JPH10334818A - カラー陰極線管の色選別機構の支持スプリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 落下衝撃等の機械的ストレスに対する耐衝撃
特性に優れたカラー陰極線管の色選別機構の支持スプリ
ングを提供する。 【解決手段】 カラー陰極線管１の色選別機構７のフレ
ーム１０に溶接される支持スプリング９の溶接点９ａお
よび溶接点９ｂを、カラー陰極線管１の管軸方向と直交
する方向に設けた２点の溶接点９ａ、９ａと、この２点
の溶接点９ａ、９ａのうちの１点の溶接点９ａと管軸方
向に一致する方向に溶接点９ｂを設けるように構成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カラー陰極線管に
おける色選別機構をパネル内に取り付けるために使用す
る支持スプリングに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図４は従来より知られているトリニトロ
ンカラー陰極線管の一例を示す概略構成断面図である。
図４においてカラー陰極線管１は、パネル２とファンネ
ル３との間をフリット（低融点半田ガラス）４で溶着し
て管体として形成されている。さらに詳述すると、ファ
ンネル３のネック部分３ａの内部には電子銃５が配設さ
れているとともに、外側には偏向ヨーク２６が取り付け
られている。一方、パネル２には、その内側前面にカラ
ー蛍光面６が塗布されているとともに、その手前側には
電子銃５から発射される赤、緑、青の電子ビームが、カ
ラー蛍光面６のそれぞれの光を発する赤、緑、青の蛍光
体を正確に叩くように選別する色選別機構７が配設され
ている。その色選別機構７は、図５および図６に示すよ
うに、アパーチャグリル８をフレーム１０に溶接し、パ
ネル２内にセットされる。このとき色選別機構７とパネ
ル２との間は支持スプリング９を介して連結し保持され
る。

【０００３】図５および図６に示すように、色選別機構
７は、アパーチャグリル８の他に、このアパーチャグリ
ル８を保持しているフレーム１０を有している。また、
色選別機構７の左右両側面と下側側面には各々、スプリ
ングホルダー１１がスポット溶接により取り付けられて
おり、さらに各スプリングホルダー１１に上記支持スプ
リング９が、図７に矢印で示すカラー陰極線管１の管軸
方向と直交する方向に設けた２点の溶接点９ａ、９ａで
スポット溶接により取り付けられている。

【０００４】なお、この支持スプリング９は、図６に単
品で示すように、一定板厚の金属板を、ある一定幅で切
断して短冊状に形成し、フレームに取り付けられる一端
部より延びる他端部側をスプリング部とし、このスプリ
ング部をある角度を持たせて折曲して形成している。そ
して、スプリング部の先端部にはスタッド係合穴１２が
形成されている。一方、パネル２側の左右および下側の
各内面には、支持スプリング９のスタッド係合穴１２と
係合可能なメタルスタッド１３が、そのスタッド係合穴
１２とそれぞれ対応して設けられている。

【０００５】このように構成されたアパーチャグリル８
は、支持スプリング９を撓ませた状態でパネル２内に収
納され、図８および図９に示すように、支持スプリング
９のスタッド係合穴１２を対応しているメタルスタッド
１３にそれぞれ係合させて取り付ける。なお、図９は図
８のＡ−Ａ線断面図である。また、色選別機構７を取り
付けた後からフリットシール炉内に入れられ、パネル２
とファンネル３との間がフリット４で溶着されてシール
される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の支持スプリング９の取付構造は、図７に示すよ
うに、一定板厚の金属板を、ある一定幅で切断してなる
短冊状の小片を、スプリングホルダー１１にカラー陰極
線管１の管軸方向と直交する方向に設けた２点の溶接点
９ａ、９ａで溶接して取り付けられているが、この取付
構造では、製品の梱包落下試験等の機械的ストレスを受
けた場合、色選別機構７の自重により、支持スプリング
９のスプリングホルダー１１への溶接点９ａ、９ａに管
軸方向の負荷がかかり、溶接点９ａ、９ａで変形してス
プリングホルダー１１を基準とした支持スプリング９の
相対位置が変化する。

