JPH10298657A - マルテンサイト系ステンレス鋼の継目無鋼管の製造方法 - Google Patents
マルテンサイト系ステンレス鋼の継目無鋼管の製造方法Info
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Abstract
率の製造方法、とくに高能率の脱スケール製造方法の提
供。 【解決手段】重量%で、C:0.1〜0.5%、Si:
0.35〜1%、Mn:0.1〜1.2%、Cr:11
〜16%、Ni:0〜6.5%を含む鋼を穿孔圧延およ
び仕上げ圧延を含む製管法により継目無鋼管とし、その
継目無鋼管を焼入れた後、12%以上の水蒸気を含有す
る雰囲気中で加熱処理する焼戻し処理するマルテンサイ
ト系ステンレス鋼管の製造方法。
Description
マルテンサイト系ステンレス鋼の継目無鋼管の製造方法
に関する。
て製造される。
加熱した後、穿孔圧延(ピアシング)により中空素管を
製造し、その中空素管を延伸圧延する。延伸圧延には種
々の方法があるが、寸法精度および生産性に優れている
マンドレルミル圧延法が広く利用されている。
延用潤滑剤を塗布したマンドレルバーを中空素管内に挿
入した状態で延伸圧延する。マンドレルミルでの管の温
度はマンドレルミル入口で1050℃〜1200℃、ま
た、出口側では800℃〜1000℃とするのが一般的
である。マンドレルミルにより圧延された継目無鋼管
は、仕上げ圧延用素管と呼ばれている。
炉によって850℃〜1100℃に再加熱された後スト
レッチレデューサー等の仕上げ圧延機により所定サイズ
に圧延される。その後、マルテンサイト系ステンレス鋼
の継目無鋼管(以下、「マルテンサイト系ステンレス鋼
管」と記す)の場合は900℃以上から焼入れ、ついで
600〜750℃で焼戻し処理が施される。
管の製造においては、各工程で1300℃〜700℃の
加熱を受けるため、管の内外表面には不可避的に酸化物
スケール(以下、「スケール」と記す)が生成する。通
常、スケールは仕上げ圧延後にショットブラストおよび
酸洗、またはショットブラストのみにより除去され、ス
ケールのない状態で継目無鋼管は出荷される。
量の低減等が請求されるようになり、マルテンサイト系
ステンレス鋼管の脱スケール時間(ショットブラスト時
間、酸洗処理時間)の短縮、さらに脱スケールを省略し
たスケール付き出荷、すなわち表面黒皮出荷が検討され
ている。
サイト系ステンレス鋼管は、熱間製管時の耐酸化性に劣
り、脱スケール工程に至るまでに150μm以上のスケ
ールが生成される。さらに、このスケール生成にともな
って母材ではスケールと地金との界面から深さ約5μm
のCr欠乏層(Cr含有率が8%程度まで減少)が形成
し耐食性に著しい悪影響を与える。したがって、酸洗液
の消耗を最少とするために、ショットブラストにおいて
は、厚く生成したスケールと5μmのCr欠乏層との両
方の除去を必要とする。このため、製造所要時間に占め
るショットブラスト時間の割合が高く、問題とされてい
た。
御法として板材の焼入れ処理前に表面のスケールを除去
する方法が開示されている(特開昭57−19329号
公報)。しかし、この方法は脱スケールを長時間の酸洗
処理、または研削のみによって行っているため、連続的
に配置された各工程を短時間のうちに通過して製造され
る方法への適用は事実上不可能である。この開示の他に
製造工程中のスケール制御方法に関する提案はほとんど
されていない。
テンサイト系ステンレス鋼管の高能率の製造方法、とく
に高能率でスケールおよび脱Cr層を除去できる製造方
法を提供することにある。
を達成すべくマルテンサイト系ステンレス鋼の化学組成
および熱処理炉の雰囲気の影響について鋭意研究した結
