JPH1039346A - 電気光学素子 - Google Patents

電気光学素子

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JPH1039346A
JPH1039346A JP8215269A JP21526996A JPH1039346A JP H1039346 A JPH1039346 A JP H1039346A JP 8215269 A JP8215269 A JP 8215269A JP 21526996 A JP21526996 A JP 21526996A JP H1039346 A JPH1039346 A JP H1039346A
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JP
Japan
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light beam
domain
electro
optical element
ferroelectric substrate
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JP8215269A
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Masahiro Yamada
正裕 山田
Takeshi Ogawa
剛 小川
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Priority to US08/899,886 priority patent/US5894363A/en
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    • G02F1/355Non-linear optics characterised by the materials used
    • G02F1/3558Poled materials, e.g. with periodic poling; Fabrication of domain inverted structures, e.g. for quasi-phase-matching [QPM]

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速のランダムアクセスが可能であると共
に、偏向可能な角度が大きく、高分解能の光偏向素子等
の電気光学素子において、複数の機能を1つの素子によ
って安定かつ高精度に集積できる電気光学素子を提供す
ること。 【解決手段】 強誘電性基板1と、この強誘電性基板1
の主面43、44に設けられた電極3、4と、強誘電性
基板1中に所定形状に形成された分極反転ドメイン2か
らなる機能部とを有し、かつ、光ビーム41がドメイン
2を通過するように構成され、電極3−4間に印加され
た電圧に応じて、光ビーム41の少なくとも一部につい
て、集光する機能と、発散する機能と、伝搬方向を偏向
する機能と、伝搬方向をスイッチする機能との内、少な
くとも2つを行う複数の機能部161A、161B、又
は/及び、複数箇所で同一の機能を行う機能部111が
集積されている電気光学素子110。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強誘電性基体と、
この強誘電性基体の主面に設けられた電極と、前記強誘
電性基体中に所定形状に形成された分極反転ドメインか
らなる機能部とを有し、かつ、光ビームが前記ドメイン
を通過するように構成された電気光学素子に関し、例え
ば電気光学効果を利用した光偏向器等の電気光学素子に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、微小光学系を有するシステムを組
む場合には、細かな部品を作製し、これを精度良く位置
整合(アラインメント)する必要があった。
【0003】また、入力された一つのビームを複数のビ
ームに分割処理する方法としては、グレーティングを利
用するのが一般的であるが、ビームの光量の分布が大き
くばらついたり、それぞれの光ビームの進行方向が一定
ではなかったりするので、使用しづらいことがあった。
【0004】さらに、同一の工程で複数の機能部分を同
一基板に精度良く作製する方法として、光導波路構造を
利用することが多いが、導波路構造にしなければならな
い等の制約があり、これも使用が容易でないという欠点
があった。
【0005】
【発明に至る経過】そこで、本発明者は、微小光学系を
含めて光学系を組む際に、多数種の機能部分を精度良く
位置整合し、集積化するためには、本出願人が先に提出
した特願平7−329851号に係る発明(以下、これ
を先願発明と称する。)の特長を効果的に生かせること
を見出した。以下、この先願発明について詳細に説明す
る。
【0006】即ち、先願発明は、強誘電性基体と、この
強誘電性基体の主面に設けられた電極と、前記強誘電性
基体中に所定形状に形成された分極反転ドメインとを有
し、このドメインのドメイン壁の少なくとも1つが前記
強誘電性基体の前記主面に対して垂直若しくはほぼ垂直
であり、かつ、光ビームが前記ドメイン壁を少なくとも
2つ通過するように構成された電気光学素子に係るもの
である。
【0007】先願発明の電気光学素子によれば、複数個
の分極反転ドメインを含む強誘電性基体の主面に形成さ
れた電極を介して電圧を印加することにより、基体とド
メインとの間に屈折率差を生じ、このため、光ビームが
ドメイン壁を少なくとも2つ通過するときに大きく偏向
することになる。即ち、光ビームが複数個のドメイン壁
を連続して通過することにより、光ビームを大きく偏向
させることができる。
【0008】従って、先願発明は、電気光学素子として
例えば、偏向角度が大きくて高分解能の光偏向素子(又
は光変調素子)を簡便に実現できる。しかも、電圧の印
加によるものであるから、高速の連続走査をランダムア
クセスでも可能となる。
【0009】また、上記の屈折率差に基づく偏向が複数
のドメイン壁の通過で大きな偏向角度となることから、
光ビームの集光、発散の効果が大きくなり、従って、焦
点距離が可変のレンズにとって好適となる。このレンズ
は、機械的な移動に伴わずに電気信号で焦点距離を変化
させ、或いは光ビームを集光、発散することができる。
【0010】そして、ミラーとしても、上記の屈折率差
による偏向が電圧の印加によって生じることから、電圧
のオン、オフによって光ビームの透過、反射が可能とな
り、また複数のドメインの通過によって反射効率が大き
くなる。このミラーは、機械的な移動を伴わずに電気信
号でミラーを誘起させたり、消したりすることができ
る。
【0011】また、先願発明の電気光学素子によれば、
ドメイン壁の形状として前記ドメイン壁の少なくとも1
つが前記強誘電性基体の前記主面に垂直若しくはほぼ垂
直になるように選ぶことにより、素子中の光ビームの伝
搬方向が常に前記主面に平行になり、素子中の光ビーム
を安定して伝搬させることができる。
【0012】先願発明の電気光学素子においては、伝搬
する光ビームが横切る分極反転ドメインの対向した2つ
のドメイン壁への光ビームの入射角度がそれぞれ異なる
ドメイン壁を少なくとも2つ有し、強誘電性基体の対向
した両主面に設けられた電極間に電圧を印加することに
よって、光ビームを電圧に応じて偏向させることが望ま
しい。
【0013】また、所定の入射角で光ビームが入射する
ようにドメイン壁が所定の周期で積層され、強誘電性基
体の対向した両主面に設けられた電極間に電圧を印加す
ることによって、前記光ビームの伝搬方向を変化させる
ことが、特に上記したミラーに好適である。
【0014】また、光ビームの伝搬方向に対して凸状又
は凹状をなすドメイン壁が前記伝搬方向において少なく
とも2つ存在し、強誘電性基体の対向した両主面に設け
られた電極間に電圧を印加することによって、前記光ビ
ームを集光又は発散させることが、特に上記した焦点距
離可変レンズに好適である。
【0015】また、光ビームの伝搬方向に直交する断面
の垂直な2方向であるx方向とy方向に対して、x方向
に関する光ビームの処理を行う上記の電気光学素子と、
y方向に関する処理を行う上記の電気光学素子とに光ビ
ームを通過させることによって、x及びyの両方向の処
理を行うことができる。
【0016】この場合、上記の電気光学素子が複数個配
置され、これらの電気光学素子のうち、第1の電気光学
素子の光ビームの出射端と、第2の電気光学素子の光ビ
ームの入射端とを、両素子の主面が互いに直交するよう
に連続して配置すると、光ビームを2次元的に偏向若し
くは集光、発散させることができる。
【0017】また、光ビームの伝搬方向に直交する断面
の垂直な2方向であるx方向とy方向とを互いに変換す
る機能を有する手段を介して、上記の電気光学素子が複
数個配置され、これらの電気光学素子のうち、第1の電
気光学素子と第2の電気光学素子とを、それぞれの主面
が互いに平行になるように配置するのがよい。
【0018】また、光ビームの偏波方向を強誘電性基体
の主面に垂直になるように偏向させて、前記光ビームを
光ビームの伝搬方向に垂直でかつ当初の光ビームの伝搬
方向にも垂直になるように偏向させ、前記当初の光ビー
ムの伝搬方向に直交する断面のx方向とy方向とを互い
に変換させるのもよい。
【0019】また、前記強誘電性基体の対向した両主面
のほぼ全域に亘って電極がそれぞれ設けられ、これらの
電極間に印加する電圧に応じて光ビームの伝搬方向を変
化させるようにすると、光ビームの伝搬方向を基体の主
面と平行に安定に保ち、光ビームの不要な発散を防止で
きる。
