JPH10261238A - 光ピックアップ装置 - Google Patents

光ピックアップ装置

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JPH10261238A
JPH10261238A JP9211247A JP21124797A JPH10261238A JP H10261238 A JPH10261238 A JP H10261238A JP 9211247 A JP9211247 A JP 9211247A JP 21124797 A JP21124797 A JP 21124797A JP H10261238 A JPH10261238 A JP H10261238A
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JP
Japan
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light receiving
light
central
area
pickup device
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Application number
JP9211247A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Akiyama
洋 秋山
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
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Publication of JPH10261238A publication Critical patent/JPH10261238A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アパーチャ等を用いずに基板厚の異なるディ
スクに対して互換性が保てるようにする。 【解決手段】 対物レンズの光学特性を基板厚の薄い高
密度ディスクに対して最適設計し,反射光をホログラム
11により回折して受光手段20で受光する。そして受
光手段20は,基板厚の厚い標準密度ディスクからの反
射光の+次数の回折光を受光する正次数受光部21と高
密度ディスクからの反射光の−次数の回折光を受光する
負次数受光部22とにより構成し,正次数受光部21に
標準密度ディスクからの反射光のうち球面収差の影響が
少ない中央部の大きさを持つ中央光受光領域を領域21
b〜21dにより形成する。これにより高密度ディスク
の再生信号は負次数受光部22からの光電変換信号か
ら,標準密度ディスクの再生信号は正次数受光部21の
中央光受光領域からの光電変換信号により求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,基板厚の異なる情
報記録媒体に対して互換性を保つことができるようにし
た光ピックアップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,対物レンズによりレーザ光を集光
してレーザスポットを形成し,当該レーザスポットを情
報記録媒体(以下,ディスクという)の記録部材に照射
することにより,マーク(ピット)を形成して情報の記
録を行い,また記録部材からの反射光を受光して当該記
録部材に記録されている情報の再生を行う光ピックアッ
プ装置が知られている。なお,以下の説明ではマークが
存在する領域をマーク領域と称し,当該マーク領域の間
の領域をスペース領域と称する。
【0003】近年の高密度情報化の要請を受けて,前記
ディスクにおいてもいわゆるDVDと称される高記録密
度ディスクが開発されている。
【0004】かかるディスクは,プラスチック等の透明
部材により記録部材が挟まれた構成になっており,レー
ザ光が照射される側の透明部材(この透明部材を特に透
明基板と記載する)の厚みは,従来の記録密度を持つデ
ィスクでは1.2mmであり,DVDでは0.6mmと
なっている。
【0005】なお,本明細書では従来の記録密度を持つ
ディスクを標準密度ディスク,当該標準密度ディスクに
対して高記録密度化されたディスクを高密度ディスクと
いい,これらを総称し,又は特に区別する必要がないと
きは単にディスクという。従って,高密度ディスクはD
VDに限定されないが,以下の説明ではこれを例に説明
する。
【0006】かかる高記録密度ディスクの開発に伴い,
光ピックアップ装置の付加価値を高める観点から,透明
基板の厚みが異なるディスクに対しても情報の記録又は
再生等が行えることが望まれている。
【0007】記録部材に記録された情報を適正に再生す
るためには,レーザスポット径を標準密度ディスクで約
1.5μm,高密度ディスクで約0.95μmに集光す
る必要がある。レーザスポット径は,対物レンズと透明
基板との光学特性により決るため,透明基板厚の異なる
ディスクに対して同一の対物レンズを用いて同一波長の
レーザ光を集光すると,集光されたレーザ光の周辺部に
おける球面収差が大きくなり,当該球面収差が大きくな
った周辺部分が記録部材面上に合焦しなくなる。このた
め,標準密度ディスクと高密度ディスクとの互換性が保
もたれなくなる問題が指摘されている。
【0008】そこで,透明基板厚が薄い高密度ディスク
に対して球面収差が最も小さくなるように対物レンズを
最適設計し,透明基板厚の厚い標準密度ディスクに対し
ては対物レンズに入射するレーザ光の周辺部をアパーチ
ャ等を用いて遮光する光ピックアップ装置が提案されて
いる。
【0009】かかる問題を図を参照して説明する。図1
1は,高密度ディスクに対して光学特性が最適設計され
た対物レンズを用いてレーザ光を集光した際の集光状態
を示す図で,図11(a)は高密度ディスクHD,図1
1(b)は標準密度ディスクLDの場合を示している。
【0010】図11(a)からわかるように,対物レン
ズの光学特性が高密度ディスクHDに対して最適設計さ
れている場合には,当該対物レンズにより集光された全
てのレーザ光Lを記録部材M面上に合焦させることがで
きるが,かかる対物レンズを標準密度ディスクLDに対
して用いると,図11(b)に見られるようにレーザ光
Lの周辺部が合焦せず略中央部分のみ合焦した状態とな
る。
【0011】即ち,レーザ光Lの光軸に近い部分は,良
好に記録部材Mの面上に合焦させることができるが,当
該レーザ光Lの周辺部は,大きな球面収差により記録部
材M面上に合焦させることができなくなり,当該周辺部
分はぼやけた状態となる。
【0012】ここで,高密度ディスクに対しては対物レ
ンズの有効径内全ての光線に対し集光特性が最適化され
