JPH102986A - 原子炉の点検補修装置 - Google Patents

原子炉の点検補修装置

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JPH102986A
JPH102986A JP8154207A JP15420796A JPH102986A JP H102986 A JPH102986 A JP H102986A JP 8154207 A JP8154207 A JP 8154207A JP 15420796 A JP15420796 A JP 15420796A JP H102986 A JPH102986 A JP H102986A
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fluid
pipe
compressed air
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JP8154207A
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Kazuo Hasegawa
一 生 長谷川
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Toshiba Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射線の線量率の高い環境下においても支障
なく使用することができる原子炉の点検補修装置を提供
する。 【解決手段】 作動流体を供給する流体供給手段と、こ
の流体供給手段から供給された作動流体を制御する制御
手段と、この制御手段で制御された作動流体を輸送する
流体輸送手段と、この流体輸送手段で輸送された作動流
体によって駆動される装置本体とを備えている。流体輸
送手段は、制御手段に接続された各入口端を有する複数
の流体輸送配管と、複数の流体輸送配管の各出口端を結
合して流路を統合する結合手段とを備えている。制御手
段は複数の流体輸送配管のうちのいずれかを選択して作
動流体を供給する切換手段を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉の点検補修
装置に係わり、特に、作動流体によって駆動される装置
本体を備えた原子炉の点検補修装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、発電用原子炉の運転年数の増加に
伴って、原子炉の経年劣化対策の重要性が高まってい
る。現在、原子炉の経年劣化対策の一環として各種の点
検・補修作業が行われており、特に、原子炉圧力容器の
内部における点検・補修作業が重要である。原子炉圧力
容器の内部は放射線の線量率が極めて高く、しかも、原
子炉の運転年数の増加に伴って、中性子照射による原子
炉圧力容器及び炉内構造物の放射化が進むために、原子
炉圧力容器内での点検・補修作業の作業環境が年々厳し
くなっている。
【0003】図9は、従来の原子炉の点検補修装置の1
つであるノズル閉塞装置を使用して沸騰水型原子炉の補
修作業を行う様子を示している。図9に示したように、
沸騰水型原子炉100は原子炉圧力容器101を備えて
おり、符号102は原子炉圧力容器101の内面を示し
ている。なお、図1には上蓋(図示せず)が取り外され
た状態の原子炉圧力容器101が示されている。原子炉
圧力容器101の内部には略円筒状の炉心シュラウド1
03が設けられており、符号104は炉心シュラウド1
03の外面を示している。炉心シュラウド103の内側
には複数の燃料集合体(図示せず)で構成された炉心1
05が配置されている。また、原子炉圧力容器101に
は再循環水ノズル106が設けられており、この再循環
水ノズル106は再循環水配管107に接続されてい
る。原子炉圧力容器101の下部には制御棒駆動機構1
08が設けられている。原子炉圧力容器101の上方に
は原子炉ウェル109が形成されており、図9において
は原子炉ウェル109が水で満たされている。
【0004】また、図9において符号200は原子炉の
点検補修装置の1つであるノズル閉塞装置を示し、この
ノズル閉塞装置200は操作床(オペレーションフロ
ア)110の上に配置された圧力制御装置201を備え
ている。この圧力制御装置201は流入配管202を介
して圧縮空気供給装置203に接続されている。また、
ノズル閉塞装置200は圧縮空気によって駆動される装
置本体204を備えており、この装置本体204は1本
の流体輸送配管205を介して圧力制御装置201に接
続されている。ここで、流体輸送配管205は、ポリエ
チレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリプロピレン等の
材料、つまり可撓性(フレキシビリティ)を有する高分
子材料によって製造されている。このように流体輸送配
管205の材料として可撓性材料を使用する理由は、原
子炉圧力容器101の内部には炉心シュラウド103等
の炉内構造物が存在するために、原子炉圧力容器101
の内部において再循環水ノズル106の位置まで装置本
体204を移動させるためには炉内構造物を回避する必
要があるからである。
【0005】上述したような構成を備えた従来のノズル
閉塞装置200を用いて原子炉の補修作業を行う際に
は、まず、燃料交換機の補助ホイスト(図示せず)等を
使用してノズル閉塞装置200の装置本体204を原子
炉圧力容器101の内部に移送する。そして、補助ホイ
ストによって装置本体204を原子炉圧力容器101の
内面102と炉心シュラウド103の外面104との間
の間隙内に移送し、再循環水ノズル106に対して装置
本体204を正確に位置決めする。
【0006】また、圧縮空気供給装置203からの圧縮
空気は流入配管202を経由して圧力制御装置201に
送られる。そして、装置本体204が再循環水ノズル1
06に対して正確に位置決めされた後に、圧力制御装置
201は、圧縮空気供給装置203からの圧縮空気の圧
力を所定圧力に調節しながら流体輸送配管205に圧縮
空気を送り込む。圧力制御装置201から流体輸送配管
205に送り込まれた所定圧力の圧縮空気は、流体輸送
配管205を経由してノズル閉塞装置200の装置本体
204に供給される。このように所定圧力の圧縮空気が
装置本体204に供給されると、装置本体204が駆動
されて再循環水ノズル106の開口部が装置本体204
によって閉鎖される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したよ
うに原子炉の点検補修装置の1つであるノズル閉塞装置
200は、装置本体204及び流体輸送配管205を原
子炉圧力容器101の内部に移送して使用されるもので
あるため、装置本体204及び流体輸送配管205は高
い線量率の放射線に曝されることなる。特に、炉心10
5の周辺の線量率は極めて高いので、流体輸送配管20
5全体の中で炉心105に近接する部分には大量の放射
線が照射されることになる。
【0008】そして、上述したように流体輸送配管20
5は可撓性が要求されるためにポリエチレン、ポリウレ
タン、ナイロン、ポリプロピレン等の高分子材料によっ
て製造されており、この高分子材料は放射線に対する耐
性(耐放射線性)が小さい。したがって、炉心105に
近接する部分の流体輸送配管205は大量の放射線照射
によって放射線損傷を受けることになる。なお、流体輸
送配管205に耐放射線性の高い金属配管を採用すれば
放射線損傷の問題を解決することができるが、金属配管
では可撓性が極めて小さいためにとても実用に耐えるこ
とができない。また、炉心105付近において流体輸送
配管205を放射線から遮蔽する方法も考えられるが、
このような方法によると作業効率が著しく損なわれるた
めに、結局この方法は採用することができないのが実状
である。
【0009】また、これまでに行われた原子炉の補修作
業の経験によれば、流体輸送配管205は、圧縮空気に
よって配管内が加圧されている状態のときの方が、非加
圧状態のときよりも、同じ強さの放射線に対してより大
きな放射線損傷を受けることが分かっている。このよう
な経験的事実は、放射線の照射条件を同一にした場合、
引張り応力を受けている高分子材料は引張り応力を受け
ていないものよりもより多くの放射線損傷を受けるとい
う実験的事実に符合するものである。
