JPH10246169A - 蓄圧式燃料噴射装置 - Google Patents

蓄圧式燃料噴射装置

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JPH10246169A
JPH10246169A JP5024797A JP5024797A JPH10246169A JP H10246169 A JPH10246169 A JP H10246169A JP 5024797 A JP5024797 A JP 5024797A JP 5024797 A JP5024797 A JP 5024797A JP H10246169 A JPH10246169 A JP H10246169A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リーク燃料の圧力を低減することにより、ト
ップリターンの構成を維持しつつ2方弁の挙動を安定化
する。 【解決手段】 アーマチャ上流室2、または制御室1か
らアーマチャ上流室2に至るリーク通路8に、圧力吸収
手段をなす空気を内包したゴム材5を設けているので、
制御室1から出た燃料がリーク通路8またはアーマチャ
上流室2に達すると圧力吸収手段をなす空気を内包した
ゴム材5によって圧力が低減され、アーマチャ上流室2
とアーマチャ下流室3との圧力差は小さくなる。従って
アーマチャ41が受ける力が低減され、2方弁4の挙動
は安定となり、燃料噴射量の精度が向上するという効果
がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はディーゼルエンジン
に使用される電磁2方弁式インジェクタを用いた蓄圧式
燃料噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は従来の蓄圧式燃料噴射装置に用い
られる電磁2方弁式インジェクタの構成を示す電磁2方
弁式インジェクタの中心軸に沿った横断面図である。図
8に示す電磁2方弁式インジェクタを用いた蓄圧式燃料
噴射装置は、内燃機関の各気筒毎に設けられる燃料噴射
弁60、燃料噴射弁60に供給する燃料の圧力を蓄圧す
るコモンレール61、コモンレール61に高圧燃料を供
給する図示しない高圧供給ポンプ、コモンレール61と
燃料噴射弁60とをそれぞれ連通する燃料分配通路6
2、及びコモンレール61と高圧供給ポンプとを連通す
る図示しない燃料供給通路を備えていると共に、燃料噴
射弁60が燃料圧力によってニードル63を開弁位置に
向かって付勢する油溜まり室64、それに対抗してニー
ドル63を閉弁位置に向かって付勢する付勢手段をなす
バネ65、付勢手段をなすバネ65と協働して制御され
た燃料圧力によってニードル63を閉弁位置に向かって
付勢する制御室1、及び制御室1の燃料圧力を制御する
電磁弁66を備えていて、電磁弁66の開弁により制御
室1からリークした燃料が、リーク通路8を通り、電磁
弁66のアーマチャ上流室2及びアーマチャ下流室3、
インジェクタ上部のリターン通路9を経て図示しない燃
料タンクに戻るいわゆるトップリターンと呼ばれる構成
になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この図8に示す従来の
電磁2方弁式インジェクタを用いた蓄圧式燃料噴射装置
では、ソレノイド7に通電が開始され、2方弁4がリフ
トすると、制御室1の燃料がオリフィス1bを通ってリ
ーク通路8に流れ出す。さらにこの燃料はアーマチャ上
流室2、アーマチャ下流室3、リターン通路9を通って
図示しない燃料タンクへもどる。
【0004】この時アーマチャ上流室2と、アーマチャ
下流室3には、アーマチャ41が絞りとなるため、圧力
差が生ずる。この圧力差によりアーマチャ41が油圧力
を受け、2方弁4の挙動が不安定になり、燃料噴射量の
精度が悪化するという問題がある。この問題を解決する
ために構成を制御室1からのリーク燃料がアーマチャ上
流室2及びアーマチャ下流室3を通らず、直接インジェ
クタの横側に抜けるいわゆるサイドリターンとすると、
