JPH10299649A - リニアレシプロ圧縮機 - Google Patents

リニアレシプロ圧縮機

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JPH10299649A
JPH10299649A JP11375897A JP11375897A JPH10299649A JP H10299649 A JPH10299649 A JP H10299649A JP 11375897 A JP11375897 A JP 11375897A JP 11375897 A JP11375897 A JP 11375897A JP H10299649 A JPH10299649 A JP H10299649A
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suction
compression chamber
cylinder
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Kenichi Saito
健一 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リニアモータ24への所定周波数の交流の供
給により、後面でケーシング1にばね22にて弾性支持
されたピストン19をシリンダ7内で往復動させること
で、シリンダ7内の圧縮室20に冷媒ガスを吸入弁29
から吸い込んだ後に吐出弁14を経て吐出するリニアレ
シプロ圧縮機Cに対し、吸入行程での圧力損失を低減し
て、圧縮機Cの高効率化を図る。 【解決手段】 吸入弁29をピストン19に内蔵させ
る。この吸入弁29は、ピストン19に圧縮室20と連
通するように開口された弁孔30と、この弁孔30を開
閉する弁体31と、ピストン19にその移動方向に沿っ
て相対移動可能に支持され、かつピストン19の移動に
伴い慣性により相対的に移動して弁体31をピストン1
9の吐出行程時には閉じ、吸入行程時には開くように駆
動する慣性部材34とを備える。吐出弁14との干渉を
なくして吸入弁29の開度を大に確保する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリンダに対しそ
の内部のピストンを相対移動させてガスを圧縮するよう
にしたリニアレシプロ圧縮機に関し、特に、その吸入弁
の配置構造に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のリニアレシプロ圧縮
機は、例えば特開平8―219017号公報に示される
ようによく知られている。すなわち、このリニアレシプ
ロ圧縮機は、シリンダ内に圧縮室を区画するピストン
と、このピストンをシリンダ内で往復動可能に弾性支持
する共振ばねと、ピストンを往復動させるリニアモータ
とを備え、シリンダの端部に、上記圧縮室に連通してい
て該圧縮室との圧力差により開閉する吸入弁及び吐出弁
が配置されており、リニアモータの駆動によりピストン
を圧縮室の容積が増加する方向に移動させる吸入行程時
には、吐出弁が閉じかつ吸入弁が開いて、この吸入弁を
介して圧縮室にガスを吸入する一方、逆に、ピストンを
圧縮室の容積が減少する方向に移動させる吐出行程時に
は、吸入弁が閉じかつ吐出弁が開いて、この吐出弁を介
して圧縮室からガスを吐出するようになされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
リニアレシプロ圧縮機においては、上記のようにシリン
ダの端部に吸入弁が吐出弁と共に配置されているので、
この吐出弁との干渉によって吸入弁の開度を大きくする
のに限度がある。このため、ガスの吸入行程では、この
吸入弁によって大きな圧力損失が生じるのは避けられ
ず、圧縮機の効率を上げるのに大きな妨げがあった。
尚、この従来のリニアレシプロ圧縮機では、シリンダ周
りのケーシングに放熱フィンが設けられているものの、
リニアモータの冷却は不十分である。
【0004】本発明は斯かる点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、上記したリニアレシプロ圧縮機におけ
る吸入弁の配置構造を改良することにより、ガスの吸入
