JP3954151B2 - フォーミーウイルスエンベロープタンパク質の発現 - Google Patents

フォーミーウイルスエンベロープタンパク質の発現 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも1種の修飾フォーミーウイルス(FV)エンベロープタンパク質を含むタンパク質の発現用構築物、それによって得られるタンパク質、及び偽型ウイルス粒子を産生することが可能な補完細胞系に関する。前記粒子を含有する医薬組成物及び疾病の治療方法にも関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】
レトロウイルス科のサブグループであるフォーミーウイルス(FV)はそのユニークな複製法と遺伝子移入ベクターとしての潜在的用途により科学的関心を集めている(35)。FVは、例えばヒト集団にFV抗体が存在せず、自然FV感染が良性経路を辿り、宿主細胞範囲が非常に広く、FVゲノムの寸法によりパッケージング限度が拡がるなどのこのウイルス群の固有の性質により、遺伝子送達システムの開発に理想的なツールであり得ると記載されている(4,30,32)。しかし、このウイルス群の分子生物学情報は限られているため、特にマウスレトロウイルスに由来するもののように安全なパッケージング細胞系及びベクターは開発されていない(27)。他えば、FVゲノムは複雑な構造をもつ2本鎖DNAである。LTR(長い末端反復配列)、パッケージング領域並びにgag、pol及びenv遺伝子に加え、envと3’LTRの間に位置するbel1、bel2、bel3、bet、beo及びbes等の数個の遺伝子も含む。env遺伝子は130kDaグリコシル化前駆物質をコードし、この前駆物質を切断すると、表面(SU)及び膜貫通(TM)タンパク質を生じる(図1参照)。更に、FVはスプライスしたmRNAからGagタンパク質とは別にそのPolタンパク質を発現し、FVゲノムパッケージング及び粒子アセンブリのメカニズムや、細胞外粒子に多量の逆転写DNAが存在する意味は殆ど分かっていない(10,18,39)。他のユニークな特徴としては、Gag前駆物質タンパク質の核局在(31,40)や、恐らくERにEnv前駆物質タンパク質が保持される結果として主に細胞質内小胞に出芽すること(13)などが挙げられる。
【0003】
モロニーのレトロウイルス系遺伝子移入ベクターは現在主要なビークルであり、多種多様な細胞型に高い効率で安定に遺伝子を移入することができる(20)。このベクター系の最大の欠点は、宿主細胞範囲が限られており、ヒト細胞に感染できない場合もある点である((1)で報告)。最近、水疱性口炎ウイルス糖タンパク質(VSV−G)(6,38)又はテナガザル白血病ウイルス(GALV)エンベロープタンパク質(2,34)等の外来エンベロープタンパク質による偽型化を用いた数種の方法でこれらの欠点を克服できることが判明した。
【0004】
しかし、例えばVSV−Gの発現は産生細胞に高毒性であり、安定なVSV−Gパッケージング細胞系を作製することはできなかった(8,22,37)。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明は少なくとも1種の修飾FVエンベロープタンパク質を含むタンパク質の発現用構築物に関する。
【0006】
本発明による好適FVはヒトフォーミーウイルス(HFV)であるが、他のウイルス(例えばサルFV)も使用できる。
【0007】
修飾は、上記修飾FVエンベロープ(env)タンパク質の1もしくは数個のアミノ酸(aa)の突然変異、欠失、置換及び/又は付加の少なくとも1種又はその組み合わせから構成され得る。このような修飾は細胞質尾部(cytoplasmic tail)に導入するのが好ましい。有利には、修飾FVエンベロープタンパク質はaa975又はより好ましくは981で切断されている。切断(truncation)は終止コドンまで延びていてもよいし、あるいは場合により原FV envタンパク質の1又は数個の残基を終止コドンの前に含んでいてもよい。更に、本発明の構築物は、成熟修飾FVエンベロープタンパク質又はその前駆物質又は種々の起源の配列の融合により得られるキメラタンパク質を発現することができる。
【0008】
特に好適な態様では、本発明で使用される修飾FV envタンパク質は非FVレトロウイルスエンベロープタンパク質の全部又は好ましくは一部を更に含む融合タンパク質である。適切な非FVレトロウイルスの例としては、ニワトリレトロウイルス、ウシレトロウイルス、ネコレトロウイルス、マウスレトロウイルス(例えばマウス白血病ウイルス(MuLV)、特にモロニーMuLV(MoMuLV)、フレンドマウス白血病ウイルス(FrMuLV)、特にFB29株、マウス肉腫ウイルス(MSV))、霊長類レトロウイルス(例えばGaLV、VSV、又は例えばHIV(ヒト免疫不全ウイルス)もしくはSIV(サル免疫不全ウイルス)等のレンチウイルス)が挙げられる。
【0009】
