JPH10232387A - 高分子分散型液晶表示素子とその製造方法 - Google Patents

高分子分散型液晶表示素子とその製造方法

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JPH10232387A
JPH10232387A JP27058797A JP27058797A JPH10232387A JP H10232387 A JPH10232387 A JP H10232387A JP 27058797 A JP27058797 A JP 27058797A JP 27058797 A JP27058797 A JP 27058797A JP H10232387 A JPH10232387 A JP H10232387A
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polymer
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JP27058797A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kubota
浩史 久保田
Kenji Nakao
健次 中尾
Tsuyoshi Kamimura
強 上村
Shinya Kosako
慎也 古佐小
Noriko Naito
紀子 内藤
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子分散型液晶表示素子において、広い温
度範囲で小さい光学ヒステリシスを実現する。 【解決手段】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の基
板の間に、高分子分散型液晶が挟持された高分子分散型
液晶表示素子であって、前記高分子分散型液晶は、高分
子化合物を含み構成されたマトリックス連続相中に液晶
滴が分散保持され、または高分子化合物を含み構成され
た三次元網目状マトリックスの網目内に液晶滴が分散保
持されたものであり、前記電極に電圧が印加されていな
いときにおける前記液晶滴内の液晶分子の配向形態が、
液晶滴と高分子化合物との界面近傍に少なくとも2つの
極を有するバイポーラ型であり、かつ前記液晶の透明点
転移温度をTnとしたとき、少なくとも当該素子の使用
温度が5℃から(Tn−5)℃の温度範囲内にある場合
において、前記バイポーラ型の配向形態が維持されてい
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子に関
し、詳しくは高分子化合物中に液晶を分散させた高分子
分散型液晶表示素子に関する。この発明にかかる高分子
分散型液晶には、高分子マトリックスの連続相に液晶滴
が分散され保持された狭義の高分子分散型液晶と、三次
元網目状に形成された高分子マトリックスの網目内に液
晶滴が分散され保持されたいわゆるポリマーネットワー
ク液晶の双方が含まれる。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、薄型で軽量、かつ低消
費電力を特徴とする表示素子であり、従来よりワープロ
やテレビの表示画面として広く用いられている。このよ
うな液晶表示素子のなかにあって、散乱モードを利用し
た高分子分散型液晶表示素子は、偏光板を必要としない
と共に、基板に対する配向処理を行う必要がないので、
素子構造が簡単で、しかも明るくてコントラスト比に優
れた表示が可能である。特に、スクリーン上に画像を映
し出す投写型液晶表示装置に高分子分散型液晶表示素子
を用いた場合、明るくてコントラスト比に優れた大画面
画像が容易に得られるので、この分野での利用が進みつ
つある。
【0003】しかしながら、高分子分散型表示素子は、
TN(ツイストネマティク)モードやSTN(スーパー
ツイストネマティク)モードなどの液晶表示素子に比べ
て開発が遅れており、未だ次のような課題を抱えてい
る。すなわち、高分子分散型液晶は、ミクロンオーダー
の微小な液晶滴を高分子マトリクス中に閉じ込めたもの
であるので、液晶滴中の液晶分子が高分子マトリクス界
面から物理的な規制力(以下、アンカリングという)を
受ける。よって、他の方式の液晶表示素子に比較して液
晶分子の電界応答性が悪く、また昇電圧した場合と降電
圧した場合とで、素子の透過率が異なるというヒステリ
シス性を有する。更に、素子温度によりアンカリング強
度が変化するため、素子の周囲温度が変化すると、電界
応答特性や駆動電圧との関係における透過率特性が大き
く変化する。
【0004】このため、高分子分散型液晶表示素子は、
次世代の液晶表示素子として有望ではあるものの、現状
では十分な性能を有する信頼性の高い素子が実現できて
いない。ところで、高分子分散型液晶表示素子に関して
は、従来より次のような技術が開示されている。 (1) 「フラットパネルディスプレイ’91 日経BP社
221頁」などでは、対向する2枚の基板間に液晶材
料と重合性モノマーとの相溶混合物を注入した後、基板
の上から一定の温度条件で紫外線を照射し、液晶を相分
離させながらモノマーを重合させる方法により、高分子
マトリクス中に液晶が分散した状態、または液晶が連続
的に繋がって分散した状態の高分子分散型液晶を形成す
る技術が開示されている。
【0005】(2) 特開平5ー158020号公報では、
液晶高分子混合物中の重合開始剤濃度、重合温度、及び
紫外線強度を全て同時に制御して、相分離を制御する技
術が開示されている。 (3) 特開平5ー224180号公報では、ゲストホスト
型の高分子分散型液晶表示素子において、モノマーの重
合速度を制御する技術が開示されている。 (4) 特開平5ー158020号公報では、従来では紫外
線強度を概ね10mW/cm2 程度としていたものを
(例えば 藤掛 他 第21回液晶討論会講演予稿集
414頁)、この紫外線強度を0.5mW/cm2
上、100mW/cm2 以下の範囲とする技術が開示さ
れている。
【0006】(5) 特開平5ー127174号公報では、
ラジカル系の重合開始剤を用いた場合には、紫外線強度
を15mW/cm2 以上とし、イオン系の重合開始剤を
用いた場合には、紫外線強度を100mW/cm2
上、150mW/cm2 以下とする技術が開示されてい
る。 (6)特開平6ー194629号公報では、紫外線照射時
の液晶パネルの表面温度に関して、液晶の溶解限度量を
考慮して、熱相分離温度より必要最低限高い温度で重合
する技術が開示されている。
【0007】然るに、これらの従来技術では、前記した
問題が十分に解消できず、これらの技術には、例えば紫
外線による相分離に時間がかかる(高分子マトリックス
の固化に時間がかかる)ため、液晶滴の大きさや液晶滴
相互の間隔が大きくばらつくという問題がある。
【0008】また、液晶/高分子界面のアンカリング強
度が適正に調節できていないため、電界応答性が十分で
なく、高温域での光学ヒステリシスが3〜5%程度と大
きいと共に、低温域(10℃未満)における光学ヒステ
リシスが一層大きくなるという問題がある。
【0009】そして、現在のところ、光学ヒステリシス
を直接的に支配する物理量が何であるかが十分に明らか
になっていない。このため、光学ヒステリシス性を効果
的に改善する方策が見い出されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一群の本発明は、上記
現状に鑑みなされたものであり、その第一の目的は、光
学ヒステリシス性を的確に把握できる新たな手法を開発
し、この手法を適用して光学ヒステリシス性の改善され
た高分子分散型液晶表示素子を提供するものである。
【0011】また、その第二の目的は、アンカリングを
適正に調整する手法を開発し、もって電界応答性とヒス
テリシス性の改善された高分子液晶表示素子を提供する
ものである。更に第三の目的は、上記二つの目的を踏ま
えた液晶表示素子を提供することである。
【0012】なお、一群の本発明は、同一ないし類似し
た着想に基づくものである。しかし、それぞれの発明は
異なる実施例により具現化されるものであるので、この
本明細書では、これらの一群の本発明を密接に関連した
発明ごとに第1発明群、第2発明群、第3発明群として
区分する。そして、それぞれの区分(発明群)ごとにそ
の内容を説明する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するための第1発明群にかかる請
求項1〜19は、次のように構成されている。請求項1
の発明は、内側面にそれぞれ電極を備えた一対の基板の
間に、高分子分散型液晶が挟持された高分子分散型液晶
表示素子において、前記高分子分散型液晶は、高分子化
合物を含み構成されたマトリックス連続相中に液晶滴が
分散保持され、または高分子化合物を含み構成された三
次元網目状マトリックスの網目内に液晶滴が分散保持さ
れたものであり、前記基板と高分子分散型液晶との界面
近傍を除く領域に位置する液晶滴が、ほぼ同一の形状と
大きさであることを特徴とする。
【0014】請求項2の発明は、請求項1に記載の高分
子分散型液晶表示素子において、前記液晶滴の粒径の標
準偏差が、平均値の±5%以内であることを特徴とす
る。
【0015】請求項3の発明は、請求項1または2に記
載の高分子分散型液晶表示素子において、前記高分子化
合物が、単官能アクリレートおよび/または多官能アク
リレートを含む重合物よりなるものであることを特徴と
する。
【0016】請求項4の発明は、請求項3に記載の高分
子分散型液晶表示素子において、前記単官能アクリレー
トが、イソステアリルアクリレートであり、前記多官能
アクリレートが、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、PEG#200ジアクリレート、PEG#400ジ
アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメ
チロールプリパントリアクリレート、ペンタエリスリト
ールトリアクリレート、及び下記化学式1で表される2
官能ウレタンアクリレートよりなる群から選択される1
種以上である。
【0017】化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
【0018】請求項5の発明は、内側面にそれぞれ電極
を備えた一対の基板の間に、液晶と高分子前駆体を含む
液晶高分子前駆体相溶液を配置した後、前記基板面に紫
外線を照射して、前記液晶高分子前駆体相溶液中の液晶
と高分子前駆体とを相分離させると共に、前記高分子前
駆体を重合硬化させることにより、液晶滴が高分子化合
物を含み構成されたマトリックス連続相中に分散保持さ
れ、または液晶滴が高分子化合物を含み構成された三次
元網目状マトリックスの網目内に分散保持された高分子
分散型液晶を作製する相分離工程を備える高分子分散型
液晶表示素子の製造方法において、前記相分離工程が、
紫外線照射開始から相分離終了までの時間Tを制御する
ことにより、前記液晶高分子前駆体相溶液中の高分子前
駆体の重合度合い、相分離速度、および相分離開始時に
おける液晶析出核の発生密度の何れか一つ以上を制御し
て、マトリックスに分散保持される液晶滴の粒径を整え
る操作を有することを特徴とする。
【0019】請求項6の発明は、請求項5に記載の高分
子分散型液晶表示素子において、前記紫外線線照射開始
から液晶高分子前駆体相溶液が相分離を開始するまでの
時間をT1とし、前記液晶高分子前駆体相溶液より液晶
が全て析出したときの相分離進行率を100%として相
分離進行率が10%から90%に至るまでに要する時間
をT10-90 とするとき、前記時間Tの制御が、上記時間
T1、または上記時間T10-90 、または上記時間T1と
10-90 の双方を制御することにより行われることを特
徴とする。
【0020】請求項7の発明は、請求項6に記載の高分
子分散型液晶表示素子において、前記時間T1と前記T
10-90 との間に、T10-90 =a×T1+b(但し、a、
bは、一次関数の定数)の関係が成立し、かつ前記aが
0. 4以上、0. 7以下となるように、前記液晶高分子
前駆体相溶液の温度と、前記液晶高分子前駆体相溶液に
照射する紫外線照射強度とを制御することを特徴とす
る。請求項8の発明は、請求項6に記載の高分子分散型
液晶表示素子において、前記液晶高分子前駆体相溶液の
温度と、液晶高分子前駆体相溶液に照射する紫外線の強
度とを制御することにより、前記時間T1が5秒以下に
なるようにすることを特徴する。
【0021】請求項9の発明は、請求項8に記載の高分
子分散型液晶表示素子において、前記紫外線強度が、1
00mW/cm2 以上であることを特徴とする。
【0022】請求項10の発明は、請求項8に記載の高
分子分散型液晶表示素子において、前記紫外線強度が1
00mW/cm2 以上であり、かつ前記液晶高分子前駆
体相溶液の温度が、前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相
分離温度より2℃〜15℃高い温度である。
【0023】請求項11の発明は、請求項8に記載の高
分子分散型液晶表示素子において、前記紫外線強度が、
160mW/cm2 〜400mW/cm2 であり、かつ
前記液晶高分子前駆体相溶液の温度が、前記液晶高分子
前駆体相溶液の熱相分離温度より6℃〜13℃高い温度
であることを特徴とする。
【0024】請求項12の発明は、請求項6に記載の高
分子分散型液晶表示素子において、前記液晶高分子前駆
体相溶液の温度と、前記液晶高分子前駆体相溶液に照射
する紫外線の強度とを制御することにより、前記時間T
10-90 が6秒以下になるようにすることを特徴とする。
【0025】請求項13の発明は、請求項12に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記紫外線強度
が、100mW/cm2 以上であることを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項12に記載の高分子分散型
液晶表示素子において、前記紫外線強度が100mW/
cm2 以上であり、かつ前記液晶高分子前駆体相溶液の
温度が、前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度よ
り2℃〜15℃高い温度であることを特徴とする。
【0026】請求項15の発明は、請求項12に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記紫外線強度
が、160mW/cm2 〜400mW/cm2 であり、
かつ前記液晶高分子前駆体相溶液の温度が、前記液晶高
分子前駆体相溶液の熱相分離温度より6℃〜13℃高い
温度であることを特徴とする。
【0027】請求項16の発明は、請求項6に記載の高
分子分散型液晶表示素子において、前記液晶高分子前駆
体相溶液の温度と、液晶高分子前駆体相溶液に照射する
紫外線の強度とを制御することにより、前記時間T1を
5秒以下とすると共に、前記時間T10-90 を6秒以下と
することを特徴とする。
【0028】請求項17の発明は、請求項5ないし16
に記載の高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶
高分子前駆体相溶液は、単官能アクリレートおよび/ま
たは多官能アクリレートを含むものであることを特徴と
する。請求項18の発明は、請求項17に記載の高分子
分散型液晶表示素子の製造方法において、前記単官能ア
クリレートが、イソステアリルアクリレートであり、前
記多官能アクリレートが、トリエチレングリコールジア
クリレート、PEG#200ジアクリレート、PEG#
400ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、
トリメチロールプリパントリアクリレート、ペンタエリ
スリトールトリアクリレート、及び下記化学式1で表さ
れる2官能ウレタンアクリレートよりなる群から選択さ
れる1種以上であることを特徴とする。
【0029】化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
【0030】(2)請求項19〜54にかかる第2発明
群は、次のように構成されている。請求項19の発明
は、内側面にそれぞれ電極を備えた一対の基板の間に、
高分子分散型液晶が挟持された高分子分散型液晶表示素
子であって、前記高分子分散型液晶は、高分子化合物を
含み構成されたマトリックス連続相中に液晶滴が分散保
持され、または高分子化合物を含み構成された三次元網
目状マトリックスの網目内に液晶滴が分散保持されたも
のであり、前記電極に電圧が印加されていないときにお
ける前記液晶滴内の液晶分子の配向形態が、液晶滴と高
分子化合物との界面近傍に少なくとも2つの極を有する
バイポーラ型であり、かつ前記液晶の透明点転移温度を
Tnとしたとき、少なくとも当該素子の使用温度が5℃
から(Tn−5)℃の温度範囲内にある場合において、
前記バイポーラ型の配向形態が維持されていることを特
徴とする。
【0031】請求項20の発明は、請求項19に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記電極に電圧を
印加しないとき、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に
位置する液晶分子の上記界面に対するチルト角が、10
度以下であることを特徴とする。
【0032】請求項21の発明は、請求項19に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記素子の使用温
度が0℃から(Tn−5)℃の温度範囲内で、前記バイ
ポーラ型の配向形態が維持されていることを特徴とす
る。
【0033】請求項22の発明は、請求項21に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記電極に電圧を
印加しないとき、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に
位置する液晶分子の上記界面に対するチルト角が、10
度以下であることを特徴とする。
【0034】請求項23の発明は、請求項19に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記素子の使用温
度が−5℃から(Tn−5)℃の温度範囲内において、
前記バイポーラ型の配向形態が維持されていることを特
徴とする。
【0035】請求項24の発明は、請求項23に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記電極に電圧を
印加しないとき、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に
位置する液晶分子の上記界面に対するチルト角が、10
度以下であることを特徴とする。
【0036】請求項25の発明は、請求項19に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記基板と高分子
分散型液晶との界面近傍を除く領域に位置する液晶滴
が、ほぼ同一の形状と大きさであることを特徴とする。
【0037】請求項26の発明は、請求項25に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶滴のバラ
ツキが、10%以内であることを特徴とする。
【0038】請求項27の発明は、請求項19に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記基板と高分子
分散型液晶との界面近傍を除く領域に位置する液晶滴が
ほぼ同一の形状と大きさであり、前記電極に電圧を印加
しないとき、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に位置
する液晶分子の前記界面に対するチルト角が10度以下
であることを特徴とする。
【0039】請求項28の発明は、請求項19ないし2
7に記載の高分子分散型液晶表示素子において、前記高
分子化合物は、単官能アクリレートおよび/または多官
能アクリレートを含む重合物よりなることを特徴とす
る。
【0040】請求項29の発明は、請求項28に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記単官能アクリ
レートが、イソステアリルアクリレートであり 、前記
多官能アクリレートが、トリエチレングリコールジアク
リレート、PEG#200ジアクリレート、PEG#4
00ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ト
リメチロールプリパントリアクリレート、ペンタエリス
リトールトリアクリレート、及び下記化学式1で表され
る2官能ウレタンアクリレートよりなる群から選択され
る1種以上であることを特徴とする。
【0041】化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
【0042】請求項30の発明は、内側面にそれぞれ電
極を備えた一対の基板の間に、高分子分散型液晶が挟持
された高分子分散型液晶表示素子において、前記高分子
分散型液晶は、高分子化合物を含み構成されたマトリッ
クス連続相中に液晶滴が分散保持され、または高分子化
合物を含み構成された三次元網目状マトリックスの網目
内に液晶滴が分散保持されたものであり、前記高分子分
散型液晶表示素子の電圧・透過率特性における素子温度
30℃での透過率90%の電圧値をV90とし、前記一
対の基板の間隔をdとし、前記液晶滴の平均粒径をRと
したとき、(V90×R)/dの値が0. 7以上である
ことを特徴とする。
【0043】請求項31の発明は、請求項30に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶滴内の液
晶分子の配向状態が、液晶滴と高分子化合物との界面近
傍に少なくとも2つの極を有するバイポーラ型であるこ
とを特徴とする。
【0044】請求項31の発明は、請求項30に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、内側面にそれぞれ
電極を備えた一対の基板の間に、高分子分散型液晶が挟
持された高分子分散型液晶表示素子であって、前記液晶
滴内の液晶分子の配向状態が、液晶滴と高分子化合物と
の界面近傍に少なくとも2つの極を有するバイポーラ型
であることを特徴とする。
【0045】請求項32の発明は、請求項31に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記電極に電圧を
印加しないとき、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に
位置する液晶分子の前記界面に対するチルト角が、10
度以下であることを特徴とする。
【0046】請求項33の発明は、請求項31に記載の
高分子分散型液晶表示素子において前記バイポーラ型の
配向形態が、前記液晶の透明点転移温度をTnとすると
き、少なくとも当該素子の使用温度が5℃から(Tn−
5)℃の温度範囲内にある場合において維持されている
ことを特徴とする。
【0047】請求項34の発明は、請求項33に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記電極に電圧を
印加しないとき、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に
位置する液晶分子の前記界面に対するチルト角が、10
度以下であることを特徴とする。
【0048】請求項35の発明は、請求項30に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記バイポーラ型
の配向形態が、前記液晶の透明点転移温度をTnとする
とき、当該素子の使用温度が0℃から(Tn−5)℃の
温度範囲内にある場合において維持されていることを特
徴とする。
【0049】請求項36の発明は、請求項35に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記電極に電圧を
印加しないとき、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に
位置する液晶分子の前記界面に対するチルト角が、10
度以下であることを特徴とする。
【0050】請求項37の発明は、請求項31に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記バイポーラ型
の配向形態が、前記液晶の透明点転移温度をTnとする
とき、当該素子の使用温度が−5℃から(Tn−5)℃
の温度範囲内にある場合において維持されていることを
特徴とする。
【0051】請求項38の発明は、請求項37に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記電極に電圧を
印加しないとき、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に
位置する液晶分子の前記界面に対するチルト角が、10
度以下であることを特徴とする。
【0052】請求項39の発明は、内側面にそれぞれ電
極を備えた一対の基板の間に、液晶と高分子前駆体を含
む液晶高分子前駆体相溶液を配置した後、前記基板面に
紫外線を照射して、前記液晶高分子前駆体相溶液中の液
晶と高分子前駆体とを相分離させることにより、高分子
マトリックス中に液晶滴が分散保持された高分子分散型
液晶を作製する相分離工程を備える高分子分散型液晶表
示素子の製造方法において、前記紫外線を照射する際に
おける前記液晶高分子前駆体相溶液の液温を、前記液晶
高分子前駆体相溶液の熱相分離温度よりも高い温度にす
ることを特徴とする。
【0053】請求項40の発明は、請求項39に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶高分子前
駆体相溶液の液温を前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相
分離温度よりも2℃〜15℃高い温度にすることを特徴
とする。請求項41の発明は、請求項39に記載の高分
子分散型液晶表示素子において、前記紫外線の照射強度
を100mW/cm2 以上とすることを特徴とする。
【0054】請求項42の発明は、請求項39に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶高分子前
駆体相溶液の液温を前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相
分離温度よりも3℃〜13℃高い温度とすると共に、前
記紫外線の照射強度を160mW/cm2 〜400mW
/cm2 とすることを特徴とする。
【0055】請求項43の発明は、内側面にそれぞれ電
極を備えた一対の基板の間に、液晶滴が高分子化合物を
含み構成されたマトリックス連続相中に分散保持され、
または液晶滴が高分子化合物を含み構成された三次元網
目状マトリックスの網目内に分散保持された高分子分散
型液晶が挟持された高分子分散型液晶表示素子であり、
前記電極に電圧が印加されていないときにおける前記液
晶滴内の液晶分子の配向形態が、液晶滴と高分子化合物
との界面近傍に少なくとも2つの極を有するバイポーラ
型であり、当該高分子分散型液晶表示素子に使用されて
いる液晶の透明点転移温度をTnとするとき、当該素子
の使用温度が5℃から(Tn−5)℃の温度範囲内でバ
イポーラ型の配向形態が維持される高分子分散型液晶表
示素子の製造方法であって、液晶と高分子前駆体を含む
液晶高分子前駆体相溶液を一対の基板の間に配置し、前
記液晶高分子前駆体相溶液の液温を前記液晶高分子前駆
体相溶液の熱相分離温度よりも高い温度に維持した状態
で、前記液晶高分子前駆体相溶液に紫外線を照射して、
液晶と高分子化合物とを相分離させることを特徴とす
る。
【0056】請求項44の発明は、請求項43に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶高分子前
駆体相溶液の液温を前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相
分離温度よりも2℃〜15℃高い温度とし、かつ前記紫
外線の照射強度を100mW/cm2 以上とすることを
特徴とする。
【0057】請求項45の発明は、請求項43に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶高分子前
駆体相溶液の液温を前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相
分離温度よりも6℃〜13℃高くし、かつ前記紫外線の
照射強度を160mW/cm2 〜400mW/cm2
することを特徴とする。
【0058】請求項46の発明は、請求項39ないし4
5に記載において、前記液晶高分子前駆体相溶液が、単
官能アクリレートおよび/または多官能アクリレートを
含むものである。
【0059】請求項47の発明は、請求項46におい
て、前記単官能アクリレートが、イソステアリルアクリ
レートであり、前記多官能アクリレートが、トリエチレ
ングリコールジアクリレート、PEG#200ジアクリ
レート、PEG#400ジアクリレート、ネオペンチル
グリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート、トリメチロールプリパントリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及び下
記化学式1で表される2官能ウレタンアクリレートより
なる群から選択される1種以上である。
【0060】化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
【0061】請求項48の発明は、内側面にそれぞれ電
極を備えた一対の基板の間に、液晶滴が高分子化合物を
含み構成されたマトリックス連続相中に分散保持され、
または液晶滴が高分子化合物を含み構成された三次元網
目状マトリックスの網目内に分散保持された高分子分散
型液晶が挟持された高分子分散型液晶表示素子であり、
前記高分子分散型液晶表示素子の電圧・透過率特性にお
ける素子温度30℃での透過率90%の電圧値をV90
とし、前記一対の基板の間隔をdとし、前記液晶滴の平
均粒径をRとしたとき、(V90×R)/dの値が0.
