JPH10218840A - 光学活性シクロプロパン誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性シクロプロパン誘導体の製造方法

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JPH10218840A
JPH10218840A JP32988997A JP32988997A JPH10218840A JP H10218840 A JPH10218840 A JP H10218840A JP 32988997 A JP32988997 A JP 32988997A JP 32988997 A JP32988997 A JP 32988997A JP H10218840 A JPH10218840 A JP H10218840A
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JP
Japan
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carboxylic acid
hydroxymethylcyclopropane
benzyl
phenylethylamine
alkoxycarbonyl
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Application number
JP32988997A
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English (en)
Inventor
Katsutoshi Sakata
勝利 坂田
Hisashi Tsuji
尚志 辻
Noriyasu Kataoka
範康 片岡
Masanori Yatagai
正宣 谷田貝
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ラセミ体の3−オキサ−2−オキソビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エステルの光
学分割法を提供する。 【構成】分割剤としてN−ベンジル−α−フェニルエチ
ルアミンの光学対掌体の一つを、選定された溶媒中、3
−オキサ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン
−1−カルボン酸エステルに当量のアルカリを加えて得
られる(2−ヒドロキシメチル−1−アルコキシカルボ
ニル)シクロプロパン−1−カルボン酸と反応させ、得
られるジアステレオマー塩を濾取する。これをアルカリ
で分解し、有機溶媒で分割剤を抽出、回収した後、水層
を酸性にして溶媒抽出により3−オキサ−2−オキソビ
シクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エステ
ルを、光学純度よく得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非天然型アミノ酸
や抗ウイルス剤等の化合物の製造に有用な中間体である
1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチル−シ
クロプロパン−1−カルボン酸の光学活性体を製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】下記式(I)で表わされる光学活性な3
−オキサ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン
−1−カルボン酸エステルは、非天然型アミノ酸や抗ウ
イルス剤等の製造原料として有用であることが知られて
いる(Helvetica Chimica ActaVol.72 1301-1310 (198
9)、特開平5−78357号公報)。
【0003】
【化6】
【0004】(式中、Rはアリール基で置換されていて
もよい炭素原子数1〜10のアルキル基を、*は不斉炭
素原子を表す。)
【0005】この化合物は、光学活性なエピクロロヒド
リンとマロン酸ジエステルを反応させることにより容易
に得ることができる。また、光学活性なグリシドールト
リフラートとマロン酸ジエステルから製造する方法も知
られている(J. Org. Chem.,Vol.58 3767-3768 (199
3))。しかしながら、これらの方法に用いられる光学活
性なエピクロロヒドリンやグリシドールトリフラートは
極めて高価であり、工業的な製造には適していない。一
方、安価に製造できるラセミ体にエステラーゼを作用さ
せて選択的な加水分解を行い光学活性体を製造する方法
が報告されているが(Synthetic Commun., Vol.21 1429
-1432 (1991))、操作が煩雑であり満足できる方法とは
いえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】光学活性な3−オキサ
−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カ
ルボン酸エステル、またはその等価体である光学活性な
1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチル−シ
クロプロパン−1−カルボン酸の工業的な製造方法を提
供することである。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記一般式(I
I)で示されるラセミ体の3−オキサ−2−オキソビシ
クロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エステル