【0020】前記強誘電性基体がLiNbX Ta1-X
3 (但し、0≦x≦1)の結晶からなり、ドメイン壁の
辺の方向が前記結晶のミラー面と平行であると、ドメイ
ン壁の平面度を向上させ、偏向を良好に行わせることが
できることから、これは望ましい構成である。
【0021】前記分極反転ドメインの形成に際しては、
例えば、前記強誘電性基体の対向した両主面に電極をそ
れぞれ設け、少なくとも一方の主面には所定形状の電極
が設けられ、前記両主面間に電圧を印加することによっ
てそれぞれの分極反転ドメインが所定形状に形成される
(所望の形状に分極が反転する)。
【0022】或いは、強誘電性基体の自発分極の負側の
面に、電子線又は負電荷を有する荷電粒子を照射するこ
とによってそれぞれの分極反転ドメインが所定形状に形
成される(所望の形状に分極が反転する)。
【0023】或いは、強誘電性基体の自発分極の正側の
面に、正電荷を有する荷電粒子を照射することによって
それぞれの分極反転ドメインが形成される(所望の形状
に分極が反転する)。
【0024】先願発明の電気光学素子において、ドメイ
ン形成手段として、少なくとも一方の主面は所定形状の
電極を基体の両面に形成し、電極間に電圧を印加するこ
とにより、所定の電極形状の形に分極を反転するとき、
前記少なくとも一方の主面の電極形状が多角形であり、
この電極の少なくとも一辺が、強誘電性基体を形成する
結晶のミラー面と平行であると、光ビームが入射するド
メイン壁の辺の方向が前記ミラー面と平行となり、ドメ
イン壁の平面度が向上する。
【0025】この場合、強誘電性基体がLiNbX Ta
1-X 3 (但し、0≦x≦1)の結晶からなっていると
よい。
【0026】以下、先願発明をその実施例について詳細
に説明する。
【0027】光偏向素子についての例 まず、電気光学効果を利用した光偏向素子に先願発明を
適用した例を説明する。
【0028】ある屈折率を持った媒質から屈折率が異な
った媒質に入射した光ビームは、両媒質間での屈折によ
って進路が曲がるが、このとき、電気光学効果を持った
媒質であれば、電気信号に応じた媒質の屈折率の変化に
より屈折角度が変化し、その結果、電気信号に応じて光
ビームの進路を曲げることができる。
【0029】図19に示すように、先願発明に基づく光
偏向素子40は、基本的には、強誘電体基板1と、その
基板の中に作製された複数個の分極反転ドメイン2と、
基板の両主面43、44に被着された電極膜3、4と、
これらの電極間に電圧を印加するための電気信号源7と
によって構成されている。
【0030】基板1の結晶の方向(図中の上向き矢印で
示す自発分極の方向)とドメイン2の結晶の方向(図中
の下向き矢印で示す自発分極の方向)とは、図19(更
には図20)のように、互いに180度反転している。
そして、ドメイン2のドメイン壁2a、2bの少なくと
も1つ(ここでは双方)が強誘電体基板1の主面43、
44に対して垂直若しくはほぼ垂直であり、かつ、光ビ
ーム41がドメイン壁を少なくとも2つ(2a→2b→
2a……の如く)通過するように構成されている。
【0031】図19(更には図20)のように、光ビー
ム41は素子端面5から入射し、基板1とドイメン2を
交互に通過しながら反対側の端面6から出射するが、出
射ビーム42の進行方向は、電気信号源7によって電極
3と4間に印加された信号電圧に応じた屈折率変化で、
入射光ビーム41の進行方向とは角度φだけ変化する。
【0032】電気光学効果を持った結晶の屈折率変化の
大きさは、結晶に印加された電界の大きさに比例し、印
加する電解の方向を180度反転すると、屈折率変化の
符号も反転する。
【0033】基板1とドメイン2とは、結晶の方向が1
80度反転しているので、電極3と4間に印加された信
号電圧に応じて基板1とドメイン2の間に屈折率差が生
じ、光ビームもそれに応じて屈折する角度を変える。
【0034】図20には、先願発明による素子の動作の
一例を概略的に示すが、基板結晶1から分極反転された
ドメイン2へビーム41が入射した後、信号源7の信号
電圧で屈折率が変化(屈折角度が変化)して出射光ビー
ム42が元の光路から偏向する(但し、図19と比べて
偏向方向は電圧の極性によって逆となっている)。そし
てこの場合、ビームが複数のドメイン2を通過するため
に、その通過の度に屈折角度が変化し、ついには相当大
きな角度で偏向したビーム42が得られることになる。
【0035】この例では、後述するように、半導体リソ
グラフィ技術を利用して精度の高い微細な構造を作製す
ることができ、切断・研磨・貼り合わせ等の複雑な機械
加工の必要もなく、偏向のためのプリズムをドメインと
いう形で一素子内に多数作り込むことにより、単一のプ
リズムだけでは実現が不可能であった大きな偏向角度
を、極めて簡便な工程で、貼り合わせプリズムの方式で
のプリズム同士の剥がれや、電界を印加することによる
電極膜の剥がれの心配もなく、実現することができる。
【0036】また、この例では、図21にシングルドメ
インとして原理的に示すように、ドメイン壁を主面4
3、44と垂直にしており、かつ、電極3、4を共に全
域に形成しているので、電極間に形成される電気力線1
0は主面43、44とほぼ直交する。この結果、光ビー
ム41の進行方向を常に素子40の主面43、44に平
行で安定に保つことができ、光ビームの不要な発散を防
ぐことができる。
【0037】これに対し、電極3Aをドメイン2と同一
形状にパターン化した図22の場合は、シングルドメイ
ン結晶にのみ電圧を印加することによってその部分の屈
折率を変化させる方式の光偏向素子であるが、電極3A
の端面部分の電気力線10Aが曲がってしまい、これに
よる屈折率分布の曲がりが生じて光ビーム42Aも基板
1の深さ方向に不要に曲げられ易くなる。
【0038】図21は、先願発明による望ましい光偏向
器の例を原理的に示すものであるが、電極3、4を素子
全体に被着することにより、均一な電気力線10が実現
され、またドメイン壁が基板1の主面に垂直であるよう
なドメインを選ぶことにより、異なった屈折率の境界を
基板の主面に垂直にすることができ、光が屈折率が異な
った領域を横切るときも、その進行方向を常に素子の主
面に平行に保つことができ、不要な光ビームの発散を防
ぐことができる。
【0039】この例では、後述するように、強誘電体基
板1の材料として、LiNbX Ta1-X 3 (但し、0
≦x≦1)やKTiOPO4 (KTP)等を選ぶことに
より、基板1の主面に垂直なドメイン壁を持つドメイン
を実現することができる。
【0040】そして、光ビームを偏向するとき、ビーム
の進行方向と直交する断面の全領域に亘って同じ偏向角
度で偏向しなければならず、そのためには、ドメイン壁
は光ビームの断面の全領域に亘って精度良く、平面であ
る必要がある。
【0041】特に基板材料としてLiNbX Ta1-X
3 (但し、0≦x≦1)を選ぶとき、光ビームが入射す
るドメイン壁の辺の方向を結晶のミラー面に平行な方向
に選ぶことにより、ドメイン壁の平面度を向上させるこ
とができる。
【0042】次に、先願発明に基づく光偏向素子の設計
方法について、ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )基板
を例に説明する。
【0043】基板1内に形成されるドメイン2の形状に
ついて説明すると、ニオブ酸リチウム(LiNbO3
の基礎物性定数として、波長が632.8nmの異常光
線に対する屈折率:ne =2.200と、電気光学定数
33=30.8×10-12 m/Vを使用し、光ビームの
波長はλ=632.8nmとし、偏波はニオブ酸リチウ
ム(LiNbO3 )の自発分極の方向(c軸)とする。
【0044】ここで、電界E(V/m)を両電極3−4
間に加えたときの屈折率変化は、 Δne = (1/2)・ne 3 ・r33 × E・・・(1) となる。
【0045】そして、屈折率n1 の媒質1から、屈折率
2 の媒質2に入射角度θ1 で入射した光ビームの、媒
質1から媒質2への出射角度がθ2 であったとすると、
その関係は、スネルの法則より、 sin θ1 /sin θ2 =n2 /n1 ・・・(2) となる。
【0046】式(2)から、図19に示した電極3、4
に電極3が高電位になるように電界を印加して、基板1
の屈折率がne +Δne 、ドメイン2の部分の屈折率が
e−Δne になったとすると、基板1からドメイン2
への入射角θ1 に対する偏向角ΔθS (図23参照)
は、 ΔθS = sin-1〔{(ne −Δne )/(ne +Δne )} × sinθ1 〕−θ1 ・・・(3) となる。
【0047】一方、ドメイン2から基板1への入射角θ
1 に対する偏向角Δθd (図23参照)は、 Δθd = sin-1〔{(ne +Δne )/(ne −Δne )} × sinθ1 〕−θ1 ・・・(4) となる。
【0048】式(1)、(3)、(4)より、電界E=
500,000V/mを素子に印加したときに求めた、
ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )の場合での偏向角Δ
θSとΔθd を図24(A)に示す。
【0049】これによれば、いずれも、ドメイン2への
入出射角度θ1 が大きい方が偏向角が大きくなり、特に
入射角が75度以上が望ましいことが分かる。ここで、
θ1を85度に選択すると、偏向角(|ΔθS |+|Δ
θd |)は約0.1度となる。
【0050】また、ドメイン2の他の辺はできる限り光
の入出力が無いように光ビームと平行になるようにする
のが良く、ドメイン2の形状は例えば図23及び図25
に示すような三角形が望ましい。
【0051】このようなドメイン2を光ビームの進行方