7以上である高分子分散型液晶表示素子を製造する方法
であって、液晶と高分子前駆体を含む液晶高分子前駆体
相溶液を一対の基板の間に配置し、前記液晶高分子前駆
体相溶液の液温を前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分
離温度よりも高い温度に維持した状態で、前記液晶高分
子前駆体相溶液に紫外線を照射して、液晶と高分子前駆
体とを相分離させることを特徴とする。
【0062】請求項49の発明は、請求項48に記載の
高分子分散型液晶表示素子の製造方法において、前記液
晶高分子前駆体相溶液の液温を前記液晶高分子前駆体相
溶液の熱相分離温度よりも2℃〜15℃高い温度とし、
かつ前記紫外線の照射強度を100mW/cm2 以上と
することを特徴とする。
【0063】請求項50の発明は、請求項48に記載の
高分子分散型液晶表示素子の製造方法において、前記液
晶高分子前駆体相溶液の液温を前記液晶高分子前駆体相
溶液の熱相分離温度よりも6℃〜13℃高い温度とする
と共に、前記紫外線の照射強度を160mW/cm2
400mW/cm2 とすることを特徴とする。請求項5
1の発明は、請求項48ないし50に記載の高分子分散
型液晶表示素子の製造方法において、前記液晶高分子前
駆体相溶液が、単官能アクリレートおよび/または多官
能アクリレートを含むものであることを特徴とする。
【0064】請求項52の発明は、請求項51に記載の
高分子分散型液晶表示素子の製造方法において、前記単
官能アクリレートが、イソステアリルアクリレートであ
り、前記多官能アクリレートが、トリエチレングリコー
ルジアクリレート、PEG#200ジアクリレート、P
EG#400ジアクリレート、ネオペンチルグリコール
ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート、トリメチロールプリパントリアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、及び下記化学式1
で表される2官能ウレタンアクリレートよりなる群から
選択される1種以上であることを特徴とする。
【0065】化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
【0066】請求項53の発明は、高分子化合物を含み
構成されたマトリックス連続相中に液晶滴が分散保持さ
れ、または高分子化合物を含み構成された三次元網目状
マトリックスの網目内に液晶滴が分散保持されてなる高
分子分散型液晶が、内側面にそれぞれ電極を備える一対
の基板の間に挟持された高分子分散型液晶表示素子にお
いて、前記高分子分散型液晶表示素子は、素子の静電容
量比率を下記式3−3で定義するとき、光の素子透過率
が10%以上となる電圧において、前記静電容量比率が
60%以上となるように構成されていることを特徴とす
る。
【0067】静電容量比率=(素子に任意の電圧を印加
したときの静電容量/電圧印加における最大の静電容
量)×100─式3−3
【0068】請求項54の発明は、請求項53に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記最大印加電圧
が10V以上であることを特徴とする。
【0069】(3)請求項55〜63にかかる第3発明
群は、次のように構成されている。
【0070】請求項55の発明は、液晶滴が高分子化合
物を含み構成されたマトリックス連続相中に分散保持さ
れ、または液晶滴が高分子化合物を含み構成された三次
元網目状マトリックスの網目内に分散保持されてなる高
分子分散型液晶が、内側面にそれぞれ電極を備える一対
の基板の間に挟持された高分子分散型液晶表示素子にお
いて、電圧−静電容量特性の任意の印加電圧Vにおける
昇電圧過程の静電容量をC1、降電圧過程の静電容量を
C2、最大印加電圧時の静電容量をCmax とし、前記高
分子分散型液晶表示素子の使用温度における静電容量ヒ
ステリシスChys を、Chys =(C2−C1)/Cmax
で定義したとき、任意の印加電圧Vにおける前記Chys
が1. 5%以下であることを特徴とする。
【0071】請求項56の発明は、請求項55に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶の透明点
転移温度をTnとしたとき、前記素子の使用温度が5℃
〜(Tn−5)℃の温度範囲で、前記Chys が1. 5%
以下である。
【0072】請求項57の発明は、請求項55に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶の透明点
転移温度をTnとしたとき、前記素子の使用温度が0℃
〜(Tn−5)℃の温度範囲で、前記Chys が1. 5%
以下であることを特徴とする。請求項58の発明は、請
求項55に記載の高分子分散型液晶表示素子において、
前記液晶の透明点転移温度をTnとしたとき、前記素子
の使用温度が−5℃〜(Tn−5)℃の温度範囲で、前
記Chys が1. 5%以下であることを特徴とする。
【0073】請求項59の発明は、請求項55ないし5
8に記載の高分子分散型液晶表示素子において、前記最
大印加電圧が、10V以上であることを特徴とする。
【0074】請求項60の発明は、液晶滴が高分子化合
物を含み構成されたマトリックス連続相中に分散保持さ
れ、または液晶滴が高分子化合物を含み構成された三次
元網目状マトリックスの網目内に分散保持されてなる高
分子分散型液晶が、内側面にそれぞれ電極を備える一対
の基板の間に挟持された高分子分散型液晶表示素子にお
いて、電圧・透過率特性の任意の印加電圧Vにおける昇
電圧過程の透過光強度をP1、降電圧過程の透過光強度
をP2、最大印加電圧時の透過光強度をPmaxとし、前
記高分子分散型液晶表示素子の使用温度範囲における光
学ヒステリシスThys を、Thys =(P2ーP1)/P
max で定義し、さらに電圧・静電容量特性の任意の印加
電圧Vにおける昇電圧過程の静電容量をC1、降電圧過
程の静電容量をC2、最大印加電圧時の静電容量をCma
x とし、前記高分子分散型液晶表示素子の使用温度にお
ける静電容量ヒステリシスChys を、Chys =(C2−
C1)/Cmax で定義したとき、前記Thys が最大値を
与える印加電圧における前記Chys の値が0. 6%以下
であることを特徴とする。
【0075】請求項61の発明は、請求項60に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶の透明点
転移温度をTnとしたとき、前記素子の使用温度が5℃
〜(Tn−5)℃の温度範囲で、前記Chys の値が0.
6%以下であることを特徴とする。
【0076】請求項62の発明は、請求項60に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶の透明点
転移温度をTnとしたとき、前記素子の使用温度が0℃
〜(Tn−5)℃の温度範囲で、前記Chys の値が0.
6%以下であることを特徴とする。
【0077】請求項63の発明は、請求項60に記載の
高分子分散型液晶表示素子において、前記液晶の透明点
転移温度をTnとしたとき、前記素子の使用温度が−5
℃〜(Tn−5)℃の温度範囲で、前記Chys の値が
0. 6%以下であることを特徴とする。
【0078】請求項64の発明は、請求項60ないし6
3に記載の高分子分散型液晶表示素子において、前記最
大印加電圧が、10V以上であることを特徴とする。
【0079】
【実施の形態】上記した一群の発明の内容を順次具体的
に説明する。この説明において、本発明の実施の形態が
明らかになる。
【0080】(1)第1発明群 第1発明群は、主に高分子分散型液晶の相分離における
製造条件(重合温度、紫外線強度、紫外線照射時間)と
光学ヒステリシス性との関係を明らかにし、この関係に
基づいて液晶表示素子の光学ヒステリシス性を低減した
ものである。
【0081】次に、上記した各構成の意義を説明する。
図1に、従来の高分子分散型液晶表示素子における光学
ヒステリシスの測定例(測定時の周囲温度30℃)を示
す。図1の実線は昇電圧(印加電圧を次第に高くす
る)、破線は降電圧(印加電圧を次第に低くする)した
場合における透過率曲線である。図1に示すように、一
般に高分子分散型液晶表示素子は、強い光学ヒステリシ
ス性を有する。ここで、光学ヒステリシス性とは、同一
の印加電圧での昇電圧過程と降電圧過程において透過率
に差が生じる性質をいい、その大きさは白レベルの輝度
に対するパーセンテージで表される。
【0082】ところで、高分子分散型液晶においては、
液晶滴内における液晶分子の長軸方向の配向形態には2
通りがある(Sov.Phys.JETP58(6),December1983)。この
配向形態の一つは、2つの極を有するバイポーラ型であ
る。バイポーラ型では、一般に粒滴内の液晶分子が長軸
方向を界面(球面)に平行にして2つの極に向かって配
向している。他の一つは、ラジアル型である。ラジアル
型では、液晶滴の中心付近に一つの極(点欠陥)が存在
し、粒滴内の液晶分子は長軸の一方端を前記一つの極に
向け、他方端を球表面に向けて放射状に配向している。
【0083】一般に高分子分散型液晶表示素子は使用温
度との関係において強い光学ヒステリシス性を示す。こ
の原因を上記配向形態との関連で考察する。高分子分散
型液晶表示素子においては、ある温度以下で極端に光学
ヒステリシスが大きくなることが知られているが、この
原因は、素子温度が前記ある温度以下になったとき、液
晶分子の配向形態がバイポーラ型からラジアル型に変化
するためと考えられる。
【0084】また、バイポーラ型配向形態となっている
前記ある温度以上で生じる光学ヒステリシスの主原因と
しては、印加電圧の変化により、バイポーラ配向の極の
位置が移動し、または極が消失することが考えられる
(例えば、Liquid Crystal Dispersions P.269 P.S.Drz
aic 著,World Scientific 1996) 。他方、ラジアル型で
は、その配向形態からして、電圧無印加時においても基
板と垂直な方向に配向している液晶分子が不可避的に存
在する。よって、液晶分子の配向を制御して散乱渋滞と
透過をスイッチングする高分子分散型液晶素子において
は、コントラストの面から、液晶滴の配向形態をバイポ
ーラ型とする必要がある。
【0085】つまり、光学ヒステリシスを小さくするた
めには、液晶分子の配向形態をバイポーラ型とし、かつ
液晶表示素子を使用する温度範囲(素子の駆動温度範
囲)内において、この配向形態が安定して維持されるよ
うにする必要がある。本発明者らは、後記する実験によ
り、配向の極の発生及び電圧印加による極の移動は、液
晶滴の形状、及び液晶滴を取り囲む高分子の界面規制力
(アンカリング)の大きさに大きく依存することを見い
出した。
【0086】すなわち、液晶滴の形状が、歪みの少ない
回転楕円体の形状に近づくほど極の移動が少なくなり、
配向形態が安定化して、光学ヒステリシスが小さくな
る。特に、液晶滴の粒径が10%以内のばらつきの範囲
内であると、光学ヒステリシスが大幅に低減する。但
し、基板付近では基板と液晶の塗れ性の関係から、液晶
滴が基板側に大円を接した半球状となる。よって、基板
に接触した液晶滴の形状を制御することは困難であるの
で、基板に接触した液晶滴以外の液晶滴がほぼ回転楕円
体の形状になれば良い。また、ほぼ回転楕円体の形状で
あれば、その一部が他の液晶滴と繋がっていてもよい。
【0087】なお、光学ヒステリシス性は、高分子分散
型液晶を作製する際における液晶高分子前駆体相溶液の
液晶分率が高いほど顕著に現れる。これは、液晶分率が
高いと一般に液晶滴の粒径が大きくなり、形状に歪みが
生じ易くなる結果であり、形状に歪みが生じると、余分
な極(2つを越える極)が発生するからである。
【0088】また、界面アンカリングが小さいと、余分
な極が存在しても、電界の印加によりバイポーラ配向の
極以外の余分な極が消失するので、光学ヒステリシスが
小さくなるが、アンカリング強度は小さければよいとい
うものではない。なぜなら、アンカリング強度が極端に
弱いと、電圧を無印加状態にしても液晶分子が元に戻ら
なくなるので、電圧印加の有無による明暗のスイッチン
グが困難になる。したがって、適正なアンカリング強度
に調整する必要がある。一般に高温域と低温域での光学
ヒステリシス性は二律背反的であり、高温域での光学ヒ
ステリシスを小さくしようとすると、低温域の光学ヒス
テリシスが大きくなり、逆に低温域での光学ヒステリシ
スを小さくしようとすると、高温域における光学ヒステ
リシスが大きくなる傾向がある。よって、従来技術で
は、広範な温度範囲において小さい光学ヒステリシスを
備えた高分子分散型液晶表示素子が実現できていない。
【0089】次に、液晶滴の歪みを小さくし形状を整え
る手段について説明する。その第1の方法は、液晶高分
子前駆体相溶液に紫外線を照射して相分離と高分子の重
合を行う際に、高分子の重合速度を速くすることであ
る。このことを図2で説明する。図2は、重合速度を変
えたときの液晶滴の形成状態を模式的に示した図であ
り、図2(a)は重合速度が速い場合(例えば重合時間
が6秒以下)、図2(b)は遅い場合(例えば重合時間
が10秒以上)における液晶滴の形状を示している。重
合速度が速いと、液晶滴は析出核(相分離直後にできた
微細な液晶滴)がムラなく均等に広がり、この析出核が
短い時間で液晶滴にまで成長する。よって、液晶滴相互
間の距離が適正に保たれ、比較的均一な形状の液晶滴が
形成される。
【0090】他方、重合速度が遅いと、重合終了まで時
間がかかるために、液晶滴の成長の過程で液晶滴と隣の
液晶滴の間隙にも他の液晶滴が入り込むため互いの形状
がいびつとなり、不均一な形状の液晶滴が生成される。
また、重合速度が遅いと、過度に大きな液晶滴ができ
る。なお、その詳細は後記するが、高分子前駆体の重合
速度は、相分離時における液晶高分子前駆体相溶液の温
度(以下、重合温度という)と紫外線照射強度(以下、
単に紫外線強度という)の調節により制御できる。
【0091】第2の方法は、析出時に析出核の周囲を取
り囲む高分子前駆体の粘度および硬度を調整することで
ある。高分子前駆体の重合度が低いと粘度が小さく硬度
が柔らかいままなので、析出核が成長するに際して、液
晶高分子前駆体相溶液の揺らぎ等の影響を受け、歪んだ
形状に成長し易い。他方、高分子前駆体の重合が十分に
進んだ段階で析出核が析出した場合、析出核の成長が粘
度が高く硬度の高い高分子前駆体(例えば2量体や3量
体)に規制され、硬度の大きい部分を避けて成長する。
このため、歪んだ液晶滴が形成される。
【0092】上述から、液晶析出時における高分子前駆
体の重合度合い(高分子前駆体の硬度に対応)には、最
適範囲が存在する。なお、析出核の析出時における高分
子前駆体の硬度は、高分子前駆体の重合度合いを適正に
制御することにより調整できる。また、高分子前駆体の
種類・組成を適正に選定することによっても調整でき
る。
【0093】第3の方法は、液晶析出核の発生密度を適
正に制御することである。図3(a)に発生密度の高い
場合、図3(b)に発生密度が低い場合を模式的に示し
た。核の発生密度が高すぎると、析出核が成長の過程で
互いに接触しまたは繋がるため、形状が歪む。その一
方、発生密度が極端に低いと、過度に大きな液晶滴にま
で成長すると共に、液晶滴の数が少なくなる結果、散乱
特性が悪くなる。よって、液晶滴の核の発生密度を最適
範囲に規制する必要がある。なお、核の発生密度は、重
合温度、重合速度、高分子前駆体の重合度合い、紫外線
強度等の要因に左右される。よって、重合温度、紫外線
強度を調節することにより、析出核の発生密度を制御で
きる。また液晶高分子前駆体相溶液の組成を適正に設定
することによっても調節できる。
【0094】以上に説明したように、重合速度、重合度
合い、析出核の発生密度を調節することにより、液晶滴
の形状を均一とし、光学ヒステリシスを低減することが
できる。そして、これらの要素は、重合温度と紫外線強
度を変化させることによって制御できる。しかし、従
来、相分離における重合度合いや重合速度を調べた例は
少なく、なかんずく重合速度、重合度合い、析出核の発
生密度の視点から、液晶表示素子の光学ヒステリシス特
性を調べた例はない。
【0095】そこで、本発明者らは、印加電圧との関係
において液晶分子の挙動をより直接的に反映する物理量
としての静電容量を導入し、静電容量でもって重合速
度、重合度合い、析出核の発生密度を見積もる手法を開
発し、この手法で得られた結果に基づいて、広い温度範
囲において小さい光学ヒステリシスを示す高分子分散型
液晶表示素子を構成した。この液晶表示素子は、従来で
は不可能であった性能、すなわち広い温度範囲において
安定した表示性能を有する。
【0096】ここで、物理量としての静電容量の意義は
次のようである。一対の基板(以下、液晶パネルとい
う)の間に注入した液晶高分子前駆体相溶液に対しバイ
アス電圧を印加した状態で紫外線を照射した場合、相分
離により液晶析出核が生成され、析出核の生成と同時に
析出核内の液晶分子がバイアス電圧に応答して立ち上が
る。よって、析出核の発生及びその成長(これは液晶析
出量の増加を意味)に応じて液晶パネルの静電容量が変
化する。したがって、相分離過程における静電容量を時
間を追って測定することにより、相分離過程のある時点
における液晶の析出割合(全析出量に対する割合)を把
握できる。そして、液晶高分子前駆体相溶液の組成が同
じで、かつ重合温度(液晶パネル温度)が一定であれ
ば、相分離における液晶の析出は高分子前駆体の重合の
進行度合いによって決定されるので、液晶の析出割合を
静電容量で見積もることにより、重合の進行度合い(重
合度合い)および重合速度を知ることができる。以下、
実験に基づいて、更に具体的に説明する。
