JPH10256066A - 鉄損特性の優れた巻鉄心及びその製造方法 - Google Patents

鉄損特性の優れた巻鉄心及びその製造方法

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JPH10256066A
JPH10256066A JP7902297A JP7902297A JPH10256066A JP H10256066 A JPH10256066 A JP H10256066A JP 7902297 A JP7902297 A JP 7902297A JP 7902297 A JP7902297 A JP 7902297A JP H10256066 A JPH10256066 A JP H10256066A
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JP7902297A
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Tsunehiro Yamaji
常弘 山路
Misao Namikawa
操 浪川
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来技術に較べて鉄損値が大幅に改善され、
しかも鉄損のバラツキがない安定した鉄損特性が得られ
る巻鉄心を得る。 【解決手段】 金属薄帯を積層させた後、歪み取り焼鈍
工程を経て製造される巻鉄心において、金属薄帯の積層
面が層間短絡の除去処理、好ましくエッチングによる層
間短絡の除去処理が施された積層面であることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄損特性の優れた巻
鉄心に関するものである。
【0002】
【従来の技術】巻鉄心は各種産業用および民生用機器類
に広く用いられている。巻鉄心の特徴としては、切断面
があるためにコイルの装着が容易であり、変圧器の組立
が簡便である、切断面のギャップの長さを調節すること
により、容易に線形インダクタを実現できる、等を挙げ
ることができる。一方、巻鉄心(カットコアの場合)は
切断面があるために集中的なギャップが存在し、巻鉄心
の研磨の良否により製品の磁気特性(特に、鉄損得性)
および騒音特性のバラツキが大きいという難点がある。
【0003】このような問題に対して、電気学会磁性材
料常置専門委員会 カットコア分科会で報告された昭和
48年12月 電気学会技術報告(II部)第25号によ
ると、巻鉄心の切断後、切断面の平行度及び密着度の改
善のために研磨を行うが、この研磨により切断面に面だ
れが生じると層間が短絡して鉄損が増大することになる
ため、研磨後の最終仕上げ工程でラッピングを実施し、
研磨時の面だれによる層間短絡の除去を行う。また、ラ
ッピングを行っても除去し切れない切断面の表面粗さや
バリ等による深い傷については、エッチング(化学研磨
法)が有効であり、特に高周波用の極薄材からなるカッ
トコアにおいて効果的であるとしている。このような観
点に基づき、従来のカットコアの製造工程においては、
切断面を研磨およびエッチングするなどして層間短絡の
除去処理を施し、巻鉄心の鉄損低減を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らが
検討したところによれば、従来技術のようにカットコア
の切断面を研磨した後、ラッピングまたはエッチング若
しくはその両方を行うことで切断面の層間短絡を十分除
去した場合でも、製品によっては鉄損が大幅に増大する
等のバラツキを生じ、鉄損特性が安定しない場合がある
ことが判った。本発明者らはこのような鉄損特性のバラ
ツキを生じる原因を解明すべく実験と検討を重ね、その
結果、鉄損特性のバラツキが巻鉄心の積層面での層間短
絡に起因していることを突き止めた。すなわち、巻鉄心
は切断面だけでなく、積層面(側面のスリット面)にお
いても層間短絡を生じており、これが鉄損の増大および