に当量の塩基を加えることにより、
【0008】
【化7】
【0009】(式中、Rはアリール基で置換されていて
もよい炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【0010】ラクトン部分のみが選択的に加水分解され
て下記一般式(III)で示される1−アルコキシカル
ボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1−カ
ルボン酸の塩を与え、
【0011】
【化8】
【0012】(式中、Rはアリール基で置換されていて
もよい炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【0013】更にN−ベンジル−α−フェニルエチルア
ミンの光学活性体の一つを反応せしめることにより、エ
ナンチオマーの片方のみが1−アルコキシカルボニル−
2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1−カルボン酸
N−ベンジル−α−フェニルエチルアミンジアステレオ
マー塩として結晶化すること、またこの結晶化した塩を
水溶液中で塩基を用いて光学活性な1−アルコキシカル
ボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1−カ
ルボン酸塩を遊離させN−ベンジル−α−フェニルエチ
ルアミンを除去し、これを酸性にすることにより再びラ
クトンを形成させて光学活性な3−オキサ−2−オキソ
ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エス
テル(I)が得られることを見いだし、この知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち本発明は、下記一般式(III)
で表される1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシ
メチルシクロプロパン−1−カルボン酸またはそのカル
ボン酸の塩に、
【0015】
【化9】
【0016】(式中、Rはアリール基で置換されていて
もよい炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【0017】光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエ
チルアミンまたはその塩を溶媒中、反応せしめ結晶を析
出させ、これを単離することを特徴とする、下記一般式
(IV)で示される1−アルコキシカルボニル−2−ヒ
ドロキシメチルシクロプロパン−1−カルボン酸N−ベ
ンジル−α−フェニルエチルアミンジアステレオマー塩
の製造方法である。
【0018】
【化10】
【0019】(式中、Rは前記と同じ意味を、*は不斉
炭素原子を表す。)
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の原料であるラセミ体の1
−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロ
プロパン−1−カルボン酸(III)は下記一般式(I
I)で示されるラセミ体の3−オキサ−2−オキソビシ
クロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エステル
を溶媒に加え、これに塩基を加えてラクトン部分のみを
加水分解して得ることができる。
【0021】
【化11】
【0022】(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)
【0023】この場合あらかじめ溶媒に塩基を加えてお
いてもなんら構わない。溶媒としては、水または水に可
溶な低級アルコール、或いは両者の混合溶媒が好まし
い。また塩基としては水酸化アルカリ、金属アルコラー
ト、3級ないし4級アミンなどがあげられ、具体的には
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキ
シド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カ
リウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド、トリエ
チルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化テト
ラメチルアンモニウム等があげられる。このとき用いる
塩基の量は、3−オキサ−2−オキソビシクロ[3.
1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エステルのラセミ体
1当量に対し塩基0.9から1.1当量を加えればよ
い。多すぎるとエステルの加水分解が起こり、少ないと
ラクトンの加水分解が不十分で収率が低下する。実際に
は1当量で行うと良い。加水分解反応は−10℃から6
0℃の温度で、5分間から48時間撹拌することにより
終了する。
【0024】なお、ラセミ体の3−オキサ−2−オキソ
ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エス
テル(II)は、ナトリウムアルコキシド等の塩基存在
下、文献記載の方法(Helvetica Chimica Acta Vol.72
1301-1310 (1989))に従って、エピクロルヒドリンとマ
ロン酸ジエステルとを反応させることによって得られ
る。エステルとしてはメチル、エチル、プロピル、ブチ
