JPH10288686A - 核燃料要素およびその製造方法 - Google Patents

核燃料要素およびその製造方法

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JPH10288686A
JPH10288686A JP9097596A JP9759697A JPH10288686A JP H10288686 A JPH10288686 A JP H10288686A JP 9097596 A JP9097596 A JP 9097596A JP 9759697 A JP9759697 A JP 9759697A JP H10288686 A JPH10288686 A JP H10288686A
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JP
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nuclear fuel
uranium
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JP9097596A
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Masatoshi Kawashima
正俊 川島
Yoriaki Yutani
順明 湯谷
Shoichi Watanabe
庄一 渡辺
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】燃料製造工程を複雑化せず、種々の燃料仕様に
柔軟に対応できる核燃料要素およびその製造方法にあ
る。 【解決手段】核燃料要素10は金属被覆管11内に領域
分割用内管12を収容して径方向2領域化し、中央領域
14と周辺領域15とに区画する。金属被覆管11内の
中央領域14および周辺領域15に粒状燃料物質(燃料
親物質を含む)および粒状非燃料物質(希釈物質、中性
子吸収物質または中性子減速物質)等の粒状物質を振動
充填により充填され、密封させる。金属被覆管11内に
粒状物質を振動充填させることで核燃料要素の多様化が
図れ、種々の燃料仕様に柔軟に対応させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原子炉に使用される
核燃料要素およびその製造方法に係り、特に粒状の燃料
物質を充填した核燃料要素およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉,加圧水型原子炉および
各種冷却材を使用する高速炉等の原子炉にはウラン酸化
物(UO2 )やウラン・プルトニウム混合酸化物燃料
((Pu・U)O2 ,MOX)を焼結ペレット化して被
覆管内に封入して使用される。現在の核燃料製造の主流
は焼結を必要とするペレット燃料製造技術である。この
ペレット燃料に対して粒状燃料を被覆管内に封入する燃
料形態がある。粒状燃料の被覆管内への充填には、振動
充填法が採用されている。
【0003】これらの2つの核燃料要素の製造工程の概
略比較を図25に示している。ペレット燃料要素、製造
工程の場合には燃料密度調整などの複雑な混合工程があ
り、燃料製造コスト上昇要因となり得る。この混合工程
は、核燃料と混合する材質によっても異なり、それぞれ
の核燃料毎に個別に開発される必要がある。一方、核物
質を原料とする振動充填法による核燃料要素の製造の場
合は製造工程数が削減できることが示されている。
【0004】プルトニウムを含むMOX燃料の加工で
は、燃料サイクルコスト全体に占める加工費の比率がウ
ラン(UO2 )燃料に比べて増加することと、加工コス
ト自身が高いと言われている。MOX燃料の加工は、遠
隔操作,燃料のPu富化度が異なるたびにラインのクリ
ーンアップなどが必要なためである。しかし、振動充填
法を使用する粒状燃料要素の製造においては、製造工程
数の削減が図れることから加工コスト低減への期待が大
きい。
【0005】核燃料の仕様は、原子炉の役割・出力規模
により、タイプ別に最適化されて決定される。ペレット
燃料では、焼結技術は使用する材質・焼結密度により大
きく影響され、燃料の種類を変更していくことは容易で
ない。
【0006】ペレット燃料に比べ、粒状燃料は、各種核
燃料物質を核燃料要素内で混在させることができること
が特徴である。この特徴により、焼結を必要とするペレ
ット燃料に較べ、粒状燃料は次の特徴がある。
【0007】・燃料物質の濃度調整範囲が広くとれる。 ・酸素ゲッター機能を有する材質との混在が可能であ
る。 ・バーナブルポイズン材料との混在範囲が広くとれる。
【0008】これらの例として、振動充填法を採用した
粒状燃料の核燃料要素の例としては、酸素ゲッターとし
て金属ウランを使用することが知られている。例えばJo
ur-nal of Nuclear Materials 204 (1993) 93-101, R.H
erbig et.al., 「Vibrocom-pacted fuel for the liqui
d metal reactor BOR-60」にO/Mの調整のために微粒
子金属ゲッターを使用することが高燃焼度達成に有効な
ことが述べられている。また、粒状燃料において、バー
ナブルポイズン材料との混在範囲を広くとる例は、特公
平1−19556号公報の「プルトニウム利用核燃料
棒」に示されている。
【0009】このように、振動充填燃料製造技術は、基
本的には同一の技術で広い範囲の核燃料を製造できる利
点がある。
【0010】振動充填燃料の製造では、充填密度を高め
ることが一つの要点である。粒子サイズとサイズ成分の
組合せにより充填密度が変動する。また、粒子サイズと
充填領域の直径の関係から、スムーズな充填のために、
充填領域の直径は、粒子サイズの約6〜7倍程度以上の
大きさを必要とする。
【0011】これまでの振動充填に関する知見は、つぎ
のようにまとめられる。 a)充填密度を上げるためには、3種類以上の粒径サイ
ズの異なる試料(粒状燃料)の混合が必要である。従来
の公知例としても、粒子サイズと混在割合(混合割合)
に関する報告は多い。 b)被覆管の縦方向共振周波数を利用することにより、
試料(粒状燃料)の平均充填密度の向上が図れる。 c)試料上部へ荷重を加えることにより、平均充填密度
の向上並びに充填密度の軸方向均一性の向上が図れる。
これは試料を被覆管に詰めた後の密度均一性確保のため
の手順である。 d)被覆管仕様(長さ、管径など)に応じた粒径サイズ
と加振条件が必要である。
【0012】球状粒子の粒径が1種類のときの充填密度
は63%程度まで達し、2種類(2成分)の場合は理論
的には86%、3種類(3成分)の場合は理論的には9
0%に達する。これらの充填密度の理論値は粒子の形状
が真球の場合である。実際には、平均としてはサイズの
分級をしても、不規則形状の粒子の場合もある。
【0013】また、粒径成分が複数の場合、それらの物
質の特徴(化学形態・密度などの物理特性)の異なるも
のから構成される系の振動充填特性として、上記の充填
密度特性が確認されている。粒径の違いによる充填密度
特性は、これまでの公知例においても各種の密度の違い
のある物質の組合せが示されている。
【0014】充填密度を高くするために3種類以上の粒
子サイズの異なる粒状物質を使用することは既に知られ
ている。ウラン酸化物(UO2 )とプルトニウム酸化物
(PuO2 )の混合を考える。平均プルトニウム富化度
を目標値とするために、ウラン酸化物とプルトニウム酸
化物のそれぞれの顆粒サイズ分布を同一にする必要はな
く、粒子サイズの分布はそれぞれ独立に選定できる。粒
子サイズ分布の選定条件は、燃料要素に要求される核
的、熱的、燃料の照射条件などを考慮して選定される。
【0015】核燃料要素の粒子のマクロ密度とPu富化
度をほぼ一定とする公知例として、特公平1−1955
6号公報記載の技術がある。この公知技術を含め多くの
振動充填燃料の構成は平均粒子分布例を示し、これら複
数の粒子サイズを予め均一に混合した上で、金属被覆管
1の中にマクロ空間密度分布がほぼ一様となるように粒
状燃料2を充填して密封するというものであり、このよ
うに充填した核燃料要素3の概略図を図26に示す。
【0016】充填粒子がほぼ一様なマクロ密度分布とな
るように粒状燃料2を振動充填する方法としては、“予
め均一に粒状燃料を混合した上で”充填する方法があ
る。この均一化混合充填方法と異なる方法として、複数
の限定された粒子サイズの範囲で、混合割合(Fractio
n)が異なるものを別々に集め、金属被覆管1内に充填
する際に、混合しつつ充填する方法がある。
【0017】ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(M
OX燃料)をつくる例がJournal ofNuclear Materials
178(1991)163-170, H.Steinkopff et al.,「Automaticr
efabrication and quality control of fuel elements
fro the BOR-60 reac-tor in the USSR」の中で図示さ
れている。このMOX燃料製造技術は計算機制御と組み
合わされて"Programmable dosing facility"と呼ばれて
いる。
【0018】このような核燃料要素内でほぼ一様なマク
ロ密度・燃料物質密度をもつ燃料の改良として、濃縮ウ
ランを使用する従来の軽水炉燃料の例を示す。
【0019】軽水炉燃料の燃料高燃焼度化にあたって
は、核燃料からのFP(Fission Pro-ducts)ガス放出
率の上昇を少なくするため、核燃料要素内の発熱の径方
向分布を調整している。
【0020】核燃料要素内を径方向2領域化し、各領域
の充填マクロ密度をほぼ同一のもとで、発熱物質である
U235の濃縮度を調整する方法がある。この濃縮度調
整方法は特公平3−67238号(特開昭59−958
6号)公報記載の「燃料要素」に開示されている。燃料
棒の中央部分に低い濃縮度の粒状燃料を充填し、その外
側(外周側)に高濃縮度の粒状燃料を充填して、径方向
で濃縮度分布を与えることにより、燃料温度を下げて、
被覆管の腐食を防ぎ長寿命化を図っている。この例で
は、中央領域と周辺領域の分割に構造材を使用していな
い。
【0021】次に、特公平3−67238号公報開示の
「燃料要素」について図27および図28を参照して説
明する。図27および図28は核燃料要素として軽水炉
燃料を対象としていることは明らかである。この核燃料
要素3Aは粒状燃料2がコア粒子2aの領域と外側粒子
2bの領域から構成される。核燃料要素3Aは、 a)少なくとも2つの異なる濃縮度の粒状燃料2からな
り、低濃縮度粒が中央領域、高い濃度粒が外側領域に配
置される。
【0022】b)同時に、スメア密度は85%ないし9
0%である。
【0023】c)粒子サイズ、中央領域と外側領域の体
積比率が指定されている。
【0024】また、核燃料要素3Aの濃縮度範囲(中央
領域のU235濃縮度は0.2%ないし2.0%の範
囲、外側領域のU235濃縮度は2.0%、ないし2
0.0%の範囲)と、中央領域と外側領域では独立に、
酸化ウラン、酸化プルトニウムおよび酸化トリウムのよ
うな核分裂性燃料混合物または減損核分裂性燃料などを
少なくともひとつ含むものである。
【0025】一方、核燃料要素の中央領域に濃縮度の高
い燃料を配置する例(米国特許第3778348号およ
び第4131511号の各明細書)があることが前述の
引用文献に示されている。
【0026】しかし、上記引用文献には同一のウラン濃
縮度を使用することによる粒状燃料の振動充填による核
燃料要素内の径方向出力分布・温度分布の調整について
は含まれていない。また、粒状燃料の混合物について
は、燃料物質・親物質以外のものを含むことの開示も示
唆もない。
【0027】核燃料要素の中央部と周辺部を構造材(内
側被覆管4)を使用して分割する例は、図29に示され
ている。図29は高速スペクトルでウラン不使用型Pu
燃焼炉心において、窒化プルトニウムPuN用燃料要素
概念である。この核燃料要素3Bは、文献(J.Rouault
et. al. 「The Design of U-free Large Fast Reac-tor
Cores - The CAPRA Programme Trends 」 Proc. of In
t'l Conf. on thePhysics of Reactors PHYSOR96, Sep
t., 16-20, 1996, Wito, Japan )に示されている。
【0028】核燃料要素3Bは中央部に空隙部分5を設
け、周辺部にPuN粒子6を配置することにより、核燃
料の炉心平均密度を大幅に低減している。
【0029】特に、ウラン不使用型高速炉炉心の場合で
は、ウランを使用しないことにより臨界性がよい(少な
いプルトニウム量で所定の反応度を持つことになる。)
ので燃料密度を低減することは重要である。炉心高さな
どの基本仕様にも依存するが、周辺領域の燃料領域の幅
は、図29に例示されているように粒子領域は薄いアニ
ュラー形状となる。この例では、燃料組成PuNと周辺
領域の幅を数百ミクロンとすることを組合せていること
が特徴である。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】炉心性能の改善に関し
て燃料の長寿命化・高燃焼度化、安全余裕の増大などの
ために核燃料要素内の燃料密度分布などを調整すること
は利点が多い。炉心設計では最適な冷却材と燃料の割
合、燃料と減速材の割合を選択することにより、燃料密
度分布の調整を行うことになる。ペレット燃料では燃料
製造の複雑さが増大するという欠点がある。
【0031】一方、従来の技術で示されているように、
粒状燃料を振動充填した核燃料要素内の燃料物資の配置
の多領域化は、軽水炉またはウラン不使用型Pu燃焼炉
心について、特定の特性の改善のために特化した組合せ
として行われている。
【0032】特公平3−67238号(特開昭59−9
586号)公報の「燃料要素」に示されている軽水炉用
ウラン燃料では、異なる濃縮度の粒状ウランを用意する
必要がある。ウラン燃料については、U235濃縮度は
燃料の発熱分布・反応度などの核特性を決める主要因で
あり核特性の観点からは複数の濃縮度を自由に選択して
使用することは利点が多い。
【0033】一方、燃料被覆管内に粒状燃料を振動充填
させる充填工程前に、準備段階として粒状燃料の充填に
関する複雑性を回避することも重要である。また、高濃
縮度と低濃縮度のウランが誤って反対に配置される場合
が生ずる可能性がある。この逆転充填防止のために、検
