JPH10305217A - 塩の電気透析のための装置および方法 - Google Patents

塩の電気透析のための装置および方法

Info

Publication number
JPH10305217A
JPH10305217A JP10026668A JP2666898A JPH10305217A JP H10305217 A JPH10305217 A JP H10305217A JP 10026668 A JP10026668 A JP 10026668A JP 2666898 A JP2666898 A JP 2666898A JP H10305217 A JPH10305217 A JP H10305217A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base
membrane
compartment
acid
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10026668A
Other languages
English (en)
Inventor
K N Mani
ケイ、エヌ、マニ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Archer Daniels Midland Co
Original Assignee
Archer Daniels Midland Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US08/787,899 external-priority patent/US6294066B1/en
Application filed by Archer Daniels Midland Co filed Critical Archer Daniels Midland Co
Publication of JPH10305217A publication Critical patent/JPH10305217A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D61/00Processes of separation using semi-permeable membranes, e.g. dialysis, osmosis or ultrafiltration; Apparatus, accessories or auxiliary operations specially adapted therefor
    • B01D61/42Electrodialysis; Electro-osmosis ; Electro-ultrafiltration; Membrane capacitive deionization
    • B01D61/44Ion-selective electrodialysis
    • B01D61/445Ion-selective electrodialysis with bipolar membranes; Water splitting
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D61/00Processes of separation using semi-permeable membranes, e.g. dialysis, osmosis or ultrafiltration; Apparatus, accessories or auxiliary operations specially adapted therefor
    • B01D61/42Electrodialysis; Electro-osmosis ; Electro-ultrafiltration; Membrane capacitive deionization
    • B01D61/44Ion-selective electrodialysis
    • B01D61/46Apparatus therefor
    • B01D61/465Apparatus therefor comprising the membrane sequence AB or BA, where B is a bipolar membrane
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D61/00Processes of separation using semi-permeable membranes, e.g. dialysis, osmosis or ultrafiltration; Apparatus, accessories or auxiliary operations specially adapted therefor
    • B01D61/42Electrodialysis; Electro-osmosis ; Electro-ultrafiltration; Membrane capacitive deionization
    • B01D61/44Ion-selective electrodialysis
    • B01D61/46Apparatus therefor
    • B01D61/466Apparatus therefor comprising the membrane sequence BC or CB
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D61/00Processes of separation using semi-permeable membranes, e.g. dialysis, osmosis or ultrafiltration; Apparatus, accessories or auxiliary operations specially adapted therefor
    • B01D61/58Multistep processes
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D2311/00Details relating to membrane separation process operations and control
    • B01D2311/25Recirculation, recycling or bypass, e.g. recirculation of concentrate into the feed
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D61/00Processes of separation using semi-permeable membranes, e.g. dialysis, osmosis or ultrafiltration; Apparatus, accessories or auxiliary operations specially adapted therefor
    • B01D61/02Reverse osmosis; Hyperfiltration ; Nanofiltration
    • B01D61/027Nanofiltration

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Water Supply & Treatment (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気透析操作により塩を生成する装置および
方法を提供することにある。 【解決手段】 基本的な電気透析装置は、イオン交換膜
により分離された多数の隔室を有するセルであり、直流
電源を接続して、塩流を酸と塩基に分離するセルを通過
する供給物流に電流を通す。流入供給物をナノ濾過して
二価金属を除去する。塩基ループは、多価陽イオンを除
去する物質で充填されたイオン交換カラムと交通する。
一価選択陽イオン膜を用いて塩基ループへの一価陽イオ
ンの選択的処理を実行し得る。処理される物質および所
望の最終結果によって、ナノ濾過およびイオン交換カラ
ムのいずれかまたは両方を装置に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩の電気透析のた
めの装置および方法に関し、より詳細には以下の3つの
明確な特徴:すなわち電気透析ユニットと組合わせるナ
ノ濾過ユニット、電気透析セルの塩基ループと結合しか
つそれと交通するイオン交換カラム、ならびに上記の電
気透析セル中のある種の陽イオンの使用のうち少なくと
も1つを組み入れた装置および方法に関する。
【0002】この電気透析装置は、多数の大規模工程用
途に用いることができる。具体的には、それは、2つの
区分陽イオンセル中での乳酸アンモニウム派生する発酵
からの乳酸の回収のために用いることができる。電気透
析セルの塩基ループと交通するナノフィルターまたはイ
オン交換カラムのいずれか(または両方)が存在しても
よい。カラムは弱酸陽イオン交換樹脂を含有する。
【0003】本発明の構造の背景に関するさらなる情報
に関しては、下記の特定事項を有する本出願人の同時係
属出願(Process for the Recovery of Organic Acids a
nd Ammonia from Their Salts,米国出願第08/639,831
号、1996年 4月29日提出) を参照し得る。
【0004】本発明は、多価不純物のレベルを最小限に
するために、流入する一価塩溶液を濾過するためのナノ
濾過と組合せて電気透析セル(単数または複数)を用い
る装置およびその関連方法を包含する。装置はさらに、
上記の電気透析セルの塩基ループと交通するイオン交換
カラムと組合せる電気透析セル(単数または複数)を包
含してもよい。装置からのベース生成物のpHは、5〜1
4、好ましくは7〜約13. 5の範囲である。
【0005】本装置および方法は、酸、特に有機酸、な
らびにアンモニアのような弱塩基、あるいは炭酸ナトリ
ウムまたは亜硫酸ナトリウムのような弱酸の塩の製造に
特によく適している。本発明の電気透析セルは、例えば
双極性膜のような膜、または水を分離するためのアッセ
ンブリーを用いることができる。あるいは、酸、塩基製
造のための水の分離は、一組の電極を用いて達成するこ
ともできる。
【0006】
【従来の技術】有機酸、例えば酢酸および乳酸を製造す
るための発酵工程は、酢酸アンモニウムまたは乳酸アン
モニウムのような塩の中間製造を経る。それゆえ、塩は
多数の化学工程の副産物または中間生成物である。例え
ば、再生性煙道ガス脱硫工程は、ナトリウムアルカリを
用いてSO2 を吸収して、可溶性重亜硫酸塩NaHSO
3 を生じる。ソーダ灰(Na2 CO3)の製造には、原料
塩、すなわちトロナ(Na2 CO3 ・NaHCO3 ・2
H2 O)または天然ブラインの加工を要する。磁気流体
力学的動力発生工程においては、炭酸カリウム種物質は
燃料中のSO2 を吸収し、副産物硫酸カリウムに転化さ
れる。
【0007】電気透析(ED)を用いて、これらのおよ
びその他の可溶性塩を直接それらの酸および塩基成分に
転化し得る。例えば、このような手法により、相対的に
純粋形態の有機酸をその有機塩から直接回収することが
可能になる。副産物塩基(例えばアンモニア)は、pH調
整のために発酵工程で再使用するために回収され、した
がって有機酸の製造のための経済的かつ環境的に優れた
選択を可能にする。他の場合、例えば重亜硫酸ナトリウ
ム、トロナまたは硫酸カルシウムを用いるような場合に
は、電気透析は、酸、塩基成分を回収またはリサイクル
するための環境的に優れた経路を提供する。
【0008】電気透析は、塩出発物質の加工流の溶液中
のイオンの運動を引き起こすための手段として直流を用
いる。電気透析工程は、通常、複数の平板イオン交換膜
およびガスケットシートが一緒に締付けられるスタック
を包含する配置で実施される。これらのシートは、酸お
よび塩基を生成する塩物質を含有するための流路を提供
する。加工装置は、水を水素イオン(H+)とヒドロキシ
ルイオン(OH-)に分離するための手段を要する。
【0009】水を分離するための2つの有用な手段を以
下に示す: (1)双極性膜として機能する陽イオンおよび陰イオン
膜の組合せにより形成される双極性膜または双極性モジ
ュール。適切な双極性膜はGraver Waterの一部門である
Aqualyticsから、ならびに徳山曹達および Formic Corp
oration から入手可能である。;そして (2)陽極および陰極からなる一組の電極。電極、特に
陽極は、とりわけ化学的安定性のため、電力消費を最小
限にするため、そして水素(陰極)および酸素(陽極)
以外の副産物の生成のために、被覆される。適切な電極
は、Eltech Corporation、Electrode Products Inc. お
よびその他から入手し得る。水素減極化陽極はさらに、
陽極のすぐ近くの電極流の水性溶液中にH+ イオンを発
生し得る。
【0010】本出願人の上記の同時係属中出願に記載さ
れているように、スタックはいずれかの末端に電極(陽
極および陰極)を、そしてそれらの中間に開放活性領域
を有して膜により分離される複数の隔室を形成する一連
の膜およびガスケットを含有する。通常、分離溶液(電
極液)は、電極を有する各隔室にも供給される。特殊膜
を電極の近くに置いて、プロセス流と電極流とが混合す
るのを防止してもよい。
【0011】電極隔室間の大多数のスタックが、隣接膜
間の溶液隔室を有する異なる膜の反復する一連のユニッ
トを含む。反復ユニットの各々は「ユニットセル」また
は単に「セル」と呼ばれる。ガスケットおよび膜の一部
として形成される内部マニホールドにより、または内部
および外部マニホールドの組合せにより、溶液は隔室に
供給される。スタックは2つ以上の型のユニットセルを
含み得る。
【0012】工程効率を最適化するために、加工液の流
れは1つのスタックから別のスタックに供給される。ス
タックを通過後、加工液流の組成の変化が相対的に小さ
い場合には、加工溶液はポンプでリサイクルタンクに、
そしてそこからリサイクルされる。新鮮な加工溶液のリ
サイクルループへの付加およびそこからの製造の中断
は、所望の範囲内に生成物の濃度を保持するために、連
続的にまたは周期的に行うことができる。
【0013】双極性膜を用いて塩から酸または塩基を生
成する場合、膜が水スプリッターとして機能するため
に、各膜の陰イオン選択層が陽イオン選択層よりも陽極
に密着するよう、成分イオン交換層を配置しなければな
らない。この配置の膜を通過する直流は水分離を引き起
こして、OH- イオンが膜の陽極側に生成され、それに
対応する数のH+ イオンが陰極側に生成される。解離塩
陰イオンは陽極に向かって移動する。解離塩陽イオンは
陰極に向かって移動する。
【0014】電気分解工程は、2つの電極で生じる水分
離と同様の方法で行われる。直流が出現する場合、水分
子は陽極では酸素ガスに転化され、同時にH+ イオンが
水性溶液中に導入される。陰極では、水分子は水素ガス
に転化され、同時にOH- イオンが水性溶液中に導入さ
れる。水素減極化陽極ベースの電気分解ユニットでは、
OH- イオンは陰極の近くの水性溶液中に放出される。
放出される一方、水素ガスはH+ イオン発生のための触
媒的水素減極化陽極に送達される。
【0015】酸/塩基製造用の電気透析装置は、双極
性、陽イオンおよび陰イオン膜からなる3つの隔室セル
を有する;すなわち、双極性および陽イオン(または陰
イオン)性膜を有する2つの隔室セル;双極性および2
つ以上の陽イオン膜からなる多室2隔室電気透析セル。
「双極性膜」という用語は、電極および複合バイポーラ
の使用といったような双極性等価構造も含む。図1は、
3つの最も有用な配置に関するユニットセルを示す。
【0016】具体的な参考文献を以下に示す: −"Electrodialysis Water Splitting Technology" by
K.N. Mani; J. Membrane Sci., (1991), 58, 117-138 −米国特許第4,082,835 号、第4,107,015 号、第4,592,
817 号、第4,636,289号、第4,584,077 号、第4,390,402
号および第4,536,269 号。
【0017】本発明の一局面によれば、電気透析装置
は、電気透析セルの上流のナノ濾過ユニットの付加によ
り、または電気透析セルと組合せてセルの塩基ループと
交通させる下流イオン交換カラムの使用により、改良さ
れる。あるいはナノ濾過とイオン交換カラムの両方を用
いてもよい。
【0018】本発明の別の局面では、塩基生成物の適切
な希釈と組合せて一価選択性陽イオン膜を使用すること
により、電気透析セルの信頼できる非付着操作を可能に
して塩から酸および塩基を製造することができる。
【0019】セル構成 図1aは、双極性(−+で示す)膜22、23および陰
イオン(−で示す)膜24、26からなる2隔室セル2
0を示す。塩/塩基隔室(S/B)は、双極性膜22の
陰イオン面と陰イオン膜24との間に位置する。酸隔室
(A)は、双極性膜22の陽イオン面と別の陰イオン膜
26との間に位置する。これらの2隔室(S/Bおよび
A)と膜22〜26との組合せは、「ユニットセル」ま
たは単に「セル」と呼ばれる。その場合、セル隔室は、
図のようにS/B’で反復し、連続する。200以上の
このようなセルが陽極(+)28と陰極(−)30との
間に集成してもよい。
【0020】酸性化される塩溶液32の加工供給物流、
例えば乳酸溶液MXは塩/塩基隔室S/Bに供給される
が、水34からなる液体は酸隔室に供給される。直流駆
動力下では、双極性膜22は水を分離し、図に示すよう
にH+ およびOH- イオンを発生する(図1a)。同時
に、塩流MXの解離により生じるX- 陰イオンは陰イオ
ン膜を通って酸隔室に運搬され、そこでそれらはH+ イ
オンと結合して酸HXを生成する。本工程は以下のよう
に概略的に示すことができる: (塩/塩基隔室) MX+OH- −X- =MOH (酸隔室) H+ +X- =HX
【0021】本工程は、本出願人の以前の同時係属中の
特許出願に十分詳述されている。本工程は、弱塩基の塩
の加工処理に、特にアンモニウム塩の加工処理に最もよ
く適している。生成され得る酸生成物の濃度はほぼ1〜
6N のであり、高濃度の方が弱有機酸に適している(約
2. 5以上のpKa)。供給物塩は同時にアルカリ性にな
る。pHはアンモニア製造に関しては約10〜11であ
る。
【0022】図1bは、双極性膜および陽イオン膜(+
で示す)からなる2隔室セル36を示す。塩基隔室
(B)は双極性膜の陰イオン面38と陽イオン膜39と
の間に位置する。塩/酸隔室(S/A)は双極性膜の陽
イオン面40と別の陽イオン膜42との間に位置する。
2つの膜と2つの隔室の組合せは「セル」と呼ばれる。
200以上のこのようなセルが陽極と陰極との間に集成
され得る。
【0023】酸性化される塩溶液(例えば有機酸溶液M
X)は塩/酸隔室S/Aに供給されるが、水からなる液
体は塩基隔室Bに供給される。直流駆動力下では、双極
性膜は、図1bに示すようにH+ およびOH- イオンを
発生する。同時に、塩MXの解離により生じるM+ 陽イ
オンは陽イオン膜を通って塩基隔室に運搬され、そこで
それらはOH- イオンと結合して塩基MOHを生成す
る。本工程は以下のように示すことができる: (塩/酸隔室) MX+H+ −M+ =HX (酸隔室) M+ +OH- =MOH
【0024】この配置により有効に実施される塩の転化
は、使用された電流の量(クーロン)、塩溶液の濃度、
そして重要なのは、関与する酸のpKa により確定され
る。pKa 値が約2. 5より大きい弱解離酸に関して
は、転化は約80%〜約97%である。ほとんどの有機
酸、例えば乳酸、酢酸、クエン酸、ギ酸およびその他の
酸は、この範疇に適合する。酸生成物中の残留陽イオン
含有物は、必要な場合には、慣用的陽イオン交換樹脂に
より除去することができる。
【0025】図1cは、双極性膜46、陽イオン膜48
および陰イオン膜50を用いる3隔室セル44を示す。
3隔室、すなわち酸(A)、塩基(B)および塩(S)
は、図に示すように、これら3つの膜の間に位置する。
膜および隔室の全体の組合せを「セル」と呼ぶ。図1b
の2隔室セルの場合と同様に、単一の組の電極の間に多
数のセルを設置してもよい。この3隔室セル配置は、酸
および塩基、特に塩酸および硝酸のような強酸、ならび
に水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのような強塩
基の製造に関して最も一般的なものである。
【0026】塩溶液は、陽イオン膜48と陰イオン膜5
0との間に位置するS隔室に供給される。水からなる液
体は、双極性膜のいずれかの側に位置する酸および塩基
隔室に供給される。直流駆動力下では、双極性膜46で
発生したH+ およびOH- イオンはそれぞれ酸隔室Aお
よび塩基隔室Bに運搬される。同時にM+ イオンは陽イ
オン膜48を通って塩基隔室Bに運搬され、X- イオン
は陰イオン膜50を通って酸隔室Aに運搬される。正味
作用は、塩MXからの相対的に純粋な酸(HX)および
塩基(MOH)生成物の製造である。
【0027】生成物酸または塩基のpKが中間範囲であ
る塩を加工処理する場合には、2以上の陽イオン膜ある
いは2以上の陰イオン膜とともに双極性膜を包含するそ
の他のセル配置も用いることができる。このようなセル
配置は、図1aおよび1bに示した2隔室セルの転化と
比較して、より高い電流効率で塩を酸および塩基に転化
するが、資本経費および作業経費も高い。
【0028】H+ およびOH- イオンの供給源として電
極を用いる工程の操作はしばしば電気分解と呼ばれ、こ
れはO2 およびH2 のそれぞれ陽極および陰極での同時
生成を伴う。電気分解操作は、上記の双極性膜電気透析
の操作と同様である。これら2つの操作間の主な差異
は、陽極と陰極との間に出現する膜である。一組の電極
を有する各セルを用いて、多数のセルが単一工程ユニッ
トに集成される。セル間の電気的および液圧的接続は、
コンパクトな商業的工程ユニットを形成するために、直
列のまたは並列の組合せで行うことができる。例示の参
考文献を以下に示す: −Meliere, K.A., et al, "Description and Operation
of Stone & Webster/Ionics SO2 removal and recover
y" US NTIS Report, PB-242 573, (1974), 1109-26. −米国特許第3,475,122 号。
【0029】図2a〜2bは、2つの考え得るセル配置
を示す。特に、図2aは、2つの陽イオン膜58、60
および陽極(+)および陰極(−)間に位置する3隔室
を用いるセル56を示す。工程の操作は、図1bに示し
た2隔室陽イオンセルの操作と同様で、弱酸のそれらの
塩からの製造に特に適用可能である。陽極62の近くの
緩衝液隔室である隔室A’中では、別個の酸性流が循環
される。加工処理されるべき塩工程流は、2つの陽イオ
ン膜58、60間の隔室中で循環される。緩衝液隔室
A’および陽イオン膜60は、塩流を含有するために用
いられる。緩衝液隔室が好適であるが、2隔室セルの操
作は不可欠ではない。
【0030】水からなる流れは、陰極64の近くのB隔
室で循環される。直流駆動力下では、水の解離からの副
産物である酸素および水素とともに、H+ およびOH-
イオンがそれぞれ陽極および陰極で発生する。同時に、
H+ イオンは一次陽イオン膜58を通って中間塩/酸
(S/A)隔室に運搬され、そこで陰イオンX- と結合
して酸HXを生成する。M+ 陽イオンは二次陽イオン膜
60を通ってB隔室に運搬され、塩基MOHを生成す
る。それらの反応を以下に要約する: (緩衝液A’隔室) H2 O=1/2 O2 ↑+2H+ +2e- (H+ は一次陽イオン膜を通って運び出される) (塩/酸隔室) 2MX+2H+ −2M+ =2HX (塩基隔室) 2H2 O+2e- =2OH- +H2 ↑ 2M+ +2OH- =2MOH (全体的) 2MX+3H2 O=2HX+2MOH+H2 ↑+1/2 O2 ↑
【0031】図2bは、陽極74および陰極76間に2
つの陽イオン膜68、70および1つの陰イオン膜72
を用いる4隔室セル66という別のバージョンを示す。
このセル66の操作は、図1cに示されている3隔室セ
ルの操作と同様である。セル66は相対的に純粋な酸お
よび塩基を発生できる。塩MXは陰イオン膜72と二次
陽イオン膜70との間の隔室Sに供給される。陰イオン
膜は供給物塩からの酸生成物を分離する。他の方法で
は、セルの操作は図2aに示されている2隔室セルの操
作と同様である。
【0032】図2a、2bのセル56、66を双極性膜
ベースのセル20、36、44(図1a〜1c)と比較
した場合、酸および塩基生成物とともに電極での水素お
よび酸素の同時生成は、工程への約1.2V/セルの付加
的エネルギー入力を要する。この電力負荷を低減できる
一つの選択は、慣用的陽極に代わる水素減極化陽極の使
用である。
【0033】図3は、水素減極化陽極を有するセル78
の構成を示し、これは図2aのセル56と概念的に同一
である。このようなセルでは、陰極80で生成された水
素ガスは陽極82に戻され、そこで酸化されてガス拡散
電極で陽子になる。H+ イオンはガス拡散電極82近く
の水性溶液中に放出される。この技法はセル電圧を約1
ボルト/セルだけ低下させ、したがって電力消費レベル
を双極性膜を用いた場合セルで得られるものにやや近い
レベルに低減することができる(Membrane & Separatio
n Technology News, (1996), 15(2), 2-4)。ガス拡散陽
極を用いるその他のセルの形状は、当業者により具体化
することができる。
【0034】本開示のために、本セルは、双極性膜、す
なわち双極性膜として一緒に行動する陽イオンおよび陰
イオン膜の組合せを用いる。本セルはさらに、双極性膜
等価物、例えば電極および複合バイポーラーを用いる構
造を使用してもよい。H+ およびOH- イオンを発生す
る一組の電極を有するセル、すなわち陰極で水素ガスを
収集し、それを一方の多孔質触媒電極に注入してH+ を
発生する水素減極化陽極ベースのセルは、等価であると
考え得る。「双極性膜」という用語またはその等価物
は、本明細書中で用いられる場合、これらの選択のいず
れかを示す。
【0035】通常の濾過/限外濾過および炭素処理工程
にもかかわらず、水分離適用に電気透析セルを使用する
場合の大きな問題は、供給物塩が有意量の二価金属イオ
ン、特にカルシウムおよびマグネシウムを含有すること
である。供給物流を加工処理する場合、金属イオンは電
気透析ユニットの塩基ループに運搬される。それらの溶
解性が不十分であるために、金属イオンは塩基ループ中
に沈殿される。塩基ループ内側のこれらのイオンの沈殿
はセルを塞ぎ、膜を損傷して、それにより電流スループ
ットを低減し、極端な場合には、オーバーヒートおよび
おそらくはメルトダウンに起因する機械的故障を引き起
こす。
【0036】樹脂ベースのイオン交換は、電気透析セル
の適切な操作のために必要な低レベルに供給物流中のカ
ルシウムおよびマグネシウムレベルを低減するために用
いられる標準技法である。このアプローチに伴う問題
は、供給物流のpHが塩基物質の付加により>9に上昇さ
れねばならないことである。供給物流は、イオン交換工
程が有効であるように、再び濾過される(生成されたあ
らゆる沈殿を除去するために)。このような工程は、例
えば電気分解による苛性ソーダの製造におけるNaCl
流の精製において実行される。
【0037】商業的に重要な方法からの塩の多くは、酸
性または中性である。これらの塩は、有機酸、例えば乳
酸、クエン酸、酢酸、2−ケトグロン酸等へのデキスト
ロースの発酵に起因する。これらの塩は4〜7の範囲の
pHを有し、有意量の遊離酸ならびに発酵工程中に栄養素
として加えられていたカルシウムまたはマグネシウムを
含有する。このような塩溶液は、イオン交換カラムの有
効な操作が保証される点までpHを上げるために、かなり
の量のアルカリを加えることが必要である。加えられた
塩基は、その場合、膜面積および電力消費の資本経費に
換算して付加経費で、電気透析ユニット中に回収されね
ばならない。
【0038】酸性塩が生成される別の適用は、煙道ガス
脱硫化の場合である。その工程では、煙道ガス中の二酸
化硫黄は亜硫酸ナトリウムの溶液(pH9. 5〜11)中
に吸収されて、重亜硫酸ナトリウムの酸性塩溶液(pH4
〜5. 5)を生じる。次に電気透析ユニット中で重亜硫
酸塩流を加工処理して、SO2 生成物およびアルカリを
回収し、これを吸収器にリサイクルさせることができる
(米国特許第3,475,122 号;第4,082,835 号)。しかし
ながら、問題は、化石燃料の燃焼に由来する煙道ガス
が、通常はカルシウムおよびマグネシウム化合物、なら
びにおそらくは煙道ガスが通過する管路からの腐食生成
物(鉄)を含むフライアッシュ由来不純物を含有するこ
とである。これらの不純物の存在は、水分離器中の重亜
硫酸塩流の加工処理を、不可能でないとしても、かなり
難しくする。
【0039】同様の状況は、炭酸ナトリウムまたは水酸
化ナトリウムを製造するために用いられる不純アルカリ
性ナトリウムブライン流の加工処理の場合に存在する。
ブライン流はある種の表面供給源(例えばカリフォルニ
アのSearles Lake)から、または無機質源、例えばワイ
オミングのGreen River での採鉱により得られるトロナ
(ナトリウムセスキカルボネート)からのものである。
水分離工程では、無機質は酸性化されて、酸ループ中に
二酸化炭素を遊離する。工程の選択に依って、酸性化生
成物を、地上反応器中かまたは坑内採鉱(溶液採鉱)に
おける付加的ナトリウム無機質と反応させて、遊離CO
2 および中性ナトリウム塩(例えば硫酸ナトリウム)を
遊離させる。
【0040】同時に、塩基ループでは、苛性ソーダ生成
物を重炭酸塩供給物の一部と反応させることにより、ま
たは塩基ループで生成される水酸化ナトリウム中に二酸
化炭素を吸収させることにより、炭酸ナトリウムが生成
される。米国特許第4,584,077 号、第4,592,817 号およ
び第4,636,28号には、このような工程の例が含まれてい
る。硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウ
ムおよび炭酸ナトリウムの他に、とりわけ電気透析によ
るそれらの直接加工処理を妨害し得るいくつかのカルシ
ウムおよびマグネシウム化合物も含有される。
【0041】上記のそして他の同様の適用において、上
流のpH調整およびイオン交換の必要のない、pH9〜14
