JPH10249705A - 研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造 - Google Patents

研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造

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JPH10249705A
JPH10249705A JP7049897A JP7049897A JPH10249705A JP H10249705 A JPH10249705 A JP H10249705A JP 7049897 A JP7049897 A JP 7049897A JP 7049897 A JP7049897 A JP 7049897A JP H10249705 A JPH10249705 A JP H10249705A
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slider
conical
polishing
adjusting rod
polishing tool
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JP7049897A
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Yoshiteru Inagaki
喜照 稲垣
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ATORAIZU INAKEN KK
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ATORAIZU INAKEN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨工具を構成する調整棒と摺動子との双方
に係合部を形成して組合せ、スリットからの摺動子の飛
び出しを防止する。 【解決手段】 研磨工具2が内蔵する砥石5付摺動子6
を、調整棒4の動きにより工具本体3のスリット15か
ら隠顕せしめる構造において、調整棒4に備えた円錐状
斜面21,22付きの円筒23,25の内、少なくとも
一つの円筒23の背面に円錐状窪み25を設けて一方の
係合部とし、他方を調整棒4に接する砥石5付摺動子6
の半径方向の移動に支障のないように、摺動子6の底3
1に鉤状突起39でなる係合部を形成して両係合部を組
合せ、該係合部が研磨工具2を研磨盤から外さない限り
解けない構造とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、精密中ぐり盤や研削盤
等で研削した孔もしくは穴の内面を、精密に仕上げる研
磨盤に装着する研磨工具が内蔵する砥石付摺動子の脱落
防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】研削された加工面を更に平滑に仕上げ、
同時に寸法精度を向上する工作機械として、ラップ盤・
ホーニング盤・超仕上盤があるが、その使用方法は大ま
かには加工対象が平面のような非連続面か円筒のような
連続面か、加工対象が固定されているか動いているか、
加工方法が砥石による回転と軸方向の送り機構を備えた
主軸か振動の機構を利用するのか等により異なる。
【0003】ラップ盤は主軸を利用する形式で平面の仕
上げ、ホーニング盤は主軸を利用する形式で平面と円筒
等の内外面の仕上げを対象とするいずれも専用機である
が、超仕上盤は加工面に押し付けた砥石に振動を与える
機構を備え、非連続面か連続面の仕上げを対象とする専
用機と、旋盤等に加工対象物を取付けて回転し、該加工
対象物に前記砥石を押し付けて仕上げるユニット形式に
分かれる。
【0004】研磨盤に取付けた内面研磨用工具には、工
具本体に複数のスリットを備え、該スリット内に砥石付