ル等のアルキルエステルがあげられ、これらはフェニル
基やトシル基等のアリール基で置換されていてもよい。
3−オキサ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキ
サン−1−カルボン酸エステル(III)は4種類の光
学活性体が存在することが考えられるが、ラクトン部分
がシクロヘキサン環に対しシス配置に存在する2種類の
みが存在し、ラクトン部分がトランス配置に存在する化
合物は、立体的な制限が加わり存在し得ない(Helvetic
a Chimica Acta Vol.72 1301-1310 (1989))。よって、
ラクトン環の加水分解によって得られる1−アルコキシ
カルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1
−カルボン酸も光学異性体の2種類((1R,2R)−
1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシク
ロプロパン−1−カルボン酸、および(1S,2S)−
1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシク
ロプロパン−1−カルボン酸)のみである。
【0025】本発明の原料であるラセミ体の1−アルコ
キシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン
−1−カルボン酸(III)は、通常上記の方法で製造
した場合、反応溶媒中、加水分解に用いた塩基との塩
(アルカリ金属、アルカリ土類金属、アミン塩等)とし
て存在していると考えられるが、そのまま用いても何ら
差し支えない。実際には通常このようにして得られた反
応液をそのまま用いる。
【0026】1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキ
シメチルシクロプロパン−1−カルボン酸N−ベンジル
−α−フェニルエチルアミンジアステレオマー塩(I
V)はラセミ体の1−アルコキシカルボニル−2−ヒド
ロキシメチルシクロプロパン−1−カルボン酸を上記記
載の溶媒中で光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエ
チルアミンと反応させて析出してくる結晶を濾過するこ
とにより単離することができる。
【0027】この場合N−ベンジル−α−フェニルエチ
ルアミンをフリー体として使用した場合には、塩酸、硫
酸などの酸によりラクトン環の加水分解に用いた塩基を
中和することにより結晶が得られるが、N−ベンジル−
α−フェニルエチルアミンの塩を使用した場合には、酸
による中和は不要である。
【0028】ラセミ体の1−アルコキシカルボニル−2
−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1−カルボン酸の
濃度は操作性、収率の点で0.1〜3.0Mが好まし
い。反応は室温ないし加熱下で行なわれ、析出する結晶
を冷却後ろ過する。この時あらかじめ、目的とする1−
アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプ
ロパン−1−カルボン酸N−ベンジル−α−フェニルエ
チルアミンジアステレオマー塩の結晶を反応液中に加え
ることにより、結晶化を促進させることができる。
【0029】N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン
またはその塩の使用量は特に限定されないが、ラセミ体
の1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシ
クロプロパン−1−カルボン酸(または3−オキサ−2
−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボ
ン酸エステル)に対し、0.4〜1.5当量、好ましく
は0.5〜1.2当量である。
【0030】本発明で分割剤として用いられる光学活性
なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンは(R)−
(+)体または(S)−(−)が存在するが、いずれも
Journal fur Praktische Ch
emie[2] 86、287(1912)記載の方法
で製造することができ、これらは塩酸塩、硫酸塩など塩
の形態でも使用できる。(R)−(+)体を用いた場合
には、(1R,2R)−1−アルコキシカルボニル−2
−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1−カルボン酸
(R)−(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルア
ミン塩(IVa)が結晶として得られ、(S)−(−)
体を用いた場合には、(1S,2S)−1−アルコキシ
カルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1
−カルボン酸(S)−(−)−N−ベンジル−α−フェ
ニルエチルアミン塩(IVb)が結晶として得られる。
【0031】
【化12】
【0032】
【化13】
【0033】(式中、Rはアリール基で置換されていて
もよい炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
【0034】取得した結晶は、そのまま目的とする化合
物の原料として用いることも可能であるが、通常水溶液
中で水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウ
ム等のアルカリを用いてジアステレオマー塩を分解した
後、クロロホルム、酢酸エチル、ジエチルエーテル等の
有機溶媒でN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンを
抽出回収し、水相を塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等を用いて酸性
にし、ラクトン環を閉環した後、適宜溶媒で抽出するこ
とにより、光学活性な3−オキサ−2−オキソビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エステル
(I)に導くことができる。
【0035】このようにして得られる3−オキサ−2−
オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン
酸エステルの光学活性体は、その光学純度において極め
て優れているが、必要に応じて、上記の操作を繰り返す
か、1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチル
−シクロプロパン−1−カルボン酸N−ベンジル−α−
フェニルエチルアミンジアステレオマー塩(IV)を再
結晶化することにより、さらに高い光学純度の物を得る
ことが出来る。
【0036】また、1−アルコキシカルボニル−2−ヒ
ドロキシメチルシクロプロパン−1−カルボン酸N−ベ
ンジル−α−フェニルエチルアミンジアステレオマー塩
(IV)を濾別した濾液には結晶化した物と逆の対掌体
が含まれ、ここから逆の対掌体を得ることも出来る。す
なわち、濾液を酸性にして、3−オキサ−2−オキソビ
シクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エステ
ルを適当な有機溶剤で抽出すればよい。この際、一旦、
濾液をアルカリ性にし、分割剤のアミンを抽出によりあ
らかじめ除去し、その後に再び酸性にしてから、3−オ
キサ−2−オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1
−カルボン酸エステルを抽出回収しても良い。
【0037】なお、本発明の方法によりN−ベンジル−
α−フェニルエチルアミンを分割剤として用いる光学分
割に付すべき上記一般式(III)で表される基質化合
物の形態は、必ずしも2種の光学対掌体の等モルの混合
物(完全なラセミ混合物)である必要はない。
【0038】また、本発明の方法によりN−ベンジル−
α−フェニルエチルアミンを分割剤として用いる光学分
割に付すべき上記一般式(III)で表される基質化合
物も、必ずしも純粋である必要はない。
【0039】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるもので
はない。
【0040】<実施例1>1N水酸化ナトリウム水溶液
10mlにラセミ体の3−オキサ−2−オキソビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エチル1.7
0g(10mmol)を氷水冷却下加えた後、室温で1
時間撹拌した。室温下、撹拌しながら(R)−(+)−
N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン(山川薬品工
業(株))2.11g(10mmol)を加えた後、1
N−塩酸10mlを加え10℃水浴下で4時間撹拌し
た。結晶を濾取、真空乾燥し、(1R,2R)−1−エ
トキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパ
ン−1−カルボン酸(R)−(+)−N−ベンジル−α
−フェニルエチルアミン塩1.75gを得た。1 H-NMR(CD3OD):δ1.25(d,J=7.7Hz,3H),1.21〜1.31(m,2
H),1.65(d,J=7.7Hz,3H),1.92(m,1H),3.53(dd,J=13.3,8.
7,1H),3.60(dd,J=13.3,7.7,1H),3.87(d,14.3Hz, 1H),4.
01(d,14.3Hz,1H),4.14(m,2H),4.31(q,7.7Hz,1H),7.35〜
7.49(m,10H)
【0041】結晶の一部をクロロホルムに溶解し、2N
塩酸でアミンを成分抽出することにより1−エトキシカ
ルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1−
カルボン酸を3−オキサ−2−オキソビシクロ[3.
1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エチルに変換し、
(1S、2R)−体としての光学純度を測定したとこ
ろ、89.2%eeであった。なお、光学純度の測定は
ガスクロマトグラフィーで行ない、「CP−Chira
sil−Dex CB」(25m×0.25mm I.
D.0.25μm)を用い、140℃で実施し、水素炎
イオン化検出器でモニターした。
【0042】得られた(1R、2R)−1−エトキシカ
ルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1−
カルボン酸(R)−(+)−N−ベンジル−α−フェニ
ルエチルアミン塩1.75gをクロロホルム25mlに
溶解し、0.5N水酸化ナトリウム水溶液9.2mlで
抽出した。水相に2N塩酸7mlを加えてpH1にした
後、クロロホルムで2回抽出した。有機相を無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した後に、減圧下で濃縮乾固して(1
S、2R)−3−オキサ−2−オキソビシクロ[3.
