JPH10260146A - 光電子分光装置 - Google Patents

光電子分光装置

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JPH10260146A
JPH10260146A JP9068271A JP6827197A JPH10260146A JP H10260146 A JPH10260146 A JP H10260146A JP 9068271 A JP9068271 A JP 9068271A JP 6827197 A JP6827197 A JP 6827197A JP H10260146 A JPH10260146 A JP H10260146A
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敏尚 富江
Hideaki Shimizu
秀明 清水
Hiroyuki Kondo
洋行 近藤
Noriaki Kamitaka
典明 神高
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 1.X線源の小型化・高輝度化、2.使用す
るX線光学素子の作製容易化、3.高エネルギー分解能
化・高空間分解能化、4.測定時間の短縮化、5装置全
体の小型化、ができる光電子分光装置を提供する。 【解決手段】 試料111 にX線を照射したときに試料表
面から放出される光電子112 のエネルギーを分析するこ
とにより、該試料を構成する原子もしくは分子の種類ま
たは化学的結合状態を同定する光電子分光装置におい
て、前記試料111 に照射するX線は、パルスレーザー光
103 を標的物質106 に集光照射してプラズマ107 を形成
させ、該プラズマ107 からX線108 を取り出すレーザー
プラズマX線源から出射されたX線108 がフィルター11
5 により単色化または略単色化されたものであり、前記
標的物質は、炭素(C)または炭素含有物であり、かつ
前記フィルターの材料は、窒素(N)、窒素含有物、カ
ルシウム(Ca)、カルシウム含有物、等であることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光電子分光装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の光電子分光装置では、試料に照射
するX線として、固体標的物質に電子ビームを衝突させ
たときに該標的物質から発生する特性X線を用いていた
(電子ビーム励起のX線管の使用)。
【0003】例えば、標的物質としてアルミニウムやマ
グネシウムを用い、それらのKα特性X線である、波長
0.83nm(光子エネルギー1487eV)や波長0.99nm(光子エ
ネルギー1254eV)のX線が用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き従来の技術
においては、X線の波長が短い(光子エネルギーが大き
い)ため、これらのX線を効率よく反射し、しかも微小
領域に集光できるミラーを製作することが困難であると
いう問題点があった。
【0005】また、前述の電子ビーム励起のX線管の輝
度は小さいため、微小なX線照射領域から放出される光
電子数が少なく、光電子スペクトルを得るのに長時間を
要するという問題点があった。
【0006】この様な事情により、電子ビーム励起X線
管を使用した光電子分光装置では、微小領域分析の実現
が困難であった。
【0007】そこで、微小領域を分析するために、輝度
の高いアンジュレータ光(放射光)を用いた実験がなさ
れているが、この様な放射光の施設は巨大、高価格であ
り、一般の分析技術者が容易に利用することができない
ので、一般的な分析装置にはなっていないという問題点
があった。
【0008】本発明はこの様な従来技術の問題点に鑑み
てなされたものであり、1.X線源の小型化・高輝度
化、2.使用するX線光学素子の作製容易化、3.高エ
ネルギー分解能化・高空間分解能化、4.測定時間の短
縮化、5.装置全体の小型化、を実現することができる
光電子分光装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明は第一
に「試料にX線を照射したときに試料表面から放出され
る光電子のエネルギーを分析することにより、該試料を
構成する原子もしくは分子の種類または化学的結合状態
を同定する光電子分光装置において、前記試料に照射す
るX線は、パルスレーザー光を標的物質に集光照射して
プラズマを形成させ、該プラズマからX線を取り出すレ
ーザープラズマX線源から出射されたX線がフィルター
により単色化または略単色化されたものであり、前記標
的物質は、炭素(C)または炭素含有物であり、かつ前
記フィルターの材料は、窒素(N)、窒素含有物、カル
シウム(Ca)、カルシウム含有物、ロジウム(R
h)、ロジウム含有物、パラジウム(Pd)、パラジウ
ム含有物、銀(Ag)、銀含有物、チタン(Ti)、チ
タン(Ti)含有物、スカンジウム(Sc)またはスカ
ンジウム(Sc)含有物であることを特徴とする光電子
分光装置(請求項1)」を提供する。
【0010】また、本発明は第二に「試料にX線を照射
したときに試料表面から放出される光電子のエネルギー
を分析することにより、該試料を構成する原子もしくは
分子の種類または化学的結合状態を同定する光電子分光
装置において、前記試料に照射するX線は、パルスレー
ザー光を標的物質に集光照射してプラズマを形成させ、
該プラズマからX線を取り出すレーザープラズマX線源
から出射されたX線がフィルターにより単色化または略
単色化されたものであり、前記標的物質は、窒素(N)
または窒素含有物であり、かつ前記フィルターの材料
