JPH10302242A - 組織化された核生成層を有する磁性合金とその製造方法 - Google Patents

組織化された核生成層を有する磁性合金とその製造方法

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JPH10302242A
JPH10302242A JP32370497A JP32370497A JPH10302242A JP H10302242 A JPH10302242 A JP H10302242A JP 32370497 A JP32370497 A JP 32370497A JP 32370497 A JP32370497 A JP 32370497A JP H10302242 A JPH10302242 A JP H10302242A
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magnetic
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alloy
medium
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JP32370497A
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Chen Tsuu
チェン ツー
Michinobu Suekane
通信 末包
Makoto Imagawa
誠 今川
Kazuhiko Mitarai
和彦 御手洗
Caroline A Dr Ross
エイ ロス キャロリン
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Komag Inc
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高い飽和保磁力および高いヒステリシス方形
性を有し、高密度用途におけるPW50、固有の媒体ノイ
ズ、TNLDおよびOW等の優れた磁気記録パラメータを与え
る磁気記録媒体とその製造方法。 【解決手段】 第一面を有する非−磁性基板12と、組
織化された核生成層14と、ここで核生成層は、ランダ
ムな格子面配向を有し、直接非−磁性基板上に形成され
た微細結晶粒の種結晶層22、および結晶粒の中間層2
4を含み、中間層は、最上部表面が好ましい格子面をと
ることを可能な十分な厚みで、種結晶層粒子上に形成さ
れ、好ましい格子面上に一般的にエピタキシャル的に形
成される記録層16とを含み、記録層はCoベースのhcp
合金と、90 Kcal/mol を越える結合強度を有する酸化物
および窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の
セグリガント物質とを含み、かくしてCoベースの合金
は、主として均一サイズの単結晶磁性粒子を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般的には通常コンピ
ュータのデータ記憶のために使用される、剛性ディスク
ドライブで使用される、磁気記録媒体の製造に関する。
特に、本発明は記載の順序で基板上に堆積した、種結晶
層、中間層、および選択されたセグリガントを含む磁性
合金記録層を含有する、磁気媒体およびその製法に関す
る。該磁性合金記録層は、該中間層上にエピタキシャル
成長により形成される。高い方形性および同時に低ノイ
ズおよび低非−線形転移シフトを達成する。
【0002】
【従来技術】磁気ディスクの記録性能は、半振幅パルス
幅(PW50)、オーバーライト(OW)、ノイズ、および全非−
線形歪(TNLD)を包含する幾つかの基本的特性により決定
される。広いPW50は、隣接ビットが混み合っていること
を意味し、付加的なビットの相互干渉をもたらす。この
干渉は、シンボル間干渉と呼ばれている。過度のシンボ
ル間干渉は、与えられたトラック内のビットの線形記録
密度を制限し、結果として与えられた領域における記録
密度を減少し、かつ該磁気媒体の記録容量を制限する。
かくして、狭いPW50が、より高い記録密度を可能とす
る。PW50を減ずる(即ち、狭くする)ための手段の一つ
は、該媒体の該磁性層の厚みを減らすことである。PW50
を減ずるためのもう一つの手段は、ウイリアム&コムス
トック(William and Comstock)により「デジタル磁気記
録における書き込みプロセスの解析的モデル(An Analyt
ical Model of the Write Process in Digital Magneti
c Recording)」, A.I.P. Conf.Proc.Mag. Materials, 19
71, 5, p.738に記載されているように、ヒステリシスル
ープの方形性("S", 飽和保磁力方形性"S* " およびレマ
ネンス飽和保磁力方形性"S* rem"を包含する)を増大
し、および切替場分布(switching field distribution:
"SFD")を狭めることである。PW50を減ずるための更に別
の手段は、該媒体の飽和保磁力("Hc")を増大することで
ある。
【0003】オーバーライト(OW)は、既存データの重ね
書きを許容する該媒体の能力の尺度である。即ち、OW
は、該媒体上で、第二のシグナル(例えば、第一のシグ
ナルと異なる周波数をもつ)を、該第一のシグナル上に
書き込んだ後の該第一のシグナルの残存状態の尺度であ
る。OWは、大量の該第一のシグナルが残存している場合
には低く、もしくは貧弱である。OWは、一般的に該媒体
の飽和保磁力、方形性、およびSFD により影響を受け
る。将来の高密度記録のためには、より高いHcをもつ媒
体が好ましいであろう。しかしながら、Hcにおけるゲイ
ンは、一般的にOWの喪失を伴う。従って、当分野におい
ては、S*およびSFD を改善して、OWの改良を達成する必
要がある。磁性フィルムのノイズ特性は、典型的には読
み取りジッタおよび書き込みジッタによって定義され
る。読み取りジッタは、主として一ビットから入手でき
るシグナルの量、およびチャンネル内の電子的ノイズ+
ヘッドノイズによって決定される。より厚い磁性フィル
ムは、典型的には低い読み取りジッタを与えるであろ
う。書き込みジッタは該フィルムの固有のノイズにより
決定される。固有の媒体ノイズは、理論的には、ツー(Z
hu) 等により「金属薄膜のマイクロ磁気的研究(Microma
gnetic Studies of Thin Metallic Films)」, J. Appl.
Phys., 1988, 63,No.8, p.3248(これを本発明の参考文
献とする)においてモデル化されている。チャン(Chen)
等は「薄膜水平記録媒体の性能における限界の物理的起
源(Physical Origin of Limits in the Performance of
Thin-Film Longitudinal Recording Media)」, IEEE Tr
ans. Mag., 1988, 24, No.6, p.2700(これを本発明の参
考文献とする)において、固有の媒体ノイズの源を記載
している。
【0004】薄膜フィルム媒体の固有ノイズの主な源
は、比較的大きな磁性ドメインを与える、粒子間交換結
合である。以下の説明において、「磁性粒子」とは、磁
性物質の物理的に別々の粒子を意味し、一方「磁性ドメ
イン」とは、交換結合(粒子間の磁気的相互作用)のた
めに、磁場の存在下で一緒に交換する、1以上の磁性粒
子を意味する。一般的に、より高い粒子間交換は、磁性
粒子の協働的交換のために、高いS*および低いSFD を与
える。しかしながら、高い交換相互作用は、大きな磁性
ドメインの形成のために、より高い固有のノイズを生ず
る。粒子間交換結合に由来するノイズは、個々の粒子を
分離することにより減じることができる。このことは、
チャン(Chen)等の上記した「薄膜水平記録媒体の性能に
おける限界の物理的起源」に記載されているように、該
粒子相互を物理的に隔置させることにより達成すること
ができる。必要とされる分離の程度は、粒子間交換結合
を大幅に減ずるためには、僅かに数Å程度である。静磁
場相互作用と呼ばれる、もう一つの粒子間相互作用があ
り、これは上記の交換相互作用と比較して、粒子間のよ
り一層大きな距離に渡り作用する。該静磁場相互作用を
減ずることにより、僅かに固有の媒体ノイズが減じられ
る。しかしながら、実際のところ、静磁場相互作用の効
果は、ヒステリシスループの方形性を改善し、かつ該切
替場分布(該交換相互作用よりも程度は低い)を狭く
し、および結果としてPW50およびOWを改良する。従っ
て、静磁場相互作用は、一般的に望ましいものであり、
結果として許容される。
【0005】TNLDは、隣接ビット間のシンボル間干渉の
結果である。これは、書き込み中の転移部分におけるビ
ットの部分的な消去である。TNLDは、該飽和保磁力を増
大させ、かつレマネンス磁化−厚み積("Mrt"、ここでMr
はレマネンス磁化であり、またtは該磁性層の厚みであ
る)を減ずることにより下げることができ、また一般的
にマイクロ磁気理論により説明されるものと考えられて
いる。磁性フィルム組成物および堆積法が、TNLDを減ず
るのに利用できる。TNLDは、記録密度の増大に伴って増
大するので、記録密度の増大に伴ってますます決定的な
パラメータとなり、またこのパラメータを最適化する、
磁性フィルム組成物および堆積法を開発する必要があ
る。該磁気媒体から最良の性能を得るためには、上記基
準の各々、即ちPW50、オーバーライト、ノイズおよびTN
LDを最適化する必要がある。これら性能の基準各々が相
互に関連しているので、これは手に負えない仕事であ
る。例えば、Hcを高めることにより、PW50をより狭く
し、かつTNLDをより低くすると、オーバーライトに悪影
響を及ぼす。というのは、Hcの増大はオーバーライトを
低下するからである。より低いMrt を有する薄い媒体
は、狭いPW50、良好なOW、および低いTNLDを与えるが、
ノイズは、該媒体シグナルが減じられるので、増大す
る。該ヒステリシスループの方形性を高めることは、PW
50をより狭くし、良好なOWを得、TNLDをより低くするの
に寄与するが、粒子間交換結合および静磁場相互作用の
ために、ノイズが増大する可能性がある(該媒体におけ
る支配的な固有ノイズは、粒子間交換結合により生ずる
ノイズである)。粒子間交換結合を排除して、該主要な
固有媒体ノイズを減ずることが、公知の目標であるか
ら、低下されるTNLD、改良されるOWおよびPW50を狭める
量は、これまで該媒体の静磁場相互作用由来の許容可能
なノイズレベルの増加により、制限されていた。
【0006】従って、高密度記録用途、即ち高ビット密
度を維持できる、最適薄膜磁気記録媒体は、PW50、OWお
よびTNLDを犠牲にすることなく、ノイズを下げることを
要求するであろう。上記性能基準の幾つかの最適化を可
能とする一つの型の磁気媒体は、コバルト(Co)とプラチ
ナ(Pt)との合金を主成分とするものであり、これは高い
Hcおよび高い磁気モーメントを与える、該合金の能力に
よるものである。CoPtベースの合金の媒体ノイズは、多
数の異なる方法により減じることができるが、以下に説
明するように、これらの方法は、ヒステリシスループ方
形性の喪失(即ち、低いS*および高いSFD)、高いPW50、
低いOW、高いTNLD、およびその他の欠点をもつ。チャン
(Chen)等の上記した「薄膜水平記録媒体の性能における
限界の物理的起源」に記載されているこのような方法の
一つは、高いアルゴン圧環境でのスパッタリングによ
る、磁性合金の堆積を教示している。基本的には、高い
アルゴン圧の印加は、分離された、交換減結合粒子を与
える。媒体ノイズは減じられるが、S*およびOWは減少
し、かつSFD は増大して、PW50の増加を招く。
【0007】ハワード(Howard)等により米国特許第5,06
6,552 号に教示された、該媒体ノイズを減ずるためのも
う一つの方法においては、酸素を5〜30原子%(at%) の
濃度で該磁性フィルムに導入する。ハワード(Howard)等
は、酸素が導入されたアルゴン雰囲気内での真空スパッ
タリングによる、磁性層の形成を教示している。これに
より、該スパッタリング環境から、酸素を該磁性層内に
導入する。しかし、上記特許においてハワード等により
指摘されているように、酸素の導入はHcおよびS*両者を
減少する。ハワード(Howard)等は、米国特許第5,062,93
8 号において、成長後に、該磁性粒子を酸化することを
教示している。しかしながら、ハワード等('938)により
教示されたこの方法には、付随的な幾つかの欠点があ
る。第一に、不純物の堆積後にスパッター堆積された層
を酸化する追加の工程は、製造工程を複雑にし、かつコ
スト増を招く。第二に、酸化物形成の制御について何等
教示されていない。第三に、粒径および粒子の均一性の
制御について何等教示されていない。もう一つの方法
は、粒状フィルムに、SiO2を含む磁性合金の粒子を含有
せしめることである。これらフィルムに関する詳細はC.