【0097】〔実験1〕実験1では、静電容量を測定す
る意義を実験的に明らかにする。この実験では、後記実
施例1−1で調製したと同様の液晶パネル(液晶高分子
前駆体相溶液を充填したもの)の温度を、液晶高分子前
駆体相溶液の熱相分離温度よりも9℃高い温度に設定
し、強度200mW/cm2 の紫外線を照射し、相分離
過程における静電容量を測定した。なお、液晶パネル温
度の調整や静電容量の測定方法、液晶パネルの作製方
法、およびその他の詳細な条件は後記第1発明群の実施
例1−1で説明する。
【0098】図4に、静電容量の測定結果を示す。図4
に示すように、紫外線照射開始から一定時間(T1)の
間は静電容量に変化がなく、一定時間後に急激に静電容
量が増加し、その後高いレベルで安定となった。この結
果は、一定時間(T1)後に相分離が開始され、この時
点から急速に液晶の析出が進行したことが判る。なお、
静電容量の安定化は液晶の析出が終了(高分子の重合が
終了)したことを示すものである。
【0099】ここで、図4に示すように、照射から相分
離開始までの時間をT1とし、相分離開始から終了まで
の時間をT2とし、このT2を静電容量の値が10%か
ら90%に変化する時間をT10-90 で見積もった場合、
時間T1は、紫外線照射開始の後、相分離が開始される
までの時間に対応し、時間T10-90 は重合速度に対応す
る。なお、時間T2をT0-100 ではなくてT10-90 とし
たのは、T0-100 とすると測定誤差が大きくなるからで
ある。
【0100】一般に紫外線強度が強いほど、高分子前駆
体の重合速度が速くなる。したがって、紫外線強度が強
いほど時間T1、T2が短くなり、特に時間T2が短く
なる。また、液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度に
比べて、相溶液の温度(パネル温度であり、重合温度で
ある)が高いほど、高分子前駆体の重合がある程度進行
するまで相分離しなくなる。よって、紫外線照射開始か
ら相分離開始での時間T1が長くなる。つまり、時間T
1が長いことは、相分離が開始されるまでに高分子前駆
体の重合が進行していることを意味し、液晶の析出時に
は高分子前駆体が2量体、3量体などの多量体になって
いる。そして、多量体は単量体に比べ粘度が高く硬度が
高いので、時間T1が長くなると、高分子前駆体の粘度
・硬度が大きくなり、液晶析出核の発生密度が小さくな
る。つまり、時間T1が長いと、前記で説明したよう
に、変形した液晶滴が生成され易くなる。
【0101】更に、液晶高分子前駆体相溶液の重合温度
と重合速度との間にも密接な関係があり、重合温度が高
いと、時間T2が長くなる。
【0102】以上から、時間T1、T2を測定すること
により、紫外線強度や液晶パネル温度(重合温度)との
関係において、形状の整った液晶滴を形成できる好適な
相分離条件が把握できることが明らかである。
【0103】〔実験2〕実験2では、高分子前駆体の重
合度(粘度・硬度)と液晶滴の形状変形の度合い(光学
ヒステリシス性を左右する要因)の関係、紫外線強度お
よび重合温度と光学ヒステリシスの関係、重合温度一定
とした条件における紫外線強度と光学ヒステリシスの関
係を明らかする。なお、特に明記しない限り紫外線強
度、重合温度以外の条件については、上記実験1と同様
である。
【0104】初めに、重合温度と光学ヒステリシス性と
の関係を図5(概念図)に基づいて説明する。既に説明
したように、重合温度が液晶高分子前駆体相溶液の熱相
分離温度に近いと、相分離を起こしやすいので、重合度
が低い高分子前駆体中に液晶析出核が析出する。したが
って、析出核の発生密度が高くなるが、高分子前駆体の
粘度・硬度が小さいので、析出した粒滴は成長過程で相
互に連結等して、歪んだ形状の液晶滴が形成される。一
方、重合温度が高いと、高分子前駆体の重合がある程度
進むまで相分離が起きない。よって、ある程度重合が進
んだ段階で相分離する結果、析出核の発生密度が小さく
なる共に、析出核周囲の高分子前駆体の粘度・硬度が高
いので、液晶滴の形状が歪みやすくなる。よって、何れ
の場合も、歪な形状の液晶滴が分散された高分子分散型
液晶が形成され、その結果として光学ヒステリシスが大
きくなる。以上から、光学ヒステリシスが小さくできる
適正な重合温度を探す必要がある。
【0105】図6に、液晶パネルに対する紫外線強度と
重合温度を変えた場合における光学ヒステリシスの測定
結果を示す(詳細は後記実施例1−5)。なお、この測
定実験は、熱相分離温度が約10℃の液晶高分子前駆体
相溶液を用いたものである。
【0106】図6に示す結果から明らかなように、紫外
線強度が110mW/cm2 (◆−◆)では重合温度が
低いほど、光学ヒステリシスが小さくなっている。そし
て、紫外線強度が200mW/cm2 、300mW/c
2 、400mW/cm2 、550mW/cm2 におい
ては、光学ヒステリシスが極小値をとる重合温度が存在
すると共に、紫外線強度が強くなるにつれて、前記極小
値となる重合温度が高温側に移る傾向があることが判
る。更に、紫外線強度が弱いほど、光学ヒステリシスが
大きい。これは、紫外線強度が弱い場合には、相分離開
始後の相分離速度(進行速度)が遅くなり、また重合温
度が高い場合には、粘度・硬度が高くなり相分離の進行
速度が遅くなるので、何れの場合にも液晶滴の歪みが大
きくなり、その結果として光学ヒステリシスが大きくな
ることを意味している。
【0107】図6において、光学ヒステリシスが最小値
をとる温度範囲は、重合温度が12℃(110mW/c
2 のとき)〜23℃(400mW/cm2 および55
0mW/cm2 のとき)であり、極小値は16〜23℃
の範囲である。また、光学ヒステリシス1%以下を実現
するためには、紫外線強度を200mW/cm2 以上と
する必要があることが判る。なお、23℃は、熱相分離
温度(10℃)より13℃高い温度である。
【0108】図12に、図6の結果を紫外線強度と光学
ヒステリシスが最低となる重合温度との関係で示す。こ
の図12に基づいて、重合温度と紫外線強度を好適に設
定すれば、光学ヒステリシスが小さい液晶表示素子が得
られる。但し、液晶の光分解と、低温域における光学ヒ
ステリシス低減効果の双方を勘案した場合、紫外線強度
としては、110mW/cm2 以上、400mW/cm
2 以下とするのが好ましい。
【0109】以上の結果により、紫外線の照射強度に応
じて、光学ヒステリシスが最低値となる重合温度の付近
を選択し、相分離・重合を行うことにより、光学ヒステ
リシスを大きく低減することができることは明らかであ
る。
【0110】〔実験3〕実験3では、液晶パネルに対す
る紫外線の照射強度を200mW/cm2 共通とし、重
合温度のみを変えた液晶パネルを作製して、この液晶パ
ネルついて、重合温度との関係で時間T1、時間T
10-90 を測定した。なお、他の製造条件は後記実施例1
−1と同様である。
【0111】図7に測定結果を示す。図7から明らかな
ように、重合温度が高くなるほど、概ね時間T1、時間
10-90 とも長くなった。重合温度が高いほどT1が長
いのは、高分子前駆体の重合が進んだ段階で相分離が開
始されることを意味する。また、重合温度が低い場合よ
りも重合温度が高い場合の方が、相分離開始から相分離
終了までの時間T10-90 も長くなっているが、これは相
分離開始までにかなり重合が進むみ粘度が高まる結果、
相分離開始後の重合反応が進み難くなるためと考えられ
る。
【0112】〔実験4〕更に、重合温度を13℃一定と
して紫外線強度のみを変え、他の条件を図6の場合と同
様にして種々の素子を作製し、紫外線強度と光学ヒステ
リシスの関係を調べた。その結果を図8に示す。図8か
ら、紫外線強度を強くするほど、光学ヒステリシスを小
さくできること、および紫外線強度を100mW/cm
2 以上とすれば、光学ヒステリシスを1. 5%以下にで
きることが判る。詳細には、例えば紫外線強度を200
mW/cm2 とすれば、光学ヒステリシスを約1%とで
き、300mW/cm2 とすれば、約0. 8%でき、5
00mW/cm2 とすれば、約0. 3%の光学ヒステリ
シス特性を有する液晶表示素子が実現できることが判
る。
【0113】なお、紫外線強度を強くするほど、光学ヒ
ステリシスが小さくなるのは、紫外線強度を強くすると
重合速度が速くなり、液晶滴の成長が速やかに進行する
等のため、歪みの少ない大きさの揃った液晶滴が形成さ
れるためと考えられ、このような紫外線強度の効果を確
実にするには、紫外線強度と重合温度の組み合わせて決
まるT10-90 (重合速度の対応)を測定すればよい。
【0114】〔実験5〕実験5では、紫外線強度と重合
温度を種々に変えて作製した液晶パネルを用いて、実験
1と同様にして静電容量を測定し、時間T1と時間T2
(10%−90%で定義される時間T2)を求めた結果
に基づいて、T1とT10-90 の関係を明らかにする。
【0115】図9に、時間T10-90 と光学ヒステリシス
の関係における測定結果を示す。図9から、時間T
10-90 が6秒以下のときに光学ヒステリシスが約2%以
下となり、時間T10-90 が4. 5秒以下のときに、光学
ヒステリシスが約1. 4%以下となること、光学ヒステ
リシスを約0. 8%以下にするには、時間T10-90
2.5秒以下にする必要があることが判る。また、光学
ヒステリシスを0. 5%以下にするには、時間T10-90
を1. 5秒以下とする必要があることが判る。
【0116】実験5の測定結果を、時間T1と時間T
10-90 の関係で図14に示す。図14から、時間T1と
時間T10-90 にはほぼ正の相関があり、T10-90 =a・
T1+b(a,bは一次関数式の定数)で近似できるこ
とが判る。そして、この一次関数式における数aは、紫
外線強度にあまり依存せず、ほぼ0. 4以上、0. 7以
下となることが判った。
【0117】図14の結果は、紫外線照射開始から相分
離開始までの時間T1が長いと、相分離開始時までに高
分子前駆体の重合が進み、溶液粘度や硬度が高くなるの
で、その結果として時間T10-90 (重合速度)が遅くな
ることを示すものと考えられる。
【0118】なお、重合速度は、添加剤を含む高分子前
駆体組成物の組成を変えることによっても調節でき、例
えば重合促進剤を添加することにより重合速度を早める
ことができる。また、本発明者らは、相分離速度が基板
界面に絶縁層を形成することでによっても変化すること
を確認している。これは、基板界面付近で液晶が析出す
る場合、基板の表面張力の影響を受けるためと考えら
れ、液晶に対する表面張力が大きいほど、相溶液から液
晶が速く析出する。
【0119】(2)第2発明群 以下に、第2発明群の技術的意義を説明する。第2発明
群は、主に高分子分散型液晶の相分離における製造条件
(重合温度、紫外線強度、紫外線照射時間)と、液晶滴
の粒径、液晶分子の配向転移温度、液晶分子のチルト
角、およびアンカリング強度との関係、さらに、これら
と光学ヒステリシスとの関係を明らかにして、液晶表示
素子の使用温度(素子の駆動時の温度)範囲内、特に低
温時における光学ヒステリシスを飛躍的に低減し、良好
な表示性能が得られる液晶表示素子を作製することを目
的とする。
【0120】この第2発明群では、上記アンカリング強
度の大きさを見積もる指標として、下記式2−1で定義
されるアンカリング指数を導入し、このアンカリング指
数を活用している。
【0121】 アンカリング指数=(V90×R)/d … 式2−1
【0122】ここで、V90は、素子温度が30℃で透
過率が90%となるときの印加電圧、dは、基板間隔、
Rは、液晶滴の粒径、もしくは高分子マトリクス網目間
隔である。
【0123】前述のように、本発明者らは、高分子マト
リクス中での配向変化に伴う電気光学特性の測定を行
い、低温で液晶がバイポーラ型の配向形態等からラジア
ル型の配向形態に転移した場合に、光学ヒステリシスが
増大する現象を新たに見出した。そこで、比較的低温時
においても、ラジアル型の配向形態への転移を抑制する
ことにより、すなわち液晶表示素子の使用温度範囲内
で、液晶の配向形態がほぼ同一であるようにすることに
より、特に低温時の光学ヒステリシスを飛躍的に低減
し、広い温度範囲で良好な表示性能を得ることができ
る。
【0124】上記配向転移の抑制についての説明に先立
って、この配向転移が生じるメカニズムを簡単に説明す
ると次の通りである。高分子との界面の液晶分子は、比
較的高温時には所定のチルト角を有した配向となる。一
方、低温になると、界面の液晶分子が界面に垂直な配向
となる。ところで、高分子中に液晶が分散された高分子
分散型液晶表示素子における、高分子マトリクス内の液
晶分子の配向形態は、上記高分子と液晶との界面の液晶
分子の配向に強く依存する。すなわち、高分子マトリク
ス内の液晶の配向形態は、界面の液晶分子のポテンシャ
ルエネルギを含む弾性エネルギが最小値を取る配向形態
となる。そこで、比較的高温になると、液晶滴の内部の
液晶分子は、これに規定された配向となり、バイポーラ
型の配向形態となる。一方、低温になると、ラジアル型
の配向形態への転移が生じる。
【0125】本発明者らは、上記配向転移温度が、高分
子と液晶との界面のアンカリング強度に依存し、アンカ
リング強度を大きくすることにより、配向転移温度を低
下させ得ることを見出した。これは、高分子と液晶材料
とが接する界面での液晶分子の配向は、界面でのアンカ
リング強度により決定され、アンカリング強度が弱けれ
ば液晶分子の分子長軸が回転しやすくなる一方、逆に強
ければ界面に強く束縛されるために界面近傍の液晶分子
は動きにくくなるためであると考えられる。
【0126】ただし、上記アンカリング強度を直接測定
することは、現在の技術では極めて困難である。そこで
本発明者らは、前述のように、アンカリング強度の目安
として、素子温度が30℃で透過率が90%となるとき
の電圧をV90、基板間隔をd、高分子マトリクスの粒
径(液晶滴の粒径)、もしくは網目間隔をRとしたとき
の(V90×R)/dをアンカリング指数として導入し
た。
【0127】すなわち、間隔がdである1対の基板に対
して粒径がRの液晶滴が厚さ方向につながって形成され
ていたとすると、d/Rにより基板間に存在する液晶滴
の数を求めることができる。そこで、V90を上記のd
/Rで割ると、(V90×R)/dとなり、これは透過
率が90%のときのマトリクス一個当たりの印加電圧を
示すことになる。したがって、界面のアンカリング強度
が小さければ、(V90×R)/dの値は小さくなり、
逆では大きくなる。これはアンカリング強度が弱いほ
ど、液晶分子はより小さい電界強度で電界方向に揃うた
めである。
【0128】上記アンカリング指数と配向転移温度との
相関関係を調べた結果を図20に示す。これにより、使
用温度範囲の下限を10℃以下にするためには、(V9
0×R)/dを0. 7以上とすればよいことが判明し
た。同様に、使用温度範囲の下限を5℃以下にするため
には、(V90×R)/dを0. 8以上、0℃以下にす
るためには0. 9以上とすればよい。このように、アン
カリング指数(アンカリング強度)を制御することによ
って、所望の使用温度範囲に応じた液晶表示素子を形成
することが可能になり、特に、アンカリング指数を大き
くして、従来よりも更に低い温度での使用が可能な高分
子分散型液晶表示素子を形成することができる。
【0129】さらに、本発明者らは、上記アンカリング
強度が、紫外線照射時の高分子の重合温度等に依存する
ことを見出し、アンカリング強度を所望の大きさに設定
する技術を確立した。すなわち、液晶表示素子の製造
は、所定の間隔をあけて対向配置された1対のガラス基
板の間に高分子駆動体と液晶との相溶物が注入されて成
る液晶パネルを所定の温度に保ち、紫外線を照射して相
分離により液晶を析出させるとともに上記高分子駆動体
を重合させることにより行われる。その際、従来は上記
所定の温度が相分離の生じる温度とほぼ同一であったの
に対して、相分離が生じるよりも少し高い所定の温度に
保った状態で紫外線を照射すると、相分離が生じる温度
の条件を示すスピノーダル分解の相分離ラインが高温側
に急速に変移し、上記相分離ラインが液晶パネルの温度
に達したときに相分離が生じる。そして、上記紫外線照
射時における液晶パネルの上記所定の温度(高分子駆動
体と液晶との混合溶液の温度)を制御することで、アン
カリング強度を所望の大きさに設定することができる。
【0130】上記のように紫外線照射時の液晶パネルの
温度によってアンカリング強度が変化するのは、以下の
ような理由によると考えられる。相分離により析出する
液晶の周囲の高分子前駆体の重合度は、その際の液晶パ
ネルの温度に応じて異なり、配置温度が高いほど高分子
前駆体は多量体となるので表面粘度が高くなる。また、
上記表面粘度とアンカリング強度とは相関関係を有し、
表面粘度が高くなると、アンカリング強度は大きくな
る。それゆえ、紫外線照射時の液晶パネルの温度を高く
することにより、アンカリング強度が大きくなる。
【0131】したがって、液晶表示素子の製造過程にお
ける紫外線照射時の液晶パネルの温度を高くすることに
より、バイポーラ型の配向形態からラジアル型の配向形
態への転移温度を低下させて、低温時の光学ヒステリシ
スを低減し、広い温度範囲で良好な表示性能を有する液
晶表示素子を得ることができる。
【0132】なお、上記液晶パネルの温度が高すぎる
と、重合時間が長くなるため、液晶滴の粒径が大きくな
る。この場合、例えばガラス基板の表面に傷などがある
と、液晶の析出程度が異なる等のために粒径のむらが生
じやすくなり、表示画面全面にわたって均一な表示を得
られなくなるおそれがある。それゆえ、液晶パネルを例
えば相分離が生じる温度よりも、3℃〜15℃高い温度
に保った状態で紫外線を照射することが好ましい。
【0133】また、液晶パネルに照射する紫外線の強度
は、所定の強度よりも高く設定することが好ましい。な
