JPH1036534A - ポリビニルアルコールハイドロゲルの耐摩耗特性向上方法 - Google Patents
ポリビニルアルコールハイドロゲルの耐摩耗特性向上方法Info
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- JPH1036534A JPH1036534A JP8200807A JP20080796A JPH1036534A JP H1036534 A JPH1036534 A JP H1036534A JP 8200807 A JP8200807 A JP 8200807A JP 20080796 A JP20080796 A JP 20080796A JP H1036534 A JPH1036534 A JP H1036534A
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- polyvinyl alcohol
- abrasion resistance
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- alcohol hydrogel
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- Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
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Abstract
(57)【要約】
【課題】機械的強度、ヤング率、含水率などの諸特性を
犠牲にすることなく、ポリビニルアルコールハイドロゲ
ルの耐摩耗特性を向上せしめ、もって非常に有望かつ良
好な人工関節軟骨材料が提供する。 【解決手段】脱酸素水中で、ポリビニルアルコールハイ
ドロゲルにγ線を５０ｋＧｙ以上照射する。
犠牲にすることなく、ポリビニルアルコールハイドロゲ
ルの耐摩耗特性を向上せしめ、もって非常に有望かつ良
好な人工関節軟骨材料が提供する。 【解決手段】脱酸素水中で、ポリビニルアルコールハイ
ドロゲルにγ線を５０ｋＧｙ以上照射する。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、事故や疾患などが
原因で、正常な機能を喪失した人体の関節軟骨を補綴す
る人工関節軟骨の材料として期待されるポリビニルアル
コール（以下、ＰＶＡと略称する）ハイドロゲルの耐摩
耗特性向上方法に関するものである。
原因で、正常な機能を喪失した人体の関節軟骨を補綴す
る人工関節軟骨の材料として期待されるポリビニルアル
コール（以下、ＰＶＡと略称する）ハイドロゲルの耐摩
耗特性向上方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来より、部分的な関節軟骨の損傷にお
いても、関節全体を置換する全人工関節が施されてい
る。生体に対する侵襲が少なく、且つ従来型の人工関節
に見られるような周囲の骨破壊などの問題を回避でき
る、関節軟骨のみを置換して済ませれることができるよ
うな材料の開発を目指して研究が盛んに行われてきた。
いても、関節全体を置換する全人工関節が施されてい
る。生体に対する侵襲が少なく、且つ従来型の人工関節
に見られるような周囲の骨破壊などの問題を回避でき
る、関節軟骨のみを置換して済ませれることができるよ
うな材料の開発を目指して研究が盛んに行われてきた。
【０００３】特開平３−１４１９５７は、ＰＶＡ含水ゲ
ルと多孔性アルミナセラミックスあるいは金属メッシュ
からなる人工関節軟骨に関する発明に関し、ここでは、
ＰＶＡハイドロゲルは、生体適合性に優れ、化学的に安
定で、かつ力学的特性に優れていることが示されてい
る。
ルと多孔性アルミナセラミックスあるいは金属メッシュ
からなる人工関節軟骨に関する発明に関し、ここでは、
ＰＶＡハイドロゲルは、生体適合性に優れ、化学的に安
定で、かつ力学的特性に優れていることが示されてい
る。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】ＰＶＡハイドロゲル
は、その諸特性から生体内の関節軟骨などへの応用が非
常に期待される材料であるが、その応用の幅を広げるに
は、優れたる耐摩耗特性を備えることが望まれる。
は、その諸特性から生体内の関節軟骨などへの応用が非
常に期待される材料であるが、その応用の幅を広げるに
は、優れたる耐摩耗特性を備えることが望まれる。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、脱酸素水中でγ線を５０ｋＧｙ以上照射
することによってＰＶＡハイドロゲルの耐摩耗特性を向
上させることを特徴とする。
決するために、脱酸素水中でγ線を５０ｋＧｙ以上照射
