JPH10341028A - 半導体赤外線検出装置 - Google Patents

半導体赤外線検出装置

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JPH10341028A
JPH10341028A JP9151225A JP15122597A JPH10341028A JP H10341028 A JPH10341028 A JP H10341028A JP 9151225 A JP9151225 A JP 9151225A JP 15122597 A JP15122597 A JP 15122597A JP H10341028 A JPH10341028 A JP H10341028A
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Japan
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layer
barrier
layers
electrons
quantum well
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JP9151225A
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Hiroshi Nishino
弘師 西野
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、化合物半導体層からなる多重量子井
戸層内に発生する量子準位間遷移或いはサブバンド(ミ
ニバンド)間遷移を利用し、赤外光を吸収して電気信号
に変換する半導体赤外線検出装置に関し、主赤外線吸収
部の厚さをあまり厚くしないで、赤外線の吸収効率を維
持し、かつ暗電流を低減する。 【解決手段】井戸層と障壁層とが交互に複数積層された
多重量子井戸層を有し、多重量子井戸層内での赤外線の
吸収により電子が量子準位間を遷移する現象を用いて赤
外線の強度を検出する半導体赤外線検出装置において、
多重量子井戸層内の障壁層のうち少なくとも一つの障壁
層121a又は121bは他の障壁層222a〜222
dよりも電子に対する障壁の効果を高めてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体赤外線検出
装置に関し、より詳しくは、化合物半導体層からなる多
重量子井戸層内に発生する量子準位間遷移或いはサブバ
ンド(ミニバンド)間遷移を利用し、赤外光を吸収して
電気信号に変換する半導体赤外線検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図11は、従来の量子井戸構造を有する
半導体赤外線検出装置(赤外線センサ)の全体の構成を
示す断面図である。図11に示すように、溝9により相
互に分離され、各々が1つの画素となる複数の凸状部分
10a,10bと、全画素に共通の電極となる共通電極
7が下部のコンタクト層1又は1aに接続された共通電
極接続部11とを有する。更に、凸状部分10a,10
bの半導体層にはそれぞれ電極8a,8bが接触してい
る。
【0003】また、半導体赤外線検出装置全体の強度を
保持するため、各凸状部分10a,10bの下部のコン
タクト層1又は1aの下側に半導体層4が形成されてい
る。更に、共通電極7及び電極8a,8bの接続部を除
き、素子の表面は保護絶縁膜6により被覆されている。
各凸状部分10a,10bの詳細な構造を図9に示す。
同図に示すように、下部のコンタクト層1又は1aと、
井戸層102a〜102mと障壁層101a〜101n
とを交互に積層した多重量子井戸層からなる主赤外線吸
収部2と、上部のコンタクト層3又は3aと、裏面から
凸状部分10a,10bに入射した赤外光を反射し、散
乱させる不図示の回折格子と反射膜からなる反射層5と
が積層されている。この場合、井戸層102a〜102
mはすべて同じ厚さとされ、障壁層101a〜101n
はすべて同じ厚さとされる。図9中の上の図は主赤外線
吸収部2の詳細な層構成を示し、下の図は、伝導帯(E
c)のみを示したエネルギバンド図を示す。
【0004】ところで、多重量子井戸構造を有する高性