向に並べて10個ほど配置すれば、ドメイン2を横切る毎
に偏向角は大きくなり、最終的には1度程度の比較的大
きな偏向角を実現できる。図24(B)には、ドメイン
の数と偏向角の関係を示す。
【0052】次に、素子の出射端面6の角度について、
その角度を選ぶことによって更に偏向角度を大きくでき
ることを説明する。
【0053】図26において、素子の内部から出射端面
6への入射角度θ1 と、出射端面6から空気中への出射
角θ2 との関係は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3
の屈折率n1 が2.200で空気の屈折率n2 が1であ
るから、式(2)から図27に示すようになる。
【0054】このとき、入射角θ1 を臨界角(27.0
度)以下の範囲で大きく設定すると、偏向角を大きく増
幅することができ、例えば入射角θ1 を26度にしたと
き、出射端面6に入射した光ビームの偏向角が1度であ
れば、素子から出射される光ビームの偏向角は6度程度
の大きな偏向角にすることができる。
【0055】以上のように、ドメイン2の形状と出射端
面6の角度を設計することによって、大きな偏向角の素
子40を実現することができる。
【0056】先願発明に基づく光偏向素子40は、図2
8に示す如き光学系に使用することができる。この光学
系は、レーザ光の走査によるディスプレイ装置や、レー
ザカッティング装置、レーザプリンタ等の種々の応用が
可能である。
【0057】この光学系において、He−Neレーザ5
0からのレーザ光51は、ミラー52を経て1/2λ板
53で位相調整され、偏光子54で所定の偏光成分の光
41とされ、これがアイリス55及びレンズ56を介し
て光偏向素子(図26に示したものに相当)40に入射
し、シグナルジェネレータ57からの信号電圧の印加に
よって偏向され、この偏向光42がスクリーン等の対象
物58上で走査される。信号電圧は、アンプ59で必要
なレベルに増幅され、また電圧計60でその値が計測さ
れる。
【0058】次に、上記した光偏向素子40の作製方法
の例を説明する。
【0059】素子作製の順序としては、まず、ドメイン
2の形成、次に電極3、4の形成、更に端面5、6の光
学研磨と無反射コートの被着であるが、以下に各工程に
ついて詳細に説明する。
【0060】ドメイン2の形成方法として、第1の方法
によれば、例えば図29にニオブ酸リチウム(LiNb
3 )の基板1への電界印加方向を概念的に示すよう
に、ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )のz板1の+z
面(+c面)上に所定の形状、例えば三角形の電極13
をAl膜の被着と通常のリソグラフィ技術で形成すると
共に、z板1の−z面(−c面)上に平面電極14を形
成し、+z面上の電極13が−z面上の電極14よりも
高電位になるように、電源61によって20kV/mm
以上の電界を室温中で印加する。
【0061】これによって、電極13の直下には、分極
反転された複数のドメイン2を電極13とほぼ同一パタ
ーンに形成し、図19に示した如き素子40を作製す
る。この場合、電極13は除去した後に平面電極3を被
着するが、電極13をそのまま残してこの上に平面電極
3を被着してもよい。
【0062】なお、図29に示した外部電界印加による
ドメイン形成方法と類似の方法が、文献(山田正裕等、
“疑似位相整合導波路形SHG素子”、電子情報通信学
会論文誌 C−I、Vol.J77−C−I、No.5、pp.206−
213(1994))にも述べられている。但し、この公知の方
法はSHG素子についてのものであるから、ドメイン形
成後に分極反転用の電極も含めてすべての電極を除去し
なければ、電極の領域で光が減衰してしまう。従って、
このようなSHG素子に比べ、先願発明に基づく光偏向
素子では、ドメイン形成方法は同様であっても屈折率変
化のために必ず電極が必要であることが著しく相違して
いる。
【0063】ドメイン2の形成方法として、第2の方法
によれば、図30にニオブ酸リチウム(LiNbO3
基板1への電子線照射による方法を概念的に示すよう
に、ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )のz板1の+z
面(+c面)上に平面電極15をAl膜の被着によって
形成し、これを接地した状態で−z面(−c面)上のド
メイン2を形成したい部分に、20kV(加速電圧)×
t(t:基板1の厚さt(ミリメートル))以上の電子
線62を室温中で走査して照射する。
【0064】これによって、基板1中には分極反転され
た複数のドメイン2(但し、分極方向は図29のものと
は逆)を所定パターンに形成する。この後は、基板の両
面に電極3、4を設けるが、上記の電極15はそのまま
残して用いてもよい。
【0065】なお、図30に示した電子線照射によるド
メイン形成方法と類似の方法が、文献(M. Yamada and
K. Kishima, “Fabrication of periodically reversed
domain structure for SHG in LiNbO3 by di
rect electron beam lithography at room temperatur
e”Electron. lett., Vol.27, No.10, pp.828−829(199
1))にも述べられている。但し、この公知の方法もS
HG素子を対象としている。
【0066】上記した2種類のドメイン形成方法は、L
iNbX Ta1-X 3 (但し、0≦x≦1)やKTPな
どの強誘電体材料に対して有効な方法である。
【0067】ドメイン2を形成した基板1では、その形
成工程中に蓄積した歪応力により発生した電界や、注入
された電荷による電界の存在が、基板1の屈折率を不均
一に変化させたり、信号電界をかかり難くすることがあ
る。これを防ぐために、基板1を次工程に進める前に、
ニオブ酸リチウム(LiNbO3 )では150℃以上、
700℃以下の温度で、タンタル酸リチウム(LiTa
3 )ではキュリー点以下の温度で、それぞれ数十分か
ら数時間、できれば酸素雰囲気中で(そうでなければ空
気中でもよいが)アニールすることが望ましい。
【0068】次いで、電極3、4は、基板1の両主面に
例えばAl等の導電性の膜を蒸着法やスパッタリング法
などで被着することによって形成されるが、電極3と電
極4が短絡されないようにする必要がある。
【0069】次いで、基板1を所定の形状に切断し、端
面5、6に光学研磨を施し、最後に両端面5、6に、使
用する光ビームに対し無反射になるように誘電体等を蒸
着法などで多層に被着して、素子を完成する。
【0070】こうして、高速ランダムアクセスが可能
で、偏向可能な角度が大きく、高分解能な光偏向素子を
実現でき、しかも簡便かつ高精度に作製できる。
【0071】焦点距離可変レンズについての例 次に、電気信号に応じて焦点距離を可変できるレンズに
先願発明を適用した例を説明する。
【0072】この焦点可変レンズも電気光学効果を利用
しており、上述した光偏向素子と同様に、基板結晶方向
が180度反転しているドメインに電界を印加したと
き、電界に応じてドメイン間に屈折率差が生じることを
利用している。
【0073】即ち、図31に示すように、この焦点可変
レンズ70は、基本的には、強誘電体基板1Aと、この
基板の中に作製された複数個のドメイン2Aと、基板の
両主面43A、44Aに被着された電極膜73、74
と、これらの電極間に接続された集光・発散信号電源7
7とによって構成されている。
【0074】基板1Aの結晶の方向とドメイン2Aの結
晶の方向とは、図19で示したと同様に互いに180度
反転している。そして、光ビーム71の伝搬方向に対し
て凸状面76a又は凹状面76bをなすドメイン壁が前
記伝搬方向において少なくとも2つ存在し、基板1の対
向した両主面に設けられた電極73−74間に電圧を印
加することによって、光ビーム71を集光又は発散させ
るようにしている。
【0075】光ビーム71は素子端面75から入射し、
基板1Aとドメイン2Aとを交互に通過しながら反対側
の端面76から光ビーム72として出射するが、この出
射光ビーム72は集光・発散信号電源77の信号電圧に
応じて集光又は発散される。
【0076】即ち、基板1Aとドメイン2Aとは結晶方
向が180度反転しているので、電極73−74間に印
加された信号電圧に応じて、基板1Aとドメイン2Aと
の間に上述したと同様に屈折率差が生じ、光ビームもそ
れに応じて集光や発散する。
【0077】次に、この焦点距離可変レンズ70の設計
方法について、ニオブ酸リチウム基板を例に説明する。
【0078】基板の基礎物性定数や電気光学効果、屈折
の法則などは上述した光偏向素子で説明した通りであ
る。
【0079】例えば、上記のドメイン構造で作製される
個々のレンズ2Aの形状を図32のように設計する。即
ち、光ビーム71の進行方向に対してレンズ前側76a
の曲率半径rとレンズ後側76bの曲率半径rとを共に
20μmとすると、1つのレンズの焦点距離は、 f=nS ・r/(nd −nS )・・・(5) (但し、nS 、nd はそれぞれ、素子に50kV/m印
加したときの基板とドメインの屈折率)となる。
【0080】この式(5)に、 nS =2.2−8.199×10-5d =2.2+8.199×10-5 を代入すると(波長λ=0.633μm)、f≒27c
mとなる。
【0081】そして、このレンズを図31のように複数
個配置し、光ビームを複数個のレンズに連続して通過さ
せると、例えばN=300個のレンズでは、系全体の焦
点距離fN は、 fN =f/N・・・(6) ≒0.9mm となる。
【0082】このレンズ70は電界の大きさによって焦
