JPH10248567A - フォーミーウイルスエンベロープタンパク質の発現 - Google Patents

フォーミーウイルスエンベロープタンパク質の発現

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JPH10248567A JP9102349A JP10234997A JPH10248567A JP H10248567 A JPH10248567 A JP H10248567A JP 9102349 A JP9102349 A JP 9102349A JP 10234997 A JP10234997 A JP 10234997A JP H10248567 A JPH10248567 A JP H10248567A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくとも1種の修飾フォーミーウイルスエ
ンベロープタンパク質を含むタンパク質を安定して発現
する構築物の提供。 【解決手段】 本発明は、少なくとも1種の修飾フォー
ミーウイルス(FV)エンベロープタンパク質を含むタ
ンパク質の発現用構築物、それによって得られるタンパ
ク質、及び偽型ウイルス粒子を産生することが可能な補
完細胞系に関する。前記粒子を含有する医薬組成物及び
疾病の治療方法にも関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも1種の
修飾フォーミーウイルス(FV)エンベロープタンパク
質を含むタンパク質の発現用構築物、それによって得ら
れるタンパク質、及び偽型ウイルス粒子を産生すること
が可能な補完細胞系に関する。前記粒子を含有する医薬
組成物及び疾病の治療方法にも関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】レトロウ
イルス科のサブグループであるフォーミーウイルス(F
V)はそのユニークな複製法と遺伝子移入ベクターとし
ての潜在的用途により科学的関心を集めている(3
5)。FVは、例えばヒト集団にFV抗体が存在せず、
自然FV感染が良性経路を辿り、宿主細胞範囲が非常に
広く、FVゲノムの寸法によりパッケージング限度が拡
がるなどのこのウイルス群の固有の性質により、遺伝子
送達システムの開発に理想的なツールであり得ると記載
されている(4,30,32)。しかし、このウイルス
群の分子生物学情報は限られているため、特にマウスレ
トロウイルスに由来するもののように安全なパッケージ
ング細胞系及びベクターは開発されていない(27)。
他えば、FVゲノムは複雑な構造をもつ2本鎖DNAで
ある。LTR(長い末端反復配列)、パッケージング領
域並びにgag、pol及びenv遺伝子に加え、en
vと3’LTRの間に位置するbel1、bel2、b
el3、bet、beo及びbes等の数個の遺伝子も
含む。env遺伝子は130kDaグリコシル化前駆物
質をコードし、この前駆物質を切断すると、表面(S
U)及び膜貫通(TM)タンパク質を生じる(図1参
照)。更に、FVはスプライスしたmRNAからGag
タンパク質とは別にそのPolタンパク質を発現し、F
Vゲノムパッケージング及び粒子アセンブリのメカニズ
ムや、細胞外粒子に多量の逆転写DNAが存在する意味
は殆ど分かっていない(10,18,39)。他のユニ
ークな特徴としては、Gag前駆物質タンパク質の核局
在(31,40)や、恐らくERにEnv前駆物質タン
パク質が保持される結果として主に細胞質内小胞に出芽
すること(13)などが挙げられる。
【0003】モロニーのレトロウイルス系遺伝子移入ベ
クターは現在主要なビークルであり、多種多様な細胞型
に高い効率で安定に遺伝子を移入することができる(2
0)。このベクター系の最大の欠点は、宿主細胞範囲が
限られており、ヒト細胞に感染できない場合もある点で
ある((1)で報告)。最近、水疱性口炎ウイルス糖タ
ンパク質(VSV−G)(6,38)又はテナガザル白
血病ウイルス(GALV)エンベロープタンパク質
(2,34)等の外来エンベロープタンパク質による偽
型化を用いた数種の方法でこれらの欠点を克服できるこ
とが判明した。
【0004】しかし、例えばVSV−Gの発現は産生細
胞に高毒性であり、安定なVSV−Gパッケージング細
胞系を作製することはできなかった(8,22,3
7)。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明は少なくとも1種の修飾FVエンベロープタンパク
質を含むタンパク質の発現用構築物に関する。
【0006】本発明による好適FVはヒトフォーミーウ
イルス(HFV)であるが、他のウイルス(例えばサル
FV)も使用できる。
【0007】修飾は、上記修飾FVエンベロープ(en
v)タンパク質の1もしくは数個のアミノ酸(aa)の
突然変異、欠失、置換及び/又は付加の少なくとも1種
又はその組み合わせから構成され得る。このような修飾
は細胞質尾部(cytoplasmictail)に導入するのが好ま
しい。有利には、修飾FVエンベロープタンパク質はa
a975又はより好ましくは981で切断されている。
切断(truncation)は終止コドンまで延びていてもよい
し、あるいは場合により原FV envタンパク質の1
又は数個の残基を終止コドンの前に含んでいてもよい。
更に、本発明の構築物は、成熟修飾FVエンベロープタ
ンパク質又はその前駆物質又は種々の起源の配列の融合
