JPH10265204A - 硫黄回収装置の運転方法 - Google Patents

硫黄回収装置の運転方法

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JPH10265204A
JPH10265204A JP8864997A JP8864997A JPH10265204A JP H10265204 A JPH10265204 A JP H10265204A JP 8864997 A JP8864997 A JP 8864997A JP 8864997 A JP8864997 A JP 8864997A JP H10265204 A JPH10265204 A JP H10265204A
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JP
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hydrogen sulfide
sulfur
gas
reactor
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JP8864997A
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Susumu Miura
進 三浦
Kazuhiro Iida
和宏 飯田
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Nippon Petroleum Refining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫黄回収装置の非定常時運転において、再生
塔におけるアシッドガス流の脈動現象の発生を防止しか
つ反応炉における反応温度の維持を可能とし、アシッド
ガスをフレアーから燃焼放出することなくほぼ全量の硫
黄を硫黄回収装置で回収することができるようにするこ
とによって、硫黄回収率の向上と大気汚染や臭気問題等
の発生防止とを同時に達成することが可能な硫黄回収装
置の運転方法を提供すること。 【解決手段】 硫化水素含有ガス中の硫化水素を吸収液
に吸収させる吸収塔と、硫化水素を吸収した吸収液を加
熱して硫化水素を分離させる再生塔と、分離された硫化
水素の一部を燃焼させて二酸化硫黄を得かつ該二酸化硫
黄と残りの硫化水素とを反応させて硫黄を得る反応炉と
を具備する硫黄回収装置の運転方法であって、再生塔に
燃焼性ガスを注入することによって該再生塔における脈
動現象を抑制したことを特徴とする、前記硫黄回収装置
の運転方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、硫化水素含有ガス
中の硫化水素を吸収液に吸収させる吸収塔と、硫化水素
を吸収した吸収液を加熱して硫化水素を分離させる再生
塔と、分離された硫化水素の一部を燃焼させて二酸化硫
黄を得かつ該二酸化硫黄と残りの硫化水素とを反応させ
て硫黄を得る反応炉とを具備する硫黄回収装置の運転方
法に関し、より詳しくは、本発明は、上記硫黄回収装置
の始動運転並びに停止運転等の非定常時における運転方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】重油、重質軽油、軽質軽油、灯油、ナフ
サ等の石油精製における水素化脱硫装置(アイソマック
ス装置:DS)などで生成した硫化水素(H2 S)を多
量に含むガス(原料ガス)は、そのままでは製油所の燃
料ガスとしては不適当であり、硫化水素を除去する必要
がある。この硫化水素を除去し、硫化水素から硫黄を製
造するための装置が硫黄回収装置(SRU)である。
【0003】硫黄回収装置は通常、原料ガス中の硫化水
素を除去する部門と、分離された硫化水素から硫黄を回
収する部門とからなるが、さらに硫黄回収部門から排出
されるテールガス中に残った硫黄分を除去するテールガ
ス処理部門が付加されることもある。
【0004】硫化水素除去部門は通常、吸収塔及び再生
塔(回収塔:RT)を具備しており、吸収塔で原料ガス