バラツキをもたらしていることが判明した。
【0005】従来行われてる巻鉄心の製造工程では、切
断面の面だれ等に起因した層間短絡の防止にのみ配慮が
払われ、積層面における層間短絡の防止については全く
配慮されていないが実状であり、このため層間短絡の除
去を目的としたエッチングも切断面に対してだけ行われ
ている。このように積層面における層間短絡の防止対策
が採られていなかった理由は、鋼帯スリット時における
スリット面のバリ対策が十分になされていると考えられ
ていたこと、切断面に対してエッチングした場合に相応
の鉄損改善が認められること等のために、積層面におけ
る層間短絡の防止の必要性が認識されていなかったこと
によるものと考えられる。
【0006】また実際上の問題として、従来の切断面に
対するエッチングはワニス含浸後に行われるのが通例あ
るため、切断面のエッチング時には既に積層面にワニス
が付着しており、このようなワニスが付着したままの状
態にある積層面を切断面とともにエッチングしても意味
がないと考えられていたことも、積層面に対してエッチ
ング等が行われていなかった理由の一つであると思われ
る。したがって、従来では切断面を有する巻鉄心(カッ
トコア)だけでなく、切断箇所を有しない巻鉄芯(トロ
イダルコア)についても積層面での層間短絡の防止対策
は全く行われていない。
【0007】本発明者らは、積層面に層間短絡が生じる
原因とその対策について種々の実験と検討を行った。そ
の結果、先ず積層面に層間短絡を生じる原因について
は、スリット時に発生したバリとスリット面(板エッジ
部)の酸化が主要な原因となっていることが判明した。
このうち前者のバリによる短絡は、歪み取り焼鈍によっ
てより顕著となることが判った。また、後者のエッジ部
の酸化による短絡については、バリが問題ないレベルの
スリット面であっても、歪み取り焼鈍中に焼鈍雰囲気に
よって積層面が酸化されることにより、積層面の板エッ
ジ部が酸化で盛り上がり、面同士が強く押し当てられる
ことにより層間短絡が発生すること、またこのような積
層面の短絡の原因となるエッジ部の酸化は、軽度ではあ
るが不活性雰囲気中で焼鈍した場合でも発生し、これを
完全になくすことは困難であること、切断面を有しない
巻鉄芯(トロイダルコア)においても、このような原因
で歪み取り焼鈍後の積層面に短絡が生じ、鉄損に大きな
バラツキを生じていることが判った。
【0008】一方、このような積層面で層間短絡の防止
対策およびその効果に関しては、層間短絡の除去方法と
して積層面のエッチングが特に有効であること、また予
想に反して、通常のワニスが付着している程度であれば
そのままエッチングを行っても層間短絡の除去が可能で
あること、そして、このような積層面の層間短絡の除去
処理を行うことにより、切断面をエッチングした巻鉄心
(カットコア)の鉄損をさらに改善し、バラツキがなく
低い鉄損に安定化させることができ、また、切断箇所を
有しない巻鉄芯(トロイダルコア)においても鉄損特性
の改善に非常に有効であることが判った。
【0009】このように本発明は、鉄損の増大及びバラ
ツキの原因となっていた積層面での層間短絡の存在を明
らかにし、これを除去することにより鉄損が低く且つ安
定した巻鉄心が得られること、さらにはその適切な除去
方法を見い出した結果なされたものであり、以下のよう
な特徴を有する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
[1] 金属薄帯を積層させた後、歪み取り焼鈍工程を経て
製造される巻鉄心において、金属薄帯の積層面が、層間
短絡の除去処理が施された積層面であることを特徴とす
る鉄損特性の優れた巻鉄心。 [2] 上記[1]の巻鉄心において、金属薄帯の積層面が、
エッチングによる層間短絡の除去処理が施されたされた
積層面であることを特徴とする鉄損特性の優れた巻鉄
心。 [3] 上記[2]の巻鉄心において、金属薄帯の積層面が、
ケミカルエッチングによる層間短絡の除去処理が施され