ているので,「最適設計」と言いい,標準ディスクに対
しては中心部の光線は良好に集光しても(最適化されて
いても),外周部も含めた対物レンズの有効径全てに対
して最適化は不可能であるのでこのいみで「最適化され
ていない」と記載する。
【0013】図12(a),(b)は,レーザ光が記録
部材の面上に良好に集光された際の反射光の光強度分布
を示す模式図で,ドット密度により光強度分布を示して
いる。図12(a)は,スペース領域にレーザ光Lが照
射されたときの反射光の光強度分布を示し,図12
(b)は,マーク領域にレーザ光Lが照射されたときの
反射光の光強度分布を示している。
【0014】同図からわかるように,スペース領域から
の反射光の周辺部には,光強度の強い部分Iaが「島
状」に存在している。一方,マーク領域からの反射光の
周辺部には,このような光強度の強い部分が存在してい
ない。
【0015】そして,スペース領域及びマーク領域から
の反射光の光強度分布は,所定の円Ibにより区分けす
ることができ,スペース領域からの反射光では当該円I
bにより島状領域が存在する領域を,またマーク領域か
らの反射光では当該円Ibにより光強度が強い領域を識
別することが可能である。
【0016】この様な状況でレーザスポットがトラック
を走査すると,その反射光の信号強度は,図12(c)
における曲線Icのようになる。なお比較のために,後
述するアパーチャにより対物レンズに入射するレーザ光
の周辺部を遮光した場合の信号強度を曲線Idとして示
している。
【0017】信号強度は,マーク中央部で最小値を示す
変化を示している。そこで,例えば閾値を適宜設定する
ならば,信号強度が当該閾値を越えるか否かでマーク領
域とスペース領域との識別が可能になる。この場合,マ
ーク領域とスペース領域とを正確又は明確に識別するた
めには,信号強度の変化量Dが大きいことが要求され
る。
【0018】しかし,レーザスポットの周辺部での球面
収差が大きくなり,記録部材M面上に合焦しない部分が
生じてレーザースポット径が大きくなると,レーザスポ
ットの中心部がマーク領域の中央部を照射していても,
当該レーザスポットの周辺部がスペース領域を照射して
いる状況が生じて,信号強度の変化量Dを大きくするこ
とが困難になる。
【0019】この様な問題に対してアパーチャにより対
物レンズに入射するレーザスポットの周辺部を遮光し
て,対物レンズで集光されたレーザスポットに球面収差
の大きい周辺部分が含まれないようにして,ディスクに
入射するレーザ光が全て合焦し得るようにする方法が提
案されている(例えば,応用物理学会予講集 平成7年
秋 29a−ZA−6 「厚さの異なる2種類のディス
クにおける互換性の検討」 を参照されたい)。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,少なく
とも対物レンズの光学特性が一方のディスクに対して最
適設計されている場合には,当該ディスクの記録再生を
行うときはアパーチャが不要となる。従って,ディスク
の種類に対応して,アパーチャを光路から出し入れする
必要がある。例えば,対物レンズの光学特性が高密度デ
ィスクHDに対して最適設計されている場合に,高密度
ディスクHDを再生するときはアパーチャを光路から待
避させ,標準密度ディスクLDを再生するときはアパー
チャを光路に挿入する必要がある。
【0021】このためアパーチャを出し入れするための
機構が別途必要になると共に,当該アパーチャの挿入位
置の位置精度に高精度が要求され,またアパーチャの出
し入れ機構の部品や組立てに対しても高精度が要求され
るので光ピックアップ装置の生産性を低下及びコストア
ップを招く問題がある。
【0022】そこで本発明は,アパーチャを用いること
なく反射光における球面収差の影響が大きい周辺部を中
央部と分離して受光可能にし,球面収差の影響の少ない
高品質な信号を検出することが可能な光ピックアップ装
置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる発明
は,透明基板の基板厚が異なる情報記録媒体にレーザ光
を射出するレーザ発生手段と,少なくとも一方の情報記
録媒体に対して光学特性が最適設計されて,入射したレ
ーザ光を集光する対物レンズと,情報記録媒体からの反
射光を受光して再生信号及びサーボ信号を出力する受光
手段とを有する光ピックアップ装置において,受光手段
が,対物レンズの光学特性を最適設計していない情報記
録媒体からの反射光における球面収差の影響が小さい中
央部分を受光する中央光受光領域を有することを特徴と
する。
【0024】即ち,対物レンズの光学特性を基板厚の異
なる情報記録媒体の一方に対して最適設計した場合に,
他方の情報記録媒体からの反射光には球面収差の影響が
大きい周辺部が含まれるので,当該周辺部以外の反射光
のみを受光する中央光受光領域を受光手段に形成したこ
とを特徴とする。
【0025】請求項2にかかる発明は,グレーティング
が一様に形成されて,入射した反射光を±n次(n=
0,1,…)の回折光としてそれぞれ異なる角度で回折
する回折手段を有し,受光手段が,回折手段による+次
数の回折光を受光する正次数受光部と,−次数の回折光
を受光する負次数受光部とを有すると共に,回折手段に
形成されたグレーティング方向と直交する方向に配設さ
れ,かつ,正又は負次数受光部の一方に中央光受光領域
が形成されてなることを特徴とする。
【0026】即ち,回折手段が反射光を±n次(n=
0,1,…)の回折光として回折し,かつ,+次数の回
折光と−次数の回折光とは,0次光を中心に反対方向に
回折されるので,+次数の回折光を受光する正次数受光
部と−次数の回折光を受光する負次数受光部とにより受
光手段を形成する。そして,例えば,薄い基板厚の情報
記録媒体からの反射光における回折光を正次数受光部で
受光し,厚い基板厚の情報記録媒体からの反射光におけ
る回折光を負次数受光部で受光するようにして,少なく
とも正,負次数受光部のどちらかに中央光受光領域を形
成したことを特徴とする。
【0027】請求項3にかかる発明は,正及び負次数受
光部のそれぞの略中心部に受光中心領域が形成され,そ
の内の1つが中央光受光領域をなし,かつ,2つの受光
中心領域の少なくとも1つが2分割されて,当該分割さ
れた各領域からの光電変換信号の差分に基づきトラッキ
ング信号を検出することを特徴とする。
【0028】即ち,正及び負次数受光部の略中心部に受
光中心領域を形成する。このとき,正又は負次数受光部
の一方が中央光受光領域となるようにする。そして,正
及び負次数受光部の受光中心領域を,例えばトラッキン
グにより受光面上の反射光が移動する方向と直交する方
向に2分割して,当該分割された受光中心領域からの光
電変換信号の差分に基づきトラッキング信号を検出する