摺動子を挿入し半径方向に移動する手段として、円錐状
斜面を持つ調整棒を円筒内部に軸方向に摺動可能に挿入
し、該調整棒の円錐状斜面と摺動子の底辺を接触せし
め、調整棒の軸方向への動きにより砥石先端と加工対象
物との接触状態を制御し、更にスリットから摺動子が脱
落しないように摺動子の両端を工具本体の円筒周囲に嵌
挿した伸縮性のリングで係止する構造である。
【0005】研磨工具が内蔵する砥石先端の外径がある
程度の大きさ(50mm程度)になると、工具本体の中
に研磨の終了を検知する手段として、エアーマイクロメ
ータ用の定圧空気を導通する空気孔を設け、加工対象物
の研磨部分に直角に吹き付けて研磨の進捗状態を随時に
計測することもできるが、研磨量が直径方向で0.2m
m程度に止まるので、定寸プラグと呼ぶ固定外径の専用
ゲージを使用することもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】研磨盤に装着した研磨
工具は、加工対象物の内面を研磨工具が回転しながら摺
動し、該研磨工具と加工対象物との間に研磨液を流しつ
つ研磨が進められるが、工具本体の構造上の強度や摺動
子に接着した砥石の有効研磨時間及び摺動子のスリット
からの脱落防止用としての係止リングの耐用時間等に問
題を抱える。
【0007】この問題は、スリットから摺動子が脱落す
ることを防止する目的に使用する係止リングが、研磨工
具が加工対象物の内部にあるときは回転・停止の何れの
状態を問わず不要で、逆に外部にあるときには回転・停
止の何れの状態を問わず無条件に必要とする研磨工具自
体の構造に起因し、このことが加工対象物の交換の度に
研磨工具の停止を必要とする。
【0008】一つ目の問題は、研磨工具の回転中に摺動
子が工具本体の円筒面に設けたスリットからの飛び出す
防止対策として使用する係止リングのために、円筒面上
の前記スリットの長手方向に直交するように環状溝を複
数備えるので、工具本体の軸方向に直角な溝部分での断
面積の減少は、スリット自体にスリット間の前記環状溝
分が加わるので、捩れ強度や耐振性を低下し工具の設計
を難しくする。
【0009】二つ目の問題は、工具本体に設けたスリッ
トに挿入した摺動子が、該摺動子の両端部分が係止リン
グにより占拠されるので、摺動子の長さに対する砥石の
接着可能な長さと、同時に半径方向に対しては係止リン
グにより砥石の厚みの双方が制限を受け、結果として砥
石の有効研磨面積と容積を損じ耐用時間を縮める。
【0010】三つ目の問題は、Oリングやワイヤスプリ
ングリングを係止リングとして外装することにあり、本
来のOリングの役割であるシリンダとピストンとを組合
せた摺動部分やフランヂの接合部分等に内装し漏れ防止
をする使用目的から外れ、研磨工具が回転する際の遠心
力による摺動子の飛び出し防止と、横形の主軸に装着し
た研磨工具が停止中に砥石付摺動子が自重により下向き
スリットから脱落する防止の手段とした用法にある。
【0011】外装されたOリングは摺動子の出入りによ
りスリット周辺での部分的な伸縮を繰り返し、しかも研
磨による研削粉を含んだ研磨液に曝されるので耐用時間
が意外に短かく、またスプリングワイヤリングの場合で
は、Oリングに較べスプリングが部分的に伸びて復元し
なくなる塑性変形を起こすので係止リングとしての寿命
がより短い。
【0012】もともと係止リングは、研磨工具が加工対
象物の内部から外部に移行する期間を含めて外部にある
時にのみ役にたち、内部では加工対象物の内面による規
制を受けて必要性が薄められるが、加工対象物内での使
用環境が厳しいために主軸の向きが縦・横の装着形態を
問わず損耗が激しく、安全のための早期交換が不可欠
で、場合により研磨終了毎の交換が欠かせないために高
頻度の交換作業が避けらず、研磨盤の稼働率に影響を及
ぼす。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、主軸が回転中
か停止中の何れなのか、主軸の向きが縦・横の何れなの