を吸収液と接触させ、精製されたガスは燃料ガスシステ
ムに送られる。硫化水素を吸収した吸収液は再生塔に送
られ、加熱により硫化水素を分離した後に吸収塔に戻さ
れる。再生塔から排出されるガスは、分離された硫化水
素を通常90vol%以上、好ましくは95vol%以
上含有する猛毒ガスであり、アシッドガス(AG)と呼
ばれている。かかるアシッドガスは取扱いに充分な注意
が必要なものであり、通常は後段の硫黄回収部門に導か
れる。硫黄回収部門は通常反応炉及び反応槽を具備して
おり、硫黄回収部門においてはクラウス法と呼ばれる以
下の反応により硫化水素から硫黄を生成させる。
【0005】
【化1】
【0006】
【化2】 すなわち、硫化水素は先ず反応炉においてその約三分の
一を燃焼させて二酸化硫黄とし(化1)、得られた二酸
化硫黄が残った硫化水素と反応(化2)して硫黄を生成
する。生成した硫黄は主凝縮器で冷却されて液化し硫黄
ピットに送られる。凝縮器で液化しない未反応ガスは、
予熱後反応槽に送られて触媒により反応(化2)が促進
されて硫黄が生成する。反応槽から排出されるガスはテ
ールガスと呼ばれ、フレアー(焼却炉)で燃焼後大気に
排出されるか、あるいはまだ未反応の硫黄分を含んでい
る場合はさらに硫黄分を回収するためにテールガス処理
部門に送ってもよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記硫黄回
収装置等の各種化学処理プラントは、運転能力の70%
位で定常的に運転させるように設計・製作され、各種の
プラント構成機器はかかる定常運転に適合する容量(以
下、設計能力という)に従って設置される。故に、かか
るプラントが始動する始動運転又は停止する停止運転等
の非定常時においては、プラントの原料及び製品がそれ
ぞれ増加するか減少するかの非定常状態となるので、各
機器は、その操作条件が設計能力に適合しない状態で運
転されることとなる。したがって、かかる非定常時にお
いては各機器を定常的に制御することができず、運転管
理者はその都度各状況に対応した非定常時操作法で対処
するのが常である。
【0008】本発明の対象プラントである上記硫黄回収
装置においても、定常運転時は前述のようにして硫黄を
ほぼ全量回収することが可能であるが、始動運転並びに
停止運転等の非定常時になると従来はかかる硫黄の回収
が困難であった。すなわち、前段の脱硫装置が例えば運
転を休止するための操作に入ると、そこで発生している
硫化水素が次第に減少し、再生塔において発生するアシ
ッドガスの量が次第に減少する。このようにしてアシッ
ドガス発生量が再生塔の設計能力未満に減少すると、棚
段式再生塔において気液の量的なバランスが崩れ、アシ
ッドガス流量が激しく変動する脈動現象(パルセーショ
ン)が起こるようになる。再生塔から排出されるアシッ
ドガス流量が量的に少なく、かつ脈動した状態になる
と、後段の反応炉において硫化水素の量に追随してエア
ー比をコントロールして硫化水素を一定比率で燃焼させ
ることができなくなる。しかも、硫化水素の量の減少に
よって反応炉における反応温度の維持も困難となる。そ
の結果、従来はかかる非定常時においては反応炉の運転
を継続することができなくなり、アシッドガスの導入先
を反応炉から緊急的にフレアーに切り替えてアシッドガ
スから硫黄を回収することなくフレアーで燃焼放出する
等の非定常時操作法で対処せざるを得なかった。
【0009】また、前段の脱硫装置の運転始動時におい
てもアシッドガスの発生量がゼロから次第に増加するた
め、アシッドガス発生量が再生塔の設計能力以上になる
までは上記と同様に再生塔において脈動現象が起こり、
反応炉の運転を継続することができず、定常運転に移る
まではアシッドガスから硫黄を回収することなくフレア
ーで燃焼放出する等の非定常時操作法で対処せざるを得
なかった。
【0010】このように、従来の硫黄回収装置の非定常
時運転方法においては、アシッドガスから硫黄を回収す
ることができないため硫黄の回収率が低下するという問
題、さらにはフレアーからアシッドガスの燃焼によって
