JPH10246673A - 湿球ウイック水保有装置 - Google Patents

湿球ウイック水保有装置

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JPH10246673A
JPH10246673A JP6733897A JP6733897A JPH10246673A JP H10246673 A JPH10246673 A JP H10246673A JP 6733897 A JP6733897 A JP 6733897A JP 6733897 A JP6733897 A JP 6733897A JP H10246673 A JPH10246673 A JP H10246673A
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精一 村上
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義洋 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で簡単な構造で雑菌の繁殖を防止する。 【解決手段】 ウイックパン3を外筒31と内筒32で
構成し、恒温恒湿器内に取り付け、接続管33にポンプ
から直接送水して水入れ部32bに仕切堰32cのレベ
ルまで水を入れ、オーバーフロー水を外筒のドレン受け
部31eからノズル部31f及びこれに結合される排水
管で加湿器に導く。 【効果】 フロートによる水位制御が不要になり、又器
内配置によりウイックパンが短くなり構造が簡素化され
る。保有水量が少なくなり、水の滞留時間が短くなり、
雑菌の繁殖を抑制できる。内筒の外面に結露しても外筒
内に落ちて排水される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、仕切壁で仕切られ
湿度調整される空間内の湿球温度検出部に被せられたウ
イック用の水を保有する湿球ウイック水保有装置に関
し、例えば恒温恒湿器等の環境試験装置や空調設備の乾
球及び湿球による湿度測定に利用される。
【0002】
【従来の技術】例えば恒温恒湿器等の湿球ウイック給水
装置としては、従来、図7に示すように、恒温恒湿器の
断熱壁101を貫通して長いウイックパンアーム3´を
配設し、器内側では、導設された湿球温度センサ1に被
せられたウイック2をウイックパンアーム3´の中に浸
すと共に、器外側に給水器20を結合し、その給水ノズ
ル21に給水管22を接続し、給水器内に設けたフロー
ト23で給水ノズルの先端を開閉し、給水器を介してウ
イックパンアームに水を供給するようにしていた。この
場合、給水ノズル21には0.01〜0.1kgf/cm2
程度の圧力の水が供給されるので、フロート力でこれを
閉鎖できるように、給水ノズルを例えば1mm程度の小
口径のものにしていた。なお、給水器20の上に更に図
示しないヘッドタンクを設けることもあった。
【0003】しかしながら、このような湿球ウイック給
水装置では、給水ノズルが小さいので、給水系に混入し
た空気や異物が抜けず水が出なくなることがあった。
又、ウイックパンアームが長いと共に給水器20がある
ため保有水量が多くなり、従って水の滞留時間が長くな
り、雑菌が溜まり易い傾向になっていた。更に、ウイッ
クパンアームが長いため水位調節が難しく、これに時間
がかかった。そして更に、給水器20やその上に設けら
れることがあるヘッドタンクや附属配管系が恒温恒湿器
の本体の外部に突出してスペースを占有し、装置全体の
外形が大きくなるという問題があった。
【0004】一方、恒温恒湿器の器内に配設したウイッ
ク給水槽に対応して水位検知タンクを設け、これらの間
を水深の上下位置の2か所で断熱壁を貫通して連結パイ
プで導通させ、水位検知タンク側で水をオーバーフロー
させることにより、水位制御と共にウイック給水槽内の
水を循環置換できるようにし、フロートスイッチ廃止に
よりメンテナンスフリー化を図り、オーバーフローライ
ンからウイック給水槽内の水を排出できるようにし、更
に、ウイック給水槽の底に勾配を付けてその水深を深く
することにより、ウイック給水槽の装着時に水平調整が
不十分であっても、ウイックが必要な水を吸い上げられ
るようにしたウイック水保有装置を備えた恒温恒湿器が
提案されている(特開平8ー108079号公報参