かに関わりなく、研磨工具が内蔵する砥石付摺動子は研
磨工具が解体されない限り、如何なる場合でも飛び出し
や自然落下のない、且つ外装の係止リングを必要としな
い構造の研磨工具に関する。
【0014】本発明は、工具本体の一端に研磨盤に装着
する接続端を備え、他端に砥石付摺動子を格納する複数
のスリットを円筒面に備え、該円筒内の中に摺動子の底
辺に接する円錐状斜面を持つ調整棒を軸方向に摺動可能
に挿入して、該調整棒の摺動行為によりスリット内に挿
入した砥石付摺動子を半径方向に移動し、前記砥石の研
磨面を円筒面におけるスリットの開口より隠蔽する機構
を内蔵した研磨工具にあって、調整棒の円錐状斜面が、
該円錐状斜面を形成する少なくとも一つの円筒の背面
に、円錐状窪みを設けて一方の係合部とし、円錐状斜面
に接する砥石付摺動子の半径方向の摺動に支障のないよ
うに、該摺動子の底辺の一部に円錐状窪みの傾斜角度と
一致する別の係合部を形成して両係合部を組合せ、両係
合部の係合関係が研磨工具を研磨盤から外さない限り解
けない構造としたことを特徴とする研磨工具からの砥石
付摺動子の脱落防止構造である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、研磨工具が内蔵する摺
動子の飛び出し防止に、外装の係止リングを必要としな
い構造であることを特徴とし、該構造は工具本体内に挿
入した複数の円錐状斜面を持つ調整棒と摺動子との間
に、該摺動子の半径方向の円滑な動きを阻害しない係合
部を夫々に備えたことにあり、該係合部により摺動子は
研磨工具を研磨盤から外さない限り係合状態が解除され
ることがない。
【0016】摺動子の半径方向の動きは、該摺動子の底
辺が調整棒の円錐状斜面に接することにより、該調整棒
の動きを円錐面を介して摺動子に伝える結果であり、本
発明においてもこの動き自体は変わらないが、この動き
を伝える側の複数の円錐状斜面を持つ調整棒の一部を利
用し、該調整棒の最初の円錐状斜面につながる円筒部の
背面に円錐状窪みを形成し動きを伝える側の係合部とし
た。
【0017】動きを受ける側の摺動子の底辺に備えた係
合部の形状が、該摺動子の砥石付着面に平行な底辺の中
央を切徐して開口部を設け、該開口部を挟む両側に前記
底の一方の中央寄り、他方を外端寄りに位置するように
一部を残し、他の部分を調整棒の円錐状斜面と同角度で
接する斜面に仕上げ、且つ摺動子が半径方向に摺動の際
に、調整棒に備えた円錐状窪みの外周端部と摺動子の底
辺との間に干渉なきように、前記開口部に逃げを設けて
鉤状突起とし先端角度を円錐状窪みの角度とした。
【0018】その結果、調整棒を工具本体の内に向けて
進め(後退)ると、砥石付摺動子はスリットの最も内部
に位置し、その段階では円錐状窪みと摺動子の両係合部
は密着し、また調整棒の円錐状斜面と摺動子の底辺の両
斜面も接触を保つが、砥石付摺動子のスリット内での嵌
合状態は、半径方向に円滑な動きに必要な遊び以外を残
さぬ程度に仕上げる。
【0019】逆に調整棒を工具本体の外に向けて進め
(前進)ると、調整棒の円錐状斜面が摺動子の底の斜面
を押し上げ、砥石付摺動片は円筒面のスリット外側に向
けて移動を始め、円錐状窪みと摺動片の底辺の鉤状突起
の係合状態が密着から緩み半径方向に対する隙間を増加
し、砥石が被研磨物に接触するまで砥石付摺動子はスリ
ット内を半径方向に移動する。
【0020】調整棒の円筒部背面に備えた円錐状窪みと
摺動子の鉤状突起との係合関係は、研磨工具を研磨盤に
装着した状態では回転・停止や研磨・非研磨を問わず、
また研磨工具を研磨盤から外した状態でも限度以上に調
整棒を移動しない限り、いずれの場合も解けることはな
く、スリットから摺動子が脱落することがない。
【0021】その結果、係止リングの必要性が失われ、
従来の係止リング付研磨工具が持つ第一の問題である工
具本体のスリット部分の溝の解消に伴う断面積の増加に
より強度を向上したので工具自体の設計にゆとりを増
し、第二の問題は摺動子の長さ方向を全面的に利用可能
