JPH1034325A - 水中熱加工処理用の排水装置 - Google Patents

水中熱加工処理用の排水装置

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JPH1034325A
JPH1034325A JP9088982A JP8898297A JPH1034325A JP H1034325 A JPH1034325 A JP H1034325A JP 9088982 A JP9088982 A JP 9088982A JP 8898297 A JP8898297 A JP 8898297A JP H1034325 A JPH1034325 A JP H1034325A
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    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水中での熱加工処理のための局所的乾燥環境
を維持するための改善された排水装置の提供。 【解決手段】 電極とトーチハウジングと加圧ガス導入
口を有する溶接トーチ;該トーチハウジングに取付けら
れていて電極の少なくとも一部を取り囲むシールドガス
ノズル;及び該シールドガスノズルの遠位端に取付けら
れた閉環形に配置された弾性耐熱性ばね材料でできた流
体透過性バッフルを含む水中熱加工処理装置。この排水
装置は移動式、可撓性気流透過性バッフルとして機能
し、母材表面と接触状態及び/又はそのごく近傍にて使
用される。この装置の好ましい断面形状は楕円形であ
り、母材表面との密着性に富む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、総括的には、金
属部品の水中熱加工処理に関する。具体的には、本発明
は、肉盛溶接及び溶接接合、溶射、熱切断及び熱処理な
どの水中熱加工処理時にプロセスガスパージ領域から水
を排除するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】溶接処理時に存在する溶融金属池及び隣
接する加熱された金属は、常用の不活性ガス(アルゴン
又はヘリウム)シールドのような非酸化性環境で取り囲
まなくてはならない。溶接を水中で行う場合に、利用で
きる2つの選択肢は(1)溶接装置と溶接部のまわりを
完全に取り囲む固定式乾燥環境チャンバを設けるか、或
いは(2)トーチ先端と溶接部だけを取り囲む移動式の
局所的乾燥環境を設けることである。局所的に取り囲む
という選択肢では、所望により溶接トーチの一部又は全
体を含んでいてもよいが、これはトーチが通例溶接の進
行に伴って移動するからである。溶接の品質は、排水装
置が母材表面の上を滑って移動するときに母材の表面に
ぴったりと適応する能力、したがって溶接部表面をそれ
と接するパージガスを含めて乾燥状態に保ちつつ液体蒸
気及び酸化性不純物その他の不純物を絶えず掃去する能
力によって強く左右される。
【0003】運転中の沸騰水型原子炉(BWR)プラン
トにおいて応力腐食割れ(SCC)を除去もしくは低減
するため、その保全停止時にクラッディング、接合及び
構造補修の形態の水中溶接が必要とされる。こうした溶
接は、SCCの緩和のための貴金属技術を用いて或いは
用いずに実施し得る。例えば、プラズマ移行アーク(P
TA;plasma transferred arc)法及びレーザークラッ
ディング法を、特に貴金属クラッディング(NMC;no
ble metal cladding)用途に重点をおいて、使用するこ
とが知られているが、これらのプロセスでは局所的排水
装置の使用が必要とされる。局所的排水装置の使用は、
将来的には、クラッディングにとどまらず、切断、接
合、き裂癒合及び構造補修などの様々な溶接用途に広が
るであろう。その他の熱加工処理、例えば熱処理及び溶
射などについても、全体を封鎖した乾燥ガス環境ではな
く、局所的に水を排除した水中で実施することが望まれ
ている。
【0004】水中でのPTA溶接(プラズマアーク溶接
としても知られる)に現在利用されている局所的排水装