は、チタン(Ti)、チタン含有物、バナジウム
(V)、バナジウム含有物、インジウム(In)、イン
ジウム含有物、錫(Sn)または錫含有物であることを
特徴とする光電子分光装置(請求項2)」を提供する。
【0011】また、本発明は第三に「試料にX線を照射
したときに試料表面から放出される光電子のエネルギー
を分析することにより、該試料を構成する原子もしくは
分子の種類または化学的結合状態を同定する光電子分光
装置において、前記試料に照射するX線は、パルスレー
ザー光を標的物質に集光照射してプラズマを形成させ、
該プラズマからX線を取り出すレーザープラズマX線源
から出射されたX線がフィルターにより単色化または略
単色化されたものであり、前記標的物質は、酸素(O)
または酸素含有物であり、かつ前記フィルターの材料
は、クロム(Cr)、クロム含有物、マグネシウム(M
g)、マグネシウム含有物、フッ素(F)、フッ素含有
物、鉄(Fe)、鉄含有物、またはキセノン(Xe)で
あることを特徴とする光電子分光装置(請求項3)」を
提供する。
【0012】また、本発明は第四に「試料にX線を照射
したときに試料表面から放出される光電子のエネルギー
を分析することにより、該試料を構成する原子もしくは
分子の種類または化学的結合状態を同定する光電子分光
装置において、前記試料に照射するX線は、パルスレー
ザー光を標的物質に集光照射してプラズマを形成させ、
該プラズマからX線を取り出すレーザープラズマX線源
から出射されたX線がフィルターにより単色化または略
単色化されたものであり、前記標的物質は、フッ素
(F)またはフッ素含有物であり、かつ前記フィルター
の材料は、コバルト(Co)、コバルト含有物、ニッケ
ル(Ni)、ニッケル含有物、バリウム(Ba)、バリ
ウム含有物またはネオン(Ne)であることを特徴とす
る光電子分光装置(請求項4)」を提供する。
【0013】また、本発明は第五に「試料にX線を照射
したときに試料表面から放出される光電子のエネルギー
を分析することにより、該試料を構成する原子もしくは
分子の種類または化学的結合状態を同定する光電子分光
装置において、前記試料に照射するX線は、パルスレー
ザー光を標的物質に集光照射してプラズマを形成させ、
該プラズマからX線を取り出すレーザープラズマX線源
から出射されたX線がフィルターにより単色化または略
単色化されたものであり、請求項1〜4記載の標的物質
及び/またはフィルター材料が任意に交換可能であるこ
とを特徴とする光電子分光装置(請求項5)」を提供す
る。
【0014】また、本発明は第六に「前記フィルター
は、支持フィルム上に前記フィルター材料の薄膜が形成
されたものであることを特徴とする請求項1〜5記載の
光電子分光装置(請求項6)」を提供する。
【0015】また、本発明は第七に「前記X線源と前記
試料との間に、該X線源から放出されたX線を前記フィ
ルターを通過させた後に試料上の微小領域に集光する光
学素子を、或いは前記フィルターを通過したX線を試料
上の微小領域に集光する光学素子を一または二以上配置
し、かつ前記微小領域に集光されたX線マイクロビーム
または前記試料を走査する機構を設けたことを特徴とす
る請求項1〜6記載の光電子分光装置(請求項7)」を
提供する。
【0016】また、本発明は第八に「前記光電子のエネ
ルギー分析を行うための分析機構として、飛行時間法に
かかる分析機構を設けたことを特徴とする請求項1〜7
記載の光電子分光装置(請求項8)」を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明(請求項1〜8)の光電子
分光装置では、試料に照射するX線の発生源を、パルス
レーザー光を標的物質に集光照射してプラズマを形成さ
せ、該プラズマからX線を取り出すレーザープラズマX
線源(LPX)とした。
【0018】LPXは小型でありながら輝度の高いX線
源であり、シンクロトロン放射光と同程度以上の輝度を
有し、また電子ビーム励起のX線管と比較すると、ピー
ク値で108倍程度高い輝度を有する。そして、平均輝
度においても、高繰り返しレーザー光を用いることによ
り、前記X線管よりも102〜103倍程度高い値にする
ことができる(X線源の小型化・高輝度化、装置の小型
化)。
【0019】そのため、LPXを光電子分光装置のX線
源として用いると、高輝度のX線を試料に照射すること
が可能となり、X線を試料の微小領域に照射して分析を
行う場合にも照射領域(試料)へのX線量を多くするこ
とができるので、照射領域(試料)から放出される光電
子数も多くなり、その結果、本発明(請求項1〜8)の
光電子分光装置は、測定時間を短縮することができる
(測定時間の短縮化)。
【0020】さらに、本発明(請求項1〜8)の光電子
分光装置では、LPXの標的物質として軽元素である炭
素、炭素含有物、窒素、窒素含有物、酸素、酸素含有
物、フッ素またはフッ素含有物を用いることとした。
【0021】このような軽元素をLPXの標的材料とし
て用いると、プラズマから放出されるX線のスペクトル
はいくつかの離散的な線スペクトルとなり、その線幅δ
λはλ/δλ>1000を満たす程度になる。
【0022】例えば、LPXの標的材料(標的物質)と
して炭素または炭素含有物を用いた場合には、C4+イオ
ンの1s2-1s2p遷移による波長4.03nmのX線とC5+イオン
の1s-2p 遷移による波長3.37nmのX線を、窒素を用いた
場合にはN5+イオンの1s2-1s2p遷移による波長2.88nmの
X線とN6+イオンの1s-2p 遷移による波長2.48nmのX線
を、酸素の場合にはO6+イオンの1s2-1s2p遷移による波
長2.16nmのX線とO7+イオンの1s-2p 遷移による波長1.
