JPH10282125A - カンチレバー及びそれを用いた走査型プローブ顕微鏡並びに試料観察方法 - Google Patents

カンチレバー及びそれを用いた走査型プローブ顕微鏡並びに試料観察方法

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JPH10282125A
JPH10282125A JP9102621A JP10262197A JPH10282125A JP H10282125 A JPH10282125 A JP H10282125A JP 9102621 A JP9102621 A JP 9102621A JP 10262197 A JP10262197 A JP 10262197A JP H10282125 A JPH10282125 A JP H10282125A
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JP
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signal
cantilever
lever portion
probe
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JP9102621A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Nakagiri
伸行 中桐
Hiroyuki Sugimura
博之 杉村
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 観察すべき試料に制約を与えずに、ジャンプ
インの発生を防止しつつ、探針と試料表面との間の距離
に応じた探針と試料表面との間の相互作用力を直接に精
度良く得る。 【解決手段】 カンチレバー1は、コイル層が形成され
たレバー部1bを備える。コイル5に電流供給部6から
所定電流が流されて、探針1aの付近に外部磁場が発生
される。撓み制御部11は、信号処理回路10からのレ
バー部1bの撓み量を示す撓み検出信号に基づいて、レ
バー部1bの撓み量がゼロとなるように、レバー部1b
のコイル層に制御信号を与える。スキャナ制御部7が駆
動信号をチューブ型スキャナ4に与え、徐々に試料3を
カンチレバー1の探針1aに近づけた後に探針1aから
遠ざけていく。このプロセス中、データ作成部12は、
スキャナ制御部7からスキャナ制御部5に与えられる駆
動信号と、撓み制御部11から前記コイル層に与えられ
る制御信号とを、互いに関連づけて順次取り込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走査型プローブ顕
微鏡用カンチレバー及びそれを用いた走査型プローブ顕
微鏡、並びに、探針と試料表面との間に働く力の距離依
存を計測したり試料の局所的な力学的特性を計測したり
することによって試料を観察する試料観察方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、急速に進歩している走査型プロー
ブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope; SPM)は、表面
の様々な物理特性を原子レベルの分解能で観測できる顕
微鏡として非常に注目を集めている。
【0003】走査型プローブ顕微鏡のうちでも、走査型
力顕微鏡(Scanning Force Microscope)は、現在派生
している様々な走査型プローブ顕微鏡の基礎をなす最も
基本的な走査型プローブ顕微鏡である。
【0004】走査型力顕微鏡は、試料表面と探針(プロ
ーブ)とを例えば数オングストロームから数百ナノメー
トル程度に近づけると、試料表面と探針との間の距離に
対して非常に敏感な原子間力(van der Waals力)や磁
気力や静電気力等の相互作用力が働くことを利用した顕
微鏡である。特に原子間力を利用したものを原子間力顕
微鏡、特に磁気力を利用したものを磁気力顕微鏡、特に
静電気力を利用したものを静電気力顕微鏡という。
【0005】走査型力顕微鏡では、先端側に探針を有す
るレバー部と該レバー部を支持する支持体とを備えたカ
ンチレバーが用いられる。前記レバー部として、通常、
非常に柔らかい(すなわち、バネ定数の小さい)可撓性
プレート(板バネ)が用いられる。
【0006】そして、従来の走査型力顕微鏡では、探針
と試料表面との間に作用する力を計測する場合、いわゆ
るフォースカーブを取るという方法が採用されている。
すなわち、従来の走査型力顕微鏡では、試料表面と略垂
直な方向(高さ方向)の試料に対するカンチレバーの支
持体の相対的な位置を変化させ、当該相対的な位置に応
じて、光てこ法等によりカンチレバーのレバー部の撓み
を計測する。カンチレバーのレバー部は探針と試料表面
との間に作用する力に応じて撓むので、カンチレバーの
レバー部の撓みは探針と試料表面との間の相互作用力に
対応している。
【0007】例えば、従来の原子間力顕微鏡の場合に
は、前記相対的な位置を変化させて探針を試料表面に近
づけていくと、まず初めに、試料と探針との間では引力
が働き、カンチレバーのレバー部が試料表面側に撓ん
で、レバー部が傾く。探針を試料表面に更に近づけてい
くと、試料表面と探針との間では斥力が働き、レバー部
は引力が働いた場合と逆に傾く。試料に対するカンチレ
バーの支持体の高さ方向の相対的な位置に応じて、この
レバー部の傾き(すなわち、撓み)を光てこ法等で検出
する。このようにすれば、光てこ法等で検出されたカン
チレバーの撓みは探針が受けた力に対応するので、探針
と試料表面との間に働く相互作用力の距離依存を検出す
ることができる。
【0008】このような従来の走査型力顕微鏡において
取得されるフォースカーブの例として、従来の原子間力
顕微鏡において取得されるフォースカーブについて、図
5を参照して具体的に説明する。
【0009】図5(a)は、探針と試料表面との間の距
離と、探針に作用する原子間力の大きさ及びカンチレバ
ーのレバー部のバネの力の大きさとの関係を示す図であ
る。図5(b)は、典型的なフォースカーブを模式的に
示す図である。すなわち、図5(b)は、試料表面に対
するカンチレバーの支持体の高さ方向の相対位置(図5
(b)の例では、レバー部が撓んでいないと仮定した場
合の、探針と試料表面との間の距離として示してい
る。)と、カンチレバーのレバー部の撓み量との関係を
示す図である。図5(a)中のA〜Gと図5(b)中の
A〜Gとは、それぞれ同じ位置を表す。また、図5
(b)の経路A→B→C→Dは、探針を試料表面に接近
させたときに得られるフォースカーブであり、経路D→
E→F→Gは、探針を試料表面から遠ざけたときに得ら
れるフォースカーブである。
【0010】図5(a)の縦軸は、力の大きさで、正の
方向は斥力、負の方向は引力を表している。図5(a)
の横軸は、探針と試料表面との間の距離である。試料表
面と探針との間に働く力は、探針が試料表面に対して遠
く離れたところから近づくにつれて原子間力による引力
が働き、あるところから斥力が働く。また、カンチレバ
ーのバネの力は、探針が引力を受けると、カンチレバー
が試料表面側に撓むので、試料表面と探針との間の距離
は短くなり、斥力を受けると逆に試料表面と探針との間
の距離は長くなる。また、試料表面と探針とが相互作用
をしているときは、試料表面と探針との間に働く力とカ
ンチレバーのレバー部が受ける力とは釣り合っているの
で、図5(a)中の試料表面と探針との間で働く力とバ
ネの力との交点、すなわちA、B、C、・・・の位置に
探針は安定して存在することができる。一方、図5
(b)の縦軸は試料表面と探針との間で働く力として検
出したカンチレバーのレバー部の撓み量であり、図5
(b)の横軸は試料表面に対するカンチレバーの支持体
の高さ方向の相対位置である。この相対位置は、レバー
部が撓んでいないと仮定したときの探針と試料表面との
間の距離として示してあり、図5(a)のバネの力がゼ
ロの位置に対応する。以下、この相対位置をカンチレバ
ーの位置という。したがって、カンチレバーを試料表面
に近づけるというのは、図5(a)のバネの力に対応す
る直線を左から右に近づけていくことに対応し、交点の
位置での力の大きさが、カンチレバーのレバー部の撓み
となって図5(b)のように検出される。
【0011】この図5に示すように、探針を試料から十
分遠いA地点から探針を試料方向に近づけていくと、試
料表面と探針との間で、徐々に引力が働き、カンチレバ
ーのレバー部が撓んでいく。しかしながら、B地点を超
えてもっとカンチレバーを試料表面に近づけると、図5
(a)での釣り合う交点の位置が無くなり、次に安定な
C地点に不連続にジャンプする。これは、図5(b)で
は、探針が試料表面に吸い込まれてB地点からC地点に
ジャンプすることである。この現象は、ジャンプインと
呼ばれている。更に探針を押し込んでいくと、試料表面
と探針との間の引力は徐々に小さくなり、やがて斥力が
働き、カンチレバーは斥力が働くことにより、引力とは
逆の方向に撓んでいき、D地点に至る。
【0012】逆に、探針を試料表面に押し付けた状態か
ら、探針を試料表面から離していく場合は、初めのうち
は、試料と探針との間に働く斥力を受け、それが次第に
引力に変わっていく。通常、探針を接近させていったと
きに探針がジャンプインしたC地点を過ぎても、試料の
吸着力はカンチレバーのレバー部のバネの力と釣り合う
交点があり、すぐには試料から離れず、E地点までくっ
ついたままである。E地点を過ぎると、突然試料表面と
探針間で働く力とバネの力の交点が無くなり、安定なF
地点に移動する。図5(b)では、探針が試料を離れ、
F地点まで探針が戻ってしまう。F地点ではすでに、引
力がほとんど働かない領域に達しているので、その後
は、カンチレバーはほとんど撓まないままG地点に至
る。
【0013】このようなフォースカーブを利用すると、
試料表面の物性を詳細に理解することができる。具体的
には、図5(b)中のC−D間あるいはD−E間の直線
の傾きは、試料に探針を押し込んだときの斥力を示して
おり、これは、試料の弾性を表している。また、Eの地
点では、表面の吸着力とカンチレバーの撓み力とが釣り
合っているところであるので、E−F間の距離は、試料
と探針との吸着力を示している。このように、フォース
カーブを解析すれば、様々な表面の物性を計測すること
