JPH10333705A - 総合制御方式 - Google Patents

総合制御方式

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Publication number
JPH10333705A
JPH10333705A JP9145563A JP14556397A JPH10333705A JP H10333705 A JPH10333705 A JP H10333705A JP 9145563 A JP9145563 A JP 9145563A JP 14556397 A JP14556397 A JP 14556397A JP H10333705 A JPH10333705 A JP H10333705A
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JP
Japan
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control
layer
evolution
module
learning
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Application number
JP9145563A
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English (en)
Inventor
Kazusuke Kamihira
一介 上平
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Yamaha Motor Co Ltd
Original Assignee
Yamaha Motor Co Ltd
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Publication date
Application filed by Yamaha Motor Co Ltd filed Critical Yamaha Motor Co Ltd
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  • Feedback Control In General (AREA)
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 制御対象が、全ての使用者が満足し得る特性
を実現できる総合制御方式を提供すること。 【解決手段】 本発明の総合制御方式は、反射層、学習
層、及び進化適応層から成り、進化適応層で反射層で操
作量を決定するために用いる制御パラメータ及び/又は
目標値の補正値を求める制御モジュールを使用者及び/
又は使用状況の特性に合わせて自律的に進化させ、最適
な制御ジュールを獲得し、進化処理により獲得した最適
な制御モジュールを学習層に学習させると共に、学習層
及び/又は進化適応層から出力される制御パラメータ及
び/又は補正値を用いて反射層で操作量を決定して制御
対象の制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制御対象を総合的
に制御する総合制御方式に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、車両や家電製品等の製品の特
性を制御する場合、制御対象となる製品の特性は、開発
・設計段階で、その製品を使用すると思われる使用者を
想定し、その仮想使用者の好みや使用状況を加味し、で
きるだけ広い範囲の使用者に適応するように決められ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した製品
を使用する使用者は、個々に特有の個性を持っており、
その好みも千差万別であるため、前記したように、その
製品を使用すると思われる使用者の好み等を想定して製
品の開発・設計を行ったとしても、全ての使用者が満足
する特性を提供することは不可能であるという問題があ
る。上記した問題を解決するために、現在は、使用者が
製品購入前に、その製品の特性を確認し、特性が自分の
満足するものであるか否かを判断することが行われてい
るが、この購入前の製品の特性の確認は使用者にとって
煩わしいものである。また、基本的に同一製品は同じ特
性で制御されることが多いため、例えば、製品のデザイ
ンは気に入っているのに特性が気に入らないために、そ
の製品の購入を断念せざるえない等、特性により製品の
選択範囲が制限されるという問題も生じる。本発明は、
上記した従来の問題点を解決し、全ての使用者が満足し
得る特性を実現できる総合制御方式を提供することを目
的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明に係る総合制御方式は、使用者及び/又
は使用状況の特性を判断し、その判断結果に基づいて制
御対象を制御する制御系の目標値及び/又は制御パラメ
ータを自律的に進化させ、かつ、その結果を学習し、前
記目標値及び/又は制御パラメータを用いて制御対象に
対する操作量を決定することを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る総合制御方式
の実施の形態を添付図面に示した一実施例を参照して説
明する。図1は本発明に係る総合制御方式の基本概念を
示すブロック図である。図面に示すように、この総合制
御方式は、反射層、学習層、及び進化適応層の三つの制
御層から成り、外部から制御すべき制御対象に関する情
報(例えば、動作状態に関する情報等)を入力し、この
入力情報に基づいて反射層で予め用意された数式、マッ
プ、ファジールール、ニューラル回路網、又はサブサン
プションアーキテクチャ等の形式の制御系に基づいて操
作量を決定すると共に、進化適応層で使用者及び/又は
使用状況の特性に合わせて制御系の目標値や係数などを
自律的に変化させ、学習層で進化適応層の情報を学習す
る。以下、総合制御方式における反射層、学習層、及び
進化適応層の働きについて説明する。反射層は、制御対
象に関する情報(以下、外界情報と称する。)と、外界
情報に対する制御基本量との関係を数式、マップ、ファ
ジールール、ニューラル回路網、又はサブサンプション
アーキテクチャ等の形式の制御系で予め備えている層で
あり、外界情報が入力されると、上記した制御系から入
力された外界情報に対する操作量を決定して出力する。
