JPH1030103A - 金属粉体及びその製造方法 - Google Patents

金属粉体及びその製造方法

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JPH1030103A
JPH1030103A JP8191014A JP19101496A JPH1030103A JP H1030103 A JPH1030103 A JP H1030103A JP 8191014 A JP8191014 A JP 8191014A JP 19101496 A JP19101496 A JP 19101496A JP H1030103 A JPH1030103 A JP H1030103A
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JP
Japan
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copper alloy
alloy powder
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powder
gas
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JP8191014A
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Inventor
Shuichi Nakada
秀一 中田
Yasuki Shimamura
泰樹 島村
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属粉体の表面酸素量及び表面吸着水分量を
制御できる金属粉体及びの製造方法を提供する。 【解決手段】 一般式AgxCuy(0.001≦x≦
0.4、0.6≦y≦0.999、x+y=1(原子
比))で表され、且つ粒子表面の銀濃度が粒子の平均銀
濃度より高く、平均粒径が0.3〜25μmで、表面酸
素量が0.005〜2mg/cm2 、表面吸着水分量が
0.0001〜0.1mg/cm2 であることを特徴と
する金属粉体とその製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電磁波遮蔽、はんだ
付け、帯電防止、回路形成、導電材等に用いられる耐酸
化性が良好でエレクトロマイグレーションが起こりにく
い銅合金粉体を気流分級機により分級することを特徴と
する、導電性ペースト組成物として用いられる金属粉体
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】所定の粒度分布を有する粉体を、より粒
度が揃ったいくつかの部分に分ける事を一般的に分級と
いい、通常空気を用いた乾式気流分級機にて金属粉体な
どを分級している。しかし分級に未処理の空気を利用し
ているので、回転部やブロワーの発熱による気体温度の
上昇や空気中の水分の影響を受け、金属表面は酸化さ
れ、表面酸素量及び表面吸着水分量は増大してしまう。
例えば、可燃性の粉体では不燃性ガスを循環させて分級
するガス循環式粉体分級機(特開平2−122875号
公報)があるが、この分級方法では温度、相対湿度又は
水分量、及び酸素濃度又は可燃性ガス濃度の制御がされ
ておらず、やはり気体温度の上昇や水分の影響による金
属粉体の表面酸化は防げない。一般的に金属粉体は、粒
子表面の酸化層や吸着水分の影響により、金属固有の体
積抵抗率を示さなくなる。例えば導電性ペーストでは、
金属粒子表面に酸化層や吸着水分が多量に存在すると、
分級時の分散不良による分級収率や部分分級効率の低下
が起こる。また、ペースト作成時の分散不良や実用上必
要な粘度特性や硬化又は焼成後の体積抵抗率が不十分に
なったり、ペースト保存性に悪影響を与えることもあ
る。導電性ペースト組成物として用いられる金属粉体の
表面酸素量及び表面吸着水分量の上昇を抑制する分級方
法は、未だ提案されるに至っていない。
【0003】また、導電性ペーストはスクリーン印刷に
より使用される事が多く、使用するスクリーン版の目開
きによっては、分級により金属粉体の粒度を揃える事が
実施されることがある。しかし、金属粉体を分級してス
クリーン印刷に適した粒度に揃えるための収率は、金属
粉体の表面酸化層や表面吸着水分の影響により悪くな
る。この原因はそれらの影響により、金属粉体同士の付
着及び凝集を解砕出来ないためである。例えば、粉体の
付着及び凝集を解き分級収率を上げるために分散助剤を
添加する方法も知られているが、分散助剤がペースト特
性を悪くする事が多々あり、導電性ペースト組成物とし
ての金属粉体の分級方法として適当であるかは判らな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特開平4ー
268381号公報に記載されている導電性ペースト組
成物として用いられる粒子表面銀濃度が粒子平均銀濃度
より高い銅合金粉体を製造、使用する場合の種々の問題
点を解決したものである。即ち、銅合金粉体の表面酸素
量及び表面吸着水分量を低減させることにより、酸化に
よる導電性の低下を防ぐ導電性ペースト組成物の分級方
法を提供する。また、この分級方法によりペースト作成
時の分散や混練を容易にするだけでなく、ペースト保存
安定性の大幅な改善、導電性回路を形成した場合の低抵
抗化、導電特性の品質安定化なども改善できる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、導電性ペ
ースト組成物として用いられる一般式AgxCuy(0.