L.チェン(Chien) 等の「磁性粒状Fe-SiO2 固体(Magneti
c Granular Fe-SiO2 Solids)」, J. Appl. Phys., 1987,
61(B), p.3311およびS.H.リュー(Liou)等の「粒状金属
フィルム,記録媒体(Granular Metal Films a recordin
g Media)」, Appl. Phys. Lett., 1988, 52(8),p.512 に
記載されている。本質的に、これらの研究者等は、同時
スパッタリングによりまたは複合ターゲットを使用し
て、Fe-SiO2 を堆積しており、また該磁性フィルムは下
層なしに堆積された。約1100 Oe のHc値および約0.6 の
方形性(S) が得られた。これらの値は、高密度記録用途
に対しては、容認し得ない程に低いものである。
【0008】同様に、シミズ(Shimizu) 等の「CoPtCr複
合磁性薄膜(CoPtCr Composite Magnetic Thin Films)」,
IEEE Trans. Mag., 1992, 28, No.5, p.3102 およびそ
の関連特許出願、即ち1993年3月10日付けの欧州特許出
願第0 531 035 A1号、1993年3月23日付けの日本国特許
出願第5-73880 号および米国特許第5,516,547 号に記載
されているように、SiO2の添加が利用されている。具体
的には、低い媒体ノイズおよび高い面内飽和保磁力が、
約10容積%(vol%)のSiO2の導入によって記録された。上
記シミズ等の論文は、これらフィルムのS*が一般的に約
0.6 であることを示している。従って、SiO2を含む媒体
は、低い媒体ノイズおよび高いHcを示すが、得られる方
形性は、まだ低過ぎて、高密度記録に対する要件を満た
すことはできない。シミズ等は該合金中に約17-18at%の
Ptを要求していることにも、注目すべきである。このよ
うな高い割合のPtは、このような媒体の製造コストを大
幅に増大する(但し、磁気抵抗ヘッドと共に使用するよ
うに設計された、例えば約10memu/cm2の Mrtを有する媒
体については、Hcを維持するために、高いPt含有率を必
要とする可能性がある)。更に、シミズ等は、僅かに17
00 Oe 程度のピークHcを達成したに過ぎず、これは将来
の高密度記録用途に対しては、容認できない限界であ
る。1993年8月6日付けの日本国特許出願第5-197944号
(ムラヤマ(Murayama)等)に記載された、もう一つの方
法は、Hcを増大するのにSiO2を添加し、一方で広い範囲
のN2、例えば0.1 〜10%のN2の存在下でスパッタリング
している。低媒体ノイズが達成されるが、SiO2の割合が
増大するにつれて、S*が減少するという犠牲を払った。
かくして、低媒体ノイズは、PW50およびOWの増大という
犠牲の下で達成された。SiO2に関連する付随的教示は、
クドー(Kudo)の米国特許第4,837,094号(アモルファス
合金を教示している)およびタダ(Tada)等の米国特許第
4,769,282 号(希土類元素を含む合金を教示している)
に見出すことができる。
【0009】重要なことは、SiO2を使用するこれら従来
技術の全てが、SiO2および該磁性フィルム成分とを、同
時に堆積されるが、該SiO2と該磁性フィルム材料との最
小の合金化を生ずるような条件の下で、堆積する方法と
は逆に、SiO2と該磁性フィルム成分との合金化または混
合を教示している。不純物の合金化または混合には、多
数の欠点がある。第一に、不純物物質の添加(例えば、
シミズ等による30vol%までのSiO2)は、飽和磁化(Ms)お
よびその結果としてのMrの減少をもたらす。従って、こ
れらの文献は、該磁性層の厚みを増大して、十分なMrt
を維持する必要があった。これは望ましくない。という
のは、フィルム厚の増大は、粒子間間隔における損失の
増大を招き、これは大きなPW50と低劣なOWをもたらす。
第二に、該スパッタリング法は、付随的な材料をスパッ
タリングする必要性のために、より煩雑となり、しかも
コスト増を招く。第三に、合金化されたまたは混合され
た不純物は、粒子を分離して、結果的に交換結合による
ノイズを減少することはない。マードック(Murdock) 等
は、「多層Co−合金磁気記録媒体のノイズ特性(NoisePr
operties of Multilayered Co-Alloy Magnetic Recordi
ng Media)」, IEEE Trans. Mag., 1990, 26, pp.2700-27
05 において、磁性物質の多層の堆積を教示しており、
該層は非−磁性物質の層によって相互に分離されてい
て、媒体ノイズを減じている。粒径および粒子間間隔
は、下層上で数粒子の厚みで、相対的に制御できるもの
と理論付けられている。フィルムが成長してより厚くな
るにつれ、その粒子はサイズおよび位置を変更する傾向
がある。従って、マードック等は、下層の堆積により、
その上に薄い磁性層を数粒子の厚みで形成し、この磁性
層上に他の下層を形成し、該下層上にもう一つの薄い磁
性層を形成すること等により、粒径および間隔を制御す
ることを教示している。媒体ノイズは、より小さな分離
された粒子により低下されるが、SFD は増大し、かつ方
形性は、個々の層のHcを整合させることの困難さの故
に、低下する。
【0010】更に、薄い磁性層の粒径は、該磁性粒子が
超常磁性となり、Hcの大幅な低下をもたらす程に、減ず
ることができる。このような多層フィルムの製造も、非
常に困難であり、通常必要な設備以外に、付随的な加工
チャンバーを必要とする。更に、特別な注意を払って、
該製造工程を設計して、薄い磁性層の酸化を最小化する
必要がある。かくして、この多層法は、媒体ノイズを低
下する方法を教示するが、通常の方法は方形性の低下を
もたらし、かつ実施困難であり、また経費がかかる。今
日製造されている多くの磁気記録媒体において、該Co−
ベースの磁性合金結晶の[0002]CrまたはC-軸(磁化容易
軸)は、該ディスクの面に対して平行または主として平
行である(以下、「面内(in-plane)」配向と呼び、また
面内および主として面内両者を含むものとする)。これ
は、当分野では周知の様々な方法で達成される。Co−合
金フィルムの面内C-軸を得る最も一般的な方法は、Cr下
層を使用して、稠密六方充填(HCP) Co粒子の、体心立方
格子(BCC) Cr粒子上での粒子−粒子エピタキシャル成長
を促進することである。面内C-軸配向が、以下の格子面
関係:(002) Cr//(1120)Co; (110) Cr//(1011)Co; (11
0) Cr//(1010)Coおよび(112) Cr//(1010)Coの一つによ
り、CoをCr上でエピタキシャル成長させることにより得
ることができることは、K.ホノ(Hono), B.ワン(Wong)&
D.E.ラーフリン(Laughlin)の論文「Co/Cr 二層磁性薄膜
の結晶学(Crystallography of Co/Cr bilayer magnetic
thin films)」, J. Appl. Phys., 1990, 68(9), p.4734
に示されている。
【0011】また米国特許第4,652,499 号には、該Co−
合金と該Cr下層との間の、良好なエピタキシーのための
格子整合を改善するためには、該Cr下層をバナジウム
(V)と合金化すべきことが記載されている。これら方
法の各々によれば、該Cr下層は数百Åの厚みをもってい
て、該Co−合金のエピタキシャル成長に適したCrテクス
チャーを確立する必要がある。しかしながら、このよう
な厚いCrまたはCo合金層を形成した結果として、Crまた
はCo合金の粒径も、数百Åまたは数千Å程に大きくな
る。該Cr下層に堆積された該Co−合金の粒径は、該Cr下
層の粒径と一致するであろうから、得られるエピタキシ
ャル成長Co−合金も、数百Å乃至数千Å程度となるであ
ろう。このような場合、大きな粒子による、磁気転移に
おける高い固有の媒体ノイズは、該媒体を、現在の並び
に将来の高密度記録には適さないものとする。Crまたは
Cr合金下層を使用した場合、得られる大きなCo−合金粒
子の上記欠点を解消する方法は、リー(Lee) 等の「CoCr
Ta磁性薄膜用のNiAl下層(NiAl Underlayers for CoCrTa
Magnetic Thin Films)」, IEEE Trans. Mag., 1994(11
月), 30, No.6, pp.3951-3、「NiAl下層上のCoCrPt薄膜
媒体に及ぼす、Cr中間層の作用(Effects of Cr Interme
diate Layers on CoCrPt Thin Film Media on NiAl Und
erlayers)」, IEEE Trans. Mag., 1995(11 月), 31, No.
6, pp.2728-30 、および1994年9月29日付けの、米国特
許出願第08/315,096号に基づく優先権を主張して提出さ
れた欧州特許出願第EP 0 704 839 Al 号において提案さ
れている。リー等は、B-2 結晶テクスチャーを有する下
層上に、Coベースの磁性合金層を形成することによる、
粒子成長の制御を教示している。一態様において、極め
て薄いCr中間層(25 〜50Å)を、B-2 NiAl下層と該Coベ
ースの磁性合金層との間に堆積している。
【0012】リー等によれば、該Coベースの磁性合金層
は、その下の層上でエピタキシャル成長する。極めて薄
いCr層を使用した態様においては、該Cr層は該B-2 結晶
性下層上でエピタキシャル成長し、該Coベースの磁性合
金は、該薄いCr層上でエピタキシャル成長する。その原
理は、Co−合金が(1010)Co配向をとって、面内C-軸を有
するCo−合金を与えると考えられる基礎を、該NiAl層の
(112)NiAl結晶配向が与えることにある。該Cr層は、高
い飽和保磁力および方形性にとって必要であるが、この
公知技術によれば、該Cr層は該 (112)NiAlと(1010)Co
の間の関係(即ち、該B2層と該磁気記録材料層との間の
間接的エピタキシー)を妨害しない。かくして、リー等
は、該中間層を著しく薄く(25〜50Åの範囲)して、該
Crがその自身の好ましい配向で成長するのを防止するこ
とが必要であるとしている。比較的高い飽和保磁力およ
び方形性(S) が報告されている。リー等は、観測された
飽和保磁力および方形性における増加が、(112) テクス
チャリング処理された厚いNiAl層上でのエピタキシャル
成長により得られる、該Co磁性フィルムの(1010)テクス
チャーによるものと考えていた(上記したリー等の「Co
CrTa磁性薄膜用のNiAl下層」を参照のこと)。ここで、
薄い(25 Å)のCr中間層は単に該(112) テクスチャー
を、該Coに転写しただけである。リー等は、Cr中間層
が、該NiAlフィルム表面上の過剰のAlによる該Coの汚染
を防止する必要があること、および該Cr中間層は十分に
薄くて、(a) Crの該Coフィルム層への拡散を最小化し、
かつ(b) 該Co合金磁気記録層と該NiAl下層との間の該エ
ピタキシーの妨害を回避する必要があることを述べてい
る。
【0013】リー等により教示(EPO 704 839 A1参照)
された、高飽和保磁力、高方形性、かつ微細粒子構造に
も拘らず、NiAl下層の単なる付加は、媒体のノイズ性能
に最小の改良を与えるに過ぎず、従って得られる媒体
は、現存のおよび将来の高密度記録用途には不十分であ
る。EPO 704 839 A1を参照すると、この最小の改良は、
キャリヤーノイズの測定データを示す第14および15図お
よび総合媒体ノイズの測定データを示す第16および17図
に見られる。重要なことは、リー等により教示された媒
体が高い粒子間交換相互作用を受け、またこれを、例え
ば各個の粒子を意図的に分離することにより処理するた
めの教示はない。リー等によって教示されたこの高飽和
保磁力は、比較的多量のプラチナ(例えば18at%)の使用
および恐らく幾分かは該(1010)テクスチャーにより達成
されるものと考えられる。以下で更に論ずるように、適
当に分離されたCo-Pt ベースのフィルムは、合金中に僅
かに13at% 未満のPtを使用した場合においてさえ、該フ
ィルム中の粒子が適当に分離されていれば、3000 Oe を
越える飽和保磁力を達成できる。事実、このような高い
飽和保磁力は、(1010)テクスチャーなしに、粒子のラン
ダムな配向によって達成できる。このような大量のプラ
チナに対する必要性および(1010)テクスチャー形成の必
要性等のリー等による要件は、彼等が達成した極めて高
いヒステリシスループ方形性と共に、リー等により教示
されたフィルムが、該物理的な粒子間の著しく高い交換
相互作用をもつことを示している。このこと、およびリ
ー等による分離に関する議論の欠如から、リー等により
教示されたフィルムが媒体ノイズの大幅な改善を示さな
い理由を理解できる。
【0014】前に述べたように、磁性粒子分離の効果は
当分野で公知である(チェンの上記論文「薄膜水平記録
媒体の性能の限界における物理的起源」)。磁性粒子の
分離は、首尾よく実用化されている。例えば、本出願人
の前の研究である、1994年4月6日付け出願の、米国特
許出願第08/223,636号を参照のこと。しかしながら、こ
の研究によれば、アモルファス下層を使用して、後に堆
積されるCoベースの磁気記録層の小さく、均一な粒子を
得ている。該アモルファス下層と該結晶性磁気記録層と
の間の界面において、該磁気記録層の個々の結晶粒は多
結晶性である。多結晶性磁性粒子は、単結晶粒子よりも
低い磁気結晶異方性定数Kuをもつであろう。フィルムの
全体としての飽和保磁力は、個々の粒子のKuに比例して
おり、以下の式で与えられる:Hc∝Σ(grain) [2Ku
(grain) /Ms]。アモルファス下層をもつ該界面における
該Co−合金のKuの低下は、該全体としての磁気記録層の
飽和保磁力における低下をもたらす。線形記録密度を増
大する目的で、該記録層のMrtを減少させる(即ち、該
記録層を薄くする)と、該多結晶性領域の厚み対全フィ
ルム厚の比は増大し(また、該フィルムが十分に薄い場
合には、該多結晶性領域が支配的なフィルム構造となり
得る)、またその飽和保磁力は大幅に減少するであろ
う。例えば、フィルムのMrt が、1 Gbit/in2(.155Gbit/