ができる。
【0014】しかしながら、前述したように試料表面と
探針との間の相互作用力をカンチレバーのレバー部の撓
み量として検出する場合は、カンチレバーのレバー部の
撓みによって探針の位置が移動してしまうため、光てこ
法から力信号として得られるレバー部の撓み量は、探針
がカンチレバーの位置に存在するときに作用する力では
なく、探針がレバー部の撓みによる探針の変位だけカン
チレバーの位置からずれた位置において作用する力を示
すことになる。したがって、図5(a)に示すような探
針と試料表面との間の距離に応じた相互作用力を知るた
めには、図5(b)に示すようなフォースカーブを得た
後、カンチレバーの位置を、相互作用力によって生ずる
カンチレバーのレバー部の撓みによる探針の変位を考慮
して、探針の位置に変換しなければならず、フォースカ
ーブから得られる物性の理解を複雑にしている。のみな
らず、このような変換は実際には精度良く行うことがで
きず、探針と試料表面との間に働く力の距離依存を精度
良く得ることはできない。すなわち、カンチレバーのレ
バー部の撓みによる探針の変位を正確に知ることができ
れば前記変換を精度良く行うことが可能であるが、カン
チレバーのレバー部の撓み量は通常用いられている光て
こ法ではレバー部の撓みによる探針の変位ではなくカン
チレバーのレバー部の角度変化であるため、レバー部の
撓みによる探針の変位がレバー部の角度変化に比例する
のは当該角度変化が十分に小さい場合に限られることか
ら、前記変換を精度良く行うことができない。
【0015】また、ジャンプインによって、B−C間の
領域での情報や、吸着力から離された時のE−F間の領
域での情報は欠落してしまい、これらの領域では、試料
表面と探針と相互作用力の大きさを調べることができな
いという問題がある。これは、レバー部のバネ定数を大
きくしてレバー部を堅くすれば、図5(a)中のバネの
力の直線の傾きが大きくなって交点の位置がジャンプし
なくなるので、ジャンプインや探針が離れるときのジャ
ンプをなくすことができる。しかし、レバー部のバネ定
数が大きいと、レバー部の撓み量が小さくなり、力計測
の感度が下がって微小な力を計測することができなくな
ってしまうため、カンチレバーのレバー部のバネ定数を
大きくすることはできない。
【0016】近年、これらの問題を解決するため、静電
気力や磁気力を用いて、カンチレバーのレバー部の撓み
と、試料表面との間の相互作用により探針が受ける力と
を分離して、フォースカーブを取る試みが行われてい
る。この走査型力顕微鏡では、探針に電荷あるいは永久
磁石による磁気を付与し、探針が静電気力あるいは磁気
力の作用を受けるようにしたものを用い、カンチレバー
のレバー部の撓み量を検出し、その検出信号に基づいて
カンチレバーのレバー部の撓み量がゼロとなるように探
針に静電気力あるいは磁気力を加えるフィードバック制
御を行う。このフィードバック制御により探針に加えた
静電気力あるいは磁気力は、探針に働く試料表面との間
の相互作用力と同じ大きさで方向が逆となり、両者は釣
り合う。このため、探針と試料表面との間の相互作用力
は、フィードバック制御により加えた静電気力又は磁気
力で検出することができる。このようにすれば、探針と
試料表面との間の相互作用力の大きさに関わらずカンチ
レバーのレバー部の撓みが常にゼロであるので、カンチ
レバーの位置と探針の位置とが常に一致する。したがっ
て、カンチレバーのレバー部の撓みを考慮した特別な変
換を行うことなく、探針と試料表面との間の距離に応じ
た探針と試料表面との間の相互作用力を直接に精度良く
得ることができる。また、カンチレバーのレバー部の撓
みが常にゼロであるので、前記ジャンプインが起こら
ず、探針と試料表面との間の距離の全ての領域において
探針と試料表面との間の相互作用力を計測することがで
きる。
【0017】また、従来の走査型力顕微鏡では、試料表
面の力学的特性を計測する場合、フォースモジュレーシ
ョンという方法が採用されている。この従来のフォース
モジュレーション法は、カンチレバーの探針を試料表面
に接触させた状態で、カンチレバーの支持体の高さ方向
の位置をそのまま保ったまま、試料の高さ方向の位置を
変調(振動)させ、その変調がカンチレバーの探針にど
のように伝達されるかを計測することによって、試料の
局所的な力学的特性を計測するものである。カンチレバ
ーの探針を試料表面に接触させた状態で、カンチレバー
の支持体の高さ方向の位置をそのまま保ったまま、試料
の高さ方向の位置を変調(振動)させると、試料の高さ
方向の位置の変位が試料を介して探針の高さ方向の位置
の変位となり、その探針の変位に応じてカンチレバーの
レバー部が撓み、レバー部の撓みに応じて生じたレバー
部のバネ力が探針から試料表面に加えられることにな
る。そして、試料表面は探針から受ける力によって当該
試料の弾性や粘性等の力学的特性に応じて変形する。し
たがって、探針が試料表面に加える力そのものを変調し
ているわけではないが、試料の高さ方向の位置の変調が
レバー部のバネ力の変調に変換され、その変調されたバ
ネ力が探針から試料表面に加えられ、それによる試料の
変形により探針の振動状態が決まる。よって、探針の振
動は、試料表面の力学的特性に応じて、試料の高さ方向
の位置の振動に対して、振幅と位相がずれる。これら
を、試料の高さ方向の位置を変調させる励振信号を参照
信号とするとともに光てこ法等によるレバー部の撓み検
出信号を入力信号としたいわゆるロックイン検出を行う
ことによって、検出すると、試料表面の局所的な弾性や
粘性に対応する物理量が計測できる。このフォースモジ
ュレーション法によれば、フォースカーブからの解析に
比べ、簡単かつ高速に試料の力学的特性を知ることがで
きる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、静電気
力や磁気力を用いてカンチレバーのレバー部の撓み量が
ゼロとなるようにフィードバック制御を行いつつ、探針
と試料表面との間の距離に対する探針と試料表面との間
の相互作用力を計測する前述した従来の走査型プローブ
顕微鏡では、前述したような利点が得られるものの、カ
ンチレバーに磁石を取り付けなければならず、再現性良
く量産することはできなかった。
【0019】また、前述したフォースモジュレーション
法を採用した従来の走査型プローブ顕微鏡では、前述し
たように力そのものを変調しておらず、試料の高さ方向
の位置の変調がレバー部のバネ力の変調に変換された上
でその変調されたバネ力が試料表面に加えられるので、
計測された探針の振動から試料表面の力学的特性を直接
導き出すことはできない。試料表面の力学的特性の絶対
的な評価を行うためには、得られた信号をカンチレバー
のレバー部の動力学的特性を考慮して換算しなければな
らない。しかし、カンチレバーのレバー部の動力学的特
性を正確に知ることは困難であるため、前記換算を精度
良く行うことはできない。このため、前述したフォース
モジュレーション法を採用した従来の走査型プローブ顕
微鏡は、試料表面の力学的特性の絶対的な評価には適し
ておらず、試料表面の力学的特性の相対的な評価手段に
留まっていた。
【0020】さらに、前述したフォースモジュレーショ
ン法を採用した従来の走査型プローブ顕微鏡では、試料
を振動させて試料の高さ方向の位置を変調させているの
で、大型の試料を振動させることが困難であることか
ら、小型の試料の力学的特性しか計測することができな
い。そこで、試料を振動させる代わりに、カンチレバー
の支持体の高さ方向の位置を変調(振動)させて探針を
振動させることが考えられる。この場合、カンチレバー
の支持体の高さ方向の位置を変調させる励振信号を参照
信号とするとともに光てこ法等によるレバー部の撓み検
出信号を入力信号としたロックイン検出を行うことによ
って、撓み検出信号中の当該励振信号と同一周波数成分
の振幅に応じた信号、及び、撓み検出信号中の当該励振
信号と同一周波数成分と当該励振信号との間の位相差に
応じた信号を、それぞれ試料表面の弾性及び粘性として
検出することになる。しかし、カンチレバーの支持体の
高さ方向の位置の振動はカンチレバーのレバー部のバネ
性を介して探針に伝達されるので、探針の振動は、支持
体の高さ方向の位置の振動に対して、レバー部のバネ性
に依存して周波数や位相が変化してしまう。したがっ
て、カンチレバーの支持体の高さ方向の位置を変調させ
る励振信号は、探針が試料表面に対して与える変調した
力を精度良く反映したものではない。このため、カンチ
レバーの支持体の高さ方向の位置を変調(振動)させて
探針を振動させる場合には、ロックイン検出により検出
された各信号は試料表面の弾性及び粘性を精度良く反映
したものとは言えず、試料表面の力学的特性を精度良く
計測することはできない。
【0021】さらにまた、前述したフォースモジュレー
ション法を採用した従来の走査型プローブ顕微鏡では、
試料の高さ方向の位置の変調がレバー部のバネ力の変調
に変換された上でその変調されたバネ力が試料表面に加
えられるので、試料の高さ方向の位置を変調させる励振
信号の周波数(したがって、試料表面に加える力の周波
数)は、カンチレバーのレバー部の共振周波数付近の周
波数に限定されてしまい、任意の周波数の力を試料表面
に加えることはできない。このため、試料の振動周波数
に対する特性を調べることはできない。
【0022】また、前述したフォースモジュレーション
法を採用した従来の走査型プローブ顕微鏡では、カンチ
レバーのレバー部のバネ力を試料表面に加えているの
で、レバー部のバネ定数が比較的小さいことから、試料
表面に大きな力を加えることができず、堅い試料表面に
ついては、力学的特性を計測することができなかった。
【0023】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
で、探針と試料表面との間の距離に応じた探針と試料表
面との間の相互作用力を直接に精度良く得ることがで
き、ジャンプインが発生せずに探針と試料表面との間の
距離の全ての領域において探針と試料表面との間の相互
作用力を計測することができ、しかも、カンチレバーの
構造が簡単で量産を図ることができる走査型プローブ顕
微鏡及び試料観察方法を提供することを目的とする。
【0024】また、本発明は、カンチレバーのレバー部
の力学的特性による換算を行うことなく試料表面の力学
的特性を直接に精度良く得ることができる走査型プロー