001≦x≦0.4、0.6≦y≦0.999、x+y
=1(原子比))で表され、且つ粒子表面の銀濃度が粒
子の平均銀濃度より高い銅合金粉体が、導電性ペースト
としての特性を上げるために用いられている分級工程
で、銅合金粉体の表面酸素量及び表面吸着水分量の上昇
がペースト特性に悪影響を与える事に気付いた。そこ
で、分級により銅合金粉体の表面酸素量及び表面吸着水
分量を制御するための方法を鋭意検討したところ、未処
理の空気中で操作していた分級機を分級室(密閉ケー
ス)内に入れ、分級雰囲気の相対湿度及び酸素濃度又は
可燃性ガス濃度を制御する事により銅合金粉体の表面酸
素量及び表面吸着水分量を低減できる事を見出し、金属
粉体の製造方法の発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は下記のとおりである。 (1) ヘリウムガスを含む不活性ガスアトマイズ法に
より得られた粉体を分級して製造される金属粉体の製造
方法において、分級室内の温度が3〜50℃、相対湿度
が50%以下であることを特徴とする金属粉体の製造方
法。 (2) 金属粉体が銅合金粉体であることを特徴とする
上記(1)の金属粉体の製造方法。 (3) 銅合金粉体が一般式AgxCuy(0.001≦
x≦0.4、0.6≦y≦0.999、x+y=1(原
子比))で表され、且つ粒子表面の銀濃度が粒子の平均
銀濃度より高く、平均粒径が0.3〜25μm、含有酸
素量が0.0001〜0.2重量%であることを特徴と
する上記(2)の金属粉体の製造方法。(4) 気体が
窒素ガスを70体積%以上含むことを特徴とする上記
(1)〜(3)の金属粉体の製造方法。 (5) 一般式AgxCuy(0.001≦x≦0.4、
0.6≦y≦0.999、x+y=1(原子比))で表
され、且つ粒子表面の銀濃度が粒子の平均銀濃度より高
く、平均粒径が0.3〜25μmであり、表面酸素量が
0.005〜2mg/cm2 、表面吸着水分量が0.0
001〜0.1mg/cm2 であることを特徴とする金
属粉体。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられる銅合金粉体の製造方法は、ガスアトマイズ
法、好ましくは窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス
などによる不活性ガスアトマイズ法、特に好ましいのは
ヘリウムガスを含む混合ガスによる不活性ガスアトマイ
ズ法である。
【0008】不活性ガスアトマイズ法はその一例を挙げ
れば、まず銅、銀の混合物もしくは合金を真空中あるい
はアトマイズに使用するのと同様の不活性ガス中で高周
波誘導加熱を用いてカーボン坩堝中で融解する。融解
後、坩堝先端より融液を真空引き後、アトマイズに使用
するのと同様の不活性ガス置換した雰囲気酸素濃度0.
1体積%以下の噴霧槽中へ噴出する。噴出と同時に圧縮
された不活性ガスが断熱膨張されて発生した高速気流を
融液に向かって噴出し銅合金粉体が作製できる。
【0009】一般的に気流分級機には、遠心力と気流に
よる抗力との作用差を利用する強制渦式分級機や分級部
のクリアランスと気流との抗力差を利用する半自由渦式
分級機がある。本発明ではどちらのタイプの気流分級機
も使用できるが、分級点の設定のし易さ、部分分級効率
等から強制渦式分級機がより好ましい。気流分級機を使
った一般的な分級操作では、気体として空気、つまり大
気を利用する事が多い。しかし、大気中の水分量や分級
雰囲気の温度調整はしていないので、大気中の水分の影
響、回転部やブロワーの発熱による気体温度の上昇等の
影響を受け、金属表面は酸化され、表面酸素量や表面吸
着水分量は増大してしまう。
【0010】また、一般的には金属粉体には静電気は帯
電しないと考えられるが、金属粉体でも粒子の最表面に
は酸化被膜が存在し、分極により帯電すると考えた方が
良い。静電気量は粒子表面積と比例関係にあり、平均粒
径が小さくなると表面積が増大し静電気量が多くなる事
で、粉体同士の付着力及び凝集力が大きくなる。つま
り、付着力及び凝集力を小さくし、分級収率を大きくす
るためにも、何らかの方法で金属粒子表面の酸化被膜を
少なくする必要がある。
【0011】本発明では、非酸化性雰囲気にて温度及び
湿度を管理した条件下で分級する事により、銅合金粉体
の表面酸素量及び表面吸着水分量を制御することが出来
た。一般的に、金属粒子表面の酸化は温度の影響を受け
るため、分級雰囲気の温度は出来るだけ下げた方が良
い。また、気流は温度が上昇すると粘性が上昇するた
め、分級条件が変動する。その結果、分級製品の品質が
安定しないこともあるので、分級室(密閉ケース)内の
温度は50℃以下が良い。さらに、温度が3℃以下では
気流粘性が小さくなり、やはり分級条件が変動したり分
級収率や部分分級効率にも影響を及ぼす可能性がある。
本発明では、温度範囲として3〜50℃が好ましく、さ
らに好ましくは3〜30℃である。
【0012】一般的には湿度といえば空気中に含まれる
水蒸気の量あるいは気体中に含まれる凝縮性蒸気の量と
して定義されるが、本発明では、気体中の水蒸気分圧の
同温度における水の飽和蒸気圧に対する比の百分率を相
対湿度として用いている。この値は温度によってかわる
ものであるが、本発明では、相対湿度が50%以下が好
ましく、さらに好ましくは30%以下である。
【0013】分級室(密閉ケース)内の酸素濃度は銅合
金粉体の含有酸素量を制御するための重要な因子である
が、温度及び湿度を管理範囲内にしても、酸素濃度が1
体積%を越えると分級後の銅合金粉体の含有酸素量、特
に表面積あたりの含有酸素量が上昇してしまう。また、
0.0005体積%以下で分級すると、銅合金粉体の粒
子表面が酸化されずに、粒子表面が活性化されているか
のように、付着及び凝集が解砕出来ず、分級収率が大幅
に低下する。本発明においては、密閉ケース内の酸素濃
度は0.0005〜1体積%が好ましく、0.001〜
0.5体積%がさらに好ましい。
【0014】分級室(密閉ケース)内の可燃性ガス濃度
