JPH10258272A - 浴槽湯水の脱臭除菌ろ過装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【解決手段】 浴槽湯水を流入口２から流入せしめ、吸
着筒３の周りを螺旋回転４させながらろ層１６を移送さ
せる。吸着筒は銅製の網を円柱もしくは円錐状に形成
し、内部に活性炭もしくはゼオライト等による粒状吸材
６を充填させた。ろ層を構成するろ材は、ヨウ素樹脂も
しくは抗菌性のセラミックス系の粒状ろ材である。ろ材
を固定するろ床５は、抗菌性セラミックスもしくは、銅
製の網で構成されている。ろ層内にて微量残存した微生
物により発生する異臭や浴槽湯水の異臭をろ層内まで埋
め込まれた吸着筒の作用により異臭除去をも可能とし
た。 【効果】 浴槽湯水のゴミやあか、それに伴う異臭の除
去をコンパクトなろ過器内で効率良く行え、衛生的で安
全なろ過湯水が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、浴槽湯水のろ過装置に
関するものであり、詳しくは浴槽の湯水中で発生するあ
かやゴミ等の異物と異臭や微生物を吸着処理と不活性化
ろ過処理により除去し、ろ過湯水は浴槽に流入して、ろ
層に捕捉した異物は逆洗により浴槽外に排出させる。こ
の一連の作業を一つのろ過器内で効率良く行える脱臭除
菌ろ過装置に関する。本発明の脱臭除菌ろ過装置は、一
般家庭の普通浴槽や気泡発生浴槽、公衆浴場、温泉、ホ
テル内浴槽における、異臭及び異物や汚染微生物の除去
を目的としたろ過処理に使用することができる。

【０００２】

【従来の技術】従来の気泡発生浴槽湯水のろ過技術は、
図３に示した構造によるろ過装置が多く利用されてい
た。これを図により説明すると、ろ過器内に流入してき
た浴槽湯水は、偏心された旋回流（１８）とバッフルプ
レート（１７）等の作用で、ろ材を浮遊させることなく
ろ層にて均等に浴槽湯水をろ過せしめる。

【０００３】そして、ろ材にはビーズ状のものを用い、
更に微生物を繁殖させた麦飯石もろ過器に充填してお
り、これによりあかやゴミの除去だけでなく、汚れの生
物分解作用も加えたろ過処理を行った後、ろ過湯水の紫
外線による殺菌処理を行い、浴槽中に処理水を循環させ
る方法（例えば、特開平４−２１５７５５）であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来のろ過方法では、
ろ過層内に多量の微生物膜が発生しており、これにより
湯水中のあかやゴミの除去だけでなく汚れの浄化も行っ
ていたことから、浄化の主体が微生物であるがゆえに増
殖と死滅を繰り返すことから、定期的に逆洗によりあか
やゴミだけでなく抑留生物膜も洗浄して排出していた。
しかし、ろ層の洗浄処理を行ってもろ過器の通常運転時
に死滅した生物膜や増殖した生物膜が浴槽に流出してし
まい、浴槽湯水が微生物で汚染される衛生上の問題があ
った。また、ろ過器への汚れの負荷が高い場合には、ろ
層内に多量の微生物が増殖し、この微生物により異臭が
発生する問題もあった。

【０００５】このような生物膜は、高濃度の微生物と有
機物で構成されていることから、従来の紫外線やオゾン
による殺菌では、有機物にその機能が消費されてしま
い、微生物に対する十分な殺菌効果が得られなかった。
更にこの生物膜には病原性の細菌であるレジオネラ属細
菌も出現していることもあり重要な問題であった。

【０００６】これらの問題は、浴槽湯水の殺菌機能を大
きく低下させることとなり、従来のオゾン殺菌の場合
は、人体に害する濃度までオゾンを注入しないと殺菌効
果が得られない。また、紫外線殺菌においても生物膜表
層の微生物や有機物に紫外線が吸収され、生物膜内部の
微生物にはほとんど効果がなかった。ヨウ素と樹脂の結
合体や銀、銅を抗菌剤に用いた場合でも、抗菌剤表面と
殺菌の対象である細菌との間に生物膜が存在すると確実
な殺菌ができなかった。このように殺菌が不完全な状態
で浴槽湯水を循環して再利用していた従来の技術は、衛
生学上好ましくない処理方法であった。