ブ顕微鏡及び試料観察方法を提供することを目的とす
る。
【0025】さらに、本発明は、試料が大型であっても
当該試料の力学的特性を精度良く計測することができる
走査型プローブ顕微鏡及び試料観察方法を提供すること
を目的とする。
【0026】また、本発明は、試料の振動周波数に対す
る特性についても調べることができる走査型プローブ顕
微鏡及び試料観察方法を提供することを目的とする。
【0027】さらにまた、本発明は、堅い試料表面であ
ってもその力学的特性を計測することができる走査型プ
ローブ顕微鏡及び試料観察方法を提供することを目的と
する。
【0028】また、本発明は、以上のような走査型プロ
ーブ顕微鏡において用いることができ、構造が簡単で再
現性良く量産することができるカンチレバーを提供する
ことを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第1の態様による走査型プローブ顕微鏡用
カンチレバーは、探針を先端側に有するレバー部と該レ
バー部を支持する支持体とを備えた走査型プローブ顕微
鏡用カンチレバーにおいて、前記レバー部にコイル層が
形成されたものである。
【0030】この第1の態様によるカンチレバーによれ
ば、レバー部のコイル層の付近に外部磁場を発生させ、
レバー部のコイル層に電流を流すと、外部磁場と前記コ
イル層に流れる電流により生ずる磁界との間の相互作用
により働く力がレバー部のコイル層に作用する。したが
って、外部磁場の大きさ及びレバー部のコイル層に流れ
る電流の大きさの少なくとも一方を変えると、レバー部
のコイル層に作用する力を制御することができ、レバー
部の撓みを制御したり探針が試料表面に接触した状態に
おいて探針から試料表面に加える力を制御することがで
きる。そして、前記第1の態様によるカンチレバーは、
レバー部にコイル層を形成したものであるため、当該コ
イル層はパターニングした金属膜等により構成すること
ができることから、構造が極めて簡単で量産に適してお
り、安価に提供することができる。
【0031】本発明の第2の態様による走査型プローブ
顕微鏡用カンチレバーは、前記第1の態様によるカンチ
レバーにおいて、前記コイル層は、前記レバー部におけ
る前記探針が設けられている箇所の付近に位置するよう
に、形成されたものである。
【0032】前記第1の態様では、前記コイル層を例え
ばレバー部のほぼ全体に渡るように形成してもよいが、
前記第2の態様のように、コイル層をレバー部における
探針が設けられている箇所の付近に位置するように形成
すると、外部磁場と前記コイル層に流れる電流により生
ずる磁界との間の相互作用により働く力を、レバー部に
おける探針が設けられている箇所の付近のみに作用させ
ることができる。このように、外部磁場とコイル層に流
れる電流により生ずる磁界との相互作用を、探針近傍の
みに作用させることができるので、カンチレバー全体に
コイル層を形成したものに比べ、レバー部に生ずる磁界
と外部磁場との相互作用を受けにくくすることができ
る。
【0033】本発明の第3の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第1又は第2の態様によるカンチレバー
と、前記支持体を試料表面と略平行な面の方向に前記試
料に対して相対的に移動させる手段と、前記支持体を前
記試料表面と略垂直な方向に前記試料に対して相対的に
移動させる手段と、前記コイル層の付近に外部磁場を発
生させる外部磁場発生手段と、前記コイル層に電流を流
す電流供給手段と、前記レバー部の撓みを検出する撓み
検出手段と、前記撓み検出手段からの検出信号に基づい
て、前記レバー部の撓み量が所定量(ゼロでもよいし、
他の所定量でもよい。)となるように、前記外部磁場発
生手段及び前記電流供給手段のうちの少なくとも一方に
制御信号を与えて、前記レバー部の撓みを制御する撓み
制御手段と、前記試料表面と略垂直な方向の前記試料に
対する前記支持体の相対的な位置に応じたデータに関連
づけて、前記制御信号に応じた信号を計測データとして
得る手段と、を備えたものである。
【0034】この第3の態様によれば、レバー部にコイ
ル層が形成されたカンチレバーが用いられ、外部磁場発
生手段によりカンチレバーのレバー部のコイル層の付近
に外部磁場が発生され、電流供給手段によりレバー部の
コイル層に電流が流される。そして、レバー部の撓みが
撓み検出手段により検出され、当該撓みの検出信号に基
づいて前記レバー部の撓み量が所定量となるように制御
手段が外部磁場発生手段又は電流供給手段のうちの少な
くとも一方に制御信号を与える。このフィードバック制
御により外部磁場とレバー部のコイル層に流れる電流に
より生ずる磁界との間の相互作用によりレバー部のコイ
ル層に発生する力は、探針に働く試料表面との間の相互
作用力と同じ大きさ(前記所定量がゼロでない場合は、
その量に応じてシフトした大きさ)で方向が逆となり、
両者は釣り合う。このため、撓み制御手段が外部磁場発
生手段又は電流供給手段のうちの少なくとも一方に与え
る制御信号が、探針と試料表面との間の相互作用力を示
すことになる。そして、探針と試料表面との間の相互作
用力の大きさにかかわらずカンチレバーのレバー部の撓
み量が常に所定量であるので、カンチレバーの位置と探
針の位置とが一致する(所定距離のシフトも含む)。し
たがって、カンチレバーのレバー部の撓みを考慮した特
別な変換を行うことなく、探針と試料表面との間の距離
に応じた探針と試料表面との間の相互作用力を直接に精
度良く得ることができる。また、カンチレバーのレバー
部の撓みが常に所定量であるので、前記ジャンプインが
起こらず、探針と試料表面との間の距離の全ての領域に
おいて探針と試料表面との間の相互作用力を計測するこ
とができる。さらに、前記第3の態様では、構造が簡単
で安価な前記第1又は第2の態様によるカンチレバーが
用いられているので、当該走査型プローブ顕微鏡のラン
ニングコストの低減を図ることができる。
【0035】本発明の第4の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第1又は第2の態様によるカンチレバー
と、前記支持体を試料表面と略平行な面の方向に前記試
料に対して相対的に移動させる手段と、前記支持体を前
記試料表面と略垂直な方向に前記試料に対して相対的に
移動させる手段と、前記レバー部の撓みを検出する撓み
検出手段と、前記探針が前記試料表面に接触した状態に
おいて、前記レバー部を振動させるべき励振信号を前記
外部磁場発生手段及び前記電流供給手段のうちの少なく
とも一方に与える励振信号供給手段と、前記励振信号と
前記撓み検出手段からの検出信号とに基づいて、前記検
出信号中の前記励振信号と同一周波数成分の振幅に応じ
た第1の信号、及び、前記検出信号中の前記励振信号と
同一周波数成分と前記励振信号との間の位相差に応じた
第2の信号のうちの、少なくとも一方を得る手段と、を
備えたものである。なお、前記励振信号は、直流成分を
含まない交流でもよいし、直流成分を含む交流でもよ
い。
【0036】この第4の態様によれば、レバー部にコイ
ル層が形成されたカンチレバーが用いられ、外部磁場発
生手段によりカンチレバーのレバー部のコイル層の付近
に外部磁場が発生され、電流供給手段によりレバー部の
コイル層に電流が流される。そして、探針が前記試料表
面に接触した状態において、励振信号供給手段により、
前記レバー部を振動させるべき励振信号が外部磁場発生
手段又は電流供給手段のうちの少なくとも一方に与えら
れる。したがって、励振信号によって外部磁場とレバー
部のコイル層に流れる電流により生ずる磁界との間の相
互作用によってレバー部のコイル層に発生した変調した
力が直接に探針から試料表面に伝達される。この時の探
針の試料表面への押し込まれ具合(すなわち、試料表面
の変形の具合)は、カンチレバーのレバー部の撓みとな
る。このレバー部の撓みが撓み検出手段によって検出さ
れ、その撓み検出信号及び前記励振信号に基づいて前記
第1及び第2の信号のうちの少なくとも一方が得られ
る。前記第1の信号は試料表面の弾性に対応し、前記第
2の信号は試料表面の粘性に対応する。
【0037】このように励振信号によってレバー部のコ
イル層に発生した変調した力が直接に探針から試料表面
に伝達され、試料表面に加えられる力そのものが変調さ
れるので、前記第1及び第2の信号がそのまま試料表面
の弾性及び粘性を示すこととなる。したがって、前述し
たフォースモジュレーション法を採用した従来の走査型
プローブ顕微鏡と異なり、カンチレバーのレバー部の力
学的特性による換算を行うことなく試料表面の力学的特
性を直接に精度良く得ることができる。
【0038】また、前記第4の態様によれば、試料では
なくカンチレバーのレバー部を振動させるので、大型の
試料であっても試料表面の力学的特性を精度良く計測す
ることができる。
【0039】さらに、前記第4の態様では、構造が簡単
で安価な前記第1又は第2の態様によるカンチレバーが
用いられているので、当該走査型プローブ顕微鏡のラン
ニングコストの低減を図ることができる。
【0040】本発明の第5の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第4の態様による走査型プローブ顕微鏡
において、前記励振信号の周波数を任意の周波数に設定
する設定手段を備えたものである。
【0041】前記第4の態様では、前述したように、励
振信号によってレバー部のコイル層に発生した変調した
力が直接に探針から試料表面に伝達されるので、励振信
号の周波数、すなわち、探針が試料表面に与える力の変
調周波数は、カンチレバーのレバー部の共振周波数に依
存せずに、任意に設定することができる。前記第5の態
様のように、励振信号の周波数を任意の周波数に設定す
る設定手段を備えていれば、試料の振動周波数に対する
特性についても調べることができる。
【0042】本発明の第6の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第1又は第2の態様によるカンチレバー
と、前記支持体を試料表面と略平行な面の方向に前記試
料に対して相対的に移動させる手段と、前記支持体を前
記試料表面と略垂直な方向に前記試料に対して相対的に
移動させる手段と、前記コイル層の付近に外部磁場を発
生させる外部磁場発生手段と、前記コイル層に電流を流
す電流供給手段と、位置変調信号に応答して、前記試料
