JPH10247256A - 光学的に複雑な特性を有する物体の美感設計をコンピュータ上で対話的に行う方法 - Google Patents

光学的に複雑な特性を有する物体の美感設計をコンピュータ上で対話的に行う方法

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JPH10247256A
JPH10247256A JP6737197A JP6737197A JPH10247256A JP H10247256 A JPH10247256 A JP H10247256A JP 6737197 A JP6737197 A JP 6737197A JP 6737197 A JP6737197 A JP 6737197A JP H10247256 A JPH10247256 A JP H10247256A
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computer
bsdf
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JP6737197A
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Akira Fujimoto
彰 藤本
Kodourefu Andray
コドゥレフ アンドレイ
Zhdanov Dmitrij
ズダーノフ ドミトリィ
Novoselskij Badim
ノヴォゼルスキー ヴァディム
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INTEGRA KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 双方向散乱分布関数によって表現される複雑
な光学特性を有する物体の美感設計をコンピュータ支援
によりデザイナー等が視覚的かつ対話的に実行すること
が可能な方法を提供する。 【解決手段】 素材の光散乱特性を表形式で記述した双
方向散乱分布関数を得る過程、得られた双方向散乱分布
関数をデータベースとして格納する過程、上記データベ
ースから読みだした双方向散乱分布関数に基づいてコン
ピュータグラフィックス表示装置上に物体の第一回目の
レンダリングを行う過程、光散乱特性をモーフィングで
得た新たなものに変更し、上記新たな光散乱特性に基づ
いて、上記第一回目のレンダリングよりも短時間のうち
に物体の第二回目のレンダリングを行う過程、上記第三
の過程及び第四の過程を所望の光散乱特性が得られるま
で繰り返す過程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的に複雑な特
性を有する塗料、繊維、各種コーティング材料等の物体
の美感設計をコンピュータ上で対話的に行う方法に関す
る。更に詳細には、微妙な照度効果の物理学的に正確な
視覚化及びその操作に関するものであって、特に、デザ
イナー等による対話的操作を可能とする高速化レンダリ
ング(描写)技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年は、商品等の品質特性における色彩
のもつ重要性が飛躍的に増大し、塗料、繊維、各種コー
ティング材料等の光学的に複雑な特性を有する物体の見
え又は外観の設計が重要性を増している。このような物
体の見え又は外観の設計を本明細書中、「美感設計」と
いう。この美感設計は、近年、コンピュータグラフィッ
クスを利用して実施される傾向にある。
【0003】物体の見え又は外観は、その表面の微細構
造、例えば、塗膜中の顔料粒子の大きさ、繊維中でのヤ
ーンの編まれかた等に依存する。表面の微細構造を形成
する要素と光との相互作用の全体的様子は、変角反射測
定器又は光学散乱計によって測定することができ、一般
に双方向散乱分布関数(BSDF)として表現すること
ができる。BSDFは、物体の表面で反射された光線の
空間分布又は透過された光線の空間分布を特徴づける。
物体の表面で反射された光線の空間分布を表現する場合
には、上記BSDFは、特に双方向反射分布関数(BR
DF)と称され、透過された光線の空間分布を表現する
場合には、上記BSDFは、特に双方向伝達分布関数
(BTDF)と称されることがある。上記BRDFは、
単位面積あたりの入射光量に対する反射光量の比であっ
て、4つの角度の関数である。色彩を表現するために
は、BRDFをいくつかの波長において測定する必要が
ある。この場合には、BRDFは、波長を含む5つの独
立変数を持つことになる。ある表面についてのBRDF
の完全な表現には、2つの入射角と2つの反射角につい
て、変数を必要な数だけとるに充分な細かさで変化させ
た全ての組み合わせをカバーするために、数千のデータ
ポイントが必要になる。
【0004】3次元コンピュータグラフィックス(3次
元CG)においては、画像描写のために幾つかの照明モ
デルが用いられる。なかでも、大域照明モデルが用いら
れ、これには、光線追跡法及びラジオシティ法が知られ
ている。これらについては、例えば、藤本彰「ターボビ
ームトレーシング−物理的に正確な照明シミュレーショ
ン環境」(株式会社インテグラ、pp.1−5、199
8年5月20日)、コーエン M.F.ら「高速ラジオ
シティ法の改良」(コンピュータグラフィックス、2
2,4巻、pp.75−84、1998年8月) 、ゴー
ラル C.M.ら「散乱表面間における光の相互作用の
モデル化」(コンピュータグラフィックス、18,3
巻、pp.213−222、1984年7月)等の文献
を挙げることができる。
【0005】これらの従来の画像描写法は、何らかの反
射率モデルを用いて現実のBRDFを近似する手法に基
づいている。なかでもランベルトのBRDFは、計算が
簡単になるので汎用されている。ランベルトの反射モデ
ルを一般化する試みも既に幾つかなされている。これら
のうちには、塗料のBRDFを特徴づける試みも含まれ
ている。例えば、内山裕司、石原利員、辻紘良、大関
徹、増田豊、杉浦護「塗装の反射率モデルによる色・質
感変更」(NICOGRAPH98)、大関徹「自動車
の色彩」(画像電子光学第19回秋期セミナー)、G.
J.ワード「光学的異方性の測定とモデル化」(コンピ
ュータグラフィックス(Proc.Siggraph9
2)、26巻、pp.265−272、1992年7
月)、ハッセC.S.、メイヤー G.W.「リアルな
画像形成のための顔料含有素材のモデル化」(ACM.
TOG、11(4)、pp.305−335、1992
年10月、エリス K.「反射の現象学及びモデリング
入門」(ERIM、http://eol5a.eri
m.org/on−line−docs/GUIDE/
guide.html、1994年10月等を挙げるこ
とができる。
【0006】このようなモデルを使用する手法は、制御
されるパラメータ数が少数であるので、設計過程を簡単
化する。しかしながら、この手法では、同時に近似誤差
を導き入れることになり、また、可能な設計されたBR
DFの一般性を制限し、物体のある種の微妙な、しかし
重要な光学的特性が無視され、描かれないので、解析的
な又は実験的な反射率モデルを物体の実際の美感設計に
有効に利用することは困難である。
【0007】例えば、特開平7−150081号公報に
は、塗料等を塗布して塗装面を得るときや塗装面をカラ
ーCRT画面上に表示するときにデザイナー等が意図す
る塗装面の塗装色を再現する塗装色の再現方法が開示さ
れている。この技術によれば、塗装色を再現するための
色材及び光輝材を含む構成材料の量と反射率との対応で
ある規定値を設定し、更にデザイナー等が所望する新規
反射率が読み取られ、次にこの新規反射率に対する色材
等の構成材料の量が、補間による逆推定法を用いた既知
関係の反射率と構成材料の量とに基づいて計算される。
しかしながら、上記技術は、反射率と構成材料の量との
既知関係を前提とするものであり、従って、この既知の
関係から補間対応関係等によって導くことができる範囲
に限定され、複雑性において幅のあるコーティング素材
の光学的特性に自由に対応できるだけの柔軟性を欠く。
【0008】特開平8−123981号公報には、変角
分光反射率の計測手段を使用して変角ごとの分光反射率
として得た変角分光反射率を用いて、分光波長に依存す
る第1の特徴量と、変角に依存する第2の特徴量とを演
算し、これらの特徴量を用いてもとの変角分光反射率を
再現し、又は、得られた特徴量を変更することにより外
板色の質感の変更や色の変更を行い、その変角分光反射
率を再構成する技術が開示されている。
【0009】特開平8−221560号公報には、外板
色塗板の変角分光反射率を変角分光測定器によって実測
して得た変角分光反射率から、分光波長に依存する第1
の特徴量と、変角に依存する第2の特徴量とを演算し
て、上記変角に関する特徴量に光輝材粒子の輝度に関す
る特徴量を付加して、これらの特徴量を用いてもとの変
角分光反射率を再現し、又は、これらの特徴量を変更す
ることによりメタリック系外板色の質感や色を変更し、
その変角分光反射率を再構成する技術が開示されてい
る。
【0010】しかしながら、これらの技術は、いずれも
特定の解析的モデルに依拠するものであるといえ、従っ
て、その技術は、そのようなモデルの適用可能な範囲内
においてのみ一定の有効性を発揮することが可能である
にすぎない。
【0011】このように、従来の技術においては、画像
描写法において、対象物の光学的特性を何らかの解析的
関数を導入することにより取扱を可能とする手法を確立
することに主眼を置いてきた。しかしながら、そのよう
な手法は、必然的に何らかのモデル化を伴うことにな
り、そのモデル化のための基礎となった素材の特性に特
化されたものとなって、複雑な光学的特性を有する物体
について制約のない設計を行うためには本質的に適さな