たされた積層面であることを特徴とする鉄損特性の優れ
た巻鉄心。
【0011】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの巻鉄心にお
いて、巻鉄心が切断面を有し、該切断面が、層間短絡の
除去処理が施された切断面であることを特徴とする鉄損
特性の優れた巻鉄心。 [5] 上記[4]の巻鉄心において、切断面が、エッチング
による層間短絡の除去処理が施された切断面であること
を特徴とする鉄損特性の優れた巻鉄心。 [6] 上記[5]の巻鉄心において、切断面が、ケミカルエ
ッチングによる層間短絡の除去処理が施された切断面で
あることを特徴とする鉄損特性の優れた巻鉄心。
【0012】[7] 金属薄帯を積層させた後、歪取り焼鈍
工程を経て巻鉄心を製造するに際し、歪取り焼鈍工程以
降の任意に工程において、巻鉄心の積層面に対して層間
短絡の除去処理を施すことを特徴とする鉄損特性の優れ
た巻鉄心の製造方法。 [8] 上記[7]の製造方法において、巻鉄心の積層面に対
する層間短絡の除去処理を、歪取り焼鈍後、ワニス含浸
前に行うことを特徴とする鉄損特性の優れた巻鉄心の製
造方法。 [9] 上記[7]の製造方法において、巻鉄心のワニス含浸
および焼付処理を行った後、積層面を研磨し、しかる
後、積層面に対する層間短絡の除去処理を行うことを特
徴とする鉄損特性の優れた巻鉄心の製造方法。
【0013】[10] 上記[7]の製造方法において、巻鉄心
のワニス含浸および焼付処理を行った後、積層面を研磨
することなく積層面に対する層間短絡の除去処理を行う
ことを特徴とする鉄損特性の優れた巻鉄心の製造方法。 [11] 上記[7]〜[10]のいずれかの製造方法において、巻
鉄心を切断し、必要に応じて切断面の研磨を行った後、
切断面に対する層間短絡の除去処理を行うことを特徴と
する鉄損特性の優れた巻鉄心の製造方法。 [12] 上記[11]の製造方法において、巻鉄心の積層面に
対する層間短絡の除去処理を、切断面に対する層間短絡
の除去処理と同時に行うことを特徴とする鉄損特性の優
れた巻鉄心の製造方法。
【0014】[13] 上記[7]〜[12]のいずれかの製造方法
において、層間短絡の除去処理をエッチングにより行う
ことを特徴とする鉄損特性の優れた巻鉄心の製造方法。 [14] 上記[13]の製造方法において、層間短絡の除去処
理をケミカルエッチングにより行うことを特徴とする鉄
損特性の優れた巻鉄心の製造方法。 [15] 上記[14]の製造方法において、ケミカルエッチン
グを、硝酸、リン酸、塩酸、フッ酸、硫酸の中から選ば
れる1種または2種以上の酸を含有する処理液を用いて
行うことを特徴とする鉄損特性の優れた巻鉄心の製造方
法。 [16] 上記[14]または[15]の製造方法において、ケミカ
ルエッチングを酸濃度5%以上の処理液を用い、15分
以上行うことを特徴とする鉄損特性の優れた巻鉄心の製
造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】カットコア(図1)、トロイダル
コア(図2)を問わず、すべての巻鉄心はその側面に金
属薄板による積層面を有しているが、本発明の巻鉄心は
層間短絡の除去処理が施された積層面を有することを特
徴としている。ここで、本発明の巻鉄心の積層面に施さ
れる層間短絡の除去処理に適用可能な方法としては、エ
ッチング、ラッピング、機械研磨、ショットブラスト等
があり、その方法は特に限定しないが、通常はエッチン
グにより行われる。また、このエッチングには、ケミカ
ルエッチング(酸を含む処理液等によるエッチング)、
電解研磨等があり、その方法は特に限定しないが、ケミ
カルエッチングが層間短絡の除去処理には最も効果的且
つ効率的である。したがって、本発明の巻鉄心はエッチ
ングされた積層面、特にケミカルエッチングされた積層
面を有することが最も好ましい。
【0016】一般の巻鉄心の製造工程では、磁性材料で
ある金属薄板を所定の幅にスリットして巻鉄心用素材と