により得られるキメラタンパク質を発現することができ
る。
【0008】特に好適な態様では、本発明で使用される
修飾FV envタンパク質は非FVレトロウイルスエ
ンベロープタンパク質の全部又は好ましくは一部を更に
含む融合タンパク質である。適切な非FVレトロウイル
スの例としては、ニワトリレトロウイルス、ウシレトロ
ウイルス、ネコレトロウイルス、マウスレトロウイルス
(例えばマウス白血病ウイルス(MuLV)、特にモロ
ニーMuLV(MoMuLV)、フレンドマウス白血病
ウイルス(FrMuLV)、特にFB29株、マウス肉
腫ウイルス(MSV))、霊長類レトロウイルス(例え
ばGaLV、VSV、又は例えばHIV(ヒト免疫不全
ウイルス)もしくはSIV(サル免疫不全ウイルス)等
のレンチウイルス)が挙げられる。
【0009】特に好適な態様では、本発明によるタンパ
ク質は、細胞質ドメインの全部又は一部が非FVレトロ
ウイルスエンベロープタンパク質、特にMuLVエンベ
ロープタンパク質の細胞質ドメインの全部又は一部で置
換されたHFVタンパク質エンベロープから構成され
る。有利には、融合タンパク質はMuLV細胞質ドメイ
ンを修飾HFVエンベロープタンパク質と融合すること
により構成される。本発明で使用されるMuLV細胞質
ドメインはプロセシングされていてもよいし、プロセシ
ングされていなくてもよい。「プロセシングされてい
る」とは、対応するレトロウイルスプロテアーゼにより
通常認識される開裂部位を含むことを意味し、「プロセ
シングされていない」とはこのような部位を含まないか
又は機能的でない(突然変異、欠失又は截断)ことを意
味する。
【0010】本発明の好適構築物は、以下の文中でHF
V Δ2MuLVと呼ぶ融合タンパク質を発現させるこ
とが可能な構築物である。
【0011】本発明の構築物は、FV envタンパク
質をコードする配列中に天然に存在するドナー及び/又
はアクセプタースプライシング部位を突然変異させたも
のでもよい。
【0012】本発明の構築物は、修飾FV envタン
パク質をコードする配列を転写及び翻訳できるように調
節エレメントを含み得る。特に、FV envをコード
する配列の上流に慣用組換え技術により適切なプロモー
ターを作動的に連結することができる。このようなプロ
モーターは原核、真核又はウイルスのいずれの起源でも
よく、構成性でも調節性でもよい。このような調節エレ
メントは当業者に周知である。
【0013】本発明の構築物は修飾FV envタンパ
ク質を発現する細胞の検出及び単離を可能にする選択遺
伝子を更に含んでもよく、このような態様も本発明の範
囲内である。本発明の関連では、選択遺伝子は修飾FV
envタンパク質の発現を誘導して2シストロン転写
物を生じるプロモーターの転写制御下に置いてもよい
し、付加的プロモーター領域の制御下に置いてもよい。
考えられる選択遺伝子は多数あり、例えば抗生物質G4
18に対する耐性を与えるneo遺伝子、ジヒドロ葉酸
レダクターゼ(dhFr)遺伝子、ピューロマイシンア
セチルトランスフェラーゼ(pac)遺伝子又はキサン
チンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)遺伝
子が挙げられる。
【0014】本発明の構築物は任意の適当なベクター、
ウイルスベクター(例えばレトロウイルスベクター)又
はプラスミドに挿入することができる。適当なベクター
の選択肢は広く、当業者の能力の範囲内である。このよ
うなベクターは組込み型でもよいし、そうでなくてもよ
い。複製適合性(competent )ウイルス粒子を生じる可
能性を減らすためには、構築物がレトロウイルスLTR
とパッケージング領域を欠損していると有利である。
【0015】本発明は上記発現構築物により発現される
融合タンパク質及びFV envタンパク質を含む偽型
(pseudotyped )ウイルス粒子にも関する。FV en
vタンパク質は天然FV envタンパク質、その一部
又はその修飾物から誘導することができる。好適態様で
は、偽型ウイルス粒子は本発明による構築物により発現
される修飾FV envタンパク質をその表面に含む。
本発明の偽型ウイルス粒子は、組換えレトロウイルスベ
クターを補完(complementation )細胞系にトランスフ
ェクトすることにより作製することができる。このよう
な技術は公知であり、多数の従来技術文献に記載されて
いる。本発明で使用されるレトロウイルスベクターは、
上記のような任意のレトロウイルスに由来する少なくと
も5’LTR、パッケージング領域及び3’LTRと、
更に目的ポリペプチドを産生するためにリボザイム、ア
ンチセンスRNA分子又はmRNAを発現することが可
能な遺伝子を含む。非限定的な例としてサイトカイン
(IL−2、IFNα、β又はγ)、1型単純ヘルペス
ウイルス(HSV−1)、チミジンキナーゼ(TK)、
嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンスレギュレーター(D
FTR)、ジストロフィン、凝固因子(FVIII、F
IX等)、腫瘍関連抗原(MUC−1、HPV抗原)、
抗体、イムノトキシン及び抗HIV薬剤等の治療用ポリ
ペプチドが特に有用である。
【0016】本発明の別の目的は、偽型ウイルス粒子を
産生することが可能な補完細胞系及び前記ウイルス粒子
の製造方法を提供することである。
【0017】本発明の補完細胞系は任意の細胞、特に真