行程での圧力損失を大幅に減少できるようにし、リニア
レシプロ圧縮機の高効率化を実現することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的の達成のた
め、この発明では、吸入弁をピストン自体に配置するこ
とで、その開度を大に確保できるようにした。
【0006】具体的には、請求項1の発明では、図1及
び図2に示すように、シリンダ(7)内に圧縮室(2
0)を区画するように往復動可能に嵌装されたピストン
(19)と、上記圧縮室(20)に連通する吸入弁(2
9)及び吐出弁(14)と、上記シリンダ(7)及びピ
ストン(19)をピストン(19)がシリンダ(7)内
で往復動するように相対移動させるリニアモータ(2
4)とを備え、ピストン(19)の往復動により、ガス
を吸入弁(29)を介して圧縮室(20)に吸入した後
に圧縮室(20)から吐出弁(14)を介して吐出する
ようにしたリニアレシプロ圧縮機が対象であり、上記吸
入弁(29)が上記ピストン(19)に内蔵されている
構成とする。
【0007】上記の構成により、リニアモータ(24)
の駆動によりピストン(19)がシリンダ(7)内で相
対的に往復動して圧縮室(20)の容積が増減し、吸入
行程で圧縮室(20)の容積が増加する方向にピストン
(19)が移動したとき、吐出弁(14)が閉じるとと
もに、吸入弁(29)が開いて、この吸入弁(29)を
経てガスが圧縮室(20)に吸入される。この後、吐出
行程で圧縮室(20)の容積が減少する方向にピストン
(19)が移動したとき、上記吸入弁(29)が閉じる
とともに、吐出弁(14)が開いて、この吐出弁(1
4)を経て圧縮室(20)内のガスが吐出される。
【0008】そして、上記吸入弁(29)はピストン
(19)に内蔵されているので、その吸入弁(29)を
吐出弁(14)と共にシリンダ(7)側に配置する従来
の場合と比べ、その吐出弁(14)との干渉がない分だ
け吸入弁(29)の開度を大に確保することができる。
よって、上記吸入行程で吸入弁(29)を経てガスが圧
縮室(20)に吸入される際のガスの圧力損失を大きく
低減することができる。
【0009】請求項2の発明では、図1に示す如く、上
記リニアモータ(24)はピストン(19)に駆動連結
されたものとする。また、上記吸入弁(29)は、ピス
トン(19)に圧縮室(20)と連通するように開口さ
れた弁孔(30)と、この弁孔(30)を開閉する弁体
(31)と、上記ピストン(19)にその移動方向に沿
って相対移動可能に支持され、かつピストン(19)の
移動に伴い慣性により相対的に移動して弁体(31)を
ピストン(19)の吐出行程時には閉じ、吸入行程時に
は開くように駆動する慣性部材(34)とを備えている
ものとする。
【0010】この構成によると、リニアモータ(24)
の駆動によりピストン(19)がシリンダ(7)内で往
復動するとともに、このピストン(19)の移動に伴
い、慣性部材(34)が慣性によりピストン(19)に
対し相対的に移動して弁体(31)が開閉され、ピスト
ン(19)の吸入行程では弁体(31)が弁孔(30)
を開く一方、吐出行程では弁体(31)が弁孔(30)
を閉じる。従って、上記請求項1の発明におけるピスト
ン(19)に内蔵される吸入弁(29)の構造を容易に
具体化することができる。
【0011】請求項3の発明でも、リニアモータ(2
4)はピストン(19)に駆動連結されているものとす
る。そして、図2に示すように、吸入弁(29)は、ピ
ストン(19)に圧縮室(20)と連通するように開口
された弁孔(30)と、この弁孔(30)を開閉する弁
体(31)と、この弁体(31)をピストン(19)に
対し、ピストン(19)の吐出行程時には閉じ、吸入行
程時には開くようにピストン(19)の移動方向に沿っ
て相対移動可能に支持する弾性支持部材(36)とを備
えているものとする。
【0012】こうすると、リニアモータ(24)の駆動
によりピストン(19)がシリンダ(7)内で往復動す
るとともに、このピストン(19)の移動に伴い、ピス
トン(19)に弾性支持部材(36)により相対移動可
能に支持されている弁体(31)が開閉され、ピストン
(19)の吸入行程では弁体(31)が弁孔(30)を