い。また、この場合、異なる解析的モデルを混合するこ
とは不可能であり、例えば、ある解析的モデルのパラメ
ータを特定することが可能である範囲の外において、他
の解析的モデルを自由に適用して所望の範囲をカバーす
ることは一般には極めて困難である。
【0012】また、これら従来の技術においては、その
手法を自由に活用するためには、そのシステムに特有の
光学理論知識等を身につける必要があり、デザイナー等
が容易に自然なやり方で作業を行う上で、大きな障害と
なるものであり、画像として表示される色彩や形態その
ものを、視覚的操作のみによって作業対象とするデザイ
ナー等の業務特性に馴染まない。
【0013】更に、従来の技術は、ユーザーインターフ
ェイスにおける最も本質的な問題である高速なフィード
バックの問題を充分に解決していない。その結果、コン
ピュータグラフィックスを用いた物体の美感設計業務に
おける真の対話性は、未だ達成されていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の現状
に鑑み、BSDFによって表現される複雑な光学特性を
有する物体の美的設計をコンピュータ支援によりデザイ
ナー等が視覚的かつ対話的に実行することが可能な方法
を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、光学的に複雑
な特性を有する物体に現実感のある陰影処理を施した写
実的な3次元画像を、コンピュータグラフィックス表示
装置上に表示し、前記特性を操作することにより、光学
的に複雑な特性を有する物体の美感設計をコンピュータ
上で対話的に行う方法であって、(I)光線追跡法画像
システムが構築されたコンピュータの記憶装置に、少な
くとも、光源の幾何学的配置及び強度についての情報並
びに描写されるべき場面中の物体の幾何学的情報を含む
描写されるべき場面の幾何学的特徴を規定するデータを
格納する過程、(II)双方向散乱分布関数を任意の角
度解像度を有する表形式で表し、前記表をデータベース
として前記コンピュータの記憶装置に格納する過程、
(III)光線追跡法によって、美感設計に含まれる1
つ又は複数の物体について双方向散乱分布関数が与えら
れている場面を描写してコンピュータグラフィックス表
示装置上に表示するとともに、前記場面の前記描写の過
程において形成される光線履歴の一部を表すデータを前
記コンピュータの記憶装置に格納する過程、(IV)過
程(II)において形成された双方向散乱分布関数デー
タベースから少なくとも1つの双方向散乱分布関数を選
択し、前記選択された双方向散乱分布関数を含む1又は
それ以上の異なる双方向散乱分布関数と前記過程(II
I)における双方向散乱分布関数とを任意の重み付けに
よって混合することにより、質感を含む光学的特徴につ
いて前記過程(III)における双方向散乱分布関数を
変更し、変更された新たな双方向散乱分布関数を前記1
つ又は複数の物体に与える過程、(V)過程(IV)に
おいて得た新たな双方向散乱分布関数及び過程(II
I)において形成された光線履歴の一部を表すデータを
使用して、前記データを使用することにより前記過程
(III)において実行される描写過程に関して高速化
されている過程により場面を描写して、前記コンピュー
タグラフィックス表示装置上に表示する過程、及び、
(VI)所望の双方向散乱分布関数を得るまで過程(I
V)及び過程(V)を繰り返す過程からなる方法であ
る。以下、本発明を詳述する。
【0016】本明細書中で使用される以下の用語は、そ
れぞれつぎのような意味を有するものとして使用されて
いるが、これらの意味は当業者に周知である。画素−コ
ンピュータによって作成された画像の最小単位をいう。
全体画像は、通常、画素格子からなる。レンダリング
(画像描写)−コンピュータによってシミュレートされ
る可視的表面のラスター画像形成過程をいう。双方向散
乱分布関数(BSDF)−物体の表面で反射された光線
の空間分布を記述するか又は透過された光線の空間分布
を記述する関数。BSDFは、一般に5つの変数、すな
わち、入射方向を規定する2つの角、出射方向を規定す
る2つの角及び波長をもつ。分布が対称性を有する場合
には、その対称性を反映する5次元以下の次元を有す
る。BSDFは、表形式で記述されており、上記表に含
まれる各変数は、その各変数ごとに独立に選択すること
ができる可変の解像度を有している。BSDFモーフィ
ング−BSDFを変更して2つ又はそれ以上の異なるB
SDF間を所望の滑らかさで移行する過程をいう。フリ
ップフロップ効果−観察方向や照明方向の変化によって
塗膜の観察色が変化する効果をいう。この効果は、着色
マイカ片を含有する塗料等に特徴的なものである。
【0017】本発明は、2つの基本概念に基づいてい
る。第1の概念は、デザイナー等によるBSDFデータ
の変更過程におけるユーザーインターフェイスレベルの
ものであり、第2の概念は、レンダリング過程における
ものである。
【0018】(A)ユーザーインターフェイスレベルに
おける基本概念について 上記ユーザーインターフェイスレベルの基本概念は、物
体の美感設計過程において、デザイナー等を物理的に複
雑なシミュレーション過程のみならずデザインの結果で
あるBSDFそのものからも完全に隔離することにあ
る。本発明においては、少なくとも1つのBSDFに基
づいて描かれたコンピュータグラフィックス画像の光学
的特徴を、表示装置の画面上で視覚的かつ対話的に操作
することより、少なくとも1つの新たなBSDFを構成
する。その結果、デザイナー等は、画像のみを対象に作
業をおこなうことができ、一方で、画像シミュレーショ
ンは、内蔵されているBSDFに完全に準拠して実行さ
れる。このことは、物体の美感設計方法がデザイナー等
にとって望ましい使用適合性を有するための条件であ
る。
【0019】従来の技術においては、コンピュータ上で
操作されるべきBSDFは、ある特別の種類の関数を用
いて近似的に表現されていた。例えば、「第12回NI
COGRAPH論文コンテスト論文集」、pp.189
〜199において、内山らは、BSDFの角度依存性R
(x)(xは角度を表す。ここでは、波長は一定とみな
す) は、多項式関数: LogR(x)=ax0.9 +bx+c で予め定めている。全てのBSDFをこのような形式で
表現することができないことは明らかであり、また、従
来の技術においては、あるBSDFを任意の解析的関数
にあてはめることにより近似的に取り扱った場合、近似
誤差が必ず生じ、この誤差を任意に小さくすることもで
きない。
【0020】更に重要なことは、このような関数は、B
SDFモーフィングを実行する操作に関して閉じていな
いことである。すなわち、上記式で記述された2つのB
SDFをモーフィングした結果は、上記式で示される関
数に属するものではない場合があり得る。従って、この
ような場合には、正確性を犠牲にして更に再近似する必
要が生じることになる。
【0021】従って、このような概念を実現するために
は、レンダリングや特別で特徴的な諸機能を発揮させる
操作のために、ある特別な解析関数によって1つ又は複
数のBSDFを近似的に表現するという方法のような、
近似誤差を任意に小さくすることができない方法を採用
することなしに、近似の精度を容易かつ任意に制御する
ことが可能な方法で、直接に1つ又は複数のBSDFを
操作することができるシステムを構築する必要がある。
【0022】本発明においては、上記操作は、上記過程
(IV)において、上記過程(II)において形成され
たBSDFデータベースから少なくとも1つのBSDF
を選択し、上記選択されたBSDFを含む1又はそれ以
上の異なるBSDFと上記過程(III)におけるBS
DFとを任意の重み付けによって混合することにより、
質感を含む光学的特徴について上記過程(III)にお
けるBSDFを変更することにより実行し、この変更さ
れた新たなBSDFにもとづいて場面を描写してコンピ
ュータグラフィックス表示装置上に表示する。従って、
本発明においては、いかなるBSDFも大域的に又は選
択的にBSDFモーフィングすることができる。大域的
BSDFモーフィングとは、モーフィングされるBSD
Fの全ての部分が等しく結果に関与するようなモーフィ
ングをいう。選択的BSDFモーフィングとは、モーフ
ィングされる複数のBSDFについて、それぞれのBS
DFの同一又は異なる部分に重み付けをし、その重み付
けに従って不均等にモーフィングするようなモーフィン
グをいう。例えば、2つのBSDF−AとBSDF−B
とを選択的にモーフィングすると、ハイライト領域につ
いてはBSDF−Aの特徴がより顕著であり、その他に
ついてはBSDF−Bの特徴がより顕著であるようなB
SDFを作ることができる。上記選択的BSDFモーフ
ィングは、局所関数近似を用いることなくBSDFを操
作するものである。
【0023】本発明の方法におけるシステムは、直接B
SDFにもとづいてレンダリングし、また、直接BSD
Fを操作するものであって、従って、BSDFを何らか
の特別な解析関数によって近似的に表現する場合に必然
的に伴う任意に小さくすることができない誤差の発生や
使用範囲の限定がない。このため、BSDFの操作にお
いて可能な最大限の正確性を確保し、かつ、適用するB
SDFの制限がなく汎用性を確保することができる。こ
の結果、例えば、繊維のBSDFと金属のBSDFとの
混合等が可能となる。また、レンダリングやBSDFの
操作のために、上述した解析的関数におけるパラメータ
のような美感設計過程において本来的に無関係な特別の
パラメータを導入せず、使用もしないので、デザイナー
等に、素材の光学的特性の背後にあるいかなる物理学的
知識も要求する必要がない。
【0024】上記ユーザーインターフェイスレベルの基
本概念を実現するための上述の条件はまた、物体の美感