ようにしたことを特徴とする。
【0029】請求項4にかかる発明は,正及び負次数受
光部のそれぞの略中心部に受光中心領域が形成され,そ
の内の1つが中央光受光領域をなし,かつ,2つの受光
中心領域がの少なくとも1つが2分割され,その内の1
つが当該2分割した方向と直角方向に更に2分割され
て,当該更に分割した各領域からの光電変換信号の差分
に基づきトラッキング信号を検出することを特徴とす
る。
【0030】即ち,正及び負次数受光部の略中心部に受
光中心領域を形成する。このとき,正又は負次数受光部
の一方が中央光受光領域となるようにする。そして,正
及び負次数受光部の受光中心領域を,例えばトラッキン
グにより受光面上の反射光が移動する方向に2分割し,
さらにその内の1つをトラッキングにより受光面上の反
射光が移動する方向と直交する方向に2分割する。そし
て,トラッキングにより受光面上の反射光が移動する方
向と直交する方向に2分割された領域からの光電変換信
号の差分に基づきトラッキング信号を検出するようにし
たことを特徴とする。
【0031】請求項5にかかる発明は,対物レンズの光
学特性を最適設計した情報記録媒体からの反射光におけ
る回折光から再生信号を検出するときは,中央光受光領
域と当該中央光受光領域の周囲に形成された受光周囲領
域とからの光電変換信号により検出し,また対物レンズ
の光学特性を最適設計していない情報記録媒体からの反
射光における回折光から再生信号を検出するときは,中
央光受光領域からの光電変換信号により検出することを
特徴とする。
【0032】即ち,対物レンズの光学特性を最適設計し
た情報記録媒体からの反射光における回折光から再生信
号を検出するときは,中央光受光領域と当該中央光受光
領域の周囲に形成された受光周囲領域とからの光電変換
信号により検出し,また対物レンズの光学特性を最適設
計していない情報記録媒体からの反射光における回折光
から再生信号を検出するときは,中央光受光領域からの
光電変換信号により検出して,再生信号を中央光受光領
域が形成された正又は負次数受光部のみから検出するよ
うにしたことを特徴とする。
【0033】請求項6にかかる発明は,正及び負次数受
光部のそれぞれの略中心部に受光中心領域が形成され,
その内の1つが中央光受光領域をなして,これら2つの
受光中心領域がグレーティング方向に分割されてなるこ
とを特徴とする。
【0034】即ち,正及び負次数受光部のそれぞれの略
中心部に受光中心領域が形成され,その内の1つが中央
光受光領域をなして,中央光受光領域をなす受光中心領
域は,対物レンズの光学特性を最適設計していない情報
記録媒体からの反射光における球面収差の影響が小さい
中央部分のみを受光し,他方の受光中心領域は対物レン
ズの光学特性を最適設計した情報記録媒体からの反射光
を全て受光する。また,例えば温度変化によりレーザ発
生手段から出射されるレーザー光の波長が変動すると,
回折光の回折角はグレーティング方向と直交する面内で
変化するので,それぞれの受光中心領域に当該グレーテ
ィング方向と直交する方向に分割線を形成して分割し,
これにより回折角が変動しても回折光が対応する受光領
域から外れないようにしたことを特徴とする。
【0035】請求項7にかかる発明は,中央光受光領域
の周囲に,受光周囲領域を2重に形成し,かつ,中央光
受光領域及び2つの周囲光受光領域が2分割されてなる
ことを特徴とする。
【0036】即ち,受光手段に形成された中央光受光領
域の周囲に周囲光受光領域が2重に形成し,かつ,中央
光受光領域及び2つの周囲光受光領域を2分割する。そ
して,対物レンズの光学特性が最適設計された情報記録
媒体からの反射光における回折光から再生信号を検出す
るときは,2つの周囲光受光領域と中央光受光領域とか
らの光電変換信号から検出し,また対物レンズの光学特
性が最適設計されていない情報記録媒体からの反射光に
おける回折光から再生信号を検出するときは,中央光受
光領域からの光電変換信号により検出することを特徴と
する。
【0037】請求項8にかかる発明は,レーザ発生手段
と受光手段とが,ユニット化されていることを特徴とす
る。
【0038】即ち,レーザ発生手段と受光手段とを,1
つの缶に収納してユニット化したことを特徴とする。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図を参照し
て説明する。図1は本発明にかかる光ピックアップ装置
における光学系の概略構成図である。
【0040】当該光ピックアップ装置は,レーザ光を出
射するレーザ発生手段1,該レーザ発生手段1からのレ
ーザ光を収束して略平行光にするコリメートレンズ2,
該コリメートレンズ2からのレーザ光を通過させると共
に,ディスクからの反射光を偏向するビームスプリッタ
3,高密度ディスクHDに対して所定の開口数に対して
収差が小さくなるように光学特性が最適設計されて,入
射するレーザ光を集光する対物レンズ5,反射光を収束
する検出レンズ10,該検出レンズ10により収束され
た反射光を回折するホログラム11,回折光を受光して
トラッキング信号,フォーカス信号及び再生信号を出力
する受光手段20等を有している。
【0041】なお,図示しないがコリメートレンズと検
出レンズを共通にする構成も可能である。
【0042】図2(a)に示すように,ホログラム11
にはグレーティングが一様方向に形成されて,入射した
反射光を所定面内で回折するようになっている。このよ
うにグレーティングを一様方向に形成すると,当該ホロ
グラム11が容易に製作でき,低コスト化が図られる利
点がある。
【0043】受光手段20は,図2(b)に示すように
2つの受光部21,22を有し,受光部21は領域21
a〜21dに分割され,受光部22は領域22a〜22
dに分割されて,各領域21a〜21d,22a〜22
dからは,光電変換信号S21a〜S21d,S22a
〜S22dが出力される。
【0044】領域21b〜21d,22b〜22dは受
光中心領域をなし,領域21a,22aは受光周囲領域
をなしている。
【0045】ここで受光部21は,標準密度ディスクL
Dからの反射光の受光に用いられ,受光部22は高密度
ディスクHDからの反射光の受光に用いられるものとす
る。この場合,高密度ディスクHDに対して光学特性が
最適設計された対物レンズ5を用いて,透明基板厚の厚
い標準密度ディスクLDに対してレーザ光の集光を行う
と,当該レーザ光の周辺部が記録部材面上に合焦せず,
中央部のみが合焦した状態になるので,受光部21の受
光中心領域21b〜21dは,当該反射光における周辺
部を受光しないように形成されて,中央光受光領域をな
している。
【0046】ところで,光が回折すると±n次光(n=
0,±1,±2…)に分離され,0次光は光路を変えな
