JPH10265287A - 樹皮の堆肥化方法 - Google Patents

樹皮の堆肥化方法

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JPH10265287A
JPH10265287A JP7032597A JP7032597A JPH10265287A JP H10265287 A JPH10265287 A JP H10265287A JP 7032597 A JP7032597 A JP 7032597A JP 7032597 A JP7032597 A JP 7032597A JP H10265287 A JPH10265287 A JP H10265287A
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bark
composting
bacteria
fermentation
fungus
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JP7032597A
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Genshi Suzuki
源士 鈴木
Futoshi Kawane
太 川根
Yasushi Noguchi
泰 野口
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹皮の堆肥化を促進させる方法を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】樹皮を発酵により堆肥化する方法におい
て、発熱発酵過程の後期にあたる発酵温度が50℃以下
に保たれる段階で、セルロース、ヘミセルロース又はリ
グニンを分解する酵素を産生する菌を接種することを特
徴とする樹皮の堆肥化方法を提供する。この菌として
は、トリコデルマ属、グリオクラディウム属、ケトミウ
ム属、及びペニシリウム属の菌からなる群より選ばれる
少なくとも1種の菌であるものが好ましい。また、菌を
接種した後、発酵温度を10〜50℃の範囲に保つのが
好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹皮の堆肥化方法
に関するものである。さらに詳しくは、特定の菌を用い
た樹皮の堆肥化方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】農業生産や緑化工事において、植物の健
全な生育や病害抑制のために堆肥が有効であることが経
験的に知られ、この堆肥の原料の一つに以前より木材の
樹皮が用いられている。しかしながら、木材の樹皮は堆
肥化するまでに数年という時間がかかり、また堆肥化が
不充分であると土壌に添加した場合に嫌気発酵が始ま
り、アンモニアや硫化水素等の有害物質が発生し、植物
に害を及ぼすことが判っている。
【0003】ところで、樹皮の堆肥化については、堆肥
化は樹皮の主構造成分であるセルロース、ヘミセルロー
ス、リグニン等が微生物により分解していくことによる
もので、木材の樹皮は、通常の農業廃棄物や畜産廃棄物
を堆肥化する場合にみられるクロストリディウム等の嫌
気性菌だけでは分解が進まず、好気性菌による分解が必
要であると考えられる。
【0004】しかし、従来、通常は微生物を選択し、積
極的に利用しているものではなく、自然環境からの混入
に頼っているものであり、また、樹皮の分解に有効な好
気性菌、特に糸状菌は種々の微生物による樹皮の発熱発
酵時にほとんどが死滅してしまい、結果として堆肥化が
極めて遅くなっている。また、近年、入手しやすい樹皮
は堆肥化が極めて遅い針葉樹に由来するものとなり、堆
肥化に数年以上の時間がかかっている。
【0005】そこで、樹皮の堆肥化を促進させる方法の
開発が切望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下で、樹皮の堆肥化を促進させる方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記目的を