照)。
【0005】しかしながら、この装置では、図7に示す
装置におけるフロートスイッチに関連した問題を解決で
きるものの、ウイック給水槽と水位検知タンクとの間で
断熱壁を貫通して且つ少ない高低差で2本の管が出入り
するため装置の取付作業が難しくなること、ウイック給
水槽が長くて深く、更に水位検知タンクがあるため水の
保有量が極めて多いこと、この水を循環置換させても、
結局恒温恒湿器内の高温環境等の影響を受ける水が多く
なること、従って雑菌の繁殖が起こり易いこと、ウイッ
ク給水槽に多量の結露が発生し易く、これが器内に滴下
すること、等の諸問題を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術に於
ける上記問題を解決し、小型で簡単な構造で取付作業が
容易で、雑菌が繁殖しにくく、更に結露水が滴下しない
湿球ウイック水保有装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、請求項1の発明は、仕切壁で仕切られ湿度
調整される空間内の湿球温度検出部に被せられたウイッ
ク用の水を保有する湿球ウイック水保有装置において、
送水管が結合される結合部と水の入れられる水入れ部と
前記結合部から離れた位置であって前記ウイックの水吸
い上げ部分の端に近い位置に設けられ前記ウイックが水
を吸い上げるために必要な最低水位以上の水位を保持す
るための堰部とを備えた水保有体と、該水保有体を支持
する支持部と前記水保有体の下方で該水保有体に対応し
て形成された水路部と該水路部の水を排出するための排
出口と前記仕切壁に取り付けられる被支持部とを備えた
支持排水体と、を有することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明を適用した湿球ウイ
ック水保有装置を装備した恒温恒湿器のウイック給排水
系の一例を示す。湿球ウイック水保有装置は、仕切壁で
ある断熱壁101で仕切られ温度及び湿度の調整される
空間である恒温恒湿器の本体100内の湿球温度検出部
1に被せられたウイック2用の水を保有する装置であ
り、支持排水体である外筒31と水保有体である内筒3
2とを有するウイックパン3として構成されている。
【0009】ウイック給排水系としては、上記の外に送
水手段となる電磁ポンプ4、測定手段となる温度センサ
5、制御手段となる給水制御部6、水を運搬するための
携帯タンク7、恒温恒湿器に据え付けられた給水タンク
8、恒温恒湿器の本体100内の底部に形成された湿度
調節用の加湿器9、排水管10及び排水用の電磁弁10
a、送水管11、ドレン管12等が設けられている。
【0010】図2は上記湿球ウイック水保有装置である
ウイックパンの構造例を示す。ウイックパン3の外筒3
1は、被支持部としての取付座31a、支持部としての
一端側及び他端側の支持板31b及び31c並びに支持
座31d、水路部としてのドレン受け部31e、排出口
としてのノズル部31f等を有する。取付座31aは、
断熱壁101の内側に固定された支持金具102にネジ
等によって固定され、支持金具を介して恒温恒湿器に取
り付けられる。支持板31b及び31cは穴を備え、そ
の中に内筒32の両端が挿入され支持される。
【0011】ドレン受け部31eは、内筒32の下方で
これに対応して水路を構成するように形成されている。
即ち、図1(c)に示す如く、内筒32の先端まで延設
されていてその側部及び下部を囲うように断面が馬蹄形
状を成し、水路として適当な勾配を持つように形成され
ている。ノズル部31fには図1に示すドレン管12が
結合される。
【0012】内筒32は、管を部分的に切除した構造の
ものになっていて、図1に示す送水管11が接続管33
を介して結合される結合部としての管端部32a、水の
入れられる水入れ部32b、堰部としての仕切堰32
c、これを越えたオーバーフロー水を排水するための排
水路32d、外筒の支持板31cで支持される端部材3
2e等備えている。
【0013】管端部32aは、前記の如く外筒の支持板
31bの穴に挿入されて支持される。水入れ部32b
は、同図(d)にも示す如く、管の上方が切除された断
面が馬蹄形状をなし、水を供給されると、仕切堰32c
によって同図(a)の一点鎖線で示す程度の水位にな
る。
【0014】仕切堰32cは、送水管の結合される管端
