JPH10235412A - 圧延機および圧延方法 - Google Patents

圧延機および圧延方法

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JPH10235412A
JPH10235412A JP9360132A JP36013297A JPH10235412A JP H10235412 A JPH10235412 A JP H10235412A JP 9360132 A JP9360132 A JP 9360132A JP 36013297 A JP36013297 A JP 36013297A JP H10235412 A JPH10235412 A JP H10235412A
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work
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健次郎 成田
Mitsuo Nihei
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Kenichi Yasuda
健一 安田
Takehiko Saito
武彦 斎藤
Yukio Hirama
幸夫 平間
Koji Sato
宏司 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】中間ロールおよび作業ロールがクロスする形式
の6段圧延機において、ロールクロスに伴う過大なスラ
スト力の発生を抑止し、ロールクロスにより均質な板厚
分布を確保でき、良好な品質の板材を製造できるように
する。 【解決手段】一対の作業ロール2、一対の中間ロール
3、一対の補強ロール4が圧延スタンド5に備えられ、
補強ロール4はその軸線が板材1の進行方向に直交しか
つ水平面内で傾斜しないように設置され、中間ロール3
と作業ロール2は、それぞれの軸線が水平面内で補強ロ
ール4の軸線に対し互いに反対方向に傾斜(クロス)す
るように設置され、さらにロール表面には潤滑剤供給装
置6より潤滑剤が供給されるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は板材の圧延機および
圧延方法に係わり、特に良好な品質が求められる金属板
材の圧延に適した圧延機および圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】板材の圧延の分野においては品質の向上
が常に求められており、その板材の寸法精度の向上を図
るべく種々の形式の圧延機が提案されてきた。例えば特
公昭50−24903号公報や特公昭52−1701号
公報では、作業ロールと中間ロールと補強ロールとを圧
延スタンドに備える6段圧延機において、中間ロールを
クロスする圧延機と圧延方法が提案されている。この従
来技術によれば、中間ロールを水平面内で傾斜可能と
し、その傾斜角を変化させることによって板幅方向の板
厚分布を変化させることができるため、大幅な板厚分布
の制御能力向上が期待されている。また、作業ロールと
板材とが接触していない部分の補強ロールからの荷重を
軽減できるため、これにロールベンディングを併用する
ことにより板幅方向の板厚分布の修正が容易に、かつ短
時間で行えるとして期待されている。
【0003】また、特開昭61−279305号公報で
は、圧延ロールの胴部スリーブを軸方向へ移動可能とし
た特殊ロールを用い、ロールの軸方向移動とロールのク
ロスとを同時に行う技術が提案されており、6段圧延機
については、中間ロールと補強ロール、もしくは中間ロ
ールと作業ロールを一体としてクロスさせる圧延機が開
示されている。この従来技術によれば、上記の従来技術
と同じように圧延ロールを水平面内で傾斜可能として傾
斜角を変化させることにより、大幅な板厚分布の制御能
力向上が期待されている。
【0004】更に、作業ロールがクロスする形式の6段
圧延機のスラスト力を低減する技術としては、特開平6
−31304号公報に記載のものがある。この従来技術
では、6段圧延機の作業ロールをクロスして形状制御を
行うと共に、作業ロールに生じるスラスト力を計測しこ
のスラスト力を相殺するように中間ロールを逆方向にク
ロスするものである。
【0005】一方、圧延ロールをクロスする形式の圧延
機として実用化されている例としては、例えば上作業ロ
ールと上補強ロールとのペアのロール組、及び下作業ロ
ールと下補強ロールとのペアのロール組をそれぞれ一体
としてクロスするペアクロス方式の4段圧延機が「三菱
重工技報Vol.21, No.6(1984年)」の第61頁〜第67
頁に報告されている。さらに、別の実用化された例とし
ては、作業ロールのみをクロス可能とし、ロール間に潤
滑剤を供給する潤滑剤供給装置を設けた4段圧延機が特
開平5−50110号公報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】4段圧延機では、作業
ロールが駆動されるため比較的大径のロールが用いられ
るが、硬質材や薄板材の圧延を行うためには小径ロール
が適しており、この場合、多段圧延機や6段圧延機が用
いられることが多い。
【0007】圧延ロールをクロスする形式の圧延機の従
来技術としては上記のように6段圧延機と4段圧延機が
あるが、現在、実用化に成功しているのはいずれも4段
圧延機であり、6段圧延機では実用化に成功した例はな
い。その理由は、圧延ロールをクロスする場合にはスラ
スト力の発生が問題となり、実用化にはスラスト力の低
減が不可欠となるからである。
【0008】「三菱重工技報Vol.21, No.6(1984年)」
や特開平5−50110号公報に記載されている4段圧
延機においては、いずれも作業ロールをクロスすること
により生ずる軸方向のスラスト力を低減するための特別
の工夫がなされている。
【0009】すなわち、作業ロールをクロスすることに
より生ずる軸方向のスラスト力としては、作業ロールと
補強ロールの間で発生するスラスト力および作業ロール
と板材との間で発生するスラスト力があるが、このう
ち、ペアクロス方式の4段圧延機においては、作業ロー
ルに合わせて補強ロールを一体としてクロスすることに
より、作業ロールと補強ロールのロール間でのスラスト
力の発生を防止している。また、作業ロールのみをクロ
スする方式の4段圧延機では、ロール間に潤滑剤を供給
することにより作業ロールと補強ロールのロール間で発
生するスラスト力を減少させ、さらに板材と作業ロール
の間で発生するスラスト力により打ち消し合わせ、トー
タルとしての作業ロールに生じるスラスト力を低減して
いる。
【0010】一方、6段圧延機を開示する特公昭50−
24903号公報や特公昭52−1701号公報、特開
昭61−279305号公報においては、圧延ロールを
クロスすることにより生ずる軸方向のスラスト力に関す
る議論(低減することの議論)は全くなされておらず、
ロールをクロスすることにより生ずる軸方向のスラスト
力を低減するための特別の工夫もなされていない。この
ため、圧延中に作業ロールや中間ロールに過大なスラス
ト力が発生して圧延の続行が不可能になる。
【0011】特開平6−31304号公報に記載の6段
圧延機では、作業ロールに生じるスラスト力を計測しこ
のスラスト力を相殺するように中間ロールを逆方向クロ
スするという工夫がなされている。しかし、本願発明者
等の検討によれば、中間ロールと作業ロールを逆方向に
クロスしただけでは実質的なスラスト力の低減は不可能
であり、やはり圧延中に作業ロールに過大なスラスト力
が発生して圧延の続行が不可能になることが判明した。
【0012】また、特開平6−31304号公報に記載
の6段圧延機で仮に特開平5−50110号公報に記載
のようにロール間潤滑を用いたとしても、圧延中に何ら
かの原因で作業ロールのスラスト力が増大した場合、中
間ロールのクロス角を変更したのではスラスト力の低減
は難しいことが分かった。
【0013】更に、特開平6−31304号公報に記載
の6段圧延機では、作業ロールのクロス角を変更して板
材の形状制御をしているが、作業ロールのクロス角を変
更すると、作業ロールに発生するスラスト力が大きく変
化し、圧延機中心モーメントに変化を生じることにより
左右の圧延荷重に差を生じ、この左右の荷重差により板
厚分布の誤った修正を行う原因となることも判明した。
【0014】本発明の第1の目的は、中間ロールおよび
作業ロールがクロスする形式の6段圧延機において、ロ
ールクロスに伴う過大なスラスト力の発生を抑止し、ロ
ールクロスにより均質な板厚分布を確保でき、良好な品
質の板材を製造できる圧延機および圧延方法を提供する
ことである。
【0015】本発明の第2の目的は、中間ロールおよび
作業ロールがクロスする形式の6段圧延機において、圧
延中に作業ロールのスラスト力が増加してもこのスラス
ト力を確実に低減でき、しかも板厚分布の修正に伴う左
右の荷重差への影響を小さく抑え、ロールクロスにより
均質な板厚分布を確保でき、良好な品質の板材を製造で
きる圧延機および圧延方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】〔A.本発明の解決手段お よびそれに付随する特徴〕
記課題を解決する本発明の解決手段及びそれに付随する
特徴は次のようである。
【0017】(1)まず上記第1の目的を達成するため
に、本発明は、板材を圧延する一対の作業ロールと、前
記一対の作業ロールをそれぞれ支持する一対の中間ロー
ルと、前記一対の中間ロールをそれぞれ支持する一対の
補強ロールとを圧延スタンドに備えた圧延機において、
前記一対の補強ロールは、それらの軸線が水平面内で互
いに傾斜しないように設置され、前記中間ロールおよび
前記作業ロールは、それぞれの軸線が水平面内で前記補
強ロールの軸線に対し互いに反対方向に傾斜し得るよう
に設置され、かつ前記作業ロール、中間ロール、補強ロ
ールのロール表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を
設けたものとする。
【0018】(2)上記(1)において、好ましくは、
前記作業ロールに生じるスラスト力が過大にならないよ
うに前記作業ロールのクロス角を設定し、この作業ロー
ルのクロス角を考慮した上で前記板材が所望の板厚分布
になるように前記中間ロールのクロス角を設定する。
【0019】(3)また上記(1)において、好ましく
は、前記板材の圧延方向に直角な方向に対し各作業ロー
ルがなす角度を作業ロールのクロス角と定義し、前記圧
延方向に直角な方向に対し各中間ロールがなす角度を中
間ロールのクロス角と定義するとき、前記作業ロールの
クロス角を0.2度以上に設定し、前記中間ロールのク
ロス角を作業ロールと反対方向に0.1度以上に設定す
る。
【0020】(4)さらに上記(1)において、好まし
くは、前記作業ロール及び前記中間ロールのうち少なく