90nmのX線を、フッ素の場合にはF7+イオンの1s2-1s2p
遷移による波長1.68nmのX線とF8+イオンの1s-2p 遷移
による波長1.50nmのX線がそれぞれ強く輻射される。
【0023】これらのX線は離散的な線スペクトルであ
るため、物質の吸収端を利用することにより、容易に線
スペクトル群の中から1本の線スペクトルを選択するこ
とができる。しかも、その線幅はλ/δλ>1000程
度にまで達するため、分光器を用いなくとも、従来のX
PS装置のエネルギー分解能よりも高い分解能でスペク
トルを得ることができる。
【0024】例えば、カルシウム(Ca)、カルシウム
含有物(例えば弗化カルシウム(CaF2)など)、ロ
ジウム(Rh)、ロジウム含有物、パラジウム(P
d)、パラジウム含有物、銀(Ag)または銀含有物を
フィルター材料として用いると、LPXの標的材料とし
て炭素または炭素含有物を用いたときに輻射される線ス
ペクトル群の中からC4+イオンの1s2-1s2p遷移による波
長4.03nmの単色X線を取り出すことができる(請求項
1)。
【0025】ここで、カルシウムは波長3.55nmにL殻に
よる吸収端を持っているので、カルシウムまたはカルシ
ウム含有物をフィルター材料として用いれば、前記吸収
端よりも短波長の1s2-1s3p遷移(C4+イオン、λ=3.50
nm)、1s-2p 遷移(C5+イオン、λ=3.37nm)、1s-3p
遷移(C5+イオン、λ=2.85nm)などによるX線を著し
く減衰させることができるので、C4+イオンの1s2-1s2p
遷移による波長4.03nmのX線のみを取り出すことができ
る。
【0026】同様に、ロジウム(Rh)、パラジウム
(Pd)、銀(Ag)は波長4nm 近傍にM殻による吸収
端を持っているので、これらの物質やこれらの物質の含
有物をフィルター材料として用いれば、C4+イオンの1s
2-1s2p遷移による波長4.03nmのX線のみを取り出すこと
ができる。
【0027】また、窒素(N)、窒素含有物、スカンジ
ウム(Sc)、スカンジウム含有物、チタン(Ti)ま
たはチタン含有物をフィルター材料として用いると、L
PXの標的材料として炭素または炭素含有物を用いたと
きに輻射される線スペクトル群の中からC5+イオンの1s
-2p 遷移による波長3.37nmの単色X線を取り出すことが
できる(請求項1)。
【0028】ここで、窒素は波長3.10nmにK殻による吸
収端を持っているので、窒素または窒素含有物をフィル
ター材料として用いれば、前記吸収端よりも短波長の、
1s-3p遷移(C5+イオン,λ=2.85nm)などによるX線
を著しく減衰させることができる。
【0029】また、前記吸収端よりも長波長域のX線に
対しては、長波長になるにしたがって次第に透過率が低
下するので、C4+イオンの1s2 -1s2p 遷移による波長4.
03nmのX線も十分に減衰し、ほぼC5+イオンの1s-2p 遷
移による波長3.37nmのX線のみを取り出すことができ
る。
【0030】なお、窒素は常温で気体であるため、これ
をフィルター材料として用いるときは、LPXと試料ま
での間を窒素ガスにより充填すればよい。
【0031】同様に、スカンジウム(Sc)、チタン
(Ti)の場合も、波長3.09nm、2.74nmにL殻による吸
収端をそれぞれ持っているので、これらの物質またはこ
れらの物質の含有物をフィルター材料として用いれば、
5+イオンの1s-2p 遷移による波長3.37nmのX線のみを
取り出すことができる(請求項1)。
【0032】また、チタン(Ti)またはチタン含有物
をフィルター材料として用いると、LPXの標的材料と
して窒素または窒素含有物を用いたときに輻射される線
スペクトル群の中からN5+イオンの1s2-1s2p遷移による
波長2.88nmの単色X線を取り出すことができる(請求項
2)。
【0033】先に述べたように、チタンは波長2.74nmに
L殻による吸収端を持っているので、チタンまたはチタ
ン含有物をフィルター材料として用いれば、N5+イオン
の1s2-1s2p遷移による波長2.88nmのX線のみを取り出す
ことができる。
【0034】同様に、インジウム(In)と錫(Sn)
も波長2.80nm、2.43nmにM殻による吸収端をそれぞれ持
っているので、これらの物質またはこれらの物質の含有
物をフィルター材料として用いれば、N5+イオンの1s2-
1s2p遷移による波長2.88nmのX線を取り出すことができ
る(請求項2)。
【0035】また、バナジウム(V)またはバナジウム
含有物をフィルター材料として用いると、LPXの標的
材料として窒素または窒素含有物を用いたときに輻射さ
れる線スペクトル群の中からN6+イオンの1s-2p 遷移に
よる波長2.48nmの単色X線を取り出すことができる(請
求項2)。
【0036】ここで、バナジウムは波長2.43nmにL殻に
よる吸収端を持っているので、バナジウムまたはバナジ
ウム含有物をフィルター材料として用いれば、N6+イオ
ンの1s-3p 遷移による波長2.09nmのX線を著しく減衰さ
せ、1s-2p 遷移による波長2.48nmのX線よりも長波長で
ある1s2-1s2p遷移による波長2.88nmのX線も十分に減衰
させることができるので、ほぼN6+イオンの1s-2p 遷移
による波長2.48nmのX線のみを取り出すことができる。
【0037】また、クロミウム(Cr)、クロミウム含
有物、マグネシウム(Mg)またはマグネシウム含有物
をフィルター材料として用いると、LPXの標的材料と