とは、本発明では水素濃度として考えている。水素濃度
は、銅合金粉体の表面吸着水分量、言い換えれば、含有
水素量を制御するための重要な因子であるが、温度及び
湿度を管理範囲内にしても、水素濃度が0.0005体
積%以下で分級すると、銅合金粉体の含有酸素量の抑制
又は低減効果が得られず、金属表面が活性化されている
かのように、凝集が解砕出来ず、分級収率が大幅に低下
する。また、0.1体積%を越えても銅合金粉体の含有
水素量の制御効果は大きくならない。本発明において
は、分級室(密閉ケース)内の可燃性ガス濃度、つまり
水素濃度は0.0005〜0.1体積%が好ましく、
0.01〜0.5体積%がさらに好ましい。なお、水素
ガスの空気中の爆発下限界は4体積%であるので、本発
明においていかなる気流を用いた場合でも爆発範囲内の
ガス濃度になる可能性はなく、工業的にも安全である。
【0015】本発明で使用する銅合金粉体とは、一般式
AgxCuy(0.001≦x≦0.4、0.6≦y≦
0.999、x+y=1(原子比))で表されるが、x
が0.001未満では十分な耐酸化性が得られず、比抵
抗の経時変化が起こり、またxが0.4を越すと耐エレ
クトロマイグレーション性が起こり易くなる上に、稀少
かつ高価な銀を多く用いることになる。好ましくは、
0.02≦x≦0.2である。
【0016】この銅合金粉体表面及び表面近傍の銀濃度
は英国VG社製X線光電子分光分析装置ESCALAB
200ーX型で表面からの深さ50オングストローム程
度の表面銀濃度として求めることができる。この時の銀
濃度測定は測定光電子エネルギーが近いピーク同士で比
較する必要があるため、Ag3d5/2 (AlのKα線)
とCu3p(MgのKα線)を使用している。また、平
均銀濃度は試料を濃硝酸中で溶解し、高周波誘導結合型
プラズマ発光分析計(セイコー電子工業株式会社製JY
38PーP2型)を用いることにより測定できる。表面
銀濃度と平均銀濃度の比を表面銀濃度比として、銅合金
粉体の表面近傍の銀濃度が高い事を確認する手段として
用いた。本発明の銅合金粉体は表面銀濃度が平均銀濃度
より高いものであるが、好ましくは表面銀濃度が平均銀
濃度の1.4倍以上であり、さらに好ましくは2.5倍
以上である。
【0017】本発明において銅合金粉体の平均粒径は、
レーザー回折型粒度分布測定装置(Sympatec
GmbH製:Heros(12LA)&Rodos(1
2SR))で測定し、全粒子体積を100体積%とし、
50体積%の粒子径を平均粒径として求めている。ま
た、表面走査型電子顕微鏡(SEM)での写真画像解析
から体積換算し、同様に体積%として求めることも可能
である。平均粒径は導電性ペーストを作成する際の分散
不良や印刷性に影響を与えるため、好ましくは0.3〜
18μmであり、さらに好ましくは0.3〜12μmで
ある。
【0018】本発明における銅合金粉体の含有酸素量
は、不活性ガスインパルス加熱融解法による酸素・窒素
同時分析装置(堀場製作所製EMGA650)で測定す
ることができる。含有酸素量は導電性ペーストを作成す
る際の分散不良や粘度特性、表面処理剤添加による導電
特性の低下やペースト保存安定性等に影響を与えるが、
含有酸素量が0.2重量%を越えると導電性ペーストと
しての諸特性のバランスがとれにくい。使用時の空気酸
化により通常0.0001重量%程度の含有酸素量を示
し、また、0.0001重量%未満であると金属表面活
性化により粘度特性等が安定しない。好ましい含有酸素
量は0.001重量%〜0.12重量%である。
【0019】また、分級操作では一般的に部分分級効率
が分級精度の指標として考えられているが、強制渦式気
流分級機の運転条件及びその他の条件が同じであれば、
分級気流の種類によって左右されるものではない。本発
明における分級装置で利用する気体は、主成分が窒素ガ
スであるため、循環せずに分級室(密閉ケース)外に排
気しているが、高価なアルゴンガスやヘリウムガスを用
いる場合、製造コスト、安全性等の問題が生じた場合
は、排気する気体を循環する装置を設置しても構わな
い。気体を循環するためには、ブロワー及びブロワー動
力により加熱された気体を冷却するための冷却器が必要
である。
【0020】気体を循環するためのブロワーは、往復
式、回転式、遠心式、軸流式のブロワーが使用でき、遠
心式ブロワーの場合のファンの形状はターボファン、プ
レートファン、多翼ファン、プロペラファンのどれでも
構わない。このブロワーには調整された分級室(密閉ケ
ース)内の酸素濃度又は可燃性ガス濃度を維持する役目
もあるので、安定した流量が得られるものが良い。安定
した流量が得られるブロワーであれば、ブロワー型式に
制約はない。また、ブロワーの材質はプラスチック製で
も金属製でも構わないが、気体が接触する部位は金属製
が好ましく、ステンレス製がさらに好ましい。
【0021】気体を冷却するための冷却器は、ブロワー
の発熱により循環気体が加熱され、温度及び湿度が上昇
すると、銅合金粉体の表面酸素量及び表面吸着水分量が
制御できなくなるので、冷却能力が大きいものが良い。
冷却器の構造は、向流式、並流式、蛇管式のどれでも、
循環気流を冷却できる方式であれば使用できる。冷却媒
は気体でも液体でも構わないが、好ましくは液体が好ま
しく、熱容量及び安全性や取り扱いの容易さから特に水
が好ましい。材質は、冷却器もブロワーと同様に気体が
接触する部位は金属製が好ましく、ステンレス製がさら
に好ましい。
【0022】気流分級機、解砕機、フィーダー、温湿度
計、酸素濃度計又は可燃性ガス濃度計から構成される分
級装置を密閉するケースは、プラスチック製でも金属製
でも構わない。また、中の様子を確認するための覗き窓
を設置しても良い。分級気流は、アルゴン、ヘリウム、
窒素、酸素又は空気、水素あるいはそれらの混合ガスで
あるが、このようなガスを使用すればガス種又はガス成
分数によらず、表面酸素量及び表面吸着水分量が制御さ
れた銅合金粉体が得られる。混合ガスの場合、主成分と