し、この素材を芯金に必要厚さ巻き付けて巻鉄心とし、
これを歪取り焼鈍して形状を固定し、しかる後ワニス含
浸および焼付処理を行い、さらにカットコアの場合には
切断を行い、必要に応じて切断面の研磨及びエッチング
等を行う。本発明の巻鉄心を得るための積層面に対する
層間短絡の除去処理(以下、“エッチング”を例に説明
する)は、上記製造工程のうち歪取り焼鈍後の任意の段
階で行うことができる。例えば、以下のような段階での
積層面のエッチングが可能である。
【0017】 歪取り焼鈍後、ワニス含浸前にエッチ
ングを行う。 ワニス含浸および焼付処理を行った後、積層面を研
磨し、しかる後エッチングを行う。 ワニス含浸および焼付処理を行った後、積層面を研
磨することなくエッチングを行う。 カットコアの場合に、切断面のエッチングと同時に
積層面のエッチングを行う。この場合、上記のように
積層面を研磨した状態でエッチングしてもよいし、或い
は上記のように積層面を研磨することなくエッチング
してもよい。
【0018】本発明の巻鉄心が有する積層面は、上記
のようにワニスが付着したままの状態でエッチングした
ものでも層間短絡が十分に除去されたものとなるが、付
着したワニスによるエッチング効果に対する影響をなる
べく少なくするためには、上記のように積層面を研磨
した後、エッチングすることが好ましい。また、ワニス
による影響を全く排するという観点からは、上記のよ
うに歪取り焼鈍後、ワニス含浸前にエッチングを行うこ
とが好ましい。なお、積層面に対してエッチングを行う
時期は、必ずしも上記〜に限られるものではない。
また、切断箇所を有しない巻鉄芯(トロイダルコア)の
場合も、積層面のエッチングは歪み取り焼鈍以降の工程
の何れの段階で行ってもよい。なお、積層面の研磨の目
的は付着しているワニスを除去することにあり、その研
磨手段としては、ロータリー研磨、平面研磨、エメリー
紙(紙ヤスリ)を使った手研磨等がある。
【0019】また、本発明の巻鉄心がカットコアの場合
には、上記のケース以外でも切断面に対する層間短絡
の除去処理が行われることは言うまでもない。この切断
面に施される層間短絡の除去処理に適用可能な方法とし
ても、エッチング、ラッピング、機械研磨、ショットブ
ラスト等があり、その方法は特に限定しないが、通常は
エッチングにより行われる。また、このエッチングに
は、ケミカルエッチング(酸を含む処理液等によるエッ
チング)、電解研磨等があり、その方法は特に限定しな
いが、ケミカルエッチングが層間短絡の除去処理には最
も効果的且つ効率的である。したがって、本発明の巻鉄
心がカットコアの場合には、エッチングされた積層面と
切断面、特にケミカルエッチングされた積層面と切断面
を有することが最も好ましい。
【0020】次に、巻鉄心の積層面をケミカルエッチン
グする方法について説明する。積層面のケミカルエッチ
ングに使用する処理液に添加する酸の種類は特に限定さ
れないが、一般には硝酸、リン酸、塩酸、フッ酸、硫酸
およびこれらのうちの2種以上の混合液等が使用でき
る。また、エッチング時間は酸の種類、濃度、液温等に
より適宜選択される。但し、層間短絡の効率的な除去を
行うためには、処理液中の酸濃度を5%以上とし、15
分以上のエッチングを行うことが好ましい。巻鉄心の積
層面のケミカルエッチングは、上記酸を含む処理液中に
積層面を浸漬することにより行うが、上記等のケース
では処理液中に巻鉄心全体を浸漬し、積層面とともに切
断面のエッチングも同時に行われる。このようなケミカ
ルエッチングの後は、水洗および防錆処理を行うことが
好ましい。
【0021】次に、本発明の巻鉄心の構成および製造条
件に関して、上述した積層面および切断面の構成および
処理方法以外の好ましい条件について説明する。巻鉄心
の素材は鉄系の磁性材料からなる金属薄板であり、この
ような金属薄板としては、方向性珪素鋼板、無方向性珪
素鋼板、アモルファス等が挙げられる。金属薄板の板厚
に特に制約はないが、板厚が薄くなるほど積層面の層間