cm2)を越える記憶に対して必要とされる、1 memu/cm2
下に低下した場合、Hcにおける低下は、該フィルムを、
将来の記録密度に対して使用不能なものとする程に促進
する。一般的に、将来の高密度記録用の低Mrt フィルム
について、PW50、OWおよびTNLDを犠牲にすることなし
に、高飽和保磁力、高方形性および低媒体ノイズを達成
する能力には、限界があることが認識されている。この
問題は、高記録密度用の水平記録媒体に対する、磁気性
能パラメータの値、製造の容易性およびコスト等におけ
る譲歩に導いた。従って、現時点において、高飽和保磁
力、高方形性および低ノイズ、狭いPW50、良好なOWおよ
び低いTNLDを有する媒体の製法に対する、当分野におけ
る要求がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
当分野の諸問題点を解決し、かくして該分野の要求を満
たすことにあり、更に具体的には高い飽和保磁力および
高いヒステリシス方形性を有し、かつ高密度用途におけ
るPW50、固有の媒体ノイズ、TNLDおよびOW等の優れた磁
気記録パラメータを与えるように、最適化された、磁気
記録媒体、およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の媒体の製造方法は
真空堆積装置における特定の合金および特定の作業条
件、並びに上記のような最適の媒体を与える諸工程の使
用を含む。粒子の成長並びに構造の制御は、本発明の重
要な特徴である。本発明による媒体は、100 Åまたは其
以下の径を有する微細な個々の磁性粒子を含む磁気記録
層を含む。ここで、該磁性粒子は、固体セグリガントに
よって相互に分離されており、かつ制御された均一な粒
径および5Å〜50Å(理想的には、約10Åの平均粒子間
距離)程度の粒子間距離を有する。重要なことは、該磁
気記録層の粒子が、該層の厚み全体に渡り、主として単
結晶であって、各個々の粒子の磁気結晶異方性定数を最
小化することであり、更に該粒子のC-軸は主として該フ
ィルムの面内で配向されており、面内ランダム配向状態
にある。この媒体は、典型的には0.8 またはそれ以上の
値に近い飽和保磁力方形性およびレマネント飽和保磁力
方形性、0.2 またはそれ以上の値に近い切替え場分布お
よび個々の粒子の固有飽和保磁力に近い、例えば即ち20
00 Oe を、最小所要Pt含有率にて示し、一方同時に最小
の媒体ジッタノイズおよびTNLD、並びに最適の磁気特性
にとって最大のオーバーライト性を与えるであろう。該
媒体は、理想的には現行のおよび将来の高記憶密度用
途、例えば磁気抵抗ヘッドとの組み合わせ使用に適して
いる。我々は、改良されたTNLDのメカニズムが、主とし
て該磁性フィルムの面内で配向しているC-軸をもつ、該
磁気粒子の結晶にあり、また改良されたOWのメカニズム
が、各磁性粒子が主として単結晶状態にある点にあるこ
とを、見出した。
【0017】低ノイズの磁気記録媒体を製造するには、
小さな粒子が必要であることが知られているが、我々
は、また該小さな粒子が主として単結晶(即ち、クリス
タライト)である場合には、その飽和保磁力は、Co-Pt
ベース合金中のプラチナの所定の濃度に対して増大す
る。該単結晶粒は、高い飽和保磁力を維持するのに可能
な最大のKuを与える。我々は、分離された粒子を有する
媒体について、高い方形性を達成するためには、該粒子
は均一なサイズをもつべきであり、また相互に均一な間
隔で配置されて、磁化反転工程中の切替え特性を均一化
する必要があることをも見出した。付加的な利点とし
て、小さな粒径および均一な粒子間距離によって得られ
る、該粒子の均一な切替え特性も、良好なOWを与える。
かくして、本発明の一局面は、適当な各生成工程を通し
て、制御された粒子の成長に基づいたフィルム堆積に関
わり、これにより磁性フィルム層が得られ、該層は、高
密度記録に適した粒径における狭い分布をもつ、均一に
分離された小さな単結晶磁性粒子(100Åまたはそれ以下
の粒径)を含む。我々の研究の結果は、該記録層背後の
適当な核生成層の使用が、高い飽和保磁力、高い方形
性、および低ノイズにとって必要な、均一な磁性粒子サ
イズおよび粒子間間隔を得るために決定的であることを
示している。この層の機能は、個々の物理的磁性粒子が
成長する、核生成サイトを与えることである。形態学
(ここでは、該粒子のサイズおよび粒子間距離として定
義する)および該粒子結晶配向を包含する、該磁性層の
粒子特性は、殆ど該粒子が成長する表面の状態により指
定される。
【0018】物理的粒子は、核生成サイトにおいて形成
されるので、各核生成サイトのサイズおよび隣接核生成
サイト間の距離の制御により、該磁気記録層のサイズお
よび間隔、即ち該粒子成長特性の制御が容易となり、か
つ大角粒界が与えられる。更に、核生成サイトのサイズ
およびその間隔の適当な制御は、該磁気記録層中の該粒
界におけるセグリガント物質(以下で論ずる)のセグリ
ゲーションを最適化する方法を与える。更に、結晶核生
成層が、該磁性層のエピタキシャル成長のために、後に
堆積される磁気記録媒体層との適当な格子整合をもつよ
うに選択された場合には、主として該フィルム(または
基板)に対して平行に配向したC-軸をもつ、ほぼ単結晶
性の磁性粒子を含む記録層を得ることができる。更に、
該粒子のC-軸は該フィルム面に対して平行であるが、こ
れらはまた該フィルム面内でランダムに配向されてい
る。即ち、我々が二次元等方性と呼ぶ状態にある。従
来、十分に小さなサイズでこれら粒子を製造することは
不可能であった。我々は、本発明の該組織化された核生
成層が、この制限を排除することを見出した。
【0019】従って、公知技術の「下層(under layer
s)」と本発明による「組織化された核生成層(structure
d nucleation layer)」とを区別することは重要である。
下層は核生成サイトを与えることができるが、該磁性フ
ィルムの所定の極めて微細な結晶性微細構造を形成する
ことはできない。しかしながら、本発明によって提案さ
れる組織化された核生成層は、これら機能の何れをも果
たす。公知技術により教示されている未ドープNiP およ
び元素Cr等の物質の層は、下層と呼ばれるであろう。特
開平5-73880 号および上記したその対応EPO(シミズ(Shi
mizu) 等)並びに特開平5-197944(ムラヤマ(Murayama)
等)各々は、下層の利用を論じているが、組織化された
核生成層により与えられる粒子成長のメカニズムの重要
性を示唆も認識さえもしていない。事実、シミズ等はあ
らゆる型の下層を使用することのない、磁気媒体を形成
することを試みており、またムラヤマ等はSiO2の該記録
層材料への添加に注目しているが、核生成層の重要性を
認識していない。本発明によれば、該組織化された核生
成層は、典型的には後に堆積される磁気記録層のエピタ
キシャル成長を達成するための、多数のフィルム層から
構成されているであろう。この組織化された核生成層
は、後に堆積される層の形態および粒子配向を制御す
る。具体的には、該核生成層は、(a) 粒子サイズおよび
粒子間距離を制御し、(b) 大角粒界を得ることを含む粒
子配向および後に堆積される層の粒子の面内C-軸を制御
し、かつ(c) 単結晶磁気記録物質粒子を制御する。粒子
間における大角粒界の存在は、セグリガントが該粒界に
まで拡散することを可能とし、結果として該微細な磁性
結晶粒子を分離することを可能とする。
【0020】本発明の一局面による該組織化された核生
成層は、2つの成分を含む。その第一の成分は、本発明
において「種結晶層(seed layer)」と呼ばれ、ディスク
基板上に堆積される。この種結晶層は、以後の粒子成長
の鋳型を与える。該組織化された核生成層の第二の成分
は、本発明において「中間層(intermediate layer)」と
呼ばれ、該種結晶層上に直接堆積される。一態様におい
ては、単一の中間層が表面を与え、該表面上で該磁気記
録層がエピタキシャル成長して、微細で均一な粒径およ
び二次元等方性媒体を与える、結晶形態および配向を制
御することができる。複数の種結晶層および/または中
間層(および/または磁性フィルム層)を含む他の態様
も利用可能である。上記のように、該種結晶層の役割
は、以後の粒子成長のための鋳型を与えることである。
この鋳型は、後に成長する中間体並びに該中間層上で成
長する磁気記録層における、100 Å程度の幅の粒子を製
造することを可能とするものである必要がある。即ち、
該磁気記録層の粒子は、別々の小さな種結晶層の粒子を
与えることにより、成長開始されなければならない。こ
れらの種結晶層の粒子は、該中間層の結晶粒のサイズお
よび間隔を設定するように機能する。最終的に、磁気記
録層の粒子は、該中間層の粒子上でエピタキシャル成長
し、該中間層は前者の粒子形態および粒子結晶配向(即
ち、二次元等方性)を制御する。
【0021】同様に既に述べたように、該中間層は、該
磁気記録層がエピタキシャル成長することのできる表面
を与える。我々は、スパッター堆積したCrまたはCr合金
が、該中間層材料として適したものであることを見出し
た。かくして、Crの適当な格子面配向が、選択的な成長
法により設定され、該磁気記録層、例えばスパッター堆
積されたCo合金のエピタキシャル成長用の核生成層が与
えられる。従って、該中間層材料は、その結晶構造およ
び該選択された磁気記録層材料に対する、ある格子面の
比較的近接した(約10% 以内)格子整合性に基づいて選
択される。この好ましい粒子配向テクスチャーを設定す
るのに必要とされる、該中間層の厚みは、一般的に該ス
パッタリング装置のベース圧に依存して、約80Åを越
え、かつ約1000Å未満である。しかしながら、公知技術
によれば、これが一つの難点をもたらす。該公知技術の
Cr層が厚過ぎる、例えば200 Åを越える場合には、該Cr
粒子は大き過ぎて、径100 Å未満の微細なCo合金粒子の
成長を維持することができない。この難点を解決するた
めに、本発明は、該種結晶を使用して、該Cr粒径を制御
し、また所定のCr結晶配向テクスチャーの設定を援助す
ることを提案する。該Cr中間層用の適当な種結晶層は、
Ti等の金属、B2構造、例えばNiAl金属間化合物、または
Crに対して限られた固溶解度をもつ元素とのCrの合金等
から選択される。このような種結晶層は、数百Åを越え
るCr層の厚みにおいてさえ、一般的に100Å未満の径の
微細なCr粒子を生成する。100 Å未満の径の微細なCr粒
子を生成するのは、該種結晶層の極めて小さな粒径であ
り、また後に堆積されるhcp Coベース合金の面内C-軸お
よび二次元等方性を与えるのに十分な厚みにおいて、該
Cr粒子間の大角粒界を与えるのは、該種結晶層のクリス
タライトのランダムな配向である。
【0022】該種結晶層を、Ti、B2構造、Crベースの合
金または他の材料形成できることが理解されよう。但
し、該種結晶層の粒子は、小さなCr中間層の粒子の成長
を可能とするのに十分に小さな径のものである。一態様
においては、該種結晶層はCr合金製であり、該合金は元
来Crの中間層に対して良好な格子整合性を有している。
しかしながら、以下に説明されるように、種結晶層用に
使用されるCrと合金化される元素は、Crに対する限られ
た溶解度をもつべきである。このような合金の例はCr-C
u 、Cr-Y、Cr-Si 、Cr-Pd 、Cr-Hf 等である。Crと合金
化される該元素の量は、多くとも該Crマトリックス中へ
の最大固溶解度を数原子%越える程度(例えば、10 at%
まで)であるべきであり、従って該合金化元素はCr粒界
まで十分に移動して、微細粒子を形成できる。また、Cr
は2以上の元素と合金化できるが、該Cr粒界における1
を越える元素のセグリゲーションを達成するための制限
と同一の制限を被る。実際に、一般的にはCrを種結晶層
として使用した場合、限られた固溶解度をもつ合金が必
要とされる。というのは、このような元素が、純元素フ
ィルムよりも小さな核生成サイト用の粒子を形成する傾
向があるからである。かくして、適当に選択された合金
は、該種結晶内での極めて微細な粒子、従って該中間層
の形成を容易にするであろう。しかしながら、適当な堆
積技術を利用し、かつ材料を選択することにより、幾つ
かの元素状材料、例えばTiも、該フィルム堆積法で適当
な微細粒子を与えることができる。というのは、Tiは該
真空スパッタリング装置内の残留ガスおよび該スパッタ
リングターゲット内の不純物に対して極めて反応性であ
るからである。にも拘らず、該種結晶層用に選択された
該材料は、以下のようなある結晶構造をもつ必要があ
る。即ち、該結晶構造は、該後に堆積される中間層があ
る結晶学的形態で振る舞いもしくは該形態を発現するこ
とを可能とするものであり、該結晶学的形態のために、
該中間層上で成長する該磁気記録層(典型的には、Coベ
ース合金)は、同様な粒子形態でエピタキシャル成長す
る。
【0023】該磁気記録層の形態が、必ずしも該種結晶
層の形態により決定されるとはいえない。実際に、一般
的には本発明によればそうではない。前に論じたリー等
の研究は、該磁気記録層の面内配向を与えるために、こ
のような条件があったが、本発明によれば、このような
制限はない(例えば、以下に記載するように、Ti、Cr-3
% CuおよびCr-5% Cu種結晶層に関するデータにより支持
される)。該ランダムに配向した種結晶層は、後に堆積
される中間層が、該種結晶層由来の該核生成サイトのサ
イズおよび位置で開始して、成長し、かつそれ自身の形
態をとることを可能とする。得られる中間層は、幾つか
の好ましい配向を確立し、面内C-軸を有する磁性粒子の
後のエピタキシャル成長を容易にする。事実、該磁性粒
子はランダムな面内配向で成長し、大角粒界を生ずる。
これは、セグリガント物質の該磁性粒界への拡散を著し
く増大し、粒子間の交換相互作用を抑制し、結果として
ノイズを減ずる。該中間層は、好ましくは幾つかの結晶
学的面の、Coベースの磁気記録層の格子面の幾つかに対
する、厳密な格子整合性のために、Cr元素である。しか
し、その他の中間層元素または合金も、同様にCoベース
の記録層のエピタキシャル成長を可能とする中間層とし
て十分に機能できる。実際に、該磁気記録層はCoベース
合金以外のものであり得、従って異なる格子定数をもつ
ことができる。このような場合、適当な格子整合用の他
の中間層を使用できる。かくして、本発明はCr中間層に
制限される(あるいはCoベースの磁気記録層に限定され