部32aから離れた位置であってウイック2の水吸い上
げ部分の端2aに近い位置に設けられていて、同図
(d)にも示す如く、水入れ部32bの底からhの高さ
になっている。この高さhは、ウイック2が水を吸い上
げるために必要な最低水位以上の水位を保持できる高さ
である。但し、水を短い時間間隔で送水する場合には、
水位は殆ど変動しないので、上記必要最低水位から適当
な高さだけ上にあればよい。なお、堰部は、図示のよう
な全堰のほか、V字形堰、U字形堰、円弧形堰、これら
の部分堰等、種々の形状のものにすることができる。
【0015】なお、同図(e)に示す如く、外筒31の
支持板31bにボス部31gを一体形成し、この部分に
内筒32の端管部32aとを嵌合させ、この部分のみで
内筒を支持するように構造を簡素化することもできる。
この場合には、接続管33は内筒32から下向きに内筒
32と一体形成される。
【0016】ウイックパン3の上方には、断熱壁101
を貫通して図1にも示した湿球温度センサ1が取り付け
られ、これにウイック2が被せられ、その下端部分が水
入れ部32b内の水に浸漬される。ウイック2はその水
を湿球温度センサ1の部分まで吸い上げる。ウイックに
吸い上げられた水は、その周囲の環境条件によって定ま
る量だけ蒸発する。
【0017】本例の湿球ウイック水保有装置であるウイ
ックパン3は、給排水系により、内筒32に送水された
水をオーバーフローさせてその中の水位をほぼ一定状態
に保持するような給水方式に適用される。このような給
水方式は種々の方法で構成されるが、以下はその好まし
い一例を示す。
【0018】この給水系では、図2に示した水位制御部
6等により、恒温恒湿器の種々の運転状態によって変化
するウイック水消費量を運転状態に対応して算出し、こ
れに一定の余裕水量を加えた水量を電磁ポンプ4で送水
するように制御し、余裕水量をオーバーフロー水として
確保するようにしている。
【0019】図3は、このようなウイック水消費量を求
めるためにウイック水消費量を求めるために行った実験
結果の一例を示す。この実験は、図1に示すような恒温
恒湿器を用いて、器内へ吹き出す空気の流速を5〜6m
/sの範囲に維持し、器内を種々の温湿度条件にして行
われた。ウイック水消費量は、それぞれの温湿度条件に
おいて4時間以上連続運転して測定された。図におい
て、横軸は乾球温度(t)と湿球温度(t´)との差
(t−t´)°Cであり、立軸はウイック水消費量(c
c/h)である。又、図中の数値は温湿度条件を示し、
例えば85/20は、温度85°C、相対湿度20%を
意味する。
【0020】液体が蒸発して一方向へ拡散するときの拡
散量Gは、一般に次式で示すStephan の法則によって得
られることが知られている: G=−〔D/RT〕・〔P/(P−p)〕・dp/dx−−−−−(1) ここで、水が蒸発して大気中に拡散する場合には、Dは
大気中に拡散する水蒸気の拡散係数、Rは水蒸気のガス
定数、Tは水及び水蒸気の絶対温度、Pは水の周囲にあ
る混合気体である湿り空気の全圧即ち恒温恒湿器内の圧
力でほぼ大気圧、pは水蒸気の分圧、(dp/dx)は
ウイック表面から拡散方向への水蒸気分圧勾配である。
ウイックの表面では水が蒸発して水蒸気の分圧が高いの
で、(dp/dx)は負の値になる。
【0021】上式は、分圧が全圧に較べて小さいときに
は、近似的に G=(D/RT)・(ps−pa)/δ−−−−−(2) で表される。ここで、psは水の温度における飽和蒸気
圧、paは、ウイックから蒸発する水蒸気の影響を受け
ないだけ十分離れた位置、即ち恒温恒湿器内の適当な位
置における水蒸気の分圧、δは分圧勾配が0になるまで
の距離、即ち境界層の厚さである。この式において、
(ps−pa)=αP(t−t´)であるから(αは風
速等により定まる係数)、式(2)は、 G=(D/RT)・αP(t−t´)/δ−−−−−(3) として表すことができる。
【0022】式(3)において、D、R、Pは一定値で
ある。(t−t´)は温湿度条件によって変化する。T
とδも温湿度条件によって変化するが、その変化率は比
較的小さく又互い相殺する方向に変化する。従って、ウ
イックからの水の蒸発量は、(t−t´)即ち乾球温度
と湿球温度との差によって支配されると考えられ、図3
の如く(t−t´)を横軸にして実験値を表した。その
結果、種々の温湿度条件において、測定点が直線Lに近