果、マルテンサイト系ステンレス鋼管の酸化挙動として
次の事項を確認することができた。
は、800℃〜1000℃では Cr2O3 の緻密なスケ
ールを生じるが、これを超える温度域では異常酸化を起
こし、外層スケール(Fe2O3,Fe3O4,FeO)と
内層スケール(FeCr2O4)からなる厚いスケールを
生成する。これは、製管工程中の加熱のたびに異常酸
化、すなわち外層スケールと内層スケールからなる厚い
スケールが生じることを意味する。
終了し、焼戻し用熱処理炉(以下、「テンパー炉」と記
す)を出た時点で、スケールと地金界面の地金がわに厚
さ5μm程度発生する。このCr欠乏層でのCr含有率
は約8%にまで減少している。
0.35%以上含有させると、テンパー炉を出る時点の
スケール厚さを40〜100ミクロン程度に抑制するこ
とができ、さらにCr欠乏層の厚さを従来の5μmから
1.5μmへ、そのCr含有率も従来の8%から11%
程度にとどめることができる。これは、従来のCr欠乏
層が部分的にスケール化し、その厚さが見かけ上減少す
るためである。
2%以上とすると、スケールはいちじるしく脆化し、短
時間のショットブラストによりスケールとともに脱Cr
層も除去することが可能となる。
る各種のマルテンサイト系ステンレス鋼管の製造実験を
重ねて完成されたものであり、その要旨は、下記のマル
テンサイト系ステンレス鋼管の製造方法にある。
i:0.35〜1%、Mn:0.1〜1.2%、Cr:
11〜16%およびNi:0〜6.5%を含む鋼を穿孔
圧延および仕上げ圧延を含む製管法により継目無鋼管と
し、その継目無鋼管を焼入れた後、12〜30体積%の
水蒸気を含有する雰囲気中で加熱処理する焼戻し処理を
行うマルテンサイト系ステンレス鋼の継目無鋼管の製造
方法。』 上記の本発明方法においてマルテンサイト系ステンレス
鋼は、上記の合金元素の他に、周知の効果を示す合金元
素を含んでもよい。たとえば、脱酸や組織を微細化する
0.005〜0.1%のAl、組織の微細化のための
0.005〜0.1%のNb、0.005〜0.05%
のTi等を含むことができる。
経る製管法」とは、主にマンネスマンマンドレルミル方
式の圧延方法をさすが、製造される継目無鋼管の寸法精
度が大幅な機械切削を必要としないかぎり他の製管法で
あってもよい。
明方法の骨子をなす上記のおよびの効果がスケール
とCr欠乏層に対して得られ、かつ、通常の目的である
焼戻しによる機械的性質の改善、脱水素効果等も得られ
ることはいうまでもない。上記の本発明方法は、この
後、ショットブラストにより脱スケール処理されること
を前提とする。酸洗処理は、用途に応じて必要とされ
る。
気」とは、焼戻し温度における1気圧での体積%をい
う。
した理由について説明する。合金元素の含有率の「%」
は、「重量%」を表示するものとする。
る。しかし、0.5%を超えると焼入れ処理で焼割れが
生じることがあるのでCの上限は0.5%とする。
および脱Cr層の厚さをできるだけ低減する目的で、S
iは0.35%以上とする。Siが0.35%未満の場
合は、スケールおよび脱Cr層ともに厚く生成し、従来
と同じショットブラストの時間では良好な表面性状が得
られない。また、Siが1%を超えると母材の組織安定
性が劣化し機械的性質に悪影響を及ぼす。したがって、
Siは0.35〜1%とする。
に有効であるが、1.2%を超えると表面酸化された場
合スピネル型酸化物の形成を促進する。このスピネル型
酸化物はスケールの粘着力を増加し脱スケール性を劣化
させるので、Mnは1.2%以下とする。一方、Mnが
0.1%未満ではSの固定が不十分となり継目無鋼管の
製造中に割れを生じるので、下限は0.1%とする。