能の赤外線センサを実現するには、赤外線を受光しない
場合に流れる暗電流を低減する必要がある。暗電流の主
成分として、井戸層102a〜102m内に閉じ込めら
れた電子が障壁層101a〜101nをトンネルして外
部に流れだすトンネル電流と、井戸層102a〜102
m内の電子等が熱的に障壁層101a〜101nのポテ
ンシャルを越えるようなエネルギを得て生成される熱励
起電流とがある。従って、暗電流は、低温時にはトンネ
ル電流によって支配され、周囲温度が高くなるに伴い、
熱励起電流によって支配されるようになる。
【0005】トンネル電流を抑制するためには、図10
に示すように、井戸層104a〜104mの間に介在す
る障壁層103a〜103nの厚さを増加させることが
有効である。図10中、上の図は主赤外線吸収部2aの
詳細な層構成を示し、下の図は、伝導帯(Ec)のみを
示したエネルギバンド図を示す。また、熱励起電流を低
減するためには、通常、井戸層102a〜102m,1
04a〜104mのドーピング濃度を減少させる手段が
用いられる。しかし、ドーピング濃度の低減は同時に赤
外線吸収効率をも低下させるため、赤外線吸収効率を維
持するためには井戸層102a〜102m,104a〜
104mの積層数を増やす必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、暗電流
を低減させようとすると、必然的に主赤外線吸収部2又
は2aの厚さを厚くせざるを得なくなる。このため、各
画素を分離する溝9を形成するためのエッチングが難し
くなったり、凸状部分10a,10bの側面部の表面リ
ークが増加するという問題がある。
【0007】本発明は、上記の従来例の問題点に鑑みて
創作されたものであり、主赤外線吸収部の厚さをあまり
厚くしないで、赤外線の吸収効率を維持し、かつ暗電流
を低減することができる半導体赤外線検出装置を提供す
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題は、第1の発明
である、井戸層と障壁層とが交互に複数積層された多重
量子井戸層を有し、該多重量子井戸層内での赤外線の吸
収により電子が量子準位間を遷移する現象を用いて前記
赤外線の強度を検出する半導体赤外線検出装置におい
て、前記多重量子井戸層内の障壁層のうち少なくとも一
つの障壁層は他の障壁層よりも前記電子に対する障壁の
効果を高めてなることを特徴とする半導体赤外線検出装
置によって解決され、第2の発明である、前記電子に対
する障壁の効果を高めた障壁層は、前記多重量子井戸層
内で周期的に配置されていることを特徴とする第1の発
明に記載の半導体赤外線検出装置によって解決され、第
3の発明である、前記電子に対する障壁の効果を高めた
障壁層の膜厚は他の障壁層の膜厚よりも厚くなっている
ことを特徴とする第1又は第2の発明に記載の半導体赤
外線検出装置によって解決され、第4の発明である、前
記電子に対する障壁の効果を高めた障壁層のポテンシャ
ルの高さは、前記他の障壁層のポテンシャルの高さより
も高いことを特徴とする第1乃至第3の発明のいずれか
に記載の半導体赤外線検出装置によって解決され、第5
の発明である、前記各井戸層間の前記量子準位は相互に
作用せず、各々孤立していることを特徴とする第1乃至
第4の発明のいずれかに記載の半導体赤外線検出装置に
よって解決され、第6の発明である、前記各井戸層内の
量子準位が相互に作用し、前記電子に対する障壁の効果
を高めた障壁層を除く領域に量子準位のミニバンドが形
成されていることを特徴とする第1乃至第4の発明のい
ずれかに記載の半導体赤外線検出装置によって解決さ
れ、第7の発明である、前記他の障壁層のポテンシャル
の高さは前記量子準位のうち少なくとも基底準位の次に
高い励起準位の高さよりも高く、前記電子に対する障壁
の効果を高めた障壁層のポテンシャルの高さは前記励起
準位の高さと同じか又はそれよりも高く、かつ前記他の
障壁層のポテンシャルの高さは前記電子に対する障壁の
効果を高めた障壁層のポテンシャルの高さよりも高くな
っており、前記形成されている量子準位のミニバンド
は、前記基底準位のミニバンドと前記励起準位のミニバ
ンドであることを特徴とする第6の発明に記載の半導体
赤外線検出装置によって解決される。