尚、前記サブサンプションアーキテクチャとは、並列的
な処理を行う行動型人工知能として公知である。進化適
応層は、評価系と進化適応系との二つの制御系から成
る。評価系は、外界情報、及び/又は使用者の特性(例
えば、好み、技量、又は状態等)に関する情報、及び/
又は使用状況の特性(例えば、使用環境の変化等)に関
する情報を入力し、これらの情報から使用者の特性及び
/又は使用状況の特性を推定し、この推定結果に基づい
て進化適応系の評価を行う。進化適応系は、反射層で用
いられる目標値や制御パラメータの少なくとも一つの補
正値を出力する制御モジュール群から成る。この制御モ
ジュール群は、制御対象に関する特性に基づいて前記目
標値及び/又は制御パラメータの補正値を出力する少な
くとも二種類の下位モジュール群と、前記二種類の下位
モジュール群からの出力における最終的な進化適応層か
らの出力に対する比率を使用者及び/又は使用状況に基
づいて決定し、最終的な目標値及び/又は制御パラメー
タの補正値として出力する上位モジュール群とを含む。
この進化適応系は、所定の条件の下で各制御モジュール
が順に評価系の評価結果を判断基準として自律的に進化
して、その時点で最適な制御モジュールの獲得を行い、
最適な制御モジュールで反射層に目標値及び/又は制御
パラメータの補正値の出力を行う。学習層は、進化適応
層の制御モジュールに対応する学習用と実行用に入れ替
え可能な制御モジュールを備え、一方の制御モジュール
(実行用)で制御を実行している間、他方の制御モジュ
ール(学習用)で対応する進化適応層の制御モジュール
が進化する毎に、進化後の制御モジュールに関する入出
力関係と、学習層の実行用の制御モジュールの入出力関
係とを合わせて学習する。学習用制御モジュールでの学
習が終了すると、制御を実行している制御モジュールと
学習後の制御モジュールが入れ替わり、学習後の制御モ
ジュールで反射層に目標値及び/又は制御パラメータの
補正値を出力する制御を開始し、それまで制御を実行し
ていた制御モジュールが学習用として機能し始める。
尚、この学習層における制御モジュールは初期状態では
ゼロを出力するように設定されており、従って、初期状
態では反射層と進化適応層とによる制御が行われる。進
化適応層は、その時点で最適な制御モジュールに関する
情報を学習層に学習させた後は、その出力をゼロに戻
し、反射層と学習層の実行用の制御モジュールとによる
制御を行わせ、その評価が前の実行用の制御モジュール
による制御より向上していれば、進化が進んでいると判
断して再度同じ制御モジュールに対する進化処理を行
い、また、評価が向上していなければ、別の制御モジュ
ールの進化処理を行う。尚、学習層における学習済みの
制御モジュールに関する情報は、ICカードやフロッピ
ーディスク等の外部記憶手段に保存・読み出し可能にさ
れており、使用者が必要に応じて過去の最適制御モジュ
ールに関する情報を外部記憶手段から読み出して、その
情報に基づいて学習層で基本補正量を出力することがで
きるようにされている。また、使用者が外部記憶手段か
ら過去の最適制御モジュールに関する情報を読み出して
学習層を作動させる場合、学習層が読み出した制御モジ
ュールによって作動している間は、進化適応層は、その
出力がゼロに固定され、制御モジュールの進化処理を停
止する。また、反射層における制御パラメータは、反射
層を構成する任意のパラメータであり、例えば、制御対
象がエンジンの空燃比であり、反射層が仮想空燃比を算
出する順モデルを用いて構成されている場合には、仮想
空燃比を算出するためのパラメータ、即ち、シリンダに
おける体積効率や吸気管に対する燃料付着率や燃料の蒸
発時定数等が考えられ得、又目標値としては目標空燃比
が考えられ得る。上記した各層の働きにより、この総合
制御方式からの出力される操作量は、制御すべき制御対
象を使用する使用者の好みや使用環境の変化等の特性に
合わせて刻々と変化し、その結果、制御対象の特性は使
用者及び/又は使用状況の特性に適応した特性に刻々と
変化していく。本明細書では、この総合制御方式により
制御対象の特性が使用者及び/又は使用状況の特性に適
応して進化していく状態を「調教」と称する。
【0006】図2は、上記した総合制御方式を経時的に
示すフローチャートである。初期状態では、学習層の出
力はゼロであり(ステップa)、従って、制御対象の使
用が開始された直後は、制御対象は、予め設定された目
標値及び/又は制御パラメータ(補正なし)を用いた反
射層の出力(操作量)により制御される。制御対象の使
用が開始されると、進化適応層は、使用者及び/又は使
用状況の特性を推定し、この推定結果に基づく評価を行
いながら、何れか一つの制御モジュールを所定世代数進
化させる(ステップb)。進化適応層は、制御モジュー
ルを遺伝的に所定世代数進化させ、制御モジュールをそ
の時点(最終世代)で最も望ましい制御モジュールに固
定し、その制御モジュールに基づいて反射層に目標値及
び/又は制御パラメータの補正値を出力する。学習層で
は、進化適応層が最適制御モジュールに固定された時の
進化適応層の入出力関係と学習層の実行用制御系の入出
力関係を対応する学習用の制御モジュールで合わせて学
習する。尚、初期状態においては学習層の実行用制御系
の出力はゼロであるが、一度学習を終了した後は、進化
適応層と学習層の実行用制御モジュールとの両方の補正
値で反射層の目標値及び/又は制御パラメータの補正を
行うことになる(ステップd)。学習用制御モジュール
の出力に基づく疑似操作量と、実際の操作量との差がし
きい値より小さくなった時点で学習層における学習用制
御モジュールは学習を終了し、学習用制御モジュールと
実行用制御モジュールとが入れ替わって、学習後の制御
モジュールが実行用として機能し、制御を実行していた
制御モジュールが学習用として機能し(ステップd)、
反射層と学習層とによる制御が行われる(ステップ
e)。進化適応層は、この反射層と学習層とによる制御
の結果の評価を行い、評価が進化適応層の進化前の評価
より向上していれば進化が進んでいると判断して再度同
じ制御モジュールの進化処理を行うためにステップbの
処理に戻り、評価が向上していなければ対応する制御モ
ジュールの進化が一旦収束したと判断して別の制御モジ
ュールの進化処理を行う(ステップf)。
【0007】次に、上記した総合制御方式について、制
御対象として車両用エンジンの空燃比を例に挙げて、必
要に応じて図2に示したフローチャートを参照しなが
ら、さらに具体的に説明する。図3は、エンジン1と前