核細胞に由来し得る。例えばマウス細胞系、医薬的に許
容可能な細胞系(Vero、CHO等)又はヒト細胞系
(例えば293)が考えられる。このような細胞系は本
発明による構築物を第1の選択遺伝子とともにトランス
フェクトすることにより作製することができる。その
後、FV envに対する抗体を用いる免疫検出、ウェ
スタンブロット、FACS(蛍光活性化セルソーター)
又は他の任意の方法により、env産生能の最も高い細
胞が高レベルのFV envタンパク質の発現に対して
スクリーニングされる。あるいは、本発明の補完細胞系
は、第1の選択遺伝子とは異なる第2の選択遺伝子と共
に、より好ましくはMuLV、FB29又はHFVのレ
トロウイルスgag/pol遺伝子を発現する構築物を
更に含んでいてもよい。好ましくは、env及びgag
/pol遺伝子はLTR及びパッケージング領域をもた
ない別個の発現ベクターに担持される。選択及びスクリ
ーニング段階を繰り返し、gag/pol発現産物をも
発現するenv産生クローンを選択する。
【0018】本発明の補完細胞系は組換えレトロウイル
スベクターをパッケージングするために使用することが
できる。第1及び第2の選択遺伝子とは異なる第3の選
択遺伝子又は潜在(musked)遺伝子(例えばLacZ)
を発現する慣用レトロウイルスベクターを使用して力価
を試験することができる。その結果、高力価の偽型ウイ
ルス粒子を産生する細胞を選択し、安定な補完細胞系を
提供するように培養することができる。細胞は通常実施
されているように後記方法で一過性試験してもよい。
【0019】本発明の別の態様によると、本発明の偽型
ウイルス粒子の製造方法が提供される。このような方法
は、(1)本発明の補完細胞系に組換えレトロウイルス
ベクターを導入する段階と、(2)前記偽型ウイルス粒
子の産生を可能にする適切な条件下で前記補完細胞系を
培養する段階と、(3)細胞培養物から偽型ウイルス粒
子を回収する段階を含む。
【0020】好ましくは、偽型ウイルス粒子は細胞培養
物上清から回収されるが、細胞溶解工程も考えられる。
慣用技術(例えばスクロース又はClCs勾配での超遠
心分離)により偽型ウイルス粒子を更に精製してもよ
い。有利には、こうして製造した偽型ウイルス粒子は
(好ましくはポリブレンの不在下で)多種多様の細胞に
感染することができ、場合によってはヒト血清による失
活を阻止することができる。
【0021】本発明の別の態様によると、本発明の偽型
ウイルス粒子に感染した哺乳動物宿主細胞も提供され
る。このような宿主細胞の非限定的な例としてはヒト上
皮細胞、肺細胞、筋細胞、肝細胞、造血細胞、繊維芽細
胞及びリンパ球が挙げられる。
【0022】本発明の感染性偽型粒子及び哺乳動物細胞
はワクチン又は治療薬として種々の疾病の予防又は治療
に利用できる。
【0023】本発明の別の目的は、治療又は予防に有効
な量の本発明の偽型ウイルス粒子及び哺乳動物細胞を治
療薬として含有する医薬組成物を提供することである。
このような医薬組成物は慣用方法で製造することができ
る。特に、本発明の粒子又は哺乳動物細胞をキャリヤ
ー、希釈剤、アジュバント又は賦形剤等の当該技術分野
で周知の適当な物質と組み合わせることができる。医薬
組成物の特定組成は例えば発現させようとする目的ポリ
ペプチド、所望の作用部位、投与方法及び治療対象等の
種々のパラメーターによって異なる。このような組成は
当業者が通常の知識によって決定できる。
【0024】本発明の最後の態様によると、遺伝病又は
任意の病原遺伝子により誘発される疾病(例えば癌又は
ウイルス誘発病)の治療方法も提供され、該方法は治療
を必要とする対象に治療に有効な量の本発明の偽型ウイ
ルス粒子及び哺乳動物細胞を投与することを特徴とす
る。
【0025】本発明の上記及び他の目的は以下の実施例
及び添付図面から容易に理解されよう。但し、これらの
態様は本発明の全範囲を網羅するものではない。
【0026】特に、マウス白血病ウイルス(MuLV)
粒子へのヒトフォーミーウイルス(HFV)エンベロー
プタンパク質の取込みは、一過性トランスフェクション
パッケージングセルシステムで試験した。ここで、効率
は低いが、野生型HFVエンベロープタンパク質でMu
LV粒子を偽型化できることを報告しておく。HFV細
胞質尾部を完全又は部分的に除去すると、HFVに仲介
される感染性が失われるか又は低下し、MuLV粒子の
偽型化におけるHFVエンベロープ細胞質尾部の役割が
予想された。HFVエンベロープ細胞質尾部に存在する
ER保持シグナルを突然変異させても偽型レトロウイル
スベクターの相対感染性は増加しなかった。他方、プロ
セシングされていないMuLVエンベロープ細胞質ドメ
インを截断HFVエンベロープタンパク質に融合したキ
メラエンベロープタンパク質は、MuLV粒子へのキメ
ラエンベロープタンパク質の取込みの増加の結果として
高いHFV特異的感染性を示した。
【0027】以下、非限定的な実施例により本発明を更
に説明する。
【0028】
【実施例】全構築は、T.Maniatisら,Mol
ecular cloning:a laborato
ry manual,Cold Spring Har
bor,NY 1982に記載されているような標準組
換えDNA技術を使用することにより実施する。細胞系
はATCC等の菌寄託機関から入手でき、標準条件で培
養する(NIH3T3:CRL1658、Mv.1.L