いが,+1次光,+2次光…等と,−1次光,−2次光
…等とは,0次光を挟んで逆方向に回折され,同次数の
回折光の光強度は同じになる。
【0047】そこで,+次数光側(図2(b)では左側
としている)の光路に標準密度ディスクLDからの反射
光を受光する受光部21を配設し,これを正次数受光部
21と記載し,−次数光側(図2(b)では右側として
いる)の光路に高密度ディスクHDからの反射光を受光
する受光部22を配設し,これを負次数受光部22と記
載する。
【0048】先に述べたように,次数により回折角が異
なり,高次数になるほど光強度が小さくなる。そこで,
本実施の形態では,±1次光を受光できるように正及び
負次数受光部21,22が配設されている。しかし本発
明はこれに限定されず,例えば±2次光等としても良
く,また同次数でなくてもよいことを附記する。
【0049】なお,−次数光,0次光,+次数光の光軸
は1つの平面上に存在し,かつ,当該平面はホログラム
11に形成されたグレーティング方向と直角の方向とな
っている。
【0050】上記構成に基づき動作を説明する。レーザ
発生手段1から出射されたレーザ光は,コリメートレン
ズ2により略平行光に収束され,ビームスプリッタ3を
通過して対物レンズ5に入射し,当該対物レンズ5によ
り集光されてディスクに照射される。
【0051】このようにしてディスクに照射されたレー
ザ光は,記録部材で反射されて対物レンズ5により集光
され,ビームスプリッタ3に入射する。そしてビームス
プリッタ3で検出レンズ10の方向に光路が変えられて
光路分離が行われる。
【0052】その後,反射光は,検出レンズ10で収束
されてホログラム11に入射して回折され,+1次光の
回折光が正次数受光部21で受光され,−1次光の回折
光が負次数受光部22で受光される。
【0053】そして,ディスクが標準密度ディスクLD
である場合には,正次数受光部21からの信号に基づき
フォーカス信号Fo,トラッキング信号Tr及び再生信
号Rfを Fo=S21a−k(S21b+S21c+S21d) k:定数 Tr=(S21c−S21d) Rf=(S21b+S21c+S21d) の演算式に従って求める。
【0054】一方,ディスクが,高密度ディスクHDで
ある場合には,負次数受光部22からの信号に基づきフ
ォーカス信号Fo,トラッキング信号Tr及び再生信号
Rfを Fo=S22a−k’(S22b+S22c+S22d) k’:定数 Tr=(S22c−S22d) Rf=(S22a+S22b+S22c+S22d) の演算式に従って求める。
【0055】上式からわかるように,標準密度ディスク
LDと高密度ディスクHDとにおいて,再生信号Rfの
演算方法のみが異なっている。即ち,高密度ディスクH
Dの場合には,再生信号Rfは全ての領域22a〜22
dからの光電変換信号に基づき演算しているが,標準密
度ディスクLDの場合には,領域21b〜21dからな
る中央光受光領域からの光電変換信号に基づき演算され
ている。
【0056】領域21aで受光される反射光は,球面収
差の影響が大きい周辺部に対応しているため,当該領域
21aの信号を再生信号Rfの検出に用いないことによ
り,球面収差の影響の少ない良質な再生信号Rfを得る
ことが可能になる。従って,対物レンズ5の光学特性が
高密度ディスクHDに対して最適設計されている場合で
あっても,標準密度ディスクLDに対して高品質な再生
信号Rfを得ることが可能になる。
【0057】なお,上述した説明においては,少なくと
も標準密度ディスクLDからの反射光における球面収差
の影響が小さい中央部が円形状であることを前提に,受
光手段の受光中心領域,受光周囲領域及び中央光受光領
域等の形状を例示して説明した。
【0058】しかし,本発明は,かかる形状に限定され
るものではなく,基本的に当該球面収差の影響が大きい
周辺部と小さい中央部とを分離して受光できればよいの
で,球面収差の影響の小さい中央部が円形状以外の形状
の場合,または円形形状以外の形状に近似できる場合で
あっても適用可能である。
【0059】例えば,図3に示すように,球面収差の影
響の小さい中央部が,四角形,多角形,楕円形等の円形
以外の形状,または実用的観点からこれらの形状に近似
できる場合には,当該形状に対応した中央光受光領域等
を持つ受光手段を用いることが可能である。
【0060】図3(a)は受光中心領域が四角形の場
合,図3(c)は楕円形の場合,図3(b)は多角形の
場合の受光手段30,33,36をそれぞれ示してい
る。なお,図3(c)において多角形の例として6角形
を示しているが,6角形に限定されないことは言うまで
もない。
【0061】そして,各受光部31は領域31a〜31
dに分割され,正次数受光部をなして標準密度ディスク
LDからの反射光の受光に用いられ,受光部32は領域
32a〜22dに分割され,負次数受光部をなして高密
度ディスクHDからの反射光の受光に用いられる。さら
に,領域31b〜31dが中央光受光領域をなしてい
る。
【0062】各領域31a〜31d,32a〜32dか
らは,光電変換信号S31a〜S31d,S32a〜S
32dが出力され,図2に於いて説明した方法によりフ
ォーカス信号Fo,トラッキング信号Tr及び再生信号
Rfが演算される。受光手段33,36についても同様
である。
【0063】また,図2等においては受光中心領域をT
字状に3分割した場合を示したが,本発明はこのような
分割方法に限定されるものではない。
【0064】分割方法は,再生信号やサーボ信号の検出
方法により決るものであり,中央光受光領域が球面収差
が大きい周辺部を受光しないように形成されていれば,
本発明の作用効果を得ることができる。
【0065】従って,図4に示すように左右に2分割し
たものであっても良い。このような分割法法を用いる
と,トラック信号Trを位相差法で検出でき,かつ,そ
の振幅を大きくすることができる利点がある。
【0066】また,正及び負次数受光部における受光中
心領域及び受光周囲領域が,同じ大きさ又は同じ形状で
ある必要はなく,例えば,図4(b)に示すように,正
及び負次数受光部における受光中心領域が異なる大きさ
であっても良く,図4(c)に示すように,これらの形
状が異なる場合であっても良い。さらに,図4(d)に
示すように正及び負次数受光部の分割方法が異なる場合
であっても良い。
【0067】図4(a)に示す受光手段40の正及び負
次数受光部41,42は,それぞれ左右に2分割され
て,正次数受光部41は領域41a〜41cに分割され
て,標準密度ディスクLDからの反射光の受光に用いら
れ,負次数受光部41は領域42a〜42cに分割され
て,高密度ディスクHDからの反射光の受光に用いられ
る。各領域41a〜41c,42a〜42cから光電変