達成するために鋭意研究を重ねた結果、樹皮をある程度
発熱発酵させ、それに特定の菌を接種することで樹皮の
堆肥化が促進されることを見出し、本発明を完成させる
に至った。すなわち、本発明は、樹皮を発酵により堆肥
化する方法において、発熱発酵過程の後期にあたる発酵
温度が50℃以下に保たれる段階で、セルロース、ヘミ
セルロース又はリグニンを分解する酵素を産生する菌を
接種することを特徴とする樹皮の堆肥化方法を提供する
ものである。この菌としては、トリコデルマ属、グリオ
クラディウム属、ケトミウム属、及びペニシリウム属の
菌からなる群より選ばれる少なくとも1つの菌であるも
のが好ましい。また、菌を接種した後、発酵温度を10
〜50℃の範囲に保つのが好ましい。さらには、発熱発
酵させる初期段階の樹皮に有機質チッ素又は無機質チッ
素を添加したり、少なくとも菌を接種した後は、通気又
は切り返しを行うのがよい。
【発明の実施の形態】 以下に、本発
明の実施の形態を具体的に説明する。 1.堆肥化に用いられる樹皮 堆肥化に用いられる樹皮としては、その大きさ、それを
得る木材の種類等を特に問うものではないが、その大き
さは、樹皮を粉砕し、篩分けして得られる長辺が200
mm以下のものが好ましい。木材の種類としては、広葉
樹でも、針葉樹でもよいが、海水中に貯蔵されていた木
材、特に輸入木材においては、常法で脱塩処理したもの
を好ましく用いることができる。この脱塩処理として
は、樹皮を野積みにし、雨水にさらす方法が挙げられ
る。
【0008】堆肥化に用いられる樹皮には、樹皮以外の
木材の粉砕物等が混合されていてもよいが、最も堆肥化
されにくいのは樹皮であるから、樹皮に適切な条件とす
るためにも全重量中に樹皮が50重量%以上、好ましく
は70重量%以上含まれるようにするのがよい。
【0009】2.樹皮の発熱発酵 通常、堆肥はわら、落葉等の有機物を堆積発酵させて得
られるもので、動物性糞尿等を混合することも多い。こ
の発酵は、落葉等の有機物に付着している菌、自然環境
から混入する菌、動物性糞尿等を混合する場合はこれに
含有されている菌等により発酵が始まり、発熱発酵へと
進行していくのが一般的である。この発熱発酵では、主
に高温嫌気性菌の活躍によるもので、堆肥中の温度は6
0〜80℃の高温になることも多い。この発熱発酵最盛
期を経ると徐々に発熱が弱まり、発熱発酵後期段階とな
っていく。通常、数週間から数カ月でこの発熱が弱ま
り、発熱発酵後期段階となる。
【0010】樹皮においても、先ず、発熱発酵させる必
要がある。この発熱発酵は、上記の堆肥を作る場合と同
様に、上記の樹皮を堆積させ、発酵させればよい。その
発酵は、樹皮に付着している菌、自然環境から混入して
くる菌、以下に示すように動物性糞尿や植物固体成分を
混合する場合には、それらに含有される菌により発酵が
進行するものであり、特に微生物を接種する必要はな
い。
【0011】樹皮はチッ素分が乏しいため、発熱発酵さ
せる初期段階にチッ素源を添加するのが好ましい。この
チッ素源としては、有機質チッ素として、養豚、養鶏等
の廃棄物である動物性糞尿、野菜栽培等の廃棄物である
植物固体成分、下水処理場から出る余剰活性汚泥、ま
た、無機質チッ素として、硫安、尿素等の合成チッ素含
有化合物等が挙げられる。これらの中では、コストや取
り扱い易さから、動物性糞尿、余剰活性汚泥、合成チッ
ソ含有化合物等が好ましい。
【0012】上記のチッ素源の添加量としては、樹皮乾
燥重量換算1トンあたり、有機質チッ素は乾燥物換算で
5〜30kg、無機質チッ素はそのものを5〜30kg
の範囲で添加するのが好ましく、これらを混合して添加
する場合は、有機質チッ素の乾燥物換算と無機質チッ素
とを合わせた量として5〜30kgの範囲で添加するの
が好ましい。この混合比は適宜選択すればよい。
【0013】また、上記のチッ素源は、樹皮と積層をな
すように敷設するのがよい。さらに、樹皮の種類にもよ
るが、通常、樹皮の水分量が40〜85%、好ましくは
45〜70%の範囲になるように保ち、均一に発熱発酵
が進行するように、発熱発酵期間中に少なくとも2〜3