表面と略垂直な方向の前記試料に対する前記支持体の相
対的な位置を変調させる位置変調手段と、前記レバー部
の撓みを検出する撓み検出手段と、前記撓み検出手段か
らの検出信号に基づいて、前記レバー部の撓み量が所定
量となるように、前記外部磁場発生手段及び前記電流供
給手段のうちの少なくとも一方に制御信号を与えて、前
記レバー部の撓みを制御する撓み制御手段と、前記探針
が前記試料表面に接触した状態において、前記位置変調
信号を前記位置変調手段に与える位置変調信号供給手段
と、前記位置変調信号と前記制御信号とに基づいて、前
記制御信号中の前記位置変調信号と同一周波数成分の振
幅に応じた第1の信号、及び、前記制御信号中の前記位
置変調信号と同一周波数成分と前記制御信号との間の位
相差に応じた第2の信号のうちの、少なくとも一方を得
る手段と、を備えたものである。
【0043】この第6の態様によれば、レバー部にコイ
ル層が形成されたカンチレバーが用いられ、外部磁場発
生手段によりカンチレバーのレバー部のコイル層の付近
に外部磁場が発生され、電流供給手段によりレバー部の
コイル層に電流が流される。そして、レバー部の撓みが
撓み検出手段により検出され、当該撓みの検出信号に基
づいて前記レバー部の撓み量が所定量となるように制御
手段が外部磁場発生手段又は電流供給手段のうちの少な
くとも一方に制御信号を与える。このフィードバック制
御により外部磁場とレバー部のコイル層に流れる電流に
より生ずる磁界との間の相互作用によりレバー部のコイ
ル層に発生する力は、探針が試料表面に接触しているこ
とから、探針が試料表面に加えている力(前記所定量が
ゼロでない場合は、その量に応じて大きさがシフトした
力)そのものであり、前記制御信号は探針が試料表面に
加えている力そのものを示すことになる。そして、前記
フィードバック制御によりカンチレバーのレバー部の撓
み量が常に所定量となるので、位置変調信号供給手段か
ら与えられた位置変調信号に応答した位置変調手段によ
って引き起こされた、試料表面と略垂直な方向の試料に
対するカンチレバーの支持体の相対的な位置の変位は、
そのまま探針の変位となってそのまま試料表面の変形と
なる。したがって、前記位置変調信号は試料表面の変形
そのものを示し、前記制御信号は当該変形を生じさせる
原因となった試料表面に加えられた力そのものを示すこ
ととなる。
【0044】そして、前記位置変調信号と前記制御信号
とに基づいて前記第1及び第2の信号のうちの少なくと
も一方が得られる。前記第1の信号は試料表面の弾性に
対応し、前記第2の信号は試料表面の粘性に対応する。
前述したように、前記位置変調信号は試料表面の変形そ
のものを示し、前記制御信号は当該変形を生じさせる原
因となった試料表面に加えられた力そのものを示すの
で、前記第1及び第2の信号がそのまま試料表面の弾性
及び粘性を示すこととなる。したがって、前述したフォ
ースモジュレーション法を採用した従来の走査型プロー
ブ顕微鏡と異なり、カンチレバーのレバー部の力学的特
性による換算を行うことなく試料表面の力学的特性を直
接に精度良く得ることができる。
【0045】また、前記第6の態様によれば、前述した
ように、カンチレバーのレバー部の撓みが常に所定量と
され、外部磁場とレバー部のコイル層に流れる電流によ
り生ずる磁界との間の相互作用によりレバー部のコイル
層に発生する力を試料表面に加えており、カンチレバー
のレバー部のバネ力を試料表面に加えているわけではな
いので、カンチレバーのレバー部のバネ定数が小さくて
も、試料表面に比較的大きな力を加えることができ、堅
い試料表面の力学的特性を計測することができる。
【0046】さらに、前記第6の態様では、構造が簡単
で安価な前記第1又は第2の態様によるカンチレバーが
用いられているので、当該走査型プローブ顕微鏡のラン
ニングコストの低減を図ることができる。
【0047】なお、前記第6の態様においては、大型の
試料の力学的特性も計測可能とする上では、前記位置変
調手段がカンチレバーの支持体の位置を変調することが
好ましいが、前記位置変調手段は試料の位置を変調して
もよい。
【0048】本発明の第7の態様による走査型プローブ
顕微鏡は、前記第6の態様による走査型プローブ顕微鏡
において、前記位置変調信号の周波数を任意の周波数に
設定する設定手段を備えたものである。
【0049】前記第6の態様では、前述したように、試
料表面と略垂直な方向の試料に対するカンチレバーの支
持体の相対的な位置の変位がそのまま試料表面の変形と
なり、当該変形を生じさせる原因となった試料表面に加
えられた力が前記制御信号として得られるので、位置変
調信号の周波数(これが、探針が試料表面に与える力の
変調周波数に一致する。)は、カンチレバーのレバー部
の共振周波数に依存せずに、任意に設定することができ
る。前記第7の態様のように、位置変調信号の周波数を
任意の周波数に設定する設定手段を備えていれば、前記
第5の態様と同様に、試料の振動周波数に対する特性に
ついても調べることができる。
【0050】本発明の第8の態様による試料観察方法
は、前記第1又は第2の態様によるカンチレバーと、前
記コイル層の付近に外部磁場を発生させる外部磁場発生
手段と、前記コイル層に電流を流す電流供給手段とを用
い、前記支持体を試料表面と略垂直な方向に前記試料に
対して相対的に移動させ、前記レバー部の撓みを検出
し、当該撓みの検出信号に基づいて前記レバー部の撓み
量が所定量となるように前記外部磁場発生手段及び前記
電流供給手段のうちの少なくとも一方に制御信号を与え
つつ、前記試料表面と略垂直な方向の前記試料に対する
前記支持体の相対的な位置に応じたデータに関連づけ
て、前記制御信号に応じた信号を計測データとして得る
ものである。
【0051】本発明の第9の態様による試料観察方法
は、前記第1又は第2の態様によるカンチレバーと、前
記コイル層の付近に外部磁場を発生させる外部磁場発生
手段と、前記コイル層に電流を流す電流供給手段とを用
い、前記探針が前記試料表面に接触した状態において、
前記レバー部を振動させるべき励振信号を前記外部磁場
発生手段及び前記電流供給手段のうちの少なくとも一方
に与えつつ、前記レバー部の撓みを検出し、前記励振信
号と前記撓みの検出信号とに基づいて、前記検出信号中
の前記励振信号と同一周波数成分の振幅に応じた第1の
信号、及び、前記検出信号中の前記励振信号と同一周波
数成分と前記励振信号との間の位相差に応じた第2の信
号のうちの、少なくとも一方を得るものである。
【0052】本発明の第10の態様による試料観察方法
は、前記第9の態様による試料観察方法において、前記
励振信号の周波数を変化させるものである。これによ
り、試料の振動周波数に対する特性についても調べるこ
とができる。
【0053】本発明の第11の態様による試料観察方法
は、前記第1又は第2の態様によるカンチレバーと、前
記コイル層の付近に外部磁場を発生させる外部磁場発生
手段と、前記コイル層に電流を流す電流供給手段とを用
い、前記レバー部の撓みを検出し、当該撓みの検出信号
に基づいて前記レバー部の撓み量が所定量となるように
前記外部磁場発生手段及び前記電流供給手段のうちの少
なくとも一方に制御信号を与えつつ、前記探針が前記試
料表面に接触した状態において、位置変調信号により前
記試料表面と略垂直な方向の前記試料に対する前記支持
体の相対的な位置を変調させ、前記位置変調信号と前記
制御信号とに基づいて、前記制御信号中の前記位置変調
信号と同一周波数成分の振幅に応じた第1の信号、及
び、前記制御信号中の前記位置変調信号と同一周波数成
分と前記制御信号との間の位相差に応じた第2の信号の
うちの、少なくとも一方を得るものである。
【0054】前記第8乃至第11の態様による試料観察
方法は、前記第2乃至第6の態様による走査型プローブ
顕微鏡とそれぞれ対応しており、それぞれ前記第2乃至
第6の態様による走査型プローブ顕微鏡の場合と同様の
利点が得られる。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるカンチレバー
及びそれを用いた走査型プローブ顕微鏡並びに試料観察
方法について、図面を参照して説明する。
【0056】(第1の実施の形態)まず、本発明の第1
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡用カンチレバ
ー1について、図1を参照して説明する。
【0057】図1は本実施の形態によるカンチレバー1
を示す図であり、図1(a)はその概略平面図、図1
(b)はその概略断面図である。
【0058】本実施の形態によるカンチレバー1は、探
針1aを先端側に有するレバー部1bと、該レバー部1
bを支持する支持体1cと、を有している。レバー部1
bには、コイル層30が形成されている。本実施の形態
では、コイル層30は、レバー部1bにおける探針1a
が設けられている箇所の付近に位置するように、形成さ
れている。
【0059】具体的に説明すると、本実施の形態による
カンチレバー1では、レバー部1bは、図1に示すよう
に、窒化珪素膜31,32から構成されている。探針1
aは、前記窒化珪素膜32の一部から構成されている。
また、支持体1cは、シリコン層33と、該シリコン層
33上に延在した窒化珪素膜31,32の部分と、シリ
コン層33下面の窒化珪素膜34,35とから構成され
ている。そして、レバー部1bにおける探針1aが設け
られている箇所の付近に、金属パターンからなるコイル
層30が形成されている。また、コイル層30の両端に
連続しコイル層30に電流を流すための配線パターン3
6,37が、レバー部1b上に形成されている。前記配
線パターン36,37は支持体1c上にも延びて、支持
体2c上に形成された外部との電気的接続のための電極
パターン(電極パッド)38,39に接続されている。
なお、本実施の形態では、配線パターン36,37は、
近接して配置されて鎖交領域を実質的に有しておらず、
コイル層を形成するものではない。もっとも、本発明で
は、配線パターン36,37の部分も間隔をあけてコイ
ル層となるようにしてもよい。また、本実施の形態で
は、コイル層30は1ターンであるが、コイル層30を
複数ターンとなるように多重コイルとして構成してもよ
い。なお、レバー部1bの大きさは、例えば、長さ50
0μm、厚さ200nm、幅5μmとすることができ
る。
【0060】前記カンチレバー1は、図面には示してい
