JPH10266956A - トラップ装置 - Google Patents

トラップ装置

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JPH10266956A
JPH10266956A JP8874897A JP8874897A JPH10266956A JP H10266956 A JPH10266956 A JP H10266956A JP 8874897 A JP8874897 A JP 8874897A JP 8874897 A JP8874897 A JP 8874897A JP H10266956 A JPH10266956 A JP H10266956A
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典彦 野村
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哲郎 杉浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラップと再生・洗浄処理を能率良くかつ迅
速に行うことで、真空ポンプの長寿命化、除害装置の保
護、ロスタイム削減等により運転の信頼性の向上を図
り、さらに設備や運転コストの低減を図る。 【解決手段】 気密チャンバ10を真空ポンプ12によ
り排気する排気経路14に配置され、排ガス中の成分を
付着させて除去するトラップ部18を有するトラップ装
置において、排気経路に隣接してトラップ部に付着した
付着物を再生または洗浄する再生・洗浄経路16が設け
られ、トラップ部は、排気経路及び再生・洗浄経路にそ
れぞれ連通するトラップ室32a及び再生・洗浄室34
aを有するケーシング26内に収納され、ケーシングに
はトラップ部を排気経路と再生・洗浄経路に切替える切
替手段30が設けられ、トラップ部には、ケーシングと
の間にシール部48,52を形成するシール板40が一
体に設けられていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体製造
装置等の真空チャンバを排気するために用いる真空排気
システムにおいて用いられるトラップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の真空排気システムを、図8を参照
して説明する。ここにおいて、真空チャンバ101は、
例えばエッチング装置や化学気相成長装置(CVD)等
の半導体製造工程に用いるプロセスチャンバであり、こ
の真空チャンバ101は、配管102を通じて真空ポン
プ103に接続されている。真空ポンプ103は、真空
チャンバ101からのプロセスの排ガスを大気圧まで昇
圧するためのもので、従来は油回転式ポンプが、現在は
ドライポンプが主に使用されている。
【0003】真空チャンバ101が必要とする真空度が
ドライポンプ103の到達真空度よりも高い場合には、
ドライポンプの上流側にさらにターボ分子ポンプ等の超
高真空ポンプが配置されることもある。プロセスの排ガ
スは、プロセスの種類により毒性や爆発性があるので、
そのまま大気に放出できない。そのため、真空ポンプ1
03の下流には排ガス処理装置104が配備されてい
る。大気圧まで昇圧されたプロセスの排ガスのうち、上
記のような大気に放出できないものは、ここで吸着、分
解、吸収等の処理が行われて無害なガスのみが大気に放
出される。なお、配管102には必要に応じて適所にバ
ルブが設けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来の真
空排気システムにおいては、反応副生成物の中に昇華温
度の高い物質がある場合、そのガスを真空ポンプが排気
するので、昇圧途中でガスが固形化し、真空ポンプ内に
析出して真空ポンプの故障の原因になる欠点がある。
【0005】例えば、アルミのエッチングを行うため
に、代表的なプロセスガスであるBCl3,Cl2を使用
すると、プロセスチャンバからは、BCl3,Cl2
プロセスガスの残ガスとAlCl3の反応副生成物が真
空ポンプにより排気される。
【0006】このAlCl3は、真空ポンプの吸気側で
は分圧が低いので析出しないが、加圧排気する途中で分
圧が上昇し、真空ポンプ内で析出して固形化し、ポンプ
内壁に付着して真空ポンプの故障の原因となる。これ
は、SiNの成膜を行うCVD装置から生じる(NH4)
2SiF6 やNH4Cl等の反応副生成物の場合も同様で
ある。
【0007】従来、この問題に対して、 (1)真空ポンプ全体を加熱して真空ポンプ内部で固形
化物質が析出しないようにし、ガスの状態で真空ポンプ
