JPH1027946A - 半導体レーザ装置、画像表示装置、及び光伝送システム - Google Patents

半導体レーザ装置、画像表示装置、及び光伝送システム

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JPH1027946A
JPH1027946A JP8181856A JP18185696A JPH1027946A JP H1027946 A JPH1027946 A JP H1027946A JP 8181856 A JP8181856 A JP 8181856A JP 18185696 A JP18185696 A JP 18185696A JP H1027946 A JPH1027946 A JP H1027946A
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layer
semiconductor laser
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optical
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JP8181856A
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Inventor
Masahito Uda
雅人 右田
Masayuki Momose
正之 百瀬
Shinichi Nakatsuka
慎一 中塚
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波長400から700nmの波長域の実用レ
ベルの性能を有するII−VI族半導体レーザの提供を可能
にすること。 【解決手段】 レ−ザ材料と同じII−VI族化合物半導体
であるp型ZnTeを基板に用い、クラッド層の組成を
ZnMgSeTeとすることでレ−ザ共振器を構成する
半導体積層構造を基板との格子整合条件を満たした条件
で形成する。 【効果】 ZnMgSeTeのクラッド層組成を調整す
ることで所望の発光組成を有する活性層を基板と格子整
合させて形成できるため、活性層内で発生する積層欠陥
や転位などの欠陥の発生を抑制でき、素子の温度特性も
顕著に改善できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体光素子及びそ
れを応用した装置に関わり、特に光記録再生装置、画像
発生装置、光情報処理端末装置、あるいはプラスティッ
クファイバ等を信号伝送路とする光通信システムに有用
な半導体レーザに関わる。より詳しく述べると、II−VI
族化合物材料を用いる可視から紫外波長域に発振波長を
有する半導体レーザならびに発光ダイオードと、半導体
レーザを光源に用いた画像表示装置などの装置に関わ
る。
【0002】
【従来の技術】600nm以下の波長帯で動作する半導
体レーザは、非線形光学結晶を用いて高次の光高調波を
発生させる所謂SHG方式以外の方法では、現在のとこ
ろ実用化されていない。最近、GaAsを基板に用いて
その上にクラッド層としてZnMgSSe、活性層とし
てZnCdSeからなるII−VI族化合物半導体レーザの
研究が行われている。ここで、II−VI族化合物半導体と
はアルカリ土類金属(例えば、Mg)や亜鉛族(例え
ば、Zn、Cd)等の+2の酸化状態を示す元素(所
謂、II族元素)とカルコゲン(例えば、S、Se、T
e)等の−2の酸化状態を示す元素(所謂、VI族元素)
からなる半導体材料を定義する。しかしながら、レーザ
動作時に急速な性能劣化が起こるためにZnMgSSe
系半導体を活性層に用いて実現される青緑色半導体レー
ザの寿命は数時間に留まり、製品水準である1万時間以
上の寿命を得るに到っていない。
【0003】一方、p型ZnTeを基板に用いてその上
に上述のII−VI族半導体を積層して成る発光素子が2例
知られている。第一の例(特開昭57−26491号公
報参照)はp型ZnTe基板上にZn1-xCdxSey
1-y(0<x<1)により構成される発光素子に関す
るものであり、第二の例(特開平04−133478号
公報参照)はp型ZnTe基板上にMg1-xZnxTe
(0<x<1)の組成により構成される発光素子に関す
るものである。
【0004】第一の例は、p−ZnTe基板上にn-
Zn1-xCdxSeyTe1-yからなる活性層を、さらに当
該活性層上にn+−Zn1-x'Cdx'Sey'Te1-y‘をそ
れぞれ格子整合させて積層することで、発光波長650
nmの光源を実現するものである。しかし、この例では
活性層とクラッド層との間のバンドオフセットが十分に
とれないために実現できる光源の発光波長は700nm
付近の近赤外領域に限られ、可視域の発光素子としては
機能しないという重大な欠点があった。
【0005】一方、第二の例は、p−ZnTe基板上に
p−Mg0.5Zn0.5Teからなるクラッド層、アンドー
プのMgxZn1-xTe(x<0.5)からなる活性層、
n−Mg0.5Zn0.5Teからなるクラッド層をこの順に
積層し、発光波長が490nm(x=0.25)又は5
40nm(x=0.1)の半導体発光素子を実現するも
のである。ここで、活性層のエネルギバンドギャップE
g(単位:eV)と発光波長λ(単位:nm)の関係は
次式で表される。
【0006】
【数1】 Eg=1.24/λ …(数式1) しかし、第2の例では基板と結晶との格子整合条件を満
足出来ないために結晶品質が劣悪になり、そのために実
用に耐え得る発光素子の作製が不可能であると言う重大
な欠点を有していた。即ち、活性層に結晶欠陥が多く存
在するため、本来発光に寄与すべきキャリア(電子、正
孔)の損失が多く、また発光したとしてもこれに伴う結
晶の温度上昇に伴い活性層・クラッド層間の格子不整合
が増長し、さらに多くの結晶欠陥が活性層内で増殖する
という問題を抱えていた。従ってこの例に基づいて発光
ダイオードを構成しても寿命が短く、さらに半導体レー
ザを構成しても活性層やクラッド層に存在する結晶欠陥
の多さからレーザ発振が殆ど不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】実用レベルの性能を有
するII−VI族化合物半導体レーザを提供するためには、
以下に述べる課題の解決が必要である。
【0008】まず、GaAs基板を用いたZnMgSS
e系レーザ素子では、基板界面近傍で発生する熱歪、価
電子数の不整合性、および界面近傍で形成されるGa2
Se3層中の空孔の影響を受けて、基板との界面付近に
おいて結晶欠陥の濃度が著しく高くなることを避けるこ
とが出来ない(技術課題1)。それに加えて、p型Zn
MgSSe中の正孔濃度を1017cm-3以上に高くするこ
とが困難であるために、素子の電気抵抗を下げることが
できず、電流注入時に起こる素子内の温度上昇の抑制が