【０００７】このように、色選別機構７の支持スプリン
グ９のスプリングホルダー１１との相対位置が変化する
と、色選別機構７がパネル２の蛍光面６に対する基準位
置から移動し、電子銃５から発射された赤、緑、青の電
子ビームが目的の赤、緑、青の蛍光体を叩く位置がずれ
てしまい、色ずれの原因となる。

【０００８】本発明は、上記問題点の解消を目的として
なされたものであり、落下衝撃等の機械的ストレスに対
する耐衝撃特性に優れたカラー陰極線管の色選別機構の
支持スプリングを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、次の技術手段を講じた。すなわち、短冊状
をした支持スプリングの一端部をカラー陰極線管の色選
別機構のフレームに溶接し、前記支持スプリングの他端
部に係合穴を設け、前記他端部を撓ませて前記係合穴を
前記カラー陰極線管のパネルのスタッドに係合し、前記
色選別機構を前記パネル内に固定するカラー陰極線管の
色選別機構の支持スプリングおいて、前記支持スプリン
グの一端部に設けた前記フレームへの溶接点を前記カラ
ー陰極線管の管軸方向と直交する方向に設けた２点の溶
接点とし、そのうちの１点の溶接点と前記管軸方向に一
致する方向に他の溶接点を設けたことを特徴とするもの
である。

【００１０】この構成によれば、支持スプリングのフレ
ームへの溶接点が、従来のカラー陰極線管の管軸方向と
直交する方向に設けた溶接点のほかに、管軸方向に設け
た溶接点が加わり、支持スプリングのフレームへの溶接
強度がカラー陰極線管の管軸方向で高まるので、製品の
梱包落下試験等の機械的ストレスを受けた場合でも、色
選別機構の自重による溶接点の管軸方向への変形が抑え
られ、パネルのスタッドを基準とした色選別機構の位置
の変化、すなわち色選別機構のパネルの蛍光面に対する
基準位置からの移動が抑えられる。したがって、色ずれ
の原因が解消される。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面にもとづいて詳細に説明する。図１は本発明
の一形態例としての支持スプリングの取付構造を示す側
面図である。図１において、この支持スプリング９は、
図７に示した支持スプリング９の取付構造で示した、カ
ラー陰極線管１の管軸方向に直交する方向に設けた２点
の溶接点９ａ、９ａに加えて、さらに、この２点の溶接
点９ａ、９ａのうちの１点の溶接点９ａと管軸方向に一
致する方向に新たに溶接点９ｂを追加する。このように
支持スプリング９のスプリングホルダー１１への溶接
を、溶接点９ａ、９ａと溶接点９ｂの３点で形成するこ
とにより、色選別機構７はカラー陰極線管１の管軸方向
に直交する方向の荷重を溶接点９ａ、９ａで支え、カラ
ー陰極線管１の管軸方向の荷重を溶接点９ａ、９ａのう
ちの１点の溶接点９ａと溶接点９ｂの２点で支える。

【００１２】このような取付構造の支持スプリング９
を、図３の色選別機構の正面図に示す支持スプリング９
の取付位置ＳＰ−ＢとＳＰ−Ｃの２か所に使用した色選
別機構７を組み込んだカラー陰極線管１と、従来の支持
スプリング９を使用した色選別機構７を組み込んだカラ
ー陰極線管１とで梱包落下試験を行って耐衝撃特性の比
較を行った。その結果、カラー陰極線管１の管軸方向か
らの衝撃で、カラー陰極線管１の画面のコーナーの色ず
れが、従来の支持スプリング９を使用したカラー陰極線
管１の色ずれ量が２４μｍであったものが、本発明の支
持スプリング９を使用したカラー陰極線管１の色ずれ量
が１７μｍとなり、３０％の改善効果があったことが確
認できた。