る)ものと理解すべきではない。
【0024】本発明は、所定の微細で均一な粒子を提供
し、該粒子は依然として該Cr中間層を、十分に厚く形成
して、後に堆積されるCo合金エピタキシーにとって好ま
しい配向を発現することを可能とする。事実、Cr下層を
使用している従来技術と比較して、比較的大きなCr層の
厚みにおいてさえ、より小さな粒子が得られる。その
上、厚いNiAl下層を形成して、基板の面に対して平行な
C-軸をもつCo合金を得ることに依存している、従来技術
(例えば、リー等)と比較して、本発明によって教示さ
れる媒体の粒子は小さい。これは、種結晶層を使用した
ことによるものであり、また面内C-軸が、該中間層の好
ましいテクスチャーをもつ、該磁気記録層の面との整合
を通して得られる。重要なことは、本発明が該磁気記録
層全体に渡り均一な結晶学的形態を与えることである。
即ち、磁気記録層と格子整合の組織化された核生成層に
より、該磁気記録層の粒子が、該磁気記録層と該中間層
との間の界面において、一層完全な単結晶を形成する。
従って、該磁気記録層の各粒子は、殆ど単結晶であろ
う。これは、アモルファス下層、非−格子整合下層、お
よび非組織化核生成層上に形成された磁性層の多結晶質
粒子と対照をなす。結局、磁気記録層物質の磁気結晶異
方性定数は、個々の粒子の固有の磁気結晶異方性定数に
接近する。かくして、該磁気記録層材料の飽和保磁力
は、Mrt が例えば0.6 memu/cm2未満に減少した場合にお
いてさえ、増大する。更に、該磁気記録層のより完全な
生成格子構造は、より均一な磁化の切替えを可能とし、
これが、我々がオーバーライトにおける増加を発見した
根本であると考えられる。
【0025】本発明の磁気記録媒体は、非−磁性セグリ
ガント物質、例えば1種以上のAl、As、B、Ce、Co、C
r、Dy、Gd、Ho、La、Lu、Ni、Os、Pm、Ru、Re、Sc、S
e、Si、Sm、Sn、Ta、Tb、Th、Ti、Tm、U、V、W、Y
またはZrの酸化物または窒化物を該磁性物質と共に堆積
することにより、製造する。後堆積工程なしに、単一の
堆積工程で、該セグリガント物質を、周囲基板温度にお
いてさえ、均一に該粒界に拡散させて、固有の磁気特
性、例えば磁化および飽和保磁力等に悪影響を与えず
に、粒子間の十分な分離を達成する必要がある。これは
中程度の堆積速度(例えば、少なくとも1Å/秒かつ20
Å/秒未満)および比較的低温度(≦200 ℃)にて行う
必要がある。これを達成するために、選択された該セグ
リガント物質は、該磁性合金に対して不溶性であり、か
つ熱力学的に安定である。このセグリガント物質は、そ
の結合強度により規定され、該強度は90Kcal/molとすべ
きである。他の態様においては、該セグリガントは、低
温スパッタリング環境(例えば、200 ℃以下)において
良好な拡散速度を有していて、良好な粒界セグリゲーシ
ョンを確立する金属または金属合金であり得、これらも
使用可能である。該堆積された媒体中の該セグリガント
の濃度は、該粒界において個々の磁性粒子を完全に分離
する(これにより、粒子間交換結合に起因する媒体ノイ
ズを最小化する)のに十分である必要があるが、該磁性
フィルムに配合できるセグリガントの量には上限があ
る。この上限は、飽和保磁力における減少、飽和磁化に
おける減少、および/またはセグリガント物質の添加に
より生ずる方形性の関数である。典型的には、標的飽和
保磁力および/または方形性が確認され、またセグリガ
ントの量は、該飽和保磁力および/または方形性を、そ
の標的値またはそれ以上に維持するように選択される。
典型的には、添加すべきセグリガント物質の量は、約10
モル%(mol%)またはそれ以下である。該セグリガント導
入効果は、該磁性層の下に、上記組織化された核生成層
を使用することにより、大幅に高めることが可能であ
る。
【0026】我々は、乾式スパッタリング環境および低
アルゴン圧下で、該粒界において該セグリガントを効果
的にセグリゲーションさせるためには、該堆積された磁
性フィルムを、粒子成長の初期段階において、大角粒界
をもつように与える必要があることを見出した。適当な
組織化された核生成層の選択は、所定の大角粒界を与
え、一方同時に均一な粒径および粒子間間隔が与えられ
る。従って、適当な組織化された核生成層上での該磁気
記録層の成長は、(a) 該粒界へのセグリガントの導入を
容易にし、(b) 粒径を制御し、(c) 該磁気記録層内の粒
子間間隔を制御しかつ(d) 該結晶粒の配向を調節する上
で決定的である。該セグリガント物質の添加は、該磁性
層の飽和磁化Msおよび磁気レマネンスMrに最小の衝撃を
与える。高いレマネンス方形性が達成され、結果として
該磁性層の全体としての厚みに対して、最小の衝撃を与
える。重要なことは、交換結合により誘発されたノイズ
は、該セグリガント物質の導入および本発明の他の工程
により完全に阻止できることである。同時に、例えば20
00 Oe を越える高い飽和保磁力、並びに高い飽和保磁力
方形性およびレマネンス飽和保磁力方形性、例えば各々
0.8 に近い値が得られる。該中間層と該磁性層との間の
良好なエピタキシーを達成するためには、スパッタリン
グ中のバックグラウンドH2O 圧を、約1×10-6トール未
満とする必要があり、また他の残留ガス圧も低くする必
要がある。更に、我々は該中間層と該磁性層との間の良
好なエピタキシーを達成するためには、該堆積された中
間層の表面の汚染を、該磁性層の堆積前に、最小化して
おく必要があることを見出した。このような汚染を防止
するためには、該磁性層を、該中間層の堆積後できる限
り速やかに堆積する必要があり、また該中間層の堆積完
了と、後の層の堆積との間の時間を、該スパッタリング
装置のベース圧に依存して、例えば60秒以下とすべきこ
とを見出した。
【0027】従って、高密度記録用途に最も適した、大
幅に改良された媒体は、セグリガント物質を含有する磁
気記録層を、適当に選択された多層型で結晶性の組織化
された核生成層上にスパッター堆積することにより与え
られる。得られる磁性層は、小さく均一なサイズをもつ
主として単結晶粒子からなり、該粒子は該粒界において
該セグリガント物質によって、相互に均一に分離されて
おり、しかも該基板の面に対して主として平行であり、
該面内でランダムに配向している、C-軸を有する。本発
明の方法は、得られる媒体の記録性能、特性の調節をも
たらし、かつ既存のスパッタリング法に対して殆ど付加
的な煩雑性を付加せず、またコストを高めることもな
い。
【0028】
【好ましい態様の説明】以下、本発明を、特定の例およ
び添付図を参照しつつ、更に詳細に説明する。添付図同
志において、同様な参照番号は同様な要素を表すものと
する。図1は、本発明に従って組み立てられた、典型的
な剛性薄膜磁気ディスク10の断面図である(一定比で描
かれていない)。完全なディスク10の一般的な説明はそ
の層の幾つかおよびその堆積のための方法並びに条件の
詳細な説明と共に以下に与えられるであろう。最後に、
幾つかの実施例の詳細な説明が、本発明の種々の重要な
局面を強調するために提示されるであろう。ディスク10
は、アルミニウム合金基板12からなる。基板12はアルミ
ニウムブランクであり得、その上にメッキ層(図示せ
ず)、典型的にはNiP が、無電解メッキによりあるいは
その他の当分野で周知の方法により形成される。また、
基板12はガラス、セラミック、ガラス−セラミック、炭
素ベース材料、珪素、チタン、ステンレススチール、ま
たは他の適当な、本発明の範囲を越える理由で選択され
た材料であってもよい。しかし、重要なことは、基板12
の最外部表面(図1の斜視図から)は、平滑かつ十分に
清浄化されている。場合により、該表面をテクスチャリ
ング処理して、当分野で周知の如く、得られる磁気記憶
媒体のCSS 性能を改善することができる。
【0029】次いで、以下で更に詳細に説明される、組
織化された核生成層14を、基板12上に堆積する。組織化
された核生成層14は、図2に示したように、2またはそ
れ以上のサブレイヤーを含むことができる。2層のサブ
レイヤーを含む場合、該組織化された核生成サブレイヤ
ーの第一のものは、本明細書においては種結晶層22と呼
び、また第二の該核生成サブレイヤーは、本明細書にお
いて中間層24と呼ぶ。スパッタリングは、組織化された
核生成層14(即ち、そのサブレイヤー各々)を堆積する
ための好ましい方法であるが、他の堆積法も、1以上の
これらサブレイヤーを形成するという所定の目的を達成
することができる。図1を再度参照すると、以下で更に
詳しく説明する、磁性合金および不溶性の「安定な」セ
グリガント物質を含む、磁気記録層16を、次に組織化さ
れた核生成層14上に堆積する。再度、スパッタリング
が、この層を堆積するための好ましい方法であるが、他
の技術を利用して、この層を堆積するという目標を達成
することができる。当分野で公知の型の、例えば窒素、
水素またはその両者をドープした炭素、ZrO2、SiO2等の
酸化物、またはTiN 、ZrN 等の窒化物、またはTiC 、Si
C 等の炭化物等の、厚み例えば300 Åを有する保護オー
バーレイヤー18、および当分野で公知の型の潤滑層20
が、磁気記録層16上に適用される。該保護オーバーレイ
ヤー18および潤滑層20の詳細は本発明の範囲外であり、
従ってここでは詳細に議論しない。
【0030】本発明の特定の目標を達成するために、Co
Ptベースの磁性材料を、不溶性のセグリガント物質と共
に堆積する。一態様において、該CoPtはCrと合金化され
る。この態様においては、該クロムの濃度は約15at% ま
でであり、また該コバルトの濃度は約75at% を越える。
上記のように、媒体ノイズの主な源は、粒子間交換結合
である。上記の「薄膜水平記録媒体の性能における限界
の物理的起源」においてチェン等により論じられたよう
に、結合ノイズを減ずるための一つの方法は、該記録層
の粒子を相互に分離することである。これが、該不溶性
セグリガント物質の役割である。種々の物質、例えばA
l、As、B、Ce、Co、Cr、Dy、Gd、Ho、La、Lu、Ni、O
s、Pm、Ru、Re、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Ta、Tb、Th、T
i、Tm、U、V、W、YまたはZrの酸化物または窒化物
が、粒子の分離のために効果的である。該セグリガント
物質の選択基準は、第一に該物質が該粒界までセグリゲ
ーションするように、該磁性合金に対して比較的不溶性
であるべきこと、および第二に該化合物の結合エネルギ
ー(これはD0 298 に対して少なくとも90Kcal/molである
べきである)により決定したように、安定であるべきこ
とである(ハンドブックオブケミストリー&フィジック
ス(Handbook of Chemistry and Physics), CRCプレス
刊, 1988-89 に記載されている)。以下の説明および関
連する図面においては、SiO2を、該不溶性かつ「安定」
なセグリガントの一例として使用した。SiO2およびその
他のセグリガント物質に関するより詳細な議論について
は、上記の米国特許出願第08/286,653号を参照のこと。
しかしながら、多くのこのような不溶性かつ「安定」な
セグリガントの1種またはそれ以上の使用も本発明の意
図する範囲内である。
【0031】前述の如く、最適の記録性能は、該記録層
を含む粒子が均一なサイズをもち、かつセグリガント物
質により均一に分離されている場合に得ることができ
る。事実、我々は、該磁性粒子78各々が殆ど同等なサイ
ズで、絶縁物質80により相互に均一に分離されて、粒子
間交換が遮断された単結晶であるべきであることを見出
した。この配置をもつ磁気記録層の部分を、図4に平面
図として示した(各粒界内の平行線により示された、面
内または二次元ランダム粒子配向)。例えば1Gb/in2(.1
55Gb/cm2) の、将来の高密度記録用途に対しては、最大
許容書き込みジッタは、4nm以下であると予想される。
我々は、このような用途用の媒体の粒径は100 Å程度以
下であろうと考えている。かくして、我々は、このよう
な媒体の目的とする性能を達成するためには、該粒子78
の各々を、約10Åの絶縁物質80により相互に均一に分離
して、完全に該交換相互作用を排除し、しかも最大の書
き込み密度を維持する必要があることを見出した。この
ような記録層をもつ媒体は、将来の高密度記録用途に対
して要求されるように、可能な限り最大の方形性を示
し、一方で可能な限り最低の媒体ノイズを維持するであ
ろう。
【0032】方形性とノイズとの間に交換があることに
注意すべきである。極端に方形の媒体は、粒子間交換結
合を無視し、かつセグリガントを使用することなしに、
最密充填微細粒子を与えることにより得られる。しかし
ながら、これは該媒体の有用性に著しい悪影響を与え、
磁気記録媒体の性能パラメータについての、現行のおよ
び将来の期待を与えるような、工業的実施はできないで
あろう。また、粒子間交換結合は、絶縁物質80により数
10Å程度の距離で、該粒子を相互に均一に分離すること
により、完全に排除できる。しかしながら、この場合、
過剰量の非−磁性絶縁物質が該磁性層を過度に希釈し、
結果として該フィルムの体積磁化率を低下し、しかも粒
子間の静磁場相互作用の大幅な減少により、該フィルム
の方形性が低下するであろう。従って、分離の程度およ
び結果としての該磁性合金の形成で使用される該セグリ
ガントの量の決定の際の、粒子セグリゲーションにより
達成される高い方形性、最大の体積磁化率および最低の
ノイズ性能間のバランスが必要である。一般的規則は、
該粒子を相互に完全に分離するのに十分であるが、該フ
ィルムの磁気性能の低下を生じるには不十分な量のセグ
リガントを選択することである。原理的には、該非−磁
性セグリガントによる、該粒子間の約10Åの分離が、交
換相互作用を抑制するのに十分である。我々は、優れた
記録層を得るための一つの要件が、該記録層を適当な組
織化された核生成層上に形成することであることを見出
した。組織化された核生成層はその上に形成される該磁
性粒子のサイズおよび粒子間距離に影響を与え、かつ該
粒子間の該セグリガントの均一な分布を容易にして、所
定の分離を達成し、粒子間交換結合を最小化または防止
して、ノイズを減じかつ磁気性能を改善する。これを実
現するためには、該組織化された核生成層は、個々の粒
子が付着するであろう別々の核生成サイトのあるトポロ
ジーを持つべきである。