記総合制御方式を実行する制御装置10との関係を示す
概略図である。図面に示すように、制御装置10は、エ
ンジン回転数、吸気負圧、スロットル開度、スロットル
開度変化率、大気圧、吸気温度、冷却水温、ギヤポジシ
ョン等の情報を入力し、これら入力情報に基づいて燃費
性能と加速性能の両立を図ったエンジンの空燃比制御を
行う。図4は、前記制御装置10の概略ブロック図であ
る。この制御装置10は、上述したように反射層、学習
層、及び進化適応層から成る。
【0008】(反射層について)反射層は、エンジン回
転数、吸気負圧、スロットル開度、スロットル開度変化
率、大気圧、吸気温度、及び冷却水温等のエンジンの運
転状態に関する情報を入力し、これら入力信号に基づい
て所定の目標空燃比に沿った燃料噴射装置の操作量を決
定して出力する。尚、前記目標空燃比は初期値は予め設
定されており、使用者の好みや使用状況等に応じて進化
適応層及び学習層の出力により補正される。
【0009】(進化適応層について)進化適応層は、評
価系と進化適応系とから成る。図5は、進化適応層の基
本動作のフローチャートである。以下、このフローチャ
ートを参照して進化適応層の基本動作について説明す
る。評価系は、一定時間内の各ギヤポジションにおける
最高回転数の分布パターン(図6及び図7参照)と走行
状態指数Pとの関係を学習したニューラル回路網(図8
参照)を備えており、ギヤポジション信号とエンジン回
転数信号を入力し(ステップ1)、前記入力情報から前
記ニューラル回路網により走行状態指数Pを決定する
(ステップ2)。例えば、スポーティな走行を好む使用
者は、低速のギヤで高い回転数までエンジンを回す傾向
にあるため、その分布パターンは図6(a)に示すよう
になり、また、マイルドな走行を好む使用者は、早めに
高速のギヤに変えていく傾向にあるため、その分布パタ
ーンは図6(b)に示すようになる。従って、図8に示
したニューラル回路網で、図6(a)に示す分布パター
ンの時に走行状態指数Pが大きな値となり、また、図6
(b)に示す分布パターンの時に走行状態指数Pが小さ
な値となるように予め学習しておくと、前記ニューラル
回路網から得られる走行状態指数Pは、使用者の走行に
対する好みがスポーティであればある程大きくなり、マ
イルドであればあるほど小さくなり、使用者の好みが反
映したものになる。また、図7(a)に示すように一定
時間内に1速から6速までの各ギヤを使用した場合には
走行状態指数Pの値が大となり、図7(b)に示すよう
に低速のギヤばかりを使用した場合には走行状態指数P
の値がやや大となり、また図7(c)のように高速のギ
ヤばかりを使用した場合には走行状態指数Pの値が小と
なるように前記ニューラル回路網で学習しておけば、通
常車両では、通常走行の場合には各ギヤを使用し、渋滞
路走行の時には低速ギヤばかりを使用し、また、高速道
路走行の時には、高速ギヤばかりを使用するので、ニュ
ーラル回路網で得られる走行状態指数Pに基づいて、例
えば、図7(a)の場合は通常走行であり、図7(b)
の場合は渋滞路走行であり、図7(c)の場合は高速道
路走行であると推定することができる。評価系は、この
走行状態指数Pから、その時の走行状況を推定し、か
つ、使用者の好みが燃費性能重視か、加速性能重視かを
判断して加速重視割合αを推定する(ステップ3)。加
速度重視割合αは、図9に示すように、予め決められた
加速度重視割合αと走行状態指数Pとの関数から求めら
れ、例えば、高速道路走行時(図7(c)参照)で走行
状態指数Pが小さい時には加速度重視割合αは小さく燃
費重視の値となり、また、スポーティな走行時(図6
(b)参照)で走行状態指数Pが大きい時には加速度重
視割合αは大きく加速度重視の値となる。進化適応系
は、燃費が最良となるような燃料噴射制御則の獲得を目
指す燃費モジュール及び出力が最高となるような燃料噴
射制御則の獲得を目指すパワーモジュールからなる下位
モジュールと、使用者の好みに合わせて運転状態に応じ
た前記燃費モジュールと前記パワーモジュールの出力比
の獲得を目指すコントロールモジュールから成る上位モ
ジュールとを備えている(図4参照)。前記各モジュー
ルは、図10に示すように各々2入力1出力の階層型ニ
ューラル回路網で構成され、燃費モジュール及びパワー
モジュールは各々正規化スロットル開度及び正規化エン
ジン回転数を入力して目標空燃比補正量の一次出力値を
出力し、コントロールモジュールは正規化スロットル開
度と正規化スロットル開度変化率を入力して下位モジュ
ール(即ち、燃費モジュール及びパワーモジュール)の
出力比を出力することで目標空燃比補正量の最終出力値
を決定する。前記燃費モジュール及びパワーモジュール
は、図11に示すように運転状態や使用者の好みに関係
なく、それぞれ燃費が最良になる空燃比と出力が最良に
なる空燃比が得られるような空燃比補正量を獲得するよ
う各ニューラル回路網の結合係数を遺伝的アルゴリズム
を用いて順番に自律的に進化させる(ステップ4及び
5)。これに対してコントロールモジュールは、最良燃
費空燃比と最良出力空燃比の間で、使用者の好みにあっ
た燃費モジュール及びパワーモジュールの出力比を獲得
するように、そのニューラル回路網の結合係数を遺伝的
アルゴリズムを用いて自律的に進化させる(ステップ
6)。なお、各制御モジュールの進化は、各制御制御モ
ジュールを構成するニューラル回路網の結合度を遺伝子
としてコーディングして複数の個体を生成し、全ての個
体を用いて実際にエンジンを作動させた結果を各個体毎
に評価系で評価し、評価結果の一番高い個体(エリート
個体)を含む幾つかの親個体を選択してこれらを交叉さ
せて次世代の子個体を生成し、各個体に対する評価を行
うことを繰り返すことで行われる。上記した進化処理
は、進化が収束するまで所定世代数毎に学習層で学習を
行いながら、連続して同じ制御モジュールに対して、繰
り返し行われる。進化処理中は、進化の対象となる制御
モジュール以外の制御モジュールは、固定しておき、進
化処理中の制御モジュールの進化が終了した後、次の制
御モジュールの進化処理が行われる。所定世代数毎の学
習の際には、その世代のエリート個体で、ニューラル回
路網の結合係数を固定して、学習層の学習用制御モジュ
ールに学習させる。学習が終了した時点で、学習に用い
たエリート個体と、進化適応層の出力がゼロになる個体
とを含む新しい個体群を生成する。こうすることで、次
の進化処理において、前の進化処理の性能を損なうこと
なく、進化中の個体群の多様性を保つことができる。全