1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エチル672mgを
得た。これは収率39.5%に相当する。また、このも
のの光学純度は91%eeであった。
【0043】一方、先の濾液に0.5N水酸化ナトリウ
ム水溶液10.8mlを加え、クロロホルムで2回抽出
した。水相に2N塩酸14mlを加えてpH1にした
後、クロロホルムで2回抽出した。有機相を無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した後に、減圧下で濃縮乾固して、濾
別された(1R、2S)−3−オキサ−2−オキソビシ
クロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エチル8
42mgを回収した。これは収率49.5%に相当す
る。また、このものの光学純度は77%eeであった。
【0044】先の操作で残ったクロロホルム抽出液(水
酸化ナトリウム水溶液による抽出の後に残っていたも
の)を合わせ無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃
縮乾固して粗(R)−(+)−N−ベンジル−α−フェ
ニルエチルアミン2.27gを得た。エチルエーテル1
0mlに溶解し、4N塩酸ジオキサン溶液2.65ml
を加え、氷水冷却下2時間撹拌した。結晶を濾取、真空
乾燥して(R)−(+)−N−ベンジル−α−フェニル
エチルアミン塩酸塩2.21gを得た。これは回収率9
3.7%に相当する。
【0045】<実施例2>ラセミ体の3−オキサ−2−
オキソビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン
酸エチルの含有率が43.6%である粗製液5.01g
(ラクトン2.18g,12.8mmol)を氷水冷却
下撹拌しながら0.6N水酸化ナトリウム25mlに加
え、室温で1時間撹拌する。クロロホルムで2回抽出し
た後、室温で撹拌しながら水相に(R)−(+)−N−
ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩酸塩1.70g
を分割して添加した。室温で30分間撹拌した後、50
℃の水浴上で30分間撹拌した。その後、4℃で一夜撹
拌してから結晶を濾取、真空乾燥し、(1R,2R)−
1−エトキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロ
プロパン−1−カルボン酸(R)−(+)−N−ベンジ
ル−α−フェニルエチルアミン塩2.00gを得た。実
施例1と同様の方法で、光学純度を調べた結果、(1
R、2R)−体の光学純度は90.2%eeであった。
【0046】得られた(1R、2R)−1−エトキシカ
ルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−1−
カルボン酸(R)−(+)−N−ベンジル−α−フェニ
ルエチルアミン塩2.00gをクロロホルム40mlに
溶解し、0.6N水酸化ナトリウム水溶液9.0mlで
抽出した。水相に2N塩酸10mlを加えてpH1にし
た後、クロロホルムで2回抽出した。有機相を無水硫酸
マグネシウムで乾燥した後に、減圧下で濃縮乾固して
(1S,2R)−3−オキサ−2−オキソビシクロ
[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エチル881
mgを得た。これは収率40.5%に相当する。また、
光学純度は90%eeであった。
【0047】<実施例3>1N水酸化ナトリウム水溶液
10.53mlにラセミ体の3−オキサ−2−オキソビ
シクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸メチル
1.644g(10.53mmol)を氷水冷却下加え
た。室温下撹拌しながら(R)−(+)−N−ベンジル
−α−フェニルエチルアミン2.241g(10.53
mmol)を加えた後、1N−塩酸10.48mlを加
え、(1R、2R)−2−ヒドロキシメチル−1−メト
キシカルボニルシクロプロパン−1−カルボン酸(R)
−(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩
の結晶を接種し、氷水冷却下一夜静置した。結晶を濾
取、真空乾燥し、(1R,2R)−2−ヒドロキシメチ
ル−1−メトキシカルボニルシクロプロパン−1−カル
ボン酸(R)−(+)−N−ベンジル−α−フェニルエ
チルアミン塩1.42gを得た。(1R、2R)−体の
光学純度は82%eeであった。
【0048】<実施例4>メタノール5.7mlにラセ
ミ体の3−オキサ−2−オキソビシクロ[3.1.0]
ヘキサン−1−カルボン酸メチル1.644g(10.
53mmol)と2N水酸下ナトリウムメタノール溶液
6.31mlを氷水冷却下加えた。室温下撹拌しながら
(R)−(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルア
ミン2.72g(12.80mmol)を加えた後、6
N−塩酸2.10mlを加え、(1R,2R)−2−ヒ
ドロキシメチル−1−メトキシカルボニルシクロプロパ
ン−1−カルボン酸(R)−(+)−N−ベンジル−α
−フェニルエチルアミン塩の結晶を接種し、氷水冷却下
一夜静置した。結晶を濾取、真空乾燥し、(1R,2
R)−2−ヒドロキシメチル−1−メトキシカルボニル
−1−カルボキシシクロプロパン(R)−(+)−N−
ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩1.62gを得
た。(1R,2R)−体の光学純度は95%eeであっ
た。
【0049】<実施例5>メタノール3.7mlにラセ
ミ体の3−オキサ−2−オキソビシクロ[3.1.0]
ヘキサン−1−カルボン酸メチル1.28g(8.20
mmol)と2N水酸化ナトリウムメタノール溶液4.