開く一方、吐出行程では弁体(31)が弁孔(30)を
閉じる。従って、この発明でも上記請求項2の発明と同
様の作用効果が得られる。
【0013】請求項4の発明では、上記ガスは空気調和
機用の冷媒ガスとする。すなわち、上記リニアレシプロ
圧縮機(C)は摺動部分がピストン(19)とシリンダ
(7)との摺動部分のみであり、オイルレス圧縮機又は
グリースによる潤滑のみを行うオイルフリー圧縮機とな
る可能性がある。このオイルレス圧縮機の場合では、リ
ニアレシプロ圧縮機(C)を空気調和機用の圧縮機とす
るので、その圧縮機(C)に潤滑油が冷媒ガスと共に吸
入されたり、圧縮機(C)から潤滑油が冷媒ガスと共に
吐出されたりせず、冷媒回路での油循環は生じない。こ
のため、空気調和機の連絡配管長が長くなったりしても
吸入行程での圧力損失は少なくなり、空気調和機の性能
の向上を期待できるとともに、オイルレス圧縮機により
各種の冷媒ガスを使用できて代替冷媒の対応も容易とな
る。また、冷媒によりリニアモータを効果的に冷却する
ことができる。
【0014】請求項5の発明では、上記リニアレシプロ
圧縮機(C)は、潤滑油を用いないオイルレス又はオイ
ルフリーの圧縮機として使用されるように構成する。こ
のことで、ガスと混合される潤滑油による潤滑の不要な
リニアレシプロ圧縮機が容易に得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)図1は本発明の実施形態1に係るリニア
レシプロ圧縮機(C)を示し、この圧縮機(C)は図示
しない冷媒回路に接続されていて空気調和機用の圧縮機
を構成している。
【0016】上記圧縮機(C)は図1で左右方向に延び
る密閉円筒状のケーシング(1)を有し、このケーシン
グ(1)の長さ方向中央の周囲壁部には1本の吸入管
(2)が、また両端の周囲壁部には2本の吐出管
(3),(3)がそれぞれ気密状に貫通して取り付けら
れている。また、ケーシング(1)内には上記吸入管
(2)に対応する位置にばね受け(4)が、ケーシング
(1)内を左右の空間に分けるように配置固定されてい
る。
【0017】上記ケーシング(1)内の左右空間の各々
には、そのケーシング(1)の端部寄りに円筒状シリン
ダ(7)が各空間を上記吸入管(2)に連通する吸入室
(8)と吐出管(3)に連通する吐出室(9)とに区画
するように配置固定されている。この各シリンダ(7)
の吐出室(9)側(ケーシング(1)端部側)端の開口
は閉塞部材(11)により気密状に閉塞され、この閉塞
部材(11)には吐出弁(14)が設けられている。こ
の吐出弁(14)は、閉塞部材(11)の外側(反シリ
ンダ(7)側)の表面に基端部にて揺動可能に取り付け
られた板ばね材からなるリード弁タイプのもので、閉塞
部材(11)にシリンダ(7)内と連通するように貫通
形成した弁孔(13)を開閉する。この吐出弁(14)
の最大開度は弁押え(15)により規制されるようにな
っている。
【0018】上記シリンダ(7)の内周面にはその長さ
方向の所定位置に吸入孔(17)の一端が開口されてい
る。この吸入孔(17)はシリンダ(7)の壁部内をそ
の半径方向外側に向かった後にシリンダ(7)の軸線方
向に延び、その他端はシリンダ(7)におけるケーシン
グ(1)中央側の端部に吸入室(8)に臨むように開口
されている。
【0019】上記各シリンダ(7)内にはピストン(1
9)が閉塞部材(11)に近付く前進方向と閉塞部材
(11)から離れる後退方向とに往復動可能に嵌挿さ
れ、このピストン(19)と閉塞部材(11)との間の
シリンダ(7)内に上記吐出弁(14)に連通する圧縮
室(20)が区画されている。上記ピストン(19)は
内部空間(32)を有する中空円筒箱状のもので、その
後壁部(ケーシング(1)中央側の壁部)にはピストン
ロッド(21)の前端部が一体に取り付けられている。
このピストンロッド(21)はシリンダ(7)の軸線方
向に沿って後側つまりケーシング(1)中央側に延び、
その後端部にはばね(22)の一端部が移動不能に取り
付けられ、このばね(22)の他端部は上記ばね受け
(4)に移動不能に固定されており、このばね(22)
によりピストンロッド(21)を含むピストン(19)
をシリンダ(7)内で往復動可能に弾性支持している。