換信号S41a〜S41c,S42a〜S42cが出力
される。そして中央光受光領域は,領域41b,41c
により構成される。
【0068】このような構成の場合に再生信号Rfは, Rf=S41b+S41c (標準密度ディスクの場合) Rf=S42a+S42b+S42c (高密度ディスクの場合) の演算式から求まり,フォーカス信号Foはビームサイ
ズ法を用いて Fo=S41a−k(S41b+S41c) k は整数 (標準密度ディスクの場合) Fo=S42a−k’(S42b+S42c) k’は整数 (高密度ディスクの場合) の演算式から求まる,またトラッキング信号Trは,プ
シュプル法を用いて Tr=S41b−S41c (標準密度ディスクの場合) Tr=S42b−S42c (高密度ディスクの場合) の演算式から求めることができる。図4(b),(c)
についても同様に定義して各信号を検出することができ
る。
【0069】また図4(d)においては,負次数受光部
51の受光中心領域51b,51cの周囲は領域51a
と領域51dとに分割されている。しかし,受光中心領
域51b,51cの周囲を2分割しなければならない本
質的な理由は無いが,後述するように,高密度ディスク
HDにおけるトラッキング信号Trを領域51aと領域
51dからの信号をも用いて検出することができるの
で,当該トラッキング信号Trの信号振幅を大きくする
ことができる利点がある。
【0070】このような構成の場合,再生信号Rfは, Rf=S50b+S50c (標準密度ディスクの場合) Rf=S51a+S51b+S51c+S51d 又は Rf=S51a+S51b (高密度ディスクの場合) の演算式から求まり,フォーカス信号Foはビームサイ
ズ法を用いて Fo=S50a−k(S50b+S50c) k は整数 (標準密度ディスクの場合) Fo=(S51a+S51d)−(S51b+S51c) (高密度ディスクの場合) の演算式から求まる,またトラッキング信号Trは,プ
シュプル法を用いて Tr=S50b−S50c (標準密度ディスクの場合) Tr=(S51a+S51b)−(S51c−S51d) (高密度ディスクの場合) の演算式から求めることができる。
【0071】また,受光周囲領域の形状は,矩形形状に
限定されるものではない。即ち,受光したい反射光を受
光できる大きさであればよい。但し,後述する図7に示
すように,当該受光周囲領域の外周形状を積極的に利用
する場合は,除外されることは付言するまでもない。
【0072】上記説明においてはレーザ光の光路分離を
ビームスプリッタにより行う場合について説明したが,
本発明はこれに限定するものではなく,図5に示すよう
にホログラムの回折特性を利用して光路分離を行うよう
にしてもよい。
【0073】図5(a)に示す光ピックアップ装置は,
レーザ光を出射する半導体レーザ素子と入射したレーザ
光を受光する受光手段とを1つの缶に収納したレーザユ
ニット6,レーザ光を収束して略平行光にするコリメー
トレンズ2,高密度ディスクHDに対して光学特性が最
適設計されて,入射したレーザ光を集光する対物レンズ
5,レーザユニット6のレーザ出射窓に配設されて,コ
リメートレンズ2で収束されたディスクからの反射光を
回折するホログラム11等を有している。
【0074】レーザユニット6は,図5(b)に示すよ
うに,レーザ光を出射するレーザ素子7,反射光を受光
する受光手段20,これらを収納する缶のレーザ出射窓
に設けられた透明板9等を有している。
【0075】なお,透明板9は缶を密閉して,当該缶に
収納されたレーザ素子7や受光手段20を保護するため
に設けている。従って,ホログラム11を缶に密着して
固定するならば,当該透明板9は必ずしも必要でない。
即ち,透明板9をホログラム11により代用することが
可能である。
【0076】上記構成のもとで,レーザ素子7から出射
されたレーザ光はホログラム11を通り,コリメートレ
ンズ2により略平行光に収束される。その後,レーザ光
は対物レンズ5で集光されてディスクの記録部材面上に
集光する。
【0077】また記録部材から反射したレーザ光は,対
物レンズ5により集光され略平行光となってコリメート
レンズ2に入射して収束され,ホログラム11に入射す
る。そして,当該ホログラム11により回折されて光路
分離が行われて受光手段20により受光され,上述した
演算処理により再生信号等が検出される。上記構成にす
ることで,上述した効果に加えピックアップ装置の小型
化が図れるようになる。
【0078】また上述した構成は,基本的に1つのレー
ザ源により透明基板厚の異なる標準密度ディスクLD及
び高密度ディスクHDに対応しようとするものである
が,図6に示すように2つのレーザ源を用いたレーザ発
生手段によりそれぞれのディスクの基板厚に対応した波
長を持つレーザ光を用いることも可能である。
【0079】なお,当該ホログラム11に偏光特性を付
与するならば(即ち,偏光ホログラムとする),レーザ
光の利用効率を向上させることが可能になる。
【0080】図6に示すレーザ発生手段90は,高密度
ディスクHD用のレーザ源として用いるレーザ素子9
1,標準密度ディスクLD専用に用いるレーザ素子9
2,外部から入射したレーザ光を受光する受光部93,
これらを収納する缶94,該缶94のレーザ光出射窓に
設けられた透明板95等を有している。
【0081】先に,レーザ光はホログラム11により,
±n次光の回折光に回折され,+側の回折光と−側の回
折光とは0次光を中心に逆方向に回折されることを述べ
た。このときの回折角は,レーザ光の波長にも依存して
いる。
【0082】即ち,同じ+1次光であっても,ホログラ
ム11に形成されているグレーティングの間隔と波長と
の関係から回折角が異なる。標準密度ディスクLD用の
レーザ光の波長は,高密度ディスクHD用のレーザ光の
波長より長いので,標準密度ディスクLD用のレーザ光
の回折角は高密度ディスクHD用のレーザ光の回折角に
比べ小さくなる。そこで,本発明では,グレーティング
は,標準密度ディスクLD用のレーザ光の波長に対応し
て形成する。これにより,正及び負次数受光部の配設間
隔が広くできて受光手段を容易に製作することができる
ようになる。
【0083】受光手段の構成としては,上述した構成に
限られず図7に示すものであってもよい。同図に示す受
光手段23は2つの受光部24,25とからなり,受光
部24が正次数受光部をなして領域24a〜24fに分
割され,また受光部25が負次数受光部をなして領域2
5a,25bに分割されている。
【0084】そして,領域24a,24c,24d及び
領域25aは受光周囲領域をなし,領域24b,24
e,24f及び領域25bは受光中心領域をなして,領
域24b,24e,24fが中央光受光領域をなしてい
る。