することによってＰＶＡハイドロゲルの耐摩耗特性を向
上させることを特徴とする。
【０００６】本発明のＰＶＡハイドロゲルの耐摩耗特性
向上方法において、含有酸素を確実に消費させる線量よ
り多くのγ線を照射し、すなわち、５０ｋＧｙ以上のγ
線を照射し、分子鎖の架橋反応を活発に引き起こすこと
により、機械的強度、ヤング率、含水率などの諸特性を
犠牲にすることなく、耐摩耗特性が向上する。
向上方法において、含有酸素を確実に消費させる線量よ
り多くのγ線を照射し、すなわち、５０ｋＧｙ以上のγ
線を照射し、分子鎖の架橋反応を活発に引き起こすこと
により、機械的強度、ヤング率、含水率などの諸特性を
犠牲にすることなく、耐摩耗特性が向上する。
【０００７】このγ線照射の工程は、脱酸素水中で行
う。これは、水中に溶存酸素が存在すると、これら酸素
がまず分子鎖の切断などを起こすので、ＰＶＡハイドロ
ゲルが酸化劣化を起こし、耐摩耗特性およびその他の特
性が低下する傾向があるためである。
う。これは、水中に溶存酸素が存在すると、これら酸素
がまず分子鎖の切断などを起こすので、ＰＶＡハイドロ
ゲルが酸化劣化を起こし、耐摩耗特性およびその他の特
性が低下する傾向があるためである。
【０００８】なお、γ線の吸収線量に特性上、上限はな
いが、経済性、安定性の観点から５０〜１５０ｋＧｙの
範囲であることが好ましい。
いが、経済性、安定性の観点から５０〜１５０ｋＧｙの
範囲であることが好ましい。
【０００９】また、ＰＶＡハイドロゲルの含水率は、人
工関節軟骨として用いる場合、適用部位によって任意に
決定できるが、２０〜７０％の範囲にあることが好まし
い。
工関節軟骨として用いる場合、適用部位によって任意に
決定できるが、２０〜７０％の範囲にあることが好まし
い。
【００１０】
【発明の実施の形態】実施例１ 水：ジメチルスルフォキシド＝２：８の混合溶媒中にＰ
ＶＡを１０％の濃度となるように調整した約１００℃の
ＰＶＡ溶液を、−２０℃に冷却してＰＶＡをゲル化し
た。常温にもとしたのちエタノール中に浸漬する事によ
り溶媒をＰＶＡ中より除き、ついで真空乾燥法にてＰＶ
Ａ中のエタノールを取り除いた。さらに真空乾燥機内の
温度を２４時間の間６０℃に加熱した。放冷後、純粋中
に３７℃で４８時間以上浸漬する事により、含水率５０
％のＰＶＡハイドロゲルを作製した。
ＶＡを１０％の濃度となるように調整した約１００℃の
ＰＶＡ溶液を、−２０℃に冷却してＰＶＡをゲル化し
た。常温にもとしたのちエタノール中に浸漬する事によ
り溶媒をＰＶＡ中より除き、ついで真空乾燥法にてＰＶ
Ａ中のエタノールを取り除いた。さらに真空乾燥機内の
温度を２４時間の間６０℃に加熱した。放冷後、純粋中
に３７℃で４８時間以上浸漬する事により、含水率５０
％のＰＶＡハイドロゲルを作製した。
【００１１】市販の蒸留水に対して減圧しつつ窒素ガス
を吹き込むことによって脱酸素水を作製した。該ＰＶＡ
ハイドロゲルと、該脱酸素水をガラスアンプルに入れて
密閉し、コバルト６０を線源とするガンマ線照射装置に
投入し、種々の吸収線量（５０〜３００ｋＧｙ）となる
ようにγ線を照射した後に取り出し、以下の特性評価実
験を実施した。
を吹き込むことによって脱酸素水を作製した。該ＰＶＡ
ハイドロゲルと、該脱酸素水をガラスアンプルに入れて
密閉し、コバルト６０を線源とするガンマ線照射装置に
投入し、種々の吸収線量（５０〜３００ｋＧｙ）となる
ようにγ線を照射した後に取り出し、以下の特性評価実
験を実施した。
【００１２】１）摩耗試験 Ｐｉｎ−ｏｎ−Ｆｌａｔ型往復動摩耗試験機を用い、対
合試料としてジルコニアセラミックスを使用した。潤滑
油は生理食塩水とし、ＰＶＡハイドロゲルとの最大相対
速度５０ｍｍ／ｓストローク１６ｍｍで対合試料を４８
時間往復運動させた、その後、潤滑液中に剥離または溶
出したＰＶＡハイドロゲルを吸光度法によって定量し摩
耗量を評価した。
合試料としてジルコニアセラミックスを使用した。潤滑
油は生理食塩水とし、ＰＶＡハイドロゲルとの最大相対
速度５０ｍｍ／ｓストローク１６ｍｍで対合試料を４８
時間往復運動させた、その後、潤滑液中に剥離または溶
出したＰＶＡハイドロゲルを吸光度法によって定量し摩
耗量を評価した。
【００１３】２）引張強度測定 ＪＩＳ Ｋ７１１３に基づき、２−１／２号試験片に
て、破断までの最大引張強さを求めた。
て、破断までの最大引張強さを求めた。
【００１４】３）ヤング率測定 引張試験より得られた応力−歪み曲線から、縦弾性率
（ヤング率）を計算した。
（ヤング率）を計算した。
【００１５】これらの測定の結果を表１に示す。
【００１６】
【表１】
【００１７】表１から明らかなように、γ線吸収線量が
５０ｋＧｙ未満では、摩耗係数が大きく、同時にヤング
率も低いのにたいして、γ線吸収線量が５０ｋＧｙ超過
では、摩耗係数、引張強度、ヤング率、含水率ともに良
好な値を示した。