【0020】上記吸入室(8)には、ピストン(19)
をシリンダ(7)内で往復動するように移動させるリニ
アモータ(24)が配置されている。このリニアモータ
(24)は、ケーシング(1)の内周面に配置固定され
た電磁コイル(25)と、この電磁コイル(25)の内
側に同心状に配置された円筒状の永久磁石(26)(鉄
心を含む)とを備え、この磁石(26)は上記ピストン
ロッド(21)に連結部材(27)を介して移動一体に
固定されており、各リニアモータ(24)の電磁コイル
(25)にインバータ(図示せず)から所定周波数の交
流を通電することにより、その電磁コイル(25)と磁
石(26)との磁力により、各ピストン(19)を上記
ばね(22)のばね定数に対応した周期で往復動させる
ようにしている。
【0021】上記ピストン(19)には、上記圧縮室
(20)に連通する吸入弁(29)が内蔵されている。
この吸入弁(29)は、中空状ピストン(19)におい
て圧縮室(20)に臨む前壁部に該圧縮室(20)及び
内部空間(32)を連通するように開口された弁孔(3
0)と、この弁孔(30)を開閉する弁体(31)とを
有する。これら弁孔(30)及び弁体(31)は、いず
れもピストン(19)の前側から後側に向かって小径と
なるテーパ形状のもので、弁体(31)がピストン(1
9)(弁孔(30))に対し前側に相対移動したときに
弁孔(30)を開き、逆に後側に移動したときに弁孔
(30)を閉じるようになっている。
【0022】ピストン(19)の周壁部にはピストン
(19)の内部空間(32)を上記シリンダ(7)内周
面の吸入孔(17)、従って吸入室(8)に常時連通す
る連通孔(33)が開口されている。また、ピストン
(19)の内部空間(32)には所定の重さを有する慣
性部材(34)がピストン(19)の移動方向(前後方
向)に沿って相対移動可能に支持されている。この慣性
部材(34)は、上記弁体(31)の後面に形成した有
底の係合穴(31a)に所定のストロークだけ相対移動
可能に嵌合する係合突部(34a)を有しており、ピス
トン(19)の移動に伴い、慣性部材(34)が慣性に
よりピストン(19)と相対的に移動して弁体(31)
を駆動し、ピストン(19)が前進する吐出行程時には
慣性部材(34)の相対的な後退により弁体(31)を
閉じる一方、ピストン(19)が後退する吸入行程時に
は慣性部材(34)の相対的な前進により弁体(31)
を開くようになっている。よって、リニアレシプロ圧縮
機(C)は、上記各リニアモータ(24)の駆動による
ピストン(19)の後退時、ピストン(19)に内蔵さ
れた吸入弁(29)を開きかつ吐出弁(14)を閉じる
ことで、吸入管(2)からケーシング(1)内の吸入室
(8)に吸入される冷媒ガスをシリンダ(7)の吸入孔
(17)、ピストン(19)の連通孔(33)、ピスト
ン(19)の内部空間(32)及び吸入弁(29)を介
して圧縮室(20)に吸入し、その後のピストン(1
9)の前進時、吸入弁(29)を閉じかつ吐出弁(1
4)を開くことで、圧縮室(20)から吐出弁(14)
及び吐出室(9)を介してケーシング(1)外に吐出す
るようになされている。尚、(19a)はピストン(1
9)の外周面において連通孔(33)と前端面との間に
取り付けられたシールリングである。
【0023】次に、上記実施形態のリニアレシプロ圧縮
機(C)の作動について説明する。圧縮機(C)の運転
開始に伴い、その各リニアモータ(24)の電磁コイル
(25)に所定周波数の交流電源が通電され、この通電
に伴い、電磁コイル(25)及び磁石(26)による各
磁界間の作用により磁石(26)及びピストン(19)
がばね(22)を伸縮させながら所定の中立位置から往
復動する。そして、この各ピストン(19)がシリンダ
(7)内で圧縮室(20)の容積を増加させる後退方向
に移動する吸入行程時には、このピストン(19)の後
退移動により、ピストン(19)に内蔵されている吸入
弁(29)の慣性部材(34)が慣性によりピストン
(19)に対し相対的に前進移動し、この慣性部材(3
4)の駆動によって吸入弁(29)の弁体(31)が開
く。また、閉塞部材(11)の吐出弁(14)は閉じ
る。このことで、冷媒ガスは吸入管(2)からケーシン