【０００７】本発明では、浴槽内で発生した微生物やあ
かとゴミを循環ポンプによりろ過装置内に流入させて、
吸着剤と独特な接触方法により微生物の餌となる有機物
や異臭を急速に吸着除去することで、ろ層内での微生物
の増殖と異臭発生を防止し、ろ層で捕捉したあかやゴミ
は湯水による逆洗により速やかに排出除去する。そし
て、前述の作用にろ層内のヨウ素結合樹脂や銀や銅の結
合セラミックス等の抗菌接触ろ過機能を加えたことで、
微生物の不活性化を効率良く行う。この処理水を浴槽に
循環することで、浴槽湯水のあかやゴミの除去と微生物
の不活性化と脱臭を同時に行える、衛生的で安全な新た
な脱臭除菌ろ過装置を提供するものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願第一発明である螺旋回転による接触方法は、ま
ず最初に、浴槽内の微生物とあかやゴミで汚れた湯水を
循環ポンプにより浴槽から排出してろ過装置内に流入さ
せる。流入する際、ろ過器側面上部に、ろ層面に水平に
流入するように流入口を設けて、ろ過器中央に円柱状も
しくは円錐状の吸着筒を両端がろ過器上端とろ床に固定
せしめることで、ろ過器内に流入してきた湯水をろ過器
内で螺旋回転水流を発生させる。湯水中の異臭物質や微
生物の増殖に必要な餌となる汚濁物質を吸着筒表面に満
遍に接触させることで、これらの物質を吸着筒内部で急
速に接触吸着除去してから湯水をろ層内へ移送させる。

【０００９】本願第二発明では、湯水中の異臭物質や微
生物の餌となる汚濁物質を除去した浴槽湯水を、浴槽に
戻して再利用するために、ヨウ素もしくは銀や銅を結合
させた不活性化ろ材を充填したろ層にて浴槽湯水を接触
ろ過せしめる。そして本願第一発明とあかやゴミのろ層
による除去と微生物の不活性化処理を同時に行うこと
で、浴槽湯水中の微生物は強い酸化力により不活性化さ
れる。

【００１０】この脱臭除菌ろ過装置内に吸着筒を設置し
たことで、従来よりもろ材の使用量とろ層面積が大幅に
減少させることができ、これにより従来よりも速い逆洗
流速が発生し、ろ層内空隙に捕捉されたあかやゴミ等
は、効率良く浴槽外に排出させる。この機能により、ろ
層内の微生物量をできるだけ少なくしたことで、抗菌剤
が持つ本来の抗菌性能をより強く働かせる。このような
特徴により本発明は気泡発生浴槽に用いるろ過器におい
て、従来にない新たな浴槽湯水中のあかとゴミや微生物
と異臭の除去を同時に行える脱臭除菌ろ過装置としてい
る。

【００１１】

【作用】本願第一発明では、ろ過器内に流入する浴槽湯
水は、ろ過器上部側面にろ層面に対して水平に据え付け
た流入口と、ろ過器内中央に垂直に据え付けられた円柱
状もしくは円錐状の吸着筒の立体的構造の作用により螺
旋回転水流が生じる。ろ過器内の湯水の螺旋回転時の湯
水中における異臭物質や微生物の餌となる汚濁物質は、
吸着筒内の吸着剤の吸着作用により、螺旋回転水流の外
周から吸着筒内部方向への物質移動が発生し、外周側の
ろ過器側面付近の汚濁物質量が極端に減少し、湯水の物
理的な旋回流速の影響も受けることで、ろ過器側面での
微生物増殖を防止させる。また、螺旋回転水流の内周で
は、吸着筒表面網部の銅による微生物膜付着の抑制作用
が働き、吸着筒への微生物膜付着が防止される。

【００１２】本願第一発明による作用で、湯水中の汚濁
物質量を極端に減少させたことで、本願第二発明のドー
ナツ形ろ層中のヨウ素もしくは銀や銅による不活性化ろ
材の抗菌作用が効果的に働き、湯水中微生物のろ材表面
での付着と増殖を防止する作用が強く働く。そして、吸
着筒の形状を円錐状にしたことで、ドーナツ形ろ層の低
面よりも表面の方が平面積が大きくなり、これにより逆
洗時のろ材の撹拌流動性が強くなり、ろ材空隙に捕捉さ
れていたあかやゴミを確実にろ過器外に排出させること
になる。また、ろ床を銅製もしくは銀や銅による抗菌性
の網状構造にしたことで、この抗菌作用でろ床上での微
生物の増殖を阻止する。更に、ろ層内まで吸着筒を潜ら
せたことで、ろ層内空隙にて発生する異臭や汚濁物質も
吸着除去でき、ろ床上での微生物繁殖を阻止することが
できる。