とし、砥石の長さに加えて厚みの増加も可能としたので
耐用時間を増し、第三の問題は係止リングを排除したの
で交換作業がなくなり、加工対象物の入替え時も研磨工
具を常時回転状態におくことを可能とした。
【0022】
【作用】本発明の研磨工具は研磨盤から外しても、工具
本体内で調整棒と摺動子との係合関係を解除しない限
り、また装着中ではいかなる状態でも決して摺動子が研
磨工具から抜け落ちない。
【0023】
【実施例】図1は研磨工具2の組立斜視図で、図中のイ
が研磨盤の主軸と接続する部分、ロが主軸内を通り研磨
盤が内蔵する調整機構に接続する部分を示し、研磨工具
2は図2〜5に示すように工具本体3と調整棒4と砥石
5付摺動子6と触子7及び連結棒8で構成し、係合部は
調整棒4と摺動片6とに内蔵するので、係合状態を研磨
工具2の外側から直接見ることはできない。
【0024】図2(A,B)は工具本体3を、図3は調
整棒4を、図4(A,B,C)は砥石5付摺動子6を個
別に取り出して示し、図5で砥石5付摺動子6が最も内
部に位置する状態の研磨工具2を、図6で砥石5付摺動
子6が最も外部に位置する状態(稼働状態)の研磨工具
2を、図7で研磨終了にともなう砥石5付摺動片6が後
退を開始する寸前の状態を夫々示し、図5,6,7の各
図で工具本体3内での調整棒4と砥石5付摺動子6の動
作を説明するが、研磨工具2自体は縦・横何れの主軸を
持つ研磨盤に使用しても問題はなく、説明も変わらな
い。
【0025】図2(A)で工具本体3の正面図を、該図
のa−a線に沿う断面を展開した側面図を同図(B)に
夫々示すように、工具本体3は円筒11に内筒13を有
し、該円筒の一端には主軸との接続端を持つ小円筒12
を備え、該小内筒も内筒13と接続し同心の内筒14を
備え、他端には開口部19を備えた円筒11の円周面を
六等分した位置に方形状のスリット15を内筒13まで
貫通する。
【0026】円筒11の外周面に備えたスリット間に挟
まれた部分には、逆の曲面を付加し最深部に浅いスロッ
ト16を刻み、対称的な位置関係にある二本のスロット
に、触子7を本体側に備えた通気孔17の出口17Aと
触子7に設けた孔18とが一致するように接着材等で固
定し、該両触子外面を所要の曲率に研磨し、他のスロッ
ト16は研磨液の逃げ溝として使用するが、スロットと
スリットの数については六個に限定されることはない。
【0027】二本の触子7の外面は加工対象物1(図5
参照)の内面と直接の接触はなく、通気孔17を経由し
孔18から加圧空気を出すエアーマイクロメータの触子
として働き、該触子外面と加工対象物の内面の隙間を計
測し、その値により図3に示す調整棒4を接続した連結
棒8を研磨盤側から動かし制御するが、該制御自体は本
発明とは関係なく説明は省略する。
【0028】図3は内筒13内を摺動する調整棒4を示
し、調整棒4は各々の斜面角度αを22.5°とする斜
面21,22を備えた円筒部23,24と、円錐状斜面
22先端と円筒部23との間を小径の軸でつなぎ、円筒
部23の背面に斜面角度βを45°とする円錐状窪み2
5を設け、該円錐状窪みは円筒部23外面から斜面への
切り込みを鋭利に仕上げ、小孔26は円筒部27に備え
たネジ穴28に連結棒8(図5参照)を接続する際の回
り止め用である。
【0029】調整棒4の円錐状斜面21,22の角度α
は目的・条件に合わせ5〜35°の範囲から選択し、同
様に円錐状窪み25の角度βは角度αよりも大き目とし
て、角度差β−αを5〜35°の範囲から、好ましくは
15〜25°の範囲から選択することが望ましく、両円
錐斜面の断面形状も直線に限らずクラウン付としても段
付としてもよい。
【0030】図4は砥石5付摺動片子6で、同図(A)
では正面図を、同図(B)では側面図を、同図(C)で
は底面図を夫々に示し、正面図の方形断面の底辺31を
上辺33の幅の3/10とし、該底の幅両端から垂線に
対し各々30°で切上げた角度γを60°とし、両側面
32がスリット15の内面と接触する。