発生する亜硫酸ガスが大気に放出されることによる臭気
問題等が生じる可能性あるという問題があった。
【0011】本発明は、かかる従来技術の有する課題に
鑑みてなされたものであり、従来は上記の問題を有して
いた硫黄回収装置の非定常時運転において、再生塔にお
けるアシッドガス流の脈動現象の発生を防止し、かつ反
応炉における反応温度の維持を可能とし、アシッドガス
をフレアーから燃焼放出することなくほぼ全量の硫黄を
硫黄回収装置で回収することができるようにすることに
よって、硫黄回収率の向上と大気汚染や臭気問題等の発
生防止とを同時に達成することが可能な硫黄回収装置の
運転方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく鋭意研究した結果、再生塔から排出されるア
シッドガス流量が量的に少なく、かつ脈動した状態にな
る硫黄回収装置の非定常時運転においては、再生塔に燃
焼性ガスを注入することによって該再生塔における脈動
現象が抑制され、しかもその燃焼性ガスが後段の反応炉
における反応温度の維持にも寄与するため、アシッドガ
ス流量が減少した状態となっても反応炉に一定比率のエ
アーを供給することによって反応炉の運転を保持するこ
とが可能となり、上記課題が解決されることを見出し、
本発明に到達した。
【0013】すなわち、本発明は、硫化水素含有ガス中
の硫化水素を吸収液に吸収させる吸収塔と、硫化水素を
嬰収した吸収液を加熱して硫化水素を分離させる再生塔
と、分離された硫化水素の一部を燃焼奈せて二酸化硫黄
を得かつ該二酸化硫黄と残りの硫化水素とを反応させて
硫黄を得る反応炉どを具備する硫黄回収装置の運転方法
であって、再生塔に燃焼性ガスを注入することによって
該再生塔における脈動現象を抑制したことを特徴とす
る、前記硫黄回収装置の運転方法である。
【0014】上記発明の方法においては、水素、いわゆ
る燃料ガス(成分:水素20〜70vol%、メタン1
0〜30vol%、エタン0〜15vol%、その他0
〜50vol%)、液化石油ガス(LPG)等の種々の
燃焼性ガスを使用することができるが、燃焼しても水以
外のカーボン等が生成しないため反応槽中の触媒への悪
影響がなく、しかも製油所において常に余剰があり、か
つ安定した圧力で供給されている点で水素が好ましい。
【0015】かかる燃焼性ガスの再生塔への注入量は、
再生塔の規模、すなわち設計能力に応じて適宜選択さ
れ、再生塔におけるアシッドガス発生量がゼロになって
も脈動現象の発生を防止できる量以上となるように選択
することが好ましい。また、燃焼性ガスの再生塔への注
入箇所は、再生塔の下方が好ましく、最下段が最も好ま
しい。
【0016】上記本発明の運転方法においては、再生塔
に注入された燃焼性ガスはそのままアシッドガスと共に
後段の反応炉に導入されるため、その燃焼性ガスの一部
を、アシッドガス中の硫化水素の一部と共に反応炉にお
いて燃焼させて、二酸化硫黄と残りの硫化水素との反応
に必要な温度に反応炉内を維持するようにすることが好
ましい。
【0017】この際、反応炉における反応が前記のクラ
ウス法(化1及び化2)に従って効率よく進むように、
硫化水素及び燃焼性ガスの燃焼率がそれぞれ33〜10
0%であることが好ましく、約三分のーであることが最
も好ましい。また、硫化水素の燃焼によって生じた二酸
化硫黄と残りの硫化水素とが効率よく反応して硫黄の生
成率が向上するように、反応炉内を1240℃以下に維
持することが好ましく、800〜1000℃に維持する
ことが最も好ましい。
【0018】本発明の運転方法においては、再生塔に注
入された燃焼性ガスがアシッドガスと共に反応炉に導入
され、それらはほぼ同比率で燃焼するため、再生塔に注
入された燃焼性ガスの一部を燃焼させるために必要な酸
素量と、アシッドガス中の硫化水素の一部を燃焼させる
ために必要な酸素量とを求め、両酸素量の合計量を含む
量のエアーを反応炉に供給することによって硫化水素の
燃焼率を所望の比率に制御することが好ましい。なお、
エアーの供給量が過剰になると反応炉の異常発熱が起こ
って反応槽が壊れるおそれがあり、他方エアーの供給量