u:CCL64、HT1080:CCL121、BHK
21:CCL10、QT26:CRL1708及び29
3:CRL1573)。HFV envタンパク質の配
列は既に公知である。
【0029】1.FV env発現構築物の作製 完全長envオープンリーディングフレーム(ORF)
を含むHFVプロウイルスクローンpHSRV1(2
8)の3076bp AflII/EcoRIフラグメ
ントをpCDNA3(Invitrogen)ベクター
に挿入することにより、ヒトFV単離体(HFV)のエ
ンベロープ遺伝子の真核発現構築物を作製した。この構
築物をpCHFV wtと名づけ、図1に示す突然変異
及びキメラHFVエンベロープタンパク質を作製するた
めに使用した。要約すると、鋳型としてHFV及び/又
はMuLV env遺伝子と、所望の突然変異を含むオ
リゴヌクレオチドでポリメラーゼ連鎖反応を使用するこ
とにより截断又はキメラenv構築物を作製した。突然
変異体を上記基本ベクターに挿入し、配列決定して部位
外の突然変異を排除した。3種の突然変異HFVエンベ
ロープ構築物を作製した。pCHFV Δ1とpCHF
V Δ2はそれぞれaa975又は981で截断された
HFVエンベロープタンパク質をコードする。pCHF
V Δ2には、元のHFV env配列に存在しないC
末端アルギニンを付加した。Flugelら(11)に
より提案されているHFVエンベロープドメイン構造に
従い、截断の結果、細胞質ドメインは完全(pCHFV
Δ1)又は部分的(pCHFVΔ2)に除去された。
最後に、pCHFV SSS構築物はセリン残基により
置換された膜貫通(TM)タンパク質の細胞質尾部のC
末端に三重リシンモチーフ(aa984〜986)をも
つHFVエンベロープタンパク質を産生する。この配列
モチーフはHFVエンベロープのER保持に関与するこ
とが示されている(13,14)。
【0030】MuLVエンベロープタンパク質のプロセ
シングされているか又はプロセシングされていない細胞
質ドメインをコードする配列のC末端融合により合計6
個のキメラエンベロープタンパク質を構築した(16,
17)。pCHFV Δ1MuLVR−、pCHFV
Δ2MuLVR−及びpCHFV SSSMuLVR−
は上記3種の突然変異とプロセシングされているMuL
Vエンベロープ細胞質ドメイン(aa634〜649)
から構成される融合タンパク質をコードし、pCHFV
Δ1MuLV、pCHFV Δ2MuLV及びpCH
FV SSSMuLVはC末端にプロセシングされてい
ないMuLVエンベロープ細胞質ドメイン(aa634
〜665)を含むそれぞれの融合タンパク質をコードす
る。
【0031】MuLV gag/pol(pHIT6
0)、エコトロピック(pHIT123)及びアンホト
ロピック(pHIT456)MuLVエンベロープの発
現構築物はA.Kingsman(33)から提供され
た。レトロウイルスベクターSFG GFPS65T
は、MuLV系レトロウイルスベクターSFG(5,2
2)のクローニング部位に挿入された緑色蛍光タンパク
質のヒト化ORF(7)(M.Vogelの寄贈品)を
含み、MFG.S NLS−LacZ(22)はSV4
0核局在シグナル(NLS)に融合したβ−ガラクトシ
ダーゼ遺伝子(R.Mulliganの寄贈品)を含
む。VSV−G ORFを含むプラスミドpSVGL−
1(29)(J.Roseの寄贈品)からの1.6kb
EcoRIフラグメントをpHITベクターに挿入す
ることにより、VSV−G発現構築物を作製した。
【0032】2.種々のHFV envタンパク質で偽
型化したMuLV粒子の感染性 ほぼ従来技術(33)に記載されているようなpHIT
パッケージングシステムを使用して組換えレトロウイル
ス粒子を作製した。要約すると、MuLV gag/p
ol(pHIT60)の発現構築物、MuLV系レトロ
ウイルスベクターSFG GFPS65T及び上記種々
のエンベロープ発現構築物を293T細胞(9)に一過
性同時トランスフェクトした。トランスフェクションか
ら48〜72時間後にウイルス上清を回収した。同一プ
ラスミドをトランスフェクトした各トランスフェクショ
ン産物からの上清をプールし、濾過(0.45μm細孔
寸法)し、最終濃度8μg/mlまでポリブレンを加
え、上清を直接使用するか又は使用まで−80℃で保存
した。レトロウイルス形質導入後にGFPタンパク質を
発現する標的細胞をFACScanでFACS分析によ
り同定し、LysisII and CellQues
t Softwareパッケージ(Becton Di
ckinson)を使用して陽性細胞の数を定量した。
【0033】pCHFV wt発現構築物を使用した初
期実験によると、効率は低いが、HFV wtエンベロ
ープタンパク質でMuLV粒子を偽型化することがで
き、NIH3T3細胞に形質導入できることが判明した
(図2)。HFVエンベロープタンパク質は、発現細胞
のERへの保持を誘導するシグナル配列をその細胞質ド
メインに含む(13,14)。従って、細胞質的に截断
又は突然変異を含むHFVエンベロープタンパク質をコ
ードする3種の構築物pCHFV Δ1、pCHFV
Δ2及びpCHFV SSSを試験し、HFVエンベロ
ープの細胞質ドメインとそのER保持が偽型効率に及ぼ
す影響を調べた。野生型タンパク質に既に観察されてい
る低い偽型活性は、HFVエンベロープの細胞質ドメイ
ンを完全(pCHFV Δ1)又は部分的(pCHFV