【0010】流体輸送配管205が大量の放射線照射に
よって放射線損傷を受けると、流体輸送配管205の内
部から圧縮空気が外部に漏洩する恐れがあり、装置本体
204を原子炉圧力容器101の内部から引き上げるこ
とができなくなったり、或いは装置本体204を原子炉
圧力容器101内に吊り落としてしまうという恐れもあ
った。また、流体輸送配管205から圧縮空気が漏洩し
て原子炉圧力容器101内の炉水中に放出された場合、
漏洩した圧縮空気が気泡状態で炉水中を上昇する。この
ように漏洩した圧縮空気の気泡が炉水中を上昇すると、
炉水中に浮遊する放射性物質も気泡と共に上昇し、炉水
の水面に達した後に操作床110まで飛散して操作床1
10を汚染する場合もある。
【0011】特に、運転年数の長い原子炉においては、
経年劣化の影響で点検・補修作業を行う頻度が高くなっ
ており、しかも毎回の作業に要する時間も長期化してい
る。加えて、原子炉の運転年数が増加するにつれて原子
炉の構造物に対する中性子の累積線量も増加するので、
原子炉の構造物の放射化が進んで原子炉の内部における
線量率が増加する。このように原子炉の点検補修装置
は、その使用頻度及び使用時間の増加と、原子炉内部の
線量率の増加とによって、放射線を受ける量が増大して
放射線損傷の問題が年々深刻化している。
【0012】従来の原子炉の点検補修装置は上記のごと
く放射線損傷の問題があるために、原子炉の点検補修装
置の使用時間を制限したり、或いは放射線損傷によって
原子炉の点検補修装置に機能障害が生じた場合に対応す
るための別途の装置を予め用意しておいたり、さらには
原子炉の点検補修装置を回収するための特別の装置を用
意しておくといった措置を講じる必要があった。
【0013】そこで、本発明の目的は、上述した種々の
問題点を解消し、放射線の線量率の高い環境下において
も支障なく使用することができる原子炉の点検補修装置
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明によ
る原子炉の点検補修装置は、作動流体を供給する流体供
給手段と、この流体供給手段から供給された作動流体を
制御する制御手段と、この制御手段で制御された作動流
体を輸送する流体輸送手段と、この流体輸送手段で輸送
された作動流体によって駆動される装置本体とを備え、
前記流体輸送手段は、前記制御手段に接続された各入口
端を有する複数の流体輸送配管と、前記複数の流体輸送
配管の各出口端を結合して流路を統合する結合手段とを
備え、前記制御手段は、前記複数の流体輸送配管のうち
のいずれかを選択して前記作動流体を供給する切換手段
を有することを特徴とする。
【0015】請求項2記載の発明による原子炉の点検補
修装置は、前記切換手段は、入口及び複数の出口を有す
る切換弁を備え、前記切換弁の入口と前記流体供給手段
とを流入配管によって連結し、前記切換弁の各出口に前
記複数の流体輸送配管の各入口端を接続し、前記結合手
段は、複数の入口及び出口を有するシャトル弁を備え、
前記シャトル弁の各入口に前記複数の流体輸送配管の各
出口端を接続し、前記シャトル弁の出口と前記装置本体
とを流出配管によって連結したことを特徴とする。
【0016】請求項3記載の発明による原子炉の点検補
修装置は、前記切換手段は、さらに、前記流体輸送配管
内の圧力変化に応じて作動する圧力スイッチを有し、前
記切換弁は、前記圧力スイッチからの信号に応じて切り
換わる電磁切換弁であることを特徴とする。
【0017】請求項4記載の発明による原子炉の点検補
修装置は、前記切換手段は、さらに、前記流体輸送配管
内の圧力変化に応じて作動する流体圧作動シーケンス弁
を有し、前記切換弁は、前記流体圧作動シーケンス弁か
らの流体圧信号に応じて切り換わる流体圧作動切換弁で
あることを特徴とする。
【0018】請求項5記載の発明による原子炉の点検補
修装置は、前記流体輸送配管の途中に仕切弁を設け、前
記仕切弁よりも下流側の前記流体輸送配管の途中に圧力
計を設けたことを特徴とする。
【0019】請求項6記載の発明による原子炉の点検補
修装置は、前記切換手段は、さらに、入口及び複数の出
口を有する手動切換式切換弁を有し、前記流入配管の途
中から分岐した分岐配管を前記手動式切換弁の入口に接
続し、前記各流体輸送配管の途中から分岐した各分岐配
管を前記手動式切換弁の各出口に接続したことを特徴と
する。
【0020】請求項7記載の発明による原子炉の点検補
修装置は、前記切換弁を複数配設し、前記切換弁と同数
の前記シャトル弁を配設し、前記切換弁の数よりも1つ
少ない数の前記流体輸送配管を配設したことを特徴とす
る。
【0021】請求項8記載の発明による原子炉の点検補
修装置は、前記複数の流体輸送配管は高分子材料で形成
されており、前記複数の流体輸送配管を束ねて配管の束
を形成し、前記配管の束の外周を高分子材料で被覆した
ことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】第1の実施形態 以下、本発明による原子炉の点検補修装置の第1実施形
態について図1乃至図3を参照して説明する。なお、本
実施形態においては原子炉の点検補修装置の1つである
ノズル閉塞装置を例として説明するが、本発明の適用範
囲はノズル閉塞装置に限られることはなく、本発明は、
作動流体によって駆動される各種の原子炉の点検補修装
置に適用できるものである。
【0023】図1は、本発明による原子炉の点検補修装
置であるノズル閉塞装置1を使用して沸騰水型原子炉の
補修作業を行う様子を示している。図1に示したよう
に、沸騰水型原子炉100は原子炉圧力容器101を備
えており、符号102は原子炉圧力容器101の内面を
示している。なお、図1には上蓋(図示せず)が取り外
された状態の原子炉圧力容器101が示されている。原
子炉圧力容器101の内部には略円筒状の炉心シュラウ
ド103が設けられており、符号104は炉心シュラウ
ド103の外面を示している。炉心シュラウド103の
内側には複数の燃料集合体(図示せず)で構成された炉
心105が配置されている。また、原子炉圧力容器10
1には再循環水ノズル106が設けられており、この再
循環水ノズル106は再循環水配管107に接続されて
いる。原子炉圧力容器101の下部には制御棒駆動機構
108が設けられている。原子炉圧力容器101の上方
には原子炉ウェル109が形成されており、図1におい
ては原子炉ウェル109が水で満たされている。
【0024】また、図1において符号1はノズル閉塞装
置を示し、このノズル閉塞装置1は操作床(オペレーシ
ョンフロア)110の上に配置された制御装置2を備え
ている。この制御装置2は流入配管3を介して圧縮空気
供給装置4に接続されている。また、ノズル閉塞装置1
は圧縮空気によって駆動される装置本体5を備えてお
り、この装置本体5は一対の流体輸送配管6a、6bを
介して制御装置2に接続されている。
【0025】操作床110から再循環水ノズル106ま
での高さ方向の距離は約20m強あるので、流体輸送配
管6a、6bは余裕を取って約30mの長さのものが使
用されている。また、流体輸送配管6a、6bは、その
内径が2mm乃至4mmであり、ポリエチレン、ポリウ
レタン、ナイロン、ポリプロピレン等の材料、つまり可
撓性(フレキシビリティ)を有する高分子材料によって
製造されている。このように流体輸送配管6a、6bの
材料として可撓性材料を使用する理由は、原子炉圧力容
器101の内部には炉心シュラウド103等の炉内構造
物が存在するために、原子炉圧力容器101の内部で再
循環水ノズル106の位置まで装置本体5を移動させる
ためには炉内構造物を回避する必要があるからである。
また、各種の高分子材料の中でも、ポリエチレンが好適
である。ポリエチレンは各種の高分子材料の中で放射線
劣化に対して最も抵抗力があるからである。また、ポリ
エチレンの水に対する比重は1.0よりも若干小さいの
で、炉水中における取り扱いにおいてほとんど重力を感
じないものとすることができる。
【0026】なお、本実施形態においては流体輸送配管
6a、6b全体を高分子材料で形成しているが、流体輸
送配管6a、6b全体のうち、制御装置2の内部に配置
される部分は必ずしも可撓性を要求されないので、この
部分は高分子材料以外の材料(金属材料等)によって形
成することもできる。
【0027】図2に示したように、装置本体5は、再循
環水ノズル106の開口部に押圧される押圧部9と、圧