とも一方に、ベンディング力を付与するロールベンダー
をさらに備える。
【0021】(5)上記(4)において、好ましくは、
前記ロールベンダーとして、前記作業ロールに水平方向
に曲げ力を与える作業ロールベンダーを備える。
【0022】(6)また上記(1)において、好ましく
は、前記作業ロール及び前記中間ロールのうち少なくと
も一方を軸方向に移動させることが可能なロール移動装
置をさらに設ける。
【0023】(7)また上記(1)から(6)におい
て、好ましくは、前記潤滑剤は鉱物油を基油とする潤滑
油であり、かつ熱間で圧延を行う。
【0024】(8)さらに上記(1)から(6)におい
て、好ましくは、前記作業ロールに冷却水を供給する冷
却水供給装置と、前記作業ロールに近接する位置に設け
られ前記冷却水が前記中間ロールに付着するのを防止す
るための冷却水遮蔽部材とをさらに有し、かつ熱間で圧
延を行う。
【0025】(9)また上記(1)から(6)におい
て、前記作業ロールにクーラントを供給するクーラント
供給装置をさらに有し、前記潤滑剤は前記作業ロール用
のクーラントと油質もしくは濃度を異にする潤滑剤であ
り、かつ冷間で圧延を行うこともできる。
【0026】(10)さらに上記(1)から(6)にお
いて、前記作業ロールにクーラントを供給するクーラン
ト供給装置と、前記作業ロールに近接する位置に設けら
れ前記クーラントが前記中間ロールに付着するのを防止
するためのクーラント遮蔽部材とをさらに有し、かつ冷
間で圧延を行っても良い。
【0027】(11)また上記第2の目的を達成するた
めに、本発明は、板材を圧延する一対の作業ロールと、
前記一対の作業ロールをそれぞれ支持する一対の中間ロ
ールと、前記一対の中間ロールをそれぞれ支持する一対
の補強ロールとを圧延スタンドに備えた圧延機におい
て、前記一対の補強ロールは、それらの軸線が水平面内
で互いに傾斜しないように設置され、前記中間ロールお
よび前記作業ロールは、それぞれの軸線が水平面内で前
記補強ロールの軸線に対し互いに反対方向に傾斜し得る
ように設置され、かつ前記作業ロール、中間ロール、補
強ロールのロール表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装
置と、前記作業ロールの軸方向スラスト力を計測する作
業ロールスラスト力計測装置と、許容可能なスラスト力
を設定するスラスト力設定装置と、前記スラスト力設定
装置からの設定値と前記スラスト力の計測値を比較演算
して前記作業ロールのクロス角の変更量を求める作業ロ
ールクロス角演算装置と、前記作業ロールのクロス角の
変更量に応じて前記中間ロールのクロス角の変更量を求
める中間ロールクロス角演算装置と、前記作業ロールク
ロス角演算装置からの信号を受けて前記作業ロールのク
ロス角を変更する作業ロールクロス角変更装置と、前記
中間ロールクロス角演算装置からの信号を受けて前記中
間ロールのクロス角を変更する中間ロールクロス角変更
装置とを設けたものとする。
【0028】(12)上記(11)において、好ましく
は、前記作業ロールクロス角演算装置は、前記スラスト
力の計測値が前記スラスト力設定装置からの設定値より
大きいときこの設定値との差分が小さくなるように前記
作業ロールのクロス角の変更量を求め、前記中間ロール
クロス角演算装置は、前記作業ロールのクロス角の変更
量による前記板材の板厚分布の変化分を打ち消すように
前記中間ロールのクロス角の変更量を求める。
【0029】(13)また上記(11)において、好ま
しくは、前記板材の圧延方向に直角な方向に対し各作業
ロールがなす角度を作業ロールのクロス角と定義し、前
記圧延方向に直角な方向に対し各中間ロールがなす角度
を中間ロールのクロス角と定義するとき、前記作業ロー
ルクロス角演算装置は、前記作業ロールのクロス角が
0.2度以上となる範囲で作業ロールのクロス角の変更
量を求め、前記中間ロールクロス角演算装置は、前記中
間ロールのクロス角が作業ロールと反対方向に0.1度
以上となる範囲で中間ロールのクロス角の変更量を求め
る。
【0030】(14)また、上記第1の目的を達成する
ために、本発明は、一対の作業ロールと、前記一対の作
業ロールをそれぞれ支持する一対の中間ロールと、前記
一対の中間ロールをそれぞれ支持する一対の補強ロール
とを圧延スタンドに備えた圧延機を用い、板材を圧延す
る圧延方法において、前記一対の補強ロールを、それら
の軸線が水平面内で互いに傾斜しないように設置し、前
記中間ロールおよび前記作業ロールを、それぞれの軸線
が水平面内で前記補強ロールの軸線に対し互いに反対方
向に傾斜し得るように設置し、かつ前記作業ロール、中
間ロール、補強ロールのロール表面に潤滑剤を供給しな
がら圧延を行うものとする。
【0031】(15)上記(14)において、好ましく
は、前記板材の圧延に際して、前記作業ロールに生じる
スラスト力が過大にならないように前記作業ロールのク
ロス角を設定し、この作業ロールのクロス角を考量した
上で前記板材が所望の板厚分布になるように前記中間ロ
ールのクロス角を設定する。
【0032】(16)また上記(14)において、好ま
しくは、前記板材の圧延方向に直角な方向に対し各作業
ロールがなす角度を作業ロールのクロス角と定義し、前
記圧延方向に直角な方向に対し各中間ロールがなす角度
を中間ロールのクロス角と定義するとき、前記板材の圧
延に際して、前記作業ロールのクロス角を0.2度以上
に設定し、前記中間ロールのクロス角を作業ロールと反
対方向に0.1度以上に設定する。
【0033】(17)さらに上記(14)において、好
ましくは、前記作業ロール及び前記中間ロールのうち少
なくとも一方にベンディング力を付与して圧延する。
【0034】(18)上記(17)において、好ましく
は、前記作業ロールに与えるベンディング力として、水
平方向の曲げ力を付与して圧延する。
【0035】(19)また上記(14)において、好ま
しくは、前記作業ロール及び前記中間ロールのうち少な
くとも一方を軸方向に移動させて圧延する。
【0036】(20)さらに上記(14)から(19)
において、好ましくは、前記作業ロールにクーラントを
供給し、前記潤滑剤として前記作業ロール用のクーラン
トと油質もしくは濃度を異にする潤滑剤を用い、かつ冷
間で圧延する。
【0037】(21)また上記(14)から(19)に
おいて、好ましくは、前記作業ロールにクーラントを供
給し、前記作業ロールに近接する位置にクーラント遮蔽
部材を設けて前記クーラントが前記中間ロールに付着す
るのを防止し、かつ冷間で圧延する。
【0038】(22)さらに上記第2の目的を達成する
ために、本発明は、一対の作業ロールと、前記一対の作
業ロールをそれぞれ支持する一対の中間ロールと、前記
一対の中間ロールをそれぞれ支持する一対の補強ロール
とを圧延スタンドに備えた圧延機を用い、板材を圧延す
る圧延方法において、前記一対の補強ロールを、それら
の軸線が水平面内で互いに傾斜しないように設置し、前
記中間ロールおよび前記作業ロールを、それぞれの軸線
が水平面内で前記補強ロールの軸線に対し互いに反対方
向に傾斜し得るように設置し、かつ前記作業ロール、中
間ロール、補強ロールのロール表面に潤滑剤を供給しな
がら圧延を行うと共に、前記作業ロールの軸方向スラス
ト力を計測し、このスラスト力の計測値と前もって設定
しておいた値とを比較し、その差分に応じ作業ロールの
クロス角を変更し、この作業ロールのクロス角の変更量
に応じて前記中間ロールのクロス角を変更するものとす
る。
【0039】(23)上記(22)において、好ましく
は、前記作業ロールのクロス角の変更は、前記スラスト
力の計測値が前記スラスト力設定装置からの設定値より
大きいときこの設定値との差分が小さくなるように行
い、前記中間ロールのクロス角の変更は、前記作業ロー
ルのクロス角の変更量による前記板材の板厚分布の変化
分を打ち消すように行う。
【0040】(24)また上記(22)において、好ま
しくは、前記板材の圧延方向に直角な方向に対し各作業
ロールがなす角度を作業ロールのクロス角と定義し、前
記圧延方向に直角な方向に対し各中間ロールがなす角度
を中間ロールのクロス角と定義するとき、前記作業ロー
ルクロス角の変更は、前記作業ロールのクロス角が0.
2度以上となる範囲で行い、前記中間ロールのクロス角
の変更は、前記中間ロールのクロス角が作業ロールと反
対方向に0.1度以上となる範囲で行う。
【0041】〔B.本発明の作用原 理〕上記解決手段を
採用した本発明の作用原理は次のようである。
【0042】前述したように、現在、ロールをクロスす
る形式の圧延機で実用化に成功しているのはいずれも4
段圧延機であり、6段圧延機では実用化に成功した例は
ない。4段圧延機では作業ロールが駆動されるため大径
のロールが用いられるが、硬質材や薄板材の圧延を行う
ためには小径ロールが適しており、その場合には6段圧
延機が用いられることが多い。
【0043】本願発明者等が検討した結果、6段圧延機
において中間ロールをクロスする場合と、4段圧延機に
おいて作業ロールをクロスする場合とでは、スラスト力
の発生するメカニズムが本質的に異なっており、従来の
6段圧延機では、圧延中にロールに過大なスラスト力が
発生して圧延の続行が不可能になるという可能性がある
ことが判明した。以下、このことについて図1から図7
を用いて説明する。
【0044】4段圧延機(比較例1 図1は4段圧延機で作業ロールのみをクロスした場合の
スラスト力発生メカニズムを説明する図である。作業ロ
ール102をクロスさせて圧延を行うと、作業ロール1
02(速度VW)と板材101(速度VS)の接触面で速
度差ΔVWSの相対滑りを生じ、作業ロール102と補強
ロール104(速度VB)の接触面で速度差ΔVWBの相
対滑りを生じる。この相対滑りの抵抗として、作業ロー
ル102と板材101の接触面でスラスト力FWSが生
じ、作業ロール102と補強ロール104の接触面でス
ラスト力FWBを生じる。図1より、作業ロール102の
みをクロスする場合にはFWSとFWBは必ず逆向きに働く
ため、作業ロール102のスラスト力は補強ロール10
4のスラスト力よりは必ず小さくなる。すなわち、補強
ロール104のスラスト力はFWB、作業ロール102の
スラスト力はFWS−FWBとなる。
【0045】図2に4段圧延機の作業ロールをクロスし
た場合の作業ロールと補強ロール間に生ずるスラスト力
の特性の一例を示す。図において、縦軸のμは生じたロ
ール軸方向のスラスト力を圧延荷重で割った値(スラス
ト係数と呼ぶ)を表し、横軸は圧延方向に直角な線に対
する作業ロール1本のクロス角を表している。スラスト
係数はいろいろな条件によって異なるが水潤滑の場合を
μW、油を水に混入したエマルジョンの場合をμeで表
し、比較のため板と作業ロール間のスラスト力μpを同
図内に記す。
【0046】図2において、水潤滑の場合のスラスト係
数μWは約30%にも達し、このような過大なスラスト
力には通常のチョックでは強度不足となり、チョック破