して酸素または酸素含有物を用いたときに輻射される線
スペクトル群の中からO6+イオンの1s2-1s2p遷移による
波長2.16nmの単色X線を取り出すことができる(請求項
3)。
【0038】ここで、クロミウムとマグネシウムは、波
長2.07nm、1.94nmにL殻による吸収端をそれぞれ持って
いるので、これよりも短波長のO6+イオンの1s2-1s3p遷
移による波長1.86nmのX線と、O7+イオンの1s-2p 遷移
による波長1.90nmのX線を著しく減衰させることができ
るので、O6+イオンの1s2-1s2p遷移による波長2.16nmの
X線のみを取り出すことができる。
【0039】また、フッ素(F)、フッ素含有物(例え
ばCF4 など)、鉄(Fe)、鉄含有物、またはキセノ
ン(Xe)をフィルター材料として用いると、LPXの
標的材料として酸素または酸素含有物を用いたときに輻
射される線スペクトル群の中からO7+イオンの1s-2p 遷
移による波長1.90nmの単色X線を取り出すことができる
(請求項3)。
【0040】ここで、フッ素は波長1.80nmに、鉄は波長
1.75nmに、キセノンは波長1.85nmにそれぞれ吸収端を持
っているので、これらの物質またはこれらの物質の含有
物をフィルター材料として用いると、概ねO7+イオンの
1s-2p 遷移による波長1.90nmのX線のみを取り出すこと
ができる。
【0041】また、コバルト(Co)、コバルト含有
物、バリウム(Ba)またはバリウム含有物をフィルタ
ー材料として用いると、LPXの標的材料としてフッ素
またはフッ素含有物を用いたときに輻射される線スペク
トル群の中からF7+イオンの1s2-1s2p 遷移による波長
1.68nmの単色X線を取り出すことができる(請求項
4)。
【0042】ここで、コバルト、バリウムは波長1.59nm
にL殻、M殻による吸収端をそれぞれ持っているので、
これよりも短波長のF7+イオンの1s2-1s3p遷移による波
長1.45nmのX線と、F8+イオンの1s-2p 遷移による波長
1.50nmのX線を著しく減衰させることができるので、F
7+イオンの1s2-1s2p遷移による波長1.68nmのX線のみを
取り出すことができる。
【0043】また、ネオン(Ne)、ニッケル(Ni)
またはニッケル含有物をフィルター材料として用いる
と、LPXの標的材料としてフッ素またはフッ素含有物
を用いたときに輻射される線スペクトル群の中からF8+
イオンの1s-2p 遷移による波長1.50nmの単色X線を取り
出すことができる(請求項4)。
【0044】ここで、ネオンは波長1.43nmに、ニッケル
は波長1.45nmにそれぞれ吸収端を持っているので、これ
らの物質またはこれらの物質の含有物をフィルター材料
として用いると、概ねF8+イオンの1s-2p 遷移による波
長1.50nmのX線のみを取り出すことができる。
【0045】この様に、前記線スペクトル群の中の一つ
の線スペクトル(X線)を選択して、試料に照射するこ
とにより、本発明(請求項1〜8)の光電子分光装置
は、光電子のエネルギー分解能を従来の光電子分光装置
よりも高く(例えば、0.5eV 以下)することができる
(高エネルギー分解能化)。
【0046】また、本発明の光電子分光装置は分光器を
使用しないので、分光器使用に伴うX線光量の減少がな
く、その結果、試料上に照射するX線量を増大させて分
光器を使用する場合よりも測定時間を短縮することがで
きる(測定時間の短縮化)。
【0047】また、この線スペクトル(X線)を用いる
と、波長が軟X線領域にあり前述のX線管から発生する
X線に比べると長波長であるため、これに対応する高反
射率、低収差のX線光学素子の作製が容易となる(X線
光学素子の作製容易化)。
【0048】そのため、本発明(請求項1〜8)の光電
子分光装置では、高反射率、低収差のX線光学素子が使
用可能となり、照射X線を試料の微小(例えば10μm
以下の)領域に高精度にて集光することができる(高空
間分解能化)。
【0049】このように、本発明(請求項1〜8)の光
電子分光装置によれば、1.X線源の小型化・高輝度
化、2.使用するX線光学素子の作製容易化、3.高エ
ネルギー分解能化・高空間分解能化、4.測定時間の短
縮化、5.装置全体の小型化、を実現することができ
る。
【0050】本発明にかかる光電子分光装置は、前記標
的物質及び/または前記フィルター材料が任意に交換可
能であることが好ましい(請求項5)。
【0051】かかる構成にすると、幾つかの波長のX線
を選択して試料上に照射することが可能となり、複数の
波長を用いて電子スペクトルを得ることができる。
【0052】そのため、電子スペクトル上における光電
子とオージェ電子とによるピークの干渉を解決すること
ができる。
【0053】また、光電子の試料表面からの脱出深さが
光電子の運動エネルギーに依存することから、深さ方向
の分析も可能になる。
【0054】また、X線を照射したときに内殻電子を励
起させることができる照射対象物質は、照射するX線の
波長により異なるので、照射X線の波長として複数の値
を採用すると、X線の各波長に対応して異なる注目物質
をそれぞれ観察することができる。
【0055】例えば、LPXの標的材料として硼素
(B、ボロン)の化合物(例えばBNなど)を用い、硼
素イオンの1s-2p 遷移により放出されるX線(波長4.86
nm、255eV)を用いると、炭素、酸素、窒素などの有
機物中に含まれる元素の内殻電子を放出させることはで
きないが(炭素1sの結合エネルギー:〜284.2 eV、