【0033】従って、該組織化された核生成層は、十分
に厚く(例えば、各サブレイヤーに対して約100 Å以
上)して、基板表面を均一にかつ完全に覆い、下部の基
板表面テクスチャーの作用を排除し、かつ後の結晶成長
のための新たな結晶形態を設定し得るものであるべきで
あり、しかも該核生成サイトにより与えられる均一な分
離、所定の粒径、および分布の低下を生ずる程に厚いも
のであってはならない。本発明の一態様の磁気ディスク
のこのような微細構造の断面は、図2に模式的に示され
ており、図2において組織化された核生成層14は種結晶
層22および中間層24からなる。種結晶層22はランダムに
配向した別々の粒子74からなり、該種結晶層はCr粒子76
が核生成し、かつ成長するための鋳型として機能する。
重要なことは、粒子74が非常に小さく、径100 Å以下
(径は、基板の面に対して垂直方向から観察した場合の
もの)であり、しかも連続していることである。また、
各粒子の結晶配向は、お互いについてランダムに配向し
ており、従って大角粒界が隣接粒子間に存在する。これ
らの特徴は、種結晶層22に対して使用した材料の関数で
ある。例えば、Ti等のHCP 元素、Cr-Cu 等のBCC 合金お
よびB2相NiAlが、適当な真空スパッタリング堆積条件下
で、これらの特徴を与えることが分かった。中間層24
は、後に直接種結晶層22上に堆積される。中間層24は、
典型的にはCrまたはCr合金であり、これはかなり良好
な、該磁気記録層に対して使用されるCo-Pt ベース合金
に対する格子整合性をもつ。表1は、Cr中間層およびCo
(72%) Cr(10%) Pt(18%)(一般的に、各元素の割合は少数
点による下付番で記載され、また下付番をもたない元素
の割合は該合金の残部を構成することを意味する、例え
ばCoCr.10Pt.18)を含む磁気記録層の面に関する格子整
合性を示す。
【0034】
【表1】 CrおよびCoCr.10Pt .18 の種々の面に関する格子整合性 Crテクスチャー CoCr.10Pt .18 テクスチャー 不整合性 C-軸 (110) (1011) 0.2%および2% 面から28° (110) (1010) 1.7%および11% 面内 (200) (1120) 1.7%および9% 面内 (211) (1010) 1.7%および2% 面内 (111) (3120) 1.7%および4% 面内 (221) (1010) 1.7%および4% 面内 (210) 何れの方向においても良好な整合は見られない
【0035】表1に記載したように、該CoCr.10Pt .18
合金と該Cr下層との間の格子不整合は、両格子面方向に
おいて約10% 以下であり、従ってCr上でのCoCr.10Pt
.18 のエピタキシャル成長は容易に行われる(一般的に
いえば、該CoCrPt合金で使用したCrの濃度は、腐食抵抗
性を改善する目的で10% 〜15% の範囲内に維持され、か
つPtの濃度は、Kuおよび結果としてHcの増大のために、
10% 〜18% の範囲内に維持され、一方で同時にコストを
下げかつ該合金の固有の飽和モーメントMsを増大する目
的で、Pt濃度を最小にすることが望ましい)。同様に表
1に示されているように、得られる該Co−合金のテクス
チャーは、面内C-軸配向している。但し、(1011)Coおよ
び (110)Crは該フィルムの面から28°ずれて配向したC-
軸をもつ。該粒子間の大きな結晶学的な粒子角を増大す
るために、該フィルムは、その中で混交された多数の異
なるCo−合金のテクスチャーをもつべきである。理想的
には、該(1011)Coテクスチャーを、他の面内粒子テクス
チャーと共に存在させて、該粒子間の大角粒界を増強す
るべきである。本発明の一態様によれば、我々は、中間
層24をTiまたはNiAlの種結晶層上に形成した場合に、主
として表1に示したCrテクスチャーを有するCr中間層が
得られることを見出した。該Cr粒子と該Co−合金粒子と
の間の一般的な形態は、図4の顕微鏡写真にみることが
でき、本図はNiAl種結晶層が示されており、その上には
Cr中間層が形成され、該Cr中間層上にはCo−合金層が形
成されている。
【0036】該種結晶層内には多数の結晶配向が存在
し、かつ該Cr粒子は該種結晶層上で核生成し、しかも成
長するが、該Crは寧ろ、低エネルギーの一連のテクスチ
ャー、例えば1以上の(110) 、(200) 、(211) 、(111)
および(221) で形成されるであろう。他の配向で成長す
るCr粒子は、より緩慢に成長する傾向があり、またこの
低エネルギー配向のためにオーバーランを起こすであろ
う。このことを模式的に図2に示した。更に、好ましい
配向をもつ粒子が他の配向をもつ粒子とオーバーランし
た場合には、該粒子は相互に影響を与える傾向にあり、
従って該Cr粒子は、(該フィルム面の方向ではなく)そ
の厚みの方向のみの成長に制限されるであろう。これは
効果的に、該Co−合金粒子との界面にまで、小さな粒径
を維持する。このことは図4に十分に示されている。該
種結晶層22は、該Cr粒子が核生成しかつ成長するための
極めて多量の核生成サイトを与えるので、統計的には好
ましい配向の多量のCr粒子が得られる。従って、該好ま
しい配向のCr粒子は、比較的密接した状態で成長する。
これら粒子がかなり均一な速度で成長するであろうとい
う事実と、上記の点を組み合わせると、径におけるCr粒
子の成長の傾向に、理想的な制限が与えられる。これ
は、図4の層24にみることができ、また該層により明ら
かである。図4および5は、後に堆積されるCoベースの
合金層が、多かれ少なかれ該合金層が堆積される該Cr中
間層の結晶形態および配向に従う、結晶形態および配向
をとるであろうことを立証する顕微鏡写真である。該Cr
中間層上での該Coベースの合金のエピタキシャル成長
は、図4に示された磁気記録層16中の該Cr中間層の格子
面配向の連続性を観察することにより確認できる。
【0037】図6は、該フィルム面に対して垂直方向か
らとられた、該Co−合金フィルムのTEM 増である。図6
に示したように、該Co−合金粒子78は、相互に完全に分
離され、該セグリガント80(SiO2)により包囲されてい
る。同様に図示されているように、該Co−合金結晶の粒
径は全く均一であり、100 Å未満であり、また該絶縁セ
グリガントの平均距離は約10Åである。該磁性粒子の良
好な分離性および該フィルムの小さな粒径は、(該磁気
交換相互作用を完全に抑制し、かつ粒径により誘起され
る転移ノイズを最小化することによって)該媒体の最小
の固有ノイズを保証する。図7は、(150ÅのNiAl種結晶
層上に形成された)600 ÅCr中間層上に堆積された、20
0 ÅCoCr12Pt12+8%SiO2フィルムの多層フィルムディス
クの破壊断面の高解像度SEM 顕微鏡写真である。最上層
は100 Åの炭素オーバーコートである。該顕微鏡写真に
より明らかな如く、該提案された組織化された核生成層
を用いた、この多層構造フィルムの該破壊表面は、十分
に画成された、明確に切断された粒界をもつ粒子のコラ
ムを示しており、該粒界は該基板表面から開始し、該フ
ィルム表面にまで伸びている。これらの結果は、該粒子
が十分に分離されていることを明らかにしている。対照
的に、図8は、150 ÅのNiP+2%Al2O3 下層、これに伴う
600 ÅのCr層(順に、これは200 ÅのCoCr.12Pt .12+8%
SiO2フィルム層および100 Åの炭素オーバーコートを伴
う)の多層フィルム構造の、同様に破壊された表面につ
いて撮影したSEM 増である。図8は、粒子コラムが明確
に画成されておらず、また該CrおよびCo−合金層内、特
に該Co−合金層の中央部またはそれ以下における粒子内
破壊をもつこと、および該粒子の破壊面が清浄でないこ
とを示している。これらの結果は、NiP+2%Al2O3 のアモ
ルファス構造が、Crに対する良好な核生成サイト(また
は鋳型)を与え得ないこと、および該構造が過度に大き
く成長したCr粒子を与えることを示している。この後者
の場合、該Cr粒子上で成長した該Co粒子は小角粒界をも
ち、結果として不十分な分離をもたらし、これらの粒子
がエピタキシャル成長した場合にも、ランダムに配向し
た面内C-軸をもたないであろう(即ち、二次元等方性を
もたないであろう)。
【0038】我々は、適当な格子構造および/または結
晶構造を有する、適当に選択された元素または合金、例
えばTi、B2構造(例えば、NiAl)、Cr-X合金(ここで、
Xは制限された固溶解度をもつ元素、例えばCu-Cr の固
溶解度を僅かに上回る量のCuである)等が、該微細な粒
子の種結晶層材料として使用できる。ここで、該種結晶
層は、該Cr中間層内の結晶の好ましい形態および配向を
与え、これは順に該Co−合金のエピタキシャル成長用の
形態および配向を与える。本発明の一局面によれば、該
種結晶層およびこれに続く層は周囲温度またはその近傍
の温度にて、比較的高速で堆積される。より高い基板温
度およびより低い堆積速度が、より大きな粒子を与える
であろうことは、一般的に公知である。既に述べたよう
に、微細粒子の種結晶層を生成することが、本発明の目
標の一つである。我々は、この目標を達成する上で、こ
の種結晶層用の材料の選択が大きな役割を演じているこ
とを見出した。例えば、Tiは、該スパッタリング雰囲気
あるいはスパッタリングターゲット(高純度のTiターゲ
ットを製造することは極めて困難である)中の残留酸素
または窒素ガスと極めて高い反応性をもち、該粒界にお
いて酸化物または窒化物を形成し、かくして極めて微細
な粒子を生成することから、好ましいものであり得る。
限られた固溶解度を有するCr−合金も好ましいものであ
る。というのは、固溶解度を越える量の該合金元素が、
該粒界までセグリゲーションし、結果として微細な粒子
形成を容易にするからである。比較的高い堆積速度およ
び低い温度を適用した場合には、NiAl等のB2相化合物
も、該化合物の非−化学量論的組成の特徴並びにこのよ
うな比較的高い堆積速度、低い堆積温度系(即ち、該堆
積工程中に平衡を達成するには不十分な拡散速度)にお
ける平衡相構造(B2構造の単一相)を形成することの困
難さのために、極めて微細な粒子を形成できる。
【0039】本発明は、固有の磁気記録媒体およびその
製造方法に関する。本発明は、選択されたセグリガント
物質を使用した磁性合金並びに固有の核生成相構造およ
び該層用の材料の選択に依っている。磁気記録層は、最
終的に微細な粒子(100Å)を有し、かつ大角粒界を有し
ていて、該粒界に対する該選択されたセグリガントのセ
グリゲーションが促進され(従って、該磁性粒子が完全
に分離され)しかも該粒子は、面内C-軸を有するほぼ完
全な単結晶粒子である。ここに教示される方法は、一部
には周囲温度またはほぼ周囲温度でのスパッタリングが
利用可能であることから、実用性が高く、かつ低コスト
である。本明細書に含まれる堆積に基づいて、実際に論
じたものに加えて、種結晶層および中間層材料として使
用して、所定の属性をもつ磁気記録層を得るのに適し
た、一連の物質を列挙することは当業者のなしえる範囲
のことである。しかしながら、他の堆積法、例えば高温
スパッタリングも使用できる。本発明に従って、種々の
下層および核生成層を使用して作成した幾つかのディス
クの磁気特性および記録性能を、以下に説明する。特に
述べない限り、本明細書で論ずる全てのディスクは、日
本国東京のアネルバ社(Anelva Inc.) により製造された
バッチ式真空堆積装置、モデルSPC-350 を使用して作成
した。この装置は、4つのスパッタリングカソードから
なる。該スパッタリングチャンバーへの基板の装入およ
び取り出し用の、ロードロックシステムを使用して、基
板を該スパッタリングチャンバー内に搬送する際におけ
る、周囲雰囲気による、残留ガス(例えば水蒸気、酸
素、窒素等)の導入により生ずる、汚染を最小化する。
【0040】該システム内の初期の残留ガス、特に水蒸
気を最小化するために、該システムのベース圧を、該核
生成層および磁性層(並びに炭素オーバーコート)を堆
積する前に、2×10-7Torr以下にまで下げた。該4つの
スパッタリングカソードは、該種結晶、核生成、磁性お
よび炭素オーバーコート層を連続的に堆積するためのも
のである。数個のディスクを、種結晶を使用せずにおよ
び種々の種結晶材料: NiAl、TiおよびCr-Cu を使用し
て、調製した。各種結晶層はR.F.ダイポールスパッタリ
ングにより堆積した。ある場合には下部の種結晶層なし
に形成され、また中間層が形成される他の場合には、種
結晶層上に形成されるCr層は、R.F.マグネトロンスパッ
タリングを利用して堆積した。該磁性層は、R.F.ダイポ
ールスパッタリングにより堆積させた。最後に、該炭素
オーバーコートは、D.C.マグネトロンスパッタリングを
利用して堆積した。炭素層を除くこれら全ての層のスパ
ッター堆積は、15mTorr のアルゴン圧下で行った。該炭
素オーバーコートは、4mTorr のアルゴン圧下で堆積し
た(これらは以下の実験に関する堆積技術およびパラメ
ータであるが、他の技術およびパラメータを使用するこ
とも可能であり、同様な結果が得られる。例えば、本明
細書でいう該Cr層は、R.F.ダイポールスパッタリング等
により堆積できる)。図9は、2種の異なる記録媒体に
関する、磁気レマネンスと磁気フィルムの厚みとの積(M
rt) とレマネンス飽和保磁力(Hcr) とを比較した図であ
り、該媒体の一方は、厚み150 ÅをもつアモルファスNi
P+2%Al2O3 の下層を有し、その上にはCoCr.12Pt .12+8m
ol%SiO2 の磁気記録層が形成されており、その第二の媒
体は厚み600 ÅのCr下層を有し、その上には同一の磁気
記録層が形成されている。何れの場合も、実質的に同一
の公知の炭素オーバーコートを、該磁気記録層上に適用
した。
【0041】図9は、該アモルファスNiP 下層をもつ媒
体に対して、その飽和保磁力が、約0.8 memu/cm2または
それ以下のMrt において、該Coフィルムの厚みが減少す
るにつれて、急速に低下することを示している。しかし
ながら、該結晶性Cr下層をもつ媒体については、該飽和
保磁力は、約0.8 memu/cm2以下において、同一の範囲に
おいて比較的平坦な値に維持される。更に、該Cr下層を
もつ媒体のレマネンス飽和保磁力は、この実験の範囲内
で、任意のMrt に対して、該NiP 下層をもつ媒体の値よ
りも高い。これらの結果は、厚いCr下層を使用した場合