５０ｋＧｙ未満では、摩耗係数が大きく、同時にヤング
率も低いのにたいして、γ線吸収線量が５０ｋＧｙ超過
では、摩耗係数、引張強度、ヤング率、含水率ともに良
好な値を示した。
【００１８】実施例２ 水：ジメチルスルフォキシド＝２：８の混合溶媒中にＰ
ＶＡを１０％の濃度となるように調整した約１００℃の
ＰＶＡ溶液を、−２０℃に冷却してＰＶＡをゲル化し
た。常温にもとしたのちエタノール中に浸漬する事によ
り溶媒をＰＶＡ中より除き、ついで真空乾燥法にてＰＶ
Ａ中のエタノールを取り除いた。さらに真空乾燥機内の
温度を２４時間の間６０℃、ついで４８時間の間１４０
℃に加熱した。放冷後、純粋中に３７℃で４８時間以上
浸漬する事により、含水率３０％のＰＶＡハイドロゲル
を作製した。
ＶＡを１０％の濃度となるように調整した約１００℃の
ＰＶＡ溶液を、−２０℃に冷却してＰＶＡをゲル化し
た。常温にもとしたのちエタノール中に浸漬する事によ
り溶媒をＰＶＡ中より除き、ついで真空乾燥法にてＰＶ
Ａ中のエタノールを取り除いた。さらに真空乾燥機内の
温度を２４時間の間６０℃、ついで４８時間の間１４０
℃に加熱した。放冷後、純粋中に３７℃で４８時間以上
浸漬する事により、含水率３０％のＰＶＡハイドロゲル
を作製した。
【００１９】市販の蒸留水に対して減圧しつつ窒素ガス
を吹き込むことによって脱酸素水を作製した。該ＰＶＡ
ハイドロゲルと、該脱酸素水をガラスアンプルに入れて
密閉し、コバルト６０を線源とするガンマ線照射装置に
投入し、種々の吸収線量（５０〜３００ｋＧｙ）となる
ようにγ線を照射した後に取り出し、実施例１と同様の
特性評価実験を実施した。
を吹き込むことによって脱酸素水を作製した。該ＰＶＡ
ハイドロゲルと、該脱酸素水をガラスアンプルに入れて
密閉し、コバルト６０を線源とするガンマ線照射装置に
投入し、種々の吸収線量（５０〜３００ｋＧｙ）となる
ようにγ線を照射した後に取り出し、実施例１と同様の
特性評価実験を実施した。
【００２０】これらの測定の結果を表２に示す。
【００２１】
【表２】
【００２２】表２から明らかなように、γ線吸収線量が
５０ｋＧｙ未満では、摩耗係数が大きいのにたいして、
γ線吸収線量が５０ｋＧｙ超過では、摩耗係数、引張強
度、ヤング率、含水率ともに良好な値を示した。
５０ｋＧｙ未満では、摩耗係数が大きいのにたいして、
γ線吸収線量が５０ｋＧｙ超過では、摩耗係数、引張強
度、ヤング率、含水率ともに良好な値を示した。
【００２３】
【発明の効果】叙上のように、本発明のポリビニルアル
コールハイドロゲルの耐摩耗特性向上方法によれば、脱
酸素水中でγ線を５０ｋＧｙ以上照射するので、分子鎖
の架橋反応を活発に引き起こすことにより、機械的強
度、ヤング率、含水率などの諸特性を犠牲にすることな
く、耐摩耗特性が向上する。したがって、非常に有望か
つ良好な人工関節軟骨材料が提供できる。
コールハイドロゲルの耐摩耗特性向上方法によれば、脱
酸素水中でγ線を５０ｋＧｙ以上照射するので、分子鎖
の架橋反応を活発に引き起こすことにより、機械的強
度、ヤング率、含水率などの諸特性を犠牲にすることな
く、耐摩耗特性が向上する。したがって、非常に有望か
つ良好な人工関節軟骨材料が提供できる。
Claims (1)
- 【請求項１】脱酸素水中でγ線を５０ｋＧｙ以上照射す
ることを特徴とするポリビニルアルコールハイドロゲル
の耐摩耗特性向上方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20080796A JP3492857B2 (ja) | 1996-07-30 | 1996-07-30 | ポリビニルアルコールハイドロゲルの耐摩耗特性向上方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP20080796A JP3492857B2 (ja) | 1996-07-30 | 1996-07-30 | ポリビニルアルコールハイドロゲルの耐摩耗特性向上方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1036534A true JPH1036534A (ja) | 1998-02-10 |
| JP3492857B2 JP3492857B2 (ja) | 2004-02-03 |
Family
ID=16430529
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP20080796A Expired - Fee Related JP3492857B2 (ja) | 1996-07-30 | 1996-07-30 | ポリビニルアルコールハイドロゲルの耐摩耗特性向上方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3492857B2 (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003171686A (ja) * | 2001-12-07 | 2003-06-20 | Japan Science & Technology Corp | 高分子ゲル潤滑方法 |