【0085】−次数光,0次光,+次数光は1つの平面
上に存在し,かつ,当該平面はホログラム11に形成さ
れたグレーティング方向と直角する方向であり,正次数
受光部24における上下の分割線は,この平面と平行に
なるように設けられている。
【0086】これにより各領域24a〜24f,25
a,25bから出力される光電変換信号S24a〜S2
4f,S25a,S25bに基づき,再生信号Rfを, Rf=S25b (標準密度ディスクの場合) Rf=S25a+S25b (高密度ディスクの場合) により演算し,トラッキング信号Trをプシュプル法又
は位相差法により, Tr=S24e−S24f 又は, Tr=(S24c+S24e)−(S24d+S24f) (標準密度ディスクの場合) Tr=(S24c+S24e)−(S24d+S24f) (高密度ディスクの場合) により演算し,フォーカス信号Foはダブルビームサイ
ズ法により Fo=(S24a+S24c+S24d+S25b) −(S24b+S24e+S24f+S25a) (標準密度及び高密度ディスクの場合) により求めることができる。
【0087】これにより標準密度ディスクLDに対する
再生信号Rfの演算においては,反射光の周辺部分を用
いないので,球面収差の影響の少ない良質な再生信号を
得ることが可能になる。なお,高密度ディスクHDに対
しては,対物レンズ5が当該高密度ディスクHDに対し
て最適設計されているので,反射光の周辺部を除去する
必要がない。
【0088】ところで,ディスクは高速回転するので,
マークの有無に対応した反射光の光強度変化も高速で変
動する。このため,反射光を受光する受光手段は,周波
数特性の高いものでなければ,当該光強度の変化に追従
して光電変換信号を出力することができない。そこで,
受光手段は一般に,高周波特性を持つ高価な受光素子が
用いられる。しかし,本発明にかかる受光手段では,少
なくとも中央光受光領域が形成される負次数受光部のみ
が高周波特性を備えていればよいので,受光手段を安価
に製造できる利点がある。
【0089】また,回折光を正しく受光できる位置に受
光手段を取付けても,環境の温度変化等によりレーザ素
子の発振特性が変化して,出射されるレーザ光の波長が
変化する場合がある。かかるレーザ光の波長変化が生じ
ると,先に説明したように回折角が変化するので,状況
によっては回折光が受光領域からはずれてしまう場合が
生じる。
【0090】かかる不都合を防止するためには,受光手
段を図8に示すような構成にすることが望ましい。図8
に示す受光手段26は,正次数受光部である受光部27
と負次数受光部である受光部28を有し,これら正及び
負次数受光部27,28はグレーティング方向に直交す
る方向に分割線が形成されて,領域27a〜27d及び
領域28a〜28dが形成されて,領域27a〜27d
が中央光受光部に対応している。領域27a〜27d,
28a〜28dからは,光電変換信号S27a〜S27
d,S28a〜S28dが出力される。
【0091】なお,正及び負次数受光部27,28は異
なる大きさに形成されているが,これは標準密度ディス
クLDからの反射光に対しては,その球面収差の影響が
大きい周辺部が受光されないようにし,高密度ディスク
HDからの反射光に対しては,その周辺部及び中央部が
共に受光されるようにするためである。
【0092】このような構成により,各領域から出力さ
れる光電変換信号S27a〜S27f,S28a,S2
8bに基づき,再生信号Rfを, Rf=s27a+S27b+s27c+S27d (標準密度ディスクの場合) Rf=s28a+S28b+s28c+S28d (高密度ディスクの場合) により演算し,トラッキング信号Trを, Tr=(S27a+S27b)−(S27c+S27d) (標準密度ディスクの場合) Tr=(S28a+S28b)−(S28c+S28d) (高密度ディスクの場合) により演算し,さらにフォーカス信号Foを, Fo=(S27a+S27d)−(S27b+S27c) (標準密度ディスクの場合) Fo=(S28a+S28d)−(S28b+S28c) (高密度ディスクの場合) の演算により求めることができる。
【0093】従って,レーザ光の波長が変動して回折角
が変化しても,回折光は分割線に平行に移動するので,
当該移動量が少なくとも領域27a,27d,28a,
28dの距離の範囲内であれば回折光は受光領域から外
れてしまうことがなくなり,信頼性が向上する。また,
標準密度ディスクLDの場合に,再生信号Rf,トラッ
キング信号Tr及びフォーカス信号Foには,反射光に
おける周辺部が用いられないので,球面収差の影響が少
ない品質の高い信号を得ることが可能になる。
【0094】これまで説明した受光手段は,ホログラム
による回折作用を利用したものであった。しかし本発明
はこれらに限定されるものではない。
【0095】即ち,図9に示すように受光手段29を,
略同心円状に複数に分割し,さらにこれらを上下に2分
割して領域29a〜29fとする構成にして,ホログラ
ムを用いない構成であってもよい。この場合,領域29
c及び領域29dで構成される領域が,中央光受光領域
を形成している。
【0096】そして領域29a〜29fからの光電変換
信号S29a〜S29bに基づき,再生信号Rfを, Rf=S29c+S29d (標準密度ディスクの場合) Rf=S29a+S29b+S29c+S29d+S29e+S29f (高密度ディスクの場合) により演算し,トラッキング信号Trをプシュプル法又
は位相差法により, Tr=S29c−S29d (標準密度ディスクの場合) Tr=(S29b+S29c)−(S29d+S29e) (高密度ディスクの場合) により演算し,ビームサイズ法に従いフォーカス信号F
oを, Fo=S29b−S29c (標準密度ディスクの場合) Fo=S29a−(S29b+S29c) (高密度ディスクの場合) の演算により求めることができる。
【0097】従って,再生信号Rfの演算においても反
射光の周辺部分が用いられないので,球面収差による影
響の少ない良質な再生信号を得ることが可能になる。な
お,高密度ディスクHDに対しては,対物レンズが当該
高密度ディスクHDに対して最適設計されているので,
反射光の周辺部を除去する必要がない。
【0098】上記説明では,球面収差が大きい反射光の
周辺部の影響を小さくするために中央光受光領域を有す
る受光手段20等を用いた。このとき,トラッキングに
より対物レンズ5の光軸と当該対物レンズ5に入射する
レーザ光の光軸とがずれると,反射光における球面収差
が大きい周辺部の一部が中央光受光領域に受光される場
合が生じる。
【0099】そこで図10に示すような構成により当該
光軸ずれを防止して,球面収差が大きい反射光の周辺部
が中央光受光領域に受光されないようにすることが可能
