Sjm 予・補放電走行距離 Sig 予・補充電走行距離 T 出力・負荷トルク τL 損失トルク Te 、Tem エンジン出力トルク vo 記憶速度 Td 、Tb 牽引・制動トルク Q、Q1 、Q2 蓄電電気量 W、W1 、W2 蓄電電力量 δQ 充放電電気量 δW、Wc 充放電電力量 Vc 、Vd 充放電電圧 er 充放電電圧降下(内部抵抗) ec 、ed 充・放電電圧降下(分極作用) ηcd 充放電効率 Ey 、Eδ 電機子電圧 φ、ψ 位相差 Nei、Netm 、Nemax エンジン回転数 Nys、Ny 、Nδ、Nh 、Nmmax 電動機回転数 Nyse 、Nye、Nδe 、Nhu 電動機回転数 Te 、Temax、Tepm 気動トルク Tmys 、Tmy、Tmδ 、Tmh 電動トルク(定格) Tgu、Tgys 、Tgy、Tgδ 、Tgh 回生トルク(定
格) Tmyse、Tmye 、Tmδe 電動トルク(過負荷) Tgue 、Tgyse、Tgye 、Tgδe 回生トルク(過負
荷) Eys、Ey 、Eδ、Eδu 電機子起電力(直流回路換
算) Eyse 、Eye、Eδe 電機子起電力(直流回路換
算) τgue 、τgye 、τgδe 回生損失トルク e、e(%) 電機子電圧降下 Eh 、Ehu 電機子起電力(直流回路換算) A、B、C 定トルク域・定出力域・垂下域 Hf 燃料熱量 Pes 軸出力 PeL 機械損失 Hr 自然放熱 Hw 冷却水熱 Hg 排気熱 Hwc 冷却放散 Hge 排気放散 H1 、H2 、Hex 熱交換出力 Ho 暖・冷房熱出力 ηe エンジン熱効率 ηex1 、ηex2 、ηexo 熱交換効率 ηcnv 熱冷変換効率
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両内に蓄電器を配し、エンジンに電動
    機を組み合わせ、電動機のエネルギの可逆性により、車
    両の慣性抵抗負荷及び勾配抵抗負荷を主に蓄電器の充放
    電で処理し、走行抵抗負荷を主にエンジンで分担するよ
    う主動力系統及び主電気系統を構成した、気動車両の動
    力装置。
  2. 【請求項2】 エンジンと中立段を有する変速機構との
    間に、発電可能な電動機を配し、エンジンと電動機との
    間に、摩擦クラッチまたは摩擦クラッチを有する逆転機
    構を挿入した、気動車両の主動力系統。
  3. 【請求項3】 エンジンと中立段を有する変速機構との
    間に、発電可能な電動機を配し、エンジンと電動機との
    間に、バネの力で連結し油圧で解放する機構の摩擦クラ
    ッチを挿入した、気動車両の主動力系統。
  4. 【請求項4】 エンジン側クラッチを「脱」にして電動
    で発進の上、該クラッチを「接」にしてエンジンを電動
    機に再連結し、気電共働で加速および気動または気電共
    働で力行し、該クラッチを「脱」にしてエンジンを切り
    離し、電動機に制動及び抑速の負荷を集中して回生作動
    するよう制御機構を構成した、気動車両の主動力・電気
    系統。
  5. 【請求項5】 電動機回路(32)の一方に接触器(3
    4)とダイオード(35)を、他方にリアクトル(3
    6)を経てダイオード(37)とチョッパ(38)を、
    ブリッジ形に配して電源の正・負極(27P)、(27
    N)に接続し、同一方向の電動機電流で電動作動及び昇
    圧変成を含む回生作動を可能に構成した、車両の動力装
    置の運転主回路。
  6. 【請求項6】 請求項5のチョッパ(38)と負極(2
    7N)及びダイオード(37)との間にそれぞれ接触器
    (39)を挿入し、チョッパ(38)の入力側及びダイ
    オード(37)と負極(27N)との間に、ダイオード
    (40)と平滑コンデンサ(41)及びリアクトル(4
    2)とダイオード(43)をそれぞれ直列に配し、ダイ