点距離が変化し、例えば、電界の大きさをゼロにすると
レンズは光ビームにとって全く見えなくなり(レンズ作
用がなく)、集光も発散もしなくなる。
【0083】上記とは逆の方向に電界を印加すると、レ
ンズの部分の屈折率が反対に小さくなるため、電界の大
きさに応じて光ビームは発散するようになる。
【0084】このように、この例によるレンズ70は、
電界の方向と大きさによって、焦点距離や集光、発散の
状況を変化させることができる。即ち、信号電界に応じ
て焦点距離を可変できるレンズを実現できる。
【0085】なお、この焦点距離可変レンズ70は、上
述した光偏向素子と同様な方法で簡便かつ高精度に作製
できる。
【0086】2次元方向での光偏向又は集光、発散 上述した光偏向器40やレンズ70はいずれも1次元方
向での偏向や集光、発散についてのものであるが、以下
の実施例では、2次元方向での偏向や集光、発散につい
て説明する。
【0087】第一の方法としては、図33に概略的に示
すように、図19に示した素子40を2枚、即ち素子4
0Aと40Bを用い、前者の出力端6Aと後者の入力端
5Bとをそれぞれ素子の主面が直交するように近接して
配置する。なお、図33においては、上述したドメイン
が各素子に2A、2Bとして概略図示し、電極は図示省
略した。
【0088】光ビーム41は素子40Aの端面5Aから
入力され、信号電源7Aからの信号電圧によって光ビー
ムがy方向で偏向又は集光、発散され、引き続いて、素
子40Bに端面5Bから入力され、信号電源7Bからの
信号電圧によって光ビームがx方向で偏向又は集光、発
散され、出力端面6Bから外部に出力される。
【0089】このように、2つの直交した素子40A、
40Bを光ビームが連続して通過することによって、
x、yの2次元方向での処理が可能になった。
【0090】2次元方向での処理の他の方法としては、
図34に示すように、光ビームのx方向処理用の素子8
0Aとy方向処理用の素子80B(図34では、光の進
行方向に複数配列されるドメインや電極は図示省略し
た。)を各主面同士が互いに平行となるように接続す
る。
【0091】光ビーム41は、ビームのx方向処理用の
素子80Aの端面85Aから入力され、斜めに光学研磨
された端面86Aによって素子80Aの主面に垂直の方
向に全反射され、素子80Bの端面85Bからy方向処
理用の素子80Bに入力され、斜めに光学研磨された端
面87によって素子80Aの主面83A、84Aに平行
でかつ素子80A中の光ビームの進行方向とは垂直の方
向に全反射され、素子80Bの主面83B、84Bと平
行に素子80B中を伝搬し、素子端面86Bからx、y
の両方向とも処理され、光ビーム42として出射され
る。
【0092】このように、光ビームをいわば折り曲げる
ことによって、光ビームのx方向とy方向を変換でき
る。これを、図34で説明すると、端面85Aの光ビー
ムの断面の四隅に記号A、B、C、Dを付け、その四隅
の光線を追跡すると、素子80Aのx方向(A−D)が
素子80Bではy方向(A’−D’)に変換され、素子
80Aのy方向(A−B)が素子80Bではx方向
(A’−B’)に変換されていることが分かる。こうし
て、素子80Aではx方向の処理が、素子80Bではy
方向の処理を行えることが分かる。なお、各素子80
A、80Bではドメインを通過する毎に偏向を生じるこ
とは勿論である。
【0093】ここで、ニオブ酸リチウムの分極反転を利
用した素子では、光の偏波方向は基板の主面に垂直であ
る方が有利であるので、素子80Bでも偏波方向が基板
の主面に垂直になるように素子80Aと80Bとの間に
1/2波長板88を挿入することが望ましい。従って、
光ビームを光ビームの伝搬方向に垂直でかつ当初の光ビ
ームの伝搬方向にも垂直になるように偏向させて、当初
の光ビームの伝搬方向に直交する断面のx方向とy方向
とを互いに変換させることができる。
【0094】電界誘起ミラーについての例 図35及び図36には、電界で誘起されるミラー100
に先願発明を適用した例を示す。
【0095】例えば、ニオブ酸リチウム基板1に上述し
た方法で分極反転ドメイン2を複数形成した。このドメ
イン構造は、一方の端面5から他方の端面にかけてドメ
イン5を周期的に積層した(但し、図36では理解容易
のためにドメイン数を少なく示している。)周期分極反
転構造にし、その周期をΛとする。
【0096】そして、電極3−4間に所定の電界を印加
すると、入射光ビーム41の波長をλ、周期ドメイン平
面90への入射角度をθとしたとき、 K=2k・cos θ・・・(7) (但し、K=2π/Λ、k=2n0 π/λ(n0 =2.
200〔λ=0.633nm〕))を満足する周期分極
反転構造の周期Λを選べば、端面5に入射角度θで入射
した光ビーム41は出射角度−θで周期ドメイン構造か
らブラッグ反射され、この反射光42Aが得られる。
【0097】このため、例えば周期ドメイン平面90が
入射端面5と平行になるようにドメインの方向を選べ
ば、入射端面5へθi で入射した光ビームは、電極3−
4間に所定の電界を印加したときだけ、端面6から−θ
i で反射され、電極に電界を印加しないときは素子をそ
のまま通過する。
【0098】周期ドメイン構造の周期Λは、例えば、周
期構造ドメイン平面90への入射角度θを45度にする
と、周期分極反転構造の周期Λは0.2μmにすればよ
い。
【0099】なお、この電界誘起ミラー100は上述し
た光偏向素子と同様な方法で作製することができる。
【0100】こうして、電界によってオン、オフできる
電界誘起ミラー100を提供でき、しかもその作製方法
も簡便かつ高精度である。
【0101】以上、先願発明の例を説明したが、上述の
例は先願発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能
である。
【0102】例えば、上述したドメインの形状、個数、
配列状態、更には形成方法は様々に変化させてよいが、
要は、基板中にドメインを形成し、そのうちの少なくと
も1つのドメイン壁が基板の主面(電極を設ける面)に
垂直若しくはほぼ垂直であり、光ビームが少なくとも2
つのドメイン壁を通過(換言すれば、ドメイン壁を少な
くとも2箇所で通過)すれば、先願発明の目的は達成で
きる。図37のように、ドメインを1つとし、各面2
a、2bを上述したと同様に設けることもできる。
【0103】この場合、光ビームが横切るドメインの対
向した2つのドメイン壁への光ビームの入射角度がそれ
ぞれ異なるドメイン壁を少なくとも2つ有することが望
ましい。
【0104】ドメインの形成方法としては、上述した電
極13の形状を三角形以外の四角、五角形等の多角形と
することもできるし、他方の電極14も同様の多角形と
してもよい。また、上述した電子線照射に代えて、負電
荷を有する荷電粒子を照射したり、或いは、自発分極の
正側の面に、正電荷を有する荷電粒子(例えば陽子)を
照射することによってそれぞれのドメインを形成するこ
ともできる。
【0105】ドメインの形成時の電極は、その少なくと
も一辺が、強誘電体基板を形成する結晶のミラー面と平
行であると、分極反転を良好に行え、光ビームが入射す
るドメイン壁の辺の方向が前記ミラー面と平行になり、
ドメイン壁の平面度が向上する。
【0106】なお、先願発明の電気光学素子は、上述し
た光偏向器、レンズ、ミラーの他、光変調器や信号処理
装置等、ドメインを有し、電気光学効果を示す種々のデ
バイスに応用可能である。
【0107】先願発明は上述した如く、強誘電性基体中
に所定形状に形成された少なくとも2つの分極反転ドメ
インのドメイン壁の少なくとも1つが前記強誘電性基体
の主面に対して垂直若しくはほぼ垂直であり、かつ、光
ビームが前記ドメイン壁を少なくとも2つ通過するよう
に構成しているので、強誘電性基体の主面に形成された
電極を介して電圧を印加することにより、基体とドメイ
ンとの間に屈折率差を生じ、このため、光ビームがドメ
イン壁を少なくとも2つ通過するときに大きく偏向する
ことになり、光ビームが複数個のドメイン壁を連続して
通過することにより、光ビームを大きく偏向させること
ができる。
【0108】従って、電気光学素子として、例えば、偏
向角度が大きくて高分解能の光偏向素子(又は光変調素
子)を簡便に実現できる。しかも、電圧の印加によるも
のであるから、高速の連続走査をランダムアクセスでも
可能となる。
【0109】また、上記の屈折率差に基づく偏向が複数
のドメイン壁の通過で大きな偏向角度となることから、
光ビームの集光、発散の効果が大きくなり、従って、焦
点距離が可変のレンズにとって好適となる。このレンズ
は、機械的な移動を伴わずに電気信号で焦点距離を変化
させ、或いは光ビームを集光、発散することができる。
【0110】そして、ミラーとしても、上記の屈折率差
による偏向が電圧の印加によって生じることから、電圧
のオン、オフによって光ビームの透過、反射が可能とな
り、また複数のドメインの通過によって反射効率が大き
くなる。このミラーは、機械的な移動を伴わずに電気信
号でミラーを誘起させたり、消したりすることができ
る。
【0111】また、先願発明の電気光学素子によれば、
ドメイン壁の形状としてドメイン壁の少なくとも1つが
強誘電性基体の前記主面に垂直若しくはほぼ垂直になる
ように選ぶことにより、素子中の光ビームの伝搬方向が
常に主面に平行になり、素子中の光ビームを安定して伝
搬させることができる。
【0112】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した先願発明の優れた特長を生かしながら、多数種の機
能部分を精度良く位置整合させ、かつ効率的に同一基体
上に集積化した電気光学素子を実現することにある。