【００１３】樹脂中に高濃度のヨウ素を結合させたヨウ
素樹脂により構成されたろ層と本願第一発明の機能を組
み合わせることで、ろ層内での殺菌能力に相乗効果が働
き、生物膜中に存在している、殺菌が困難なレジオネラ
属細菌の不活性化作用も強く働く。

【００１４】

【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図４に本発明である脱臭除菌ろ過装置の設置例を示す。
まず、浴槽湯水を脱臭除菌ろ過装置に（７）に流入する
ため、循環ポンプ（８）を浴槽湯水排出管（９）に設置
する。循環ポンプ（８）により脱臭除菌ろ過装置（７）
内に流入させた浴槽湯水は、湯水中のあかとゴミや微生
物の除去と不活性化処理を行い、処理された湯水を浴槽
湯水流入管（１０）を通して浴槽（１３）に流入せしめ
る。その際外空気を取り入れ浴槽内での気泡発生と脱臭
ろ過処理を連続的に行う。脱臭除菌ろ過装置は、ろ過器
の内部構造の変更だけであるから、従来の気泡発生浴槽
ろ過装置のろ過器と交換することも可能である。

【００１５】図１に本願発明であるろ過装置部を示す。
ろ過装置部への浴槽湯水の流入がろ層面（１）に対して
水平に流入するようにろ過器側面の上端に流入口（２）
を設ける。そして、ろ過器中央に円柱もしくは円錐状の
吸着筒（３）を、その上下両端がろ床（５）面とろ過器
蓋内面（１１）とが確実に接触した状態でろ床（５）面
に垂直に据え付ける。この吸着筒（３）の断面積が、上
端よりも下端の方が大きくなるような円錐状にすること
で、ろ過器内の流入口（２）付近とろ層（１６）付近で
の螺旋回転流速に違いを生じさせる。この吸着筒（３）
の円錐形状により、ろ層付近の螺旋速度は速く、ろ過器
上部に向けて螺旋回転速度を除々に遅くさせる。この速
度の違いで逆洗時にろ材粒子の激しい粒子間撹拌による
ろ層内のあかやゴミの剥離と排出を確実に行う。そし
て、ろ過器上部に向けて螺旋回転流速を遅くすること
で、ろ材の流出を防止している。この吸着筒の容量は１
リットル程度あると効果的で、円錐の勾配は大きいほど
逆洗やろ材の流出防止が効果的に行える。

【００１６】逆洗については、図１と図４にて説明する
と、電動バルブ（１４）の自動切り替え操作により、通
常ろ過時の逆に湯水を流れさせる。例えば、ろ過器排出
口（１５）から浴槽湯水を流入し、流入口（２）から逆
洗処理された湯水をろ過器外に排出することで、逆洗湯
水は浴槽外に廃棄される。

【００１７】ろ過器のろ床（５）上部にドーナツ状に設
置されたろ材（１２）は、ヨウ素結合樹脂か抗菌性セラ
ミックスや抗菌砂等を用いる。具体的には、セラミック
スに銀や銅を配合した粒状砂等でも十分効果的である
が、配合剤にヨウ素を用いると、ヨウ素は微生物に対す
る不活性作用が強く、これをイオン交換樹脂内に化学結
合させたスチレン重合体を炭化して粒状樹脂にすると殺
菌効果が高く、その機能も長期間維持されることから更
に効果的である。また、ろ材（１２）の粒径は０．５〜
３ミリメートルの範囲にすると良い。ろ床（５）のメッ
シュサイズは５０メッシュ程度のものが良く、材質に銅
を用いると生物膜の付着もなく効果的である。吸着筒
（３）の側面はろ床（５）と同じ５０メッシュ程度で材
質に銅を用いるとろ床（５）と同様に生物膜の付着防止
が効果的になる。