ぜならば、紫外線の強度が低い場合には、重合速度が遅
くなり、やはり液晶滴の粒径が大きくなって、均一な表
示を得られなくなるおそれがあるからである。具体的に
は、例えば100mW/cm2 以上の紫外線を照射する
ことが好ましい。
【0134】一方、バイポーラ型の配向形態からラジア
ル型の配向形態に転移する温度は、添加剤の添加等によ
って、高分子との界面の液晶分子のチルト角を小さくす
ることによっても低下させることができる。これは、上
記チルト角が小さいほど、バイポーラ型の配向形態とラ
ジアル型の配向形態とのエネルギー差が大きく、バイポ
ーラ型の配向形態の方がエネルギー的に安定なためであ
る。具体的には、例えば上記チルト角を10°以下、よ
り好ましくは5°以下にすれば、ラジアル型の配向形態
への転移が起こりにくくなる。
【0135】(3)第3発明群 次に、第3発明群の意義を説明する。第3発明群は、光
学ヒステリシス性を液晶分子の配向形態に関連付けて把
握できる指標として、新たに下記式3−1で定義される
静電容量ヒステリシスChys、および下記式3−2で定
義される光学ヒステリシスThys を導入し、これらの指
標を活用して、液晶表示素子の使用温度(素子の駆動温
度)内における光学ヒステリシスの小さい液晶表示素子
を実現したものである。なお、静電容量ヒステリシスC
hys の詳細な説明は後記する。
【0136】 静電容量ヒステリシスChys =(C2−C1)/Cmax …式3−1 C1;電圧−静電容量特性の任意の印加電圧Vにおける
昇電過程における静電容量。 C2;電圧−静電容量特性の任意の印加電圧Vにおける
降電圧過程の静電容量。 Cmax ;電圧−静電容量特性における最大印加電圧時の
静電容量。
【0137】 光学ヒステリシスThys =(T2−T1)/Tmax …式3−2 T1;電圧−透過率量特性の任意の印加電圧Vにおける
昇電過程における透過光強度 T2;電圧−透過率量特性の任意の印加電圧Vにおける
降電圧過程の透過光強度 Tmax ;電圧−透過率量特性における最大印加電圧時の
透過光強度 なお、上記最大印加電圧は、液晶分子が十分に電界方向
に揃うときにおける電圧とする。この電圧はパネルギャ
ップが変化させる等により変えることができ、一般の高
分子分散型液晶表示素子においては、10V〜15Vと
すれば、液晶分子が電界方向に揃うように構成されてい
る。
【0138】上記構成の意義を以下に説明する。一般に
高分子分散型液晶表示素子においては、電圧無印加の状
態においては個々の液晶滴の分子配向がランダムな方向
の配向を取っている。よって、素子に入射する光が散乱
して白濁状態となる。他方、電圧が印加されると、前記
分子が基板に対し直交する方向に配向するため、光が透
過し透明状態となる。そして、散乱と透明状態の中間状
態も印加電圧のレベルを調節することにより表示でき
る。然るに、前記したごとく、高分子分散型液晶は界面
規制力に起因する光学ヒステリシス性を有する。このた
め、同一電圧レベルであっても昇電圧と降電圧とで透過
率に差が生じ、その結果として特に中間階調での表示性
能が安定しないという問題がある。
【0139】本発明者らは、高分子分散型液晶における
強い光学ヒステリシス性、特に低温域において光学ヒス
テリシス性が強くなる原因を追求しようとした。しかし
ながら、過去において、光学ヒステリシスを測定した例
はあるが(例えばS.Niiyama,et.al,Society for inform
ation Display'92,Page 575-578)、高分子分散型液晶に
おいて、液晶の配向形態との関係で光学ヒステリシスを
測定した例はない。そこで、本発明者らは、透過率より
も、液晶の配向形態をより直接的に反映する物理量であ
る静電容量を測定し、この静電容量で液晶の配向形態を
把握する手法を確立し、この手法で得た情報に基づい
て、低温域における光学ヒステリシス性を低減し得た高
分子分散型液晶表示素子を完成させた。
【0140】静電容量は、液晶分子の誘電率異方性に起
因して発生する物理量であるので、静電容量の大小は液
晶の配向形態を直接的に反映する。よって、静電容量に
おけるヒステリシス(静電容量ヒステリシス)を知るこ
とにより、液晶滴の形状や配向形態に起因する光学ヒス
テリシス性を液晶分子の挙動との関係で把握できる。な
お、光学ヒステリシスは、アンカリング強度やパネルギ
ャップ、液晶の誘電率、屈折率、温度等の要素が複雑に
影響しあった結果として現れる性質である。
【0141】以下、実験結果に基づいて、光学ヒステリ
シスと静電容量ヒステリシスの関係を説明する。なお、
下記する実験結果のうち実験1は、後記第3発明群の実
施例3−1と同様であり、測定条件等の詳細は、後記実
施例3−1に記載する。
【0142】〔実験1〕素子温度30℃における透過率
および静電容量の測定結果を、電圧−透過率特性および
電圧−静電容量特性として、図22に示す。図22よ
り、透過率10%に対応する電圧は4.47Vであり、
この電圧に対応する静電容量比率C%は60%であっ
た。ここで、静電容量比率とは、下記式3で定義される
値をいう。 静電容量比率C%=(C/Cmax)・100…式4 但し、印加電圧が最大のときの静電容量Cmaxとし、
任意の印加電圧における静電容量をCとする。
【0143】上記結果が一般化し得るか否かを確認する
ため、光学ヒステリシス特性の異なる各種の素子を作製
し同様な実験を行った。実験条件等は後記実施例3−1
に記載する。図27にその結果を示した。この図27に
おいて、光学ヒステリシスが大きい液晶表示素子ほど、
透過率10%を与える電圧における静電容量比率が小さ
いことが確認された。すなわち、光学ヒステリシスを2
%以下にするためには、電圧−透過率特性における透過
率10%を与える電圧での静電容量比率を60%以上と
すればよく、1%以下にするためには、電圧−透過率特
性における透過率10%の電圧における静電容量比率を
66%以上とすればよい。
【0144】以上から、静電ヒステリシスの値を規定す
ることで、光学ヒステリシスが低減したパネルを実現で
きることを実証できた。
【0145】〔実験2〕実験1の結果を横軸に印加電圧
をとり、縦軸に静電容量ヒステリシスChys 及び光学ヒ
ステリシスThys をとり、電圧−Chys 特性、電圧−T
hys 特性として、図23に示した。この図には、Chys
の最大値をChys MAX 、Thys の最大値をThys MAX と
し、Thys が最大値となる電圧でのChys の値をChys
・ThysMAXとして表示してある。図23より、Chys は
Thys よりも低電圧側にピークを持ち、Chys のピーク
はThys よりも小さいことが判った。
【0146】〔実験3〕Thys とChys MAX との相関を
調べるために、下記表3−1の製造条件で各種の素子を
作製し、これらについて素子の駆動温度を変えて電圧−
静電容量特性を測定した。この測定結果を、表3−2に
示した。また、この測定結果をThys (%)とChys MA
X (%)との関係でグラフ化した図を図24(a)に示
し、Thys (%)とChys ・Thys MAX (%)との関係
でグラフ化した図を図24(b)に示した。
【0147】
【表5】
【0148】
【表6】
【0149】図24(a)より、Thys を2%以下にす
るには、Chys MAX を1. 5%以下とし、またThys を
1%以下にするには、1. 0%以下とすればよいことが
判った。
【0150】図24(b)には、光学ヒステリシスがピ
ークとなる電圧値における静電容量ヒステリシスの値C
hys ・Thys MAX を示した。図24(b)より、光学ヒ
ステリシスと光学ヒステリシスが最大となる印加電圧に
おける静電容量ヒステリシスの大きさとの間に相関関係
があることが判る。この相関関係から、図23で示す光
学ヒステリシスのピークの位置(ThysMAX )と静電容量
ヒステリシスのピーク位置(ChysMAX)が離れるように
素子を構成し、または静電容量ヒステリシスのピークを
小さくすることにより、光学ヒステリシスの小さい素子
が得られることが判る。そして、光学ヒステリシスを2
%以下とするには、ピーク位置の電圧値での静電容量ヒ
ステリシスを概ね0. 6%以下とし、光学ヒステリシス
を1%以下にするには、静電容量ヒステリシスを概ね
0.3%以下にすればよいことが判る。なお、作製条件
の詳細は省略するが、上記と同様にして光学ヒステリシ
スの大きい領域におけるThys %とChysMAXの関係、お
よびThys %とChys ・Thys MAX の関係を図25の
(a)、(b)にそれぞれ示す。この図においても、上
記した相関関係があることが確認された。
【0151】ここで、光学ヒステリシスのピークの位置
(ThysMAX )と静電容量ヒステリシスのピーク位置(C
hysMAX)がずれるのは、次の理由による。すなわち、静
電容量の大小は、液晶分子の立ち上がり程度(分子長軸
方向と基板面との角度)を直接的に反映する物理量であ
るのに対し、透過率は、前記角度と1:1に対応しない
からである。例えば、電圧印加により液晶分子が少し立
ち上がった程度では、光散乱状態が依然維持されている
からである。
【0152】なお、実用的な表示性能を担保するために
は、素子の光学ヒステリシスは好ましくは2%以下と
し、より好ましくは1%以下とする必要がある。この理
由は、光学ヒステリシスが2%以下であれば、データプ
ロジェクションのような主に文字を表示するディスプレ
ー用の素子として利用可能であり、更に光学ヒステリシ
スが1%以下であれば、十分な階調表示性能が確保で
き、映像等を表示するディスプレーにも使用可能となる
からである。
【0153】以上で説明したように、静電容量ヒステリ
シスを規定することにより、確実に光学ヒステリシス性
の小さい高分子分散型液晶表示素子が作製できるが、一
般に光学ヒステリシスの大きさは素子温度によって変化
するので、液晶表示素子を使用する温度範囲(素子の駆
動温度範囲)において光学ヒステリシスを小さくするこ
とが重要となる。具体的には、10℃から80℃の範囲
内で光学ヒステリシスが2%以下であれば、投写型ディ
スプレイに使用可能であり、ー20℃から80℃の範囲
内であれば、自動車などに搭載するディスプレーとして
利用できる。なお、光学ヒステリシスのピーク位置での
静電容量ヒステリシス値の代わりに、ピーク位置のずれ
度合いで光学ヒステリシスをを予測することも可能であ
る。
【0154】
【実施例】上記した一群の発明の内容を順次具体的に説
明する。
【0155】(1)第1発明群における実施例 〔実施例1−1〕図10は、実施例1−1に係わる液晶
表示素子の断面図である。なお、実際にはTFTトラン
ジスタが基板表面に形成されたアクティブマトリクス基
板を用いたが、ここでは省略してある。画素電極111
を有するガラス基板110の間に、高分子化合物112
と液晶滴113が分散配置され、液晶滴113は高分子
化合物112内に島状に存在している。液晶滴113内
の液晶分子114は、液晶滴113の壁に複数の配向の
極を有するバイポーラ型の配向形態となっている。ま
た、基板界面付近の液晶滴113は、基板に液晶滴の大
円を接した構造となっている。
【0156】実施例1−1に係わるこの構造の液晶表示
素子は、基板界面部を除く液晶滴がほぼ同一の形状と大
きさを有しており、特に液晶滴の粒径が10%以内のば
らつきで存在することを特徴とし、以下の方法で作製さ
れた。なお、図10では、液晶滴113には粒滴の一部
が繋がった形状のものも存在するが、これが個々に独立
して存在しても良い。また、高分子化合物が網目状に形
成され液晶が網目間に挟持された構成でも良い。
【0157】液晶パネルの作製 (1)重合性モノマー(2エチルヘキシルアクリレー
ト)89wt%とオリゴマー(ビスコート828 大阪
有機化学工業製)9wt%と重合開始剤(ベンジルメチ
ルケタール 日本化薬製)1wt%を混合し、界面規制
力のコントロールのためにHDDA(カヤラッド HD
DA 日本化薬製)1wt%を添加した。この高分子前
駆体混合物20wt%に液晶材料TL205(メルク社
製)80wt%を混合した液晶高分子前駆体相溶液を形
成した。上記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度
を、メトラーを用いて測定したところ、熱相分離温度は
10℃であった。
【0158】(2)ガラス基板110と対向電極117
を有する対向基板116とに、真空蒸着とエッチングの
手法を用いて、画素電極111、ソースライン、ゲート
ライン等を作成し、アクティブマトリクス基板とした。
さらに、絶縁膜材料を印刷法を用いて基板に印刷した
後、オーブンで硬化して絶縁膜115を形成した。上記
絶縁膜材料としては、オプトマーAL8534(日本合
成ゴム社製)を用いた。なお、ガラス基板としては、コ
ーニング社製のガラス板1737(厚み1.1mm)を
用いた。
【0159】(3)対向電極117を有する対向基板1
16に同様の絶縁膜115を形成した後、ガラス基板1
10と対向基板116をガラススペーサを用いて13μ
mの間隔で貼り合わせた。 (4)貼り合わせた基板間(以下、パネルという)に、
前記液晶高分子前駆体相溶液を真空注入法を用いて注入
し、液晶パネル120(相分離前のもの)を作製した。
また、同様にして後記する重合モニター用としての液晶
パネル121(図11参照)を作製した。但し、この重
合モニター用液晶パネル121は、上下の基板ともに透
明電極は形成してあるが、TFTは形成してない。
【0160】相分離操作 図11を参照しながら、相分離操作を説明する。先ず、
液晶パネルの表面温度を制御するために、上記構成の液
晶パネル120、121の上側に石英ガラス製の水漕1
25を配置した。この水槽125は循環高温漕123に
接続されており、水温の調節された水が循環するように
なっている。更にこの水槽125上に、波長350nm
のピークを強度50%にカットする紫外線カットフィル
ター126(色ガラスフィルターUV35 東芝硝子(株)
製)を配置した。次に、重合モニター用液晶パネル12
1の電極に静電容量測定機127(ヒューレットパッカ
ード社製 LF IMPEDANCE ANALYZER 4192A )を接続し
た。
【0161】この後、循環水の温度を調節することによ
り、パネルの表面温度を19℃に設定し、超高圧水銀ラ
ンプを光源とする紫外線発生機128(UVA702-IMNSC-B
B01ウシオ電機製)を用いて、200mW/cm2 の強
度で紫外線を約30秒間照射した。これにより、重合性
モノマーを重合させて高分子分散型液晶素子を作製し
た。なお、紫外線の強度は、照度計(紫外線照度計UV
- M02 オーク製作所製)を用いてパネル表面で測定
した値である。
【0162】相分離条件の評価 1)時間T1、T2 液晶パネル121の静電容量の変化を、紫外線照射開始
後の時間との関係で測定し、時間T1、T2に対応させ
るT10-90 を求めた。ここで、T10-90 とは、液晶高分
子前駆体相溶液より液晶が全て析出したときにおける相
分離進行率を100%とするとき、相分離進行率が10
%から90%に至るまでに要する時間をいう。
【0163】静電容量は、静電容量測定機127によ
り、測定周波数を600Hz、測定電圧を0. 5V、バ
イアス電圧を+10Vの条件で測定した。測定結果を図
4に示した。図4に基づき測定した時間T1は2. 2秒
であり、時間T10-90 は2. 9秒であった。
【0164】2)液晶滴の性状 液晶滴の性状を以下の手法で見積もった。TFT素子が
形成されていないこと以外は上記と同様である2枚のガ
ラス基板を用い、上記と同様にして高分子分散型液晶パ
ネルを作製した。この液晶パネルから基板を剥離し、液
晶滴を洗い出した後の高分子マトリックスを顕微鏡で観
察すると共に、画像処理装置を用いて平均粒径を測定し
た。その結果、平均粒径は、1. 2μmであった。ま
た、粒径のばらつきは5%であり、ほぼ同一の形状と大
きさの液晶滴が得られていた。ここで粒径のバラツキと
は、平均粒径の標準偏差をいう。
【0165】上記結果は、TFT素子の有無により液晶
滴の性状に大きな影響がないと考えられるので、この結
果は、実施例1−1の液晶表示素子における液晶滴の性
状を反映していると考えられる。
【0166】なお、顕微鏡観察において、歪な形状の液
晶滴または隣接したもの同志で部分的に結合した液晶滴
が観察された。これは、実施例1−1では、液晶分率が
80%と高いためであると考えられる。
【0167】3)電気光学特性 上記液晶表示素子の電気光学特性を以下の手順で測定し
た。液晶パネルに駆動回路を別途接続し、TFT駆動を
行った。液晶パネルの対向電極と画素電極間に最低0V
から、最大15Vまで連続的に変化する電圧を印加し電
圧スイープの方向を逆転させて、光学ヒステリシスを測
定した。測定時のパネル透過率は、液晶評価装置(LC
D5000 大塚電子製)を用いて測定した。
【0168】光学ヒステリシスを、同一電圧印加時にお
ける昇電圧時と降電圧時の透過光強度の差を15V印加
時の透過光強度で割った値のパーセントとするとき、光
学ヒステリシス(最大値)が1%であった。また、階調
表示を点滅表示しても全階調レベルで光学ヒステリシス
に起因する残像等の少ない良好な表示が得られた。
【0169】なお、液晶滴のばらつきが10%以下であ
れば、光学ヒステリシスは2%以下となり良好な表示が
得られることを別途で更に確認した。上記では、液晶パ
ネルの重合度をモニターするために、モニター用液晶パ
ネルを用いたが、これは、新たな液晶高分子前駆体相溶
液に対する重合条件を決定する際に目安とするものであ
る。よって、常に必要な要素ではない。また、紫外光強
度と重合温度をパラメータとして、重合条件を決定して
も良いが、重合度をモニターして決定した方が、量産時
のバラツキ低減に効果がある。
【0170】また、紫外線強度は、実用上の性能を考慮