【0113】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、強誘電
性基体と、この強誘電性基体の主面に設けられた電極
と、前記強誘電性基体中に所定形状に形成された分極反
転ドメインからなる機能部とを有し、かつ、光ビームが
前記ドメインを通過するように構成された電気光学素子
において、前記電極に印加された電圧に応じて、前記光
ビームの少なくとも一部について、集光する機能と、発
散する機能と、伝搬方向を偏向する機能と、伝搬方向を
スイッチする機能との内、少なくとも2つを行う複数の
機能部、又は/及び、複数箇所で同一の機能を行う機能
部が集積されていることを特徴とする電気光学素子(以
下、本発明の電気光学素子と称することがある。)に係
るものである。
【0114】本発明の電気光学素子によれば、強誘電性
基体に分極反転ドメインを設け、この分極反転ドメイン
に印加する電圧に応じて、上記の複数の機能部(集光機
能、発散機能、偏向機能、スイッチ機能を行う各機能の
少なくとも2つを行う機能部)と、複数箇所での同一機
能部との少なくとも一方を集積しているので、上述した
先願発明と同様に、上記分極反転ドメインと強誘電性基
体との屈折率差を利用した上記の各種機能を効果的かつ
安定に生ぜしめることができると同時に、上記分極反転
ドメインは微細構造に高精度に強誘電性基体に設けるこ
とができ、その位置整合(アラインメント)を良好に行
え、上記の各機能部を同一基体に効率的に集積化するこ
とができる。
【0115】本発明は、例えば、レンズ、プリズム、論
理素子、回折格子、光プローバー、スイッチ、偏向器、
分配器、中継器等の様々な光学的デバイスに使用でき、
これらを高速のランダムアクセス方式で操作できると共
に、これらの様々な光学的デバイスの複数の機能部を共
通の基体に効率良く集積化した電子光学素子を提供する
ことができる。
【0116】本発明の電気光学素子において、上記の
「機能部」とは、光ビームが入射してから通過して出射
するまでの過程で、上記した各機能のうちの特定した機
能によって光ビームを処理するための分極反転ドメイン
からなる独立したブロック(これは、複数の単位ブロッ
クからなっていてよい。)を称するものである(以下、
同様)。また、上記の「複数箇所」とは、上記の単位ブ
ロックが存在する箇所が複数存在していることを意味す
る(以下、同様)。
【0117】
【発明の実施の形態】本発明の電気光学素子において
は、光ビームの伝搬方向に対して、複数の異なる機能部
が相前後して配置されてよい。即ち、光ビームの伝搬方
向に対して、少なくとも2つの機能部が直列状に並んで
おり、それぞれの機能部をその順序を適宜決めて配置す
ることができる。
【0118】また、光ビームの伝搬方向に対して、複数
の同一機能部が並列に配置されるものであってもよい。
【0119】この場合、光ビームを集光又は発散する機
能部と、光ビームの伝搬方向を偏向する機能部とが相前
後して配置されているものであってもよいし、光ビーム
を集光又は発散する機能部と、光ビームの伝搬方向を光
ビームの少なくとも一部についてスイッチする機能部と
が相前後して配置されているものであってもよい。即
ち、入力された一つの光ビームを複数種の機能部又は同
一種の複数の機能部で処理し、種々の出力光を得ること
ができる。例えば、光量の均一な複数本の光ビームを簡
単に得ることができ、また、進行方向が平行な若しくは
異なる複数本の光ビームを簡単に得ることができる。
【0120】更に、本発明の電気光学素子では、光ビー
ムの伝搬領域内で、光ビームの一部分が第一機能部を通
過伝搬すると共に、前記光ビームの他の部分が、前記第
一機能部と同一又は異なる少なくとも1つの第二機能部
にも通過伝搬するように、前記第一及び第二機能部が共
通の強誘電性基体に集積されていることが望ましい。
【0121】ここで、上記の「第一機能部」とは、光ビ
ームの一部分が通過伝搬する一定の機能を有する領域で
あり、また上記の「第二機能部」とは、光ビームの伝搬
方向と交差する方向において第一機能部と並置(特に並
列に配置)されて光ビームの残り部分が通過伝搬し、第
一機能部とは同一又は異なった機能を有する領域を称す
る。このように構成しても、1本の光ビームの入射によ
って、同一又は異なる処理がなされた複数本の光ビーム
を得ることができる。
【0122】また、本発明の電気光学素子は、具体的に
は、強誘電性基体と、この強誘電性基体の主面に設けら
れた電極と、前記強誘電性基体中に所定形状に形成され
た分極反転ドメインからなる機能部とを有し、このドメ
インのドメイン壁の少なくとも1つが前記強誘電性基体
の前記主面に対して垂直若しくはほぼ垂直であり、か
つ、光ビームが前記ドメイン壁を少なくとも2つ通過す
るように構成され、前記電極に印加された信号電圧に応
じて前記機能部を動作させることが望ましい。
【0123】このようにすれば、上述した先願発明と同
様に、光ビームがドメイン壁を少なくとも2つ通過する
ときに大きく偏向することになり、光ビームが複数個の
ドメイン壁を連続して通過することにより、光ビームを
大きく偏向させることができる。また、ドメイン壁の形
状としてドメイン壁の少なくとも1つが強誘電性基体の
前記主面に垂直若しくはほぼ垂直になるように選ぶこと
により、素子中の光ビームの伝搬方向が常に主面に平行
になり、素子中の光ビームを安定して伝搬させることが
できる。
【0124】ここで、上記の「信号電圧」とは、上記し
た各種機能が得られるように電気光学素子を動作させる
ために適宜加える電圧であり、信号電源としては、直流
電源又は交流電源を使用できる。
【0125】直流電源を使用する場合は、電気光学素子
を一定のモードで安定して機能させることができる。交
流電源を使用する場合は、その周波数により周期的に、
集光、発散等を繰り返すことになる。
【0126】また、電圧を印加する電極は、強誘電性基
体の両主面の片側又は両側の所定の位置に所定形状に設
けることができる。即ち、一つの機能部に一つの電極を
設けてもよいし、一つの機能部中に複数の電極を設けて
もよい。但し、分極反転ドメインが複数列並んでいる機
能部においては、各々の列ごとに電極を設けることが好
ましい。
【0127】また、本発明の電気光学素子では、一つの
光源を複数の光源に分割することができる。
【0128】また、単一又は複数の光源に対し、互いに
異なるか若しくは同一の機能を有する複数の機能部を設
けることができる。
【0129】更に、本発明の電気光学素子においては、
上述した先願発明と同様に、強誘電性基体の両主面に電
極を被着し、分極反転ドメインが所定形状で所定の配置
になるように、少なくとも片方の主面の電極を所定形状
に作製し、前記強誘電性基体の自発分極の正側が負側よ
り高電位になるように電界を印加することにより、前記
強誘電性基体の自発分極を選択的に反転させ、基体中の
所定の場所に所定形状のドメイン構造が作製されてよ
い。
【0130】これによって、上記した複数の機能部又は
複数箇所の機能部を有する本発明の電気光学素子を同一
プロセスにより同一の強誘電体基体に、それぞれが最適
の場所に配置されるように一度に作製することができ
る。また、作製したい機能部が微小な構造を有していて
も、フォトプロセスによる加工方法で高精度に作製でき
る。
【0131】或いは、強誘電性基体の自発分極の負側の
面に、電子線又は負電荷を有する荷電粒子を照射するこ
とによってそれぞれの分極反転ドメインが所定の位置に
所定形状に形成されてよく、又は、強誘電性基体の自発
分極の正側の面に、正電荷を有する荷電粒子を照射する
ことによってそれぞれの分極反転ドメインが所定の位置
に所定形状で形成されてもよい。これらの方法によって
も、基体中の所定の場所に分極反転ドメインを選択的に
形成できる。
【0132】また、本発明の強誘電性基体は、LiNb
X Ta1-X 3 (但し、0≦x≦1)の酸化物結晶から
なることが望ましく、例えば、ニオブ酸リチウム(Li
NbO3 )、タンタル酸リチウム(LiTaO3 )等で
ある。更に、KTP(KTiOPO4 )等の酸化物結晶
も使用することができる。
【0133】なお、本発明の電気光学素子においては、
基体に面積的な余裕がある場合には、この領域に分極反
転ドメインを組み込んでもよいし、ドメインではなく、
他の光電変換素子を組み込んでもよい。例えば、上記の
偏向を利用して、フォトトランジスタを利用した光IC
等に光ビームを入射させるようにし、この光ICを強誘
電性基板に埋設すれば、ハイブリッドの混成集積回路を
構成することができる。
【0134】
【実施例】以下、本発明を実施例について詳細に説明す
る。
【0135】以下に述べる実施例においては、本発明に
基づき、入射光ビームを複数本の光ビームに分割してそ
れぞれの光ビームを独立に処理するためには、それぞれ
の光ビームの相互の干渉等を避けるようにする必要があ
るが、こうした方法としては、それぞれの光ビームを空
間的に隔てるのが最も簡単で効果的な方法である。そこ
で、光ビームを空間的に隔てる手段を有する電気光学素
子について主として説明することとする。
【0136】図1〜図4は、本発明を適用した第1の実
施例を示し、レンズ機能により光ビームを空間的に分割
する電気光学素子の例である。
【0137】図1及び図2は、レンズ機能により光ビー
ムを空間的に分割する例を示し、図1(A)は電気光学
素子110の概略正面図であり、同図(B)はその概略
平面図である(以下、同様)。
【0138】この例によれば、上述した先願発明と同様
に、光ビーム41の伝搬方向に沿って強誘電性基板1に
多数の分極反転ドメイン2からなるドメイン列111が
形成され、かつ、こうした列の複数個が光ビームの伝搬