ての制御モジュールの進化が終了した後は、進化適応層
はその出力をゼロにして、反射層と学習層の学習済みの
制御用モジュールとによる制御が実行される(ステップ
7)。その後、進化適応層は一定時間間隔で作動し、進
化適応層の負荷により性能の向上、即ち、評価の向上が
見られた場合、各制御モジュールの進化処理を繰り返す
(ステップ8)。
【0010】以下に上記した遺伝的アルゴリズムによる
モジュールの進化について、図12のフローチャートを
参照して燃費モジュールの進化を例に挙げてさらに詳細
に説明する。始めに、図13に示すように、燃費モジュ
ールを構成するニューラル回路網の結合係数を遺伝子と
してコーディングして複数の個体a(n)(本実施例で
はn=9)からなる第1世代を生成する(ステップ
1)。ここで、各個体の遺伝子の値(即ち、ニューラル
回路網の結合係数の値)の初期値は予め決められた範囲
内(ほぼ−10〜10の間)でランダムに決定する。ま
たこの時、既に学習層が学習を行い出力をしている場合
には、進化適応層の出力をゼロにできる個体(図13に
おける個体a(1))を一つ含ませることで、個体数に
制限がある場合でもその時点の性能を損なうことなく進
化処理中の個体群の多様性を保つことができる。次に、
ステップ1で生成された個体a(n)の中の一つ、例え
ば、個体a(1)に対して、燃費モジュールのニューラ
ル回路網を用いて実際の入力情報(エンジン回転数及び
スロットル開度)に対するニューラル回路網の出力x
(1)を決定し(ステップ2)、さらにこの出力を式
(1)を用いて線形変換して個体an(1)に対する燃
費モジュールの出力yf(1)を決定する(ステップ
3)。尚、入力情報のエンジン回転数及びスロットル開
度はそれぞれ正規化したものを用いる。 yf(n) = 2×Gx(n)−G (1) ここで、yf(n)は燃費モジュールの出力、x(n)
は燃費モジュールにおけるニューラル回路網の出力、G
は進化適応層出力ゲインであり、nは個体を示してい
る。このように、ニューラル回路網の出力x(n)を線
形変換して用いることにより、燃費モジュールからの出
力yf(n)が極端に大きな値になることがなく、全体
として進化がすこしづつ進むようになり、エンジンの挙
動が評価や進化のために極端に変動することがなくな
る。個体a(1)に対する燃費モジュールの出力yf
(1)を決定した後、パワーモジュールの出力ya及び
コントロールモジュールの出力ORを用いて次式(2)
に基づいて進化適応層の出力(評価用補正量Ya
(n))を決定する(ステップ4)。 Ya(n) = OR×ya+(1−OR)×yf
(n) 尚、燃費モジュールの進化処理中は、パワーモジュール
及びコントロールモジュールの結合係数は固定されてい
る。上記したようにコントロールモジュールの出力OR
は、燃費モジュールの出力yfとパワーモジュールの出
力yaとの比率であり、従って、コントロールモジュー
ルの出力ORが”1”の場合は進化適応層の出力はパワ
ーモジュールの出力となり、また、前記出力ORが”
0”の場合は進化適応層の出力は燃費モジュールの出力
となる。個体a(1)に対する進化適応層の出力Ya
(1)が決定した後、この仮補正値Ya(1)を実際に
進化適応層から出力し、学習層の出力Ybと加算し(ス
テップ5)、この補正値Ya(1)+Ybにより補正さ
れた目標空燃比に基づく制御を所定の時間だけ反射層で
行う(ステップ5)。反射層で実際に制御を行いなが
ら、進化適応層の評価系ではこの制御の結果に関する情
報をフィードバックして、個体an(1)に対する評価
値(例えば燃料消費量)を決定する(ステップ6)。上
記したステップ1〜ステップ6までの処理は、ステップ
1で生成された9個の個体a(1)〜a(9)に対する
全ての評価値の算出を1サイクルの予備評価処理とし
て、この予備評価処理を予め決められた所定のサイクル
行うまで繰り返し行われ(ステップ7)、全ての個体に
対して所定サイクル分の評価値を算出した後に各個体の
総合評価処理(ステップ8)に進む。総合評価処理で
は、各個体毎に、上記した評価値算出サイクル中の総走
行距離を全ての評価値の合計(この場合は総燃料消費
量)で割った総合評価値を算出し、この総合評価値に基
づいて各個体の適応度の評価を行う(ステップ8)。上
記したように、各個体を用いた制御を順番に所定回数行
い各個体を時分割により擬似的に並行的に作動させるこ
とで(図14参照)、刻々と変化する走行状況のもとで
も各個体の評価をほぼ同じ条件で公平に行うことが可能
になり、オンライン評価、即ち、車両走行中の評価が可
能になる。上記した総合評価処理が終了した後、所定の
世代数経過したか否かを判断し(ステップ9)、最終世
代でなければ親個体の選択を行う(ステップ10)。こ
の選択にはルーレット式選択方式を用い、各個体の適応
度に比例した確率で、確率的に幾つかの親個体を選択す
る。尚、この時、厳密に世代交代を適用しすぎると、評
価の高い個体を破壊してしまう恐れがあるため、エリー
ト(評価の最も高い個体)を無条件に次世代に残すエリ
ート保存戦略も合わせて用いる。また、複数の個体から
成る集団内の最大適応度と平均適応度の比が一定となる
ように、適応度の線形変換を行う。親個体の選択が終わ
ると、選択された個体を親個体として、交叉を行い、再
び9個の子個体から成る第二世代を生成する(ステップ
11)。個体間の交叉には、1点交叉、2点交叉、又は
正規分布交叉等の手法を用いる。正規分布交叉とは、実
数値表現の染色体(個体)について、両親を結ぶ軸に対
して回転対称な正規分布にしたがって子を生成する方法
である。正規分布の標準偏差は、両親を結ぶ主軸方向の
成分については両親間の距離に比例させ、その他の軸の
成分については両親を結ぶ直線と集団からサンプルした
第3の親との距離に比例させる。この交叉方法は、親の
特質が子に引き継がれやすいという利点がある。また、
生成された9個の子個体に対して一定の確率で、ランダ
ムに遺伝子(結合度)の値を変更し、遺伝子の突然変異
を発生させる。尚、これら9個の子個体には、前記した
進化適応層の出力をゼロにできる個体を一つ含ませる。
上記した処理により、第2世代を生成した後、再びステ
ップ2からの予備評価処理を繰り返す。上記した進化処
理は、予め決められた世代数経過するまで繰り返し行わ
れる。これにより、各世代を構成する子個体は評価系の
評価に沿って、即ち、燃費モジュールの場合には、燃費
が最良となるような燃料噴射制御則を獲得するように進
化していく。予め決められた世代数経過したか否かはス
テップ9で判断され、ステップ9で最終世代であると判