である。
【0100】図10に示す光ピックアップ装置は,半導
体レーザや受光手段等からなる固定光学系101,当該
固定光学系と同様にその位置が不動に設けられた固定偏
向ミラー102,レーザ光を固定偏向ミラー102の方
向に偏向させる可動偏向ミラー103,レーザ光を集光
する対物レンズ5,可動偏向ミラー103及び対物レン
ズ5が固着されたレンズホルダ105,該レンズホルダ
105を支持するレンズ支持部106等を有している。
【0101】なお,図10においてフォーカス方向をF
od,トラッキング方向をTrdで示し,対物レンズ5
のトラッキングは,レンズホルダー105を移動させる
ことにより行われる。
【0102】レンズホルダー105には,可動偏向ミラ
ー103が固着されているので,トラッキングにより可
動偏向ミラー103が移動すると,当該可動偏向ミラー
103により偏向されて固定偏向ミラー102に入射す
るレーザ光の入射点がレンズホルダ105の移動量と同
じだけ移動するようになる。
【0103】対物レンズ5は,レンズホルダー105に
固着されているので,結局当該対物レンズ105に入射
するレーザ光の光軸は対物レンズ5の光軸とずれないよ
うになる。
【0104】なお,上記説明では固定偏向ミラー102
はレンズホルダー105に固着されていない場合につい
て説明したが,本発明はこれに限定されるものではなく
固着されていてもよい。
【0105】
【発明の効果】請求項1にかかる発明によれば,受光手
段に対物レンズの光学特性を最適設計していない情報記
録媒体からの反射光における球面収差の影響が小さい中
央部分のみを受光する中央光受光領域を設けたので,対
物レンズの光学特性が一方の情報記録媒体に対して最適
設計された場合であっても,他方の情報記録媒体からの
反射光を受光する際には,球面収差の影響が大きい周辺
部以外の反射光のみを中央光受光領域で受光することが
でき,基板厚の異なる情報記録媒体に対しても互換性が
保てると共に,再生信号等の品質が向上するようにな
る。
【0106】請求項2にかかる発明によれば,回折手段
により反射光を±n次(n=0,1,…)の回折光とし
て回折し,かつ,+次数の回折光と−次数の回折光と
は,0次光を中心に反対方向に回折されるので,+次数
の回折光を受光する正次数受光部と−次数の回折光を受
光する負次数受光部とにより受光手段を構成し,そして
例えば,薄い基板厚の情報記録媒体からの反射光におけ
る回折光を正次数受光部で受光し,厚い基板厚の情報記
録媒体からの反射光における回折光を負次数受光部で受
光するようにして,負次数受光部に中央光受光領域を形
成したので,対物レンズを基板厚の異なる情報記録媒体
の一方に対して光学特性を最適設計したために,他方の
情報記録媒体からの反射光の周辺部に球面収差の影響が
含まれる場合であっても,当該球面収差の影響が少ない
反射光のみを受光することが可能になって,再生信号等
の品質が向上するようになる。
【0107】特に,一様方向のグレーティングを形成し
て回折手段を構成するようにしたので,当該回折手段が
容易に,かつ,安価に製造できてコストダウンが可能に
なる。
【0108】請求項3にかかる発明によれば,正及び負
次数受光部のそれぞの中心部分に受光中心領域を形成
し,その内の1つが中央光受光領域をなし,かつ,2つ
の受光中心領域の少なくとも1つを2分割したので,対
物レンズの光学特性を基板厚の異なる情報記録媒体の一
方に対して最適設計したために,他方の情報記録媒体か
らの反射光の周辺部に球面収差の影響が含まれる場合で
あっても,当該球面収差の影響が少ない反射光のみを受
光することが可能になって,高品質の再生信号等を得る
ことができると共に,当該分割された受光中心領域から
の光電変換信号の差分に基づきトラッキング信号を検出
することが可能になる。
【0109】請求項4にかかる発明によれば,正及び負
次数受光部のそれぞの中心部分に受光中心領域を形成
し,その内の1つが中央光受光領域をなし,かつ,2つ
の受光中心領域がの少なくとも1つが2分割され,その
内の1つが当該2分割した方向と直角方向に更に2分割
したので,対物レンズを基板厚の異なる情報記録媒体の
一方に対して光学特性を最適設計したために,他方の情
報記録媒体からの反射光の周辺部に球面収差の影響が含
まれる場合であっても,当該球面収差の影響が少ない反
射光のみを受光することが可能になって,高品質の受光
信号等を得ることができると共に,当該更に分割した領
域からの光電変換信号の差分に基づきトラッキング信号
を検出することが可能になる。
【0110】請求項5にかかる発明によれば,対物レン
ズの光学特性を最適設計した情報記録媒体からの反射光
における回折光から再生信号を検出するときは,中央光
受光領域と当該中央光受光領域の周囲に形成された受光
周囲領域とからの光電変換信号により検出し,また対物
レンズの光学特性を最適設計していない情報記録媒体か
らの反射光における回折光から再生信号を検出するとき
は,中央光受光領域からの光電変換信号により検出し
て,再生信号を中央光受光領域が形成された正又は負次
数受光部のみから検出するようにしたので,対物レンズ
の光学特性が一方の情報記録媒体に対して最適設計され
た場合であっても,他方の情報記録媒体からの反射光を
受光する際には,球面収差の影響が大きい周辺部以外の
反射光のみを中央光受光領域で受光することができ,基
板厚の異なる情報記録媒体に対しても互換性が保てると
共に再生信号等の品質が向上するようになる。
【0111】また,中央光受光領域が形成されている正
又は負次数受光部からの光電変換信号のみにより,再生
信号を得るようにしたので,正又は負次数受光部のいず
れか一方が高周波特性を備えれば良くなり,コスト削減
が可能になる。
【0112】請求項6にかかる発明によれば,正及び負
次数受光部のそれぞれの中心部分に受光中心領域が形成
され,その内の1つが中央光受光領域をなして,これら
2つの受光中心領域をグレーティング方向に分割して,
中央光受光領域をなす受光中心領域は,対物レンズの光
学特性を最適設計していない情報記録媒体からの反射光
における球面収差の影響が小さい中央部分のみを受光
し,他方の受光中心領域は対物レンズの光学特性を最適
設計した情報記録媒体からの反射光を全て受光するよう
にしたので,対物レンズの光学特性が一方の情報記録媒
体に対して最適設計された場合であっても,他方の情報
記録媒体からの反射光を受光する際には,球面収差の影
響が大きい周辺部以外の反射光のみを中央光受光領域で
受光することができ,基板厚の異なる情報記録媒体に対
しても互換性が保てると共に再生信号等の品質が向上す
るようになる。
【0113】また,受光中心領域をグレーティング方向
に分割したことにより,例えば温度変化によりレーザ発