が少ないと硫黄の回収率が低下するため好ましくない。
【0019】また、本発明の運転方法にあっては、再生
塔に注入された燃焼性ガスだけでは反応炉内を上記温度
範囲に維持することが困難なようであれば、反応炉にさ
らに燃焼性ガスを別途注入し、反応炉並びに再生塔に注
入された燃焼性ガスの一部を、アシッドガス中の硫化水
素の一部と共に反応炉において燃焼させることによっ
て、二酸化硫黄とのこりの硫化水素との反応に必要な温
度に反応炉内を維持するようにしてもよい。
【0020】かかる場合も、反応炉並びに再生塔に注入
された燃焼性ガスとアシッドガスとが反応炉においてほ
ぼ同比率で燃焼するため、反応炉並びに再生塔に注入さ
れた燃焼性ガスの一部を燃焼させるために必要な酸素量
と、アシッドガス中の硫化水素の一部を燃焼させるため
に必要な酸素量とを求め、両酸素量の合計量を含む量の
エアーを反応炉に供給することによって硫化水素の燃焼
率を所望の比率に制御することが好ましい。
【0021】
【発明の実施の態様】以下、本発明の硫黄回収装置の運
転方法の好ましい実施態様を図面を参照して、より具体
的に説明するが、本発明はこの実施態様に限定されるも
のではない。
【0022】図1は本発明にかかる硫黄回収装置の一例
を示す流れ図、図2は実施例1におけるアシッドガス量
の変動状況を示すグラフ、図3は実施例2におけるアシ
ッドガス量の変動状況を示すグラフ、図4は比較例1に
おけるアシッドガス量の変動状況を示すグラフである。
【0023】先ず、図1に示す本発明にかかる硫黄回収
装置の一例について説明する。
【0024】図1に示す硫黄回収装置は、重油処理設計
能力が40,000bbl/日の重油の水素化脱硫装置
に付設しており、硫黄の生産設計能力が220t/日で
ある。かかる硫黄回収装置においては、以下に説明する
ようにして硫黄が回収される。
【0025】先ず、水素化脱硫装置の反応塔1におい
て、重油a中の硫黄化合物と水素とがアルミナ担持コバ
ルト−モリブデン触媒等の触媒の存在下で反応して硫化
水素が生成する。反応塔1において生成した硫化水素を
多量に含むガスb(原料ガス)は、脱硫された重油cか
ら分離され、後段の硫黄回収装置の吸収塔2に送られ
る。
【0026】吸収塔2において、原料ガスbは吸収液と
接触し、原料ガスb中の硫化水素は吸収液に吸収され、
精製されたガスdは燃料ガスシステムに送られる。ここ
で使用される吸収液は通常アルカリ性吸収液であり、具
体的にはモノエタノ一ルアミン(MEA)、ジエタノー
ルアミン(DEA),ジイソプロパノールアミン(AD
IP)等のアミン系水溶液が挙げられる。
【0027】硫化水素を吸収した吸収液eは再生塔3に
送られ、加熱により硫化水素を分離した後に再生吸収液
fとして吸収塔2に戻される。再生塔3は棚段式の気液
接触型のものであり、本実施例で使用したものは段数2
2、容量110m3 である。また、再生塔3において硫
化水素を分離するための加熱温度は、110〜140℃
が好ましく、120〜130℃が最も好ましい。図1に
示す再生塔3においては、本発明に従って水素ガスgを
注入できるようになっている。
【0028】再生塔3から排出されたアシッドガスhは
反応炉4に送られ、アシッドガスh中の硫化水素の三分
の一を燃焼させるのに必要な一定比率のエアーiによっ
て硫化水素の三分のーが燃焼して二酸化硫黄を生成(化
1)し、その二酸化硫黄と残りの硫化水素とが反応(化
2)して硫黄jが得られる。また、図1に示す反応炉4
においては、本発明に従って水素ガスkを注入すること
ができるようになっている。
【0029】反応炉4で生成した硫黄jは主凝縮器(図
示せず)で冷却されて液化され、硫黄ピット(図示せ
ず)に送られる。凝縮器で液化しない未反応ガスlは、
予熱後、 反応槽5に送られ、上記の硫黄生成反応(化
2)がアルミナ触媒等の触媒存在下でさらに促進されて
硫黄jが得られる。反応槽5は通常3段であり、また反
応槽5中の温度は220〜240℃が好ましい。反応槽
5から排出されるテールガスmは、フレアー(6)で燃
焼後大気に放出されるか、あるいはテールガス処理部門