縮空気の空気圧によって駆動されるシリンダ部10とで
構成されている。シリンダ部10は、押圧部9に固設さ
れたシリンダチューブ11と、このシリンダチューブ1
1の内部に配置されたピストン12と、このピストン1
2に固設されたピストンロッド13と、このピストンロ
ッド13と同軸にシリンダチューブ11の内部に設けら
れた圧縮スプリング14とによって構成されている。ま
た、押圧部9には圧縮空気の流路15が形成されてお
り、この圧縮空気の流路15の一端はピストンチューブ
11の内部の圧縮空気室16に連通している。圧縮空気
の流路15の他端は流出配管17の出口端18に連通し
ている。
【0028】図3に示したように、流出配管17の入口
端19はシャトル弁20の出口ポート21に接続されて
おり、シャトル弁20の一対の入口ポート22a、22
bには一対の流体輸送配管6a、6bの出口端7a、7
bがそれぞれ接続されている。シャトル弁20の内部空
間には剛球23が移動自在に配置されている。なお、シ
ャトル弁20は全体がステンレス鋼によって形成されて
いる。
【0029】また、制御装置2はスプリングリターン式
の電磁切替弁24を備えており、この電磁切替弁24は
一対の出口ポート25a、25bを有している。これら
の出口ポート25a、25bには一対の流体輸送配管6
a、6bの各入口端8a、8bがそれぞれ接続されてい
る。また、電磁切替弁24は入口ポート26を有してお
り、この入口ポート26は流入配管3を介して圧縮空気
供給装置4に連通している。流入配管3の途中には圧縮
空気供給装置4から供給された圧縮空気の圧力を調節す
るための減圧弁29が設けられている。また、一対の流
体輸送配管6a、6bのうちの一方の流体輸送配管6a
には分岐配管30を介して圧力スイッチ31が接続され
ており、この圧力スイッチ31からの信号は信号ライン
32を介して電磁切替弁24に伝送されるようになって
いる。
【0030】次に、本実施形態によるノズル閉塞装置1
の作用について説明する。ノズル閉塞装置1を用いて原
子炉の補修作業を行う際には、まず、燃料交換機の補助
ホイスト(図示せず)等を使用してノズル閉塞装置1の
装置本体5を原子炉圧力容器101の内部に移送する。
そして、補助ホイストによって装置本体5を原子炉圧力
容器101の内面102と炉心シュラウド103の外面
104との間の間隙内に移送し、再循環水ノズル106
に対して装置本体5を正確に位置決めする。なお、装置
本体5を再循環水ノズル106の位置まで移送すると、
シャトル弁20も装置本体5と共に原子炉圧力容器10
1の深部まで移送されるが、このシャトル弁20は、ス
テンレス鋼で形成されており、また、その構造・機構が
単純であり、しかも一般産業において多用されて高い信
頼性を備えているものであるから、原子炉圧力容器10
1の深部においても十分な信頼性を維持することができ
る。また、シャトル弁20は炉心105よりも十分に下
方の位置に配置されるので、炉心105からの放射線に
よる損傷を考慮する必要はない。
【0031】また、圧縮空気供給装置4からの圧縮空気
は流入配管3を経由して制御装置2に送られる。ここ
で、圧縮空気供給装置4からの圧縮空気の圧力は約7kg
/cm2であり、制御装置2に供給された圧縮空気は減圧
弁29によって約5kg/cm2 に減圧される。減圧された
圧縮空気は流入配管3を経由して電磁切換弁24に送ら
れ、入口ポート26を介して電磁切換弁24の内部に供
給される。
【0032】電磁切換弁24は、通常時においては通電
されて励磁状態にあり、励磁状態においては図2に示し
たように一対の出口ポート25a、25bのうちの一方
の出口ポート25aに圧縮空気が送られる。出口ポート
25aに送られた圧縮空気は一対の流体輸送配管6a、
6bのうちの一方の流体輸送配管6aに供給される。流
体輸送配管6aに供給された圧縮空気は、流体輸送配管
6a内を経由してシャトル弁20に達し、シャトル弁2
0の一方の入口ポート22aを介してシャトル弁20の
内部に流入する。すると、シャトル弁20内に流入した
圧縮空気の圧力によって、図3に示したように剛球23
は他方の入口ポート22bの方向に押されて入口ポート
22bが閉鎖される。したがって、シャトル弁20の内
部に流入した圧縮空気の圧力は流体輸送配管6bには作
用しない。
【0033】シャトル弁20の内部に流入した圧縮空気
は、出口ポート21を介して流出配管17の内部に流入
し、さらに、押圧部9に形成された流路15を経由して
圧縮空気室16に流入する。圧縮空気室16に流入した
圧縮空気の圧力はピストン12に作用し、ピストン12
は圧縮スプリング14を圧縮する方向(図中右側方向)
に移動する。ピストン12が移動するとこのピストン1
2に固着されているピストンロッド13も同じ方向に移
動し、ピストンロッド13の先端部13aが炉心シュラ
ウド103の外面104に押し付けられる。すると、炉
心シュラウド103の外面104からの反力によって押
圧部9が原子炉圧力容器101の内面102に押し付け
られ、押し付けられた押圧部9によって再循環水ノズル
106の開口部が閉鎖される。
【0034】このように再循環水ノズル106の開口部
を装置本体5の押圧部9によって閉鎖し、原子炉圧力容
器101内の炉水が再循環水配管107の内部に流出し
ないようにして原子炉の点検・補修作業を実施する。ま
た、再循環水配管107側の耐圧試験を行う場合にも、
押圧部9によって再循環水ノズル106の開口部が閉鎖
されているので、再循環水配管107側が原子炉圧力容
器101内の水圧よりも高い場合でも再循環水配管10
7側から原子炉圧力容器101の内部に耐圧試験用の水
が漏洩することがない。
【0035】また、電磁切換弁24の一対の出口ポート
25a、25bのうちの他方の出口ポート25bは電磁
切換弁24を介して大気に開放されており、また、使用
中の流体輸送配管6a内の圧縮空気はシャトル弁20に
よって遮断されて他方の流体輸送配管6bには流入しな
いので、流体輸送配管6bの内部には圧縮空気の圧力は
全く作用していない。このように流体輸送配管6bの内
部には圧縮空気の圧力は全く作用していないので、炉心
105付近において流体輸送配管6bに大量の放射線が
照射された場合でも、放射線による流体輸送配管6bの
損傷は配管の内部が加圧されている場合に比べて著しく
軽度のものとなる。
【0036】これに対して、流体輸送配管6aの内部は
圧縮空気によって加圧されているので、加圧されていな
い流体輸送配管6bに比べて放射線による損傷を受けや
すい。特に、流体輸送配管6a全体のうちの炉心105
に近接する部分は大量の放射線照射を受けるためにもっ
とも損傷を受けやすい。そして、放射線損傷によって流
体輸送配管6aの管壁に貫通孔等が生じると、流体輸送
配管6aの内部の圧縮空気が原子炉圧力容器101内の
炉水中に漏洩する。圧縮空気の漏洩量が増大すると流体
輸送配管6a内の圧力が低下し、この圧力低下は流体輸
送配管6aから分岐した分岐配管30を介して圧力スイ
ッチ31に伝えられる。そして、流体輸送配管6a内が
所定圧力まで低下すると圧力スイッチ31が作動する。
ここで、圧力スイッチ31が作動する所定圧力は、装置
本体5による再循環水ノズル106の開口部の閉鎖機能
を維持できなくなる寸前の圧力であり、本実施形態にお
いては4kg/cm2 に設定されている。
【0037】流体輸送配管6a内の圧力低下によって圧
力スイッチ31が作動すると、信号ライン32を介して
圧力スイッチ31から電磁切換弁24に対して信号が送
られる。この圧力スイッチ31からの信号によって電磁
切換弁24の通電が遮断され、電磁切換弁24のスプリ
ングリターン機能が働いて切換操作が行われる。この切
換操作によって、それまで出口ポート25aに送られて
いた圧縮空気が他方の出口ポート25bに送られると共
に、出口ポート25a側が大気に開放される。
【0038】出口ポート25bに送られた圧縮空気は流
体輸送配管6bの内部に供給され、さらに、シャトル弁
20の入口ポート22bを介してシャトル弁20の内部
に供給される。すると、圧縮空気の圧力によってシャト
ル弁20内にある剛球23が出口ポート22aの方向に
押されて瞬時に移動し、移動した剛球23によって出口
ポート22aが閉鎖される。
【0039】シャトル弁20の内部に供給された圧縮空
気は、出口ポート21を介して流出配管17の内部に供
給され、さらに、押圧部9の流路15を経由して圧縮空
気室16の内部に供給される。