生手段から出射されるレーザー光の波長が変動して回折
角が変化しても,受光領域から外れないようにでき,信
頼性が向上する。
【0114】請求項7にかかる発明によれば,中央光受
光領域の周囲に,受光周囲領域を2重に形成し,かつ,
中央光受光領域及び2つの周囲光受光領域を2分割し
て,対物レンズの光学特性が最適設計された情報記録媒
体からの反射光における回折光から再生信号を検出する
ときは,2つの周囲光受光領域と中央光受光領域とから
の光電変換信号から検出し,また対物レンズの光学特性
が最適設計されていない情報記録媒体からの反射光にお
ける回折光から再生信号を検出するときは,中央光受光
領域からの光電変換信号により検出するようにしたの
で,対物レンズの光学特性が一方の情報記録媒体に対し
て最適設計された場合であっても,他方の情報記録媒体
からの反射光を受光する際には,球面収差の影響が大き
い周囲部以外の反射光のみを中央光受光領域で受光する
ことができ,基板厚の異なる情報記録媒体に対しても互
換性が保てると共に再生信号等の品質が向上するように
なる。
【0115】請求項8にかかる発明によれば,レーザ発
生手段と受光手段とを1つの缶に収納したので,装置の
コンパクト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の説明に適用される光ピッ
クアップ装置における光学系の概略構成図である。
【図2】回折手段及び受光手段の構成を示す図である。
【図3】受光手段の他の構成を示す図である。
【図4】受光手段の他の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態の説明に適用される光ピッ
クアップ装置における光学系の他の例の概略構成図であ
る。
【図6】2つの半導体レーザ素子が収納されたレーザ発
生手段の構成を示す断面図である。
【図7】受光手段の他の構成を示す図である。
【図8】受光手段の他の構成を示す図である。
【図9】受光手段の他の構成を示す図である。
【図10】対物レンズの光軸ずれを防止する構成を示す
図である。
【図11】透明基板厚の相違による集光特性を説明する
図である。
【図12】反射光の周辺部を遮光することによる効果を
説明するための図である。
【符号の説明】
1 レーザ発生手段 2 コリメートレンズ 3 ビームスプリッタ 5 対物レンズ 6 レーザユニット 11 ホログラム 20,23,26,29,30,33,36,40,4
3,46,49 受光手段

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板の基板厚が異なる情報記録媒体
    にレーザ光を射出するレーザ発生手段と,少なくとも一
    方の前記情報記録媒体に対して光学特性が最適設計され
    て,入射したレーザ光を集光する対物レンズと,前記情
    報記録媒体からの反射光を受光して再生信号及びサーボ
    信号を出力する受光手段とを有する光ピックアップ装置
    において,前記受光手段が,前記対物レンズの光学特性
    を最適設計していない前記情報記録媒体からの反射光に
    おける球面収差の影響が小さい中央部分を受光する中央
    光受光領域を有することを特徴とする光ピックアップ装
    置。
  2. 【請求項2】 グレーティングが一様に形成されて,入
    射した反射光を±n次(n=0,1,…)の回折光とし
    てそれぞれ異なる角度で回折する回折手段を有し,前記
    受光手段が,前記回折手段による+次数の回折光を受光
    する正次数受光部と,−次数の回折光を受光する負次数
    受光部とを有すると共に,前記回折手段に形成されたグ
    レーティング方向と直交する方向に配設され,かつ,前
    記正又は負次数受光部の一方に前記中央光受光領域が形
    成されてなることを特徴とする請求項1記載の光ピック
    アップ装置。
  3. 【請求項3】 前記正及び負次数受光部のそれぞの略中
    心部に受光中心領域が形成され,その内の1つが前記中
    央光受光領域をなし,かつ,前記2つの受光中心領域の
    少なくとも1つが2分割されてなることを特徴とする請
    求項2記載の光ピックアップ装置。
  4. 【請求項4】 前記正及び負次数受光部のそれぞの略中
    心部に受光中心領域が形成され,その内の1つが前記中
    央光受光領域をなし,かつ,前記2つの受光中心領域が
    の少なくとも1つが2分割され,その内の1つが当該2
    分割した方向と直角方向に更に2分割されてなることを
    特徴とする請求項2記載の光ピックアップ装置。
  5. 【請求項5】 前記中央光受光領域の周囲に受光周囲領
    域が形成されて,前記対物レンズの光学特性を最適設計
    した前記情報記録媒体からの反射光における回折光から
    再生信号を検出するときは,前記中央光受光領域と前記
    受光周囲領域とからの光電変換信号により検出し,また
    前記対物レンズの光学特性を最適設計していない前記情
    報記録媒体からの反射光における回折光から再生信号を
    検出するときは,前記中央光受光領域からの光電変換信
    号のみにより検出することを特徴とする請求項2乃至4
    いずれか1項記載の光ピックアップ装置。
  6. 【請求項6】 前記正及び負次数受光部のそれぞれの略
    中心部に受光中心領域が形成され,その内の1つが前記
    中央光受光領域をなして,これら2つの受光中心領域が
    グレーティング方向に分割されてなることを特徴とする
    請求項2記載の光ピックアップ装置。
  7. 【請求項7】 前記中央光受光領域の周囲に,2重に受
    光周囲領域が形成され,かつ,前記中央光受光領域及び
    2つの前記周囲光受光領域が2分割されてなることを特
    徴とする請求項1記載の光ピックアップ装置。
  8. 【請求項8】 前記レーザ発生手段と前記受光手段と
    が,ユニット化されてなることを特徴とする請求項1乃
    至7いずれか1項記載の光ピックアップ装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7447139B2 (en) 2004-04-15 2008-11-04 Tdk Corporation Light-receiving element, optical head, optical recording/reproducing apparatus, and method of optical recording and reproduction

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