JPH10280367A - 植栽可能なダム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分不足により植物が枯れる恐れがなく、ダ
ムを緑化することが可能となる。 【解決手段】 内部に石２が詰め込まれた箱型鋼製籠枠
１を複数個積み上げたものからなるダム本体Ａと、ダム
本体Ａの下流面および上流面の少なくとも一つに取り付
けられた、植物６を絡ませるための網部材７と、ダム本
体Ａの下流面、上流面および上面の少なくとも一つに設
けられた植栽容器８と、植栽容器８に水分を補給するた
めの散水装置とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、植栽可能なダ
ム、特に、内部に石が詰め込まれた複数個の箱型鋼製籠
枠からなるダムの下流面および上流面の少なくとも一つ
を、常時、緑化するか、あるいは、現地の状況や条件に
よっては冬に枯れ、春になると緑になるような植物を植
えることによって、周囲の景観や生態系を損なう恐れが
ない植栽可能なダムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、山間部の河川に構築される砂防
ダムＡは、図５に示すように、内部に石２が詰め込まれ
た箱型鋼製籠枠１を複数個積み上げたものからなってい
る。このような人工的なダムが山間部に構築されると、
周囲の景観が損なわれるばかりか、今までの生態系が壊
れる可能性がある。

【０００３】そこで、周囲の景観や生態系を損なわない
ような緑化装置が、特開平８−１９９５７７号公開公報
に開示されている。この装置は、図６に示すように、保
水部材３を取り付けた枠体４をダム等のコンクリート壁
面５に固定し、この枠体４につる系植物６を絡ませるも
のである。コンクリート壁面５につる系植物６が絡むこ
とによって、コンクリート壁面５が緑化されるので、周
囲の景観が損なわれ、生態系が壊れるといった可能性も
なくなる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来技術は、次のような問題を有していた。即ち、保
水部材３が設けられているものの保水量が少ないため
に、長期間に亘って水分を補給することができなかっ
た。従って、降雨が長期間ないような場合には、植物６
が枯れる恐れがあった。

【０００５】従って、この発明の目的は、降雨が長期間
ないような場合であっても、水分不足により植物が枯れ
る恐れがなく、緑化することが可能なダムを提供するこ
とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
内部に石が詰め込まれた箱型鋼製籠枠を複数個積み上げ
たものからなるダム本体と、前記ダム本体の下流面およ
び上流面の少なくとも一つに取り付けられた、植物を絡
ませるための網部材と、前記ダム本体の下流面、上流面
および上面の少なくとも一つに設けられた植栽容器と、
前記植栽容器に水分を補給するための散水装置とからな
ることに特徴を有するものである。

【０００７】請求項２記載の発明は、前記散水装置は、
雨水や流水が溜められるタンクと、前記タンク内の貯留
水を前記植栽容器に植えられた植物に散水するための散
水管とからなることに特徴を有するものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】次に、この発明の植栽可能なダム
の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。

【０００９】図１は、つる系植物を植えた、この発明の
植栽可能なダムを示す側面図、図２は、この発明の植栽
可能なダムの部分拡大正面図、図３は、下方に延びる植
物を植えた、この発明の植栽可能なダムを示す側面図、
図４は、この発明の植栽可能なダムに使用される散水装
置を示す概略断面図である。

【００１０】図１から図４において、Ａは、内部に石２
が詰め込まれた箱型鋼製籠枠１を複数個積み上げたもの
からなるダム本体である。７は、例えば、ダム本体Ａの
下流面に取り付けられた、つる系植物６を絡ませるため
の網部材である。網部材７は、このよな金網を編んだも
の以外に、棒鋼を格子状に組んだもの等であっても良
い。８は、ダム本体１の下流面および／または上面に設
けられた植栽容器であり、中には、土壌あるいは保水性
に優れた石等が入れられている。９は、植栽容器８に水
分を補給するための散水装置である。

【００１１】カズラやツタ等のつる系植物６を植える場
合には、つるが上方に延びる種類のものは、植栽容器８
は、ダム本体１の下側に設ければ良いが、つるが下方に
延びる種類のものでは、図３に示すように、植栽容器８
は、ダム本体１の下側以外に上面に設ける必要がある。

【００１２】散水装置９は、図４に示すように、雨水や
流水が溜められるタンク１０と、タンク１０内の貯留水
を植栽容器８に植えられた植物６に散水するための散水
管１２とからなっている。タンク１０は、雨水や流水の
流入管１０Ａ、オバーフロー管１０Ｂおよび清掃時に開
放する排水管１０Ｃが設けられており、タンク１０内に
は、常時、貯留水が溜められている。タンク１０内の水
は、ゴミ、泥等の固形分が入り込まないようにするため
の集水管１１を通って散水管１２に取り付けられた複数
個のノズル１２Ａから水滴となって植物６に落下する。
植物６への散水量は、ノズル１１Ａの径を選択すること
によって変えることが可能である。

【００１３】タンク１０内に水を溜めるために、上流か
らの流水やダムＡの近傍の山からの雨水や流水を利用す
る。タンク１０の設置場所は、雨水や流水を溜めやす
く、また、植栽容器８に重力（自然流下）によって配水
されるように、ダム本体Ａの近くの高台あるいはダム本
体Ａの上面とする。このようにして、雨水および上流か
らの流水が自然にタンク１０内に流入するようにすれ
ば、動力を使用することなく、植物６への散水が常時行
える。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の植栽可
能なダムによれば、植物に適量の水分が常時、補給され
るので、植物が枯れることがなくなり、ダムは、常に緑
化される。従って、周囲の景観が損なわれ、生態系が壊
れるといった可能性がなくなるという有用な効果がもた
らされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】つる系植物を植えた、この発明の植栽可能なダ
ムを示す側面図である。

【図２】この発明の植栽可能なダムの部分拡大正面図で
ある。

【図３】下方に延びる植物を植えた、この発明の植栽可
能なダムを示す側面図である。

【図４】この発明の植栽可能なダムに使用される散水装
置を示す概略断面図である。

【図５】鋼製籠枠によって構築されたダムを示す斜視図
である。

【図６】コンクリート壁面に取り付けられた、従来の緑
化装置を示す側面図である。

【符号の説明】

１：鋼製籠枠 ２：石 ３：保水部材 ４：枠体 ５：コンクリート壁面 ６：植物 ７：網部材 ８：植栽容器 ９：散水装置 １０：タンク １０Ａ：流入管 １０Ｂ：オーバーフロー管 １０Ｃ：排水管 １１：集水管 １２：散水管 １２Ａ：ノズル

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に石が詰め込まれた箱型鋼製籠枠を
   複数個積み上げたものからなるダム本体と、前記ダム本
   体の下流面および上流面の少なくとも一つに取り付けら
   れた、植物を絡ませるための網部材と、前記ダム本体の
   下流面、上流面および上面の少なくとも一つに設けられ
   た植栽容器と、前記植栽容器に水分を補給するための散
   水装置とからなることを特徴とする植栽可能なダム。
2. 【請求項２】 前記散水装置は、雨水や流水が溜められ
   るタンクと、前記タンク内の貯留水を前記植栽容器に植
   えられた植物に散水するための散水管とからなることを
   特徴とする、請求項１記載のダム。