特に好適な態様では、本発明によるタンパク質は、細胞質ドメインの全部又は一部が非FVレトロウイルスエンベロープタンパク質、特にMuLVエンベロープタンパク質の細胞質ドメインの全部又は一部で置換されたHFVタンパク質エンベロープから構成される。有利には、融合タンパク質はMuLV細胞質ドメインを修飾HFVエンベロープタンパク質と融合することにより構成される。本発明で使用されるMuLV細胞質ドメインはプロセシングされていてもよいし、プロセシングされていなくてもよい。「プロセシングされている」とは、対応するレトロウイルスプロテアーゼにより通常認識される開裂部位を含むことを意味し、「プロセシングされていない」とはこのような部位を含まないか又は機能的でない(突然変異、欠失又は截断)ことを意味する。
【0010】
本発明の好適構築物は、以下の文中でHFV Δ2MuLVと呼ぶ融合タンパク質を発現させることが可能な構築物である。
【0011】
本発明の構築物は、FV envタンパク質をコードする配列中に天然に存在するドナー及び/又はアクセプタースプライシング部位を突然変異させたものでもよい。
【0012】
本発明の構築物は、修飾FV envタンパク質をコードする配列を転写及び翻訳できるように調節エレメントを含み得る。特に、FV envをコードする配列の上流に慣用組換え技術により適切なプロモーターを作動的に連結することができる。このようなプロモーターは原核、真核又はウイルスのいずれの起源でもよく、構成性でも調節性でもよい。このような調節エレメントは当業者に周知である。
【0013】
本発明の構築物は修飾FV envタンパク質を発現する細胞の検出及び単離を可能にする選択遺伝子を更に含んでもよく、このような態様も本発明の範囲内である。本発明の関連では、選択遺伝子は修飾FV envタンパク質の発現を誘導して2シストロン転写物を生じるプロモーターの転写制御下に置いてもよいし、付加的プロモーター領域の制御下に置いてもよい。考えられる選択遺伝子は多数あり、例えば抗生物質G418に対する耐性を与えるneo遺伝子、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhFr)遺伝子、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ(pac)遺伝子又はキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)遺伝子が挙げられる。
【0014】
本発明の構築物は任意の適当なベクター、ウイルスベクター(例えばレトロウイルスベクター)又はプラスミドに挿入することができる。適当なベクターの選択肢は広く、当業者の能力の範囲内である。このようなベクターは組込み型でもよいし、そうでなくてもよい。複製適合性(competent )ウイルス粒子を生じる可能性を減らすためには、構築物がレトロウイルスLTRとパッケージング領域を欠損していると有利である。
【0015】
本発明は上記発現構築物により発現される融合タンパク質及びFV envタンパク質を含む偽型(pseudotyped )ウイルス粒子にも関する。FV envタンパク質は天然FV envタンパク質、その一部又はその修飾物から誘導することができる。好適態様では、偽型ウイルス粒子は本発明による構築物により発現される修飾FV envタンパク質をその表面に含む。本発明の偽型ウイルス粒子は、組換えレトロウイルスベクターを補完(complementation )細胞系にトランスフェクトすることにより作製することができる。このような技術は公知であり、多数の従来技術文献に記載されている。本発明で使用されるレトロウイルスベクターは、上記のような任意のレトロウイルスに由来する少なくとも5’LTR、パッケージング領域及び3’LTRと、更に目的ポリペプチドを産生するためにリボザイム、アンチセンスRNA分子又はmRNAを発現することが可能な遺伝子を含む。非限定的な例としてサイトカイン(IL−2、IFNα、β又はγ)、1型単純ヘルペスウイルス(HSV−1)、チミジンキナーゼ(TK)、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンスレギュレーター(DFTR)、ジストロフィン、凝固因子(FVIII、FIX等)、腫瘍関連抗原(MUC−1、HPV抗原)、抗体、イムノトキシン及び抗HIV薬剤等の治療用ポリペプチドが特に有用である。
【0016】
本発明の別の目的は、偽型ウイルス粒子を産生することが可能な補完細胞系及び前記ウイルス粒子の製造方法を提供することである。
【0017】
本発明の補完細胞系は任意の細胞、特に真核細胞に由来し得る。例えばマウス細胞系、医薬的に許容可能な細胞系(Vero、CHO等)又はヒト細胞系(例えば293)が考えられる。このような細胞系は本発明による構築物を第1の選択遺伝子とともにトランスフェクトすることにより作製することができる。その後、FV envに対する抗体を用いる免疫検出、ウェスタンブロット、FACS(蛍光活性化セルソーター)又は他の任意の方法により、env産生能の最も高い細胞が高レベルのFV envタンパク質の発現に対してスクリーニングされる。あるいは、本発明の補完細胞系は、第1の選択遺伝子とは異なる第2の選択遺伝子と共に、より好ましくはMuLV、FB29又はHFVのレトロウイルスgag/pol遺伝子を発現する構築物を更に含んでいてもよい。好ましくは、env及びgag/pol遺伝子はLTR及びパッケージング領域をもたない別個の発現ベクターに担持される。選択及びスクリーニング段階を繰り返し、gag/pol発現産物をも発現するenv産生クローンを選択する。