しては窒素ガスが好ましく、含有割合は70体積%以上
である事が好ましい。さらに好ましくは80体積%以上
であり、特に好ましくは90体積%以上である。
【0023】この銅合金粉体はヘリウムガスを含む混合
ガスによる不活性ガスアトマイズ法により作製されたも
のであり、含有酸素量からも銅合金粉体内部まで酸素分
子が存在又は結合しているとは考えにくく、粒子表面の
酸化被膜と考えられる。つまり銅合金粉体の含有酸素量
として測定された結果は、言い換えれば、粒子表面積と
相関関係にある粒子表面酸素量といえる。
【0024】本発明における表面酸素量とは、銅合金粉
体の含有酸素量を銅合金粉体の表面積で除算したもの
で、次のように算出している。まず、導電性銅合金粉体
の平均粒径を、レーザー回折型粒度分布測定装置(Sy
mpatec GmbH製:Heros(12LA)&
Rodos(12SR))で測定し、全粒子体積を10
0体積%とし真球としての表面積を求め、銅合金粉体の
密度より単位質量当たりの表面積を算出する(比表面積
で単位はcm2 /gとなる)。又は、流動法により気体
吸着を測定し、B.E.T.式により表面積を求め、試
料重量で除算して比表面積とする(測定装置は、(株)
堀場製作所製 比表面積計SAシリーズ)。或いは、空
気透過式(リー・ナース法)による粉体比表面積測定に
より求める事ができる(測定装置は、筒井理化学器械
(株)製 粉体比表面積測定装置)。この値を(a)と
する。次に、銅合金粉体の含有酸素量を、不活性ガスイ
ンパルス加熱融解法による酸素・窒素同時分析装置
((株)堀場製作所製EMGA650)で測定する。含
有酸素量の単位は重量%であるので、例えば、0.00
1重量%は0.01mg/gとなる。この値を(b)と
する。つまり銅合金粉体の表面酸素量は、(b)/
(a)により算出しているので、単位はmg/cm2
なる。
【0025】なお、銅合金粉体の表面積はレーザー回折
型粒度分布測定装置の数値を用いた場合は真球として算
出しているが、本発明で使用しているヘリウムガスを含
む不活性ガスアトマイズ法により製造された、一般式A
gxCuy(0.001≦x≦0.4、0.6≦y≦0.
999、x+y=1(原子比))で表され、且つ粒子表
面の銀濃度が粒子の平均銀濃度より高く、平均粒径が
0.3〜25μmで含有酸素量が0.0001〜0.2
重量%である銅合金粉体はほぼ真球であり、もし若干で
も真球からずれていた場合でも、分級前後の同一銅合金
粉体で比較しているので、問題はない。また、同一サン
プルをレーザー回折型粒度分布測定装置とB.E.T.
法による比表面積計で測定し、比表面積を比較したが、
±5%の範囲で一致した。さらに、分級機や解砕機で粒
子形状が変化しない事も確認している。
【0026】この表面酸素量は、分級収率やペースト作
成時の分散状態に影響を与え、さらに導電特性や粘度特
性といったペースト特性にも影響を及ぼすものである
が、表面酸素量が0.005mg/cm2 未満では銅合
金粉体の粒子表面活性状態と思われる分級収率の低下や
凝集が観察される。また、表面酸素量が2.0mg/c
2 以上では銅合金粉体の粒子表面酸化被膜が厚すぎ、
導電特性が悪くなる。表面酸素量は0.005〜2.0
mg/cm2 が好ましいが、0.01〜1mg/cm2
がさらに好ましく、0.1〜0.5mg/cm2 が特に
好ましい。
【0027】本発明における表面吸着水分量とは、銅合
金粉体の含有水分量を銅合金粉体の表面積で除算したも
ので、次のように算出している。まず、導電性銅合金粉
体の平均粒径を、レーザー回折型粒度分布測定装置(S
ympatec GmbH製:Heros(12LA)
&Rodos(12SR))で測定し、全粒子体積を1
00体積%とし真球としての表面積を求め、銅合金粉体
の密度より単位質量当たりの表面積を算出する(比表面
積で単位はcm2 /gとなる)。又は、流動法により気
体吸着を測定し、B.E.T.式により表面積を求め、
試料重量で除算して比表面積とする(測定装置は、
(株)堀場製作所製 比表面積計SAシリーズ)。この
値を(a)とする。次に、銅合金粉体の含有水分量を測
定しなければならないが、金属粒子の水分量を測定する
のは容易ではなく、本発明では(1)銅合金粉体に付着
あるいは結合している水素量を測定し、水分量として換
算する方法と、(2)銅合金粉体に付着している水分量
を酸素量として測定し、水分量として換算する方法、の
両方を実施し、それらの値の平均値を含有水分量として
いる。それぞれの算出方法を示すと、(1)法では、銅
合金粉体の含有水素量を不活性ガスインパルス加熱融解
法による水素分析装置((株)堀場製作所製EMGA6
21)で測定する。含有水素量の単位はppmであるの
で、例えば、1ppmは0.0001重量%であり、
0.001mg/gとなる。この値を9倍して水分量と
している。また(2)法では、不活性ガスインパルス加
熱融解法による酸素・窒素同時分析装置((株)堀場製
作所製EMGA650)にCー550コンバーター(P
tーC触媒付き)を取り付け、昇温測定する。含有水分
量は酸素量として数値が得られるので、この値を18/
32倍して含有水分量としている。単位は重量%なの
で、例えば、0.001重量%は0.01mg/gとな
る。この両方の値の平均値を水分量とし、(b)とす
る。この(1)法と(2)法による換算値は±10%の
範囲で一致した。つまり銅合金粉体の表面吸着水分量
は、(b)/(a)により算出しているので、単位はm
g/cm2 となる。
【0028】なお、表面吸着水分量とは上記算出方法で
説明したように、銅合金粉体に付着している水だけを示
すものではなく、ファンデアワールス力による水素結合
や水酸基をも含んで測定しているので、水素分子の結合
状態や存在形態に関係なく、銅合金粉体粒子表面に存在
する全ての水素分子を示すことになる。この表面吸着水
分量は、分級収率やペースト作成時の分散状態に影響を
与え、さらに導電特性や粘度特性といったペースト特性
にも影響を及ぼすものであるが、表面吸着水分量が0.