【0009】本発明においては、多重量子井戸層内の障
壁層のうち少なくとも一つの障壁層は他の障壁層よりも
電子に対する障壁の効果を高めてなる。電子に対する障
壁の効果を高める構造として、例えば、その障壁層の膜
厚を他の障壁層の膜厚よりも厚くしたもの、その障壁層
のポテンシャルの高さを他の障壁層のポテンシャルの高
さよりも高くしたものを採用する。
【0010】従って、赤外線を照射していないときに電
子に対する障壁の効果を高めた障壁層によりトンネル電
流や熱励起電流となる電子の移動を抑制するとともに、
電子に対する障壁の効果を高めた障壁層以外の部分多重
量子井戸層からなる主赤外線吸収部内では、暗電流を抑
制するための何らの制約なく、光電気変換効率や赤外線
吸収効率の向上のために、井戸層のキャリア濃度を増や
したり、障壁層の膜厚を薄くしてトンネル確率を増大さ
せたり、基底準位や励起準位をミニバンド化したり、或
いは障壁層のポテンシャルの高さを低くしてトンネル確
率を増大させたりすることができる。
【0011】なお、励起準位をミニバンド化する場合に
は、電子に対する障壁の効果を高めた障壁層を除く多重
量子井戸層内の障壁層のポテンシャルの高さを励起準位
に相当するエネルギレベルよりも高くする。この場合
も、電子に対する障壁の効果を高めた障壁層のポテンシ
ャルの高さが他の障壁層よりも低くても、ミニバンドが
電子に対する障壁の効果を高めた障壁層に形成されず、
かつその膜厚が他の障壁層の膜厚に比べて厚いので、暗
電流を抑制する効果がある。
【0012】以上のように、本発明によれば、暗電流を
抑制するために多重量子井戸層内の全ての障壁層の厚さ
を不必要に厚くする必要はない。また、光電気変換効率
や赤外線吸収効率の向上のために主赤外線吸収部内の井
戸層の層数を不必要に増やす必要はない。従って、素子
全体の厚さの増大を抑制しつつ、暗電流を抑制し、光電
気変換効率や赤外線吸収効率の向上を図ることができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照しながら説明する。 (1)第1の実施の形態 図8(a)は、本発明の実施の形態に係る量子井戸構造
を有する半導体赤外線検出装置(赤外線センサ)の全体
の構成を示す断面図である。
【0014】図8(a)に示すように、分離溝19によ
り分離され、各々が1つの画素となる複数の凸状部分2
0a,20bと、全画素に共通の電極となる共通電極1
7が下部のコンタクト層114に接続された共通電極接
続部21とを有する。複数の凸状部分20a,20bに
はそれぞれ電極18a,18bが形成されている。ま
た、半導体赤外線検出装置全体の強度を保持するため、
各画素20a,20bのコンタクト層114の下側に半
導体層112,113が形成されている。更に、共通電
極17及び電極18a,18bの接触部を除いて素子の
全表面はSiON膜からなる保護膜16で被覆されてい
る。
【0015】各凸状部分20a,20bは、半導体層1
15,116と、主赤外線吸収部13と、裏面から凸状
部分20a,20bに入射した赤外光を反射し、散乱さ
せる回折格子が形成された反射層15とが積層され、電
極18a,18bを兼ねた反射膜が形成されている。反
射層15及び反射膜の詳細を図8(b)に示す。主赤外
線吸収部13の詳細な構造を図1に示す。同図に示すよ
うに、主赤外線吸収部13は井戸層と障壁層とが交互に
積層された多重量子井戸層からなる。それらの障壁層の
うち、電子に対する障壁の効果を高めた障壁層(以下、
高障壁層と称する。)121a〜121nが障壁層の5
層目毎に周期的に形成されている。それらの高障壁層1
21a〜121nは電子に対する障壁の効果を高めるた
め、他の障壁層の膜厚25nmよりも厚い膜厚75nm
となっている。高障壁層121a〜121n及びそれ以
外の他の障壁層としてi-Al0.3Ga0.7As層が用いられてい
る。
【0016】以下、高障壁層121a〜121nの間に
ある部分的な多重量子井戸層を部分多重量子井戸層12
2a〜122mという。この実施の形態では、部分多重
量子井戸層122a〜122mを20層とし、高障壁層
121a〜121nを21層としている。部分多重量子
井戸層122a〜122mの詳細な構造を図2に示す。