回の切り返しを行うのが好ましい。樹皮の発熱発酵は、
通常、数週間から数カ月でその発熱が弱まり、堆積した
樹皮の内部温度が50℃以下となる。
【0014】本発明の発熱発酵過程の後期にあたる発酵
温度が50℃以下に保たれる段階とは、この状態まで、
発熱発酵が進行した段階を意味し、このようになった樹
皮を用いるものである。好ましくは、45℃以下に保つ
ことができる樹皮を用いるのがよい。
【0015】3.接種する菌 本発明は、セルロース、ヘミセルロース又はリグニンを
分解する酵素を産生する菌を接種するものである。これ
らの菌は、植物に有用なトリコデルマ属、グリオクラデ
ィウム属、ケトミウム属、及びペニシリウム属の菌から
なる群より選ばれる菌を好ましく用いることができる。
これらの菌は、1種を用いてもよいし、又は2種以上を
混合して用いてもよい。
【0016】上記の菌の具体例としては、トリコデルマ
・ビリディー、トリコデルマ・リーセン、トリコデルマ
・ロンギブラキアータム等のトリコデルマ属の菌、グリ
オクラディウム・ビレンス、グリオクラディウム・デリ
クエッセンス等のグリオクラディウム属の菌、ケトミウ
ム・ビレッセンス、ケトミウム・リフレクサム、ケトミ
ウム・ビルリフェラム、ケトミウム・グラシル、ケトミ
ウム・インディカム、ケトミウム・ドリコトリカム等の
ケトミウム属の菌、ペリシリウム・ファニキュローサ
ム、ペリシリウム・アスペロスボラム、ペリシリウム・
クラストサム、ペリシリウム・ベルキュローサム、ペリ
シリウム・ジャンシネーラム等のペリシリウム属の菌が
挙げられる。
【0017】これらの中では、植物の生育を阻害せず、
且つ、植物の根に定着する性質があるトリコデルマ属、
グリオクラディウム属及びケトミウム属の菌がより好ま
しい。また、これらの具体的な菌株としては、トリコデ
ルマ・ビリディー ATCC 32098 株、トリコデルマ・リー
セン ATCC 13631 、トリコデルマ・ロンギブラキアータ
ム ATCC 44788 株、グリオクラディウム・ビレンス ATC
C 44327 、グリオクラディウム・デリクエッセンス ATC
C 48374 、ケトミウム・ビレッセンス ATCC 32319 、ケ
トミウム・リフレクサム ATCC 16213 、ケトミウム・ピ
ルリフェラム ATCC 16221 、ケトミウム・グラシル ATC
C 48393 、ケトミウム・インディカム ATCC 36704 、ケ
トミウム・ドリコトリカム ATCC 48384 、ペリシリウム
・ファニキュローサム IFO 31132、ペリシリウム・アス
ペロスポラム IFO 8174 、ペリシリウム・クラストサム
ATCC 48373 、ペリシリウム・ベルキュローサム ATCC
62396 、ペリシリウム・ジャンシネーラム ATCC 44750
が挙げられる。これらの菌株はアメリカのATCC等に
国際寄託されているものである。
【0018】4.接種する菌の培養 接種する上記の菌は、菌体が増殖可能な培地で培養し、
その培養物にして用いるのがよい。特に、保存安定性の
観点から、培養により胞子が充分に形成された菌を含有
する培養物を用いるのが好ましい。菌の培養は、通常の
菌の培養方法と同様に行なうことができる。例えば、実
験室レベルでは、ポテトデキストロース培地で10日
間、25℃で培養する等の方法が挙げられる。大量培養
する場合には、通常のタンクによる液体培養、小麦全粒
等の植物由来の固体成分や糖、チッ素、リン、ミネラル
を含浸させた無機多孔質担体等用いた固体培養が挙げら
れ、いずれも適用できる。液体培養する際は、培養終了
時に胞子が形成され易くするために、炭素源の供給を停
止、pHの急激な変化、通気量の低減等の操作を行うの
が好ましい。
【0019】得られた菌の培養物はそのまま用いてもよ
いし、必要に応じて培養物を粉砕もしくは細断してから
又は遠心分離や篩等により菌体を分離してから用いても
よい。また、培養物を菌体が死滅しないような温度、好
ましくは50℃以下の温度で乾燥したものを用いてもよ
い。乾燥方法としては、通風乾燥や凍結乾燥、さらには