1mlを氷水冷却下加えた。室温下撹拌しながら(R)
−(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩
酸塩2.03g(8.20mmol)を加えた後、(1
R,2R)−2−ヒドロキシメチル−1−メトキシカル
ボニルシクロプロパン−1−カルボン酸(R)−(+)
−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩の結晶を
接種し、氷水冷却下一夜静置した。結晶を濾取、真空乾
燥し、(1R,2R)−1−メトキシカルボニル−2−
ヒドロキシメチルシクロプロパン−1−カルボン酸
(R)−(+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルア
ミン塩1.12gを得た。(1R,2R)−体の光学純
度は91%eeであった。
【0050】
【発明の効果】非天然型アミノ酸や抗ウイルス剤等の化
合物の製造に有用な中間体である光学活性な1−アルコ
キシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン
−1−カルボン酸の工業的な製造方法を提供することが
可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07B 53/00 C07B 53/00 C 57/00 340 57/00 340 C07M 7:00 (72)発明者 谷田貝 正宣 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(III)で表される1−ア
    ルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロ
    パン−1−カルボン酸またはそのカルボン酸の塩に、 【化1】 (式中、Rはアリール基で置換されていてもよい炭素原
    子数1〜10のアルキル基を表す。) 光学活性なN−ベンジル−α−フェニルエチルアミンま
    たはその塩を溶媒中、反応せしめ結晶を析出させ、これ
    を単離することを特徴とする、下記一般式(IV)で示
    される1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチ
    ルシクロプロパン−1−カルボン酸N−ベンジル−α−
    フェニルエチルアミンジアステレオマー塩の製造方法。 【化2】 (式中、Rは前記と同じ意味を、*は不斉炭素原子を表
    す。)
  2. 【請求項2】 溶媒が水、低級アルコール、または水と
    低級アルコールの混合物のいずれかである請求項1記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロ
    キシメチルシクロプロパン1−カルボン酸が1−エトキ
    シカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−
    1−カルボン酸または2−ヒドロキシメチル−1−メト
    キシカルボニルシクロプロパン−1−カルボン酸である
    請求項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 下記一般式(IVa)で表される(1
    R,2R)−1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキ
    シメチルシクロプロパン−1−カルボン酸(R)−
    (+)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩。 【化3】 (式中、Rはアリール基で置換されていてもよい炭素原
    子数1〜10のアルキル基を表す。)
  5. 【請求項5】 下記一般式(IVb)で表される(1
    S,2S)−1−アルコキシカルボニル−2−ヒドロキ
    シメチルシクロプロパン−1−カルボン酸(S)−
    (−)−N−ベンジル−α−フェニルエチルアミン塩。 【化4】 (式中、Rはアリール基で置換されていてもよい炭素原
    子数1〜10のアルキル基を表す。)
  6. 【請求項6】 請求項1記載の製造法で得られた1−ア
    ルコキシカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロ
    パン−1−カルボン酸N−ベンジル−α−フェニルエチ
    ルアミンジアステレオマー塩からN−ベンジル−α−フ
    ェニルエチルアミンを除去して光学活性な1−アルコキ
    シカルボニル−2−ヒドロキシメチルシクロプロパン−
    1−カルボン酸を得、このカルボキシル基とヒドロキシ
    基を閉環してラクトン環とする事を特徴とする下記一般
    式(I)で示される光学活性な3−オキサ−2−オキソ
    ビシクロ[3.1.0]ヘキサン−1−カルボン酸エス
    テルの製造方法。 【化5】 (式中、Rはアリール基で置換されていてもよい炭素原
    子数1〜10のアルキル基を、*は不斉炭素原子を表
    す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010041739A1 (ja) * 2008-10-10 2010-04-15 株式会社カネカ 光学活性ビニルシクロプロパンカルボン酸誘導体及び光学活性ビニルシクプロパンアミノ酸誘導体の製造方法

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