【0031】側面図での摺動子6は、後述の比較例に示
すように係止リングの溝を必要としないので、上辺33
の全長に渡り砥石5の接着が可能となり、摺動子6が係
止リングにより占められていた研磨に対する無効部分が
なくなるので、先に説明した係止リング式と同一長さの
摺動子に較べて、砥石の有効研磨長を増加することがで
き、他に工具本体3の全長の短小化が可能になった。
【0032】摺動子の底辺31には調整棒4の円錐状斜
面に対応する二箇所を、該円錐状斜面の傾斜角度αに合
わせ、底辺31の一部を残して斜面35,36を形成
し、斜面35,36の間に開口部37と逃げ38を持つ
鉤状突起39を設け、該鉤状突起の先端角度を調整棒4
の円錐状窪み25の傾斜角度βに合わせ、図3(C)の
底面図で見るように、この角度の付与部分に丸みを付し
鉤状突起39の厚みを底辺31の厚みより薄くする。
【0033】調整棒4と摺動子6との係合関係は本実施
例に限定されることはなく、底31の厚みは上辺33の
幅の10〜50%の範囲から選択し、鉤状突起39の厚
みは底辺31の幅の50〜90%範囲から選択し、接触
部分の形状・寸法等の条件に合わせて得られる形状とす
ればよく、角度γについても摺動子6とスリット15の
関係によりきめればよい。
【0034】図5(A)では、加工対象物1内に挿入し
た調整棒4が最も後退し砥石5付摺動子6が最も内部に
位置する状態の研磨工具2の正面図を、同図(B)では
同図(A)のb−b線に沿う断面を展開した側面図を示
し、この段階では調整棒4の端27Aが内筒13の奥1
3Aに近(Lで示す)づくと、円錐状窪み25の中心部
に摺動子6の鉤状突起39の先端が密着し、摺動子6は
スリット15の最も内寄りに位置し、砥石5の上面は円
筒11面に付着した触子7の外周面以下か僅かに突出す
る状態に保たれる。
【0035】また調整棒4の円錐状斜面21,22と摺
動子6の斜面35,36とは密着に近く、摺動子6とス
リット15との嵌合関係を両者の円滑な動きを妨げない
範囲に仕上げるので、摺動子6はスリット15内で円筒
11の半径方向の摺動の際に遊びは殆どなく、研磨工具
2が回転しても調整棒4と摺動子6との係合関係は解け
ることがないので、摺動子6がスリット15内から遠心
力で飛び出す恐れは鉤状突起39が折損しない限り起ら
ない。
【0036】調整棒4が連結棒8に押され工具本体3の
開口部19に向い摺動を始めると、円錐状斜面21,2
2に対応する摺動子6の斜面35,36を半径方向の外
側に押し出し、摺動片6はスリット15の内壁に沿い移
動し、砥石5を加工対象物1の方向に動かすが、摺動を
始めた時点で円錐状窪み25と摺動子6の鉤状突起39
先端の密着状態は解除され隙間を生ずるが、円錐状窪み
25の中に鉤状突起39が十分に挿入しているので係合
関係が持続する。
【0037】図6は、加工対象物1の内面と砥石5が接
触し研磨状態にある研磨工具2を示し、研磨盤の制御機
構に接続された連結棒8の動きにより、調整軸4の端2
7Aと内筒13の奥13Aとの間(L1 で示す)は開
き、この段階で砥石5を研磨に必要な強さで加工対象物
1の内壁に押し付けた状態となり、研磨加工の進捗は円
筒11に設けた通気孔17を経由する加圧空気を触子7
の孔18から噴出すると、触子7はエアーマイクロメー
タとして働き、該触子外面と加工対象物1との内面の隙
間を計測して研磨盤側から調整棒4の出入りを制御す
る。
【0038】研磨工具2は上方から冷却と潤滑を兼ね研
磨により発生した研削粉を除去する研磨液を流す際に、
触子7を付着しないスロット16より相当量の研磨液を
逃がすとしても、エアーマイクロメータの触子7は回転
時に激しく前記研磨液の一部と衝突する悪条件下に置か
れることには変わりなく、予測される触子7の磨耗防止
のために超鋼を使用する。
【0039】研磨終了の時期は、エアーマイクロメータ
で検知することも可能ではあるが、半径方向の有効検出
量が小さくまた研磨の過程を知る必要がない時は、円筒