すると、好ましくは160mW/cm2 以上とする。こ
の強度であれば、1%以下の光学ヒステリシスを有する
素子が歩留りよく実現できる。更に、紫外光強度は、紫
外線を放射するランプの強度自体を変えるか、フィルタ
ーを用いて特定の波長の紫外線の強度を減少することで
変化されることができるが、ランプの強度を変える場
合、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタ
ルハライドランプ等を用いることができる。超高圧水銀
ランプと高圧水銀ランプは、紫外線の波長のピークが3
65nmにあり可視領域の強度が小さいので、液晶の分
解が少なく信頼性が高いという利点がある。一方、メタ
ルハライドランプは、可視領域にもランプ強度が存在す
るため信頼性に課題を有する。
【0171】また、フィルターを用いる場合、液晶、及
び高分子の分解を引き起こす吸収波長と、相分離に必要
な紫外線強度を考慮すると、フィルターは、上述のよう
に波長350nm以下の波長の強度ピークを50%程度
に低減することが望ましい。
【0172】また、相分離に必要な紫外光強度が得られ
る限り、短波長領域をカットし長波長域の紫外線を使用
するのがよい。短波長域の紫外線は、長波長域の紫外線
よりも液晶を分解し易いからである。なお、本発明者ら
は、波長360nm、もしくは波長370nm以下の短
波長域の波長を低減するフィルターを用いても、紫外線
強度を高めることにより円滑に重合を進めることができ
ることを確認している。
【0173】〔実施例1−2〕紫外線照射時の液晶パネ
ル温度(重合温度)、紫外線強度を変えたこと以外は、
実施例1−1と同様にして、実施例1−2の液晶表示素
子を作製した。また、その評価も実施例1−1の場合と
同様な装置および方法で行った。なお、液晶パネル温度
は、熱電対を用いて測定しながら、任意の温度に設定し
た。また、高分子の重合度合いは、紫外線照射機128
を用いて液晶パネルに紫外線を任意の強度、時間で照射
することによって変化させ、重合度合いの程度は、静電
容量測定機127で静電容量をモニターすることで測定
した。
【0174】図6に、重合温度と光学ヒステリシスの関
係を示した。図6から重合温度を変えることにより、光
学ヒステリシスが最小値を有する素子が作製できること
が確認できた。また、図12に、最小値を示す重合温度
と紫外線強度の関係を示したが、この結果から、紫外線
強度に対応させて重合温度を適正に規定すると、光学ヒ
ステリシスの小さい液晶表示素子が作製できることが確
認できた。
【0175】つまり、実施例1−2により、同一の液晶
高分子前駆体相溶液を用いた場合であっても、重合温
度、紫外線強度を好適に規定することにより、光学ヒス
テリシスの小さい高分子分散型液晶表示素子を実現でき
ることが実証できた。
【0176】〔実施例1−3〕重合温度を、液晶高分子
前駆体相溶液の熱相分離温度からプラス20℃上までの
範囲、紫外線強度を、100mW/cm2 から550m
W/cm2 の範囲で変化させたこと以外は、実施例1−
1と同様にして、実施例1−3の液晶表示素子を作製し
た。また、その評価も実施例1−1の場合と同様な装置
および方法で行った。
【0177】なお、この実施例1−3は、紫外線の照射
開始から液晶高分子前駆体相溶液が相分離を開始するま
での時間T1と、液晶(析出核)の析出開始から相分離
終了までの時間T10-90 を制御することで、上記の重合
速度、液晶析出核の周囲の高分子の重合度合い(粘度、
硬度)、及び析出核の発生密度の制御を行ったものであ
る。
【0178】図13に、実施例1−3の素子における時
間T1と光学ヒステリシスの関係を示し、図9に、時間
T2(正確にはT10-90 )と光学ヒステリシスの関係を
示した。図9から明らかなように、時間T10-90 と光学
ヒステリシスは、重合温度、紫外線強度によらず、ほぼ
正の相関を示した。このことから、時間T10-90 を制御
することで光学ヒステリシスが低減できることが明確に
なった。
【0179】他方、図13から、時間T1と光学ヒステ
リシスの関係は、時間T10-90 の程には相関性がなかっ
た。但し、紫外線強度が200mW/cm2 以下では、
時間T1と光学ヒステリシスに正の相関があり、300
mW/cm2 以上では、時間T1によらずほぼ一定の光
学ヒステリシスを示すことが確認された。このことか
ら、紫外線強度が200mW/cm2 以下においては、
時間T1を制御することで、光学ヒステリシスを低減す
ることができることが判った。
【0180】また、図9、図13より、光学ヒステリシ
スを2%以下とするには、時間T1を5秒以下、時間T
10-90 を6秒以下とする必要があり、光学ヒステリシス
を1・5%以下とするには、時間T1を4秒以下、時間
10-90 を5秒以下にする必要があることが明らかにな
った。更に、光学ヒステリシスを1%以下とするには、
時間T10-90 を3秒以下、同じく0. 5%以下とするに
は1. 5秒以下とする必要があることが明らかとなっ
た。
【0181】図14に紫外線強度に応じた時間T1と時
間T10-90 との関係を示した。図14から明らかになる
ように、時間T1と時間T10-90 とは密接な相関性を有
しており、T10-90 =a・T1+b(一次関数式)で近
似できることが判った。そして、この一次関数式におけ
る数aは、紫外光強度100mW/cm2 から550m
W/cm2 の範囲でほぼ0. 4以上、0. 6以下である
ことが明らかになった。よって、この一次関数式を用い
ることにより、時間T1と時間T10-90 の値を予測し、
重合の制御をさらに効率的に行うことが可能となる。
【0182】ここで、上記図7、図9、図14を活用し
た光学ヒステリシスの小さい素子の構成方法を説明す
る。所望する光学ヒステリシス値を実現できる時間T
10-90 を図9から読み取る。図14で紫外線強度に応じ
て上記T10-90 に対応する時間T1をそれぞれ読み取
る。この時間T1を図7の縦軸に当てはめ、時間T1ラ
イン(◆−◆)から重合温度を読み取る。以上により、
所望する光学ヒステリシス値を有する素子を作製するた
めに必要な紫外線強度と重合温度が決定でき、この条件
を用いることにより小さな光学ヒステリシス特性を備え
た素子構造(高分子分散型液晶の構造であり、直接的に
は高分子マトリックスとの関係における液晶滴の形状及
び構造)が実現できる。このことを光学ヒステリシスを
1%とする場合について具体例で説明する。なお、この
例における液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度は1
0℃である。
【0183】先ず、図9より光学ヒステリシスを1%を
実現できる時間T10-90 は3秒である。図14におい
て、この3秒(T10-90 )に対応するT1は、紫外線強
度が200mW/cm2 のとき約2秒、紫外線強度30
0mW/cm2 のとき約3.6秒、紫外線強度400m
W/cm2 のとき約4.4秒である。これらの時間T1
に対応する重合時間を図7で読むと、2秒→19℃、
3.6秒→32℃、4.4秒→44℃となる。これらの
結果を表1に一覧表示する。すなわち、重合温度(液晶
パネル温度)を19℃(熱相分離温度+9℃)として2
00mW/cm2 強度の紫外線を約30秒間照射する
か、または重合温度を32℃(熱相分離温度+22℃)
として300mW/cm2 強度の紫外線を約30秒間照
射するか、または重合温度を44℃(熱相分離温度+3
4℃)として400mW/cm2 強度の紫外線を約15
秒間照射することにより、1%の光学ヒステリシスを有
する高分子分散型液晶表示素子が実現できることにな
る。
【0184】
【表1】
【0185】上記条件の選択においは、次のことに配慮
する。すなわち、重合温度が熱相分離温度から17℃以
上高くなると、液晶滴が基板の傷等に原因して歪な形状
になり易い。よって、好ましくは熱相分離温度より17
℃以上高い温度を重合温度として選択するのを避ける。
例えば、上記例では、好ましくは紫外線強度が200m
W/cm2 、重合温度が19℃の条件を選択する。
【0186】〔実施例1−4〕重合温度を13℃一定と
し、紫外線強度を20mW/cm2 から550mW/c
2 の範囲で変化させたこと以外は、前記実施例1−1
と同様にして、実施例1−4にかかる液晶表示素子を作
製した。また、その評価も実施例1−1の場合と同様な
装置および方法で行った。光学ヒステリシスの測定結果
を図8に示した。図8において、紫外線強度が高いほ
ど、光学ヒステリシスが大きく低減した。強度が100
mW/cm2 のときに、光学ヒステリシスが1. 5%と
なった。また、紫外線強度を、200mW/cm2 とす
ると、光学ヒステリシスは1%、300mW/cm
2 で、0. 8%、500mW/cm2 で0. 5%が実現
できた。光学ヒステリシスが1%の液晶表示素子を用い
て、126階調を点滅表示させたところ、残像等が低減
し良好な表示が得られ、データプロジェクション等のO
A用途に十分な画像が得られることが確認できた。ま
た、0. 5%では、256階調表示でも階調表示が良好
に得られ、動画のフルカラー映像に対しても良好な画像
が得られた。このとき、紫外線強度を変えることが前述
の時間T1、時間T10-90 を制御した結果であること
は、実施例1−1、実施例1−2から明らかである。
【0187】また、紫外線強度が強いほど、基板の傷や
照射ムラに起因する重合ムラが軽減する効果があった。
これは、強度が強いほど、重合速度が大きくなり、傷に
添って不均一に液晶滴が成長するのが阻害されたためで
ある。
【0188】〔実施例1−5〕この実施例1−5は、紫
外光照射時の液晶表示素子の素子温度が、混合溶液の熱
相分離温度の1℃以上、15℃以下であり、さらに素子
表面温度を変えることで、時間T1、及び時間T10-90
を制御することを特徴とするものである。その他の事項
については、前記実施例1−1と同様である。
【0189】重合温度を液晶と高分子の熱相分離温度以
上、プラス20℃以下の範囲とした。また、紫外線強度
は110mW/cm2 、200mW/cm2 、300m
W/cm2 、400mW/cm2 550mW/cm2
下とした。
【0190】30℃での光学ヒステリシス(最大値)を
測定した結果を、図6に示す。各紫外線強度について重
合温度を変えた場合、何れについても光学ヒステリシス
の大きさが変化し、光学ヒステリシスが最低値を示す重
合温度が存在した。また、最低値を示す重合温度は、紫
外線強度が強いほど高温側に存在した。更に、200m
W/cm2 以上の紫外線強度においては、下に凸のグラ
フとなり、最も小さい光学ヒステリシスを与える重合温
度(極小値)が存在した。そして、光学ヒステリシスが
最低となる重合温度は、約12℃から23℃であり、こ
の温度は熱相分離温度10℃)の2℃〜13℃高い温度
である。
【0191】図6、図12より、紫外線強度と重合温度
とを適正に組み合わせを変えることで、光学ヒステリシ
スの小さい素子が作製できることが実証できた。なお、
重合温度を変化させることが、前述の時間T1、時間T
10-90 を制御した結果であることは、実施例1−2、1
−3から明らかである。
【0192】〔実施例1−6〕この実施例は、光学ヒス
テリシスがほぼ最低値となる重合温度を選択したもので
ある。具体的には、紫外線強度を200mW/cm
2 (30秒間照射)とし、重合温度を熱相分離温度(1
0℃)より7℃高い温度(17℃)として液晶表示素子
を作製した。その他の条件については実施例1−1と同
様である。
【0193】この素子は、素子温度30℃での光学ヒス
テリシスの最大値は、0. 8%であった。また、上記と
同様にして、紫外線強度を300mW/cm2 、重合温
度を熱相分離温度より9℃高い温度(19℃)として液
晶表示素子を作製した。この素子の光学ヒステリシス
は、素子温度30℃において、0. 6%であった。この
素子について256階調の表示を行ってみたところ、良
好な画像が得られることが確認された。
【0194】ここで、紫外線強度が大きいほど、重合速
度が速くなり、液晶滴の形状が揃うが、紫外線強度が4
00mW/cm2 を越えると、低温(5℃以下)での使
用において、光学ヒステリシスが20%程度増加するこ
とが確認された。このことから、低温における光学ヒス
テリシス特性の悪化を抑制するためには、紫外線強度を
400mW/cm2 以下とし、かつ重合温度を熱相分離
温度の5℃〜13℃以下にするのがよい。なお、紫外線
強度が強いと、液晶が分解する恐れがあると共に、液晶
滴が小さくなりすぎて散乱特性が低下する。
【0195】〔実施例1−7〕実施例1−1に記載した
高分子前駆体混合物に代えて、2エチルヘキシルアクリ
レート(重合性モノマー)の前記混合物における配合比
率を88wt%、HDDA(カララッド)の配向比率を
2wt%とし、前記オリゴマーおよび前記重合開始剤の
比率を実施例1−1と同様にして高分子前駆体混合物を
作製した。この高分子前駆体混合物を20wt%、前記
液晶材料TL205を80wt%の比率で混合して、液
晶高分子前駆体相溶液を作製した。この相溶液をパネル
内に充填した。しかる後、パネル温度(重合温度)を熱
相分離温度より10℃高い温度に設定し、紫外線を30
0mW/cm2 の強度で30秒間照射し、高分子前駆体
を重合させて、高分子分散型液晶表示素子を作製した。
【0196】この素子について、0℃〜70℃の範囲で
素子温度(駆動温度)を代えた場合における光学ヒステ
リシスを測定した。この測定は、実施例1−1に記載し
た装置および方法を用いて行った。また、この素子をT
FT駆動させて階調表示性能を観察し、これらの結果を
表1−2に示した。表1−2の◎印は、極めて良好な階
調表示、○印は良好な階調表示、△印はやや劣る階調表
示であったことを示す。
【0197】
【表2】
【0198】表1−2から明らかなように、この液晶表
示素子は、5℃〜70℃の駆動温度において良好な表示
性能が得られた。そして、この実験事実により、HDD
Aなどの界面規制力(アンカリング)を調節できる添加
剤を添加し、かつ相分離操作における重合温度および紫
外線強度を適正に制御することにより、室温以下の温度
においても良好な表示性能を発揮する液晶表示素子が作
製できることが実証できた。
【0199】ここで、界面規制力を調節できる添加剤
は、上記HDDAに限られるものではなく、種々の単官
能モノマーおよび/または多官能モノマーが使用でき
る。これらの内、低温での光学ヒステリシス性の改善効
果が高いことから、特に2官能モノマーが好ましい。な
お、単官能モノマーとしては、イソステアリルアクリレ
ート(ライトアクリレートIS−A・共栄社 (株)
製)、2官能モノマーとしては、トリエチレングリコー
ルジアクリレート(3EG−A)、PEG#200ジア
クリレート(4EG−A)、PEG#400ジアクリレ
ート(9EG−A)、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート(NP−A)、 1,6−ヘキサンジオールジア
クリレート(1・6HX−A;以上全て共栄社油脂化学
工業 (株) 製)などが例示でき、これらは2種以上を組
み合わせて使用することもできる。
【0200】〔その他の事項〕第1発明群で使用できる
絶縁膜は上記実施例で記載しものに限られず、ポリイミ
ドタイプ、ポリアミック酸タイプのどちらも用いること
ができる。また、この絶縁膜に代えて無機の絶縁膜(S
iO2 など)を用いても良い。なお、絶縁膜を用いると
電圧保持率を高めることに効果がある。また液晶との界
面における表面エネルギー(表面張力)が高い絶縁膜を
用いれば、液晶の析出速度が加速されて光学ヒステリシ
スの低減につながる。
【0201】また。液晶高分子前駆体相溶液の組み合わ
せは上記例に限らず、液晶と高分子前駆体とが相溶し、
紫外線照射により相分離させ共重合させることができる
組み合わせであれば良い。例えば、液晶高分子前駆体相
溶液として、PNM201(大日本インキ(株)製)を
用いることもでき、PNM201を用いると、作成条件
を変えることで、高分子マトリックスの連続相中に液晶
滴が保持された狭義の高分子分散型液晶、およびポリマ
ーネットワーク型液晶の双方を調製できる。
【0202】更に、一般に液晶高分子前駆体相溶液の組
成の違いにより、熱相分離温度も変わる。このため、重
合温度の絶対値を、液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離
温度に応じて変える必要がある。この場合、重合温度と
熱相分離温度の相対的な温度差を同じにすると、相溶液
の組成が変わってもほぼ同様の効果が得られることを、
本発明者らは確認している。例えばPNM201の熱相
分離温度は17℃であるので、この温度を基準して重合
温度を決定する。具体的には、好ましくはは20℃〜3
2℃位の重合温度とする。
【0203】パネルギャップは上記例に限らず5μm以
上であれば良い。特に10μm以上、15μm以下とす
ることで駆動電圧と散乱能を両立させることができる。
液晶滴の粒径としては、0. 8μm以上、2. 5μm以
下であれば散乱能に優れた素子が得られ、特に1μm以
上、2μm以下とし、パネルギャップを好適に設定する
ことにより、低電圧で駆動できる素子が実現できる。
【0204】パネルの温度制御の手段としては、パネル
温度を一定に保ち、紫外光照射が可能であれば良い。例
えば、ペルチェ素子を用いても良い。また、液晶パネル
の片側のみを温度制御しても良い。また、紫外線の照射
時間としては、10秒以上であれば良い。
【0205】上記実施例で記載したような装置により、
重合度合い(重合の進行度合い)をモニターする手法を
用いれば、重合度合いを観察しながら照射時間を決定で
きるが、上記装置以外であってもよい。例えば静電容量
の代わりに、透過光や反射光強度をモニターする手段に
よっても、重合度合い知ることができる。更に、重合度