査工程などが必要になり振動充填工程が複雑になる。こ
れらの観点から使用するウラン濃縮度を同一とすること
が好ましい。
【0034】また、高速スペクトルでウラン不使用型P
u燃焼炉心において、窒化プルトニウムPuN用燃料と
組み合わされるアニュラー形状の核燃料要素3Bが図2
9に例示されている。このアニュラー形状の核燃料要素
3Bの概念では、燃料組成PuNと周辺領域の幅Wを1
000ミクロン(1mm)以下としている。炉心高さの低
減などにより炉心からの中性子もれを増大させる場合
は、燃料要素内の周辺領域幅はやや増大させることがで
きる。しかし、周辺領域幅の増大は大幅ではない。した
がって、スムーズな粒状燃料を周辺領域に充填させるた
めには、1000/7ミクロン以下の粒状燃料を用意し
なければならない。また充填治具についても大きな制約
が必要となる。
【0035】ウラン不使用型Pu燃焼炉心は燃料サイク
ルのなかで特殊な炉型となる可能性が強い。将来のPu
量のバランス調整機能を発揮させるためには、専用の燃
料製造施設と技術を開発することが必要となり、燃料サ
イクル全体のコスト低減に反する可能性がある。したが
って、専用技術の開発ではなく、燃料サイクル全体の燃
料製造技術と関連する汎用技術であることが好ましい。
【0036】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、燃料製造工程を複雑化せず、コスト上昇なし
に種々の燃料仕様に柔軟に対応できる核燃料要素および
その製造方法を提供することを目的とする。
【0037】本発明の他の目的は、軽水炉燃料あるいは
高速炉用燃料として、ウラン資源有効利用のための燃料
サイクル全体に共通して使用できる核燃料要素およびそ
の製造方法を提供することにある。
【0038】本発明のさらに他の目的は、粒状燃料物質
および粒状非燃料物質(希釈物質や中性子吸収物質)の
核熱的特徴を考慮し、振動充填の特徴を活用して簡単か
つ容易に製造することができる核燃料要素、およびその
製造方法ならびに燃料集合体を提供するにある。
【0039】本発明の別の目的は、原子炉の役割の多様
化に柔軟に対応でき、燃料仕様変更への対応が容易な核
燃料要素およびその製造方法ならびに燃料集合体を提供
するにある。
【0040】
【課題を解決するための手段】本発明に係る核燃料要素
は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載し
たように、金属被覆管内に粒状の燃料物質または燃料親
物質を充填し、密封した核燃料要素において、上記金属
被覆管内に中央領域と周辺領域とに分割する領域分割用
内管を収容したものである。
【0041】また、上述した課題を解決するために、本
発明に係る核燃料要素は、請求項2に記載したように金
属被覆管内に粒状ウラン酸化物燃料が充填されており、
この粒状ウラン酸化物燃料は中央領域と周辺領域でウラ
ン235充填率が異なるように分割されて充填された
り;さらに請求項3に記載したように金属被覆管内に粒
状ウラン酸化物燃料と融点が高く中性子吸収断面積の小
さな非燃料物質が混在して充填されており、前記粒状ウ
ラン酸化物燃料と非燃料物質との混在割合が、金属被覆
管内の中央領域と周辺領域とで異なるように充填された
り;さらにまた請求項4に記載したように金属被覆管内
に粒状ウラン酸化物燃料と融点が高く中性子吸収断面積
の大きな非燃料物質である中性子吸収物質とが混在して
充填されており、前記粒状ウラン酸化物燃料と中性子吸
収物質との混在割合が金属被覆管内の中央領域と周辺領
域とで異なるように充填されたり;またさらに請求項5
に記載したように金属被覆管内に粒状ウラン酸化物燃料
とともに融点が高く中性子吸収断面積の大きな中性子吸
収物質と中性子吸収断面積の小さな非燃料物質とが混在
して充填されており、前記中性子吸収物質と非燃料物質
との混在割合が金属被覆管内の中央領域と周辺領域とで
異なるように充填されたものである。この核燃料要素は
主に軽水炉用燃料に適したものである。
【0042】さらに、上述した課題を解決するために、
本発明に係る核燃料要素は、請求項6に記載したよう
に、金属被覆管内にウラン不使用の粒状プルトニウム酸
化物燃料が充填されており、このプルトニウム酸化物燃
料のプルトニウム充填率が金属被覆管内の中央領域と周
辺領域で異なるように分割して充填されたり;また、請
求項7に記載したように金属被覆管内にウラン不使用の
粒状プルトニウム酸化物燃料とともに融点が高く中性子
吸収断面積の小さな非燃料物質が混在して充填されてお
り、前記粒状プルトニウム酸化物燃料と非燃料物質の混
在割合が金属被覆管の中央領域と周辺領域とで異なるよ
うに充填されたり;さらに、請求項8に記載したように
金属被覆管内にウラン不使用の粒状プルトニウム酸化物
燃料とともに融点が高く中性子吸収断面積の大きな非燃
料物質である中性子吸収物質が混在して充填されてお
り、前記粒状プルトニウム酸化物燃料と中性子吸収物質
の混在割合が、金属被覆管内の中央領域と周辺領域とで
異なるように充填されたり;さらにまた、請求項9に記
載したように金属被覆管内にウラン不使用の粒状プルト
ニウム酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面積
の大きな中性子吸収物質および中性子吸収断面積の小さ
な非燃料物質が混在して充填されており、前記中性子吸
収物質と非燃料物質の混在割合が、金属被覆管内の中央
領域と周辺領域とで異なるように充填されたものであ
る。この核燃料要素は中性子炉から高速炉までの広い範
囲の燃料に適したものである。
【0043】さらにまた、上述した課題を解決するため
に、本発明に係る核燃料要素は、請求項10に記載した
ように金属被覆管内に粒状ウラン・プルトニウム混合酸
化物燃料が充填されており、このウラン・プルトニウム
混合酸化物燃料の充填率は金属被覆管の中央領域と周辺
領域で異なるように充填されたり;また、請求項11に
記載したように金属被覆管内に粒状ウラン・プルトニウ
ム混合酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面積
の小さな非燃料物質が混在されて充填されており、前記
粒状ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料と非燃料物質
との混在割合が金属被覆管内の中央領域と周辺領域で異
なるように充填されたり;さらに、請求項12に記載し
たように金属被覆管内に粒状ウラン・プルトニウム混合
酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面積が大き
な中性子吸収物質が混在して充填されており、前記粒状
ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料と中性子吸収物質
との混在割合は、金属被覆管内の中央領域と周辺領域で
異なるように充填されたり;さらにまた、請求項13に
記載したように金属被覆管内に粒状ウラン・プルトニウ
ム混合酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面積
の大きな中性子吸収物質および中性子吸収断面積の小さ
な非燃料物質とが混在して充填されており、前記中性子
吸収物質と非燃料物質との混在割合は、金属被覆管内の
中央領域と周辺領域で異なるように充填されたものであ
る。この核燃料要素は熱中性子炉から高速炉までの広い
範囲の燃料に適したものである。
【0044】またさらに、本発明に係る核燃料要素は、
上述した課題を解決するために、請求項14に記載した
ように、金属被覆管内の中央領域に燃料物質および燃料
親物質を含まない非燃料物質が配置され、金属被覆管の
周辺領域に粒状ウラン酸化物燃料、粒状プルトニウム酸
化物燃料または粒状ウラン・プルトニウム混合酸化物燃
料が充填されたり;また請求項15に記載したように、
金属被覆管内に収容される領域分割用内管は薄肉内筒状
に形成され、上記領域分割用内管には間隔スペーサが放
射状に突出して設けられたものである。
【0045】また、本発明に係る核燃料要素の製造方法
は、上述した課題を解決するために、請求項16に記載
したように下部端栓で下部が密着され、内部に領域分割
用内管を収容した金属被覆管を振動台上に設置する一
方、上記領域分割用内管を収容した金属被覆管の上部開
放側から二重構造のホッパを嵌合させ、この二重構造の
ホッパを利用して金属被覆管の中央領域と周辺領域に粒
状燃料物質もしくは燃料親物質ならびに非燃料物質を振
動台を稼動させながら混在状態で充填させ、この充填後
に前記領域分割用内容をばね付勢された押圧手段で下部
端栓側に押圧させた状態で上部端栓を上部に密着する方
法である。
【0046】さらに、本発明に係る核燃料要素は、上述
した課題を解決するために、請求項17に記載したよう
に、金属被覆管内に粒状の燃料物質または燃料親物質を
充填し、密封した核燃料要素において、上記金属被覆管
内に中央領域と周辺領域とに分割する短尺の領域分割用
内管を収容し、金属被覆管内に局所的に形成される径方
向2領域部分を、少なくとも1ヶ所金属被覆管の軸方向
に沿って設けたものである。
【0047】さらにまた、上述した課題を解決するため
に、本発明に係る核燃料要素は、請求項18に記載した
ように、金属被覆管の径方向2領域部分に粒状の燃料物
質または燃料親物質と、融点が高く中性子吸収断面積の
大きな中性子吸収物質および中性子断面積の小さな非燃
料物質の少なくとも一方とが混在して充填されたり;ま
た、請求項19に記載したように金属被覆管の径方向2
領域部分の中央領域に燃料物質ないし燃料親物質を含ま
ない非燃料物質が配置され、周辺領域および径方向2領
域部分以外の領域に粒状ウラン酸化物燃料、粒状プルト
ニウム酸化物燃料または粒状ウラン・プルトニウム混合
酸化物燃料が充填されたものである。
【0048】一方、本発明に係る燃料集合体は、上述し
た課題を解決するために、請求項20に記載したよう
に、請求項1乃至15および請求項17乃至19のいず
れかに記載の核燃料要素を燃料集合体を構成する燃料要
素の一部としたものである。
【0049】
【発明の実施の形態】本発明に係る核燃料要素の実施の
形態について添付図面を参照して説明する。
【0050】本発明に係る核燃料要素は、ウラン資源の
有効利用のため、軽水炉用燃料から高速炉用燃料まで燃
料サイクル全体に共通して適用可能な核燃料棒あるいは
核燃料ピンである。「軽水炉用燃料から高速炉用燃料ま
で」という表現を以下使用するが、主要な中性子エネル
ギーの観点からは熱中性子炉から高速中性子炉までの広
い範囲をカバーするという意味である。この核燃料要素
は、軽水炉あるいは高速炉用燃料として用いられ、粒状
燃料物質を燃料被覆管である金属被覆管内に振動充填に
より高密度に充填したものである。粒状燃料物質とし
て、例えば顆粒、粒子、粉体の少なくとも3種類の燃料
形態が用いられる。軽水炉用あるいは高速炉用核燃料要
素には、酸化ウラン燃料、ウラン不使用型酸化プルトニ
ウム燃料およびウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の
3種類の燃料が基本的に存在する。
【0051】図1および図2は本発明に係る核燃料要素
の第1実施形態を示すものである。
【0052】図1および図2に示された核燃料要素10
は核燃料棒を構成しており、燃料被覆管を構成する金属
被覆管としての外側被覆管11と領域分割用内菅を構成
する内管12とから二重管構造に形成される。内管12
は外側被覆管11内に収納され、放射方向に突出する複
数の間隔スペーサ13で位置決めされ、外側被覆管11
内にほぼ同心円状に収容される。内管12は薄肉構造材
で形成される。間隔スペーサ13は、薄いプレート状構
造材で構成され、内管12の外周壁に少なくとも3枚が
周方向に間隔をおいて固定される。間隔スペーサ13は
外側被覆管11の内周壁に固定してもよい。間隔スペー
サ13は例えば上下2段にセパレートして設けることも
できる。
【0053】内管12は、核燃料要素10内を中央領域
14と周辺領域15との径方向2領域に区画する領域分
割用内管を構成している。外側被覆管11の下部が下部
端栓16で、その上部が上部端栓17で固着され、密封
される。上部端栓17は弾性ばね手段である抑えばね1
8を介してペレット状の抑えディスク19を押圧してお
り、この抑えディスク19により内管12を下部端栓1
6側に押圧し、位置決め固定している。抑えディスク1
9は内管12を外側被覆管11内で下部端栓16側に押
圧する押圧手段を構成している。
【0054】核燃料要素10には燃料物質あるいは燃料
親物質である粒状燃料が金属被覆管の外側被覆管11内
に振動充填法により充填される一方、内管12により中
央領域14と外側の周辺領域15とに区画される。
【0055】内管12は中央領域14と周辺領域15と
を区画する分割機能を備えればよく、密封機能は要求さ
れない。核燃料要素10は使用している間に中央領域1
4と周辺領域15の境界が常時保たれる必要は必ずしも
ない。
【0056】すなわち、内管12には孔をあけるなどの
工夫により、中性子の寄生吸収の要因となる構造材の量
を低減するなどの手段と組み合せることが可能である。
【0057】内管12は外側被覆管11との間隔が間隔
スペーサ13で保持されるが、この小さな突起構造の間
隔スペーサ13は外側被覆管11の内面を損傷させない
ことと、燃料充填時に領域の分割を行なうことが要求さ
れる。内管12と間隔スペーサ13は体積ができるだけ
小さいことが望ましく、そのため間隔スペーサ13は必
要最小限の位置に少ない個数で取付けられる。
【0058】当該スペーサの形状についても内管につい
て上述したように中性子吸収量の調整のための工夫と組
み合せることが可能である。
【0059】図1および図2に示される核燃料要素10
は、金属被覆管11内に粒状燃料である燃料物質あるい
は燃料親物質を振動充填させ、密封したものであり、核
燃料要素10内を中央領域14と周辺領域15とに区画
するために領域分割用内管である内管12を備えてい
る。
【0060】この核燃料要素10は軽水炉用あるいは高
速炉用燃料として使用できる。この核燃料要素10は粒
状燃料を振動充填させて製造されるものであり、燃料製
造工程の工程数が複雑化せず、製造の簡素化が図れる。
したがって、核燃料要素製造の自由度を確保することが
でき、この大きな自由度を活用して、平均マクロ燃料密
度の異なる領域を核燃料要素10の径方向に複数配置
し、炉心・燃料特性の改善を図ることができる。この核
燃料要素10は中央領域14と周辺領域15の平均マク
ロ密度を同一としても、粒状燃料の多成分材質の一部を
変更することなどの工夫により、薄い構造材12,13