ないが、例えば次のような方法で製造することができ
る。まず、(100)面方位のシリコン基板33の両面
にCVD法により窒化珪素膜31,34を成膜し、この
膜31の一部に反応性ドライエッチングにより窓を開
け、この窓から水酸化カリウムを用いた異方性エッチン
グによりシリコン基板33にピットを作る。次に、その
状態の基板の両面にCVD法により再び窒化珪素膜3
2,35を成膜する。その後、窒化珪素膜32上にレジ
スト膜を形成し、当該レジスト膜をフォトリソグラフィ
によりコイル層30、配線パターン36,37及び電極
パターン38,39の形状に合わせてパターニングし、
これに金属を蒸着し、前記レジスト膜を除去することに
よって、コイル層30、配線パターン36,37及び電
極パターン38,39を形成する。最後に、窒化珪素膜
31,32,34,35を所望の形状にパターニング
し、異方性エッチングにてシリコン基板33を支持体1
3cに相当する部分以外を除去する。これにより、前記
図1に示すカンチレバー1が完成する。
【0061】本実施の形態によるカンチレバー1によれ
ば、レバー部1bのコイル層30の付近に図1(b)中
の上下方向に外部磁場を発生させ、電極パターン38,
39及び配線パターン36,37を介してコイル層30
に電流を流すと、前記外部磁場とコイル層30に流れる
電流により生ずる磁界との間の相互作用により働く力が
レバー部1bのコイル層30に作用する。したがって、
外部磁場の大きさ及びコイル層30に流れる電流の大き
さの少なくとも一方を変えると、レバー部1bのコイル
層30に作用する力を制御することができ、レバー部3
0の撓みを制御したり探針1aが試料表面に接触した状
態において探針1aから試料表面に加える力を制御した
りすることができる。そして、前記カンチレバー1は、
レバー部1bにコイル層30を形成したものであるた
め、当該コイル層30は前述したようにパターニングし
た金属膜(他の導電膜でもよい)により構成することが
できることから、構造が極めて簡単で量産に適してお
り、安価に提供することができる。
【0062】また、本実施の形態では、コイル層30が
レバー部1bにおける探針1aが設けられている箇所の
付近に位置するように形成されているので、外部磁場と
コイル層30に流れる電流により生ずる磁界との間の相
互作用により働く力を、レバー部1bにおける探針1a
が設けられている箇所の付近のみに作用させることがで
きる。このように、外部磁場とコイル層30に流れる電
流により生ずる磁界との相互作用を、探針1a近傍のみ
に作用させることができるので、カンチレバー1全体に
コイル層30を形成したものに比べ、レバー部1bに生
ずる磁界と外部磁場との相互作用を受けにくくすること
ができる。
【0063】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡及びそれを用
いた試料観察方法について、図2を参照して説明する。
【0064】図2は、本実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を模式的に示す概略構成図である。なお、説明
の便宜上、図2に示すように、互いに直交するX軸、Y
軸及びZ軸を定義する。
【0065】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
では、前述した図1に示すカンチレバー1が用いられて
いる。カンチレバー1は、その支持体1cがカンチレバ
ーホルダ2により保持されている。カンチレバーホルダ
2は、図示しないベースに対して固定されている。試料
3は、その表面が略XY平面と一致するように、移動機
構としてのチューブ型スキャナ4上に搭載されている。
チューブ型スキャナ4は、X,Y,Z方向に(X方向は
水平面内の方向、Y方向は水平面内の方向であってX方
向と直交する方向、Z方向は鉛直方向であり、XY平面
は試料12の表面と略一致しており、以下同じであ
る。)に移動させる(走査させる)。チューブ型スキャ
ナ4の周囲には、カンチレバー1のレバー部1bのコイ
ル層30の付近にZ方向に外部磁界を発生させるための
コイル5が配設されている。チューブ型スキャナ4内に
は、コイル5により発生する外部磁界を高めるために鉄
心等を配置してもよい。コイル5には、電流供給部6か
ら所定電流が流される。本実施の形態では、コイル5及
び電流供給部6が、コイル層30の付近に外部磁界を発
生させる外部磁場発生手段を構成している。もっとも、
当該外部磁場発生手段は、永久磁石を用いて構成するこ
ともできる。
【0066】また、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡は、図2に示すように、スキャナ制御部7と、カ
ンチレバー1のレバー部1bの撓みを光てこ法により検
出する撓み検出手段を構成するレーザ光源8、2分割フ
ォトディテクタ9及び信号処理回路10と、撓み制御部
11と、データ作成部12と、CRT等の表示装置13
とを備えている。また、本実施の形態による走査型プロ
ーブ顕微鏡は、図面には示していないが、装置全体を制
御する統括制御部を備えている。
【0067】スキャナ制御部7は、前記統括制御部から
の指令に応答して、チューブ型スキャナ4が試料3を
X,Y,Z方向に移動させるように、チューブ型スキャ
ナ4に駆動信号を与えてチューブ型スキャナ4を制御す
る。この駆動信号は、試料3のX,Y,Z方向の位置情
報となる。なお、本実施の形態では、試料3を走査する
ように構成されているが、探針3を走査するように構成
してもよいことは勿論である。
【0068】レーザ光源8から発せられたレーザ光がカ
ンチレバー1のレバー部1bの先端に当たるようにアラ
イメントされ、その反射光が2分割フォトディテクタ9
に戻るように調整される。信号処理回路10は、2分割
フォトディテクタ9からの信号に基づいて、カンチレバ
ー1のレバー部1bの撓みに比例する信号を作成し、当
該信号をレバー部1bの撓み検出信号として出力する。
なお、レバー部1bの撓み検出手段は、光てこ法による
ものに限定されるものではないことは勿論である。
【0069】次に、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡の動作について説明する。まず、前記統括制御部
からの指令に応答して、スキャナ制御部7が駆動信号を
チューブ型スキャナ4に与え、試料3が所望のXY位置
に位置した状態において、カンチレバー1の探針1aと
試料3の表面とが十分に離れている状態を作る。
【0070】一方、コイル5に電流供給部6から所定電
流が流されて探針1aの付近に所定の大きさの外部磁場
が発生され、撓み制御部11は、信号処理回路10から
の撓み検出信号に基づいて、カンチレバー1のレバー部
1bの撓み量がゼロ(他の所定量でも可。)となるよう
に、カンチレバー1のレバー部1bのコイル層30に制
御信号としての電流を流す。このフィードバック制御は
動作中継続され、レバー部1bは常に撓みがない状態に
保たれる。
【0071】次に、前記統括制御部の指令に応答して、
スキャナ制御部7が駆動信号をチューブ型スキャナ4に
与えて試料3をZ方向に移動させて、徐々に試料3をカ
ンチレバー1の探針1aに近づけていく。このプロセス
中、データ作成部12は、スキャナ制御部7からチュー
ブ型スキャナ4に与えられる駆動信号と、撓み制御部1
1からカンチレバー1のレバー部1bのコイル層30に
与えられる制御信号とを、互いに関連づけて順次取り込
む。
【0072】試料3が探針1aに十分に近づいた後に、
必要に応じて、スキャナ制御部7が駆動信号をチューブ
型スキャナ4に与えて試料3をZ方向に逆方向に移動さ
せて、徐々に試料3をカンチレバー1の探針1aから遠
ざけていく。このプロセス中にも、データ作成部12
は、スキャナ制御部7からチューブ型スキャナ4に与え
られる駆動信号と、撓み制御部11からカンチレバー1
のレバー部1bのコイル層30に与えられる制御信号と
を、互いに関連づけて順次取り込む。
【0073】試料3が探針1aに近づいていくと、探針
1aが試料3の表面からの相互作用力(例えば、ファン
デルワールス相互作用による力)を受け始めるが、撓み
制御部11による前述したフィードバック制御によりレ
バー部1bの撓み量はゼロに保たれている。したがっ
て、撓み制御部11による前述したフィードバック制御
により外部磁場とレバー部1bのコイル層30に流れる
電流により生ずる磁界との間の相互作用によってレバー
部1bのコイル層30に発生する力は、探針1aに働く
試料3の表面との間の相互作用力と同じ大きさで方向が
逆となり、両者は釣り合う。このため、撓み制御部11
がレバー部1bのコイル層30に与える制御信号は、探
針1aと試料3の表面との間の相互作用力を示すことと
なる。一方、前述したように、スキャナ制御部7がチュ
ーブ型スキャナ4に与える駆動信号(Z方向の駆動信
号)は、試料3のZ方向位置を示しており、結局、探針
1aと試料3の表面との間の距離を示している。したが
って、データ作成部12は、探針1aと試料3の表面と
の間の距離を示すデータと、探針1aと試料3の表面と
の間の相互作用力を示すデータとを、互いに関連づけて
取り込むことになる。
【0074】なお、このような動作は、試料3の1つの
XY位置に関してのみ行ってもよいが、試料3の複数の
各XY位置に関して行ってもよいことは勿論である。
【0075】そして、表示装置13は、このようにして
取り込まれたデータを例えば図5(a)に示すようなグ
ラフとして表示する。
【0076】本実施の形態によれば、探針1aと試料3
の表面との間の相互作用力の大きさにかかわらずレバー
部1bの撓み量が常にゼロであるので、試料3のZ方向
の位置が試料3の表面と探針1aとの間の距離を示す。
したがって、レバー部1bの撓みを考慮した特別な変換
を行うことなく、探針1aと試料3の表面との間の距離
に応じた探針1aと試料3の表面との間の相互作用力を
直接に精度良く得ることができる。また、レバー部1b
の撓みが常にゼロであるので、ジャンプインが起こら
ず、探針1aと試料3の表面との間の距離の全ての領域
において探針1aと試料3の表面との間の相互作用力を
計測することができる。さらに、本実施の形態では、構
造が簡単で安価な図1に示すカンチレバー1が用いられ
ているので、当該走査型プローブ顕微鏡のランニングコ
ストの低減を図ることができる。
【0077】なお、本実施の形態では、外部磁場発生用