乾燥した担体(例えば、ふすま、無機担体、石炭灰)と
混合することにより水分量を低下させる方法を適用する
ことができる。
【0020】5.接種条件及び方法 本発明は発熱発酵が進行した樹皮に、上記の菌を接種す
ることを特徴とするものであり、以下にその好ましい接
種条件を説明する。樹皮には既に種々の菌が存在してい
るため、接種する上記の菌を優先して速やかに増殖させ
るために、然るべき量の菌、つまり然るべき菌濃度とな
っているものを接種するのが好ましい。その菌濃度とし
ては、樹皮乾燥重量1gあたり通常1cfu以上、好ま
しくは5〜108 cfu、より好ましくは5〜106
fuの範囲とするのがよい。この範囲よりも菌濃度が低
いと菌の増殖が遅れたり、既に存在する菌が増殖し、接
種菌が優先して増殖しなくなり、堆肥化が遅れることに
なる。また、菌濃度が高すぎても無駄であり、コストア
ップになる。なお、cfuは、菌のコロニー形成単位
(菌体懸濁液の希釈液を寒天培地にまいたときに形成さ
れるコロニー数)を示す。また、樹皮乾燥重量は樹皮を
105℃で1日乾燥した後の重量を示す。
【0021】樹皮に菌を接種する方法としては、菌を樹
皮に直接接種する方法の他に、大量の樹皮に接種する方
法として、あらかじめ一定量の発熱発酵後の樹皮や植物
由来の固体成分に菌を接種し、一旦増殖させたものを大
量の樹皮に接種する方法が挙げられる。また、菌を接種
して堆肥化したものを接種源とすることもできる。この
場合は、繰り返し接種源にしていると菌相が次第に変化
することがあるので、本発明に用いる上記の菌が優先し
て増殖していることを確認してから使用する必要があ
る。
【0022】さらに、接種時、樹皮の水分量は40〜8
5%、好ましくは45〜80%の範囲に保つようにする
のがよい。この範囲よりも水分量が低いと堆肥化中、上
記の菌の増殖が遅れ、水分量が高いと堆肥化中に樹皮が
嫌気的になりやすいためである。
【0023】6.堆肥化条件 本発明は上記のように発熱発酵が進行した樹皮に、上記
の菌を接種し、堆肥化するを特徴とするものであり、以
下にその好ましい堆肥化条件を説明する。樹皮の堆肥化
を速やかに行うには、樹皮に適度な水分を与えるのがよ
く、上記の菌が活発に活動するためには、樹皮の水分量
を40〜85%、好ましくは45〜80%の範囲に保つ
ようにするのがよい。この範囲よりも水分量が低いと上
記の菌の増殖が遅れ、水分量が高いと堆肥化中に樹皮が
嫌気的になり、上記の菌が死滅することがある。嫌気的
条件になるのを避けるために、堆肥化過程で適度に切り
返しを行うとか、内部に通気を行うとかして、少なくと
も微好気性条件を保つようにすることが望ましい。
【0024】また、樹皮のpHを4〜9の範囲に保つの
がよい。通常の樹皮であれば、この範囲のものであり、
調整の必要はないが、この範囲を外れる場合は、硫黄、
過リン酸石灰、酸化カルシウム、消石灰等の酸、アルカ
リ化合物で調整し、上記のに菌が増殖し易い環境にする
のが望ましい。さらに、上記の菌を接種後の樹皮の温度
は、10〜50℃の範囲に保つようにするのがよい。上
記のように発熱発酵が進行した樹皮に上記の菌を接種す
るとは言え、発酵熱によって樹皮の温度が上昇すること
があるので、50℃以下に保つのが好ましく、より好ま
しくは45℃以下に保つのがよい。これは、上記の菌は
高温耐性が悪いため、発酵熱により死滅しないようにす
るためである。一方、低温下では、上記の菌は死滅する
ことはないが、増殖が活動が緩慢となり、堆肥化が遅れ
ることとなるので、冬期の低温期には保温等により10
℃以上に保つのが好ましい。
【0025】ところで、トリコデルマ属、グリオクラデ
ィウム属及びケトミウム属の菌で代表される菌は植物に
定着する性質がある。上記の菌の中で、このような植物
に定着する性質を有する菌を本発明の樹皮の堆肥化方法
に用いた場合は、得られた樹皮堆肥が、これらの菌を含
んでいることから、その堆肥を施用した植物の根にこれ
らの菌が定着する。
【0026】また、上記の菌の中で、さらにセルロース
分解性を有する菌では、根の表面に菌が定着すること
で、フザリウム等のセルロース様物質を細胞壁にもつ病