合い度をモニターする手段と、紫外線照射機のオン、オ
フを連動させれば、自動的に照射を終了させることもで
きる。
【0206】液晶高分子相溶液における液晶分率は80
wt%に限らず種々の分率を採りうるが、散乱特性の面
から、液晶分率は好ましくは70wt%〜90wt%の
範囲とする。なお、液晶分率が大きいほど、液晶滴の形
状が歪み易いので、光学ヒステリシスが大きくなる。よ
って、液晶分率を高くした場合において、紫外線強度お
よび重合温度を好適に規定し制御するこの発明の作用効
果が一層顕著に発揮される。
【0207】(2)第2発明群における実施例 〔実施例2−1〕本実施例2−1に係る液晶表示素子の
特徴は、この液晶表示素子を使用する温度範囲内でバイ
ポーラ型の配向形態が維持されることである。そのため
に、高分子との界面の液晶分子のチルト角を小さくする
ことにより、バイポーラ型の配向形態からラジアル型の
配向形態への転移温度の低下を図っている。
【0208】図15は、実施例2−1に係る液晶表示素
子の断面図である。なお、実際にはTFT(Thin Film
Transistor)素子が基板表面に形成されたアクティブマ
トリクス基板を用いたが、ここでは省略してある。同図
に示すように、対向して配置されたアクティブマトリク
ス基板208と対向基板206との間に、高分子化合物
202と液晶滴203から成る液晶層が設けられてい
る。上記アクティブマトリクス基板208は、ガラス基
板200に画素電極201および絶縁膜205が形成さ
れて成っている。一方、対向基板206は、ガラス基板
200に対向電極207および絶縁膜205が形成され
て成っている。また、液晶層における液晶滴203は、
高分子化合物202中に分散して配置され、島状に存在
している。この液晶滴203は、液晶分子204が高分
子化合物202との界面付近に複数の配向の極を有する
バイポーラ型の配向形態となっている。なお、図15で
は、液晶滴203は個々に独立して存在しているが、隣
り合う液晶滴同志の一部分が接触して繋がった状態で存
在してもよい。また、高分子化合物202が網目状に形
成され、その網目間に液晶が保持された構成でもよい。
【0209】上記液晶表示素子は、以下のようにして製
造されたものである。 (1)まず、以下の材料 (a)重合性モノマー(2エチルヘキシルアクリレー
ト)89%と(b)オリゴマー(ビスコート828 大
阪有機化学工業製)9%と(c)重合開始剤(ベンジル
メチルケタール 日本化薬製)1%とを混合し、
【0210】さらに、(d)界面規制力のコントロール
のための1,6ヘキサンジオールジアクリレートである
KS−HDDA(カヤラッド HDDA 日本化薬製)
1%を添加した混合溶液を調製した。
【0211】次に、上記混合溶液20%に液晶材料TL
205(メルク社製)80%を混合して、液晶高分子前
駆体相溶液を調製した。 (2)ガラス基板200上に、真空蒸着とエッチングの
手法を用いて、画素電極201、および図示しないソー
スライン、ゲートライン、TFT素子等を形成した。さ
らに、上記画素電極201上に、印刷法を用いて配向膜
材料のオプトマーAL8534(日本合成ゴム社製)を
塗布した後、オーブンで硬化させて絶縁膜205を形成
し、アクティブマトリクス基板208とした。
【0212】(3)上記(2)と同様に、ガラス基板2
00上に、対向電極207、および絶縁膜205を形成
して、対向基板206とした。
【0213】(4)上記アクティブマトリクス基板20
8と対向基板206とを図示しないガラススペーサーを
介在させて13μmの間隙が形成されるように貼り合わ
せた。
【0214】(5)上記アクティブマトリクス基板20
8と対向基板206との間隙に、上記(1)の液晶高分
子前駆体相溶液を真空注入法によって注入し、液晶パネ
ルを形成した。
【0215】(6)上記液晶パネルを13℃(熱相分離
温度よりも3℃高い温度)に保った状態で、強度が16
0mW/cm2 の紫外線を照射し、液晶高分子前駆体相
溶液中の重合性モノマーを重合させて、高分子分散型液
晶表示素子を作成した。なお、上記紫外線の強度は、照
度計を用いて測定することにより確認した。
【0216】上記のようにして作成した液晶表示素子の
液晶滴203における高分子化合物202との界面の液
晶分子204のチルト角は、直接測定することは困難で
あるが、次のようにして求めることができる。ガラス基
板上に上記(1)の重合性モノマー、オリゴマー、重合
開始剤、および界面規制力のコントロール剤の混合溶液
を塗布して、もう1枚のガラス基板で覆い、上記(6)
と同じ条件で紫外線を照射して、薄膜状に硬化させた。
次に、この薄膜上に、上記(1)の液晶材料を垂らし
て、液晶材料の接触角を測定することによりチルト角を
求めたところ、5°であった。
【0217】また、液晶滴203の粒径は、次のように
して求めることができる。まず、上記対向基板206お
よびアクティブマトリクス基板208に代えて一対の単
体のガラス基板を用いる点だけが異なる他は、上記液晶
表示素子と同一の組成物および重合条件で、擬似的な液
晶表示素子を作成する。次に、ガラス基板を剥離して液
晶滴を洗い流した後、液晶滴が存在していた部分を顕微
鏡で観察し、画像処理装置を用いて粒径の平均値を求め
たところ、1. 2μmであった。したがって、前記TF
T素子等が形成された基板を用いた液晶表示素子の場合
の粒径も同様の1.2μmであると考えられる。なお、
この液晶表示素子は液晶の分率が80%と高いために、
液晶滴203は必ずしも互いに完全に独立した球形では
なく、多少変形した球形で部分的に隣接する液晶滴20
3が結合して連続体構造になった部分も存在する。
【0218】次に、周囲温度に応じた液晶の配向形態を
観察した。この観察も、ガラス基板200に垂直な方向
に複数の液晶滴203が存在する場合には、透過光が散
乱されるために直接行うことは不可能であるが、次のよ
うにして確認することができる。すなわち、同一の組成
物を用いて、顕微鏡で観察可能な大きさの液晶滴20
3’を形成して観察するモデル実験を行う。具体的に
は、パネルギャップを10μmに設定し、直径が12μ
mの液晶滴203’を形成して、観察する。この場合、
液晶滴203’は、図3に示すように基板206’・2
08’に垂直な方向に若干つぶれた偏平な形に形成され
ている。
【0219】上記液晶滴203’を30℃の周囲温度下
で、偏光板をクロスニコルに配置した偏光顕微鏡で観察
すると、図16(a)に示すような液晶滴203’が観
察された。すなわち、白から黒にわたってほぼ均一な濃
度分布で色付いて見えた。これは、図17(a)に示す
ように、液晶分子204’は、高分子化合物202’と
の界面とほぼ平行な方向、つまり多くは基板206’・
208’に平行な方向に配向し、また、基板206’・
208’に平行な面内での配向方向は、各液晶滴20
3’ごとにランダムな方向であり、その方向と偏光板の
偏光軸とのなす角度に応じた濃度になるからだと考えら
れる。
【0220】したがって、本実施例の液晶表示素子のよ
うに液晶滴の粒径が1〜2μmである場合には、配向特
異点を概2極有するバイポーラ型の配向形態になってい
ると考えられる。このときの2極の向きは、液晶滴20
3は上記液晶滴203’のように偏平でないので、3次
元的な方向にランダムであると考えられる。
【0221】一方、上記液晶滴を0℃の周囲温度下で、
同様に観察すると、図16(b)に示すような液晶滴が
観察された。すなわち、液晶滴は全体的に黒く見えると
ともに、偏光板の偏光軸の方向に十字形に黒い部分が観
察された。このことから、図17(b)に示すように、
高分子化合物との界面付近の液晶分子が、上記界面とほ
ぼ垂直な方向に配向し、多くは基板面に対して垂直な方
向に配向していることがわかる。したがって、本実施例
の液晶表示素子のように液晶滴の粒径が1〜2μmであ
る場合には、液晶滴の中心に極を有するラジアル型の配
向形態になっていると考えられる。
【0222】さらに、種々に周囲温度を変えて同様の観
察を行った結果、液晶滴内の分子配向は、ほぼ5℃以上
ではバイポーラ型の配向形態となり、5℃以下ではラジ
アル型の配向形態となることが確認された。
【0223】次に、本実施例の液晶表示素子における1
0℃および0℃の周囲温度での電気光学特性(印加電圧
−透過率特性)を測定した。すなわち、液晶表示素子に
所定の駆動回路を接続し、TFT素子を介して画素電極
201と対向電極207との間に、0Vから20Vま
で、および20Vから0Vまで連続的に変化する電圧を
印加して液晶表示素子の透過率(透過光強度)を測定し
た。上記透過率の測定は、液晶評価装置(LCD500
0、大塚電子製)を用いて行った。周囲温度が10℃の
場合の測定結果を図18(a)、0℃の場合の測定結果
を図18(b)に示す。同図において、実線は昇電圧時
の透過率、破線は降電圧時の透過率を表す。
【0224】ここで、光学ヒステリシスを、昇電圧時お
よび降電圧時において同一の電圧が印加された際の透過
率の差の最大値を20Vの電圧を印加した際の透過率で
割った値の百分率として定義したところ、光学ヒステリ
シスは次のようであった。すなわち、周囲温度が10℃
の場合(バイポーラ型の配向形態の場合)には、1.5
%と小さい値であった。一方、周囲温度が0℃の場合
(ラジアル型の配向形態の場合)には、20%と極めて
大きな値となった。なお、一般に光学ヒステリシスが
2. 0%以下であれば良好な表示画像を得ることができ
ると言われている。
【0225】さらに種々の周囲温度での光学ヒステリシ
スを測定したところ、10℃から85℃の範囲において
良好な表示特性が得られた。従って、この温度範囲にお
ける配向形態はバイポーラ型の配向形態であると考えら
れる。
【0226】また、種々の印加電圧をオン・オフして種
々の階調の点滅表示を行ったところ、周囲温度が10℃
の場合には、全階調レベルで光学ヒステリシスが小さい
ために、残像等の少ない良好な表示が得られた。一方、
周囲温度が0℃の場合には、残像が大きく残り、点滅を
停止させても初期の階調表示が再現されなかった。した
がって、0℃の周囲温度下では、実用的な液晶表示素子
として用いることは困難である。
【0227】以上のように、液晶表示素子を使用する温
度範囲において、液晶滴の配向形態がバイポーラ型の配
向形態になるようにすることで、光学ヒステリシスが非
常に小さい液晶表示素子を得ることができる。
【0228】なお、本実施例では、液晶滴が上記のよう
に高分子マトリクス内でその一部が繋がった状態で存在
する液晶表示素子の例を示したが、互いに完全に独立し
た状態で存在する場合や、高分子マトリクスが網目状に
形成され、その網目間に液晶が保持されている場合で
も、同様の電気光学特性が得られる。また、絶縁膜20
5としては、ポリイミドタイプ、またはポリアミック酸
タイプの何れの配向膜材料を用いてもよく、さらに、無
機の絶縁膜を用いてもよい。また、これらの絶縁膜を設
けることは、電圧保持率を高めることができる点で好ま
しいが、必ずしも設けなくてもよい。
【0229】また、添加剤としてHDDAを用いたが、
これは単官能モノマー、および多官能モノマーであれば
同様の効果が得られる。特に2官能モノマーを用いる
と、低温でのヒステリシスを大きく低減できる。上記単
官能モノマーとしては、例えばイソステアリルアクリレ
ート(ライトアクリレート、IS−A、共栄社化学
(株)製)、2官能アクリレートとしては、例えばトリ
エチレングリコールジアクリレート(3EG−A)、P
EG#200ジアクリレート(4EG−A)、PEG#
400ジアクリレート(9EG−A)、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート(NP−A)、1,6−ヘキサ
ンジオールジアクリレート(1・6HX−A、以上全て
共栄社油脂化学工業(株)製)、または前述した化学式
1で表されるウレタンアクリレート(例えばM−110
0、M−1200、M−1210、M1310、または
M−1600、以上、東亜合成化学工業(株)製)、3
官能アクリレートとしては、例えばトリメチロールプロ
パントリアクリレート(TMP−A)、およびペンタエ
リスリトールトリアクリレート(PE−3A、以上全て
共栄社油脂化学工業(株)製)等を用いることができ
る。以上の材料を単体、もしくは複数用いることで低温
ヒステリシスを低減できる。
【0230】また、重合性モノマーおよび液晶材料の組
み合わせとしては、上記のものに限らず、液晶高分子前
駆体相溶液中の重合性モノマーが紫外線の照射により共
重合を起こすものであればよい。この場合、液晶滴の粒
径が0. 8μm以上、2. 5μm以下であれば散乱能に
優れた液晶表示素子が得られる。特に1μm以上、2μ
m以下であれば、基板間隔を小さくして、TFT素子の
駆動が十分容易な低電圧で液晶液晶表示素子を駆動する
ことができる。
【0231】また、基板間隔は上記のように13μmに
限らず、5μm以上であれば良い。特に10μm以上、
15μm以下とすることで駆動電圧と散乱能を両立させ
ることができる。また、紫外線の強度は、上記のように
160mW/cm2 に限らないが、160mW/cm2
以上であれば、高温での光学ヒステリシスの低減に効果
がある。
【0232】また、チルト角は小さいほどよく、上記の
ように5°に設定する場合には、特にバイポーラ型の配
向形態を維持する効果が大きいが、これに限らず、10
゜以下であれば同様の効果(安定したバイポーラ型の配
向形態)が得られる。また、約5℃の周囲温度でバイポ
ーラ型の配向形態からラジアル型の配向形態への転移が
生じるようにして、10〜85℃の温度範囲で使用が可
能な液晶表示素子の例を示したが、これに限らず、例え
ば使用温度範囲が0〜85℃の液晶表示素子を作成する
ことも容易に可能である。すなわち、その場合には、紫
外線を照射して相分離および重合を起こさせることで液
晶表示素子を作成する過程において、紫外線照射時の液
晶パネルの温度や紫外線強度を制御するとともに、添加
モノマー濃度を調整して、0℃の周囲温度においてもバ
イポーラ型の配向形態が維持されるようにすればよい。
【0233】ここで、良好な表示を行い得る温度範囲
は、液晶表示素子を用いる目的によって異なり、例えば
投射型ディスプレイに用いる場合は、通常、下限温度は
最高でも10℃以下、上限温度は液晶の透明点転移温度
より5℃低い温度以上とする必要がある。また、直視型
や、反射型ディスプレイに用いる場合は下限は0℃以下
であることが望ましい。
【0234】より詳しくは、液晶表示素子の透明点転移
温度をTnとしたときに、液晶表示素子の表面温度が、
10℃以上、Tn−5℃以下の範囲であれば、投射型デ
ィスプレイ等の強いバックライトを用いる表示装置にお
いても、実用上十分な性能が得られる。また、例えば下
限温度が0℃以下であれば、外気に接触する携帯端末等
に用いる反射型ディスプレイや、直視型ディスプレイと
しても用いることができる。また、使用温度の下限が低
ければ低いほど、さらに実用上、有益なのは言うまでも
ない。さらに、上限を液晶の透明点転移温度から5℃下
とすることで色変化の少ない素子が得られる。
【0235】〔実施例2−2〕本実施例2−2に係る液
晶表示素子の特徴は、30℃の周囲温度におけるアンカ
リング指数の値を0. 7以上にすることにより、バイポ
ーラ型の配向形態からラジアル型の配向形態への転移温
度を低下させ、低温時の光学ヒステリシスの低減が図ら
れていることである。
【0236】図19は、実施例2−2に係る液晶表示素
子の断面図である。なお、この液晶表示素子の機械的な
構成は、前記実施例2−1と同様であるため、同様の機
能を有する構成要素については、対応する符号を付して
説明を省略する。
【0237】この液晶表示素子は、素子温度が30℃で
透過率が90%となるときの電圧をV90、対向基板2
56とアクティブマトリクス基板258との間隔をd、
液晶滴の粒径、もしくは高分子マトリクス網目間隔をR
としたときのアンカリング指数(V90×R)/dが
1. 1に設定されている。上記電圧V90は、より詳し
くは、駆動回路259によって画素電極251と対向電
極257との間に30Hzの交流電圧を印加し、透過率
が90%となるときの印加電圧である。このとき、液晶
滴253内は、液晶分子254が高分子化合物252と
の界面付近に複数の配向の極を有するバイポーラ型の配
向形態となり、液晶滴253の中央付近の液晶分子25
4は、電気力線の方向に揃った配向状態となっている。
【0238】上記液晶表示素子の製造方法は、液晶高分
子前駆体相溶液を調製する際に、(a)重合開始剤(ベ
ンジルメチルケタール 日本化薬製)を1%、(b)界
面規制力のコントロールのための1,6ヘキサンジオー
ルジアクリレートであるKS−HDDA(カヤラッド
HDDA 日本化薬製)2%を混合する点を除いて同じ
である。
【0239】上記のようにして作成した液晶表示素子に
ついて、前記実施例2−1と同様にして、液晶滴253
の粒径、バイポーラ型の配向形態からラジアル型の配向
形態への転移温度、および電気光学特性(印加電圧−透
過率特性)を調べたところ、粒径Rは1. 0μm、転移
温度は−5℃であり、また、周囲温度が10℃での光学
ヒステリシスは1. 2%と小さく、良好な表示を行い得
る液晶表示素子が得られた。
【0240】また、上記粒径R、印加電圧−透過率特性
から得られる透過率が90%となるときの印加電圧V9
0、および基板256・258の間隔dに基づいて、ア
ンカリング指数(V90×R)/dを求めたところ、前
述のように1. 1であった。
【0241】ここで、界面規制力のコントロールのため
の1,6ヘキサンジオールジアクリレートであるKS−
HDDAに代えて、フッソ系重合性モノマー(ライトア
クリレート FA108 共栄社油脂化学工業(株)
製)を2%添加した液晶表示素子を同様に作成し、30
℃におけるアンカリング指数を調べると、その値は0.