を使用して径方向2領域に分割し、核燃料の性能改善を
図ることができる。
【0061】核燃料要素10に粒状燃料を充填させた場
合、充填密度は85%程度と、例えばウラン・プルトニ
ウム混合酸化物燃料(以下、MOX燃料という)を93
%程度に高密度に焼結させたペレット燃料の場合に較
べ、やや低いので燃料熱伝導度が低くなる。その結果、
燃料の温度挙動と充填密度の関係は図3に示されるよう
に、はじめての出力上昇時には粒状燃料の充填密度が低
いので、燃料最高温度が高めになる。しかし、原子炉が
高い線出力で運転されると、燃料中央部は組織変化によ
る密度増大により温度が低下することになる。
【0062】図3において、符号aはポロシティ(空隙
率)15%の場合の一様密度分布燃料の最高温度の変化
を表わす曲線であり、符号bはポロシティ20%の場合
の一様密度分布燃料の最大温度の変化曲線、符号cはそ
の時の炉の運転状態を示す特性値で、粒状燃料の最大線
出力の上昇および運転中の変化を表わす曲線である。
【0063】このような場合は、燃料全体の熱伝導度を
増大するために、熱伝導率が燃料よりも大きな非燃料物
質を混合させることにより、全体としての燃料温度低減
を図ったり、また、炉心・燃料の性能向上のために核燃
料要素10内に粒状物質の混在を径方向に分割させてい
る。
【0064】具体的には、核燃料要素10の中で燃料物
質自身の粒状燃料と燃料親物質・非燃料物質(希釈材物
質・中性子吸収物質)粒子に径方向密度分布をもたせる
ことで軽水炉・高速炉システムにおいて、燃料サイクル
の柔軟性を増加させることができる。すなわち、長期的
に原子力におけるウラン資源の有効活用とプルトニウム
燃料利用手段の選択肢増大のために、現行燃料よりも経
済性のある燃料サイクルを提供することができる。
【0065】図4は、本発明に係る核燃料要素の第1実
施形態における変形例を示すものである。
【0066】この変形例に示された核燃料要素10は、
金属被覆管である外側被覆管11内に収容される内管1
2Aの平断面形状を変化させたものである。この内管1
2Aは例えば変形三角形状あるいは三葉形状の領域分割
用内管を形成しており、外側被覆管11内に領域分割用
内管12Aを収納させたものである。この場合にも、第
1実施形態で示すものと同様の作用効果を奏する。
【0067】内管12Aの平断面形状は変形三角形状に
限定されず、種々の変形が考えられる。
【0068】図5および図6は粒状物質充填装置を示す
縦断面図および平面図である。
【0069】図5および図6は、粒状物質を径方向2領
域(中央領域14と周辺領域15)に分割して同時に振
動充填可能な粒状物質充填装置20を示すものである。
この粒状物質充填装置20は、振動台21と二重構造の
ホッパ22とを有する。振動台21上には、空の核燃料
要素10が設置され、支持される。このとき核燃料要素
10は上部端栓17を取り付けない状態である。核燃料
要素10の外側被覆管11および内管12に二重管ホッ
パ22が嵌合せしめられる。
【0070】二重管ホッパ22は、核燃料要素10の中
央領域14と周辺領域15に粒状物質を同時に充填させ
るため、ロート状を示す外側ホッパ23と内側ホッパ2
4とからほぼ同心円状に構成される。外側ホッパ23の
ガイド筒25は核燃料要素10の外側被覆管11に嵌入
され、また、内側ホッパ24のガイド筒26は内側被覆
管12に嵌入され、粒状物質の挿入がガイドされる。内
側ホッパ24のガイド筒26は内側被覆管に外嵌される
中間ガイド筒27で覆われて二重管構造に形成され、こ
の中間ガイド筒27により粒状物質が内側被覆管12の
頂部に滞溜することなくスムーズに案内される。
【0071】二重管ホッパ22の内側ホッパ24は核燃
料要素10の中央領域14に粒状物質で振動充填法で充
填させるようになっており、外側ホッパ25は核燃料要
素10の周辺領域(外側領域)15に粒状物質を充填さ
せるようになっている。核燃料要素10の各領域14,
15に充填される粒状物質(粒子)の最大サイズはホッ
パ出口の幅又は直径の約1/7以下とすることが好まし
い。
【0072】核燃料要素10の中央領域14には粒径の
大きいウラン酸化物(UO2 )燃料を配置するため、内
側ホッパ24の出口直径は、外側ホッパ23の出口幅よ
り大きくなるように形成されている。
【0073】この粒状物質充填装置20においては、粒
状物質として粒状燃料物質または粒状の燃料親物質や非
核燃料物質を中央領域14と周辺領域15に同時に効率
よく振動充填させることができ、二重管ホッパ22のホ
ッパ形状を適宜選択し、組合せることにより、従来の核
燃料要素に一様に充填するのと同等の時間で効率のよい
充填が可能となる。
【0074】図7は本発明に係る核燃料要素の第1実施
形態における第1実施例を示すものである。
【0075】この実施例に示された核燃料要素10A
は、軽水炉用燃料に用いられるものであり、内部に粒状
のウラン酸化物(UO2 )燃料が充填されて密封され
る。図1に示された核燃料要素10と同じ構成には同一
符号を付して説明を省略する。
【0076】図7に示された核燃料要素10Aは内部を
中央領域14と外側領域である周辺領域15とに区画し
て、径方向2領域構造としている。核燃料要素10A内
の中央領域14と周辺領域15でウラン235充填率の
異なる粒状ウラン酸化物燃料が分割して充填される。
【0077】図7では、核燃料要素10Aの中央領域1
4および周辺領域15でそれぞれ3種類程度の粒子サイ
ズを使用する例を示している。ここで、中央領域14の
充填密度が周辺領域15の充填密度より低下させること
により、中央領域14の発熱密度を一様充填密度の場合
に比べて低減させることができる。
【0078】充填率が低い中央領域14は実効熱伝導度
が周辺領域15の高充填率領域の実効熱伝導率よりも低
下することには注意を要する。燃料温度が高くなるとF
Pガス放出率が増大する傾向があるために、図8(A)
に示すように中央領域14のウラン粒を大粒径化するよ
うにして、FP放出率を抑制する。
【0079】同一のU235濃縮度の粒状燃料を使用し
て、核燃料要素10A内にU235充填率を径方向多領
域化し、中央領域14と周辺領域15に分割すると、燃
料の平均温度低下をもたらす作用効果が得られる。この
核燃料要素10Aにはつぎの2つがある。
【0080】a)中央領域14の粒状燃料の粒子サイズ
成分数を周辺領域15の粒子サイズ成分数よりも少なく
する。 b)同時に、中央領域14の粒子サイズを大きくする。
【0081】この核燃料要素10Aの基本的な構成は同
一のウラン濃縮度の燃料物質のみを使用し、粒子サイズ
成分数を中央領域で減ずることにより、U235充填率
を変更する。上述のa)の様に中央領域14の出力密度
を低減することにより中央領域14の燃料発熱を一様の
充填密度の場合より低くする。例えば中央領域14を1
種類の顆粒サイズとするとマクロ密度は約62%の充填
率となり、周辺領域15を3種類の粒径サイズで構成す
ると85%程度以上の充填率とすることができる。
【0082】核燃料要素10Aの中央領域14と周辺領
域15の充填比率は炉心体系により最適化する必要があ
る。最適化は、同一ウラン濃縮度の原料粒子の分級サイ
ズの問題に帰着し、製造工程は同一となる振動充填の利
点は失われない。燃料製造工程の工程数が少なく、燃料
製造の簡素化、コスト低減を図ることができる。
【0083】ウラン濃縮度は炉心全体に対する反応度条
件、取出し燃焼度条件などの要求により設定される。
【0084】次に、軽水炉用燃料としての核燃料要素1
0Bの他の構成例を説明する。
【0085】この核燃料要素10Bの構成は、図7およ
び図8(A),(B)に示されるものと異ならないの
で、図7および図8(A),(B)を参照して説明す
る。
【0086】この核燃料要素10Bは、中央領域14と
周辺領域15で粒状ウラン酸化物燃料(粒状UO2
料)と粒状の希釈物質である非燃料物質との混在割合
(混合割合)を異にして充填したものである。粒状非燃
料物質は融点が高く中性子吸収断面積の小さな希釈物質
であり、例えばアルミナやシリコンカーバイト等があ
る。この核燃料要素10Bは、金属被覆管11内に粒状
ウラン酸化物燃料と希釈物質である粒状非燃料物質とを
充填させたものである。粒状ウラン酸化物燃料と粒状非
燃料物質を混在させ、核燃料要素10B内を領域分割さ
せることにより、燃料温度の低減が図れる。
【0087】燃料温度の低減手段に用いられる粒状非核
燃料物質は、高温でも溶融せず安定な物質でウラン酸化
物よりも大きい熱伝導度をもつことが条件である。粒状
非核燃料物質には例えば酸化アルミニウム(アルミナ)
やアルミニウム・マグネシム酸化物(コランダム)等の
粒子があり、以下の例ではアルミナ粒子として記述す
る。これらの物質は中性子吸収断面積が小さい希釈物質
といえる。このアルミナ粒子とウラン燃料顆粒の混合が
考えられる。燃料マクロ密度が径方向に一様な場合で
も、熱伝導度はアルミナ粒子の方が大きいので、適切な
粒子サイズになっている双方の粒子を充填した後の混合
状態の実効熱伝導度は、ウラン酸化物顆粒のみの状態よ
りも同一の充填率に対して大きくなる。この場合は、ウ
ラン充填密度を高くするような粒径サイズ分布を選択す
ることになる。
【0088】この核燃料要素10Bの具体例としては、
中央領域14の充填燃料では粒サイズ大の物質30はウ
ラン酸化物粒であり、粒サイズ小の物質32はアルミナ
粒子が中心となる。中サイズ粒子31はウラン酸化物と
アルミナの双方からなるものを使用する。
【0089】この場合、核燃料要素10Bの外側領域
(周辺領域)15にはアルミナの充填率を低くするか、
無しとし、U235の装荷量を多くして核的な性能向上
を図る例がある。この核燃料要素10Bは燃料温度の低
減には有効であり、燃焼度増大に役立つ。この場合は、
マクロ充填密度を高くするような粒径サイズ分布を選択
することになる。
【0090】核燃料要素10Bでは、内部を中央部と周
辺部に区画し、核燃料要素10Bの径方向にマクロ充填
密度の変化または物質成分割合の変化をさせることで燃
料温度の低減と実効的なウラン量減少の抑制を果たすこ
とができる。
【0091】軽水炉では核燃料要素10Bの発熱分布は
燃料の周辺領域15が大きい。実効的に燃料周辺領域1
5のU235の存在密度が大きいことが有効で、中央領
域14はU235の密度が低減していても影響は小さ
い。そこで、核燃料要素10Bの中央領域14には、ア
ルミナをある程度混在させることにより、U235密度
のマクロ密度が周辺領域15より低下することになり、
発熱の低減効果以上に、実効熱伝導度の増大による燃料
温度低下が生じ、同時に、周辺領域15ではU235密
度の確保による炉心反応度への影響が少なくすることが
できる。
【0092】次に軽水炉用燃料としての核燃料要素のさ
らに他の構成例を説明する。
【0093】この核燃料要素10Cは、粒状ウラン酸化
物燃料(粒状UO2 燃料)と粒状中性子吸収物質であ
る。非燃料物質との混在割合を異にして充填したもので
ある。核燃料要素10Cの全体的な構成は図7および図
8(A),(B)に示されたものと異ならないので、こ
の図面を参照する。
【0094】粒状非燃料物質は、融点が高く中性子吸収
断面積の大きな非燃料物質である中性子吸収物質であ
り、例えばボロンカーバイド(B4 C)、酸化ガドリニ
ウム、酸化ユーロピウム、酸化ハフニウム等がある。こ
の核燃料要素10Cは、中央領域14と周辺領域15に
おいて粒状UO2 燃料と粒状中性子吸収物質の混在割合
(混合割合)が異なるようにして充填される。
【0095】中性子吸収物質として中性子吸収断面積の
大きなガドリニアの場合について述べる。
【0096】中性子吸収物質として可燃性毒物であるガ
ドリニアと粒状UO2 燃料とを混合させ、かつ核燃料要
素10C内の領域分割することにより燃料温度の低減を
図ることができる。核燃料要素10C内にガドリニアを
混在させることにより、燃料熱伝導度の低下をもたらす
ことができる。
【0097】粒状UO2 燃料を用いた核燃料要素10C
において、中央領域14にはガドリニアを少なく、ある
いは充填せず、外側領域15にガドリニアを多く入れる
ことにより、熱中性子の多い外側領域15でガドリニウ
ムを有効に燃焼させ、燃料取出し時のガドリニウムの燃
え残りを少なくすることができる。また、燃焼末期には
中央領域14のウラン領域の発熱が有効になるようにす
ることで、他の核燃料要素の熱的負荷を低減させること
ができる。
【0098】核燃料要素10C内を径方向2領域化した
場合における粒状UO2 燃料と粒状中性子吸収物質であ
るガドリニアの粒子サイズの具体的な選択実施例を示
す。
【0099】図7において、核燃料要素10Cの外側領
域15に燃料粒子がガドリニア粒子と混在する場合、振
動充填の特徴である場合の自由度の大きさを活用して、
スメア密度を85%程度以上の達成のために次の混合比
を用いることができる。一方、ガドリニアを混合するU
2 ペレットでは形成加工等の条件をガドリニア混合率
とともに調整し、ペレット化技術を開発していく必要が
生ずる。
【0100】3種類の粒子サイズ充填された核燃料要素
10Cでは例えば、図8(B)において外側領域15で
は大粒子33はウラン酸化物で約60 vol%、中粒子3
4はウラン酸化物粒を中心にガドリニア粒で約20 vol
%、小粒子35はガドリニアを中心にウラン酸化物で約
20 vol%とする。外側領域15平均ではガドリニアの
粒子数割合を20 vol%以上とする。
【0101】中央領域14では、熱中性子束レベルが低
く、ガドリニアの燃え残りが発生しやすいので、実質的
にはガドリニアの割合を外側領域15における割合より
も少なくする。大粒子30はウラン酸化物で約60 vol
%、中粒子31はウラン酸化物粒で約20 vol%、小粒
子32はガドリニア粒とウラン酸化物とでそれぞれ約1
0 vol%ずつとする。これにより、ガドリニア10 vol
%以上とすることができる。この結果、現行のペレット
燃料として利用されているガドリニア割合が10 vol%
程度より大きくなり、運転サイクル長さの増大・ガドリ
ニア入り核燃料棒の数の減少によるウラン棒の増大によ
る熱負荷の平均化の可能性がある。
【0102】ガドリニア粒がウラン酸化物粒と混在され
ている核燃料要素10C内を径方向2領域化する場合、
外側領域15に混在されたガドリニアはバーナブルポイ
ズンとして利用される。熱中性子炉では核燃料要素10
Cの表面で反応が生ずる割合が圧倒的に大きく、ポイズ
ン元素の核変換による燃焼により相対的に出力上昇す
る。この核分裂反応も核燃料要素10C表面で生ずる割
合が多いので、燃料に伴い核燃料要素表面の出力変動が
大きくなる。粒体燃料では燃料被覆管への応力は粒体の
特性により緩和することが期待できるので、従来のペレ
