JPH10300645A - 大型容器に収容されている粉体物のサンプラー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンテナバック等の大型容器に収容されてい
る粉体物や粉体物の品質を検査する道具であって、大型
容器の上層から下層までを均一に採取して正確な品質検
査を可能とするサンプラーの提供。 【解決手段】 下端を尖らせた外筒１と、外筒１に嵌入
する内筒２から成る二重構造とし、外筒１と内筒２の側
面には細長い窓４、８を形成するとともに、外筒１の窓
４の片側には掻き取り刃５を突出し、又内筒内には仕切
り１３、１３…を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はコンテナバック、大型フ
ァイバードラム等の大型容器に入れられている粉体物や
粒体物から一部をサンプリングして品質検査を行う為の
道具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】取り引きされる商品の品質が規定に達し
ているか否かを調べる為に品質検査が行われる。これは
あらゆる商品が対象になるが、商品の種類や形態によっ
ては検査の方法が異なっていて、全商品を検査する場合
もあれば、適当な商品を抜き取り検査する場合もある。

【０００３】ところで、本発明が対象とする粉体物や粒
体物は所定の袋又は容器に入れられて取り引きされるこ
とになるが、このような商品の場合には部分的に抜き取
り検査が行われる。しかし、上記容器が非常に大きな場
合には全て同じ品質の粉体物や粒体物が収容されている
とは限らず、下層部や上層部であって抜き取り易い部分
にのみ良質の物を入れて、中間層には劣悪な品質の物が
混入している場合がある。

【０００４】図６はコンテナバック(イ) に粉体物(ロ) 、
(ハ) 、（ニ)が収容されている場合であり、これら粉体物
(ロ) 、（ニ)は良質であって所定の基準値に達するもので
あるが、粉体物(ハ) は劣悪な品質となっている場合があ
る。このコンテナバック(イ)が非常に大きい場合には収
容されている粉体物を検査するにおいて上層の粉体物
(ロ) 、又は出口(ホ) から抜き取ることが出来る下層の粉
体物（ニ)しか検査の対象とならず、上記中間層にある粉
体物(ハ) が劣悪であってもそのままになってしまう。勿
論、コンテナバックの底に出口(ホ) がない場合であるな
らば、上層部の粉体物(ロ) のみしか検査することが出来
ず、底に何が入っていても分からないことになる。

【０００５】そこで出願人は平成７年４月１７日付で
「大型容器に収容されている粉体物のサンプラー」に関
して特許出願を行っている（特開平８−２８５７４０
号）。このサンプラーは下端を円錐形等に尖らせた外筒
と該外筒に嵌入する内筒から成る二重構造とし、上記外
筒及び内筒の側面には細長い窓を形成するとともに、外
筒の窓の片側には掻き取り刃を突出し、又内筒は外筒に
嵌入した状態で回転することが出来、所定の位置にてロ
ックする為の固定手段を備えたものである。

【０００６】そして図７は従来のサンプラーを粉体中に
差し込んだ場合である。先端を円錐形に形成しているサ
ンプラーは容器の底まで達して粉体物(ロ) 、(ハ) 、（ニ)
に埋着された状態にある。図８は図７のＡ−Ａ断面拡大
図であり、外筒(ホ) に内筒(ヘ) が嵌入し、該外筒(ホ) の
窓(ト) と内筒(ヘ) の窓(チ) が同じ位置にあって、これら
窓(ト) 、(チ) から粉体物(ロ) 、(ハ) 、（ニ)が入り込むこ
とが出来る。勿論、サンプラーを粉体物に差し込む場合
には内筒(ヘ) の窓(チ) は閉じている。従って、該サンプ
ラーを矢印方向に回転するならば掻き取り刃(リ) によっ
て粉体物(ロ) 、(ハ) 、（ニ)は強制的に窓(ト) 、(チ) を通
過して内筒内に流れ込む。

【０００７】ところで、該サンプラーの回転は外筒(ホ)
の上部に取着しているハンドル棒(ヌ) 、(ヌ) を持って行
われ、容器に収容されている各層の粉体物(ロ) 、(ハ) 、
（ニ)は内筒(ヘ) に入り込む。粉体物(ロ) 、(ハ) 、（ニ)を
収容したサンプラーは持ち上げられることになるが、内
筒(ヘ) を僅かに持ち上げて回転し、嵌入片(ル) が嵌入す
る嵌合溝の位置を変えて内筒(ヘ) の窓(チ) を閉じる。

【０００８】ところで、従来の上記サンプラーでは上記
粉体物(ロ) 、(ハ) （ニ)へ差し込んで回転するならば、窓
(ト) 、(チ) から流れて内筒(ヘ) に入り込むことになる
が、３層を成している粉体物(ロ) 、(ハ) 、（ニ)がその位
置（高さ）に相当する内筒内に収容されることはなく、
落下して下に溜ってしまう。何回となく回転することで
内筒内は粉体物で一杯となるが、各層の粉体物が混合し
た状態となっており、各層ごとの粉体物(ロ) 、(ハ) 、
（ニ)の品質を検査することは出来ない。