断すると、その世代の9個の子個体の中から適応度の最
も高い個体(最適個体)、即ち、エリートを一つ選び出
し(ステップ12)、燃費モジュールのニューラル回路
網の結合係数を、前記した最適個体を構成する遺伝子で
固定し(ステップ13)、学習層の学習用制御モジュー
ルに対する学習処理に移行する(図2におけるステップ
c参照)。図2のフローチャートで示すように、一つの
制御モジュール(この場合は燃費モジュール)に対する
進化処理は学習後の学習層と反射層とによる制御の評価
が、進化前の制御の評価より高い間は、連続して繰り返
され、進化処理後の制御の評価が進化処理前の制御の評
価より向上しなくなったら、その制御モジュールの進化
が収束したと判断して、次の制御モジュール(本実施例
の場合はパワーモジュール)の進化処理に移行する(図
5におけるステップ5参照)。
【0011】パワーモジュール及びコントロールモジュ
ールの進化処理も上記した燃費モジュールの進化処理と
同様に行われるが、パワーモジュールにおける各個体に
対する総合評価値は、評価値算出サイクル中の平均エン
ジン回転数を平均スロットル開度で割って算出される。
これにより、パワーモジュールの進化処理中の各世代を
構成する子個体は評価系の評価に沿って、即ち、出力が
最良となるような燃料噴射制御則を獲得するように進化
していく。また、コントロールモジュールにおける各個
体に対する総合評価値は、評価値算出サイクル中の燃費
評価値及びレスポンス評価値と、加速度重視割合αと、
基準とする燃費評価値及びレスポンス評価値とを用いて
判断される。即ち、評価値算出サイクル中の燃費評価値
をFC、レスポンス評価値をRP、基準燃費評価値をF
Cbase、基準レスポンス評価値をRPbaseとすると、コ
ントロールモジュールにおける総合評価値CNTは次式
で与えられる。 CNT=(1−α)×Scale×(FC−FCbase)/F
Cbase +α×(RP−RPbase)/RPbase ここで、Scaleは燃費評価値とレスポンス評価値のバラ
ンスをとるための係数である。また、燃費評価値は上記
した燃費モジュールにおける総合評価値と同様に算出さ
れ、レスポンス評価値RPは、所定のしきい値より大き
いスロットル開度の変化が一定時間続いたら加速とみな
して、その時の速度変化をスロットル開度変化率で割
り、これを所定の評価値算出サイクルの時間内の各加速
毎に算出したものの平均値とする。上記したように、燃
費評価値とレスポンス評価値を使用者の好みに基づいて
決められた加速度重視割合αの比率に合わせて評価する
ことにより、コントロールモジュールは、使用者の好み
に合わせて運転状態に応じた燃費モジュールとパワーモ
ジュールの出力比を獲得できるよう進化していく。
【0012】上記した遺伝的アルゴリズムにより、燃費
モジュール、加速モジュール、及びコントロールモジュ
ールの進化が終了し、学習層での学習が終了すると、進
化適応層の出力はゼロになり、学習層と反射層とによる
制御に移行する(図5におけるステップ7参照)。上記
したように、下位制御モジュール群を構成する燃費モジ
ュールとパワーモジュールとが各々燃費及び出力優先に
進化し、上位制御モジュールを構成するコントロールモ
ジュールが使用者の好みに合わせて下位制御モジュール
の出力比率を決めるように進化することにより、各機能
(即ち、燃費及びエンジン出力)について最適な出力を
行える下位モジュールを使用者の好みに合った出力比率
で用いた制御を行うことができるようになる。
【0013】(学習層について)次に、学習層について
詳細に説明していく。学習層は、図4に示すように進化
適応層の制御モジュールに対応する種類の制御モジュー
ル群を備え、各制御モジュール群は、二つのニューラル
回路網A,Bから成る。これら二つのニューラル回路網
は一方が学習用として機能している時は、他方は実行用
として機能する。学習用のニューラル回路網は、進化適
応層で各モジュールの進化処理が所定世代数行われ、そ
のモジュールを構成するニューラル回路網がその時点で
最適な結合係数で固定されると、進化適応層の入力と出
力との関係を、学習層の実行用として機能しているニュ
ーラル回路網の入力と出力との関係と合わせて学習す
る。具体的には、例えば、前記した学習では、進化適応
層と学習層の実行用ニューラル回路網との入出力を、あ
るステップ幅で平均化し、これを入出力データとして教
師データ集合の更新に用いる。例えば、1秒間の平均エ
ンジン回転数が5000rpm、平均スロットル開度が
20であった場合、これらと、その時の進化適応層及び
学習層における実行用ニューラル回路網の目標空燃比補
正量とを合わせたものを入出力データとして用いる(図
15参照)。この入出力データを、以前の教師データに
加えて新しい教師データ集合を得る。この時、得られた
教師データの作成時間を記録しておき、学習層の学習に
際して作成時間が新しい教師データほど重要視されるよ
うに重みづけを行う。学習層にCMACを使用し、進化
適応層による直前の進化処理により得られた最新のデー
タのみを用いて学習を行う場合の模式図を図16に示
す。上記した学習は、学習中の学習用ニューラル回路網
の出力と制御出力との誤差がしきい値より小さくなった
時点で終了し、その後、学習用のニューラル回路網は実
行用になり、もとの制御用のニューラル回路網が学習用
となる。この学習は、上記したように進化適応層におけ
る制御モジュールの進化処理が所定の世代数行われる毎
に行われる。従って、一つの制御モジュールに対して進
化処理が始まってから進化が収束するまでの間は、所定
の世代数進化処理が行われる毎に学習が行われるように
なる。このように、各制御モジュールに対して進化と学
習とを交互に繰り返すと、学習を行わずに進化処理のみ
で進化させる場合に比べて評価値の向上が早くなり進化
が早く進む(図17参照)。進化適応層において全ての
制御モジュールの進化が収束し、学習層で上記した学習
処理が終了した後は、学習層は、各制御モジュールの実
行用ニューラル回路網を用いて空燃比補正量を出力し、
同時に進化適応層の出力はゼロになり、学習層と反射層
とによる制御が行われる。また、学習層の実行用のニュ
ーラル回路網の初期値は、出力が常にゼロになるように
設定しておく。こうすることで、初期状態においては、
反射層と進化適応層のみで制御をおこなうようにでき
る。学習済みの実行用ニューラル回路網の結合係数は、
フロッピーディスクやICカード等の外部記憶手段に保
存・読み出し可能とする。