損の原因となる。また、このような過大なスラスト力に
耐え得るチョックは巨大なものとなり、設備が大型化す
るという不合理を生じる。
【0047】一方、エマルジョンを用いてロール間潤滑
を行えば、スラスト係数μeを約8%程度に抑えること
ができるため、通常のチョックを用いて十分に対応でき
ることになる。
【0048】また、ロール間潤滑を用いた場合、クロス
角0.0〜0.1度の範囲でロール間のスラスト係数μ
eは0〜6%と急増し、クロス角0.1〜1.2度の範
囲でスラスト係数μeは6〜8%と漸増する。一方、板
と作業ロール間のスラスト係数μpはクロス角の変化に
ほぼ比例し、クロス角0.0〜1.2度の範囲でスラス
ト係数は0〜10%となる。
【0049】以上より図1に示す4段圧延機にあって
は、特開平5−50110号公報に記載のようにロール
間に潤滑剤を供給すると、補強ロール104のスラスト
力FWBは荷重の8%程度に抑えることができ、0.1度
以上の適切な範囲で作業ロール102のクロス角θW
設定することにより作業ロール102のスラスト力FWS
−FWBを荷重の4%程度以下とすることができる。補強
ロール104は通常は直径が1500mm程度あり、補強ロー
ルチョックおよびベアリングも十分大きいため、荷重の
8%程度のスラスト力には十分に耐え得る。この時、作
業ロール102の直径を800mmと小さくしてもスラスト
力が同様に小さくなるため、作業ロール102は十分に
スラスト力に耐ることができる。
【0050】このように4段圧延機において作業ロール
のみをクロスした場合には、作業ロールが板材から受け
るスラスト力と補強ロールから受けるスラスト力とは必
ず逆向きとなるため、作業ロールのスラスト力は補強ロ
ールのスラスト力より必ず小さくなり、さらにロール間
に潤滑剤を供給することによりスラスト力の値も小さく
保つことができる。
【0051】6段圧延機(比較例2) 6段圧延機で中間ロールをクロスする場合には、4段圧
延機のように簡単にはスラスト力を低減できない。
【0052】図3は特公昭50−24903号公報や特
公昭52−1701号公報に記載の従来技術の例を示
し、6段圧延機で中間ロールのみをクロスさせて板材2
01を圧延する場合のスラスト力発生メカニズムを説明
する図である。中間ロール203(速度VI)をクロス
させて圧延を行うと、中間ロール203と補強ロール2
04(速度VB)の接触面で速度差ΔVIBの相対滑りを
生じ、作業ロール202(速度VW)と中間ロール20
3の接触面で速度差ΔVWIの相対滑りを生じる。この相
対滑りの抵抗として、中間ロール203と補強ロール2
04の接触面でスラスト力FIBが生じ、作業ロール20
2と中間ロール203の接触面でスラスト力FWIが生じ
る。図3より、中間ロール203のみをクロスする場合
にはFWIとFIBは必ず逆向きに働くため、中間ロール2
03のスラスト力は互いに打ち消し合って小さくなる。
従って、補強ロール204のスラスト力はFIB、中間ロ
ール203のスラスト力はFWI−FIB、作業ロール20
2のスラスト力は−FWIとなる。
【0053】ここで、従来技術ではロール間に潤滑材を
供給していないので、ロール間のスラスト力は荷重の3
0%以上にも達する大きな値となるため(図2のμW参
照)、補強ロール204のスラスト力FIB及び作業ロー
ル202のスラスト力−FWIは過大となり、このような
過大なスラスト力に耐え得る手段はなく、実用化は困難
となる。
【0054】また、仮にロール間に潤滑剤を供給した場
合は、ロール間のスラスト力は荷重の8%程度に抑える
ことができるため(図2のμe参照)、補強ロール20
4および作業ロール202のスラスト力FIB,−FWI
いずれも荷重の8%程度となる。補強ロール204は通
常は直径が1400mm程度あり、補強ロールチョックおよび
ベアリングも十分大きいため、荷重の8%程度のスラス
ト力には十分に耐え得る。しかし、作業ロール202の
スラスト力も同じ8%であり、作業ロール202の直径
を600mm程度と小さくすると作業ロールチョックおよび
ベアリングも小さくなるため、上記のようなスラスト力
には耐えられなくなる。結局、作業ロールを小径化する
ことができなくなり、大径の作業ロールを使用せざるを
得なくなる。大径の作業ロールを用いると設備が大型化
し、製造コストが増加するいう好ましからざる問題を生
じることになる。また、大径の作業ロールを用いること
により板材との接触面積が増加するため接触面圧が下が
り十分な圧下が得られなくなり、圧延効率が低下すると
いった生産上好ましくない問題をも生じることになる。
【0055】6段圧延機(比較例3) 図4は特開昭61−279305号公報に記載の従来技
術の例を示し、6段圧延機で中間ロールと作業ロールを
一体としてクロスした場合のスラスト力発生メカニズム
を説明する図である。中間ロール303(速度VI)と
作業ロール302(速度VW)を一体としてクロスさせ
て圧延を行うと、中間ロール303と補強ロール304
(速度VB)の接触面で速度差ΔVIBの相対滑りを生
じ、作業ロール302と板材301の接触面で速度差Δ
WSの相対滑りを生じる。この相対滑りの抵抗として、
中間ロール303と補強ロール304の接触面でスラス
ト力FIBと作業ロール302と板材301の接触面でス
ラスト力FWSを生じる。従って、補強ロール304のス
ラスト力はFIB、中間ロール303のスラスト力は−F
IB、作業ロール302のスラスト力はFWSとなる。
【0056】ここで、従来技術ではロール間に潤滑材を
供給していないので、ロール間のスラスト力は荷重の3
0%以上にも達する大きな値となるため、補強ロール3
04のスラスト力FIB及び中間ロール303のスラスト
力−FIBは過大となり、このような過大なスラスト力に
耐え得る手段はなく、実用化は困難となる。
【0057】また、仮にロール間に潤滑剤を供給した場
合は、ロール間のスラスト力は荷重の8%程度に抑える
ことができるため、補強ロール304と中間ロール30
3のスラスト力FIB,−FIBは荷重の8%程度となり、
作業ロール302のスラスト力はクロス角θWにより異
なるがおよそ数%程度となる。補強ロール304は通常
は直径が1400mm程度あり、補強ロールチョックおよびベ
アリングも十分大きいため、荷重の8%程度のスラスト
力には十分に耐え得る。しかし、中間ロール303のス
ラスト力も同じ8%であり、中間ロール303の直径を
800mm程度に小さくするとロールチョックおよびベアリ
ングも小さくなるため、上記のようなスラスト力に耐え
られなくなる。結局、中間ロールを小径化することがで
きなくなり、大径の中間ロールを使用せざるを得なくな
る。大径の中間ロールを用いるとロールをクロスする装
置を含めた設備が大型化して圧延機が巨大化し、製造コ
ストが増加するいう好ましからざる問題を生じることに
なる。
【0058】6段圧延機(比較例4) 図5は特開昭61−279305号公報に記載の従来技
術の他の例を示し、6段圧延機で中間ロールと補強ロー
ルを一体としてクロスした場合のスラスト力発生メカニ
ズムを説明する図である。中間ロール403(速度
I)と補強ロール404(速度VB)を一体としてクロ
スさせて圧延を行うと、中間ロール403と作業ロール
402(速度VW)の接触面で速度差ΔVWIの相対滑り
を生じる。この相対滑りの抵抗として、中間ロール40
3と作業ロール402の接触面でスラスト力FWIを生じ
る。従って、中間ロール403のスラスト力はFWI、作
業ロール402のスラスト力はFWIとなる。
【0059】ここで、従来技術ではロール間に潤滑材を
供給していないので、ロール間のスラスト力は荷重の3
0%以上にも達する大きな値となるため、中間ロール4
03のスラスト力FWI、作業ロール402のスラスト力
WIは過大となり、このような過大なスラスト力に耐え
得る手段はなく、実用化は困難となる。
【0060】また、仮にロール間に潤滑剤を供給した場
合は、ロール間のスラスト力は荷重の8%程度に抑える
ことができるため、作業ロール402と中間ロール40
3のスラスト力FWI,FWIは荷重の8%程度となるが、
いずれもロール直径を小さくするとロールチョックおよ
びベアリングも小さくなるためスラスト力に耐えられな
くなる。結局、作業ロールと中間ロールを小径化するこ
とができなくなり、大径の作業ロールと中間ロールを使
用せざるを得なくなる。大径のロールを用いると設備が
大型化し、コストが増加するいう好ましからざる問題を
生じることになる。また、大径の作業ロールを用いるこ
とにより板材との接触面積が増加するため接触面圧が下
がり十分な圧下が得られなくなり、圧延効率が低下する
といった生産上好ましくない問題をも生じることにな
る。
【0061】6段圧延機(比較例5) 図6は6段圧延機で作業ロールのみをクロスした場合の
スラスト力発生メカニズムを説明する図である。作業ロ
ール502のみをクロスさせて圧延を行うと、作業ロー
ル502(速度VW)と板材501(速度VS)の接触面
で速度差ΔVWSの相対滑りを生じ、作業ロール502
と中間ロール503(速度V)の接触面で速度差ΔV
WIの相対滑りを生じる。この相対滑りの抵抗として、作
業ロール502と板材501の接触面でスラスト力FWS
が生じ、作業ロール502と中間ロール503の接触面
でスラスト力FWIを生じる。図6より、作業ロール50
2のみをクロスする場合にはFWSとFWIは必ず逆向きに
働くため、作業ロール502のスラスト力は中間ロール
503のスラスト力よりは必ず小さくなる。すなわち、
中間ロール503のスラスト力はFWI、作業ロール50
2のスラスト力はFWS−FWIとなる。
【0062】ここで、ロール間に潤滑材を供給しない場
合は、ロール間のスラスト力は荷重の30%以上にも達
する大きな値となるため、中間ロール503のスラスト
力FWI、作業ロール502のスラスト力FWS−FWIは過
大となり、このような過大なスラスト力に耐え得る手段
はなく、実用化は困難となる。
【0063】また、仮にロール間に潤滑剤を供給した場
合は、ロール間のスラスト力は荷重の8%程度に抑える
ことができるため、0.1度以上の適切な範囲で作業ロ
ール102のクロス角θWを設定することにより作業ロ
ール502のスラスト力FWS−FWIを荷重の4%程度以
下とすることができる。一方、中間ロール503のスラ
スト力FWIは荷重の8%程度であり、ロール直径を小さ
くするとロールチョックおよびベアリングも小さくなる
ためスラスト力に耐えられなくなる。結局、中間ロール
を小径化することができなくなり、大径の中間ロールを
使用せざるを得なくなる。大径のロールを用いると設備
が大型化し、コストが増加するいう好ましからざる問題
を生じることになる。
【0064】6段圧延機(比較例6) 図7は特開平6−31304号公報に記載の従来技術の
例を示し、6段圧延機であって、中間ロールと作業ロー
ルの軸線を逆方向に、即ち補強ロールの軸線に対し互い
に反対方向に傾斜するようにクロスさせた場合のスラス