酸素1sの結合エネルギー:〜543.1 eV、窒素1sの
結合エネルギー:〜409.9eV)、アルミニウムやシリ
コンなどの内殻電子は放出させることができる。
【0056】従って、この波長のX線を用いれば、有機
物質中にあるアルミニウムの光電子スペクトル(2pの
結合エネルギー:〜72.5eV)を、バックグランドの炭
素、酸素、窒素からの電子スペクトルにじゃまされずに
観測することができるので、スペクトルの解析が容易に
なる。
【0057】また、LPXの標的材料として炭素または
炭素含有物を用い、炭素のC4+イオンの1s2-1s2p遷移に
よるX線(波長4.03nm、308.5 eV)、またはC5+イオ
ンの1s-2p 遷移によるX線(波長3.37nm、368.3 eV)
を用いれば、有機物質中の炭素の内殻電子は励起できる
が、酸素や窒素の内殻電子は放出させることはできない
ので、有機物質中の炭素のみを検出することができる。
【0058】また、LPXの標的材料として窒素または
窒素の化合物を用い、窒素のN5+イオンの1s2-1s2p遷移
によるX線(波長2.88nm、431.6 eV)、またはN6+
オンの1s-2p 遷移によるX線(波長2.48nm、501.4 e
V)を用いれば、有機物質中の炭素と窒素の内殻電子は
励起できるが、酸素の内殻電子は放出させることはでき
ないので、有機物質中の炭素及び窒素を観察することが
できる。
【0059】本発明にかかるフィルターとしては、支持
フィルム(自立膜)上に前記フィルター材料の薄膜が形
成されたものであってもよい(請求項6)。
【0060】即ち、本発明にかかるフィルターとして
は、例えばフィルター材料による自立膜やフィルター材
料のガスが使用できるが、フィルター材料により自立膜
を構成することが難しい場合には、X線に対して透過率
の高い他の自立膜(例えば、0.1 μm厚の窒化シリコン
膜や1μm厚のベリリウム(Be)薄膜)上にフィルタ
ー材料の薄膜を、蒸着法やスパッタ法等により形成して
も良い。
【0061】本発明の光電子分光装置においては、X線
源と試料との間に、該X線源から放出されたX線を前記
フィルターを通過させた後に試料上の微小領域に集光す
る光学素子を、或いは前記フィルターを通過したX線を
試料上の微小領域に集光する光学素子を一または二以上
配置し、かつ前記微小領域に集光されたX線マイクロビ
ームまたは前記試料を走査する機構を設けることが好ま
しい(請求項7)。
【0062】かかる構成にすると、単色化(または略単
色化)したX線を試料上の微小領域に集光し、試料また
はX線マイクロビームを走査することにより、微小領域
観察にかかる2次元マップを得ることができる。
【0063】本発明の光電子分光装置では、光電子のエ
ネルギー分析を行うための分析機構として、飛行時間法
にかかる分析機構を設けることが好ましい(請求項
8)。
【0064】即ち、本発明の光電子分光装置では、X線
源にパルスX線源であるLPXを用いているので、飛行
時間法にかかる分析機構を設けて、光電子取り込み立体
角を大きく取ることができる飛行時間法により光電子分
析を行うことが好ましい。
【0065】かかる構成にすると、試料の微小領域から
放出された光電子を効率的に検出することができ、計測
時間をさらに短縮することができる。
【0066】また、パルスX線源であるLPXと飛行時
間法を組み合わせると、瞬間的な状態の光電子スペクト
ルを得ることができるので、過渡的な化学状態の分析が
可能となる。
【0067】以下、本発明を実施例により更に具体的に
説明するが、本発明はこの例に限定されるものではな
い。
【0068】
【実施例】図1は本実施例の光電子分光装置の概略構成
図である。
【0069】パルスレーザー器100から発せられたレ
ーザー光103が真空容器101内に配置されたテープ
状の標的部材106上の標的物質に、レンズ104によ
り集光照射されると、標的物質がプラズマ化してX線が
輻射される。
【0070】真空容器101内は予め、発生したX線が
十分透過する圧力まで排気装置(不図示)により排気さ
れている。
【0071】テープ状の標的部材106は、テープ状の
基板a上に2種類の標的物質の薄膜層b,cが帯状に形
成されたものである。なお、標的部材106を正面から
見た様子が図1の中に示されており、テープ状の基板も
標的物質である。
【0072】テープ状の基板aとしては、ポリエチレン
(炭素含有物及び酸素含有物の一例)を用いており、そ
の上に窒化ボロン(BN、窒素含有物の一例)の薄膜層
bとテフロン(フッ素含有物の一例)の薄膜層cがそれ
ぞれ帯状に成膜されている。
【0073】テープ状の標的部材106はリール117
に巻き取られ、B方向に移動可能である。また、標的部
材106上の任意の標的物質にレーザー光を照射できる
ように、標的部材106及びリール117は一体で紙面
垂直方向に移動可能である。
【0074】プラズマ107から放出されたX線108
は、X線透過フィルター115を透過した後、ウォルタ
ーミラー(X線集光素子の一例)110により試料11
1上の微小領域に集光される。
【0075】なお、複数(材料)のX線透過フィルター
がフィルター保持具109上に取り付けられている。
【0076】フィルターとしては、0.5 μm厚のスカン
ジウム(Sc)、0.5 μm厚のバナジウム(V)、0.5
μm厚のクロミウム(Cr)、0.5 μm厚のニッケル
(Ni)及び1.3 μm厚の炭素(C)の自立薄膜がそれ
ぞれ取り付けられている。また、これらのフィルターは