Δ2)に除去すると失われるか又は低下する(図
2)。細胞質ER保持シグナルの突然変異(pCHFV
SSS)はHFVエンベロープタンパク質の細胞表面
発現を増加することが従来示されている(13)。しか
し、このような突然変異タンパク質でウイルス粒子を偽
型化しても、これらのウイルスの感染性は増加しなかっ
た(図2)。
【0034】HFV細胞質ドメインを除去又は修飾して
も偽型ウイルスの感染効率を増加することはできなかっ
たので、次に第2のアプローチを使用し、HFV細胞質
ドメインをMuLV細胞質ドメインで置換するか又はM
uLV細胞質ドメインを修飾完全長HFVエンベロープ
と融合して所望の効果が得られるか否かを試験した。M
uLVエンベロープの細胞質ドメインはウイルス粒子内
でMuLVプロテアーゼによりプロセシングされること
が示された(16,17)。既にプロセシングされてい
る形態のMuLVエンベロープタンパク質を細胞で発現
させると、大きい多核シンシチウムが形成され、ウイル
ス感染性が低下した(24,26)。従って、上記3種
の突然変異体とMuLVエンベロープタンパク質のプロ
セシングされているか(MuLVR−)又はプロセシン
グされていない(MuLV)細胞質ドメインのC末端融
合タンパク質を作製し、これらのキメラエンベロープタ
ンパク質で偽型化した粒子の感染性をNIH3T3細胞
で試験した。興味深いことに、1種の突然変異体である
HFV Δ2MuLVタンパク質で偽型化したウイルス
は野生型HFVエンベロープタンパク質で偽型化した粒
子よりも10〜20倍高い活性を示した(図2)。HF
V Δ2MuLVタンパク質による感染性のこの増加は
NIH3T3即ちマウス細胞に特異的ではなく、MuL
Vエンベロープタンパク質で被覆したウイルス粒子を感
染させることができないウズラ繊維芽細胞系QT−6で
も同様の結果が得られた(図2)。これらの細胞におい
て、HFV Δ2MuLVエンベロープタンパク質で偽
型化した粒子の感染性はVSV−Gタンパク質で偽型化
した粒子よりも一貫して高かった。分析した他の全タン
パク質は、どちらの細胞系でも野生型HFVエンベロー
プよりも低いか又は同等の相対感染性をもつ偽型ウイル
スを生じた(図2)。更に、プロセシングされているM
uLV細胞質ドメインを含むキメラHFVエンベロープ
タンパク質をL929細胞でレトロウイルスベクターに
より発現させると、プロセシングされていないMuLV
細胞質ドメインをもつ対応するタンパク質よりも高い融
合活性を示した(データは示さず)。この結果は、Mu
LVエンベロープの細胞質ドメインがキメラエンベロー
プタンパク質として発現されるときにサル免疫不全ウイ
ルス(SIV)等の外来エンベロープタンパク質の融合
活性を制御できることを示すデータ(36)に一致す
る。更に、種々のエンベロープタンパク質で偽型化した
核局在β−ガラクトシダーゼタンパク質をコードするレ
トロウイルスベクターを含む上清を種々の種の細胞系で
力価測定した(表1)。より詳細に説明すると、トラン
スフェクトした293T細胞の上清の系列希釈液で感染
させる24時間前に標的細胞(1×104 細胞/ウェ
ル)をプレーティングした。感染から48時間後に青い
フォーカスの数を2回数え、力価を計算した。2回測定
の値は3倍の範囲であった。表に示す結果は、指定細胞
系で全て同一トランスフェクションからの無細胞上清を
用いて独立して2回実施した力価測定の代表値であり、
2回の実験で再現性のある相対力価が得られた。偽型粒
子を含む上清をNIH3T3細胞中で6回まで力価測定
し、再現性のある結果を得た。HFV wtエンベロー
プタンパク質又はHFV Δ2MuLVキメラタンパク
質で偽型化したレトロウイルス粒子は、マウス細胞以外
にヒト、ミンク及びハムスター由来の細胞にも感染させ
ることができた(表1)。HFV Δ2MuLVエンベ
ロープタンパク質で偽型化したレトロウイルスベクター
の力価は、使用した標的細胞に依存して野生型HFVエ
ンベロープタンパク質で偽型化した場合の力価よりも8
〜35倍高かった。
【0035】
【表1】
【0036】3.HFV特異的抗血清によるHFV e
nv偽型粒子の感染性の中和 種々のHFVエンベロープタンパク質で偽型化したMu
LV粒子の感染性がHFVエンベロープに特異的である
ことを確認するために、偽型粒子を標的細胞に加える前
に抗HFV特異的チンパンジー血清と共にプレインキュ
ベートした(3)。アンホトロピックMuLVエンベロ
ープ又はVSV−Gタンパク質で偽型化したウイルス粒
子をHFV特異的抗血清と共にプレインキュベートした
場合の感染性は、これらのウイルスを標準熱不活化ヒト
血清(図3)又はモックインキュベートしたウイルス粒
子(データは示さず)と共にプレインキュベートした場
合に比較して低下しなかった。他方、野生型HFVエン
ベロープタンパク質又はHFV Δ2MuLVキメラで
偽型化した粒子の感染性は、HFV特異的抗血清と共に
プレインキュベートすると完全に失われたが、ヒト対照
血清と共にプレインキュベートした場合には失われなか
った(図3)。HFVエンベロープ特異的感染性のこの
中和は、NIH3T3(図3A)及びQT−6(図3
B)細胞で観察された。HFVエンベロープタンパク質
のバキュロウイルス発現SUドメインに対するウサギ血
清を使用した実験でも、HFVエンベロープタンパク質
で偽型化したウイルス粒子の同様の特異的中和が得られ
た(データは示さず)。