方向とほぼ直交する素子幅方向に並置されている。各列
では、各ドメイン2には、光ビームの伝搬方向において
凸状又は凹状をなすドメイン壁が少なくとも2つ存在し
ている。これらのドメインの形成方法及びその形状は、
既述した図29〜図32で述べたと同様であってよい。
【0139】そして、強誘電性基板1の対向する両主面
43、44に設けられた電極3−4間に信号電圧を印加
することによって、図31で述べたと同様に光ビーム4
1を各ドメイン列で集光させることができる。但し、図
1は、光ビーム41を集光させた例であるが、印加電圧
の極性を逆にすれば、図4のように光ビームを各ドメイ
ン列において発散させることができる。
【0140】この例においては、上記したように各ドメ
イン列111は、単位ブロックとしてそれぞれ、ビーム
の集光又は発散という同じ機能を有する同一機能部とし
て設けられることになり、各列によってビームを相互干
渉しないように空間的に分割できる。これは、図1の集
光の例では問題なく実現できるが、図4の発散の例では
電極3と4を各例毎に分割し、選択的に動作させれば分
割ビームの相互干渉は十二分に防止できる。その他の構
成や作製方法等は、既述した先願発明の例と同様であ
り、ここでは繰り返して説明しない。
【0141】このように、光ビームの伝搬領域内に、光
ビームがそれぞれの列を通過するように前記構造のドメ
イン列の複数個を光ビームの伝搬方向に対して並列に作
製して同一基板に集積すれば、入力光ビームは各々の部
分がそれぞれ集光されることにより空間的に分離され、
十分な光量で複数本の光ビームに分割されて所定方向に
安定して導かれ、それぞれの光ビームを独立に処理する
ことが可能となる。例えば、図1に示すように、出力ビ
ームを入射させる受光素子121を配し、次段の処理に
利用することができる。この受光素子は各ドメイン列に
対応して分割してよい。
【0142】しかも、分極反転ドメイン2は微細構造に
高精度に強誘電性基体に設けることができ、その位置整
合(アラインメント)を良好に行え、上記の機能部を同
一基板に効率的に集積化することができる。
【0143】このような顕著な作用効果は、後述する他
の実施例においても同様に奏することができる。
【0144】図2は、上記した光ビームの分割を行う素
子の一形態を示す概略斜視図である。但し、電源22と
しては、直流電源及び交流電源のいずれも使用できる
が、直流電源の場合には、一定の電圧を印加することに
より集光又は発散し、交流電源の場合は、その周波数に
より周期的に、集光、発散を繰り返すことになる。例え
ば、集光用として応用するときは、入力光の焦点距離を
印加電圧によって変えることができる。
【0145】図3は、図2の原理を利用した光学顕微鏡
の概略断面図である。
【0146】即ち、レーザーダイオードからなる光源3
1から出射されたレーザー光はコリメートレンズ13
3、更には光ビーム41として上記の電気光学素子11
0中のドメイン2を通して集光され、対物レンズ134
に導かれ、対象物130上に焦点を結ぶ。この対象物で
は、各ドメイン列に対応した個数の焦点が形成される
が、各焦点位置からの反射光はハーフミラー又はビーム
スプリッタ(図示せず)によって入射光から光軸分離さ
れ、対応するフォトディテクタ(図示せず)に入射させ
ることができる。なお、電気光学素子110のドメイン
への印加電圧の制御によって、焦点距離を瞬時に変化さ
せ、顕微鏡の倍率を短時間内に変えることができる。
【0147】図5は、本発明の第2の実施例を示し、ス
イッチ機能により光ビームを空間的に分割する電気光学
素子の例である。
【0148】上述した先願発明によれば、図35及び図
36で示したように、所定の入射角で光ビームが入射す
るようにドメイン壁が所定の周期で積層され、強誘電性
基板の対向した両主面に設けられた電極間に信号電圧を
印加することにより、光ビームの伝搬方向をスイッチす
ることができるる
【0149】従って、図5に示す電気光学素子140に
よれば、強誘電性基板1中にドメイン層と基板との積層
構造141を光ビーム41の伝搬方向に直交する方向に
複数個並置すれば、個々の積層構造141では図35及
び図36で述べたと同様に印加電圧によって出射光が図
5中の破線又は実線の如くに変化するので、光ビームの
出射側に受光素子142を設ければ、印加電圧の制御に
よって、受光素子142への出力を選択でき、光スイッ
チが可能となる。ここでは、このスイッチングにより光
ビームを空間的に分離できると共に、各積層体141に
よっても各ビームに分割可能である。
【0150】この例による光スイッチは、通常の機械的
又は電気的なスイッチとは異なって光ビームを利用した
スイッチであるので、構造が簡単となり、取扱いも容易
となる。
【0151】図6及び図7は、本発明の第3の実施例を
示し、光偏向機能により光ビームを空間的に分割する電
気光学素子の例である。
【0152】上述した先願発明によれば、図1及び図2
に示したように、光ビームが横切るドメインの対向した
2つのドメイン壁への光ビームの入射角度がそれぞれ異
なるドメインを列状に配し、強誘電性基板の対向した両
主面に設けられた電極間に信号電圧を印加することによ
り、光ビームをその電圧に応じて偏向させることができ
る。
【0153】従って、図6に示す電気光学素子150
(光偏向器)によれば、電極3及び4の対をそれぞれの
ドメイン2ごとに分離して設けた電極形状(以下、分割
電極と称する。)とし、それぞれの電極間にそれぞれの
電圧を印加することにより、各ドメイン列151を独立
に機能させ、また印加電圧を各ドメイン列で異ならせる
ことによって光ビームの偏向角を個々に調節し、光ビー
ム41の伝搬方向(偏向角)を適宜制御することができ
る。更に、1つの光ビーム41を複数の光ビームに空間
的に分割できることは勿論である。
【0154】図7は、図6の如き光偏向機能による光ビ
ームの空間的分割を利用した応用例である。
【0155】即ち、レーザーダイオード151から出射
した光ビーム41を、シリンドリカルレンズ152を通
して、上記の電気光学素子150のドメイン列151
(ここでは図示省略)を通し、それぞれの列毎に偏向さ
れた光ビームを対応した各光ファイバー153に導き、
更に各出力光を受光素子154に入射させている。
【0156】即ち、一つの光ビーム41を、複数の光ビ
ームに各偏向角で分割しているので、これらの分割ビー
ムを次段へ伝達する、例えば、分配器(分波器)として
使用することが可能である。
【0157】図8〜図10は、本発明の第4の実施例を
示し、レンズ機能部で空間的分割された光ビームを光偏
向機能部に入射する電気光学素子の例である。
【0158】図8に示す電気光学素子160は、第一機
能部において各ドメイン2Aに対する電極3A−4A間
の印加電圧で適度に光束が絞られた光ビームを、第二機
能部において各ドメイン2Bに対する電極3B−4B間
の印加電圧に応じて偏向する機能を持つ複合機能素子で
ある。即ち、図1の例による複数のドメイン列111か
らなる集光(又は発散)用の第一機能部161Aと、図
6の例による複数のドメイン151からなる偏向用の第
二機能部161Bとを1つの基板1に相前後して設けた
例である。ここで、第一及び第二機能部はそれぞれ独立
したブロックとして光ビーム41の伝搬方向において相
前後して配置されている(これは、後続の実施例でも同
様である)。
【0159】そして、この素子160によって分割され
たそれぞれの光ビームは、互いに干渉することなく、電
極に印加された信号電圧に従って、その伝搬方向を偏向
することができる。また、第二機能部161Bのドメイ
ン2Bに入射するビームは第一機能部161Aで絞られ
ているため、その入射位置はドメイン2Bのドメイン壁
中央部に導けることにより、ドメインの先端部に入射す
る場合に生じ得る収差をなくすことができる。
【0160】この例においても、第二機能部において
は、分割電極を使用しており、それぞれの電極にそれぞ
れの電圧を印加することにより、それぞれの部分を独立
に機能させ、光ビームの偏向角を調節することによっ
て、その伝搬方向を適度に偏向することができる。
【0161】図9及び図10は、図8に示した構造を利
用した、IC(集積回路)テスティング用の光学式プロ
ーバの例である。
【0162】図10にこのプローバの要部を示すが、I
C基板162上に設けられた多数の配線163間には電
界164が生じるが、この電界に対して上記電気光学素
子160で空間的に分離された光ビームを照射すると、
電界164の強さに応じて屈折し、反射膜165によっ
て反射された光ビームをディテクタ(図示せず)によっ
て検出し、その屈折角度に依存するディテクタ出力に基
づいて配線163を流れる電流や電気抵抗の測定を行
い、製品の良否を判定するものである。
【0163】なお、図9及び図10においては、ドメイ
ン列の個数を適宜増やすことができるので、一度に数多
くの測定を行うことができる。
【0164】また、第一機能部161Aにおいて光ビー
ムの光束を絞っているので、第二機能部161Bにおい
て、光ビームの散乱が非常に少なくなっている。従っ
て、上記の光学式プローバの如き、測定精度を上げ、ま
た高集積化されたICのテスティングにとって有利とな
る。
【0165】図11は、本発明の第5の実施例を示し、
レンズ機能部で空間的に分割された光ビームを光スイッ
チ機能部に入力する例である。
【0166】図11に示す電気光学素子170は、第一
機能部において各ドメイン2Aに対する電極3A−4A
間の印加電圧で適度に絞られた光ビームを、第二機能部
において各ドメイン2Bに対する電極3B−4B間の印
加電圧に応じてスイッチする機能を持つ複合機能素子で
ある。即ち、図1の例による複数のドメイン列111か