困難である(技術課題2)。また基板よりも1%以上大
きな格子定数を持つZnCdSeを活性層に用いる必要
があるために大きな圧縮歪が活性層と光ガイド層もしく
はクラッド層との間に掛っている(技術課題3)。従っ
て、電流注入時に、界面近傍の熱応力の開放と共に発生
するミスフィット転位や成長時に生成する積層欠陥を源
として転位が増殖し、素子の温度上昇とともにその成長
が加速され、活性層を貫通するに至る(貫通転位の成
長)。このことをトリガーとして、活性層内の大きな圧
縮歪による応力を緩和させるように原子の再配列が引き
起こされ、レーザ素子を破壊に到らしめることが実験に
より明らかにされている。それ故に現状では、ZnMg
SSe系青緑色半導体レーザの寿命は、製品水準である
室温連続動作時の寿命が1万時間以上に達するに至って
いない。
【0009】一方、近年良質のZnSeバルク単結晶を
基板に用いたII−VI族半導体レーザが報告されている
(ELECTRONICS LETTERS, Vol.31 No.16 (1995年8月3日
刊行) pages 1341-1342)。この文献は、n−ZnSe
基板上部にZnCdSeからなる活性層を設け、当該活
性層の上下を挟むようにZnSeからなる光ガイド層を
形成し、さらに光ガイド層の上下を挟むようにZnMg
SSeクラッド層を形成してなる半導体レーザを開示
し、その発振波長は485乃至517nmになることを
教示する。この半導体レーザでは、ZnSe基板やZn
Se光ガイド層との格子整合を考慮してクラッド層をZ
nMgSSeで形成する一方、活性層をZnSe光ガイ
ド層と格子整合しないZnCdSeからなる量子井戸層
(pseudomorphically-strained quantum well)として
形成している。
【0010】しかし、この文献が開示する半導体レーザ
においても、上述の第2の従来例に見られた基板と活性
層との格子不整合に起因する問題に対する配慮が不十分
であった。即ち、ZnSeからなる基板又は層との格子
整合を考えて採用したZnMgSSeクラッド層におい
て、構成元素の一つであるSがその蒸気圧の高さ故、素
子の製造工程や素子の動作中における温度上昇でクラッ
ド層から抜け、これにより当該クラッド層の化学量論組
成が崩れる(VI族元素が入るサイトに不自然な空孔が生
じる)という新たな現象が見出されたのである。この現
象が生じた結果、ZnSe基板又はZnSe光ガイド層
とZnMgSSeクラッド層との間の格子整合は損なわ
れ、夫々の層は互いの結晶構造を歪ませる応力を加えあ
う。このような層間に生じる歪エネルギーは、ZnMg
SSe層からのSの脱離が進むにつれて高まり、各層に
おいては、このエネルギーを駆動力とした転位(結晶欠
陥)の増殖が進行し素子を劣化させる。
【0011】上述のようにZnCdSe活性層は、元来
ZnSe光ガイド層に対し格子不整合の条件で接合され
ているが、光ガイド層との格子定数の差及び層厚(60
〜200Å)を調整することで層内における転位の発生
を抑止している。しかし、Sの脱離に伴うZnMgSS
e層との格子不整合の増長によりZnSe光ガイド層の
結晶構造が歪むことで、予期せぬ圧縮応力が活性層に掛
かり素子性能は急速に劣化する(上述の技術課題3)。
【0012】さらに、レーザ素子用基板として充分な品
質のZnSe単結晶の作製は困難を極める上に、量産化
技術も確立されていないため、安価で良質な結晶の入手
が不可能であるという大きな欠点を有している(技術課
題4)。
【0013】これらの理由からZnSe単結晶を基板に
用いたII−VI族化合物半導体レーザも現在実用化される
に至っていない。
【0014】本発明は、以上の技術的課題を解決し、実
用レベルの性能を有する400nmから700nmの可
視波長域、特に実用化が困難とされた600nmの波長
領域で発振するII−VI族半導体レーザの提供を可能にす
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明では基板材料に立方晶閃亜鉛構造のp−Z
nTeを、クラッド層にZnMgSeTeを夫々用い、
クラッド層のZnMgSeTe組成をZnTe基板と実
質上格子整合するように選んでII−VI族半導体レーザを
形成する。その長所は以下の通りである。
【0016】1.レーザ光を発振するための共振器構造
を形成する材料と同じII−VI族化合物半導体であるp型
ZnTeを基板に用いると、GaAs基板を用いる場合
に比べて基板界面での熱歪の発生を抑制できる。また価
電子数の整合性をとることが出来る上に、Ga2Se3
が形成されないので、基板界面で発生する積層欠陥や転
位などの欠陥の発生を抑制できる(技術課題1の改
善)。
【0017】2.クラッド層をZnMgSeTeで構成
することにより、硫黄(S)を構成元素から外せるた
め、クラッド層の化学量論組成の実質上の安定性(即
ち、レーザ発振に支障を来さない結晶品質)が確保でき
る。また、p伝導型のZnMgSeTeクラッド層とp
伝導型のZnTe基板(又はバッファ層)とを接合する
ことで、p側クラッドの直列抵抗を著しく改善できる。
即ち、基板とクラッドとの間の価電子帯のエネルギー差
が0.3eVと小さいために、正孔注入時の抵抗成分を
10-3Ωcm2以下にできるので熱の発生を抑制でき、素
子の温度特性を顕著に改善できる(技術課題2の改
善)。
【0018】3.p−ZnTe基板とZnMgSeTe
クラッド層を採用することにより、基板から活性層上部
のクラッド層に到るまで格子整合条件を満たすように素
子構造を作製できる。これにより、活性層近傍での歪に
よる応力の発生を完全に抑制できる(技術課題3の改
善)。
【0019】4.ZnTe単結晶は、ZnSeに比べ
て、良質な結晶の作製が容易で量産性が良好な上に、G
aAsよりも安価な単結晶の入手が可能である。したが
って、本発明を用いると従来技術の課題を尽く克服でき
るために、製品水準の性能を有する低価格のII−VI族化
合物半導体レーザを作製できる(技術課題4の改善)。
【0020】次に、基板材料にp−ZnTeを、クラッ
ド層にZnxMg1-xSey(1-x)Te1-y(1-x)(0≦x<
1)を夫々用いてII−VI族化合物半導体レーザを形成す
る根拠について、図1を参照して説明する。図1には、
本発明者が算出したII−VI族系化合物半導体の結晶の室
温(25℃)における格子定数の概算値と禁制帯幅の関
係が、プロットされている。ここで格子定数のデータを
概算値として示した理由は、結晶の格子定数は厳密には
その環境温度により微妙に変わること、本発明の半導体
レーザ装置の作製指針に十分な精度であることである。
各化合物毎の格子定数(概算値)−禁制帯幅は、ZnT
eで6.10nm−2.26eV、MgTeで6.30n
m−3.2eV、MgSeで5.90nm−3.5eV、
CdTeで6.48nm−1.44eV、CdSeで6.
