JPH10223250A - 電 池 - Google Patents

電 池

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JPH10223250A
JPH10223250A JP9037181A JP3718197A JPH10223250A JP H10223250 A JPH10223250 A JP H10223250A JP 9037181 A JP9037181 A JP 9037181A JP 3718197 A JP3718197 A JP 3718197A JP H10223250 A JPH10223250 A JP H10223250A
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negative electrode
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活物質が液体や気体である電池を、簡単な構
成で汎用的な実用電池とすることである。 【解決手段】 両化学電池セル1A,1Bを導通部材6
により直列接続する。第1の化学電池セル1Aの正極2
Aを、電解液4A中のイオンを還元してガス化する第1
の触媒で構成する。第2の化学電池セル1Bの負極2B
を、上記正極2Aより放出されたガスを酸化しイオン化
せしめる第2の触媒で構成して上記ガスを負極活物質と
することで、第1の化学電池セル1Aの電解液4A中の
イオンを、両化学電池セル1A,1Bの電解液4A等の
混合を生じないで実質的に第2の化学電池セル1Bへ移
動せしめる。また第2の化学電池セル1Bは第1の化学
電池セル1Aから活物質の供給を受け、これを蓄える高
圧容器等を不要とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電池に関し、特に液
体や気体の活物質を用いた化学電池に関する。
【0002】
【従来の技術】化学電池は電解液に正負一対の活物質を
接触せしめたもので、電池反応は正極および負極の活物
質における酸化還元反応である。化学電池としては、車
載バッテリとして用いられる鉛蓄電池がよく知られてい
る。これは電解液として希硫酸(H2 SO4(aq) )を用
い、正極活物質として二酸化鉛(Pb O2 )を、負極活
物質として鉛(Pb )を用いているが、活物質はいずれ
も固体である。
【0003】電池によっては、活物質は固体の他、液体
や気体のものがある。活物質に液体を用いたものではダ
ニエル電池がある。これは電解液として希硫酸(H2
4(aq) )を用い、正極活物質として硫酸銅溶液(Cu
SO4(aq) )を用いている。負極活物質は固体の亜鉛
(Zn )である。
【0004】活物質に気体を用いたものでは高圧型ニッ
ケル・水素蓄電池がある。これは電解液として水酸化カ
リウム溶液(KOH(aq))を用い、負極活物質である水
素ガス(H2(g))が負極である白金(Pt )触媒電極よ
り吸収されるようになっている。正極活物質は固体であ
るオキシ水酸化ニッケル(Ni OOH)である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで現在広く用い
られているのは、上記鉛蓄電池のように正負両極とも活
物質を固体としたものである。その理由としては、上記
ダニエル電池のように活物質を液体としたものでは、と
もに液体である電解液と活物質とを分離すること、およ
び充放電時に特定のイオンだけを通すことを目的とする
セパレータが設けられるが、この目的を十分に果たすも
のがないためである。例えばダニエル電池のセパレータ
として素焼きの陶器製のものが知られているが、時間と
ともに電解液(H2 SO4(aq) )と正極活物質溶液(C
u SO4(aq) )とが混合し自己放電を起こしてしまうと
いう問題がある。
【0006】また上記高圧型ニッケル・水素蓄電池のよ
うに活物質を気体としたものでは、活物質となる水素等
のガスを蓄える安全な耐圧容器や水素吸蔵合金等が必要
で、低廉で簡単な構成の電池とするには難があり、汎用
的ではないものが多いことが挙げられる。