には、良好なエピタキシー、即ちCo合金の支配的に単結
晶の粒子の成長は、該Coフィルムの成長の開始点におい
て開始する。更に、該Co−合金粒子の配向は、ホノ(Hon
o)等および米国特許第 4,652,499号により予測されたよ
うに、最初からほぼ面内にある。一方で、アモルファス
NiP 下層を使用した場合には、結晶構造が、該Co粒子の
成長の開始点で成長し、このような多結晶構造が0.8 me
mu/cm2まで続く可能性がある。図10は、2種の媒体、即
ち各々単一のCr下層をもつように調製された媒体に関す
る、Hcr 対 Mrtをプロットしたグラフである。一方の場
合、該Cr下層は厚み200 Åであり、第二の場合の該Cr下
層は厚み600 Åであった。図10には同様に、2種の媒体
に関するHcr および Mrtのデータも示されており、該媒
体には、それぞれ300 Åおよび100 ÅのNiAl種結晶層を
使用し、該種結晶層上にはCr中間層が厚み200 Åおよび
600 Åで堆積されている。全ての場合において、該基板
を、該下層の堆積前に高度に研磨(例えば、Ra≒10Å)
した。該磁性合金層は、各ディスクに対して同一である
(また図9の実験で使用したもととも同一である)、即
ちCoCr.12Pt .12+8mol%SiO2 である。各場合において、
厚み100 Åの炭素オーバーコートを、該磁性層上に適用
した。
【0042】まず、図10は、薄いCr下層と比較して、厚
いCr下層が、与えられたMrt に対してより高い飽和保磁
力を生成することを示す。これは、該基板上に直接厚み
200Åおよび600 ÅでCr層を形成した例を比較した場合
に、およびNiAl上に厚み200Åおよび600 ÅでCr層を形
成した例を比較した場合に、みることができる。我々
は、良好なエピタキシーが、該Cr層が厚い場合、例えば
該Cr粒子がより均一な結晶構造をもつ場合に得られるも
のと仮定する(Cr粒径および結果としてCo−合金粒径も
影響される可能性がある)。第二に、図10は、Cr中間層
の下部に結晶性のNiAl種結晶層を付加することにより、
得られる媒体のHcr が増大することを示している。例え
ば、約0.3 memu/cm2以上にて、NiAl/Cr(200 Å)/CoCr
.12Pt .12+8mol%SiO2/C に対するHcr は、全てのMrt に
対して、Cr(200Å)/CoCr.12Pt .12+8mol%SiO2/C に対す
る値よりも大きい。このことは、厚み600 ÅのCr層を有
する媒体についても正しい。最後に、図9と図10とを比
較すると、Hcr における低下は、Cr層を使用した場合
(図10)には、Cr層を使用しない場合(図9)よりも顕
著ではない。実際に、Hcr は、0.3 memu/cm2程度の低い
Mrt においてさえ、1800 Oe を越える実用的範囲内に保
たれる。この場合も、この結果は、堆積の開始時点にお
ける良好なエピタキシャル成長性をもつ磁気記録層およ
び殆ど(または主として)面内C-軸配向(表1の格子整
合により与えられる、Cr上でのエピタキシーの結果とし
て)をもつ、十分に規定された単結晶を含む粒子の確立
の結果であると考えられる。
【0043】図11は、Hcr 対種結晶層の厚みの関係をプ
ロットした図であり、NiAl種結晶層の結果と、Ti種結晶
層の結果とを比較して示してある。2つの異なるCr中間
層の厚み(即ち、200 Åおよび600 Å)を比較のために
使用した。該磁気記録層用の合金は、図9および図10の
実験で使用したもの、即ちCoCr.12Pt .12+8mol%SiO2
同一であり、厚み約200 Åであった。Mrt は0.6 memu/c
m2に保った。図11のデータは、より厚いCr中間層が、与
えられ種結晶層の厚みに対して、より高いHcr を与える
点で、図10のデータと一致する。更に、TiおよびNiAlに
関する、Hcr 対種結晶層の厚みの曲線は、多かれ少なか
れその形状は同一であり、このことはNiAl種結晶層に加
えて、Ti種結晶層が、最終的な該磁気記録層のエピタキ
シャル成長用の、該Cr中間層の成長用の良好なプラット
ホームを与えることができることを示している。図11
は、またTiまたはNiAl種結晶層を使用した場合には、あ
る範囲の種結晶層の厚みに渡り、比較的安定なHcr が得
られることを示している。現在の競合的ディスクドライ
ブシステムが、2000 Oe またはそれ以上の媒体飽和保磁
力を必要としていることが理解されており、この飽和保
磁力は、600 ÅまでのTiおよびNiAl種結晶層の厚みにお
いて与えられる。(また、このことが、該種結晶層の厚
みが該基板表面を覆うのに十分、例えば約100 Åである
ことのみが必要であり、また該種結晶層の機能の観点か
ら、より厚い層の成長に対する技術的な制限は、実際上
ないことにも注意すべきである)。
【0044】NiAl種結晶層およびTi種結晶層(エピタキ
シャル成長により得た)を有する媒体間の性能の類似性
は、また図12に示した実験データによっても立証され
る。図12のデータに関連して、3つの異なる媒体を調製
した。先ず、厚み600 ÅのCr層を、直接超研磨基板上に
堆積させた。CoCr.12Pt .12+8mol%SiO2 磁気記録層を、
該Cr下層上に堆積し、かつ100 Åの炭素オーバーレイヤ
ーを、該磁気記録層上に堆積させた。第二に、100 Åの
NiAl種結晶層を、超研磨基板上に堆積させた。600 Åの
Cr中間層を、次いで該NiAl種結晶層上に堆積した。次い
で、CoCr.12Pt .12+8mol%SiO2 磁気記録層を、堆積し
た。最後に100 Åの炭素オーバーコートを、該磁気記録
層上に堆積させた。第三に、100 ÅのTi種結晶層を、該
第二の媒体の該100 ÅのNiAl種結晶層と置換した。図12
は、600 ÅのCr中間層上に、100 ÅのNiAl種結晶層を使
用した媒体に対する、Hct のMrt 依存性は、600 ÅのCr
中間層上に、100 ÅのTi種結晶層を使用した媒体に対す
るものと殆ど同一である。このことは、これらの結果
を、種結晶層なしに、基板上に直接形成された600 Åの
Cr層を有する媒体について得られた結果と比較した場合
に明らかとなる。図12は、また与えられたMrt に対し
て、Ti種結晶層を使用した媒体についてのHct の値が約
200 Oeだけ、NiAl種結晶層を使用した媒体の値よりも低
いことを示している。しかしながら、NiAl種結晶層また
はTi種結晶層の何れかを使用した媒体は、該Co合金磁気
記録層と該Cr中間層との間の良好なエピタキシーに基づ
いて、0.3 memu/cm2程度の低いMrt で、2300 Oe を越え
るHct を与えることができる。
【0045】もう一つの態様においては、CrとCuとの合
金を、該種結晶層材料として使用する。図13に示したデ
ータはCr-Cu 合金の2つの例を示し、その第一の例は5a
t%Cu含有合金であり、その第二の例は3at%Cu含有合金で
ある。このフィルムは、3つのカソードを含む、特別あ
つらえのバッチ式真空堆積システムを使用して作成し
た。該第一のカソードは、該種結晶層の、R.F.マグネト
ロンスパッター用のものである。第二のカソードは、該
中間層をR.F.マグネトロンスパッターするためのもので
ある。該第三のカソードは、該磁性層をR.F.ダイオード
スパッターするためのものである。スパッタリングは、
1×10-6Torr以上で実施した。前に述べたように、該合
金化成分の量は、Cr中への該当成分の最大固溶解度を丁
度越えるように選択される。この場合、CuのCr中への最
大固溶解度は、二成分合金相図(Binary Alloy Phase Di
agrams), ASM, 1968, pp.819-820に報告されているよう
に、約1at%である。
【0046】図13の実験に関連して、該2つのディスク
の各々は、先ず厚み200 ÅのCr-Cu合金の層を堆積する
ことにより調製した。次いで、600 ÅのCr層を適用し
た。CoCr.08Pt .10+5mol%SiO2 からなるCo合金を、次に
堆積させた。比較のために、200 ÅのNiAl種結晶層を有
し、該層の上に600 ÅのCr層を形成したディスクを調製
し、かつテストした。図13に示したように、Cr-Cu 種結
晶層を有するディスクに関するHcr 対Mrt の曲線は、そ
の形状において、小さなMrt においてさえ、NiAl種結晶
層およびCr下層に対する曲線と類似している。このこと
は、最大固溶解度(例えば、≒1at%)よりも幾分高いCu
濃度を有するCr-Cu 合金が、種結晶層材料として使用可
能であることを立証している。本明細書で提案している
種々の種結晶層を使用した、Co合金とCrとの間の良好な
エピタキシーは、図9のデータと図13のデータとを比較
することにより、推定できる。しかしながら、所定の微
細な粒径構造および本明細書に記載した種々の種結晶層
を使用して得た磁性粒子間の良好な分離は、種々の種結
晶層をもつディスクの磁気性能を測定し、かつ磁気的測
定の結果を、Cr下層を使用したディスクおよびNiP 下層
を使用したディスクのデータと比較することによっての
み立証できる。これらの磁気的測定の結果を以下の表2
および表3に示す。
【0047】
【表2】ディスクデータ 振幅 ディ 高周波数 中周波数 低周波数 解像度 PW50 OW WrtJtr TNLD スク (mVpp) (mVpp) (mVpp) (%) (ns) (dB) (mm) (%) 1 0.1312 0.6097 0.8800 14.91 24.45 29.60 3.80 16.26 2 0.2040 0.7645 1.0409 19.59 23.43 38.72 5.41 10.36 3 0.1961 0.7829 1.0407 18.84 22.22 36.64 2.98 11.98 4 0.2039 0.7677 1.0360 19.68 23.06 37.58 5.17 10.46 ディスク組成 ディ Co合金 構造 Hcr Mrt スク (Oe) (memu/cm2) 1 CoCr.11Pt .13+ SiO2(6%) NiP(2%)/CRPS6/ 炭素 2309 0.8 [80 Å/210Å/100Å] 2 CoCr.12Pt .12+ SiO2(8%) Cr/CRPS8/ 炭素 2277 1.0 [480 Å/250Å/100Å] 3 CoCr.12Pt .12+ SiO2(8%) NiAl/Cr/CRPS8/炭素 2384 0.9 [150Å/200Å/250Å/100Å] 4 CoCr.12Pt .12+ SiO2(8%) NiP(2%)/Cr/CRPS8/ 炭素 2365 0.9 [150 Å/200Å/250Å/100Å] テストパラメータ HF=51.86mhz= 半径=0.87in 前置増幅器=SSI 32R2010R テスタ: Guzik 158.118kfci (2.21cm) RWA 1632/1701 MF=25.93mhz= 7200rpm= パラフィルタ=100MHZ ヘッド:シー 79.06kfci 655 96ips 5ポールバターワース ゲート OW=51.86mhz= ジッタ=25.93mhz= ジッタフィルタ=SSI Iw=35mA 0 〜ピーク 158.118kfci 79.06 kfci 32F8001,30mHZ,0dB Ibias=12mA
【0048】表2は従来技術および本発明により提案さ
れた種々の下層を使用して調製した4種の異なるディス
クの、磁気記録性能の結果を示す。サンプルの調製およ
びその構造および合金を以下に説明する。ディスク1 :このディスクは、まずNiP をメッキしたAl
基板上に、NiP+2mol%Al2O3の厚み約80Åの下層を堆積す
ることにより調製した。次に、厚み約210 ÅのCoCr.11P
t .13+6mol%SiO2 磁気記録層を、該NiP 層上に堆積させ
た。次いで、厚み約100 Åの炭素のオーバーコートを、
該磁気記録層上に堆積した。このディスクの堆積は、米
国特許出願第08/286,653号に記載の手順に従って、イン
ラインスパッタリング装置内で実施した。平均Hcr は23
09 Oe であった。ディスク2 :このディスクは、まずNiP をメッキしたAl
基板上に、厚み約480 ÅのCr下層を直接堆積することに
より調製した。次に、厚み約250 ÅのCoCr.12Pt.12+8mo
l%SiO2 磁気記録層を堆積させた。更に、厚み約100 Å
の炭素のオーバーコートを堆積した。これらのディスク
は、リー等のEPO704839 A1により使用されたものと類似
し、上記のアネルバスパッタリング装置中で製造した。
平均Hcr は2277 Oe であった。
【0049】ディスク3:このディスクは、まずNiP を
メッキしたAl基板上に、厚み約150 ÅのNiAl種結晶層を
直接堆積することにより調製した。次に、厚み約200 Å
のCr中間層を、該NiAl種結晶層上に堆積した。次いで、
厚み約250 ÅのCoCr.12Pt .12+8mol%SiO2 磁気記録層を
堆積させた。更に、厚み約100 Åの炭素のオーバーコー
トを堆積した。このディスクは本発明の一態様を表す。
全ての堆積は上記のアネルバスパッタリング装置中で実
施した。平均Hcr は2384 Oe であった。ディスク4 :このディスクは、まずNiP をメッキしたAl
基板上に、厚み約150 ÅのNiP+2mol%Al2O3の下層を直接
堆積することにより調製した。次に、厚み約200ÅのCr
中間層を、該NiP 層上に堆積した。次いで、厚み約250
ÅのCoCr.12Pt .12+8mol%SiO2 磁気記録層を堆積させ
た。更に、厚み約100 Åの炭素のオーバーコートを堆積
した。全ての堆積は上記のアネルバスパッタリング装置
中で実施した。平均Hcr は2365 Oe であった。
【0050】測定は、カリフォルニア州サンタクララの
ガジック(Guzik) 社により製造されている、ガジック(G
uzik) モデルRWA 1632/1701 スピンスタンド(Spinstan
d) を使用して実施した。カリフォルニア州スコットバ
レーのシーゲート(Seagate) により製造されている磁気
抵抗(MR)磁気記録ヘッドモデルキューダ(Cuda) IV XLを
使用した。ディスク回転数は7200 rpmであり、測定は半
径0.87インチ(2.21cm)にて実施した。ヘッドバイアスは
12mAゼロツーピークであり、ヘッド電流は35mAであっ
た。高周波数ヘッドシグナルは51.86mhz(158.118 kfc