らなる集光(又は発散)用の第一機能部171Aと、図
5の例による複数のドメイン積層構造141からなるス
イッチング用の第二機能部171Bとを1つの基板1に
相前後して設けた例である。
【0167】そして、この素子170によって分割され
たそれぞれの光ビームは、互いに干渉することなく、電
極に印加された信号電圧に従って、その伝搬方向をスイ
ッチングし、出力側の受光素子172への入射を選択す
ることができる。
【0168】また、この例においては、第二機能部の電
極を分割電極にすることにより、受光素子172のそれ
ぞれへの入射をスイッチングすることもでき、例えば、
エンコーダー等に用いることができる。
【0169】また、第一機能部171Aにおいて光ビー
ムの光束を絞っているので、第二機能部171Bにおい
て、光ビームの散乱が非常に少なくなっている。
【0170】以上に示した各例では、入力光ビームを複
数本に分割し、それぞれを利用できる素子を示したが、
本発明が微小な光学系を集積化する場合に有利であるこ
とを以下に例示する。
【0171】図12及び図13は、本発明の第6の実施
例を示し、光ファイバーからレンズ機能部を通して光偏
向機能部に入力する電気光学素子の例である。
【0172】図12に示すように、光ビームの伝搬方向
において、レンズ機能部である集光用のドメイン列11
1に続いて、光偏向機能部である偏向用のドメイン列1
51が一つの基板1に集積されている電気光学素子18
0に対して、光ビーム41がレンズ182を通った後、
レンズ機能部(第一機能部)に入射するように、プラス
チック光ファイバー(例えば、コア径150μmのプラ
スチック光ファイバー)184を接続すると、光ファイ
バー184から出射した光ビーム41は、レンズ機能部
(第一機能部)171において適度に絞られるので、複
雑でかつ高精度を必要とするアラインメントは不要とな
り、効率よく、しかも正確に光偏向機能部151に伝搬
され、偏向されることになる。
【0173】図13は、図12の素子構造を基本とし、
複数本の光ファイバー184から、複数のドメイン列1
11からなるレンズ機能部181Aを通して、複数のド
メイン列151からなる光偏向機能部181Bに入力す
る例である。
【0174】このように複数本の光ファイバー184が
並列に近接している場合でも、レンズ機能部(第一機能
部)181Aと分割電極3、4を設けた光偏向機能部
(第二機能部)181Bとを同一基板に集積化して配置
すれば、それぞれの光ファイバー181の出射光を各ド
メイン列151への信号電圧によって効率よく偏向でき
る。
【0175】また、図13(C)の図表は、この電気光
学素子180を例えば光コンピュータ(ここでは4ビッ
トの場合とする。)として使用するときの論理表であ
る。
【0176】即ち、入力側Aの光ファイバー184に対
して、出力側Bに複数(例えば4個)の受光素子183
が設けられ、例えば、入力側Aからは、光ファイバーか
らなる各入力素子A1、A2、A3及びA4からそれぞ
れ独立した光ビームを入力し、レンズ機能部181Aで
各ビームの光束を絞った後、光偏向機能部(第二機能
部)181Aにおいて印加された信号電圧に応じて偏向
させ、出力側Bで受光素子183に選択的に入射させる
ことにより、それぞれ異なった光信号を出力し、電気信
号に変換できるようにしている。ここで、受光素子18
3に対し光入射ありを「オン」、光入射なしを「オフ」
とし、4ビットの信号処理を行うことができる。
【0177】図14は、本発明の第7の実施例を示し、
図13に示した各機能部を有した電気光学素子を受光用
のICと組み合わせた例である。
【0178】即ち、この電気光学素子190では、レン
ズ機能部(第一機能部)181Aで適度に絞られ、それ
ぞれ独立した光ビーム41は、分割電極が設けられた光
偏向機能部(第二機能部)181Bで偏向され、基板1
に固定若しくは接触させたIC191の受光部192に
入射し、光ビームの入射部分を動作させる。
【0179】このIC191は、ここでは概略的に示し
ているが、半導体基板193上にP型層194をエピタ
キシャル成長させ、これに多数のN+ 型層195を不純
物拡散する工程を経て、作製したものである。従って、
例えばこれらのP型層194とN+ 型層195とのPN
接合を逆バイアスしておき、上記の光ビームが入射した
ときの放電電流を取り出すことによって、電気的な出力
にそれぞれ変換することができる。なお、このIC構造
は、上記以外にも、CCD(電荷結合素子)としてもよ
い。
【0180】図15は、本発明の第8の実施例を示し、
図13に示した各機能部を有した電気光学素子に受光用
のIC及び受光素子を接続した例である。
【0181】この例によれば、図14の例と同様に、レ
ンズ機能部(第一機能部)181Aで適度に絞られ、そ
れぞれ独立した光ビーム41は、分割電極が設けられた
光偏向機能部(第二機能部)181Bで偏向され、素子
基板1中に一体に組み込まれた例えば2つのIC201
と、基板1の出力側に配された受光素子202との少な
くとも一方に選択的に入射し、入射したIC201及び
/又は受光素子202を動作させる。IC201は、基
板1に一体化されるが、半導体基板203にエピタキシ
ャル成長させたP型層204にN+ 型層205を不純物
拡散で形成したフォトダイオード構造となっている。
【0182】この例は、基板1にIC201を一体に組
み込んだため、電気光学素子200の基板1を面積的に
みて有効に利用し、更に機能部を増やせるという特徴も
ある。
【0183】図16は、本発明の第9の実施例を示し、
電気光学素子の機能部を3種組み合わせた例である。
【0184】具体的には、光ビーム伝搬方向と直交する
方向(素子幅方向)において、図1と同様のレンズ機能
部201Aと、図6と同様の光偏向機能部201Bと、
図5と同様のスイッチ機能部201Cとを並列に並べ、
共通の光ビーム41を各機能部毎に空間的に分割する電
気光学素子210である。
【0185】各機能部は、それぞれの電極3A−4A、
3B−4B、3C−4C間の信号電圧によって動作す
る。この例では、光の干渉を避けるために、それぞれの
機能部に異なった電極を設けるのが好ましい。また、上
述したように、光偏向機能部201Bにおいては、分割
電極を設けるのが好ましい。しかし、故意に光の干渉を
生じさせる場合(例えば光学情報のミキシング)は、そ
れに応じた電極を設けることができる。
【0186】図17は、本発明の第10の実施例を示
し、複数の電気光学素子を積層した例である。
【0187】具体的には、図13の電気光学素子を例え
ば2つ、上下に積み重ねた電気光学素子220であり、
それぞれの入力光ビーム41、41’を各素子180、
180’によって同時に処理することができる。光ビー
ム41は別々に入射させてよいが、各素子に共通にして
もよい。各機能部は、電極3A1 −4A1 、3B1 −4
1 、3A2 −4A2 、3B2 −4B2 によって動作可
能である。
【0188】このように、レンズ機能部と光偏向機能部
とを集積した素子を上下に重ねる以外にも、例えばレン
ズ機能部とスイッチ機能部とを集積した素子を上下に重
ねるものや、上下の素子の機能部を異ならせたものでも
よい。
【0189】図18は、本発明の第11の実施例を示
し、異なる機能部を基板1に並設した他の例である。
【0190】特に、ドメイン列111からなるレンズ機
能部230Aとドメイン列151からなる光偏向機能部
230Bとが集積した素子部と、ドメイン列111’か
らなるレンズ機能部230Cを有する素子部とを横に並
べた電気光学素子230である。図17と同様に、それ
ぞれの素子部に入射する光ビームは、一本の光源であっ
てもよいし、複数本の光源41、41’であってもよ
い。
【0191】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が
可能である。
【0192】例えば、電気光学素子が有する機能部の種
類や配置、個数等は上述した実施例のものに限定される
ことはなく、様々の形態をとりうる。図1の素子と、図
13の素子とを直列に並べたり、各素子のそれぞれの機
能部を共通基板に設けることもできる。この場合は、光
ビームを2つの機能部で順次絞っているので、より絞ら
れた光ビームを伝搬できる。
【0193】また、光ビームの入射角は、素子の入射面
に対して垂直でなくてもよい。つまり、ドメインの形状
により、適切に光ビームの入射角を変化させることがで
きる。
【0194】更に、3次元的な光ビームの偏向、スイッ
チを行うように機能部を配置するものであってもよい。
この場合は、基板の厚み方向にも機能部を配置すること
になる。
【0195】
【発明の作用効果】本発明は、上述した如く、強誘電性
基体に分極反転ドメインを設け、この分極反転ドメイン
に印加する電圧に応じて、上記の複数の機能部(集光機
能、発散機能、偏向機能、スイッチ機能を行う各機能の
少なくとも2つを行う機能部)と、複数箇所での同一機
能部との少なくとも一方を集積しているので、上述した
先願発明と同様に、上記分極反転ドメインと強誘電性基
体との屈折率差を利用した上記の各種機能を効果的かつ
安定に生ぜしめることができると同時に、上記分極反転
ドメインは微細構造に高精度に強誘電性基体に設けるこ
とができ、その位置整合(アラインメント)を良好に行
え、上記の各機能部を同一基体に効率的に集積化するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による電気光学素子(集
光用)の概略正面図(A)及び概略平面図(B)であ
る。
【図2】同、電気光学素子を利用した焦点距離可変レン
ズ素子の概略斜視図である。
【図3】同、電気光学素子を適用した光学顕微鏡の概略
断面図である。