グ(1)内の吸入室(8)に吸入された後、シリンダ
(7)の吸入孔(17)、ピストン(19)の連通孔
(33)、ピストン(19)の内部空間(32)及び吸
入弁(29)を介して圧縮室(20)に吸入される。こ
のとき、上記のような冷媒ガスの流れにより各リニアモ
ータ(24)を効果的に冷却できる。
【0024】この後、ピストン(19)が圧縮室(2
0)の容積を減少させる前進方向に移動する吐出行程時
には、そのピストン(19)に対し上記慣性部材(3
4)が相対的に後退し、この慣性部材(34)の駆動に
よって吸入弁(29)の弁体(31)が閉じる。また、
吐出弁(14)は開く。このことで、上記圧縮室(2
0)内の冷媒ガスは、圧縮室(20)から吐出弁(1
4)を介して吐出室(9)に吐出され、その吐出室
(9)から吐出管(3)を介してケーシング(1)外に
吐出される。
【0025】この場合、上記吸入弁(29)はピストン
(19)に内蔵されているので、その吸入弁(29)を
シリンダ(7)側の閉塞部材(11)に配置する従来構
造のような、吐出弁(14)との干渉はなくなる。この
ため、吸入弁(29)の開度を大に確保することがで
き、上記冷媒ガスが吸入行程で吸入弁(29)を経て圧
縮室(20)に吸入される際の圧力損失を大きく低減し
て、リニアレシプロ圧縮機(C)の効率を高めることが
できる。
【0026】また、上記リニアレシプロ圧縮機(C)
は、摺動部分がピストン(19)とシリンダ(7)との
摺動部分のみとなるので、オイルレス圧縮機又はグリー
スによる潤滑のみを行うオイルフリー圧縮機として使用
できる。このオイルレス圧縮機として使用した場合、リ
ニアレシプロ圧縮機(C)に潤滑油が冷媒ガスと共に吸
入されたり、圧縮機(C)から潤滑油が冷媒ガスと共に
吐出されたりすることはなく、冷媒回路での油循環は生
じない。このため、たとえ空気調和機の連絡配管長が長
くなっても、油循環に伴う吸入行程での圧力損失は少な
くなり、空気調和機の性能を向上させることができる。
また、オイルレス圧縮機により冷媒ガスとして潤滑油に
左右されることなく各種のガスを使用でき、代替冷媒の
対応を容易に行うことができる。
【0027】(実施形態2)図2は本発明の実施形態2
を示し(尚、図1と同じ部分については同じ符号を付し
てその詳細な説明は省略する)、上記実施形態1では吸
入弁(29)の弁体(31)を慣性部材(34)により
開閉するようにしているのに対し、その弁体(31)を
ピストン(19)に弾性支持するようにしたものであ
る。
【0028】すなわち、この実施形態では、上記実施形
態1に比べ、ピストン(19)に内蔵されている吸入弁
(29)の構造のみが異なり、その他の構成は同じであ
る(図1参照)。そして、吸入弁(29)は、上記実施
形態1と同様に、ピストン(19)の前壁部に圧縮室
(20)と連通するように開口された弁孔(30)と、
この弁孔(30)を開閉する弁体(31)とを備えてい
る。また、この弁体(31)の後面には弾性支持部材と
してのコイルばね(36)の前端部が一体に取付固定さ
れ、このコイルばね(36)はピストン(19)の内部
空間(32)を後方向に延び、その後端部はピストン
(19)後端部の前面に一体に取付固定されている。こ
のコイルばね(36)の長さは自然長で弁体(31)が
若干開いた状態になるように設定されており、コイルば
ね(36)により弁体(31)をピストン(19)に対
しピストン(19)の移動方向に沿って相対移動可能に
支持し、ピストン(19)の吐出行程時にはコイルばね
(36)の収縮によって弁体(31)を閉じ、吸入行程
時にはコイルばね(36)の伸長によって弁体(31)
を開くようにしている。
【0029】尚、(37)は吸入弁(29)の弁体(3
1)の最大開度を規制するために弁体(31)とピスト
ン(19)の後壁部前面との間に架設されたロッド状の
ストッパで、その前端部が弁体(31)の係合穴(31
a)に所定ストロークだけ相対移動可能に係合され、後
端はピストン(19)の後壁部に固定されている。
【0030】この実施形態では、リニアモータ(24)
の駆動によりピストン(19)がシリンダ(7)内で往
復動するとともに、このピストン(19)の移動に伴
い、ピストン(19)にコイルばね(36)により相対