2方弁4の挙動は安定するが、エンジン搭載上の自由度
が小さくなってしまうという問題がある。
【0005】本発明は、リーク燃料の圧力を低減するこ
とにより、トップリターンの構成を維持しつつ2方弁の
挙動を安定化することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、請求項1ないし請求項4に記載の構成を採
用する。請求項1に記載の構成によれば、アーマチャ上
流室、または制御室からアーマチャ上流室に至るリーク
通路に、圧力吸収手段を設けているので、制御室から出
た燃料がリーク通路またはアーマチャ上流室に達すると
圧力吸収手段によって圧力が低減され、アーマチャ上流
室とアーマチャ下流室との圧力差は小さくなる。従って
アーマチャが受ける力が低減され、2方弁の挙動は安定
となり、燃料噴射量の精度が向上するという効果があ
る。
【0007】また、請求項2ないし請求項4に記載の構
成によれば、圧力吸収手段が簡単な構成により形成でき
るという効果がある。
【0008】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施形態を
示す電磁2方弁式インジェクタの中心軸に沿った要部の
横断面図であり、圧力吸収手段として空気を内包したゴ
ム材5をアーマチャ上流室2に配設したこと以外は、図
8に示した従来の電磁2方弁式インジェクタと同一の構
造である。
【0009】図1の第1の実施形態では圧力吸収手段は
空気を内包したゴム材5となっており、シリンダ6には
め込まれて固定されている。作動について説明すると、
ソレノイド7に通電が開始され2方弁4がリフトする
と、制御室1内の燃料がオリフィス1bを通ってリーク
通路8に流れ出す。さらにこの燃料はアーマチャ上流室
2、アーマチャ下流室3、リターン通路9を通って図示
しない燃料タンクに戻るが、燃料がアーマチャ上流室2
に達した時、ゴム材5が変形し、内包する空気が圧縮さ
れて空気の圧力が上昇すると共に、ゴム材5の外側にあ
る燃料の圧力は低減される。
【0010】このゴム材5の変形は、燃料の圧力が内包
される空気の圧力に等しくなるようにおきる。また、空
気の弾性率は燃料の弾性率に比べて大幅に小さいので、
ゴム材5が変形して、内包される空気の圧力がわずかに
上昇するだけで、燃料の圧力は大幅に低減される。この
圧力吸収手段をなす空気を内包したゴム材5の働きによ
りアーマチャ上流室2とアーマチャ下流室3との圧力差
は小さくなり、アーマチャ41に作用する力も低減され
て、2方弁4の挙動は安定する。
【0011】本第1の実施形態の効果を確認するため
に、従来の蓄圧式燃料噴射装置に用いられる電磁2方弁
式インジェクタと第1の実施形態の蓄圧式燃料噴射装置
に用いられる電磁2方弁式インジェクタとについてそれ
ぞれコンピュータシミュレーションをおこなった。図2
は第1の実施形態の蓄圧式燃料噴射装置に用いられる電
磁2方弁式インジェクタのシミュレーションモデルを示
すモデル図である。従来の蓄圧式燃料噴射装置に用いら
れる電磁2方弁式インジェクタのシミュレーションモデ
ルは図2中の空気を内包するゴム材モデル109を無く
したものである。
【0012】図2においては簡単のため、リーク通路と
アーマチャ上流室とを1つのボリューム102とした。
ボリューム102とアーマチャ下流室のボリューム10
3とは単なる絞り(オリフィス)によって連通している
とし、ボリューム102とボリューム103の圧力差に
アーマチャモデル104の受圧面積を乗じてアーマチャ
モデル104への作用力を計算した。
【0013】それぞれのボリュームの容積は、制御室1
のボリューム101が50mm3 、アーマチャ上流室2
とリーク通路8とを合わせたボリューム102が150
0mm3 、アーマチャ下流室3のボリューム103が5
00mm3 であり、それぞれのオリフィス径は、オリフ
ィス105が直径0.3mm、オリフィス106が直径
0.3mm、オリフィス107が直径1.4mm、オリ
フィス108が直径1.4mmとした。また、オリフィ
ス105の上流の圧力は120MPaで一定とし、オリ