【0007】しかしながら電池の用途が拡がっている今
日、実用的な電池の種類を増やして選択の幅を拡げるに
は、活物質が固体のみである電池だけではなく、活物質
が液体や気体で上記のような問題点のない電池の開発が
望まれている。
【0008】そこで本発明は、活物質が液体や気体で、
しかも汎用的に用い得る電池を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明で
は、電池は2種類の化学電池セルを具備する構成とす
る。第1の化学電池セルは、その正極を、電解液中のイ
オンを還元してガス化する第1の触媒で構成する。第2
の化学電池セルは、その負極を、上記正極より放出され
たガスを吸収して酸化しイオン化せしめる第2の触媒で
構成して上記ガスを負極活物質とする。第1の化学電池
セルの正極における上記ガスの放出面と第2の化学電池
セルの負極における上記ガスの吸収面とを壁面の一部と
して密閉室を設ける。第1の化学電池セルの正極と第2
の化学電池セルの負極とを導通せしめて上記両化学電池
セルを直列接続し、第1の化学電池セルの負極と第2の
化学電池セルの正極とを放電用または充電用の電極とす
る。
【0010】第1の化学電池セルではその電池反応によ
り正極からガスが発生し、第2の化学電池セルではその
電池反応は上記ガスを負極活物質として使う。本発明の
電池より取り出される起電力は両化学電池セルの起電力
の和として与えられる。
【0011】電池反応により第1の電気化学セルの電解
液中のイオンが実質的に第1の化学電池セルから第2の
化学電池セルへと移動することになるが、一旦ガス化し
てから第2の化学電池セルの負極へ吸収されるため、第
1の化学電池セルの電解液と、第2の化学電池セルの電
解液もしくは正極活物質溶液とが混合しない。また第2
の化学電池セルは負極活物質となるガスが第1の化学電
池セルより供給されるためガスを蓄える高圧容器が不要
である。
【0012】請求項2記載の発明では、絶縁材で形成し
た密閉容器体の内部を、絶縁材の仕切り壁により左右に
2槽に分割する。上記第1の化学電池セルを、一方の槽
に満たした電解液と、板状かつガス流通可能に形成した
上記第1の触媒をその下面側で電解液に浸漬せしめてな
る正極と、上記電解液中に浸漬せしめた負極とで構成す
る。上記第2の化学電池セルを、他方の槽に満たした電
解液もしくは正極活物質溶液と、板状かつガス流通可能
に形成した第2の触媒をその下面側で浸漬せしめてなる
負極と、上記電解液もしくは正極活物質溶液中に浸漬せ
しめた正極とで構成する。上記第1の触媒と第2の触媒
とを導通部材により接続して両化学電池セルを直列接続
する。
【0013】かかる構成では、第1の化学電池セルの正
極の上面および第2の化学電池セルの負極の上面が電解
液等の液面より上側となって第1の化学電池セルの正極
の上面が上記ガスの放出面となり、第2の化学電池セル
の負極の上面が上記ガスの吸収面となる。そして上記密
閉容器の内部は、第1の化学電池セルの正極の上面およ
び第2の化学電池セルの負極の上面より上側が上記密閉
室となる。第1の化学電池セルの正極の上面および第2
の化学電池セルの負極の上面が電解液等の液面より上側
にあるから、第1および第2の触媒は多孔性板状のもの
とせずとも繊維状のものや多数の流通孔を形成したもの
であれば、電池反応を充分促進することができる。
【0014】請求項3記載の発明では、第1および第2
の触媒を多孔性触媒で構成しかつ板状に形成して、これ
により、絶縁材で形成した密閉容器体の内部を相隣れる
3室に液密に分割する。第1の化学電池セルを、第1の
触媒と上記密閉容器体とで形成した第1の室に満たした
電解液と、上記第1の触媒でなる正極と、電解液中に浸
漬した負極とで構成する。第2の化学電池セルを、第2
の触媒と上記密閉容器体とで形成した第2の室に満たし
た電解液もしくは正極活物質溶液と、第2の触媒でなる
負極と、電解液もしくは正極活物質溶液中に浸漬した正
極とで構成する。上記第1の触媒と第2の触媒とを導通
部材により接続して両化学電池セルを直列接続する。
【0015】かかる構成では、上記密閉室は、上記第1