置のための既存の設計には様々な欠点がある。例えば既
存の設計はトーチ−母材間距離感受性(torch-to-work d
istance sensitivity)を有しており、その感受性は幾つ
かの現場用途で極度に高い。この高い感受性から生じる
結果は、特に動的排水用途に関して、母材表面の輪郭の
変化及び局所的な表面の粗さの変化に対する許容度の低
さとなって現れる。このような状況は、もっと正確に制
御されたトーチロボットポジショナに対するニーズの増
大をもたらすであろう。より平滑な表面及び/又はより
正確なコントローラがなければ、溶接品質及び反復精度
が損なわれる可能性がある。さらに、既存の方法は、拡
張ガスカップの先端のまわりに抵抗スポット溶接で固定
した織金網(woven metal mesh)のストリップを利用して
いる。この既存の金網は比較的細目の柔らかい金網でで
きており、その緩い構造及び低い弾性限度(材料の降伏
強さ)のために、壊れやすく順応性に欠ける。
【0005】
【発明の概要】本発明は、肉盛溶接及び溶接接合、溶
射、熱切断及び熱処理などの水中熱加工処理に際してプ
ロセスガスパージ領域からの排水の改善をもたらす装置
を提供する。例えば、この装置は、水(又は他の液体)
の中に沈んだ部品について局所的乾燥環境中での溶接を
可能にし、完全に乾燥した環境下で実施した母材につい
て典型的にみられるのと同程度の高い溶接品質をもたら
す。この装置の好ましい実施形態は金属ばねのようなつ
る巻コイル形弾性耐熱性材料を含んでなり、このつる巻
コイル形弾性耐熱性材料はシールドガスカップを一回り
するようにして取付けられた閉経路を形成する。
【0006】本発明の排水装置は、移動式の可撓性気流
透過性バッフルとして作用し、母材表面に接触した状態
及び/又は極めて近接した状態で使用される。この装置
の断面の好ましい形状は楕円形で、ばねのコイルが該装
置周囲の全体経路に対してある角度で傾斜していてお
り、その結果、従来の設計のバッフルよりも大きく撓む
ことで全体的なつる巻形状が容易に圧縮・弛緩されるよ
うになっている。この形状により、装置は母材表面の局
所的及び全体的起伏に対してより容易に適応でき、より
完全な気水界面境界を与える。この装置のバッフル作用
は、気液界面において高い液体流れ抵抗をもつ経路を生
じさせつつ、絶えず補給される不活性ガス流に対する逃
散経路を与えて該不活性ガス流によって母材表面から蒸
発した液体蒸気(水蒸気など)を連れ去ることである。
この流れ抵抗は、排水装置の縁における水中での局所的
な乱れを最小限に抑制もしくは除去するためにも設けら
れる。このような乱流は、シールドから圧力の高いガス
が周囲の圧力の低い水中に泡となって逃散する際に母材
表面とガスシールドの間に隙間が存在しているようなと
きにみられるであろう。
【0007】本発明の排水装置は、水中PTA溶接に現
在利用されている既存の設計を改良したものである。こ
の新設計は低減したトーチ−母材間距離感受性を有して
おり、その結果、特に動的排水用途に関して、母材表面
の輪郭の変化及び局所的な表面の粗さの変化に対する許
容性が高まる。この改良排水装置のもう一つの利点は、
幾つかの用途では、装置のバッフル部(或いはバッフル
とバッフルが取付けられたガス側板の両方)の高いコン
プライアンス(compliance)を維持しつつ、パージガス
の流速を減少させることができることである。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、図面について簡単に説明す
る。図1は、本発明の好ましい実施形態における水中溶
接トーチに取付けられたコイル状ばねからなる気液分離
バッフルを有する排水装置の概略断面図である。図2
は、図1の排水装置の概略平面図であり、簡明のためシ
ールドガスカップは図示していない。
【0009】図3は、図1の排水装置の円で囲んだ部分
の概略拡大図である。図4は、本発明の第二の好ましい
実施形態における溶接カップアセンブリの概略断面図で
ある。図1を参照すると、本発明の排水装置は、シール
ドガスカップ10とベローズの形態のシールドガスノズ