い位置にプロットされ、ウイック水消費量と乾球/湿球
温度差とはかなりの精度で比例関係を形成することが判
明した。なお、図示の直線Mは、直線Lの約10%上の
線で、直線NはMが小さい値のときにこれを一定量にし
た線である。
【0023】以上のような実験に準拠して、本例では、
湿球温度センサ1及び温度センサ5を検出手段として用
いて、主としてウイックを介してウイックパン3から蒸
発する水の蒸発量に関連する状態変数として、ウイック
の置かれた環境温度即ち恒温恒湿器内の温度tと湿球温
度t´とを測定するようにしている。
【0024】給水制御部6は、検出値である温度t及び
湿球温度t´に基づいて、例えば図3の直線M及びNで
示す水量を供給するように、電磁ポンプ4を制御する。
即ち、直線Lを、ウイックパン3から蒸発する真の蒸発
量に近い推定蒸発量Gを表す線とし、直線Mを、直線L
に基づいて真の蒸発量とこれより所定量として10%程
度多い割増蒸発量との間の水量を表す線とし、直線Mの
水量を供給するように電磁ポンプ4を制御する。
【0025】このため、まず、湿球ウイック給水装置が
装着される恒温恒湿器等の実際の装置において、試運転
等によって推定蒸発量線L及びこれに基づく割増蒸発量
線Mを予め決定し、線L又はMのデータをグラフ、数
式、数値表等の何れかの形にして、給水制御部6の制御
プログラムに組み込んでおく。数式の場合に図3のよう
な結果を用いるとすれば、 M=L+b=a(t−t´)+b −−−−−(4) として表す。ここで、図3の例では係数aは0.94に
なる。又、定数bは余裕水量を表し、5(cc/h)で
ある。なお、M=a´L=a´(t−t´)とし、例え
ばa´=1.1aとするような数式を用いてもよい。給
水制御部6は、乾球及び湿球温度センサ5及び1の測定
値を入力し、(t−t´)を計算した後、例えば上式
(3)によりウイック消費水量Gを決定する。
【0026】なお、(t−t´)が小さくなり、ウイッ
ク2からの水の蒸発量が一定量以下になるような使用条
件では、ウイックパン3内の水の滞留時間が長くなるた
め、これを防止できるように、本例では最小流量を確保
する一定量線Nを設けている。従って、制御部6は、
(t−t´)が10°C程度以下のときには、常に水量
Nを流すように電磁ポンプ5を制御する。
【0027】図4は電磁ポンプ4の流量特性を一例示
す。図において、横軸は、電源供給時間、即ち電磁ポン
プ4が運転されている時間の割合を示し、この場合に
は、一定周期10秒の間に運転される時間割合φを示
す。例えばφ=0.04であれば、4%の時間、即ち1
0秒間毎に0.4秒間運転されることを意味する。縦軸
は、その運転時間割合で運転されたときの電磁ポンプ4
の時間当たりの流量を示す。このように、電磁ポンプ
は、電源が供給されたときに、その供給時間に比例した
直線で示される水量Qを吐出する。図3のウイック水消
費量の場合には、φは0.01〜0.05程度の範囲の
値になる。
【0028】本例では、このような特性を持つ電磁ポン
プ4を用いるので、給水制御部6の制御プログラムに
は、ウイック水消費量と同様に、図4に示す電磁ポンプ
4の流量特性がグラフ、数式、数値表等の何れかの形で
予め組み入れられる。数式の場合には、例えば φ=cQ −−−−−(5) として与えられる。図4の例では、係数cは0.001
になる。給水制御部6は、前記のようにウイック消費水
量Gを決定した後、その水量をQとし、式(5)から運
転時間φを計算して出力し、ドライバーとして固体継電
器(SSR)61を介して電磁ポンプ4の運転時間を制
御する。SSR61では、交流半波からなる電圧を印加
する。
【0029】図5は電磁ポンプ4の流量特性の他の例を
示す。運転時間の制御方式としては、1回の電源供給時
間即ち運転時間を一定にして、そのような運転をする時
間間隔即ち周期の長さを制御する方法を用いることもで
きる。図示の例では、図4の場合よりも流量の多いポン
プを用いて、1回の運転時間を40msec とし、必要ポ
ンプ流量Qから周期Tを計算し、給水制御部6はこの周
期T毎に電磁ポンプ4を40msec の間運転するように
制御する。この場合には、: T=k/Q −−−−−−−(6) となる。図5の例ではk=400である。なお、上式に
代えて、グラフや数表等を用いてもよいことは前例と同
様である。