【0037】4.HFV envタンパク質の発現及び
粒子取込み 一過性トランスフェクトした293T細胞の放射性免疫
沈降分析(RIPA)により、種々のHFVエンベロー
プタンパク質の発現及びMuLV粒子への取込みを測定
した。DNA(pHIT60、SFG GFPS65T
及び種々のenv構築物)の添加から48時間後に細胞
を[35S]メチオニンで約20時間代謝標識した。上清
中に存在するウイルス粒子を溶解バッファーで可溶化す
る前に20%スクロースクッションで25000rpm
で遠心分離してペレット化した。次に、試料を免疫沈降
させた。ウイルス粒子とその対応する細胞溶解物をHF
V特異的チンパンジー血清又は抗MuLV gagハイ
ブリドーマ上清で免疫沈降させ、沈降物をSDS−ポリ
アクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により分析し
た。ペレット化ウイルス又は細胞溶解物からの免疫沈降
物中のHFV特異的バンドはHFV env発現構築物
をトランスフェクトした試料でしか観察されず、MuL
Vアンホトロピックエンベロープタンパク質を発現する
試料又はモックトランスフェクト培養物では観察されな
かった。HFV envをトランスフェクトした細胞の
細胞溶解物の免疫沈降物には130及び110KDの2
つの主要なHFVエンベロープ前駆物質バンドが観察さ
れた(12,21)。更に、より長時間暴露後にはプロ
セシングされている〜90KD SU及び〜45〜50
KD TMタンパク質に対応する2つのバンドを観察す
ることができた。種々のHFV突然変異体をトランスフ
ェクトした細胞試料におけるTMタンパク質の見掛寸法
は種々異なり、個々のタンパク質のTM部分が修飾され
たことを示した。HFV SSSMuLVR−及びHF
V SSSMuLVは細胞発現の明白な低下を示した
が、それ以外は、トランスフェクトした細胞における種
々のエンベロープタンパク質の定常状態レベルには並の
差異しか観察されなかった。ペレット化ウイルス粒子の
免疫沈降物には両者エンベロープ前駆物質タンパク質と
プロセシングされているSU及びTMタンパク質も検出
された。他方、一般に前駆物質タンパク質に対するプロ
セシングされているタンパク質の相対比はウイルス粒子
免疫沈降物のほうが細胞溶解物よりも高かった。
【0038】興味深いことに、ウイルス粒子の個々の免
疫沈降物におけるプロセシングされているSU及びTM
タンパク質の量と、対応する偽型粒子の相対感染性(図
2)の間に良好な相関を観察することができた。最高の
相対感染性をもつ偽型粒子を生じたHFV Δ2MuL
VキメラエンベロープはRIPAでも最強のSU及びT
Mバンドを示した。粗ウイルスペレット又は抗gagハ
イブリドーマ上清で免疫沈降させた沈降物で個々のウイ
ルス粒子調製物中のMuLV gag/polタンパク
質の量を測定した処、HFV Δ2MuLVエンベロー
プトランスフェクションを除く全試料で同様であった。
この試料は粒子会合gag/polタンパク質の有意低
下を示し、この調製物には他のウイルスペレットよりも
少数のMuLV粒子しか存在しないことを示した。従っ
て、各ウイルス粒子当たりのプロセシングされているH
FV SU及びTMタンパク質の相対量は、ウイルス粒
子調製物をHFV特異抗体で免疫沈降させた沈降物から
予想されるよりも更に高いと思われる。この現象の一因
として、HFV Δ2MuLVで偽型化した粒子の感染
性が他のHFVエンベロープタンパク質で偽型化した粒
子よりも高い結果、これらの粒子がHFV envタン
パク質を発現しないトランスフェクト細胞により多量に
吸収されるためであると考えられる。この結果、HFV
Δ2MuLVで偽型化した粒子は上清から除去され得
る。更に、アンホトロピックMuLVエンベロープ又は
VSV−Gで偽型化したMuLV粒子とは対照的に、H
FVで偽型化したウイルスはポリブレン等のポリカチオ
ンの不在下で感染性の低下を全く示さなかった(3
0)。従って、一過性トランスフェクションによりHF
Vエンベロープで偽型化したレトロウイルスベクターの
相対力価は、アンホトロピックMuLVエンベロープ又
はVSV−Gで偽型化した場合よりも過小評価されると
思われる。但し、これらの現象を更に詳細に解明するに
は、HFVエンベロープで偽型化したウイルスによる感
染に耐性のHFVエンベロープを安定的に発現する細胞
系を使用して更に進んだ実験を行う必要がある。
【0039】5.FV env遺伝子に配置したスプラ
イスドナー及びアクセプター部位の失活 更に、HFVエンベロープORF(6310〜9276
位)内に位置する内部HFVプロモーター(5’LTR
の転写始点に対して8419位)から誘導されるBel
−1及びBet転写産物は、envタンパク質のTMサ
ブユニットのコーディング領域内のスプライスドナー
(SD、9119位)及びスプライスアクセプター(S
A、9237位)部位を有効に利用する。あるいは、こ
れらのSD及びSA部位を利用してHFV envタン
パク質をコードするmRNAをスプライスすると、潜在
的エンベロープ/bel融合タンパク質が得られる。〜
170KDは免疫沈降によりHFV感染細胞で検出する
ことができ、mRNAはHFVに感染したヒト繊維芽細
胞からの全mRNAのRT(逆転写酵素)PCRにより
検出することができる。SD(9119位)をGT→G
G突然変異により失活させると、170KDエンベロー
プ融合タンパク質は消失するが、130KDエンベロー