05nm−1.7eV、及びZnSeで5.67nm−
2.67eVである。
【0021】図1から明らかなように、ZnTeなる半
導体層を構成するII族元素Znの少なくとも一部をMg
で置き換えるとき、VI族元素Teの一部をSeで置き換
えることにより当該半導体層の格子定数をZnTeのそ
れに近づけられる。またZnをCdで置き換えるとき
も、VI族元素Teの一部をSeで置き換えることで当該
半導体層の格子定数をZnTeのそれに近づけられる。
一方、ZnTe半導体層の禁制帯幅は、ZnをMgで置
き換えるに従って広がり、ZnをCdで置き換えるに従
って狭まる。この図から、クラッド層をZnMgSeT
eなる4元系、又はMgSeTeなる3元系の化合物半
導体で、活性層をZnCdSeTeなる4元系、又はC
dSeTeなる3元系の化合物半導体で構成すること
で、活性層へのキャリア閉じ込め効率の高い半導体レー
ザをZnTe基板上に実質的な格子整合条件を満たして
実現できることが明らかであろう。
【0022】本発明者は、図1に示したデータを基にp
−ZnTe基板とこれに実質上格子整合するZnxMg
1-xSey(1-x)Te1-y(1-x)クラッド層(0≦x<1)
とを組み合わせて半導体レーザ装置を構成する利点を次
のように説明する。クラッド層は活性層より大きな禁制
帯幅を有することを要請されるが、本発明によれば、活
性層の組成によりその値がZnTe以上となっても十分
な大きさの禁制帯幅を有し且つZnTe基板と格子整合
するクラッド層組成を容易に見出せるからである。即
ち、ZnxMg1-xSey(1-x)Te1-y(1-x)クラッド層に
対し、4元系の化合物1モルがy(1−x)モルのMg
Se、(1−y)(1−x)モルのMgTe及びxモル
のZnTeからなると考え、クラッド層に所望する禁制
帯幅EgCLに対し次の連立方程式を解けばよいのであ
る。
【0023】
【数2】 5.90y(1-x)+6.10x+6.30(1-y)(1-x)=6.10 …(数式2)
【0024】
【数3】 3.5y(1-x)+2.26x+3.2(1-y)(1-x)=EgCL …(数式3) 数式2は室温における格子整合条件、数式3は禁制帯幅
の観点に夫々基づくものである。本発明者は、これらの
数式から算出された組成でクラッド層を形成することに
より、実質上結晶欠陥フリーのII−VI族化合物からなる
半導体レーザ装置が実現できることを見出した。
【0025】さらに望ましくは、上述のyを0.5に近
づけるとクラッド層の組成設定は簡単となる。この点か
ら、クラッド層組成におけるyは略0.5とすることが
望ましい。また活性層を基板と格子整合しない所謂歪量
子井戸構造とする場合、これに接合されるクラッド層で
応力補償を行うように基板に対し若干の格子定数差
(a,−0.02<a<0.02)を持たせてもよい。こ
のとき、上述の数式2の右辺は6.10aとなる。
【0026】さて、上述の可視域半導体レーザを光源に
用いると、従来になく高密度な記録容量を持つ光ディス
ク装置、小型高精細画像表示装置が、或いはプラスティ
ックファイバと組み合わせて用いると、LAN(狭域内
光通信)、ボード間光インタコネクト、加入者系などの
身近で低価格な光通信用システムを実現出来る。
【0027】この例として、画像表示装置用光源と光通
信用光源に本発明に関わる半導体レーザを用いた例をそ
れぞれ述べる。前者に関し、1993年にデジタルマイ
クロ反射鏡を用いた高精細投射型ディスプレイが発表さ
れている(SID93DIGEST、47.6 Late-New
s Paper:pp1012-1015)。現在、その光源には1kWの
Xeもしくは金属ハライドランプが使用されているが、
その劣化寿命は2000時間(3ヶ月)以内と短く、し
かも交換にかかる費用は一回に付数万円と高価である。
本発明による青色、緑色、赤色半導体レーザを光源に使
用することにより、光源の寿命を大幅に伸ばすことがで
きる。また装置構成が簡略かつ小型化し、そのため画像
発生部と表示スクリーンとが分離出来るなど、低価格化
も実現できる。また大幅な少電力化がはかれるので維持
費の大幅な低減が可能となる、など省エネルギーなど対
環境性も考慮した将来ニーズに適う製品を提供出来る。
この他にも液晶投射型ディスプレイ用光源等種々のディ
スプレイ用光源などにも応用が可能であることはもちろ
んである。
【0028】また後者に関し、プラスティックファイバ
(POF)が現在市販され、低価格のLAN(local ar
ea network)等の光通信システムが市場にで回り始めて
いる。現在、POFの伝送損失スペクトルに整合がとれ
る最適な波長(560〜575nm)のレーザ光源が存
在せず、そのために橙色発光素子、もしくは赤色レーザ
で代用されている。しかしこれらの光源を用いた場合に
は、伝送損失が著しく大きくなるために、システムの価
格上昇につながるので、信号伝送性能の改善が強く望ま
れている。本発明による発振波長約570nmの半導体
レーザを光源に使用すると、伝送損失を大幅に低減で
き、かつ伝送帯域を拡大出来るので、伝送特性の大幅な
改善が行えた。
【0029】
【発明の実施形態】以下の実施例及びその関連図面に開
示する本発明の好ましき実施の形態により、本発明をさ
らに具体的且つ詳細に説明する。
【0030】<実施例1>本実施例を図2及び図6を参
照して説明する。本実施例は、活性層組成をZnxCd
1-xSey(1-x)Te1-y(1-x)(0≦x≦1)の一例であ
るZnTe(x=1.0,y=0)とした半導体レーザ
装置に関するものである。