【0030】給水制御部6には操作部分6aが設けられ
ていて、自動給水、初期給水及び停止を選択できるよう
になっている。自動給水を選択すれば、上記のように運
転条件に対応した給水量制御が行われる。初期給水を選
択すると、電磁ポンプ4を100%の出力即ち連続で運
転し、ウイックパン3に必要な水量が満たされるだけの
時間が経過すると、図示しないタイマで電磁ポンプを停
止させるような制御が行われる。これにより、速やかに
初期給水することができる。以上のような湿球ウイック
水保有装置であるウイックパン及びこれを装備したウイ
ック給排水系は次のように作動する。
【0031】ウイックパン3内には、上記の初期給水操
作によって予め水が入れられていて、自動給水状態にさ
れている。恒温恒湿器が運転されると、図示しない循環
送風機、加熱器、冷却器や加湿器9等が運転され、温湿
度を調整された空気が本体内部を循環し、器内に入れら
れた電子部品等の試料が目的とする環境条件で試験され
る。この間、必要に応じて環境条件が変更されるが、ウ
イック給排水系は、これに対応できるように自動運転さ
れる。
【0032】即ち、乾球及び湿球温度センサ4及び1で
測定された温度t及び湿球温度t´が給水制御部6に入
力され、制御部では、式(4)、(5)等に基づいて、
順次(t−t´)、G、φを計算し、SSR61を介し
て電磁ポンプ4を制御周期毎に間欠運転し、水量Gをウ
イックパン3に送水する。例えば、(t−t´)が20
°Cのときには、実測消費水量を18.8cc/hと
し、給水量Gを23.8cc/hとし、これだけの水量
がウイックパン3に送水されるように、電磁ポンプ4の
運転率φを0.0238にし、10秒間毎に0.238
秒間運転することになる。恒温恒湿器の運転状態が変化
し、(t−t´)の値が変わったときには、これに対応
して自動的に電磁ポンプ4の送水量が変化する。
【0033】恒温恒湿器における運転条件が0°C〜1
00°Cの範囲外のときや長期間運転を停止するような
場合には、内筒32内の水の凍結や蒸発、雑菌の繁殖の
防止等のために、排水用の電磁弁10aを開き、送水管
11及び排水管10を介して内筒の水入れ部32b内の
水を排水する。この場合にも、本例のウイックパンによ
れば、内筒の端管部32aに送水管11を直接的に結合
できるので、その排水を容易且つ迅速に行うことができ
る。
【0034】なお、以上ではウイック消費水量を精度良
く算出し、これに準拠して5cc/h程度の極めて少量
の余剰水を含む水量をウイックパンへ送水する例を示し
た。このようにすれば、余剰水の処理が容易になるが、
本例のウイックパンには、オーバーフロー水の確保及び
処理のできるものであれば、他の適当な給排水系を使用
することができる。例えば、ウイックの最大消費水量に
僅かの余裕を加えた水量を比較的短い時間間隔で均等に
給水し、オーバーフロー水を加湿器に導入して加湿器の
補給水とし、運転条件によって加湿器でも余剰水が発生
する場合には、加湿器のオーバーフロー排水方式による
水位調整によって処理するような給排水系にしてもよ
い。
【0035】以上のような給排水系に適用される本例の
ウイックパンによれば、ウイック水消費量よりも約5c
c/h又は給排水系によってはこれ以上を余剰水として
含む水量が電磁ポンプ4によって送水管11を介してウ
イックパン3に送水されると、その水入れ部32b内の
水位がほぼ一定のhに維持されると共に、余分の水が仕
切堰32cから排水部32dを経てドレン受け部31e
内に落とされ、ノズル部31f及びドレン管12を介し
て加湿器9内に落下することになる。なお、式(4)〜
(6)を用いる送水方法によれば、オーバーフロー水量
が微小量になるので、加湿器9には殆ど影響を与えな
い。このような水は、加湿器が恒温恒湿器等の底部に設
けられていない場合には、底部の排水溝等に流すことが
できる。
【0036】又、本例のウイックパンは、恒温恒湿器の
断熱壁101を貫通することなく直接本体100内に設
けられていて、内管32の水入れ部32bの長さが短く
なること、内管32に電磁ポンプ4から送水管11を介
して直接送水できるので、従来のようにフロートタンク
や水位検知タンクが不要になること、内管の長さが短か
く且つオーバーフロー用の仕切堰32cがウイック2に
近い位置にあるので、水面に多少の傾斜が生じてもウイ
ック部分においてそれほど水深が変わらないことから、
