JPH10300088A

JPH10300088A - 燃焼器の保炎構造

Info

Publication number: JPH10300088A
Application number: JP9105696A
Authority: JP
Inventors: Masaya Otsuka; 雅哉大塚; Shohei Yoshida; 正平吉田; Tomoya Murota; 知也室田; Yoshitaka Hirata; 義隆平田
Original assignee: Hitachi Ltd
Current assignee: Hitachi Ltd
Priority date: 1997-04-23
Filing date: 1997-04-23
Publication date: 1998-11-13

Abstract

(57)【要約】【課題】従来の保炎器の背面には循環流れが形成され、
高温の既燃ガスを保持するが、流速が速い場合には、交
互に循環流れの向きが異なる交番渦が形成され、非定常
的に変動する。このため、火炎が不安定になり、逆火や
火炎の吹き飛び、振動燃焼などの燃焼不安定を生じる場
合がある。【解決手段】未燃の予混合気に接する保炎器の上流側の
前面と、予混合気の既燃ガスを保持する保炎器の下流側
の背面とを繋ぐ流路を保炎器の内部に設け、保炎器背面
に未燃の予混合気を流入させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は燃焼器の保炎構造に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の燃焼器の保炎構造として、予混合
気の流路内に障害物を設け、障害物の背面に生じる循環
流により火炎を保持するブラフボディー型の保炎構造が
有効である。この構造では、ブラフボディー背面に高温
の既燃ガスが循環しており、高温ガスを火種として、周
囲の予混合気を連続的に燃焼させることができる。

【０００３】図２にブラフボディー型の保炎構造を用い
た従来のガスタービン燃焼器の構造を示す。従来のガス
タービン燃焼器では、円筒形の燃焼室１の外側に外筒２
を設け、空気３は燃焼室１と外筒２の間の流路４を流れ
る。燃焼室１と外筒２の間の流路４を通過した空気３
は、パイロットバーナ用の空気通路５と予混合バーナ用
の予混合器６に供給される。パイロットバーナ用の空気
通路５に供給された空気は、燃料ノズル１１からの燃料
とともに、燃焼室１内で燃焼する。また、予混合バーナ
用の予混合器６に供給された空気３の一部は、予混合器
６内で燃料ノズル７からの燃料８と混合して予混合気９
となり、予混合器６の出口に設けられたアニュラ状の保
炎器１０の周りで燃焼する。この保炎構造では、予混合
気９は、保炎器１０の先端の三角形部の両側の頂点で火
炎を形成して燃焼する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】図３に従来の保炎器１
０の周りの流れの様子を示す。先端の三角形部の背面に
は循環流１２が形成され、高温の既燃ガスを保持する。
この高温ガスが火種となって、先端の三角形部の両側の
頂点に火炎１３と火炎１４を形成する。しかし、流速が
高い場合には、図３に示すように、この循環流は定常な
循環流とはならず、交互に循環流の向きが異なる交番渦
が形成され、非定常的に変動する。このため、従来の保
炎構造では、変動する循環流によって、火炎１３，１４
の一方、若しくは火炎１３と１４が相互に干渉して火炎
が不安定になり、逆火な火炎の吹き飛び、振動燃焼など
の燃焼不安定を生ずる場合がある。

【０００５】本発明の目的は、保炎器背面に生じる循環
流の変動を抑制し、火炎の安定性を高めて、燃焼器の信
頼性を向上することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、保炎器背面に未燃の予混合気を流入さ
せることにより、保炎器背面の循環流の非対称性を大き
くして交番渦の発生を防止し、循環流の変動を抑制す
る。保炎器背面の流れを非対称にする方法は、保炎器の
外周形状を非対称にする方法が考えられるが、この方法
では、保炎点での火炎形状が最適な形状からずれるた
め、火炎の安定性が低下して吹き飛びを起こしやすい。
また、保炎器に流入する予混合気の流速や燃空比を非対
称にする方法では、低流速，高燃空比側での逆火や、高
流速，低燃空比側での火炎の吹き飛びが発生し、火炎の
安定性が低下する。これに対して、本発明の様に保炎器
背面に未燃の予混合気を流入させる方法では、保炎点で
の火炎形状を大きく変化させずに、背面での循環流を非
対称にすることができる。したがって、火炎の安定性を
損なわずに、背面の循環流の変動を抑制することができ
る。これにより、特に火炎の非定常な変化によって生じ
る振動燃焼を効果的に抑制できる。具体的には、次の
（１）から（４）の手段を持った燃焼器の保炎構造とす
る。

【０００７】（１）未燃の予混合気に接する保炎器の上
流側の前面と、予混合気の既燃ガスを保持する保炎器の
下流側の背面とを繋ぐ流路を保炎器の内部に設ける。

【０００８】（２）（１）の保炎構造において、流路を
複数の孔若しくはスリットとする。

【０００９】（３）（２）の保炎構造において、流路の
孔の流出方向を同一方向に配置する。（４）（２）の保炎構造において、相隣り合う流路の流
出方向を交互に変化させる。