【0031】室温下でキャリア濃度5×1017cm-3、ホ
ール移動度25cm2/Vs、比抵抗0.07Ω・cmの電
気特性を有する、厚さ1mm、直径3インチのp型ZnT
eウエハをレーザ結晶成長用の基板1として使用した。
使用に当たり、次ぎのプロセス前工程を行った。先ず、
表面のラッピングを行い、次いで有機洗浄を行った後、
ダメージ層をエッチングにより除去した。エッチャント
にはHClとHNO3の混合液を用い、25℃、5分間
のエッチングにより表面を10μm程度除去した。エッ
チング後の基板は、純水洗浄と窒素雰囲気中で乾燥を行
った後、即座に基板ホルダに取付け、成長炉内に挿入
し、減圧下に保持した。レーザ結晶の成長は、原料に固
体のZn、Mg、Se、Teを用いるMBE法により行
った。先ず基板を610℃まで加熱し表面酸化層を除去
した。酸化層の除去が完全に行われていることをRHE
EDで確認した後、基板温度を320℃に下げて、Zn
分子線を照射し基板表面の結晶性を整えた。基板温度を
320℃一定に保持したまま、50nm厚のp型ZnT
e層22を成長した。その上に2μm厚のp型Zn0.2
Mg0.8Se0.4Te0.6クラッド層(p型キャリアの密
度:p=4×1017cm-3)2を積層し、次いで厚さ12
0nmのp型Zn0.6Mg0.4Se0.2Te0.8ガイド層
(p=7×1017cm-3)3を成長した。その上に活性層
4としてアンドープZnTeを厚さ10nm積層した。
【0032】ここで注釈すれば、ZnTeはバルク結晶
として形成される場合、若干のZnが抜けて空のサイト
(Zn-vacancy)が結晶中に形成される。この空のサイト
の存在は、ZnTeの結晶性を実質上損なうものでない
が、これによりドーパントを注入しなくともZnTeの
バルク結晶はp型の導電性を示す。これに対し、半導体
基板上又は半導体膜上にエピタキシャル成長されるZn
Te膜は空のサイトが実質上形成されず、従って実質上
導電性のない(intrinsicな)結晶となる。
【0033】次ぎに、n型光ガイド層5として厚さ12
0nmのn型Zn0.6Mg0.4Se0.2Te0.8(n型キャ
リアの密度:n=5×1017cm-3)とn型クラッド層6
として厚さ800nmのn型Zn0.2Mg0.8Se0.4
0.6(n=8×1017cm-3)を順次積層した後、n側
電極とのコンタクト層7としてZnxMg1-xSeyTe
1-y(0.2≦x≦0.3、0.4≦y≦1)からなる
傾斜組成層を形成した(図2参照)。このコンタクト層
7は、後の工程でこの上面に形成されるn側電極と上述
のn型クラッド層6との電気的な導通を向上させるため
のものであり、その組成が徐々にZnSeに近づくよう
に成長させる。このように膜厚方向に組成比を傾斜させ
て成長させたコンタクト層7は、最上部において組成が
略ZnSeとなるようにする。これは、ZnSeなる半
導体がn型の導電体として扱うに好適なためである。
【0034】以上の工程を終えた段階での素子の縦方向
(成長方向)の格子定数を図5に示す。p−ZnTe基
板下面からn−ZnMgSeTeのクラッド層6上面ま
で格子定数は略一定となり、n型のクラッド層6と傾斜
組成層7との界面を境に減少している(界面に相当する
部分を図5中の矢印で表示)。これは、図1から明らか
なように、ZnSeの格子定数はZnTeのそれより小
さいことによる。コンタクト層の平均キャリア濃度は2
×1018cm-3であった。
【0035】成長終了後、温度を30℃一定に保持しB
2とエタノールとの混合エッチャントを用いてエッチ
ングを行い、ストライプ幅8μmの埋込用構造を形成し
た。その後エピウエハをMOCVD成長炉に導入し、基
板温度370℃においてp型ZnTe電流狭窄層8の埋
込再生長を行った。再成長後、混合エッチャントでエピ
表面をエッチング後、p基板側電極9にNi/Ti/A
u、n側電極10にIn/Ti/Auを蒸着した。以上
の工程において、p型のドーパントにはLi等のI族元
素(アルカリ金属元素)又はN,P,As,Sb等のV
族元素を、n型のドーパントにはAl,Ga等のIII族
元素又はCl,I等のVII族元素(ハロゲン元素)を夫
々用いた。
【0036】上述の工程により、共振器長600μm、
幅850μmのレーザチップを作製後、共振器端面をT
aO2/SiO2多層膜によりコーティングし、端面反射
率を95%に調整した。このようにして作製された素子
は、室温での電流閾値760A/cm2、発振波長568
nm、また50℃加速試験における動作寿命は4800
時間の性能を示した。
【0037】一方、電流狭窄層8に、絶縁性ポリイミド
樹脂、またはSiO2を使用した場合の室温での電流閾
値はそれぞれ2.0kA/cm2、1.4kA/cm2と高い
値であることから、埋込層にp型ZnTeを使用したこ
とにより表面暗電流が抑えられ、低閾レーザ動作が達成
出来たことが確認出来た。
【0038】<実施例2>本実施例を図3及び図6を参
照して説明する。本実施例は、活性層組成をZnxCd
1-xSey(1-x)Te1-y(1-x)(0≦x≦1)とした半導
体レーザ装置に関するものであり、活性層組成の詳細は
yを略0.884に設定し、所望の波長組成に合わせて
上述の数式1〜3を順次解いてxを求めることができ
る。これは、既にクラッド層について説明した手法と同
じ要領で行える。
【0039】室温下でキャリア濃度5×1017cm-3、ホ
ール移動度25cm2/Vs、比抵抗0.07Ω・cmの電
気特性を有する、厚さ1mm、直径3インチのp型ZnT
eウエハをレーザ結晶成長用の基板1として使用した。
使用に当たり、次ぎのプロセス前工程を行った。先ず、