ット燃料の場合よりも有利である。しかし、燃料被覆間
表面の燃料温度変化幅は小さいことが望まれる。そのた
めに、外側領域15の実効熱伝導度を高くするために、
ウラン酸化物・ガドリニアの熱伝導度よりも大きなアル
ミナを混在させ、最高温度を低減しておくことが好まし
い。
【0103】次に、核燃料要素10D内に粒状UO2
料と中性子吸収断面積の大きな粒状非燃料物質と中性子
吸収断面積の小さな粒状非燃料物質とが混在している軽
水炉燃料の第3構成例を説明する。
【0104】この軽水炉燃料に用いられる核燃料要素1
0Dの全体的な構成は図7および図8(A),(B)に
示すものと異ならないので、この図面を参照して述べ
る。
【0105】この核燃料要素10Dは、金属被覆管11
内に粒状ウラン酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸
収断面積の大きな非燃料物質(中性子吸収物質)と中性
子吸収断面積の小さな非燃料物質(希釈物質)が混在し
て密封されている。核燃料要素10D内は中央領域14
と周辺領域15との径方向領域に区画されており、この
中央領域14と周辺領域15とで中性子吸収物質や希釈
物質の混在割合(混合割合)が異なるように充填されて
いる。
【0106】粒状希釈物質と粒状中性子吸収物質と同一
U235濃縮度をもつ粒状ウラン酸化物顆粒とを組合せ
成分とし、かつ核燃料要素10D内を径方向2領域分割
により、燃料平均温度を低減させることができる。核燃
料要素10Dの中央部と周辺部の実効熱伝導の調整と発
熱分布の調整を、振動充填されるこれらの粒状物質混合
割合または粒子サイズ分級の調整により行うものであ
る。
【0107】この核燃料要素10Dの具体例として、核
燃料要素10D内にウラン酸化物粒、ガドリニア粒およ
びアルミナ粒が充填される例を示す。これらの3種類の
粒子サイズでは例えば、図8(B)において外側領域1
5では大粒子33はウラン酸化物で約60 vol%、中粒
子34はウラン酸化物粒を中心にガドリニア粒で約20
vol%、小粒子35はガドリニアを中心にアルミナ粒と
ウラン酸化物粒で約20 vol%とする。中央領域14で
は、熱中性子束レベルが低く、ガドリニアの燃え残りが
発生しやすいので、実質的にはガドリニアの割合を外側
領域15の割合よりも少なくする。ここでは、アルミナ
粒を使用しない例とした。中央領域14の大粒子30は
ウラン酸化物で約60 vol%、中粒子31はウラン酸化
物粒で約20 vol%、小粒子32はガドリニア粒を10
vol%程度とウラン酸化物を約10 vol%とする。これ
ら大粒子30、中粒子31および小粒子32の混合割合
は種々の変形が考えられる。
【0108】図9は本発明に係る核燃料要素の第1実施
形態における第2実施例を示すものである。
【0109】この実施例に示された核燃料要素40A
は、ウラン不使用型核燃料要素であり、軽水炉用あるい
は高速炉用燃料として使用される。全体的な構成は、図
1に示された核燃料要素10と共通する部分が多く、同
じ構成には同一符号を付して説明する。
【0110】図9に示されたウラン不使用型核燃料要素
40Aは、金属被覆管11内を領域分割用内管(内管)
12で中央領域14と周辺領域15の径方向2領域に分
割し、金属被覆管11内の径方向2領域で粒状PuO2
燃料の充填率が異なるように分割して充填させたもので
ある。
【0111】プルトニウム酸化物顆粒を使用する核燃料
要素40A内の径方向2領域分割により、燃料最高温度
の低減を図るようにしたものであり、基本的にはプルト
ニウムをウランと混合せずに燃料として利用する。軽水
炉・高速炉の場合のいずれにおいても、ウランを構成す
る主成分であるU238を使用しなかったり、または大
幅に混在量を低減させることによりプルトニウム炉心反
応度への影響が大きいことになる。
【0112】プルトニウム酸化物燃料の融点はウランの
融点より低いので、中心温度の低減方策として、発熱分
布の調整のために中央領域14のプルトニウム酸化物の
充填率を低減し発熱量を小さくすることにより、反応度
の低減と同時に行うものである。燃料中心温度の低減の
ためには中央領域14には粒状プルトニウム酸化物だけ
でなく、熱伝導度の大きい希釈物質との組合せ手段が更
に効果的なものとなる。
【0113】図9に示されたウラン不使用の核燃料要素
は、40Aは内部が径方向2領域に分割されたとおり、
中央領域14には例えば3種類の粒子サイズからなるプ
ルトニウム酸化物燃料が充填され、スメア密度を80%
ないし85%としている。中央領域14の周辺領域であ
る外側領域15は一種類の粒子サイズで構成し、充填ス
メア密度を約60%に低減させる。外側領域15の粒子
サイズを一種類とすることで、全体として核燃料要素4
0A内のスメア密度を低減させることができる。
【0114】この核燃料要素40Aでは、中央領域14
の充填密度を外側領域15の充填密度より若干高くする
ことで、中央領域14の実効熱伝導度が外側領域15よ
り高くすることができ、運転初期に図3に示すような燃
料組織変化に対応する炉出力を、径方向一様な場合より
高くすることができる。
【0115】ウラン不使用の核燃料要素40Aにおい
て、金属被覆管11内に粒状プルトニウム酸化物粒燃料
のみを充填する例では、核燃料要素40Aのプルトニウ
ムの存在密度が大きいので、希釈要素・希釈集合体・減
速材集合体を必要とする。これらの集合体の配置は反応
度調整と出力分布平坦化を目標として行われることにな
る。
【0116】一方、炉心のコンパクト化のためには炉心
構成に希釈集合体・減速材集合体を使用しないで、要求
される臨界性・反応度係数などの炉心反応度と出力分布
を同時に調整することが重要である。ウラン不使用型炉
心では、中性子吸収物質であるU238 が存在しないの
で、プルトニウム酸化物の存在密度を大幅に低減するこ
とと、領域の熱伝導度を改善するために、融点が高く中
性子吸収断面積の小さな非燃料物質を混在させるとよ
い。非燃料物質としては、例えば前述のアルミナやシリ
コンカーバイド等の希釈物質がある。
【0117】ウラン不使用型炉心は、従来のウラン・プ
ルトニウム混合酸化物(MOX)燃料炉心の特性と大幅
に異なる。原子炉の安全性の確保と関連する基本のフィ
ードバック係数であるドップラー反応度および冷却材反
応度については余裕を持つように燃料材料の種類と炉心
の基本仕様を選択することになる。負のフィードバック
係数であるドップラー効果を確保し、冷却材の密度係数
・温度係数を負値とし、その絶対値をある程度小さくす
ることが必要である。高速スペクトル型炉心で、希釈物
質としてアルミナを選択した燃料要素例を図11に示
す。
【0118】図11は本発明に係る核燃料要素の第1実
施形態における第3実施例を示すものである。
【0119】この実施例に示された核燃料要素40Bは
ウラン不使用型で高速炉用燃料に適したものである。こ
のウラン不使用型核燃料要素40Bは、全体的な構成は
図1に示すものと異ならないので、同じ構成に同一符号
を付して説明する。
【0120】核燃料要素40Bは外側被覆管である金属
被覆管11内に内側被覆管である領域分割用内管12が
収容され、中央領域14と周辺領域15の径方向2領域
に分割される。金属被覆管11内には、粒状プルトニウ
ム酸化物燃料(粒状PuO2燃料)とともに、非燃料物
質である希釈物質が混在して収納される。粒状PuO2
燃料と希釈物質の混合割合は、核燃料要素40B内の中
央領域14と周辺領域15で異なるように充填される。
【0121】ところで、高速炉系のナトリウム冷却炉で
プルトニウム酸化物とアルミナの混合燃料を使用した結
果を、従来のペレット型MOX燃料炉心体系の特性と比
較して表1に炉心基本仕様とともに示す。表1はウラン
不使用型高速炉炉心と従来のMOX燃料炉心の特性比較
を600Mwe級炉心に適用して表わしたものである。
【0122】
【表1】
【0123】このウラン不使用の高速炉炉心体系では、
従来のMOX燃料炉心体系に比べて炉心の中性子スペク
トルは軟らかい。燃料中のプルトニウムに比較して酸素
が原子数の比率として大量に存在するためである。この
ウラン不使用炉心の体積は比較用従来型混合酸化物(M
OX)燃料炉心よりも大きく平均出力密度を低減させて
いるが、燃焼度は大幅に増大している。
【0124】ウラン不使用の場合は燃焼による反応度減
少が大きくなることも示されている。特に、高速炉炉心
体系では、内部転換比が従来の混合酸化物燃料を使用す
る場合には0.6〜0.8であるが、ウラン不使用の場
合は内部転換比が約0.2以下となり、核分裂性プルト
ニウムの燃焼による減少が速い。さらに、中性子吸収物
質であるU238がないことにより、運転に必要なプル
トニウム量が少なくても運転サイクル初期の臨界が達成
される。したがって、出力一定運転の場合には燃焼によ
るプルトニウム減少量が炉内インベントリーに比べて大
きい。
【0125】表1には示されていないが、制御棒価値に
ついては従来型MOX燃料に使用されている濃縮ボロン
カーバイド使用の制御棒を使用しても、その価値が大幅
に低減することはない。これは燃料インベトリーの減少
と中性子スペクトルが軟らかいことにも起因している。
燃焼による反応度減少を補償して所定の制御棒本数で運
転するための余剰反応度を制約するとともに、1サイク
ル当りの運転日数を長期化するために出力密度を低減し
ている。
【0126】冷却材ボイド反応度はこのウラン不使用高
速炉例では、軽い核種である酸素の残存量が多いために
中性子スペクトルが軟らかくなることから、従来型MO
X炉心の値よりも低減している。表1について比較する
と明確に示されている。従来型MOX炉心では、約5$
の正値であったものが、約−1$と絶対値の小さな負値
になっている。また、中性子吸収材ボロンカーバイド等
を炉内に多く混在させると中性子スペクトルを硬くする
ウラン不使用型高速炉では、冷却材ボイド反応度は大き
な正値となり、反応度係数としては望ましくない。
【0127】ドップラー係数については、ウラン不使用
型高速炉ではPu240,Pu242の寄与で負の値を
示している。これは前述のように中性子スペクトルを従
来型MOX燃料炉心よりも軟らかくしていることが効い
ているが、絶対値は従来型MOX燃料炉心の値よりも小
さく約半分である。また、Pu240,Pu242量は
燃料に使用されるPu同位体組成比にも依存するもので
ある。
【0128】ウラン不使用型高速炉では、前述の反応度
係数の状況を考慮すると、ドップラー係数を強化する方
策として、顆粒状のプルトニウム酸化物燃料を充填した
核燃料要素40B内で、中央領域14のプルトニウム酸
化物の充填割合と周辺領域15のプルトニウム酸化物の
充填割合をマクロ密度として異なる燃料を用いることが
有効である。
【0129】図11に示された核燃料要素40Bでは、
粒状PuO2 燃料とともに熱伝導度がプルトニウム酸化
物よりも高いアルミナ粒を混合使用している。中央領域
14のプルトニウム酸化物の充填割合を高くし、周辺領
域15でプルトニウムの充填割合を低下させる。これに
より、中央領域15の線出力を高くすることにより燃料
最高温度の上昇量を大きくし、反応度投入事象に即発ド
ップラーフィードバックを大きくすることが出来る。
【0130】プルトニウム酸化物を燃料とする核燃料要
素40Bは、その融点がウラン酸化物の融点に比べてや
や低い。したがって、プルトニウム酸化物燃料粒子を中
心として混合充填燃料を使用する場合は、炉心の出力密
度を低下させ炉心体積を増大させる必要がある。この傾
向を回避するためには、ほぼ径方向に一様なマクロ密度
をもつ核燃料要素40Bに対しては、燃料温度の最大値
が発生する核燃料要素中央部の実効熱伝導度を高めて、
燃料最高温度を低減させることが一つの選択肢となる。
この温度低減のために、中性子吸収断面積が小さくかつ
熱伝導度がプルトニウム酸化物より大きい前述のアルミ
ナ粒子を希釈物質として混在させ、中央領域14と外側
領域15の双方に充填密度をできるだけ高くすることに
より、各領域14,15の平均的実効熱伝導度を増大さ
せる。この場合、中央領域14のプルトニウム酸化物燃
料粒子の充填率を外側より高くし、同一線出力に対し
て、プルトニウム酸化物燃料粒子の最高温度を低減させ
ることができる。その結果、炉心の出力密度を増大さ
せ、ウラン不使用型のプルトニウム酸化物粒子燃料炉心
の炉心サイズコンパクト化が可能となる。
【0131】また、中性子スペクトルを軟化させるため
には、ここでは酸素の割合の多いアルミナ粒子を多くす
ることが有利である。また、プルトニウム炉心では、取
り出し燃焼度等によりPu同位体組成比が異なる。リサ
イクルに伴い核分裂性同位体であるPu239,Pu2
41とドップラー効果に重要なPu240,Pu242
の存在量が変動し、臨界性と反応度係数が影響される。
この様にプルトニウム同位体組成比の変動に合わせ、希
釈物質であるアルミナ粒子との混在比を容易に調整でき
ることは振動充填法の利点である。
【0132】中性子吸収断面積が小さく、熱伝導度がプ
ルトニウム酸化物(約2.7W/m/K)より大きいア
ルミナ(約6.4W/m/K)の粒子分布をつぎのよう
にする。アルミナ充填密度は高いほうが領域平均の熱伝
導度を高めることができるので、スメア密度を約85%
よりも高めることが期待される。高速炉用に設計された
核燃料要素40Bでは燃料からのFP放出率は100%
と想定している。したがって、軽水炉におけるウラン燃
料の場合のようにプルトニウム酸化物粒の大粒径化によ
るFPガス放出量の抑制は必要がないこと、プルトニウ
ムスポットと呼ばれる課題であり、プルトニウム酸化物
粒のサイズは小さいことが望まれる。また、プルトニウ
ム酸化物の溶融点はウラン酸化物の溶融点よりやや低い
ので、中央領域の最高温度は低下することが望ましいこ
ともある。
【0133】そのために、図11に示された核燃料要素
40Bにおいて、中央領域14と外側領域15の構成粒
子サイズは同一でよい。全体の充填密度を約85%以上
とするために、それぞれの領域で3種類の分級を基本と
する場合、大粒子:中粒子:小粒子の比率をおよそ6
0:20:20とする。中央領域14の大粒子41はア
ルミナとし、中粒子42はアルミナとする。小粒子43
はプルトニウム酸化物粒が中心で、アルミナ粒も混ざっ
ている。外側領域15の大粒子44はアルミナとし、中
粒子45はアルミナを大部分とし、プルトニウム酸化物
はある程度存在する。小粒子46はプルトニウム酸化物
粒が中心で、アルミナ粒子も混ざっている。
【0134】このように中央領域14と外側領域15の
プルトニウム酸化物の充填率を異なるように配置するこ
とにより、プルトニウム酸化物の密度を低減し、希釈材
要素・集合体を使用しない構成により炉心サイズのコン