設計方法が、レンダリング過程からの高速なフィードバ
ックによってはじめて可能となる操作の対話性を確保す
ることでもある。以下、レンダリング過程における本発
明の第2の基本概念を説明する。
【0025】(B)レンダリング過程の基本概念につい
て 対話的な物体の美感設計過程は、レンダリング画像の高
速なフィードバックを前提とする。この目的のために
は、レンダリング計算時間を、レンダリング画像の品質
を損なうことなく対話性の成立可能な限界内に短縮する
必要がある。このために、本発明においては、その対話
性の成立する限界以内の時間に、通常のパーソナルコン
ピュータ上で表示装置にフィードバックすることが可能
な高速化レンダリング方法であって、上記過程(IV)
において得た新たなBSDF及び上記過程(III)に
おいて形成された光線履歴の一部を表すデータを使用し
て、上記過程(III)において形成された光線履歴の
一部を表すデータを使用することにより上記過程(II
I)において実行される描写過程に関して高速化されて
いる過程からなる高速化レンダリング方法を過程(V)
で実行する。上記高速化レンダリング方法は、全ての光
線履歴が計算されて保存される前処理過程と、場面中の
物体の光学的特性が変化する場合には、光線履歴情報の
一部を利用して場面を再レンダリングする高速過程の2
つの過程からなる。上記高速化レンダリング方法は、光
線追跡を行わない画像描写方法であって、次のような概
念で表すことができる。すなわち、レンダリングにおい
て、再計算はそれが必要な場合にのみ、すなわち、変更
された要件のみについて行い、一方、変更されていない
要件についてはこれを再利用する。
【0026】本発明は、変更画像の描写において、デザ
イナー等がBSDFを変更するたびに全光線追跡計算過
程を一々再実行することなく、予め行った計算結果を保
存しておき、必要な場合にはそれを直ちに再利用するも
のである。この手法により、何時間も必要としたレンダ
リング時間を数分から数秒以内に短縮することが可能と
なり、従ってレンダリングの精度をおとすことなく対話
性を成立させることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の方法を適用して光学的に
複雑な特性を有する物体の美感設計をコンピュータ上で
対話的に行う過程は、図1に示すブロック図によって典
型的に示される。すなわち、図示しない光線追跡法画像
システムが構築されているコンピュータの固定ディスク
等の記憶装置に、上記(I)の過程により、少なくと
も、光源の幾何学的配置及び強度についての情報並びに
描写されるべき場面中の物体の幾何学的情報を含む描写
されるべき場面の幾何学的特徴を規定するデータを格納
し、また、上記(II)の過程により、BSDFを任意
の角度解像度を有する表形式で表し、上記BSDFを表
す表をデータベースとして上記コンピュータの固定ディ
スク等の記憶装置に格納し、かくしてなるデータベース
から場面情報を、上記コンピュータの半導体メモリー等
の記憶装置に読み込む。図1中、1はこの読み込みを示
す。
【0028】こうして読み込んだ場面情報を用いて、上
記(III)の過程により、光線追跡法によって、美感
設計に含まれる1つ又は複数の物体についてBSDFが
与えられている場面を描写して、図示しないコンピュー
タグラフィックス表示装置上に表示するとともに、上記
場面の上記描写の過程において形成される光線履歴の一
部を表すデータを上記コンピュータの記憶装置に格納す
る。図1中、2はこの前処理レンダリング過程を示す。
こうして表示装置上に表示された描画像を、図1中、3
に示すように、デザイナー等が検討し、必要なら、上記
描画像の変更を決定する。
【0029】この変更が、BSDFの変更である場合に
は、図1中、4に示すように、上記(IV)の過程によ
り、上記BSDFデータベースから少なくとも1つのB
SDFを選択し、上記選択されたBSDFと上記物体の
BSDFを含む2又はそれ以上の異なるBSDFを任意
の重み付けによって混合するBSDFモーフィングによ
り、質感を含む光学的特徴について上記物体のBSDF
を変更する。そして、この変更したBSDF及び過程
(III)において形成された光線履歴の一部を表すデ
ータを使用して、上記(V)の過程により場面を描写
し、図示しないコンピュータグラフィックス表示装置上
に表示する。この場合、上記過程(III)において形
成された光線履歴の一部を表すデータを使用することに
より、この場合のレンダリング過程は、上記過程(II
I)においてはじめに実行される前処理レンダリング過
程よりも高速化されている。
【0030】また、この変更が、物体の位置、方向、形
状等の幾何学的情報の変更又は光源についての幾何学的
情報の変更である場合には、図1中、6に示すように、
この変更を反映するデータに基づいて改めて上記前処理
レンダリング過程を繰り返すことができる。これら過程
(IV)及び過程(V)の過程を、上記過程(VI)に
より、所望の描画像がコンピュータグラフィックス表示
装置上に表示されるまで繰り返し、図1中、7に示すよ
うに所望の描画像がコンピュータグラフィックス表示装
置上に表示された場合、その描画像を描写するのに使用
したBSDF又はその描画像の場面を上記コンピュータ
の外部記憶装置に読み込んで格納する。図1中、8はこ
の過程を示す。そして、こうして格納されたBSDFを
用いて、塗料や繊維等の光学的に複雑な特性を有する物
体を製造することができる。以下、これらの過程を詳細
に説明する。
【0031】(1)BSDFの定義 BSDFは、任意の方向から入射した色光がどのように
他の全ての方向に反射/屈折されるかを記述するもので
ある。従って、このBSDFは、物体を構成する材質に
ついて、その光学的特性によって生じる視覚的効果の全
てを完全に規定する。完全なBSDFのみが任意の光伝
播メカニズムに対応することができる。
【0032】光学的に複雑な材料の反射率は、BRDF
によって表現される。BRDFは、単位面積あたりの入
射光量に対する反射光量の比である。図4に拡散BRD
F及び方向性拡散BRDFの模式的断面図を示す。
【0033】以下、このBRDFを具体的に説明する。
なお、以下の説明は、便宜のためにBRDFについて行
うが、BTDFにも同様に適用可能である。
【0034】本発明においては、表形式のBRDFを使
用する。本明細書中、表形式のBRDFとは、BRDF
を構成する各値を、何らかの変数の組(例えば、角度及
び波長)に対応づけることによって指標づけたものを意
味する。上記表は、BRDFに含まれる変数の数によっ
て5次元以下の次元を有する。例えば、光学的異方性を
もつ材料については5次元の表によって記述され、これ
に対して、分布が対称性を有する場合のように、より簡
単な系を記述するBRDFは、より少ない次元を有する
表によって記述されてもよい。
【0035】光学的に複雑な材料の反射率は、BRDF
によって表現することができる。ランベルト反射の場合
とは異なり、BRDFは、入射方向及び受光方向の双方
の影響を受けて変化する反射率を表現可能である。これ
は、下記の形式で表現される: fr (σV , ψV , σi , ψi ) (4) ここに、添字iは、入射方向を表し、vは受光方向を表
す。fr は、与えられた入射方向と受光方向をもつ反射
率を表す。図3に、BRDFを定義する座標系を示す。
【0036】光学的等方性の材料の場合は、入射方向と
受光方向との間の方位角の差のみが必要である。この場
合、BRDFの表現は: fr (σV , σi , ψi ) (5) となる。ここに、ψi は、入射方向と受光方向との間の
方位角の差を表す。
【0037】上記2つの表現形式においては、与えられ
た方向における反射の大きさはスカラー値fr で表され
る。対象となる材料の色彩をも記述する場合は、更に別
の独立変数として波長が必要になる。従って、光学的異
方性を有する材料については一般に、BRDFは、以下
のように表現される: fr (σV , ψV , σi , ψi , λ) (6) ここに、λは、入射光の波長を表す。
【0038】上記表形式で記述されたBRDFにおい
て、表の一組の変数によって指標づけられるとなりあう
2つのBRDF値の間の値は、内挿によって得る。上記
内挿は、以下の説明においては、線形内挿を使用するも
のとするが、しかしながら、その他の内挿方法であって
もよい。もし、スプライン内挿を使用した場合には、疎
らなデータを使用して内挿することができるので、表の
サイズは小さくなる。なお、本明細書中、表のサイズと
は、表の一組の変数によって指定された値の数をいい、
これは、仮想的な表空間中における表の一組の変数で指
定される格子点の数でもある。
【0039】表の上記各格子点に格納される値がどのよ
うに選択されるのかを説明する。方向性拡散BRDFを
正確に表現するには多少困難があり、BRDFは正反射
方向近傍においてやや急激な変化を生じる。その結果、
このようなデータを均等な格子点上で表すと、表項目の
全数を充分に増加させて格子点の分布密度を充分に増加
させることがでる場合以外は、特に多次元の表において
正反射のピーク領域を正確に表せなくなる。図5に、線
形内挿法で表したBRDFの均等格子及び非均等格子の
場合を示す。図5中、(a)に示すように、先鋭な正反
射ピークをもつBRDFの断面を疎らな均等格子上で表
現すると(折れ線)、正反射ピーク近くにおいて充分な
精度で反射率を近似できない。従って、(b)に示すよ
うに、高い精度を保つにはより多くの格子点が必要であ
る。
【0040】この問題を解決する方法として、非均等格
子を使用することを挙げることができる。上記非均等格
子は、正反射ピーク近傍では密であり、その他の領域で
は疎である。これにより、図5中、(c)に示すよう
に、近似精度を高いレベルで確保することができ、か
つ、格子点の総数を抑えながらも充分な近似精度が得ら