    オード(40)に並列及びリアクトル(42)とダイオ
    ード(43)との接続点とチョッパ38の出力側との間
    に接触器(44)を配し、接触器(39)「入」、(4
    4)「切」で、請求項5の電動・回生作動を、接触器
    (39)「切」、(44)「入」で、発電過電圧の降圧
    変成で定トルク回生作動を可能に構成した、車両の動力
    装置の運転主回路。
  7. 【請求項7】 請求項5のリアクトル(36)の電動機
    回路側と負極(27N)との間にダイオード(43)と
    接触器(44)を直列に配し、接触器(44)「切」の
    ときチョッパ(38)で請求項5の電動・回正作動を、
    接触器(44)「入」のとき電動機回路(32)のイン
    バータ(73)の制御整流で電機子過電圧の定トルク回
    正作動を可能に構成した、車両の動力装置の運転主回
    路。
  8. 【請求項8】 請求項6のダイオード(40)または請
    求項7のダイオード(43)を接触器(81)を介して
    リアクトル(36)に並列に接続あるいはリアクトル
    (36)にスイッチング素子(81S)を並列に配し、
    リアクトル(36)の誘起電圧を短絡し、チョッパ(3
    8)の制御作動による断続流を電動機回路(32)に与
    え、ゼロ速度及び微速においてインバータ(73)の転
    流を助けるよう構成した、無整流子電動機の始動回路。
  9. 【請求項9】 同期電動機に分配器とインバータを組み
    合わせた無整流子電動機に、3相電機子巻線のY・Δ切
    り替え回路を配し、界磁の励磁制御を併用して、エンジ
    ンのアイドリング回転数まで発電域に包含し且つエンジ
    ンの最大トルク発生の回転数以上に電動域を拡大し、あ
    るいは、その電動機2台または電機子巻線2組の該イン
    バータの直流側に直・並列切り替え回路、または、電機
    子回路に単巻変圧器及びその接続・切り離し回路を加え
    て、該Y・Δ切り替え回路と併用し、エンジンの最高回
    転数を超える高速まで電動域を更に拡大した、気動車両
    の動力装置の電動機回路。
  10. 【請求項10】 30度の位相差を持つ2組の電機子巻
    線を持つ三相同期電動機に分配器とインバータを組み合
    わせた無整流子電動機に、各巻線組のY・Δ接続切り替
    え回路を配し、両インバータの直流側に直・並列切り替
    え回路を加えて、1台の電動機でY直列、Y並列及びΔ
    並列の電気的変速段を形成し、あるいはそれに加えて、
    鉄芯共通且つ直流磁界を相殺する極性のリアクトル及び
    還流ダイオードをそれぞれインバータの直流側に配し、
    直・並列いずれも該インバータで電機子電圧制御を可能
    に構成した電動機回路。
  11. 【請求項11】 走行速度センサ及びその出力信号の記
    憶器を配し、走行中に運転操作レバーを加速、中立及び
    制動のいずれかの操作ノッチから走行ノッチに移した時
    の走行速度を記憶し、その記憶値に走行速度に保つよ
    う、気動、電動及び気電共働力行並びに回生抑速が作動
    するよう構成した、気動車両の定速制御機構。
  12. 【請求項12】 走行速度センサ及びその出力信号の記
    憶器を配し、走行中にアクセルペダルやブレーキペダル
    をフリーに戻した時または変速操作レバーを中立ノッチ
    から走行ノッチに入れた時の走行速度を記憶し、その記
    憶値の走行速度に保つよう、回生抑速が作動するよう構
    成した、気動車両の定速制御機構。
  13. 【請求項13】 走行速度センサ及び電動・回生系統の
    負荷センサと、平坦路の速度−走行抵抗特性及び負荷−
    動力損失特性をそれぞれ設定した関数発生器並びに両関
    数発生器の出力信号を加算する演算器を配し、その演算