11に連続する小円筒12の外周に、外径を加工対象物
1の内径の研磨目標値に仕上げた定寸プラグ(図示せ
ず)と呼ばれる中空円筒を研磨工具2に外装することに
より、該定寸プラグが研磨の進捗に伴い加工対象物1の
研磨面に落下することで終了を検知する方法が採られ
る。
【0040】研磨が終了すると図7に示すように連結棒
8の動きにより調整棒4は後退し、円錐状斜面21,2
2は対応する摺動子6の斜面35,36との接触を解除
し、摺動子6をスリット15の中に残して後退を続け円
錐状窪み25の外周に近い内側に鉤状突起39先端が係
合する時点、即ち調整軸4の端27Aと内筒13の奥1
3Aとの間(L2 で示す)が縮小した時に、初めて摺動
子6はスリット15の内面に引き込まれ砥石5は加工対
象物1の内壁から離れる。
【0041】研磨工具2が加工対象物1の外部にある時
に、調整棒4が十分に内筒13の奥くに引き込まれてい
ない状況で、研磨工具2が回転をすると遠心力により、
摺動子6の斜面35,36は対応する調整棒4の円錐状
斜面21,22から離れ、摺動子6は円錐状窪み25と
鉤状突起39の先端とが係合するところまで、スリット
15内に沿い半径方向に遊び代だけ移動するが飛び出す
ことはない。
【0042】研磨盤が縦形ではなく横形の場合に、研磨
工具2が加工対象物1の外部にあり研磨工具2が回転し
ている時は、調整棒4が内筒13内に十分に引き込まれ
ていてもいなくても状況は縦形と変わらないが、研磨工
具2が停止している時で引き込みが十分でないときは、
スリットに納まった下向きの摺動子6が重力により係合
部の遊び代だけズリ出ることになる。
【0043】調整棒4と摺動子6との係合部分における
の遊び代は、調整棒4の円錐状斜面21,22の傾斜角
度αと円錐状窪み25の傾斜角度βとの関係により決ま
り、両者の傾斜角度が同一であれば遊びもなくなり最も
好ましいが、加工が格段に難しくなるので好ましい条件
とはいえず、後者の傾斜角度を前者より大きい目として
おくのがよい。
【0044】上記の研磨工具2は、調整棒4と摺動子6
の双方に耐久性に富む係合部と、実質的研磨面積と容積
を増した砥石を備えたので、研磨工具2の装着・整備等
の手間の減少や安全の確保と工具の損傷防止並びに工具
の短小化を可能とし、砥石の耐用時間を著しく増加し、
その結果研磨工具を止める必要がなく加工対象物を連続
供給できる場合は研磨盤の稼働率の向上が計れた。
【0045】研磨工具2から摺動子6を外すためには、
研磨盤から外した状態で調整棒4を十分に開口部19に
向けて移動させれば、調整棒4と摺動子6の係合関係は
全て解除され、スリット15から摺動子6を取り出すこ
とが出来る状態となり、この逆の順序に従えば容易に係
合関係を構築することができるので、組立と分解が楽で
ある。
【0046】
【比較例】図8(A)は従来方式による研磨工具52の
正面図を、該図のc−c線に沿う断面を展開した側面図
を同図(B)に夫々示し、研磨工具52は工具本体53
と調整棒54と砥石55付摺動子56と触子57と連結
棒58及び係止リング59で構成し、この構成自体は実
施例と較べた際に、双方から係止または係合手段を除け
ば基本的には変わらない。
【0047】工具本体53の円筒61は内筒63を有
し、該円筒の一端には主軸との接続用小円筒62を備
え、該小内筒も内筒63と接続し同心円である内筒64
を備え、他端は円筒61の円周面を均等に六分割して方
形状のスリット65を内筒63までを貫通し、該スリッ
トの前後で交錯するように係止リング59を嵌め込む環
状溝61Aが刻まれている。
【0048】調整棒54と摺動子56との間には直接の
係合関係を持たないので、研磨工具52が加工対象物5
1の外部で回転すると、スリット65内から遠心力によ
り摺動子56が飛び出すので、円筒61のスリット65
上に設けた溝61Aを利用して、係止リング59を挿入
し摺動子56の両端を抑えて飛び出しを防止する。
【0049】この係止リング59には、Oリングやピア
ノ線材等を紐状スプリングに加工しリング状に結束した