れる。
【0041】上記非均等格子の好ましい態様として、B
RDFを規定するために、上述したBSDFの定義で使
用したものとは別の他の座標系を使用する。図6にこれ
を図示する。この場合、図中で観察方向として示されて
いる受光方向は、正反射方向を基準にして表される。す
なわち、受光方向が正反射方向となす角θによって規定
される。
【0042】上記座標系は、極軸が正反射/屈折光線と
一致する極座標系によって表すことができる。BRDF
が規定される上記極座標系を説明する。図7にこれを図
示する。BRDFの各点は、右手系直交座標系OXYZ
において規定される。この座標系は、BRDFが極座標
系ψ, σ, φ, θで表されている場合には、補助的座標
系である。
【0043】座標原点Oは、観察点から発射されて図中
で観察方向として示された方向を逆進する観察光線と到
達表面との交点である。OZ軸は、正反射光Ls′の方
向と一致する。OX軸は、XOZ平面が入射方向にある
図示しない光源Lsと試料の法線Nとを含むように選ば
れる。σは、角LsONであり、θは、角ZOAであ
り、φは、角XOA′である。Aは観察点であり、A′
は、点AのXOY平面への投影点である。この極座標系
におけるBRDFは、一般に、5次元の関数BRDF
(ψ, σ, φ, θ, λ)である。ここに、ψ、σは、入
射光の方向成分であり、φ、θは、図中、観察方向とし
て示されている受光方向成分であり、λは、波長であ
る。光学的等方性の対象については、BRDFは、対称
面を持つので4次元の関数BRDF(σ, φ, θ, λ)
である。この場合、σは、入射角を表し、φは、入射方
向の経度を、θは、同じく緯度を表す。
【0044】角θは、反射光の正反射方向OZから計ら
れ、角φは、OX方向から計られる。角σは、試料の法
線Nから計られる。座標平面に面対称なBRDFの定義
域は、0°≦σ≦90°、0°≦φ≦180°、0°≦
θ≦180°である。θは、実際には、θmax ( σ,
φ) 以下である。なぜなら、θの値は、ある程度以上大
きくなると表面に対して裏側から観察することに相当す
ることになるからである。θmax は、観察方向が表面に
対して表側であるという条件で規定され、σ及びφの値
に依存した値である。上記条件は、スカラー積を用いて
(ON,OA)>0として表せる。
【0045】従って、一般に、BRDFは、以下の表形
式で記述することができる。
【0046】
【数2】
【0047】上記表は、2次元であって、φとθにのみ
依存している場合である。上記表を、入射方向を規定す
るψとσ及び波長を規定するλの全ての組み合わせにつ
いて繰り返すことにより、5次元の完全なBRDFを記
述することができる。上記4次元のBRDFの場合に
は、入射角σと波長λのみ全ての組み合わせについて繰
り返すことにより得る。
【0048】上記面対称なBRDFを記述するための表
を形成する場合、σ、φ、θにそれぞれ適当な値を設定
する。次に、正反射方向(θ=0)の近傍において格子
密度をより高密度にし、均一な精度をもつ最小サイズの
表の非均等格子のBRDFを得ることができる。
【0049】上述の方法は、透明な物質に対しても同様
に適用可能である。その場合には、その光学的特性は、
BTDFによって記述される。BTDFは、この場合
は、入射及び出射のそれぞれの方向が表面に関して反対
側に位置することを除いて、BRDFと同様に定義する
ことができる。
【0050】本発明の方法においては、考察する双方向
散乱分布関数がいかなる種類、例えば、BRDFである
か又はBTDFであるかは重要ではない。従って、この
ような区別を特にする必要がない場合には、本明細書に
おいては、BRDF及びBTDFのいずれをも意味する
ものとしてBSDFを使用する。
【0051】本発明においては、BSDFの各変数は、
特定の物体表面の光学的複雑性を反映した相互に独立で
可変の解像度をもつ。上記BSDFは、任意の考えうる
素材の表面と光との相互作用を記述する任意の物理法則
に基づいて、所望の精度でレンダリング計算を実行する
ことが可能である完全なBSDFとすることができる。
【0052】BSDFの直接測定法は、その定義に従っ
て行う。図3を参照しつつ説明する。光源は、入射方向
から試料面を与えられた角度σi 、ψi で平行光線によ
り照射する。所定の角度σv 、ψv でこの表面輝度を測
光装置で測定する。この測光装置は、反射光のスペクト
ル分布を与えることができるものである。このようにし
て、1つの測定によって入射角と反射角とのある1つの
組み合わせに対するBSDF値が得られる。可能な全て
の角度について走査することにより完全なBSDFを得
ることができる。この走査は、光源、測光装置、試料
を、機械的に回転させることにより行うことができる。
全方位を同時に測定可能な光学装置を使用すれば、必要
な測定回数を少なくすることができる。
【0053】上記測色データを得るための光学測色用塗
板の測色方法としては、例えば、所定の光源から放射さ
れた照明光の入射光面内において、反射光の反射方向と
正反射方向とがはさむ角で定義される偏角を所定の増分
角でもって段階的に変化させつつ、各段階でそれぞれ反
射光の分光測色を行い、上記入射光面内における複数の
反射方向への反射光についての分光測色値データを採取
する工程〔1〕と、入射光面に対して所定のあおり角だ
け傾斜した少なくとも1つのあおり面内において、反射
光の反射方向と準正反射方向とがはさむ角で定義される
準偏角を所定の増分角でもって段階的に変化させつつ、
各段階でそれぞれの反射光の分光測色を行い、上記あお
り面内における複数の反射方向への反射光についての分
光測色値データを採取する工程〔2〕とを含んでいて、
上記工程〔1〕において、偏角が所定値以下の領域では
増分角を比較的小さい値に設定する一方、該偏角が上記
所定値を超える領域では増分角を比較的大きい値に設定
し、上記工程〔2〕において、準偏角が所定値以下の領
域では増分角を比較的小さい値に設定する一方、該準偏
角が上記所定値を超える領域では増分角を比較的大きい
値に設定するようにして測色する方法が好ましい。上記
測色法によって得たデータを用いることにより、特に光
輝材顔料を含む塗料について質感差異を表現しうる精密
なレンダリングを行うことができるので、高精細の3次
元CG画像を描くことができる。
【0054】上記あおり角は、入射面に対する照射面の
傾きをいい、照射面を水平軸のまわりに回転させること
により任意に変化させることができる。上記あおり面
は、入射光面に対して所定のあおり角だけ傾斜した面を
いう。更に鉛直軸のまわりに回転させると、あおり面内
において、受光方向と準正反射方向とがはさむ角として
定義される準偏角を任意に変えることができる。ここ
で、上記準正反射方向とは、正反射方向をあおり角だけ
回転させてあおり面上へ移したもの、すなわちあおり面
内において正反射光に最も近い位置にある直線を意味す
る。
【0055】図1中、1においては、このようなBSD
Fを表す表をデータベースとして上記コンピュータの外
部記憶装置に格納してなるデータベースから場面情報
を、図示しない光線追跡法画像システムが構築されたコ
ンピュータの記憶装置に読み込んで格納する。
【0056】(2)前処理レンダリング過程 こうして読み込んだ場面情報を用いて、図1中、2にお
いては、前処理レンダリング過程を実行する。この過程
においては、上記(III)の過程により、光線追跡に
よって、美感設計に含まれる一つ又は複数の物体につい
ての1つのBSDFが与えられている場面を描写して、
図示しないコンピュータグラフィックス表示装置上に表
示するとともに、上記場面の上記描写の過程において形
成される光線履歴の一部を表すデータを上記コンピュー
タの記憶装置に格納する。
【0057】レンダリングは、現実世界における知覚を
コンピュータ上でシミュレートする過程である。このシ
ミュレーション過程の主要構成要素は、観察者の目から
みた観察対象である可視的表面の可視的輝度の計算であ
る。この輝度は、逆方向光線追跡法によって計算され
る。光線追跡の初期条件は、観察条件によって決定され
る。上記観察条件は、仮想的空間内における観察者の位
置と仮想的空間内の任意の位置に置かれる四角形の領域
(これを「窓」と称することもある)によって表され、
観察者は、この窓をとおして仮想的空間を観察する。照
明条件は、仮想的空間内の場面中に特定される光源によ
って表される。
【0058】上記逆方向光線追跡法においては、レンダ
リング画像内の各画素に入れるべき輝度及び色彩等の値
を決定するために、図8に模式的に示すように、観察者
の位置から、画像平面aを通過して発射される観察光線
bを考え、対象物に関するこの観察光線bの軌跡を追跡
する。この観察光線bは、散乱面に到達するまでに、鏡
面上cで何らかの変質を被る場合がある。この変質は、
通常、反射及び/又は屈折である。鏡面上cで反射され
た観察光線dは、散乱面に到達してBRDFeを形成す
る。
【0059】観察者から対象物又は場面に向かって追跡
される各観察光線は、なんらかの輝度を帯びているもの
とする。この輝度は、観察者が受け取る現実の可視的輝
度に相当する。観察光線が観察者から最初の到達表面に
いたる間に観察光線が帯びる全輝度は、その方向から観
察者が受け取る現実の可視光の全輝度に相当し、下記の
2つの成分からなる。 (h)観察光線と到達表面とが交わる点における表面輝
度 (j)観察光線が伝播する媒質の空間輝度 これら2つの輝度成分は、対応する減衰率によって表さ
れる。輝度成分であるこの減衰率は、下記の2つの成分
からなる。 (k)反射光線についての鏡面反射率又は屈折光線につ
いての透過率に対応する表面減衰率。これは、1−(鏡
面反射率)又は1−(透過率)として表せる。 (m)単一光線追跡経路(2つのとなりあう到達表面間