【0040】このように、一方の流体輸送配管6aが放
射線によって損傷して圧縮空気の漏洩が生じた場合に
は、圧力スイッチ31が作動して自動的に電磁切換弁2
4の切換操作が行われ、損傷した流体輸送配管6aに代
わって健全な流体輸送配管6bから装置本体5に圧縮空
気が供給される。損傷した流体輸送配管6aから他方の
健全な流体輸送配管6bへの切換えは瞬時に行われるの
で、装置本体5の押圧部9による再循環水ノズル106
の開口部の閉鎖機能は喪失することなく継続的に維持さ
れる。
【0041】また、原子炉の点検・補修作業中に原子力
発電所の所内電源が喪失した場合には、電磁切換弁24
に対する通電が失われるので、この場合も上記と同様に
流体輸送配管6aから他方の流体輸送配管6bに圧縮空
気の供給が切り換えられる。
【0042】そして、原子炉の点検・補修作業を終了し
たら、電磁切換弁24の出口ポート25bを大気に開放
する。出口ポート25bが大気に開放されると流体輸送
配管6bの内部も大気に開放される。すると、シリンダ
部10のピストン12に作用していた圧縮空気の圧力が
除去されて、ピストン12は圧縮スプリング14のバネ
力によって押圧部9の方向(図中左側方向)に移動す
る。ピストン12が押圧部9の方向に移動すると、ピス
トン12に固着されたピストンロッド13もピストン1
2と共に押圧部9の方向に移動する。ピストンロッド1
3が押圧部9の方向に移動すると、ピストンロッド13
の先端部13aは炉心シュラウド103の外面104か
ら離れ、押圧部9を原子炉圧力容器101の内面102
に対して押し付ける力がなくなる。このようにして装置
本体5の固定状態を解除したら、燃料交換機の補助ホイ
ストを使用して原子炉圧力容器101の内部から装置本
体5を引き上げて回収する。
【0043】以上述べたように本実施形態によるノズル
閉塞装置1は一対の流体輸送配管6a、6bを備えてお
り、一方の流体輸送配管6aが放射線損傷を受けた場合
には自動的かつ迅速に健全な他方の流体輸送配管6bに
圧縮空気の供給を切り換えることができるので、原子炉
の点検・補修作業中にノズル閉塞装置1による再循環水
ノズル106の閉鎖機能が損なわれることながない。し
たがって、本実施形態によるノズル閉塞装置1によれ
ば、放射線の線量率が極めて高い原子炉圧力容器の内部
においても支障なく原子炉の点検・補修作業を行うこと
ができる。特に、本実施形態によるノズル閉塞装置1
は、図1に示したように、流体輸送配管6a、6bが炉
心105の近傍に位置するような状態、つまり流体輸送
配管6a、6bが放射線損傷を受けやすい状態において
原子炉の点検・補修作業を行う場合において極めて有効
である。このように本実施形態によるノズル閉塞装置1
はその信頼性及び安全性が極めて高いので、ノズル閉塞
装置1の機能喪失に備えて補助装置、例えば装置本体5
を原子炉圧力容器101の内部から回収するための別個
の装置等を用意する必要がない。
【0044】また、本実施形態によるノズル閉塞装置1
は、スプリングリターン式の電磁切換弁24を備えてお
り、この電磁切換弁24は通常時においては通電状態と
されているので、原子炉の点検・補修作業中に原子力発
電所内の電源喪失が発生した場合には電磁切換弁24が
切り換えられ、それまで使用されていた一方の流体輸送
配管6aから、より健全な他方の流体輸送配管6bに圧
縮空気の供給が切り換えられる。したがって、本実施形
態によるノズル閉塞装置1は、所内電源喪失に対して安
全側に働く機能を備えており、従来の装置に比して格段
に安全性が向上している。
【0045】なお、本実施形態においては再循環水ノズ
ル106の開口部を閉鎖するためのノズル閉塞装置1を
例にとって説明したが、本発明はこのようなノズル閉塞
装置1に限られることはなく、例えば、装置本体を炉心
105の位置よりも上方に配置して使用する原子炉の点
検補修装置にも適用することができる。炉心105より
も上方に装置本体を配置する場合には、流体輸送配管は
炉心105に近接することがないので放射線損傷の問題
は少ないが、このような場合であっても、本発明による
原子炉の点検補修装置は、自動切換が可能な一対の流体
輸送配管を備えているので装置の信頼性を大幅に向上さ
せることができる。
【0046】また、本実施形態においては作動流体とし
て圧縮空気を使用しているが、圧縮空気に代えて加圧水
等の作動流体を使用することもできる。
【0047】第2の実施形態 次に、本発明による原子炉の点検補修装置の第2実施形
態について図4を参照して説明する。なお、上述した第
1実施形態と同一部材には同一符号を付して詳細な説明
は省略する。
【0048】本実施形態によるノズル閉塞装置40は、
制御装置41内に一対の圧力計42a、42bを備えて
おり、これらの一対の圧力計42a、42bは、一対の
流体輸送配管6a、6bの途中から分岐した一対の分岐
配管43a、43bにそれぞれ取り付けられている。さ
らに、分岐配管43a、43bの接続位置と出口ポート
25a、25bとの間の流体輸送配管6a、6bの途中
には一対の仕切弁44a、44bがそれぞれ設けられて
いる。これらの仕切弁44a、44bは通常時は開放さ
れている。
【0049】次に、本実施形態によるノズル閉塞装置4
0の作用について説明する。なお、上述した第1実施形
態と共通する作用については説明を省略する。まず、一
対の流体輸送配管6a、6bにうちの一方の流体輸送配
管6aを使用して原子炉の点検・補修作業を開始する。
そして、作業開始後、所定時間を経過したら、使用中の
流体輸送配管6aの途中に設けられた仕切弁44aを閉
鎖する。そして、仕切弁44aを閉鎖した状態で流体輸
送配管6a内の圧力を圧力計42aによって計測する。
ここでもし放射線照射によって流体輸送配管6aに損傷
が生じて圧縮空気が漏洩している場合には、時間の経過
と共に圧力計42aの表示圧力が低下する。逆に、流体
輸送配管6aから圧縮空気の漏洩が生じていない場合に
は、圧力計42aの表示圧力は時間の経過に関わらず一
定値を示すので、圧力計42aの表示圧力が変化しない
ことを確認したら再び仕切弁44aを開放する。そし
て、この流体輸送配管6aの漏洩チェックを所定時間毎
に定期的に実施する。
【0050】また、漏洩チェックにおいて、仕切弁44
aを閉鎖した後に時間の経過と共に圧力計42aの表示
圧力が低下することを確認することによって、流体輸送
配管6aから圧縮空気の漏洩が生じていることが検出さ
れる。但し、この時点においては圧力スイッチ31は作
動していないので、流体輸送配管6aからの圧縮空気の
漏洩は前駆的な微少漏洩である。このように、流体輸送
配管6aから圧縮空気の漏洩が発生した場合に、漏洩初
期の微少漏洩の段階で漏洩を検知することができる。
【0051】流体輸送配管6aからの漏洩量が比較的大
きい場合には、漏洩チェックの際に仕切弁44aを閉鎖
したと同時に流体輸送配管6a内の圧力が急速に低下す
る場合も考えられる。この場合には、流体輸送配管6a
内の圧力が急速に低下して、流体輸送配管6a内の圧力
がノズル閉塞装置40による閉鎖機能を維持できない圧
力(4kg/cm2 以下)まで低下してしまうかもしれな
い。しかしながら、このようなケースにおいては流体輸
送配管6a内の圧力が所定圧力(4kg/cm2 )に達した
時点で圧力スイッチ31が作動し、これによって圧縮空
気の供給は他方の健全な流体輸送配管6bに切り換えら
れるので全く問題はない。
【0052】また、漏洩チェックにおいて微少漏洩が検
出された時点で電磁切換弁24の電源を強制的に遮断し
て電磁切換弁24を切り換えることもできる。つまり、
圧縮空気の供給を、損傷した流体輸送配管6aから他方
の健全な流体輸送配管6bに切り換えると共に、損傷し
た流体輸送配管6aの内部を大気に開放する。これによ
って、ノズル閉塞装置40による再循環ノズル106の
開口部の閉鎖機能は継続的に維持されると共に、損傷し
た流体輸送配管6aから原子炉圧力容器101内の炉水
中への圧縮空気の微少漏洩を止めることができる。
【0053】以上述べたように本実施形態によるノズル
閉塞装置40によれば、使用中の流体輸送配管6aから
圧縮空気の微少漏洩が生じた場合に、この微少漏洩を早
期に検出することができるので、圧縮空気の上昇に伴っ
て炉水中を上昇した放射性物質による操作床110等の
汚染を早期に発見して作業員の被曝量を最小限に抑える
ことができる。
【0054】また、微少漏洩を検出した段階で電磁切換