ト力発生メカニズムを説明する図である。中間ロール6
03(速度VI)と作業ロール602(速度VW)を逆方
向にをクロスさせて圧延を行うと、中間ロール603と
補強ロール604(速度VB)の接触面で速度差ΔVIB
の相対滑りを生じ、作業ロール602と中間ロール60
3の接触面で速度差ΔVWIの相対滑りを生じ、作業ロー
ル602と板材601の接触面で速度差ΔVWSの相対滑
りを生じる。この相対滑りの抵抗として、中間ロール6
03と補強ロール604の接触面でスラスト力FIB、作
業ロール602と中間ロール603の接触面でスラスト
力FWI、作業ロール602と板材601の接触面でスラ
スト力FWSを生じる。図7より、中間ロール603と作
業ロール602を逆方向にクロスした場合には、中間ロ
ール603に生じるFWIとFIBは必ず逆向きに働き、作
業ロール602に生じるFWSとFWIも必ず逆向きに働く
ため、補強ロール604のスラスト力はFIBとなるが、
中間ロール603のスラスト力はFWI−FIB、作業ロー
ル602のスラスト力はFWS−FWIとなる。
【0065】ここで、従来技術ではロール間に潤滑材を
供給していないので、ロール間のスラスト力は荷重の3
0%以上にも達する大きな値となるため、作業ロール6
02のスラスト力FWS−FWIは過大となり、このような
過大なスラスト力に耐え得る手段はなく、実用化は困難
となる。
【0066】また、特開平6−31304号公報にあっ
ては、6段圧延機の作業ロールのクロス角を変更して形
状制御を行うと共に、作業ロールに生じるスラスト力を
計測しこのスラスト力を相殺するように中間ロールを逆
方向にクロスしている。このため、仮にロール間潤滑を
用いたとしても、次のような問題がある。
【0067】図2を用いて説明したように、ロール間潤
滑を用いた場合、クロス角0.0〜0.1度の範囲でロ
ール間のスラスト係数μeは0〜6%と急増し、クロス
角0.1〜1.2度の範囲でスラスト係数μeは6〜8
%と漸増する。一方、板と作業ロール間のスラスト係数
μpはクロス角の変化にほぼ比例し、クロス角0.0〜
1.2度の範囲でスラスト係数は0〜10%となる。
【0068】圧延中に何らか原因で板クラウンが変化し
た場合、特開平6−31304号公報のように作業ロー
ルのクロス角を変更して板クラウンを修正することは可
能である。しかし、上記のように板と作業ロール間のス
ラスト力はクロス角に比例して大きく変化する(クロス
角変化0.1度当たりスラスト係数は0.83%の変化
となる)ため、上下作業ロールに生じるスラスト力の変
化によって圧延スタンドに作用する圧延機中心モーメン
トに変化を生じる。
【0069】一般的に圧延機には、左右の圧延荷重を検
出する荷重計が設置され、この荷重計で検出された左右
の圧延荷重の差が許容範囲を越えると左右の圧延荷重が
バランスするよう圧下装置を作動させ、板材の板厚を左
右対称になるように制御している。上記のようにスラス
ト力の変化で圧延機中心モーメントが変化すると、左右
の圧延荷重も変化し、左右の荷重差が計測され、板材の
圧延は対称に行われていたにも係わらず非対称と誤認さ
れ、誤った修正を行う原因にもなる。
【0070】また、作業ロールを小径化する場合には、
ロール間のスラスト力と板間とスラスト力を打ち消し合
わし作業ロールに働くスラスト力を小さくするため、作
業ロールのクロス角は0.2度程度以上にする必要があ
る(後述)。この場合、作業ロールに対する中間ロール
の交差角は0.2以上となる。
【0071】この状態で、圧延中に何らか原因で作業ロ
ールのスラスト力が増加した場合、特開平6−3130
4号公報に記載のようにスラスト力を計測し、中間ロー
ルのクロス角を変えてロール間スラスト力の増加により
スラスト増加分を打ち消そうとしても、0.2以上の交
差角の範囲では中間ロールと作業ロール間のスラスト力
の変化は小さく(クロス角変化0.1度当たりスラスト
係数は0.18%の変化となる)、スラスト力の低減は
困難となる。結局、作業ロールを小径化することができ
なくなり、大径の作業ロールを使用することになる。大
径の作業ロールを用いると設備が大型化し、コストが増
加するいう好ましからざる問題を生じることになる。ま
た、大径の作業ロールを用いることにより板材との接触
面積が増加するため接触面圧が下がり十分な圧下が得ら
机なくなり、圧延効率が低下するといった生産上好まし
くない問題をも生じることになる。
【0072】以上のように、従来の6段圧延機において
は、圧延ロールをクロスすることにより生ずる軸方向の
スラスト力に関する考慮が十分になされておらず、圧延
中にロールに過大なスラスト力を発生したり、スラスト
力の予期しない増加に対応できず、強度上の問題や、安
定な圧延を行う上での問題を生じ、そのため未だ実用に
至っていない。
【0073】6段圧延機(本発明の第1の目的に係わる
コンセプト) 以上のような従来技術に対し、本発明では比較例6の6
段圧延機に、更にロール表面に潤滑剤を供給する潤滑剤
供給装置を設け、ロール間潤滑を行っている。このよう
にロール間潤滑を行うと、図2で説明したようにロール
間のスラスト力は荷重の8%程度に抑えることができ、
このため適切な範囲で作業ロール602のクロス角θW
と 中間ロール603のクロス角θIを設定すると、中間
ロール603のスラスト力FWI−FIBを問題無い程度に
低い値とすることができ、かつ作業ロール602のスラ
スト力FWS−FWIを荷重の5%程度以下とすることがで
きる。
【0074】すなわち、本発明では、上記のスラスト係
数の変化特性を踏まえ、作業ロールのクロス角は作業ロ
ールに生じるスラスト力が過大にならないように設定
し、この作業ロールのクロス角を考慮した上で板材が所
望の板厚分布になるように中間ロールのクロス角を設定
するものであり、より具体的には作業ロールのクロス角
を0.2度以上に設定し、中間ロールのクロス角を作業
ロールと反対方向に0.1度以上に設定する。
【0075】作業ロールを小径化する場合には、ロール
間のスラスト力と板間とスラスト力を打ち消し合わし作
業ロールに働くスラスト力を小さくするため、作業ロー
ルのクロス角は0.2度程度以上にする必要があること
は前述した。これは次の理由による。
【0076】作業ロールのクロス角が0.2度以上の範
囲では、板と作業ロール間のスラスト係数は2%以上と
なる。この場合、作業ロールに対する中間ロールの交差
角も0.2以上となるため、中間ロールと作業ロール間
のスラスト係数は7%〜8%となる。このため、作業ロ
ールのスラスト力FWS−FWIは荷重の5%程度以下とな
る。
【0077】従って、作業ロールのクロス角を0.2度
以上に設定すれば、作業ロール602のスラスト力FWS
−FWIを荷重の5%程度以下とすることができる。
【0078】一方、中間ロールにあっては、補強ロール
及び作業ロールに対して共にロール間接触となる。ここ
で、ロール間潤滑を用いた場合、クロス角0.1度以上
の範囲ではロール間接触のスラスト係数μeは6〜8%
と微増するだけである。また、中間ロールを作業ロール
と逆方向にクロスした場合、中間ロールのクロス角を
0.1度以上に設定すれば、作業ロールと中間ロールの
交差角も必ず0.1度以上になり、上記のように作業ロ
ールのクロス角を0.2度以上に設定した場合は、作業
ロールと中間ロールの交差角は0.3度以上となる。よ
って、中間ロールのクロス角を0.1度以上に設定すれ
ば、補強ロールに対するスラスト係数と作業ロールに対
するスラスト係数はほぼ同程度の値となり、補強ロール
及び作業ロールでの接触面でのスラスト力は打ち消し合
って、中間ロール603のスラスト力FWI−FIBを問題
無い程度に低い値とすることができる。
【0079】また、クロス角0.1度以上の範囲ではロ
ール間のスラスト係数の変化は少ないので、クロス角
0.1以上の範囲では中間ロールのクロス角をどの値に
設定しても作業ロールでのスラスト力の変動はほとんど
生じず、作業ロールのクロス角を考慮して最適のクロス
角を設定し、板材の板厚分布を自由に調整することがで
きる。
【0080】以上により本発明においては、中間ロール
および作業ロールがクロスする形式の6段圧延機におい
て、ロールクロスに伴う過大なスラスト力の発生を抑止
することができ、良好な板材を安定して圧延することが
可能となると共に、スラスト力が増加してロールクロス
が制限され板厚分布が不均一になったり、板材の品質を
悪化させるなどの不都合を生じることが無くなり、良好
な品質の板材を製造できる。
【0081】6段圧延機(本発明の第2の目的に係わる
コンセプト) また、本発明では、圧延中に何らか原因で作業ロールの
スラスト力が増加した場合、作業ロールのクロス角を変
更してスラスト力を減らし、かつこの作業ロールのクロ
ス角の変更量に応じて中間ロールのクロス角を変更す
る。また、作業ロールクロス角の変更は、作業ロールの
クロス角が0.2度以上となる範囲で行い、中間ロール
のクロス角の変更は、中間ロールのクロス角が作業ロー
ルと反対方向に0.1度以上となる範囲で行う。
【0082】前述したように、ロール間潤滑を用いた場
合、クロス角0.1度以上の範囲ではロール間のスラス
ト係数の変化は少なく(クロス角変化0.1度当たりス
ラスト係数は0.18%の変化となる)、中間ロールの
クロス角を変えて板クラウンを修正してもスラスト力に
与える影響は小さく、圧延機に発生する左右の荷重差は
小さいため、板材の形状の誤った修正を行う原因となり
にくい。よって、通板圧延中に作業ロールのクロス角の
変更により板厚分布(板クラウン又は板形状)が変化し
ても、中間ロールクロスにより板厚分布の修正は容易に
行うことが可能となる。
【0083】一方、板と作業ロール間スラスト係数はク
ロス角0.0〜1.2度の範囲でスラスト係数は0〜1
0%となり、変化幅は10%と大きい。従って、圧延中
に何らか原因で作業ロールのスラスト力が増加した場合
は、作業ロールのクロス角を変更することにより確実に
スラスト力を低減できる。また、作業ロールのクロス角
が0.2度以上の範囲では、前述したように作業ロール
のスラスト力を荷重の5%程度以下とすることができ、
かつ中間ロールのスラスト力も問題無い程度に低い値と
することができるので、作業ロールのクロス角が0.2
度以上となる範囲でクロス角を変更すれば、通常圧延時
においても作業ロール及び中間ロールに生じるスラスト
力が過大となることはない。
【0084】従って、本発明においては、中間ロールお
よび作業ロールがクロスする形式の6段圧延機におい
て、圧延中に作業ロールのスラスト力が増加してもこの
スラスト力を確実に低減でき、しかも板厚分布の修正に
伴う左右の荷重差への影響が小さく抑えられるようにな
り、ロールクロスにより均質な板厚分布を確保でき、良
好な品質の板材を製造できる。
【0085】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施形態
を、図8〜図10を参照しながら説明する。