移動可能に支持されている吸入弁(29)の弁体(3
1)が開閉され、ピストン(19)が後退する吸入行程
では、ピストン(19)の内部空間(32)とそれより
も圧力の下がった圧縮室(20)との圧力差により弁体
(31)がコイルばね(36)を伸長させながら弁孔
(30)を開く。このことで、ケーシング(1)内の冷
媒ガスがシリンダ(7)の吸入孔(17)、ピストン
(19)の連通孔(33)、ピストン(19)の内部空
間(32)及び吸入弁(29)を介して圧縮室(20)
内に吸入される。
【0031】一方、ピストン(19)が前進する吐出行
程では、圧縮室(20)内の圧力がピストン(19)の
内部空間(32)よりも高くなるので、これらの圧力差
により弁体(31)がコイルばね(36)を収縮させな
がら弁孔(30)を閉じる。このことで、圧縮室(2
0)内の冷媒ガスが吐出弁(14)及び吐出室(9)を
介してケーシング(1)外に吐出される。
【0032】したがって、この実施形態でも上記実施形
態1と同様の作用効果が得られる。特に、この実施形態
では、上記実施形態1のように慣性部材(34)ではな
く、コイルばね(36)を用いて吸入弁(29)の弁体
(31)を開閉させるので、圧縮機(C)への電源周波
数をインバータにより変化させても、そのことに関係な
く吸入弁(29)の開閉動作を安定に維持できる利点が
ある。
【0033】尚、本発明の吸入弁は上記各実施形態の構
造に限定されず、ピストン(19)に内蔵されたもので
あればよい。また、上記各実施形態ではシリンダ
(7)、ピストン(19)、リニアモータ(24)等を
それぞれケーシング(1)内に2つ設けているが、1つ
或いは3つ以上設けてもよい。
【0034】また、上記実施形態では、ピストン(1
9)をばね(22)により弾性支持しているが、このば
ね(22)は必ずしも設ける必要はない。また、上記実
施形態では、ピストン(19)にリニアモータ(24)
を駆動連結してそれをシリンダ(7)内で往復動させて
いるが、逆にシリンダ(7)をリニアモータで駆動する
ようにしてもよい。
【0035】さらに、上記各実施形態では、オイルレス
圧縮機又はグリースによる潤滑のみを行うオイルフリー
圧縮機として使用するようにしているが、潤滑油を用い
た圧縮機として使用することもできるのは勿論である。
また、本発明は、上記実施形態のように空気調和機用の
圧縮機(C)に限らず、その他の用途の圧縮機に対して
も適用できるのはいうまでもない。
【0036】
【発明の効果】以上説明のように、請求項1の発明によ
ると、シリンダ内に圧縮室を区画するピストンを往復動
可能に嵌装し、このピストンがシリンダ内で往復動する
ようにシリンダ及びピストンをリニアモータにより相対
移動させ、ガスを吸入弁を介して圧縮室に吸入した後に
圧縮室から吐出弁を介して吐出するようにしたリニアレ
シプロ圧縮機に対し、吸入弁をピストンに内蔵させたこ
とにより、その吸入弁をシリンダ側に配置する場合と比
べ、吐出弁との干渉をなくして吸入弁の開度を大に確保
でき、吸入弁を経てガスが圧縮室に吸入される吸入行程
でのガスの圧力損失を大きく低減して、リニアレシプロ
圧縮機の高効率化を図ることができる。
【0037】請求項2の発明では、リニアモータをピス
トンに駆動連結するとともに、吸入弁は、ピストンに圧
縮室と連通するように開口された弁孔と、この弁孔を開
閉する弁体と、ピストンの移動に伴い慣性により相対的
に移動して弁体をピストンの吐出行程時には閉じ、吸入
行程時には開くように駆動する慣性部材とを備えている
ものとした。また、請求項3の発明では、吸入弁は、ピ
ストンに圧縮室と連通するように開口された弁孔と、こ
の弁孔を開閉する弁体と、この弁体をピストンに対し、
ピストンの吐出行程時には閉じ、吸入行程時には開くよ
うにピストンの移動方向に沿って相対移動可能に支持す
る弾性支持部材とを備えているものとした。従って、こ
れら発明によると、上記請求項1の発明におけるピスト
ンに内蔵される吸入弁の実現の容易化を図ることができ
る。
【0038】請求項4の発明によると、ガスを空気調和
機用の冷媒ガスとして、リニアレシプロ圧縮機は空気調
和機用のものとしたことにより、摺動部分がピストンと
シリンダとの摺動部分のみで、オイルレス又はオイルフ