で対応する酸およびアルカリを生成するために酸性また
はほぼ中性のpHの塩を処理することができる改良型の装
置および方法を有することが非常に望ましい。
【0042】本出願人の以前の同時係属中の特許出願第
08/639,831号は、一価有機酸のアンモニウム塩を含有す
る溶液中のカルシウムおよびマグネシウムレベルを低減
するためのナノ濾過工程の使用を開示する。その後、こ
のような溶液を双極性膜および陰イオン膜を有する2隔
室電気透析セル中で加工処理する。この工程は、pH約1
0のアンモニア性有機塩溶液および有機酸の濃縮溶液を
生じる。双極性膜表面での沈殿物生成を低減または排除
するのに有効である一方、同時係属中の出願は濃アルカ
リ性溶液の生成または多価酸の生成を扱わない。
【0043】pH9〜14の範囲での濃アルカリ性流、例
えばアンモニア、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、
水酸化ナトリウムおよびその他の物質を生成するための
優れた装置、ならびにこのような流れを生じる方法の必
要性がある。
【0044】pH調整または上流イオン交換樹脂ベースの
軟化工程を必要とせずに、電気透析セルの信頼のおける
長期操作および濃アルカリ溶液の生成を達成する、塩溶
液を転化し得る改良型方法に対する別の必要性が存在す
る。
【0045】相対的に純粋な酸副産物を同時に生成し得
る方法もさらに必要とされる。さらに、相対的に純粋な
酸または実質的酸性化塩流を生成しながら、有機または
無機酸のアンモニウムまたはアルカリ金属塩の濾過/限
外濾過溶液を直接加工処理して濃アンモニアまたはアル
カリを生成することができる新規の装置および方法に対
する必要性も存在する。
【0046】
【発明が解決しようとする課題および発明を解決するた
めの手段】本発明は、種々の塩流を相対的に純粋な酸お
よびアルカリ生成物に転化するための改良された装置、
方法および工程を提供する。アルカリ生成物はほとんど
あらゆるpHのものであってもよいが、多くの適用に関し
ては、pHは好ましくは7〜約13. 5の範囲である。本
発明は、以下の多数の知見から生じた:(a)ある種の
有機酸の塩を加工処理する場合、多価陽イオンは外見上
有機陰イオンと結合する。これは塩または塩/酸溶液か
らのそれらの運搬を実質的に低減する。(b)適切な陽
イオン膜を用いて、そして弱酸を処理する場合、二価金
属陽イオンの一部は供給物塩ループ中に保持され得る。
残りのこれらの陽イオンは、陽イオン膜の付着を引き起
こさずに塩基ループに運搬される。(c)運搬された二
価金属は、アルカリ生成物溶液中で低いがしかし有限の
溶解度を有する。
【0047】塩基ループ中の十分に低濃度の二価金属を
獲得し、保持し得る適切な装置を発明することにより、
これらの金属の沈殿は起きないかまたは重大な問題とは
ならない。塩基ループ中に低濃度の二価金属を保持し、
それによりそれらの沈殿を防ぐと、意外にも、例えば高
度のかつ安定した電流スループット、ならびに分路およ
び漂遊電流関連の加熱および融解の問題の排除といった
有益な効果が得られる。電気透析セルハードウエアおよ
び工程の長期無故障操作がそれにより達成される。
【0048】本発明の一局面は、弱、低分子量一価酸の
塩を加工処理することにある。この場合、供給物溶液
(例えば乳酸アンモニウムまたは酢酸アンモニウム)は
ナノ濾過を施される。最も有効なナノフィルターは、約
200ダルトン程度の等級を有する。したがって、有効
に加工処理され得る酸の分子量は、約150ダルトン未
満である。供給物はほとんどあらゆるpHであり得るが、
好ましくは4〜10の範囲である。ナノ濾過工程は、塩
流中の二価金属含量が総計約25ppm 未満である濾液を
生成する。
【0049】次に、双極性膜(またはそれらの等価物)
および陽イオン膜を含有する2隔室セル中で、精製塩流
が加工処理される。供給された塩流は、双極性膜の陽イ
オン側と陽イオン選択膜との間に含有される塩/酸隔室
に供給されるが、水の流れは陽イオン膜と双極性膜の陰
イオン側との間の塩基隔室に供給される。直流駆動力下
では、供給物塩は、双極性膜により生成されるH+ イオ
ンの結果として技術的および経済的に実行可能な程度
に、セル中で酸性にされる。
【0050】同時に、塩陽イオンは塩基ループ中に運搬
され、そこで双極性膜により生成されたOH- イオンと
結合して塩基生成物を生じる。酸ループ中の酸への塩の
転化の程度は、通過する電流の量(クーロン)により、
そして酸のpKa によって主に確定される。pKa 値が
〜2.5より大きい弱酸に関しては、80〜97%の転
化が認められる。多数の有機酸はこの範疇に当てはま
る。
【0051】本発明は、pH5〜14の範囲、好ましくは
7〜13. 5の範囲、さらに好ましくは8〜11の範囲
で、塩基生成物に用いることができる。供給物流が同一
陽イオンを有する強酸の付加的塩(例えば乳酸アンモニ
ウムおよび硫酸アンモニウム)を含有する場合、付加的
塩は支持電解質となる。弱酸の式量転化はほぼ100%
である。時としては、系の他の部分が、この元の供給物
の部分でなかった弱酸を含有することがあるが、この場
合、弱酸転化は供給物中の弱酸の100%を超えること
ができる。その場合、生成物酸は多少余分のH+ イオン
を有する。生成物塩基は典型的には1〜5N の強度であ
る。
【0052】本発明の第二の局面は、一価酸の塩(分子
量約150未満)にナノ濾過を施し、その後、双極性膜
(またはその等価物)、陽イオン膜および陰イオン膜を
有する3隔室セル中で加工処理することである。その多
価陽イオン含量を約25ppm以下に低減するためにナノ
濾過後、供給物塩溶液はあらゆるpH値(好ましくは4〜
10の範囲)であり得る。溶液は、陽イオン膜と陰イオ
ン膜との間に含有された塩隔室に供給される。水を含有
する液体は酸および塩基隔室に供給される。酸隔室は双
極性膜の陽イオン側と陰イオン膜との間に含有される。
塩基隔室は双極性膜の陰イオン側と陽イオン膜の間に含
有される。給物溶液は工程中にその塩含量を減じられる
が、相対的に純粋な生成物酸および塩基が1〜5N 強度
の濃度で生成される。
【0053】本発明を用いて、5〜14のpH範囲、好ま
しくは7〜13. 5のpH範囲、さらに好ましくは8〜1
1のpH範囲で塩基生成物を生成することができる。2隔
室のバージョンに対比して、3隔室セルは低分子量の一
価の強または弱酸の生成に用いることができる。
【0054】本発明の別の局面は、電気透析セルの塩基
ループと交通するイオン交換カラムを組み入れた新規の
装置および工程である。供給物塩溶液はあらゆるpH値を
取り得るが、典型的には約4〜10のpH範囲であって、
適切に濾過されて不溶性物質を除去し、次いで双極性膜
またはそれらの等価物を含有する電気透析セル中で加工
処理される。
【0055】双極性膜の陰イオン側と隣接単極性膜との
間に含有されるセルの塩基隔室を、イオン交換カラムと
接続する。塩基溶液はセルおよびカラムの両方を通って
循環する。イオン交換カラムは、陽イオン膜を通ってま
たは水性供給物溶液からループに入る実質的に全ての多
価金属イオンを除去できるイオン交換樹脂を含有する。
塩基生成物は、特に塩基ループが陽イオン膜と双極性膜
の陰イオン側との間に含有される場合には、あらゆるpH
範囲(5〜14)であってよい。多価陽イオン(特にカ
ルシウムおよびマグネシウム)の有効な除去のために
は、塩基ループ中のpHは、好ましくは約7〜14の範
囲、最も好ましくは約8〜11の範囲である。
【0056】電気透析セルは、双極性膜および陽イオン
または陰イオン膜からなる2隔室型;あるいは双極性
膜、陽イオン膜および陰イオン膜からなる3隔室セル型
である。米国特許第4,536,269 号;第4,608,141 号に詳
述されたものと同型の2以上の単極性膜を含有する多小
室セルも、改良型工程および方法の一部として用いるこ
とができる。
【0057】本発明の工程および装置は、電気透析セル
の塩基隔室が陽イオン膜と双極性膜の陰イオン面との間
に含有される場合に特に有効であることが判明してい
る。この配置は、多価金属の付加的分離および保持が塩
基ループ中のこれらの金属の量を低減し、それによりそ
れらの単離コストを節約する陽イオン膜により提供され
るため、用いられる。結果的に、これらの種に関するイ
オン交換負荷は実質的に低減され、加工処理される供給
物流中の多価陽イオンの量に関連して、イオン交換カラ
ムは実質的に小さく作られる。
【0058】本発明の別の局面では、供給物塩溶液は、
相対的に低レベルの硬度を有するか、または全体的硬度
をそれらの溶解度レベルに低減するために慣用的pH調整
濾過工程により精製される。このバージョンはさらに、
一価または多価酸の塩を加工処理できる利点を有する。
例えば発酵による乳酸アンモニウム製造の場合、栄養素
の量は、通常のセル除去および限外濾過工程後に得られ
る乳酸アンモニウム溶液が、例えば<50ppm Caおよ
び<25ppm Mgを含有するように、注意深く制御され
る。塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウム溶液を用いる
場合、精製溶液中のCa、Mgの典型的濃度は、それぞ
れ<10ppm および<1ppm である。このような溶液
を、次に、一価選択性または一価支持性陽イオン膜を含
有する電気透析セル中で加工処理して酸および塩基を生
成することができる。これらの場合には、二価金属の濃
度をその溶解度以下に保持するために十分量の希釈水を
塩基ループに加え、その結果、イオン交換カラムは塩基
ループ中に必要でない。
【0059】この新規の装置は、アンモニウム、ナトリ
ウムおよびカリウムのような一価の陽イオンの種々の塩
を加工処理するために用いられる。塩の陰イオンは一価
または多価であり(例えばハロゲン化物有機陰イオン、
重亜硫酸塩、硫酸塩、リン酸塩またはその混合物)、主
な拘束は塩が水に相当に可溶性であることである。
【0060】
【発明の実施の形態】本発明によれば、電気透析装置
は、一価選択性陽イオン膜を組み入れ、電気透析セルの
上流にナノ濾過ユニットを付加することにより、または
電気透析セルと組合せかつセルの塩基ループと交通する
イオン交換カラムを用いることにより、改良される。
【0061】改良型装置は、図4a〜4b、5a〜5c
から良好に理解することができる。当業者は、他の種類
のセルまたはセル設計を具体化することができる。図4
aおよび4bは、図1〜3に示されているような電気透
析ユニットとともにナノフィルターを用いる本発明の装
置を示す。
【0062】図4aは、2隔室陽イオンセル92の上流
を操作するナノフィルター90を示す。セルは、図1
b、2a、3に示した型のものかまたは同様のものであ
るか、あるいは2以上の陽イオン膜を用いてもよい。ナ
ノフィルターは、約200の典型的分子量切断を示す。
適切なフィルターは、Desalination Systems、Filmtec
およびその他から入手可能である。
【0063】供給物流は一価陽イオンおよび一価陰イオ
ンの塩であり、ほとんどあらゆるpH値であってよいが、
通常は4〜10のpHである。供給物流は多価陽イオン不
純物を含有し、最初にフィルター90を含有するナノ濾
過ユニット中で加工処理されて、全体で約25ppm の二
価金属含量を有する濾液を生じる。濾過流はパイプ94
を通って、セル92の塩/酸隔室96に供給される。低
分子量(すなわち、約150未満)の弱酸の塩を加工処
理する場合、この多価陽イオンのレベル低減は電気透析
セルの長期無故障操作を保証するために適切であること
が見出された。
【0064】2隔室セル92の塩/酸(S/A)隔室9
6中のナノ濾過供給物流は、通常弱酸、例えば乳酸、酢
酸、ギ酸等であり、双極性膜(またはその等価物)によ
り生成される陽子により酸性にされる。塩陽イオンM+
は陽イオン膜98を通って塩基隔室100に運搬され
る。塩基のpHは、塩基(B)隔室96中で双極性膜から
のOH- イオンの流入により生じる。塩基のpHは、電気
透析セルの無故障操作を保証するために、約5〜14の
範囲、好ましくは7〜13. 5の範囲であるよう制御さ
れる。弱塩基、例えばアンモニアが生成される場合は、
後者のpH範囲が自然に達成される。
【0065】あるいは、中和化合物、例えばCO2 、重
炭酸ナトリウム(NaHCO3)、重亜硫酸ナトリウム
(NaHSO3)またはSO2 の付加により、目標範囲内
にpHを維持することができる。その結果生じる塩基性塩
は市場向けの物質(炭酸ナトリウムを用いた場合と同様
に)であるか、または再使用可能な化学物質(例えば煙
道ガス洗浄に用いるための亜硫酸ナトリウムNa2 SO
3)である。
【0066】本出願人の以前の同時係属中出願(第08/6
39,831号)に開示された2隔室陰イオンセルとともにナ
ノ濾過を用いるのに対照するものとして、図4aの装置
は有意の利点を有する。ある種の陽イオン膜を用いた場
合、ほぼ70〜100 A/ft2の高電流密度であっても、
一価陽イオンは多価陽イオンよりも効率よく運搬され
る。いわゆる一価支持型または一価選択型の陽イオン膜
は、広いpH範囲に亘って、多価陽イオンが容易に付着し
ない。図4aの装置は、この現象を利用して、電気透析
セルの塩基ループ中の多価イオン濃度をさらに低減し、
それによりそれらがループ中に沈殿しないことを保証す
る。
【0067】図4bは、ナノフィルター102および3
隔室電気透析セル104からなる別のバージョンの装置
を示す。低分子量一価酸および一価塩基の塩供給物流は
ナノフィルターで加工処理され、次いでセルの塩ループ
106(S)に供給される。もう一度、ナノフィルター
は供給物の多価陽イオン含量を約25ppm に低減するこ
とができる。図4aの2隔室陽イオン装置92を用いた
場合と同様に、3隔室セル中の陽イオン膜108は塩基
ループ110への多価陽イオン運搬を低減し、それによ
り工程の長期信頼性をさらに改良する。しかしながら、
2隔室陽イオンセル92と対比して、3隔室装置104
は本工程で生成される酸を単離するための超陰イオン膜
112を有する。3隔室装置104は強酸または弱酸の
塩を加工処理できるが、その一方で相対的に純粋な酸生
成物を生成する。弱酸および強酸の塩を含有する供給物
流は、この経路によっても加工処理される。再び塩基生
成物のpHは5〜14の範囲であるが、好ましくは、電気
透析セルの無故障操作を保証するために、多数の適用に
関して7〜13. 5の範囲であるよう制御される。
【0068】図5a〜5cは、電気透析セルの塩基ルー
プと交通するイオン交換カラム114を用いる本発明の
別の装置を示す。この装置は、多価酸の塩を加工処理で
きるため有利である。
【0069】イオン交換カラム114は、塩基ループ溶
液から多価イオンを、特に二価イオンを除去することが
可能な陽イオン交換樹脂を含有する。イオン交換カラム
は、原則として、塩基ループ中の非常に低レベルの多価
(主に二価:CaおよびMg)陽イオンを保持し、生成
される塩基生成物のpHは完全中性全範囲、すなわちpH7
〜14を網羅することができる。適切なイオン交換カラ
ム操作により、強塩基(例えば水酸化ナトリウムまたは
カリウム)の希釈溶液(0〜15重量%)を生成でき
る。このpH範囲では、弱酸陽イオン交換樹脂が特に望ま
しくかつ有効であるが、強酸またはキレート化型陽イオ
ン樹脂を用いてもよい。好ましい1つの方式において
は、塩基ループ中のpHは、二価陽イオンのための一定の
溶解度緩衝液を提供するように、7〜13. 5の範囲に
保持される。加工処理操作に用いる前にイオン交換樹脂
が適切な一価陽イオン形態であるのが望ましいが、それ
が必要ではない。
【0070】イオン交換カラムを用いる装置の3つのバ
ージョンを、図5a〜5cに示す。他のバージョンを、
当業者は容易に思いつくであろう。
【0071】図5aは、2隔室陰イオンセル118の塩
/塩基ループ116と交通するイオン交換カラム114
を示す。このループは好ましくは、ループ中のpHがイオ
ン交換カラムの有効な操作に必要な>7のレベルに保持
されるような供給および放出方式で操作される。塩溶液
の供給物流は塩/塩基(S/B)ループ116に供給さ
れる。生成物塩基は、供給物塩の必要な転化を達成する
ために、120で取り出される。生成物酸122は、酸
(A)ループ124から取り出される。
【0072】イオン交換カラム114は、塩基ループ1
16中の多価陽イオン濃度を工程の長期無故障操作を得
るのに十分低いレベルに保持する。イオン交換カラムが
多価陽イオン種、特にCa+2およびMg+2を十分に装填
していた場合には、カラムは塩/塩基リサイクルループ
から取り出され、慣用的方法で酸を用いて再生され、そ
の後、供給用に戻される。図5aの装置は、弱塩基、例
えば硝酸アンモニウムまたは乳酸アンモニウムの塩を加
工処理するのに最もよく適している。
【0073】図5bは、2隔室陽イオンセル126とと
もにイオン交換カラム114を示す。この形状は、弱
酸、特に発酵および関連工程から得られる有機酸の塩を
加工処理するのに有用である。セルの塩/酸(S/A)
ループ128に供給される供給物流は、例えばpH約4〜
7の有機酸のアンモニウムまたはナトリウム塩であり、
有意量(例えば、各々約50ppm)のカルシウムおよびマ
グネシウムを含有する。
【0074】直流駆動力下で、塩はS/Aループ128
中で酸性化されるが、アンモニウムまたはナトリウムイ
オンは塩基ループ130に運搬される。陽イオン膜13
2は、供給物ループ126中の多価陽イオンの実質的部
分を保持する。しかしながら、加工処理されている酸、
使用される陽イオン膜132、および供給物流の生成物
酸ヘの転化の程度によって、有意量の多価陽イオンが膜
132を通って運搬され得る。
【0075】イオン交換カラムの非存在下では、運搬さ
れた多価陽イオンは塩基ループ130の高pH環境中で沈
殿し、それにより電気透析工程の信頼できる操作を阻止
する。しかしながら、適所にイオン交換カラム114を
用いると、多価陽イオンは選択的にかつ実質的に塩基ル
ープ130から除去され、それにより装置および工程操
作を劇的に改良する。イオン交換カラム114は溶液中
に非常に低レベルの二価金属を保持できるため、塩基ル
ープ130はあらゆる中性またはアルカリ性pH、すなわ
ちpH7〜14であり得る。
【0076】1つの制限は、いくつかの陽イオン膜13
2、例えばAQ陽イオン膜およびNafionR 陽イオ
ン膜(DuPont)が有意レベルのカルシウム運搬を示し、
運搬されたカルシウムに約14の高pH値で多少容易に付
着されることである。この理由のために、塩基生成物に
関する好ましい一pH範囲は、約7〜13. 5の範囲のpH
であることが見出された。アンモニアのような弱塩基に
関しては、この制限は自然に生じる。しかしながら、ナ
トリウムおよびカリウム塩、その混合物またはこれらの
塩とアンモニウム塩との混合物を扱う場合、適切な中和
化合物、例えばSO2 、CO2 、NaHCO3 等を加え
て目標pH範囲内で塩基生成物を生成してもよい。生成物
塩基濃度を一定の目標レベルに保持するために、塩基ル
ープ130中に水からなる液体を加える必要がある。多
価陽イオンを除去するためのイオン交換カラム114の
信頼できる操作を保証するために、再び塩基ループ中の
pHは>7に保持する必要がある。
【0077】図5cは、本発明の装置の第三のバージョ
ンを示す。ここでは、3隔室セル136が用いられ、イ
オン交換カラム114はここでも塩基ループ138と交
通する。これは、強酸または弱酸の塩を加工処理する一
方で、相対的に純粋な酸および塩基生成物を生成できる
ため、図5a〜図5cのシリーズの中で最も多目的の装
置である。さらにまた、イオン交換カラム114の信頼
できる操作を得るために、塩基ループ中のpHはpH7以上
に保持される。2隔室陽イオンセル126(図5b)を
用いる場合と同様に、陽イオン膜140は元の供給物塩
中の有意部分の多価不純物を保持し、それにより塩基ル
ープ138中のイオン交換カラム114上の負荷を低減
し得る。
【0078】多数の商業的に有用な生成物、例えばアン
モニア、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび亜硫酸ナ
トリウムは、9〜11の範囲のpHを有する。したがっ
て、塩基ループに関するこのpH範囲が、この装置に好ま
しい範囲である。弱酸イオン交換体は、このpH範囲での
選択性、容量、安定性および経費の点で最も性能がよ
く、したがって好ましい。
【0079】供給物塩溶液が相対的により低レベルのカ
ルシウムおよびマグネシウムを有する場合、塩基ループ
中のイオン交換カラムの使用は、電気透析が一価陽イオ
ンに対して特に選択性である陽イオン膜を用いることで
あって、かつカルシウムおよびマグネシウム濃度を塩基
生成物中のその溶解度レベル以下に保持するために塩基
ループ中に十分量の希釈水含有流が付加された場合に
は、必要でない。
【0080】本発明の装置および工程は、以下の実施例
によりさらによく理解される。実験はすべて、図6に示
されているように組み立てられた8セル監視電気透析ス
タック149を用いて実施した。本装置および工程を実
証するために弱酸の塩を用いた2隔室陽イオンセルで、
全実験を実施した。
【0081】スタック149は、電極154、156が
取り付けられ、溶液がそれを通ってスタックに供給さ
れ、スタックから除去される端板150および152を
含む。膜を分離し、溶液隔室AおよびBを形成するため
に用いられるガスケットは、厚みが0.76mmであっ
た。各ガスケットは開口中央面積が465cm2(0.5ft
2)であって、そこを電流が通る。開口中央領域は開放メ
ッシュスクリーンを充填されて膜が分離されかつ支持さ
れるよう保持し、良好な乱流を促進した。ガスケットに
開けられた孔は、内部マニホールドを形成するよう配列
された。マニホールドと開口中央領域を接続するスロッ
ト(口)は、各隔室を出入りする溶液の流れを提供す
る。
【0082】スタックは、被覆金属(ルテニウム)酸化
物陽極154(Electrode ProductsInc.)、電極洗浄隔
室(ER)158、Sybron Chemicals MC 3475陽イオン
膜160(強度付加のために使用)および7反復セルを
用いた。各セル(例えば162)は、酸隔室A 16
4、およびCMV、AQ、CMSまたはCMT陽イオン
膜166を含有する。AQ膜はGraver Waterの一部門で
あるAqualyticsから、CMS膜は徳山曹達から入手可能
であるが、一方他の膜は旭硝子株式会社の製品である。
各セルはさらに、塩基隔室B 168および双極性膜1
70(Aqualytics)を有する。
【0083】スタック149中の7つの双極性膜の最後
の172の次には酸隔室A 174、陽イオン膜(セル
1〜7と同型)176、塩基隔室B 178、別の双極
性膜180、電極洗浄隔室(ER’)182およびステ
ンレススチール陰極156が配置された。
【0084】電気透析実験を実施するために、図7に略
図で示されている系中に集成スタック149を配置し
た。3つのポンプ(P1〜P3)を用いて、2〜3.5
リットル/分の速度で、溶液をそれぞれのリサイクルタ
ンク204、202、194から酸(190)、塩基
(192)および電極洗浄隔室に循環させた。酸ループ
196はバッチモードで操作され、塩基ループ198は
供給および放出モードで運転された。操作中、必要な場
合には、新鮮な水または塩溶液をポンプP4を介して補
給タンク208から加えてもよい。塩基および電極洗浄
タンク202、194は、各々5リットルの予備容量を
有し、一方、酸リサイクルタンク204は180リット
ル/バッチの量を加工処理する容量を有した。酸タンク
中の冷却水コイルは温度を制御する。
【0085】いくつかの実験では、弱酸樹脂(Rohm & H
aas Company からのIRC 84)を含有するイオン交
換カラム206を塩基リサイクルループ198中に用い
た。カートリッジフィルター210、流量計212およ
び圧力計214を各ループ中に用いて、3つのループに
おける公知の流速および圧力降下での透明液の流れを保
証した。別個のポンプ(図示せず)を用いて、供給物塩
溶液を酸リサイクルタンク204に供給した。DC電力
供給(図示せず)をスタックの陽極および陰極端子21
6、218まで繋いだ。電流入力および電圧を提供およ
び制御するために必要なコントローラーは、電源それ自
体にある。導電率計220を酸および塩基ループ中に用
いて、電気透析操作の進行を監視した。
【0086】酸タンク204に供給される必要量の濾過
塩溶液を、系に最初に入れた。希釈アルカリ溶液を少量
の塩溶液とともに塩基タンク202に加えて、必要な電
気導電率を提供した。電極洗浄タンク194を約5重量
%の硫酸で充填した。ループの各々で4〜9psi の入口
圧力降下を得るために、再循環ポンプP1〜P3を開始
させて、流れを調整した。DC電流を作働させて、バッ
チの開始時に約40A(電流密度80A/ft2)となるよう
アンペア数を調整した。
【0087】バッチが進行すると、陽イオン膜222を
通る一価陽イオン(NH4+、K+ またはNa+)の運搬お
よび酸ループ中での酸の同時生成のために、酸溶液の導
電率は減少した。その結果、セル電圧はバッチが進行す
ると、約38V の設定電圧限界に達する(約4V のユニ
ットセル電圧を示し、電極洗浄ループに関しては6ボル
トを可能にする)まで増大した。工程は、電流スループ
ットの低減に伴って継続した。
【0088】本工程は、目標酸導電率、典型的には10
mS/cm が達成された場合に、完全であると見なされる。
塩基隔室192においては、一価陽イオンはOH- イオ
ンと結合して塩基生成物を生成する。塩基ループ中の導
電率は、必要な場合には、塩溶液を加えることによりほ
とんどの実験に関して>10mS/cm に保持された。ルー
プ中でpHを<13. 5に保持するために、乳酸ナトリウ
ムを加工処理する場合には、塩基ループにCO2 も加え
た。
【0089】
【実施例】3つの異なる塩供給物を加工処理して、本発
明の有用性を実証した。塩、すなわち乳酸アンモニウ
ム、乳酸ナトリウムおよび2−ケトグロン酸アンモニウ
ム(NH4 −2KLG)は、デキストロースの発酵から
の生成物であった。塩溶液のpHは4. 5〜9の範囲であ
り、導電率は30〜60mS/cm 、および塩含量は70〜
約200gm/lであった。実験はすべて、周囲温度(20
〜32℃)またはほぼ周囲温度で実施した。
【0090】実施例1 AQ双極性膜およびCMV陽イオン膜を用いて、パイロ
ットセルを組み立てた。限外濾過乳酸アンモニウム溶液
106リットルを酸リサイクルタンク204に入れた。
導電率およびpH測定により、酸への転化を監視した。塩
基ループ198はイオン交換カラム206を有していな
かった。塩基タンク202に先ず希釈水酸化アンモニウ
ム溶液を入れて、ED工程を操作すると、生成物アンモ
ニア溶液が塩基リサイクルタンク202から流出した。
少量の希釈NaCl溶液を塩基ループ198に加えてそ
の導電率を改良した。酸ループ導電率が約7mS/cm あた
りに低下した場合に、本工程は完了と見なされた。試験
は約15時間継続した。酸および塩基の標本を収集し、乳
酸、アンモニアおよび二価金属に関して分析した。結果
を以下に示す:
【0091】★
【表1】
【0092】本試験は、87gm/lの乳酸濃度で生成物9
6リットルを生成した。アンモニア除去率は約87%で
あった。表に示したように、酸ループ196中のpHは乳
酸塩が酸形態に転化されると減少する。本工程への平均
電流入力は36.4A (72.8A/ft2)で算出された。
塩基ループ198への乳酸損失は、約1.5%で算出さ
れた。全体的電流効率(すなわち、運搬されたアンモニ
アの当量/電流入力ファラデー)は約55%であった。
【0093】以下の表は、CMV陽イオン膜を通る酸か
ら塩基ループ198への金属の運搬を要約する。試験
中、酸中のNa、CaおよびMgレベルは低減したが、
これらのレベルは塩基中では増大した。酸ループ中の残
留アンモニア濃度の一関数として、塩基ループ198中
のこれらのイオンの保持%も示す。保持数は、累積、す
なわち工程開始時からの数値である。
【0094】★
【表2】
【0095】塩基ループ224中のpHは、約10〜1
0. 5であった。塩基ループ198中の二価金属の溶解
度を、カルシウムに関しては8〜20ppm で、マグネシ
ウムに関しては4〜10ppm で概算した。バッチが進行
した場合、塩基ループ中のCaおよびMgの漸減レベル
は時間に伴う塩基ループ中のこれらの金属の沈殿傾向を
示す。CMV陽イオン膜は有意量の多価金属、特にマグ
ネシウムおよび鉄を保持することが分かる。特定期間で
は、約100%の鉄、約83%のマグネシウムおよび約
55%のカルシウムが酸ループ中に保持される。実験終
了時、CMV膜は明らかに優れた物理的状態であって、
二価陽イオンは付着していなかった。
【0096】実施例2 CMV陽イオン膜をAQ陽イオン膜に置き換えた後、実
施例1を反復した。乳酸アンモニウム供給物106.5
リットルを817分かけて加工処理し、平均電流入力は
33.2A (66.4A/ft2)で1.58gm/lのNH3 を
含有する生成物酸を得た。アンモニア除去率は約92%で
あった。アンモニアループへの拡散による乳酸損失は、
約2.8%であった。本方法に関する全体的電流効率は
約68%であった。しかしながら、金属分析は、二価金
属の保持率がCMVに関する値より低い;すなわちマグ
ネシウムに関しては約42%、カルシウムに関しては約
37%であることを示した。したがって、本試験からの
アンモニア溶液は、高レベルの溶解金属を有した:カル
シウム約10〜19ppm およびマグネシウム5〜31pp
m 。実験終了時、AQ陽イオンは外見上ややまだらであ
ったが、これは二価陽イオンが付着した可能性を示す。
【0097】実施例3 70〜92gm/lの乳酸塩を含有し、初期導電率が28〜
42mS/cm である乳酸アンモニウム供給物の8つのバッ
チを、パイロットセル中で加工処理した。セルはAQ双
極性膜、および実施例1で用いたCMV陽イオン膜を含
有した。流入供給物流に限外濾過(200,000ダル
トン切断)処理を施した。塩基ループ198中にはイオ
ン交換カラム206は存在しなかった。塩基ループ19
8中では、水酸化アンモニウムは30〜66g/l の濃度
であり、生じた導電率は11〜32mS/cm であった。少
量の乳酸陰イオンの塩基ループ198への拡散は、ルー
プ中に必要な導電率を提供した。これらの操作中波、水
または塩溶液の付加はなされなかった。バッチは種々の
サイズを有し、6.35〜40.3時間持続した。酸ル
ープ導電率が約7〜10mS/cm に低減した場合に、各バ
ッチを終了した。バッチ工程中、酸ループ196中のア
ンモニウムイオン濃度は7〜12gm/lから1.1〜3.