弁24を強制的に切り換え、損傷した流体輸送配管6a
から他方の健全な流体輸送配管6bに切り換えることに
よって、原子炉圧力容器101内における圧縮空気の微
少漏洩を早期に停止させることができる。したがって、
圧縮空気の上昇に伴って生じる炉水中の放射性物質の上
昇を早期に停止させることが可能であり、このため、上
昇した放射性物質による操作床110等の汚染の拡大を
防止し、作業員の被曝量を最小限に抑えることができ
る。
【0055】また、本実施形態の変形例として、一対の
圧力計42a、42bに代えて一対の微少流量計を配設
し、これらの微少流量計からの信号によって電磁切換弁
24を切り換えるようにすることもできる。このように
すれば、漏洩チェックにおいて、仕切弁44aを閉鎖し
た後に流体輸送配管6aの内部から圧縮空気が漏洩した
場合には、微少流量計がこの漏洩を検知して電磁切換弁
24に対して信号を発信し、この信号によって電磁切換
弁24が自動的に切り換えられる。したがって、この変
形例によれば、上記第2実施形態と同様に作業員の被曝
を最小限に抑えることができる。
【0056】なお、本実施形態においては再循環水ノズ
ル106の開口部を閉鎖するためのノズル閉塞装置40
を例にとって説明したが、本発明はこのようなノズル閉
塞装置40に限られることはなく、例えば、炉心105
の位置よりも上方において使用される原子炉の点検補修
装置にも適用することができる。
【0057】第3の実施形態 以下、本発明による原子炉の点検補修装置の第3実施形
態について図5を参照して説明する。なお、上記第1実
施形態と同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省
略する。
【0058】本実施形態によるノズル閉塞装置50は、
制御装置51内に、上記第1及び第2実施形態における
電磁切換弁24に代えて、スプリングクローズ式の空気
圧作動切換弁52が設けられている。この空気圧作動切
換弁52は、一対の出口ポート53a、53b及び入口
ポート54を有している。
【0059】また、制御装置51内には、上記第1及び
第2実施形態における圧力スイッチ31に代えて、外部
パイロット式の空気圧作動シーケンス弁55が設けられ
ている。この空気圧作動シーケンス弁55には、減圧弁
29よりも上流側の流入配管3から分岐した分岐配管5
6が接続されており、この分岐配管56を介して図1に
示した圧縮空気供給装置4からの圧縮空気が空気圧作動
シーケンス弁55に供給されている。さらに、空気圧作
動シーケンス弁55には、流体輸送配管6aの途中から
分岐した分岐配管57、及び空気圧作動切換弁52に接
続された配管58がそれぞれ接続されている。
【0060】次に、本実施形態によるノズル閉塞装置5
0の作用について説明する。なお、上述した第1実施形
態と共通する作用については説明を省略する。まず、一
対の流体輸送配管6a、6bにうちの一方の流体輸送配
管6aを使用して原子炉の点検・補修作業を開始する。
そして、放射線損傷によって使用中の流体輸送配管6a
から圧縮空気の漏洩が生じ、流体輸送配管6aの内部の
圧力が低下した場合には、この圧力低下は流体輸送配管
6aから分岐した分岐配管57を介して空気圧作動シー
ケンス弁55に伝達される。流体輸送配管6aの内部の
圧力が、ノズル閉塞装置50の閉塞機能を維持できなく
なる寸前の圧力(4kg/cm2 )まで低下すると、空気圧
作動シーケンス弁55が自動的に作動する。空気圧作動
シーケンス弁55が作動すると、配管58を介して空気
圧作動シーケンス弁55から空気圧作動切換弁52に空
気圧信号が送られる。この空気圧信号によって空気圧作
動切換弁52が自動的に切り換えられ、圧縮空気の供給
が、損傷した流体輸送配管6aから他方の健全な流体輸
送配管6bに自動的に切り換えられる。
【0061】以上述べたように本実施形態によるノズル
閉塞装置50は、電気を使用することなく圧縮空気の圧
力を利用して流体輸送配管6a、6bの切換制御を行う
ようにしたので、原子力発電所内の電源喪失が発生した
場合でもノズル閉塞装置50の機能には全く影響がな
く、極めて高い信頼性を達成することができる。
【0062】なお、本実施形態においては再循環水ノズ
ル106の開口部を閉鎖するためのノズル閉塞装置50
を例にとって説明したが、本発明はこのようなノズル閉
塞装置50に限られることはなく、例えば、炉心105
の位置よりも上方において使用される原子炉の点検補修
装置にも適用することができる。
【0063】第4の実施形態 以下、本発明による原子炉の点検補修装置の第4実施形
態について図6を参照して説明する。なお、上記第1実
施形態と同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省
略する。
【0064】本実施形態によるノズル閉塞装置60は、
制御装置61内に、電磁切換弁24に加えて2ポジショ
ンの手動切換弁62が追加して設けられている。この手
動切換弁62は一対の出口ポート63a、63b及び入
口ポート64を備えており、手動切換弁62は、通常時
においては閉鎖されている。手動切換弁62の入口ポー
ト64には、減圧弁29よりも下流側の流入配管3から
分岐した分岐配管65が接続されており、この分岐配管
65の途中には仕切弁66が設けられている。この仕切
弁66は、通常時においては閉鎖されている。また、手
動切換弁62の一対の出口ポート63a、63bには、
一対の流体輸送配管6a、6bのそれぞれから分岐した
一対の分岐配管67a、67bがそれぞれ接続されてい
る。一対の分岐配管67a、67bの途中には一対の仕
切弁68a、68bがそれぞれ設けられており、これら
一対の仕切弁68a、68bは通常時は閉鎖されてい
る。さらに、一対の分岐配管67a、67bの接続位置
よりも上流側の一対の流体輸送配管6a、6bの途中に
は、一対の仕切弁69a、69bがそれぞれ設けられて
いる。これら一対の仕切弁69a、69bは、通常時に
おいては開放されている。
【0065】次に、本実施形態によるノズル閉塞装置6
0の作用について説明する。なお、上述した第1実施形
態と共通する作用については説明を省略する。ノズル閉
塞装置60によって再循環水ノズル106の開口部を閉
鎖して原子炉の点検・補修作業を実施している際に、使
用中の流体輸送配管6aが放射線損傷を受け、この流体
輸送配管6aから圧縮空気の漏洩が発生したとする。そ
して、漏洩量が次第に増加して流体輸送配管6a内の圧
力が所定圧力(4kg/cm2 )まで低下した。ところが、
何らかの原因によって電磁切換弁24の切換操作が行わ
れず、このままではノズル閉塞装置60の閉鎖機能を維
持することができない。
【0066】このような事態が発生した場合、本実施形
態によるノズル閉塞装置60においては、一対の流体輸
送配管6a、6bの途中に設けられた常時開の一対の仕
切弁69a、69bを閉鎖し、一対の分岐配管67a、
67bの途中に設けられた常時閉の一対の仕切弁68
a、68b及び分岐配管65の途中に設けられた仕切弁
66を開放する。常時開の仕切弁69aを閉鎖すること
によって、損傷した流体輸送配管6aへの圧縮空気の供
給が停止され、流体輸送配管6aから炉水中への圧縮空
気の漏洩が停止する。また、分岐配管65の途中に設け
られた常時閉の仕切弁66を開放することによって、分
岐配管65を介して常時閉の手動切換弁62に圧縮空気
が供給される。
【0067】次に、常時閉の手動切換弁62を手動にて
開放し、出口ポート63b側に圧縮空気を供給する。ま
た、他方の出口ポート63aを大気に開放し、分岐配管
67aを介して損傷した流体輸送配管6aの内部を大気
に開放する。
【0068】出口ポート63b側に供給された圧縮空気
は、分岐配管67bを経由して他方の健全な流体輸送配
管6bに供給される。損傷した流体輸送配管6aの内部
は大気に開放されているので、他方の健全な流体輸送配
管6bに圧縮空気が供給されるとシャトル弁20が切り
換えられる。したがって、ノズル閉塞装置60の閉鎖機
能は喪失することなく継続的に維持される。
【0069】以上述べたように本実施形態によるノズル
閉塞装置60によれば、電磁切換弁24による切換操作
が何らかの理由によってできない場合には、手動切換弁
62によって流体輸送配管6aから流体輸送配管6bに
切り換えることができるので、再循環水ノズル106の
開口部の閉鎖機能を確実に維持することが可能であり、