の光線追跡経路) における媒質の透過率に対応する空間
減衰率。これは、1−(媒質の透過率)として表せる。
【0060】従って、ある観察光線方向についての可視
的輝度を計算するためには、その方向に観察光線を追跡
し、対応する減衰率を考慮に入れつつ局所的な輝度に寄
与する全ての光源からの輝度の和をとる必要がある。こ
の様子を図9に模式的に示す。図9は、対象物である自
動車、光源及び観察者からなる場面を示す。その結果、
可視的輝度の計算式は、下記のようになる:
【0061】
【数3】
【0062】式中、Lsfi は、観察光線と到達表面と
のi番目の交点における表面局所輝度を表し、Lspi
は、i番目の観察光線追跡(i−1番目の交点とi番目
の交点との間の光線追跡。i=1の場合には、観察者の
目と第一番目の表面との間の光線追跡)における空間局
所輝度を表し、Tsfi は、観察者の目から局所輝度源
であるLsfi までの光線追跡の透過率を表し、Tsp
i は、観察者の目から局所輝度源であるLspi までの
光線追跡の透過率を表す。
【0063】レンダリング画像を形成するためには、観
察方向からみた表面輝度の値を必要とする。完全散乱表
面(ランベルト表面)については、この輝度は、観察方
向と無関係であり、表面の全輝度とその反射率によって
完全に決定される。従って、完全散乱表面については、
レンダリング手法の実行をする場合にはその全輝度値を
計算又は入力するだけでよい。
【0064】しかしながら、非ランベルト性のBSDF
をもつ表面については事態は別である。この場合には、
表面を照射する各光源が輝度に対して有する影響は、観
察方向によって変化する。従って、この場合は、各光源
を別々に取り扱う必要がある。これには、下記の式が使
用される:
【0065】
【数4】
【0066】式中、Lsfは、決定すべき表面輝度を示
し、これは波長λに依存する。和は、全光源(Ls)j
にわたって行う。Ij は、光源Lsj によって生じる輝
度を示し、fr は、式(6)で表されるBSDFを入射
方向及び観察方向を表すベクトル表示を用いて表したも
のである。ここでviewは、観察方向(これは全ての
光源LSj について共通である)を表し、inj は、光
源Lsj の入射方向を表す。
【0067】このようにして、全ての観察光線について
の光線追跡の結果が光線履歴として形成され、図1中、
2において、場面が描写されて、図示しないコンピュー
タグラフィックス表示装置上に表示するとともに、上記
光線履歴の一部を表すデータを上記コンピュータの記憶
装置に格納する。
【0068】(3)BSDFモーフィング こうして表示装置上に表示された描画像を、図1中、3
に示すように、デザイナー等が検討し、必要なら、上記
描画像の変更を決定する。この変更が、BSDFの変更
である場合には、図1中、4に示すように、上記(I
V)の過程により、上記BSDFデータベースから少な
くとも1つのBSDFを選択し、上記選択されたBSD
Fと上記物体のBSDFを含む2又はそれ以上の異なる
BSDFを任意の重み付けによって混合するBSDFモ
ーフィングにより、質感を含む光学的特徴について上記
物体のBSDFを変更する。以下、BSDFモーフィン
グを具体的に説明する。
【0069】各BSDFは、入射光と反射光の方向を規
定する4つの角度と波長との関数であり、BSDFが対
称性を有する特別の場合には、より少ない数の角度パラ
メータを有するが、以下のBSDFにおいては、全ての
角度パラメータをまとめてφで表し、波長をλで表すこ
とにする。かくしてBSDFは、 A=A(φ, λ) (8) と表せる。
【0070】BSDF−AとBSDF−Bをこのような
BSDFとし、この2つのBSDFの混合を、次のよう
に重み付きの和として定義する; R(φ, λ)=w・A(g1 (φ),h1 (λ))+ (1−w)・B(g2 (φ),h2 (λ)) (1) ここで、Rは、混合して得られるBSDFを表し、w
は、重みを表す。g1 、g2 、h1 、h2 は、適当な関
数である。これらの関数は、デザイナー等の操作者がそ
の変化特性をグラフ等の形状により任意に記述すること
ができ、又は、関数ライブラリー等から既存の関数を抽
出してくることもできる。当然ながら、二つ以上のBS
DFの混合も同様にして定義することができる。
【0071】重みwは、例えばデザイナー等によって決
められた一定の値とすることができ、これは、線形モー
フィングの場合である。また、BSDF−A、BSDF
−B又は第三のBSDF−Cの関数として規定すること
もできる。このBSDF−Cは、他の適当なBSDFで
あり、理論的に作ったものであってもよく、混合するB
SDF−A又はBSDF−Bであってもよい。最も一般
的には、 w(φ, λ)=f(C(φ, λ)) (2) と表すことができる。ここで、Cは、デザイナー等の操
作者が選択することができる他のBSDFを表す。f
は、適当な関数である。
【0072】本発明において、BSDFモーフィングに
使用されるBSDFとしては、特に限定されず、例え
ば、以下のようなBSDFであってもよい。 (a)塗料から現実に測定して得られたBSDF。 (b)他のコンピュータプログラムでシミュレートした
塗料BSDF、例えば、干渉マイカ含有塗料をシミュレ
ートするプログラムによって得られるもの。この場合、
得られるBSDFは、フリップフロップ効果を表現して
いる。 (c)理論的又は理想的モデルから求めたBSDF。例
えば、ランベルト反射をBSDFとして記述した場合の
BSDF(A(φ, λ)が、φに依存しない)又はガウ
ス分布反射モデルから求めたBSDF。 (d)適当な抽象関数、例えばガウス分布関数等(これ
は主として混合の重みとして使用される) 。
【0073】また、本発明においては、BSDFモーフ
ィングは、大域的BSDFモーフィングを実行すること
もでき、選択的BSDFモーフィングを実行することも
できる。例えば、2つのBSDF−AとBSDF−Bと
が、全ての部分が等しく混合されて色彩を全体的に変更
することができる。また、ハイライト部を有するBSD
F−Aとハイライト部を持たないBSDF−Bとを混合
して、BSDF−Aのハイライト領域をもつBSDFを
形成することも可能である。この選択的BSDFモーフ
ィングによれば、任意の特定の箇所のみを対象に任意に
光学的特性を修正、変更することが可能となる。
【0074】BSDFモーフィングの特別な場合として
は、次のような場合がある。 (e)フリップフロップ効果を有する塗料を、実測のB
SDFは使用せずに、理論的又は理想的モデル等の他の
方法によって得たBSDFのみから出発して設計する場
合。この場合は、線形モーフィングで充分である。 (f)式(1)のw(λ) 依存性を適当に選択して塗色
を全体的に制御する場合。 (g)式(2)の非線形関数fを制御して材料の質感、
例えば、メタリック感、光沢、深み等を設計又は変更す
る場合。
【0075】従来のコンピュータレンダリング手法にお
いては、何らかの反射率モデルを用いて実際のBRDF
を近似する手法に基づいていた。モデルを使用する手法
は、制御されるパラメータ数が少数であるので、設計過
程を簡単化する。しかしながら、この手法では、同時に
近似誤差を導き入れることになり、また、このようなモ
デルは、それぞれの特定の材料に対してのみ有効であ
り、設計されたBRDFの一般性を制限する。また特
に、異なる解析的モデルは混合することができず、しか
も、それらのモデルに含まれる特定のパラメータの範囲
内において操作することができるのみである。
【0076】これに対して、本発明の方法は、上述の方
法を採用することにより、2又はそれ以上の数の異なる
BSDFを大域的に、又は、選択的に混合して、新たな
BSDFによって表現される被覆表面の光学特性であっ
て任意の複雑さを有するものを形成することを可能とす
る。
【0077】そして、このようにしてBSDFモーフィ
ングにより変更したBSDF及び過程(III)におい
て形成された光線履歴の一部を表すデータを使用して、
図1中、5において、上記(V)の過程により、場面を
描写して、図示しないコンピュータグラフィックス表示
装置上に表示する。この場合、上記過程(III)にお
いて形成された光線履歴の一部を表すデータを使用する
ことにより、この場合のレンダリング過程は、上記過程
(III)においてはじめに実行される前処理レンダリ
ング過程よりも高速化されている。以下、この高速化さ
れているレンダリング方法について説明する。
【0078】(3)高速化レンダリング方法 たとえ1つの観察光線についてであっても、可視的輝度
の計算は、長大なコンピュータ稼働時間を要する極めて
複雑な過程である。従って、複雑な場面の画像を、現実
の像と近似した高い解像度のもとに得るためには、強力
なコンピュータを使用したとしても何時間ものコンピュ
ータシミュレーションが必要となる。しかしながら、多
くの場合、以下に説明するように、長大な計算時間を要
する過程を経ることなく可視的輝度を計算することが可
能である。この原理を以下に詳細に説明する。
【0079】すなわち、仮想的空間内の1つの場面内に
おける光の伝播は、様々の要素によって影響をうける
が、これら要素の大部分は、特に場面が一定の場合にお
ける画像シミュレーションの際には、不変に保たれる。
実際、例えば、コーティング素材の設計等において、デ
ザイナー等は、BSDFで表されるコーティング素材特
性の設計を、典型的には、作業に最適な環境条件を設定
した後に、開始することが多い。この場合には、デザイ
ナー等は、先ず、最適な照明条件並びに対象物の向き及
び視線方向の最適値を選択しておく。そして、このよう
な環境条件を一定にしておいて、作業が実行される。従
って、このように、対象物の位置、光源、観察者等の場
面パラメータが変更されない場合には、非常に時間のか
かる計算を再度実行する必要はない。