6gm/lに低下した。各バッチに関しては、全体的セル電
圧を約38ボルトに制限した。40 Aに制限された電流入力
(80 A/ft2の初期電流密度を示す)は、バッチが進行し
た場合、低減した。各バッチに関して、平均電流入力を
算出した。結果を以下に示す:
【0098】★
【表3】
【0099】操作終了時にセルを開き、点検した。双極
性膜およびCMV陽イオン膜は良好な状態で、付着の物
理学的証拠は認められなかった。しかしながら、塩基隔
室192中に一定量の沈殿が認められたが、これは容易
に洗い落とせた。沈殿を分析した結果、Ca 16.4
%、Mg2.5%、Na 0.5%、K 0.1%およ
びFe350ppm であることが判明した。これらの操作
は、電流スループットの漸進的低減を立証したが、これ
は、供給物流中の二価金属の存在およびそれらの塩基隔
室192中のアルカリ環境への運搬から起きる。二価陽
イオンによる塩基隔室192の詰まりおよび双極性膜表
面の遮断は、セル性能を低減した。
【0100】実施例4 発酵により得られる乳酸ナトリウム供給物流を用いて、
4つのバッチ実験を実施した。約5.4のpH値を有する
限外濾過供給物溶液は、そのナトリウム塩形態で約10
5gm/lの乳酸を、ならびに約21ppm のCaおよび62
ppm のMgを含有した。供給物塩は〜25gm/lのナトリ
ウム含量を有した。パイロットセルは8つのAQ双極性
膜、7つのCMV陽イオン膜(そのうち1つは新規、6
つは前記の実施例1、3からの物であった)および1つ
の新規のAQ陽イオン膜を含有した。セル電圧は再び3
8ボルトに制限された。生成物アルカリ濃度を約2.5
N未満に保持するために、10ml/ 分の速度で塩基ルー
プ198に水を加えた。塩基ループ198中にイオン交
換カラム206は存在しなかった。その中のpH値を約1
3. 5未満に保持するために、二酸化炭素を塩基ループ
中で発泡させた。電気透析工程中は、供給物導電率は約
34mS/cm から約9.5mS/cm に低減し、酸中の残留ナ
トリウム含量は3.5〜4.0gm/lであった。セル性能
に関する詳細を以下に示す:
【0101】★
【表4】
【0102】これらの操作における陽イオン膜による二
価金属の保持率は、実施例1で乳酸アンモニウムに関し
て観察されたものより上回っていた。これは、おそらく
は相対的高濃度の一価陽イオン(この場合、ナトリウ
ム)、ならびにナトリウム対アンモニウムに関する高電
流効率(逆拡散損失の非存在)、溶液中の運搬二価イオ
ンを保持するための希釈水の使用、ならびに乳酸塩の低
転化によるものと思われる。セルを開き、点検した。双
極性膜およびCMV陽イオン膜は良好な状態で、付着の
物理学的証拠は認められなかった。AQ陽イオン膜は曇
って/不透明で、付着があると思われた。セルの内側部
分は透明であったが、これは(CMV)陽イオン膜によ
る二価陽イオンの高保持率により塩基ループ224中の
二価金属が低レベルになったためである(Mg<5ppm
およびCa<20ppm)。沈殿の問題は、供給物流中の高
レベルの二価金属、低供給物濃度または高工程転化によ
り疑いなく生じる。
【0103】実施例5 アンモニウム−2ケトグロン酸(NH4 −2KLG)の
遊離酸2ケトグロン酸(2KLG)への転化に関する試
験を、AQ双極性膜およびAQ陽イオン膜を含有するパ
イロットセルで実施した。2KLGの発酵由来標本をア
ンモニアで中和して、2KLG 170gm/lおよびNH
3 等価物12.99gm/lを含有し、pHが約9である出発
溶液を得た。供給物28リットルを電気透析セル中で加
工処理した結果、導電率は、酸性化および供給タンク2
00に延びる供給ループからのアンモニアの同時運搬に
より、35.1mS/cm から8.6mS/cm に低減した。そ
の中の導電率を16〜20mS/cm に保持するために、工
程中、NaCl溶液を塩基ループ198に加えた。ここ
でも、塩基ループ198中にイオン交換カラム206は
存在しなかった。結果を以下に示す:
【0104】★
【表5】
【0105】最終生成物は2KLGを190gm/lおよび
NH3 を730ppm だけ含有したが、これは塩からの陽
イオンの約95%除去を示す。電流効率は約40%であ
った。供給物塩中の実質的にすべてのカルシウムおよび
マグネシウム基がAQ陽イオン膜を通って運搬されたこ
とがわかる。これは、実施例4における乳酸ナトリウム
試験に関して得られた結果と劇的な対照をなす。少なく
とも部分的には、高レベルの二価陽イオン運搬は、AQ
陽イオン膜による低保持によるものと思われる(実施例
2参照)が、しかし2KLGが乳酸よりも強い酸である
かまたは2KLGが二価陽イオンと非常に良好に結合で
きないためにも起こると思われる。この大きな運搬は、
塩基ループ202中の金属濃度を実質的に増大した。塩
基ループ中のpHが10〜11の範囲だけであったため
に、金属が溶液中に残存した(Mgが約20ppm 、Ca
が約100ppm)。
【0106】pHの一関数としての二価イオンに関する溶
解度データ 37バッチの乳酸アンモニウムおよび乳酸ナトリウムな
らびにNH4 −2KLG供給物をパイロットアッセンブ
リー中で加工処理し、各バッチの加工処理は6〜>24
時間継続した。乳酸塩供給物は、デキストロースの発酵
からのものであった。酸をアンモニアで中和して、2K
LG供給物を得た。各供給物に単純濾過または限外濾過
を施した後、電気透析セル中で加工処理した。供給物
は、Ca20〜150ppm およびMg6〜60ppm を有
した。乳酸ナトリウム塩を加工処理する場合、ナトリウ
ムアルカリ塩基生成物のpHは、気体CO2 の付加により
限定された。
【0107】その二価金属含量およびpHに関して、生成
物塩基の標本を分析した。塩基ループ198中にイオン
交換カラム206は存在せず、したがってこれらのイオ
ンの測定濃度は塩基ループ中のその溶解度を示す。これ
らの加工処理には、CMVまたはCMT陽イオン膜を用
いた。最初の18試験にはCMV膜を、後の19試験に
はCMT膜を用いた。両陽イオン膜は加工処理後に極め
て良好な状態で残存し、供給物中の多価陽イオンによる
付着の外見的証拠は認められなかった。
【0108】pHの一関数としての溶解度に関する試験の
結果を、図8にプロットする。アンモニア性塩基溶液を
生成する場合、pHは9〜約11. 4の範囲であったが、
一方、ナトリウムアルカリ溶液は約12〜13. 4のpH
範囲を有した。カルシウムおよびマグネシウムの各々に
関して、データを2つに分けた。一組のデータは溶解度
限界を示し、一方第二組のデータはアルカリ溶液が有意
に高レベルの二価金属を保有し得る過飽和状態を示す。
【0109】しかしながら、自発的沈殿の可能性および
その結果生じる電気透析セルの塩基ループの詰まりが常
に存在する。研究室で適宜なされていたように、塩基ル
ープを清浄にし、セル性能を元に戻すことが指摘される
べきである。強酸、好ましくはHClの希釈溶液でルー
プを洗浄することにより、清浄化される。しかしなが
ら、このような工程は予定外の非稼働時間を含み、加
熱、融解等によるセルハードウエアに対する機械的損傷
の可能性により工程スループットが低減される。重度表
面沈殿、膨れ等の結果として双極性膜に対する長期損傷
の可能性もある。
【0110】本発明の装置および方法は、塩基ループ中
の二価金属濃度をその溶解度限界以下またはその近くに
保持することにより、電気透析セルの長期間故障なしの
操作を可能にする。本発明の1つの好ましいpH範囲であ
る9. 5〜11では、目標レベルはMgで約2〜25pp
m 、Caで20〜100ppm である。EDセルの長期無
故障操作のためには、二価金属をやや低レベルに、すな
わちMg2〜10ppm、Ca 10〜25ppm に保持す
る必要があり、OH- イオンを生成する双極性膜の陰イ
オン面が約14のpHであるため、これは工程の動力学に
支配される。塩基隔室内の適切な液体速度を保持するこ
とにより、高電流スループットでの持続的な信頼できる
長期操作がある。
【0111】データは約14のpH値でカルシウムに関し
て>10ppm の溶解度を示すことに留意することが重要
である。このような低レベルのカルシウムが塩基ループ
中に保持される場合には、水酸化ナトリウムまたは水酸
化カリウムのような希釈アルカリ(0〜15重量%)の
長期間製造が達成できる。
【0112】実施例6 発酵器で生成された乳酸アンモニウムをナノ濾過ユニッ
トを用いて濾過した。フィルターDesal 5−DK
(Desalination System)をこのために用いた。この濾過
工程からの生成物は約90gm/lの乳酸塩、アンモニウム
イオンとして10〜13gm/lのアンモニア、11ppm の
カルシウムおよび9ppm のマグネシウムを有した。次
に、実施例1に記載されているように、パイロットセル
中で供給物をpH約5で加工処理した。パイロットセルは
実施例1からの8つのAQ双極性膜および6つのCMV
陽イオン膜および2つの新規のAQ陽イオン膜を含有し
た。バッチ当たり約120リットルの供給物の6連続バ
ッチを、実施例1と同様に加工処理した。結果を以下に
要約する:
【0113】★
【表6】
【0114】バッチは、電流入力、電圧低下および塩の
酸への転化に関して完全に再現可能であったことが分か
る。6バッチの試験終了時に、セルを開いた。内部部分
は清浄で、沈殿物は認められなかったが、これはナノ濾
過を用いたことが、陽イオン膜によりもたらされる多価
陽イオンの保持と結びついて、安定した長期的な性能を
保持するのに有効であったことを実証した。ナノ濾過の
使用により、供給物塩の一部ならびに大部分の二価金属
を含有する濃縮物(いわゆる保持物)流が生成される。
適切な処理後に、その流れを処分できる。この処分は損
失源を示す。しかしながら、多くの場合、例えば発酵操
作においては、流れは前端に戻され、回収される。
【0115】実施例7 図7に示したモードで、適所にイオン交換カラム206
を用いて、パイロット系を設置した。電気透析セルは8
つのAQ双極性膜および8つのCMT陽イオン膜を含有
した。両型の膜は、前記の長期試験から採用した。試験
前に、塩基ループ198中のイオン交換カラム206を
IRC84樹脂(弱酸陽イオン交換樹脂)(Rohm and H
aas)で充填し、アンモニウム形態に転化した。試験用供
給物乳酸アンモニウムは定格約200,000ダルトン
のユニットで限外濾過された結果、典型的にはCa40
〜150ppm およびMg45〜65ppm を含有した。供
給物中の乳酸塩含量は60〜100gm/lの範囲であっ
た。
【0116】30バッチの供給物乳酸アンモニウムを、
前記実施例と同様の方法で加工処理した。各バッチ処理
は6〜24+時間継続し、酸ループ導電率が約10mS/c
m 未満に低下すると終了された。詳細な測定により、C
MTおよびCMV膜は多価陽イオンと同レベルを保持す
ることが示された。
【0117】イオン交換カラムは、塩基ループ中の二価
金属濃度を低レベルに保持するのに有効であった。カラ
ム再生後の初期バッチ処理中、塩基ループ中のカルシウ
ムおよびマグネシウムのレベルは各々0〜2ppm のオー
ダーであった。主に相対的に短いカラム(深さ<2フィ
ート)および高供給流速という動的制限のために、その
レベルはその後のバッチ中に漸次増大した。二価金属濃
度が全体で約10ppmに達した時に、各々140〜18
0リットルの4バッチ後に、カラムを再生して、その後
のバッチに再使用した。この方法で、安定した電流スル
ープットおよび電圧降下で、電気透析セルの安定した長
期的操作が達成された。
【0118】電気透析セルと塩基ループ中のイオン交換
カラムとを組合せた装置は、塩基ループのルーチンの酸
清浄化を必要とせずに、電気透析セルの長期間操作を可
能にした。実際、一定量の緩衝容量が改良型装置内に存
在する。イオン交換カラムは、電力を切った装置中で循
環する塩基溶液を有することにより、簡単に塩基ループ
を清浄化できる。
【0119】本発明の装置および方法に関しては、塩基
ループ中の二価陽イオンのレベルを低減するため、これ
らのイオンに対して高レベルの保持を示す陽イオン膜が
選択される。したがって、それらはイオン交換カラム上
の負荷を低減する。高保持膜CMVおよびCMTは、二
価陽イオンによる付着を蒙りにくいことが判明した。こ
れらの膜は、適切な基質でのスチレンおよびジビニルベ
ンゼンの架橋重合を用いて調製されると思われる。これ
らの、そして同様に製造される陽イオン膜(われわれは
「一価支持型」と呼ぶ)は、本発明の装置に好ましい膜
である。この場合、「一価選択」型膜(例えばCMS膜
(徳山曹達))が最も好ましい。
【0120】本発明の装置を用いて、塩からの酸および
塩基の製造を含めた多数の工程を改良できる。3つのこ
のような適用が、図9〜12に概略的に示されている。
【0121】図9は、低分子一価有機酸の製造における
本発明の装置の一バージョンの使用を示す。発酵器の列
230をバッチモードで操作して、有機酸をその塩形態
で生成できた。最適生産性に関しては、約4〜7のpHで
発酵を実行する。アルカリ付加により、pHを保持した。
その低コストおよび下流電気透析操作での回収の容易さ
のために、アンモニアが好ましいアルカリである。
【0122】次に、生成物有機塩を232で濾過してあ
らゆる不溶性のセル中の固形物を除去し、その後234
でナノ濾過する。ナノ濾過ユニットからの保持物を23
6で発酵器にリサイクルする。所望により、238で慣
用的蒸発によりナノ濾過物をさらに濃縮して、電気透析
セルの酸リサイクルタンク246に供給する。
【0123】各々200以上の電気透析セルを含有する
1つ以上の電気透析工程ユニット242を用いて、必要
な生成物スループットを生成できる。電気透析(ED)
セルは、例えば図1b、2aまたは3に示すような、2
隔室陽イオン型のものである。酸ループ244をバッチ
モードで操作し、目標転化が実現する場合には、生成物
酸を酸リサイクルタンク246からポンプで排出する。
次に、供給物の新鮮なバッチを酸リサイクルタンクに付
加し、工程を継続する。
【0124】水酸化アンモニウムがEDセルの塩基ルー
プ248中に生成される。好ましい定常供給および放出
モードで、またはバッチモードで、塩基ループを操作で
きる。アンモニア濃度および導電率を一定目標レベルに
保持するために、必要な場合には、希釈水および少量の
塩溶液を塩基ループに加えてもよい。本方法は、多数の
有機酸、例えば酢酸および乳酸を加工処理するのに適し
ている。
【0125】高純度酸の生成または強酸の塩の加工処理
のためには、2隔室陽イオンセルの適所に、図1cまた
は2bに示すような3隔室セルを用いてもよい。
【0126】図10は、本発明の別の装置を用いる別の
バージョンの工程を示す。この実施例では、発酵器25
0からの生成物有機塩を再度濾過して、目の粗い限外濾
過器252(典型的には定格200,000ダルトン)
によりセル中の塊および不溶性不純物を除去する。濾液
は通常、70〜110gm/lの有機塩を含有する。有機塩
は、2隔室セル256で加工処理する前に、さらに慣用
的蒸発254により任意に濃縮してもよい。微生物増殖
に対して供給物有機塩を安定化し、ならびにED回収工
程の生成物回収および工程効率を改良する濃縮工程が有
益である。
【0127】EDセル256は、塩基ループ260と交
通するイオン交換カラム258を有する。加工処理操作
中、弱酸陽イオン交換樹脂を含有するイオン交換カラム
は塩ループ260中の多価陽イオンレベルをその溶解度
限界以下に保持する(溶解度を上回る臨時の変位は、イ
オン交換カラムの内臓緩衝剤のために耐容される)。
【0128】製造中の酸および所望の生成物純度によっ
て、図1〜3(または同様のもの)に示したセルのいず
れかを、図示した2隔室セル256の適所に用いること
ができる。EDセル256の塩基ループ260と交通す
るイオン交換カラム258を組入れている装置が、一般
的かつ多目的的である。本装置は、弱または強、一価ま
たは多価酸の塩を加工処理できる。本装置で加工処理可
能な酸の例としては、酢酸、乳酸、ギ酸、クエン酸、グ
ルコン酸および2KLGが挙げられる。
【0129】図11a〜11bは、煙道ガスからの二酸
化硫黄の回収における本発明の装置の適用可能性を示
す。基本的方法は、前記で引用したいくつかの特許に記
載されており、Allied Signal Corporation によりSO
XALR 法として市販されている。本方法では、動力装
置または他の供給源の煙道ガスからの二酸化硫黄を亜硫
酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムの溶液(pH9〜1
2)中に吸収させて、重亜硫酸ナトリウムを得る。本方
法では、亜硫酸塩の供給物の特定部分が酸化して、硫酸
塩になる。
【0130】図11aに示した回収工程では、いくつか
の非転化亜硫酸塩を有する重亜硫酸塩生成物の一部を、
通常約5〜5. 5のpHで、2隔室陽イオンセル(例えば
図1b)266の酸隔室264に供給し、一方で残りの
重亜硫酸生成物は塩基ループ268に供給する。重亜硫
酸塩生成物も、煙道ガス源由来の有意量の溶解カルシウ
ム、マグネシウムおよびその他の多価金属種を有する傾
向がある。これらの金属はEDセル266の塩基ループ
268中で沈殿し、それにより有意の操作問題を引き起
こす。
【0131】図11aのEDセル266では、ナトリウ
ムイオンの他に、二価陽イオンの一部が陽イオン膜27
0を通って塩基ループに運搬される。二価陽イオンは、
生成された重亜硫酸塩が付加した陽イオンとともに、イ
オン交換カラム272により塩基ループ268から除去
される。図11aに示す本発明の装置および方法の使用
によりこの問題が排除されるかまたは大いに軽減され、
したがって本工程の長期間の信頼できる操作が達成でき
る。酸ループ274に保持された二価陽イオンは、かす
とり器276中でSO2 生成物を除去後、硫酸塩ととも
に除去される。所望により、カリウムまたはアンモニウ
ム、あるいは一価陽イオンの混合物をナトリウムの代わ
りに用いることができる。
【0132】付加的アルカリおよび副産物硫酸を生成す
るために、多価金属を除去するための適切な予備処理
後、SO2 かすとり器からの硫酸ナトリウム溶液を3隔
室セル中で加工処理してもよい。好ましいモードでは、
硫酸塩溶液は一定量の遊離硫酸を含有して、かすとり器
中のSO2 の実質的に完全な回収を可能にする。その結
果として、硫酸塩流は3〜5のpH範囲で酸性であると思
われる。
【0133】図11bは、酸性硫酸塩流から酸、塩基を
回収する場合の改良型装置の使用を示す。塩基ループ2
84と交通するイオン交換カラム282を組み入れた3
隔室セル280に、硫酸塩流を供給する。硫酸ナトリウ
ムの一部は副産物硫酸および吸収器にリサイクルするの
に適した塩基に転化される。非転化硫酸基の一部は、そ
の中に存在する多価金属とともに、塩ループからパージ
として廃棄されると思われるが、一方残りはリサイクル
される。さらにオプションとして、図11aおよび11
bの2および3隔室セルの塩基ループは、所望により普
通のイオン交換カラムと交通して設置できる。
【0134】図12は、不純な重炭酸塩/炭酸塩/硫酸
塩含有流を加工処理して炭酸ナトリウムを生成するため
の本発明の装置の適用を示す。市販のナトリウムアルカ
リ無機物はしばしば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム
および一定量のカルシウムおよびマグネシウム塩のよう
な不純物を含有する。本ED工程では、無機物を酸ルー
プ286中で酸性化して、それにより二酸化炭素を遊離
させ、一方水酸化ナトリウムを塩基ループ284中で生
成する。塩基ループ生成物は、二酸化炭素含有供給源で
酸性化して炭酸ナトリウムまたは同様のアルカリ性生成
物を生成できる。
【0135】再度EDセルの塩基ループ284と交通す
るイオン交換カラム282を用いて多価イオンを除去
し、それにより全体的工程の長期間の信頼できる操作を
保証する。硫酸カリウム流を同様に加工処理し、炭酸カ
リウムを生成してもよい。
【0136】図13は、電気透析ユニット292中で供
給物を加工処理する前に、290でナノ濾過を用いて多
価金属の実質的部分を除去する工程系を示す。塩基ルー
プに入るあらゆる残留金属を除去し、それにより工程全
体の信頼性を増強するために、イオン交換カラム294
を塩基ループ中に設置する。
【0137】一価陰イオンを含有する塩、例えばナトリ
ウム、カリウムまたはアンモニウムの塩化物、乳酸塩、
酢酸塩等に関しては、図13の組合せ装置を用いる。さ
らに、ナノ濾過およびイオン交換カラムの両方を用いた
工程は、2隔室陽イオン(図13)セルまたは3隔室セ
ルで用いるのにより適している。供給物が塩/塩基ルー
プに入り、イオン交換カラムが同一ループ中に位置する
2隔室陰イオンセルに関しては、有益性はより低いと思
われる。
【0138】実施例8 簡単に検討すると、前記の説明は、適切な装置が得られ
たこと、そして塩基ループ中に十分に低濃度の二価金属
が保持できることを示す。それゆえ、これらの二価金属
の沈殿は、重大な問題を引き起こさないか、あるいはそ
れが起きるとしても重大ではない。塩基ループ中に低濃
度の二価金属を保持することにより、その沈殿は防止さ
れるが、このことは意外にも例えば高度のかつ安定した
電流スループットの維持といったような有益な効果を有
する。
【0139】さらに、ある種の膜の使用は塩基ループ中
の一価金属の量に対する二価金属の比率を低減し、それ
により二価金属を単離する経費を低減する。さらに、あ
る種の陽イオン膜の使用により、多価陽イオンの選択に
際して一価陽イオンが運搬され、したがって塩基ループ
中の多価陽イオン濃度がそれらが塩基ループ中で沈殿し
ない点まで低減する。本発明の装置および方法に用いる
には、一価選択陽イオン膜(例えばCMS(徳山曹達))
が最も好ましい。
【0140】図8は、既定pHの塩基生成物に関するカル
シウムおよびマグネシウムの溶解度目標を示す。塩基ル
ープ中の二価金属濃度をそれらの溶解度限界以下または
その近くに保持することにより、電気透析セルの長期無
故障操作が得られる。濃度目標値は、pH12〜14の範
囲で、マグネシウムで〜2〜5ppm 、カルシウムで10
〜15ppm であった。pH9〜11の範囲では、より高レ
ベルのカルシウムおよびマグネシウムが存在することが
できる。
【0141】図7に示したモードで、上記のパイロット
系を設定し、イオン交換カラム206を適所に配置し
た。電気透析セルは、8つのAQ双極性膜および8つの
CMS陽イオン(一価選択性)膜を含有した。イオン交
換カラムは塩酸で再生されて、アンモニウム形態で設置
された。
【0142】乳酸アンモニウム供給物流を前記実施例と
同様に限外濾過し、蒸発により濃縮して、乳酸塩含量を
〜250gm/lとした後、電気透析ユニット中で加工処理
した。供給物流のカルシウム含量は、おそらく蒸発器か
らのスケール物質の溶解のために、正常より高かった。
【0143】4つのバッチを加工処理し、その結果を下
記の表7に要約した。タンク209から脱イオン水を8
ml/分で塩基ループに加えた。塩基ループへのわずかに
高レベルの乳酸拡散により、信頼できるセルスタック操
作をするのに適した導電率(>15mS/cm)を生じた。塩
基ループ生成物は35〜65gm/lのアンモニアを含有
し、9. 5〜11の範囲のpHを生じた。
【0144】★
【表7】
【0145】一価選択陽イオン膜により示される優れた
保持は、イオン交換カラム上の負荷を有意に低減した。
この陽イオン膜とイオン交換カラムの組合せにより、膜
およびセル付着問題が全体的に排除された;これは、期
間中に、供給物乳酸塩中のカルシウムレベルは相対的に
高かったにもかかわらず、意外な高電流スループット、
低セル電圧、ならびに再現可能なセル操作をもたらす。
【0146】実施例9 図7に示したモードでパイロットセルを設置したが、イ
オン交換カラムは塩基ループから取り除いた。前記実施
例で用いた濃縮乳酸アンモニウム供給物流を脱イオン水
で希釈して、その乳酸および多価金属濃度を低減した。
下記の表8に示すように、9つのバッチを加工処理し
た。最初の8バッチに関しては水溶液を10ml/ 分の速
度で塩基ループに加え、最後のバッチ9に関しては16
ml/ 分で加えた(最後のバッチ9供給側の金属濃度が高
かったため)。供給物流中の乳酸塩は、最初の8バッチ
に関しては120〜155gm/lの範囲、バッチ9に関し
ては244gm/lであった。塩基ループ生成物はこの場合
も、pH9. 5〜11の範囲で35〜65gm/lのアンモニ
アを含有した。塩基ループ導電率は、必要な場合、希釈
硫酸アンモニウムまたは硫酸を加えることにより少なく
とも8〜15mS/cm に保持された。
【0147】★
【表8】
【0148】表8の最後の欄に報告された平均金属含量
は、9つのバッチに関してカルシウムおよびマグネシウ
ムの平均保持率および塩基ループからの全体容積流出量
から算出した。電流スループット、電圧および電流に関
しては、セル性能の効率は完全に再現可能であることが
分かった。
【0149】9バッチの試験終了時に、セルを開き、内
部構造を検査した。膜はすべて良好な状態で、付着の証
拠は認められなかった。少量のカルシウム沈殿物が塩基
ループ中に認められた。明らかに、これは塩基ループカ
ルシウム濃度が上記試験では87〜97.5ppm であっ
たためで、これは操作pH範囲における20〜45ppmの
溶解度レベルを上回った(図8)。
【0150】多量の希釈水の塩基ループへの使用、およ
び/または供給物流塩中のカルシウム量の低減により、
沈殿問題は実質的に排除されると思われる。したがっ
て、本実施例では、塩基生成物のさらなる希釈は考えず
に、150gm/lの乳酸塩を含有する供給物は〜125pp
m 以下のカルシウムおよび〜90ppm のマグネシウムを
含有すべきであると想定した。二価金属のそのレベル
は、実際の発酵操作で容易に実現し得る。それゆえ、こ
のガイドライン後の工程は、非常に長期間操作しても、
付着の問題は伴わないと思われる。
【0151】この実施例とその他の実施例では、多価金
属濃度と一価選択陽イオン膜によるその保持は、多少絶
対的に記載された。実際、あらゆる既定工程溶液は、種
々の陽イオンを含有し、そのすべてが種々の陽イオンに
対する膜の選択性(または運搬数)に比例して、陽イオ
ン膜を通って運搬される。
【0152】したがって、供給物流純度目標のより正確
な定義は、供給物流中の多価対一価金属含量の比率であ
る。本実施例では、供給物は乳酸を乳酸塩として150
gm/l、すなわち1.67グラム当量/リットル含有し
た。したがって、〜5のほぼ中性pHでは、供給物は1.