【００１８】吸着筒（３）内の吸着材（６）には、粒状
のゼオライトと活性炭の両方を充填すると、有機物から
無機物の吸着が同時に行えることから幅広い除去効果が
得られる。粒径は、３０メッシュ以上のものを用いると
良い。

【００１９】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００２０】本願第一発明のろ過器側面上部に流入口を
ろ過器内吸着筒側面に浴槽湯水が接触させるように据え
付けたことで、撹拌専用の動力や装置を必要としないで
ろ過器内の浴槽湯水を螺旋回転させながら吸着剤との接
触撹拌が可能となり、湯水中の異臭除去とろ過器内での
異臭発生防止が同時にできる省力的で高い脱臭効果が得
られる。

【００２１】ろ過器で微生物の餌となる湯水中の汚濁物
質を本願第一発明である螺旋回転の接触により効率良く
吸着させたことで、ろ過器内での微生物の増殖防止効果
が得られる。

【００２２】ろ過器内側面に螺旋回転の水流力を与える
ことで、ろ過器内側面の微生物の付着と増殖を防止する
効果が得られる。

【００２３】ろ過器内の吸着筒側面の材質に銅を用いた
ことで、吸着筒側面への生物膜の付着と発生を防止でき
る。

【００２４】吸着筒の形状を円錐状にし側面に勾配を設
けたことで、ろ過器内の逆洗流速がろ層では速く、ろ層
上部の排出側付近の流速は遅く緩やかになることで、ろ
材の洗浄力は強く作用させながら、ろ過器からのろ材の
流出を防止する効果が得られる。

【００２５】あかやゴミを除去するろ材にヨウ素による
殺菌作用を持たせ、ろ層内で微生物を不活性化すること
で、浴槽にて気泡と接触させる循環湯水の衛生的な効果
が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願発明である、脱臭除菌ろ過装置のろ過器内
部構造を示す側面方向からの断面図である。

【図２】本願発明である、脱臭除菌ろ過装置のろ過器内
部構造を示す平面図である。

【図３】従来のろ過器の内部構造を示す側面方向からの
断面図である。

【図４】本発明の脱臭除菌ろ過装置の取り付け状態を説
明する図である。

【符号の説明】

１ ろ床面 ２ 流入口 ３ 吸着筒 ４ 螺旋回転 ５ ろ床 ６ 吸着材 ７ 脱臭除菌ろ過装置 ８ 循環ポンプ ９ 浴槽湯水排出管 １０ 浴槽湯水流入管 １１ ろ過器蓋内面 １２ ろ材 １３ 浴槽 １４ 電動バルブ １５ 排出口 １６ ろ層 １７ バッフルプレート １８ 旋回流

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 ＦＩ Ｃ０２Ｆ 1/50 ５２０ Ｃ０２Ｆ 1/50 ５３１Ｅ ５３１ ５３１Ｆ ５３１Ｌ ５４０Ｃ ５４０ ５４０Ｆ ５４０Ｄ ５５０Ｈ ５５０ ５６０Ｂ ５６０ ５６０Ｚ Ｂ０１Ｄ 35/02 Ｊ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ろ過器側面上部に、ろ層面（１）に水平
   に流入するように流入口（２）を設けて、ろ過器中央に
   円柱状もしくは円錐状の吸着筒（３）を両端がろ過器上
   端とろ床に固定せしめたことで、ろ過器内に流入してき
   た湯水をろ過器内で螺旋回転（４）を発生させて、湯水
   と吸着筒を満遍に接触させながらろ層内まで浴槽湯水を
   移送させることを特徴とした、ろ過器内における吸着筒
   と湯水の接触方法。
2. 【請求項２】 吸着筒（３）及びろ床（５）を銅製もし
   くは銅や銀を主体とする抗菌性の網で形成させて、吸着
   筒内部には活性炭やゼオライト等の粒状吸着剤（６）を
   充填し、ろ床上にはヨウ素を結合させた粒状樹脂もしく
   は銅や銀を主体とする粒状抗菌剤によるろ材（１２）で
   ろ層を構成させたことで、本願発明である請求項１の螺
   旋回転の接触作用による湯水及びろ過器内の異臭の吸着
   除去と湯水中のあかやゴミ等の異物除去、ろ層内微生物
   の不活性化処理を同時に行えることを特徴とした脱臭除
   菌ろ過装置。