図2中、上の図は部分多重量子井戸層122a〜122
mの詳細な層構成を示し、下の図は、伝導帯(Ec)の
みを示したエネルギバンド図を示す。
【0017】図2に示すように、部分多重量子井戸層1
22a〜122mは井戸層221a〜221eと障壁層
222a〜222dとが交互に積層されている。井戸層
221a〜221eを5層とし、障壁層222a〜22
2dを4層としている。この場合、井戸層221a〜2
21eは、すべて膜厚5nmのn-GaAs層からなり、障壁
層222a〜222dは、すべて膜厚25nmのi-Al
0.3Ga0.7As層からなる。また、障壁層222a〜222
dの膜厚が厚く、量子準位が相互に作用しあうほど井戸
層221a〜221e間が近くないので、各井戸層22
1a〜221e内の基底準位(EL0)及び励起準位(E
L1)は、各井戸層221a〜221e間で孤立してい
る。そして、井戸層221a〜221e内の励起準位
(EL1)は、障壁層222a〜222dのポテンシャル
の高さとほぼ同じところにある。
【0018】次に、上記半導体赤外線検出装置の製造方
法について図7及び図8を参照しながら説明する。成膜
は分子線エピタキシ法(MBE法)等により行う。ま
ず、図7(a),(b)に示すように、GaAs基板1
1上に膜厚300nmのi-GaAs層111と膜厚300n
mのi-In0.52Ga0.48P 層112とを堆積する。i-GaAs層
111はi-In0.52Ga0.48P 層112を成長させるための
バッファ層としての機能を有する。また、i-In0.52Ga
0.48P 層112はGaAs基板11を裏面からエッチン
グする際のエッチングストッパ層としての機能を有す
る。
【0019】次いで、i-In0.52Ga0.48P 層112上に膜
厚0.5μmのi-GaAs層113と膜厚0.5μmのn-Ga
As層114とを堆積する。i-GaAs層113はGaAs基
板11を除去後に素子の強度を補強する機能を有し、n-
GaAs層114は共通電極とのオーミック接触を得る機能
を有する。次に、n-GaAs層114上に膜厚30nmのi-
In0.52Ga0.48P 層115とn-GaAs層116とを堆積す
る。i-In0.52Ga0.48P 層115はエッチングにより共通
電極部と分離溝を形成する際のエッチングストッパ層と
しての機能を有し、n-GaAs層116はその上に堆積する
多重量子井戸層(MQW層)を結晶性良く成長させるた
めのバッファ層としての機能を有する。
【0020】次いで、n-GaAs層116上に、図1に示す
主赤外線吸収部13を形成する。最初に、膜厚75nm
のAl0.3Ga0.7As層(高障壁層)121aを成長する。続
いて、その上に、部分多重量子井戸層122aを成長さ
せる。図2に示すように、部分多重量子井戸層122a
は、井戸層221a〜221dとして膜厚5nmのn-Ga
As層と、障壁層222a〜222dとして膜厚25nm
のi-Al0.3Ga0.7As層とを交互に積層し、最後にAl0.3Ga
0.7As層222dの上にn-GaAs層221eを堆積する。
ここでは、井戸層221a〜221eを5層とし、障壁
層222a〜222dを4層とする。井戸層221a〜
221eのn-GaAs層の成長時にはn型不純物、例えばSi
を含有させて、濃度1×1017cm-3とする。
【0021】次いで、部分多重量子井戸層122a上に
膜厚75nmのAl0.3Ga0.7As層(高障壁層)121bを
成長した後、上記と同じようにして、部分多重量子井戸
層122b〜122mと、Al0.3Ga0.7As層121c〜1
21nとを交互に積層していく。ここでは、部分多重量
子井戸層122a〜122mを20層とし、Al0.3Ga0 .7
As層121a〜121nを21層とする。主赤外線吸収
部13の全体の厚さは凡そ4.075 μmとなる。
【0022】次に、Al0.3Ga0.7As層121n上に、膜厚
0.5μmのn-GaAs層からなるコンタクト層14を形成
する。続いて、コンタクト層14上にエッチングストッ
パ層となる膜厚5nmのAl0.3Ga0.7As層117と光結合
層となる膜厚0.7μmのn-GaAs層118とを形成す
る。次いで、n-GaAs層118を3μmの周期で幅約1.