【００１０】（５）（１）から（４）の保炎構造におい
て、保炎器の下流側の背面における流路の流出方向と背
面のなす角が４５度以下となるように配置する。

【００１１】上記（１）から（５）によれば、保炎器背
面の流れを非対称とすることにより循環流を安定化し、
流れの変動を抑制して燃焼器の信頼性を向上できる。特
に、（５）によれば、流路からの予混合気が循環流と対
向せず、保炎器背面の乱れの発生を防ぐことができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明を用いた第１の実施例とし
て、図１に保炎構造の斜視図を、図４に図１の断面図と
空気の流れを示す。本実施例では、未燃の予混合気９に
接する保炎器１０の上流側の前面１５と、予混合気９の
既燃ガスを保持する保炎器の下流側の背面１６とを繋ぐ
複数の流路１７を保炎器１０の内部に設けている。特に
この実施例では、流路の断面形状を孔形状とし、保炎器
の背面１６における複数の流路の流出方向を同一として
いる。このときの流れは、図４に示すように、予混合気
９が流路１７を通って保炎器１０の背面１６に流入する
ため、この流入方向と同一方向に循環する流れが強くな
り、保炎器の背面の流れは非対称となる。このため、流
路１７の流出方向と逆向きの循環流は小さくなり、交番
渦の発生による循環流の変動は押さえられる。

【００１３】図５は、第１の実施例の保炎構造の近くに
壁面１８を配置した場合である。ここで、壁面１８は、
燃焼室１の壁面としてもよい。この場合には、流路１７
を出た流れが壁面１８の方向に流れるため、保炎器１０
の壁面１８側の循環流が強化され、壁面近くの圧力がよ
り負圧となって循環流が安定化される。

【００１４】本発明を用いた第２の実施例として、図６
に保炎構造の矢視図を、図７に保炎器１０の背面１０の
垂線方向から見た平面図と空気の流れを示す。本実施例
では、未燃の予混合気９に接する保炎器１０の上流側の
前面１５と１９と、予混合気９の既燃ガスを保持する保
炎器の下流側の背面１６とを繋ぐ複数の流路１７を保炎
器１０の内部に設けている。特にこの実施例では、保炎
器の背面１６と、保炎器１０の前面の両側１５と１９と
を交互に連通させているため、保炎器の背面１６におけ
る相隣り合う流路１７からの予混合気の流出方向は逆向
きとなる。このときの流れは、図７に示すように、流路
１７からの流れの方向が交互に変化するため、保炎器の
背面１６の垂線方向に軸を持つ複数の渦２０を誘起す
る。この交互に向きが異なる渦２０の発生により、予混
合気９の流れと直角方向に軸を持つ循環流が発生し難く
なる。これにより、保炎器の背面１６に生じる交番渦の
発生が防止できる。また、本実施例によれば、交番渦の
発生にともなって発生する燃焼器の円周方向の火炎の同
相変動を防止できるため、特に振動燃焼を効果的に抑制
することができる。

【００１５】本発明を用いた第３の実施例として、図８
に保炎構造の矢視図を示す。本実施例では、未燃の予混
合気９に接する保炎器１０の上流側の前面１５と予混合
気９の既燃ガスを保持する保炎器の下流側の背面１６と
を繋ぐ複数の流路１７をスリットとしている。この場合
にも、他の実施例と同様、循環流を非対称にして交番渦
の発生を抑制することができる。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、保炎器背面の流れを非
対称とすることにより循環流の変動を抑制して、火炎の
安定性を高め、燃焼器の信頼性を向上できる。また、保
炎器通路内に予混合気を流すことにより、保炎器の温度
上昇を抑制できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１の実施例の斜視図。

【図２】従来の燃焼器の断面図。

【図３】従来の保炎構造近くの拡大図。

【図４】第１の実施例の保炎構造近くの拡大図。

【図５】第１の実施例の保炎構造近くの拡大図。

【図６】第２の実施例の斜視図。

【図７】第２の実施例の平面図。

【図８】第３の実施例の斜視図。

【符号の説明】

１…燃焼室、２…外筒、３…空気、４…空気の通路、５
…パイロットバーナの空気通路、６，９…予混合器、７
…予混合燃料ノズル、８…燃料、１０…保炎器、１１…
拡散燃料ノズル、１２…循環流、１３，１４…火炎、１
５，１９…保炎器前面、１６…保炎器背面、１７…流
路、１８…壁面、２０…渦。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者平田義隆茨城県日立市大みか町七丁目２番１号株式会社日立製作所電力・電機開発本部内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】燃料と空気を混合して予混合気にする予混
合器と、前記予混合器出口に設けられて前記予混合気の
火炎を保持する保炎器とからなる燃焼器の保炎構造にお
いて、未燃の前記予混合気に接する前記保炎器の上流側
の前面と、前記予混合気の既燃ガスを保持する前記保炎
器の下流側の背面とを繋ぐ流路を、前記保炎器の内部に
設けたことを特徴とする燃焼器の保炎構造。
【請求項２】請求項１において、前記流路を複数の孔若
しくはスリットとして燃焼器の保炎構造。
【請求項３】請求項２において、前記流路の孔若しくは
スリットの流出方向を同一方向に配置した燃焼器の保炎
構造。
【請求項４】請求項２において、前記流路の相隣り合う
孔若しくはスリットの流出方向を交互に変化させた燃焼
器の保炎構造。
【請求項５】請求項１，２，３または４において、前記
保炎器の下流側の背面における前記流路の流出方向と前
記背面とのなす角が４５度以下となるように配置した燃
焼器の保炎構造。