【0014】上記したように進化適応層での進化が終了
し、それを学習層で学習した後は、進化適応層は図2で
説明したように、一定時間間隔で作動して、学習層の制
御則のずれをチェックし、制御則にずれがある場合に
は、再び、燃料制御モジュールと加速制御モジュールの
進化を行う。使用者が外部記憶手段に保存した結合係数
を読み出して、当該結合係数に基づいて学習層を作動さ
せている場合には、進化適応層における制御則のずれの
チェックを行わずに、進化適応層の出力をゼロに固定し
たまま、その処理を停止し、使用者の処理開始指示に基
づいて進化適応層の処理を再開するように進化適応層を
構成してもよい。
【0015】上記したように、進化適応層において、下
位モジュール群を構成する燃費モジュールとパワーモジ
ュールとが各々燃費及びエンジン出力を優先して進化
し、また、上位モジュールを構成するコントロールモジ
ュールが使用者の好みに合わせた下位モジュールの出力
比が得られるように進化することにより、使用者の好み
に合わせた最適な目標空燃比パターンを得ることがで
き、エンジン1は、使用者の好みに合わせて燃費性能重
視型、ドライバビリティ性能重視型、或いはバランス重
視型に調教されていく。図18は、使用者の特性に合わ
せた走行パターンに対する目標空燃比パターンの一例を
示している。また、進化適応層を一定時間間隔で機能さ
せることにより、調教が、使用者の好みの変化やエンジ
ンや車両の経時変化に追従するようになる。
【0016】上記した実施例のように、進化適応層にお
いて、補正量に制限を加えつつ適応を図り、そこで得ら
れた成果を学習していく手法を用いる利点としては、以
下の2点が挙げられる。 ・進化適応層内の制御モジュールの多様性が確保され、
遺伝的アルゴリズムの特徴である大域的探索が可能とな
る。 ・進化適応層での試行錯誤的な情報処理から、学習層の
高速でより知的な情報処理を獲得することが可能にな
る。これは上記したエンジン制御においては顕著ではな
いが、移動ロボットの経路制御などについては大きな利
点となる。
【0017】(その他)尚、上記した第2及び第3の実
施例では、下位モジュールの分割は、燃費とエンジン出
力の各機能についておこなっていたが、下位モジュール
の分割は本実施例に限定されることなく、排気ガス性能
等の他の機能を用いてもよく、また、燃料噴射量、点火
時期などの制御出力について、この分割を行ってもよ
い。この場合、例えば、新しく吸気管長の制御を可能に
した場合など、既存の制御モジュールに変更を加える必
要がなく、吸気管長制御モジュールを追加することで総
合的な制御が実現できるという効果を奏する。また、エ
ンジンの制御を行う場合の操作量は、制御対象に応じて
上記の他、例えば、電子スロットル開度、吸排気バルブ
タイミング、バルブリフト量、吸排気制御用バルブタイ
ミング等が考えられ得る(図3参照)。ここで、吸気制
御用バルブとは、タンブル及びスワールの制御を行うた
めに吸気管に設けられるバルブであり、また、排気制御
バルブとは、排気脈動を制御するために排気管に設けら
れるバルブである。また、本実施例では、進化が収束す
るまで同じ制御モジュールに対して進化処理を施してい
るが、これは本実施例に限定されることなく、例えば、
一つの制御モジュールに対して所定世代数の進化がした
時点で次の制御モジュールの進化処理に移行し、これを
各制御モジュールの進化が収束するまで繰り返し行うよ
うにしてもよい。また、本実施例では、下位モジュール
を燃費モジュールと加速モジュールの二つに分割し、上
位モジュールをコントロールモジュールだけで構成し、
各モジュールに対して遺伝的アルゴリズムに対する進化
処理を行っているが、進化適応層における制御モジュー
ルの数は、本実施例に限定されることなく、一種類でも
よく、又三種類以上の制御モジュールを用いてもよい。
さらにまた、本実施例では、進化適応層の制御モジュー
ルを下位モジュールと上位モジュールとに分けて、上位
モジュールで使用者の好みに合わせて下位モジュールの
出力比を決定するように構成し、下位モジュールに加え
て上位モジュールも進化していくように構成している
が、これは本実施例に限定されることなく、例えば、進
化適応層を本実施例の下位モジュールだけで構成し、下
位モジュール同士で協調しながら進化していくように構
成してもよい。この場合は、下位モジュールの進化中の
評価に使用者の好みに関する情報も加味され、それら出
力比は、本実施例の場合なら、例えば、加速度重視割合
αで決定され得る。さらにまた、本実施例では、運転者
の好みや走行状況を推定するための走行状態指数Pを、
ギヤポジションと最高回転数の分布パターンに基づいて
ニューラル回路網を用いて推定しているが、走行状態指
数Pを推定する手段は、本実施例に限定されることなく
任意の方法でよく、例えば、ファジー推論を用いて推定
してもよい。ファジー推論を用いて走行状態指数Pを決
定する場合、例えば、「1速の最高回転数が大で、2速
の最高回転数が大ならば、走行状態指数Pは非常に大で
ある。」といったIF−THENルールを記述し、ファ
ジー推論を行う(図19参照)。ニューラル回路網の場
合、結合係数は教師信号から学習により決定されるので
ブラックボックス的になるのに対して、このファジー推
論を用いる方法では、設計の時の知識ベース的なアプロ
ーチが可能となる。また、本実施例では、ギヤポジショ
ンと最高回転数の分布パターンから使用者の好みを評価
しているが、使用者の好みを評価するパラメータは本実
施例に限定されることなく、任意のパラメータでよく、
使用者の生理的指標、例えば、脈拍、血圧、体温、脳波
等を検出する手段を、使用者の装備品、例えば、二輪車
の場合には、ヘルメット、グローブ、又はブーツ等に設
けて、生理的指標を検出し、これに基づいて評価しても
よい。さらに、これらの生理的指標は使用者の状態(運
転者の運転状態)の評価に使用することも可能である。
また、本実施例では、使用者の好みを評価し、この評価
に合わせて調教を行っているが、調教の方針を決めるパ
ラメータは本実施例に限定されることなく、例えば、使
用者の技量を評価して、使用者の技量に合わせて調教を
行ってもよい。この場合の使用者の技量を評価するパラ
メータとしては、例えば、車両の場合には、車両の傾き
角、車両の上下方向の加速度、ブレーキの操作量、前後
ブレーキの使用比率等が考えられる。さらにまた、本実
施例では、進化処理中の各個体に対する総合評価処理
を、時分割して、各個体を用いた制御を連続して所定サ
イクル数行い各個体を擬似的に並行的に作動させること