67グラム当量/リットルのアンモニウムイオンを有す
る。その結果、目標二価金属濃度は、供給物溶液中のア
ンモニウムイオン1グラム当量当たり〜75ppm および
〜55ppm のマグネシウムを有すると言い換えられる。
【0153】同様に、陽イオン膜の保持能力は、供給物
塩中の一価対多価陽イオンの比の一関数である。供給物
塩は電気透析セル中で一価陽イオン含量の減損を蒙るの
で、供給物中の一価陽イオン対多価陽イオンの比は低減
する。相対運搬数(RTN)という用語は、しばしば陽
イオン膜の性能を定義するのに用いられる: (式中:M: 一価イオンNH4 + 、Na、Kまた
はそれらの総濃度 tM : 陽イオン膜におけるMイオンの運搬数 tCa: 陽イオン膜におけるCaイオンの運搬数 CM : 溶液中のMイオンの濃度 CCa: 溶液中のCaイオンの濃度)
【0154】本発明の方法に適した一価選択膜は、カル
シウムに対するRTNが6以上、好ましくは8以上であ
り、上記実施例に示したように>90%保持を生じる必
要がある。高分子物質から作られた一価選択膜であるC
MSは、この判定基準を満たす。実際、一価選択膜は有
機または無機物質、あるいはその組合せから作られる。
例えば、Ceramatec により作られるセラミック膜で作成
されるナトリウムスーパーイオン導体(NaSICO
N)(Separation Science and Technology, 32(1-4),
pp 557-572, 1997)は、一価陽イオン(ナトリウム)を
運搬する能力を有し、多価陽イオンまたは大型一価陽イ
オン、例えばセシウムの運搬を排除するので、大きなR
TNを有すると思われる。比較すると、典型的な一価支
持膜、例えばCMVはRTN値が〜1であるが、一方他
の陽イオン膜、例えばAQ陽イオン膜はより低いRTN
値を有する。
【0155】図10aは、乳酸アンモニウムからの乳酸
の製造における一価選択陽イオン膜を用いた2隔室陽イ
オンセルの使用を示す。発酵器からの乳酸塩は〜95gm
/lの乳酸を乳酸塩として含有し、そして〜12〜17gm
/lのアンモニアを含有する。乳酸アンモニウムは濾過し
て不溶物質(セル中固形物)を除去するのが適切であ
る。発酵器からの乳酸塩は、典型的にはカルシウム<5
0ppm およびマグネシウム25〜50ppm を可溶性塩の
形態で含有すると思われる。
【0156】濾過乳酸塩溶液を任意に蒸発により>18
0gm/l乳酸含量に濃縮して、2隔室電気透析セル中で加
工処理する。生成されるアンモニアを受け取るために、
少量の硫酸(典型的には〜0.1重量%酸濃度)または
導電率を提供するその他の適切な塩を任意に含有する希
釈水を塩基ループに加える。発酵器中での可能な再利用
のために、電気透析セルの塩基ループからのアンモニア
溶液をNH3 貯蔵タンクに収集する。
【0157】電気透析セルからの酸性化生成物は、典型
的には<2.5gm/lのアンモニア等価物を含有し、2.
7〜2.9のpHを示した;これは90%以上のアンモニ
ア除去率を示す。この酸性化生成物を陽イオン交換(C
IX)によりさらに精製して、残存するアンモニウムお
よび多価陽イオンを除去する。次に、CIXからの生成
物を陰イオン交換カラム(AIX)中で処理して、実質
的にすべての付着した陰イオン(例えば硫酸塩、塩化
物、リン酸塩)を除去し、販売するのに必要な場合はさ
らに濃縮する。
【0158】実施例10 一価選択陽イオン膜を用いた方法および装置の実用性
は、特に低レベルの二価金属不純物を含有するすべての
可溶性塩供給物流溶液に一般的である。このようなレベ
ルは、簡単なpH調整およびつや出し濾過により得られ
る。例えば、塩(例えば塩化ナトリウムまたは亜硫酸ナ
トリウム、一価陽イオンの他の塩)からの希水酸化ナト
リウムおよび塩酸の生成においては、水酸化/炭酸ナト
リウムを用いてpHを約10に調整し、次いで濾過して供
給物流塩溶液を精製し、約10ppm 未満のカルシウムお
よび≦1ppm のマグネシウムを含有する10〜25重量
%溶液を容易に生成できる。従来技術では、キレート化
樹脂イオン交換によりこの供給物流をさらに処理して、
カルシウム含量を0.5ppm 以下に低減した後、電気透
析セルで加工処理する。
【0159】本出願に開示した改良型の方法および装置
は、イオン交換予備処理工程を排除して、一価選択陽イ
オン膜を用いた2隔室陽イオンセルまたは3隔室セル中
でこの供給物を直接加工処理できるようにした。
【0160】図14は、40トン/日の水酸化ナトリウ
ム(典型)および36.5トン/日の塩酸を製造するた
めの工程の流れ図を示す。10ppm のカルシウムおよび
1ppm のマグネシウムを含有する供給物流塩を3隔室セ
ルの塩ループに供給する。一価選択陽イオン膜を含有す
る電気透析セル中で、多量の塩供給物を酸および塩基成
分に転化する。これらの膜は、多量(典型的には95%
以上)の二価陽イオンを塩ループ中に保持する。これら
の陽イオンは、減損した塩溶液の一部として塩ループか
ら除去される。図14に示した実施例では、減損した塩
溶液は元の供給物流中に存在する二価陽イオンの96%
を含有し、減損塩溶液中で約55ppm のカルシウムに転
換する。
【0161】所望により、この減損塩溶液を固体塩で飽
和し、pH調整および濾過により精製して、余分な多価金
属を除去できる。次いで、精製溶液を電気透析セル中で
再利用する。希釈水を塩基ループ中に用いてそこに生じ
た水酸化ナトリウムを受け取る。
【0162】一価選択膜と希釈水のこの組合せにより、
塩基ループ中のカルシウム濃度が<1ppm (およびそれ
より低濃度のマグネシウム)に低減され、それにより非
付着方式での工程および膜の操作が保証される。
【0163】実施例11 限外濾過乳酸アンモニウム供給物溶液を用いて、5つの
バッチ試験を実施した。バッチ処理は全体で〜80時間
継続した。乳酸塩供給物流は、二価金属含量が相対的に
低かった。供給物乳酸塩をAQ双極性膜およびCMT陽
イオン膜を含有する2隔室セル中で加工処理した。上記
のイオン膜は「一価支持」型(これに対比して、CMS
陽イオン膜は「一価選択」型である)のものであった。
塩基ループ中の補給液の流れを一定に保持して、溶液中
に実質的に運搬金属が保持されるようにし、ならびに流
出によるそれらの除去を促した。補給液は、最初の4バ
ッチに関しては10ml/分の希硫酸アンモニウム、5番目
のバッチに関しては脱イオン水であった。結果を下記に
要約する:
【0164】★
【表9】
【0165】供給物流中の低濃度二価金属と塩基ループ
中の希釈液の使用の組合せにより、各バッチの開始時の
同様の電圧および電流により立証されるように、事実上
再現可能なセル性能が生じたことがわかる。再現性は、
実際非常に良好で、バッチのいくつかは高転化を起こ
し、酸ループからの二価金属の有意の運搬を引き起こし
たと考えられる。
【0166】当業者は本発明の変形について、容易に理
解できるであろう。したがって、本発明の真の範囲およ
び精神を逸脱しないすべての等価構造を網羅するため
に、添付の請求の範囲を構築するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1a〜cは、双極性膜を用いた2および3隔
室電気透析セル用のユニットセルの構成を示す概略図で
ある。
【図2】図2aおよびbは、一組の電極を用いた2およ
び3隔室セル用のユニットセルの構成を示す概略図であ
る。
【図3】水素消極電極を用いた2隔室セルを示す概略図
である。
【図4】図4aおよびbは、上流ナノ濾過を有する電気
透析系を用いた本発明を示すブロック図である。
【図5】図5a〜cは、電気透析セルのベースループと
交通するイオン交換カラムと組合せた電気透析セルを包
含する本発明の別の装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の実用性を示すために用いられる2隔室
セルの構成を示す概略図である。
【図7】本発明の装置を試験するために用いられるパイ
ロット系を示すブロック図である。
【図8】塩基pHの一関数としてカルシウムおよびマグネ
シウムの溶解度データを要約するグラフである。
【図9】発酵による有機酸の製造における本発明の使用
を示すブロック図である。
【図10】図10および10aは、発酵による有機酸の
製造における本発明の他の局面を示すブロック図であ
る。
【図11】図11aおよびbは、本発明の装置を用いた
煙道ガス脱硫化工程を示すブロック図である。
【図12】無機質源を含有する炭酸塩/重炭酸塩からの
炭酸ナトリウムの回収に本発明が適用可能であることを
示すブロック図である。
【図13】上記系のナノ濾過流入供給および流出時のイ
オン交換カラムの両方とともに本発明を用いる系を示す
ブロック図である。
【図14】水酸化ナトリウムおよび塩酸の製造方法を示
す流れ図である。
【手続補正書】
【提出日】平成10年1月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 塩の電気透析のための装置および方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩の電気透析のた
めの装置および方法に関し、より詳細には以下の3つの
明確な特徴:すなわち電気透析ユニットと組合わせるナ
ノ濾過ユニット、電気透析セルの塩基ループと結合しか
つそれと交通するイオン交換カラム、ならびに上記の電
気透析セル中のある種の陽イオンの使用のうち少なくと
も1つを組み入れた装置および方法に関する。
【0002】この電気透析装置は、多数の大規模工程用
途に用いることができる。具体的には、それは、2つの
区分陽イオンセル中での乳酸アンモニウム派生する発酵
からの乳酸の回収のために用いることができる。電気透
析セルの塩基ループと交通するナノフィルターまたはイ
オン交換カラムのいずれか(または両方)が存在しても
よい。カラムは弱酸陽イオン交換樹脂を含有する。
【0003】本発明の構造の背景に関するさらなる情報
に関しては、下記の特定事項を有する本出願人の同時係
属出願(Process for the Recov
ery of Organic Acids and
Ammonia fromTheir Salts,米
国出願第08/639,831号、1996年4月29
日提出)を参照し得る。
【0004】本発明は、多価不純物のレベルを最小限に
するために、流入する一価塩溶液を濾過するためのナノ
濾過と組合せて電気透析セル(単数または複数)を用い
る装置およびその関連方法を包含する。装置はさらに、
上記の電気透析セルの塩基ループと交通するイオン交換
カラムと組合せる電気透析セル(単数または複数)を包
含してもよい。装置からのベース生成物のpHは、5〜
14、好ましくは7〜約13.5の範囲である。
【0005】本装置および方法は、酸、特に有機酸、な
らびにアンモニアのような弱塩基、あるいは炭酸ナトリ
ウムまたは亜硫酸ナトリウムのような弱酸の塩の製造に
特によく適している。本発明の電気透析セルは、例えば
双極性膜のような膜、または水を分離するためのアッセ
ンブリーを用いることができる。あるいは、酸、塩基製
造のための水の分離は、一組の電極を用いて達成するこ
ともできる。
【0006】
【従来の技術】有機酸、例えば酢酸および乳酸を製造す
るための発酵工程は、酢酸アンモニウムまたは乳酸アン
モニウムのような塩の中間製造を経る。それゆえ、塩は
多数の化学工程の副産物または中間生成物である。例え
ば、再生性煙道ガス脱硫工程は、ナトリウムアルカリを
用いてSOを吸収して、可溶性重亜硫酸塩NaHSO
を生じる。ソーダ灰(NaCO)の製造には、原
料塩、すなわちトロナ(NaCO・NaHCO
2HO)または天然ブラインの加工を要する。磁気流
体力学的動力発生工程においては、炭酸カリウム種物質
は燃料中のSOを吸収し、副産物硫酸カリウムに転化
される。
【0007】電気透析(ED)を用いて、これらのおよ
びその他の可溶性塩を直接それらの酸および塩基成分に
転化し得る。例えば、このような手法により、相対的に
純粋形態の有機酸をその有機塩から直接回収することが
可能になる。副産物塩基(例えばアンモニア)は、pH
調整のために発酵工程で再使用するために回収され、し
たがって有機酸の製造のための経済的かつ環境的に優れ
た選択を可能にする。他の場合、例えば重亜硫酸ナトリ
ウム、トロナまたは硫酸カルシウムを用いるような場合
には、電気透析は、酸、塩基成分を回収またはリサイク
ルするための環境的に優れた経路を提供する。
【0008】電気透析は、塩出発物質の加工流の溶液中
のイオンの運動を引き起こすための手段として直流を用
いる。電気透析工程は、通常、複数の平板イオン交換膜
およびガスケットシートが一緒に締付けられるスタック
を包含する配置で実施される。これらのシートは、酸お
よび塩基を生成する塩物質を含有するための流路を提供
する。加工装置は、水を水素イオン(H)とヒドロキ
シルイオン(OH)に分離するための手段を要する。
【0009】水を分離するための2つの有用な手段を以
下に示す: (1)双極性膜として機能する陽イオンおよび陰イオン
膜の組合せにより形成される双極性膜または双極性モジ
ュール。適切な双極性膜はGraver Waterの
一部門であるAqualyticsから、ならびに徳山
曹達およびFormic Corporationから
入手可能である。;そして (2)陽極および陰極からなる一組の電極。電極、特に
陽極は、とりわけ化学的安定性のため、電力消費を最小
限にするため、そして水素(陰極)および酸素(陽極)
以外の副産物の生成のために、被覆される。適切な電極
は、Eltech Corporation、Elec
trode Products Inc.およびその他
から入手し得る。水素減極化陽極はさらに、陽極のすぐ
近くの電極流の水性溶液中にHイオンを発生し得る。
【0010】本出願人の上記の同時係属中出願に記載さ
れているように、スタックはいずれかの末端に電極(陽
極および陰極)を、そしてそれらの中間に開放活性領域
を有して膜により分離される複数の隔室を形成する一連
の膜およびガスケットを含有する。通常、分離溶液(電
極液)は、電極を有する各隔室にも供給される。特殊膜
を電極の近くに置いて、プロセス流と電極流とが混合す
るのを防止してもよい。
【0011】電極隔室間の大多数のスタックが、隣接膜
間の溶液隔室を有する異なる膜の反復する一連のユニッ
トを含む。反復ユニットの各々は「ユニットセル」また
は単に「セル」と呼ばれる。ガスケットおよび膜の一部
として形成される内部マニホールドにより、または内部
および外部マニホールドの組合せにより、溶液は隔室に
供給される。スタックは2つ以上の型のユニットセルを
含み得る。
【0012】工程効率を最適化するために、加工液の流
れは1つのスタックから別のスタックに供給される。ス
タックを通過後、加工液流の組成の変化が相対的に小さ
い場合には、加工溶液はポンプでリサイクルタンクに、
そしてそこからリサイクルされる。新鮮な加工溶液のリ
サイクルループへの付加およびそこからの製造の中断
は、所望の範囲内に生成物の濃度を保持するために、連
続的にまたは周期的に行うことができる。
【0013】双極性膜を用いて塩から酸または塩基を生
成する場合、膜が水スプリッターとして機能するため
に、各膜の陰イオン選択層が陽イオン選択層よりも陽極
に密着するよう、成分イオン交換層を配置しなければな
らない。この配置の膜を通過する直流は水分離を引き起
こして、OHイオンが膜の陽極側に生成され、それに
対応する数のHイオンが陰極側に生成される。解離塩
陰イオンは陽極に向かって移動する。解離塩陽イオンは
陰極に向かって移動する。
【0014】電気分解工程は、2つの電極で生じる水分
離と同様の方法で行われる。直流が出現する場合、水分
子は陽極では酸素ガスに転化され、同時にHイオンが
水性溶液中に導入される。陰極では、水分子は水素ガス
に転化され、同時にOHイオンが水性溶液中に導入さ
れる。水素減極化陽極ベースの電気分解ユニットでは、
OHイオンは陰極の近くの水性溶液中に放出される。
放出される一方、水素ガスはHイオン発生のための触
媒的水素減極化陽極に送達される。
【0015】酸/塩基製造用の電気透析装置は、双極
性、陽イオンおよび陰イオン膜からなる3つの隔室セル
を有する;すなわち、双極性および陽イオン(または陰
イオン)性膜を有する2つの隔室セル;双極性および2
つ以上の陽イオン膜からなる多室2隔室電気透析セル。
「双極性膜」という用語は、電極および複合バイポーラ
の使用といったような双極性等価構造も含む。図1は、
3つの最も有用な配置に関するユニットセルを示す。
【0016】具体的な参考文献を以下に示す: −”Electrodialysis Water S
plitting Technology”by K.