5μmずつエッチングし、1.5μmの間隔を開けて幅
約1.5μmの回折格子を形成する。
【0023】次に、複数の画素を分離形成するため、積
層構造をエッチングストッパ層115上のn-GaAs層11
6までエッチングし、除去して分離溝19を形成する。
同時に共通電極部21となる領域をエッチングし、除去
して共通電極部21を形成する。このとき、積層構造の
厚さが比較的薄いので、分離溝19を形成するためのエ
ッチングを容易に行うことができる。
【0024】次いで、素子表面にSiON膜を形成した
後、凸状部分20a,20b及び共通電極部21にコン
タクトホールを形成する。続いて、AuGe膜を形成し
た後、パターニングして、オーミック接触部18cを形
成し、さらにAuGe膜を形成した後、パターニングし
て、共通電極17及び電極18a,18bを形成する。
【0025】次いで、金膜を形成し、回折格子の反射膜
であり、電極部の機能を併せ持たせた後、電極18a,
18bの上方の金膜上に図示しないIn膜からなるバン
プ電極を形成する。次に、裏面のGaAs基板11とi-
GaAs層111とをエッチングにより除去すると、図8
(a)に示す半導体赤外検出装置が完成する。
【0026】上記第1の実施の形態においては、多重量
子井戸層内の障壁層のうち周期的に障壁層(高障壁層)
121a〜121nの膜厚を厚くして他の障壁層222
a〜222dよりも電子に対する障壁の効果を高めてい
る。従って、赤外線を照射していないときに高障壁層1
21a〜121nによりトンネル電流や熱励起電流とな
る電子の移動を抑制するとともに、高障壁層121a〜
121n以外の部分多重量子井戸層122a〜122m
内では、暗電流を抑制するための何らの制約もなく、光
電気変換効率や赤外線吸収効率の向上のために、井戸層
221a〜221eのキャリア濃度を増やしたり、障壁
層222a〜222dの膜厚を薄くしてトンネル確率を
増大させたりすることができる。
【0027】これにより、暗電流を抑制するために多重
量子井戸層内の全ての障壁層の厚さを不必要に厚くする
必要はなく、また、光電気変換効率や赤外線吸収効率の
向上のために主吸収部内の井戸層の層数を不必要に増や
す必要はない。従って、素子全体の厚さの増大を抑制し
つつ、暗電流を抑制し、光電気変換効率や赤外線吸収効
率の向上を図ることができる。
【0028】(2)第2の実施の形態 図3は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体赤外線
検出装置における主赤外線吸収部の部分多重量子井戸層
の詳細を示す断面図である。本発明の第2の実施の形態
に係る半導体赤外線検出装置の主赤外線吸収部13の構
造は図1の構造と同じである。
【0029】第1の実施の形態と異なるところは、図3
に示すように、部分多重量子井戸層122a〜122m
内の障壁層224a〜224dのポテンシャルの高さが
高障壁層121a〜121nのポテンシャルの高さより
も低くなっていることである。このため、障壁層224
a〜224dとしてAl0.25Ga0.75As層を用いるほか、化
合物半導体材料や膜厚は第1の実施の形態と同じとす
る。
【0030】なお、第1の実施の形態と同じように、障
壁層224a〜224dの膜厚が厚く、量子準位が相互
に作用しあうほど井戸層223a〜223e間が近くな
いので、各井戸層223a〜223e内の基底準位(E
L0)及び励起準位(EL1)は各井戸層223a〜223
e間で孤立している。そして、井戸層223a〜223
e内の励起準位(EL1)は、障壁層224a〜224d
のポテンシャルの高さよりも高いところにある。
【0031】上記第2の実施の形態によれば、第1の実
施の形態と同様に、素子全体の厚さを厚くせずに暗電流
を抑制することができる。しかも、部分多重量子井戸層
122a〜122m内の障壁層224a〜224dのポ
テンシャルの高さが低いので、素子全体の厚さを厚くせ