【図4】同、電気光学素子(発散用)の概略正面図
(A)及び概略平面図(B)である。
【図5】本発明の第2の実施例による電気光学素子の概
略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図6】本発明の第3の実施例による電気光学素子の概
略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図7】同、電気光学素子を利用した分配器の概略斜視
図である。
【図8】本発明の第4の実施例による電気光学素子の概
略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図9】同、電気光学素子を利用した光学式プローバの
概略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図10】同、光学式プローバの要部概略断面図であ
る。
【図11】本発明の第5の実施例による電気光学素子の
概略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図12】本発明の第6の実施例による電気光学素子の
概略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図13】同、電気光学素子を基本構造として利用した
応用例の概略正面図(A)、概略平面図(B)及び4ビ
ット論理素子の論理図表(C)である。
【図14】本発明の第7の実施例による電気光学素子の
概略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図15】本発明の第8の実施例による電気光学素子の
概略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図16】本発明の第9の実施例による電気光学素子の
概略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図17】本発明の第10の実施例による電気光学素子
の概略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図18】本発明の第11の実施例による電気光学素子
の概略正面図(A)及び概略平面図(B)である。
【図19】先願発明による光偏向素子の一例の概略斜視
図である。
【図20】同、光偏向素子の動作を説明するための原理
図である。
【図21】同、シングルドメイン結晶での電気光学効果
を利用した光偏向素子の概略斜視図である。
【図22】同、シングルドメイン結晶での電気光学効果
を利用した光偏向素子の概略斜視図である。
【図23】同、光偏向素子におけるドメイン形状と光ビ
ームの偏向角を示す概略平面図である。
【図24】同、光偏向素子のドメイン入射角に対する偏
向角の変化を示すグラフ(A)とドメイン数による偏向
角の変化を示すグラフ(B)である。
【図25】同、光偏向素子の望ましいドメイン形状を示
す概略斜視図である。
【図26】同、光偏向素子の具体的形状を示す要部平面
図である。
【図27】同、光偏向素子の出射端面への入射角に対す
る同端面からの出射角の変化を示すグラフである。
【図28】同、光偏向素子を使用した光偏向システムの
概略図である。
【図29】同、電界印加によるドメイン形成方法を示す
概略斜視図である。
【図30】同、電子線照射によるドメイン形成方法を示
す概略斜視図である。
【図31】同、焦点距離可変レンズの概略斜視図であ
る。
【図32】同、焦点距離可変レンズのレンズ形状の例を
示す概略図である。
【図33】同、光ビームの2次元化処理のための素子の
概略斜視図である。
【図34】同、光ビームの2次元化処理のための他の素
子の概略斜視図である。
【図35】同、電界誘起ミラーの概略斜視図である。
【図36】同、電界誘起ミラーの動作原理図である。
【図37】同、光偏向素子の他の例の概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
1…強誘電性基板、2、2A、2B、2C…分極反転ド
メイン、2a、2b…ドメイン壁、3、3A、3B、3
C、4、4A、4B、4C、13、14、15、73、
74…電極、5、5A、5B、6、6A、6B、75、
76、85A、85B、86A、86B…端面、7、7
A、7B、22、61、77…電気信号源又は電源、1
0、10A…電気力線、41…(入力)光ビーム、42
…(出力)光ビーム、43、44…主面、62…電子
線、76a…凸状面、76b…凹状面、110、14
0、150、160、170、180、190、20
0、210、220、230…電気光学素子、111、
151…ドメイン列、121、142、154、17
2、183、202…受光素子、130…対象物、13
4…対物レンズ、141…積層構造、151、181…
L.D.(レーザーダイオード)、152、182…シ
リンドリカルレンズ、153、184…光ファイバー、
161A、171A、181A、201A…第一機能
部、161B、171B、181B、201B…第二機
能部、162、193、203…IC基板、163…A
l配線、164…電界、165…反射膜、191、20
1…(光)IC、201C…第三機能部、φ、Δθs
Δθd …偏向角、θ1 …入射角、θ2 …出射角

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電性基体と、この強誘電性基体の主
    面に設けられた電極と、前記強誘電性基体中に所定形状
    に形成された分極反転ドメインからなる機能部とを有
    し、かつ、光ビームが前記ドメインを通過するように構
    成された電気光学素子において、前記電極に印加された
    電圧に応じて、前記光ビームの少なくとも一部につい
    て、集光する機能と、発散する機能と、伝搬方向を偏向
    する機能と、伝搬方向をスイッチする機能との内、少な
    くとも2つを行う複数の機能部、又は/及び、複数箇所
    で同一の機能を行う機能部が集積されていることを特徴
    とする電気光学素子。
  2. 【請求項2】 光ビームの伝搬方向に対して、複数の異
    なる機能部が相前後して配置されている、請求項1に記
    載した電気光学素子。
  3. 【請求項3】 光ビームの伝搬方向に対して、複数の同
    一機能部が並列に配置されている、請求項1に記載した
    電気光学素子。
  4. 【請求項4】 光ビームの伝搬領域内において、光ビー
    ムの一部分が第一機能部を通過伝搬すると共に、前記光
    ビームの他の部分が、前記第一機能部と同一又は異なる
    少なくとも1つの第二機能部にも通過伝搬するように、
    前記第一及び第二機能部が共通の強誘電性基体に集積さ
    れている、請求項1に記載した電気光学素子。
  5. 【請求項5】 光ビームを集光又は発散する機能部と、
    光ビームの伝搬方向を偏向する機能部とが相前後して配
    置されている、請求項2に記載した電気光学素子。
  6. 【請求項6】 光ビームを集光又は発散する機能部と、
    光ビームの伝搬方向を光ビームの少なくとも一部につい
    てスイッチする機能部とが相前後して配置されている、
    請求項2に記載した電気光学素子。
  7. 【請求項7】 強誘電性基体と、この強誘電性基体の主
    面に設けられた電極と、前記強誘電性基体中に所定形状
    に形成された分極反転ドメインからなる機能部とを有
    し、このドメインのドメイン壁の少なくとも1つが前記
    強誘電性基体の前記主面に対して垂直若しくはほぼ垂直
    であり、かつ、光ビームが前記ドメイン壁を少なくとも
    2つ通過するように構成され、前記電極に印加された信
    号電圧に応じて前記機能部を動作させる、請求項1に記
    載した電気光学素子。
  8. 【請求項8】 電圧を印加する電極が、強誘電性基体の
    両主面の片側又は両側の所定位置に所定形状に設けられ
    ている、請求項1に記載した電気光学素子。
  9. 【請求項9】 一つの光源を複数の光源に分割する、請
    求項1に記載した電気光学素子。
  10. 【請求項10】 単一又は複数の光源に対し、互いに異
    なるか若しくは同一の機能を有する複数の機能部を設け
    る、請求項1に記載した電気光学素子。
  11. 【請求項11】 強誘電性基体の両主面に電極を被着
    し、分極反転ドメインが所定形状で所定の配置になるよ
    うに、少なくとも片方の主面の電極を所定形状に作製
    し、前記強誘電性基体の自発分極の正側が負側より高電
    位になるように電界を印加することにより、前記強誘電
    性基体中の所定の場所に所定形状のドメイン構造を作製
    した、請求項1に記載した電気光学素子。
  12. 【請求項12】 強誘電性基体の自発分極の負側の面
    に、電子線又は負電荷を有する荷電粒子を照射すること
    によってそれぞれの分極反転ドメインが所定の位置に所
    定形状で形成される、請求項1に記載した電気光学素
    子。
  13. 【請求項13】 強誘電性基体の自発分極の正側の面
    に、正電荷を有する荷電粒子を照射することによってそ
    れぞれの分極反転ドメインが所定の位置に所定形状で形
    成される、請求項1に記載した電気光学素子。
  14. 【請求項14】 強誘電性基体がLiNbX Ta1-X
    3 (但し、0≦x≦1)の結晶からなる、請求項1に記
    載した電気光学素子。
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