表面のラッピングを行い、次いで有機洗浄を行った後、
ダメージ層をエッチングにより除去した。エッチャント
にはHClとHNO3の混合液を用い、25℃、5分間
のエッチングにより表面を10μm程度除去した。エッ
チング後の基板は、純水洗浄と窒素雰囲気中で乾燥を行
った後、即座に基板ホルダに取付け、成長炉内に挿入
し、減圧下に保持した。レーザ結晶の成長は、原料に固
体のZn、Mg、Se、Teを用いるMBE法により行
った。先ず基板を610℃まで加熱し表面酸化層を除去
した。酸化層の除去が完全に行われていることをRHE
EDで確認した後、基板温度を320℃に下げて、Zn
分子線を照射し基板表面の結晶性を整えた。
【0040】基板温度を320℃一定に保持したまま、
50nm厚のp型ZnTe層22を成長した。その上に
2μm厚のp型Zn0.2Mg0.8Se0.4Te0.6クラッド
層(p=4×1017cm-3)2を積層し、次いで厚さ12
0nmのp型Zn0.6Mg0.4Se0.2Te0.8ガイド層
(p=7×1017cm-3)3を成長した。その上に活性層
4としてアンドープCdZnSeTeを厚さ10nm積
層した。次ぎに、n型光ガイド層5として厚さ120n
mのn型Zn0.6Mg0.4Se0.2Te0.8(n=5×10
17cm-3)とn型クラッド層6として厚さ800nmのn
型Zn0.2Mg0.8Se0.4Te0.6(n=8×1017c
m-3)を順次積層した後、n側電極とのコンタクト層7
としてZnxMg1-xSeyTe1-y(0.2≦x≦0.
3、0.4≦y≦1)からなる傾斜組成層を形成した
(図3参照)。コンタクト層の平均キャリア濃度は2×
1018cm-3であった。
【0041】以上の工程を終えた段階での素子の縦方向
(成長方向)の格子定数は、実施例1と同様に図5のグ
ラフに示され、格子定数はn型のクラッド層6とコンタ
クト層7との界面を境に減少している(図中の矢印で表
示)。
【0042】成長終了後、温度を30℃一定に保持しB
2とエタノールとの混合エッチャントを用いてエッチ
ングを行い、ストライプ幅8μmの埋込用構造を形成し
た。その後エピウエハをMOCVD成長炉に導入し、基
板温度370℃においてp型ZnTe電流狭窄層8の埋
込再生長を行った。再成長後、混合エッチャントでエピ
表面をエッチング後、p基板側電極9にNi/Ti/A
u、n側電極10にIn/Ti/Auを蒸着した。
【0043】以上の工程により、共振器長600μm、
幅850μmのレーザチップは概ね出来上がった。さら
に、共振器端面をTaO2/SiO2多層膜によりコーテ
ィングし、端面反射率を95%に調整して半導体レーザ
装置を仕上げた。このようにして作製された素子は、室
温での電流閾値580A/cm2、発振波長588nm、
また50℃加速試験における動作寿命は3600時間の
性能を示した。
【0044】一方、電流狭窄層に、絶縁性ポリイミド樹
脂、またはSiO2を使用した場合の室温での電流閾値
は2.4kA/cm2、1.7kA/cm2と高い値であるこ
とから、埋込層にp型ZnTeを使用したことにより表
面暗電流が抑えられ、低閾レーザ動作が達成出来たこと
が確認出来た。
【0045】<実施例3>本実施例を図4及び図6を参
照して説明する。本実施例は、活性層組成をZnxMg
1-xSey(1-x)Te1-y(1-x)(0≦x≦1)とした半導
体レーザ装置に関するものであり、活性層組成の詳細は
yを略0.5に設定し、所望の波長組成に合わせて上述
の数式1〜3を順次解いてxを求めることができる。こ
れも実施例2同様、既にクラッド層について説明した手
法と同じ要領で行える。
【0046】室温下でキャリア濃度5×1017cm-3、ホ
ール移動度25cm2/Vs、比抵抗0.07Ω・cmの電
気特性を有する、厚さ1mm、直径3インチのp型ZnT
eウエハをレーザ結晶成長用の基板1として使用した。
使用に当たり、次ぎのプロセス前工程を行った。先ず、
表面のラッピングを行い、次いで有機洗浄を行った後、
ダメージ層をエッチングにより除去した。エッチャント
にはHClとHNO3の混合液を用い、25℃、5分間
のエッチングにより表面を10μm程度除去した。エッ
チング後の基板は、純水洗浄と窒素雰囲気中で乾燥を行
った後、即座に基板ホルダに取付け、成長炉内に挿入
し、減圧下に保持した。レーザ結晶の成長は、原料に固
体のZn、Mg、Se、Teを用いるMBE法により行
った。先ず基板を610℃まで加熱し表面酸化層を除去
した。酸化層の除去が完全に行われていることをRHE
EDで確認した後、基板温度を320℃に下げて、Zn
分子線を照射し基板表面の結晶性を整えた。
【0047】基板温度を320℃一定に保持したまま、
50nm厚のp型ZnTe層22を成長した。その上に
2μm厚のp型Zn0.2Mg0.8Se0.4Te0.6クラッド
層(p=4×1017cm-3)2を積層し、次いで厚さ12
0nmのp型Zn0.6Mg0.4Se0.2Te0.8ガイド層
(p=7×1017cm-3)3を成長した。その上に活性層
4としてアンドープZn0.8Mg0.2Se0.1Te0.9を厚
さ10nm積層した。次ぎに、n型光ガイド層5として
厚さ120nmのn型Zn0.6Mg0.4Se0.2Te
0.8(n=5×1017cm-3)とn型クラッド層6として
厚さ800nmのn型Zn0.2Mg0.8Se0.4Te
0.6(n=8×1017cm-3)を順次積層した後、n側電
極とのコンタクト層7としてZnxMg1-xSeyTe1-y
(0.2≦x≦0.3、0.4≦y≦1)からなる傾斜