従来技術のように水入れ部32bを傾斜させたり深くす
る必要がないこと、等により、ウイックパン部分の保有
水量を必要最小限まで少なくすることができる。
【0037】一方、ウイックからの水の蒸発量は同じで
あるから、保有水量が少なくなればそれだけ水の滞留時
間が短くなり、ウイックにはより新鮮な水が給水され
る。その結果、湿度検出精度が向上すると共に、ウイッ
クパン部分における雑菌の繁殖や付着を大幅に低減させ
ることができる。更に、端管部32aから送水しウイッ
クを浸漬する水入れ部32bを介して管端部から離れた
仕切堰32cから送水した水をオーバーフローさせるよ
うにしているので、水の滞留部分が発生せず、新しい水
がウイックに供給されると共に、内部の水がウイック消
費水とオーバーフロー水とによって順次均等に置換され
るので、上記の雑菌繁殖抑制効果等が一層向上する。
【0038】又、フロートタンクを設けないので、その
水位調整等が不要になる。そして、ウイックパンの長さ
が短かくなることにより、その傾斜調整が容易になる。
更に、フロートによる水位調整を行わないので、水位を
安定させるための均圧管を設ける必要がなくなり、その
ための工事が不要になる。そして更に、電磁ポンプ4か
らウイックパンに直接送水するので、フロートタンクを
設ける場合のように配管サイズの制約がなくなり、これ
を必要十分な大きさにすることができる。その結果、空
気や雑菌等の異物よる閉塞のおそれがなくなる。
【0039】又、ウイックパン3を内外筒による二重管
構造にしているので、器内を高温高湿条件にしたような
場合に内筒の水入れ部32bの下に結露が生じても、結
露は外筒のドレン受け部31cに落ちるので、直接下方
に落下して試料にかかるような不具合が防止される。一
方、ドレン管にはオーバーフロー水が落ちるだけで水が
溜まらないので、その外部に結露を生ずることはない。
従って、ウイックパンの結露問題も解消される。なお、
このような内筒32及び外筒31を主要部分として構成
されるウイックパンは簡単な構造であり、その取り付け
や調整も容易なものである。
【0040】図6はウイックパンの構造の他の例を示
す。本例のウイックパンは自己洗浄式ウイックに適用さ
れる。即ち、ウイック2が水を吸い上げる吸水部2a
と、吸い上げた水の一部分を下端から滴下させる洗浄部
2bとを備え、ウイックパン3の排水部32dが図2の
ものより長くなっていて、その中に洗浄部2bが入るよ
うになっている。洗浄部2bから滴下する水は、オーバ
ーフロー水と共にドレン受け部31eから排水される。
このようなウイックでは、本発明を適用したウイックパ
ンによってウイック洗浄水の処理も容易になる。このウ
イックパンでも、これまで述べた種々の作用効果は維持
される。
【0041】なお、ウイック水消費量の測定用センサと
しては、乾球温度と湿球温度に代えて、各種湿度計等を
用いることもできる。温度や湿度を検出する場合には、
センサの代わりに設定値を用いてもよい。又、送水手段
として電磁ポンプ4を用いて、その運転時間を制御する
例を示したが、オーバーフロー水を確保できるものであ
れば、他の形式のポンプや運転方法を用いることも当然
可能である。
【0042】
【発明の効果】湿球ウイック水保有装置を水保有体と支
持排水体とで構成し、水保有体に、送水管が結合される
結合部と水入れ部とウイックの水吸い上げに必要な水位
を保持するための堰部とを設けるので、結合部に送水管
を結合して送水すれば、水保有体内に堰部の高さまで水
を入れ、余分の水をオーバーフローさせ、フロートタン
ク等を設けなくても、ほぼ一定水位を保持することがで
きる。
【0043】支持排水体は、水保有体を支持する支持部
と例えば恒温恒湿器の断熱壁で構成される仕切壁に取り
付けられる被支持部とを備えているので、支持排水体を
器内の断熱壁に取り付けて水保有体を支持することによ
り、水保有体を恒温恒湿器の器内に配置することができ
る。又、水保有体の下方でこれ対応して形成された水路
部とその中の水を排出するための排出口とを備えている
ので、排水口を加湿器等の適当な場所に接続することに
より、水保有体からオーバーフローした水を排水処理す
ることができる。
【0044】又、フロートタンクやオーバーフロー部分
が器外にあって器外で水位を一定にしてその位置からウ
イック部分まで長さが長くなる従来のウイックパンと異