0001mg/cm2 未満では銅合金粉体の粒子表面活
性状態と思われる分級収率の低下や凝集が観察される。
また、表面吸着水分量が0.1mg/cm2 以上では銅
合金粉体の粒子表面酸化被膜が厚すぎ、導電特性が悪く
なる。表面吸着水分量は0.0001〜0.1mg/c
2 が好ましいが、0.001〜0.011mg/cm
2 がさらに好ましい。
【0029】装置の構成は、気流分級機、解砕機、フィ
ーダー、温湿度計、酸素濃度計又は可燃性ガス濃度計、
を分級室(密閉ケース)内に入れたものである。気流分
級機は前述のように分級点の設定のし易さ、部分分級効
率等から強制渦式分級機が好ましい。また、強制渦式分
級機には気流抗力発生源としてのブロワーが分級装置に
付属しているが、本発明においては、ブロワー排気系の
気体は系外に排出する方が分級気流の温度及び相対湿度
を制御する上で好ましい。しかし、この分級気流を循環
出来ないわけではなく、密閉ケース内の気体を冷却でき
るような冷却器を用いれば良い。
【0030】解砕機としては、ジェットミル、ローラー
ミル、ピンミル、ハンマーミル、カッターミル、ジョー
クラッシャー等の粉砕機が使用できる。分級機の前工程
として微粉の付着及び凝集を解砕する目的で使用するの
で、好ましくは高速衝突型で小型、且つ構造がシンプル
な装置が良い。粉体を供給するフィーダーは定量フィー
ダーであれば、スクリューフィーダー、振動フィーダ
ー、ロータリーフィーダー等が使用でき、フィーダー上
部には銅合金粉体をストック又は供給するホッパーを設
けても良い。
【0031】酸素濃度計の測定レンジは0.00001
〜100体積%までの濃度範囲が測定できるものであれ
ば、検出部はジルコニア式、ガルバニ電池式、エレクト
ロケミカルセンサー等どれでも使用できる。可燃性ガス
濃度計の測定レンジは0.00001〜100体積%ま
での濃度範囲が測定できるものであれば、検出部は熱線
形半導体方式、半導体方式、接触燃焼方式等どれでも使
用できる。
【0032】密閉ケース内の酸素濃度又は可燃性ガス濃
度を制御するためには流量計も必要になるが、基準流量
計、湿式ガスメーター、ニードルバルブ付きのテーパー
あるいはボールフロート式ローターメーター、差圧式流
量計等、流量精度が1%程度であればどのような流量計
でも構わない。温湿度計は、分級雰囲気の気流温度及び
湿度を測定するものであるが、銅合金粉体の表面酸素量
及び表面吸着水分量の制御には相対湿度が重要な因子と
なるが、温湿度計として通風乾湿計、水びん付き乾湿
計、デジタル温湿度計等が使用できる。一般的な導電性
ペースト組成物として、上記金属粉体に有機バインダー
もしくはガラスフリット等の無機バインダー、溶剤、必
要に応じて添加剤を加え分散もしくは溶解せしめたもの
が、各種用途に応じた方法で使われている。
【0033】金属粒子形状は不活性ガスアトマイズ法で
得られる球状粉が一般的であるが、この形状には拘ら
ず、例えばこれを機械的に偏平化したものも使用するこ
とができる。本発明で用いられる銅合金粉体は、特性を
損なわない程度であれば、融解時にAl、Zn、Sn、
Pb、Si、Mn、Bi、Mo、Cr、Ir、Nb、S
b、B、P、Mg、Li、C、Na、Ba、Ti、I
n、Au、Pd、Pt、Rh、Ru、Zr、Hf、Y、
Laなどの金属、半金属及びそれらの化合物を添加して
も構わない。また、物性を損なわない範囲で、本発明の
銅合金粉体の一部を銅金属粉体や銀金属粉体で置き換え
ることも可能である。このとき用いられる銅金属粉体は
アトマイズ粉体である必要はなく、例えば電解銅粉、化
学還元銅粉、銀メッキ銅粉であってもよい。特にこのよ
うな異種の金属粉体との組み合わせでは金属粉体固有の
欠点を克服し、粉体の混合による相乗効果が期待でき
る。例えば、銀金属粉体との組み合わせでは、銀ペース
トの欠点であるはんだ食われ性が大幅に改善され、また
化学還元銅粉との組み合わせでは化学還元銅粉の欠点で
あるはんだ濡れ性が大幅に改善されることが分かった。
【0034】導電性ペースト材料は高温焼成により金属
粉体を焼成せしめて焼結金属配線等に使用されるCTF
(サーメット・シック・フィルム)型ペースト材料と、
金属粉体を粉体同士の接点で導通をとり熱硬化型のポリ
マーで固めるPTF(ポリマー・シック・フィルム)型
ペーストに大別される。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、実施例、比較例によって本
発明を具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の一
例を示したものであって、本発明に限定を加えるもので
はない。
【0036】
【実施例1】 (1)銅合金粉体の製造 不活性ガスアトマイズ装置金属溶解槽の黒鉛坩堝内に純
度99.9%で含有酸素量0.1重量%の銅粒子を2
8.5kg、純度99.99%で含有酸素量0.01重
量%の銀粒子を1.5kg、高周波誘導加熱装置により
融点までは1Torr程度の真空中、融点以上ではアト
マイズに用いるガス組成雰囲気にて金属を融解し、16