フィス108の下流の圧力は0.1MPaで一定とし
た。また、アーマチャモデル104の受圧面積は250
mm2 とした。
【0014】図3は前記の値に基づいて、従来の蓄圧式
燃料噴射装置に用いられる電磁2方弁式インジェクタの
シミュレーションモデルについて計算した結果を示すグ
ラフであり、(A)は2方弁の開閉の時間変化、(B)
は制御室1の圧力の時間変化、(C)はアーマチャ上流
室2の圧力とアーマチャ下流室3の圧力の時間変化、
(D)はアーマチャ41へ作用する油圧力の時間変化を
それぞれ示す。
【0015】図3によれば、従来の蓄圧式燃料噴射装置
に用いられる電磁2方弁式インジェクタでは、2方弁4
が開いて制御室1内の燃料が流出すると、アーマチャ上
流室2及びアーマチャ下流室3の圧力がそれぞれ上昇
し、アーマチャ41には最大で約45Nの油圧力がかか
ることがわかる。ソレノイド7の吸引力が約100Nで
あるのと比較して、この油圧力は無視できない値となっ
ており、これにより2方弁4の挙動が不安定になる。
【0016】図4は前記の値に基づくと共に、空気を内
包するゴム材5のモデル109内に内包される空気の容
積が20mm3 で、初期の圧力を大気圧である0.1M
Paとした本第1の実施形態の蓄圧式燃料噴射装置に用
いられる電磁2方弁式インジェクタのシミュレーション
モデルについて計算した結果を示すグラフであり、
(A)は2方弁の開閉の時間変化、(B)は制御室1の
圧力の時間変化、(C)はアーマチャ上流室2の圧力と
アーマチャ下流室3の圧力の時間変化、(D)はアーマ
チャ41へ作用する油圧力の時間変化をそれぞれ示す。
【0017】図4によれば、本第1の実施形態の蓄圧式
燃料噴射装置に用いられる電磁2方弁式インジェクタで
は、アーマチャ41にかかる油圧力は最大で約7Nに低
減されていることがわかる。図5は前述の諸元での空気
を内包するゴム材5に内包される空気の容積とアーマチ
ャ41に作用する油圧力の関係を示すグラフである。図
5によればこの諸元ではアーマチャ41に作用する油圧
力をアーマチャ41の挙動が比較的安定となるソレノイ
ド7の吸引力の約10%である10N以下とするために
は空気を内包するゴム材に内包される空気の容積を15
mm3 程度以上にすればよいことがわかる。
【0018】図6は本発明の第2の実施形態を示す電磁
2方弁式インジェクタの中心軸に沿った要部の横断面図
であり、圧力吸収手段として中実のゴム材50をアーマ
チャ上流室2に配設したこと以外は、図8に示した従来
の電磁2方弁式インジェクタと同一の構造である。第2
の実施形態ではゴムの体積弾性率は空気に比べて大きい
ため、中実のゴム材50の体積を第1の実施形態に比べ
て大きくとる必要がある。
【0019】図7は本発明の第3の実施形態を示す電磁
2方弁式インジェクタの中心軸に沿った要部の横断面図
であり、圧力吸収手段としてスプリング52により付勢
された油圧ピストン51をアーマチャ上流室2に配設し
たこと以外は、図8に示した従来の電磁2方弁式インジ
ェクタと同一の構造である。この第3の実施形態によれ
ばアーマチャ上流室2内の圧力が上昇するとスプリング
52により付勢された油圧ピストン51がスプリング5
2を押し縮めてアーマチャ上流室2内の圧力を吸収して
低下させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す電磁2方弁式イ
ンジェクタの中心軸に沿った要部の横断面図である。
【図2】第1の実施形態の蓄圧式燃料噴射装置に用いら
れる電磁2方弁式インジェクタのシミュレーションモデ
ルを示すモデル図である。
【図3】従来の蓄圧式燃料噴射装置に用いられる電磁2
方弁式インジェクタのシミュレーションモデルについて
計算した結果を示すグラフであり、(A)は2方弁の開
閉の時間変化、(B)は制御室1の圧力の時間変化、
(C)はアーマチャ上流室2の圧力とアーマチャ下流室
3の圧力の時間変化、(D)はアーマチャ41へ作用す
る油圧力の時間変化をそれぞれ示す。
【図4】第1の実施形態の蓄圧式燃料噴射装置に用いら
れる電磁2方弁式インジェクタのシミュレーションモデ