i)、中周波数ヘッドシグナルは25.93mhz(79.06 kfci)で
あった。オーバーライト周波数は51.86mhz(158.118 kfc
i)および書き込みジッタ周波数は25.93mhz(79.06 kfci)
であった。ディスク1のOW、書き込みジッタ(WJ)および
TNLDの値と表2のディスク2、3および4に対する値と
の比較は、Co合金磁気記録層がCr層の上部に堆積された
場合には、高いOW値および低いTNLD値が得られることを
示している。これらの結果は、該Co合金が該Cr表面上で
エピタキシャル成長することを示しており、また該Co合
金が、主として該ディスクの面内で配向しているC-軸を
もつことを示唆している。
【0051】しかしながら、表2のディスク2、3およ
び4の比較は、ディスク2および4のWJ値が、本発明の
教示に従って形成したディスクであるディスク3の値の
殆ど2倍であることを示している。該Cr層をアモルファ
スNiP 基板表面に直接堆積した、ディスク2および該Cr
層をスパッター堆積したアモルファスNiP+2mol%Al2O3
上に堆積した、ディスク4の高いWJ値は、大きなCr粒子
の形成によるものであり、また該Coの該Cr上でのエピタ
キシャル成長の結果として、該Co粒子はディスク3の粒
子よりも大きく成長している。本発明により教示された
ように、該Cr中間層の下における種結晶層の使用(例え
ば、ディスク3)は、微細なCr粒子および結果として微
細なCo合金粒子を生成し、これによりWJが低下する(デ
ィスク2および4内で成長した大きなCo合金粒子の存在
の更なる証拠は、以下にしめされるであろう)。これら
の結果は、本発明の教示を利用して製作したディスク
が、優れたOWおよびTNLD、同時に低いWJおよび結果とし
て低い固有の媒体ノイズを示す点において、従来技術の
ディスクよりも優れていることを立証している。本発明
のもう一つの態様においては、種々の厚みのTi種結晶層
およびCr中間層を使用したディスクを調製した。これら
ディスクの磁気特性を、表3におけるNiAl種結晶層を使
用して調製したディスクと比較した。
【0052】
【表3】ディスクデータ 振幅 ディ 高周波数 中周波数 低周波数 解像度 PW50 OW WrtJtr TNLD スク (mVpp) (mVpp) (mVpp) (%) (ns) (dB) (mm) (%) 5 0.205 0.653 0.825 79.10 35.42 35.53 3.26 14.25 6 0.209 0.689 0.874 78.88 35.85 37.70 3.45 15.10 7 0.232 0.706 0.0851 83.00 33.92 38.26 3.54 15.71 ディスク組成 ディ Co合金 構造 Hcr Mrt スク (Oe) (memu/cm2) 5 CoCr.12Pt .12+ SiO2(8%) Ti/Cr/CRPS/炭素 2198 0.85 [100 Å/600Å/210Å/100Å] 6 CoCr.12Pt .12+ SiO2(8%) Ti/Cr/CRPS/炭素 2181 0.96 [300 Å/400Å/240Å/100Å] 7 CoCr.12Pt .12+ SiO2(8%) NiAl/Cr/CRPS8/ 炭素 2383 0.81 [150 Å/400Å/200Å/100Å] テストパラメータ HF=30.58mhz= 半径=0.862in 前置増幅器=SSI 2010R テスタ: Guzik 161 kfci (2.19cm) RWA 1632/1701 MF=15.29mhz= 4200rpm= パラフィルタ=100MHZ ヘッド:東芝 81 kfci 379 ips 5ポールバターワース MR2 OW=15.29mhz ジッタ=15.29mhz ジッタフィルタ=SSI Iw=30mA 0 〜ピーク 32F8001,13mHZ,4dB Ibias=10mA
【0053】ディスク5:このディスクは、まずNiP を
メッキしたAl基板上に、厚み約100 ÅのTi種結晶層を堆
積することにより調製した。次いで、厚み約600 ÅのCr
中間層を、該Ti種結晶層上に堆積した。次いで、厚み約
200 ÅのCoCr.12Pt .12+8mol%SiO2 磁気記録層を堆積さ
せた。更に、厚み約100 Åの炭素のオーバーコートを堆
積した。全ての堆積は上記のアネルバスパッタリング装
置中で実施した。平均Hcr は2198 Oe であり、またMrt
は0.85memu/cm2であった。ディスク6 :このディスクは、まずNiP をメッキしたAl
基板上に、厚み約300 ÅのTi種結晶層を堆積することに
より調製した。次いで、厚み約400 ÅのCr中間層を、該
Ti種結晶層上に堆積した。次いで、厚み約200 ÅのCoCr
.12Pt .12+8mol%SiO2 磁気記録層を堆積させた。更に、
厚み約100 Åの炭素のオーバーコートを堆積した。全て
の堆積は上記のアネルバスパッタリング装置中で実施し
た。平均Hcr は2181 Oe であり、またMrt は0.96memu/c
m2であった。ディスク7 :このディスクは、まずNiP をメッキしたAl
基板上に、厚み約150 ÅのNiAl種結晶層を堆積すること
により調製した。次いで、厚み約400 ÅのCr中間層を、
該NiAl種結晶層上に堆積した。次いで、厚み約200 Åの
CoCr.12Pt .12+8mol%SiO2 磁気記録層を堆積させた。更
に、厚み約100 Åの炭素のオーバーコートを堆積した。
全ての堆積は上記のアネルバスパッタリング装置中で実
施した。平均Hcr は2383 Oe であり、またMrt は0.81me
mu/cm2であった。
【0054】測定は、カリフォルニア州サンタクララの
ガジック(Guzik) 社により製造されている、ガジック(G
uzik) RWA 1632/1701 スピンスタンド(Spinstand) を使
用して実施した。日本国の東芝により製造されている磁
気抵抗(MR)磁気記録ヘッドモデルMR2を使用した。ディ
スク回転数は4200 rpmであり、測定は半径0.862 インチ
(2.19cm)にて実施した。ヘッドバイアスは10mAゼロツー
ピークであり、ヘッド電流は30mAであった。高周波数ヘ
ッドシグナルは30.58mhz(181 kfci)、中周波数ヘッドシ
グナルは15.29mhz(79.06 kfci)および低周波数ヘッドシ
グナルは5.10mhz(27 kfci)であった。書き込みジッタお
よびOW周波数は15.29mhz(79.06 kfci)であった。表3に
示されたディスクに関する記録性能パラメータは、Ti種
結晶層の使用がほぼ同一のMrt(即ち、ほぼ同一の低周波
振幅)に対して、NiAl種結晶層を使用したものと殆ど同
等なTNLD、OWおよび書き込みジッタを与え、また僅かに
低いHc(約200 Oe低い)を与えることを示している。こ
のことは、Ti種結晶層が、NiAl種結晶層と同様に効果的
に機能し得ることを示している。
【0055】図14A、14B、15A、15B、16Aおよび16
Bは、それぞれ表2のディスク2、3および4の、同じ
倍率の下での、TEM 断面を示す。ディスク2の図14A
(明視野像)および図14B(暗視野像)並びにディスク
4の図16A(明視野像)および図16B(暗視野像)は、
これらディスク内に形成したCr粒子が著しく大きく、ま
た結果としてエピタキシャル成長したCo合金粒子も該Cr
下層と同程度に大きいことを示している。一方、ディス
ク3の図15A(明視野像)および図15B(暗視野像)に
おいては、該Cr中間層および該エピタキシャル成長した
Co合金層両者に対して、かなり小さな粒子が生成されて
いることが理解できる。ディスク3を表す図6の平面図
は、100 Å未満の径をもつ粒子(かつ十分に分離された
粒子)を示し、かつ図15Aおよび15Bに示された微細粒
子構造を確認している。図14A乃至16Bは、極めて微細
な結晶粒の種結晶層を含む核生成層が、極めて微細な粒
子からなるエピタキシャル成長したCo合金フィルムを製
造するための基礎をなし得る、という我々の仮説を実証
している。図15Bを参照すると、その暗視野像は、該Cr
中間層24と該CoPt磁性合金層16の粒子との間に、良好な
粒子−粒子エピタキシーが存在することを示す(例え
ば、コラムの均一な淡い色は、該層間の結晶学的面の厳
密な整合性を示す)。ディスク3を表す図4の断面は、
高倍率TEM の下での良好なエピタキシーを示す。
【0056】更に、微細粒径の種結晶層の、粒子分離の
ための大角粒界を与える能力が、例えば図15Bに見られ
るように、粒子間の暗視野像のコントラスト強度の変化
により立証されている。これらの大角粒界は、セグリガ
ントが該粒界まで拡散することを可能とし、かくして該
粒子を分離し、結果として著しく低い固有の媒体ノイズ
および高いOWおよび低いTNLDを与える。日本国特許出願
第5-197944号(シミズ(Shimizu) 等)に記載されている
如く、該磁性合金との混合状態でのSiO2の存在は、最小
の書き込みジッタノイズを保証するための十分条件では
ないことに注意すべきである。事実、シミズ(Shimizu)
等の公開された、「CoPtCr複合磁性薄膜(CoPtCr Compos
ite Magnetic Thin Films)」と題する研究は、未混合Co
Pt.18 Cr.12 および複合CoPt.18 Cr.12+SiO2フィルムの
TEM 顕微鏡写真を示す。この文献は、「該粒界は何れの
フィルムにおいても明瞭ではなく、このことは該粒界が
極めて微細な構造であることを示す。エネルギー−分散
X-分析(EDX) は、Si原子が、粒界における如何なる認知
可能なセグリゲーションをも示すことなしに、該複合フ
ィルム全体にわたり均一に分布していることを明らかに
した」と述べている。
【0057】我々は、は、シミズ(Shimizu) 等のCoCrPt
+SiO2 混合物における媒体ノイズの低下が、主として粒
径の減少、即ちグレインノイズの低下により生ずるもの
であると考える。しかしながら、粒径のみの減少は、媒
体ノイズに対するより支配的な寄与因子である交換結合
により生ずるノイズの減少を与えない。このことは、シ
ミズ(Shimizu) 等により教示された方法(即ち、組織化
された核生成層を使用しない)によっては、該磁性粒子
間の完全な分離(即ち、完全な交換結合の遮断)を達成
することはできないことを示している。前に述べたよう
に、粒子間交換により誘起されるノイズを、完全に排除
して、ノイズを最小にする必要がある。我々が発見した
ように、これは、適当な組織化された核生成層(例え
ば、上記の種結晶層+中間層、または我々の継続中の特
許出願第08/286,653号において論じたNiP+Al2O3 核生成
層)を使用して、該絶縁性セグリガントのセグリゲーシ
ョンを容易にした場合においてのみ起こり得るものであ
る。本発明の教示により与えられるような、極めて低い
固有の媒体ノイズは、ディスク1、2および3の規格化
された総合媒体ノイズパワー(normalized integrated m
edia noise powers:MNP)を比較することにより明らかと
なる。この総合ノイズパワーを、各ディスクに対するMr
t(または低周波振幅)の値に規格化して、該データの意
味のある比較を行った。図14は、線形記録密度(kfci)の
関数として、ディスク1、2および3のMNP データを示
す図である。図示した如く、ディスク3(本発明による
ディスク)のMNP は、ディスク1(Cr下層のみを使用)
の値の約1/2 である。
【0058】更に、図17は、本発明により得られたMNP
が従来技術よりも十分に低いことを示している。例え
ば、リー等はそのEPO 特許出願EP 0704839A1号の第15図
において、彼等のNiAl下層をもつ媒体と、Cr下層のみを
もつ媒体との間のMNP における比較的僅かな差異、即ち
107 kfciにおける10% 未満の改善を示し、またかれらの
特許における第16図において、約20% の107 kfciにおけ
る改善を示す。この事実と、本発明により教示されたよ
うな、組織化された核生成層をもつ媒体(種結晶層/Cr
中間層)と、Cr下層のみをもつ媒体との間の、本発明の
図17に見られるような、107 kfciにおける約54% を越え
るMNP 値の差異と比較すべきである。この差異は、本発
明の組織化された核生成層(種結晶層/Cr中間層構造)
の、このような構造を使用しない構造のノイズ性能を11
0%越える、改善されたノイズ性能に等しい。図18は、表
2の媒体の非−線形歪(%) を、線形記録密度の関数とし
て示す図である。図示したように、本発明のディスク3
のTNLDは、各kfciに対して、見掛け上はCr下層のみを使
用した(即ち、大きなCo粒子を含む)ディスク2の値と
同程度に低い。一方、ディスク1は、測定した周波数範
囲、特に100 kfci以上において、本発明のディスクより
も高いNLD を示す。従って、図15から、本発明に従って
組織化された核生成層を使用した媒体が、例えば公知技
術のアモルファスのスパッター堆積したNiP と比較し
て、優れたTNLDを与えることは明白である。概して、上
記の実験的証拠は、本発明を利用して作成した媒体が、
公知技術と比較して、優れた媒体ノイズ、OWおよびTNLD
を与えることを示している。また、本研究は、我々の媒
体ノイズパワー測定の結果およびTi並びにCr-Cu 種結晶
層に関するデータに基づいて、本発明がリー等のおよび
シミズ等の公知技術とは全く異なることを立証してい
る。
【0059】本発明による磁気記録媒体は、典型的には
図19に示されたディスクドライブ100 で使用する。該ド
ライブにおいて、ディスク10はローターシャフト102 に
搭載され、該シャフトはまたモータ104 により回転され
る。一対の読み取り−書き込みヘッド106a、106bが結合
したアーム108a、108bの端部に取付けられている。ヘッ
ド106a、106bはフェライトヘッド、薄膜ヘッド、磁気抵
抗ヘッド、またはその他の型の読み取り−書き込みヘッ
ドであり得る。ヘッド106a、106bはディスク10近傍で浮
動し、該ディスク近傍で該ヘッドは、それぞれディスク
10の側面110a、110b上で、該磁気フィルムにデータを書
き込み、かつデータをそこから読み取ることができる。
アーム108a、108bは内側および外側(それぞれ112 およ
び114 の方向)に動くことができ、結果としてヘッド10