【０００９】又、大きなコンテナバック(イ) に収容され
ている粉体物はその重量によって、下層にある粉体物
（ニ)は固形状と成って流動性に欠け、窓(ト) 、(チ) から
流入しにくく、流動性が比較的良い上層部にある粉体物
(ロ) の流入が大きくなってしまう。大豆や小豆等の粒状
物であれば流動性が良い為に、粒状物内にサンプラーを
差し込んで内筒の窓(チ) を開くと同時に流れ込むことが
出来るが、流動性に欠ける粉体物をこのサンプラーで採
取した場合、掻き取り刃(リ) を回転して粉体を強制的に
内筒へ掻き入れても上層程採取され易くて品質検査を正
確に行うことは出来ない。

【００１０】

【本発明が解決しようとする課題】このように、大型の
コンテナバック等に収容されている粉体物の品質検査を
従来のサンプラーでもって行うには上記のごとき問題が
ある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であ
り、粉体物であっても粒状物であっても、均等にサンプ
リングすることが出来て、正確な品質検査が行い得るサ
ンプラーを提供する。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の粉体物用サンプ
ラーは外筒と内筒から構成され、内筒は外筒に嵌入して
回転することが出来、そして内筒は外筒よりも長くなっ
ている。外筒の先端は円錐形を成して尖っており、又筒
の側壁面には軸方向に細長い窓を下端部から形成し、該
窓の片側には掻き取り刃を突出している。一方の内筒は
ガタ付くことなく外筒に嵌入し、その側壁面にも外筒と
同じような細長い窓を形成している。

【００１２】ところで、外筒の下端部には必要に応じて
取り出し口を形成し、上端部にはハンドルを設けること
もある。又内筒の上端部であって外筒に嵌入した状態で
外筒から突出する部分には持ち手を設ける。更に、外筒
に嵌入した内筒は回転することが出来る訳であるが、必
要に応じて適当な位置でロック（位置決め）することが
出来るように固定手段を設けている。すなわち外観的な
基本形態は従来構造と同じである。

【００１３】本発明では上記内筒内の適当な位置に仕切
りを形成し、窓から流入した粉体物や粒状物が下方へ落
下しないようにしている。仕切りは一か所ないし複数箇
所に設け、内筒内の空間を複数の小空間に分離し、層を
成して収容されている粉体物や粒状物は各層の高さに位
置する小空間に入り込むことになる。ここで、仕切りの
形態は特に限定せず、板を設けて仕切る場合、一定ピッ
チのスクリューを内筒に挿入する場合、仕切られた別の
筒体を内筒内に挿嵌する場合等色々ある。以下、本発明
に係る実施例を図面に基づいて詳細に説明する。

【００１４】

【実施例】図１は本発明に係る粉体物用サンプラーを示
す実施例である。このサンプラーは図２（ａ）に示す外
筒１と図３に示す内筒２から成り、外観上は前記図７に
示している従来のサンプラーとほぼ同じであって、内筒
２は外筒１に嵌入して組み合わされている。嵌入した内
筒２はガタ付かないように、外筒１の内径と内筒２の外
径が定められている。ところで、外筒１はその下端３を
円錐状に尖らせ、側面に細長い窓４を形成しており、該
窓４の片側には掻き取り刃５が突出して設けられてい
る。上記窓４は外筒１のほぼ全長にわたって形成されて
おり、上端付近にはハンドル棒６、６が両側に延び、更
に上端内周面には複数の溝７を形成している。

【００１５】一方の内筒２は外筒１と同じく細長い窓８
を側面に沿って軸方向に形成し、上部には外径を大きく
したツバ９を有し、そして上端にはハンドル棒１０、１
０を両側へ延ばしている。又内筒２の外側面であって、
上記ツバ９の下方には凸片１１を固着し、更に内筒下端
には底１２を有し、中間部には仕切り１３、１３を設け
ている。上記仕切り１３、１３を設けることで、内筒の
内部空間は３分割され、外側面を切り欠いて形成してい
る窓８も３分割されている。

【００１６】前記図１は内筒２を外筒１の上端から内部
空間に挿入した状態であり、内筒２に設けている凸片１
１は外筒１のツバ内周面に形成している溝７に嵌合して
該内筒２に嵌る（図２ｂ参照）。該溝底には環状溝１９
がツバ２０の内周に形成されており、上記凸片１１は環
状溝１９に沿って移動し、すなわち内筒２は外筒内を回
転することが出来る。一方、内筒２のツバ９の下面には
ボール２１、２１…がバネ力が付勢された状態で該下面
から突出して設けられ、外筒１のツバ２０の上面には凹
部２２、２２…が形成されている。従って、内筒２を外
筒１に挿入して回転するならば上記ボール２１、２１…
が凹部２２、２２…に嵌って該内筒２は位置決めされ
る。すなわち、嵌合するボールの位置によって内筒２の
窓８を外筒１の窓４に一致させて開口したり、逆に該窓
８を外筒１の窓４以外の位置に合わせることで閉じるこ
とが出来る。