組成層を形成した(図4参照)。コンタクト層の平均キ
ャリア濃度は2×1018cm-3であった。
【0048】以上の工程を終えた段階での素子の縦方向
(成長方向)の格子定数は、実施例1と同様に図5のグ
ラフに示され、格子定数はn型のクラッド層6とコンタ
クト層7との界面を境に減少している(図中の矢印で表
示)。
【0049】成長終了後、温度を30℃一定に保持しB
2とエタノールとの混合エッチャントを用いてエッチ
ングを行い、ストライプ幅8μmの埋込用構造を形成し
た。その後エピウエハをMOCVD成長炉に導入し、基
板温度370℃においてp型ZnTeの電流狭窄層8の
埋込再成長を行った。
【0050】再成長後、混合エッチャントでエピ表面を
エッチング後、p基板側電極9にNi/Ti/Au、n
側電極10にIn/Ti/Auを蒸着した。共振器長6
00μm、幅850μmのレーザチップを作製した。共振
器端面をTaO2/SiO2多層膜によりコーティング
し、端面反射率を95%に調整した。
【0051】このようにして作製された素子は、室温で
の電流閾値1.2kA/cm2、発振波長519nm、ま
た50℃加速試験における動作寿命は1800時間の性
能を示した。また活性層としてアンドープZn0.7Mg
0.3Se0.15Te0.85を用いた場合には、電流閾値1.
1kA/cm2、発振波長458nm、また50℃加速試
験における動作寿命は1900時間の性能を示した。
【0052】一方、電流狭窄層に、絶縁性ポリイミド樹
脂、またはSiO2等の絶縁性材料を使用した場合の室
温での電流閾値はそれぞれ2.7kA/cm2、1.9k
A/cm2と高い値であることから、埋込層にp型ZnT
eを使用したことにより表面暗電流が抑えられ、低閾レ
ーザ動作が達成出来たことが確認出来た。
【0053】<実施例4>本実施例を、図7を参照して
説明する。
【0054】図7は、本発明の半導体レーザ装置を画像
表示装置の光源として用いた一例を示すものである。
【0055】サイズ20×10mm2の2次元スイッチ
アレイ11、発振波長が異なる3つの高周波重畳半導体
レーザ装置12〜14、受像同期信号制御回路15、ビ
ーム形状制御装置16、光分波結合装置19を基本構成
とする手のひらサイズ(6×8×4cm3)の小型2次元
スイッチアレイを用いたフルカラーレーザ光画像発生装
置23を試作した。この画像発生装置には、図示せざる
も発振波長が460nmの半導体レーザ装置12、52
0nmの半導体レーザ装置13及び630nmの半導体
レーザ装置14が搭載され、個々の半導体レーザ装置に
対応してビーム形状制御装置16が設けられ、各々から
送られる光は光路調整装置18にて合流し、概ね白色の
光を形成する。
【0056】2次元スイッチアレイ11はSiウエハに
マイクロマシン技術を用いて構成された100万画素の
16×8μm2サイズの単位スイッチからなる。受像同期
信号制御回路15は、赤色(630nm)情報、緑色
(520nm)情報、青色(460nm)情報を夫々の
2次元スイッチアレイ11に送信する。光分波結合装置
19は、図示せざるも2次元に配列された画素を有する
受光面を備える。3色のレーザ光は、ビーム形状制御装
置16でビーム系を拡げられた後、白色光として光分波
結合装置19の受光面に入射する。ところで、この受光
面には画素毎に2次元スイッチアレイ11のスイッチか
らの信号線が接続され、画素毎の屈折率を制御してい
る。この屈折率により、白色光として入射するレーザ光
を選択的な波長で反射させ、光学系24に放射する。換
言すれば、選択されない波長は受光面を通過し、光学系
24に入射しない。
【0057】このようにフルカラーレーザ光画像発生装
置23から発生した画像情報を、10×5m2のサイズの
スクリーン17上に、投影レンズにより構成される光学
系24を通してレーザ光20を投影することにより超高
精細大型映像が得られた。
【0058】この光画像発生装置23は、パーソナルコ
ンピュータと組み合わせて、コンピュータ・ディスプレ
イ装置の画面情報をOHP用スクリーンに投影するプロ
ジェクタにも利用できる。
【0059】<実施例5>本実施例を、図8及び図9を
用いて説明する。
【0060】図8は、有機材料の一つである、ポリメチ
ルメタアクリレート(PMMA)で形成された光ファイ
バの伝送損失特性を示す図である。ポリメチルメタアク
リレートを主材料とするグレーディッドインデックス型
プラスティック光ファイバ(GI−POF)の最小伝送
損失波長は600nm以下(特に560〜575nm)
にある。この光ファイバを用いて光伝送システムを構成
する試みは、以前から研究されていたが、600nm以
下の波長で発振する半導体レーザ素子が無く、伝送損失
波長が比較的低い650nm付近の波長でレーザ発振す
るInAlGaP系の活性層を有する半導体レーザ素子
を光源として用いていた。しかし、伝送損失の影響によ
り実用的な送信距離はせいぜい2kmに留まり、これ以
上の距離を伝送させるとなると信号強度の低下からS/
N比が低下し、伝達情報の信頼性が著しく低下してい
た。このため、3km以上の距離を光伝送するには伝送
線路上に中継器を設け、ここで一旦電気信号に変換した
後再度光信号に変換して信号を伝達せざるを得なかっ
た。
【0061】これに対し、既に実施例1で説明したよう
に、本発明が実現する発振波長が560〜575nmの
半導体レーザ装置を上述の光伝送システムの光源に用い
れば、従来0.3〜1.0dB/m程度であった伝送損
失を0.05dB/mまで約1桁低減することが出来
る。この時の伝送帯域を見積もると2GHz・kmと求