ル12とシールドガス導入口14と電極(図示せず)と
を含んでなる溶接トーチと共に使用される。タングステ
ン不活性ガス溶接(TIG溶接)では、フィラノズル
(図示せず)によって電極の下に溶加材が供給される。
金属不活性ガス溶接(MIG溶接)では、消耗電極(図
示せず)が母材表面に供給される。加圧不活性ガスがシ
ールドガス導入口14を介してシールドガスノズル12
と母材表面20の間の領域16に供給される。
【0010】水中熱加工処理の間、水はシールドガスパ
ージ領域16から排除しなければならない。本発明の一
つの好ましい実施形態によれば、排水装置はばね鋼のよ
うな弾性耐熱性材料でできたつる巻コイル22を含んで
なる。好ましい実施形態では、上記ばねは図2に最もよ
く示されているようにその両端が接合してトロイド形の
バッフルを形成する。つる巻コイル22の断面の好まし
い形状は楕円形(図3に最もよく示されている)であ
り、ばねのコイルはバッフル周囲の全体経路に対してあ
る角度で傾斜していて、その結果大きく撓むことで全体
的なつる巻形状が容易に圧縮・弛緩されるようになって
いる。このような構成によって、バッフルは母材表面の
局所的及び全体的起伏に対して容易に適応できるように
なり、より完全な気水界面境界を与える。図1に示す通
り、コイルばねの巻き(turn)はその各々の傾斜角の調節
によって母材表面の地形に適応する。
【0011】このバッフルエンクロジャのばね定数を下
げるとともにそれによってバッフル外縁のまわりに母材
が基本的に絶えず接触した状態を維持するのに必要な力
を低減するために、弾性率(ヤング率)の異なる他の材
料(ニッケル基ハステロイなど)を使用することもでき
る。素線(ワイヤ)から形成されるコイルのばね定数を
調節するために、他の形状の素線を用いてバッフルエン
クロジャを形成することもできる。傾斜コイル(canted
coil) 又は非傾斜コイル(non-canted coil) の形成に使
われる標準的な素線断面形状は丸素線である。この形状
の一つの改良は、コイル形成時に素線がその肉薄寸法方
向に曲げられるようにして巻かれた平形又は楕円形素線
の使用である。このコイル構成において、素線は起伏の
ある又は粗い母材表面に対してコイルをシールする際に
もその肉薄寸法方向に撓み、所定のコイルループ撓みを
起こすのに要する力を下げることができ、並んで/或い
は素線の形状を損なうような塑性(永久)変形が起こる
までの最大撓みを大きくすることができる。
【0012】つる巻コイル22のバッフル作用は、気液
界面において高い液体流れ抵抗をもつ経路を生じさせつ
つ、連続的に補給される不活性ガス流に対する逃散経路
を与えて該不活性ガス流によって母材表面から蒸発した
液体蒸気(水蒸気など)が連れ去られるようにすること
である。バッフルの表面輪郭追従能力(surface contour
-following ability) を高めるため、つる巻コイル22
は、溶接トーチ側板10とは独立に動くことができるよ
うな機械的コンプライアンスをもつシールドガスベロー
ズ12に取付けられる。好ましい実施形態では、機械的
コンプライアンスは、図面に示すように、機械的継手の
ないノズル12のベローズによって与えられる。別法と
して、機械的コンプライアンスはばね式滑り管(滑り継
手など)、玉継手、或いは機械的継手をもったフレキシ
ブルベローズによって与えることもできる。ただし、本
発明の実施に際して、シールドガスノズルが機械的コン
プライアンスをもつことは必須ではない。さらに別の変
法では、機械的にフレキシブルなばね式バッフルは、シ
ールドガスノズル又はシールドガスノズルの長さ調節式
剛性拡張部(rigid, adjustable-length extension)に対
して直接或いはバッフルに取付けられた一体取付用スト
ロングバック(integral mounting strongback)を介して
取付けることもできる。
【0013】このように排水バッフルを防振支持(flexi
ble mounting)することにより、バッフルが必要に応じ