極めて高い信頼性を達成することができる。
【0070】なお、本実施形態においては再循環水ノズ
ル106の開口部を閉鎖するためのノズル閉塞装置60
を例にとって説明したが、本発明はこのようなノズル閉
塞装置60に限られることはなく、例えば、炉心105
の位置よりも上方において使用される原子炉の点検補修
装置にも適用することができる。
【0071】第5の実施形態 以下、本発明による原子炉の点検補修装置の第5実施形
態について図7を参照して説明する。なお、上記第1実
施形態と同一部材には同一符号を付して詳細な説明は省
略する。
【0072】本実施形態によるノズル閉塞装置70は、
3本の流体輸送配管6a、6b、6cを備えており、こ
れら3本の流体輸送配管6a、6b、6cは各入口端8
a、8b、8c及び各出口端7a、7b、7cを有して
いる。3本の流体輸送配管6a、6b、6cは2個のシ
ャトル弁20A、20Bによって結合されている。すな
わち、各流体輸送配管6a、6bの各出口端7a、7b
はシャトル弁20Aの各入口ポート22a、22bにそ
れぞれ接続されており、流体輸送配管6cの出口端7c
はシャトル弁20Bの一方の入口ポート22cに接続さ
れている。さらに、シャトル弁20Aの出口ポート21
Aとシャトル弁20Bの他方の入口ポート22dとが、
連結配管72によって接続されている。また、シャトル
弁20Bの出口ポート21Bには流出配管17の入口端
19が接続されており、流出配管17の出口端18は、
押圧部9に形成された圧縮空気の流路15の入口部に接
続されている。また、シャトル弁20A及びシャトル弁
20Bは、装置本体5を再循環水ノズル106の位置に
移送したときに、図1に示した炉心105の位置よりも
十分に下方に位置するようにされている。
【0073】また、制御装置71の内部にはスプリング
リターン式の一対の電磁切換弁24A、24Bが設けら
れている。一方の電磁切換弁24Aは一対の出口ポート
25a、25d及び入口ポート26Aを有しており、入
口ポート26Aは流入配管3を介して図1に示した圧縮
空気供給装置4に接続されている。電磁切換弁24Aの
一方の出口ポート25aには流体輸送配管6aの入口端
8aが接続されている。また、流体輸送配管6aには分
岐配管30Aを介して圧力スイッチ31Aが接続されて
おり、この圧力スイッチ31Aからの信号は信号ライン
32Aを介して電磁切換弁24Aに伝送されるようにな
っている。
【0074】また、他方の電磁切換弁24Bは一対の出
口ポート25b、25c及び入口ポート26Bを有して
おり、入口ポート26Bは、連結配管73を介して電磁
切換弁24Aの出口ポート25dに接続されている。電
磁切換弁24Bの一方の出口ポート25bは流体輸送配
管6bの入口端8bに接続されている。また、流体輸送
配管6bには分岐配管30Bを介して圧力スイッチ31
Bが接続されており、この圧力スイッチ31Bからの信
号は信号ライン32Bを介して電磁切換弁24Bに伝送
されるようになっている。電磁切換弁24Bの他方の出
口ポート25cは流体輸送配管6cの入口端8cに接続
されている。
【0075】次に、本実施形態によるノズル閉塞装置7
0の作用について説明する。なお、上述した第1実施形
態と共通する作用については説明を省略する。まず、通
常状態においては、一対の電磁切換弁24A、24Bの
両方を通電状態として原子炉の点検・補修作業を実施す
る。この状態においては、流入配管3を介して電磁切換
弁24Aの入口ポート26に供給された圧縮空気は、電
磁切換弁24Aの一対の出口ポート25a、25dのう
ちの出口ポート25a側に供給される。電磁切換弁24
Aの出口ポート24a側に供給された圧縮空気は、3本
の流体輸送配管6a、6b、6cのうちの流体輸送配管
6aに供給される。
【0076】一方、他の2本の流体輸送配管6b、6c
のうちの流体輸送配管6bは、電磁気切換弁24B、配
管73及び電磁切換弁24Aを介して大気に開放されて
いる。また、流体輸送配管6cも、電磁切換弁24Bを
介して大気に開放されている。
【0077】このように流体輸送配管6b、6cが大気
に開放されている状態で流体輸送配管6aに圧縮空気を
供給すると、シャトル弁20Aの一方の入口ポート22
aが開放されて他方の入口ポート22bが閉鎖される。
そして、入口ポート22aを介してシャトル弁20A内
に供給された圧縮空気は、シャトル弁20Aの出口ポー
ト21A及び連結配管72を介して他方のシャトル弁2
0Bの入口ポート22dに供給される。すると、流体輸
送配管6c内は大気に開放されているので、シャトル弁
20Bの一方の入口ポート22dが開放されて他方の入
口ポート22cが閉鎖される。そして、入口ポート22
dを介してシャトル弁20B内に供給された圧縮空気
は、シャトル弁20Bの出口ポート21B及び流出配管
17を介して、装置本体5の押圧部9に形成された圧縮
空気の流路15内に供給される。流路15内に供給され
た圧縮空気は圧縮空気室16に流入し、流入した圧縮空
気の圧力によってピストン12及びピストンロッド13
が図中左側方向に押されて移動し、ピストンロッド13
の先端部13aが炉心シュラウド103の外面104に
押し付けられる。すると、炉心シュラウド103の外面
104からの反力によって押圧部9が原子炉圧力容器1
01の内面102に押し付けられ、押し付けられた押圧
部9によって再循環水ノズル106の開口部が閉鎖され
る。
【0078】このように再循環水ノズル106の開口部
を閉鎖して、原子炉圧力容器101内の炉水が再循環水
配管107の内部に流出しないようにして原子炉の点検
・補修作業を実施する。また、再循環水配管107側の
耐圧試験を行う場合にも、押圧部9によって再循環水ノ
ズル106の開口部が閉鎖されているので、再循環水配
管107側が原子炉圧力容器101内の水圧よりも高い
場合でも再循環水配管107側から原子炉圧力容器10
1の内部に耐圧試験用の水が漏洩することがない。
【0079】また、3本の流体輸送配管6a、6b、6
cのうちの流体輸送配管6b、6cの内部には圧縮空気
の圧力は全く作用していないので、炉心105付近にお
いて流体輸送配管6b、6cに大量の放射線が照射され
た場合でも、放射線による流体輸送配管6b、6cの損
傷は配管の内部が加圧されている場合に比べて著しく軽
度のものとなる。
【0080】これに対して、流体輸送配管6aの内部は
圧縮空気によって加圧されているので、加圧されていな
い流体輸送配管6b、6cに比べて放射線による損傷を
受けやすい。特に、流体輸送配管6a全体のうちの炉心
105に近接する部分は多大の放射線照射を受けるため
にもっとも損傷を受けやすい。そして、放射線損傷によ
って流体輸送配管6aの管壁に貫通孔等が生じると、流
体輸送配管6aの内部の圧縮空気が原子炉圧力容器10
1内の炉水中に漏洩する。圧縮空気の漏洩量が増大する
と流体輸送配管6a内の圧力が低下し、この圧力低下は
流体輸送配管6aから分岐した分岐配管30Aを介して
圧力スイッチ31Aに伝えられる。そして、流体輸送配
管6a内が所定圧力まで低下すると圧力スイッチ31A
が作動する。ここで、圧力スイッチ31Aが作動する所
定圧力は、装置本体5による再循環水ノズル106の開
口部の閉鎖機能を維持できなくなる寸前の圧力であり、
本実施形態においては4kg/cm2 に設定されている。
【0081】流体輸送配管6a内の圧力低下によって圧
力スイッチ31Aが作動すると、信号ライン32Aを介
して圧力スイッチ31Aから電磁切換弁24Aに対して
信号が送られる。この圧力スイッチ31Aからの信号に
よって電磁切換弁24Aの通電が遮断され、電磁切換弁
24Aのスプリングリターン機能が働いて切換操作が行
われる。この切換操作によって、それまで出口ポート2
5aに送られていた圧縮空気が他方の出口ポート25d
に送られると共に、出口ポート25a側は大気に開放さ
れる。
【0082】出口ポート25dに送られた圧縮空気は、
連結配管73を経由して電磁切換弁24Bの入口ポート
26Bに送られる。入口ポート26Bに送られた圧縮空
気は、出口ポート25b側に送られ、さらに、健全な流
体輸送配管6bに送られる。圧縮空気の供給先が、損傷
した流体輸送配管6aから健全な流体輸送配管6bに切
り換えられると、シャトル弁20Aが瞬時に切り換えら
れ、シャトル弁20Aの入口ポート22bが開放されて
他方の入口ポート22aが閉鎖される。開放された入口
ポート22bを介してシャトル弁20A内に供給された