プ前駆物質タンパク質の発現は変わらない。env/b
el融合タンパク質の生物学的機能とウイルス力価に及
ぼす偽型MuLV粒子の影響については現在のところ不
明である。上述のGFP発現MuLVレトロウイルスベ
クターを用いた予備実験は、相対感染性に及ぼす影響を
何ら示さない。
【0040】要約すると、HFVエンベロープタンパク
質で偽型化したMuLV系レトロウイルスベクターを製
造するためのシステムを作製した。HFVエンベロープ
タンパク質の細胞質ドメインを前進的に欠失させると、
遺伝子移入とウイルス粒子へのHFV env SU及
びTMサブユニットの取込みが低下するので、HFVエ
ンベロープタンパク質の細胞質ドメインはMuLV粒子
の偽型化に少なくとも部分的に関与していた。1種の欠
失突然変異体であるHFV Δ2MuLVエンベロープ
にプロセシングされていないMuLVエンベロープ細胞
質ドメインを付加すると、HFV野生型エンベロープタ
ンパク質に比較して感染性が10〜20倍増加し、偽型
粒子へのキメラエンベロープタンパク質の取込みが増加
した。レトロウイルス力価は、野生型HFVエンベロー
プタンパク質で偽型化することにより達せられる力価の
8〜35倍であった。標的細胞型によっては、遺伝子移
入効率がVSV−Gタンパク質で偽型化したレトロウイ
ルスベクターと同等以上のものもあった。野生型MuL
Vエンベロープタンパク質の場合には、ウイルス粒子へ
のエンベロープの特異的取込みにおける細胞質ドメイン
の役割は不明である。細胞質尾部欠失突然変異体にうち
には粒子会合エンベロープタンパク質が減少するものも
あり(15)、また、突然変異エンベロープタンパク質
によっては粒子会合の低下を殆ど〜全く示さないものも
あった(25,26)。本発明の結果は、エンベロープ
タンパク質の粒子会合、少なくともMuLV粒子へのキ
メラエンベロープタンパク質の取込みの増加におけるM
uLV env細胞質ドメインの役割を裏付けるもので
ある。
【0041】最近、VSV糖タンパク質G(6,38)
又はGALVエンベロープ(2,34)等の外来エンベ
ロープタンパク質でMuLV系レトロウイルスベクター
を偽型化した結果、ウイルス安定性が増加し、宿主細胞
範囲が広がり、所定の細胞型の形質導入効率が増加し
た。FVの宿主範囲が広く、ヒト血清による失活を阻止
し(30)、ポリカチオンの不在下で種々の起源の細胞
に有効に感染できる(未公開資料及び(30))ため、
HFV Δ2MuLVキメラエンベロープタンパク質で
偽型化したMuLV系レトロウイルスベクターは種々の
細胞型に遺伝子を有効に導入するための有用な新規ツー
ルになるであろう。VSV−Gは産生細胞に高毒性であ
り、最近まで安定なVSV−Gパッケージング細胞系を
作製することはできなかった(8,22,37)が、H
FV Δ2MuLVエンベロープの一過性発現の結果、
293T細胞で明白な毒性は生じなかった(データは示
さず、(19))。
【0042】参考資料
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】HFVエンベロープ発現構築物の模式図であ
る。HFV(白部分)及びMuLV(影部分)エンベロ
ープのTM成分の細胞外、膜間及び細胞質ドメインを
(11,24)に従って示す。模式図の下に野生型HF
V及びMuLVタンパク質のアミノ酸配列も示す。HF
Vエンベロープ構築物のアミノ酸位置を目盛りに示す。
HFVエンベロープの細胞質ドメインでER保持(1
3)関与する配列モチーフの位置を黒部分として示し、
突然変異配列を斜線部分として示す。MuLVエンベロ
ープタンパク質の完全長細胞質ドメインにおけるMuL
Vプロテアーゼの切断部位は2本の逆向き矢印により示
す。
【図2】種々のエンベロープタンパク質で偽型化したM
uLV粒子の感染性を示す。293T細胞の一過性トラ
ンスフェクションにより作製した種々の偽型MuLV粒
子をNIH3T3(グレーの棒)又はQT−6(黒の
棒)細胞に感染させた。形質導入から48時間後にGF
P発現細胞の百分率をFACS分析により定量した。G
FP発現細胞の平均蛍光はモック感染細胞の100〜3
00倍であった。偽型化に使用した各エンベロープ構築
物をグラフのy軸に示す。各構築物のGFP発現細胞の
平均百分率を対応する標準偏差と共にx軸に示す。各構
築物を2〜6回試験した。
【図3】HFVエンベロープ特異的感染性の中和を示
す。293T細胞の一過性トランスフェクションにより
y軸に示すような種々のエンベロープタンパク質で偽型
化合たMuLV粒子を作製した。NIH3T3(A)又
はQT−6(B)細胞に加える前に、上清(1ml)を
抗HFV特異的チンパンジー血清(1:60)(黒の
棒)又は健康な個体からのヒト血清(1:60)(グレ
ーの棒)と共に37℃で1時間インキュベートした。4
時間後に上清を吸引し、新鮮な成長培地に交換した。形
質導入から48時間後に図2の説明に記載したようにG
FP発現細胞の百分率を測定した。実験は中和性サル血
清及びこれに抗HFV表面ウサギ血清(データは示さ
ず)を加えて2回実施し、その結果、HFVエンベロー
プ偽型レトロウイルスベクターの感染性に同様の相対阻