00℃の金属溶湯とした。この時の融解条件は高周波陽
極電圧が210Vで陽極電流は120Aであった。次に
金属溶解槽とガス噴霧槽を連結しているパイプの栓を抜
き、1600℃の金属溶湯をガス噴霧槽内に導入する。
この連結パイプの断面積は金属溶湯の注入速度が2.9
2cm/秒になるようにあらかじめ調整しておく。ガス
噴霧槽の最上部には、この連結パイプを囲むようにガス
を噴出させるための孔を複数個配置しておく。この孔の
総断面積は20.35mm2 に調整しておき、その配管
を噴霧槽内ガスノズル元弁に連結しておく。パイプ栓を
抜いて金属溶湯をガス噴霧槽内に導入した0.6秒後に
噴霧槽内ガスノズル元弁を開けて銅合金粉体を製造し
た。使用したガスはヘリウム100%ガスである。得ら
れた銅合金粉体はサイクロンで捕集し、回収量、平均粒
径、含有酸素量、表面銀濃度比を測定した。測定結果を
以下に示す。ガス噴霧槽下部から回収された銅合金粉体
は29.5kgで平均粒径は10.5μm、含有酸素量
は0.028重量%、表面銀濃度比は4.5であった。 (2)気流式分級機による銅合金粉体の製造 上記(1)で得られた平均粒径は10.5μm、含有酸
素量は0.028重量%、表面銀濃度比は4.5であっ
たアトマイズ粉5kgを使用し、日清エンジニアリング
(株)製気流分級機TC−15Nと解砕機として日清エ
ンジニアリング(株)製カレントジェットCJ−10を
用いて、窒素ガス及び空気により分級を行った。分級室
(密閉ケース)内の運転条件は、窒素ガスと共に空気を
ケース内に導入し、東レエンジニアリング(株)製酸素
濃度計LCー750で酸素濃度を0.005体積%に調
整した。その時の温度は30℃、相対湿度20%であっ
た。分級機の運転条件は自動運転で、分級点は20μ
m、密度は9.0g/cc、フィーダー50%を入力し
た。得られた分級粉は2.9kgで、平均粒径は4.6
μm、分級収率は58%、微粉側部分分級効率は1.2
であった。分級前の含有酸素量は0.028重量%で表
面酸素量は0.20mg/cm2 であり、分級後製品の
含有酸素量は0.051重量%で表面酸素量は0.21
mg/cm2 であった。また、分級前の含有水素量は
0.003重量%で表面吸着水分量は0.01mg/c
2 であり、分級後製品の含有水素量は0.005重量
%で表面吸着水分量は0.011mg/cm2 であっ
た。 (3)PTF用導電性ペースト材料の作成と評価 分級により得られた銅合金粉体200gに対し、セバシ
ン酸4g、トリエタノールアミン2g、ブチルセロソル
ブ80g及びレゾール樹脂の添加量を変化させて導電性
ペーストを作成し、ガラスエポキシ樹脂基板上に塗布し
た後、乾燥し、170℃で20分間加熱硬化したのち導
電性を評価した。レゾール樹脂の量を変化させたとき、
四端子法で測定した抵抗値が最低になる銅合金粉体の充
填率とそのときの抵抗値をPTF用導電性ペーストの特
性値とした。ここで、銅合金粉体の充填率とは、銅合金
粉体+レゾール樹脂の総重量あたりの銅合金粉体の重量
を示している。またペースト保存性は調合してからペー
スト内で銅合金粉体が沈降し、再攪拌によりペースト全
体を混合しなければ使いにくくなるまでの日数とした。
結果は銅合金微粉体の充填率90重量%、体積抵抗率
4.1*10-5Ω.cm、保存安定性35日であった。 (4)CTF用導電性ペースト材料の作成と評価 分級により得られた銅合金粉体200gに対し、PbO
ーZnOーB23系のガラスフリット(平均サイズ2.
4μm)12g、エチルセルロース0.5g、亜酸化銅
3g、2,2,4ートリメチルー1,3ペンタンジオー
ルモノブチレート18gをプラネタリーミキサーで混合
し、さらに3本ロールを通して仕上げ混練してCTF用
導電性ペースト材料を作製した。得られたCTF用導電
性ペースト材料は96%アルミナ基板上にスクリーン印
刷でテストパターンを印刷し、窒素雰囲気下でピーク温
度が650℃に設定された連続焼成炉を通過させて焼成
した。焼成後の導体膜厚は平均で16μmであった。得
られたサンプルは四端子法で抵抗を測定したが、体積抵
抗率が2.1*10-6Ω.cmであり、保存安定性は4
8日であった。
【0037】
【実施例2】 (1)気流式分級機による銅合金粉体の製造 実施例1で得られた平均粒径は10.5μm、含有酸素
量は0.028重量%、表面銀濃度比は4.5であった
アトマイズ粉5kgを使用し、日清エンジニアリング
(株)製気流式分級機TC−15Nと解砕機として日清
エンジニアリング(株)製カレントジェットCJ−10
を用いて、窒素ガス、アルゴンガス及び空気により分級
を行った。分級室(密閉ケース)内の運転条件は、窒素
ガス79体積%、アルゴンガス20体積%、空気1体積
%をケース内に導入し、東レエンジニアリング(株)製
酸素濃度計LCー750で酸素濃度を0.01体積%に
調整した。その時の温度は42℃、相対湿度30%であ
った。分級機の運転条件は自動運転で、分級点は10μ
m、密度は9.0g/cc、フィーダー50%を入力し
た。得られた分級粉は1.75kgで、平均粒径は3.