【0080】このことを、上記式(3)及び図9に基づ
いて詳細に説明する。表面輝度Lsfi は、直接輝度成
分Ldi と間接輝度成分Lii の二つの成分からなる
(Lsf i=Ldi +Lii )。直接輝度成分Ld
i は、物体表面と観察光線との交点を直接照射する光源
によって形成される。各光源は、上記交点において直接
照度Edi を形成する。観察条件及び照明条件並びに表
面特性を考慮することにより、直接照度Edi から、下
記式により上記直接輝度成分Ldi が計算される: Ldi =f(σi , ψi , σV , ψV )・Edi /π (9) ここに、f(σi , ψi , σV , ψV )は、与えられた
受光方向及び入射方向におけるBSDFを表し、σi
ψi は、入射角を表し、σV 、ψV は、受光角を表す。
【0081】間接照度Eii は、物体表面における間接
的な相互反射光から生じる。この照度は、光源から発し
た光が物体表面と相互作用をすることによる照度地図を
計算する正方向相互反射計算により求められる。この間
接照度Eii から純粋なランベルト表面(すなわち、f
(σi , ψi , σV , ψV )=c=一定となる表面)に
ついての上記間接輝度成分Li iが、下記式により計算
される: Li i=c・Ei i/π (10)
【0082】上記式(3)における空間輝度は、観察光
線が通過する媒体についてのある放射体積を表す。この
輝度は、例えば、グレアやフォグ等の効果によって生じ
る。この輝度は、観察者からLsfi 又はLspi の各
輝度源までの光線追跡経路間の透明度を指定することに
より求められる。
【0083】レンダリングにおける上述の可視的輝度の
計算に必要な過程のうち、最も時間のかかる過程は、光
線追跡及び直接照度Edi の計算である。光線追跡にお
いては、光線と物体との交点(その座標と法線ベクト
ル)を求めるための計算が必要であり、また、直接照度
Edi を正確に計算するためには、全ての影を追跡する
必要があるので、一般にこれらの過程は膨大な計算を必
要とするからである。
【0084】しかしながら、上述したように、上記式
(3)、式(9)及び式(10)の各式から、場面が有
意には変化しない場合には、現実に光線追跡の計算を行
うことも直接照度Edi を計算することも省略すること
ができることが判る。このような、実際に光線追跡計算
や直接照度計算を実施することなく行うレンダリング
を、本明細書中、高速化レンダリング方法という。
【0085】本発明においては、図1中、5の過程で、
この高速化レンダリング方法が実行される。上記高速化
レンダリング方法を行うために、通常のレンダリング手
法において使用される全ての観察光線についての、図1
中、2の過程で計算したその光線履歴を使用する。上記
光線履歴には、以下の内容が含まれる。 (n)各観察光線について、その光線がぶつかる全ての
到達表面についての光線追跡パラメータ。これには、交
点の座標値、光線の方向及びその他の特別な情報等が含
まれる。 (p)各観察光線について、その光線がぶつかる全ての
到達表面についての直接照射条件。これには、全ての光
源の方向と、それらの各光源による各交点での直接照度
Edi が含まれる。
【0086】上記光線履歴の使用により、上記式(3)
で示される可視的輝度をなんらの誤りもなく再構成する
ことができることを以下に示す。空間減衰(1−Tsp
i )及び表面減衰(1−Tsfi )は、図1中、4にお
いてBSDFモーフィングされて得た場面についての新
たな光学的特性を表すBSDF考慮することにより再計
算することができる。この計算は、場面が有意には変化
せず、光学的特性のみが変化しており、全ての光線は同
一経路をたどる場合には、計算に必要な全ての情報が光
線履歴中に保存されているので、なんらの問題も生じる
ことなく実行することができる。
【0087】空間局所輝度Lspi 及び表面局所輝度L
sfi については、光学的特性においてのみ異なってい
るか(表面局所輝度については、照明条件及び観察条件
は同一であるから、f(σi , ψi , σV , ψV )のみ
が異なっている)、又は、一定( 照度は同一である)で
ある。従って、空間局所輝度Lspi 及び表面局所輝度
Lsfi は、光線履歴と場面についての新たな光学的特
性を示すBSDFとから得られる全ての必要な情報から
再計算することができる。
【0088】従って、可視的輝度の全ての成分(Lsp
i 、Lsfi 、Tspi 及びTsfi )は、場面につい
ての光学的特性のみ変化する場合には、いかなる光線追
跡も必要とすることなく、図1中、5の過程において、
光線履歴からの情報を利用して計算することができる。
【0089】上述の説明に基づいて、上記高速化レンダ
リング方法は、以下のように表現することができる。す
なわち、この高速化レンダリング方法は、上記(II
I)の過程により、光線追跡法によって、美感設計に含
まれる1つ又は複数の物体についてBSDFが与えられ
ている場面を描写して、図示しないコンピュータグラフ
ィックス表示装置上に表示するとともに、上記場面の上
記描写の過程において形成される光線履歴の一部を表す
データを上記コンピュータの記憶装置に格納する前処理
レンダリング過程の結果を利用して、過程(IV)にお
いて得た新たなBSDF及び上記過程(III)におい
て形成された光線履歴の一部を表すデータを使用して、
上記過程(III)において形成された光線履歴の一部
を表すデータを使用することにより上記過程(III)
において実行される描写過程に関して高速化されている
過程により場面を描写してコンピュータグラフィックス
表示装置上に表示する高速過程(V)を実行するもので
ある。
【0090】上記高速化レンダリング方法は、以下の2
つの条件下において実行可能である。 (q)上記図1中の2における前処理レンダリング過程
と上記図1中の5における高速過程との双方において、
場面の幾何学的及び照明/観察条件が同一であること。 (s)上記図1中の2における前処理レンダリング過程
と上記図1中の5における高速過程の双方において、全
ての光線の軌跡が同一であること。この2つの条件を満
たすためには、光線追跡方向の変化や光線経路の新たな
分岐を生成する特性の変更は除外される。例えば、屈折
方向の変更は、屈折方向を変化させ、鏡面透過率/反射
率を0から0以外の値に変更することは、新たな光線経
路を形成するので、このような変更は除外される。
【0091】複雑な場面をレンダレングするための全て
の上記光線履歴を保存するためには膨大な記憶容量が必
要となり、レンダリング速度の低下をもたらす。また、
この膨大な光線履歴を再利用する場合にも、高速化レン
ダリング方法の速度を低下させることになる。レンダリ
ング速度の向上のために、本発明においては、変更可能
表面の概念を導入する。
【0092】上記変更可能表面とは、上記前処理レンダ
リング過程の後であって上記高速過程の前に、そのBS
DFをデザイナー等の操作者によって変更することがで
きる表面をいうものとする。この変更過程は、図1中、
4に示される。そして、この変更可能表面以外のいかな
る表面においても光学特性は変化しないものとする。上
記変更可能表面を導入することにより光線履歴を減縮す
ることができる。また、このことにより、その内容には
ある変化が生じることになる。すなわち、上記変更可能
表面上における光線パラメータや光の色彩情報が保存さ
れるのみならず、更に、変更可能表面間における光線追
跡に関する特別な情報もまた保存される。上記特別な情
報には、可視的輝度のうち隣合う2つの変更可能表面間
において一定な部分と、減衰率のうち隣合う2つの変更
可能表面間において一定な部分とがある。かくして、図
1に示すように、この場合における高速化レンダリング
方法は、上記前処理レンダリング過程と上記高速過程と
の間でその光学的特性が変化する表面に関する光線履歴
のみを使用して上記高速過程における計算を実行する。
【0093】最も簡単な場合、1つの変更可能表面の光
学特性のみが変化し、この変更可能表面についてのいか
なる相互反射や光線分岐も生じない。その結果、式
(3)は、高速化された可視的輝度計算式となり、以下
のように簡単になる。 Lv =Lbase+Tn (Lsfn +Ksfn ・Lrest)(12) ここで、Lbaseは、観察者視点から変更可能表面ま
での間の輝度を表す基準輝度を、Tn は、観察者視点か
ら変更可能表面までの間の全透過係数を、Lsfn は、
変更可能表面上の局所表面輝度を、Ksfn は、変更可
能表面上の鏡面反射係数又は鏡面屈折係数を、Lres
tは、変更可能表面を通過後の光線が有する輝度に相当
する残余の輝度をそれぞれ表す。このように、可視的輝
度計算式は簡単になり、レンダリング過程を高速化する
ことができる。
【0094】かくして、図1中、5において、図1中、
2において形成された光線履歴の一部のデータを使用す
ることにより、上記前処理レンダリング過程よりも高速
化されているレンダリングを実行することができる。
【0095】また、図1中、3における変更が、物体の
位置、方向、形状等の幾何学的情報の変更又は光源につ
いての幾何学的情報の変更である場合には、図1中、6
に示すように、この変更を反映するデータに基づいて改
めて上記前処理レンダリング過程を繰り返すことができ
る。
【0096】かくして、図1中、3、4及び5の過程
を、所望の描画像が図示しないコンピュータグラフィッ
クス表示装置上に表示されるまで繰り返し、図1中、7
において所望の描画像が上記図示しないコンピュータグ
ラフィックス表示装置上に表示された場合、図1中、8
においてそのBSDF又はその描画像の場面を上記コン
ピュータから出力することができる。
【0097】こうして出力されたBSDFを用いて、例
えば、塗料を設計、製造する過程におけるデータの流れ
は、図2に示すブロック図によって典型的に表される。