| EP1647569A1 (en) * | 2004-10-12 | 2006-04-19 | Zimmer GmbH | PVA hydrogel |
| WO2006134844A1 (ja) * | 2005-06-13 | 2006-12-21 | Kyoto University | 髄核用脊椎椎間板置換材料およびその製造方法 |
| US8834914B2 (en) | 2003-12-11 | 2014-09-16 | Zimmer, Inc. | Treatment methods using a particulate cadaveric allogenic juvenile cartilage particles |
| US9138318B2 (en) | 2007-04-12 | 2015-09-22 | Zimmer, Inc. | Apparatus for forming an implant |
| US10167447B2 (en) | 2012-12-21 | 2019-01-01 | Zimmer, Inc. | Supports and methods for promoting integration of cartilage tissue explants |
-
1996
- 1996-07-30 JP JP20080796A patent/JP3492857B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (10)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003171686A (ja) * | 2001-12-07 | 2003-06-20 | Japan Science & Technology Corp | 高分子ゲル潤滑方法 |
| US8834914B2 (en) | 2003-12-11 | 2014-09-16 | Zimmer, Inc. | Treatment methods using a particulate cadaveric allogenic juvenile cartilage particles |
| EP1647569A1 (en) * | 2004-10-12 | 2006-04-19 | Zimmer GmbH | PVA hydrogel |
| WO2006040128A1 (en) * | 2004-10-12 | 2006-04-20 | Zimmer Gmbh | Pva hydrogel |
| JP2008515503A (ja) * | 2004-10-12 | 2008-05-15 | ジマーゲーエムベーハー | Ｐｖａヒドロゲル |
| WO2006134844A1 (ja) * | 2005-06-13 | 2006-12-21 | Kyoto University | 髄核用脊椎椎間板置換材料およびその製造方法 |
| JP2006345934A (ja) * | 2005-06-13 | 2006-12-28 | Kyoto Univ | 髄核用脊椎椎間板置換材料およびその製造方法 |
| US9011545B2 (en) | 2005-06-13 | 2015-04-21 | Bmg Incorporated | Spinal intervertebral disk replacement material for nucleus pulposus and production method thereof |
| US9138318B2 (en) | 2007-04-12 | 2015-09-22 | Zimmer, Inc. | Apparatus for forming an implant |
| US10167447B2 (en) | 2012-12-21 | 2019-01-01 | Zimmer, Inc. | Supports and methods for promoting integration of cartilage tissue explants |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP3492857B2 (ja) | 2004-02-03 |
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Legal Events
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