(図示せず)に送られる。
【0030】さらに、図1に示す硫黄回収装置において
は、非定常時等に反応炉4の運転を継続することができ
なかった場合のために、アシッドガスhを緊急的にフレ
アー6に切り替えることができるようになっており、反
応炉4への通路及びフレアー6への通路のそれぞれに弁
7、8が設けてある。
【0031】実施例1 図1に示した上述の硫黄回収装置を用いて、本発明の運
転方法に従って以下のようにして停止運転を行った。水
素化脱硫装置に供給する重油の通油量を減少させて脱硫
装置を次第に停止条件に近づけると、再生塔3で発生す
る硫化水素量が次第に減少し、アシッドガスhの流量が
1,000m3 /hを下回ると再生塔3において脈動現
象が発生する兆候が現れた。そこで、再生塔3に水素ガ
スgを300m3 /hの割合で再生塔3の下部から注入
したところ、再生塔3から排出されるガス量が増加して
脈動が抑制され、再生塔3中の状態が通常の気液接触流
に戻り、そのまま図2に示すように再生塔3におけるア
シッドガス発生量がゼロになるまで脈動現象は発生しな
かった。図2における斜線部分Gは再生塔3に注入され
た水素ガスgによる増加分に相当し、再生塔3における
真のアシッドガス発生量は斜線部分Gの下の部分に相当
する。なお、再生塔3においてアシッドガス発生量がゼ
ロになっても脈動現象の発生を防止するのに必要な水素
ガス注入量を予め試験により調べたところ100m3
hであったので、余裕をもって上記のように300m3
/hの割合で注入することとした。
【0032】本実施例においては、アシッドガスhの流
量の減少に伴って反応炉4におけるアシッドガスhの燃
焼による発生熱量が次第に減少したため、二酸化硫黄と
残りの硫化水素との反応に必要な温度に反応炉内を維持
するために反応炉4にさらに500m3 /hの割合で水
素ガスkを別途注入した。
【0033】このようにして、再生塔3並びに反応炉4
に注入された水素ガスg、kと、アシッドガスh中の硫
化水素とをそれぞれ約三分の一ずつ反応炉4において燃
焼させることによって、再生塔3におけるアシッドガス
発生量がゼロになるまで反応炉内を約800〜1000
℃に維持することができた。
【0034】なお、かかる硫化水素の燃焼率の制御は、
以下のようにして求めたエア−iの必要量を反応炉4に
供給することによって行った。すなわち、本実施例にお
ける反応炉4には硫化水素に加えて水素ガスg、kが供
給されるため、反応炉4における燃焼反応は以下の化3
及び化4となる。
【0035】
【化3】
【0036】
【化4】 したがって、硫化水素1モルを燃焼させるのに必要な酸
素は、1.5モルであることから、硫化水素の三分の一
を燃焼させるのに必要な酸素は硫化水素の0.5容量倍
となり、エアー中の酸素含有率を21vol%とすると
硫化水素の三分の一を燃焼させるのに必要なエアーは硫
化水素の2.38容量倍と求まる。また、水素ガスに関
しても同様に、水素1モルを燃焼させるのに必要な酸素
は0.5モルであることから水素の三分の一を燃焼させ
るのに必要なエアーが求まる。
【0037】本実施例においては、反応炉4並びに再生
塔3に注入された水素ガスg、kとアシッドガスhとが
反応炉4においてほぼ同比率で燃焼するため、上記のよ
うにして求めた水素の三分の一を燃焼させるのに必要な
エアー量と、硫化水素の三分の一を燃焼させるのに必要
なエアー量との合計量を反応炉4に供給することによっ
て硫化水素の燃焼率を約三分の一に制御することができ
た。
【0038】なお、反応炉4への上記水素ガスg及びk
の流入量はそれぞれの供給管に設けた流量計(図示せ
ず)によって測定した。また、反応炉4へのアシッドガ
スhの流入量は再生塔3から反応炉4に通じる供給管に
設けた流量計(図示せず)による測定値に基づいて求め
るのであるが、かかる流量計はアシッドガスhの密度に
基づいて流量を測定するように設計されていることか
ら、本実施例のように水素ガスgが混入すると密度が変
化して測定値に誤差が生じる。しかしながら、水素ガス
とアシッドガスとの密度差は大きいことから計器上でア