および第2の触媒と上記密閉容器体とで形成され、第1
の触媒は、密閉室内に向いた面が上記ガスの放出面とな
り、第2の触媒は、密閉室内に向いた面が上記ガスの吸
収面となる。第1の化学電池セルの正極および第2の化
学電池セルの負極を多孔性触媒とすることにより、上記
第1および第2の室から電解液等が第1の化学電池セル
の正極または第2の化学電池セルの負極より密閉室側へ
漏れることを防止し、電池の姿勢があまり制限を受けな
い。また電解液等を満たす室は、隔壁を別に設けること
なく、板状に形成した第1および第2の触媒により正
極、負極と兼用に形成されるから電池の構成が簡単にで
きる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)図1に本発明の電池を示す。この電池
は第1の化学電池セル1Aと第2の化学電池セル1Bと
が密閉容器体たる矩形のケーシング5により一体構成と
なっている。ケーシング5は絶縁材たる耐酸性の電気絶
縁樹脂で構成されたもので、実質的に密閉構造のもので
ある。ケーシング5内は、底壁面501より仕切り壁5
02が立設し、左右に2つの槽51A,51Bが形成し
てある。仕切り壁502の高さは、ケーシング5上壁面
503との間があく高さとしてある。
【0017】仕切り壁502により分割される一方の槽
(図例では左側)51Aには、上側に第1の化学電池セ
ル1Aの正極2Aが設けてある。正極2Aは白金(Pt
)綿を四角形に成形したもので、槽51Aに蓋をして
いる。
【0018】槽51A内には第1の化学電池セル1Aの
負極3Aが収容してある。負極3Aは亜鉛(Zn )製
で、水平板31Aに複数の平行に並べた縦板32Aが結
合され、第1の化学電池セル1Aの負極活物質となる。
負極3Aの形状を、複数の縦板32Aを有するものとす
ることにより、負極3Aの表面積を大きくし活物質であ
るZn の溶出が十分に行われるようになっている。負極
3Aは、ケーシング5の側壁504と対向位置にある縦
板32Aから水平に棒状部33Aが延び、ケーシング側
壁504を貫通してケーシング5外に突出している。棒
状部33Aの突出部331Aがこの電池の負側の端子3
31Aとなる。
【0019】槽51Aには、図略の電解液注入口より電
解液4Aとして希硫酸(H2 SO4(aq) )が注入され
る。電解液4Aは、これに正極2Aが下面22A側で浸
漬し正極2Aの上面21Aが電解液4A液面(図中、破
線で示す)よりも上側となるように注入量を設定する。
【0020】ケーシング5内の他方の槽(図例では右
側)51Bには、第2の化学電池セル1Bの負極2Bと
して第1の化学電池セル1Aの正極2Aと同じ形状、形
態の触媒が設けてある。
【0021】槽51B内には第2の化学電池セル1Bの
正極3Bが設けてある。正極3Bは第1の化学電池セル
1Aの負極3Aと略同形の銅(Cu )製部材で、ケーシ
ング5の側壁505と対向位置にある縦板32Bから水
平に棒状部33Bが延びケーシング5の側壁505を貫
通してケーシング5外に突出している。棒状部33Bの
突出部331Bがこの電池の正側の端子331Bとな
る。
【0022】槽51Bには図略の注入口より正極活物質
溶液4Bとして硫酸銅溶液(Cu SO4(aq) )が注入さ
れる。正極活物質溶液4Bは、これに負極2Bが下面2
2B側で浸漬し負極4Bの上面21Bが正極活物質溶液
4B液面(図中、破線で示す)よりも上側となるように
注入量を設定する。
【0023】第1の化学電池セル1Aの正極2A、第2
の化学電池セル1Bの負極2Bにはそれぞれこれらの仕
切り壁502側の端縁に厚肉部23A,23Bが形成し
てあり、厚肉部23A,23Bをともに断面コ字状の導
通部材6が挟んでいる。導通部材6はCu や鉄(Fe )
等の導電材に白金メッキを施したもので、第1の化学電
池セル1Aの正極2Aと第2の化学電池セル1Bの負極
2Bと導通せしめており、両化学電池セル1A,1Bが
直列接続となる。
【0024】上記電池の作動を説明する。図2は上記電
池における電池反応を説明するための上記電池の概要図
で、第1の化学電池セル1Aはいわゆるボルタ電池と呼