ずに光電気変換効率や赤外線吸収効率を向上させること
ができるとともに、より低いエネルギの赤外線を吸収さ
せることができる。
【0032】(3)第3の実施の形態 図4は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体赤外線
検出装置における主赤外線吸収部13の構造を示す断面
図である。第1及び第2の実施の形態とは、部分多重量
子井戸層124a〜124eと高障壁層123a〜12
3dとを交互に積層することが同じであるが、個々の部
分多重量子井戸層124a〜124e内の障壁層226
a〜226dの厚さを10nmと薄くしていることが異
なっている。これに対応して、個々の部分多重量子井戸
層124a〜124eは凡そ2.875 μmと、第1及び第
2の実施の形態の場合よりも薄く、全体の厚さも薄くな
っている。なお、上記障壁層226a〜226dの厚さ
以外は第1の実施の形態と同じ化合物半導体材料を用
い、同じ厚さとしている。
【0033】図5は、主赤外線吸収部13の部分多重量
子井戸層124aの詳細を示す断面図である。第1及び
第2の実施の形態と異なるところは、障壁層226a〜
226dの厚さを10nmと薄くして井戸層225a〜
225e間を近付けているので、井戸層225a〜22
5e間で量子準位の相互作用が起こって、部分多重量子
井戸層124a〜124e全体にわたって基底準位(E
B0)がミニバンド化していることである。このとき、基
底準位(EB0)の次に高い励起準位(EB1)は障壁層2
26a〜226dのポテンシャルの頂上とほぼ一致する
エネルギレベルのところに形成されるため、障壁層部の
伝導帯内に縮退しており、各井戸層225a〜225e
間で孤立している。
【0034】この場合、高障壁層123a〜123dの
領域では量子準位やミニバンドが形成されず、かつ高障
壁層123a〜123dの膜厚が他の障壁層の膜厚に比
べて厚いので、暗電流を抑制する効果がある。従って、
赤外線を照射していないときに高障壁層123a〜12
3dによりトンネル電流や熱励起電流となる電子の移動
を抑制することができるとともに、暗電流を抑制するた
めに部分多重量子井戸層124a〜124e内の全ての
障壁層226a〜226dの厚さを不必要に厚くする必
要はない。また、光電気変換効率や赤外線吸収効率は低
減しないため、部分多重量子井戸層124a〜124e
内の井戸層225a〜225eの層数を不必要に増やす
必要はない。
【0035】これにより、素子全体の厚さの増大を抑制
しつつ、暗電流の抑制、及び光電気変換効率や赤外線吸
収効率の向上を図ることができる。 (4)第4の実施の形態 図6は、第4の実施の形態に係る主赤外線吸収部の多重
量子井戸層の詳細を示す断面図である。
【0036】第3の実施の形態と異なるところは、障壁
層228a〜228dのポテンシャルの高さを高くして
励起準位が障壁層228a〜228dのポテンシャルの
頂上よりも50meV程度低いところに形成され、基底
準位(EB0)のみならず励起準位(EB1)もミニバンド
化していることである。この場合、障壁層228a〜2
28dとしてAl0.37Ga0.63As層を用いるほか、化合物半
導体材料や膜厚は第3の実施の形態と同じとする。
【0037】上記第4の実施の形態においては、基底準
位(EB0)や励起準位(EB1)がミニバンド化している
ので、トンネル確率がさらに増大し、光電気変換効率や
赤外線吸収効率を一層向上させることができる。この場
合、部分多重量子井戸層124a〜124m内の障壁層
228a〜228dのポテンシャルの高さを励起準位の
生じるエネルギレベルよりも高くしているため、高障壁
層123a〜123nのポテンシャルの高さが他の障壁
層228a〜228dのポテンシャルの高さよりも低く
なるが、ミニバンドが高障壁層123a〜123nに形
成されず、かつ高障壁層123a〜123nの膜厚が他
の障壁層228a〜228dの膜厚に比べて厚いので、
暗電流を抑制する効果を維持することができる。