N.Mani; J.Membrane Sci.,
(1991),58,117−138 −米国特許第4,082,835号、第4,107,0
15号、第4,592,817号、第4,636,28
9号、第4,584,077号、第4,390,402
号および第4,536,269号。
【0017】本発明の一局面によれば、電気透析装置
は、電気透析セルの上流のナノ濾過ユニットの付加によ
り、または電気透析セルと組合せてセルの塩基ループと
交通させる下流イオン交換カラムの使用により、改良さ
れる。あるいはナノ濾過とイオン交換カラムの両方を用
いてもよい。
【0018】本発明の別の局面では、塩基生成物の適切
な希釈と組合せて一価選択性陽イオン膜を使用すること
により、電気透析セルの信頼できる非付着操作を可能に
して塩から酸および塩基を製造することができる。
【0019】セル構成 図1aは、双極性(−+で示す)膜22、23および陰
イオン(−で示す)膜24、26からなる2隔室セル2
0を示す。塩/塩基隔室(S/B)は、双極性膜22の
陰イオン面と陰イオン膜24との間に位置する。酸隔室
(A)は、双極性膜22の陽イオン面と別の陰イオン膜
26との間に位置する。これらの2隔室(S/Bおよび
A)と膜22〜26との組合せは、「ユニットセル」ま
たは単に「セル」と呼ばれる。その場合、セル隔室は、
図のようにS/B’で反復し、連続する。200以上の
このようなセルが陽極(+)28と陰極(−)30との
間に集成してもよい。
【0020】酸性化される塩溶液32の加工供給物流、
例えば乳酸溶液MXは塩/塩基隔室S/Bに供給される
が、水34からなる液体は酸隔室に供給される。直流駆
動力下では、双極性膜22は水を分離し、図に示すよう
にHおよびOHイオンを発生する(図1a)。同時
に、塩流MXの解離により生じるX陰イオンは陰イオ
ン膜を通って酸隔室に運搬され、そこでそれらはH
オンと結合して酸HXを生成する。本工程は以下のよう
に概略的に示すことができる: (塩/塩基隔室) MX+OH−X=MOH (酸隔室) H+X=HX
【0021】本工程は、本出願人の以前の同時係属中の
特許出願に十分詳述されている。本工程は、弱塩基の塩
の加工処理に、特にアンモニウム塩の加工処理に最もよ
く適している。生成され得る酸生成物の濃度はほぼ1〜
6Nのであり、高濃度の方が弱有機酸に適している(約
2.5以上のpKa)。供給物塩は同時にアルカリ性に
なる。pHはアンモニア製造に関しては約10〜11で
ある。
【0022】図1bは、双極性膜および陽イオン膜(+
で示す)からなる2隔室セル36を示す。塩基隔室
(B)は双極性膜の陰イオン面38と陽イオン膜39と
の間に位置する。塩/酸隔室(S/A)は双極性膜の陽
イオン面40と別の陽イオン膜42との間に位置する。
2つの膜と2つの隔室の組合せは「セル」と呼ばれる。
200以上のこのようなセルが陽極と陰極との間に集成
され得る。
【0023】酸性化される塩溶液(例えば有機酸溶液M
X)は塩/酸隔室S/Aに供給されるが、水からなる液
体は塩基隔室Bに供給される。直流駆動力下では、双極
性膜は、図1bに示すようにHおよびOHイオンを
発生する。同時に、塩MXの解離により生じるM陽イ
オンは陽イオン膜を通って塩基隔室に運搬され、そこで
それらはOHイオンと結合して塩基MOHを生成す
る。本工程は以下のように示すことができる: (塩/酸隔室) MX+H−M=HX (酸隔室) M+OH =MOH
【0024】この配置により有効に実施される塩の転化
は、使用された電流の量(クーロン)、塩溶液の濃度、
そして重要なのは、関与する酸のpKaにより確定され
る。pKa値が約2.5より大きい弱解離酸に関して
は、転化は約80%〜約97%である。ほとんどの有機
酸、例えば乳酸、酢酸、クエン酸、ギ酸およびその他の
酸は、この範疇に適合する。酸生成物中の残留陽イオン
含有物は、必要な場合には、慣用的陽イオン交換樹脂に
より除去することができる。
【0025】図1cは、双極性膜46、陽イオン膜48
および陰イオン膜50を用いる3隔室セル44を示す。
3隔室、すなわち酸(A)、塩基(B)および塩(S)
は、図に示すように、これら3つの膜の間に位置する。
膜および隔室の全体の組合せを「セル」と呼ぶ。図1b
の2隔室セルの場合と同様に、単一の組の電極の間に多
数のセルを設置してもよい。この3隔室セル配置は、酸
および塩基、特に塩酸および硝酸のような強酸、ならび
に水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのような強塩
基の製造に関して最も一般的なものである。
【0026】塩溶液は、陽イオン膜48と陰イオン膜5
0との間に位置するS隔室に供給される。水からなる液
体は、双極性膜のいずれかの側に位置する酸および塩基
隔室に供給される。直流駆動力下では、双極性膜46で
発生したHおよびOHイオンはそれぞれ酸隔室Aお
よび塩基隔室Bに運搬される。同時にMイオンは陽イ
オン膜48を通って塩基隔室Bに運搬され、Xイオン
は陰イオン膜50を通って酸隔室Aに運搬される。正味
作用は、塩MXからの相対的に純粋な酸(HX)および
塩基(MOH)生成物の製造である。
【0027】生成物酸または塩基のpKが中間範囲であ
る塩を加工処理する場合には、2以上の陽イオン膜ある
いは2以上の陰イオン膜とともに双極性膜を包含するそ
の他のセル配置も用いることができる。このようなセル
配置は、図1aおよび1bに示した2隔室セルの転化と
比較して、より高い電流効率で塩を酸および塩基に転化
するが、資本経費および作業経費も高い。
【0028】HおよびOHイオンの供給源として電
極を用いる工程の操作はしばしば電気分解と呼ばれ、こ
れはOおよびHのそれぞれ陽極および陰極での同時
生成を伴う。電気分解操作は、上記の双極性膜電気透析
の操作と同様である。これら2つの操作間の主な差異
は、陽極と陰極との間に出現する膜である。一組の電極
を有する各セルを用いて、多数のセルが単一工程ユニッ
トに集成される。セル間の電気的および液圧的接続は、
コンパクトな商業的工程ユニットを形成するために、直
列のまたは並列の組合せで行うことができる。例示の参
考文献を以下に示す: −Meliere,K.A.,et al,”Desc
ription and Operation of
Stone&Webster/IonicsSO2 r
emoval and recovery”US NT
IS Report,PB−242 573,(197
4),1109−26. −米国特許第3,475,122号。
【0029】図2a〜2bは、2つの考え得るセル配置
を示す。特に、図2aは、2つの陽イオン膜58、60
および陽極(+)および陰極(−)間に位置する3隔室
を用いるセル56を示す。工程の操作は、図1bに示し
た2隔室陽イオンセルの操作と同様で、弱酸のそれらの
塩からの製造に特に適用可能である。陽極62の近くの
緩衝液隔室である隔室A’中では、別個の酸性流が循環
される。加工処理されるべき塩工程流は、2つの陽イオ
ン膜58、60間の隔室中で循環される。緩衝液隔室
A’および陽イオン膜60は、塩流を含有するために用
いられる。緩衝液隔室が好適であるが、2隔室セルの操
作は不可欠ではない。
【0030】水からなる流れは、陰極64の近くのB隔
室で循環される。直流駆動力下では、水の解離からの副
産物である酸素および水素とともに、HおよびOH
イオンがそれぞれ陽極および陰極で発生する。同時に、
イオンは一次陽イオン膜58を通って中間塩/酸
(S/A)隔室に運搬され、そこで陰イオンX−と結合
して酸HXを生成する。M陽イオンは二次陽イオン膜
60を通ってB隔室に運搬され、塩基MOHを生成す
る。それらの反応を以下に要約する: (緩衝液A’隔室) HO=1/2O↑+2H+2e (Hは一次陽イオン膜を通って運び出される) (塩/酸隔室) 2MX+2H−2M=2HX (塩基隔室) 2HO+2e=2OH+H↑ 2M+2OH=2MOH (全体的) 2MX+3HO=2HX+2MOH+H↑+1/2O
【0031】図2bは、陽極74および陰極76間に2
つの陽イオン膜68、70および1つの陰イオン膜72
を用いる4隔室セル66という別のバージョンを示す。
このセル66の操作は、図1cに示されている3隔室セ
ルの操作と同様である。セル66は相対的に純粋な酸お
よび塩基を発生できる。塩MXは陰イオン膜72と二次
陽イオン膜70との間の隔室Sに供給される。陰イオン
膜は供給物塩からの酸生成物を分離する。他の方法で
は、セルの操作は図2aに示されている2隔室セルの操
作と同様である。
【0032】図2a、2bのセル56、66を双極性膜
ベースのセル20、36、44(図1a〜1c)と比較
した場合、酸および塩基生成物とともに電極での水素お
よび酸素の同時生成は、工程への約1.2V/セルの付
加的エネルギー入力を要する。この電力負荷を低減でき
る一つの選択は、慣用的陽極に代わる水素減極化陽極の
使用である。
【0033】図3は、水素減極化陽極を有するセル78
の構成を示し、これは図2aのセル56と概念的に同一
である。このようなセルでは、陰極80で生成された水
素ガスは陽極82に戻され、そこで酸化されてガス拡散
電極で陽子になる。Hイオンはガス拡散電極82近く
の水性溶液中に放出される。この技法はセル電圧を約1
ボルト/セルだけ低下させ、したがって電力消費レベル
を双極性膜を用いた場合セルで得られるものにやや近い
レベルに低減することができる(Membrane &
Separation Technology Ne
ws,(1996),15(2),2−4)。ガス拡散
陽極を用いるその他のセルの形状は、当業者により具体
化することができる。
【0034】本開示のために、本セルは、双極性膜、す
なわち双極性膜として一緒に行動する陽イオンおよび陰
イオン膜の組合せを用いる。本セルはさらに、双極性膜
等価物、例えば電極および複合バイポーラーを用いる構
造を使用してもよい。HおよびOHイオンを発生す
る一組の電極を有するセル、すなわち陰極で水素ガスを
収集し、それを一方の多孔質触媒電極に注入してH
発生する水素減極化陽極ベースのセルは、等価であると
考え得る。「双極性膜」という用語またはその等価物
は、本明細書中で用いられる場合、これらの選択のいず
れかを示す。
【0035】通常の濾過/限外濾過および炭素処理工程
にもかかわらず、水分離適用に電気透析セルを使用する
場合の大きな問題は、供給物塩が有意量の二価金属イオ
ン、特にカルシウムおよびマグネシウムを含有すること
である。供給物流を加工処理する場合、金属イオンは電
気透析ユニットの塩基ループに運搬される。それらの溶
解性が不十分であるために、金属イオンは塩基ループ中
に沈殿される。塩基ループ内側のこれらのイオンの沈殿
はセルを塞ぎ、膜を損傷して、それにより電流スループ
ットを低減し、極端な場合には、オーバーヒートおよび
おそらくはメルトダウンに起因する機械的故障を引き起
こす。
【0036】樹脂ベースのイオン交換は、電気透析セル
の適切な操作のために必要な低レベルに供給物流中のカ
ルシウムおよびマグネシウムレベルを低減するために用
いられる標準技法である。このアプローチに伴う問題
は、供給物流のpHが塩基物質の付加により>9に上昇
されねばならないことである。供給物流は、イオン交換
工程が有効であるように、再び濾過される(生成された
あらゆる沈殿を除去するために)。このような工程は、
例えば電気分解による苛性ソーダの製造におけるNaC
l流の精製において実行される。
【0037】商業的に重要な方法からの塩の多くは、酸
性または中性である。これらの塩は、有機酸、例えば乳
酸、クエン酸、酢酸、2−ケトグロン酸等へのデキスト
ロースの発酵に起因する。これらの塩は4〜7の範囲の
pHを有し、有意量の遊離酸ならびに発酵工程中に栄養
素として加えられていたカルシウムまたはマグネシウム
を含有する。このような塩溶液は、イオン交換カラムの
有効な操作が保証される点までpHを上げるために、か
なりの量のアルカリを加えることが必要である。加えら
れた塩基は、その場合、膜面積および電力消費の資本経
費に換算して付加経費で、電気透析ユニット中に回収さ
れねばならない。
【0038】酸性塩が生成される別の適用は、煙道ガス
脱硫化の場合である。その工程では、煙道ガス中の二酸
化硫黄は亜硫酸ナトリウムの溶液(pH9.5〜11)
中に吸収されて、重亜硫酸ナトリウムの酸性塩溶液(p
H4〜5.5)を生じる。次に電気透析ユニット中で重
亜硫酸塩流を加工処理して、SO生成物およびアルカ
リを回収し、これを吸収器にリサイクルさせることがで
きる(米国特許第3,475,122号;第4,08
2,835号)。しかしながら、問題は、化石燃料の燃
焼に由来する煙道ガスが、通常はカルシウムおよびマグ
ネシウム化合物、ならびにおそらくは煙道ガスが通過す
る管路からの腐食生成物(鉄)を含むフライアッシュ由
来不純物を含有することである。これらの不純物の存在
は、水分離器中の重亜硫酸塩流の加工処理を、不可能で
ないとしても、かなり難しくする。
【0039】同様の状況は、炭酸ナトリウムまたは水酸
化ナトリウムを製造するために用いられる不純アルカリ
性ナトリウムブライン流の加工処理の場合に存在する。
ブライン流はある種の表面供給源(例えばカリフォルニ
アのSearles Lake)から、または無機質
源、例えばワイオミングのGreen Riverでの
採鉱により得られるトロナ(ナトリウムセスキカルボネ
ート)からのものである。水分離工程では、無機質は酸
性化されて、酸ループ中に二酸化炭素を遊離する。工程
の選択に依って、酸性化生成物を、地上反応器中かまた
は坑内採鉱(溶液採鉱)における付加的ナトリウム無機
質と反応させて、遊離CO2および中性ナトリウム塩
(例えば硫酸ナトリウム)を遊離させる。
【0040】同時に、塩基ループでは、苛性ソーダ生成
物を重炭酸塩供給物の一部と反応させることにより、ま
たは塩基ループで生成される水酸化ナトリウム中に二酸
化炭素を吸収させることにより、炭酸ナトリウムが生成
される。米国特許第4,584,077号、第4,59
2,817号および第4,636,28号には、このよ
うな工程の例が含まれている。硫酸ナトリウム、重炭酸
ナトリウム、塩化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの他
に、とりわけ電気透析によるそれらの直接加工処理を妨
害し得るいくつかのカルシウムおよびマグネシウム化合
物も含有される。
【0041】上記のそして他の同様の適用において、上
流のpH調整およびイオン交換の必要のない、pH9〜
14で対応する酸およびアルカリを生成するために酸性
またはほぼ中性のpHの塩を処理することができる改良
型の装置および方法を有することが非常に望ましい。
【0042】本出願人の以前の同時係属中の特許出願第
08/639,831号は、一価有機酸のアンモニウム
塩を含有する溶液中のカルシウムおよびマグネシウムレ
ベルを低減するためのナノ濾過工程の使用を開示する。
その後、このような溶液を双極性膜および陰イオン膜を
有する2隔室電気透析セル中で加工処理する。この工程
は、pH約10のアンモニア性有機塩溶液および有機酸
の濃縮溶液を生じる。双極性膜表面での沈殿物生成を低
減または排除するのに有効である一方、同時係属中の出
願は濃アルカリ性溶液の生成または多価酸の生成を扱わ
ない。
【0043】pH9〜14の範囲での濃アルカリ性流、
例えばアンモニア、亜硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、水酸化ナトリウムおよびその他の物質を生成するた
めの優れた装置、ならびにこのような流れを生じる方法
の必要性がある。
【0044】pH調整または上流イオン交換樹脂ベース
の軟化工程を必要とせずに、電気透析セルの信頼のおけ
る長期操作および濃アルカリ溶液の生成を達成する、塩
溶液を転化し得る改良型方法に対する別の必要性が存在
する。
【0045】相対的に純粋な酸副産物を同時に生成し得
る方法もさらに必要とされる。さらに、相対的に純粋な
酸または実質的酸性化塩流を生成しながら、有機または
無機酸のアンモニウムまたはアルカリ金属塩の濾過/限
外濾過溶液を直接加工処理して濃アンモニアまたはアル
カリを生成することができる新規の装置および方法に対
する必要性も存在する。
【0046】
【発明が解決しようとする課題および発明を解決するた
めの手段】本発明は、種々の塩流を相対的に純粋な酸お
よびアルカリ生成物に転化するための改良された装置、
方法および工程を提供する。アルカリ生成物はほとんど
あらゆるpHのものであってもよいが、多くの適用に関
しては、pHは好ましくは7〜約13.5の範囲であ
る。本発明は、以下の多数の知見から生じた:(a)あ
る種の有機酸の塩を加工処理する場合、多価陽イオンは
外見上有機陰イオンと結合する。これは塩または塩/酸
溶液からのそれらの運搬を実質的に低減する。 (b)適切な陽イオン膜を用いて、そして弱酸を処理す
る場合、二価金属陽イオンの一部は供給物塩ループ中に
保持され得る。残りのこれらの陽イオンは、陽イオン膜
の付着を引き起こさずに塩基ループに運搬される。
(c)運搬された二価金属は、アルカリ生成物溶液中で
低いがしかし有限の溶解度を有する。
【0047】塩基ループ中の十分に低濃度の二価金属を
獲得し、保持し得る適切な装置を発明することにより、
これらの金属の沈殿は起きないかまたは重大な問題とは
ならない。塩基ループ中に低濃度の二価金属を保持し、
それによりそれらの沈殿を防ぐと、意外にも、例えば高
度のかつ安定した電流スループット、ならびに分路およ
び漂遊電流関連の加熱および融解の問題の排除といった
有益な効果が得られる。電気透析セルハードウエアおよ
び工程の長期無故障操作がそれにより達成される。
【0048】本発明の一局面は、弱、低分子量一価酸の
塩を加工処理することにある。この場合、供給物溶液
(例えば乳酸アンモニウムまたは酢酸アンモニウム)は
ナノ濾過を施される。最も有効なナノフィルターは、約
200ダルトン程度の等級を有する。したがって、有効
に加工処理され得る酸の分子量は、約150ダルトン未
満である。供給物はほとんどあらゆるpHであり得る
が、好ましくは4〜10の範囲である。ナノ濾過工程
は、塩流中の二価金属含量が総計約25ppm未満であ
る濾液を生成する。
【0049】次に、双極性膜(またはそれらの等価物)
および陽イオン膜を含有する2隔室セル中で、精製塩流
が加工処理される。供給された塩流は、双極性膜の陽イ
オン側と陽イオン選択膜との間に含有される塩/酸隔室
に供給されるが、水の流れは陽イオン膜と双極性膜の陰
イオン側との間の塩基隔室に供給される。直流駆動力下
では、供給物塩は、双極性膜により生成されるH+イオ
ンの結果として技術的および経済的に実行可能な程度
に、セル中で酸性にされる。
【0050】同時に、塩陽イオンは塩基ループ中に運搬
され、そこで双極性膜により生成されたOHイオンと
結合して塩基生成物を生じる。酸ループ中の酸への塩の
転化の程度は、通過する電流の量(クーロン)により、
そして酸のpKaによって主に確定される。pKa値が
〜2.5より大きい弱酸に関しては、80〜97%の転
化が認められる。多数の有機酸はこの範疇に当てはま
る。
【0051】本発明は、pH5〜14の範囲、好ましく
は7〜13.5の範囲、さらに好ましくは8〜11の範
囲で、塩基生成物に用いることができる。供給物流が同
一陽イオンを有する強酸の付加的塩(例えば乳酸アンモ
ニウムおよび硫酸アンモニウム)を含有する場合、付加
的塩は支持電解質となる。弱酸の式量転化はほぼ100
%である。時としては、系の他の部分が、この元の供給
物の部分でなかった弱酸を含有することがあるが、この
場合、弱酸転化は供給物中の弱酸の100%を超えるこ
とができる。その場合、生成物酸は多少余分のHイオ
ンを有する。生成物塩基は典型的には1〜5Nの強度で
ある。
【0052】本発明の第二の局面は、一価酸の塩(分子
量約150未満)にナノ濾過を施し、その後、双極性膜
(またはその等価物)、陽イオン膜および陰イオン膜を
有する3隔室セル中で加工処理することである。その多
価陽イオン含量を約25ppm以下に低減するためにナ
ノ濾過後、供給物塩溶液はあらゆるpH値(好ましくは
4〜10の範囲)であり得る。溶液は、陽イオン膜と陰
イオン膜との間に含有された塩隔室に供給される。水を
含有する液体は酸および塩基隔室に供給される。酸隔室
は双極性膜の陽イオン側と陰イオン膜との間に含有され
る。塩基隔室は双極性膜の陰イオン側と陽イオン膜の間
に含有される。給物溶液は工程中にその塩含量を減じら
れるが、相対的に純粋な生成物酸および塩基が1〜5N
強度の濃度で生成される。
【0053】本発明を用いて、5〜14のpH範囲、好
ましくは7〜13.5のpH範囲、さらに好ましくは8
〜11のpH範囲で塩基生成物を生成することができ
る。2隔室のバージョンに対比して、3隔室セルは低分
子量の一価の強または弱酸の生成に用いることができ
る。
【0054】本発明の別の局面は、電気透析セルの塩基
ループと交通するイオン交換カラムを組み入れた新規の
装置および工程である。供給物塩溶液はあらゆるpH値
を取り得るが、典型的には約4〜10のpH範囲であっ
て、適切に濾過されて不溶性物質を除去し、次いで双極
性膜またはそれらの等価物を含有する電気透析セル中で
加工処理される。
【0055】双極性膜の陰イオン側と隣接単極性膜との
間に含有されるセルの塩基隔室を、イオン交換カラムと
接続する。塩基溶液はセルおよびカラムの両方を通って
循環する。イオン交換カラムは、陽イオン膜を通ってま
たは水性供給物溶液からループに入る実質的に全ての多
価金属イオンを除去できるイオン交換樹脂を含有する。
塩基生成物は、特に塩基ループが陽イオン膜と双極性膜
の陰イオン側との間に含有される場合には、あらゆるp
H範囲(5〜14)であってよい。多価陽イオン(特に
カルシウムおよびマグネシウム)の有効な除去のために
は、塩基ループ中のpHは、好ましくは約7〜14の範
囲、最も好ましくは約8〜11の範囲である。
【0056】電気透析セルは、双極性膜および陽イオン
または陰イオン膜からなる2隔室型;あるいは双極性
膜、陽イオン膜および陰イオン膜からなる3隔室セル型
である。米国特許第4,536,269号;第4,60
8,141号に詳述されたものと同型の2以上の単極性
膜を含有する多小室セルも、改良型工程および方法の一
部として用いることができる。
【0057】本発明の工程および装置は、電気透析セル
の塩基隔室が陽イオン膜と双極性膜の陰イオン面との間
に含有される場合に特に有効であることが判明してい
る。この配置は、多価金属の付加的分離および保持が塩
基ループ中のこれらの金属の量を低減し、それによりそ
れらの単離コストを節約する陽イオン膜により提供され
るため、用いられる。結果的に、これらの種に関するイ
オン交換負荷は実質的に低減され、加工処理される供給
物流中の多価陽イオンの量に関連して、イオン交換カラ
ムは実質的に小さく作られる。
【0058】本発明の別の局面では、供給物塩溶液は、
相対的に低レベルの硬度を有するか、または全体的硬度
をそれらの溶解度レベルに低減するために慣用的pH調
整濾過工程により精製される。このバージョンはさら
に、一価または多価酸の塩を加工処理できる利点を有す
る。例えば発酵による乳酸アンモニウム製造の場合、栄
養素の量は、通常のセル除去および限外濾過工程後に得
られる乳酸アンモニウム溶液が、例えば<50ppm
Caおよび<25ppm Mgを含有するように、注意
深く制御される。塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウム
溶液を用いる場合、精製溶液中のCa、Mgの典型的濃
度は、それぞれ<10ppmおよび<1ppmである。
このような溶液を、次に、一価選択性または一価支持性
陽イオン膜を含有する電気透析セル中で加工処理して酸
および塩基を生成することができる。これらの場合に
は、二価金属の濃度をその溶解度以下に保持するために
十分量の希釈水を塩基ループに加え、その結果、イオン
交換カラムは塩基ループ中に必要でない。
【0059】この新規の装置は、アンモニウム、ナトリ
ウムおよびカリウムのような一価の陽イオンの種々の塩
を加工処理するために用いられる。塩の陰イオンは一価
または多価であり(例えばハロゲン化物有機陰イオン、
重亜硫酸塩、硫酸塩、リン酸塩またはその混合物)、主
な拘束は塩が水に相当に可溶性であることである。
【0060】
【発明の実施の形態】本発明によれば、電気透析装置
は、一価選択性陽イオン膜を組み入れ、電気透析セルの
上流にナノ濾過ユニットを付加することにより、または
電気透析セルと組合せかつセルの塩基ループと交通する
イオン交換カラムを用いることにより、改良される。
【0061】改良型装置は、図4a〜4b、5a〜5c
から良好に理解することができる。当業者は、他の種類
のセルまたはセル設計を具体化することができる。図4
aおよび4bは、図1〜3に示されているような電気透
析ユニットとともにナノフィルターを用いる本発明の装
置を示す。
【0062】図4aは、2隔室陽イオンセル92の上流
を操作するナノフィルター90を示す。セルは、図1
b、2a、3に示した型のものかまたは同様のものであ
るか、あるいは2以上の陽イオン膜を用いてもよい。ナ
ノフィルターは、約200の典型的分子量切断を示す。
適切なフィルターは、Desalination Sy
stems、Filmtecおよびその他から入手可能
である。
【0063】供給物流は一価陽イオンおよび一価陰イオ
ンの塩であり、ほとんどあらゆるpH値であってよい
が、通常は4〜10のpHである。供給物流は多価陽イ
オン不純物を含有し、最初にフィルター90を含有する
ナノ濾過ユニット中で加工処理されて、全体で約25p
pmの二価金属含量を有する濾液を生じる。濾過流はパ
イプ94を通って、セル92の塩/酸隔室96に供給さ
れる。低分子量(すなわち、約150未満)の弱酸の塩
を加工処理する場合、この多価陽イオンのレベル低減は
電気透析セルの長期無故障操作を保証するために適切で
あることが見出された。
【0064】2隔室セル92の塩/酸(S/A)隔室9
6中のナノ濾過供給物流は、通常弱酸、例えば乳酸、酢
酸、ギ酸等であり、双極性膜(またはその等価物)によ
り生成される陽子により酸性にされる。塩陽イオンM
は陽イオン膜98を通って塩基隔室100に運搬され
る。塩基のpHは、塩基(B)隔室96中で双極性膜か
らのOHイオンの流入により生じる。塩基のpHは、
電気透析セルの無故障操作を保証するために、約5〜1
4の範囲、好ましくは7〜13.5の範囲であるよう制
御される。弱塩基、例えばアンモニアが生成される場合
は、後者のpH範囲が自然に達成される。
【0065】あるいは、中和化合物、例えばCO、重
炭酸ナトリウム(NaHCO)、重亜硫酸ナトリウム
(NaHSO)またはSOの付加により、目標範囲
内にpHを維持することができる。その結果生じる塩基
性塩は市場向けの物質(炭酸ナトリウムを用いた場合と
同様に)であるか、または再使用可能な化学物質(例え
ば煙道ガス洗浄に用いるための亜硫酸ナトリウムNa
SO)である。
【0066】本出願人の以前の同時係属中出願(第08
/639,831号)に開示された2隔室陰イオンセル
とともにナノ濾過を用いるのに対照するものとして、図
4aの装置は有意の利点を有する。ある種の陽イオン膜
を用いた場合、ほぼ70〜100A/ftの高電流密
度であっても、一価陽イオンは多価陽イオンよりも効率
よく運搬される。いわゆる一価支持型または一価選択型
の陽イオン膜は、広いpH範囲に亘って、多価陽イオン
が容易に付着しない。図4aの装置は、この現象を利用
して、電気透析セルの塩基ループ中の多価イオン濃度を
さらに低減し、それによりそれらがループ中に沈殿しな
いことを保証する。
【0067】図4bは、ナノフィルター102および3
隔室電気透析セル104からなる別のバージョンの装置
を示す。低分子量一価酸および一価塩基の塩供給物流は
ナノフィルターで加工処理され、次いでセルの塩ループ
106(S)に供給される。もう一度、ナノフィルター
は供給物の多価陽イオン含量を約25ppmに低減する
ことができる。図4aの2隔室陽イオン装置92を用い
た場合と同様に、3隔室セル中の陽イオン膜108は塩
基ループ110への多価陽イオン運搬を低減し、それに
より工程の長期信頼性をさらに改良する。しかしなが
ら、2隔室陽イオンセル92と対比して、3隔室装置1
04は本工程で生成される酸を単離するための超陰イオ
ン膜112を有する。3隔室装置104は強酸または弱
酸の塩を加工処理できるが、その一方で相対的に純粋な
酸生成物を生成する。弱酸および強酸の塩を含有する供
給物流は、この経路によっても加工処理される。再び塩
基生成物のpHは5〜14の範囲であるが、好ましく
は、電気透析セルの無故障操作を保証するために、多数
の適用に関して7〜13.5の範囲であるよう制御され
る。
【0068】図5a〜5cは、電気透析セルの塩基ルー
プと交通するイオン交換カラム114を用いる本発明の
別の装置を示す。この装置は、多価酸の塩を加工処理で
きるため有利である。
【0069】イオン交換カラム114は、塩基ループ溶
液から多価イオンを、特に二価イオンを除去することが
可能な陽イオン交換樹脂を含有する。イオン交換カラム
は、原則として、塩基ループ中の非常に低レベルの多価
(主に二価:CaおよびMg)陽イオンを保持し、生成
される塩基生成物のpHは完全中性全範囲、すなわちp
H7〜14を網羅することができる。適切なイオン交換
カラム操作により、強塩基(例えば水酸化ナトリウムま
たはカリウム)の希釈溶液(0〜15重量%)を生成で
きる。このpH範囲では、弱酸陽イオン交換樹脂が特に
望ましくかつ有効であるが、強酸またはキレート化型陽
イオン樹脂を用いてもよい。好ましい1つの方式におい
ては、塩基ループ中のpHは、二価陽イオンのための一
定の溶解度緩衝液を提供するように、7〜13.5の範
囲に保持される。加工処理操作に用いる前にイオン交換
樹脂が適切な一価陽イオン形態であるのが望ましいが、
それが必要ではない。
【0070】イオン交換カラムを用いる装置の3つのバ
ージョンを、図5a〜5cに示す。他のバージョンを、
当業者は容易に思いつくであろう。
【0071】図5aは、2隔室陰イオンセル118の塩
/塩基ループ116と交通するイオン交換カラム114
を示す。このループは好ましくは、ループ中のpHがイ
オン交換カラムの有効な操作に必要な>7のレベルに保
持されるような供給および放出方式で操作される。塩溶
液の供給物流は塩/塩基(S/B)ループ116に供給
される。生成物塩基は、供給物塩の必要な転化を達成す
るために、120で取り出される。生成物酸122は、
酸(A)ループ124から取り出される。
【0072】イオン交換カラム114は、塩基ループ1
16中の多価陽イオン濃度を工程の長期無故障操作を得
るのに十分低いレベルに保持する。イオン交換カラムが
多価陽イオン種、特にca+2およびMg+2を十分に
装填していた場合には、カラムは塩/塩基リサイクルル
ープから取り出され、慣用的方法で酸を用いて再生さ
れ、その後、供給用に戻される。図5aの装置は、弱塩
基、例えば硝酸アンモニウムまたは乳酸アンモニウムの
塩を加工処理するのに最もよく適している。
【0073】図5bは、2隔室陽イオンセル126とと
もにイオン交換カラム114を示す。この形状は、弱
酸、特に発酵および関連工程から得られる有機酸の塩を
加工処理するのに有用である。セルの塩/酸(S/A)
ループ128に供給される供給物流は、例えばpH約4
〜7の有機酸のアンモニウムまたはナトリウム塩であ
り、有意量(例えば、各々約50ppm)のカルシウム
およびマグネシウムを含有する。
【0074】直流駆動力下で、塩はS/Aループ128
中で酸性化されるが、アンモニウムまたはナトリウムイ
オンは塩基ループ130に運搬される。陽イオン膜13
2は、供給物ループ126中の多価陽イオンの実質的部
分を保持する。しかしながら、加工処理されている酸、
使用される陽イオン膜132、および供給物流の生成物
酸への転化の程度によって、有意量の多価陽イオンが膜
132を通って運搬され得る。
【0075】イオン交換カラムの非存在下では、運搬さ
れた多価陽イオンは塩基ループ130の高pH環境中で
沈殿し、それにより電気透析工程の信頼できる操作を阻
止する。しかしながら、適所にイオン交換カラム114
を用いると、多価陽イオンは選択的にかつ実質的に塩基
ループ130から除去され、それにより装置および工程
操作を劇的に改良する。イオン交換カラム114は溶液
中に非常に低レベルの二価金属を保持できるため、塩基
ループ130はあらゆる中性またはアルカリ性pH、す
なわちpH7〜14であり得る。
【0076】1つの制限は、いくつかの陽イオン膜13
2、例えばAQ陽イオン膜およびNafion陽イオ
ン膜(DuPont)が有意レベルのカルシウム運搬を
示し、運搬されたカルシウムに約14の高pH値で多少
容易に付着されることである。この理由のために、塩基
生成物に関する好ましい−pH範囲は、約7〜13.5
の範囲のpHであることが見出された。アンモニアのよ
うな弱塩基に関しては、この制限は自然に生じる。しか
しながら、ナトリウムおよびカリウム塩、その混合物ま
たはこれらの塩とアンモニウム塩との混合物を扱う場
合、適切な中和化合物、例えばSO、CO、NaH
CO等を加えて目標pH範囲内で塩基生成物を生成し
てもよい。生成物塩基濃度を一定の目標レベルに保持す
るために、塩基ループ130中に水からなる液体を加え
る必要がある。多価陽イオンを除去するためのイオン交
換カラム114の信頼できる操作を保証するために、再
び塩基ループ中のpHは>7に保持する必要がある。
【0077】図5cは、本発明の装置の第三のバージョ
ンを示す。ここでは、3隔室セル136が用いられ、イ
オン交換カラム114はここでも塩基ループ138と交
通する。これは、強酸または弱酸の塩を加工処理する一
方で、相対的に純粋な酸および塩基生成物を生成できる
ため、図5a〜図5cのシリーズの中で最も多目的の装
置である。さらにまた、イオン交換カラム114の信頼
できる操作を得るために、塩基ループ中のpHはpH7
以上に保持される。2隔室陽イオンセル126(図5
b)を用いる場合と同様に、陽イオン膜140は元の供
給物塩中の有意部分の多価不純物を保持し、それにより
塩基ループ138中のイオン交換カラム114上の負荷
を低減し得る。
【0078】多数の商業的に有用な生成物、例えばアン
モニア、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムおよび亜硫酸ナ
トリウムは、9〜11の範囲のpHを有する。したがっ
て、塩基ループに関するこのpH範囲が、この装置に好
ましい範囲である。弱酸イオン交換体は、このpH範囲
での選択性、容量、安定性および経費の点で最も性能が
よく、したがって好ましい。
【0079】供給物塩溶液が相対的により低レベルのカ
ルシウムおよびマグネシウムを有する場合、塩基ループ
中のイオン交換カラムの使用は、電気透析が一価陽イオ
ンに対して特に選択性である陽イオン膜を用いることで
あって、かつカルシウムおよびマグネシウム濃度を塩基
生成物中のその溶解度レベル以下に保持するために塩基
ループ中に十分量の希釈水含有流が付加された場合に
は、必要でない。
【0080】本発明の装置および工程は、以下の実施例
によりさらによく理解される。実験はすべて、図6に示
されているように組み立てられた8セル監視電気透析ス
タック149を用いて実施した。本装置および工程を実
証するために弱酸の塩を用いた2隔室陽イオンセルで、
全実験を実施した。
【0081】スタック149は、電極154、156が
取り付けられ、溶液がそれを通ってスタックに供給さ
れ、スタックから除去される端板150および152を
含む。膜を分離し、溶液隔室AおよびBを形成するため
に用いられるガスケットは、厚みが0.76mmであっ
た。各ガスケットは開口中央面積が465cm(0.