ばれる構成と同じであり、負極3AのZn (s) が負電荷
を放出しZn 2+となって電解液4A中に溶出する。この
ため電解液4A中のH3 + が正極2Aに移動して白金
綿の表面においてその触媒作用で還元しH2(g)となって
正極2Aの上面21Aより放出される。この反応は式
(1)により表される(右向き矢印が放電時の反応を、
左向き矢印が充電時の反応を示す。以下、同じ)。この
反応により第1の化学電池セル1Aの正負両極2A,3
A間に発生する起電力は標準電極電位等より知られ、
0.763Vとなる。
【0025】
【化1】
【0026】一方、第2の化学電池セル1Bでは、第1
の化学電池セル1Aの正極2Aにおいて発生したH2(g)
が、ケーシング5、第1の化学電池セル1Aの正極2A
および第2の化学電池セル1Bの負極2Bで形成される
密閉室52から漏れることなく負極2Bに達し、その白
金綿表面において酸化し、再びH3 + となって正極活
物質溶液4B中に溶け込むと同時に正極3BではCu が
析出する。すなわち第2の化学電池セル1Bでは式
(2)の反応が進行する。
【0027】
【化2】
【0028】この反応により正負両電極2B,3B間に
発生する起電力は0.347Vである。
【0029】しかして電池全体では、起電力は第1およ
び第2の化学電池セル1A,1Bにより発生する起電力
の和として1.11Vが得られる。
【0030】ここで式(1),(2)を整理すると式
(3)となる。
【0031】
【化3】
【0032】これは負極においてZn (s) が溶出し、正
極においてCu (s) が析出する、従来のダニエル電池の
電池反応である。つまり図2中、破線で囲んだ部分はダ
ニエル電池におけるセパレータとして作用している。し
かし素焼き陶器等で作られた従来のダニエル電池のセパ
レータは、電解液であるH2 SO4(aq) と正極活物質溶
液であるCu SO4(aq) とが混合するのに対し、本発明
の電池における破線で囲んだ部分は、第1の化学電池セ
ル1Aの電解液4Aの特定のイオン(H+ (液中ではH
3 + イオン))だけが一旦ガス化して第2の化学電池
セル1Bの正極活物質溶液4BであるCu SO4(aq)
移動し、従来のダニエル電池のように電解液と正極活物
質溶液との混合により自己放電してしまうという問題が
ない。
【0033】なお充電する場合には、電池の正負の端子
331A,331B間に正端子331Bを正として1.
11V以上の電圧を印加することにより、式(1),
(2)の左向き矢印の反応が進行し、第1および第2の
化学電池セル1A,1Bがともに充電される。
【0034】(第2実施形態)図3は本発明の第2の電
池の概要図で、図中、図1、図2と実質的に同じ作用を
するものについては同一の番号を付し、第1実施形態と
の相違点を中心に説明する。この電池は、形状が図1の
ものと同じで、相違点は主に電極等の材質である。第2
の化学電池セル1Cの正極3Cは、オキシ水酸化ニッケ
ル(Ni OOH)層が形成されたCu で、Ni OOHが
正極活物質となる。電解液4CとしてKOH(aq)(KO
H:少量添加)が用いられている。したがってケーシン
グは耐酸性および耐アルカリ性の材質のものが用いられ
る。
【0035】この電池では、正極活物質であるNi OO
Hが正電荷を放出して加水反応し電解液4C中に溶出す
る。負極2Bの白金綿の表面では、第1の化学電池セル
1Aにおいて発生したH2(g)がOH- と反応してH2
となって吸収され、式(4)の右向き矢印の電池反応が
進行する。この反応により第2の化学電池セル1Cの正
負両極2B,3C間には、約1.35Vの起電力が発生
する。
【0036】
【化4】
【0037】しかして電池全体では、起電力は、第1お
よび第2の化学電池セル1A,1Cにより発生する起電
力の和として2.11Vが得られる。充電する場合に
は、電池の正負極3A,3C間に正極3Cを正として
2.11V以上の電圧を印加することにより、式
(1),(4)の左向き矢印の反応が進行し、第1およ
び第2の化学電池セル1A,1Cがともに充電される。
【0038】ところで第2の化学電池セル1Cはすでに