【0038】従って、赤外線を照射していないときに高
障壁層123a〜123nによりトンネル電流や熱励起
電流となる電子の移動を抑制することができるととも
に、暗電流を抑制するために部分多重量子井戸層124
a〜124m内の全ての障壁層228a〜228dの厚
さを不必要に厚くする必要はない。また、量子準位のミ
ニバンド化により光電気変換効率や赤外線吸収効率を向
上させることができるため、部分多重量子井戸層124
a〜124e内の井戸層227a〜227eの層数を不
必要に増やす必要はない。
【0039】これにより、素子全体の厚さの増大を抑制
しつつ、暗電流の抑制、及び光電気変換効率や赤外線吸
収効率の向上を図ることができる。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、多重
量子井戸層内の障壁層のうち少なくとも一つの障壁層は
他の障壁層よりも電子に対する障壁の効果を高めてな
る。従って、赤外線を照射していないときに電子に対す
る障壁の効果を高めた障壁層によりトンネル電流や熱励
起電流となる電子の移動を抑制するとともに、電子に対
する障壁の効果を高めた障壁層以外の部分多重量子井戸
層からなる主赤外線吸収部内では、暗電流を抑制するた
めの何らの制約なく、光電気変換効率や赤外線吸収効率
の向上のために、井戸層のキャリア濃度を増やしたり、
障壁層の膜厚を薄くしてトンネル確率を増大させたり、
基底準位や励起準位をミニバンド化したり、或いは障壁
層のポテンシャルの高さを低くしてトンネル確率を増大
させたりすることができる。
【0041】このため、暗電流を抑制するために多重量
子井戸層内の全ての障壁層の厚さを不必要に厚くする必
要はなく、また、光電気変換効率や赤外線吸収効率の向
上のために主赤外線吸収部内の井戸層の層数を不必要に
増やす必要はない。これにより、素子全体の厚さの増大
を抑制しつつ、暗電流の抑制、及び光電気変換効率や赤
外線吸収効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1及び第2の実施の形態に
係る半導体赤外線センサの主赤外線吸収部について示す
断面図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る部分
多重量子井戸層の詳細な構造について示す断面図及びエ
ネルギバンド図である。
【図3】図3は、本発明の第2の実施の形態に係る部分
多重量子井戸層の詳細な構造について示す断面図及びエ
ネルギバンド図である。
【図4】図4は、本発明の第3及び第4の実施の形態に
係る半導体赤外線センサの主赤外線吸収部について示す
断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施の形態に係る部分
多重量子井戸層の詳細な構造について示す断面図及びエ
ネルギバンド図である。
【図6】図6は、本発明の第4の実施の形態に係る部分
多重量子井戸層の詳細な構造について示す断面図及びエ
ネルギバンド図である。
【図7】図7(a)は、本発明の実施の形態に係る半導
体赤外線センサの製造方法について示す断面図であり、
図7(b)は主赤外線吸収部の下層部の詳細を示す断面
図である。
【図8】図8(a)は、本発明の実施の形態に係る半導
体赤外線センサの全体の構造について示す断面図であ
り、図8(b)は図8(a)の回折格子の部分の詳細な
構造を示す断面図である。
【図9】図9は、従来例に係る半導体赤外線センサの主
赤外線吸収部について示す断面図及びエネルギバンド図
である。
【図10】図10は、他の従来例に係る半導体赤外線セ
ンサの主赤外線吸収部について示す断面図及びエネルギ
バンド図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態に係る半導体
赤外線センサの全体の構造について示す断面図である。
【符号の説明】