5ft)であって、そこを電流が通る。開口中央領域
は開放メッシュスクリーンを充填されて膜が分離されか
つ支持されるよう保持し、良好な乱流を促進した。ガス
ケットに開けられた孔は、内部マニホールドを形成する
よう配列された。マニホールドと開口中央領域を接続す
るスロット(ロ)は、各隔室を出入りする溶液の流れを
提供する。
【0082】スタックは、被覆金属(ルテニウム)酸化
物陽極154(ElectrodeProducts
Inc.)、電極洗浄隔室(ER)158、Sybro
nChemicals MC 3475陽イオン膜16
0(強度付加のために使用)および7反復セルを用い
た。各セル(例えば162)は、酸隔室A 164、お
よびCMV、AQ、CMSまたはCMT陽イオン膜16
6を含有する。AQ膜はGraver Waterの一
部門であるAqualyticsから、CMS膜は徳山
曹達から入手可能であるが、一方他の膜は旭硝子株式会
社の製品である。各セルはさらに、塩基隔室B 168
および双極性膜170(Aqualytics)を有す
る。
【0083】スタック149中の7つの双極性膜の最後
の172の次には酸隔室A 174、陽イオン膜(セル
1〜7と同型)176、塩基隔室B 178、別の双極
性膜180、電極洗浄隔室(ER’)182およびステ
ンレススチール陰極156が配置された。
【0084】電気透析実験を実施するために、図7に略
図で示されている系中に集成スタック149を配置し
た。3つのポンプ(P1〜P3)を用いて、2〜3.5
リットル/分の速度で、溶液をそれぞれのリサイクルタ
ンク204、202、194から酸(190)、塩基
(192)および電極洗浄隔室に循環させた。酸ループ
196はバッチモードで操作され、塩基ループ198は
供給および放出モードで運転された。操作中、必要な場
合には、新鮮な水または塩溶液をポンプP4を介して補
給クンク208から加えてもよい。塩基および電極洗浄
タンク202、194は、各々5リットルの予備容量を
有し、一方、酸リサイクルタンク204は180リット
ル/バッチの量を加工処理する容量を有した。酸タンク
中の冷却水コイルは温度を制御する。
【0085】いくつかの実験では、弱酸樹脂(Rohm
& Haas CompanyからのIRC 84)
を含有するイオン交換カラム206を塩基リサイクルル
ープ198中に用いた。カートリッジフィルター21
0、流量計212および圧力計214を各ループ中に用
いて、3つのループにおける公知の流速および圧力降下
での透明液の流れを保証した。別個のポンプ(図示せ
ず)を用いて、供給物塩溶液を酸リサイクルタンク20
4に供給した。DC電力供給(図示せず)をスタックの
陽極および陰極端子216、218まで繋いだ。電流入
力および電圧を提供および制御するために必要なコント
ローラーは、電源それ自体にある。導電率計220を酸
および塩基ループ中に用いて、電気透析操作の進行を監
視した。
【0086】酸タンク204に供給される必要量の濾過
塩溶液を、系に最初に入れた。希釈アルカリ溶液を少量
の塩溶液とともに塩基タンク202に加えて、必要な電
気導電率を提供した。電極洗浄タンク194を約5重量
%の硫酸で充填した。ループの各々で4〜9psiの入
口圧力降下を得るために、再循環ポンプP1〜P3を開
始させて、流れを調整した。DC電流を作働させて、バ
ッチの開始時に約40A(電流密度80A/ft2)と
なるようアンペア数を調整した。
【0087】バッチが進行すると、陽イオン膜222を
通る一価陽イオン(NH 、KまたはNa)の運
搬および酸ループ中での酸の同時生成のために、酸溶液
の導電率は減少した。その結果、セル電圧はバッチが進
行すると、約38Vの設定電圧限界に達する(約4Vの
ユニットセル電圧を示し、電極洗浄ループに関しては6
ボルトを可能にする)まで増大した。工程は、電流スル
ープットの低減に伴って継続した。
【0088】本工程は、目標酸導電率、典型的には10
mS/cmが達成された場合に、完全であると見なされ
る。塩基隔室192においては、一価陽イオンはOH
イオンと結合して塩基生成物を生成する。塩基ループ中
の導電率は、必要な場合には、塩溶液を加えることによ
りほとんどの実験に関して>10mS/cmに保持され
た。ループ中でpHを<13.5に保持するために、乳
酸ナトリウムを加工処理する場合には、塩基ループにC
も加えた。
【0089】
【実施例】3つの異なる塩供給物を加工処理して、本発
明の有用性を実証した。塩、すなわち乳酸アンモニウ
ム、乳酸ナトリウムおよび2−ケトグロン酸アンモニウ
ム(NH−2KLG)は、デキストロースの発酵から
の生成物であった。塩溶液のpHは4.5〜9の範囲で
あり、導電率は30〜60mS/cm、および塩含量は
70〜約200gm/lであった。実験はすべて、周囲
温度(20〜32℃)またはほぼ周囲温度で実施した。
【0090】実施例1 AQ双極性膜およびCMV陽イオン膜を用いて、パイロ
ットセルを組み立てた。限外濾過乳酸アンモニウム溶液
106リットルを酸リサイクルタンク204に入れた。
導電率およびpH測定により、酸への転化を監視した。
塩基ループ198はイオン交換カラム206を有してい
なかった。塩基タンク202に先ず希釈水酸化アンモニ
ウム溶液を入れて、ED工程を操作すると、生成物アン
モニア溶液が塩基リサイクルタンク202から流出し
た。少量の希釈NaCl溶液を塩基ループ198に加え
てその導電率を改良した。酸ループ導電率が約7mS/
cmあたりに低下した場合に、本工程は完了と見なされ
た。試験は約15時間継続した。酸および塩基の標本を
収集し、乳酸、アンモニアおよび二価金属に関して分析
した。結果を以下に示す:
【0091】★
【表1】
【0092】本試験は、87gm/lの乳酸濃度で生成
物96リットルを生成した。アンモニア除去率は約87
%であった。表に示したように、酸ループ196中のp
Hは乳酸塩が酸形態に転化されると減少する。本工程へ
の平均電流入力は36.4A(72.8A/ft)で
算出された。塩基ループ198への乳酸損失は、約1.
5%で算出された。全体的電流効率(すなわち、運搬さ
れたアンモニアの当量/電流入力ファラデー)は約55
%であった。
【0093】以下の表は、CMV陽イオン膜を通る酸か
ら塩基ループ198への金属の運搬を要約する。試験
中、酸中のNa、CaおよびMgレベルは低減したが、
これらのレベルは塩基中では増大した。酸ループ中の残
留アンモニア濃度の一関数として、塩基ループ198中
のこれらのイオンの保持%も示す。保持数は、累積、す
なわち工程開始時からの数値である。
【0094】★
【表2】
【0095】塩基ループ224中のpHは、約10〜1
0.5であった。塩基ループ198中の二価金属の溶解
度を、カルシウムに関しては8〜20ppmで、マグネ
シウムに関しては4〜10ppmで概算した。バッチが
進行した場合、塩基ループ中のCaおよびMgの漸減レ
ベルは時間に伴う塩基ループ中のこれらの金属の沈殿傾
向を示す。CMV陽イオン膜は有意量の多価金属、特に
マグネシウムおよび鉄を保持することが分かる。特定期
間では、約100%の鉄、約83%のマグネシウムおよ
び約55%のカルシウムが酸ループ中に保持される。実
験終了時、CMV膜は明らかに優れた物理的状態であっ
て、二価陽イオンは付着していなかった。
【0096】実施例2 CMV陽イオン膜をAQ陽イオン膜に置き換えた後、実
施例1を反復した。乳酸アンモニウム供給物106.5
リットルを817分かけて加工処理し、平均電流入力は
33.2A(66.4A/ft)で1.58gm/l
のNHを含有する生成物酸を得た。アンモニア除去率
は約92%であった。アンモニアループへの拡散による
乳酸損失は、約2.8%であった。本方法に関する全体
的電流効率は約68%であった。しかしながら、金属分
析は、二価金属の保持率がCMVに関する値より低い;
すなわちマグネシウムに関しては約42%、カルシウム
に関しては約37%であることを示した。したがって、
本試験からのアンモニア溶液は、高レベルの溶解金属を
有した:カルシウム約10〜19ppmおよびマグネシ
ウム5〜31ppm。実験終了時、AQ陽イオンは外見
上ややまだらであったが、これは二価陽イオンが付着し
た可能性を示す。
【0097】実施例3 70〜92gm/lの乳酸塩を含有し、初期導電率が2
8〜42mS/cmである乳酸アンモニウム供給物の8
つのバッチを、パイロットセル中で加工処理した。セル
はAQ双極性膜、および実施例1で用いたCMV陽イオ
ン膜を含有した。流入供給物流に限外濾過(200,0
00ダルトン切断)処理を施した。塩基ループ198中
にはイオン交換カラム206は存在しなかった。塩基ル
ープ198中では、水酸化アンモニウムは30〜66g
/lの濃度であり、生じた導電率は11〜32mS/c
mであった。少量の乳酸陰イオンの塩基ループ198へ
の拡散は、ループ中に必要な導電率を提供した。これら
の操作中波、水または塩溶液の付加はなされなかった。
バッチは種々のサイズを有し、6.35〜40.3時間
持続した。酸ループ導電率が約7〜10mS/cmに低
減した場合に、各バッチを終了した。バッチ工程中、酸
ループ196中のアンモニウムイオン濃度は7〜12g
m/lから1.1〜3.6gm/1に低下した。各バッ
チに関しては、全体的セル電圧を約38ボルトに制限し
た。40Aに制限された電流入力(80A/ftの初
期電流密度を示す)は、バッチが進行した場合、低減し
た。各バッチに関して、平均電流入力を算出した。結果
を以下に示す:
【0098】★
【表3】
【0099】操作終了時にセルを開き、点検した。双極
性膜およびCMV陽イオン膜は良好な状態で、付着の物
理学的証拠は認められなかった。しかしながら、塩基隔
室192中に一定量の沈殿が認められたが、これは容易
に洗い落とせた。沈殿を分析した結果、Ca 16.4
%、Mg2.5%、Na 0.5%、K 0.1%およ
びFe350ppmであることが判明した。これらの操
作は、電流スループットの漸進的低減を立証したが、こ
れは、供給物流中の二価金属の存在およびそれらの塩基
隔室192中のアルカリ環境への運搬から起きる。二価
陽イオンによる塩基隔室192の詰まりおよび双極性膜
表面の遮断は、セル性能を低減した。
【0100】実施例4 発酵により得られる乳酸ナトリウム供給物流を用いて、
4つのバッチ実験を実施した。約5.4のpH値を有す
る限外濾過供給物溶液は、そのナトリウム塩形態で約1
05gm/lの乳酸を、ならびに約21ppmのCaお
よび62ppmのMgを含有した。供給物塩は〜25g
m/lのナトリウム含量を有した。パイロットセルは8
つのAQ双極性膜、7つのCMV陽イオン膜(そのうち
1つは新規、6つは前記の実施例1、3からの物であっ
た)および1つの新規のAQ陽イオン膜を含有した。セ
ル電圧は再び38ボルトに制限された。生成物アルカリ
濃度を約2.5N未満に保持するために、10ml/分
の速度で塩基ループ198に水を加えた。塩基ループ1
98中にイオン交換カラム206は存在しなかった。そ
の中のpH値を約13.5未満に保持するために、二酸
化炭素を塩基ループ中で発泡させた。電気透析工程中
は、供給物導電率は約34mS/cmから約9.5mS
/cmに低減し、酸中の残留ナトリウム含量は3.5〜
4.0gm/lであった。セル性能に関する詳細を以下
に示す:
【0101】★
【表4】
【0102】これらの操作における陽イオン膜による二
価金属の保持率は、実施例1で乳酸アンモニウムに関し
て観察されたものより上回っていた。これは、おそらく
は相対的高濃度の一価陽イオン(この場合、ナトリウ
ム)、ならびにナトリウム対アンモニウムに関する高電
流効率(逆拡散損失の非存在)、溶液中の運搬二価イオ
ンを保持するための希釈水の使用、ならびに乳酸塩の低
転化によるものと思われる。セルを開き、点検した。双
極性膜およびCMV陽イオン膜は良好な状態で、付着の
物理学的証拠は認められなかった。AQ陽イオン膜は曇
って/不透明で、付着があると思われた。セルの内側部
分は透明であったが、これは(CMV)陽イオン膜によ
る二価陽イオンの高保持率により塩基ループ224中の
二価金属が低レベルになったためである(Mg<5pp
mおよびCa<20ppm)。沈殿の問題は、供給物流
中の高レベルの二価金属、低供給物濃度または高工程転
化により疑いなく生じる。
【0103】実施例5 アンモニウム−2ケトグロン酸(NH4−2KLG)の
遊離酸2ケトグロン酸(2KLG)への転化に関する試
験を、AQ双極性膜およびAQ陽イオン膜を含有するパ
イロットセルで実施した。2KLGの発酵由来標本をア
ンモニアで中和して、2KLG 170gm/lおよび
NH等価物12.99gm/lを含有し、pHが約9
である出発溶液を得た。供給物28リットルを電気透析
セル中で加工処理した結果、導電率は、酸性化および供
給タンク200に延びる供給ループからのアンモニアの
同時運搬により、35.1mS/cmから8.6mS/
cmに低減した。その中の導電率を16〜20mS/c
mに保持するために、工程中、NaCl溶液を塩基ルー
プ198に加えた。ここでも、塩基ループ198中にイ
オン交換カラム206は存在しなかった。結果を以下に
示す:
【0104】★
【表5】
【0105】最終生成物は2KLGを190gm/lお
よびNHを730ppmだけ含有したが、これは塩か
らの陽イオンの約95%除去を示す。電流効率は約40
%であった。供給物塩中の実質的にすべてのカルシウム
およびマグネシウム基がAQ陽イオン膜を通って運搬さ
れたことがわかる。これは、実施例4における乳酸ナト
リウム試験に関して得られた結果と劇的な対照をなす。
少なくとも部分的には、高レベルの二価陽イオン運搬
は、AQ陽イオン膜による低保持によるものと思われる
(実施例2参照)が、しかし2KLGが乳酸よりも強い
酸であるかまたは2KLGが二価陽イオンと非常に良好
に結合できないためにも起こると思われる。この大きな
運搬は、塩基ループ202中の金属濃度を実質的に増大
した。塩基ループ中のpHが10〜11の範囲だけであ
ったために、金属が溶液中に残存した(Mgが約20p
pm、Caが約100ppm)。
【0106】pHの一関数としての二価イオンに関する
溶解度データ 37バッチの乳酸アンモニウムおよび乳酸ナトリウムな
らびにNH−2KLG供給物をパイロットアッセンブ
リー中で加工処理し、各バッチの加工処理は6〜>24
時間継続した。乳酸塩供給物は、デキストロースの発酵
からのものであった。酸をアンモニアで中和して、2K
LG供給物を得た。各供給物に単純濾過または限外濾過
を施した後、電気透析セル中で加工処理した。供給物
は、Ca20〜150ppmおよびMg6〜60ppm
を有した。乳酸ナトリウム塩を加工処理する場合、ナト
リウムアルカリ塩基生成物のpHは、気体COの付加
により限定された。
【0107】その二価金属含量およびpHに関して、生
成物塩基の標本を分析した。塩基ループ198中にイオ
ン交換カラム206は存在せず、したがってこれらのイ
オンの測定濃度は塩基ループ中のその溶解度を示す。こ
れらの加工処理には、CMVまたはCMT陽イオン膜を
用いた。最初の18試験にはCMV膜を、後の19試験
にはCMT膜を用いた。両陽イオン膜は加工処理後に極
めて良好な状態で残存し、供給物中の多価陽イオンによ
る付着の外見的証拠は認められなかった。
【0108】pHの一関数としての溶解度に関する試験
の結果を、図8にプロットする。アンモニア性塩基溶液
を生成する場合、pHは9〜約11.4の範囲であった
が、一方、ナトリウムアルカリ溶液は約12〜13.4
のpH範囲を有した。カルシウムおよびマグネシウムの
各々に関して、データを2つに分けた。一組のデータは
溶解度限界を示し、一方第二組のデータはアルカリ溶液
が有意に高レベルの二価金属を保有し得る過飽和状態を
示す。
【0109】しかしながら、自発的沈殿の可能性および
その結果生じる電気透析セルの塩基ループの詰まりが常
に存在する。研究室で適宜なされていたように、塩基ル
ープを清浄にし、セル性能を元に戻すことが指摘される
べきである。強酸、好ましくはHC1の希釈溶液でルー
プを洗浄することにより、清浄化される。しかしなが
ら、このような工程は予定外の非稼働時間を含み、加
熱、融解等によるセルハードウエアに対する機械的損傷
の可能性により工程スループットが低減される。重度表
面沈殿、膨れ等の結果として双極性膜に対する長期損傷
の可能性もある。
【0110】本発明の装置および方法は、塩基ループ中
の二価金属濃度をその溶解度限界以下またはその近くに
保持することにより、電気透析セルの長期間故障なしの
操作を可能にする。本発明の1つの好ましいpH範囲で
ある9.5〜11では、目標レベルはMgで約2〜25
ppm、Caで20〜100ppmである。EDセルの
長期無故障操作のためには、二価金属をやや低レベル
に、すなわちMg2〜10ppm、Ca 10〜25p
pmに保持する必要があり、OHイオンを生成する双
極性膜の陰イオン面が約14のpHであるため、これは
工程の動力学に支配される。塩基隔室内の適切な液体速
度を保持することにより、高電流スループットでの持続
的な信頼できる長期操作がある。
【0111】データは約14のpH値でカルシウムに関
して>10ppmの溶解度を示すことに留意することが
重要である。このような低レベルのカルシウムが塩基ル
ープ中に保持される場合には、水酸化ナトリウムまたは
水酸化カリウムのような希釈アルカリ(0〜15重量
%)の長期間製造が達成できる。
【0112】実施例6 発酵器で生成された乳酸アンモニウムをナノ濾過ユニッ
トを用いて濾過した。フィルターDesal 5−DK
(Desalination System)をこのた
めに用いた。この濾過工程からの生成物は約90gm/
lの乳酸塩、アンモニウムイオンとして10〜13gm
/lのアンモニア、11ppmのカルシウムおよび9p
pmのマグネシウムを有した。次に、実施例1に記載さ
れているように、パイロットセル中で供給物をpH約5
で加工処理した。パイロットセルは実施例1からの8つ
のAQ双極性膜および6つのCMV陽イオン膜および2
つの新規のAQ陽イオン膜を含有した。バッチ当たり約
120リットルの供給物の6連続バッチを、実施例1と
同様に加工処理した。結果を以下に要約する:
【0113】★
【表6】
【0114】バッチは、電流入力、電圧低下および塩の
酸への転化に関して完全に再現可能であったことが分か
る。6バッチの試験終了時に、セルを開いた。内部部分
は清浄で、沈殿物は認められなかったが、これはナノ濾
過を用いたことが、陽イオン膜によりもたらされる多価
陽イオンの保持と結びついて、安定した長期的な性能を
保持するのに有効であったことを実証した。ナノ濾過の
使用により、供給物塩の一部ならびに大部分の二価金属
を含有する濃縮物(いわゆる保持物)流が生成される。
適切な処理後に、その流れを処分できる。この処分は損
失源を示す。しかしながら、多くの場合、例えば発酵操
作においては、流れは前端に戻され、回収される。
【0115】実施例7 図7に示したモードで、適所にイオン交換カラム206
を用いて、パイロット系を設置した。電気透析セルは8
つのAQ双極性膜および8つのCMT陽イオン膜を含有
した。両型の膜は、前記の長期試験から採用した。試験
前に、塩基ループ198中のイオン交換カラム206を
IRC84樹脂(弱酸陽イオン交換樹脂)(Rohm
and Haas)で充填し、アンモニウム形態に転化
した。試験用供給物乳酸アンモニウムは定格約200,
000ダルトンのユニットで限外濾過された結果、典型
的にはCa40〜150ppmおよびMg45〜65p
pmを含有した。供給物中の乳酸塩含量は60〜100
gm/lの範囲であった。
【0116】30バッチの供給物乳酸アンモニウムを、
前記実施例と同様の方法で加工処理した。各バッチ処理
は6〜24+時間継続し、酸ループ導電率が約10mS
/cm未満に低下すると終了された。詳細な測定によ
り、CMTおよびCMV膜は多価陽イオンと同レベルを
保持することが示された。
【0117】イオン交換カラムは、塩基ループ中の二価
金属濃度を低レベルに保持するのに有効であった。カラ
ム再生後の初期バッチ処理中、塩基ループ中のカルシウ
ムおよびマグネシウムのレベルは各々0〜2ppmのオ
ーダーであった。主に相対的に短いカラム(深さ<2フ
ィート)および高供給流速という動的制限のために、そ
のレベルはその後のバッチ中に漸次増大した。二価金属
濃度が全体で約10ppmに達した時に、各々140〜
180リットルの4バッチ後に、カラムを再生して、そ
の後のバッチに再使用した。この方法で、安定した電流
スループットおよび電圧降下で、電気透析セルの安定し
た長期的操作が達成された。
【0118】電気透析セルと塩基ループ中のイオン交換
カラムとを組合せた装置は、塩基ループのルーチンの酸
清浄化を必要とせずに、電気透析セルの長期間操作を可
能にした。実際、一定量の緩衝容量が改良型装置内に存
在する。イオン交換カラムは、電力を切った装置中で循
環する塩基溶液を有することにより、簡単に塩基ループ
を清浄化できる。
【0119】本発明の装置および方法に関しては、塩基
ループ中の二価陽イオンのレベルを低減するため、これ
らのイオンに対して高レベルの保持を示す陽イオン膜が
選択される。したがって、それらはイオン交換カラム上
の負荷を低減する。高保持膜CMVおよびCMTは、二
価陽イオンによる付着を蒙りにくいことが判明した。こ
れらの膜は、適切な基質でのスチレンおよびジビニルベ
ンゼンの架橋重合を用いて調製されると思われる。これ
らの、そして同様に製造される陽イオン膜(われわれは
「一価支持型」と呼ぶ)は、本発明の装置に好ましい膜
である。この場合、「一価選択」型膜(例えばCMS膜
(徳山曹達))が最も好ましい。
【0120】本発明の装置を用いて、塩からの酸および
塩基の製造を含めた多数の工程を改良できる。3つのこ
のような適用が、図9〜12に概略的に示されている。
【0121】図9は、低分子一価有機酸の製造における
本発明の装置の一バージョンの使用を示す。発酵器の列
230をバッチモードで操作して、有機酸をその塩形態
で生成できた。最適生産性に関しては、約4〜7のpH
で発酵を実行する。アルカリ付加により、pHを保持し
た。その低コストおよび下流電気透析操作での回収の容
易さのために、アンモニアが好ましいアルカリである。
【0122】次に、生成物有機塩を232で濾過してあ
らゆる不溶性のセル中の固形物を除去し、その後234
でナノ濾過する。ナノ濾過ユニットからの保持物を23
6で発酵器にリサイクルする。所望により、238で慣
用的蒸発によりナノ濾過物をさらに濃縮して、電気透析
セルの酸リサイクルタンク246に供給する。
【0123】各々200以上の電気透析セルを含有する
1つ以上の電気透析工程ユニット242を用いて、必要
な生成物スループットを生成できる。電気透析(ED)
セルは、例えば図1b、2aまたは3に示すような、2
隔室陽イオン型のものである。酸ループ244をバッチ
モードで操作し、目標転化が実現する場合には、生成物
酸を酸リサイクルタンク246からポンプで排出する。
次に、供給物の新鮮なバッチを酸リサイクルタンクに付
加し、工程を継続する。
【0124】水酸化アンモニウムがEDセルの塩基ルー
プ248中に生成される。好ましい定常供給および放出
モードで、またはバッチモードで、塩基ループを操作で
きる。アンモニア濃度および導電率を一定目標レベルに
保持するために、必要な場合には、希釈水および少量の
塩溶液を塩基ループに加えてもよい。本方法は、多数の
有機酸、例えば酢酸および乳酸を加工処理するのに適し
ている。
【0125】高純度酸の生成または強酸の塩の加工処理
のためには、2隔室陽イオンセルの適所に、図1cまた
は2bに示すような3隔室セルを用いてもよい。
【0126】図10は、本発明の別の装置を用いる別の
バージョンの工程を示す。この実施例では、発酵器25
0からの生成物有機塩を再度濾過して、目の粗い限外濾
過器252(典型的には定格200,000ダルトン)
によりセル中の塊および不溶性不純物を除去する。濾液
は通常、70〜110gm/lの有機塩を含有する。有
機塩は、2隔室セル256で加工処理する前に、さらに
慣用的蒸発254により任意に濃縮してもよい。微生物
増殖に対して供給物有機塩を安定化し、ならびにED回
収工程の生成物回収および工程効率を改良する濃縮工程
が有益である。
【0127】EDセル256は、塩基ループ260と交
通するイオン交換カラム258を有する。加工処理操作
中、弱酸陽イオン交換樹脂を含有するイオン交換カラム
は塩ループ260中の多価陽イオンレベルをその溶解度
限界以下に保持する(溶解度を上回る臨時の変位は、イ
オン交換カラムの内臓緩衝剤のために耐容される)。
【0128】製造中の酸および所望の生成物純度によっ
て、図1〜3(または同様のもの)に示したセルのいず
れかを、図示した2隔室セル256の適所に用いること
ができる。EDセル256の塩基ループ260と交通す
るイオン交換カラム258を組入れている装置が、一般
的かつ多目的的である。本装置は、弱または強、一価ま
たは多価酸の塩を加工処理できる。本装置で加工処理可
能な酸の例としては、酢酸、乳酸、ギ酸、クエン酸、グ
ルコン酸および2KLGが挙げられる。
【0129】図11a〜11bは、煙道ガスからの二酸
化硫黄の回収における本発明の装置の適用可能性を示
す。基本的方法は、前記で引用したいくつかの特許に記
載されており、Allied Signal Corp
orationによりSOXAL法として市販されて
いる。本方法では、動力装置または他の供給源の煙道ガ
スからの二酸化硫黄を亜硫酸ナトリウムおよび水酸化ナ
トリウムの溶液(pH9〜12)中に吸収させて、重亜
硫酸ナトリウムを得る。本方法では、亜硫酸塩の供給物
の特定部分が酸化して、硫酸塩になる。
【0130】図11aに示した回収工程では、いくつか
の非転化亜硫酸塩を有する重亜硫酸塩生成物の一部を、
通常約5〜5.5のpHで、2隔室陽イオンセル(例え
ば図1b)266の酸隔室264に供給し、一方で残り
の重亜硫酸生成物は塩基ループ268に供給する。重亜
硫酸塩生成物も、煙道ガス源由来の有意量の溶解カルシ
ウム、マグネシウムおよびその他の多価金属種を有する
傾向がある。これらの金属はEDセル266の塩基ルー