を通過させる。 (2)真空ポンプの上流(吸気側)に水冷クーラを設け
て、析出物をトラップする。 等の対策が施されてきた。
【0008】しかし、(1)の対策では、真空ポンプ内
での析出に対しては効果があるが、その結果として、そ
の真空ポンプの下流に配置される排ガス処理装置で固形
化物が析出し、充填層の目詰まりを生じさせる問題があ
った。また、(2)の対策は、水冷クーラが真空ポンプ
の吸気側に設けられているので、有効なトラップとして
働かないばかりでなく、トラップ後の洗浄等のためにシ
ステムを停止させなければならないので、大きなロスタ
イムができてしまう。
【0009】本発明は上述の事情に鑑みなされたもので
あり、トラップと再生・洗浄処理を能率良くかつ迅速に
行うことで、真空ポンプの長寿命化、除害装置の保護、
ロスタイム削減等により運転の信頼性の向上を図り、さ
らに設備や運転コストの低減を図ることができるトラッ
プ装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、気密チャンバを真空ポンプにより排気する排気経路
に配置され、排ガス中の成分を付着させて除去するトラ
ップ部を有するトラップ装置において、前記排気経路に
隣接して前記トラップ部に付着した付着物を再生または
洗浄する再生・洗浄経路が設けられ、前記トラップ部
は、前記排気経路及び再生・洗浄経路にそれぞれ連通す
るトラップ室及び再生・洗浄室を有するケーシング内に
収納され、前記ケーシングには前記トラップ部を前記排
気経路と前記再生・洗浄経路に切替える切替手段が設け
られ、前記トラップ部には、前記ケーシングとの間にシ
ール部を形成するシール板が一体に設けられていること
を特徴とするトラップ装置である。
【0011】これにより、長時間の稼働においてもトラ
ップの再生処理のために装置を止めたり、交換のトラッ
プを用意する必要がなく、気密チャンバにおいて安定し
た処理を行なうことができる。また、適当な切替タイミ
ング判定手段を用いて完全な自動化を図ることも容易で
ある。しかも、シール板により、排気経路に連通するト
ラップ室及び再生・洗浄経路に連通する再生・洗浄室の
シールを確実に行い、メンテナンスの手間を削減しつつ
安定なトラップ性能を発揮させることができる。
【0012】チャンバは、例えば、半導体装置のプロセ
スチャンバであり、必要に応じて、プロセスガスを除害
化する排ガス処理装置を設ける。真空ポンプとしては、
油による逆拡散によるチャンバの汚染を防ぐために排気
経路に潤滑油を用いないドライポンプを用いるのが好ま
しい。また、トラップの構造としては、排気とトラップ
部とをできるだけ接触させるために、面積を稼ぎかつ流
路を屈曲させるような邪魔板(バッフル板)を設けると
よい。
【0013】トラップ部の切替駆動は、エアーシリンダ
で行なうようにしてもよい。その場合は、ソレノイドバ
ルブ、スピードコントローラで構成されたエアー駆動制
御機器により制御するようにしてもよく、さらに、エア
ー駆動制御機器を、シーケンサあるいは、リレーによる
制御信号により、制御するようにしてもよい。
【0014】トラップ部の切替を人手を介することなく
完全に自動的に行なう方法としては、例えば、トラップ
部の前後の差圧を検出するセンサを設けてこれの検出値
が所定値になったときに切替を行なう方法がある。ま
た、より実用的な方法として予め適当な切替時間を設定
しておく方法がある。排気経路と再生・洗浄経路が1対
1である場合には、トラップと再生または洗浄の時間は
同一となるので、再生または洗浄終了時間の方が短くな
るように再生または洗浄能力をトラップ能力よりも高め
ておくのが好ましい。
【0015】請求項2に記載の発明は、前記シール部
は、トラップ部の切替方向に対して外周面側及び軸方向
面側に2つ設けられていることを特徴とする請求項1に
記載のトラップ装置である。これにより、シール板とケ
ーシングとの間をシール板の外周面と軸方向面で二重に
シールして、ここでのシールの完全性を図って、排気経
路と再生・洗浄経路の気密性を確実に維持することがで
きる。
【0016】請求項3に記載の発明は、前記トラップ装
置は前記トラップ部を冷却して前記成分を析出させる低
温トラップであり、前記シール板にはシール部を加熱し
てシール部への析出を防止するヒータが内蔵されている
ことを特徴とする請求項1に記載のトラップ装置であ
る。これにより、トラップ部でのトラップ処理の際に、
ヒータを介してシール部を排ガス中の成分の昇華温度以
上に加熱して成分の付着を防止し、シール効果が劣化す
ることを防止する。
【0017】トラップ部を低温トラップとして構成する
場合、外部から温度媒体をトラップ部に流通させる方法