のコイル5に流す電流を所定量とするとともに撓み制御
部11によってレバー部1bのコイル層30に流す電流
を制御しているが、本発明では、逆に、レバー部1bの
コイル層30に流す電流を所定量とするとともに撓み制
御部11によってコイル5に流す電流を制御してもよ
い。
【0078】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡及びそれを用
いた試料観察方法について、図3を参照して説明する。
【0079】図3は、本実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を模式的に示す概略構成図である。図3におい
て、図2中の要素と同一又は対応する要素には同一符号
を付し、その重複した説明は省略する。
【0080】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
が前述した図2に示す走査型プローブ顕微鏡と異なる所
は、図2中の撓み制御部11が取り除かれ、探針1aが
試料3の表面に接触した状態においてレバー部1bを振
動させるべき電流による励振信号をレバー部1bのコイ
ル層30に与える励振信号発生器14と、励振信号の周
波数を任意の周波数に設定する設定部15と、ロックイ
ン検出するロックインアンプ16とを付加した点であ
る。なお、図面には示していないが、本実施の形態によ
る走査型プローブ顕微鏡も、装置全体を制御する統括制
御部を備えている。
【0081】設定部15は、計測者からの操作信号に応
じた周波数及び振幅を示す振動パラメータを励振信号発
生器14に与える。励振信号発生器14は、与えられた
振動パラメータが示す周波数及び振幅を有する励振信号
を、電流信号としてカンチレバー1のレバー部1bのコ
イル層30に供給する。また、励振信号発生器14は、
前記励振信号を前記電流信号とは別に電圧信号として出
力する。前記励振信号は、直流成分を含まない交流でも
よいし、直流成分を含む交流でもよい。
【0082】本実施の形態では、ロックインアンプ16
として、いわゆる2位相型ロックインアンプが用いられ
ている。ロックインアンプ16の入力端子16aには信
号処理回路10からの撓み検出信号が入力され、ロック
インアンプ16の参照入力端子16bには励振信号発生
器14からの電圧信号としての励振信号が入力されてい
る。ロックインアンプ16は、入力端子16aに入力さ
れた信号の周波数成分のうち参照入力端子16bに入力
された信号の周波数と同じ周波数成分の振幅に比例した
レベルの信号(振幅信号)を第1の出力端子16cに出
力し、入力端子16aに入力された信号の周波数成分の
うち参照入力端子16bに入力された信号の周波数と同
じ周波数成分と、参照入力端子16bに入力された信号
との間の位相差に比例したレベルの信号(位相差信号)
を第2の出力端子16dに出力する。したがって、本実
施の形態では、第1の出力端子16cからは、信号処理
回路10からの撓み検出信号中の励振信号発生器14か
らの励振信号と同一周波数成分の振幅に応じた振幅信号
が得られる。また、第2の出力端子16dからは、前記
撓み検出信号中の前記励振信号と同一周波数成分と前記
励振信号との間の位相差に応じた位相差信号が得られ
る。すなわち、ロックインアンプ16は、前記励振信号
を参照信号とするとともに前記撓み検出信号を入力信号
としたロックイン検出を行うことによって、前記振幅信
号及び前記位相差信号を得る。
【0083】次に、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡の動作について説明する。まず、前記統括制御部
からの指令に応答して、スキャナ制御部7が駆動信号を
チューブ型スキャナ4に与え、試料3が所望のXY位置
に位置した状態において、カンチレバー1の探針1aを
試料3の表面に接触させる。このとき、カンチレバー1
のレバー部1bがほぼ撓んでいない状態にするために、
図面には示していないが、前記統括制御部は、信号処理
回路10からの撓み検出信号に基づいて、スキャナ制御
部7に制御信号を与えて、スキャナ制御部7の制御を行
っている。
【0084】その後、前記統括制御部からの指令に応答
して、コイル5に電流供給部6から所定電流が流されて
探針1aの付近に所定の大きさの外部磁場が発生され、
励振信号発生部12が、設定部15から与えられた振動
パラメータが示す周波数及び振幅を有する励振信号を、
カンチレバー1のレバー部1bのコイル層30に電流と
して供給する。その結果、前記外部磁場と前記励振信号
によってレバー部1bのコイル層30に流れる電流によ
り生ずる磁界との間の相互作用によってレバー部1bの
コイル層30に発生した変調した力が、直接に探針1a
から試料3の表面に伝達される。この時の探針1aの試
料3の表面への押し込まれ具合(すなわち、試料3の表
面の変形の具合)は、レバー部1bの撓みとなる。この
レバー部1bの撓みが信号処理回路10から撓み検出信
号として得られ、ロックインアンプ16により前述した
ロックイン検出が行われて、ロックインアンプ16の出
力端子16c,16dからそれぞれ前記振幅信号及び前
記位相差信号が得られる。前記振幅信号は試料3の表面
の弾性に対応し、前記位相差信号は試料3の表面の粘性
に対応することになる。データ作成部12は、ロックイ
ンアンプ16から得られる前記振幅信号及び前記位相差
信号を取り込む。そして、表示装置13は、このように
して取り込まれたデータを表示する。
【0085】なお、このような動作は、試料3の1つの
XY位置に関してのみ行ってもよいが、試料3の複数の
各XY位置に関して行ってもよいことは勿論である。こ
の場合、コンスタントフォースモードで信号処理回路1
0からの信号処理回路10からの撓み検出信号に基づい
てスキャナ制御部7を制御しながら、試料3の表面の走
査を行う。そして、データ作成部12は、ロックインア
ンプ16から得られる前記振幅信号及び前記位相差信号
と、スキャナ制御部7からチューブ型スキャナ4に与え
られる駆動信号(XY位置情報)とを、互いに関連づけ
て取り込めばよい。この場合、表示装置13は、試料3
の表面の弾性及び粘性をそれぞれマッピング表示するこ
とができる。なお、データ作成部12は、前記振幅信号
及び前記位相差信号のいずれか一方のみを取り込むよう
にしてもよい。例えば、データ作成部12が振幅信号の
みを取り込む場合には、ロックインアンプ16として、
2位相型ロックインアンプではなく、振幅信号のみを出
力するロックインアンプを用いることができる。
【0086】本実施の形態によれば、前述したように、
前記外部磁場と前記励振信号によってレバー部1bのコ
イル層30に流れる電流により生ずる磁界との間の相互
作用によってレバー部1bのコイル層30に発生した変
調した力が直接に探針1aから試料3の表面に伝達さ
れ、試料3の表面に加えられる力そのものが変調される
ので、前記振幅信号及び前記位相差信号がそのまま試料
3の表面の弾性及び粘性を示すこととなる。したがっ
て、前述したフォースモジュレーション法を採用した従
来の走査型プローブ顕微鏡と異なり、カンチレバー1の
レバー部1bの力学的特性による換算を行うことなく試
料3の表面の力学的特性を直接に精度良く得ることがで
きる。
【0087】また、本実施の形態によれば、試料3では
なくカンチレバー1のレバー部1bを振動させるので、
大型の試料3であっても試料3の表面の力学的特性を精
度良く計測することができる。
【0088】さらに、本実施の形態では、構造が簡単で
安価な図1に示すカンチレバー1が用いられているの
で、当該走査型プローブ顕微鏡のランニングコストの低
減を図ることができる。
【0089】ところで、本実施の形態では、励振信号の
周波数は、通常、試料−カンチレバー系の共振周波数に
対して、低い周波数が用いられている。
【0090】共振周波数以上の高い周波数で励振を行う
と、励振信号に対してレバー部1bの振動に位相ずれが
生じたり、レバー部1bの振幅が励振信号の振幅とは異
なる振る舞いをしてしまうためである。
【0091】なお、本実施の形態では、データ作成部1
2は前記設定部15からの振動パラメータのうち前記励
振信号の周波数を示す信号も取り込み、表示装置13
は、この周波数も表示する。本実施の形態では、前記励
振信号の周波数を任意の周波数に設定する設定部15を
備えているので、計測者は、設定部15に操作信号を与
えて前記励振信号の周波数を変化させることができる。
計測者は、このようにして前記励振信号の周波数を変化
させていき、表示装置13により表示されている前記振
幅信号に相当するデータが最大となったときの前記励振
信号の周波数を知ることができる。この周波数は、試料
−カンチレバー系の共振周波数である。このように試料
−カンチレバー系の共振周波数を予め計測し、実際の試
料3の力学的特性の計測時には、この共振周波数よりも
低い周波数に設定するようにすれば、良い。
【0092】また、共振周波数よりも低い任意の周波数
に設定できる設定部15を用いれば、励振周波数に対す
る試料3の特性の変化を検出することができるようにな
る。
【0093】なお、本実施の形態では、外部磁場発生用
のコイル5に流す電流を所定量とするとともに励振信号
発生器14によってレバー部1bのコイル層30に流す
電流を変調しているが、本発明では、逆に、レバー部1
bのコイル層30に流す電流を所定量とするとともに励
振信号発生器14によってコイル5に流す電流を変調さ
せてもよい。
【0094】(第4の実施の形態)次に、本発明の第4
の実施の形態による走査型プローブ顕微鏡及びそれを用
いた試料観察方法について、図4を参照して説明する。
【0095】図4は、本実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を模式的に示す概略構成図である。図4におい
て、図2中の要素と同一又は対応する要素には同一符号
を付し、その重複した説明は省略する。
【0096】本実施の形態による走査型プローブ顕微鏡
が前述した図2に示す走査型プローブ顕微鏡と異なる所
は、位置変調信号に応答してカンチレバー1の支持体1
cのZ方向の位置を変調させる圧電アクチュエータ23
と、探針1aが試料3の表面に接触した状態において前
記位置変調信号を圧電アクチュエータ23に与える位置
変調信号発生器24と、位置変調信号の周波数を任意の
周波数に設定する設定部25と、ロックイン検出するロ