【0086】図8は本実施形態の6段圧延機を示す図で
あり、図9は中間ロールと中間ロールに付与されるスラ
スト力との関係を模式的に示す図であり、図10は作業
ロールと作業ロールに付与されるスラスト力との関係を
模式的に示す図である。
【0087】図8に示すように、本実施形態の6段圧延
機は、一対の作業ロール2、一対の中間ロール3、一対
の補強ロール4が圧延スタンド5に備えられ、補強ロー
ル4はその軸線が板材1の進行方向に直交しかつ水平面
内で傾斜しないように設置され、中間ロール3と作業ロ
ール2は、それぞれの軸線が水平面内で補強ロール4の
軸線に対し互いに反対方向に傾斜(クロス)するように
設置され、さらにロール表面には潤滑剤供給装置6より
潤滑剤が供給されるようになっている。
【0088】潤滑剤供給装置6は補強ロール4と中間ロ
ール3とのロール間に潤滑剤を供給するように取り付け
られている。潤滑剤供給装置6より供給された潤滑剤
は、中間ロール3に補強ロール4および作業ロール2が
それぞれ接触しているため、接触部分を介してそれぞれ
のロール表面に付着する。
【0089】また、作業ロール2のクロス角は0.2度
以上、好ましくは0.3〜1.5度程度の範囲に設定さ
れ、中間ロール3のクロス角は0.1度以上(作業ロー
ル2に対する交差角でみて0.3度以上)、好ましくは
0.3〜1.2度程度の範囲に設定されている。
【0090】以上のように構成した本実施形態において
は、作業ロール2及び中間ロール3のロール表面に潤滑
剤が供給されるため、補強ロール4と中間ロール3の接
触面のスラスト力、中間ロール3と作業ロール2の接触
面のスラスト力は荷重の約8%程度のスラスト力に低減
される。
【0091】補強ロール4は大径のロールであって大型
のチョック7で支持されており、荷重の約8%程度のス
ラスト力には十分に耐え得る。
【0092】また、図9に示すように、中間ロール3は
補強ロール4と接触してスラスト力FBを受けるが、作
業ロール2に対してもクロスしているため、作業ロール
2より反対方向のスラスト力FIを受ける。このため、
中間ロール3の径は補強ロール4と比較して小さく、そ
のチョックも小さくなるが、補強ロール4および作業ロ
ール2での接触面のスラスト力FB,FIはほぼ同じ大
きさで互いに逆向きの力となるため、総和としてのスラ
スト力FB−FIは2つのスラスト力が打ち消し合って
問題のない程度に小さな力となる。
【0093】更に、図10に示すように、作業ロール2
は中間ロール3と接触してスラスト力FIを受けるが、
中間ロール3と反対方向にクロスしていることにより、
板材1より反対方向のスラスト力FPを受け、総和とし
てのスラスト力FI−FPは上記の荷重の約8%よりさ
らに小さくなる。
【0094】すなわち、前述したように、本発明者等の
検討により、ロールとロールの傾斜接触で生じるスラス
ト力と、板材とロールの傾斜接触で生じるスラスト力と
では、スラスト力発生の形態が異なることが明らかとな
っている。圧延方向に直角な方向に対するロール1本の
水平面内での傾斜角をクロス角と定義すれば、ロールと
ロールの傾斜接触の場合にはクロス角を大きくするとス
ラスト力は増加するが、クロス角が0.2〜0.4度程
度になるとスラスト力は荷重の8%程度の値に飽和し、
それ以降はクロス角をいくら大きくしてもスラスト力は
あまり増加しない。板材とロールの傾斜接触の場合は、
クロス角を大きくするとスラスト力は直線比例的に増加
し、クロス角が0.8〜1.0度程度でスラスト力は荷
重の8%程度となる。
【0095】本実施形態では、作業ロール2のクロス角
は0.3〜1.5度程度、中間ロール3のクロス角の範
囲は0.3〜1.2度程度に設定されている。これによ
り作業ロールと中間ロールのスラスト係数は両方とも
0.5%以下とすることができる。この場合の板クラウ
ンの制御能力は、作業ロールのみを単独でクロス場合の
クロス角である0.3〜2.2度程度に相当し、極めて
大きな制御範囲となって板クラウンの制御能力が大幅に
増大する。
【0096】以上のような本実施形態によれば、中間ロ
ール3と作業ロール2を、それぞれの軸線が水平面内で
補強ロール4の軸線に対し互いに反対方向にクロスする
ように設置し、さらにロール表面に潤滑剤供給装置6よ
り潤滑剤を供給するようにしたので、中間ロールと作業
ロールをクロスさせて圧延を行う際に問題となるスラス
ト力発生を抑止でき、良好な板材を安定して圧延するこ
とが可能となる。また、過大なスラスト力の発生でロー
ルクロスが制限され板厚分布が不均一になったり、板材
の品質を悪化させるなどの不都合を生じることが無く、
均質な板厚分布を確保でき、良好な品質の板材を製造で
きる。
【0097】次に、本発明の第2の実施形態を、図11
を参照しながら説明する。但し、図11においては、板
材を省略してあり、かつ図8と同等の部材には同じ符号
を付してある。
【0098】図11に示すように、補強ロール4はその
軸線が板材1の進行方向に直交しかつ水平面内で傾斜し
ないように設置され、中間ロール3と作業ロール2は、
それぞれの軸線が水平面内で補強ロール4の軸線に対し
互いに反対方向に傾斜(クロス)するように設置され、
さらに作業ロール2の端部にはそのロールにベンディン
グ力を付与する作業ロールベンダー8が設置されてい
る。また、ロール表面には潤滑剤供給装置6より潤滑剤
が供給されるようになっている。
【0099】本実施形態でも、中間ロール3と作業ロー
ル2を逆方向にクロスしかつロール間潤滑を用いたの
で、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0100】また、本実施形態によれば、中間ロール3
をクロスすることにより作業ロール2と板材とが接触し
ていない部分の補強ロール4からの荷重を軽減できるた
め、作業ロールのベンディング効果は中間ロール3をク
ロスしない時に較べて増加する。このため、作業ロール
ベンダー8を併用することにより、エッジドロップと呼
ばれる板材端部の板厚分布修正が可能となる。また、作
業ロールベンダー8として油圧式のものを用いることに
より、板幅方向および板厚分布の修正が圧延中にも容易
かつ短時間で行え、一層均質な板厚分布を確保でき、良
好な品質の板材を製造できるという長所がある。
【0101】図11に示した実施形態では、垂直方向に
ベンディング力を付与する一般的なロールベンダー8を
用いたが、作業ロールが小径であることを利用し水平方
向にベンディング力を付与する作業ロールベンダーを用
いることもできる。図12はこのような作業ロールベン
ダー82を設置した実施形態を示す。図12(a)に示
すように、作業ロールクロスシリンダー83により作業
ロール2のクロス位置が定められ、この状態で作業ロー
ルベンダー82により水平方向にベンディング力を付与
すると、特にロール端部付近において作業ロール2の軸
心の変化(たわみ)が生じる。この軸心の変化(たわ
み)を図12(b)に示す。作業ロール2の軸心が変化
すると、ロール端部付近におけるロールギャップも同様
に変化を生じるため、このことを利用して板材端部の板
厚分布の修正が可能となる。
【0102】次に、本発明の第3の実施形態を、図13
を参照しながら説明する。但し、図13においても、板
材を省略してあり、図8と同等の部材には同じ符号を付
してある。
【0103】図13に示すように、補強ロール4はその
軸線が板材1の進行方向に直交しかつ水平面内で傾斜し
ないように設置され、中間ロール3と作業ロール2は、
それぞれの軸線が水平面内で補強ロール4の軸線に対し
互いに反対方向に傾斜(クロス)するように設置され、
さらに中間ロール3の端部にはそのロールにベンディン
グ力を付与する中間ロールベンダー9が設置されてい
る。中間ロール3も小径であるので、中間ロールベンダ
ー9として図12(a)の作業ロールベンダー82と同
様、水平方向にベンディング力を付与するものを用いて
も良い。また、ロール表面には潤滑剤供給装置6より潤
滑剤が供給されるようになっている。
【0104】本実施形態でも、中間ロール3と作業ロー
ル2を逆方向にクロスしかつロール間潤滑を用いたの
で、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0105】また、本実施形態によれば、中間ロールベ
ンダー9の併用により、中間ロール3のクロス角設定に
誤差が生じた場合にもこれを補正することができる。す
なわち、クロス角設定の誤差による垂直方向のギャップ
への影響部分を、中間ロールベンダー9で中間ロール3
を垂直方向に曲げることにより補正すれば良く、これに
より中間ロール3のクロス角設定誤差を容易に補正でき
る。従って、板幅方向および板厚分布の修正が圧延中に
も容易かつ短時間で行え、一層均質な板厚分布を確保で
き、良好な品質の板材を製造できるという長所がある。
【0106】次に、本発明の第4の実施形態を、図14
を参照しながら説明する。但し、図14においても、板
材を省略してあり、図8と同等の部材には同じ符号を付
してある。
【0107】図14に示すように、補強ロール4はその
軸線が板材1の進行方向に直交しかつ水平面内で傾斜し
ないように設置され、中間ロール3と作業ロール2は、
それぞれの軸線が水平面内で補強ロール4の軸線に対し
互いに反対方向に傾斜(クロス)するように設置され、
さらに作業ロール2を軸方向に移動可能とする作業ロー
ル移動装置10が設置されている。また、ロール表面に
は潤滑剤供給装置6より潤滑剤が供給されるようになっ
ている。
【0108】本実施形態でも、中間ロール3と作業ロー
ル2を逆方向にクロスしかつロール間潤滑を用いたの
で、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】また、中間ロールと作業ロールとをクロス
させて圧延を行う際には、特に作業ロールの胴長方向中
央部での荷重負荷が大きく、金属疲労などが中央部に集
中しやすくなりがちである。本実施形態によれば、作業
ロール2を作業ロール移動装置10で軸方向に移動可能
としているため、長時間の圧延においても荷重の負荷を
分散することができ、金属疲労の集中を排除して作業ロ
ールの寿命を延ばすことができる。
【0110】次に、本発明の第5の実施形態を、図15
を参照しながら説明する。但し、図15においても、板
材を省略してあり、図8及び図11と同等の部材には同
じ符号を付してある。
【0111】図15に示すように、補強ロール4はその
軸線が板材1の進行方向に直交しかつ水平面内で傾斜し
ないように設置され、中間ロール3と作業ロール2は、
それぞれの軸線が水平面内で補強ロール4の軸線に対し
互いに反対方向に傾斜(クロス)するように設置されて
いる。さらに、中間ロール3を軸方向に移動可能とする
中間ロール移動装置11が設置され、作業ロール2の端
部にはそのロールにベンディング力を付与する作業ロー
ルベンダー8が設置されている。また、ロール表面には
潤滑剤供給装置6より潤滑剤が供給されるようになって