リーの圧縮機として使用でき、オイルレス圧縮機では、
空気調和機の冷媒回路での油循環をなくし、その油循環
による吸入行程での圧力損失を少なくして、空気調和機
の性能の向上を図るとともに、代替冷媒の対応の容易化
を図ることができるとともに、リニアモータを冷媒ガス
により冷却してモータの冷却性の向上を図ることができ
る。
【0039】請求項5の発明によると、リニアレシプロ
圧縮機をオイルレス又はオイルフリー圧縮機として使用
するようにしたことにより、ガスと混合される潤滑油に
よる潤滑の不要なリニアレシプロ圧縮機が容易に得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るリニアレシプロ圧縮
機の概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態2に係るリニアレシプロ圧縮
機の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
(C) 圧縮機 (1) ケーシング (7) シリンダ (14) 吐出弁 (19) ピストン (20) 圧縮室 (22) ばね (24) リニアモータ (29) 吸入弁 (30) 弁孔 (31) 弁体 (34) 慣性部材 (36) コイルばね(弾性支持部材)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ(7)内に圧縮室(20)を区
    画するように往復動可能に嵌装されたピストン(19)
    と、上記圧縮室(20)に連通する吸入弁(29)及び
    吐出弁(14)と、上記シリンダ(7)及びピストン
    (19)をピストン(19)がシリンダ(7)内で往復
    動するように相対移動させるリニアモータ(24)とを
    備え、ピストン(19)の往復動により、ガスを吸入弁
    (29)を介して圧縮室(20)に吸入した後に圧縮室
    (20)から吐出弁(14)を介して吐出するようにし
    たリニアレシプロ圧縮機であって、 上記吸入弁(29)がピストン(19)に内蔵されてい
    ることを特徴とするリニアレシプロ圧縮機。
  2. 【請求項2】 請求項1のリニアレシプロ圧縮機におい
    て、 リニアモータ(24)はピストン(19)に駆動連結さ
    れており、 吸入弁(29)は、ピストン(19)に圧縮室(20)
    と連通するように開口された弁孔(30)と、 上記弁孔(30)を開閉する弁体(31)と、 上記ピストン(19)にその移動方向に沿って相対移動
    可能に支持され、かつピストン(19)の移動に伴い慣
    性により相対的に移動して弁体(31)をピストン(1
    9)の吐出行程時には閉じ、吸入行程時には開くように
    駆動する慣性部材(34)とを備えていることを特徴と
    するリニアレシプロ圧縮機。
  3. 【請求項3】 請求項1のリニアレシプロ圧縮機におい
    て、 リニアモータ(24)はピストン(19)に駆動連結さ
    れており、 吸入弁(29)は、ピストン(19)に圧縮室(20)
    と連通するように開口された弁孔(30)と、 上記弁孔(30)を開閉する弁体(31)と、 上記弁体(31)をピストン(19)に対し、ピストン
    (19)の吐出行程時には閉じ、吸入行程時には開くよ
    うにピストン(19)の移動方向に沿って相対移動可能
    に支持する弾性支持部材(36)とを備えていることを
    特徴とするリニアレシプロ圧縮機。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかのリニアレシプ
    ロ圧縮機において、ガスは空気調和機用の冷媒ガスであ
    ることを特徴とするリニアレシプロ圧縮機。
  5. 【請求項5】 潤滑油を用いないオイルレス又はオイル
    フリーの圧縮機として使用されるように構成されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかのリニアレシ
    プロ圧縮機。
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