もの等を使用するが、いずれも比較的短時間の内に前者
は部分的に弾性力を失ない伸びが進み、後者は部分的に
延びて復元不能な塑性変形を起こし、長時間の使用に耐
えず毎回、係止リング59の取り換えを必要とする場合
が発生することもある。
【0050】その原因は、係止リング59が外装状態の
ために、摺動子56がスリット65からの突出によりリ
ングを局部的に鋭角状に引き伸ばした儘、研磨工具52
の上方から冷却と潤滑を兼ねて、研磨により発生した研
削粉を除去する研磨液が流れるので、触子70を付着し
ないスロット66から相当量の研磨液を逃がしても、回
転時に激しく前記研磨液に衝突する悪条件下に置かれ
る。
【0051】また研磨工具52が加工対象物51の外部
で回転すると、摺動子56に過大な遠心力が働き、その
力が係止リング59の抑止力を超えて該係止リングを切
断することも起りうるので、安全のために回転を低く抑
えるか停止する必要があり、かかる動作により係止リン
グ59自体の寿命を損じ、再々交換のために研磨盤の停
止を必要とし稼働率の低下を引き起こす。
【0052】工具本体53の円筒61上に刻む溝61A
は、該溝と直交するスリット65の部分の断面の強度を
低下するので、使用中の捩じれに対する強度を低下しビ
ビリ等の振動の原因にもなり許容回転数に対する制限を
生じ、通気孔67の位置にも関係して研磨工具52の設
計に対して大きな影響を与える。
【0053】研磨工具52の軸方向に対する摺動子56
の長さは、両端を係止リング59に占拠されるので、接
着出来る砥石55の長さが短く有効研磨面積を減少し、
また半径方向に対しては係止リング59と加工対象物5
1の接触の問題があるので、砥石55の厚みを有効に使
用できないので、研磨に有効に働く砥石55の容積はよ
り小さくなる。
【0054】係止リング59の代わりに金属リングまた
は金属片を、スリット上に挿入するか固定して摺動片5
6の飛び出しを抑える方法(図示せず)もあるが、この
方法では金属リングまたは金属片に弾性が乏しく、摺動
子56の形状と動きが著しく制限されることになるの
で、弾力性のある係止リング59の方法と較べても優劣
は余り認められない。
【0055】
【発明の効果】本発明の研磨工具の使用により下記の効
果を得た。 研磨工具が内蔵する調整棒と摺動子とに夫々係合部を
設け、消耗度の高い外装係止リングの使用を排除したの
で、研磨工具の装着・整備等の手間が大幅に減少した。 研磨工具を加工対象物の外部で回転しても摺動子が飛
び出す心配が全くなくなり、安全の確保は勿論のこと工
具の損傷防止に役立った。 外装係止リングを排除したことにより工具本体上の係
止リング溝がなくなり、スリット部分の強度向上と短小
化を可能とし、摺動子の長さを全面的に活用による大き
な砥石の使用が可能となり砥石の耐用時間を増加した。 研磨工具を止める必要がなく、加工対象物の連続供給
ができる時は研磨盤の稼働率が一段と向上した。 係合部の存在にもかかわらず組立・分解は容易であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 研磨工具の組立斜視図である。
【図2】 工具本体に係る図で(A)は正面図を(B)
は(A)のa−a線に沿う断面を展開した側面図であ
る。
【図3】 調整棒の側断面図である。
【図4】 砥石付摺動子に係る図で(A)は正面図を
(B)は側面図を(C)は底面図を示す。
【図5】 停止中の研磨工具に係る図で(A)は正面図
を(B)は(A)のb−b線に沿う断面を展開した側面
図である。
【図6】 稼働中の研磨工具に係る図で〔図5〕(A)
を基準とする側面の断面図である。
【図7】 砥石の引き込み開始時点の研磨工具に係る図
で〔図5〕(A)を基準とする側面の断面図である。
【図8】 従来方式の係止リングを使用した研磨工具に
係る図で(A)は正面図を(B)は(A)のc−c線に
沿う断面を展開した側面図である。
【符号の説明】