ックインアンプ26とを付加した点である。なお、圧電
アクチュエータ23はカンチレバーホルダ2に設けられ
ている。本実施の形態では、撓み制御部11は、前記制
御信号を電流信号として出力してカンチレバー1のレバ
ー部1bのコイル層30に与えるのみならず、前記制御
信号を前記電流信号とは別に電圧信号として出力する。
また、図面には示していないが、本実施の形態による走
査型プローブ顕微鏡も、装置全体を制御する統括制御部
を備えている。
【0097】設定部25は、計測者からの操作信号に応
じた周波数及び振幅を示す振動パラメータを位置変調信
号発生器24に与える。位置変調信号発生器24は、与
えられた振動パラメータが示す周波数及び振幅を有する
位置変調信号を、圧電アクチュエータ23に供給する。
【0098】本実施の形態では、ロックインアンプ26
として、前述した図3中のロックインアンプ16と同じ
く、2位相型ロックインアンプが用いられている。ロッ
クインアンプ26の入力端子26aには撓み制御部11
からの電圧信号としての制御信号が入力され、ロックイ
ンアンプ26の参照入力端子26bには位置変調信号発
生器24からの位置変調信号が入力されている。本実施
の形態では、ロックインアンプ26の第1の出力端子2
6cからは、撓み制御部11からの制御信号中の位置変
調信号発生器24からの位置変調信号と同一周波数成分
の振幅に応じた振幅信号が得られる。また、ロックイン
アンプ26の第2の出力端子26dからは、撓み制御部
11からの制御信号中の前記位置変調信号と同一周波数
成分と前記位置変調信号との間の位相差に応じた位相差
信号が得られる。すなわち、ロックインアンプ26は、
前記位置変調信号を参照信号とするとともに撓み制御部
11からの制御信号を入力信号としたロックイン検出を
行うことによって、前記振幅信号及び前記位相差信号を
得る。
【0099】次に、本実施の形態による走査型プローブ
顕微鏡の動作について説明する。まず、前記統括制御部
からの指令に応答して、コイル5に電流供給部6から所
定電流が流されて探針1aの付近に所定の大きさの外部
磁場が発生され、撓み制御部11は、信号処理回路10
からの撓み検出信号に基づいて、カンチレバー1のレバ
ー部1bの撓み量がゼロ(他の所定量でも可。)となる
ように、カンチレバー1のレバー部1bのコイル層30
に制御信号としての電流を流す。このフィードバック制
御は動作中継続され、レバー部1bは常に撓みがない状
態に保たれる。
【0100】この状態において、前記統括制御部からの
指令に応答して、スキャナ制御部7が駆動信号をチュー
ブ型スキャナ4に与え、試料3が所望のXY位置に位置
した状態において、カンチレバー1の探針1aが試料3
の表面にやや押し付けられて接触した状態を作る。
【0101】その後、前記統括制御部からの指令に応答
して、位置変調信号発生部22が、設定部25から与え
られた振動パラメータが示す周波数及び振幅を有する位
置変調信号を、圧電アクチュエータ23に供給する。そ
の結果、前記位置変調信号に応じてカンチレバー1の支
持体1cのZ方向位置が変調される。前記フィードバッ
ク制御によりレバー部1bの撓み量が常にゼロとなるの
で、前記位置変調信号に応答した圧電アクチュエータ2
3によって引き起こされたカンチレバー1の支持体1c
のZ方向の変位は、そのまま探針1aの変位となってそ
のまま試料3の表面の変形となる。一方、外部磁場と前
記フィードバック制御による撓み制御部11からの制御
信号によりレバー部1bのコイル層30に流れる電流に
より生ずる磁界との間の相互作用によってレバー部1b
のコイル層30に発生する力は、探針1aが試料3の表
面に接触していることから、探針1aが試料3の表面に
加えている力そのものであり、前記制御信号は探針1a
が試料3の表面に加えている力そのものを示すことにな
る。すなわち、前記位置変調信号は試料3の表面の変形
そのものを示し、前記制御信号は当該変形を生じさせる
原因となった試料3の表面に加えられた力そのものを示
すこととなる。そして、ロックインアンプ26により前
記位置変調信号と前記制御信号とに基づいて前述したロ
ックイン検出が行われて、ロックインアンプ26の出力
端子26c,26dからそれぞれ前記振幅信号及び前記
位相差信号が得られる。前記振幅信号は試料3の表面の
弾性に対応し、前記位相差信号は試料3の表面の粘性に
対応することになる。データ作成部12は、ロックイン
アンプ26から得られる前記振幅信号及び前記位相差信
号を取り込む。そして、表示装置13は、このようにし
て取り込まれたデータを表示する。
【0102】なお、このような動作は、試料3の1つの
XY位置に関してのみ行ってもよいが、試料3の複数の
各XY位置に関して行ってもよいことは勿論である。こ
の場合、データ作成部12は、ロックインアンプ26か
ら得られる前記振幅信号及び前記位相差信号と、スキャ
ナ制御部7からチューブ型スキャナ4に与えられる駆動
信号(XY位置情報)とを、互いに関連づけて取り込め
ばよい。この場合、表示装置13は、試料3の表面の弾
性及び粘性をそれぞれマッピング表示することができ
る。なお、データ作成部12は、前記振幅信号及び前記
位相差信号のいずれか一方のみを取り込むようにしても
よい。例えば、データ作成部12が振幅信号のみを取り
込む場合には、ロックインアンプ26として、2位相型
ロックインアンプではなく、振幅信号のみを出力するロ
ックインアンプを用いることができる。
【0103】本実施の形態によれば、前述したように、
前記位置変調信号は試料3の表面の変形そのものを示
し、前記制御信号は当該変形を生じさせる原因となった
試料3の表面に加えられた力そのものを示すので、前記
振幅信号及び前記位相差信号がそのまま試料3の表面の
弾性及び粘性を示すこととなる。したがって、前述した
フォースモジュレーション法を採用した従来の走査型プ
ローブ顕微鏡と異なり、カンチレバー1のレバー部1b
の力学的特性による換算を行うことなく試料3の表面の
力学的特性を直接に精度良く得ることができる。
【0104】また、本実施の形態によれば、前述したよ
うに、カンチレバー1のレバー部1bの撓みが常にゼロ
とされ、前記外部磁場と前記制御信号によってレバー部
1bのコイル層30に流れる電流により生ずる磁界との
間の相互作用によってレバー部1bのコイル層30に発
生した変調した力を試料3の表面に加えており、レバー
部1bのバネ力を試料3の表面に加えているわけではな
いので、レバー部1bのバネ定数が小さくても、試料3
の表面に比較的大きな力を加えることができ、堅い試料
3の表面の力学的特性を計測することができる。
【0105】さらに、本実施の形態によれば、試料3で
はなくカンチレバー1の支持体1cの位置を変調させる
ので、大型の試料3であっても試料3の表面の力学的特
性を精度良く計測することができる。もっとも、本発明
では、カンチレバー1の支持体1cではなく、試料3の
Z方向の位置を変調させてもよい。この場合には、例え
ば、圧電アクチュエータ23を取り除き、スキャナ制御
部7を介してチューブ型スキャナ4に位置変調信号を与
えればよい。この場合には、チューブ型スキャナ4が位
置変調手段として兼用され、スキャナ制御部7が位置変
調信号発生器として兼用されることになる。
【0106】さらにまた、本実施の形態では、構造が簡
単で安価な図1に示すカンチレバー1が用いられている
ので、当該走査型プローブ顕微鏡のランニングコストの
低減を図ることができる。
【0107】ところで、本実施の形態では、励振信号の
周波数は、通常、試料−カンチレバー系の共振周波数に
対して、低い周波数が用いられている。
【0108】共振周波数以上の高い周波数で励振を行う
と、励振信号に対してレバー部1bの振動に位相ずれが
生じたり、レバー部1bの振幅が励振信号の振幅とは異
なる振る舞いをしてしまうためである。
【0109】なお、本実施の形態では、データ作成部1
2は前記設定部25からの振動パラメータのうち前記位
置変調信号の周波数を示す信号も取り込み、表示装置1
3はこの周波数も表示する。本実施の形態では、前記位
置変調信号の周波数を任意の周波数に設定する設定部2
5を備えているので、計測者は、設定部25に操作信号
を与えて前記位置変調信号の周波数を変化させることが
できる。計測者は、このようにして前記位置変調信号の
周波数を変化させていき、表示装置13により表示され
ている前記振幅信号に相当するデータが最小となったと
きの前記位置変調信号の周波数を知ることができる。こ
の周波数は、試料−カンチレバー系の共振周波数であ
る。このように試料−カンチレバー系の共振周波数を予
め計測し、実際の試料3の力学的特性の計測時には、こ
の共振周波数よりも低い周波数に設定するようにすれ
ば、良い。
【0110】なお、本実施の形態では、外部磁場発生用
のコイル5に流す電流を所定量とするとともに撓み制御
部11によってレバー部1bのコイル層30に流す電流
を制御しているが、本発明では、逆に、レバー部1bの
コイル層30に流す電流を所定量とするとともに撓み制
御部11によってコイル5に流す電流を制御してもよ
い。
【0111】以上本発明の各実施の形態について説明し
たが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるもので
はない。
【0112】前述した各実施の形態の説明では述べなか
ったが、前述した各実施の形態による走査型プローブ顕
微鏡は、カンチレバーのレバー部のコイル層30に何も
制御を加えなければ、いわゆるコンスタントフォースモ
ードやコンスタントハイトモード等の動作を行わせるこ
とができるので、前述した各実施の形態による走査型プ
ローブ顕微鏡を用いれば、それらの動作で得られた情報
と、本発明による動作で得られた情報とを比較解析する
こともできる。
【0113】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
探針と試料表面との間の距離に応じた探針と試料表面と
の間の相互作用力を直接に精度良く得ることができ、ジ
ャンプインが発生せずに探針と試料表面との間の距離の
全ての領域において探針と試料表面との間の相互作用力
を計測することができ、しかも、カンチレバーの構造が
簡単で再現性良く量産を図ることができる。
【0114】また、本発明によれば、カンチレバーのレ
バー部の力学的特性による換算を行うことなく、試料表