シッドガスhの減少又は増大の変化をはっきり把握する
ことが可能であった。また、予めアシッドガスhに水素
ガスgが混入した場合の補正式を求めたところ、本実施
例の装置における補正式は下記の数1のように求まっ
た。
【0039】
【数1】 したがって、上記の数1に基づいて、流量計の測定値か
ら実際のアシッドガス流量を求めることができ、それに
基づいて反応炉4へのエアーiの供給量を制御すること
が可能であった。もちろん、水素が混入してもアシッド
ガス流量を実測することが可能な計器を増設してもよい
が、コスト的な理由から上記補正式に基づいて求める方
法が好ましい。
【0040】このように、本実施例においては、再生塔
3におけるアシッドガス発生量がゼロになるまで脈動現
象は発生せず、しかもその間、再生塔3並びに反応炉4
に注入された水素ガスg、kとアシッドガスh中の硫化
水素とを反応炉4においてそれぞれ約三分の一ずつ燃焼
させることによって反応炉内を二酸化硫黄と残りの硫化
水素との反応に必要な温度に維持することができたこと
から、アシッドガスhをフレア−6から燃焼放出するこ
となく、ほぼ全量の硫黄を硫黄回収装置で回収すること
ができた。
【0041】実施例2 図1に示した上述の硫黄回収装置を用いて、本発明の運
転方法に従って以下のようにして始動運転を行った。先
ず、再生塔3に水素ガスgを300m3 /hの割合で再
生塔3の下部から注入すると共に反応炉4に500m3
/hの割合で水素ガスkを別途注入し、実施例1と同様
にして求めた水素ガスg及びkの三分の一を燃焼させる
のに必要な量のエアーiを反応炉4に供給した状態と
し、水素化脱硫装置に供給する重油の通油量をゼロから
増加させていった。それによって再生塔3で発生する硫
化水素量が次第に増大し、図3に示すように脈動現象が
発生することなくアシッドガスhの真の流量が1000
3 /hになった。この時点で水素ガスの供給を止めた
が、その後も脈動現象が発生することなくアシッドガス
hの流量は順調に増加していった。
【0042】本実施例においても、水素ガスを供給して
いる間、実施例1と同様にして再生塔3並びに反応炉4
に注入された水素ガスg、kとアシッドガスh中の硫化
水素とをそれぞれ約三分の一ずつ反応炉4において燃焼
させることによって、反応炉内を約800〜1000℃
に維持することができた。
【0043】このように、本実施例においては、再生塔
3におけるアシッドガス発生量がゼロからほぼ定常状態
となるまで脈動現象は発生せず、しかもその間再生塔3
並びに反応炉4に注入された水素ガスg、kとアシッド
ガスh中の硫化水素とを反応炉4においてそれぞれ約三
分の一ずつ燃焼させることによって反応炉内を二酸化硫
黄と残りの硫化水素との反応に必要な温度に維持するこ
とができたことから、アシッドガスhをフレアー6から
燃焼放出することなく、ほぼ全量の硫黄を硫黄回収装置
で回収することができた。
【0044】比較例1 図1に示した上述の硫黄回収装置を用いて、水素ガスg
を再生塔3に供給しなかった以外は実施例1と同様にし
て停止運転を行った。水素化脱硫装置に供給する重油の
通油量を減少させて脱硫装置を次第に停止条件に近づけ
ると、再生塔3で発生する硫化水素量が次第に減少し、
図4に示すようにアシッドガスhの流量が800m3
h。を下回ると再生塔3において気液の量的なバランス
が完全に崩れて脈動現象が発生した。それによって再生
塔3から排出されるアシッドガスhの流量が量的に少な
くかつ脈動した状態になり、反応炉4において硫化水素
の量に追随してエアー比をコントロールして硫化水素を
一定比率で燃焼させることが不可能となった。しかも、
硫化水素の量の減少によって反応炉4における反応温度
の維持も困難となった。
【0045】その結果、本比較例においては反応炉4の
運転を継続できなくなり、アシッドガスhの導入先を反
応炉4から緊急的にフレアー6に切り替えてフレアー6
で燃焼放出せざるを得なかった。このように、本比較例
においては、再生塔3におけるアシッドガス発生量が8
00m3 /hを下回った段階で硫黄の回収ができなくな