ルについて計算した結果を示すグラフであり、(A)は
2方弁の開閉の時間変化、(B)は制御室1の圧力の時
間変化、(C)はアーマチャ上流室2の圧力とアーマチ
ャ下流室3の圧力の時間変化、(D)はアーマチャ41
へ作用する油圧力の時間変化をそれぞれ示す。
【図5】空気を内包するゴム材5に内包される空気の容
積とアーマチャ41に作用する油圧力の関係を示すグラ
フである。
【図6】本発明の第2の実施形態を示す電磁2方弁式イ
ンジェクタの中心軸に沿った要部の横断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態を示す電磁2方弁式イ
ンジェクタの中心軸に沿った要部の横断面図である。
【図8】従来の蓄圧式燃料噴射装置に用いられる電磁2
方弁式インジェクタの構成を示す電磁2方弁式インジェ
クタの中心軸に沿った横断面図である。
【符号の説明】
1 制御室 2 アーマチャ上流室 3 アーマチャ下流室 5 圧力吸収手段をなす空気を内包したゴム材 8 リーク通路 50 圧力吸収手段をなす中実のゴム材 51 圧力吸収手段をなす油圧ピストン 52 圧力吸収手段をなすスプリング 60 燃料噴射弁 61 コモンレール 62 燃料分配通路 63 ニードル 64 油溜まり室 65 付勢手段をなすバネ 66 電磁弁

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の各気筒毎に設けられる燃料噴
    射弁、該燃料噴射弁に供給する燃料の圧力を蓄圧するコ
    モンレール、該コモンレールに高圧燃料を供給する高圧
    供給ポンプ、前記コモンレールと前記燃料噴射弁とをそ
    れぞれ連通する燃料分配通路、及び前記コモンレールと
    前記高圧供給ポンプとを連通する燃料供給通路を備えて
    いると共に、前記燃料噴射弁が燃料圧力によってニード
    ルを開弁位置に向かって付勢する油溜まり室、それに対
    抗して前記ニードルを閉弁位置に向かって付勢する付勢
    手段、該付勢手段と協働して制御された燃料圧力によっ
    て前記ニードルを閉弁位置に向かって付勢する制御室、
    及び該制御室の燃料圧力を制御する電磁弁を備えてい
    て、該電磁弁の開弁により前記制御室からリークした燃
    料が、前記電磁弁のアーマチャ上流室及びアーマチャ下
    流室を経て燃料タンクに戻る方式の電磁2方弁式インジ
    ェクタを用いた蓄圧式燃料噴射装置において、前記アー
    マチャ上流室、または前記制御室から前記アーマチャ上
    流室に至るリーク通路に、圧力吸収手段を設けたことを
    特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。
  2. 【請求項2】 前記圧力吸収手段が、空気を内包したゴ
    ム材であることを特徴とする請求項1に記載の蓄圧式燃
    料噴射装置。
  3. 【請求項3】 前記圧力吸収手段が、中実のゴム材であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装
    置。
  4. 【請求項4】 前記圧力吸収手段が、スプリングにより
    付勢された油圧ピストンであることを特徴とする請求項
    1に記載の蓄圧式燃料噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1347472A2 (en) 2002-03-20 2003-09-24 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Armature and armature driving device
JP2006514193A (ja) * 2003-02-06 2006-04-27 ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング 内燃機関のための燃料噴射装置

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