直線導入機116により真空容器外部から交換可能であ
る。
【0077】測定に際しては例えば、レーザー光が標的
物質の一つであるテープ状の基板a(ポリエチレン、図
1内挿入図のa部分)に照射されるように、標的部材1
06及びリール117が一体で紙面垂直方向に移動し、
またプラズマからのX線がスカンジウム薄膜のフィルタ
ーを通過するように、直線導入機116によりフィルタ
ーのA方向の位置が調節される。
【0078】テープ状標的部材106の基板aの材料
は、ポリエチレン(炭素含有物の一例)であるため、そ
のプラズマからは炭素イオンに起因するいくつかの離散
的な線スペクトルが輻射されるが、スカンジウム薄膜の
フィルターにより、ほぼC5+イオンの1s-2p 遷移による
波長3.37nmのX線のみを取り出すことができる。
【0079】また、レーザー光が基板a上の帯状に形成
された窒化ボロン(BN、窒素含有物の一例)の薄膜層
b(標的物質層、図1内挿入図のb部分)に照射される
ように、標的部材106及びリール117が一体で紙面
垂直方向に移動し、またプラズマからのX線がチタン薄
膜のフィルターを通過するように、直線導入機116に
よりフィルターの位置が調節される。
【0080】BNプラズマからは窒素イオンに起因する
いくつかの離散的な線スペクトルが輻射されるが、チタ
ン薄膜のフィルターにより、N5+イオンの1s2-1s2p遷移
による波長2.88nmのX線のみを取り出すことができる。
【0081】また、レーザー光が基板a上の帯状に形成
されたテフロン(登録商標)(フッ素含有物の一例)の
薄膜層c(標的物質層、図1内挿入図のc部分)に照射
されるように、標的部材106及びリール117が一体
で紙面垂直方向に移動し、またプラズマからのX線がニ
ッケル薄膜のフィルターを通過するように、直線導入機
116によりフィルターの位置が調節される。
【0082】テフロンはフッ素を含んでいるので、その
プラズマからはフッ素イオンに起因するいくつかの離散
的な線スペクトルが輻射されるが、ニッケル薄膜のフィ
ルターにより、F8+イオンの1s-2p 遷移による波長1.50
nmのX線のみを取り出すことができる。
【0083】また、レーザー光が標的物質の一つである
テープ状基板a(ポリエチレン、酸素含有物の一例)に
照射されるように、標的部材106及びリール117が
一体で紙面垂直方向に移動し、またプラズマからのX線
がクロミウム薄膜のフィルターを通過するように、直線
導入機116によりフィルターの位置が調節される。
【0084】ポリエチレンは酸素を含んでいるので、そ
のプラズマからは酸素イオンに起因するいくつかの離散
的な線スペクトルが輻射されるが、クロミウム薄膜のフ
ィルターにより、O6+イオンの1s2-1s2p遷移による波長
2.16nmのX線のみを取り出すことができる。
【0085】また、レーザー光が基板a上の帯状に形成
された窒化ボロン(BN、硼素含有物の一例)の薄膜層
bに照射されるように、標的部材106及びリール11
7が一体で紙面垂直方向に移動し、またプラズマからの
X線が炭素薄膜のフィルターを通過するように、直線導
入機116によりフィルターの位置が調節される。
【0086】BNは硼素(ボロン)を含んでいるので、
そのプラズマからは硼素イオンに起因するいくつかの離
散的な線スペクトルが輻射される。
【0087】フィルターとして用いられている炭素薄膜
は、炭素のK吸収端(波長4.4nm )よりも僅かに長波長
の硼素イオンの1s-2p 遷移により放出されるX線(波長
4.8nm )に対しては透過率が高く、それよりも長波長域
のX線や炭素のK吸収端よりも短波長域のX線に対して
は透過率が低いので、炭素薄膜フィルターを透過した後
のX線は、硼素イオンの1s-2p 遷移により放出されるX
線(波長4.86nm)にほぼ単色化される。
【0088】以上の様にフィルターにより単色化された
X線は、ウォルターミラー110により試料111上に
照射され、試料表面からは光電子112が放出される。
放出された光電子のエネルギーは飛行時間法により分析
される。
【0089】試料表面から放出された光電子112は、
内部を磁気遮蔽材113で覆われた飛行管を通過した
後、光電子検出器であるマイクロチャンネル・プレート
(MCP)114により検出される。
【0090】そして、その出力信号は高速デジタルオシ
ロスコープ(不図示)によりデジタル信号として取り込
まれ、MCPへの到達時間の検出値から演算器(不図
示)により光電子の運動エネルギーが求められる。
【0091】なお、一つの標的物質が複数の元素を含有
している場合(例えば、ポリエチレン(炭素と酸素を含
有)や窒化ボロン(窒素と硼素を含有))には、標的物
質を交換せずにフィルターだけを交換することにより、
取り出すX線の波長を変えてもよい。
【0092】また、本実施例で使用しているX線集光素
子は、X線の全反射を利用したウォルター型のミラーで
あり、X線の波長が変化しても反射率はあまり変わらな
いので、取り出すX線の波長を変える場合でも、X線光
学素子を交換することなく使用することができる。
【0093】同様に、全反射を用いた斜入射ミラー(例
えば、カークパトリック型など)を用いてもよい。
【0094】もし、多層膜ミラーを用いた光学素子(例
えば、シュバルツシルドミラーや楕円ミラーなど)を用
いる場合には、フィルターにより選択されたX線の波長
毎に集光素子を交換できるようにすればよい。
【0095】また、前述した試料及び飛行管部に、P.Kr
uit とF.H.Readにより報告されている様な発散性の磁場