害が生じた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 48/00 C07K 14/15 C07K 14/15 19/00 19/00 C12N 7/00 C12N 5/10 C12P 21/02 C 7/00 A61K 37/02 C12P 21/02 C12N 5/00 B //(C12N 15/09 C12R 1:92) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンパク質が少なくとも1種の修飾フォ
    ーミーウイルス(FV)エンベロープタンパク質を含む
    ことを特徴とする、タンパク質の発現用構築物。
  2. 【請求項2】 フォーミーウイルスがヒトフォーミーウ
    イルス(HFV)であることを特徴とする請求項1に記
    載の構築物。
  3. 【請求項3】 修飾が少なくとも1種の突然変異及び/
    又は少なくとも1種の截断であることを特徴とする請求
    項1又は2に記載の構築物。
  4. 【請求項4】 修飾が前記タンパク質の残基975又は
    981における少なくとも1種の截断であることを特徴
    とする請求項3に記載の構築物。
  5. 【請求項5】 前記タンパク質が非FVレトロウイルス
    エンベロープタンパク質の全部又は一部を更に含む融合
    タンパク質であることを特徴とする請求項1から4のい
    ずれか一項に記載の構築物。
  6. 【請求項6】 非FVレトロウイルスエンベロープタン
    パク質がMuLV、MoMuLV、FB29、HIV及
    びSIVを含む群から選択されるレトロウイルスに由来
    することを特徴とする請求項5に記載の構築物。
  7. 【請求項7】 タンパク質が細胞質ドメインの全部又は
    一部を非FVレトロウイルスエンベロープタンパク質、
    好ましくはMuLVレトロウイルスエンベロープタンパ
    ク質の全部又は一部で置換したHFVエンベロープタン
    パク質から構成されることを特徴とする請求項1から6
    のいずれか一項に記載の構築物。
  8. 【請求項8】 タンパク質がMuLV細胞質ドメインの
    全部又は一部と修飾HFVエンベロープタンパク質との
    融合物から構成されることを特徴とする請求項1から7
    のいずれか一項に記載の構築物。
  9. 【請求項9】 MuLV細胞質ドメインがプロセシング
    されているか又はプロセシングされていないことを特徴
    とする請求項7又は8に記載の構築物。
  10. 【請求項10】 タンパク質がHFV Δ2MuLVで
    あることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に
    記載の構築物。
  11. 【請求項11】 構築物がFVエンベロープタンパク質
    をコードする配列中に天然に存在するドナー及び/又は
    アクセプタースプライシング部位の突然変異を含むこと
    を特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の
    構築物。
  12. 【請求項12】 請求項1から11のいずれか一項に記
    載の構築物により発現されるタンパク質。
  13. 【請求項13】 FVエンベロープタンパク質を含む偽
    型ウイルス粒子。
  14. 【請求項14】 請求項12に記載のタンパク質を含む
    偽型ウイルス粒子。
  15. 【請求項15】 請求項1から11のいずれか一項に記
    載の構築物を含む補完細胞系。
  16. 【請求項16】 請求項10に記載の構築物を含む請求
    項15に記載の補完細胞系。
  17. 【請求項17】 レトロウイルスgag/pol遺伝子
    を発現する構築物を更に含む請求項15又は16に記載
    の補完細胞系。
  18. 【請求項18】 レトロウイルスgag/pol遺伝子
    がMuLV又はFB29に由来することを特徴とする請
    求項17に記載の補完細胞系。
  19. 【請求項19】 細胞系が293株系に由来することを
    特徴とする請求項15から18のいずれか一項に記載の
    補完細胞系。
  20. 【請求項20】 請求項13又は14に記載の偽型ウイ
    ルス粒子の製造方法であって、(i)請求項15から1
    9のいずれか一項に記載の補完細胞に組換えレトロウイ
    ルスベクターを導入する段階と、(ii)前記偽型ウイ
    ルス粒子を産生させるのに適した条件下で前記補完細胞
    系を培養する段階と、(iii)細胞培養物から前記偽
    型ウイルス粒子を回収する段階を含む前記方法。
  21. 【請求項21】 請求項13もしくは14に記載の偽型
    ウイルス粒子又は請求項20に記載の方法により得られ
    る偽型ウイルス粒子に感染した哺乳動物細胞。
  22. 【請求項22】 治療又は予防に有効な量の請求項13
    もしくは14に記載の偽型ウイルス粒子又は請求項20
    に記載の方法により得られる偽型ウイルス粒子又は請求
    項21に記載の哺乳動物細胞を含む医薬組成物。
  23. 【請求項23】 治療を必要とする対象に、治療又は予
    防に有効な量の請求項13もしくは14に記載の偽型ウ
    イルス粒子又は請求項20に記載の方法により得られる
    偽型ウイルス粒子又は請求項21に記載の哺乳動物細胞
    を投与することを含む疾病の治療方法。
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