【0018】
本発明の補完細胞系は組換えレトロウイルスベクターをパッケージングするために使用することができる。第1及び第2の選択遺伝子とは異なる第3の選択遺伝子又は潜在(musked)遺伝子(例えばLacZ)を発現する慣用レトロウイルスベクターを使用して力価を試験することができる。その結果、高力価の偽型ウイルス粒子を産生する細胞を選択し、安定な補完細胞系を提供するように培養することができる。細胞は通常実施されているように後記方法で一過性試験してもよい。
【0019】
本発明の別の態様によると、本発明の偽型ウイルス粒子の製造方法が提供される。このような方法は、(1)本発明の補完細胞系に組換えレトロウイルスベクターを導入する段階と、(2)前記偽型ウイルス粒子の産生を可能にする適切な条件下で前記補完細胞系を培養する段階と、(3)細胞培養物から偽型ウイルス粒子を回収する段階を含む。
【0020】
好ましくは、偽型ウイルス粒子は細胞培養物上清から回収されるが、細胞溶解工程も考えられる。慣用技術(例えばスクロース又はClCs勾配での超遠心分離)により偽型ウイルス粒子を更に精製してもよい。有利には、こうして製造した偽型ウイルス粒子は(好ましくはポリブレンの不在下で)多種多様の細胞に感染することができ、場合によってはヒト血清による失活を阻止することができる。
【0021】
本発明の別の態様によると、本発明の偽型ウイルス粒子に感染した哺乳動物宿主細胞も提供される。このような宿主細胞の非限定的な例としてはヒト上皮細胞、肺細胞、筋細胞、肝細胞、造血細胞、繊維芽細胞及びリンパ球が挙げられる。
【0022】
本発明の感染性偽型粒子及び哺乳動物細胞はワクチン又は治療薬として種々の疾病の予防又は治療に利用できる。
【0023】
本発明の別の目的は、治療又は予防に有効な量の本発明の偽型ウイルス粒子及び哺乳動物細胞を治療薬として含有する医薬組成物を提供することである。このような医薬組成物は慣用方法で製造することができる。特に、本発明の粒子又は哺乳動物細胞をキャリヤー、希釈剤、アジュバント又は賦形剤等の当該技術分野で周知の適当な物質と組み合わせることができる。医薬組成物の特定組成は例えば発現させようとする目的ポリペプチド、所望の作用部位、投与方法及び治療対象等の種々のパラメーターによって異なる。このような組成は当業者が通常の知識によって決定できる。
【0024】
本発明の最後の態様によると、遺伝病又は任意の病原遺伝子により誘発される疾病(例えば癌又はウイルス誘発病)の治療方法も提供され、該方法は治療を必要とする対象に治療に有効な量の本発明の偽型ウイルス粒子及び哺乳動物細胞を投与することを特徴とする。
【0025】
本発明の上記及び他の目的は以下の実施例及び添付図面から容易に理解されよう。但し、これらの態様は本発明の全範囲を網羅するものではない。
【0026】
特に、マウス白血病ウイルス(MuLV)粒子へのヒトフォーミーウイルス(HFV)エンベロープタンパク質の取込みは、一過性トランスフェクションパッケージングセルシステムで試験した。ここで、効率は低いが、野生型HFVエンベロープタンパク質でMuLV粒子を偽型化できることを報告しておく。HFV細胞質尾部を完全又は部分的に除去すると、HFVに仲介される感染性が失われるか又は低下し、MuLV粒子の偽型化におけるHFVエンベロープ細胞質尾部の役割が予想された。HFVエンベロープ細胞質尾部に存在するER保持シグナルを突然変異させても偽型レトロウイルスベクターの相対感染性は増加しなかった。他方、プロセシングされていないMuLVエンベロープ細胞質ドメインを截断HFVエンベロープタンパク質に融合したキメラエンベロープタンパク質は、MuLV粒子へのキメラエンベロープタンパク質の取込みの増加の結果として高いHFV特異的感染性を示した。
【0027】
以下、非限定的な実施例により本発明を更に説明する。
【0028】
【実施例】
全構築は、T.Maniatisら,Molecular cloning:a laboratory manual,Cold Spring Harbor,NY 1982に記載されているような標準組換えDNA技術を使用することにより実施する。細胞系はATCC等の菌寄託機関から入手でき、標準条件で培養する(NIH3T3:CRL1658、Mv.1.Lu:CCL64、HT1080:CCL121、BHK21:CCL10、QT26:CRL1708及び293:CRL1573)。HFV envタンパク質の配列は既に公知である。
【0029】
1.FV env発現構築物の作製