述べた高圧型ニッケル・水素蓄電池と同様の構成であ
る。本発明の電池では、高圧型ニッケル・水素蓄電池に
おいて負極活物質となるH2(g)は第1の化学電池セル1
Aにおいて電池反応により発生したものであり、しかも
発生したH2(g)と等量のH2(g)が第2の化学電池セル1
Cの負極2Bより吸収されるから、H2(g)を蓄える高圧
容器等の特殊な部材が不要である。すなわち本発明の電
池は、従来のニッケル・水素蓄電池の汎用性を高めた電
池ということができる。
【0039】なお第1の化学電池セル1Aにおいて負極
3AをZn で構成したが、鉄(Fe)でもよい。この場
合、第1の化学電池セル1Aにおける起電力は0.44
Vであるから、電池全体としては第2の化学電池セル1
Cと合わせて1.79Vの起電力が得られることにな
る。
【0040】(第3実施形態)図4に本発明の第3の電
池の概要図を示す。図中、図3と実質的に同じ作用をす
るものについては同一の番号を付し、第2実施形態との
相違点を中心に説明する。この電池は図3に示した第2
の電池において、第1の化学電池セルを別の構成とした
ものであり、相違点は主に電極等の材質である。図4に
おいて、第1の化学電池セル1Dは、負極3Dがカルシ
ウム(Ca )で、負極活物質でもある。電解液4Dとし
て硝酸溶液(HNO3(aq) )が用いられている。
【0041】負極3DのCa (s) が負電荷を放出しCa
2+となって電解液4D中に溶出し、電解液4D中のH3
+ が正極2Aの白金綿の表面においてその触媒作用で
還元しH2(g)となって正極2Aより放出される。この反
応は式(5)により表される。この反応により第1の化
学電池セル1Dの正負両極2A,3D間に2.866V
の起電力が発生する。
【0042】
【化5】
【0043】しかして電池全体では、起電力は、第1お
よび第2の化学電池セル1D,1Cにより発生する起電
力の和として約4.2Vが得られる。充電する場合に
は、電池の正負極3D,3C間に第2の化学電池セル1
Cの正極3Cを正として約4.2V以上の電圧を印加す
ることにより、式(4),(5)の左向き矢印の反応が
進行し、第1および第2の化学電池セル1D,1Cがと
もに充電される。
【0044】(第4実施形態)図5は本発明の第4の電
池を示すもので、図中、図1と実質的に同じ作用をする
部分については同一番号を付し、第1実施形態との相違
点を中心に説明する。この電池は第1の化学電池セル1
Eと第2の化学電池セル1Fとを密閉容器体たる矩形の
ケーシング7に一体構成したものである。ケーシング7
は絶縁材たる耐酸性の電気絶縁樹脂で構成されたもの
で、実質的に密閉構造のものである。ケーシング7内
は、2つの隔壁2E,2Fにより相隣れる3つの室71
E,71F,72に分割してある。隔壁2E,2Fはケ
ーシング7の内壁面に形成された段部702および後述
する導通部材8により位置決めされるとともに、ケーシ
ング7との接触面積を増やすことで室71E,71F,
72が液密に分割される。
【0045】隔壁2E,2Fはニッケル、炭素等の多孔
質導電材に白金の触媒層が形成された多孔性触媒を平板
状に成形したもので、一方の隔壁(図例では左側)2E
が第1の化学電池セル1Eの正極2Eとなり、他方の隔
壁(図例では右側)2Fが第2の化学電池セル1Fの負
極2Fとなる。
【0046】第1の化学電池セル1Eは、第1の触媒で
かつ隔壁でもある隔壁2Eとケーシング7とで形成され
る室(図例では左側の室)71Eに亜鉛製の負極3Eが
設けてある。負極3Eは第1実施形態における第1の化
学電池セル1Aの負極3Aと実質的に同じもので、水平
板31Eと結合した縦板32Eからは棒状部33Eが水
平に延びケーシング側壁704を貫通しこれより突出し
ている。棒状部33Eの突出部331Eがこの電池の負
側の端子331Eとなる。
【0047】第1の室71Eには図略の注入口より電解
液4EたるH2 SO4(aq) 溶液が注入され、この中に負
極3Eが浸漬する。
【0048】第2の化学電池セル1Fは、第2の触媒で
かつ隔壁でもある2Fとケーシング7とで形成される第
2の室(図例では右側)71Fに、第1の化学電池セル