により、各個体を走行状態等の変化に影響されずに公平
に評価できるようにしているが、この各個体に対する評
価手法は本実施例に限定されることなく、例えば、評価
領域を細分化して局所的な評価値を算出し、全ての個体
に共通する局所的な評価値を用いて総合評価をしてもよ
く、また、細分化した局所的評価領域毎に重みづけを行
い、この重みづけを加味して総合評価を行ってもよい。
具体的には、例えば燃費評価の場合は、図20に示すよ
うに、評価処理中のエンジントルク及びエンジン回転数
と単位時間あたりの燃料消費量との関係を全ての個体
(図20の場合は二つ)に対して調べ(図20(a)及
び(b)参照)、この燃料消費量を局所的な評価値とし
て、共通する条件で得られた局所的な評価値(図20
(c)参照)の平均値で各個体についての評価を行い得
る。また、図20とは別の方法として、例えば、図21
に示すように、予め各局所的評価部分毎に重みづけをし
たウェイトマップを用意し(図21(c)参照)、評価
処理中のエンジントルク及びエンジン回転数と単位時間
あたりの燃料消費量との関係を全ての個体(図21の場
合は二つ)に対して調べ(図21(a)及び(b)参
照)、各個体毎にウェイトマップを加味して総合評価値
を決定して評価を行ってもよい。
【0018】
【発明の効果】以上説明した本発明に係る総合制御方式
によれば、制御対象に対する操作量を決定する目標値及
び/又は制御パラメータを使用者及び/又は使用状況の
特性に合わせて自律的に進化させることができるので、
制御対象の特性が、それを使用する使用者及び/又は使
用状況に合った特性に「調教」され、使用し易くなり、
また、使用者に、制御対象の特性を自分だけの独自の特
性に調教するという意識上の楽しみを与えることができ
るという効果を奏する。本発明に係る総合制御方式によ
れば、操作量を決定するための目標値及び/又は制御パ
ラメータを進化させるので、操作量に直接影響を及ぼす
ように進化行う場合に比べて、進化を行うための処理が
簡素化できるという効果を奏し、その結果、進化を行う
ための処理も早くすることができるという効果を奏す
る。また、本発明に係る総合制御方式によれば、目標値
を進化させるため、例えば、操作量が燃料噴射量であ
り、最終的に制御したい制御対象が空燃比である場合の
ように、操作量が他のファクタ(空燃比の場合には吸入
空気量)の影響を受けやすく、吸入空気量が多い場合に
は操作量を多少補正した程度では最終的な空燃比に及ぼ
す影響がほとんどないような状態に陥る可能性がある場
合でも、進化の影響を最終的な空燃比に応答性良く及ぼ
すことが可能になるという効果を奏する。さらに、本発
明に係る総合制御方式では、制御方式の枠組みを、反射
層、学習層、及び進化適応層をもつ階層化構造にし、進
化適応層で使用者及び/又は使用状況の特性に合わせて
目標値及び/又は制御パラメータを自律的に進化させ、
学習層で、進化適応層の情報を学習すると共に、反射層
で、前記進化適応層及び学習層からの目標値及び/又は
制御パラメータに基づいて制御対象に対する操作量を決
定するので、操作量を決定する下位的な処理は数式等で
表現された制御対象モデル等を用いて反射層で行い、前
記反射層の目標値及び/又は制御パラメータの進化処理
を行う上位的な処理を学習層及び進化適応層で行うよう
に処理の階層化ができ、学習層及び進化適応層の処理の
負担が軽減され、学習及び進化を効果的に行うことがで
きるようになる。また、本発明に係る総合制御方式で
は、進化適応層を制御対象に関する特性に基づいて一次
出力を決定する下位モジュール群と、下位モジュール群
の一次出力から使用者及び/又は使用状況に基づいて二
次出力を決定する上位モジュール群とに分割しているの
で、制御対象に関する特性は下位モジュール群により進
化させることができ、使用者及び/又は使用状況に基づ
く下位モジュールの使い分けを上位モジュール群により
進化させることができるようになり、進化をより効率的
に行うことができるようになる。さらにまた、本発明に
係る総合制御方式では、進化処理に遺伝的アルゴリズム
を用いているので多様性のある進化が可能になり、ま
た、遺伝的アルゴリズムにおける各世代の個体群の中に
進化適応層の出力をゼロにできる個体を含ませて進化処
理中に、進化処理前の性能を維持できるようにしている
ので、個体数に制限がある場合でも進化の多様性を確保
することができる。これにより、少ない個体で進化処理
を行うことが可能になるので、制御対象を実際に使用し
ながら進化処理を行うオンラインでの進化が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る総合制御方式の基本概念を示す
ブロック図である。
【図2】 図1に示した総合制御方式を経時的に示すフ
ローチャートである。
【図3】 エンジン1と前記総合制御方式を実行する制
御装置10との関係を示す概略図である。
【図4】 制御装置10の概略ブロック図である。
【図5】 図4の制御装置全体の基本動作のフローチャ
ートである。
【図6】 (a),(b)は共に、一定時間内の各ギヤ
ポジションにおける最高回転数の分布パターンを示すグ
ラフであり、(a)はスポーティな走行時のグラフで、
(b)はマイルドな走行時のグラフである。
【図7】 (a)〜(c)は共に、一定時間内の各ギヤ
ポジションにおける最高回転数の分布パターンを示すグ
ラフであり、(a)は通常走行時のグラフで、(b)は
渋滞路走行時のグラフで、(c)は高速道路走行時のグ
ラフである。
【図8】 走行状態指数を推定するためのニューラル回
路網の概略図である。
【図9】 (a)〜(c)は共に、走行状態指数と評価
関数の関係を示すグラフであり、(a)を基準として、
(b)が最高回転数に達するまでの時間が短い状態を示
し、(c)が最高回転数に達するまでの時間が長い状態
を各々示している。
【図10】 (a)は燃費モジュールを構成するニュー
ラル回路網の概略図、(b)は加速モジュールを構成す
るニューラル回路網の概略図、(c)はコントロールモ
ジュールを構成するニューラル回路網の概略図である。
【図11】 各制御モジュールの進化の傾向を示す図で
ある。
【図12】 遺伝的アルゴリズムによる燃費モジュール
の進化のフローチャートである。
【図13】 ニューラル回路網のコーディングを概念的
に示す図である。
【図14】 時分割方式による各個体の予備評価処理の
状態を示す図である。
【図15】 学習層の学習用制御モジュールに使用する
教師データの獲得の仕方を概念的に示す図である。