6であった。また、配向転移温度は20℃と高いととも
に、周囲温度が10℃での光学ヒステリシスは40%と
非常に大きく、実用的に用いることは不可能なものであ
った。
【0242】また、さらに、同様にして添加剤の種類と
添加濃度を変えて種々の液晶表示素子を作成し、電気光
学特性等を測定し、アンカリング指数と配向転移温度と
の関係を調べた。その結果を表2−1および図20に示
す。
【0243】
【表3】
【0244】表2−1および図20より、アンカリング
指数と配向転移温度とは相関関係を示し、アンカリング
指数を0. 7以上にすることで、配向転移温度を10℃
以下にでき、周囲温度が10℃での光学ヒステリシスが
概2%以下と非常に小さく、良好な表示を行い得る液晶
表示素子が得られた。
【0245】なお、界面規制力のコントロールのための
添加剤としては、上記のものに限らず、モノマーの表面
エネルギーを増大させ得る種々のものを用いることがで
きる。さらに、複数のものを混合して用いてもよい。こ
の場合には、モノマーの表面エネルギーが各添加剤の影
響を相加平均したものとなるため、表面エネルギーのコ
ントロール、すなわち配向転移温度の調整が一層容易に
なる。また、添加濃度も上記のものに限らないが、一般
にはこの添加剤は少量でも大きな影響があるため、多く
の場合には5%以下で十分な効果が得られる。
【0246】また、その他の構成材料や製造条件等につ
いても、前記実施例2−1で説明したような種々の変形
が可能である。
【0247】〔実施例2−3〕本実施例2−3に係る液
晶表示素子の特徴は、紫外線照射時の液晶パネルの温度
を、液晶高分子前駆体相溶液の熱分離温度よりも、3℃
〜15℃高い温度に保った状態で製造されることによ
り、バイポーラ型の配向形態からラジアル型の配向形態
への転移温度が低下し、低温時の光学ヒステリシスの低
減が図られていることである。
【0248】この実施例2−2に係る液晶表示素子の機
械的な構成は、前記実施例2−1と同様である。この液
晶表示素子は、以下のようにして製造される。図21
は、液晶表示素子の製造装置の構成を示す模式図であ
る。この製造装置は、図21に示すように、循環恒温層
282が接続された台281に、液晶高分子前駆体相溶
液の注入された液晶パネル280が反射板286を介し
て載置されることにより、液晶パネル280の表面温度
が所望の温度に制御されるようになっている。また、台
281の上方には、紫外線照射機283が設けられ、支
持部材285によって支持された、吸収波長のピークが
350nmの紫外線カットフィルター284を介して、
液晶パネル280に紫外線が照射されるようになってい
る。上記反射板286は、例えばアルミニウムから成
り、紫外線照射機283によって照射された紫外線を有
効に作用させ得るようになっている。
【0249】上記製造装置を用い、前記実施例2−1と
同様の液晶高分子前駆体相溶液が注入された液晶パネル
280に、強度が120mW/cm2 の紫外線を30秒
間照射して液晶表示素子を作成した。ここで、上記紫外
線の照射に先立って、液晶高分子前駆体相溶液の熱相分
離温度をメトラーを用いて測定したところ10℃であっ
た。そこで、液晶パネル280の温度が上記熱相分離温
度よりも8℃高い18℃に保たれた状態で上記紫外線の
照射を行った。
【0250】上記のようにして作成した液晶表示素子に
ついて、前記実施例2−1と同様にして、液晶滴253
の粒径、バイポーラ型の配向形態からラジアル型の配向
形態への転移温度、および電気光学特性(印加電圧−透
過率特性)を調べた。転移温度は7℃と低く、また、周
囲温度が10℃での光学ヒステリシスは1. 0%と非常
に小さく、良好な表示を行い得る液晶表示素子が得られ
た。
【0251】また、液晶パネル280の温度を熱相分離
温度よりも2℃高い12℃に保つ他は同じ条件で紫外線
の照射を行って液晶表示素子を作成した場合には、転移
温度は18℃、周囲温度が10℃での光学ヒステリシス
は15%と非常に大きく、良好な表示性能が得られなか
った。
【0252】さらに、液晶パネル280の温度を種々に
設定して、転移温度、およびアンカリング指数を調べた
ところ、表2−2に示すようになった。同表より、液晶
パネル280の温度を熱相分離温度よりも、3℃〜15
℃高い温度に設定することにより、バイポーラ型の配向
形態からラジアル型の配向形態への転移温度を低下さ
せ、低温時の光学ヒステリシスを低減することができ
る。また、7℃〜12℃高い温度に設定すれば、同様の
効果が得られるとともに、液晶滴の粒径の増大を抑える
ことができる。
【0253】
【表4】
【0254】なお、紫外線の強度は、上記のように12
0mW/cm2 に限らないが、100mW/cm2 以上
であれば、同様の効果が得られるとともに、ガラス基板
の傷等に起因する粒径のむらが発生せずに均一な素子が
得られる。また、紫外線の照射時間は、30秒以下が望
ましいが、30秒より長くしてもよい。但し、5分程度
以上照射すると、液晶の分解等が発生し電圧保持率等の
信頼性に課題が発生するので、5分よりも短いことが好
ましい。また、紫外線カットフィルター284の吸収波
長は、上記のように350nmに限らず、例えば360
nmや370nm等、液晶や高分子の吸収波長を考慮し
て、高分子の重合が適切に行われるとともに液晶の分解
が生じないように選択すればよい。
【0255】また、紫外線カットフィルターと液晶パネ
ルとの間の距離は、液晶パネルの温度上昇を防ぐために
は、1mm以上にするのが望ましい。一方、紫外線が紫
外線カットフィルターの周囲から回り込むことにより重
合が均一に進まないのを防止するためには、最大2cm
以内にすることが好ましく、より好ましくは、3mm以
上、1cm以内にすることで、温度上昇を確実に抑える
とともに重合度の均一な液晶表示素子が得られる。ま
た、当然ながら紫外線カットフィルターの大きさは、液
晶パネルよりも大きくする必要がある。より具体的に
は、液晶パネルとの間の間隔にもよるが、例えば液晶パ
ネルの面積の1. 2倍以上であれば、紫外線の回り込み
を容易に抑制することができる。
【0256】また、反射板としてアルミ板を用いた例を
示したが、例えばアルミ薄膜等、紫外線の反射率が高い
ものであればよい。また、液晶パネルの温度を制御する
ために、循環恒温漕を用いたが、装置全体を恒温漕内に
配置するようにしてもよい。また、ペルチェ素子等を用
いてもよい。また、液晶パネルの両面側に、循環恒温漕
から導かれた制御板を設けてパネルの両側から温度制御
を行い得るようにしてもよい。さらに、液晶パネルの表
面に熱電対等の温度センサーを設け、フィードバックシ
ステムや循環恒温漕等と接続して温度制御を自動化すれ
ば、液晶パネルの温度をより正確に制御することが容易
になる。
【0257】また、その他の構成材料や製造条件等につ
いても、前記実施例2−1で説明したような種々の変形
が可能である。
【0258】(3)第3発明群における実施例 以下では、第3発明群にかかわる発明の具体的内容を説
明する。初めに、図26を参照しながら、第3発明群に
かかる液晶表示素子の概要を説明する。第3発明群にか
かる高分子分散型液晶表示素子は、透明電極301を有
するガラス基板300の間に、高分子化合物302と液
晶滴303が分散配置され、液晶滴303は高分子化合
物302内に島状に存在している。液晶滴303内の液
晶分子304の配向形態は、液晶滴303の壁近傍に2
つの極を有するバイポーラ型となっている。なお、図4
では、液晶滴303が個々に独立した図となっている
が、隣り合う液晶滴同志が一部分を接触して繋がった状
態で存在していもよい。また、高分子化合物302が網
目状に形成され、この網目内に液晶滴が保持されたポリ
マーネットワーク型液晶であってよい。
【0259】以下、各実施例を説明する。 〔実施例3−1〕実施例3−1は、電圧−透過率特性に
おける透過率が10%以上である電圧において、静電容
量−電圧特性における静電容量比率が60%以上となる
ように構成された高分子分散型液晶表示素子である。こ
のような素子は次の手順・条件で作製された。
【0260】ここで、静電容量比率とは、下記式で表さ
れる値をいう。静電容量比率%=(素子に任意の電圧を
印加したときに発生する静電容量/素子に電圧を印加し
たときに発生する静電容量の最大値)×100─式3−
【0261】作製条件 (1) 重合性モノマー(2エチルヘキシルアクリレート)
90wt%とオリゴマー(ビスコート828 大阪有機
化学工業製)9wt%と重合開始剤(ベンジルメチルケ
タール 日本化薬製)1wt%を混合し高分子前駆体混
合物を作製した。この混合物20wt%に液晶材料とし
てTL205(メルク社製)を80wt%を混合して液
晶高分子前駆体相溶液を調製した。
【0262】(2) 透明電極301を有するガラス基板3
00に、配向膜材料を印刷法を用いて基板に印刷した
後、オーブンで硬化して絶縁膜305を形成した。
【0263】(3) 透明電極307を有するガラス基板3
06に同様の絶縁膜を形成したのち、ガラス基板30
0、306をガラススペーサーを用いて13μmの間隔
で貼り合わせた。なお、上記配向膜材料としては、オプ
トマーAL8534(日本合成ゴム社製)を用い、ガラ
ス基板としては、コーニング社製のガラス板1737
(厚み1.1mm)を用いた。
【0264】(4) 貼り合わせた基板間(以下、パネルと
いう)に、前記相溶液を真空注入法を用いて注入し、液
晶パネルを作製した。 (5) 上記液晶パネルに350nmカットフィルターを積
層した後、液晶パネル温度(重合温度)を13℃とし、
120mW/cm2 の紫外線を30秒間照射し、重合性
モノマーを重合させ、実施例3−1の高分子分散型液晶
素子を作製した。なお、紫外線強度はパネル表面におけ
る強度であり、紫外線照度計(UV−M02、オーク製
作所製)を用いて測定した値である。
【0265】素子の評価 上記素子に駆動回路を別途接続して、光学ヒステリシス
を測定すると共に、静電容量ヒステリシスを測定した。
測定条件としては、測定電圧を最大30Vまでとし、周
波数は300Hzとした。また、温度範囲は0℃から6
0℃とした。測定は、前記実施例1−1と同様な測定装
置および方法により行った。
【0266】図22に、30℃での測定結果を示した。
図22から明らかなごとく、透過率(最大透過量に対す
る百分率)が10%を与える電圧は、4. 47Vであ
り、この電圧での静電容量比率は60%であった。ま
た、この電圧での昇電圧過程と降電圧過程における光学
ヒステリシスを調べたところ、1. 9%と小さかった。
更に、点滅表示を行ってヒステリシスに起因する残像の
有無を調べたところ、残像が少ないことが確認された。
【0267】そこで、光学ヒステリシス(%)と静電容
量比率の関係を更に詳細に調べるために、実施例3−1
の相溶液にアンカリング強度を調節できる添加剤を添加
し、または紫外線強度を変えたものを作製した。そし
て、これらの素子について上記と同様にして、静電容量
比率および光学ヒステリシスの測定を行った。
【0268】表3−3に製造条件とその結果を合わせて
示した。また、この結果を透過率10%における光学ヒ
ステリシスと静電容量比率との関係で図27に示した。
図27から、光学ヒステリシスを2%以下とするために
は、透過率10%での静電容量比率を60%以上とする
必要があり、また光学ヒステリシスを1%以下とするた
めには、透過率10%での静電容量比率を65%以上と
すれば十分である。った。
【0269】
【表7】
【0270】〔実施例3−2〕実施例3−2では、素子
駆動温度30℃において、静電容量ヒステリシスChys
の最大値が1.5%以下である高分子分散型液晶表示素
子を作製した。この液晶表示素子が上記特性を有するこ
とは、実施例3−1に記載した手法で確認した。作製条
件としては、相分離操作における液晶パネル温度(重合
温度)を13℃とし、120mW/cm2 の紫外線を3
0秒間照射し、相分離させるという条件であり、他の条
件については、上記実施例3−1と同様である。
【0271】〔実施例3−3〕実施例3−3では、素子
駆動温度が30℃において、光学ヒステリシスが最大値
となる印加電圧における静電容量ヒステリシスChys が
0.2%以下である高分子分散型液晶表示素子を作製し
た。この実施例3−3の液晶表示素子についても、上記
特性を有することを上記と同様な方法で確認した。この
素子の作製条件としては、相分離操作における液晶パネ
ル温度(重合温度)を17℃とし、200mW/cm2
の紫外線を30秒間照射し、相分離させるという条件で
あり、他の条件については、上記実施例3−1と同様に
行った。
【0272】〔その他の事項〕絶縁膜の形成材料として
は、上記したものに限らずポリイミドタイプ、ポリアミ
ック酸タイプのどちらも用いることができる。またSi
2 などの無機材料を用いても良い 更に上記実施例に
おいて、アンカリング強度を変えるために添加剤を用い
ても良い。このような添加剤としては、例えばHDDA
(カヤラッドHDDA 日本化薬製)等の2官能モノマ
ーが例示でき、これを数wt%添加することで界面アン
カリングを増加せることができる。他方、フッソ系重合
性モノマー(ライトアクリレート FA108 共栄社
油脂化学工業(株)製)を数wt%用いると界面アンカ
リング強度を減少させることができる。
【0273】また。液晶・高分子組成物の組み合わせは
上記実施例の記載に限らず、一般に液晶・高分子を混合
し紫外線により共重合をおこす物であれば良い。この場
合、液晶滴の粒径が0. 8μm以上、2. 5μm以下で
あれば散乱能に優れた素子が得られる。特に1μm以
上、2μm以下であれば、パネルギャップと組み合わせ
てTFT駆動が十分可能な低電圧で液晶パネルを駆動す
ることができる。パネルギャップは上記例に限らず5μ
m以上であれば良い。特に10μm以上、15μm以下
とすることで駆動電圧と散乱能を両立させることができ
る。また、紫外線の強度は上記以外でも良いが、100
mW/cm2 以上であればガラス基板の傷等が目立たず
均一な素子が得られる。特に150mW/cm2 以上で
あれば、高温での光学ヒステリシスの低減に効果があ
る。
【0274】上記例では、液晶パネルは、上下基板に透
明電極付きのガラス基板を用いたが、ガラス基板上にア
クティブマトリクス素子が多数形成されたTFT型液晶
表示パネルを用いても同様の効果があることは勿論であ
る。
【0275】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、それぞれの内側面に電極を備えた一対の基板の間
に、液晶滴が高分子化合物を含み構成されたマトリック
ス連続相中に分散保持され、または液晶滴が高分子化合
物を含み構成された三次元網目状マトリックスの網目内
に分散保持された高分子分散型液晶が設けられた液晶表
示素子において、上記液晶滴が、ほぼ同一の形状と大き
さを有し、また粒径のばらつきが小さなものとすること
により、広い温度範囲内で上記液晶滴の配向形態がバイ
ポーラ型に安定して維持されるようにして、上記電極間
に印加された電圧に対する光の透過率のヒステリシスを
小さくすることができる。
【0276】また、同様の効果は、液晶高分子前駆体相
溶液に界面規制力の制御剤を添加したり、紫外線の照射
による高分子の重合および高分子と液晶との相分離を行
わせる際の温度を高くしたりすることにより、上記液晶
滴と高分子化合物との界面付近の液晶分子のチルト角を
小さくし、またはアンカリング強度を大きくすることに
よっても得られる。
【0277】さらに、同様の効果は、静電容量のヒステ
リシスを小さく抑え、または電圧−透過率特性における
透過率10%以上を与える電圧における前記静電容量比
率が60%以上であるようにすることによっても得られ
る。
【0278】また、液晶材料の表面張力を、絶縁膜の臨
界表面張力または高分子化合物の表面張力よりも小さく
することなどにより、広い使用温度範囲内で電界応答性
を向上させることができる。それゆえ、広い使用温度範
囲内で動画等を表示し得るテレビやパーソナルコンピュ
ータなどの表示装置を構成することができ、本発明の産
業上の意義は大である。
【0279】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明群における、光学ヒステリシスを説明
するためのグラフである。
【図2】第1発明群における、重合速度と液晶滴の形成
具合を示す模式図である。
【図3】第1発明群における、液晶滴の発生密度と液晶
滴の形成具合を示す模式図である。
【図4】第1発明群における、紫外線照射時間との関係
で静電容量を測定したグラフである。
【図5】第1発明群における、重合温度と光学システリ
シス等との関係を模式的に表した説明図である。
【図6】第1発明群における、重合温度と光学ヒステリ
シスの関係を示すグラフである。
【図7】第1発明群における、重合温度と重合速度との
関係を示すグラフである。
【図8】第1発明群における、紫外線強度と光学ヒステ
リシスの関係を示すグラフである。
【図9】第1発明群における、時間T10-90 と、光学ヒ
ステリシスの関係を示す図である。
【図10】第1発明群における、液晶表示素子の断面図
である。
【図11】第1発明群における、実験装置を示す図であ
る。
【図12】第1発明群における、紫外線強度と光学ヒス
テリシスが最小値を示す重合温度との関係を示すグラフ
である。
【図13】第1発明群における、時間T1と光学ヒステ
リシスの関係を示すグラフである。
【図14】第1発明群における、時間T1と時間T
10-90 の関係を示すグラフである。
【図15】第2発明群における、液晶表示素子の断面図
である。
【図16】第2発明群における、液晶表示素子におけ
る、顕微鏡により観察された液晶滴の状態を示す説明図
である。
【図17】第2発明群における、液晶表示素子におけ
る、液晶分子の配向形態を示す説明図である。
【図18】第2発明群における、液晶表示素子の印加電
圧−透過率特性を示すグラフである。
【図19】第2発明群における、液晶表示素子の断面図
である。
【図20】第2発明群における、アンカリング指数と配
向転移温度との関係を示すグラフである。
【図21】第2発明群における、液晶表示素子の製造装
置の構成を示す模式図である。
【図22】第3発明群における、電圧−静電容量特性お
よび電圧−透過率特性を示すグラフである。
【図23】第3発明群における、静電容量ヒステリシス
および光学ヒステリシスを示す図である。
【図24】第3発明群における、静電容量ヒステリシス
と光学ヒステリシスの関係を示すグラフである。
【図25】第3発明群における、静電容量ヒステリシス
と光学ヒステリシスの関係を示す他の例である。
【図26】第3発明群における、液晶表示素子の構造を
示す断面図である。
【図27】第3発明群における、光学ヒステリシスと静
電容量比率%の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
110 ガラス基板 111 画素電極 112 高分子化合物 113 液晶滴 114 液晶分子 115 絶縁膜 116 対向基板 117 対向電極 120 液晶パネル 121 重合モニター用液晶パネル 123 循環高温漕 125 水槽 126 紫外線カットフィルター 127 静電容量測定機 128 紫外線照射機 200 ガラス基板 201 画素電極 202 高分子化合物 203 液晶滴 204 液晶分子 205 絶縁膜 206 対向基板 207 対向電極 208 アクティブマトリクス基板 251 画素電極 252 高分子化合物 253 液晶滴 254 液晶分子 256 基板 256 対向基板 257 対向電極 258 アクティブマトリクス基板 259 駆動回路 280 液晶パネル 281 台 282 循環恒温層 283 紫外線照射機 284 紫外線カットフィルター 285 支持部材 286 反射板 300 ガラス基板 301 透明電極 302 高分子化合物 303 液晶滴 304 液晶分子 305 絶縁膜 306 ガラス基板 307 透明電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古佐小 慎也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 内藤 紀子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (64)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の基
    板の間に、高分子分散型液晶が挟持された高分子分散型
    液晶表示素子において、 前記高分子分散型液晶は、高分子化合物を含み構成され
    たマトリックス連続相中に液晶滴が分散保持され、また
    は高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリッ
    クスの網目内に液晶滴が分散保持されたものであり、 前記基板と高分子分散型液晶との界面近傍を除く領域に
    位置する液晶滴が、ほぼ同一の形状と大きさであること
    を特徴とする高分子分散型液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記液晶滴の粒径の標準偏差が、平均値
    の±5%以内である、請求項1に記載の高分子分散型液
    晶表示素子。
  3. 【請求項3】 前記高分子化合物は、単官能アクリレー
    トおよび/または多官能アクリレートを含む重合物より
    なるものであることを特徴とする、請求項1または2に
    記載の高分子分散型液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記単官能アクリレートが、イソステア
    リルアクリレートであり、 前記多官能アクリレートが、トリエチレングリコールジ
    アクリレート、PEG#200ジアクリレート、PEG
    #400ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジア
    クリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
    ト、トリメチロールプリパントリアクリレート、ペンタ
    エリスリトールトリアクリレート、及び下記化学式1で
    表される2官能ウレタンアクリレートよりなる群から選
    択される1種以上である、請求項3に記載の高分子分散
    型液晶表示素子。化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
    n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
  5. 【請求項5】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の基
    板の間に、液晶と高分子前駆体を含む液晶高分子前駆体
    相溶液を配置した後、前記基板面に紫外線を照射して、
    前記液晶高分子前駆体相溶液中の液晶と高分子前駆体と
    を相分離させると共に、前記高分子前駆体を重合硬化さ
    せることにより、液晶滴が高分子化合物を含み構成され
    たマトリックス連続相中に分散保持され、または液晶滴
    が高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリッ
    クスの網目内に分散保持された高分子分散型液晶を作製
    する相分離工程を備える高分子分散型液晶表示素子の製
    造方法において、 前記相分離工程は、紫外線照射開始から相分離終了まで
    の時間Tを制御することにより、前記液晶高分子前駆体
    相溶液中の高分子前駆体の重合度合い、相分離速度、お
    よび相分離開始時における液晶析出核の発生密度の何れ
    か一つ以上を制御して、マトリックスに分散保持される
    液晶滴の粒径を整える操作を有することを特徴とする高
    分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記紫外線線照射開始から液晶高分子前
    駆体相溶液が相分離を開始するまでの時間をT1とし、
    前記液晶高分子前駆体相溶液より液晶が全て析出したと
    きの相分離進行率を100%として相分離進行率が10
    %から90%に至るまでに要する時間をT10-90 とする
    とき、 前記時間Tの制御が、上記時間T1、または上記時間T
    10-90 、または上記時間T1とT10-90 の双方を制御す
    ることにより行われることを特徴とする、請求項5に記
    載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記時間T1と前記T10-90 との間に、
    10-90 =a×T1+b(但し、a、bは、一次関数の
    定数)の関係が成立し、かつ前記aが0. 4以上、0.