6a、106bが該ディスクの種々の位置におけるデータトラ
ックとアクセスすることが可能となる。アーム108a、10
8bの運動は、サーボモータ(図示せず)により制御され
る。ディスクドライブの例は、米国特許第4,949,202 号
(キム(Kim))、同第5,025,335 号(ステファンスキー(S
tefansky))、同第5,027,241 号(ハッチ(Hatch))および
同第5,025,336 号(モアハウス(Morehouse))に記載され
ている。これら特許各々を本発明の参考文献とする。本
発明の磁気記録媒体は、他の型のディスクドライブにも
組み込むことができる。以上本発明を特定の態様に関連
して説明してきたが、当業者は、本発明の精神並びに範
囲を逸脱することなしに、種々の改良を施すことができ
ることを理解するであろう。例えば、本発明を、単一の
磁気記録層を有する媒体により説明してきたが、本発明
の幾つかの用途においては、多数の磁気記録層を使用す
ること等が可能である。従って、上記の特定の説明は、
本発明の態様の例として提示したものであり、本発明の
範囲を限定するものと理解すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って組み立てた、剛性薄膜磁気ディ
スクの断面を示す。
【図2】本発明の一態様による、剛性磁気記録媒体の断
面図である。
【図3】本発明の磁気記録層の断面を示す平面図であ
る。
【図4】本発明による媒体の断面の顕微鏡写真であり、
Cr中間層の粒子とCo-Pt 合金磁気記録層の粒子との間の
エピタキシャル関係を示す。
【図5】本発明による媒体の断面の顕微鏡写真であり、
Cr中間層の粒子とCo-Pt 合金磁気記録層の粒子との間の
エピタキシャル関係を示す。
【図6】本発明によるCo-Pt 合金磁気記録層の、フィル
ム面に対して垂直方向にとったTEM 像である。
【図7】本発明による、150 ÅのNiAl種結晶層、600 Å
のCr中間層、および200 ÅのCoCr.12Pt .12+8mol%SiO2
磁気記録層並びに100 Åの炭素オーバーコートの多層デ
ィスク構造の、破壊断面の高解像度SEM 顕微鏡写真であ
る。
【図8】図7と同様な、破壊面において撮影した高解像
度SEM 顕微鏡写真であるが、このディスクは150 ÅのNi
P+2%Al2O3 下層、600 ÅのCr層、次いで200 ÅのCoCr
.12Pt .12+6mol%SiO2 フィルム層並びに100 Åの炭素オ
ーバーコートからなる、多層構造をもつものである。
【図9】2種の異なる記録媒体に関するMrt 対Hcr を比
較したグラフであり、第一の媒体は厚み150 Åのアモル
ファスNiP+2%Al2O3 下層を有し、その上にはCoCr.12Pt
.12+8mol%SiO2 磁気記録層が形成されており、また第二
の媒体は厚み600 Åの結晶性Cr下層を有し、その上に同
一の磁気記録層が形成されている。
【図10】2種の媒体に関するHcr 対Mrt をプロットした
グラフである。該第一の媒体は厚み200 ÅのCr下層を有
し、第二の媒体は厚み600 ÅのCr下層を有する。また、
これら両者のそれぞれNiAl種結晶層をもつものおよびも
たないもの両者について検討した。
【図11】Hcr 対種結晶層の厚みのプロットであり、NiAl
の種結晶層およびTiの種結晶層についての結果を比較し
て示してある。
【図12】3種の媒体のHcr 対Mrt をプロットしたグラフ
である。該第一の媒体は基板上に直接堆積された厚み60
0 ÅのCr層をもち、第二の媒体は厚み100 ÅのNiAl種結
晶層および厚み600 ÅのCr中間層からなる、組織化され
た核生成層を含む媒体であり、また第三の媒体は厚み10
0 ÅのTi種結晶層および厚み600 ÅのCr中間層からな
る、組織化された核生成層を含む媒体である。
【図13】基板上に直接堆積されたCr下層を有し、NiAlお
よびCrの組織化された核生成層を有する媒体およびCr-C
u とCrとの組織化された核生成層を有する(一方はCr-3
%Cu であり、他方はCr-5%Cu である)2つの媒体につい
ての、Hcr 対Mrt をプロットしたグラフである。
【図14A】図14のAは、表2のディスク2の、同一倍率
の下での、TEM 断面を示す図である。
【図14B】図14のBは、表2のディスク2の、同一倍率
の下での、TEM 断面を示す図である。
【図15A】図15のAは、表2のディスク3の、同一倍率
の下での、TEM 断面を示す図である。
【図15B】図15のBは、表2のディスク3の、同一倍率
の下での、TEM 断面を示す図である。
【図16A】図16のAは、表2のディスク4の、同一倍率
の下での、TEM 断面を示す図である。
【図16B】図16のBは、表2のディスク4の、同一倍率
の下での、TEM 断面を示す図である。
【図17】従来技術および本発明の幾つかの媒体について
の、規格化された総合媒体ノイズパワー対線形記録密度
のプロットである。
【図18】従来技術および本発明の幾つかの媒体について
の、非−線形歪対線形記録密度のプロットである。
【図19】本発明の磁気記録媒体を組み込んだ、ディスク
ドライブを示す。
【符号の説明】
10・・・・・ディスク 12・・・・・基板 14・・・・・組織化された核生成層 16・・・・・磁気記録層 18・・・・・保護オーバーレイヤー 20・・・・・潤滑層 22・・・・・種結晶層 24・・・・・中間層 74・・・・・ランダムに配向した別々の粒子 76・・・・・Cr粒子 78・・・・・Co合金粒子 80・・・・・セグリガント 100・・・・・ディスクドライブ 102・・・・・ローターシャフト 104・・・・・モータ 106a,106b・・・・・読み取り−書き込みヘッ
ド 108a,108b・・・・・アーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今川 誠 山形県米沢市東2−3−23−102 (72)発明者 御手洗 和彦 山形県米沢市東2−4−10−201 (72)発明者 キャロリン エイ ロス アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94043 マウンテン ヴィュー サイプレ ス ポイント ドライヴ 505 アパート メント 136

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一面を有する非−磁性基板と、 組織化された核生成層と、ここで該核生成層はランダム
    な格子面配向を有し、直接該非−磁性基板上に形成され
    た、微細結晶粒の種結晶層、および結晶粒の中間層を含
    み、該中間層は、その最上部表面が主として好ましい格
    子面をとることを可能とするのに十分な厚みで、該種結
    晶層粒子上に形成されており、 該主として好ましい格子面上に一般的にエピタキシャル
    成長により形成される記録層とを含み、該記録層は、Co
    ベースのhcp 合金と、90 Kcal/mol を越える結合強度を
    有する酸化物および窒化物からなる群から選ばれる少な
    くとも1種のセグリガント物質とを含み、かくして該Co
    ベースの合金は、主として均一サイズの単結晶磁性粒子
    を形成し、該単結晶磁性粒子は粒界を有し、該セグリガ
    ント物質は、主として該粒界に配置され、該単結晶磁性
    粒子は、主として該基板の該第一面に対して平行に配向
    し、かつ該第一面内でランダムに配向したC-軸を有する
    ことを特徴とする、磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 該記録層粒子が、10% 程度の、該中間層
    粒子との格子不整合を有する、請求項1記載の媒体。
  3. 【請求項3】 該中間層の厚みが、少なくとも80Åであ
    る、請求項1記載の媒体。
  4. 【請求項4】 該種結晶層粒子が平均径50Å以下のもの
    であり、かつ該中間層粒子が平均径100 Å以下のもので
    ある、請求項1記載の媒体。
  5. 【請求項5】 該中間層がCrを含む、請求項1記載の媒
    体。
  6. 【請求項6】 該中間層がCrを含む合金製である、請求
    項5記載の媒体。
  7. 【請求項7】 該種結晶層が、径50Å未満の粒子を生成
    し、該中間層粒子を形成する核生成サイトを与える、金
    属元素を含む、請求項1記載の媒体。
  8. 【請求項8】 該種結晶層がTiを含有する、請求項1記
    載の媒体。
  9. 【請求項9】 該種結晶層が主としてB2相物質を含有す
    る、請求項1記載の媒体。
  10. 【請求項10】 該B2相物質が、組織化されたNiAlであ
    る、請求項9記載の媒体。
  11. 【請求項11】 該種結晶層が、Crの合金と、少なくとも
    1種の他の元素を含み、該少なくとも1種の他の元素
    が、該元素のCrに対する最大固溶解度限界を越える10原
    子%までの量で存在する、請求項1記載の媒体。
  12. 【請求項12】 該単結晶磁性粒子が、平均径約100 Å以
    下のものである、請求項1記載の媒体。
  13. 【請求項13】 該単結晶磁性粒子が、5Å〜50Åだけ離
    れている、請求項12記載の媒体。
  14. 【請求項14】 該単結晶磁性粒子が、平均距離10Åだけ
    離れている、請求項12記載の媒体。
  15. 【請求項15】 少なくとも10Åの厚みをもつ、セグリガ
    ント物質層が、一対の隣接する単結晶磁性粒子間に設け
    られている、請求項13記載の媒体。
  16. 【請求項16】 該媒体が、単一の磁気記録層のみを含
    む、請求項1記載の媒体。
  17. 【請求項17】 該セグリガント物質が、90Kcal/molを越
    える結合強度をもつAl、As、Co、Cr、Dy、Gd、La、Lu、
    Ni、Os、Pm、Ru、Re、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Ta、Tb、T
    h、Ti、Tm、U、V、W、YおよびZrの酸化物および窒
    化物からなる群から選ばれる、請求項1記載の媒体。
  18. 【請求項18】 実質的にCo合金を含む磁気記録層が平坦
    な非−磁性基板上に形成されており、構造が、改良され
    た非−線形転移シフト、書き込みジッタ、およびオーバ
    ーライト性能を有する、磁気記録媒体であって、 ランダムな格子面配向を有し、直接該非−磁性基板上に
    形成された、微細結晶粒の種結晶層と、 少なくとも部分的にCr粒子を含む中間層と、該中間層
    は、その最上部表面が主として好ましい格子面をとるこ
    とを可能とするのに十分な厚みで、該種結晶層粒子上に
    形成されており、 該Co合金と一緒に堆積された、90 Kcal/mol を越える結
    合強度を有する酸化物および窒化物からなる群から選ば
    れる少なくとも1種のセグリガント物質とを含み、 かくして、該磁気記録層は、該主として好ましい格子面
    上に一般的にエピタキシャル成長により形成され、該Co
    ベース合金は、主として均一なサイズの単結晶磁性粒子
    を形成し、該単結晶磁性粒子は粒界を有し、該セグリガ
    ント物質は、主として該粒界に配置され、該単結晶磁性
    粒子は、主として該基板の該第一面に対して平行に配向
    し、かつ該第一面内でランダムに配向したC-軸を有する
    ことを特徴とする、上記磁気記録媒体。
  19. 【請求項19】 平坦な非−磁性基板上に形成され、かつ
    90 Kcal/mol を越える結合強度を有する酸化物および窒
    化物からなる群から選ばれる少なくとも1種のセグリガ
    ント物質を含有する、実質的にCo合金の磁気記録層が上
    部に形成されていて、該磁気記録層に改良された非−線
    形転移シフト、書き込みジッタ、およびオーバーライト
    性能が付与されている、組織化された核生成層であっ
    て、 ランダムな格子面配向を有し、直接該非−磁性基板上に
    形成された、微細結晶粒の種結晶層と、 少なくとも部分的にCr粒子を含む中間層とを含み、該中
    間層は、その最上部表面が主として好ましい格子面をと
    ることを可能とするのに十分な厚みで、該種結晶層粒子
    上に形成されており、 かくして、該磁気記録層は、該主として好ましい格子面
    上に一般的にエピタキシャル成長により形成され、該Co
    ベース合金は、主として均一なサイズの単結晶磁性粒子
    を形成し、該単結晶磁性粒子は粒界を有し、該セグリガ
    ント物質は、主として該粒界に配置され、該単結晶磁性
    粒子は、主として該基板の該第一面に対して平行に配向
    し、かつ該第一面内でランダムに配向したC-軸を有する
    ことを特徴とする、上記組織化核生成層。
  20. 【請求項20】 請求項1記載の磁気記録媒体を含むこと
    を特徴とする、ディスクドライブ。
  21. 【請求項21】 実質的にCo合金を含む磁気記録層が、平
    坦な非−磁性基板上に形成されている、磁気記録媒体の
    製造方法において、非−線形転移シフト、書き込みジッ
    タ、およびオーバーライト性能を改良する方法であっ
    て、 ランダムな格子面配向を有する微細結晶粒の種結晶層
    を、直接該非−磁性基板上に真空堆積する工程と、 該種結晶層粒子上に、最上部表面が主として好ましい格
    子面をとることを可能とするのに十分な厚みの、結晶粒
    の中間層を真空堆積する工程と、 該Co合金と共に、90 Kcal/mol を越える結合強度を有す
    る酸化物および窒化物からなる群から選ばれる少なくと
    も1種のセグリガント物質を、真空堆積する工程とを含
    み、 かくして、該磁気記録層は、該主として好ましい格子面
    上に一般的にエピタキシャル成長により形成され、該Co
    ベース合金は、主として均一なサイズの単結晶磁性粒子
    を形成し、該単結晶磁性粒子は粒界を有し、該セグリガ
    ント物質は、主として該粒界に移動し、かつ該Coベース
    合金は、主として該基板の該第一面に対して平行なC-軸
    を有することを特徴とする、上記磁気記録媒体の製法。
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