6μm、分級収率は35%、微粉側部分分級効率は1.
2であった。分級前の含有酸素量は0.028重量%で
表面酸素量は0.20mg/cm2 であり、分級後製品
の含有酸素量は0.07重量%で表面酸素量は0.23
mg/cm2 であった。また、分級前の含有水素量は
0.003重量%で表面吸着水分量は0.01mg/c
2 であり、分級後製品の含有水素量は0.005重量
%で表面吸着水分量は0.011mg/cm2 であっ
た。 (2)PTF用導電性ペースト材料の作成と評価 分級により得られた銅合金粉体200gに対し、セバシ
ン酸4g、トリエタノールアミン2g、ブチルセロソル
ブ80g及びレゾール樹脂の添加量を変化させて導電性
ペーストを作成し、ガラスエポキシ樹脂基板上に塗布し
た後、乾燥し、170℃で20分間加熱硬化したのち導
電性を評価した。レゾール樹脂の量を変化させたとき、
四端子法で測定した抵抗値が最低になる銅合金粉体の充
填率とそのときの抵抗値をPTF用導電性ペーストの特
性値とした。ここで、銅合金粉体の充填率とは、銅合金
粉体+レゾール樹脂の総重量あたりの銅合金粉体の重量
を示している。またペースト保存性は調合してからペー
スト内で銅合金粉体が沈降し、再攪拌によりペースト全
体を混合しなければ使いにくくなるまでの日数とした。
結果は銅合金微粉体の充填率90重量%、体積抵抗率
4.5*10-5Ω.cm、保存安定性36日であった。 (3)CTF用導電性ペースト材料の作成と評価 分級により得られた銅合金粉体200gに対し、PbO
ーZnOーB23系のガラスフリット(平均サイズ2.
4μm)12g、エチルセルロース0.5g、亜酸化銅
3g、2,2,4ートリメチルー1,3ペンタンジオー
ルモノブチレート18gをプラネタリーミキサーで混合
し、さらに3本ロールを通して仕上げ混練してCTF用
導電性ペースト材料を作製した。得られたCTF用導電
性ペースト材料は96%アルミナ基板上にスクリーン印
刷でテストパターンを印刷し、窒素雰囲気下でピーク温
度が650℃に設定された連続焼成炉を通過させて焼成
した。焼成後の導体膜厚は平均で18μmであった。得
られたサンプルは四端子法で抵抗を測定したが、体積抵
抗率が2.2*10-6Ω.cmであり、保存安定性は4
7日であった。
【0038】
【比較例1】 (1)気流式分級機による銅合金粉体の製造 実施例1で得られた平均粒径は10.5μm、含有酸素
量は0.028重量%、表面銀濃度比は4.5であった
アトマイズ粉5kgを使用し、日清エンジニアリング
(株)製気流式分級機TC−15Nを用いて、未処理空
気により分級を行った。未処理空気をケース内に導入
し、東レエンジニアリング(株)製酸素濃度計LCー7
50で酸素濃度測定したら、20.8体積%を示してい
た。その時の温度は45℃、相対湿度65%であった。
分級機の運転条件は自動運転で、分級点は20μm、密
度は9.0g/cc、フィーダー50%を入力した。得
られた分級粉は2.25kgで、平均粒径は4.7μ
m、分級収率は45%、微粉側部分分級効率は1.3で
あった。分級前の含有酸素量は0.028重量%で表面
酸素量は0.20mg/cm2 であり、分級後製品の含
有酸素量は0.45重量%で表面酸素量は2.2mg/
cm2 であった。また、分級前の含有水素量は0.00
3重量%で表面吸着水分量は0.01mg/cm2 であ
り、分級後製品の含有水素量は0.5重量%で表面吸着
水分量は0.2mg/cm2 であった。 (2)PTF用導電性ペースト材料の作成と評価 分級により得られた銅合金粉体200gに対し、セバシ
ン酸4g、トリエタノールアミン2g、ブチルセロソル
ブ80g及びレゾール樹脂の添加量を変化させて導電性
ペーストを作成し、ガラスエポキシ樹脂基板上に塗布し
た後、乾燥し、170℃で20分間加熱硬化したのち導
電性を評価した。レゾール樹脂の量を変化させたとき、
四端子法で測定した抵抗値が最低になる銅合金粉体の充
填率とそのときの抵抗値をPTF用導電性ペーストの特
性値とした。ここで、銅合金粉体の充填率とは、銅合金
粉体+レゾール樹脂の総重量あたりの銅合金粉体の重量
を示している。またペースト保存性は調合してからペー
スト内で銅合金粉体が沈降し、再攪拌によりペースト全
体を混合しなければ使いにくくなるまでの日数とした。
結果は銅合金微粉体の充填率85重量%、体積抵抗率
8.5*10-5Ω.cm、保存安定性15日であった。 (3)CTF用導電性ペースト材料の作成と評価 分級により得られた銅合金粉体200gに対し、PbO
ーZnOーB23系のガラスフリット(平均サイズ2.