なり、水保有体の堰がウイックの水吸い上げ部分の端に
近い所に設けられているので、装着時に水保有体に多少
の傾斜が生じても、ウイック部分でそれ程水深が変わら
ないので、水保有体の水深を深くしたりその下部に傾斜
を設ける必要がなくなる。又、水保有体、従って湿球ウ
イック水保有装置の取り付けや調整が容易になる。
【0045】更に、水入れ部において送水管の結合部と
堰とが離れた位置にあるので、その間をウイックの水吸
い上げ部分にすることにより、送水端からウイック部分
を介してオーバーフローまで一貫した水の移動状態を形
成できる。従って、水の滞留部分が無くウイックに常に
新鮮な水を補給できる。
【0046】以上のように、湿球ウイック水保有装置を
恒温恒湿器等の器内に設けて水入れ部の長さを短縮でき
ること、その水深を深くすることなく適当な水深にでき
ること、堰によるオーバーフロー方式により直接送水を
可能にしてフロートタンクや水位検知タンクが不要にな
ること、等により、保有水量を必要最小限まで少なくす
ることができる。その結果、水の滞留時間が短くなり、
ウイックに常に新鮮な水を給水できる。そして、湿球ウ
イック水保有装置において雑菌の繁殖や付着を大幅に低
減し、ウイックの乾燥を防止し、更に湿度検出精度を向
上させることができる。なお、このような水保有体と排
水支持体とを主要部分として構成される湿球ウイック水
保有装置は、簡単な構造であり、本質的に取り付けや調
整の容易なものである。
【0047】更に、支持排水体の水路部は水保有体の下
方でこれ対応して形成されているので、高湿運転時等に
水保有体に結露が生じても、結露が水路部に落下し、器
内へ落下して被試験物にかかるような不具合を防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したウイックパンを装着できるウ
イック給排水系の構成例を示す説明図である。
【図2】上記ウイックパンの構造例を示し、(a)は断
面図、(b)は平面図、(c)は側面図、(d)は仕切
堰の断面図、そして(e)は他の構造例の断面図であ
る。
【図3】ウイック水消費量を測定した実験結果を示す曲
線図である。
【図4】電磁ポンプの流量特性の一例を示す曲線図であ
る。
【図5】電磁ポンプの流量特性の他の例を示す曲線図で
ある。
【図6】自己洗浄式ウイックに適用するウイックパンの
構造例を示し、(a)は断面図で(b)は平面図であ
る。
【図7】従来の湿球ウイック給水装置のウイックパンア
ーム部分の構造例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 湿球温度センサ(湿球温度検出部) 2 ウイック 3 ウイックパン(湿球ウイック水保有装
置) 11 送水管 31 外筒(支持排水体) 31a 取付座(被支持部) 31b、c 支持板(支持部) 31d 支持座(支持部) 31e ドレン受け部(水路部) 31f ノズル部(排出口) 32 内筒(水保有体) 32a 管端部(結合部) 32b 水入れ部 32c 仕切堰(堰部) 101 断熱壁(仕切壁)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕切壁で仕切られ湿度調整される空間内
    の湿球温度検出部に被せられたウイック用の水を保有す
    る湿球ウイック水保有装置において、 送水管が結合される結合部と水の入れられる水入れ部と
    前記結合部から離れた位置であって前記ウイックの水吸
    い上げ部分の端に近い位置に設けられ前記ウイックが水
    を吸い上げるために必要な最低水位以上の水位を保持す
    るための堰部とを備えた水保有体と、該水保有体を支持
    する支持部と前記水保有体の下方で該水保有体に対応し
    て形成された水路部と該水路部の水を排出するための排
    出口と前記仕切壁に取り付けられる被支持部とを備えた
    支持排水体と、を有することを特徴とする湿球ウイック
    水保有装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110579505A (zh) * 2019-10-12 2019-12-17 武汉创高建装股份有限公司 一种建筑幕墙保温性检测设备

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