ス鋼管の提供が目的であるのでCrは11〜16%とす
る。すなわち、Crが16%を超えると加熱してもオー
ステナイト相(以下、「γ相」とする)に変態せず、熱
処理による母材の機械的性質の制御が不可能となる。一
方、Crが11%未満では耐食性が劣化するので、11
〜16%とする。
食性および機械的性質の向上に有効なので、これらの性
能を向上させる場合には含ませる。Niが6.5%を超
えると、表面酸化された場合スケール中に酸化されずに
金属として残存し、脱スケール性を劣化させるので、
6.5%以下とする。
目無鋼管の寸法精度が良好で、大きな機械切削を必要と
しなければどのような製管法であってもよい。そのよう
な良好な寸法精度を確保するためには、製管法には仕上
げ圧延を含むものでなくてはならない。通常は、寸法精
度と生産性を備えた製管法であるマンネスマン−マンド
レルミル方式により継目無鋼管を製造する。すなわち、
前記したように、連続鋳造法等によって造塊した素材ビ
レットは1100℃〜1300℃に加熱し穿孔圧延さ
れ、マンドレルミル圧延により1200℃〜800℃で
仕上げ圧延用素管とされる。その後仕上げ圧延用素管
は、850℃〜1100℃に加熱されストレッチレデュ
ーサにより所定形状の継目無鋼管とされる。
ト系ステンレス鋼に用いられる温度とすることができ
る。たとえば、JIS G 4303の表25に記載されている温
度を採用することができる。
たはブタンであり、テンパー炉の雰囲気には水蒸気(
H2O)、酸素(O2)、炭酸ガス(CO2)、一酸化炭
素(CO)等が含まれる。テンパー炉の雰囲気中で水蒸
気が12%未満の場合、たとえ母材のSi等が上記の範
囲内にあっても、上記母材とスケールとの界面に形成し
た脱Cr層が、短時間のショットブラストによりスケー
ルの一部としてスケールオフされるようなスケールの構
造にならない。テンパー炉の雰囲気中の水蒸気を12%
以上とすると、スケールの構造が脆弱なFeOを多く含
むように変化し、かつ脱Cr層は浅くなるため短時間の
ショットブラスト処理により脱Cr層が除去される。
0%程度であるので、燃焼ガスとは別に水蒸気を添加を
する必要がある。この水蒸気を添加する方法については
特に限定はしない。ただし、水蒸気濃度が30%を超え
ると炉の内壁の損傷が大きくなるので30%を超える雰
囲気は好ましくない。
問題ないが、O2とCO2はスケール構造を変化させCr
欠乏層を増大させる可能性があるため空燃比の調整によ
ってO2とCO2の濃度はともにできるだけ低くすること
が望ましい。
間である60〜110分とすることが望ましい。
を前提としている。このとき、スケールだけでなく脱C
r層も一緒に除去する。ショットブラストによるスケー
ルおよび脱Cr層の除去等の表面性状の判定には、表面
粗度を用いることができる。表面粗度Sa1程度ではス
ケールおよび脱Cr層の両方とも除去が不十分であり、
表面粗度Sa3程度が得られれば、従来材も含めて一般
にスケールと脱Cr層の両方が除去されていると判断で
きる。
スケール処理の方法であるが、管内面のスケールおよび
脱Cr層の除去にもショットブラストが用いられるの
で、管内面の脱スケールに関しても本発明を直接適用す
ることができる。
明する。
(TP1〜TP16)の化学組成を示す。
(外形192mm)を回転炉床加熱炉において1100
℃〜1200℃に加熱し、マンネスマンピアサ−によっ
て外形192mm、肉厚16mm、長さ6650mmの
中空素管を製造した。その後マンドレルミルによって外
形151mm、肉厚6.5mm、長さ20mの仕上用素
管を製造し、再加熱炉で1100℃、20分加熱後スト
レッチレデユサ−によって外径63.5mm、肉厚5.