(P.Kruit and F.H.Read, J. Phys. E, 16, 1983, p31
3)を付加させると、試料から放出された光電子の殆ど
を取り込むことが可能となり、計測時間を大幅に短縮す
ることができる。
【0096】また、飛行管部に光電子の速度を減速させ
る電極を配置することにより、光電子検出器までの到達
時間を長くして、エネルギー分解能を上げることができ
る。
【0097】さらに、この様に光電子検出法として飛行
時間法を用いると、LPXがパルスX線源であるため、
試料の瞬間的な状態の電子スペクトルを得ることができ
る。
【0098】本実施例では、フィルターに固体薄膜を用
いているが、これはガス(例えば、窒素ガス、キセノン
ガスなど)であってもよい。ガスを用いる場合には、ガ
スの種類を変えることにより、選択する(取り出す)X
線の波長を変更すればよい。
【0099】
【発明の効果】以上のように、本発明の光電子分光装置
によれば、1.X線源の小型化・高輝度化、2.使用す
るX線光学素子の作製容易化、3.高エネルギー分解能
化・高空間分解能化、4.測定時間の短縮化、5.装置
全体の小型化、を実現することができる。
【0100】また、本発明の光電子分光装置は、標的物
質及び/またはフィルター材料を任意に交換可能な構成
にすることにより、幾つかの波長のX線を選択して試料
上に照射することが可能となり、複数の波長を用いて電
子スペクトルを得ることができる。
【0101】そのため、電子スペクトル上における光電
子とオージェ電子とによるピークの干渉を解決すること
ができる。また、光電子の試料表面からの脱出深さが光
電子の運動エネルギーに依存することから、深さ方向の
分析も可能になる。
【0102】さらに、X線を照射したときに内殻電子を
励起させることができる照射対象物質は、照射するX線
の波長により異なるので、照射X線の波長として複数の
値を採用すると、X線の各波長に対応して異なる注目物
質をそれぞれ観察することができる。
【0103】また、本発明の光電子分光装置は、X線源
と試料との間に、該X線源から放出されたX線を前記フ
ィルターを通過させた後に試料上の微小領域に集光する
光学素子を、或いは前記フィルターを通過したX線を試
料上の微小領域に集光する光学素子を一または二以上配
置し、かつ前記微小領域に集光されたX線マイクロビー
ムまたは前記試料を走査する機構を設けると、単色化
(または略単色化)したX線を試料上の微小領域に集光
し、試料またはX線マイクロビームを走査することによ
り、微小領域観察にかかる2次元マップを得ることがで
きる。
【0104】また、本発明の光電子分光装置は、光電子
のエネルギー分析を行うための分析機構として、飛行時
間法にかかる分析機構を設けると、試料の微小領域から
放出された光電子を効率的に検出することができ、計測
時間をさらに短縮することができる。
【0105】また、パルスX線源であるLPXと飛行時
間法を組み合わせると、瞬間的な状態の光電子スペクト
ルを得ることができるので、過渡的な化学状態の分析が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例の光電子分光装置の概略構成図であ
る。
【主要部分の符号の説明】
100・・・パルスレーザー器 101、102・・・真空容器 103・・・レーザー光 104・・・レンズ 105・・・窓 106・・・テープ状の標的部材 107・・・プラズマ 108・・・X線 109・・・X線透過フィルター保持具 110・・・ウォルターミラー(X線光学素子の一例) 111・・・試料 112・・・光電子 113・・・磁気遮蔽材 114・・・マイクロチャンネル・プレート(光電子検
出器の一例) 115・・・X線透過フィルター 116・・・直線導入機 117・・・リール A・・・X線透過フィルター保持具(109)の移動方
向 B・・・テープ状標的部材(106)の移動方向 a・・・テープ状基板(ポリエチレン) b・・・窒化硼素の薄膜層 c・・・テフロンの薄膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 秀明 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 工業技 術院電子技術総合研究所内 (72)発明者 近藤 洋行 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 (72)発明者 神高 典明 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料にX線を照射したときに試料表面か
    ら放出される光電子のエネルギーを分析することによ
    り、該試料を構成する原子もしくは分子の種類または化
    学的結合状態を同定する光電子分光装置において、 前記試料に照射するX線は、パルスレーザー光を標的物
    質に集光照射してプラズマを形成させ、該プラズマから
    X線を取り出すレーザープラズマX線源から出射された
    X線がフィルターにより単色化または略単色化されたも
    のであり、 前記標的物質は、炭素(C)または炭素含有物であり、
    かつ前記フィルターの材料は、窒素(N)、窒素含有
    物、カルシウム(Ca)、カルシウム含有物、ロジウム
    (Rh)、ロジウム含有物、パラジウム(Pd)、パラ
    ジウム含有物、銀(Ag)、銀含有物、チタン(T
    i)、チタン(Ti)含有物、スカンジウム(Sc)ま