原菌の増殖を抑制でき、植物を病気から守る効果がある
ことが推測される。
【0027】
【実施例】次に本発明を実施例等によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 〔製造例1〕樹皮の発熱発酵 各地の製材所より各種の木材の樹皮を集め、それらを砂
利を敷き詰めた屋外の貯蔵所に1年間放置した。それら
の樹皮を粉砕機にかけた後、篩分けし、125mm以下
の樹皮粉砕物を得た。これらの樹皮粉砕物を屋根付き堆
肥場にて、以下のようにして発酵処理を行った。各種の
樹皮粉砕物500kgに乾燥した鶏糞30kg、牛糞2
5kg、硫安15kg、尿素5kgの配合割合で、樹皮
粉砕物と鶏糞等とが積層となるようにした後、水20リ
ットルを散布した。発熱発酵処理は、10日後に切り返
しを行ない、その後は1カ月に1回の割合で切り返しを
繰り返した。切り返しを行った後、2日目に内部の温度
を測定し、40℃以下である場合、それを最後の切り返
しとし、発酵処理から堆肥化処理に移行した。
【0028】〔製造例2〕堆肥化接種菌の培養 500ml容のマイヤーフラスコにポテトデキストロー
ス液体培地を100mlと直径3mmのガラスビーズ1
0個を入れ、これを121℃で20分間オートクレーブ
殺菌した。これを第1表に示した2次堆肥化接種菌にそ
れぞれ用意した。殺菌した上記のマイヤーフラスコ毎に
1種類の糸状菌を1白金耳接種し、25℃の回転振とう
機にて毎分60回転で8日間培養した。これらの培養液
をホモジナイザーにかけ、菌糸、ペレットを分散させた
ものを各糸状菌の接種源とした。一方、小麦全粒粉砕物
5重量部、大麦ふすま1重量部、米ぬか2重量部、脱脂
大豆粉1重量部、水道水10重量部の割合で配合したも
の5kgを無菌回転式固体培養装置に入れ、121℃で
20分間殺菌した。
【0029】これを固体培地とし、上記の糸状菌の接種
源とした培養液の全量(上記マイヤーフラスコ1個分)
を接種した後、25℃にて通気攪拌しながら(飽和水蒸
気圧の無菌空気を毎分2リットルで通気、毎分2回転で
攪拌)、10日間培養した。その後、25℃の乾燥空気
を流し、培地の水分が15%になるまで、通気乾燥を行
った。これを各糸状菌で繰り返し行って、各種の2次堆
肥化接種菌を得た。
【0030】〔実施例1〜5〕堆肥の製造 製造例1で製造した各種の樹皮の発熱発酵物(1次堆
肥)を一区200リットル容に仕切った屋根付き堆肥化
槽にて、以下のようにして堆肥(2次堆肥)を製造し
た。1次堆肥50kgを水分65%に調整し、堆肥化槽
に仕込んだ。次いで、製造例2で培養した各種の2次堆
肥化接種菌0.5kg(乾物換算)を第1表に示すよう
に接種した。この1次堆肥を2週間に1度の割合で切り
返し、水分が50〜60%の範囲に入るように水道水を
添加しながら堆肥(2次堆肥)を製造した。
【0031】堆肥化(2次堆肥)完了は、堆肥を手に
取り、色が黒色を呈していること、樹皮がよく崩壊し
ていること、C/N比が20〜25の範囲に入ってい
ること、全炭素が40〜45%の範囲に入っているこ
と、全窒素が1.5%以上であること等の条件を満た
すかどうかで判断するばよいと言われているが、今回の
堆肥化(2次堆肥)完了の判定は、上記の及びを満
足するものを「2次堆肥完了」とした。なお、炭素の量
は、乾燥燃焼法により、チッ素の量は、ケルダール分解
法により測定した。これらの測定法は、博友社発行の土
壌標準分析・測定法(昭和62年1月16日第2刷発
行)に詳細な記載があり、それに基づいて行った。
【0032】また、得られた樹皮堆肥を用いて、コマツ
ナの発芽試験を行った。この試験は、以下のようにして
行った。 <コマツナの発芽試験>樹皮堆肥に10〜20倍の水を
加え、60℃で3時間抽出する。この抽出液をろ過し、
ろ液10mlをあらかじめろ紙2枚を敷いてあるシャー
レにとり、その上からコマツナを30〜50粒まく。シ
ャーレにふたをして、室温に保ち、3〜6日後の発芽率
を求める。菌を接種した効果は、1次堆肥から2次堆肥
完了までの時間で判断した。また、コマツナの発芽率で
良好な堆肥であるかどうかを確認した。樹皮の種類、1