短絡が激しくなるため、本発明は巻鉄心を構成する金属
薄板の板厚が薄いほどその効果を発揮する。歪取り焼鈍
時の焼鈍温度は、材料に応じて巻鉄心の形状凍結ができ
る温度であればよい。但し、積層面の板エッジ部の酸化
を軽減するためには必要最小限の温度を設定すべきであ
る。焼鈍雰囲気は不活性雰囲気が好ましいが、DXガス
やPXガスまたはこれらの混合ガスを使用しても、本発
明の効果を得る上では特に問題はない。
【0022】歪取り焼鈍後の巻鉄芯は、そのまま次工程
のワニス含浸を行ってもよいが、積層面の板エッジ部を
両側に交互にずらすなどして、この時点で積層面の層間
短絡をできるだけ除去しておくことが好ましい。ワニス
含浸及び焼き付け条件には特に制約はないが、上記〜
のような工程でエッチングを行う場合に本発明の効果
をより確実に得るためには、ワニス含浸後、焼き付け工
程前に、巻鉄心の積層面に余分にはみ出して付着してい
るワニスを拭き取っておくことが好ましい。カットコア
の場合には、ワニス含浸及び焼き付け後に巻鉄心を切断
する。この切断後、一般には切断面の研磨を行うが、用
途により研磨工程を省略しても構わない。研磨の方法は
特に規定しないが、面だれが生じないように注意する必
要がある。
【0023】
【実施例】
[実施例1]巻鉄心用素材として板厚0.1mm、板幅
30mmの6.5%珪素鋼板および方向性珪素鋼板(3
%Si)を使用し、巻鉄心工業会の規格であるCS20
サイズの巻鉄心を製作した。歪取り焼鈍条件は、RX+
DX混合ガス雰囲気、露点5〜10℃、800℃×2時
間とした。本実施例では、上記条件で歪取り焼鈍し、ワ
ニス含浸及び焼き付けを行った後、切断し、その切断面
および積層面にロータリー研磨を施した後、下記1)、2)
または3)の工程を経て得られた巻鉄心について、それら
の鉄損W10/400、W1/10kを測定した。その測定結果を
表1に示す。
【0024】1)研磨まま(比較例) 2)巻鉄心の切断面のみを硝酸15%水溶液に60分間浸
漬(比較例) 3)巻鉄心全体を硝酸15%水溶液に60分間浸漬(本発
明例) 表1によれば、切断面のみをエッチングした比較例の巻
鉄心は、研磨ままの巻鉄心に較べて鉄損低減の効果は認
められるものの鉄損にバラツキがあり、素材特性が十分
引き出されていないことが判る。これに対して、切断
面、積層面をともにエッチングした本発明例の巻鉄心は
鉄損値が大幅に改善され、且つ鉄損のバラツキもなく、
安定した鉄損特性が得られていることが判る。また、こ
の鉄損低減効果は周波数が高くなるほど顕著となってい
る。
【0025】
【表1】
【0026】[実施例2]巻鉄心用素材として板厚0.
05mm、板幅30mmの6.5%珪素鋼板を使用し、
巻鉄心工業会の規格であるCS32サイズの巻鉄心を製
作した。歪取り焼鈍条件は、窒素雰囲気、800℃×2
時間とした。本実施例では、上記条件で歪取り焼鈍し、
ワニス含浸及び焼き付けを行った後、下記1)、2)または
3)の工程を経て得られた巻鉄心について、それらの鉄損
W1/10k、W1/20kを測定した。その測定結果を表2に示
す。
【0027】ワニス含浸・焼き付け後、カットコアに切
断し、切断面の研磨を行った後、 1)巻鉄心の切断面のみをリン酸80%水溶液に60分間
浸漬(比較例) 2)巻鉄心全体をリン酸80%水溶液に60分間浸漬(本
発明例)ワニス含浸・焼き付け後、 3)巻鉄心の積層面を研磨した後、巻鉄心全体をリン酸8
0%水溶液に60分間浸漬(本発明例) 表2によれば、切断面のみをエッチングした比較例の巻
鉄心は鉄損低減の効果は認められるものの鉄損にバラツ
キがあり、素材特性が十分引き出されていないことが判
る。これに対して、切断面、積層面をともにエッチング
した本発明例の巻鉄心は鉄損値が大幅に改善され、且つ
鉄損のバラツキもなく、安定した鉄損特性が得られてい
ることが判る。また、この鉄損低減効果は周波数が高く
なるほど顕著となっている。
【0028】
【表2】
【0029】[実施例3]巻鉄心用素材として板厚0.