4μm)12g、エチルセルロース0.5g、亜酸化銅
3g、2,2,4ートリメチルー1,3ペンタンジオー
ルモノブチレート18gをプラネタリーミキサーで混合
し、さらに3本ロールを通して仕上げ混練してCTF用
導電性ペースト材料を作製した。得られたCTF用導電
性ペースト材料は96%アルミナ基板上にスクリーン印
刷でテストパターンを印刷し、窒素雰囲気下でピーク温
度が650℃に設定された連続焼成炉を通過させて焼成
した。焼成後の導体膜厚は平均で21μmであった。得
られたサンプルは四端子法で抵抗を測定したが、体積抵
抗率が5.2*10-6Ω.cmであり、保存安定性は1
4日であった。
【0039】
【実施例3】 (1)気流式分級機による銅合金粉体の製造 実施例1で得られた平均粒径は10.5μm、含有酸素
量は0.028重量%、表面銀濃度比は4.5であった
アトマイズ粉5kgを使用し、日清エンジニアリング
(株)製気流式分級機TC−15Nと解砕機として日清
エンジニアリング(株)製カレントジェットCJ−10
を用いて、窒素ガス及び水素ガスにより分級を行った。
分級室(密閉ケース)内の運転条件は、窒素ガスがほぼ
100体積%で、極少量の水素ガスも一緒にケース内に
導入し、理研計器(株)製低濃度可燃性ガス濃度計SP
ー621で水素濃度を0.02体積%に調整した。その
時の温度は35℃、相対湿度25%であった。分級機の
運転条件は自動運転で、分級点は10μm、密度は9.
0g/cc、フィーダー50%を入力した。得られた分
級粉は1.75kgで、平均粒径は3.6μm、分級収
率は35%、微粉側部分分級効率は1.2であった。分
級前の含有酸素量は0.028重量%で表面酸素量は
0.20mg/cm2 であり、分級後製品の含有酸素量
は0.05重量%で表面酸素量は0.17mg/cm2
であった。また分級前の含有水素量は0.003重量%
で表面吸着水分量は0.01mg/cm2 であり、分級
後製品の含有水素量は0.004重量%で表面吸着水分
量は0.009mg/cm2 であった。 (2)PTF用導電性ペースト材料の作成と評価 分級により得られた銅合金粉体200gに対し、セバシ
ン酸4g、トリエタノールアミン2g、ブチルセロソル
ブ80g及びレゾール樹脂の添加量を変化させて導電性
ペーストを作成し、ガラスエポキシ樹脂基板上に塗布し
た後、乾燥し、170℃で20分間加熱硬化したのち導
電性を評価した。レゾール樹脂の量を変化させたとき、
四端子法で測定した抵抗値が最低になる銅合金粉体の充
填率とそのときの抵抗値をPTF用導電性ペーストの特
性値とした。ここで、銅合金粉体の充填率とは、銅合金
粉体+レゾール樹脂の総重量あたりの銅合金粉体の重量
を示している。またペースト保存性は調合してからペー
スト内で銅合金粉体が沈降し、再攪拌によりペースト全
体を混合しなければ使いにくくなるまでの日数とした。
結果は銅合金微粉体の充填率90重量%、体積抵抗率
4.4*10-5Ω.cm、保存安定性34日であった。 (3)CTF用導電性ペースト材料の作成と評価 分級により得られた銅合金粉体200gに対し、PbO
ーZnOーB23系のガラスフリット(平均サイズ2.
4μm)12g、エチルセルロース0.5g、亜酸化銅
3g、2,2,4ートリメチルー1,3ペンタンジオー
ルモノブチレート18gをプラネタリーミキサーで混合
し、さらに3本ロールを通して仕上げ混練してCTF用
導電性ペースト材料を作製した。得られたCTF用導電
性ペースト材料は96%アルミナ基板上にスクリーン印
刷でテストパターンを印刷し、窒素雰囲気下でピーク温
度が650℃に設定された連続焼成炉を通過させて焼成
した。焼成後の導体膜厚は平均で17μmであった。得
られたサンプルは四端子法で抵抗を測定したが、体積抵
抗率が2.0*10-6Ω.cmであり、保存安定性は4
7日であった。
【0040】
【発明の効果】本発明の金属粉体およびその製造方法に
よれば、金属粉体の表面酸素量及び表面吸着水分量を制
御でき、導電性ペース組成物として用いた際、導電特性
及び保存特性に優れたものを得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘリウムガスを含む不活性ガスアトマイ
    ズ法により得られた粉体を分級して製造される金属粉体
    の製造方法において、分級室内の温度が3〜50℃、相
    対湿度が50%以下であることを特徴とする金属粉体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 金属粉体が銅合金粉体であることを特徴
    とする請求項1記載の金属粉体の製造方法。
  3. 【請求項3】 銅合金粉体が一般式AgxCuy(0.0
    01≦x≦0.4、0.6≦y≦0.999、x+y=
    1(原子比))で表され、且つ粒子表面の銀濃度が粒子
    の平均銀濃度より高く、平均粒径が0.3〜25μm、
    含有酸素量が0.0001〜0.2重量%であることを
    特徴とする請求項2記載の金属粉体の製造方法。
  4. 【請求項4】 気体が窒素ガスを70体積%以上含むこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属粉
    体の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式AgxCuy(0.001≦x≦
    0.4、0.6≦y≦0.999、x+y=1(原子
    比))で表され、且つ粒子表面の銀濃度が粒子の平均銀
    濃度より高く、平均粒径が0.3〜25μmであり、表
    面酸素量が0.005〜2mg/cm2 、表面吸着水分
    量が0.0001〜0.1mg/cm2 であることを特
    徴とする金属粉体。
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