て母材の輪郭にそって移動(母材表面の平面に対する回
転運動及び並進運動)できるようになり、その結果、一
定のアーク長及び対応アーク電圧を維持するためにトー
チが辿らなければならない経路とは局所的に異なる経路
を生じることもある。このような経路の差は起伏又は不
規則表面で起こるが、これはバッフル接触位置が進行方
向において常にバッフル全体寸法の幅のほぼ半分ほど溶
融池に先行するのに対して、アーク又はパワービームは
バッフルの中心付近で母材と交差するからである。
【0014】シールドガスノズル12は溶接トーチの周
囲に装着されており、遠隔観察用カメラ光学素子(図示
せず)を含んでおり、それにより作業員は気泡や多大な
液体蒸気を含んだ水環境を通さずに進行中の溶接を観察
できるようになる。このリアルタイム溶接モニタリング
によって、さらに、その作業について観察された品質に
基づいてプロセスに調節を加えることができるようにな
る。そうした調節の一つは、局所的状態として十分に乾
燥した母材表面を維持するのに要するパージガスの流量
に関するものである。
【0015】好ましい実施形態によれば、バッフル構造
は、シリコーンゴムのような耐熱性軟質材料でできた外
筒もしくはスカート24を含んでいて、このスカート2
4は母材表面に対して押し当てられるか或いは母材表面
のごく近傍にある。コイルばね22又はその機能的に均
等なバッフルエンクロジャは、スカート24に対して一
体型スティフナとして全体的支えを提供できるだけでな
く、さらには、より継続的な局所的接触状態が維持され
るように母材に対して突き出たスカート部分が必要に応
じて屈曲するようになる。コイルばね22(及び使用す
る場合には充填材料)はスカート24の内側に置かれる
が、その内部での熱加工処理で生じる赤外線及び紫外線
からスカート材料を保護する作用をもつ。熱加工処理の
際に、コイルの巻きと巻きの間から押し出された不活性
ガスは屈曲スカートと母材表面の界面で逃散する。別法
では、スカートは気体透過性材料で製造することができ
る。
【0016】排水装置の好ましい実施形態によれば、コ
イルばね22は、編組グラスファイバー(braided fiber
glass)などでできた気体透過性バッフル充填材シース2
8によって包囲された気体透過性気液バッフル充填材料
のドーナツ形リング26を包囲する。充填材料は、金属
製の不織メッシュ、織物(woven strip) 又はワイヤロー
プの形態だけでなく、グラスファイバーブレード(fiber
glass braid)及び多孔質(開放セル)シリコーンゴムス
ポンジなどの非金属耐熱性インサートの形態も取り得
る。充填材料設置の変法には、コイルばね内でのスポン
ジゴム成形のような、バッフルエンクロジャの最終形状
内部での現場形成が含まれる。
【0017】もう一つの変法は、バッフル充填材料26
又はシース28を耐熱性ゴムのような軟質材料から作る
ことであるが、こうした材料はさほど気体透過性でな
い。これらの構成は、パージガスの大部分又は全部が母
材表面と接した場所でのみ排水装置から追い出されるよ
うにさせる(このことは幾つかの用途で好ましいことが
ある)とともに、排水装置に流す所要パージガス流速を
低減することができるようになる。充填材料はバッフル
エンクロジャ中で成形してもよいが、エンクロジャの両
端を接合して排水装置のまわりに閉外辺を形成する前に
チュービング、被覆メッシュ又はむくストリップのよう
な別個の材料として挿入してもよい。
【0018】水中で適用される移動式局所熱加工処理領
域から水を排除するための上記装置は、従来の設計に比
べて格段に改善された性能をもたらす。このような性能
面での利益は、トーチ−母材間距離に対する感受性が低
くトーチ操作に必要な位置精度が低くてすむとともに、
粗い及び/又は起伏のある母材表面に対する水/気境界
の制御に優れていることからなる。排水装置のバッフル
エンクロジャ部分(母材表面と滑り接触の状態にある)
の平滑形状及び硬質材料は、現在可能とされているより
も粗い表面に対する均一かつ堅実なプロセスへの応用を
可能にする。この装置は、溶接、切断、被覆及び加熱な