完全長envオープンリーディングフレーム(ORF)を含むHFVプロウイルスクローンpHSRV1(28)の3076bp AflII/EcoRIフラグメントをpCDNA3(Invitrogen)ベクターに挿入することにより、ヒトFV単離体(HFV)のエンベロープ遺伝子の真核発現構築物を作製した。この構築物をpCHFV wtと名づけ、図1に示す突然変異及びキメラHFVエンベロープタンパク質を作製するために使用した。要約すると、鋳型としてHFV及び/又はMuLV env遺伝子と、所望の突然変異を含むオリゴヌクレオチドでポリメラーゼ連鎖反応を使用することにより截断又はキメラenv構築物を作製した。突然変異体を上記基本ベクターに挿入し、配列決定して部位外の突然変異を排除した。3種の突然変異HFVエンベロープ構築物を作製した。pCHFV Δ1とpCHFV Δ2はそれぞれaa975又は981で截断されたHFVエンベロープタンパク質をコードする。pCHFV Δ2には、元のHFV env配列に存在しないC末端アルギニンを付加した。Flugelら(11)により提案されているHFVエンベロープドメイン構造に従い、截断の結果、細胞質ドメインは完全(pCHFV Δ1)又は部分的(pCHFVΔ2)に除去された。最後に、pCHFV SSS構築物はセリン残基により置換された膜貫通(TM)タンパク質の細胞質尾部のC末端に三重リシンモチーフ(aa984〜986)をもつHFVエンベロープタンパク質を産生する。この配列モチーフはHFVエンベロープのER保持に関与することが示されている(13,14)。
【0030】
MuLVエンベロープタンパク質のプロセシングされているか又はプロセシングされていない細胞質ドメインをコードする配列のC末端融合により合計6個のキメラエンベロープタンパク質を構築した(16,17)。pCHFV Δ1MuLVR−、pCHFV Δ2MuLVR−及びpCHFV SSSMuLVR−は上記3種の突然変異とプロセシングされているMuLVエンベロープ細胞質ドメイン(aa634〜649)から構成される融合タンパク質をコードし、pCHFV Δ1MuLV、pCHFV Δ2MuLV及びpCHFV SSSMuLVはC末端にプロセシングされていないMuLVエンベロープ細胞質ドメイン(aa634〜665)を含むそれぞれの融合タンパク質をコードする。
【0031】
MuLV gag/pol(pHIT60)、エコトロピック(pHIT123)及びアンホトロピック(pHIT456)MuLVエンベロープの発現構築物はA.Kingsman(33)から提供された。レトロウイルスベクターSFG GFPS65Tは、MuLV系レトロウイルスベクターSFG(5,22)のクローニング部位に挿入された緑色蛍光タンパク質のヒト化ORF(7)(M.Vogelの寄贈品)を含み、MFG.S NLS−LacZ(22)はSV40核局在シグナル(NLS)に融合したβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(R.Mulliganの寄贈品)を含む。VSV−G ORFを含むプラスミドpSVGL−1(29)(J.Roseの寄贈品)からの1.6kb EcoRIフラグメントをpHITベクターに挿入することにより、VSV−G発現構築物を作製した。
【0032】
2.種々のHFV envタンパク質で偽型化したMuLV粒子の感染性
ほぼ従来技術(33)に記載されているようなpHITパッケージングシステムを使用して組換えレトロウイルス粒子を作製した。要約すると、MuLV gag/pol(pHIT60)の発現構築物、MuLV系レトロウイルスベクターSFG GFPS65T及び上記種々のエンベロープ発現構築物を293T細胞(9)に一過性同時トランスフェクトした。トランスフェクションから48〜72時間後にウイルス上清を回収した。同一プラスミドをトランスフェクトした各トランスフェクション産物からの上清をプールし、濾過(0.45μm細孔寸法)し、最終濃度8μg/mlまでポリブレンを加え、上清を直接使用するか又は使用まで−80℃で保存した。レトロウイルス形質導入後にGFPタンパク質を発現する標的細胞をFACScanでFACS分析により同定し、LysisII and CellQuest Softwareパッケージ(Becton Dickinson)を使用して陽性細胞の数を定量した。
【0033】
pCHFV wt発現構築物を使用した初期実験によると、効率は低いが、HFV wtエンベロープタンパク質でMuLV粒子を偽型化することができ、NIH3T3細胞に形質導入できることが判明した(図2)。HFVエンベロープタンパク質は、発現細胞のERへの保持を誘導するシグナル配列をその細胞質ドメインに含む(13,14)。従って、細胞質的に截断又は突然変異を含むHFVエンベロープタンパク質をコードする3種の構築物pCHFV Δ1、pCHFV Δ2及びpCHFV SSSを試験し、HFVエンベロープの細胞質ドメインとそのER保持が偽型効率に及ぼす影響を調べた。野生型タンパク質に既に観察されている低い偽型活性は、HFVエンベロープの細胞質ドメインを完全(pCHFV Δ1)又は部分的(pCHFV Δ2)に除去すると失われるか又は低下する(図2)。細胞質ER保持シグナルの突然変異(pCHFV SSS)はHFVエンベロープタンパク質の細胞表面発現を増加することが従来示されている(13)。しかし、このような突然変異タンパク質でウイルス粒子を偽型化しても、これらのウイルスの感染性は増加しなかった(図2)。
