JPH10314630A - 噴霧器用薬液圧送ポンプの摺動部用パッキン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【解決すべき課題】メンテナンスが不要で、操作性がよ
く、しかも耐久性に優れた噴霧器用薬液圧送ポンプの摺
動部用パッキンを開示する。 【課題の解決手段】薬液ポンプのシリンダ７０の開口部
８０に装着され、プランジャー５０の外周面５２に摺動
自在に当接する内周縁２と、該内周縁と同軸の外周縁３
とを有するフッ素樹脂製のラッパ状リングから成り、該
リングの凹面側４ａが、プランジャーにより発生する高
圧側に対面するように、装着することにより、内周縁が
プランジャー周面に摺動自在に密接するように構成され
ていることを特徴とする噴霧器用薬液圧送ポンプの摺動
部用パッキン。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、農薬などを散布す
るための噴霧器用手動ポンプの改良に関するものであ
り、特に、その摺動部のシール構造の改良に関するもの
である。

【０００２】

【従来技術】この種の噴霧器用手動ポンプの往復薬液加
圧部には、プランジャータイプとピストンタイプが、適
宜使い分けられている。例えば、プランジャータイプの
場合は、図４に示すように、シリンダ７０の下端に吸入
弁７１を設けると共に、シリンダの外側には、蓄圧室７
５を形成し、この蓄圧室下部と吸入弁７１の上部とを吐
出弁７２を介して連通させ、シリンダの上端の開口部８
０からは、プランジャー５０が、往復動自在に挿入され
ている。

【０００３】シリンダ開口部８０を囲むように設けた立
上縁７６の内側には、ゴムパッキン７７とこのゴムパッ
キンに重ねて、革製リングパッキン７８を装着し、両パ
ッキンを、立上縁７６の内周面に設けた雌ネジ部に螺合
する締付ネジリング８２によって締付固定し、革製のリ
ングパッキン７８の内周面をプランジャー５０の周面に
摺動自在に当接することによって、プランジャーと上端
開口部８０との間をシールする構造になっている。７
３、７３は、球形弁、７４、７４は、該球形弁の移動を
規制するストッパー、７９は、吐出管である。５８は、
把手の操作を緩衝するバネである。

【０００４】このプランジャーポンプは、薬液タンク９
０の上面に固定され、薬液を吐出管から噴霧ノズルに向
けて圧送するが、プランジャー５０とこれに摺接する革
製リングパッキンとは、そのままでは、摩擦抵抗が大き
いこと、革は薬液に侵されやすいこと等の理由により、
革製パッキンには、十分に油を染み込ませて使用する必
要があった。油が切れた状態で使用すると、革製パッキ
ンは、薬液によって変質すると共に、プランジャーとの
摩擦熱により、崩壊してしまい、シール性がなくなるた
め、絶えずパッキンの状態に留意する必要があった。
又、たとえ注油を小まめにしても、一旦水を含んだパッ
キンの変質は避けられず、一シーズン毎にパッキンを交
換する必要があった。

【０００５】散布薬液には、石灰ボルドー液のように、
鉱物砂を含む薬液があり、更に、使用状況によっては、
砂などの付着は避けられないため、十分に注油されてい
ても、パッキンの損耗が激しく、開口部８０からの液漏
れを防止することが困難であった。又、当然の事なが
ら、シリンダ表面も、削られて、その平滑性が失われて
しまい、漏液を助長し、更に、パッキンとの摩擦抵抗も
増えるため、操作性がますます悪くなって行く欠点があ
った。

【０００６】このような事情は、ピストンに革製パッキ
ンを用いている場合も同様で、図５に示すように、薬液
圧送ポンプのシリンダ６４に往復動自在に収納されてい
るピストンロッド６１の下端に固着されたピストン６０
は、外周縁においてシリンダ６４の内周面に摺接する革
製パッキン６５を、押えプレート６２を固定ネジ６３で
挟圧することにより、取り付けられており、これによっ
て、薬液を加圧するが、前記革製リングパッキン７８と
同様の欠点を有している。又、薬液による変質や、砂や
微粒鉱物の巻き込みは、Ｏリングなどのゴム製シール材
の場合でも、避けられない。