どの、水中で適用される様々な熱加工処理に適用するこ
とができる。
【0019】本発明による改良は数多くの性能面での利
益をもたらす。例えば、バッフルは好ましくは厚肉の硬
質ばね鋼線又はその他の形態のばね材料で製造される。
バッフルは、コイル又はコイルから作られるその他の形
状が比較的低い圧縮力でその厚さのかなりの比率(最高
35%程度)まで容易に圧縮できるように構成される。
ばね材料の高い弾性歪限度は、圧縮後の永久変形を防ぐ
とともに、完全に弛緩して圧縮前のその元の形状に戻る
ことを可能にする。本発明による設計の利益は以下の通
りである。
【0020】(1)ばねが強靭で、溶接後の粗い母材表
面又は粗面加工表面上での滑り摩耗に耐久性をもつ。 (2)ばねがコンプライアンス及び弾性を有していて、
完全な圧縮並びに元の非圧縮状態の高さへの完全な回復
が可能となること。 (3)ばねの見掛けの流体透過性(もしくは低い「密
度」)が調節可能であり、その調節によって気液界面を
乾燥溶接作業領域の外に追いやるのに必要な気流速度を
制御できること。
【0021】(4)ばねを機械的手段その他の手段によ
って直接ガスカップに或いは中間部品に容易に取付け
(又は取り外し)できること。 (5)ばねの半径方向撓み力定数(radial deflection f
orce constant)を素線の寸法及びピッチを調製すること
で容易に調節できること。 (6)ばねの断面形状が丸いので、出っ張りや実在する
溶接ビードのような隆起の上を容易にスライドさせるこ
とができる。
【0022】(7)ばねの内部にワイヤブレード、メッ
シュ、ロープ又は追加のばねを詰めて性能特性の向上し
た複合装置を得ることができる。特に、ばね定数及びパ
ッキング密度を変えるために複数の嵌合式(同心)ばね
を種々組み合わせて集成体とすることができる。 (8)ばねは外的誤用又は溶接スパッタ(及びパウダ供
給系についてのオーバースプレー)による損傷及び故障
に対して耐性である。
【0023】本発明の別の好ましい実施形態では、バッ
フルのエンクロジャはトーチ先端を囲うように形成され
た外縁をもつフィンガスプリングであってもよい。母材
表面と接触するフィンガ部は、母材に熱加工処理プロセ
スを動的に適用する場合に比較的高い領域及び低い領域
双方の上を容易に滑るように湾曲もしくは円弧形の断面
を有し得る。フィンガスプリングの「ハンド」部はトー
チの先端又はそのコンプライアントな拡張部に取付けて
封止し得る。バッフル作用を最大限に高めるべく、数組
のスプリングを部分的に重ねて使用することもできる。
重ね合わせの一つの構成は、一組のフィンガを別の組
(複数の組でもよい)のフィンガとフィンガの間隙に配
置して、より効率的な気体封鎖が維持されるようにする
というものである。もう一つの構成は、一組のフィンガ
を別の組(複数の組でもよい)のフィンガの外側及び/
又は内側に配置して、一組のフィンガが母材と完全に接
触しなかったとしても別の(任意には複数の)組のフィ
ンガが所要のバッフル機能を与えることができるように
するというものである。
【0024】本発明の技術的範囲には、弾性耐熱性材料
で作られた可撓性気流透過性バッフルをシールドガスノ
ズルの先端に取付けることが広く包含され、スカートな
し、バッフル充填材料なし、及びバッフル充填材料シー
スなしでも本発明の範囲に含まれる。これらのスカー
ト、バッフル充填材料、バッフル充填材料シースはすべ
て任意である。両端を接合したつる巻コイルばねの場
合、コイルの隣り合った巻きと巻きの間から加圧不活性
ガスが押し出される際に大きな気泡が作られることがあ
る。これらの気泡が崩壊する際に、水が気泡内の気体を
急速に追い出して、内破(implosion) 又は水の跳ねかけ
(splashing) を起こす。このような跳ねかけは、理想的
には定常的な準平衡状態に維持すべき気液界面の位置に
押し入ることがあり、場合によっては排水装置への水の
逆流を引き起こすことさえある。気流透過性充填材料
(例えば多孔質開放セル構造)を使用すると、バッフル
構造から出てくる気泡の大きさが小さくなり、跳ねかけ
の量が少なくなる。