次堆肥化期間、2次堆肥化接種菌、結果等を第1表に示
す。
【0033】〔比較例1、2〕2次堆肥化接種菌を接種
しなった以外は、実施例1又は3と同様に行った。その
結果は第1表に示す。 〔実施例6、7〕堆肥の製造 樹皮の種類、1次堆肥化期間、及び2次堆肥化接種菌
(3又は4種類とした)を第1表に示すように変更した
以外は実施例1と同様に行った。その結果も第1表又は
第2表に示す。なお、3又は4種類とした場合は、製造
例2で培養した2次堆肥化接種菌をそれぞれ0.5kg
(乾物換算)接種した。 〔比較例3、4〕堆肥化接種菌を接種しなった以外は、
実施例6又は7と同様に行った。その結果は第1表又は
第2表に示す。
【0034】〔実施例8〕堆肥化接種菌の根への定着性 実施例1〜5で製造した堆肥を用いて、接種菌の根への
定着性を調べた。各2次堆肥を40×60×10cmの
プラスチックトレーに入れ、キウリ、メドハギ及びオオ
バヤシャブシの種子を播き、発芽後、30日間育苗し
た。これらの苗の根を無菌水で充分洗浄し、その一部を
寒天培地上に接種し、根の表面から菌が増殖するか否か
を調べた結果、いずれの種類も増殖が見られ、根の表面
に菌の定着性があることが判った。このようにセルロー
ス分解性のある菌が根の表面に定着することで、フザリ
ウム等のセルロース様物質を細胞壁にもつ病原菌の増殖
を抑制でき、植物を病気から守る効果があることが推測
される。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】本発明の樹皮の堆肥化方法により、樹皮
の堆肥化が促進させ、堆肥化に要する時間を大幅に短縮
できる。これにより樹皮を主原料とする堆肥の製造コス
トが低減し、農業生産、緑化工事等への用途を拡けるこ
とができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹皮を発酵により堆肥化する方法におい
    て、発熱発酵過程の後期にあたる発酵温度が50℃以下
    に保たれる段階で、セルロース、ヘミセルロース又はリ
    グニンを分解する酵素を産生する菌を接種することを特
    徴とする樹皮の堆肥化方法。
  2. 【請求項2】菌がトリコデルマ属、グリオクラディウム
    属、ケトミウム属、及びペニシリウム属の菌からなる群
    より選ばれる少なくとも1種の菌である請求項1に記載
    の樹皮の堆肥化方法。
  3. 【請求項3】菌を接種した後、発酵温度を10〜50℃
    の範囲に保つ請求項1又は2に記載の樹皮の堆肥化方
    法。
  4. 【請求項4】発熱発酵させる初期段階の樹皮に有機質チ
    ッ素又は無機質チッ素を添加する請求項1〜3のいずれ
    かに記載の樹皮の堆肥化方法。
  5. 【請求項5】少なくとも菌を接種した後、通気又は切り
    返しを行う請求項1〜4のいずれかに記載の樹皮の堆肥
    化方法。
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JP7032597A Pending JPH10265287A (ja) 1997-03-25 1997-03-25 樹皮の堆肥化方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100513924B1 (ko) * 2001-11-28 2005-09-08 (주)흥주농업회사법인 인삼종묘용 퇴비 제조방법
CN114075089A (zh) * 2020-08-11 2022-02-22 湖南大德未来科技产业集团有限公司 腐熟木质纤维素废弃物并制备富含腐植酸有机肥的方法

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CN114075089A (zh) * 2020-08-11 2022-02-22 湖南大德未来科技产业集团有限公司 腐熟木质纤维素废弃物并制备富含腐植酸有机肥的方法

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