【0034】
HFV細胞質ドメインを除去又は修飾しても偽型ウイルスの感染効率を増加することはできなかったので、次に第2のアプローチを使用し、HFV細胞質ドメインをMuLV細胞質ドメインで置換するか又はMuLV細胞質ドメインを修飾完全長HFVエンベロープと融合して所望の効果が得られるか否かを試験した。MuLVエンベロープの細胞質ドメインはウイルス粒子内でMuLVプロテアーゼによりプロセシングされることが示された(16,17)。既にプロセシングされている形態のMuLVエンベロープタンパク質を細胞で発現させると、大きい多核シンシチウムが形成され、ウイルス感染性が低下した(24,26)。従って、上記3種の突然変異体とMuLVエンベロープタンパク質のプロセシングされているか(MuLVR−)又はプロセシングされていない(MuLV)細胞質ドメインのC末端融合タンパク質を作製し、これらのキメラエンベロープタンパク質で偽型化した粒子の感染性をNIH3T3細胞で試験した。興味深いことに、1種の突然変異体であるHFV Δ2MuLVタンパク質で偽型化したウイルスは野生型HFVエンベロープタンパク質で偽型化した粒子よりも10〜20倍高い活性を示した(図2)。HFV Δ2MuLVタンパク質による感染性のこの増加はNIH3T3即ちマウス細胞に特異的ではなく、MuLVエンベロープタンパク質で被覆したウイルス粒子を感染させることができないウズラ繊維芽細胞系QT−6でも同様の結果が得られた(図2)。これらの細胞において、HFV Δ2MuLVエンベロープタンパク質で偽型化した粒子の感染性はVSV−Gタンパク質で偽型化した粒子よりも一貫して高かった。分析した他の全タンパク質は、どちらの細胞系でも野生型HFVエンベロープよりも低いか又は同等の相対感染性をもつ偽型ウイルスを生じた(図2)。更に、プロセシングされているMuLV細胞質ドメインを含むキメラHFVエンベロープタンパク質をL929細胞でレトロウイルスベクターにより発現させると、プロセシングされていないMuLV細胞質ドメインをもつ対応するタンパク質よりも高い融合活性を示した(データは示さず)。この結果は、MuLVエンベロープの細胞質ドメインがキメラエンベロープタンパク質として発現されるときにサル免疫不全ウイルス(SIV)等の外来エンベロープタンパク質の融合活性を制御できることを示すデータ(36)に一致する。更に、種々のエンベロープタンパク質で偽型化した核局在β−ガラクトシダーゼタンパク質をコードするレトロウイルスベクターを含む上清を種々の種の細胞系で力価測定した(表1)。より詳細に説明すると、トランスフェクトした293T細胞の上清の系列希釈液で感染させる24時間前に標的細胞(1×104 細胞/ウェル)をプレーティングした。感染から48時間後に青いフォーカスの数を2回数え、力価を計算した。2回測定の値は3倍の範囲であった。表に示す結果は、指定細胞系で全て同一トランスフェクションからの無細胞上清を用いて独立して2回実施した力価測定の代表値であり、2回の実験で再現性のある相対力価が得られた。偽型粒子を含む上清をNIH3T3細胞中で6回まで力価測定し、再現性のある結果を得た。HFV wtエンベロープタンパク質又はHFV Δ2MuLVキメラタンパク質で偽型化したレトロウイルス粒子は、マウス細胞以外にヒト、ミンク及びハムスター由来の細胞にも感染させることができた(表1)。HFV Δ2MuLVエンベロープタンパク質で偽型化したレトロウイルスベクターの力価は、使用した標的細胞に依存して野生型HFVエンベロープタンパク質で偽型化した場合の力価よりも8〜35倍高かった。
【0035】
【表1】
Figure 0003954151
【0036】
3.HFV特異的抗血清によるHFV env偽型粒子の感染性の中和
種々のHFVエンベロープタンパク質で偽型化したMuLV粒子の感染性がHFVエンベロープに特異的であることを確認するために、偽型粒子を標的細胞に加える前に抗HFV特異的チンパンジー血清と共にプレインキュベートした(3)。アンホトロピックMuLVエンベロープ又はVSV−Gタンパク質で偽型化したウイルス粒子をHFV特異的抗血清と共にプレインキュベートした場合の感染性は、これらのウイルスを標準熱不活化ヒト血清(図3)又はモックインキュベートしたウイルス粒子(データは示さず)と共にプレインキュベートした場合に比較して低下しなかった。他方、野生型HFVエンベロープタンパク質又はHFV Δ2MuLVキメラで偽型化した粒子の感染性は、HFV特異的抗血清と共にプレインキュベートすると完全に失われたが、ヒト対照血清と共にプレインキュベートした場合には失われなかった(図3)。HFVエンベロープ特異的感染性のこの中和は、NIH3T3(図3A)及びQT−6(図3B)細胞で観察された。HFVエンベロープタンパク質のバキュロウイルス発現SUドメインに対するウサギ血清を使用した実験でも、HFVエンベロープタンパク質で偽型化したウイルス粒子の同様の特異的中和が得られた(データは示さず)。