11 GaAs基板、 12 主赤外線吸収部の下層部、 13 主赤外線吸収部、 14 コンタクト層、 15 反射層、 16 保護絶縁層、 17 共通電極、 18a,18b 電極、 18c 電極オーミック接触部、 19 分離溝、 20a,20b 凸状部分(画素)、 21 共通電極部、 111,113 i-GaAs層、 112,115,119 i-In0.52Ga0.48P 層、 114,116,118,120 n-GaAs層、 117 i-Al0.3Ga0.7P 層、 121a〜121n 電子に対する障壁の効果を高めた
障壁層(高障壁層)、 122a〜122m 部分多重量子井戸層、 221a〜221e,223a〜223e,225a〜
225e,227a〜227e 井戸層、 222a〜222d,224a〜224d,226a〜
226d,228a〜228d 障壁層。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 井戸層と障壁層とが交互に複数積層され
    た多重量子井戸層を有し、該多重量子井戸層内での赤外
    線の吸収により電子が量子準位間を遷移する現象を用い
    て前記赤外線の強度を検出する半導体赤外線検出装置に
    おいて、 前記多重量子井戸層内の障壁層のうち少なくとも一つの
    障壁層は他の障壁層よりも前記電子に対する障壁の効果
    を高めてなることを特徴とする半導体赤外線検出装置。
  2. 【請求項2】 前記電子に対する障壁の効果を高めた障
    壁層は、前記多重量子井戸層内で周期的に配置されてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の半導体赤外線検出
    装置。
  3. 【請求項3】 前記電子に対する障壁の効果を高めた障
    壁層の膜厚は他の障壁層の膜厚よりも厚くなっているこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体赤
    外線検出装置。
  4. 【請求項4】 前記電子に対する障壁の効果を高めた障
    壁層のポテンシャルの高さは、前記他の障壁層のポテン
    シャルの高さよりも高いことを特徴とする請求項1乃至
    請求項3のいずれかに記載の半導体赤外線検出装置。
  5. 【請求項5】 前記各井戸層間の前記量子準位は相互に
    作用せず、各々孤立していることを特徴とする請求項1
    乃至請求項4のいずれかに記載の半導体赤外線検出装
    置。
  6. 【請求項6】 前記各井戸層内の量子準位が相互に作用
    し、前記電子に対する障壁の効果を高めた障壁層を除く
    領域に量子準位のミニバンドが形成されていることを特
    徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の半導
    体赤外線検出装置。
  7. 【請求項7】 前記他の障壁層のポテンシャルの高さは
    前記量子準位のうち少なくとも基底準位の次に高い励起
    準位の高さよりも高く、前記電子に対する障壁の効果を
    高めた障壁層のポテンシャルの高さは前記励起準位の高
    さと同じか又はそれよりも高く、かつ前記他の障壁層の
    ポテンシャルの高さは前記電子に対する障壁の効果を高
    めた障壁層のポテンシャルの高さよりも高くなってお
    り、前記形成されている量子準位のミニバンドは、前記
    基底準位のミニバンドと前記励起準位のミニバンドであ
    ることを特徴とする請求項6に記載の半導体赤外線検出
    装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100313889B1 (ko) * 1999-03-31 2001-11-17 구자홍 양자점 적외선 수광소자 및 그 제조방법
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