圧縮空気は、出口ポート21Aを介して連結配管72に
供給され、さらに、シャトル弁20B及び流出配管17
を経由して装置本体5に送られる。これによって、ノズ
ル閉塞装置70の閉鎖機能は喪失することなく継続的に
維持される。
【0083】さらに、流体輸送配管6bが放射線損傷を
受けて圧縮空気の漏洩が生じ、流体輸送配管6b内の圧
力が低下すると、この圧力低下は流体輸送配管6bから
分岐した分岐配管30Bを介して圧力スイッチ31Bに
伝えられる。そして、流体輸送配管6b内が所定圧力ま
で低下すると圧力スイッチ31Bが作動する。ここで、
圧力スイッチ31Bが作動する所定圧力は、他方の圧力
スイッチ31Aと同様に4kg/cm2 に設定されている。
【0084】流体輸送配管6b内の圧力低下によって圧
力スイッチ31Bが作動すると、信号ライン32Bを介
して圧力スイッチ31Bから電磁切換弁24Bに対して
信号が送られる。この圧力スイッチ31Bからの信号に
よって電磁切換弁24Bの通電が遮断され、電磁切換弁
24Bのスプリングリターン機能が働いて切換操作が行
われる。この切換操作によって、それまで出口ポート2
5bに送られていた圧縮空気が他方の出口ポート25c
に送られると共に、出口ポート25b側は大気に開放さ
れる。
【0085】電磁切換弁24Bの出口ポート25cに送
られた圧縮空気は健全な流体輸送配管6cに送られる。
圧縮空気の供給先が、損傷した流体輸送配管6bから健
全な流体輸送配管6cに切り換えられると、シャトル弁
20Bが瞬時に切り換えられ、シャトル弁20Bの入口
ポート22cが開放されて他方の入口ポート22bが閉
鎖される。開放された入口ポート22cを介してシャト
ル弁20B内に供給された圧縮空気は、出口ポート21
B及び流出配管17を経由して装置本体5に送られる。
これによって、ノズル閉塞装置70の閉鎖機能は喪失す
ることなく継続的に維持される。
【0086】このように、流体輸送配管6aが放射線に
よって損傷して圧縮空気の漏洩が生じた場合には、圧力
スイッチ31Aが作動して自動的に電磁切換弁24Aの
切換操作が行われ、損傷した流体輸送配管6aに代わっ
て健全な流体輸送配管6bから装置本体5に圧縮空気が
供給される。さらに、流体輸送配管6bが放射線によっ
て損傷して圧縮空気の漏洩が生じた場合には、圧力スイ
ッチ31Bが作動して自動的に電磁切換弁24Bの切換
操作が行われ、損傷した流体輸送配管6bに代わって健
全な流体輸送配管6cから装置本体5に圧縮空気が供給
される。流体輸送配管6aから流体輸送配管6bへの切
換操作、及び流体輸送配管6bから流体輸送配管6cへ
の切換操作は瞬時に行われるので、装置本体5の押圧部
9による再循環水ノズル106の開口部の閉鎖機能は喪
失することなく継続的に維持される。
【0087】また、原子炉の点検・補修作業中に原子力
発電所の所内電源が喪失した場合には、電磁切換弁24
A、24Bに対する通電が失われるので、使用中の流体
輸送配管6a(又は流体輸送配管6b)から流体輸送配
管6cに圧縮空気の供給が切り換えられる。
【0088】以上述べたように本実施形態によるノズル
閉塞装置70によれば、3本の流体輸送配管6a、6
b、6cを備えており、流体輸送配管6aが放射線損傷
を受けた場合には自動的かつ迅速に健全な流体輸送配管
6bに圧縮空気の供給を切り換えることができ、さら
に、流体輸送配管6bが放射線損傷を受けた場合には自
動的かつ迅速に健全な流体輸送配管6cに圧縮空気の供
給を切り換えることができるので、原子炉の点検・補修
作業中にノズル閉塞装置70による再循環水ノズル10
6の閉鎖機能が損なわれることがない。したがって、本
実施形態によるノズル閉塞装置70によれば、放射線の
線量率が極めて高い原子炉圧力容器の内部においても支
障なく原子炉の点検・補修作業を行うことができる。特
に、本実施形態によるノズル閉塞装置70は、流体輸送
配管6a、6b、6cが図1に示した炉心105の近傍
に位置するような状態、つまり流体輸送配管6a、6
b、6cが放射線損傷を受けやすい状態において原子炉
の点検・補修作業を行う場合において極めて有効であ
る。このように本実施形態によるノズル閉塞装置1はそ
の信頼性及び安全性が極めて高いので、ノズル閉塞装置
1の機能喪失に備えて補助装置、例えば装置本体5を原
子炉圧力容器101の内部から回収するための別個の装
置等を用意する必要がない。
【0089】また、本実施形態によるノズル閉塞装置7
0は、スプリングリターン式の電磁切換弁24a、24
bを備えており、これらの電磁切換弁24A、24Bは
通常時においては通電状態とされているので、原子炉の
点検・補修作業中に原子力発電所内の電源喪失が発生し
た場合には電磁切換弁24A、24Bが切り換えられ、
それまで使用されていた流体輸送配管6a(又は流体輸
送配管6b)から、より健全な流体輸送配管6cに圧縮
空気の供給が切り換えられる。したがって、本実施形態
によるノズル閉塞装置70は、所内電源喪失に対して安
全側に働く機能を備えており、従来の装置に比して格段
に安全性が向上している。
【0090】なお、本実施形態においては再循環水ノズ
ル106の開口部を閉鎖するためのノズル閉塞装置70
を例にとって説明したが、本発明はこのようなノズル閉
塞装置70に限られることはなく、例えば、炉心105
の位置よりも上方において使用される原子炉の点検補修
装置にも適用することができる。炉心105よりも上方
で使用される原子炉の点検補修装置の場合には、流体輸
送配管は炉心105に近接することがないので放射線損
傷の問題は少ないが、このような場合であっても、本発
明による原子炉の点検補修装置は、自動切換が可能な3
本の流体輸送配管を備えているので装置の信頼性を大幅
に向上させることができる。
【0091】また、本実施形態においては3本の流体輸
送配管6a、6b、6cを備えたノズル閉塞装置70に
ついて説明したが、本実施形態の変形例として、4本以
上の流体輸送配管を設けることができる。この変形例に
おいては、流体輸送配管の本数よりも1つだけ少ない個
数のシャトル弁及び電磁切換弁によって複数の流体輸送
配管を結合する。
【0092】第6の実施形態 以下、本発明による原子炉の点検補修装置の第6実施形
態について図8を参照して説明する。なお、本実施形態
は、上述した実施形態における複数の流体輸送配管の部
分の構成を変更したものであり、その他の部分は上記実
施形態と構成を共通にするので、以下の説明においては
本実施形態に特有の部分について説明する。
【0093】図8に示したように、複数の流体輸送配管
6、6…6を一本の束80とし、この流体輸送配管6、
6…6の束80の最外周を被覆81によって覆い、この
被覆81によって流体輸送配管6、6…6の束80を緊
迫・緊張させている。
【0094】ここで、流体輸送配管6、6…6及び被覆
81は、ポリエチレン、ポリウレタン、ナイロン、ポリ
プロピレン等の材料、つまり可撓性(フレキシビリテ
ィ)を有する高分子材料によって製造されている。ま
た、各種の高分子材料の中でも、ポリエチレンが好適で
ある。ポリエチレンは各種の高分子材料の中で放射線劣
化に対して最も抵抗力があるからである。また、ポリエ
チレンの水に対する比重は1.0よりも若干小さいの
で、炉水中における取り扱いにおいてほとんど重力を感
じないものとすることができる。
【0095】このように本実施形態においては、流体輸
送配管6、6…6の束80の最外周を被覆81によって
覆い、この被覆81によって流体輸送配管6、6…6の
束80を緊迫・緊張させているので、流体輸送配管6内
に圧縮空気を供給することによって生じる流体輸送配管
6の内部応力を被覆81に負担させることができる。こ
のようにして流体輸送配管6の内部応力を低減すること
によって、放射線損傷の程度の進行を遅らせることが可
能であり、圧縮空気の漏洩に至るまでの時間を延長する
ことができる。
【0096】また、使用中の流体輸送配管6から圧縮空
気の漏洩が生じた場合、漏洩した圧縮空気は被覆81の
内側の複数の流体輸送配管6、6…6相互の隙間を通っ
て操作床110上に達する。したがって、漏洩した圧縮
空気が炉水と混じり合うことがないので、炉水中の放射
性物質が漏洩した圧縮空気に同伴されて操作床110等
を汚染することがない。
【0097】また、上述したように使用中の流体輸送配
管6の内部応力は被覆81によって負担されるが、この
被覆81は流体輸送配管6に比べて相当に大きな径を有