いる。
【0112】本実施形態でも、中間ロール3と作業ロー
ル2を逆方向にクロスしかつロール間潤滑を用いたの
で、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0113】また、本実施形態によれば、中間ロール3
を中間ロール移動装置11で軸方向に移動可能とし、か
つ作業ロール2に作業ロールベンダー8を備えたので、
作業ロールベンダー8が効果を及ぼす領域を変えること
ができる。すなわち、中間ロール3のクロス角を変化さ
せることにより、板材中央部のボディークラウンを制御
し、中間ロール3の軸方向移動量を変化させることによ
り作業ロールベンダー8による効果を板材端部のみに限
定的に与えたり、或いは板材の中央側にまで与えたりす
ることができる。このため、エッジドロップ制御や複合
伸びの制御など複雑な板幅方向板厚分布の修正が容易に
行え、均質な板厚分布を確保でき、良好な品質の板材を
製造できるという長所がある。
【0114】以上、第1から第5の実施形態について説
明してきたが、本発明は熱間圧延、冷間圧延のいずれに
も適用可能であり、第1から第5の実施形態も熱間圧
延、冷間圧延のいずれの場合にも成り立つものである。
しかし、熱間圧延においては比較的長さの短いスラブ板
材やバー材を圧延することが多く、このような場合、板
材先端部の噛み込みが数多く繰り返されるため、噛み込
み時にスリップしないよう注意する必要がある。すなわ
ち、潤滑剤の潤滑性が高い場合には板材とロールの間に
も容易にスリップを生じるため、噛み込み不良を引き起
こす原因となる。従って、熱間圧延に用いる潤滑剤とし
てはロール間で高い潤滑性を示すが、一方で板材とロー
ル間では潤滑性が低いという一見矛盾するような性能が
要求される。しかし、ロール間の温度が100℃以下であ
り、板材の温度が約1000℃という高温であることを考慮
すれば、低温で潤滑性が高く高温で潤滑性が低い性能を
持った潤滑剤を適用すれば良いことになる。
【0115】図16に本発明者等が行った潤滑剤の試験
結果を示す。油脂系の潤滑剤(0.5%濃度)を用いた
場合には温度の高低によって摩擦係数の変化は少ない
が、鉱物油系の潤滑剤(2%濃度)を用いた場合には温
度の高低によって摩擦係数は大きく変化する。つまり、
鉱物油系の潤滑剤がまさに上記の条件(ロール間で高い
潤滑性を示し、板材とロール間では低い潤滑性を示すと
言う条件)を満たし、熱間圧延におけるロール間の潤滑
剤として適することがわかる。このように熱間圧延にお
いては、潤滑剤として鉱物油を基油とする潤滑油を用い
ることにより、ロール間の潤滑性を確保した上で、噛み
込み時のスリップによる噛み込み不良を防止し、安定し
た圧延を行うことができる。
【0116】次に、本発明の第6の実施形態を、図17
を参照しながら説明する。但し、図17において、図8
と同等の部材には同じ符号を付してある。
【0117】図17に示すように、補強ロール4はその
軸線が板材1の進行方向に直交しかつ水平面内で傾斜し
ないように設置され、中間ロール3と作業ロール2は、
それぞれの軸線が水平面内で補強ロール4の軸線に対し
互いに反対方向に傾斜(クロス)するように設置されて
いる。また、作業ロール2に冷却水を吐出する冷却水供
給装置21が備えられ、作業ロール2に近接する位置に
冷却水供給装置21からの冷却水が中間ロール3に飛散
および付着するのを防止するためのスクレーバ(冷却水
遮蔽部材)32が設置されている。さらに、ロール表面
には潤滑剤供給装置6より潤滑剤が供給されるようにな
っている。
【0118】本実施形態でも、中間ロール3と作業ロー
ル2を逆方向にクロスしかつロール間潤滑を用いたの
で、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0119】また、本実施形態によれば、作業ロール2
に近接する位置にスクレーバ22を設置し、冷却水供給
装置21から吐出される大量の作業ロール用冷却水が中
間ロール3に飛散、付着したり、或いはロール間に進入
するのを防止することができる。このため、冷却水量を
低減する必要が無くなって作業ロール2の冷却が十分に
行え、焼き付きなどの圧延不良を防止できる。また、サ
ーマルクラウンの過大な成長も防止できるため、一層均
質な板厚分布を確保でき、良好な品質の板材を製造でき
るという長所がある。
【0120】次に、本発明の第7の実施形態を、図18
を参照しながら説明する。但し、図18において、図8
と同等の部材には同じ符号を付してある。
【0121】前述の第6の実施形態(図17)では熱間
圧延に本発明を適用した場合について説明したが、冷間
圧延では接合機の導入により連続的に板材が供給され、
連続圧延が行われることが多い。このような冷間圧延の
場合、作業ロールは常に圧延状態におかれるためにサー
マルクラウンが大きくなり易く、これを防止するために
は冷却能力の高いクーラントが必要となる。冷却能力の
高いクーラントとしては水の含有量を多くする方法が安
価で簡単である。しかし、このようなクーラントを本発
明のロール間の潤滑剤として利用しようする場合には、
水の含有量が多くロール表面への付着力が低下し易くな
るため、潤滑剤としてあまり適当ではなくなる。本実施
形態はこのことを考慮して、ロール間の潤滑剤として作
業ロール用のクーラントと油質もしくは濃度を異にする
ものを用いるものである。
【0122】図18に示すように、補強ロール4はその
軸線が板材1の進行方向に直交しかつ水平面内で傾斜し
ないように設置され、中間ロール3と作業ロール2は、
それぞれの軸線が水平面内で補強ロール4の軸線に対し
互いに反対方向に傾斜(クロス)するように設置されて
いる。また、作業ロール2にクーラントを吐出するクー
ラント供給装置23が備えられ、ロール表面には潤滑剤
供給装置6より潤滑剤が供給されるようになっている。
潤滑剤供給装置6より供給される潤滑剤としては、クー
ラント供給装置23より供給されるクーラントと油質も
しくは濃度を異にする潤滑剤を用いる。さらに本実施形
態では、作業ロール2に近接する位置にスクレーバ(ク
ーラント遮蔽部材)24を設置することも可能であり、
これによってクーラントが中間ロール3に飛散、付着し
たり、或いはロール間に進入するのを防止することが可
能となる。
【0123】本実施形態でも、中間ロール3と作業ロー
ル2を逆方向にクロスしかつロール間潤滑を用いたの
で、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0124】また、本実施形態によれば、潤滑剤供給装
置6より供給される潤滑剤として、クーラント供給装置
23より供給されるクーラントと油質もしくは濃度を異
にする潤滑剤を用いるので、高いクーラントの冷却能力
を確保しつつ、ロール間の潤滑剤として潤滑能力の高い
有効なものを用いることができる。
【0125】また、作業ロール2に近接する位置にスク
レーバ24を設置することにより、クーラント装置23
から吐出されるクーラントが中間ロール3に飛散、付着
したり、或いはロール間に進入するのを防止することが
できる。このため、クーラントを低減する必要が無くな
って作業ロール2の冷却が十分に行え、焼き付きなどの
圧延不良を防止できる。また、サーマルクラウンの過大
な成長も防止できるため、一層均質な板厚分布を確保で
き、良好な品質の板材を製造できるという長所がある。
【0126】本発明の第8の実施形態を、図19を参照
しながら説明する。但し、図19において、図8と同等
の部材には同じ符号を付してある。
【0127】図19において、補強ロール4はその軸線
が板材1の進行方向に直交しかつ水平面内で傾斜しない
ように設置され、中間ロール3と作業ロール2は、それ
ぞれの軸線が水平面内で補強ロール4の軸線に対し互い
に反対方向に傾斜(クロス)するように設置されてい
る。また、ロール表面に潤滑剤供給装置6より潤滑剤が
供給されるようになっている。
【0128】また、本実施形態の6段圧延機は、作業ロ
ール2の軸方向スラスト力を計測する作業ロールスラス
ト力計測装置31と、許容可能なスラスト力を設定する
スラスト力設定装置32と、スラスト力設定装置32か
らの設定値とスラスト力の計測値の値を比較演算し、作
業ロール2のクロス角の変更量を求める作業ロールクロ
ス角演算装置33と、作業ロール2のクロス角の変更量
に応じ、中間ロール3のクロス角の変更量を求める中間
ロールクロス角演算装置35と、作業ロールクロス角演
算装置33からの信号を受け作業ロール2のクロス角を
変更する作業ロールクロス角変更装置34と、中間ロー
ルクロス角演算装置35からの信号を受け中間ロール3
のクロス角を変更する中間ロールクロス角変更装置36
とを備えている。
【0129】また、作業ロール2のクロス角は0.2度
以上に設定され、中間ロール3のクロス角は0.1度以
上(作業ロール2に対する交差角でみて0.3度以上)
に設定され、作業ロールクロス角演算装置33は、作業
ロール2のクロス角が0.2度以上となる範囲で作業ロ
ール2のクロス角の変更量を求め、中間ロールクロス角
演算装置35は、中間ロール3のクロス角が0.1度以
上となる範囲で中間ロール3のクロス角の変更量を求め
る。
【0130】作業ロール2の軸方向スラスト力を作業ロ
ールスラスト力計測装置31により計測し、スラスト力
の計測値とスラスト力設定装置32で前もって設定して
おいた値とを作業ロールクロス角演算装置33で比較演
算する。比較演算処理は以下のようになる。
【0131】スラスト力設定装置32の設定値Fsfから
計測したスラスト力の値Fsmを引けば修正すべきスラス
ト力ΔFsが得られる。もし、計測したスラスト力Fsm
が設定値Fsf より小さい場合は以下の処理は不要とな
り、特に処理は行わない。
【0132】作業ロール2に生じるスラスト力Fsはロ
ール間に生じるスラスト力Frと板とロールに生じるス
ラスト力Fpで次のように表される。
【0133】 Fs= Fr − Fp (1) FrとFpは圧延荷重Prと図2で示したロール間のスラ
スト係数μe、板と作業ロール間のスラスト係数μpを用
いて次のように表される。
【0134】 Fr=μe・ Pr (2) Fp=μp・ Pr (3) ロール間のスラスト係数μeを小さくすべく潤滑剤供給
装置6によりロール表面にエマルジョンなどの潤滑剤を
供給しているが、クロス角0.1〜1.2度の範囲でス
ラスト係数は6〜8%となり変化幅は2%しかない。この
ため、前述したように中間ロール3のクロス角を変えて
もスラスト力に与える影響は小さい。一方、板と作業ロ
ール間のスラスト係数μpはクロス角0.0〜1.2度
の範囲でスラスト係数は0〜10%となり、変化幅は10
%と大きい。さらに板と作業ロール2のクロス角θと板
と作業ロール間のスラスト係数μpはほぼ比例関係にあ
るため、次のように表せる。
【0135】 μp=Cp・θ+D (4) ここで、Cpは比例定数、Dは初期常数である。作業ロ
ールクロス角の変化分Δθによるロール間のスラスト係