があり、液化ガスの気化熱(例えば液体窒素)、あるい
は冷却水、冷媒などがある。また、熱電素子(ペルチェ
素子)や、パルスチューブ冷凍機などのヘリウム冷凍機
を用いて温度媒体そのものを流さずにトラップ部で低温
を発生させる方法もある。
【0018】請求項4に記載の発明は、前記シール板
に、シール部を保護するパージガスを供給するガス流路
が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のト
ラップ装置である。これにより、トラップ部でのトラッ
プ処理の際に、シール板のシール部に近傍の排ガスをバ
ージガスで強制的に排除して、この成分がシール板のシ
ール部に付着してしまうことを防止することができる。
【0019】請求項5に記載の発明は、前記シール部に
は、シール材と、該シール材に接する形状記憶合金と、
該形状記憶合金を加熱するヒータとが設けられているこ
とを特徴とする請求項1に記載のトラップ装置である。
これにより、シール板でシールする際には、シール材を
シール板の外周面から外方に突出させて、このシールの
完全性を図り、それ以外の時には、シール材をシール板
の内部に埋没させて該シール板をケーシングとの摩擦な
しに容易に移動させる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の実施
の形態について説明する。図1乃至図4に示すのは、気
密チャンバ10を真空ポンプ12により排気する排気経
路14に隣接して再生・洗浄経路16が配置され、この
排気経路14及び再生・洗浄経路16に交差する方向
(以下、交差方向という)に直進移動して切替可能に配
置されたトラップ部18が設けられているものである。
真空ポンプ12は、この例では一段であるが多段として
もよい。真空ポンプ12の後段には排ガスを除害するた
めの排ガス処理装置20が設けられている。再生・洗浄
経路16には、トラップした析出物を加熱して気化さ
せ、あるいは気化したガスを搬送するための再生ガス、
またはこの析出物を洗浄排出する洗浄液が流通させら
れ、下流側には排ガス処理装置22が設けられている。
本実施例では排ガス処理装置20,22は別々に設けた
が、共用してもよい。
【0021】この切替式のトラップ装置は、排気経路1
4と再生経路16に跨って配置された直方体状のケーシ
ング26と、このケーシング26を交差方向に貫通する
軸体28と、この軸体28を軸方向に往復移動させる切
替手段であるエアシリンダ30を備えている。ケーシン
グ26は、内部をトラップ室32aとしたトラップ容器
32と、内部を再生・洗浄室34aとした再生・洗浄容
器34とが開口部36により連絡されて構成されてい
る。
【0022】トラップ容器32には、排気経路14に接
続されてトラップ室32a内にプロセスの排ガスを導入
する排ガス導入口32bと、このトラップ室32a内の
排ガスを排出する排ガス排出口32cが設けられてい
る。また再生・洗浄容器34には、再生・洗浄経路16
に接続されて再生・洗浄室34a内に再生ガスまたは洗
浄液を注入するガス・液注入口34bと、この再生・洗
浄室34a内の再生ガスまたは洗浄液を排出するガス・
液排出口34cとが設けられている。
【0023】軸体28には、断熱性を有する素材からな
る一対のシール板40が配置され、その間に複数のバッ
フル板42が熱伝導を良くするために溶接等により軸体
28に一体に取付けられ、これにより前記トラップ部1
8が構成されている。トラップ容器32と再生・洗浄容
器34との間の開口部36は、バッフル板42は通過で
きるがシール板40は通過できないような大きさに形成
されている。更に、軸体28のケーシング26からの両
突出部には、ベローズ44が設けられており、排気経路
14及び再生・洗浄経路16と外部環境との間の気密性
を維持している。
【0024】トラップ容器32および再生・洗浄容器3
4には、それぞれ軸方向端部に、シール板40の外形と
同じ形状・寸法で内側に広がるテーパを有するシール板
収納部46が設けられている。シール板40の外周面は
断面が円弧状に形成され、この外周面とシール板収納部
46の内周面との間に第1のシール部48が設けられて
いる。このシール部48は、シール板40の外周端面に
設けた凹部40a内にシール材としてのOリング50を
嵌着して構成され、このシール板40がシール板収納部
46内に位置した時、Oリング50がシール板収納部4
6の内周面に圧接するようになっている。
【0025】更に、シール板40とシール板収納部46
の軸方向面の間に第2のシール部52が設けられてい
る。すなわち、シール板40の端面にリング状の凹部4