    たはスカンジウム(Sc)含有物であることを特徴とす
    る光電子分光装置。
  2. 【請求項2】 試料にX線を照射したときに試料表面か
    ら放出される光電子のエネルギーを分析することによ
    り、該試料を構成する原子もしくは分子の種類または化
    学的結合状態を同定する光電子分光装置において、 前記試料に照射するX線は、パルスレーザー光を標的物
    質に集光照射してプラズマを形成させ、該プラズマから
    X線を取り出すレーザープラズマX線源から出射された
    X線がフィルターにより単色化または略単色化されたも
    のであり、 前記標的物質は、窒素(N)または窒素含有物であり、
    かつ前記フィルターの材料は、チタン(Ti)、チタン
    含有物、バナジウム(V)、バナジウム含有物、インジ
    ウム(In)、インジウム含有物、錫(Sn)または錫
    含有物であることを特徴とする光電子分光装置。
  3. 【請求項3】 試料にX線を照射したときに試料表面か
    ら放出される光電子のエネルギーを分析することによ
    り、該試料を構成する原子もしくは分子の種類または化
    学的結合状態を同定する光電子分光装置において、 前記試料に照射するX線は、パルスレーザー光を標的物
    質に集光照射してプラズマを形成させ、該プラズマから
    X線を取り出すレーザープラズマX線源から出射された
    X線がフィルターにより単色化または略単色化されたも
    のであり、 前記標的物質は、酸素(O)または酸素含有物であり、
    かつ前記フィルターの材料は、クロム(Cr)、クロム
    含有物、マグネシウム(Mg)、マグネシウム含有物、
    フッ素(F)、フッ素含有物、鉄(Fe)、鉄含有物、
    またはキセノン(Xe)であることを特徴とする光電子
    分光装置。
  4. 【請求項4】 試料にX線を照射したときに試料表面か
    ら放出される光電子のエネルギーを分析することによ
    り、該試料を構成する原子もしくは分子の種類または化
    学的結合状態を同定する光電子分光装置において、 前記試料に照射するX線は、パルスレーザー光を標的物
    質に集光照射してプラズマを形成させ、該プラズマから
    X線を取り出すレーザープラズマX線源から出射された
    X線がフィルターにより単色化または略単色化されたも
    のであり、 前記標的物質は、フッ素(F)またはフッ素含有物であ
    り、かつ前記フィルターの材料は、コバルト(Co)、
    コバルト含有物、ニッケル(Ni)、ニッケル含有物、
    バリウム(Ba)、バリウム含有物またはネオン(N
    e)であることを特徴とする光電子分光装置。
  5. 【請求項5】 試料にX線を照射したときに試料表面か
    ら放出される光電子のエネルギーを分析することによ
    り、該試料を構成する原子もしくは分子の種類または化
    学的結合状態を同定する光電子分光装置において、 前記試料に照射するX線は、パルスレーザー光を標的物
    質に集光照射してプラズマを形成させ、該プラズマから
    X線を取り出すレーザープラズマX線源から出射された
    X線がフィルターにより単色化または略単色化されたも
    のであり、 請求項1〜4記載の標的物質及び/またはフィルター材
    料が任意に交換可能であることを特徴とする光電子分光
    装置。
  6. 【請求項6】 前記フィルターは、支持フィルム上に前
    記フィルター材料の薄膜が形成されたものであることを
    特徴とする請求項1〜5記載の光電子分光装置。
  7. 【請求項7】 前記X線源と前記試料との間に、該X線
    源から放出されたX線を前記フィルターを通過させた後
    に試料上の微小領域に集光する光学素子を、或いは前記
    フィルターを通過したX線を試料上の微小領域に集光す
    る光学素子を一または二以上配置し、かつ前記微小領域
    に集光されたX線マイクロビームまたは前記試料を走査
    する機構を設けたことを特徴とする請求項1〜6記載の
    光電子分光装置。
  8. 【請求項8】 前記光電子のエネルギー分析を行うため
    の分析機構として、飛行時間法にかかる分析機構を設け
    たことを特徴とする請求項1〜7記載の光電子分光装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006172898A (ja) * 2004-12-15 2006-06-29 National Institute Of Advanced Industrial & Technology レーザープラズマx線発生装置
JP2008071547A (ja) * 2006-09-12 2008-03-27 Central Res Inst Of Electric Power Ind 高エネルギー粒子発生装置及び管状部材非破壊検査装置並びに高エネルギー粒子発生方法

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JP2008071547A (ja) * 2006-09-12 2008-03-27 Central Res Inst Of Electric Power Ind 高エネルギー粒子発生装置及び管状部材非破壊検査装置並びに高エネルギー粒子発生方法

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