【００１７】図４は本発明のサンプラーを粉体物中に差
し込んだ場合である。先端を円錐形に形成しているサン
プラーは容器の底まで達して粉体物１４ａ、１４ｂ、１
４ｃに埋着された状態にある。該粉体物１４に差し込む
場合には内筒２の窓８は閉じているが、内筒２を回転し
て窓８を開口することで粉体物１４は流れ込んで来る。
更に外筒１のハンドル棒６を持って軸回りに回転するな
らば、掻き取り刃５によって粉体物１４は強制的に窓
４、８を通過して内筒２内に流れ込む。

【００１８】ところで、内筒には仕切り１３、１３が設
けられている為に、３層を成して収容されている粉体物
１４ａ、１４ｂ、１４ｃが内筒内にて混ざり合うことは
なく、上層の粉体物１４ａは仕切り１３ａから流れ落ち
ることなく、中間層の粉体物１４ｂは仕切り１３ｂから
落下せず、そして下層の粉体物１４ｃは底１２に溜るこ
とになる。勿論、各仕切り１３ａ、１３ｂを各層の境界
に位置させることは事実上不可能である為に、僅かな混
合はあり得るが、３層の粉体物１４ａ、１４ｂ、１４ｃ
が完全に混ざり合うことはなくなる。この仕切り１３、
１３…を更に増やすならば、決して混ざり合うことのな
い粉体物１４を採取することは可能である。

【００１９】図５は上記仕切りの別形態であり、スクリ
ューでもって構成している。軸１５にはスクリュー１６
が取付けられていて、該スクリュー１６のピッチＰの間
隔の仕切りと同じように機能する。軸１５の上端に設け
ているボス１７にはハンドル棒１８、１８を両側へ延ば
し、これらハンドル棒１８、１８を握って軸１５並びに
スクリュー１６を回転することが出来る。ところで、該
スクリュー１６は内筒２の内部空間に挿入され、該空間
をピッチＰにて仕切ることが出来る。

【００２０】粉体物１４に挿入したサンプラーは同じく
粉体物１４内で回転させて窓４、８を通過し、スクリュ
ー１６のピッチ空間に入り込む。採取した粉体物の取り
出しは、該サンプラーを抜き取ったところで横に倒して
スクリューを内筒２から取り出してもよく、内筒の窓８
を閉じた状態でスクリュー１６を回転し、回転と共に粉
体物を取り出すことが出来る。この場合、外筒下端に取
り出し口を形成するならば、内筒２の窓を該取り出し口
に位置合わせしたところでスクリュー１６を回転するこ
とで、該取り出し口から粉体物１４は流れ出る。すなわ
ち、最初は底部で採取された粉体が流れ出て、徐々に上
部で採取された粉体が出て行く。

【００２１】以上述べたように、本発明のサンプラーは
外筒に内筒を挿入し、各筒には窓を形成すると共に、内
筒には仕切りを設けたものであって、次のような効果を
得ることが出来る。

【００２２】

【発明の効果】本発明のサンプラーを使用することで、
大型容器に収容されている粉体物や粒状物の品質検査が
正確に行うことが出来る。すなわち、筒体であるサンプ
ラーを粉体中に差し込み、各層に堆積している粉体を均
等に採取することが出来る。この場合、上記内筒には複
数の仕切りが設けられている為に、該仕切りごとに粉体
物又は粒状物を収容することが出来、各層の粉体物が混
ざり合うことはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るサンプラーの実施例。

【図２】サンプラーの外筒、及び外筒と内筒の接合構造
を表している。

【図３】サンプラーの内筒を表している。

【図４】サンプラーを粉体中に差し込んだ場合。

【図５】内筒に挿入するスクリュー。

【図６】コンテナバックに収容されている粉体。

【図７】従来のサンプラー。

【図８】図７のＡ−Ａ断面拡大図。

【符号の説明】

１ 外筒 ２ 内筒 ３ 下端 ４ 窓 ５ 掻き取り刃 ６ ハンドル棒 ７ 溝 ８ 窓 ９ ツバ 10 ハンドル棒 11 凸片 12 底 13 仕切り 14 粉体物 15 軸 16 スクリュー 17 ボス 18 ハンドル棒 19 環状溝 20 ツバ 21 ボール 22 凹部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 大型容器に収容されている粉体物や粒体
   物の品質を検査する為に採取するサンプラーにおいて、
   該サンプラーは下端を円錐形等に尖らせた外筒と該外筒
   に嵌入する内筒から成る二重構造とし、上記外筒及び内
   筒の側面には細長い窓を形成するとともに、外筒の窓の
   片側には掻き取り刃を突出し、又内筒は外筒に嵌入した
   状態で回転することが出来、所定の位置にて位置決めす
   る為の固定手段を備え、更に内筒内には仕切りを設けた
   ことを特徴とする大型容器に収容されている粉体物のサ
   ンプラー。
2. 【請求項２】 上記仕切りとして内筒内にスクリューを
   挿入することで構成した請求項１記載の大型容器に収容
   されている粉体物のサンプラー。