0bを設け、この凹部40b内にOリング54を嵌着す
ることによって、またシール板収納部46の面にリング
状の凹部46aを設け、この凹部46a内にOリング5
4を嵌着することによって、第2のシール部52が構成
されている。
【0026】このように、シール板40とケーシング2
6との間をシール板40の外周端面と側端面で二重にシ
ールすることにより、ここでのシールの完全性を図っ
て、排気経路14と再生・洗浄経路16の気密性を維持
している。
【0027】軸体28は、金属等の熱伝導性の良い材料
により形成された2重円筒体として形成され、冷媒供給
管56から供給された冷媒が軸体28の内側の管の内部
を通った後、両管の間の隙間を流れて冷媒排出管58か
ら排出され、これによって、バッフル板42が冷却され
るようになっている。ここにこの冷媒としては、例えば
液体窒素のような液体又は冷却された空気又は水等が使
用される。なお、再生の際には、この冷媒の供給を停止
するとともに、冷媒の替わりに再生用の加熱用熱媒体を
流通させることもできる。
【0028】エアシリンダ30の駆動用のエアー配管
は、図4に示すようになっている。すなわち、エアー源
からのエアーはレギュレータ60で減圧され、ソレノイ
ドバルブ62に送られ、これの電磁信号による開閉の切
替によって制御されてシリンダ30に送られ、ピストン
が前進又は後退をする。この時のシリンダ30の駆動速
度はスピードコントローラ64で制御される。ソレノイ
ドバルブ62は、例えば、シーケンサ、リレー等からの
制御信号により、この例では一定時間毎に切替動作が行
われるように制御される。
【0029】なお、トラップ部18のバッフル板42等
の所定位置に温度センサ66が、また、排気経路14の
トラップ部18の前後に圧力センサ68が設けられ、こ
れにより温度や差圧を検知することができるようになっ
ている。
【0030】次に、前記のような構成の発明の実施の形
態のトラップ装置の作用を説明する。図1に示す位置に
おいて、トラップ室32a内に位置するトラップ部18
には冷媒供給管56から液体窒素や冷却空気又は水等の
冷媒が供給され、これは軸体28と、これを介してバッ
フル板42を冷却する。従って、これに接触した排ガス
中の特定の成分はここで析出して付着し、トラップされ
る。
【0031】所定時間の経過後にエアシリンダ30が動
作し、図2に示すように、トラップ室32aに有ったト
ラップ部18が再生・洗浄室34a内に位置するように
切り替えられる。するとガス・液注入口34bから高温
の再生ガスあるいは洗浄液が再生・洗浄室34a内に注
入され、再生ガスが注入された時には、トラップされた
析出物が再び気化させられ、気化したガスは再生・洗浄
経路16中から排出され、排ガス処理装置24において
除害処理を受けて放出されるか、あるいは再利用のため
に循環又は貯蔵等される。一方、洗浄液が注入された時
には、トラップされた析出物はこの洗浄液によって洗浄
されて再生・洗浄室34aから排出され、上記と同様に
処理される。
【0032】ここで、シール板40は断熱性を持ってい
て、トラップ室32aと再生・洗浄室34aが相互に断
熱されているので、熱エネルギーのロスがなく、それぞ
れトラップと再生または洗浄が効率的に行われる。ま
た、軸体28の両突出部は、伸縮するベローズ44によ
り気密を維持されているので、外部との間の熱移動によ
るエネルギーロスや処理の効率低下が抑えられ、安定し
たトラップと再生または洗浄処理が行われるとともに、
外部からの汚染要素が排気経路14に侵入することも防
止される。
【0033】なお、トラップのための冷却手段として、
熱電効果により冷却を行なう熱電素子(ペルチェ素子)
を用いた冷却器を使用しても良いことは勿論である。こ
の種の冷却器は、2枚の金属板の間に熱電素子を間隔を
置いて配置することによって構成される。
【0034】図5は、この発明のトラップ装置の他の構
成を示すもので、ここでは、排気経路14の両側に再生
・洗浄経路が2つ設けられている。そして、これに対応
してトラップ容器32の両側に再生・洗浄容器34が連
結され、トラップ室32aを挟んでこの両側に一対の再
生・洗浄室34aが配置されている。軸体28には、3
枚のシール板40が等間隔に配置され、その間にバッフ
ル板42が一体に取付けられて、2つのトラップ部18
が形成されている。
【0035】この実施の形態では、一方のトラップ部1
8が常に中央のトラップ室32a内に位置し、他方のト
ラップ部18が一方の再生・洗浄室34a内に位置す
る。すなわち、図5において、左側のトラップ部18が
トラップ室32a内に位置する時には、右側のトラップ
部18は右側の再生・洗浄室34a内に位置し、シリン