まり、従来の約400倍に達することが示された。
【0062】このことを具体的に述べると、従来のポリ
メチルメタアクリレートで光ファイバ(以下、POF)
を用いた光伝送システムにおいて、3km以上の距離の
光伝送に不可欠であった中継器の存在が、5km以上の
伝送距離においても不要となることである。従って、本
発明の半導体レーザ装置とPOFとを組み合わせて得ら
れた知見により、新たな光伝送システムを提案できる。
この光伝送システムは、市街地を網羅するLAN(Loca
l Area Network)において、基地局と中継局もしくは受
信局との間、又は中継局と中継局もしくは受信局との間
を結ぶいずれかの伝送線の少なくとも一線が3km以
上、望ましくは5km以上且つ10km以下の長さの有
機材料からなる光ファイバで接続され、当該光ファイバ
内を600nm以下の波長の光信号を伝搬させることを
特徴とするものである。
【0063】図9にその一例を示す。この図に示す光伝
送システムは、従来のSiO2又はこれにB23やGe
2混合して形成した光ファイバ60を用いた所謂幹線
系の光伝送システムと上述のPOF53を用いた加入者
系の光伝送システムとを組み合わせたものである。
【0064】加入者系の光伝送システムは、中継局の信
号送受信端子と加入者A(一般家庭)61や加入者B
(オフィス・ビルディング)64の信号送受信端末55
とをPOFの加入者系光伝送線54を介して接続して構
成される。各加入者は、加入者系光伝送線54からの光
信号を信号送受信端末55の受光素子52で電気信号に
変換し、この信号に載せられる情報をテレビ(例えば、
文字放送チャンネル)62やファクシミリ(例えば、電
話機能付)63、コンピュータ端末65で受け取る。受
光素子は、実施例1の半導体レーザ素子から電流狭窄層
8を除いただけの積層構造を有するフォトダイオードを
用いる。加入者が基地局への情報の要求や他の加入者へ
の情報発信をファクシミリ63やコンピュータ65のキ
ーボードから行うと、夫々の機器から発信された電気信
号は信号送受信端末55の半導体レーザ装置51で光信
号に変換され、加入者系光伝送線54、場合によっては
中継局をも介し、基地局や他の加入者の信号送受信端末
55へと情報が送られる。加入者の信号送受信端末55
の半導体レーザ装置51は実施例1で述べた仕様のもの
を用いる。図9には、加入者系光伝送線54に加入者A
Bしか加入していないが、実際は1千世帯以上(普及す
れば、更に1〜2桁上昇)が加入している。
【0065】上述のように、POFに限らず光ファイバ
を介した情報通信においては信号伝送媒体となる光のフ
ァイバ内における損失が問題となる。従って、加入者な
り基地局からの信号を伝送する過程で中継局を通して一
旦信号を電気に変換し、増幅器58で信号のS/Nを高
めるように電気信号を増幅し、再度光に変換してファイ
バに流す。このような手法は従来から行われていたが、
本発明の半導体レーザ装置51及びこれに準じた構造の
受光素子52とPOF伝送線53を用い、600nm以
下の波長の光を信号伝送媒体とすることで、次のような
光伝送システムを構築できる。
【0066】図9が示すように、本発明が新たに可能と
する光伝送システムにおいては、基地局57、中継局5
6、加入者61,64が全て本発明の半導体レーザ装置
51が発振する600nm以下の波長の光を媒体とした
情報ネットワークが形成されている。図8から明らかな
ように従来の650nm付近の波長の光を媒体とした場
合に比べ、460〜535nmや560〜575nmの
波長の光を媒体とした場合POF53における光の伝送
損失は0.1dB/mと低くなり、同じ強度の光を一桁
近く遠い距離まで伝送できる。このため、従来ビルディ
ング内や工場内のLAN(狭域内光通信)にしか実用の
利点なしとされたPOFによる光通信ネットワークが、
政令指定都市レベルの広さまで拡張できる検討結果を得
た。即ち、POF伝送線53に約570nmの波長の光
を伝送する場合、最大10km迄増幅なしで情報を高い
S/Nで送れるため、中継局を今までになく離間して設
置できるのである。ここで注意すべきは、この光伝送シ
ステムの光源は上述の本発明のII-VI族化合物半導体レ
ーザ装置に限定されず、560〜575nmの波長の光
を発振できるならばIII-V族化合物半導体レーザ装置を
用いてもよい点である。しかし、本発明者が調査した限
りでは現段階でII-VI族化合物半導体レーザ装置以外に
実用の見込みのある光源を見出していない。
【0067】例えば横浜市の場合、基地局を新横浜駅前
に、ここからPOF伝送線を南は金沢区富岡、北は緑区
長津田まで区毎に1ヶ所ずつ設けられた中継局に結ぶだ
けで市内を完全に網羅する光通信ネットワークが完成で
きる。各区において、一中継局から加入者系光伝送線5
4を区内全域に敷設できるのもPOF伝送線53による
波長約570nmの光伝送の利点であり、POFや発光
・受光素子の安価さに加え、中継局数が少ない分、光伝
送システム構築の初期投資が軽減できるため、地域住民
が加入しやすい光通信ネットワークが提供できることも
期待される。
【0068】図9では、基地局に光−電気変換装置59
を介して幹線系と加入者系の信号の授受を行う機能を示
して有るが、このような構成により、A市内のLANと
B市内のLANとを幹線系の伝送線を介して接続でき
る。
【0069】このように、本発明の半導体レーザ装置の
性能は、POFを用いた安価で高性能な新たな光通信シ
ステムの構築を可能にする。いうまでもなく、本発明に
よる600nm以下の発振波長の光源の実現はPOFを