パクト化と従来型MOX燃料炉心との互換性を確保する
ことが可能となる。
【0135】次に、ウラン不使用核燃料要素40Cに希
釈物質に代えて、融点が高く中性子吸収断面積の大きな
非燃料物質を用いた例を説明する。
【0136】融点が高く中性子吸収断面積が大きな非燃
料物質としてボロンカーバイド、酸化ガドリウム、酸化
ユーロピウム、酸化ハフニウム等の中性子吸収物質があ
る。この核燃料要素40Cは、内部を中央領域14と周
辺領域15との径方向2領域に区画し、粒状PuO2
料を中性子吸収物質の混合割合が径方向2領域で異なる
ように充填されている。
【0137】ウラン不使用型高速炉炉心に、粒状プルト
ニウム酸化物燃料と粒状炭化ボロン(ボロンカーバイ
ド)などの中性子吸収物質とを混合させた核燃料要素を
配置する。中性子吸収物質を炉心一様に含む燃料を全炉
心に配置すると、運転サイクル当りの燃料に伴う反応度
減少が小さくなる。これは、中性子吸収物質がはいるこ
とにより、燃料インベントリーが増大することと中性子
吸収物質の核変換に伴い反応が回復するなどのためであ
る。
【0138】例えば、プルトニウム酸化物燃料とアルミ
ナの混合燃料に中性子吸収物質であるボロンカーバイド
(B4 C:ここでは天然ボロン使用)の混合による1サ
イクル当りの燃焼による反応度減少量の例を、B4 C混
合率との関係で示すと表2のようになる。1サイクルの
運転長さが約230日とした場合の平衡サイクル炉心の
例である。
【0139】
【表2】
【0140】この例では、高速炉型の場合は中性子吸収
材ボロンを利用することにより、炉心領域の内部転換比
が大幅に低下している体系となるウラン不使用型炉心の
もつ運転サイクル長期化に伴う燃焼反応度減少を抑制す
る効果があることが分かる。
【0141】ボロンの混合により炉心の中性子スペクト
ルが硬くなり、炉心のナトリウムボイド反応度が正の方
向に大きくシフトすることになる。炉心領域一様にボロ
ン入り燃料を配置することはボロン混在率に制約を与
え、炉心特性上のデメリットがある。一方、炉心領域の
一部にボロン入り燃料を非均質配置することにより、炉
心の中性子束の空間分布の凹凸をつけ、ナトリウムボイ
ド反応度の低減などが可能であるが、炉心特性としては
出力分布平坦化、制御本数の増大などによる炉心サイズ
の増大などの不利な点が生ずることになる。
【0142】ボロン入り核燃料要素40Cを使用するこ
とにより、ウラン不使用型高速炉の特性をナトリウムボ
イド反応度を“僅かにゼロ以下の負値”とし、燃焼反応
度減少を最小化するための設計においては、炉心サイズ
のコンパクト化が重要になる。このことは、炉心の許容
線出力の最大化を図る工夫が重要ということである。そ
のために、核燃料要素40C内を径方向に分割する場合
には、中央領域14にはボロンの混在率を低くして、プ
ルトニウム酸化物粒子とアルミナ粒子の充填率を85%
以上に高め、中央領域15の実効熱伝導度を高める一
方、ボロンなどの充填をしないようにする。また、この
核燃料要素40Cの外側領域15の燃料プルトニウム酸
化物粒子とアルミナ粒子の混合の他にボロンカーバイド
の充填を加える。このように中性子吸収物質の充填率を
中央領域14と外側領域15で違えることにより、炉心
の最適化を可能とする。
【0143】即ち、径方向2領域に領域分割された核燃
料要素40Cを重合させた燃料集合体を高速炉炉心に適
切に配置することにより、この核燃料要素40Cに最大
線出力が発生するように出来る。その場合、許容される
線出力の最大化が可能となり、炉心サイズのコンパクト
化が図れる。
【0144】また、中性子吸収断面積が大きい物質を利
用するプルトニウム酸化物粒を充填した核燃料要素40
Cを軽水炉で使用する場合は、中性子吸収物質であるボ
ロンなどを外側領域15に配置し、中央領域14には配
置しないことによりプルトニウム酸化物粒の充填密度を
変更させることができる。
【0145】中性子吸収物質は軽水炉におけるガドリニ
アと同様のバーナブルポイズンとして働くが、軽水炉の
特徴である核燃料要素表面でボロンによる中性子吸収・
燃料反応が生ずるので、外側領域15に配置する。
【0146】また、炉心の臨界性を確保し、運転サイク
ル期間を長期化するために、ある程度の燃料インベント
リーを大きくする必要がある。しかし、バーナブルボロ
ンとプルトニウム酸化物粒の混合では、反応度調整と最
大線出力の観点から、炉心内には希釈要素を含む集合体
を利用すること等の工夫が要求される。このときの実施
例は、中央領域14・外側領域15ともにほぼ同一サイ
ズのプルトニウム酸化物粒とボロンカーバイド粒を使用
する。これにより粒子充填密度は平均して約60%程度
と低くなる。このときに、外側領域15のボロンカーバ
イドの割合を多くし、中央領域14はプルトニウム酸化
物粒のみとした。このような、核燃料要素40Cからな
る炉心では出力密度を低減させる必要性がある。これを
回避するためには、従来の全炉心MOX燃料炉心と同様
に、基本的にはすべての燃料要素にプルトニウム酸化物
粒を適切に配置して出力密度を上げることが必要であ
る。
【0147】そのために、核燃料要素40Dに粒状Pu
2 燃料、粒状希釈物質および粒状中性子吸収物質を混
合した高速炉用燃料の例を以下に説明する。粒状希釈物
質として融点が高く中性子吸収断面積の小さいアルミナ
粒、中性子吸収物質として融点が高く中性子吸収断面積
の大きなボロンカーバイド類を用いた例を述べる。核燃
料要素40Dの全体的な構成は、図11および図12
(A)(B)に示すものと異ならない。
【0148】この場合、図11に示すように核燃料要素
40D内を中央領域14とその外側領域である周辺領域
15とに径方向2領域に分割し、径方向2領域の核燃料
要素40D内に、プルトニウム酸化物粒、アルミナ粒、
ボロンカーバイド粒の3種類を利用する。全体として
は、核燃料要素40Dの中のプルトニウム量を従来のペ
レット型の全MOX燃料炉心の核燃料要素中のプルトニ
ウム量と同程度とすることが重要である。
【0149】図11に示された核燃料要素40Dの中央
領域14と外側領域15の構成粒子サイズは同一でよ
い。全体の充填密度を約85%以上とするために、それ
ぞれの領域14,15で3種類の分級を基本とする場
合、大粒子:小粒子の比率をおよそ60:20:20と
する。
【0150】外側領域14の大粒子44はアルミナと
し、中粒子45はアルミナ・ボロンカーバイドを大部分
とし、プルトニウム酸化物はある程度存在する。小粒子
46はプルトニウム酸化物粒が中心で、アルミナ・ボロ
ンカーバイド粒も混ざっている。中央領域14の大粒子
41はアルミナとし、中粒子42はアルミナとする。小
粒子43はプルトニウム酸化物粒が中心で、アルミナ粒
も混ざっている。中央領域14には中性子吸収物質であ
るボロンカーバイドは使用しない。
【0151】このように構成することにより、中央領域
14と外側領域15のプルトニウム酸化物粒の存在率を
別々にしている。プルトニウム酸化物の密度を低減し、
希釈材要素・集合体を使用しない構成により炉心サイズ
のコンパクト化ができる。
【0152】次に、この核燃料要素40Dの作用をウラ
ン不使用型軽水炉に適用した例で説明する。
【0153】核燃料要素40Dは、プルトニウム酸化物
と希釈物質アルミナの混合燃料(PuO2 −Al
2 3 )に一様に中性子吸収物質ボロン(B)、(また
はエルビウム(Er))混在したものであり、この核燃
料要素を備えた燃料集合体を軽水炉の炉心に適用する
と、この炉心では、中性子吸収物質がバーナブルポイズ
ンとして働き、反応度寿命の長期化に有効である。
【0154】核燃料要素40Dに中性子吸収物質を添加
するとドップラー反応度と冷却材反応度については、表
3の様になる。
【0155】
【表3】
【0156】この表は、J.M. Paratle et. al. 「On th
e Physics Feasibility of LWRPlutonium Feuls withou
t Uranium」 Annals of Nuclear Energy, vol.22, No.
7, pp471-481から引用した。軽水炉においても、ウラン
なしPuO2 −Al2 3 燃料炉心の特性値は、軽水炉
MOX燃料炉心の特性と大幅に異なる。
【0157】特に、ドップラー反応度の低下は炉心の安
全性の観点から避けたいものである。ドップラー反応度
を確保するためには2つの方法がある。1つは単位温度
変化当りの反応度変化を大きくすることであり、他の1
つは燃料温度の変化量を大きくすることである。バーナ
ブルポイズンを利用することによる運転サイクル長さの
増大は効果があるので、両立することが重要である。軽
水炉においては、中性子吸収が核燃料要素40Dの表面
で顕著であるので、核燃料要素40D内の径方向2領域
化は、そのために有効である。
【0158】したがって、ウラン不使用型プルトニウム
酸化物燃料粒子とアルミナ粒子を混合する振動充填燃料
を利用して、核燃料要素40Dの外側領域15にバーナ
ブルポイズン割合を多くし、プルトニウム酸化物粒子の
充填割合を低減する。逆に、中央領域14ではプルトニ
ウム酸化物粒子の充填割合を増大させることにより、炉
心の反応度寿命の長期化に寄与させる。これにより、通
常時の燃料温度が高めに設定される。このことから、反
応度投入事象に対して燃料温度変化量自体が増大し、ド
ップラーフィードバック量を増大させることができる。
【0159】図13は、本発明に係る核燃料要素の第1
実施形態における第4実施例を示すものである。
【0160】この実施例に示された核燃料要素50Aの
全体的構成は、図7および図11に示された核燃料要素
と異ならないので、同じ構成には同一符号を付して説明
を省略する。
【0161】図13に示された核燃料要素50Aはウラ
ン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)を用い
た核燃料要素で、高速炉用あるいは軽水炉用燃料に適用
される。この核燃料要素50Aは金属被覆管である外側
被覆管11内に領域分割用内管12が内側被覆管として
収容され、内部が中央領域14とその外側領域である周
辺領域15とに径方向2領域分割される。この核燃料要
素50Aには同一Pu富化度のMOX粒燃料(粒状MO
X燃料)が用いられる。そして、同一ウラン濃縮度の原
料粒子を振動充填法により、径方向2領域化された中央
領域14と外側領域15にMOX粒燃料が充填される。
MOX粒燃料は、図8(A)および(B)に示すよう
に、中央領域14および外側領域15でそれぞれ3種類
程度の粒子サイズが使用される。中央領域14の充填密
度が外側領域15の充填密度より低下させていることに
より、中央領域14の発熱密度を一様密度の場合に比べ
て低減させることができる。
【0162】MOX粒燃料の充填率が低い中央領域14
は実効熱伝導度が周辺領域15の高充填率領域の実効熱
伝導率よりも低下し、燃料温度が高くなるとFPガス放
出率が増大する傾向がある。このために、図8(A)に
示すように中央領域14のMOX粒燃料を大粒径化する
ようにして、FP放出率を抑制する。
【0163】ウラン・プルトニウム混合酸化物(MO
X)粒燃料を充填した核燃料要素40Dを高速炉用燃料
に適用した例をとって説明する。MOX粒燃料の場合
は、ウラン・プルトニウム酸化物の固溶体、ウラン酸化
物、プルトニウム酸化物、酸素(O)と重金属(U+P
u)の原子数比調整のための酸素ゲッター材の混合によ
り、燃料に要求される特性を満足する様に、燃料物質の
混合割合を決めることができる。
【0164】MOX粒燃料要素の場合、重金属(U+P
u)の内のプルトニウムの割合(以下、Pu富化度と呼
ぶ)が重要であり、このPu富化度は使用するプルトニ
ウム同位体組成比により異なってくる。高速炉の場合
は、燃料温度が高いので燃料最高温度は照射初期には上
昇し、しばらくして若干の低下がみられ安定化する。図
3にその様子が示されている。
【0165】照射初期は振動充填燃料の実効熱伝導度が
低いので燃料温度は上昇する。その結果、燃料組織が等
軸晶または柱状晶状態に変化するために、中心部は空孔
が発生し、その焼結部分は実効熱伝導度が大きくなり、
最高温度は低減する。高速炉の場合、燃料温度が高いの
でFPガス放出率を、通常100%放出を想定してい
る。燃料温度低減のための径方向2領域化は、既に述べ
たウラン酸化物粒子燃料の燃料温度低減によるFPガス
放出率低減効果のためには役立たない。
【0166】しかし、MOX粒燃料(粒状MOX燃料)
を振動充填する場合、中央領域14の発熱密度を低減す
るために粒子サイズの分級を変更することなどにより燃
料の充填率を低減する。外側領域15の充填率を高くす
ると、燃料中心温度を低減し燃料全体の温度分布を平均
化し、前述の組織変化を発生させる線出力の増大を図る
ことにより、許容される最大線出力を上昇させることが
出来る。
【0167】次に、MOX粒燃料に高い熱伝導度をもつ
物質粒子と混合させた核燃料要素50Bを第1構成例に
とって説明する。
【0168】この核燃料要素50Bの構成は図13およ
び図14に示す核燃料要素と異ならないので、この図面
を参照して説明する。核燃料要素50Bは領域分割用内
管12により中央領域14とその外側領域である周辺領
域15の径方向2領域に分割され、核燃料要素50B内
にはMOX粒燃料(粒状ウラン・プルトニウム混合酸化
物燃料)とともに、融点が高く中性子吸収断面積の小さ
な粒状の非燃料物質が混在される。非燃料物質は、例え
ばアルミナ、シリコンカーバイド等の希釈物質である。
核燃料要素50Bには、MOX粒燃料と希釈物質の混在
割合が中央領域14と周辺領域15において異なるよう
に充填される。
【0169】このMOX粒燃料を充填させた核燃料要素
50Bを高速炉用炉心に適用する。この核燃料要素50
Bには、MOX燃料よりも熱伝導度が大きく中性子吸収
断面積の小さいアルミナ(Al2 3 )等の希釈物質粒
を混合させる。核燃料要素50Bの中央領域14のMO
X粒燃料の混合率を低くし、外側領域15のMOX粒燃
料の混合率を高くすることにより、燃料温度の平均化が
図れる。燃焼温度の平均化により、最大線出力を、径方
向に領域分割しない場合よりも増大させることができ、
炉心サイズのコンパクト化が可能となる。
【0170】MOX粒燃料よりも高い熱伝導度をもつ物
質粒子との混合例として、MOX粒燃料とアルミナ粒の
混合を考える。アルミナ粒は中性子吸収断面積が小さい
非燃焼物質である。熱伝導度はMOX粒よりアルミナ粒
の方が大きいので、適切な粒子サイズになっている双方
の粒子を充填した後の混合状態の実効熱伝導度は、MO
X粒燃料のみの状態よりも同一の充填率に対して大きく
なる。図8(A)に示す中央領域14の充填燃料では粒
子サイズ大の物質30はMOX粒燃料であり、粒子サイ