ダ30の作動によって切り替わった時には、左側のトラ
ップ部18が左側の再生・洗浄室34a内に、右側のト
ラップ部18はトラップ室32a内にそれぞれ位置す
る。これによって、トラップ動作と再生・洗浄動作を同
時に並行して行うことができる。
【0036】図6及び図7は、この発明のケーシング2
6とシール板40の間のシール構造の他の実施の形態を
示すものである。図6においては、シール板40が中空
に形成されている。すなわち、外周縁部に段部を介して
ケーシング32側のOリング54との当接面70が設け
られ、中央を断熱材72とした一対の円板74を所定間
隔離間させて配置し、この外周端部にリング部材76を
配置してシール板40を構成したものである。リング部
材76の外周面には、ここに設けた凹部76a内にOリ
ング78を嵌着してシール部80が設けられており、リ
ング部材76の内周面には、ヒータ82が配置されてい
る。また、前記Oリング78の表面側及び前記当接面7
0に開口するガスパージポート84,86が設けられて
いる。
【0037】この実施の形態では、トラップ部18での
トラップ処理の際に、ヒータ82を介してシール部80
及び当接面70を排ガス中の生成物の昇華温度以上かつ
Oリング78の耐熱温度未満の温度まで加熱維持する。
例えば、LP−CVDにおいて、生成物NH4Clを対
象として、Oリング78をバイトン製とすると、約15
0℃に加熱維持する。これにより、排ガス中の生成物が
シール板40のシール部80及び他のシール部52との
当接面70に付着してここでのシール効果が劣化してし
まうことを防止することができる。
【0038】更に、トラップ部18でのトラップ処理の
際に、ガスパージポート84,86から、各機器に影響
のない、例えばN2等のガスをパージさせることによ
り、シール板40のシール部80及び他のシール部52
との当接面70に近寄る排ガスをこのバージガスで強制
的に吹き飛ばして、この成分がシール板40のシール部
80及び他のシール部との当接面70に付着してしまう
ことを防止することができる。
【0039】なお、シール板40は、断熱材72により
バッフル板42と断熱されているため、トラップ時の冷
却効率に影響を与えることはない。この断熱材72とし
ては、マイカ等のセラミックス系の耐薬品材料または断
熱性に富んでいるポリイミドを薄板のステンレス等で腐
食性ガスより保護したもの等が考えられる。また、シー
ル板40の中空部を真空断熱させることにより、断熱効
果を更に向上させることができる。
【0040】また、同図に示すように、トラップ容器3
2の内部に、第2のシール部52に向けて開口するガス
パージポート32fを設け、このガスパージポート32
fからN2等のガスをパージすることにより、前述と同
様にして、この第2のシール部52を保護することがで
きる。
【0041】図7に示すシール板40は、一対の円板8
8を所定間隔離間させて配置するとともに、この円板8
8の外周端部よりやや内方に位置させてリング状の形状
記憶合金90を配置して構成したものである。形状記憶
合金90の表面側に形成された空間92内にOリング9
4が嵌着されてシール部96が形成され、更に形状記憶
合金90の内周面側にはヒータ98が配置されている。
【0042】この実施の形態では、トラップ部18を切
替移動するときは、ヒータ98に電源を供給する。これ
による加熱によって、形状記憶合金90が内方に引っ込
み、これによってOリング94が空間92内に完全に収
納され、シール板収納部46の周壁との摩擦が軽減され
る。これ以外の時には、ヒータ98をオフとし、形状記
憶合金90がOリング94を空間92から外方に向けて
押し、周壁に圧接させる。これにより、Oリング94を
保護しつつ、シールの完全性を図ることができる。な
お、トラップ部18でのトラップ処理の際に、ヒータ9
8を介して加熱することによって、前述と同様にしてシ
ール部96を保護することもできる。
【0043】なお、これとは逆に、ヒータ98による加
熱によって、形状記憶合金90が外方に拡がり、これに
よって、Oリング94の一部が空間92から突出し、そ
れ以外の時には、Oリング94が空間92内に完全に収
納されるようにすることもできる。この場合には、シー
ルした時にヒータ98により形状記憶合金90を加熱す
る。
【0044】これらの実施の形態では、トラップ部18
に設けた温度センサ66や排気経路16に設けた圧力セ
ンサ68の検出値をモニターすることができ、これによ
りトラップの状態を把握して、異常値が出れば警報を発
して必要な処置を採ることができる。すなわち、トラッ
プ部18の温度が異常に上昇したら、析出物が付着して
熱負荷が増えたためと判断され、差圧が上昇した場合も