2 研磨工具 3 工具本体 4 調整棒 5 砥石 6 摺動子 7 触子 11 円筒 12 小円筒 13,14 内筒 15 スリット 16 スロット 21,22 円錐状斜面 23,24 円筒 25 円錐状窪み 31 底辺 33 上辺 35,36 斜面 39 鉤状突起

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具本体(3)の一端に研磨盤に装着す
    る接続端を備え、他端に砥石(5)付摺動子(6)を格
    納するスリット(15)を円筒(11)に備え、該円筒
    の内筒(13)の中に摺動子(6)の底辺(31)に接
    する円錐状斜面(21,22)を持つ調整棒(4)を軸
    方向に摺動可能に挿入して、該調整棒の摺動行為により
    スリット(15)内に挿入した砥石(5)付摺動子
    (6)を半径方向に移動し、前記砥石の研磨面を円筒面
    におけるスリット(15)の開口より隠顕させる機構を
    内蔵した研磨工具(2)にあって、 調整棒(4)の円錐状斜面(21,22)が、該円錐状
    斜面を形成する少なくとも一つの円筒(23)の背面
    に、円錐状窪み(25)を設けて一方の係合部とし、円
    錐状斜面(21,22)に接する砥石(5)付摺動子
    (6)の半径方向の摺動に支障のないように、該摺動子
    の下面の一部に円錐状窪み(25)の傾斜角度と一致す
    る別の係合部を形成して両係合部を組合せ、両係合部の
    係合関係が研磨工具(2)を研磨盤から外さない限り解
    けない構造としたことを特徴とする研磨工具からの砥石
    付摺動子の脱落防止構造。
  2. 【請求項2】 摺動子(6)の底辺に備えた係合部の形
    状が、該摺動子の砥石(5)の付着面(33)に平行な
    底辺(31)の中央を切除して開口部(37)を設け、
    該開口部を挟む両側に前記底辺の一方を中央寄り、他方
    を外端寄りに位置するように一部を残し、他の部分を調
    整棒(4)の円錐状斜面(21,22)の傾斜角度と同
    一の斜面(35,36)に仕上げ、摺動子(6)が半径
    方向に摺動の際に、調整棒(4)に備えた円錐状窪み
    (25)の外周端部と摺動子(6)の底辺(31)との
    間に干渉なきように、前記開口部に逃げ(38)を設け
    て鉤状突起(39)とし、先端角度を円錐状窪み(2
    5)の角度と一致せしめたことを特徴とする請求項1に
    記載の研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造。
  3. 【請求項3】 調整棒(4)に備えた複数の円錐状斜面
    (21,22)が、軸心となす各角度αを20〜40°
    の範囲から選択したことを特徴とする請求項1か2に記
    載の研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造。
  4. 【請求項4】 調整棒(4)に備えた円錐状窪み(2
    5)の軸心となす角度βと摺動子(6)に備えた鉤状突
    起(39)の先端角度を同一のβとして、角度βを30
    〜50°の範囲から選択し、両角度の差β−αを10〜
    30°の範囲から選択したことを特徴とする請求項1か
    ら3の何れかに記載の研磨工具からの砥石付摺動子の脱
    落防止構造。
JP7049897A 1997-03-06 1997-03-06 研磨工具からの砥石付摺動子の脱落防止構造 Pending JPH10249705A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100712349B1 (ko) * 2000-03-06 2007-05-02 가부시키가이샤 아트라이즈이나켄 세정기능을 내장한 연삭공구

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