1Eの負極3Eと略同形で銅製の正極3Fが設けてあ
る。正極3Fは第1実施形態における第2の化学電池セ
ル1Bの正極3Bと実質的に同じもので、水平板31F
と結合した縦板32Fからは棒状部33Fが水平に延び
ケーシング側壁705を貫通しこれより突出している。
棒状部33Fの突出部331Fがこの電池の正側の端子
331Fとなる。
【0049】第2の室71Fには図略の注入口より第2
の化学電池セル1Fの正極活物質溶液4FとしてCu S
4(aq) が注入される。
【0050】第1の化学電池セル1Eの正極2E、第2
の化学電池セル1Fの負極2Fおよびケーシング7とで
形成された密閉室たる第3の室72には、ケーシング7
の壁面701に沿って金属枠8が嵌めてある。金属枠8
は銅や鉄又は白金等の導電性の細長い長方形の金属板を
ロ字状の枠に加工したもので、一方の側縁81が第1の
化学電池セル1Eの正極2Eと圧接し、他方の側縁82
が第2の化学電池セル1Fの負極2Fと圧接し、これら
正極2Eと負極2Fとを導通せしめる導通部材8として
ある。導通部材8により第1の化学電池セル1Eの正極
2Eと第2の化学電池セル1Fの負極2Fとが導通する
ことで、第1の化学電池セル1Eと第2の化学電池セル
1Fとが直列に接続される。起電力は第1の化学電池セ
ル1Eの負極3Eの突出部331Eと第2の化学電池セ
ル1Fの正極3Fの突出部331Fとから取り出され
る。
【0051】かかる構造でも第1の実施形態のごとく、
第1の化学電池セル1Eの電池反応により生じたH2(g)
が正極2Eの第3の室72内に向いた面(放出面)21
Eより放出され、第2の化学電池セル1Fの負極2Fの
第3の室72内に向いた面(吸収面)21Fより吸収さ
れて第2の化学電池セル1Fにおける電池反応の負極活
物質として供給される。本実施形態では、第1の化学電
池セル1Eの正極2Eと第2の化学電池セル1Fの負極
2Fとに多孔性触媒を用いることで、液相領域である第
1、第2の室71E,71Fに満たされているH2 SO
4(aq) 、Cu SO4(aq) が気相領域である第3の室72
内へ漏出することが防止され、電池の姿勢が限定される
ことなく広範囲の用途に用いることができる。
【0052】なお本実施形態では、第1実施形態のよう
にダニエル電池型の構成物質としたが、本実施形態の第
2の化学電池セルを、第2実施形態の第2の化学電池セ
ルの構成物質としてもよい。また本実施形態の第1の化
学電池セルを、第3実施形態の第1の化学電池セルの構
成物質としてもよく、任意に第1の化学電池セルと第2
の化学電池セルの組み合わせを工夫してもよい。
【0053】多孔性触媒は本実施形態のものに限定され
るものではなく電解液中のイオンを酸化還元し得る材質
の触媒であれば用いられ得る。また第1の化学電池セル
の触媒と第2の化学電池セルの触媒とが種類の異なる構
成としてもよい。
【0054】また上記各実施形態の電池は、これを直列
に複数接続して高い電圧を取り出す構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の電池の一部破壊斜視図である。
【図2】本発明の第1の電池の概要図である。
【図3】本発明の第2の電池の概要図である。
【図4】本発明の第3の電池の概要図である。
【図5】本発明の第4の電池の一部破壊斜視図である。
【符号の説明】
1A,1D,1E 第1の化学電池セル 1B,1C,1F 第2の化学電池セル 2A,3B,3C,2E,3F 正極 21A 上面(放出面) 21E 面(放出面) 3A,2B,3D,3E,2F 負極 21B 上面(吸収面) 21F 面(吸収面) 4A,4C,4D,4E 電解液 4B,4F 正極活物質溶液 5,7 ケーシング(密閉容器体) 502 仕切り壁 51A,51B 槽 71E,71F 室 52,72 密閉室 6,8 導通部材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年3月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】槽51Bには図略の注入口より正極活物質