05mm、板幅25mmの6.5%珪素鋼板を使用し、
外径112mm、内径80mmの切断箇所のない巻鉄心
を製作した。歪取り焼鈍条件は、DXガス雰囲気、露点
5〜10℃、800℃×2時間とした。本実施例では、
上記条件で歪取り焼鈍し、下記1)、2)または3)の工程を
経て得られた巻鉄心について、それらの鉄損W1/10kを
測定した。その測定結果を表3に示す。 1)歪取り焼鈍まま(比較例) 2)ワニス含浸前の巻鉄心の全体を硝酸15%水溶液に3
0分間浸漬(本発明例) 3)ワニス含浸・焼き付け後、巻鉄心全体を硝酸15%水
溶液に20分間浸漬(本発明例) 表3によれば、積層面をエッチングした本発明例の巻鉄
心は焼鈍ままの巻鉄心に較べて鉄損が大幅に改善され、
且つ鉄損のバラツキもなく、安定した鉄損特性が得られ
ていることが判る。
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】以上述べた本発明の巻鉄心によれば、従
来技術に較べて鉄損値が大幅に改善され、しかも鉄損の
バラツキがない安定した鉄損特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カットコアの斜視図
【図2】トロイダルコアの斜視図

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属薄帯を積層させた後、歪み取り焼鈍
    工程を経て製造される巻鉄心において、金属薄帯の積層
    面が、層間短絡の除去処理が施された積層面であること
    を特徴とする鉄損特性の優れた巻鉄心。
  2. 【請求項2】 金属薄帯の積層面が、エッチングによる
    層間短絡の除去処理が施されたされた積層面であること
    を特徴とする請求項1に記載の鉄損特性の優れた巻鉄
    心。
  3. 【請求項3】 金属薄帯の積層面が、ケミカルエッチン
    グによる層間短絡の除去処理が施されたされた積層面で
    あることを特徴とする請求項2に記載の鉄損特性の優れ
    た巻鉄心。
  4. 【請求項4】 巻鉄心が切断面を有し、該切断面が、層
    間短絡の除去処理が施された切断面であることを特徴と
    する請求項1、2または3に記載の鉄損特性の優れた巻
    鉄心。
  5. 【請求項5】 切断面が、エッチングによる層間短絡の
    除去処理が施された切断面であることを特徴とする請求
    項4に記載の鉄損特性の優れた巻鉄心。
  6. 【請求項6】 切断面が、ケミカルエッチングによる層
    間短絡の除去処理が施された切断面であることを特徴と
    する請求項5に記載の鉄損特性の優れた巻鉄心。
  7. 【請求項7】 金属薄帯を積層させた後、歪取り焼鈍工
    程を経て巻鉄心を製造するに際し、歪取り焼鈍工程以降
    の任意に工程において、巻鉄心の積層面に対して層間短
    絡の除去処理を施すことを特徴とする鉄損特性の優れた
    巻鉄心の製造方法。
  8. 【請求項8】 巻鉄心の積層面に対する層間短絡の除去
    処理を、歪取り焼鈍後、ワニス含浸前に行うことを特徴
    とする請求項7に記載の鉄損特性の優れた巻鉄心の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 巻鉄心のワニス含浸および焼付処理を行
    った後、積層面を研磨し、しかる後、積層面に対する層
    間短絡の除去処理を行うことを特徴とする請求項7に記
    載の鉄損特性の優れた巻鉄心の製造方法。
  10. 【請求項10】 巻鉄心のワニス含浸および焼付処理を
    行った後、積層面を研磨することなく積層面に対する層
    間短絡の除去処理を行うことを特徴とする請求項7に記
    載の鉄損特性の優れた巻鉄心の製造方法。
  11. 【請求項11】 巻鉄心を切断し、必要に応じて切断面
    の研磨を行った後、切断面に対する層間短絡の除去処理
    を行うことを特徴とする請求項7、8、9または10に
    記載の鉄損特性の優れた巻鉄心の製造方法。
  12. 【請求項12】 巻鉄心の積層面に対する層間短絡の除
    去処理を、切断面に対する層間短絡の除去処理と同時に
    行うことを特徴とする請求項11に記載の鉄損特性の優
    れた巻鉄心の製造方法。
  13. 【請求項13】 層間短絡の除去処理をエッチングによ
    り行うことを特徴とする請求項7、8、9、10、11
    または12に記載の鉄損特性の優れた巻鉄心の製造方
    法。
  14. 【請求項14】 層間短絡の除去処理をケミカルエッチ
    ングにより行うことを特徴とする請求項13に記載の鉄
    損特性の優れた巻鉄心の製造方法。
  15. 【請求項15】 ケミカルエッチングを、硝酸、リン
    酸、塩酸、フッ酸、硫酸の中から選ばれる1種または2
    種以上の酸を含有する処理液を用いて行うことを特徴と
    する請求項14に記載の鉄損特性の優れた巻鉄心の製造
    方法。
  16. 【請求項16】 ケミカルエッチングを酸濃度5%以上
    の処理液を用い、15分以上行うことを特徴とする請求
    項14または15に記載の鉄損特性の優れた巻鉄心の製
    造方法。
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