数μeの変化は小さいため無視すると、作業ロールクロ
ス角の変化分Δθとスラスト力の変化分ΔFsの関係
は、近似的に次のように表せる。
【0136】 ΔFs= ―Pr・ Cp・Δθ (5) (5)式より修正すべきスラスト力ΔFsに対する修正
すべき作業ロールクロス角の変化分Δθは次のよう求ま
る。
【0137】 Δθ= ―ΔFs /(Pr・Cp) (6) 作業ロールクロス角変更装置34では作業ロールクロス
角演算装置33からの信号を受けて作業ロールのクロス
角を変更する。これにより過大なスラスト力は修正され
る。上述の説明ではスラスト係数μpの変化は無視した
が、この少ない影響をさらに考慮しても同様なことが可
能であり、本発明と発明の本質を異にするものではな
い。
【0138】中間ロールクロス角演算装置35では作業
ロールクロス角演算装置33からの信号を受けて、中間
ロール3のクロス角の変更量ΔθIを求める。
【0139】板材の板クラウンの変化分ΔChと作業ロ
ールクロス角の変化分Δθ、中間ロールクロス角の変化
分ΔθIの関係は一般に次式のように表される。
【0140】 ΔCh=(∂Ch/∂θ)・Δθ+(∂Ch/∂θI)・ΔθI (7) ここで、Chは板クラウン、θは作業ロールクロス角、
θIは中間ロールクロス角を表す。係数(∂Ch/∂
θ)と係数(∂Ch/∂θI)は前もって計算もしくは
実験より求めておけば良い。
【0141】(7)式でΔCh=0とおけば次式が得ら
れる。
【0142】 ΔθI=−(∂Ch/∂θ)・Δθ/(∂Ch/∂θI) (8) (8)式は作業ロールクロス角の変化分Δθによる板ク
ラウン変化を打ち消すための、等価な中間ロールクロス
角の変化分ΔθIを表している。
【0143】中間ロールクロス角変更装置36では中間
ロールクロス角演算装置35からの信号を受け中間ロー
ル3のクロス角を変更する。これにより作業ロールクロ
ス角の変化分Δθによる板クラウン変化を無くして板材
品質を良好に保つことができる。
【0144】前述したごとく、本実施形態では作業ロー
ル2のクロス角が0.2度以上となる範囲で作業ロール
2のクロス角を変更し、中間ロール3のクロス角が0.
1度以上となる範囲で中間ロール3のクロス角を変更す
るので、中間ロール3は補強ロール4に対するクロス角
は0.1度以上で用い、作業ロール2に対するクロス角
は0.3度以上で用いる。また、前述したようにロール
間のスラスト係数は、クロス角0.1度以上でスラスト
係数の変化が少なく安定する。このため、中間ロールク
ロス角変更装置36で中間ロールクロス角演算装置35
からの信号を受け中間ロール3のクロス角を変更するこ
とにより、より安定にスラスト力の発生を抑止でき、板
厚分布の修正に伴う左右の荷重差への影響も小さく抑え
られ、さらに板材品質を良好に保つことができる。
【0145】このように本実施形態によれば、中間ロー
ル3と作業ロール2を逆方向にクロスしかつロール間潤
滑を用いたので、第1の実施形態と同様の効果が得られ
ると共に、圧延中に何らかの原因で作業ロールのスラス
ト力が増加した場合でもスラスト力を確実に低減でき、
しかも板厚分布の修正に伴う左右の荷重差への影響を小
さく抑え、さらに板材品質を良好に保つことができる。
【0146】
【発明の効果】本発明によれば、良好な板材を安定して
圧延することが可能となると共に、過大なスラスト力の
発生でロールクロスが制限され板厚分布が不均一になっ
たり、板材の品質を悪化させるなどの不都合を生じるこ
とが無く、均質な板厚分布を確保でき、良好な品質の板
材を製造できる。
【0147】また、圧延中に何らかの原因で作業ロール
のスラスト力が増加した場合でもスラスト力を確実に低
減でき、しかも板厚分布の修正に伴う左右の荷重差への
影響を小さく抑え、さらに板材品質を良好に保つことが
できる。
【0148】さらに作業ロールに作業ロールベンダーを
設置するので、板幅方向および板厚分布の修正が容易か
つ短時間で行え、均質な板厚分布を確保でき、良好な品
質の板材を製造できる。
【0149】また中間ロールに中間ロールベンダーを設
置するので、中間ロールのクロス角設定の誤差を容易に
補正でき、従って板幅方向および板厚分布の修正が容易
かつ短時間で行え、均質な板厚分布を確保でき、良好な
品質の板材を製造できる。
【0150】また作業ロールを軸方向に移動可能とする
ので、作業ロールに生じる胴中央部への荷重の集中を排
除でき、金属疲労の分散が可能となる。このため、作業
ロールの寿命を延ばすことができる。
【0151】また中間ロールを軸方向に移動可能とし、
しかも作業ロールに作業ロールベンダーを設置するの
で、エッジドロップ制御や複合伸びの制御など複雑な板
幅方向および板厚分布の修正が容易に行え、均質な板厚
分布を確保でき、良好な品質の板材を製造できる。
【0152】さらに本発明によれば、作業ロールに近接
する位置に冷却水供給装置を設置するので、大量の作業
ロール用冷却水が中間ロールに飛散、付着したり、或い
は進入するのを防止することができる。このため、冷却
水量を低減する必要が無くなって作業ロール2の冷却が
十分に行え、焼き付きなどの圧延不良を防止できる。ま
た、サーマルクラウンの過大な成長も防止できるため、
均質な板厚分布を確保でき、良好な品質の板材を製造で
きる。
【0153】また、ロール間の潤滑剤として、作業ロー
ル用のクーラントと油質もしくは濃度を異にする潤滑剤
を用いるので、高いクーラントの冷却能力を確保しつ
つ、ロール間の潤滑剤として潤滑能力の高い有効なもの
を用いることができる。さらにこの場合、作業ロールに
近接する位置にクーラント遮蔽部材を設置することによ
り、クーラントが中間ロールに飛散、付着したり、或い
はロール間に進入するのを防止することができる。この
ため、クーラントを低減する必要が無くなって作業ロー
ルの冷却が十分に行え、焼き付きなどの圧延不良を防止
できる。また、サーマルクラウンの過大な成長も防止で
きるため、均質な板厚分布を確保でき、良好な品質の板
材を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4段圧延機で作業ロールのみをクロスした場合
のスラスト力発生メカニズムを説明する図である。
【図2】作業ロールに負荷されるスラスト係数の特性を
示す図である。
【図3】6段圧延機で中間ロールのみをクロスさせて板
材を圧延する場合のスラスト力発生メカニズムを説明す
る図である。
【図4】6段圧延機で中間ロールと作業ロールを一体と
してクロスした場合のスラスト力発生メカニズムを説明
する図である。
【図5】6段圧延機で中間ロールと補強ロールを一体と
してクロスした場合のスラスト力発生メカニズムを説明
する図である。
【図6】6段圧延機で作業ロールのみをクロスした場合
のスラスト力発生メカニズムを説明する図である。
【図7】6段圧延機で中間ロールと作業ロールの軸線
を、補強ロールの軸線に対し互いに反対方向に傾斜する
ようにクロスさせた場合のスラスト力発生メカニズムを
説明する図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による圧延機を示す図
であって、中間ロールと作業ロールを補強ロールの軸線
に対し互いに反対方向に傾斜するようにクロスさせた6
段圧延機を示す図である。
【図9】中間ロールと中間ロールに付与されるスラスト
力との関係を模式的に示す図である。
【図10】作業ロールと作業ロールに付与されるスラス
ト力との関係を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第2の実施形態による圧延機を示す
図である。
【図12】(a)は水平方向にベンディング力を付与す
る作業ロールベンダーの機構を示す図であり、(b)は
その作業ロールベンダーによる作業ロールの軸心の変化
(たわみ)を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態による圧延機を示す
図である。
【図14】本発明の第4の実施形態による圧延機を示す
図である。
【図15】本発明の第5の実施形態による圧延機を示す
図である。
【図16】油脂系の潤滑剤および鉱物油系の潤滑剤の、
温度の高低による摩擦係数の変化を示す図である。
【図17】本発明の第6の実施形態による圧延機を示す
図である。
【図18】本発明の第7の実施形態による圧延機を示す
図である。
【図19】本発明の第8の実施形態による圧延機を示す
図である。
【符号の説明】
1 板材 2 作業ロール 3 中間ロール 4 補強ロール 5 ハウジング 6 潤滑剤供給装置 7 チョック 8 作業ロールベンダー 8a 作業ロールクロスシリンダー 9 中間ロールベンダー 10 作業ロール移動装置 11 中間ロール移動装置 21 冷却装置 22 スクレーバ 23 クーラント装置 24 スクレーバ 31 作業ロールスラスト力計測装置 32 スラスト力設定装置 33 作業ロールクロス角演算装置 34 作業ロールクロス角変更装置 35 中間ロールクロス角演算装置 36 中間ロールクロス角変更装置
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B21B 27/10 B21B 27/10 D 29/00 29/00 A 31/16 31/16 37/00 BBH 45/02 310 37/28 37/00 BBH 45/02 310 116J (72)発明者 斎藤 武彦 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 平間 幸夫 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内 (72)発明者 佐藤 宏司 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】板材を圧延する一対の作業ロールと、前記
    一対の作業ロールをそれぞれ支持する一対の中間ロール
    と、前記一対の中間ロールをそれぞれ支持する一対の補
    強ロールとを圧延スタンドに備えた圧延機において、 前記一対の補強ロールは、それらの軸線が水平面内で互
    いに傾斜しないように設置され、 前記中間ロールおよび前記作業ロールは、それぞれの軸
    線が水平面内で前記補強ロールの軸線に対し互いに反対
    方向に傾斜し得るように設置され、 かつ前記作業ロール、中間ロール、補強ロールのロール
    表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置を設けたことを
    特徴とする圧延機。
  2. 【請求項2】請求項1記載の圧延機において、前記作業
    ロールに生じるスラスト力が過大にならないように前記
    作業ロールのクロス角を設定し、この作業ロールのクロ
    ス角を考慮した上で前記板材が所望の板厚分布になるよ
    うに前記中間ロールのクロス角を設定したことを特徴と