用いた光伝送システムのみならず、有機材料で形成され
た高分子材料の光学繊維で、その最小伝送損失波長(又
は伝送損失が0.1dB/m以下となる波長)が600
nm以下であるがために、今まで光伝送システムへの応
用が見合わされていた材料の活用をも可能にする。
【0070】この他にも、例えば光ファイバジャイロに
対してポリメチルメタアクリレート(PMMA)の光フ
ァイバと本発明が実現する発振波長560〜575nm
の光源とを組み合わせれば、性能/価格比の大幅な改善
が見られるなど、本発明による半導体レーザとPOFと
で構成されるシステムは幅広い分野への応用が考えられ
る。
【0071】
【発明の効果】本発明により、安価で高品質なZnTe
単結晶基板上に、ZnCdMgSeTeを主材料し、p
型ZnTeを埋込再成長層に用いたII−VI族半導体レー
ザ構造を作製することにより、紫色から橙色の波長域で
レーザ発振可能な、製品レベルの高い水準にある高性能
の半導体レーザを提供できる。
【0072】また本発明を用いて提供できる可視域半導
体レーザを光源に用いると、小型超高精細画像発生装
置、従来になく高密度な記録容量を持つ光ディスク装
置、或いはプラスティックファイバと組み合わせて用い
ると、LAN(狭域内光通信)、ボ−ド間光インタコネ
クト、加入者系、光ファイバジャイロなどの身近で低価
格高性能なシステムを提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】禁制帯エネルギーと格子定数の関係を表す図。
【図2】半導体レーザのバンド構造を表わす概略図。縦
軸はエネルギー、横軸は基板からのレーザ構造縦方向深
さを示す。
【図3】半導体レーザのバンド構造を表わす概略図。縦
軸はエネルギー、横軸は基板からのレーザ構造縦方向深
さを示す。
【図4】半導体レーザのバンド構造を表わす概略図。縦
軸はエネルギー、横軸は基板からのレーザ構造縦方向深
さを示す。
【図5】半導体レーザ構造縦方向の格子定数を表わす
図。縦軸は格子定数、横軸は基板からのレーザ構造縦方
向深さを示す。
【図6】半導体レーザ構造と材料組成を表わす素子断面
構造図
【図7】画像表示装置の概略を表わす図。
【図8】プラスティックファイバの伝送損失特性を表す
図。
【図9】本発明の半導体レーザ装置とPOFを組み合わ
せた光伝送システムを模式的に表す図。
【符号の説明】
1…基板、2…p型クラッド層、3…p型光ガイド層、
4…活性層、5…n型光ガイド層、6…n型クラッド
層、7…コンタクト層、8…埋込層、9…p側電極、1
0…n側電極、11…2次元スイッチアレイ、12,1
3,14…半導体レーザ、15…同期信号制御回路、1
6…ビーム形状制御装置、17…スクリーン、18…光
路調整装置、19…光分波結合装置、20…レーザ光。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p伝導型ZnTe単結晶基板上部に該基板
    と実質的に格子整合条件を満たすよう形成されたZnx
    Mg1-xSey(1-x)Te1-y(1-x)(0≦x<1)の組成
    を有するクラッド層を含むことを特徴とする半導体レー
    ザ装置。
  2. 【請求項2】上記クラッド層の組成のyは、略0.5で
    あることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装
    置。
  3. 【請求項3】上記クラッド層に挟まれるように形成され
    た活性層は、ZnxCd1-xSey(1-x)Te1-y(1-x)(0
    ≦x≦1)の組成からなり、yは略0.884であるこ
    とを特徴とする請求項1項又は請求項2に記載の半導体
    レーザ装置。
  4. 【請求項4】上記クラッド層に挟まれるように形成され
    た活性層は、ZnxMg1-xSey(1-x)Te1-y(1-x)(0
    ≦x≦1)の組成を有し、室温における該活性層の禁制
    帯幅は上記クラッド層の禁制帯幅より少なくとも0.3
    eV以上小さいことを特徴とする請求項1及び第2項に
    記載の半導体レーザ装置。
  5. 【請求項5】p型ZnTeを電流狭窄部の埋込材料に用
    いたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載
    の半導体レーザ装置。
  6. 【請求項6】請求項1乃至4の半導体レーザ装置を光源
    として備えたことを特徴とする画像表示装置。
  7. 【請求項7】上記半導体レーザ装置は、利得導波型又は
    高周波重畳型の共振器構造を有することを特徴とする請
    求項6に記載の画像表示装置。
  8. 【請求項8】600nm以下の発振波長の光源を含み且
    つ該光源により光信号を送信する信号送信手段と、該信
    号送信手段からの光信号を受信する信号受信手段と、該
    信号発振手段と該信号受信手段とを結び該光信号を伝送
    するプラスティックファイバからなる伝送線からなり、
    上記伝送線の少なくとも一は3km以上の長さを有する
    ことを特徴とする光伝送システム。
  9. 【請求項9】半導体レーザにより光信号を発信する光信
    号発信手段と、該光信号を伝送する有機材料からなる伝
    送線とを含み、上記半導体レーザの発振波長における上
    記伝送線の伝送損失は0.1dB/m以下であることを
    特徴とする光伝送システム。
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