しているので、被覆81に作用する内部応力は極めて小
さくなる。したがって、被覆81は、流体輸送配管6か
らの内部応力を負担した場合でも、負担した内部応力に
よって被覆81の放射線による損傷が促進されることが
ない。
【0098】以上述べたように本実施形態によれば、流
体輸送配管6の内部応力を被覆81によって負担させる
ようにしたので、流体輸送配管6の放射線損傷が抑制さ
れ、原子炉の点検補修装置の信頼性を大幅に向上させる
ことができる。
【0099】また、放射線損傷によって流体輸送配管6
から圧縮空気が漏洩した場合でも、漏洩した圧縮空気は
炉水に接触することなく操作床110上に達するので、
作業員の放射線被曝を防止することができる。
【0100】また、複数の流体輸送配管6、6…6は一
本の束80にされているので、図1等に示した装置本体
5を補助ホイストによって移送する場合や、原子炉の点
検補修装置を持ち運ぶ場合等において、複数の流体輸送
配管6、6…6の取り扱いが極めて容易になる。
【0101】なお、図8には7本の流体輸送配管6、6
…6を束ねた状態を示したが、束ねられる流体輸送配管
6の本数は7本より多くても、或いは7本より少なくて
も良いことは言うまでもない。
【0102】以上、本発明による原子炉の点検補修装置
の第1乃至第6の実施形態について説明したが、本発明
は上記実施形態に限られることはなく、例えば、第1乃
至第6の実施形態を適宜組み合わせたものも本発明の範
囲に含まれることは言うまでもない。
【0103】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、複数
の流体輸送配管を配設し、切換手段によって複数の流体
輸送配管のうちのいずれかを選択して作動流体を供給す
るようにしたので、使用中の流体輸送配管が放射線によ
って損傷した場合には他の健全な流体輸送配管に切り換
えることが可能であり、放射線の線量率が極めて高い環
境下においても支障なく作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による原子炉の点検補修
装置の使用状態を示した概略図。
【図2】本発明の第1実施形態による原子炉の点検補修
装置の概略構造を示した図。
【図3】本発明の第1実施形態による原子炉の点検補修
装置のシャトル弁の部分の構造を示した断面図。
【図4】本発明の第2実施形態による原子炉の点検補修
装置の概略構造を示した図。
【図5】本発明の第3実施形態による原子炉の点検補修
装置の概略構造を示した図。
【図6】本発明の第4実施形態による原子炉の点検補修
装置の概略構造を示した図。
【図7】本発明の第5実施形態による原子炉の点検補修
装置の概略構造を示した図。
【図8】本発明の第6実施形態による原子炉の点検補修
装置の主要部を示した斜視図。
【図9】従来の原子炉の点検補修装置の使用状態を示し
た概略図。
【符号の説明】
1,40,50,60 ノズル閉塞装置 2,41,51,61,71 制御装置 3 流入配管 4 圧縮空気供給装置 5 ノズル閉塞装置の装置本体 6,6a,6b,6c 流体輸送配管 7a,7b,7c 流体輸送配管の出口端 8a,8b,8c 流体輸送配管の入口端 17 流出配管 18 流出配管の出口端 19 流出配管の入口端 20,20A,20B シャトル弁 21,21A,21B シャトル弁の出口ポート 22a,22b,22c,22d シャトル弁の入口ポ
ート 23 剛球 24,24A,24B 電磁切換弁 25a,25b 電磁切換弁の出口ポート 26 電磁切換弁の入口ポート 29 減圧弁 31,31A,31B 圧力スイッチ 32,32A,32B 信号ライン 42a,42b 圧力計 44a,44b,66,68a,68b,69a,69
b 仕切弁 52 空気圧作動切換弁 53a,53b 空気圧作動切換弁の出口ポート 54 空気圧作動切換弁の入口ポート 55 空気圧作動シーケンス弁 62 手動切換弁 63a,63b 手動切換弁の出口ポート 64 手動切換弁の入口ポート 65 分岐配管 80 複数の流体輸送配管の束 81 被覆

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】作動流体を供給する流体供給手段と、この
    流体供給手段から供給された作動流体を制御する制御手
    段と、この制御手段で制御された作動流体を輸送する流
    体輸送手段と、この流体輸送手段で輸送された作動流体
    によって駆動される装置本体とを備え、 前記流体輸送手段は、前記制御手段に接続された各入口
    端を有する複数の流体輸送配管と、前記複数の流体輸送
    配管の各出口端を結合して流路を統合する結合手段とを
    備え、 前記制御手段は、前記複数の流体輸送配管のうちのいず
    れかを選択して前記作動流体を供給する切換手段を有す
    ることを特徴とする原子炉の点検補修装置。
  2. 【請求項2】前記切換手段は、入口及び複数の出口を有
    する切換弁を備え、前記切換弁の入口と前記流体供給手
    段とを流入配管によって連結し、前記切換弁の各出口に
    前記複数の流体輸送配管の各入口端を接続し、 前記結合手段は、複数の入口及び出口を有するシャトル
    弁を備え、前記シャトル弁の各入口に前記複数の流体輸
    送配管の各出口端を接続し、前記シャトル弁の出口と前
    記装置本体とを流出配管によって連結したことを特徴と
    する請求項1記載の原子炉の点検補修装置。
  3. 【請求項3】前記切換手段は、さらに、前記流体輸送配
    管内の圧力変化に応じて作動する圧力スイッチを有し、 前記切換弁は、前記圧力スイッチからの信号に応じて切
    り換わる電磁切換弁であることを特徴とする請求項2記
    載の原子炉の点検補修装置。
  4. 【請求項4】前記切換手段は、さらに、前記流体輸送配
    管内の圧力変化に応じて作動する流体圧作動シーケンス
    弁を有し、 前記切換弁は、前記流体圧作動シーケンス弁からの流体
    圧信号に応じて切り換わる流体圧作動切換弁であること
    を特徴とする請求項2記載の原子炉の点検補修装置。
  5. 【請求項5】前記流体輸送配管の途中に仕切弁を設け、
    前記仕切弁よりも下流側の前記流体輸送配管の途中に圧
    力計を設けたことを特徴とする請求項2乃至請求項4の
    いずれか一項に記載の原子炉の点検補修装置。
  6. 【請求項6】前記切換手段は、さらに、入口及び複数の
    出口を有する手動切換式切換弁を有し、 前記流入配管の途中から分岐した分岐配管を前記手動式
    切換弁の入口に接続し、前記各流体輸送配管の途中から
    分岐した各分岐配管を前記手動式切換弁の各出口に接続
    したことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか
    一項に記載の原子炉の点検補修装置。
  7. 【請求項7】前記切換弁を複数配設し、前記切換弁と同
    数の前記シャトル弁を配設し、前記切換弁の数よりも1
    つ少ない数の前記流体輸送配管を配設したことを特徴と
    する請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の原子
    炉の点検補修装置。
  8. 【請求項8】前記複数の流体輸送配管は高分子材料で形
    成されており、前記複数の流体輸送配管を束ねて配管の
    束を形成し、前記配管の束の外周を高分子材料で被覆し
    たことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一
    項に記載の原子炉の点検補修装置。
JP8154207A 1996-06-14 1996-06-14 原子炉の点検補修装置 Pending JPH102986A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003156587A (ja) * 2001-11-22 2003-05-30 Toshiba Corp 原子炉の再循環出口ノズルシール装置
JP2005248474A (ja) * 2004-03-02 2005-09-15 Hokoku Kogyo Co Ltd アクチュエータ作動回路

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