り、硫黄を回収することなくフレアー6から燃焼放出さ
れたアシッドガス量が合計で4000m3 にも達し、硫
黄回収率の低下と共に大気汚染や臭気問題等の問題が生
じるおそれがあった。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の硫黄回収
装置の運転方法を採用すれば、硫黄回収装置の非定常時
運転において、再生塔におけるアシッドガス流の脈動現
象の発生が完全に防止され、しかも反応炉における反応
温度の維持が可能となり、それによってアシッドガスを
フレアーから燃焼放出することなくほぼ全量の硫黄を硫
黄回収装置で回収することができるようになる。したが
って、本発明の硫黄回収装置の運転方法を採用すること
によって、硫黄回収率の向上と大気汚染や臭気問題等の
発生防止とを同時に達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる硫黄回収装置の一例を示す流
れ図である。
【図2】 実施例1におけるアシッドガス量の変動状況
を示すグラフである。
【図3】 実施例2におけるアシッドガス量の変動状況
を示すグラフである。
【図4】 比較例1におけるアシッドガス量の変動状況
を示すグラフである。
【符号の説明】
1:反応塔、2:吸収塔、3:再生塔、4:反応炉、
5:反応槽、6:フレアー、7:弁、a:重油、b:原
料ガス、c:脱硫された重油、d:精製されたガス、
e:硫化水素を吸収した吸収液、f:再生吸収液、g:
水素ガス、h:アシッドガス、i:エアー、j:硫黄、
k:水素ガス、l:未反応ガス、m:テールガス、G:
見掛けのアシッドガス量のうちの水素ガスg相当分。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫化水素含有ガス中の硫化水素を吸収液
    に吸収させる吸収塔と、硫化水素を吸収した吸収液を加
    熱して硫化水素を分離させる再生塔と、分離された硫化
    水素の一部を燃焼させて二酸化硫黄を得かつ該二酸化硫
    黄と残りの硫化水素とを反応させて硫黄を得る反応炉と
    を具備する硫黄回収装置の運転方法であって、再生塔に
    燃焼性ガスを注入することによって該再生塔における脈
    動現象を抑制したことを特徴とする、前記硫黄回収装置
    の運転方法。
  2. 【請求項2】 再生塔に注入された燃焼性ガスの一部
    を、前記硫化水素の一部と共に反応炉において燃焼させ
    ることによって、二酸化硫黄と残りの硫化水素との反応
    に必要な温度に該反応炉内を維持することを特徴とす
    る、請求項1に記載の運転方法。
  3. 【請求項3】 反応炉にさらに燃焼性ガスを注入し、該
    反応炉並びに前記再生塔に注入された燃焼性ガスの一部
    を、前記硫化水素の一部と共に反応炉において燃焼させ
    ることによって、二酸化硫黄と残りの硫化水素との反応
    に必要な温度に該反応炉内を維持することを特徴とす
    る、請求項1または2に記載の運転方法。
  4. 【請求項4】 再生塔に注入された燃焼性ガスの一部を
    燃焼させるために必要な酸素量と、前記硫化水素の一部
    を燃焼させるために必要な酸素量とを求め、両酸素量の
    合計量を含む量のエアーを反応炉に供給することによっ
    て、該硫化水素の燃焼率を制御することを特徴とする、
    請求項1または2に記載の運転方法。
  5. 【請求項5】 反応炉並びに再生塔に注入された燃焼性
    ガスの一部を燃焼させるために必要な酸素量と、前記硫
    化水素の一部を燃焼させるために必要な酸素量とを求
    め、両酸素量の合計量を含む量のエアーを反応炉に供給
    することによって、該硫化水素の燃焼率を制御すること
    を特徴とする、請求項3に記載の運転方法。
  6. 【請求項6】 前記燃焼性ガスが水素であることを特徴
    とする、請求項1〜5のうちのいずれかに記載の運転方
    法。
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