5mm、長さ56mの継目無鋼管とした。その後、98
0℃に65分加熱後、高圧水により焼入れ処理を行い、
その後730℃で100分間の焼戻し処理を実施し最終
製品とした。このテンパー炉での熱処理では雰囲気中の
水蒸気を10、15、20%にコントロールし脱スケー
ル性に及ぼす水蒸気濃度の影響を調査した。燃料である
重油配管とは別の配管から水蒸気を添加して、雰囲気中
にCO2が10%、O2が5%、またCOが微量含まれる
雰囲気とした。
(現状)の4段階のショットブラストを施した後、表面
性状を評価した。表面性状は、前記したように、表面粗
度Sa3をスケールおよび脱Cr層が除去された状態と
判断した。
囲気の影響とに分けて説明する。
囲外の鋼符号TP9〜TP16に対する試験であった。
5%と低いため十分な強度が得られなかった。また、母
材の組織にオーステナイトが残留した。
めに製造工程で焼割れが生じ、製管が著しく困難であっ
た。
ケールおよび脱Crともに厚く生成し、ショット時間は
従来と同等で改善がみられなかった。
り母材の組織にδフェライトが混じり、組織の安定性が
低下し機械的特性も劣化した。
iが酸化されずに金属として残存し脱スケール性が著し
く劣る結果となった。
ル(Fe,Mn)3O4の割合が高く、スケール硬度が増
加したために脱スケール性が悪かった。
ト系ステンレス鋼管ほどの耐食性が得られず、またスケ
ールおよび脱Cr層ともに厚く生成し、脱スケール性に
改善がみられなかった。
にフェライトおよび炭化物相(Cr,Fe)23C6が混在
し、熱処理による母材の機械的特性の制御が不可能とな
った。
成に関するかぎり本発明の範囲内の鋼TP1〜TP8を
用いた試験である。このため、これらの試番の結果は、
母材組織に関するかぎり目標通りのマルテンサイト単相
組織であった。
の範囲内の鋼TP1〜TP8を用いたが、テンパー炉雰
囲気中の水蒸気濃度が10%と本発明の範囲外であった
ために、脱スケール性に優れるFeOの比率が低くショ
ット時間の短縮が認められなかった。しかし、水蒸気濃
度がたとえ15%と本発明の範囲内であっても、試番2
5〜32に示すように本発明の範囲外の鋼TP11、T
P13、TP14、TP15を用いた場合には、表面性
状を良好にするために必要なショットブラスト時間は1
5分間またはそれ以上であり、不満足な結果となった。
発明の範囲内の試番1〜16は、すべて8分間のショッ
トブラストで表面粗度Sa3に達しており、従来法の半
分で十分であった。
マルテンサイト系ステンレス鋼管をショットブラスト時
間を短縮して製造することができ、マルテンサイト系ス
テンレス鋼管の製造費用の低減が可能になった。
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、C:0.1〜0.5%、Si:
0.35〜1%、Mn:0.1〜1.2%、Cr:11
〜16%およびNi:0〜6.5%を含む鋼を穿孔圧延
および仕上げ圧延を含む製管法により継目無鋼管とし、
その継目無鋼管を焼入れた後、12〜30体積%の水蒸
気を含有する雰囲気中で加熱処理する焼戻し処理を行う
ことを特徴とするマルテンサイト系ステンレス鋼の継目
無鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10456697A JP4172047B2 (ja) | 1997-04-22 | 1997-04-22 | マルテンサイト系ステンレス鋼の継目無鋼管の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005035815A1 (ja) * | 2003-10-10 | 2005-04-21 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | マルテンサイト系ステンレス鋼管およびその製造方法 |
CN102962290A (zh) * | 2012-11-21 | 2013-03-13 | 嘉兴市新纪元钢管制造有限公司 | 提高冷拔无缝钢管表面精度的高效生产工艺 |
-
1997
- 1997-04-22 JP JP10456697A patent/JP4172047B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7485197B2 (en) | 2003-10-10 | 2009-02-03 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Method for manufacturing martensitic stainless steel tube |
CN102962290A (zh) * | 2012-11-21 | 2013-03-13 | 嘉兴市新纪元钢管制造有限公司 | 提高冷拔无缝钢管表面精度的高效生产工艺 |
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