溶液4Bとして硫酸銅溶液(CuSO4(aq))が注
入される。正極活物質溶液4Bは、これに負極2Bが下
面22B側で浸漬し負極2Bの上面21Bが正極活物質
溶液4B液面(図中、破線で示す)よりも上側となるよ
うに注入量を設定する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】一方、第2の化学電池セル1Bでは、第1
の化学電池セル1Aの正極2Aにおいて発生したH
2(g)が、ケーシング5、第1の化学電池セル1Aの
正極2Aおよび第2の化学電池セル1Bの負極2Bで形
成される密閉室52から漏れることなく負極2Bに達
し、その白金綿表面において酸化し、再びHとな
って正極活物質溶液4B(CuSO4(aq))中に溶
け込む(Hが正極2Aに正の電荷を放出してH
2(g)を発生する反応と、H2(g)が負極2Bで酸
化され(正の電荷をもらい)再びHとなる反応
は、正極2Aと負極2Bは導通部材6で電気的に接続さ
れているので、可逆反応となる)。また元素Cuは、常
温では金属状態の方が安定している物質であるので、負
極2BでHが発生することにより、正極活物質溶
液4B(CuSO4(aq))のCu2+は、正極3B
で金属Cuとして析出する。すなわち第2の化学電池セ
ル1Bでは式(2)の反応が進行する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種類の化学電池セルを具備し、第1の
    化学電池セルは、その正極を、電解液中のイオンを還元
    してガス化する第1の触媒で構成し、第2の化学電池セ
    ルは、その負極を、上記正極より放出されたガスを吸収
    して酸化しイオン化せしめる第2の触媒で構成して上記
    ガスを負極活物質とし、第1の化学電池セルの正極にお
    ける上記ガスの放出面と第2の化学電池セルの負極にお
    ける上記ガスの吸収面とを壁面の一部とする密閉室を設
    け、かつ第1の化学電池セルの正極と第2の化学電池セ
    ルの負極とを導通せしめて上記両化学電池セルを直列接
    続し、第1の化学電池セルの負極と第2の化学電池セル
    の正極とを放電用または充電用の電極としたことを特徴
    とする電池。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電池において、絶縁材で
    形成した密閉容器体の内部を、絶縁材の仕切り壁により
    左右に2槽に分割し、上記第1の化学電池セルを、一方
    の槽に満たした電解液と、板状かつガス流通可能に形成
    した上記第1の触媒をその下面側で電解液に浸漬せしめ
    てなる正極と、上記電解液中に浸漬せしめた負極とで構
    成し、上記第2の化学電池セルを、他方の槽に満たした
    電解液もしくは正極活物質溶液と、板状かつガス流通可
    能に形成した第2の触媒をその下面側で浸漬せしめてな
    る負極と、上記電解液もしくは正極活物質溶液中に浸漬
    せしめた正極とで構成し、上記第1の触媒と第2の触媒
    とを導通部材により接続した電池。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の電池において、上記第1
    および第2の触媒を多孔性触媒で構成しかつ板状に形成
    して、これにより、絶縁材で形成した密閉容器体の内部
    を相隣れる3室に液密に分割し、上記第1の化学電池セ
    ルを、上記第1の触媒と上記密閉容器体とで形成した第
    1の室に満たした電解液と、上記第1の触媒でなる正極
    と、電解液中に浸漬した負極とで構成し、上記第2の化
    学電池セルを、上記第2の触媒と上記密閉容器体とで形
    成した第2の室に満たした電解液もしくは正極活物質溶
    液と、上記第2の触媒でなる負極と、電解液もしくは正
    極活物質溶液中に浸漬した正極とで構成し、上記第1の
    触媒と第2の触媒とを導通部材により接続した電池。
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