【００１３】図２は本発明の他の形態例としての支持ス
プリングの取付構造を示す側面図である。図２におい
て、この支持スプリング９は、図７に示した支持スプリ
ング９の取付構造で示した、カラー陰極線管１の管軸方
向に直交する方向に設けた２点の溶接点９ａ、９ａに加
えて、さらに、この２点の溶接点９ａ、９ａと管軸方向
に一致する方向に新たに溶接点９ｂおよび溶接点９ｃを
追加する。このように支持スプリング９のスプリングホ
ルダー１１への溶接を、溶接点９ａ、９ａと溶接点９ｂ
と溶接点９ｃとで形成することにより、色選別機構７は
カラー陰極線管１の管軸方向の荷重の支持はさらに確実
になる。この取付構造の支持スプリング９も、図３の色
選別機構の正面図に示す支持スプリング９の取付位置Ｓ
Ｐ−ＢとＳＰ−Ｃの２か所の色選別機構７に使用する。

【００１４】以上本発明の支持スプリング９の取付構造
について、色選別機構７のパネル２のメタルスタッド１
３への係合部が３点のカラー陰極線管１について説明し
てきたが、本発明の支持スプリング９は、色選別機構７
のパネル２のメタルスタッド１３への係合部が３点のカ
ラー陰極線管１に限定されず、支持スプリング９を色選
別機構７の上下と左右の４か所のフレーム１０に溶接
し、パネル２のメタルスタッド１３も上下と左右の４か
所にした、色選別機構７のパネル２のメタルスタッド１
３への係合部が４点のカラー陰極線管１でも同様な支持
スプリング９の取付構造を取ることができる。さらに、
この支持スプリング９を、図３の色選別機構の正面図に
示す支持スプリング９の取付位置ＳＰ−ＢとＳＰ−Ｃの
２か所の色選別機構７に使用することで、係合部が１か
所増えたカラー陰極線管１として、色選別機構７のパネ
ル２への取付位置精度を高めたたうえで、カラー陰極線
管１の管軸方向の荷重の支持を確実にしたものとなる。

【００１５】さらに、この４点の係合部を持つカラー陰
極線管１に、図２の取付構造の支持スプリング９を使用
することで、カラー陰極線管１の耐衝撃特性をさらに向
上することができる。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
カラー陰極線管の搬送中等の衝撃で生ずる色ずれを減少
することができる。また、カラーテレビ受像機の搬送中
等の衝撃で生ずる色ずれを減少することができ、あわせ
て、カラーテレビ受像機の高画質化を実現することがで
きる。さらに、耐衝撃特性をあげることができ、カラー
陰極線管の搬送およびカラーテレビ受像機の搬送に使用
する梱包材を軽減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一例の支持スプリングの取付構造の側
面図である。

【図２】本発明の他の例の支持スプリングの取付構造の
側面図である。

【図３】色選別機構の一例を示す正面図である。

【図４】カラー陰極線管の一例を示す概略構成断面図で
ある。

【図５】カラー陰極線管の要部分解斜視図である。

【図６】色選別機構の要部概略分解斜視図である。

【図７】従来の支持スプリングの取付構造の側面図であ
る。

【図８】従来の色選別機構の取付構造を示す断面図であ
る。

【図９】図８のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１…カラー陰極線管、７…色選別機構、８…アパーチャ
グリル、９…支持スプリング、９ａ，９ｂ，９ｃ…溶接
点、１０…フレーム、１１…スプリングホルダー、１２
…スタッド係合穴、１３…メタルスタッド

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森谷 泰 東京都品川区北品川６丁目７番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 短冊状をした支持スプリングの一端部を
   カラー陰極線管の色選別機構のフレームに溶接し、前記
   支持スプリングの他端部に係合穴を設け、前記他端部を
   撓ませて前記係合穴を前記カラー陰極線管のパネルのス
   タッドに係合し、前記色選別機構を前記パネル内に固定
   するカラー陰極線管の色選別機構の支持スプリングおい
   て、 前記支持スプリングの一端部に設けた前記フレームへの
   溶接点を前記カラー陰極線管の管軸方向と直交する方向
   に設けた２点の溶接点とし、そのうちの１点の溶接点と
   前記管軸方向に一致する方向に他の溶接点を設けたこと
   を特徴とするカラー陰極線管の色選別機構の支持スプリ
   ング。