すなわち、現実世界の物体色を測光して得た光学特性デ
ータは、コンピュータにBSDFデータとして入力さ
れ、このデータに基づいて上記コンピュータ上でレンダ
リング手法によりシミュレーション画像が形成され、図
示しない表示装置に出力される。この画像をデザイナー
等が検討し、必要に応じて対話的かつ視覚的に変更を加
え、その操作結果に基づいてBSDFデータが修正さ
れ、この修正されたデータに基づいて再びシミュレーシ
ョン画像が形成される。こうして作成されたBSDFデ
ータが出力データとして得られ、このデータを使用して
塗料配合が決定され、実在の塗料が得られる。
【0098】この場合において、塗料配合の決定は、所
謂CCM技法を使用することができる。また、使用する
BSDFデータベースを工夫して、BSDFモーフィン
グの結果を塗料配合に反映することができるように工夫
したBSDFデータベースを使用することもできる。こ
の場合には、BSDFモーフィングの結果から、塗料配
合等の塗料の製造に利用可能な情報を容易に知ることが
できる。
【0099】なお、一般に、3次元CGによってレンダ
リングされた画像においては、たとえそれがBSDFを
はじめとする物理的な裏付けのある情報をもとに生成さ
れたものであったとしても、実際に表示装置に表示され
る際には、その装置の特性によって表示される色彩が本
来のものとは異なることがあり、従って、画像の色彩表
示そのものがもとになった塗色の色彩を物理学的に正確
に再現しない場合もある。しかしながら、本発明におい
ては、光輝材の影響を正確に反映した原色データから読
みだされた表形式のBSDFを必要により混合すること
により作成された画像に対応するBSDFのデータその
ものを対象として、その表示色に対応する塗色の塗料配
合を出力するものであるので、より正確な塗料配合の算
出が可能となる。
【0100】また、本発明の方法は、広く物体の見え又
は外観の設計に使用することができきる。例えば、織
布、不織布等の布の外観は、織布であれば、その織り方
(ヤーンの編まれかた)のような微細構造に依存し、織
り糸の色が同一であっても表面の微細構造が異なると見
えや外観は異なってくる。このような効果は、本発明の
方法により取扱可能となり、その美感設計を行うことが
できる。本発明の方法によれば、使用するBSDFに事
実上制限はないので、上述以外に更に、紙、プラスチッ
ク、金属、木材、セラミックス等の無機系素材等の各種
素材の見え又は外観の設計を行うことができる。
【0101】本発明の方法によれば、デザイナー等が行
う光学的に複雑な特性を有する物体の美感設計、例え
ば、コーティング素材の設計や布等の各種素材の見えの
設計、換言すればこれら素材のBSDFの作成におい
て、光学的複雑さに煩わされず、また、そのような知識
を習得する必要なく、デザイナー等が自分に慣れた自然
なやり方で作業をすすめることを可能とするものであ
り、光学や塗料等の専門家ではなくデザイナー等自身が
容易に実際に操作することができる。
【0102】本発明の方法においては、デザイナー等
は、多次元のBSDFデータからなるオブジェクト空間
において直接操作を行うのではなく、自分の設計作業に
対してオブジェクト空間から対話性の成立する限界時間
以内、例えば、3秒以内にフィードバックされてくる結
果を、表示装置に表示される画像空間において視認しつ
つ操作することができる。すなわち、デザイナー等は、
自分が作業しなければならない対象に、じかに、作業を
おこなうのであり、言い換えれば、自分が設計している
コーティング素材や布、繊維等の視覚上の効果を、所望
の照明条件や物体の条件のもとに検討することができ
る。
【0103】デザイナー等の作業空間をオブジェクト空
間から画像空間へ移すためには、物理学的な正確さによ
る高信頼性及び高速フィードバックシステムという2つ
の機構が必要となる。本発明においては、上記機構は、
BSDFの上述の5つの全ての次元について適合的に制
御可能な分解能をもつ汎用の完全なBSDF形式を使用
するものである。このシステムにおいては、フィードバ
ック画像生成の物理学的正確性と対話速度(例えば、3
秒以内)を必要なレベルで確保することができるのみな
らず、 1.実在するいかなる素材、例えば、塗料等のコーティ
ング素材や布、繊維、紙、プラスチック、金属、セラミ
ックス等の素材についてのどのような光学的特性の実測
値をも直接に入力して利用することができ、BSDFと
して実測されたこのような特性は、新規な設計に利用す
ることが可能であり、 2.入力された、例えば、フリップフロップ部やハイラ
イト部の広がりや変化の度合いを記述するBSDF、フ
リップフロップ部からの色にじみ等を記述するBSDF
等の、いかなるBSDFも制限なく再設計に利用するこ
とができ、再設計されたBSDFは、BSDFモーフィ
ングに使用することが可能であり、 3.任意の数の互いに異なるBSDFを制限なしにBS
DFモーフィングすることができ、このBSDFモーフ
ィングは、大域的に実行することも可能であるととも
に、選択的に、すなわちBSDFの特定の論理箇所、例
えば、ハイライト領域又はフリップフロップ領域に限定
して分光特性を混合し、しかもその他の特性、例えば、
反射率又は透過率分布はそのままにして実行することが
できる。
【0104】
【実施例】以下、実施例を掲げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0105】実施例1 1.フリップフロップの合成 理論的に形成したBRDF−A及びBRDF−Bのみを
線型モーフィングして、自動車車体のフリップフロップ
効果を設計した。BRDF−Aは、ハイライト部を有す
るBRDFであり、BRDF−Bは、異なる色彩のラン
ベルトBSDFである。これらを混合するとフリップフ
ロップ効果を有する異なる色彩の画像が形成された。図
10に、ハイライト部をもつ理論的に形成したBRDF
−Aによるカラー画像をモノクロで表示した画像を示し
た。図11に、ランベルトBRDF−Bによるカラー画
像をモノクロで表示した画像を示した。図12に、上記
BRDF−Aと上記BRDF−Bとを線型モーフィング
して得たBRDFによるフリップフロップ効果を有する
カラー画像をモノクロで表示した画像を示した。
【0106】2.色彩の変更 実測したBRDFを、ランベルトBRDFと重みを変え
て混合することにより色彩を変更した。重み付けは、式
(1)のw(λ) 依存性を選択して行った。図13に、
もとの実測したBRDFによるカラー画像をモノクロで
表示した画像を示した。図14に、ランベルトBRDF
と混合したBRDFによる色彩を緑色に変更したカラー
画像をモノクロで表示した画像を示した。図15に、別
の重み付けでランベルトBRDFと混合したBRDFに
よる色彩を黄色に変更したカラー画像をモノクロで表示
した画像を示した。なお、実測BRDFは、ソリッド系
中塗(明度N2)の上に約5%のメタリック光輝材含有
ベース塗料を塗り、更にクリア塗料を、それぞれ各30
μmの膜厚で塗布したハイライト方向に赤紫のフリップ
フロップがある塗板を変角分光光度計(村上色彩技術研
究所社製、GSP−2型)を使用して測光して得た。
【0107】3.光沢の変更 ここでは、式(2)の重み付け関数fを変化させて図1
7に示すように、□で示す実測BRDFを○で示すBR
DFに変更して光沢を増加した場合、●で示すBRDF
に変更して光沢を減少した場合について、それぞれ図1
8及び図19に、得られたBRDFによるカラー画像を
モノクロで表示した画像を示した。図16に、もとの実
測したBRDFによるカラー画像をモノクロで表示した
画像を示した。なお、実測BRDFは、ソリッド系中塗
(明度N2)の上に約10%のメタリック光輝材含有ベ
ース塗料を塗り、更にクリア塗料を、それぞれ各30μ
mの膜厚で塗布した赤系メタリック塗板を変角分光光度
計(村上色彩技術研究所社製、GSP−2型)を使用し
て測光して得た。
【0108】4.メタリック感の変更 式(2)のfを制御して、図16に示すもとの実測した
BRDFによる画像のメタリック感を変更した。ここで
は、式(2)の重み付け関数fを変化させて図20に示
すように、□で示す実測BRDFを○で示すBRDFに
変更してメタリック感を増加した場合、●で示すBRD
Fに変更してメタリック感を減少した場合について、そ
れぞれ図21及び図22に、得られたBRDFによるカ
ラー画像をモノクロで表示した画像を示した。
【0109】5.深みの変更 式(2)のfを制御して、図16に示すもとの実測した
BRDFによる画像の深みを変更した。ここでは、式
(2)の重み付け関数fを変化させて図23に示すよう
に、黒菱形で示す実測BRDFを黒四角で示すBRDF
に変更してメタリック感を増加した場合、黒三角で示す
BRDFに変更してメタリック感を減少した場合につい
て、それぞれ図24及び図25に、得られたBRDFに
よるカラー画像をモノクロで表示した画像を示した。
【0110】
【発明の効果】BSDFの合成と与えられたBSDFの
大域的又は選択的モーフィングを可能とし、各種工業的
素材の見え又は外観の美感設計が可能となり、コーティ
ング素材の色彩、メタリック感、深み、光沢等の特性の
設計や布、繊維等の見えの設計が可能となる。また、対
話的設計を可能とする高速化レンダリングを実行するこ
とができる。コーティング素材の製造に利用可能な完全
かつ正確な光学特性をデザイナー等が容易に設計するこ
とができ、制限のないコーティング素材の設計が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を適用して光学的に複雑な特性を
有する物体の美感設計を行う場合の過程を概念的に示す
図。
【図2】本発明の方法を適用して塗料を設計、製造する
過程におけるデータの流れを概念的に示す図。
【図3】入射方向及び反射方向を規定する4つの角度の