プ268中で沈殿し、それにより有意の操作問題を引き
起こす。
【0131】図11aのEDセル266では、ナトリウ
ムイオンの他に、二価陽イオンの一部が陽イオン膜27
0を通って塩基ループに運搬される。二価陽イオンは、
生成された重亜硫酸塩が付加した陽イオンとともに、イ
オン交換カラム272により塩基ループ268から除去
される。図11aに示す本発明の装置および方法の使用
によりこの問題が排除されるかまたは大いに軽減され、
したがって本工程の長期間の信頼できる操作が達成でき
る。酸ループ274に保持された二価陽イオンは、かす
とり器276中でSO生成物を除去後、硫酸塩ととも
に除去される。所望により、カリウムまたはアンモニウ
ム、あるいは一価陽イオンの混合物をナトリウムの代わ
りに用いることができる。
【0132】付加的アルカリおよび副産物硫酸を生成す
るために、多価金属を除去するための適切な予備処理
後、SOかすとり器からの硫酸ナトリウム溶液を3隔
室セル中で加工処理してもよい。好ましいモードでは、
硫酸塩溶液は一定量の遊離硫酸を含有して、かすとり器
中のSOの実質的に完全な回収を可能にする。その結
果として、硫酸塩流は3〜5のpH範囲で酸性であると
思われる。
【0133】図11bは、酸性硫酸塩流から酸、塩基を
回収する場合の改良型装置の使用を示す。塩基ループ2
84と交通するイオン交換カラム282を組み入れた3
隔室セル280に、硫酸塩流を供給する。硫酸ナトリウ
ムの一部は副産物硫酸および吸収器にリサイクルするの
に適した塩基に転化される。非転化硫酸基の一部は、そ
の中に存在する多価金属とともに、塩ループからパージ
として廃棄されると思われるが、一方残りはリサイクル
される。さらにオプションとして、図11aおよび11
bの2および3隔室セルの塩基ループは、所望により普
通のイオン交換カラムと交通して設置できる。
【0134】図12は、不純な重炭酸塩/炭酸塩/硫酸
塩含有流を加工処理して炭酸ナトリウムを生成するため
の本発明の装置の適用を示す。市販のナトリウムアルカ
リ無機物はしばしば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム
および一定量のカルシウムおよびマグネシウム塩のよう
な不純物を含有する。本ED工程では、無機物を酸ルー
プ286中で酸性化して、それにより二酸化炭素を遊離
させ、一方水酸化ナトリウムを塩基ループ284中で生
成する。塩基ループ生成物は、二酸化炭素含有供給源で
酸性化して炭酸ナトリウムまたは同様のアルカリ性生成
物を生成できる。
【0135】再度EDセルの塩基ループ284と交通す
るイオン交換カラム282を用いて多価イオンを除去
し、それにより全体的工程の長期間の信頼できる操作を
保証する。硫酸カリウム流を同様に加工処理し、炭酸カ
リウムを生成してもよい。
【0136】図13は、電気透析ユニット292中で供
給物を加工処理する前に、290でナノ濾過を用いて多
価金属の実質的部分を除去する工程系を示す。塩基ルー
プに入るあらゆる残留金属を除去し、それにより工程全
体の信頼性を増強するために、イオン交換カラム294
を塩基ループ中に設置する。
【0137】一価陰イオンを含有する塩、例えばナトリ
ウム、カリウムまたはアンモニウムの塩化物、乳酸塩、
酢酸塩等に関しては、図13の組合せ装置を用いる。さ
らに、ナノ濾過およびイオン交換カラムの両方を用いた
工程は、2隔室陽イオン(図13)セルまたは3隔室セ
ルで用いるのにより適している。供給物が塩/塩基ルー
プに入り、イオン交換カラムが同一ループ中に位置する
2隔室陰イオンセルに関しては、有益性はより低いと思
われる。
【0138】実施例8 簡単に検討すると、前記の説明は、適切な装置が得られ
たこと、そして塩基ループ中に十分に低濃度の二価金属
が保持できることを示す。それゆえ、これらの二価金属
の沈殿は、重大な問題を引き起こさないか、あるいはそ
れが起きるとしても重大ではない。塩基ループ中に低濃
度の二価金属を保持することにより、その沈殿は防止さ
れるが、このことは意外にも例えば高度のかつ安定した
電流スループットの維持といったような有益な効果を有
する。
【0139】さらに、ある種の膜の使用は塩基ループ中
の一価金属の量に対する二価金属の比率を低減し、それ
により二価金属を単離する経費を低減する。さらに、あ
る種の陽イオン膜の使用により、多価陽イオンの選択に
際して一価陽イオンが運搬され、したがって塩基ループ
中の多価陽イオン濃度がそれらが塩基ループ中で沈殿し
ない点まで低減する。本発明の装置および方法に用いる
には、一価選択陽イオン膜(例えばCMS(徳山曹
達))が最も好ましい。
【0140】図8は、既定pHの塩基生成物に関するカ
ルシウムおよびマグネシウムの溶解度目標を示す。塩基
ループ中の二価金属濃度をそれらの溶解度限界以下また
はその近くに保持することにより、電気透析セルの長期
無故障操作が得られる。濃度目標値は、pH12〜14
の範囲で、マグネシウムで〜2〜5ppm、カルシウム
で10〜15ppmであった。pH9〜11の範囲で
は、より高レベルのカルシウムおよびマグネシウムが存
在することができる。
【0141】図7に示したモードで、上記のパイロット
系を設定し、イオン交換カラム206を適所に配置し
た。電気透析セルは、8つのAQ双極性膜および8つの
CMS陽イオン(一価選択性)膜を含有した。イオン交
換カラムは塩酸で再生されて、アンモニウム形態で設置
された。
【0142】乳酸アンモニウム供給物流を前記実施例と
同様に限外濾過し、蒸発により濃縮して、乳酸塩含量を
〜250gm/lとした後、電気透析ユニット中で加工
処理した。供給物流のカルシウム含量は、おそらく蒸発
器からのスケール物質の溶解のために、正常より高かっ
た。
【0143】4つのバッチを加工処理し、その結果を下
記の表7に要約した。タンク209から脱イオン水を8
ml/分で塩基ループに加えた。塩基ループへのわずか
に高レベルの乳酸拡散により、信頼できるセルスタック
操作をするのに適した導電率(>15mS/cm)を生
じた。塩基ループ生成物は35〜65gm/lのアンモ
ニアを含有し、9.5〜11の範囲のpHを生じた。
【0144】★
【表7】
【0145】一価選択陽イオン膜により示される優れた
保持は、イオン交換カラム上の負荷を有意に低減した。
この陽イオン膜とイオン交換カラムの組合せにより、膜
およびセル付着問題が全体的に排除された;これは、期
間中に、供給物乳酸塩中のカルシウムレベルは相対的に
高かったにもかかわらず、意外な高電流スループット、
低セル電圧、ならびに再現可能なセル操作をもたらす。
【0146】実施例9 図7に示したモードでパイロットセルを設置したが、イ
オン交換カラムは塩基ループから取り除いた。前記実施
例で用いた濃縮乳酸アンモニウム供給物流を脱イオン水
で希釈して、その乳酸および多価金属濃度を低減した。
下記の表8に示すように、9つのバッチを加工処理し
た。最初の8バッチに関しては水溶液を10ml/分の
速度で塩基ループに加え、最後のバッチ9に関しては1
6ml/分で加えた(最後のバッチ9供給側の金属濃度
が高かったため)。供給物流中の乳酸塩は、最初の8バ
ッチに関しては120〜155gm/lの範囲、バッチ
9に関しては244gm/lであった。塩基ループ生成
物はこの場合も、pH9.5〜11の範囲で35〜65
gm/lのアンモニアを含有した。塩基ループ導電率
は、必要な場合、希釈硫酸アンモニウムまたは硫酸を加
えることにより少なくとも8〜15mS/cmに保持さ
れた。
【0147】★
【表8】
【0148】表8の最後の欄に報告された平均金属含量
は、9つのバッチに関してカルシウムおよびマグネシウ
ムの平均保持率および塩基ループからの全体容積流出量
から算出した。電流スループット、電圧および電流に関
しては、セル性能の効率は完全に再現可能であることが
分かった。
【0149】9バッチの試験終了時に、セルを開き、内
部構造を検査した。膜はすべて良好な状態で、付着の証
拠は認められなかった。少量のカルシウム沈殿物が塩基
ループ中に認められた。明らかに、これは塩基ループカ
ルシウム濃度が上記試験では87〜97.5ppmであ
ったためで、これは操作pH範囲における20〜45p
pmの溶解度レベルを上回った(図8)。
【0150】多量の希釈水の塩基ループへの使用、およ
び/または供給物流塩中のカルシウム量の低減により、
沈殿問題は実質的に排除されると思われる。したがっ
て、本実施例では、塩基生成物のさらなる希釈は考えず
に、150gm/lの乳酸塩を含有する供給物は〜12
5ppm以下のカルシウムおよび〜90ppmのマグネ
シウムを含有すべきであると想定した。二価金属のその
レベルは、実際の発酵操作で容易に実現し得る。それゆ
え、このガイドライン後の工程は、非常に長期間操作し
ても、付着の問題は伴わないと思われる。
【0151】この実施例とその他の実施例では、多価金
属濃度と一価選択陽イオン膜によるその保持は、多少絶
対的に記載された。実際、あらゆる既定工程溶液は、種
々の陽イオンを含有し、そのすべてが種々の陽イオンに
対する膜の選択性(または運搬数)に比例して、陽イオ
ン膜を通って運搬される。
【0152】したがって、供給物流純度自標のより正確
な定義は、供給物流中の多価対一価金属含量の比率であ
る。本実施例では、供給物は乳酸を乳酸塩として150
gm/l、すなわち1.67グラム当量/リットル含有
した。したがって、〜5のほぼ中性pHでは、供給物は
1.67グラム当量/リットルのアンモニウムイオンを
有する。その結果、目標二価金属濃度は、供給物溶液中
のアンモニウムイオン1グラム当量当たり〜75ppm
および〜55ppmのマグネシウムを有すると言い換え
られる。
【0153】同様に、陽イオン膜の保持能力は、供給物
塩中の一価対多価陽イオンの比の一関数である。供給物
塩は電気透析セル中で一価陽イオン含量の減損を蒙るの
で、供給物中の一価陽イオン対多価陽イオンの比は低減
する。相対運搬数(RTN)という用語は、しばしば陽
イオン膜の性能を定義するのに用いられる: (式中:M: 一価イオンNH4
、Na、Kまたはそれらの総濃度 : 陽イオン膜におけるMイオンの運搬数 Ca: 陽イオン膜におけるCaイオンの運搬数 : 溶液中のMイオンの濃度 Ca: 溶液中のCaイオンの濃度) 低いRTN値を有する。 可溶性塩の形態で含有すると思われる。 ニア溶液をNH 貯蔵タンクに収集する。
【0157】電気透析セルからの酸性化生成物は、典型
的には<2.5gm/lのアンモニア等価物を含有し、
2.7〜2.9のpHを示した;これは90%以上のア
ンモニア除去率を示す。この酸性化生成物を陽イオン交
換(CIX)によりさらに精製して、残存するアンモニ
ウムおよび多価陽イオンを除去する。次に、CIXから
の生成物を陰イオン交換カラム(AIX)中で処理し
て、実質的にすべての付着した陰イオン(例えば硫酸
塩、塩化物、リン酸塩)を除去し、販売するのに必要な
場合はさらに濃縮する。
【0158】実施例10 一価選択陽イオン膜を用いた方法および装置の実用性
は、特に低レベルの二価金属不純物を含有するすべての
可溶性塩供給物流溶液に一般的である。このようなレベ
ルは、簡単なpH調整およびつや出し濾過により得られ
る。例えば、塩(例えば塩化ナトリウムまたは亜硫酸ナ
トリウム、一価陽イオンの他の塩)からの希水酸化ナト
リウムおよび塩酸の生成においては、水酸化/炭酸ナト
リウムを用いてpHを約10に調整し、次いで濾過して
供給物流塩溶液を精製し、約10ppm未満のカルシウ
ムおよび≦1ppmのマグネシウムを含有する10〜2
5重量%溶液を容易に生成できる。従来技術では、キレ
ート化樹脂イオン交換によりこの供給物流をさらに処理
して、カルシウム含量を0.5ppm以下に低減した
後、電気透析セルで加工処理する。
【0159】本出願に開示した改良型の方法および装置
は、イオン交換予備処理工程を排除して、一価選択陽イ
オン膜を用いた2隔室陽イオンセルまたは3隔室セル中
でこの供給物を直接加工処理できるようにした。
【0160】図14は、40トン/日の水酸化ナトリウ
ム(典型)および36.5トン/日の塩酸を製造するた
めの工程の流れ図を示す。10ppmのカルシウムおよ
び1ppmのマグネシウムを含有する供給物流塩を3隔
室セルの塩ループに供給する。一価選択陽イオン膜を含
有する電気透析セル中で、多量の塩供給物を酸および塩
基成分に転化する。これらの膜は、多量(典型的には9
5%以上)の二価陽イオンを塩ループ中に保持する。こ
れらの陽イオンは、減損した塩溶液の一部として塩ルー
プから除去される。図14に示した実施例では、減損し
た塩溶液は元の供給物流中に存在する二価陽イオンの9
6%を含有し、減損塩溶液中で約55ppmのカルシウ
ムに転換する。
【0161】所望により、この減損塩溶液を固体塩で飽
和し、pH調整および濾過により精製して、余分な多価
金属を除去できる。次いで、精製溶液を電気透析セル中
で再利用する。希釈水を塩基ループ中に用いてそこに生
じた水酸化ナトリウムを受け取る。
【0162】一価選択膜と希釈水のこの組合せにより、
塩基ループ中のカルシウム濃度が<1ppm(およびそ
れより低濃度のマグネシウム)に低減され、それにより
非付着方式での工程および膜の操作が保証される。
【0163】実施例11 限外濾過乳酸アンモニウム供給物溶液を用いて、5つの
バッチ試験を実施した。バッチ処理は全体で〜80時間
継続した。乳酸塩供給物流は、二価金属含量が相対的に
低かった。供給物乳酸塩をAQ双極性膜およびCMT陽
イオン膜を含有する2隔室セル中で加工処理した。上記
のイオン膜は「一価支持」型(これに対比して、CMS
陽イオン膜は「一価選択」型である)のものであった。
塩基ループ中の補給液の流れを一定に保持して、溶液中
に実質的に運搬金属が保持されるようにし、ならびに流
出によるそれらの除去を促した。補給液は、最初の4バ
ッチに関しては10ml/分の希硫酸アンモニウム、5
番目のバッチに関しては脱イオン水であった。結果を下
記に要約する:
【0164】★
【表9】
【0165】供給物流中の低濃度二価金属と塩基ループ
中の希釈液の使用の組合せにより、各バッチの開始時の
同様の電圧および電流により立証されるように、事実上
再現可能なセル性能が生じたことがわかる。再現性は、
実際非常に良好で、バッチのいくつかは高転化を起こ
し、酸ループからの二価金属の有意の運搬を引き起こし
たと考えられる。
【0166】当業者は本発明の変形について、容易に理
解できるであろう。したがって、本発明の真の範囲およ
び精神を逸脱しないすべての等価構造を網羅するため
に、添付の請求の範囲を構築するものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1a〜cは、双極性膜を用いた2および3隔
室電気透析セル用のユニットセルの構成を示す概略図で
ある。
【図2】図2aおよびbは、一組の電極を用いた2およ
び3隔室セル用のユニットセルの構成を示す概略図であ
る。
【図3】水素消極電極を用いた2隔室セルを示す概略図
である。
【図4】図4aおよびbは、上流ナノ濾過を有する電気
透析系を用いた本発明を示すブロック図である。
【図5】図5a〜cは、電気透析セルのベースループと
交通するイオン交換カラムと組合せた電気透析セルを包
含する本発明の別の装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の実用性を示すために用いられる2隔室
セルの構成を示す概略図である。
【図7】本発明の装置を試験するために用いられるパイ
ロット系を示すブロック図である。
【図8】塩基pHの一関数としてカルシウムおよびマグ
ネシウムの溶解度データを要約するグラフである。
【図9】発酵による有機酸の製造における本発明の使用
を示すブロック図である。
【図10】発酵による有機酸の製造における本発明の他
の局面を示すブロック図である。
【図10a】発酵による有機酸の製造における本発明の
さらに他の局面を示すブロック図である。
【図11】図11aおよびbは、本発明の装置を用いた
煙道ガス脱硫化工程を示すブロック図である。
【図12】無機質源を含有する炭酸塩/重炭酸塩からの
炭酸ナトリウムの回収に本発明が適用可能であることを
示すブロック図である。
【図13】上記系のナノ濾過流入供給および流出時のイ
オン交換カラムの両方とともに本発明を用いる系を示す
ブロック図である。
【図14】水酸化ナトリウムおよび塩酸の製造方法を示
す流れ図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図10a】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】

Claims (59)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽イオン側および陰イオン側を有する双
    極性膜と陽イオン交換膜とを少なくとも有する電気透析
    セル(上記電気透析セルは塩隔室および塩基隔室を少な
    くとも有し、上記塩隔室が双極性膜の陽イオン側と上記
    陽イオン交換膜との間に位置し、上記塩基隔室が塩隔室
    と上記塩基隔室内の液体の少なくともいくつかを再循環
    させるための塩基ループ中のイオンカラムとの間に位置
    し、上記イオンカラムが陽イオン交換樹脂で充填され
    る)、上記塩隔室への流入流を供給するための手段、お
    よび上記流入流を塩隔室に供給するための上記手段に連
    結されるナノ濾過手段を包含する装置。
  2. 【請求項2】 陽イオン膜が一価支持膜および一価選択
    性膜からなる群より選択される請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 塩隔室および塩基隔室を有し、上記塩隔
    室と塩基隔室との間の陽イオン側および陰イオン側を有
    する双極性膜、陽イオン膜、陰イオン膜を伴い、上記塩
    隔室が双極性膜の陽イオン側と陰イオン交換膜との間に
    位置する電気透析セル、ナノ濾過手段、陽イオン交換液
    を充填されたイオン交換カラム、流入流を濾過するため
    に上記ナノ濾過手段を介して上記塩隔室中に上記流入流
    を供給するための手段、および上記ナノ濾過手段を通っ
    て上記装置により少なくとも一部再循環された後の上記
    流入流である流出物を供給するための手段を包含する装
    置。
  4. 【請求項4】 陽イオン膜が一価支持膜および一価選択
    膜からなる群より選択される請求項3記載の装置。
  5. 【請求項5】 少なくとも双極性膜ならびに陽イオンお
    よび陰イオン交換膜からなる群より取られる少なくとも
    1つの膜を有する電気透析セル(上記電気透析セルは少
    なくとも塩基ループを有する)、上記電気透析セルの塩
    基ループと交通するイオン交換カラム(上記カラムは、
    陽イオン交換樹脂を充填される)、および上記塩基ルー
    プを通過後の流出流の少なくとも一部を排出するための
    手段を包含する装置。
  6. 【請求項6】 陽イオン膜が一価支持膜および一価選択
    膜からなる群より選択される請求項5記載の装置。
  7. 【請求項7】 電気透析セルが双極性膜、陽イオン膜お
    よび陰イオン膜を含む請求項5記載の装置。
  8. 【請求項8】 一価陽イオンおよび低分子量一価弱酸陰
    イオンの塩の流入供給物をその一価陽イオン含量を低減
    された酸性化生成物流に転化するための方法であって、
    以下の工程:上記供給物にナノ濾過を施して、約25pp
    m 未満の総二価金属含量を有する濾液を生成し;少なく
    とも双極性膜および陽イオン膜を有し、上記双極性膜が
    陽イオン側および陰イオン側を有し、塩/酸隔室が双極
    性膜の上記陽イオン選択性側と陽イオン膜との間に位置
    し、2隔室の他方が塩ループと連結する塩基隔室である
    2隔室電気透析セルの塩/酸隔室に濾液を通し;水を含
    有する液体をセルの双極性膜の上記陰イオン側と陽イオ
    ン膜との間に位置する上記塩基隔室に供給し;供給物塩
    の酸性化および塩基ループへの一価陽イオンの同時運搬
    を引き起こすために直流を電気透析セルに通し;運搬さ
    れた陽イオンと塩基ループ中で双極性膜により生成され
    たヒドロキシルイオンとの組合せにより塩基生成物を生
    成し;7〜約13. 5の範囲に塩基ループ中のpHを保持
    し;そして酸性化供給物および塩基生成物を取り出すか
    らなる方法。
  9. 【請求項9】 一価陽イオンおよび低分子量一価陰イオ
    ンを有する塩の流入供給物流を酸生成物流および塩基生
    成物流に転化する方法であって、以下の工程: (a)約25ppm 未満/グラム当量/塩含量1リットル
    の総二価金属含量を有する濾液を生成するよう流入供給
    物流にナノ濾過を施し; (b)少なくとも双極性膜、陽イオン膜および陰イオン
    膜を含有し、上記双極性膜が陽イオン側および陰イオン
    側を有し、上記塩隔室が陽イオン膜と陰イオン膜との間
    に位置し、3隔室のうちの他の2隔室が酸ループと連結
    する酸隔室および塩基ループと連結する塩基隔室である
    3隔室電気透析セルの塩隔室に工程(a)の濾液を通
    し; (c)水を含有する液体をセルの酸および塩基隔室に供
    給し; (d)供給物塩の少なくとも一部のその酸および塩基隔
    室中への転化を引き起こすために直流を電気透析セルに
    通し; (e)7〜約13. 5の範囲に塩基ループ中のpHを保持
    し;そして (f)その塩含量が減損した供給物、酸および塩基生成
    物を取り出すからなる方法。
  10. 【請求項10】 その一価陽イオン含量を低減される酸
    性化生成物流に一価陽イオンおよび弱酸陰イオンの塩の
    流入供給物を転化するための方法であって、以下の工
    程: (a)懸濁化固体を含有しない流入供給物流を生成し; (b)少なくとも双極性膜および2つの陽イオン膜を含
    有し、上記双極性膜が陽イオン側および陰イオン側を有
    し、塩/酸隔室が双極性膜の陽イオン側と上記陽イオン
    膜の一方との間に位置し、2隔室の他方が塩基ループと
    連結する塩基隔室であり、上記塩基隔室が双極性膜の上
    記陰イオン側と上記陽イオン膜の他方との間に位置する
    2隔室電気透析セルの塩/酸隔室に工程(a)の濾液を
    通し; (c)上記塩基ループに入る多価陽イオンを除去し得る
    物質で充填された上記塩基ループ中のイオン交換カラム
    と交通する流出流を有するセルの塩基隔室に水を含有す
    る液体を供給し; (d)供給物塩の酸性化および塩基ループへの一価陽イ
    オンの同時運搬を引き起こすために直流を電気透析セル
    に通し; (e)運搬陽イオンと塩基ループ中で双極性膜により生
    成されたヒドロキシルイオンとの組合せにより塩基生成
    物を生成し;そして (f)酸性化供給物および塩基生成物を取り出すからな
    る方法。
  11. 【請求項11】 酸が有機酸である請求項10記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 生成される塩基がアンモニア、水酸化
    ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナト
    リウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムまたはその
    混合物からなる群より選択される請求項10記載の方
    法。
  13. 【請求項13】 弱塩基一価陽イオンおよび陰イオンの
    塩の流入供給物をその陰イオン含量を低減される塩基性
    化生成物流に転化するための方法であって、以下の工
    程: (a)懸濁化固体を含有しない流入供給物を生成し; (b)少なくとも双極性膜および陰イオン膜を含有し、
    上記双極性膜が陽イオン選択側および陰イオン選択側を
    有し、塩/塩基隔室が双極性膜の上記陰イオン選択側と
    陰イオン膜との間に位置し、塩/塩基隔室が塩基ループ
    と連結し、2隔室の他方が酸隔室であり、上記塩/塩基
    隔室が酸ループに入る多価陽イオンを除去し得るイオン
    交換カラムと交通する2隔室電気透析セルの塩/塩基隔
    室に供給物を通し; (c)双極性膜の上記陽イオン選択側と陰イオン膜との
    間に位置するセルの酸隔室に水を含有する液体を供給
    し; (d)供給物塩の塩基性化および酸ループへの陰イオン
    の同時運搬を引き起こすために直流を電気透析セルに通
    し; (e)運搬された陰イオンと酸ループ中で双極性膜によ
    り生成された水素イオンとの組合せにより酸生成物を生
    成し;そして (f)塩基性化供給物および酸生成物を取り出すからな
    る方法。
  14. 【請求項14】 加工処理される塩が有機酸および無機
    酸からなる群より選択されるアンモニウム塩であり、上
    記酸が少なくとも部分的に水溶性である請求項13記載
    の方法。
  15. 【請求項15】 生成される酸が有機または無機酸であ
    り、生成される塩基がアンモニアである請求項13記載
    の方法。
  16. 【請求項16】 陽イオン膜が一価支持膜および一価選
    択膜からなる群より選択される請求項8、9および10
    のいずれかに記載の方法。
  17. 【請求項17】 陽イオン膜が一価支持膜および一価選
    択膜からなる群より選択される請求項8、9または10
    のいずれかに記載の方法ならびに約5〜約14の範囲に
    pHを保持する工程。
  18. 【請求項18】 一価陽イオンおよび陰イオンの塩の流
    入供給物を酸生成物流および塩基生成物流に転化するた
    めの方法であって、以下の工程: (a)懸濁化固体を含有しない供給物を生成し; (b)少なくとも双極性膜、陽イオン膜および陰イオン
    膜を含有し、上記双極性膜が陽イオン選択側および陰イ
    オン選択側を有し、塩隔室が陽イオン膜と陰イオン膜と