【0037】
4.HFV envタンパク質の発現及び粒子取込み
一過性トランスフェクトした293T細胞の放射性免疫沈降分析(RIPA)により、種々のHFVエンベロープタンパク質の発現及びMuLV粒子への取込みを測定した。DNA(pHIT60、SFG GFPS65T及び種々のenv構築物)の添加から48時間後に細胞を[35S]メチオニンで約20時間代謝標識した。上清中に存在するウイルス粒子を溶解バッファーで可溶化する前に20%スクロースクッションで25000rpmで遠心分離してペレット化した。次に、試料を免疫沈降させた。ウイルス粒子とその対応する細胞溶解物をHFV特異的チンパンジー血清又は抗MuLV gagハイブリドーマ上清で免疫沈降させ、沈降物をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により分析した。ペレット化ウイルス又は細胞溶解物からの免疫沈降物中のHFV特異的バンドはHFV env発現構築物をトランスフェクトした試料でしか観察されず、MuLVアンホトロピックエンベロープタンパク質を発現する試料又はモックトランスフェクト培養物では観察されなかった。HFV envをトランスフェクトした細胞の細胞溶解物の免疫沈降物には130及び110KDの2つの主要なHFVエンベロープ前駆物質バンドが観察された(12,21)。更に、より長時間暴露後にはプロセシングされている〜90KD SU及び〜45〜50KD TMタンパク質に対応する2つのバンドを観察することができた。種々のHFV突然変異体をトランスフェクトした細胞試料におけるTMタンパク質の見掛寸法は種々異なり、個々のタンパク質のTM部分が修飾されたことを示した。HFV SSSMuLVR−及びHFV SSSMuLVは細胞発現の明白な低下を示したが、それ以外は、トランスフェクトした細胞における種々のエンベロープタンパク質の定常状態レベルには並の差異しか観察されなかった。ペレット化ウイルス粒子の免疫沈降物には両者エンベロープ前駆物質タンパク質とプロセシングされているSU及びTMタンパク質も検出された。他方、一般に前駆物質タンパク質に対するプロセシングされているタンパク質の相対比はウイルス粒子免疫沈降物のほうが細胞溶解物よりも高かった。
【0038】
興味深いことに、ウイルス粒子の個々の免疫沈降物におけるプロセシングされているSU及びTMタンパク質の量と、対応する偽型粒子の相対感染性(図2)の間に良好な相関を観察することができた。最高の相対感染性をもつ偽型粒子を生じたHFV Δ2MuLVキメラエンベロープはRIPAでも最強のSU及びTMバンドを示した。粗ウイルスペレット又は抗gagハイブリドーマ上清で免疫沈降させた沈降物で個々のウイルス粒子調製物中のMuLV gag/polタンパク質の量を測定した処、HFV Δ2MuLVエンベロープトランスフェクションを除く全試料で同様であった。この試料は粒子会合gag/polタンパク質の有意低下を示し、この調製物には他のウイルスペレットよりも少数のMuLV粒子しか存在しないことを示した。従って、各ウイルス粒子当たりのプロセシングされているHFV SU及びTMタンパク質の相対量は、ウイルス粒子調製物をHFV特異抗体で免疫沈降させた沈降物から予想されるよりも更に高いと思われる。この現象の一因として、HFV Δ2MuLVで偽型化した粒子の感染性が他のHFVエンベロープタンパク質で偽型化した粒子よりも高い結果、これらの粒子がHFV envタンパク質を発現しないトランスフェクト細胞により多量に吸収されるためであると考えられる。この結果、HFV Δ2MuLVで偽型化した粒子は上清から除去され得る。更に、アンホトロピックMuLVエンベロープ又はVSV−Gで偽型化したMuLV粒子とは対照的に、HFVで偽型化したウイルスはポリブレン等のポリカチオンの不在下で感染性の低下を全く示さなかった(30)。従って、一過性トランスフェクションによりHFVエンベロープで偽型化したレトロウイルスベクターの相対力価は、アンホトロピックMuLVエンベロープ又はVSV−Gで偽型化した場合よりも過小評価されると思われる。但し、これらの現象を更に詳細に解明するには、HFVエンベロープで偽型化したウイルスによる感染に耐性のHFVエンベロープを安定的に発現する細胞系を使用して更に進んだ実験を行う必要がある。
【0039】
5.FV env遺伝子に配置したスプライスドナー及びアクセプター部位の失活
更に、HFVエンベロープORF(6310〜9276位)内に位置する内部HFVプロモーター(5’LTRの転写始点に対して8419位)から誘導されるBel−1及びBet転写産物は、envタンパク質のTMサブユニットのコーディング領域内のスプライスドナー(SD、9119位)及びスプライスアクセプター(SA、9237位)部位を有効に利用する。あるいは、これらのSD及びSA部位を利用してHFV envタンパク質をコードするmRNAをスプライスすると、潜在的エンベロープ/bel融合タンパク質が得られる。〜170KDは免疫沈降によりHFV感染細胞で検出することができ、mRNAはHFVに感染したヒト繊維芽細胞からの全mRNAのRT(逆転写酵素)PCRにより検出することができる。SD(9119位)をGT→GG突然変異により失活させると、170KDエンベロープ融合タンパク質は消失するが、130KDエンベロープ前駆物質タンパク質の発現は変わらない。env/bel融合タンパク質の生物学的機能とウイルス力価に及ぼす偽型MuLV粒子の影響については現在のところ不明である。上述のGFP発現MuLVレトロウイルスベクターを用いた予備実験は、相対感染性に及ぼす影響を何ら示さない。