関係を示す座標系。
【図4】拡散BRDF及び方向性拡散BRDFの模式的
断面図。
【図5】線形内挿法により表した疎らな均等格子による
BRDF(a)、密な均等格子によるBRDF(b)及
び非均等格子によるBRDF(c)の模式図。
【図6】正反射方向及び角度θの関係を示す模式図。
【図7】BRDFを規定する極座標系の図。
【図8】逆方向光線追跡法を表す概念図。
【図9】単一の観察光線の輝度に寄与する各光源の配置
を表す概念図。
【図10】人工的なハイライトをもつBRDFによるカ
ラー画像をモノクロで表示した画像。
【図11】ランベルトBRDFによるカラー画像をモノ
クロで表示した画像。
【図12】図10の人工的なハイライトをもつBRDF
と図11のランベルトBRDFとを混合したBRDFに
よるフリップフロップを有する色彩を変えたカラー画像
をモノクロで表示した画像。
【図13】実測したBRDFによるカラー画像をモノク
ロで表示した画像。
【図14】図13の実測したBRDFとランベルトBR
DFとを混合して色彩を緑系に変更したBRDFによる
カラー画像をモノクロで表示した画像。
【図15】図14と別の重み付けでランベルトBRDF
と混合して色彩を黄系に変更したBRDFによるカラー
画像をモノクロで表示した画像。
【図16】実測したBRDFによるカラー画像をモノク
ロで表示した画像。
【図17】光沢の制御における重み付け関数fの変化に
よるBRDFの変化を示すグラフ。□で示すもとのBR
DFを○で示すBRDFに増加した場合、●で示すBR
DFに減少した場合をそれぞれ示す。
【図18】光沢が増加した場合のカラー画像をモノクロ
で表示した画像。
【図19】光沢が減少した場合のカラー画像をモノクロ
で表示した画像。
【図20】メタリック感制御における重み付け関数fの
変化によるBRDFの変化を示すグラフ。□で示すもと
のBRDFを○で示すBRDFに増加した場合、●で示
すBRDFに減少した場合をそれぞれ示す。
【図21】メタリック感が増加した場合のカラー画像を
モノクロで表示した画像。
【図22】メタリック感が減少した場合のカラー画像を
モノクロで表示した画像。
【図23】深み制御における重み付け関数fの変化によ
るBRDFの変化を示すグラフ。黒菱形で示す実測BR
DFを黒四角で示すBRDFに変化させて深みを増加し
た場合、黒三角で示すBRDFに変化させて深みを減少
した場合をそれぞれ示す。
【図24】深みが増加した場合のカラー画像をモノクロ
で表示した画像。
【図25】深みが減少した場合のカラー画像をモノクロ
で表示した画像。
【符合の説明】
a.画像平面 b.観察光線 c.鏡面反射 d.観察方向 e.BRDF f.入射光線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヴァディム ノヴォゼルスキー 東京都文京区本駒込5丁目69番7号 株式 会社インテグラ内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学的に複雑な特性を有する物体に現実
    感のある陰影処理を施した写実的な3次元画像を、コン
    ピュータグラフィックス表示装置上に表示し、前記特性
    を操作することにより、光学的に複雑な特性を有する物
    体の美感設計をコンピュータ上で対話的に行う方法であ
    って、(I)光線追跡法画像システムが構築されたコン
    ピュータの記憶装置に、少なくとも、光源の幾何学的配
    置及び強度についての情報並びに描写されるべき場面中
    の物体の幾何学的情報を含む描写されるべき場面の幾何
    学的特徴を規定するデータを格納する過程、(II)双
    方向散乱分布関数を任意の角度解像度を有する表形式で
    表し、前記表をデータベースとして前記コンピュータの
    記憶装置に格納する過程、(III)光線追跡法によっ
    て、美感設計に含まれる1つ又は複数の物体について双
    方向散乱分布関数が与えられている場面を描写してコン
    ピュータグラフィックス表示装置上に表示するととも
    に、前記場面の前記描写の過程において形成される光線
    履歴の一部を表すデータを前記コンピュータの記憶装置
    に格納する過程、(IV)過程(II)において形成さ
    れた双方向散乱分布関数データベースから少なくとも1
    つの双方向散乱分布関数を選択し、前記選択された双方
    向散乱分布関数を含む1又はそれ以上の異なる双方向散
    乱分布関数と前記過程(III)における双方向散乱分
    布関数とを任意の重み付けによって混合することによ
    り、質感を含む光学的特徴について前記過程(III)
    における双方向散乱分布関数を変更し、変更された新た
    な双方向散乱分布関数を前記1つ又は複数の物体に与え
    る過程、(V)過程(IV)において得た新たな双方向
    散乱分布関数及び過程(III)において形成された光
    線履歴の一部を表すデータを使用して、前記データを使
    用することにより前記過程(III)において実行され
    る描写過程に関して高速化されている過程により場面を
    描写して、前記コンピュータグラフィックス表示装置上
    に表示する過程、及び、(VI)所望の双方向散乱分布
    関数を得るまで過程(IV)及び過程(V)を繰り返す
    過程からなることを特徴とする光学的に複雑な特性を有
    する物体の美感設計をコンピュータ上で対話的に行う方
    法。
  2. 【請求項2】 前記過程(II)における表形式で表さ
    れた双方向散乱分布関数は、前記双方向散乱分布関数を
    一般的に規定する入射方向を規定する2つの角度、受光
    方向を規定する2つの角度及び入射光の波長のこれら5
    つの各変数のそれぞれについて独立に選択可能な可変の
    解像度を有するものである請求項1記載の光学的に複雑
    な特性を有する物体の美感設計をコンピュータ上で対話
    的に行う方法。
  3. 【請求項3】 前記過程(II)においてデータベース
    として格納される双方向散乱分布関数は、実測された双
    方向散乱分布関数、コンピュータシミュレーションによ
    って得られる双方向散乱分布関数、及び、美感設計に含
    まれる物体の散乱特性についての解析的又は実験的理論
    モデルから計算されて得た双方向散乱分布関数からなる
    群から選択された少なくとも1種である請求項1記載の
    光学的に複雑な特性を有する物体の美感設計をコンピュ
    ータ上で対話的に行う方法。
  4. 【請求項4】 前記過程(III)における光線追跡の
    際に、照明方向とその強度の情報を含む照明条件につい
    ての全ての必要な幾何学的情報が、描写される画像の各
    画素ごとに前記コンピュータの記憶装置に格納される請
    求項1記載の光学的に複雑な特性を有する物体の美感設
    計をコンピュータ上で対話的に行う方法。
  5. 【請求項5】 前記過程(IV)における双方向散乱分
    布関数の混合は、2以上の双方向散乱分布関数の重み付
    け和として前記コンピュータにより演算するものである
    請求項1記載の光学的に複雑な特性を有する物体の美感
    設計をコンピュータ上で対話的に行う方法。
  6. 【請求項6】 前記過程(IV)における双方向散乱分
    布関数の混合は、前記選択された双方向散乱分布関数B
    SDF−A及び前記過程(III)における双方向散乱
    分布関数BSDF−Bの重み付け和を、下記の式に基づ
    いて演算するものである請求項1記載の光学的に複雑な
    特性を有する物体の美感設計をコンピュータ上で対話的
    に行う方法。 R(φ, λ)=w・A(g1 (φ),h1 (λ))+ (1−w)・B(g2 (φ),h2 (λ)) (1) (式中、Rは、混合して得られる双方向散乱分布関数を
    表し、wは、重みを表す。φは、全ての角度パラメータ
    を表し、λは、波長を表す)
  7. 【請求項7】 重みwは、任意に定められた一定の値で
    あるか、又は、下記の式によって定めれた値である請求
    項6記載の光学的に複雑な特性を有する物体の美感設計
    をコンピュータ上で対話的に行う方法。 w(φ, λ)=f(C(φ, λ)) (2) (式中、C(φ, λ)は、BSDF−A、BSDF−B
    又は第3の双方向散乱分布関数を表し、fは、制御可能
    な一価関数を表す)
  8. 【請求項8】 前記過程(V)における高速化描写過程
    の際に、下記の式に基づいて可視的輝度が前記コンピュ
    ータにより演算される請求項1記載の光学的に複雑な特
    性を有する物体の美感設計をコンピュータ上で対話的に
    行う方法。 【数1】 (式中、Lsfi は、観察光線と場面表面とのi番目の
    交点における表面局所輝度を表し、Lspi は、i番目
    の観察光線追跡(i−1番目の交点とi番目の交点との
    間の光線追跡。i=1の場合には、観察者の目と第一番
    目の表面との間の光線追跡)における空間局所輝度を表
    し、Tsfi は、観察者の目から局所輝度源であるLs
    i までの光線追跡の透過率を表し、Tspi は、観察
    者の目から局所輝度源であるLspi までの光線追跡の
    透過率を表す)
  9. 【請求項9】 光学的に複雑な特性を有する物体が、光
    輝材仕上げの物体及び布からなる群から選択されたもの
    である請求項1記載の光学的に複雑な特性を有する物体
    の美感設計をコンピュータ上で対話的に行う方法。
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