ズ小の物質32はアルミナ粒子が中心となる。中サイズ
粒子31はMOX粒とアルミナの双方からなるものを使
用する。
【0171】この場合、外側領域15にはアルミナの充
填率を低くするか、“なし”としMOX燃料のPu装荷
量を多くして核的な性能向上を図る例がある。燃料温度
の低減には有効であり、燃焼度増大効果に有効である。
その際に、マクロ充填密度を高くするような粒径サイズ
分布を選択することになる。
【0172】この結果、核燃料要素50Bの径方向に充
填マクロ密度の変化または物質成分割合の変化をさせる
ことで燃料温度の低減と実効的なMOX量減少の抑制を
果たすことができる。
【0173】一方、軽水炉では核燃料要素50Bの発熱
分布は燃料の周辺部が大きい。実効的に周辺部のPuの
存在密度が大きいことが有効で、中央領域14はPuの
密度が低減していても影響は小さい。そこで、中央領域
14には、希釈物質であるアルミナをある程度混在させ
ることにより、Pu密度のマクロ密度が周辺領域15よ
り低下することによる発熱の低減効果以上に、実効熱伝
導度の増大による燃料温度低下が生ずることになる。同
時に、周辺領域15ではPu密度の確保による炉心反応
度への影響が少なくすることができる。
【0174】次に、MOX粒燃料を用いた核燃料要素5
0Cの他の第2構成例を説明する。
【0175】この核燃料要素50Cは、MOX粒燃料と
ともに融点が高く中性子吸収断面積の大きな非燃料物質
を混在させて用いたものである。非燃料物質としては、
ボロンカーバイド、酸化ガドリウム、酸化ユーロピウ
ム、酸化ハフニウム等の中性子吸収物質がある。この核
燃料要素50CはMOX粒燃料と中性子吸収物質の混合
割合を、中央領域14と周辺領域15の径方向2領域で
異にして充填させたものである。
【0176】高速炉用炉心にこの核燃料要素50Cを用
いる場合、核燃料要素50C内にMOX粒燃料に対し
て、中性子吸収断面積の大きい劣化ウランまたはボロン
カーバイド等の希釈物質の粒子を混合させる。この場
合、中央領域のMOX粒燃料の混合率を低くし、外側領
域15のMOX粒燃料の混合率を高くすることにより、
燃料温度の平均化が実現できる。これにより、許容され
る最大線出力を、径方向に領域分割しない場合よりも増
大させることができ、炉心サイズのコンパクト化が可能
となる。
【0177】次に、核燃料要素50Cに混在される中性
子吸収物質としてガドリニアを例にとって説明する。
【0178】核燃料要素50Cの外側領域15に中性子
吸収物質であるガドリニアを混合させる場合、混合の自
由度の大きさを活用し、ペレット燃料で混合ができる限
度以上の混合を振動充填により行う。スメア密度を85
%程度以上の達成のために次の混合比を用いることが可
能である。
【0179】3種類の粒子サイズでは例えば、図8
(A)において外側領域では大粒子30はMOX粒で約
60 vol%、中粒子31はMOX粒を中心にガドリニア
粒で約20 vol%、小粒子32はガドリニアを中心にM
OX酸化物で約20 vol%とする。外側領域15平均で
はガドリニアの粒子数割合を20 vol%以上とする。
【0180】中央領域14では、熱中性子束レベルが低
く、ガドリニアの燃え残りが発生しやすいので、実質的
にはガドリニアの割合を外側領域15における割合より
も少なくする。図8(B)に示す中央領域14で大粒子
33はMOX粒で約60 vol%、中粒子34はMOX粒
で約20 vol%、小粒子35はガドニア粒およびMOX
粒をそれぞれ約10 vol%とする。これにより、ガドリ
ニアを10 vol%以上とすることができる。この結果、
現行のペレット燃料として利用されているガドリニア入
りの燃料はウランを利用しているが、混合の自由度の大
きいことを利用して、MOX粒燃料要素にガドリニア入
りとすることができる。
【0181】ガドリニア粒がMOX粒と混在されている
核燃料要素50C内が2領域化する場合、外側領域15
に混合されたガドリニアはバーナブルポイズンとして利
用される。これは、熱中性子炉では核燃料要素50Cの
表面で反応が生ずる割合が圧倒的に大きいためである。
ガドリニアのようなバーナブルポイズン元素の核変換に
よる燃焼により相対的に出力上昇がある。
【0182】この核分裂反応も核燃料要素表面で生ずる
割合が多いので、燃焼に伴い核燃料要素表面の出力変動
が大きくなる。粒状燃料では燃料被覆管11への応力は
粒体の特性により緩和することが期待できる。しかし、
燃料被覆管11表面の燃料温度変化幅は小さいことが望
まれる。そのために、外側領域15の実効熱伝導度を高
くするために、MOX・ガドリニアの熱伝導度よりも大
きなアルミナを混在させ、最高温度を低減しておくこと
が好ましい。
【0183】次に、MOX燃料を充填した核燃料要素5
0Dに融点が高く中性子吸収断面積の小さな非燃料物質
と中性子吸収断面積の大きな非燃料物質を混在させて充
填した例を説明する。
【0184】この核燃料要素50Dは燃料被覆管である
金属被覆管11内にMOX粒燃料、粒状希釈物質および
粒状中性子吸収物質を混在させ、中央領域14と周辺領
域15の径方向2領域で希釈物質と中性子吸収物質の混
合割合を異にするものである。希釈物質にアルミナ粒
を、中性子吸収物質にガドリニア粒を構成した例を示
す。
【0185】この核燃料要素50Dを高速炉用炉心に適
用すると、燃焼温度の平均化が図れる。上記核燃料要素
50Dは、MOX粒燃料とともに、MOX粒燃料よりも
熱伝導度が大きく中性子吸収断面積の小さいアルミナ
(Al2 3 )等の希釈物質の粒子とともに中性子吸収
断面積の大きい劣化ウランまたはボロンカーバイド等の
中性子吸収物質の粒子を混在させたものである。核燃料
要素50Dの中央領域14と外側領域15でMOX粒燃
料の混合率(混在率)を異にすることで燃料温度の平均
化が実現できる。この様な核燃料要素50Dから構成さ
れる燃料集合体を高速炉の炉心内に最適配置することに
より、許容される最大線出力を径方向に領域分割しない
場合よりも増大でき、炉心サイズのコンパクト化が可能
となる。
【0186】中性子吸収物質にガドリニアを、希釈物質
にアルミナを用いた核燃料要素50Dの例を図13に示
す。この核燃料要素は3種類の粒子サイズを用いた例で
あり、外側領域15では図8(B)に示すように大粒子
33はMOX粒燃料で約60vol%、中性子34はMO
X粒燃料を中心にガドリニア粒で約20 vol%、小粒子
35はガドリニアを中心にアルミナ粒とMOX粒燃料で
約20 vol%とする。
【0187】中央領域16では、熱中性子束レベルが低
く、ガドリニウムの燃え残り発生しやすいので、実質的
にはガドリニアの割合を外側領域15における割合より
も少なくし、温度変化を抑制する。中央領域14には、
アルミナ粒を使用しないこととした。大粒子30はMO
X粒燃料で約60 vol%、中粒子31はMOX粒燃料で
約20 vol%、小粒子32はガドリニア粒およびMOX
粒燃料でそれぞれ約10 vol%とする。
【0188】次に、高速炉炉心に用いられるMOX粒振
動充填燃料を使用する実施例を述べる。核燃料要素50
D内には炉心核設計から決められたPu富化度を中央領
域14と外側領域15に共通に使用する。MOX粒燃料
の構成は図13および図14(A)に示すように、中央
領域14では粒子サイズを基本的には1種類とすること
により、充填密度を約60%程度と低くする。外側領域
の構成は充填密度が約85%以上とするために図14
(B)で示すように3種類の粒サイズに分級された粒を
利用する。この3種類のMOX粒燃料は大粒子51を約
60 vol%、中粒子52を約20 vol%、小粒子53を
約20 vol%とする。中央領域14と外側領域15のM
OX粒燃料の充填率の違いによる核燃料要素50D内の
出力分布が形成され、燃料温度の平坦化が行われる。そ
の際、中央領域14の充填密度は低いので、照射開始時
に燃料の再組織化をもたらすことになり、その後は燃料
温度の平坦化が実現され、許容線出力の増加をもたら
す。これらの例においても、酸素ゲッター粒は添加され
る。
【0189】また、高速炉炉心に適用される核燃料要素
50Dで中央領域14に劣化ウラン粒を使用することも
可能である。構成は図11および図12に示すように、
中央領域14では粒サイズを基本的には3種類とし、充
填密度を約85%以上と高める。この場合はウラン酸化
物粒燃料だけでなく金属ウラン粒も利用することによ
り、親物質の充填率を増加させ、転換比を高めることが
できる。外側領域15の構成も充填密度が約85%以上
とするために3種類の粒サイズに分級された粒を利用す
る。
【0190】中性子断面積が小さく、MOX粒燃料の熱
伝導度よりも大きい熱伝導度をもつアルミナ粒を希釈物
質として混在させる。燃料製造工程の簡素化のために核
燃料要素内の領域によるPu富化度は同一とする。図1
1および図12に示すように中央領域14と外側領域1
5のいずれも粒子のスメア密度を約85%以上を達成す
るために、粒サイズを少なくとも3種類に分級されてい
る。
【0191】中央領域14では、この3種類のMOX粒
燃料は大粒子41を約60 vol%、中粒子42を約20
vol%とし、小粒子43はアルミナ粒を約20 vol%と
する。外側領域15では、3種類のMOX粒燃料は大粒
子44を約60 vol%、中粒子45を約20 vol%、小
粒子46を約10 vol%とする。この径方向2領域間の
MOX粒燃料の充填率の違いにより、出力密度の違い約
20 vol%をもたらし、同時に中央領域14の実効熱伝
導度が増大されているので、組織変化を生ずるための線
出力を増大させることになる。
【0192】中性子断面積が大きく、MOX粒燃料の熱
伝導度よりも大きい熱伝導度をもつ金属ウラン粒を中性
子吸収物質として混在させることができる。この場合燃
料製造工程の簡素化のために核燃料要素内の領域による
Pu富化度は同一とする。図11および図12に示すよ
うに中央領域14と外側領域15のいずれも粒子のスメ
ア密度を約85%以上を達成するために、粒子サイズを
3種類に分級されている。
【0193】中央領域では、3種類のMOX粒燃料は大
粒子41を約60 vol%、中粒子42を約20 vol%と
し、小粒子43はMOX粒燃料を約10 vol%と金属ウ
ラン粒を約10 vol%とする。
【0194】外側領域15では、3種類のMOX粒燃料
は大粒子44を約60 vol%、中粒子45を約20 vol
%、小粒子46の約10 vol%をMOX粒燃料と約10
vol%を金属ウランとする。これにより、出力密度の違
い約10 vol%と中央領域14および外側領域15の実
効熱伝導度が増大されているので、組織変化を生ずるた
めの線出力を増大させることになる。
【0195】中性子断面積が小さく、MOX粒の熱伝導
度よりも大きい熱伝導度をもつアルミナ粒等の希釈物質
を混在させると同時に、中性子吸収断面積の大きな金属
ウラン等の中性子吸収物質を混在させることもできる。
この場合燃料工程の簡素化のために要素内の領域による
Pu富化度は同一とする。図11および図12に示され
たように中央領域14と外側領域15のいずれも粒子の
スメア密度を約85%以上を達成するために、粒子サイ
ズを3種類に分級されている。
【0196】中央領域14では、この3種類のMOX粒
は大粒子41を約60 vol%、中粒子42を約20 vol
%とし、小粒子43はアルミナを約10 vol%と金属ウ
ラン粒を約10 vol%とする。外側領域15では、3種
類のMOX粒燃料は大粒子44を約60 vol%、中粒子
45を約20 vol%、小粒子46の約10 vol%をMO
X粒燃料と約10 vol%を金属ウランとする。これによ
り、出力密度の違い約10 vol%と中央領域14および
外側領域15の実効熱伝導度が増大されているので、組
織変更時に生ずるための最大許容線出力を増大させるこ
とになる。
【0197】次に、本発明に係る核燃料要素60の第2
実施形態を図15を参照して説明する。
【0198】図15に示された核燃料要素60は、軽水
炉用あるいは高速炉用燃料として適用される。この核燃
料要素60は図1に示された核燃料要素10と構造的に
異ならないので同じ構成には同一符号を付して説明す
る。図15に示された核燃料要素60は、中央領域14
に核燃料物質あるいは親物質を含まない非燃料物質が配
置される。中央領域14の外側領域15には、粒状ウラ
ン酸化物燃料、粒状プルトニウム酸化物燃料あるいは粒
状ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX粒燃
料)が充填され、密封される。
【0199】図15に示された核燃料要素60は、金属
被覆管(燃料被覆管)12である外側被覆管11内に内
側被覆管12が収容されて径方向2領域化され、中央領
域14と周辺領域15に区画される。内側被覆管12は
領域分割用内管として薄肉構造体で形成される。
【0200】ウラン酸化物燃料を使用した核燃料要素6
0は軽水炉用燃料として構成され、軽水炉炉心に装荷さ
れる。この核燃料要素60は径方向2領域化された外側
領域15に粒状のウラン酸化物燃料(粒状UO2 燃料)
が充填され、中央領域14に水素化ジルコニウムのペレ
ット61(図16(A))あるいは水素化ジルコニウム
の粒(図16(B)および(C))を充填させる。中央
領域14には水素ができるだけ安定して大量に入ること
が望ましい。図16(D)は中央領域14を中空とした
例を示す。
【0201】水素化ジルコニウムは、それ自体の温度が
700℃を超えると、水素の解離現象が生じるので、中
央領域14を低温に保つ必要がある。そのために、外側
領域15の発熱が制約される。外側領域15は、粒状ウ
ラン酸化物燃料とバーナブルポイズンの混合体、または
粒状ウラン酸化物燃料とアルミナの様な高熱伝導度希釈
物質粒との混合燃料が使用されている。これにより水対
ウラン比を調整することができる点がメリットがある。
【0202】また、中央領域14に燃料物質や親物質を
含まない非燃料物質として、融点が高いシリコンカーバ
イト(SiC)のような散乱減速物質から構成すること
もできる。SiCの配置例は図15の(B)または
(C)とする。この核燃料要素60は軽水炉用燃料の減
速材とウラン比の調整に利用でき、高燃焼度化燃料の構
造をウォーターロッド領域の減少、部分長さロッドの減
少等の単純化することに寄与する。
【0203】次に、図15に示された核燃料要素60A
を高速炉用燃料として用いた例を説明する。
【0204】この場合には、核燃料要素60Aには、粒
状プルトニウム酸化物燃料(またはMOX粒燃料)が用
いられる。核燃料要素60Aは径方向2領域化され、外
側領域15に粒状プルトニウム酸化物燃料(またはMO
X粒燃料)が充填され、中央領域14に非燃料物質とし