【0025】もう一つの好ましい実施形態(図4に図
示)では、溶接カップアセンブリ30は溶接カップ32
を含んでなる。溶接カップ32の内面の上方部分にはね
じ山が設けてあり、慣用の溶接トーチにこのガスカップ
をねじ止めできるようになっている。ベローズ38の上
端はOリングホルダー36によって溶接カップ32の外
面に取付けられ、Oリングホルダー36にはベローズが
(はんだ付、ろう付又は接着剤接合などによって)結合
している。ベローズの蛇腹部は溶接カップ32にそって
スライド可能であり、それによってベローズが軸方向に
自由に伸縮できるようになっている。
【0026】Oリングホルダー36は密着嵌合によって
溶接カップに取付けられる。ホルダー36の環状凹部に
収容されたOリング34は、ベローズとカップの間から
の気体の逃散を防ぐためのシールを形成する。ベローズ
が圧縮されたときのOリングホルダー36の上方への位
置ずれを防ぐため、ガスカップ32の周囲にホルダー3
6と軸方向に隣接した位置にカラー(図示せず)をクラ
ンプしてもよい。そうすると、クランプしたカラーは、
Oリングホルダー36のガスカップ上方へのずれをブロ
ックする止め具として機能する。Oリングホルダー36
は溶接カップに永久的に固定されるものではないので、
Oリングホルダーの軸方向の位置は望ましい電極−母材
表面間距離が得られるように(装置の使用に先立って)
調節することができる。
【0027】グランドアセンブリはグランド44、複数
の電気絶縁性ねじ46でねじ止めされた電気絶縁性ワッ
シャ42とワッシャ40を含んでなる。このグランドア
センブリはワッシャ40をベローズ38の底端に(はん
だ付、ろう付又は接着剤接合などによって)取付けるこ
とによってベローズに取付けられている。グランド44
はトロイド状の凹部を有しており、その中に傾斜コイル
ばね48が設置されている。グランドの凹部はコイルば
ねを収容するように形作られている。最初の好ましい実
施形態の場合のように、コイルばね48の内部のトロイ
ド状空間はバッフル充填材料の詰まったシースで占有さ
れていてもよい。前述の通り、コイルの巻きは母材表面
の起伏を埋め合わせるように圧縮され傾く。
【0028】図4に示す好ましい実施形態の例示的な構
成では、溶接カップ32は銅で作られ、ベローズ38は
ニッケルで作られ、電気絶縁性ワッシャはテフロンで作
られ、電気絶縁性ねじ46はナイロンで作られ、Oリン
グホルダー36、ワッシャ40、グランド44及びばね
48は304型ステンレス鋼で作られていた。水中PT
A溶接時の局所的乾燥環境から水を排除するための上記
の装置は、核エネルギー現場の内外での、その他様々な
溶接及び熱加工処理用途の信頼性及び品質を改良するた
めに用いることができる。この装置の恩恵を受けること
のできるプロセスには、プラズマ移行アーク溶接、ガス
タングステンアーク溶接、金属不活性ガス応接、フラッ
クス入りアーク溶接(flux cored arc welding)、レーザ
ー溶接、プラズマ移行アーク切断、熱処理及びプラズマ
溶射が含まれるが、これらに限定されるものではない。
この装置は機械化トーチ移動用途に最適に利用される
が、手動制御プロセスにも使用することができ、排水装
置は潜在的にアーク長(又は電極−トーチスタンドオフ
位置)調節器としても機能する。この場合、アーク長は
基本的に一定であるが、移行形アークを用いる用途に対
しては本装置は自動電圧制御サブシステムを内蔵してい
てもよい。
【0029】海上での海洋業、造船業及び保全業、或い
はプールや注水タンク及び圧力容器中での陸上作業を始
めとする様々な産業が本発明の使用による恩恵を受ける
ことができる。このプロセスの様々な用途には、工場及
び現場での生産工程、不具合の軽減及び保全、並びに補
修及びデコミッショニングが含まれる。もう一つの有益
な効果は、水中で金属を熱加工処理するときの環境汚染
制御が促進されることである。かかる制御促進にあたっ
て、典型的な乾燥プロセス品質は、乾燥プロセス品質は
本発明の排水装置の局所的乾燥能力によって維持される
ので、犠牲にされることがない。
【0030】本発明の排水装置の好ましい実施形態を例