【0040】
要約すると、HFVエンベロープタンパク質で偽型化したMuLV系レトロウイルスベクターを製造するためのシステムを作製した。HFVエンベロープタンパク質の細胞質ドメインを前進的に欠失させると、遺伝子移入とウイルス粒子へのHFV env SU及びTMサブユニットの取込みが低下するので、HFVエンベロープタンパク質の細胞質ドメインはMuLV粒子の偽型化に少なくとも部分的に関与していた。1種の欠失突然変異体であるHFV Δ2MuLVエンベロープにプロセシングされていないMuLVエンベロープ細胞質ドメインを付加すると、HFV野生型エンベロープタンパク質に比較して感染性が10〜20倍増加し、偽型粒子へのキメラエンベロープタンパク質の取込みが増加した。レトロウイルス力価は、野生型HFVエンベロープタンパク質で偽型化することにより達せられる力価の8〜35倍であった。標的細胞型によっては、遺伝子移入効率がVSV−Gタンパク質で偽型化したレトロウイルスベクターと同等以上のものもあった。野生型MuLVエンベロープタンパク質の場合には、ウイルス粒子へのエンベロープの特異的取込みにおける細胞質ドメインの役割は不明である。細胞質尾部欠失突然変異体にうちには粒子会合エンベロープタンパク質が減少するものもあり(15)、また、突然変異エンベロープタンパク質によっては粒子会合の低下を殆ど〜全く示さないものもあった(25,26)。本発明の結果は、エンベロープタンパク質の粒子会合、少なくともMuLV粒子へのキメラエンベロープタンパク質の取込みの増加におけるMuLV env細胞質ドメインの役割を裏付けるものである。
【0041】
最近、VSV糖タンパク質G(6,38)又はGALVエンベロープ(2,34)等の外来エンベロープタンパク質でMuLV系レトロウイルスベクターを偽型化した結果、ウイルス安定性が増加し、宿主細胞範囲が広がり、所定の細胞型の形質導入効率が増加した。FVの宿主範囲が広く、ヒト血清による失活を阻止し(30)、ポリカチオンの不在下で種々の起源の細胞に有効に感染できる(未公開資料及び(30))ため、HFV Δ2MuLVキメラエンベロープタンパク質で偽型化したMuLV系レトロウイルスベクターは種々の細胞型に遺伝子を有効に導入するための有用な新規ツールになるであろう。VSV−Gは産生細胞に高毒性であり、最近まで安定なVSV−Gパッケージング細胞系を作製することはできなかった(8,22,37)が、HFV Δ2MuLVエンベロープの一過性発現の結果、293T細胞で明白な毒性は生じなかった(データは示さず、(19))。
【0042】
参考資料
【0043】
【表2】
Figure 0003954151
【0044】
【表3】
Figure 0003954151
【0045】
【表4】
Figure 0003954151
【0046】
【表5】
Figure 0003954151

【図面の簡単な説明】
【図1】HFVエンベロープ発現構築物の模式図である。HFV(白部分)及びMuLV(影部分)エンベロープのTM成分の細胞外、膜間及び細胞質ドメインを(11,24)に従って示す。模式図の下に野生型HFV及びMuLVタンパク質のアミノ酸配列も示す。HFVエンベロープ構築物のアミノ酸位置を目盛りに示す。HFVエンベロープの細胞質ドメインでER保持(13)関与する配列モチーフの位置を黒部分として示し、突然変異配列を斜線部分として示す。MuLVエンベロープタンパク質の完全長細胞質ドメインにおけるMuLVプロテアーゼの切断部位は2本の逆向き矢印により示す。
【図2】種々のエンベロープタンパク質で偽型化したMuLV粒子の感染性を示す。293T細胞の一過性トランスフェクションにより作製した種々の偽型MuLV粒子をNIH3T3(グレーの棒)又はQT−6(黒の棒)細胞に感染させた。形質導入から48時間後にGFP発現細胞の百分率をFACS分析により定量した。GFP発現細胞の平均蛍光はモック感染細胞の100〜300倍であった。偽型化に使用した各エンベロープ構築物をグラフのy軸に示す。各構築物のGFP発現細胞の平均百分率を対応する標準偏差と共にx軸に示す。各構築物を2〜6回試験した。
【図3】HFVエンベロープ特異的感染性の中和を示す。293T細胞の一過性トランスフェクションによりy軸に示すような種々のエンベロープタンパク質で偽型化合たMuLV粒子を作製した。NIH3T3(A)又はQT−6(B)細胞に加える前に、上清(1ml)を抗HFV特異的チンパンジー血清(1:60)(黒の棒)又は健康な個体からのヒト血清(1:60)(グレーの棒)と共に37℃で1時間インキュベートした。4時間後に上清を吸引し、新鮮な成長培地に交換した。形質導入から48時間後に図2の説明に記載したようにGFP発現細胞の百分率を測定した。実験は中和性サル血清及びこれに抗HFV表面ウサギ血清(データは示さず)を加えて2回実施し、その結果、HFVエンベロープ偽型レトロウイルスベクターの感染性に同様の相対阻害が生じた。