同様でありうる。これらの異常上昇の際は、例えば、設
定時間前でもトラップを切り替えるように操作する。勿
論、これらのセンサの検出値を基準として、所定の値に
なったら切替を行なうようにしてもよい。
【0045】また、トラップ部18はケーシング26内
を直線的に移動して切り替えられるようになっている
が、ケーシングを環状に形成し、トラップ部をロータリ
ー運動させることによって移動させてもよい。この場合
には1つの排気経路に対してトラップ部18を3以上設
けて2以上の再生・洗浄経路16で同時に再生させるこ
とができる。通常、トラップの速度より再生の速度が遅
いので、この点は特に有利である。また、ロータリー式
では2つのトラップ部の場合には再生経路が1つで済む
ことになる。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、長時間の稼働においてもトラップの再生処理のため
に装置を止めたり、交換のトラップを用意する必要がな
く、気密チャンバにおいて安定した処理を行なうことが
できる。また、適当な切替タイミング判定手段を用いて
完全な自動化を図ることも容易である。しかも、シール
板により、排気経路に連通するトラップ室及び再生・洗
浄経路に連通する再生・洗浄室のシールを確実に行い、
メンテナンスの手間を削減しつつ安定なトラップ性能を
発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の1つの実施の形態のトラップ装置を
示す一部切断の正面図である。
【図2】図1の実施の形態の切替後の状態を示す一部切
断の正面図である。
【図3】図1の実施の形態の全体の構成を示す模式図で
ある。
【図4】エアシリンダの駆動系を示す図である。
【図5】トラップ装置の他の実施の形態を示す一部切断
の正面図である。
【図6】シール板とケーシングのシール構造の他の実施
の形態を示す断面図である。
【図7】シール板とケーシングのシール構造の更に他の
実施の形態を示す断面図である。
【図8】従来の真空排気システムの構造を示す図であ
る。
【符号の説明】
10 気密チャンバ 12 真空ポンプ 14 排気経路 16 再生・洗浄経路 18 トラップ部 26 ケーシング 28 軸体 30 エアシリンダ(駆動手段) 32 トラップ容器 32a トラップ室 34 再生・洗浄容器 34a 再生・洗浄室 36 開口部 40 シール板 42 バッフル板 46 シール板収納部 48,52,80,96 シール部 50,54,78,94 Oリング(シール材) 82,98 ヒータ 84,86 ガスパージポート 90 形状記憶合金

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気密チャンバを真空ポンプにより排気す
    る排気経路に配置され、排ガス中の成分を付着させて除
    去するトラップ部を有するトラップ装置において、 前記排気経路に隣接して前記トラップ部に付着した付着
    物を再生または洗浄する再生・洗浄経路が設けられ、 前記トラップ部は、前記排気経路及び再生・洗浄経路に
    それぞれ連通するトラップ室及び再生・洗浄室を有する
    ケーシング内に収納され、 前記ケーシングには前記トラップ部を前記排気経路と前
    記再生・洗浄経路に切替える切替手段が設けられ、 前記トラップ部には、前記ケーシングとの間にシール部
    を形成するシール板が一体に設けられていることを特徴
    とするトラップ装置。
  2. 【請求項2】 前記シール部は、トラップ部の切替方向
    に対して外周面側及び軸方向面側に2つ設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載のトラップ装置。
  3. 【請求項3】 前記トラップ装置は前記トラップ部を冷
    却して前記成分を析出させる低温トラップであり、前記
    シール板にはシール部を加熱してシール部への析出を防
    止するヒータが内蔵されていることを特徴とする請求項
    1に記載のトラップ装置。
  4. 【請求項4】 前記シール板には、シール部を保護する
    パージガスを供給するガス流路が設けられていることを
    特徴とする請求項1に記載のトラップ装置。
  5. 【請求項5】 前記シール部には、シール材と、該シー
    ル材に接する形状記憶合金と、該形状記憶合金を加熱す
    るヒータとが設けられていることを特徴とする請求項1
    に記載のトラップ装置。
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