【図16】 新しい教師データのみを用いたCMACに
よる学習層の学習を概念的に示す図である。
【図17】 進化処理だけでの進化と、進化処理と学習
処理とを交互に繰り返す進化との進化性能を比較したグ
ラフを示す図である。
【図18】 使用者の特性に合わせて得られた目標空燃
比パターンを走行パターンと比較して示す図である。
【図19】 ファジー推論により走行状態指数を推定す
る状態を概念的に示した図である。
【図20】 燃費モジュールにおける燃費評価の別の方
法を概念的に示す図である。
【図21】 燃費モジュールにおける燃費評価のさらに
別の方法を概念的に示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン 10 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 41/34 F02D 41/34 W 45/00 324 45/00 324 340 340C 374 374Z G06F 15/18 550 G06F 15/18 550C

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 使用者及び/又は使用状況の特性を判断
    し、その判断結果に基づいて制御対象を制御する制御系
    の目標値及び/又は制御パラメータを自律的に進化さ
    せ、かつ、その結果を学習し、 前記目標値及び/又は制御パラメータを用いて制御対象
    に対する操作量を決定することを特徴とする総合制御方
    式。
  2. 【請求項2】 制御方式の枠組みが、反射層、学習層、
    及び進化適応層をもつ階層化構造であり、 進化適応層で使用者及び/又は使用状況の特性に合わせ
    て目標値及び/若しくは制御パラメータ、又はそれらに
    関する情報を自律的に進化させ、 学習層で、進化適応層の情報を学習すると共に、 反射層で、前記進化適応層及び/又は学習層からの目標
    値及び/若しくは制御パラメータ、又はそれらに関する
    情報に基づいて制御対象に対する操作量を決定すること
    を特徴とする請求項1に記載の総合制御方式。
  3. 【請求項3】 前記進化適応層が、制御対象に関する特
    性に基づいて一次出力を決定する下位モジュール群と、
    下位モジュール群の一次出力から使用者及び/又は使用
    状況に基づいて二次出力を決定する上位モジュール群と
    を備えていることを特徴とする請求項2に記載の総合制
    御方式。
  4. 【請求項4】 前記下位モジュール群の進化中の評価を
    制御対象に関する特性に基づいて行い、 前記上位モジュール群の進化中の評価を使用者及び/又
    は使用状況に基づいて行うことを特徴とする請求項3に
    記載の総合制御方式。
  5. 【請求項5】 前記進化適応層における目標値及び/又
    は制御パラメータの進化が、前記制御モジュールを遺伝
    的アルゴリズム又はマルチエージェント方等の手法を用
    いて進化させることにより行うことを特徴とする請求項
    3又は4に記載の総合制御方式。
  6. 【請求項6】 進化適応層の制御モジュールを遺伝的ア
    ルゴリズムにより所定世代数進化させ、その進化結果を
    学習層に学習させる毎に、学習層に学習させた世代の複
    数の個体のなかで最も評価の高い個体と、進化適応層の
    出力をゼロにする個体とを含む新しい個体群を発生させ
    ることを特徴とする請求項5に記載の総合制御方式。
  7. 【請求項7】 学習層が、前記進化適応層の制御モジュ
    ールに対応する制御モジュールを備え、制御モジュール
    を遺伝的アルゴリズムにより所定世代数進化させる毎
    に、各制御モジュールが獲得した特性を学習層の対応す
    る制御モジュールが学習することを特徴とする請求項5
    又は6に記載の総合制御方式。
  8. 【請求項8】 前記学習層が、学習用の制御モジュール
    と制御実行用の制御モジュールとを備えていることを特
    徴とする請求項7に記載の総合制御方式。
  9. 【請求項9】 進化適応層において獲得された少なくと
    も二つの経時的なずれのある情報に、新しさに応じて重
    みづけを行い、これら重みづけされた少なくとも二つの
    経時的なずれのある情報に基づいて学習層で学習を行う
    ことを特徴とする請求項2〜8の何れか一項に記載の総
    合制御方式。
  10. 【請求項10】 前記目標値及び/又は制御パラメータ
    の進化の状態が選択的に外部から操作可能であることを
    特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の総合制御
    方式。
  11. 【請求項11】 制御対象がエンジンの空燃比であり、 前記目標値が目標空燃比の補正値であり、 前記操作量が燃料噴射モデルを用いて前記補正量の情報
    を含む目標空燃比に基づいて決定され、 前記目標空燃比が使用者及び/又は使用状況の特性に応
    じて自律的に進化することを特徴とする請求項1〜10
    の何れか一項に記載の総合制御方式。
  12. 【請求項12】 前記下位モジュール群が、 エンジンを運転状態に関する情報を入力とし目標空燃比
    補正量を出力として、燃費を最良とする燃料噴射制御則
    の獲得を目指す燃費モジュールと、 エンジンの運転状態に関する情報を入力とし目標空燃比
    補正量を出力として、出力を最高とする燃料噴射制御則
    の獲得を目指すパワーモジュールとを含むことを特徴と
    する請求項4〜11の何れか一項に記載の総合制御方
    式。
  13. 【請求項13】 前記上位モジュール群が、使用者の好
    みに合わせて前記燃費モジュールの出力とパワーモジュ
    ールの出力との比率を制御して二次出力を決定するコン
    トロールモジュールを含むことを特徴とする請求項4〜
    12の何れか一項に記載の総合制御方式。
  14. 【請求項14】 燃料残量が所定値以下になった場合
    に、 前記コントロールモジュールが自動的に又は使用者の指
    示に従って燃費モジュールの出力の比率を高くして燃費
    重視の空燃比制御を選択することを特徴とする請求項1
    3に記載の総合制御方式。
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