    器の出力信号でエンジンの燃料制御をして、電動機の分
    巻速度−負荷特性と重ね合わせ、加速・力行及び制動・
    抑速負荷の内の慣性抵抗及び勾配抵抗に係る負荷を電動
    機が分担し、それに伴う電動・回生系統の動力損失と走
    行抵抗に係る負荷をエンジンが分担するよう構成した、
    気動車両の気電負荷分担制御機構。
  14. 【請求項14】 運転操作レバーのボタン等で自動・手
    動モードを切り替え、自動モードでは、請求項13の気
    電負荷分担制御が働き、手動モードでは、力行負荷がエ
    ンジントルク限度までは気動、超えると気電共働、抑速
    負荷には回生が働くよう、また、いずれのモードでも、
    請求項11の定速走行中には該レバーの両方向の横倒し
    角に応じ、エンジンの出力を増減して気電負荷分担を調
    整し、該レバーの中立ノッチで停車中及び惰行中には一
    方向の横倒し角に応じエンジンの出力を変えて予・補充
    電電力を調整できるよう構成した、気動車両の気電負荷
    分担操作機構。
  15. 【請求項15】 変速操作レバーのボタン等で自動・手
    動モードを切り替え、自動モードでは、請求項13の気
    電負荷分担制御を働き、手動モードでは、力行負荷がエ
    ンジントルク限度までは気動、超えると気電共働、抑速
    負荷には回生が働くよう、また、いずれのモードでも、
    該レバーの駐車ノッチ及び中立ノッチで停車中及び惰行
    中に、アクセルペダルの踏角に応じエンジン出力を変え
    て予・補充電電力を調整できるよう構成した、気動車両
    の気電負荷分担操作機構。
  16. 【請求項16】 エンジン及び電動機の回転数と走行速
    度の各センサの出力差による等速制御機構を配し、エン
    ジンの再連結の過渡時には、運転種目に応じ燃料制御ま
    たは電流制御で気電等速にし、変速進段の過渡時には、
    燃料及び電流を遮断・低減し気・電動回転数を下げて進
    段クラッチの負荷側回転数と等速にし、変速戻段の過渡
    時には、電流遮断で電動機を空転にして戻段クラッチの
    滑り負荷を軽減し、クラッチの連結に伴うショック及び
    滑りエネルギを局限するよう構成した、気動車両の動力
    装置の制御機構。
  17. 【請求項17】 正・逆転歯車対の従動側歯車を遊転に
    し、摩擦クラッチで従動軸に選択連結するよう構成し
    た、気動車両のエンジン軸の逆転機構。
  18. 【請求項18】 1個の傘歯車で駆動され且つ車軸に遊
    転する正・逆転の2個の傘歯車を、油圧または電磁操作
    の歯クラッチで車軸に選択連結するよう構成した、気動
    車両の車軸減速歯車の逆転機構
  19. 【請求項19】 入力軸、中間軸及び出力軸より成る各
    軸対に、各2組の歯車対と遊転の従動側歯車をその軸に
    選択連結する摩擦クラッチを配し、直列の各2段変速を
    成し、3段または4段変速を可能に構成した、気動車両
    の動力装置の3軸形歯車変速機構
  20. 【請求項20】 請求項19の出力側の軸対に同期噛合
    いクラッチを配し、入力側の軸対の摩擦クラッチが
    「脱」の間に該同期噛合いクラッチが自動油圧操作また
    は手動直接操作で「接・脱」作動するよう油圧操作機構
    を構成した、気動車両の主動力系統の変速機構。
  21. 【請求項21】 エンジンの冷却水系統に一次熱交換器
    及び排気管に二次熱交換器を配して熱媒を2段加熱し、
    二次熱交換器に蓄熱材を内蔵して、軸負荷変動に拘らず
    高温且つ定温の熱媒を、車両の暖・冷房装置のエネルギ
    源として供給するよう構成した、気動車両のエンジン排
    熱利用のコ・ゼネレーションシステム。
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