【０００７】

【解決すべき課題】本発明の目的は、メンテナンスが不
要で、操作性がよく、しかも耐久性に優れた噴霧器用薬
液圧送ポンプの摺動部用パッキンを開示することにあ
る。

【０００８】

【課題の解決手段】本発明の第一の要旨は、噴霧器用薬
液圧送ポンプのシリンダの開口部に装着され、プランジ
ャーの外周面に摺動自在に当接する内周縁と、該プラン
ジャーの中心線上に中心を持つ外周縁とを有するフッ素
樹脂製リングから成り、前記内周縁と外周縁とに直交す
る線分と前記プランジャー中心線との交差角は、鋭角を
なし、該中心線を含む縦断面による破断端面形状が、弓
形に湾曲する一対の破断端面を略逆ハ字形に配置した形
状をなすように構成されていることを特徴とする噴霧器
用薬液圧送ポンプのプランジャー用パッキンにある。

【０００９】上記第一要旨のパッキンにおいて、フッ素
樹脂としては、４弗化エチレン樹脂などが適当である。
リングを形成する素材の厚さは、パッキンにかかる圧力
と、パッキンの大きさにより異なるが、パッキンにかか
る圧力により、原形に復帰できる弾性範囲内で若干変形
することができる程度の板厚であることが望ましい。こ
のような板厚としては、樹脂の重合度にもよるが、４弗
化エチレン樹脂の場合、０.５〜１ｍｍ程度で十分であ
る。第一要旨にかかるパッキンは、プランジャーによっ
て発生する高圧側が、湾曲する破断端面の凹部側になる
ように、シリンダ開口部に装着することにより、凹面側
に加わった圧力が、パッキンの凸面側をプランジャー周
面に押し付ける作用となり、接触面積は小さいにもかか
わらず、強力な封止力となって働く。

【００１０】本願パッキンは、金属面に対して自己潤滑
性を有するので、摺動抵抗が極めて小さく、操作性に優
れ、プランジャーを操作する腕の疲労を大幅に軽減す
る。しかも、耐薬品性に優れるため、変質がなく、耐久
性が極めてよい。又、従来の皮革製のパッキンと異な
り、砂などの微粒子がパッキン組織の空隙に食い込ん
で、恰も、ヤスリのように作用する現象がなく、プラン
ジャー表面に対して、本願パッキンは、スクレーパの役
割を果たし、プランジャー表面に付着する微粒子を完全
に掻き取ってしまうため、砂や石灰粒子などの鉱物質粒
子によるプランジャー表面の傷つきがなく、したがっ
て、封止部からの漏液も全く生じない。又、頻繁な注油
等のメンテナンスも全く不要である。

【００１１】本発明の第二の要旨は、噴霧器用薬液圧送
ポンプのピストンの外縁部に装着され、シリンダの内周
面に摺動自在に当接する外周縁と、ピストンロッドの中
心線上に中心を持つ内周縁とを有するフッ素樹脂製リン
グから成り、前記内周縁と外周縁とに直交する線分と前
記プランジャー中心線との交差角は、鋭角をなし、該中
心線を含む縦断面による破断端面形状が、弓形に湾曲す
る一対の破断面を略ハ字形に配置した形状をなすように
構成されていることを特徴とする噴霧器用薬液圧送ポン
プのピストン用パッキンにある。

【００１２】上記第二要旨にかかるパッキンは、前記第
一要旨のパッキンの作用と同じで、破断端面の凹部が、
加圧側になるようにピストンに取り付けられる。したが
って、上下動するピストンを基準にすれば、破断端面形
状が、略ハ字形をなすようにピストンに取り付けること
になる。一方、プランジャー用パッキンの場合は、パッ
キンの内周縁部が、封止力を発揮したので、上下動する
プランジャーを基準にして、破断端面形状は、ほぼ逆ハ
字形をなす。従って、ピストン用パッキンの場合は、パ
ッキンの外周縁部がシリンダ内周面との間で封止力を発
揮する。パッキン自体の効果は、第一要旨の発明とほぼ
同じであるため、記載を省略する。

【００１３】

【発明の実施形態】図１は、本願パッキンを、図４に示
したプランジャータイプの噴霧器用薬液圧送ポンプに用
いる場合の一実施態様を示すものである。本願パッキン
１は、プランジャー５０の外周面５２に摺動自在に接す
る内周縁２と、該プランジャー５０の仮想中心線Ｌを中
心とする外周縁３とを持つ、４弗化エチレン樹脂製の薄
板（例えば、板厚が０.８ｍｍ程度）から成るリング
で、中心線を含む縦断面によって破断した場合、図１に
示すように、略逆ハ字形の破断端面４を有する。

【００１４】この破断端面４は、図２において、シリン
ダ７０の内側に対面する面が凹面４ａをなして、弓形に
湾曲することにより、ラッパ管状をなしている。外周縁
３と内周縁２とに、同時に直交する仮想線分Ｋは、中心
線Ｌと鋭角をなして交差する。この交差角αは、３０〜
６０度の範囲にあることが望ましく、４５度前後が、前
記スクレーパ効果と封止性の点で、最も優れている。