Claims (22)

  1. 機能的修飾フォーミーウイルス(FV)エンベロープタンパク質を含むタンパク質の発現用ベクターであって、前記修飾が該タンパク質の残基975または981における截断であるベクター
  2. 前記タンパク質が非FVレトロウイルスエンベロープタンパク質の全部または一部を更に含む融合タンパク質である、請求項1に記載のベクター。
  3. 前記融合が(i)前記FVおよび非FVエンベロープタンパク質の膜貫通アンカードメイン内、(ii)前記FVおよび非FVエンベロープタンパク質の切断部位内、または(iii)前記FVおよび非FVエンベロープタンパク質の細胞質ドメイン内、若しくは膜貫通アンカードメインと細胞質ドメイン間の連結部位にある請求項に記載のベクター。
  4. 前記タンパク質が、FVエンベロープタンパク質の細胞外ドメインおよび膜貫通アンカードメインの5′部分並びに非FVエンベロープタンパク質の膜貫通アンカードメインの3′部分および細胞質ドメインを含む請求項に記載のベクター。
  5. 前記タンパク質がFVエンベロープタンパク質のSUドメインおよび切断部位の全部または一部を含み、ならびに非FVエンベロープタンパク質の切断部位の全部または一部およびTMドメイン(膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを含む)を含む、請求項3に記載のベクター。
  6. 前記タンパク質がFVエンベロープタンパク質の細胞質ドメインの全部または一部、細胞外ドメインおよび膜貫通アンカードメイン並びに非FVエンベロープタンパク質の細胞質ドメインの全部または一部を含む請求項に記載のベクター。
  7. フォーミーウイルスがヒトフォーミーウイルス(HFV)である請求項1乃至のいずれかに記載のベクター。
  8. 非FVレトロウイルスエンベロープタンパク質がMuLV、MoMuLV、FB29、HTVおよびSIVからなる群より選択されるレトロウイルス由来である請求項乃至のいずれかに記載のベクター。
  9. 前記タンパク質が、エンベロープタンパク質の細胞質ドメインの全部または一部が非FVレトロウイルスエンベロープタンパク質の全部または一部で置換されているHFVエンベロープタンパク質からなる請求項またはに記載のベクター。
  10. 非FVレトロウイルスエンベロープタンパク質がMuLV細胞質ドメインの全部または一部からなる請求項に記載のベクター。
  11. MuLV細胞質ドメインがプロセシングされているまたはプロセシングされていない請求項10に記載のベクター。
  12. 前記タンパク質が、アミノ酸981で截断され、C末端でアルギニンおよび野生型MuLVエンベロープタンパク質の残基634から残基665にわたるプロセシングされていないMuLV細胞質ドメインに融合されている修飾HFVエンベロープタンパク質を含むことを特徴とする、請求項1に記載のベクター
  13. FVエンベロープタンパク質コード配列中に天然に存在するドナースプライシング部位、アクセプタースプライシング部位および両スプライシング部位から成る群より選択されるスプライシング部位の突然変異を含む請求項1またはに記載のベクター。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載のベクターによって発現されるタンパク質。
  15. 請求項1乃至13のいずれかに記載のベクターによって発現されるタンパク質または請求項14に記載のタンパク質を含む偽型ウイルス粒子。
  16. 請求項15に記載の偽型ウイルス粒子の調製方法であって、(i)組換えレトロウイルスベクターを補完細胞株に導入する工程、(ii)該偽型ウイルス粒子の産生を可能とする適当な条件下で該補完細胞株を培養する工程、および(iii)細胞培養から該偽型ウイルス粒子を回収する工程を含む前記調製方法。
  17. 請求項15に記載の偽型ウイルス粒子または請求項16に記載の方法によって得られる偽型ウイルス粒子によって感染された単離哺乳類細胞。
  18. 治療的または効果的な量の請求項15に記載の偽型ウイルス粒子または請求項16に記載の方法によって得られる偽型ウイルス粒子を含む医薬組成物。
  19. 請求項1乃至13のいずれかに記載のベクターを含む補完細胞株。
  20. レトロウイルスgag/pol遺伝子を発現するベクターを更に含む請求項19に記載の補完細胞株。
  21. レトロウイルスgag/pol遺伝子がMuLVまたはFB29またはSIV由来である請求項20に記載の補完細胞株。
  22. ヒト293細胞である請求項20または21に記載の補完細胞株。
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