て融点が高いSiCのような散乱減速物質(減速材)が
充填される。この構成により中性子スペクトルを軟らか
くすることができる。この核燃料要素60Aにおける中
央領域14の構成は、図16(B)および(C)に示す
ように粒状散乱減速物質(減速材)が充填される。充填
密度は粒径が異なる散乱減速物質を充填した図16
(B)の方が同一粒径を充填させた図16(C)に示さ
れたものより高い。中央領域14にこれらの減速材を配
置することにより燃料のドップラー効果を増加させる効
果がある。
【0205】また、モリブデン(Mo)のような高融点
金属(配置は図16(A)に示すペレット61)または
Mo酸化物粒(配置は図7(B)または(C)に示す充
填構成)を中央領域14に入れる。このことにより、M
oがもつドップラー効果を補強することができる。ま
た、鉄(Fe)金属またはFe酸化物粒を使用すること
もできる。このような構造材核種のドップラー効果への
寄与例を表4に示す。
【0206】
【表4】
【0207】この表は、600MWe級のウラン不使用
型ナトリウム冷却炉で、核燃料は窒化アルミニウムAl
N(N15)を母材とするPuN(N15)燃料を使用
している高速炉体系に対する特性を示すものである。M
o粒またはFe粒を核燃料要素60A中で一様に振動充
填した高速炉炉心体系のドップラー係数とナトリウムボ
イド反応度を示している。比較対象はMo酸化物粒また
はFe酸化物粒を含まない体系である。平衡サイクルの
特性である。燃料温度とほぼ同一の場合はドップラー反
応度は大きくなることが分かる。ただし、核燃料要素を
径方向2領域に分割した分割領域の場合、構造材核種の
MoまたはFeの温度変化の絶対値は、前記の燃料中に
一様混在の場合より少なくなる。したがって、Moまた
はFe構造材を非均質配置する場合は、U238 の混合の
場合よりは効果は半減するが、それでもウラン不使用炉
心として、負のフィードバック係数を増強することが分
かる。
【0208】このように、粒状PuO2 燃料を備えた核
燃料要素60Aを高速炉用燃料として用い、核燃料要素
60A内を径方向2分割し、外側領域15に粒状PuO
2 燃料を、中央領域14に燃料物質や燃料親物質を含ま
ない非燃料物質として、融点が高いSiCのような散乱
減速物質を充填させる構成とすることにより、中性子ス
ペクトルを軟らかくし燃料のドップラー効果を増大させ
る効果がある。Moのような高融点金属を中央領域14
に粒子状態に入れることにより、Moがもつドップラー
効果を補強することができる。
【0209】Pu燃焼炉心用の核燃料要素60Aの中央
領域14は図15(D)のように空隙部分を設けること
は、燃料体積比を低減することにつながる。特に、ウラ
ン不使用型高速炉スペクトルの場合では、ウランを使用
しないことにより臨界性がよいので燃料密度を低減する
ことは重要である。しかも、燃料密度は大幅に低減する
必要がある。中央領域14に空隙領域を配置する場合
は、外側領域15においては、プルトニウム酸化物粒だ
けでなく、前述のように親物質・熱伝導度の大きい希釈
物質、中性子吸収物質、中性子減速物質などとの混合状
態で充填されたものを使用することにより、炉心設計目
標に合わせた振動充填燃料として選択することができ
る。
【0210】次に、MOX粒燃料を充填した核燃料要素
60Bを軽水炉に適用する場合を説明する。
【0211】軽水炉に適用されるMOX粒燃料を充填し
た核燃料要素60Bは、径方向2領域化され、外側領域
15にMOX粒燃料を、中央領域15に非燃料物質とし
て、中性子減速物質である水素化ジルコニウムペレット
61(図16(A)参照)または水素化ジルコニウム粒
(図16(B)もしくは(C)をそれぞれ充填させる。
中央領域14に水素ができるだけ安定して大量に入るこ
とが望ましい。
【0212】水素化ジルコニウムは、温度が約700℃
を超えると、水素の解離が生ずるので低温に保つ必要が
ある。そのために、外側領域15の発熱が制約される。
外側領域15は、MOX粒燃料とバーナブルポイズンの
混合体、またはMOX粒燃料とアルミナの様な高熱伝導
度希釈物質粒との混合燃料が使用される。これにより水
対ウラン比を調整することができる点がメリットがあ
る。
【0213】また中央領域14に燃料物質や親物質を含
まない非燃料物質として、融点が高いSiCのような散
乱減速物質を、図15(B)または(C)で示すように
充填させる。この構成により軽水炉燃料の減速材とウラ
ン比の調整に利用でき、高燃焼度化燃料の構造をウォー
ターロッド領域の減少、部分長さロッドの減少等の単純
化することに寄与することは粒状ウラン酸化物燃料を充
填した核燃料要素の場合と同様である。
【0214】高速炉体系で、図15に示す中央領域14
を空隙とする構造は、MOX粒燃料を充填した核燃料要
素と組合せて、Pu同位体組成比の変動による反応度の
調整のために使用される。即ち、核分裂性元素の量が多
い場合は、中央領域14の中空部を大きくし、核分裂性
元素の量が少ない場合は、中空部を小さくする。これに
より、Pu同位体組成比が変動する原料をもとに核燃料
をつくる場合に、Pu富化度を一定とし内管のサイズと
の組合せをすることにより、工程のなかで手間を増加さ
せずに炉心設計に対応できる範囲が広がるメリットがあ
る。
【0215】中央領域14に空隙領域を配置する場合
は、外側燃料配置領域15においてはプルトニウム酸化
物粒子だけでなく、前述のように親物質・熱伝導度の大
きい希釈物質、希釈物質、中性子吸収物質などとの混合
状態で充填されたものを使用するだけでなく、インベン
トリーの調整などを行うためにしようとすることができ
る。
【0216】ウラン・プルトニウム酸化物燃料において
径方向を2領域化する場合、中央領域14を空隙化する
ことにより、高速炉・軽水炉のいずれに対しても、プル
トニウム燃料の原料となるPuの同位体組成比(Am2
41も含む)は、各原料ロット間で同一の値であること
はほとんどない。しかし、燃料製造の簡素化の観点から
はPu同位体組成比の変動によらずPu富化度はできる
だけ同一とすることがひとつの方策である。これを実現
するために中央領域14を空隙化することによる燃料製
造簡素化が可能となる。外側領域15のPu富化度をマ
クロ的に見ると同一とする振動充填燃料で、核分裂性物
質のインベントリーを同一とする様に、中央領域14の
部分のサイズを調整することにより行うことができる。
【0217】中央領域14の空隙部を分割するための内
部管である領域分割用内管12の外径をいくつか用意す
ることにより、調整範囲を確保する。この部分は複雑に
なるが、燃料のPu富化度調整工程は大幅に簡素化され
る点については変りはない。
【0218】図17は、本発明に係る核燃料要素65の
第3実施形態を示すものである。
【0219】この実施形態に示された核燃料要素65
は、軽水炉用燃料あるいは高速炉用燃料として適用され
る。図1に示された核燃料要素10と同じ構成には同一
符号を付して説明を省略する。
【0220】図17に示された核燃料要素65は、金属
被覆管11内の少なくとも1箇所、例えば中間部分67
を局所的径方向2領域化構造としたものである。この核
燃料要素65は、燃料被覆管である長尺の外側金属被覆
管11内に短尺の内側被覆管12を収容し、この内側被
覆管12を仕切りスペーサを兼ねる仕切りペレット(仕
切りディスク)66により保持し、核燃料要素65内を
軸方向に沿って局所的に径方向2領域化したものであ
る。金属被覆管11内の中間部分67を径方向2領域化
し、中央領域14と周辺領域15とを形成したものであ
る。
【0221】核燃料要素65内の軸方向分割は、内側被
覆管12上下に配置される仕切ペレット66により行な
われ、径方向2領域された中間部分67と径方向2領域
化していない上部および下部部分68,69とに区画さ
れる。中間部分67の径方向2領域は内側被覆管12に
より行なわれる。内側被覆管12は局所領域分割用内管
として薄肉構造材で形成される。
【0222】核燃料要素65において径方向2領域化部
分の軸方向長さが、所要の燃料部分長さとなるように、
内管被覆管12の管長が適宜設定される。核燃料要素6
5の中間部分を局所的に径方向2領域化することにより
核燃料要素65の多様化が図れ、各種の燃料組成・炉型
に対して有効である。核燃料要素65内を局所的に径方
向2領域化することで、径方向2領域化されていない一
様な核燃料要素に対し、炉心の経済性、安全に関わる特
性改善を図ることができる。
【0223】核燃料要素65内の径方向2領域化された
中間部分67には、粒状の燃料物質(UO2 燃料、Pu
2 燃料、MOX燃料)、燃料親物質、非燃料物質(希
釈物質、中性子吸収物質、中性子減速物質)が最適化条
件で振動充填される一方、核燃料要素65の径方向2領
域化されない径方向一様領域の上部および下部部分6
8,69に粒状燃料物質や燃料親物質が充填される。こ
の上部および下部部分68,69にも必要に応じて非燃
料物質が混在され、充填される。このように、核燃料要
素65内に局所的な径方向2領域化部分を形成するよう
な、軸方向多分割も、炉心の最適化条件と合せて有効と
なる。
【0224】図18乃至図20は本発明に係る核燃料要
素の第3実施形態における第1実施例乃至第3実施例を
示すものである。
【0225】図18に示された核燃料要素65Aの第1
実施例は、下部部分69に内側被覆管12を収容させて
径方向2領域化し、中央領域14とその外側領域の周辺
領域15とに区画したものである。
【0226】図19に示された核燃料要素65Bの第2
実施例は、上部および下部部分68,69に内側被覆管
をそれぞれ収容させて径方向2領域化し、中央領域14
と外側領域15とにそれぞれ区画したものである。
【0227】図20に示された核燃料要素65Cの第3
実施例は、上部部分68に内側被覆管12を収容させて
径方向2領域化し、中央領域14と外側領域15とに区
画したものである。
【0228】図18乃至図20に示された核燃料要素6
5A,65B,65C内の部分には内側被覆管12が介
装されておらず、径方向2領域化されていない。径方向
2領域化部分と径方向2領域化されていない部分との仕
切りは、仕切ペレット66により行なわれる。
【0229】図17乃至図20に示されたように核燃料
要素65,65A,65B,65Cの軸方向に限られた
限定領域に、所要の軸方向長さ分だけ、径方向2領域化
することにより、核燃料要素の多様化を図ることができ
る。
【0230】図21は、本発明に係る核燃料要素の第4
実施形態を示す縦断面図である。
【0231】この実施形態に示された核燃料要素70は
軽水炉用あるいは高速炉用燃料として用いられる。この
核燃料要素70の全体的構成は図17に示された核燃料
要素65と実質的に同一であるので、同一部分には同じ
符号を付して説明を省略する。
【0232】図21に示された核燃料要素70は、燃料
被覆管である外側被覆管11内を上下に間隔をおいて仕
切スペーサーである仕切りペレット66で上部部分6
8、中間部分67および下部部分69に区画し、中間部
分67に外側被覆管11より短尺の内側被覆管12を収
容して径方向2領域化したものである。中間部分67は
領域分割用内容である短尺の内側被覆管12により中央
領域14とその外側領域である周辺領域15とに区画さ
れ、中央領域14には、燃料物質または燃料親物質を含
まない非燃料物質が充填されたものである。
【0233】しかして、核燃料要素70の上部および下
部部分68,69ならびに中間部分67の周辺領域15
には、粒状UO2 燃料、粒状PuO2 燃料あるいは粒状
MOX燃料(MOX粒状燃料)等の粒状燃料物質が充填
される。この粒状燃料物質は粒状の希釈物質、中性子吸
収物質あるいは中性子減速物質と適宜混合せしめられて
充填される。
【0234】図21に示された核燃料要素70は、中央
領域14に燃料物質または燃料親物質を含まない非燃料
物質を充填させた例であり、軽水炉または高速炉用燃料
として適用できる。非燃料物質を充填させた中央領域1
4を核燃料要素70の軸方向に限られた領域に限定し、
所要の軸方向長の中央領域14を形成することにより、
核燃料要素70を多様化させることができる。
【0235】図22乃至図24は本発明に係る核燃料要
素70Aの第4実施形態における第1実施例乃至第3実
施例を示すものである。
【0236】図22に示された核燃料要素70Aの第1
実施形態は、下部部分69に内側被覆管12を収容させ
て径方向2領域化し、中央領域14とその外側領域の周
辺領域15とに区画したものである。この場合にも、中
央領域14には、燃料物質や親物質を含まない非燃料物
質が充填される。
【0237】図23に示された核燃料要素70Bの第2
実施例は、上部および下部部分68,69に内側被覆管
12が収容されて径方向2領域化し、中央領域14と外
側領域15との区画したものである。この場合にも、中
央領域14に燃料物質や燃料親物質を含まない非燃料物
質が充填される。
【0238】図24に示された核燃料要素70Cの第3
実施例は、上部部分68に内側被覆管12を収容させて
径方向2領域化し、中央領域14と外側領域15とに区
画したものである。この場合にも、中央領域14に燃料
物質や燃料親物質を含まない非燃料物質が充填される。
【0239】図21乃至図24に示された核燃料要素7
0〜70Cの他の部分には、内側被覆管12が介装され
ておらず、径方向の2領域化されていない。径方向2領
域化部分と径方向2領域化されていない部分との仕切り
は仕切スペーサを兼ねる仕切ペレット66により行なわ
れる。この場合にも、核燃料要素70〜70Cの多様化
を図ることができる。
【0240】なお、本発明に係る核燃料要素の各実施態
様においては、種々の核燃料要素を説明したが、これら
の核燃料要素は燃料集合体の全体に使用せず、燃料集合
体を構成する構成の一部として利用することもでき、ま
た、種々の核燃料要素を1つの燃料集合体内に組み合せ
て用いることもできる。
【0241】また、本発明に係る核燃料要素の実施形態
においては、粒状酸化物形態の燃料を使用した例を説明
したが、酸化物形態の粒状燃料ではなく、窒化物形態の
粒状燃料にも容易に適用できる。ただし、酸化物と窒化
物とが混在した混在燃料の選択については、個別に検討
が必要である。さらに燃料物質に超ウラン元素が少なく
とも1つ入った粒状燃料についても同じ考え方が適用で
きる。
【0242】
【発明の効果】本発明に係る核燃料要素およびその製造
方法においては、金属被覆管内に領域分割用内管を収容
して中央領域と周辺領域に区画し、上記金属被覆管内に
粒状の燃料物質または燃料親物質を充填させ、密封させ
たので、充填される各種粒状物質の核熱的特徴を考慮
し、振動充填の特徴を充分に活用し、燃料製造工程を複