【００１５】このような構成から成るプランジャー用の
パッキン１は、図２において、プランジャー５０を往復
動自在に収納するシリンダ７０の上端開口に、従来の革
製パッキンと全く同様に装着される。即ち、図２におい
て、シリンダ開口８０に設けられた段部７２を囲んで、
立上縁７６が形成されており、該段部７２にゴム製パッ
キン７７を載置し、更に、このゴム製パッキン７７に重
ねて、本願パッキン１の外周縁付近を当接して重ね、立
上縁７６の内周面に刻設した雌ネジ部７４に螺合する締
付ネジリング８２を螺合させ、パッキン１と７７と挟圧
することにより、装着固定される。

【００１６】図３は、本願パッキンを、ピストン用パッ
キンとして、具体化した一実施態様で、シリンダ６４内
に収納されたピストンロッド６１の下端に、ピストン６
０が固着しており、これに、縦断面による破断端面形状
が、略ハ字形をなすパッキン１０が、従来の革製パッキ
ンと同様に、押えプレート６２と固定ネジ６３とによっ
て、固定されている。パッキン１０の外周縁１３は、ピ
ストンシリンダ６４の内周面６４ａに摺接しており、ピ
ストン６０を押し下げるとき、ピストン下方に発生する
高圧が、パッキン１０の凹面１５に作用し、外周縁１３
をシリンダ内周面６４ａに押し付けることにより、シー
ル性が確保される。Ｌ’は、中心線であり、α’は、交
差角を表す。

【００１７】

【効果】本願パッキンを用いた噴霧器用手動ポンプは、
従来のパッキンに比して、封止面の接触面積が極めて小
さく、かつ、滑りがよいので、摺動抵抗がほとんど無
く、操作が楽で、疲労が大幅に軽減される。又、摩耗や
変質がほとんど無く、皮革やゴム製のパッキンと比べ
て、寿命が極めて長い。パッキンが砂や薬液などを含む
従来のポンプは、注油などを怠らなくても、シーズン毎
のパッキンの交換を是非必要としたが、本願パッキンを
装着した噴霧器用手動ポンプは、このような煩わしさか
ら完全に解放される利点がある。特に、本願パッキン
は、摺接面をスクレーパ様に、異物を掻き取って除去
し、異物による摺接面の平滑性を維持する優れた効果を
有する。このようなスクレーパ効果は、従来のゴム製Ｏ
リングにも見られない本願パッキンの特有効果である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願パッキンの一実施態様を示す縦断面説明図
である。

【図２】図１のパッキンをプランジャータイプの噴霧器
用手動ポンプに装着した状態を示す説明図である。

【図３】本願パッキンをピストンタイプの噴霧器用手動
ポンプに装着した状態を示す説明図である。

【図４】従来のプランジャー手動ポンプの一例を示す説
明図である。

【図５】従来のピストン手動ポンプの一例を示す説明図
である。

【符号の説明】 １、１０ 本願パッキン ２ 内周縁 ３ 外周縁 ４ 縦断端面 ４ａ 凹面 Ｌ 中心線 α 交差角 ５０ プランジャー ５２ プランジャー外周面 ６０ ピストン ６４、７０ シリンダ ７７ ゴムパッキン ８２ 締付ネジリング

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】噴霧器用薬液圧送ポンプのシリンダの開口
   部に装着され、プランジャーの外周面に摺動自在に当接
   する内周縁と、該プランジャーの中心線上に中心を持つ
   外周縁とを有するフッ素樹脂製リングから成り、前記内
   周縁と外周縁とに直交する線分と前記プランジャー中心
   線との交差角は、鋭角をなし、該中心線を含む縦断面に
   よる破断端面形状が、弓形に湾曲する一対の破断面を略
   逆ハ字形に配置した形状をなすように構成されているこ
   とを特徴とする噴霧器用薬液圧送ポンプのプランジャー
   用パッキン。
2. 【請求項２】噴霧器用薬液圧送ポンプのピストンの外縁
   部に装着され、シリンダの内周面に摺動自在に当接する
   外周縁と、ピストンロッドの中心線上に中心を持つ内周
   縁とを有するフッ素樹脂製リングから成り、前記内周縁
   と外周縁とに直交する線分と前記プランジャー中心線と
   の交差角は、鋭角をなし、該中心線を含む縦断面による
   破断端面形状が、弓形に湾曲する一対の破断面を略ハ字
   形に配置した形状をなすように構成されていることを特
   徴とする噴霧器用薬液圧送ポンプのピストン用パッキ
   ン。