    7以下となるように、前記液晶高分子前駆体相溶液の温
    度と、前記液晶高分子前駆体相溶液に照射する紫外線照
    射強度とを制御することを特徴とする、請求項6に記載
    の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記液晶高分子前駆体相溶液の温度と、
    液晶高分子前駆体相溶液に照射する紫外線の強度とを制
    御することにより、前記時間T1が5秒以下になるよう
    にすることを特徴する、請求項6に記載の高分子分散型
    液晶表示素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記紫外線強度が、100mW/cm2
    以上である、請求項8に記載の高分子分散型液晶表示素
    子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記紫外線強度が100mW/cm2
    以上であり、かつ前記液晶高分子前駆体相溶液の温度
    が、前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度より2
    ℃〜15℃高い温度である、請求項8に記載の高分子分
    散型液晶表示素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記紫外線強度が、160mW/cm
    2 〜400mW/cm2 であり、かつ前記液晶高分子前
    駆体相溶液の温度が、前記液晶高分子前駆体相溶液の熱
    相分離温度より6℃〜13℃高い温度である、請求項8
    に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記液晶高分子前駆体相溶液の温度
    と、前記液晶高分子前駆体相溶液に照射する紫外線の強
    度とを制御することにより、前記時間T10-90が6秒以
    下になるようにすることを特徴とする、請求項6に記載
    の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記紫外線強度が、100mW/cm
    2 以上である、請求項12に記載の高分子分散型液晶表
    示素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記紫外線強度が100mW/cm2
    以上であり、かつ前記液晶高分子前駆体相溶液の温度
    が、前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度より2
    ℃〜15℃高い温度である、請求項12に記載の高分子
    分散型液晶表示素子の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記紫外線強度が、160mW/cm
    2 〜400mW/cm2 であり、かつ前記液晶高分子前
    駆体相溶液の温度が、前記液晶高分子前駆体相溶液の熱
    相分離温度より6℃〜13℃高い温度である、請求項1
    2に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記液晶高分子前駆体相溶液の温度
    と、液晶高分子前駆体相溶液に照射する紫外線の強度と
    を制御することにより、前記時間T1を5秒以下とする
    と共に、前記時間T10-90 を6秒以下とすることを特徴
    とする、請求項6に記載の高分子分散型液晶表示素子の
    製造方法。
  17. 【請求項17】 前記液晶高分子前駆体相溶液は、単官
    能アクリレートおよび/または多官能アクリレートを含
    むものである、請求項5ないし16に記載の高分子分散
    型液晶表示素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記単官能アクリレートが、イソステ
    アリルアクリレートであり 、前記多官能アクリレート
    が、トリエチレングリコールジアクリレート、PEG#
    200ジアクリレート、PEG#400ジアクリレー
    ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−
    ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプリ
    パントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
    リレート、及び下記化学式1で表される2官能ウレタン
    アクリレートよりなる群から選択される1種以上であ
    る、請求項17に記載の高分子分散型液晶表示素子の製
    造方法。化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
    n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
  19. 【請求項19】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の
    基板の間に、高分子分散型液晶が挟持された高分子分散
    型液晶表示素子であって、 前記高分子分散型液晶は、高分子化合物を含み構成され
    たマトリックス連続相中に液晶滴が分散保持され、また
    は高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリッ
    クスの網目内に液晶滴が分散保持されたものであり、 前記電極に電圧が印加されていないときにおける前記液
    晶滴内の液晶分子の配向形態が、液晶滴と高分子化合物
    との界面近傍に少なくとも2つの極を有するバイポーラ
    型であり、 かつ前記液晶の透明点転移温度をTnとしたとき、少な
    くとも当該素子の使用温度が5℃から(Tn−5)℃の
    温度範囲内にある場合において、前記バイポーラ型の配
    向形態が維持されている、 ことを特徴とする高分子分散型液晶表示素子。
  20. 【請求項20】 前記電極に電圧を印加しないとき、液
    晶滴と高分子化合物との界面近傍に位置する液晶分子の
    上記界面に対するチルト角が、10度以下であることを
    特徴とする、請求項19に記載の高分子分散型液晶表示
    素子。
  21. 【請求項21】 前記素子の使用温度が0℃から(Tn
    −5)℃の温度範囲内において、前記バイポーラ型の配
    向形態が維持されていることを特徴とする、請求項19
    に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  22. 【請求項22】 前記電極に電圧を印加しないとき、液
    晶滴と高分子化合物との界面近傍に位置する液晶分子の
    上記界面に対するチルト角が、10度以下である、請求
    項21に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  23. 【請求項23】 前記素子の使用温度が−5℃から(T
    n−5)℃の温度範囲内において、前記バイポーラ型の
    配向形態が維持されていることを特徴とする、請求項1
    9に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  24. 【請求項24】 前記電極に電圧を印加しないとき、液
    晶滴と高分子化合物との界面近傍に位置する液晶分子の
    上記界面に対するチルト角が、10度以下である、請求
    項23に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  25. 【請求項25】 前記基板と高分子分散型液晶との界面
    近傍を除く領域に位置する液晶滴が、ほぼ同一の形状と
    大きさであることを特徴とする、請求項19に記載の高
    分子分散型液晶表示素子。
  26. 【請求項26】 前記液晶滴のバラツキが、10%以内
    である、請求項25に記載の高分子分散型液晶表示素
    子。
  27. 【請求項27】 前記基板と高分子分散型液晶との界面
    近傍を除く領域に位置する液晶滴がほぼ同一の形状と大
    きさであり、前記電極に電圧を印加しないとき、液晶滴
    と高分子化合物との界面近傍に位置する液晶分子の前記
    界面に対するチルト角が10度以下であることを特徴と
    する、請求項19に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  28. 【請求項28】 前記高分子化合物は、単官能アクリレ
    ートおよび/または多官能アクリレートを含む重合物よ
    りなることを特徴とする、請求項19ないし27に記載
    の高分子分散型液晶表示素子。
  29. 【請求項29】 前記単官能アクリレートが、イソステ
    アリルアクリレートであり、前記多官能アクリレート
    が、トリエチレングリコールジアクリレート、PEG#
    200ジアクリレート、PEG#400ジアクリレー
    ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−
    ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプリ
    パントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
    リレート、及び下記化学式1で表される2官能ウレタン
    アクリレートよりなる群から選択される1種以上であ
    る、請求項28に記載の高分子分散型液晶表示素子。化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
    n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
  30. 【請求項30】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の
    基板の間に、高分子分散型液晶が挟持された高分子分散
    型液晶表示素子において、 前記高分子分散型液晶は、高分子化合物を含み構成され
    たマトリックス連続相中に液晶滴が分散保持され、また
    は高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリッ
    クスの網目内に液晶滴が分散保持されたものであり、 前記高分子分散型液晶表示素子の電圧・透過率特性にお
    ける素子温度30℃での透過率90%の電圧値をV90
    とし、前記一対の基板の間隔をdとし、前記液晶滴の平
    均粒径をRとしたとき、(V90×R)/dの値が0.
    7以上である、ことを特徴とする高分子分散型液晶表示
    素子。
  31. 【請求項31】 前記液晶滴内の液晶分子の配向状態
    が、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に少なくとも2
    つの極を有するバイポーラ型であることを特徴とする、
    請求項30に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  32. 【請求項32】 前記電極に電圧を印加しないとき、液
    晶滴と高分子化合物との界面近傍に位置する液晶分子の
    前記界面に対するチルト角が、10度以下である、請求
    項31に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  33. 【請求項33】 前記バイポーラ型の配向形態が、前記
    液晶の透明点転移温度をTnとするとき、少なくとも当
    該素子の使用温度が5℃から(Tn−5)℃の温度範囲
    内にある場合において維持されていることを特徴とす
    る、請求項31に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  34. 【請求項34】 前記電極に電圧を印加しないとき、液
    晶滴と高分子化合物との界面近傍に位置する液晶分子の
    前記界面に対するチルト角が、10度以下である、請求
    項33に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  35. 【請求項35】 前記バイポーラ型の配向形態が、前記
    液晶の透明点転移温度をTnとするとき、当該素子の使
    用温度が0℃から(Tn−5)℃の温度範囲内にある場
    合において維持されていることを特徴とする、請求項3
    0に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  36. 【請求項36】 前記電極に電圧を印加しないとき、液
    晶滴と高分子化合物との界面近傍に位置する液晶分子の
    前記界面に対するチルト角が、10度以下である、請求
    項35に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  37. 【請求項37】 前記バイポーラ型の配向形態が、前記
    液晶の透明点転移温度をTnとするとき、当該素子の使
    用温度が−5℃から(Tn−5)℃の温度範囲内にある
    場合において維持されていることを特徴とする、請求項
    31に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  38. 【請求項38】 前記電極に電圧を印加しないとき、液
    晶滴と高分子化合物との界面近傍に位置する液晶分子の
    前記界面に対するチルト角が、10度以下である、請求
    項37に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  39. 【請求項39】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の
    基板の間に、液晶と高分子前駆体を含む液晶高分子前駆
    体相溶液を配置した後、前記基板面に紫外線を照射し
    て、前記液晶高分子前駆体相溶液中の液晶と高分子前駆
    体とを相分離させることにより、高分子マトリックス中
    に液晶滴が分散保持された高分子分散型液晶を作製する
    相分離工程を備える高分子分散型液晶表示素子の製造方
    法において、 前記紫外線を照射する際における前記液晶高分子前駆体
    相溶液の液温を、前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分
    離温度よりも高い温度にすることを特徴とする高分子分
    散型液晶表示素子の製造方法。
  40. 【請求項40】 前記液晶高分子前駆体相溶液の液温を
    前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度よりも2℃
    〜15℃高い温度にすることを特徴とする、請求項39
    に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  41. 【請求項41】 前記紫外線の照射強度を100mW/
    cm2 以上とすることを特徴とする、請求項39に記載
    の高分子分散型液晶表示素子の製造方法
  42. 【請求項42】 前記液晶高分子前駆体相溶液の液温を
    前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度よりも3℃
    〜13℃高い温度とすると共に、前記紫外線の照射強度
    を160mW/cm2 〜400mW/cm2 とすること
    を特徴とする、請求項39に記載の高分子分散型液晶表
    示素子の製造方法。
  43. 【請求項43】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の
    基板の間に、液晶滴が高分子化合物を含み構成されたマ
    トリックス連続相中に分散保持され、または液晶滴が高
    分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリックス
    の網目内に分散保持された高分子分散型液晶が挟持され
    た高分子分散型液晶表示素子であり、前記電極に電圧が
    印加されていないときにおける前記液晶滴内の液晶分子
    の配向形態が、液晶滴と高分子化合物との界面近傍に少
    なくとも2つの極を有するバイポーラ型であり、当該高
    分子分散型液晶表示素子に使用されている液晶の透明点
    転移温度をTnとするとき、当該素子の使用温度が5℃
    から(Tn−5)℃の温度範囲内でバイポーラ型の配向
    形態が維持される高分子分散型液晶表示素子の製造方法
    であって、 液晶と高分子前駆体を含む液晶高分子前駆体相溶液を一
    対の基板の間に配置し、前記液晶高分子前駆体相溶液の
    液温を前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度より
    も高い温度に維持した状態で、前記液晶高分子前駆体相
    溶液に紫外線を照射して、液晶と高分子化合物とを相分
    離させることを特徴とする高分子分散型液晶表示素子の
    製造方法。
  44. 【請求項44】 前記液晶高分子前駆体相溶液の液温を
    前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度よりも2℃
    〜15℃高い温度とし、かつ前記紫外線の照射強度を1
    00mW/cm2 以上とすることを特徴とする、請求項
    43に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法
  45. 【請求項45】 前記液晶高分子前駆体相溶液の液温を
    前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度よりも6℃
    〜13℃高くし、かつ前記紫外線の照射強度を160m
    W/cm2 〜400mW/cm2 とすることを特徴とす
    る、請求項43に記載の高分子分散型液晶表示素子の製
    造方法。
  46. 【請求項46】 前記液晶高分子前駆体相溶液が、単官
    能アクリレートおよび/または多官能アクリレートを含
    むものである、請求項39ないし45に記載の高分子分
    散型液晶表示素子の製造方法。
  47. 【請求項47】 前記単官能アクリレートが、イソステ
    アリルアクリレートであり、 前記多官能アクリレートが、トリエチレングリコールジ
    アクリレート、PEG#200ジアクリレート、PEG
    #400ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジア
    クリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
    ト、トリメチロールプリパントリアクリレート、ペンタ
    エリスリトールトリアクリレート、及び下記化学式1で
    表される2官能ウレタンアクリレートよりなる群から選
    択される1種以上である、請求項46に記載の高分子分
    散型液晶表示素子の製造方法。化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
    n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
  48. 【請求項48】 内側面にそれぞれ電極を備えた一対の
    基板の間に、液晶滴が高分子化合物を含み構成されたマ
    トリックス連続相中に分散保持され、または液晶滴が高
    分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリックス
    の網目内に分散保持された高分子分散型液晶が挟持され
    た高分子分散型液晶表示素子であり、前記高分子分散型
    液晶表示素子の電圧・透過率特性における素子温度30
    ℃での透過率90%の電圧値をV90とし、前記一対の
    基板の間隔をdとし、前記液晶滴の平均粒径をRとした
    とき、(V90×R)/dの値が0. 7以上である高分
    子分散型液晶表示素子を製造する方法であって、液晶と
    高分子前駆体を含む液晶高分子前駆体相溶液を一対の基
    板の間に配置し、前記液晶高分子前駆体相溶液の液温を
    前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度よりも高い
    温度に維持した状態で、前記液晶高分子前駆体相溶液に
    紫外線を照射して、液晶と高分子前駆体とを相分離させ
    ることを特徴とする高分子分散型液晶表示素子の製造方
    法。
  49. 【請求項49】 前記液晶高分子前駆体相溶液の液温を
    前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度よりも2℃
    〜15℃高い温度とし、かつ前記紫外線の照射強度を1
    00mW/cm2 以上とすることを特徴とする、請求項
    48に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  50. 【請求項50】 前記液晶高分子前駆体相溶液の液温を
    前記液晶高分子前駆体相溶液の熱相分離温度よりも6℃
    〜13℃高い温度とすると共に、前記紫外線の照射強度
    を160mW/cm2 〜400mW/cm2 とすること
    を特徴とする、請求項48に記載の高分子分散型液晶表
    示素子の製造方法。
  51. 【請求項51】 前記液晶高分子前駆体相溶液が、単官
    能アクリレートおよび/または多官能アクリレートを含
    むものであることを特徴とする、請求項48ないし50
    に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  52. 【請求項52】 前記単官能アクリレートが、イソステ
    アリルアクリレートであり、 前記多官能アクリレートが、トリエチレングリコールジ
    アクリレート、PEG#200ジアクリレート、PEG
    #400ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジア
    クリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
    ト、トリメチロールプリパントリアクリレート、ペンタ
    エリスリトールトリアクリレート、及び下記化学式1で
    表される2官能ウレタンアクリレートよりなる群から選
    択される1種以上である、ことを特徴とする請求項51
    に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。化学式1 CH2 =CHCOO-R'-OOCNH-(R-NHCOO-( ポリオール)-OOCNH)
    n-R-NHCOO-R'-OCOCH =CH2 但し、nは整数。
  53. 【請求項53】 高分子化合物を含み構成されたマトリ
    ックス連続相中に液晶滴が分散保持され、または高分子
    化合物を含み構成された三次元網目状マトリックスの網
    目内に液晶滴が分散保持されてなる高分子分散型液晶
    が、内側面にそれぞれ電極を備える一対の基板の間に挟
    持された高分子分散型液晶表示素子において、 前記高分子分散型液晶表示素子は、素子の静電容量比率
    を下記式3−3で定義するとき、光の素子透過率が10
    %以上となる電圧において、前記静電容量比率が60%
    以上となるように構成されていることを特徴とする高分
    子分散型液晶表示素子。 静電容量比率=(素子に任意の電圧を印加したときの静
    電容量/電圧印加における最大の静電容量)×100─
    式3−3
  54. 【請求項54】 前記最大印加電圧が10V以上である
    ことを特徴とする、請求項53に記載の高分子分散型液
    晶表示素子。
  55. 【請求項55】 液晶滴が高分子化合物を含み構成され
    たマトリックス連続相中に分散保持され、または液晶滴
    が高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリッ
    クスの網目内に分散保持されてなる高分子分散型液晶
    が、内側面にそれぞれ電極を備える一対の基板の間に挟
    持された高分子分散型液晶表示素子において、 電圧−静電容量特性の任意の印加電圧Vにおける昇電圧
    過程の静電容量をC1、降電圧過程の静電容量をC2、
    最大印加電圧時の静電容量をCmax とし、前記高分子分
    散型液晶表示素子の使用温度における静電容量ヒステリ
    シスChys を、Chys =(C2−C1)/Cmax で定義
    したとき、任意の印加電圧Vにおける前記Chys が1.
    5%以下であることを特徴とする高分子分散型液晶表示
    素子。
  56. 【請求項56】 前記液晶の透明点転移温度をTnとし
    たとき、前記素子の使用温度が5℃〜(Tn−5)℃の
    温度範囲で、前記Chys が1. 5%以下である、請求項
    55に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  57. 【請求項57】 前記液晶の透明点転移温度をTnとし
    たとき、前記素子の使用温度が0℃〜(Tn−5)℃の
    温度範囲で、前記Chys が1. 5%以下である、請求項
    55に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  58. 【請求項58】 前記液晶の透明点転移温度をTnとし
    たとき、前記素子の使用温度が−5℃〜(Tn−5)℃
    の温度範囲で、前記Chys が1. 5%以下である、請求
    項55に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  59. 【請求項59】 前記最大印加電圧が、10V以上であ
    る、請求項55ないし58に記載の高分子分散型液晶表
    示素子。
  60. 【請求項60】 液晶滴が高分子化合物を含み構成され
    たマトリックス連続相中に分散保持され、または液晶滴
    が高分子化合物を含み構成された三次元網目状マトリッ
    クスの網目内に分散保持されてなる高分子分散型液晶
    が、内側面にそれぞれ電極を備える一対の基板の間に挟
    持された高分子分散型液晶表示素子において、 電圧・透過率特性の任意の印加電圧Vにおける昇電圧過
    程の透過光強度をP1、降電圧過程の透過光強度をP
    2、最大印加電圧時の透過光強度をPmax とし、前記高
    分子分散型液晶表示素子の使用温度範囲における光学ヒ
    ステリシスThysを、Thys =(P2ーP1)/Pmax
    で定義し、さらに電圧・静電容量特性の任意の印加電圧
    Vにおける昇電圧過程の静電容量をC1、降電圧過程の
    静電容量をC2、最大印加電圧時の静電容量をCmax と
    し、前記高分子分散型液晶表示素子の使用温度における
    静電容量ヒステリシスChys を、Chys =(C2−C
    1)/Cmax で定義したとき、 前記Thys が最大値を与える印加電圧における前記Chy
    s の値が0. 6%以下であることを特徴とする高分子分
    散型液晶表示素子。
  61. 【請求項61】 前記液晶の透明点転移温度をTnとし
    たとき、前記素子の使用温度が5℃〜(Tn−5)℃の
    温度範囲で、前記Chys の値が0. 6%以下である、請
    求項60に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  62. 【請求項62】 前記液晶の透明点転移温度をTnとし
    たとき、前記素子の使用温度が0℃〜(Tn−5)℃の
    温度範囲で、前記Chys の値が0. 6%以下である、請
    求項60に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  63. 【請求項63】 前記液晶の透明点転移温度をTnとし
    たとき、前記素子の使用温度が−5℃〜(Tn−5)℃
    の温度範囲で、前記Chys の値が0. 6%以下である、
    請求項60に記載の高分子分散型液晶表示素子。
  64. 【請求項64】 前記最大印加電圧が、10V以上であ
    る、請求項60ないし63に記載の高分子分散型液晶表
    示素子。
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JP31033596 1996-11-21
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JP34101396 1996-12-20
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100491324B1 (ko) * 2001-08-28 2005-05-24 엔이씨 엘씨디 테크놀로지스, 엘티디. 액정표시장치
JP2006276649A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Dainippon Ink & Chem Inc 高分子分散型液晶表示素子用組成物及び高分子分散型液晶表示素子
JP2020523645A (ja) * 2017-07-27 2020-08-06 サン−ゴバン グラス フランス コロナ効果を低減するための所定の液滴粒径分布を有するpdlcフィルムを有する乗り物ウィンドウペイン

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