面の力学的特性を直接に精度良く得ることができる。
【0115】さらに、本発明によれば、試料が大型であ
っても当該試料の力学的特性を精度良く計測することが
できる。
【0116】また、本発明によれば、試料の振動周波数
に対する特性についても調べることができる。
【0117】さらにまた、本発明によれば、堅い試料表
面であってもその力学的特性を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるカンチレバー
を示す図であり、図1(a)はその概略平面図、図1
(b)はその概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を模式的に示す概略構成図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を模式的に示す概略構成図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態による走査型プロー
ブ顕微鏡を模式的に示す概略構成図である。
【図5】探針と試料表面との間の距離と力の大きさとの
関係及びフォースカーブを示す図である。
【符号の説明】
1 カンチレバー 1a 探針 1b レバー部 1c 支持体 2 カンチレバーホルダ 3 試料 4 チューブ型スキャナ 5 コイル 6 電流供給部 7 スキャナ制御部 8 レーザ光源 9 2分割フォトディテクタ 10 信号検出回路 11 撓み制御部 12 データ作成部 13 表示装置 14,24 励振信号発生器 15,25 設定部 16,26 ロックインアンプ 23 圧電アクチュエータ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 探針を先端側に有するレバー部と該レバ
    ー部を支持する支持体とを備えた走査型プローブ顕微鏡
    用カンチレバーにおいて、前記レバー部にコイル層が形
    成されたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡用カン
    チレバー。
  2. 【請求項2】 前記コイル層は、前記レバー部における
    前記探針が設けられている箇所の付近に位置するよう
    に、形成されたことを特徴とする請求項1記載の走査型
    プローブ顕微鏡用カンチレバー。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のカンチレバーと、 前記支持体を試料表面と略平行な面の方向に前記試料に
    対して相対的に移動させる手段と、 前記支持体を前記試料表面と略垂直な方向に前記試料に
    対して相対的に移動させる手段と、 前記コイル層の付近に外部磁場を発生させる外部磁場発
    生手段と、 前記コイル層に電流を流す電流供給手段と、 前記レバー部の撓みを検出する撓み検出手段と、 前記撓み検出手段からの検出信号に基づいて、前記レバ
    ー部の撓み量が所定量となるように、前記外部磁場発生
    手段及び前記電流供給手段のうちの少なくとも一方に制
    御信号を与えて、前記レバー部の撓みを制御する撓み制
    御手段と、 前記試料表面と略垂直な方向の前記試料に対する前記支
    持体の相対的な位置に応じたデータに関連づけて、前記
    制御信号に応じた信号を計測データとして得る手段と、 を備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のカンチレバーと、 前記支持体を試料表面と略平行な面の方向に前記試料に
    対して相対的に移動させる手段と、 前記支持体を前記試料表面と略垂直な方向に前記試料に
    対して相対的に移動させる手段と、 前記レバー部の撓みを検出する撓み検出手段と、 前記探針が前記試料表面に接触した状態において、前記
    レバー部を振動させるべき励振信号を前記外部磁場発生
    手段及び前記電流供給手段のうちの少なくとも一方に与
    える励振信号供給手段と、 前記励振信号と前記撓み検出手段からの検出信号とに基
    づいて、前記検出信号中の前記励振信号と同一周波数成
    分の振幅に応じた第1の信号、及び、前記検出信号中の
    前記励振信号と同一周波数成分と前記励振信号との間の
    位相差に応じた第2の信号のうちの、少なくとも一方を
    得る手段と、 を備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記励振信号の周波数を任意の周波数に
    設定する設定手段を備えたことを特徴とする請求項4記
    載の走査型プローブ顕微鏡。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載のカンチレバーと、 前記支持体を試料表面と略平行な面の方向に前記試料に
    対して相対的に移動させる手段と、 前記支持体を前記試料表面と略垂直な方向に前記試料に
    対して相対的に移動させる手段と、 前記コイル層の付近に外部磁場を発生させる外部磁場発
    生手段と、 前記コイル層に電流を流す電流供給手段と、 位置変調信号に応答して、前記試料表面と略垂直な方向
    の前記試料に対する前記支持体の相対的な位置を変調さ
    せる位置変調手段と、 前記レバー部の撓みを検出する撓み検出手段と、 前記撓み検出手段からの検出信号に基づいて、前記レバ
    ー部の撓み量が所定量となるように、前記外部磁場発生
    手段及び前記電流供給手段のうちの少なくとも一方に制
    御信号を与えて、前記レバー部の撓みを制御する撓み制
    御手段と、 前記探針が前記試料表面に接触した状態において、前記
    位置変調信号を前記位置変調手段に与える位置変調信号
    供給手段と、 前記位置変調信号と前記制御信号とに基づいて、前記制
    御信号中の前記位置変調信号と同一周波数成分の振幅に
    応じた第1の信号、及び、前記制御信号中の前記位置変
    調信号と同一周波数成分と前記制御信号との間の位相差
    に応じた第2の信号のうちの、少なくとも一方を得る手
    段と、 を備えたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
  7. 【請求項7】 前記位置変調信号の周波数を任意の周波
    数に設定する設定手段を備えたことを特徴とする請求項
    6記載の走査型プローブ顕微鏡。
  8. 【請求項8】 請求項1又は2記載のカンチレバーと、
    前記コイル層の付近に外部磁場を発生させる外部磁場発
    生手段と、前記コイル層に電流を流す電流供給手段とを
    用い、 前記支持体を試料表面と略垂直な方向に前記試料に対し
    て相対的に移動させ、 前記レバー部の撓みを検出し、当該撓みの検出信号に基
    づいて前記レバー部の撓み量が所定量となるように前記
    外部磁場発生手段及び前記電流供給手段のうちの少なく
    とも一方に制御信号を与えつつ、前記試料表面と略垂直
    な方向の前記試料に対する前記支持体の相対的な位置に
    応じたデータに関連づけて、前記制御信号に応じた信号
    を計測データとして得ることを特徴とする試料観察方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1又は2記載のカンチレバーと、
    前記コイル層の付近に外部磁場を発生させる外部磁場発
    生手段と、前記コイル層に電流を流す電流供給手段とを
    用い、 前記探針が前記試料表面に接触した状態において、前記
    レバー部を振動させるべき励振信号を前記外部磁場発生
    手段及び前記電流供給手段のうちの少なくとも一方に与
    えつつ、前記レバー部の撓みを検出し、前記励振信号と
    前記撓みの検出信号とに基づいて、前記検出信号中の前
    記励振信号と同一周波数成分の振幅に応じた第1の信
    号、及び、前記検出信号中の前記励振信号と同一周波数
    成分と前記励振信号との間の位相差に応じた第2の信号
    のうちの、少なくとも一方を得ることを特徴とする試料
    観察方法。
  10. 【請求項10】 前記励振信号の周波数を変化させるこ
    とを特徴とする請求項9記載の試料観察方法。
  11. 【請求項11】 請求項1又は2記載のカンチレバー
    と、前記コイル層の付近に外部磁場を発生させる外部磁
    場発生手段と、前記コイル層に電流を流す電流供給手段
    とを用い、 前記レバー部の撓みを検出し、当該撓みの検出信号に基
    づいて前記レバー部の撓み量が所定量となるように前記
    外部磁場発生手段及び前記電流供給手段のうちの少なく
    とも一方に制御信号を与えつつ、前記探針が前記試料表
    面に接触した状態において、位置変調信号により前記試
    料表面と略垂直な方向の前記試料に対する前記支持体の
    相対的な位置を変調させ、前記位置変調信号と前記制御
    信号とに基づいて、前記制御信号中の前記位置変調信号
    と同一周波数成分の振幅に応じた第1の信号、及び、前
    記制御信号中の前記位置変調信号と同一周波数成分と前
    記制御信号との間の位相差に応じた第2の信号のうち
    の、少なくとも一方を得ることを特徴とする試料観察方
    法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003114186A (ja) * 2001-10-03 2003-04-18 Seiko Instruments Inc 走査型プローブ顕微鏡
KR100797089B1 (ko) 2006-06-15 2008-01-22 포항공과대학교 산학협력단 미세 상호 작용력 측정장치 및 측정방법
JP2010512505A (ja) * 2006-12-09 2010-04-22 ザ・ユニバーシティ・オブ・シェフィールド 磁気ひずみ性物質検出システム及び方法
KR101217217B1 (ko) 2011-09-29 2012-12-31 (주)에이스텍 접촉식 표면형상측정기의 측정력 자동 보정장치
WO2016190502A1 (ko) * 2015-05-28 2016-12-01 황재은 형상측정기

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