雑化することなく、種々の燃料仕様に対応でき、柔軟で
自由度の高い核燃料要素を安価に提供することができ
る。
【0243】本発明に係る核燃料要素においては、金属
被覆管内の中央領域および周辺領域に充填される粒状燃
料物質もしくは燃料親物質、または非燃料物質の種類、
粒径、混在割合を種々選択することで燃料製造工程を複
雑化することなく、多様な核燃料要素を簡単かつ容易に
製造でき、軽水炉用燃料あるいは高速炉用燃料としてウ
ラン資源有効利用のための燃料サイクル全体に共通して
使用できる。
【0244】本発明に係る核燃料要素においては、金属
被覆管内を領域分割用内管で中央領域と周辺領域とに区
画し、上記金属被覆管内に充填される粒状の燃料物質
(ウラン酸化物燃料、プルトニウム酸化物燃料、または
ウラン・プルトニウム酸化物燃料)、燃料親物質および
非燃料物質(希釈物質や中性子吸収物質、中性子減速物
質)の各種類および粒径を適宜選択して振動充填させる
ことにより、原子炉役割の多様化に柔軟に対応でき、燃
料仕様変更への対応が容易となる。
【0245】さらに、本発明に係る核燃料要素において
は、粒状燃料物質や粒状非燃料物質(希釈物質、中性子
吸収物質、中性子減速物質)の核熱的特徴を考慮する一
方、領域分割用内管の管径を金属被覆管の管径との関係
で適宜選択し、粒状物質の振動充填の特徴を積極的に活
用することで、粒状燃料物質のウラン濃縮度等を同一に
保って多様で自由度の高い核燃料要素を簡単かつ容易に
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る核燃料要素の第1実施形態を示す
簡略化した縦断面図。
【図2】図1のII−II線に沿う平断面図。
【図3】原子炉出力上昇時における新燃料中の最高温度
変化を示す図。
【図4】図1に示された核燃料要素の変形例を示す平断
面図。
【図5】本発明に係る核燃料要素に粒状燃料物質等粒状
物質を振動充填させる粒状物質充填装置を示す縦断面
図。
【図6】図5に示された粒状物質充填装置を示す平面
図。
【図7】本発明に係る核燃料要素の第1実施形態におけ
る第1実施例を示す縦断面図。
【図8】(A)は図7の中央領域(A部)の充填態様を
示す拡大図、(B)は図7の周辺領域(B部)の充填態
様を示す拡大図。
【図9】本発明に係る核燃料要素の第1実施形態におけ
る第2実施例を示す縦断面図。
【図10】(A)は図9の中央領域(A部)の充填態様
を示す拡大図、(B)は図9の周辺領域(B部)の充填
態様を示す拡大図。
【図11】本発明に係る核燃料要素の第1実施形態にお
ける第3実施例を示す縦断面図。
【図12】(A)は図11の中央領域(A部)の充填態
様を示す拡大図。(B)は図11の周辺領域(B部)の
充填態様を示す拡大図。
【図13】本発明に係る核燃料要素の第1実施形態にお
ける第4実施例を示す図。
【図14】(A)および(B)は図13の中央領域(A
部)および周辺領域(B部)の充填態様をそれぞれ示す
拡大図。
【図15】本発明に係る核燃料要素の第2実施形態を示
す縦断面図。
【図16】(A)、(B)、(C)および(D)は図1
5に示された中央領域(A部、B部、C部およびD部)
の各態様を示す拡大図。
【図17】本発明に係る核燃料要素の第3実施形態を示
す縦断面図。
【図18】本発明に係る核燃料要素の第3実施形態にお
ける第1実施例を示す縦断面図。
【図19】本発明に係る核燃料要素の第3実施形態にお
ける第2実施例を示す縦断面図。
【図20】本発明に係る核燃料要素の第3実施形態にお
ける第3実施例を示す縦断面図。
【図21】本発明に係る核燃料要素の第4実施形態を示
す縦断面図。
【図22】本発明に係る核燃料要素の第4実施形態にお
ける第1実施例を示す縦断面図。
【図23】本発明に係る核燃料要素の第4実施形態にお
ける第2実施例を示す縦断面図。
【図24】本発明に係る核燃料要素の第4実施形態にお
ける第3実施例を示す縦断面図。
【図25】粒状燃料要素とペレット燃料要素の燃料製造
工程を比較して示す図。
【図26】従来の核燃料要素を示す縦断面図。
【図27】従来の核燃料要素の他の例を示す縦断面図。
【図28】図27のX−X線に沿う断面図。
【図29】従来の核燃料要素のさらに他の例を示す部分
的な断面図。
【符号の説明】
10,10A 核燃料要素 11 外側被覆管(金属被覆管、燃料被覆管) 12,12A 内管(領域分割用内管) 13 間隔スペーサ 14 中央領域 15 周辺領域(外側領域) 16 下部端栓 17 上部端栓 18 抑えばね 19 抑えディスク(押圧手段) 20 粒状物質充填装置 21 振動台 22 二重管ホッパ 23 外側ホッパ 24 内側ホッパ 25,26 ガイド筒 27 中間ガイド筒 30,33 大粒子 31,34 中粒子 32,35 小粒子 40,40A,40B,40C,40D 核燃料要素 41,44 大粒子 42,45 中粒子 43,46 小粒子 50A,50B,50C,50D 核燃料要素 60,60A,60B 核燃料要素 61 ペレット 65,65D,65B,65C 核燃料要素 66 仕切りペレット(仕切りスペーサ) 67 中間部分 68 上部部分 69 下部部分 70,70A,70B,70C,70D 核燃料要素

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属被覆管内に粒状の燃料物質または燃
    料親物質を充填し、密封した核燃料要素において、上記
    金属被覆管内に中央領域と周辺領域とに分割する領域分
    割用内管を収容したことを特徴とする核燃料要素。
  2. 【請求項2】 金属被覆管内に粒状ウラン酸化物燃料が
    充填されており、この粒状ウラン酸化物燃料は中央領域
    と周辺領域でウラン235充填率が異なるように分割さ
    れて充填された請求項1に記載の核燃料要素。
  3. 【請求項3】 金属被覆管内に粒状ウラン酸化物燃料と
    融点が高く中性子吸収断面積の小さな非燃料物質が混在
    して充填されており、前記粒状ウラン酸化物燃料と非燃
    料物質との混在割合が、金属被覆管内の中央領域と周辺
    領域とで異なるように充填された請求項1に記載の核燃
    料要素。
  4. 【請求項4】 金属被覆管内に粒状ウラン酸化物燃料と
    融点が高く中性子吸収断面積の大きな非燃料物質である
    中性子吸収物質とが混在して充填されており、前記粒状
    ウラン酸化物燃料と中性子吸収物質との混在割合が金属
    被覆管内の中央領域と周辺領域とで異なるように充填さ
    れた請求項1に記載の核燃料要素。
  5. 【請求項5】 金属被覆管内に粒状ウラン酸化物燃料と
    ともに融点が高く中性子吸収断面積の大きな中性子吸収
    物質と中性子吸収断面積の小さな非燃料物質とが混在し
    て充填されており、前記中性子吸収物質と非燃料物質と
    の混在割合が金属被覆管内の中央領域と周辺領域とで異
    なるように充填された請求項1に記載の核燃料要素。
  6. 【請求項6】 金属被覆管内にウラン不使用の粒状プル
    トニウム酸化物燃料が充填されており、このプルトニウ
    ム酸化物燃料のプルトニウム充填率が金属被覆管内の中
    央領域と周辺領域で異なるように分割して充填された請
    求項1に記載の核燃料要素。
  7. 【請求項7】 金属被覆管内にウラン不使用の粒状プル
    トニウム酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面
    積の小さな非燃料物質が混在して充填されており、前記
    粒状プルトニウム酸化物燃料と非燃料物質の混在割合が
    金属被覆管の中央領域と周辺領域とで異なるように充填
    された請求項1に記載の核燃料要素。
  8. 【請求項8】 金属被覆管内にウラン不使用の粒状プル
    トニウム酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面
    積の大きな非燃料物質である中性子吸収物質が混在して
    充填されており、前記粒状プルトニウム酸化物燃料と中
    性子吸収物質の混在割合が、金属被覆管内の中央領域と
    周辺領域とで異なるように充填された請求項1に記載の
    核燃料要素。
  9. 【請求項9】 金属被覆管内にウラン不使用の粒状プル
    トニウム酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面
    積の大きな中性子吸収物質および中性子吸収断面積の小
    さな非燃料物質が混在して充填されており、前記中性子
    吸収物質と非燃料物質の混在割合が、金属被覆管内の中
    央領域と周辺領域とで異なるように充填された請求項1
    に記載の核燃料要素。
  10. 【請求項10】 金属被覆管内に粒状ウラン・プルトニ
    ウム混合酸化物燃料が充填されており、このウラン・プ
    ルトニウム混合酸化物燃料の充填率は金属被覆管の中央
    領域と周辺領域で異なるように充填された請求項1に記
    載の核燃料要素。
  11. 【請求項11】 金属被覆管内に粒状ウラン・プルトニ
    ウム混合酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面
    積の小さな非燃料物質が混在されて充填されており、前
    記粒状ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料と非燃料物
    質との混在割合が金属被覆管内の中央領域と周辺領域で
    異なるように充填された請求項1に記載の核燃料要素。
  12. 【請求項12】 金属被覆管内に粒状ウラン・プルトニ
    ウム混合酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面
    積が大きな中性子吸収物質が混在して充填されており、
    前記粒状ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料と中性子
    吸収物質との混在割合は、金属被覆管内の中央領域と周
    辺領域で異なるように充填された請求項1に記載の核燃
    料要素。
  13. 【請求項13】 金属被覆管内に粒状ウラン・プルトニ
    ウム混合酸化物燃料とともに融点が高く中性子吸収断面
    積の大きな中性子吸収物質および中性子吸収断面積の小
    さな非燃料物質とが混在して充填されており、前記中性
    子吸収物質と非燃料物質との混在割合は、金属被覆管内
    の中央領域と周辺領域で異なるように充填された請求項
    1記載の核燃料要素。
  14. 【請求項14】 金属被覆管内の中央領域に燃料物質な
    いし燃料親物質を含まない非燃料物質が配置され、金属
    被覆管の周辺領域に粒状ウラン酸化物燃料、粒状プルト
    ニウム酸化物燃料または粒状ウラン・プルトニウム混合
    酸化物燃料が充填された請求項1に記載の核燃料要素。
  15. 【請求項15】 金属被覆管内に収容される領域分割用
    内管は薄肉内筒状に形成され、上記領域分割用内管には
    間隔スペーサが放射状に突出して設けられた請求項1に
    記載の核燃料要素。
  16. 【請求項16】 下部端栓で下部が密着され、内部に領
    域分割用内管を収容した金属被覆管を振動台上に設置す
    る一方、上記領域分割用内管を収容した金属被覆管の上
    部開放側から二重構造のホッパを嵌合させ、この二重構
    造のホッパを利用して金属被覆管の中央領域と周辺領域
    に粒状燃料物質もしくは燃料親物質ならびに非燃料物質
    を振動台を稼動させながら混在状態で充填させ、この充
    填後に前記領域分割用内容をばね付勢された押圧手段で
    下部端栓側に押圧させた状態で上部端栓を上部に密着す
    ることを特徴とする核燃料要素の製造方法。
  17. 【請求項17】 金属被覆管内に粒状の燃料物質または
    燃料親物質を充填し、密封した核燃料要素において、上
    記金属被覆管内に中央領域と周辺領域とに分割する短尺
    の領域分割用内管を収容し、金属被覆管内に局所的に形
    成される径方向2領域部分を、少なくとも1ヶ所金属被
    覆管の軸方向に沿って設けたことを特徴とする核燃料要
    素。
  18. 【請求項18】 金属被覆管の径方向2領域部分に粒状
    の燃料物質または燃料親物質と、融点が高く中性子吸収
    断面積の大きな中性子吸収物質および中性子断面積の小
    さな非燃料物質の少なくとも一方とが混在して充填され
    た請求項17に記載の核燃料要素。
  19. 【請求項19】 金属被覆管の径方向2領域部分の中央
    領域に燃料物質ないし燃料親物質を含まない非燃料物質
    が配置され、周辺領域および径方向2領域部分以外の領
    域に粒状ウラン酸化物燃料、粒状プルトニウム酸化物燃
    料または粒状ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料が充
    填された請求項17に記載の核燃料要素。
  20. 【請求項20】 請求項1乃至15および請求項17乃
    至19のいずれかに記載の核燃料要素を燃料集合体を構
    成する燃料要素の一部としたことを特徴とする燃料集合
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100963472B1 (ko) 2008-04-17 2010-06-17 한국원자력연구원 금속 핵연료 입자가 봉입된 금속 시스를 포함하는금속핵연료봉 및 이의 제조방법
CN110875096A (zh) * 2018-09-03 2020-03-10 Aa博奇瓦尔无机材料高新技术研究股份公司 核反应堆燃料元件
JP2021096080A (ja) * 2019-12-13 2021-06-24 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 高速炉用の燃料集合体、高速炉の炉心及び核燃料要素の製造方法

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JP2021096080A (ja) * 2019-12-13 2021-06-24 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 高速炉用の燃料集合体、高速炉の炉心及び核燃料要素の製造方法

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