    の間に位置し、3隔室のうちの他の2つがそれぞれ酸お
    よび塩基ループと連結する酸隔室および塩基隔室である
    3隔室電気透析セルの塩隔室に工程(a)の濾液を通
    し; (c)酸隔室が双極性膜の上記陽イオン選択側と陰イオ
    ン膜との間に位置し、塩基隔室が双極性膜の上記陰イオ
    ン選択側と陽イオン膜との間に位置し、上記塩基隔室が
    ループに入る多価陽イオンを除去し得る物質で充填され
    たイオン交換カラムと交通するセルの酸および塩基隔室
    に水を含有する液体を供給し; (d)供給物塩の少なくとも一部のその酸および塩基成
    分への転化を引き起こすために直流を電気透析セルに通
    し; (e)その塩含量が減損した供給物、酸および塩基生成
    物を取り出すからなる方法。
  19. 【請求項19】 酸が一有機酸、二有機酸および三価有
    機酸からなる群より選択される水溶性酸である請求項1
    0または18のいずれかに記載の方法。
  20. 【請求項20】 加工処理される塩が亜硫酸ナトリウ
    ム、重亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリ
    ウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウ
    ムおよびその混合物からなる群より選択される請求項1
    8記載の方法。
  21. 【請求項21】 pHを7〜13. 5の範囲に保持するた
    めに酸性化剤を塩基ループ中に加える請求項10または
    18のいずれかに記載の方法。
  22. 【請求項22】 塩基ループ内のpHを約8〜11の範囲
    に保持するために酸性化剤を塩基ループ中に加える請求
    項10または18のいずれかに記載の方法。
  23. 【請求項23】 加工処理される塩がナトリウム、カリ
    ウムまたはアンモニウム塩からなる群より選択される請
    求項18記載の方法。
  24. 【請求項24】 有機酸の製造方法であって、以下の工
    程: (a)有機酸の一価陽イオン塩の供給物流を生成するた
    めに適切な基質を発酵させ; (b)上記発酵供給物を濾過してその中に懸濁した固体
    を除去し; (c)工程(b)の濾過発酵供給物を酸隔室に供給し; (d)上記酸隔室および上記塩基隔室が一緒に2隔室陽
    イオンセル装置を構成し、上記装置が塩基隔室と交通す
    るイオン交換カラムを有する塩基隔室に水を含む液体を
    供給し; (e)有機酸および塩基生成物を生成するために2隔室
    陽イオンセルに直流を通し;そして (f)上記有機酸および塩基生成物を取り出すからなる
    方法。
  25. 【請求項25】 上記方法からの塩基生成物流出物の少
    なくともいくつかをpH調整のために発酵にリサイクルさ
    せる請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 有機酸が乳酸である請求項24記載の
    方法。
  27. 【請求項27】 生成される塩基生成物がアンモニア、
    水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、
    炭酸カリウムおよびその混合物からなる群より選択され
    る請求項24記載の方法。
  28. 【請求項28】 ガスから二酸化硫黄を回収するための
    方法であって、以下の工程: (a)重亜硫酸塩および亜硫酸塩の混合物を生成するた
    めの一価陽イオンの溶液を含有する亜硫酸塩または水酸
    化物からなる群より選択される供給物流を吸収し; (b)工程(a)で得られた溶液を2部に分けて、上記
    分割部分の一方を2隔室陽イオンセルの塩/酸ループ中
    に供給し、上記第二の部分を塩基ループ中に供給し; (c)塩基ループに入る多価陽イオンを除去し得る物質
    で充填されたイオン交換カラムを通して上記塩基ループ
    中の上記部分を運搬し; (d)塩/酸ループ中で重亜硫酸塩/亜硫酸塩値を二酸
    化硫黄に転化するために上記供給物流に直流を通し、そ
    して同時に塩基ループ中に富亜硫酸塩アルカリ性溶液を
    生成し; (e)加工処理された後に上記供給物流から上記酸およ
    び塩基生成物を取り出すからなる方法。
  29. 【請求項29】 陽イオン膜が一価支持または一価選択
    型からなる群より選択される請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】 一価陽イオンがナトリウム、カリウム
    およびアンモニウム、またはその混合物からなる群より
    選択される請求項28記載の方法。
  31. 【請求項31】 塩基生成物が亜硫酸ナトリウムならび
    に亜硫酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合物からな
    る群より選択される請求項28記載の方法。
  32. 【請求項32】 請求項28記載の方法および熱の適用
    によりその二酸化硫黄含有物を有する酸生成物を除去す
    る、硫酸塩パージ流の同時生成を伴う付加工程。
  33. 【請求項33】 請求項28記載の方法および真空の適
    用によりその二酸化硫黄含有物を有する酸生成物を除去
    する、硫酸塩パージ流の同時生成を伴う付加工程。
  34. 【請求項34】 パージ硫酸塩流が3隔室セル中でさら
    に加工処理されて硫酸含有生成物および塩基流を生じる
    請求項32または33のいずれか記載の方法。
  35. 【請求項35】 陽イオン膜が一価支持または一価選択
    型からなる群より選択される請求項28記載の方法。
  36. 【請求項36】 塩基生成物がSO2 吸収剤にリサイク
    ルされる請求項28または34のいずれかに記載の方
    法。
  37. 【請求項37】 炭酸塩を含有する不純ナトリウム無機
    供給源からのナトリウムアルカリの製造方法であって、
    以下の工程: (a)ナトリウム無機供給物溶液を濾過して不溶性物質
    を除去し; (b)酸隔室と、多価陽イオン(塩基隔室に入る)を除
    去するための物質で充填したイオン交換カラムと交通す
    る塩基隔室とを有する2隔室陽イオン電気透析セルから
    の酸生成物の一部で工程(a)の供給物の一部を酸性化
    し; (c)工程(b)で生成された二酸化炭素を分離し、酸
    の陰イオンを含む塩を電気透析セルの酸隔室に運搬し; (d)生成される塩基の濃度を調節するために塩基隔室
    に水を含む液体を供給し;そして (e)上記工程により生成された酸および塩基生成物を
    取り出すからなる方法。
  38. 【請求項38】 炭酸ナトリウムの形態でナトリウムア
    ルカリを生成する請求項37記載の方法。
  39. 【請求項39】 水酸化ナトリウムの形態でナトリウム
    アルカリを生成する請求項37記載の方法。
  40. 【請求項40】 2隔室セルが一価支持型および一価選
    択型からなる群より選択される陽イオン膜を有する請求
    項37記載の方法。
  41. 【請求項41】 一価有機酸の製造方法であって、以下
    の工程: (a)有機酸の塩溶液を生成するために基質を発酵さ
    せ; (b)工程(a)の塩溶液にナノ濾過を施して、その二
    価金属含量を約25ppm /グラム当量/塩含量1リット
    ル以下のレベルに低減し; (c)工程(b)のナノ濾過塩溶液を2隔室陽イオンセ
    ルの酸隔室に供給し、水を含む液体を上記2隔室陽イオ
    ンセルの塩基隔室に供給し; (d)有機酸および塩基生成物を生成するために2隔室
    陽イオンセルに直流を通し;そして (e)上記有機酸および塩基生成物を上記工程の流出物
    として取り出すからなる方法。
  42. 【請求項42】 塩基生成物およびナノ濾過工程(b)
    からの残留物を工程(a)の発酵にリサイクルする請求
    項41記載の方法。
  43. 【請求項43】 2隔室セルが一価支持陽イオン膜を含
    有する請求項41記載の方法。
  44. 【請求項44】 2隔室セルが一価選択陽イオン膜を含
    有する請求項41記載の方法。
  45. 【請求項45】 有機酸の製造方法であって、以下の工
    程: (a)有機酸の塩溶液を生成するために基質を発酵さ
    せ; (b)工程(a)の塩溶液にナノ濾過を施して、その二
    価金属含量を所定のレベル以下に低減し; (c)工程(b)のナノ濾過塩溶液を電気透析セルの酸
    隔室に供給し、水を含む液体を、セルの塩基ループと交
    通しループに入る多価陽イオンを除去し得るイオン交換
    カラムを有する上記セルの塩基隔室に供給し; (d)有機酸および塩基生成物を生成するためにセルに
    直流を通し;そして (e)上記有機酸および塩基生成物を上記工程の流出物
    として取り出すからなる方法。
  46. 【請求項46】 一価陽イオンおよび陰イオンをその一
    価陽イオン含量を低減された酸性化生成物流に転化する
    ための方法であって、以下の工程: (a)懸濁化固体を含有しないように供給物流を濾過
    し; (b)双極性膜および一価選択陽イオン膜を含有する2
    隔室電気透析セルの双極性膜の陽イオン選択側と上記陽
    イオン膜との間に位置する塩/酸隔室に供給物流を通
    し; (c)双極性膜の陰イオン選択側と一価選択陽イオン膜
    との間に位置するセルの塩基隔室に、金属の溶解度レベ
    ル以下のレベルに塩ループ溶液中の多価金属の濃度を保
    持するのに十分な水を含有する希釈液を供給し; (d)供給物流塩の酸性化、ならびに多価陽イオンを実
    質的に選択し、そしてそれらが双極性膜で生成されるヒ
    ドロキシルイオンと結合して塩基生成物を生成するに際
    しての一価陽イオンの同時運搬を引き起こすために電気
    透析セルに直流を通し;そして (e)そのそれぞれの隔室から多価陽イオン含量が豊富
    な酸性化供給物流および塩基溶液を取り出すからなる方
    法。
  47. 【請求項47】 供給物流が約75ppm 以下のカルシウ
    ムおよび55ppm のマグネシウム/グラム当量/供給物
    流中に存在する一価陽イオン1リットルを含有し、なら
    びに塩基ループ中のpHが7〜約11の範囲に保持される
    請求項45記載の方法。
  48. 【請求項48】 供給物流がアンモニウム、ナトリウ
    ム、カリウム塩またはその混合物からなる群より選択さ
    れる請求項45または46のいずれかに記載の方法。
  49. 【請求項49】 供給物流が主に有機酸のアンモニウム
    塩である請求項46記載の方法。
  50. 【請求項50】 供給物流がアンモニウム、ナトリウ
    ム、カリウムまたはその混合物からなる群より選択され
    る有機塩である請求項45記載の方法。
  51. 【請求項51】 供給物流塩溶液が約9より大きいpH値
    に調整され、濾過されて沈殿多価化合物を除去後に電気
    透析セル中で加工処理される請求項46記載の方法。
  52. 【請求項52】 供給物流塩が塩化ナトリウム、塩化カ
    リウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウ
    ム、硝酸カリウムまたはその混合物からなる群より選択
    される請求項51記載の方法。
  53. 【請求項53】 一価陽イオンおよび陰イオンの塩を酸
    生成物流、塩基生成物流および多価金属含量が豊富な減
    損化した塩流に転化する方法であって、以下の工程: (a)懸濁化固体を含有しないように塩溶液供給物流を
    濾過し; (b)双極性膜、一価選択性陽イオン膜および陰イオン
    膜を含有する3隔室電気透析セルの陽イオン膜と陰イオ
    ン膜との間に位置する塩隔室に濾液を通し; (c)双極性膜の陽イオン選択側と陰イオン膜との間に
    位置する酸隔室に水を含有する液を供給し; (d)双極性膜の陰イオン選択側と陽イオン膜との間に
    位置する塩基隔室にその溶解度限界以下のレベルに二価
    金属の濃度を保持するのに十分な水を含有する希釈液を
    供給し; (e)陽イオン膜を通って塩基隔室に一価塩陽イオンが
    選択運搬され、そこで上記塩陽イオンが双極性膜により
    生成されたヒドロキシルイオンと結合して塩基を生成
    し、同時に陰イオン膜を通って酸隔室に塩陰イオンが運
    搬されて、そこで塩陰イオンが双極性膜で生成された水
    素イオンと結合して酸を生成するように、電気透析セル
    に直流を通し;そして (f)そのそれぞれの隔室から酸、塩基および減損化し
    た塩溶液を取り出すからなる方法。
  54. 【請求項54】 供給物流塩溶液が約9より大きいpH値
    に調整され、濾過されて沈殿多価化合物を除去後に電気
    透析セル中で加工処理される請求項53記載の方法。
  55. 【請求項55】 塩が塩化ナトリウム、塩化カリウム、
    硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸
    カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムまたはそ
    の混合物からなる群より選択される請求項54記載の方
    法。
  56. 【請求項56】 供給物がアンモニウム、ナトリウムま
    たはカリウム塩からなる群より選択される請求項53記
    載の方法。
  57. 【請求項57】 供給物流が約75ppm 以下のカルシウ
    ムおよび55ppm のマグネシウム/グラム当量の供給物
    流中に存在する一価陽イオンを含有し、ならびに塩基ル
    ープ中のpHが7〜約11の範囲に保持される請求項53
    記載の方法。
  58. 【請求項58】 電気透析セルからの減損化した塩溶液
    が固体塩で再飽和され、pH調整工程にリサイクルされる
    請求項53記載の方法。
  59. 【請求項59】 供給物流がアンモニウム、ナトリウム
    またはカリウム塩、あるいはその混合物からなる群より
    取られる請求項51記載の方法。
JP10026668A 1997-01-23 1998-01-23 塩の電気透析のための装置および方法 Pending JPH10305217A (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/787,899 US6294066B1 (en) 1997-01-23 1997-01-23 Apparatus and process for electrodialysis of salts
US08/787899 1997-09-03
US08/922,587 US6221225B1 (en) 1997-01-23 1997-09-03 Apparatus and process for electrodialysis of salts
US08/922587 1997-09-03

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10305217A true JPH10305217A (ja) 1998-11-17

Family

ID=27120710

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10026668A Pending JPH10305217A (ja) 1997-01-23 1998-01-23 塩の電気透析のための装置および方法

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JPH10305217A (ja)
CN (1) CN1201710A (ja)
AU (1) AU5268898A (ja)
CA (1) CA2227398A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017517387A (ja) * 2014-04-24 2017-06-29 ニュートリエント リカバリー アンド アップサイクリング,リミティド ライアビリティ カンパニー 嫌気性消化残渣からアンモニア及び1価の塩を回収する電気透析スタック、装置及び方法
JP2021515096A (ja) * 2018-02-27 2021-06-17 エヴォクア ウォーター テクノロジーズ エルエルシーEvoqua Water Technologies LLC 優れた電解槽性能のためのプロセスストリーム組成の調整

Families Citing this family (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2799754A1 (fr) 1999-10-18 2001-04-20 Roquette Freres Procede de separation et de purification d'acide lactique a partir d'un milieu de fermentation
EP1415702A1 (en) * 2002-10-28 2004-05-06 PURAC Biochem BV Method of separating multivalent ions and lactate ions from a fermentation broth
CN102363102B (zh) * 2003-10-27 2015-06-24 Ge爱奥尼克斯公司 用于处理生物性进给流的工艺方法
ATE550090T1 (de) * 2004-09-13 2012-04-15 Univ South Carolina Wasserentsalzungsverfahren und -vorrichtung
EP1876145A1 (en) * 2006-07-07 2008-01-09 SOLVAY (Société Anonyme) Process for the production of sodium bicarbonate
BRPI0823394A2 (pt) * 2008-12-23 2015-06-16 Calera Corp Sistema e método eletroquímico de hidróxido de baixa energia
CN101967106A (zh) * 2010-09-01 2011-02-09 河北宏源化工有限公司 采用双极性膜电渗析技术处理左旋对羟基苯甘氨酸脱盐母液的方法
US8764957B2 (en) * 2010-12-23 2014-07-01 General Electric Company Water treatment using a bipolar membrane
CN102167293A (zh) * 2011-03-10 2011-08-31 福建省三明汇丰化工有限公司 一种使用双极性膜电渗析装置生产硫酸和氢氧化钠的方法
US10023965B2 (en) * 2011-08-23 2018-07-17 Board Of Regents, The University Of Texas System Electrolytic buffer generator
CN103304090B (zh) * 2013-06-07 2014-11-05 刘世斌 一种硫酸制酸系统中废硫酸回收利用的装置及其方法
CN104016376B (zh) * 2014-06-25 2015-09-30 苏州晶瑞化学股份有限公司 一种高纯氢氧化钾水溶液的连续生产方法
JP7016314B2 (ja) * 2015-10-15 2022-02-04 クレイトン・ポリマーズ・ユー・エス・エル・エル・シー アミン又はホスフィン官能化末端ブロックを有するブロックコポリマー
TWI626985B (zh) * 2016-12-05 2018-06-21 Chaoyang University Of Technology 電透析協同錯合反應回收金屬離子之系統及其方法
CN106693710A (zh) * 2017-01-19 2017-05-24 浙江大维高新技术股份有限公司 一种电渗析器及其溶液处理方法
CN108097047A (zh) * 2017-12-14 2018-06-01 杭州水处理技术研究开发中心有限公司 一种稀氢氧化钠电渗析浓缩膜组器
CN110243720A (zh) * 2019-07-31 2019-09-17 海德里希(厦门)真空机械制造有限公司 一种液体物料和糊状物料的内嵌式残余气体含量测量方法
CN111196661B (zh) * 2020-02-14 2023-05-02 山东博苑医药化学股份有限公司 一种含有机碘高盐废水资源化零排放装置
CN113274882B (zh) * 2021-06-09 2022-05-17 温州大学新材料与产业技术研究院 基于高温双极膜电渗析的己二酸铵废液回收方法及其装置
CN116395719A (zh) * 2023-02-22 2023-07-07 杭州蓝然技术股份有限公司 一种吸附法盐湖提锂液的浓缩除杂方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017517387A (ja) * 2014-04-24 2017-06-29 ニュートリエント リカバリー アンド アップサイクリング,リミティド ライアビリティ カンパニー 嫌気性消化残渣からアンモニア及び1価の塩を回収する電気透析スタック、装置及び方法
JP2021515096A (ja) * 2018-02-27 2021-06-17 エヴォクア ウォーター テクノロジーズ エルエルシーEvoqua Water Technologies LLC 優れた電解槽性能のためのプロセスストリーム組成の調整

Also Published As

Publication number Publication date
AU5268898A (en) 1999-04-22
CN1201710A (zh) 1998-12-16
CA2227398A1 (en) 1998-07-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6221225B1 (en) Apparatus and process for electrodialysis of salts
US6627061B2 (en) Apparatus and process for electrodialysis of salts
JPH10305217A (ja) 塩の電気透析のための装置および方法
US6755951B1 (en) Electrodialysis of salts for producing acids and bases
US6017433A (en) Desalting aqueous streams via filled cell electrodialysis
US4584077A (en) Process for recovering sodium carbonate from trona and other mixtures of sodium carbonate and sodium bicarbonate
CA2347473C (en) Method and apparatus for preventing scaling in electrodeionization units
EP1016152A1 (en) Lithium recovery and purification
TWI393668B (zh) 用於純化連續製造鋰過渡金屬磷酸鹽期間之含鋰廢水之方法
EP2074066B1 (en) Simultaneous acid and base production from an aqueous stream
US5814498A (en) Process for the recovery of organic acids and ammonia from their salts
JP3333960B2 (ja) 電気透析による水分裂を利用してアミノ酸の塩酸塩と苛性を製造する方法
JP2008223115A (ja) 塩水の処理方法
US4752363A (en) Effluent treatment
US4802966A (en) Method for treating liquid used for absorbing gaseous sulfur dioxide in the process for desulfurization of combustion exhaust gas
US4636288A (en) Electrodialytic conversion of multivalent metal salts
CN104710319A (zh) 一种应用膜集成技术联产氨基酸及其类似物的绿色环保方法
JP3081079B2 (ja) 脱炭酸装置、及び同装置を組込んだ純水製造装置
JPS5837596A (ja) 硝酸塩含有放射性廃液の処理方法
JPH01111894A (ja) ジペプチドエステルの精製方法
WO1992013630A1 (en) Separation/recovery of ammonium salts via electrodialytic water splitting
CN212356864U (zh) 一种高盐工业废水资源回收处理系统
US4814051A (en) Process for the recovery of alkanolamines from their heat-stable salts formed in alkanolamine sorbent solutions
Voortman et al. Application of electrochemical membrane processes to the treatment of aqueous effluent streams
JPH1121689A (ja) 高純度銀の製造方法