    する圧延機。
  3. 【請求項3】請求項1記載の圧延機において、前記板材
    の圧延方向に直角な方向に対し各作業ロールがなす角度
    を作業ロールのクロス角と定義し、前記圧延方向に直角
    な方向に対し各中間ロールがなす角度を中間ロールのク
    ロス角と定義するとき、前記作業ロールのクロス角を
    0.2度以上に設定し、前記中間ロールのクロス角を作
    業ロールと反対方向に0.1度以上に設定したことを特
    徴とする圧延機。
  4. 【請求項4】請求項1記載の圧延機において、前記作業
    ロール及び前記中間ロールのうち少なくとも一方に、ベ
    ンディング力を付与するロールベンダーをさらに備えた
    ことを特徴とする圧延機。
  5. 【請求項5】請求項4記載の圧延機において、前記ロー
    ルベンダーとして、前記作業ロールに水平方向に曲げ力
    を与える作業ロールベンダーを備えたことを特徴とする
    圧延機。
  6. 【請求項6】請求項1記載の圧延機において、前記作業
    ロール及び前記中間ロールのうち少なくとも一方を軸方
    向に移動させることが可能なロール移動装置をさらに設
    けたことを特徴とする圧延機。
  7. 【請求項7】請求項1から6のうちいずれか1項記載の
    圧延機において、前記潤滑剤は鉱物油を基油とする潤滑
    油であり、かつ熱間で圧延を行うことを特徴とする圧延
    機。
  8. 【請求項8】請求項1から6のうちいずれか1項記載の
    圧延機において、前記作業ロールに冷却水を供給する冷
    却水供給装置と、前記作業ロールに近接する位置に設け
    られ前記冷却水が前記中間ロールに付着するのを防止す
    るための冷却水遮蔽部材とをさらに有し、かつ熱間で圧
    延を行うことを特徴とする圧延機。
  9. 【請求項9】請求項1から6のうちいずれか1項記載の
    圧延機において、前記作業ロールにクーラントを供給す
    るクーラント供給装置をさらに有し、前記潤滑剤は前記
    作業ロール用のクーラントと油質もしくは濃度を異にす
    る潤滑剤であり、かつ冷間で圧延を行うことを特徴とす
    る圧延機。
  10. 【請求項10】請求項1から6のうちいずれか1項記載
    の圧延機において、前記作業ロールにクーラントを供給
    するクーラント供給装置と、前記作業ロールに近接する
    位置に設けられ前記クーラントが前記中間ロールに付着
    するのを防止するためのクーラント遮蔽部材とをさらに
    有し、かつ冷間で圧延を行うことを特徴とする圧延機。
  11. 【請求項11】板材を圧延する一対の作業ロールと、前
    記一対の作業ロールをそれぞれ支持する一対の中間ロー
    ルと、前記一対の中間ロールをそれぞれ支持する一対の
    補強ロールとを圧延スタンドに備えた圧延機において、 前記一対の補強ロールは、それらの軸線が水平面内で互
    いに傾斜しないように設置され、 前記中間ロールおよび前記作業ロールは、それぞれの軸
    線が水平面内で前記補強ロールの軸線に対し互いに反対
    方向に傾斜し得るように設置され、 かつ前記作業ロール、中間ロール、補強ロールのロール
    表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置と、 前記作業ロールの軸方向スラスト力を計測する作業ロー
    ルスラスト力計測装置と、 許容可能なスラスト力を設定するスラスト力設定装置
    と、 前記スラスト力設定装置からの設定値と前記スラスト力
    の計測値を比較演算して前記作業ロールのクロス角の変
    更量を求める作業ロールクロス角演算装置と、 前記作業ロールのクロス角の変更量に応じて前記中間ロ
    ールのクロス角の変更量を求める中間ロールクロス角演
    算装置と、 前記作業ロールクロス角演算装置からの信号を受けて前
    記作業ロールのクロス角を変更する作業ロールクロス角
    変更装置と、 前記中間ロールクロス角演算装置からの信号を受けて前
    記中間ロールのクロス角を変更する中間ロールクロス角
    変更装置とを設けたことを特徴とする圧延機。
  12. 【請求項12】請求項11記載の圧延機において、前記
    作業ロールクロス角演算装置は、前記スラスト力の計測
    値が前記スラスト力設定装置からの設定値より大きいと
    きこの設定値との差分が小さくなるように前記作業ロー
    ルのクロス角の変更量を求め、前記中間ロールクロス角
    演算装置は、前記作業ロールのクロス角の変更量による
    前記板材の板厚分布の変化分を打ち消すように前記中間
    ロールのクロス角の変更量を求めることを特徴とする圧
    延機。
  13. 【請求項13】請求項11記載の圧延機において、前記
    板材の圧延方向に直角な方向に対し各作業ロールがなす
    角度を作業ロールのクロス角と定義し、前記圧延方向に
    直角な方向に対し各中間ロールがなす角度を中間ロール
    のクロス角と定義するとき、前記作業ロールクロス角演
    算装置は、前記作業ロールのクロス角が0.2度以上と
    なる範囲で作業ロールのクロス角の変更量を求め、前記
    中間ロールクロス角演算装置は、前記中間ロールのクロ
    ス角が作業ロールと反対方向に0.1度以上となる範囲
    で中間ロールのクロス角の変更量を求めることを特徴と
    する圧延機。
  14. 【請求項14】一対の作業ロールと、前記一対の作業ロ
    ールをそれぞれ支持する一対の中間ロールと、前記一対
    の中間ロールをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを
    圧延スタンドに備えた圧延機を用い、板材を圧延する圧
    延方法において、 前記一対の補強ロールを、それらの軸線が水平面内で互
    いに傾斜しないように設置し、 前記中間ロールおよび前記作業ロールを、それぞれの軸
    線が水平面内で前記補強ロールの軸線に対し互いに反対
    方向に傾斜し得るように設置し、 かつ前記作業ロール、中間ロール、補強ロールのロール
    表面に潤滑剤を供給しながら圧延を行うことを特徴とす
    る圧延方法。
  15. 【請求項15】請求項14記載の圧延方法において、前
    記板材の圧延に際して、前記作業ロールに生じるスラス
    ト力が過大にならないように前記作業ロールのクロス角
    を設定し、この作業ロールのクロス角を考量した上で前
    記板材が所望の板厚分布になるように前記中間ロールの
    クロス角を設定することを特徴とする圧延方法。
  16. 【請求項16】請求項14記載の圧延方法において、前
    記板材の圧延方向に直角な方向に対し各作業ロールがな
    す角度を作業ロールのクロス角と定義し、前記圧延方向
    に直角な方向に対し各中間ロールがなす角度を中間ロー
    ルのクロス角と定義するとき、前記板材の圧延に際し
    て、前記作業ロールのクロス角を0.2度以上に設定
    し、前記中間ロールのクロス角を作業ロールと反対方向
    に0.1度以上に設定することを特徴とする圧延方法。
  17. 【請求項17】請求項14記載の圧延方法において、前
    記作業ロール及び前記中間ロールのうち少なくとも一方
    にベンディング力を付与して圧延することを特徴とする
    圧延方法。
  18. 【請求項18】請求項17記載の圧延方法において、前
    記作業ロールに与えるベンディング力として、水平方向
    の曲げ力を付与して圧延することを特徴とする圧延方
    法。
  19. 【請求項19】請求項14記載の圧延方法において、前
    記作業ロール及び前記中間ロールのうち少なくとも一方
    を軸方向に移動させて圧延することを特徴とする圧延方
    法。
  20. 【請求項20】請求項14から19のうちいずれか1項
    記載の圧延方法において、前記作業ロールにクーラント
    を供給し、前記潤滑剤として前記作業ロール用のクーラ
    ントと油質もしくは濃度を異にする潤滑剤を用い、かつ
    冷間で圧延することを特徴とする圧延方法。
  21. 【請求項21】請求項14から19のうちいずれか1項
    記載の圧延方法において、前記作業ロールにクーラント
    を供給し、前記作業ロールに近接する位置にクーラント
    遮蔽部材を設けて前記クーラントが前記中間ロールに付
    着するのを防止し、かつ冷間で圧延することを特徴とす
    る圧延方法。
  22. 【請求項22】一対の作業ロールと、前記一対の作業ロ
    ールをそれぞれ支持する一対の中間ロールと、前記一対
    の中間ロールをそれぞれ支持する一対の補強ロールとを
    圧延スタンドに備えた圧延機を用い、板材を圧延する圧
    延方法において、 前記一対の補強ロールを、それらの軸線が水平面内で互
    いに傾斜しないように設置し、 前記中間ロールおよび前記作業ロールを、それぞれの軸
    線が水平面内で前記補強ロールの軸線に対し互いに反対
    方向に傾斜し得るように設置し、 かつ前記作業ロール、中間ロール、補強ロールのロール
    表面に潤滑剤を供給しながら圧延を行うと共に、 前記作業ロールの軸方向スラスト力を計測し、このスラ
    スト力の計測値と前もって設定しておいた値とを比較
    し、その差分に応じ作業ロールのクロス角を変更し、こ
    の作業ロールのクロス角の変更量に応じて前記中間ロー
    ルのクロス角を変更することを特徴とする板材の圧延方
    法。
  23. 【請求項23】請求項22記載の圧延方法において、前
    記作業ロールのクロス角の変更は、前記スラスト力の計
    測値が前記スラスト力設定装置からの設定値より大きい
    ときこの設定値との差分が小さくなるように行い、前記
    中間ロールのクロス角の変更は、前記作業ロールのクロ
    ス角の変更量による前記板材の板厚分布の変化分を打ち
    消すように行うことを特徴とする圧延方法。
  24. 【請求項24】請求項22記載の圧延方法において、前
    記板材の圧延方向に直角な方向に対し各作業ロールがな
    す角度を作業ロールのクロス角と定義し、前記圧延方向
    に直角な方向に対し各中間ロールがなす角度を中間ロー
    ルのクロス角と定義するとき、前記作業ロールクロス角
    の変更は、前記作業ロールのクロス角が0.2度以上と
    なる範囲で行い、前記中間ロールのクロス角の変更は、
    前記中間ロールのクロス角が作業ロールと反対方向に
    0.1度以上となる範囲で行うことを特徴とする圧延
    機。
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