示の目的で開示してきた。ここで開示した好ましい実施
形態に対して本発明の技術的思想の範囲において加えら
れる様々な修正及び変更は水中熱加工処理の設計に携わ
る当業者には自明であろう。例えば、ガスカップ10及
びスカート24は円形の断面を有している必要はない。
コイルばね22は可撓性であり、非円形状(例えば楕円
形又は方形)のスカートに収容することができる。この
ような修正及び変更はすべて本願特許請求の範囲に包含
されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい実施形態における、コイル
ばねからなるバッフルを有する排水装置が取付けられた
水中溶接トーチの概略断面図
【図2】 図1の排水装置の概略平面図
【図3】 図1の排水装置の円で囲んだ部分の概略拡大
【図4】 本発明の第二の好ましい実施形態における溶
接カップアセンブリの概略断面図
【符号の説明】
10 シールドガスカップ 12 シールドガスノズル 14 シールドガス導入口 16 シールドガスパージ領域 20 母材表面 22 つる巻コイル形 24 スカート 26 充填材料 28 充填材シース 30 溶接カップアセンブリ 32 溶接カップ 36 Oリングホルダー 38 ベローズ 40 ワッシャ 42 ワッシャ 44 グランド 48 コイルばね
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 4/12 C23C 4/12 G21C 19/02 G21C 19/02 J

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)〜(c)を含んでなる水中熱
    加工処理装置。 (a)熱源とトーチハウジングと加圧ガス導入口を含ん
    でなるトーチ; (b)上記トーチハウジングに取付けられていて上記熱
    源の少なくとも一部を取り囲むシールドガスノズルであ
    って、遠位端を有するシールドガスノズル;及び (c)上記シールドガスノズルの遠位端によって支持さ
    れていてしかも閉環形に配置された弾性耐熱性ばね材料
    でできたバッフル。
  2. 【請求項2】 前記バッフルが両端の接合したつる巻コ
    イルである、請求項1記載の水中熱加工処理装置。
  3. 【請求項3】 前記バッフルが楕円形断面を有する、請
    求項2記載の水中熱加工処理装置。
  4. 【請求項4】 前記コイルの巻きが該コイルの円周軸に
    対して傾斜している、請求項2記載の水中熱加工処理装
    置。
  5. 【請求項5】 前記コイルの内部が可撓性で実質的に流
    体透過性又は流体不透過性の構造体で満たされている、
    請求項2記載の水中熱加工処理装置。
  6. 【請求項6】 前記可撓性で実質的に流体透過性の構造
    体が金属メッシュ、或いは多孔質開放セル材料のマトリ
    ックス、或いは流体透過性充填材料のマトリックス及び
    上記コイルと該充填材料の間に挿入された流体透過性シ
    ースを含んでなる、請求項5記載の水中熱加工処理装
    置。
  7. 【請求項7】 前記シールドガスノズルが第二の部分に
    対して軸方向に変位自在な第一の部分を含んでなる、請
    求項1記載の水中熱加工処理装置。
  8. 【請求項8】 シールドガスノズルの開放端の外縁への
    取付け及び相対する母材表面との接触に適合した排水装
    置であって、 両端の接合したつる巻コイルで、しかも弾性耐熱性ばね
    材料でできたつる巻コイル、及び上記つる巻コイルの内
    部に配置された可撓性構造体を含んでなる排水装置。
  9. 【請求項9】 前記つる巻コイルの巻きが該コイルの円
    周軸に対して傾斜している、請求項8記載の排水装置。
  10. 【請求項10】 前記可撓性構造体が実質的に流体透過
    性又は実質的に流体不透過性である、請求項8記載の排
    水装置。
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