JPH1021281A - 回路解析ツール - Google Patents

回路解析ツール

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JPH1021281A
JPH1021281A JP8173714A JP17371496A JPH1021281A JP H1021281 A JPH1021281 A JP H1021281A JP 8173714 A JP8173714 A JP 8173714A JP 17371496 A JP17371496 A JP 17371496A JP H1021281 A JPH1021281 A JP H1021281A
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博司 高野
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拓也 堂本
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美奈 小川
Keishin Hatakeyama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プログラム言語で記述したデジタル制御アルゴ
リズムを容易に組み込むことができ、さまざまなスイッ
チモード電力変換回路に統一的に適用可能な新しい、実
用的な回路解析ツールを提供する。 【解決手段】解析対象回路20のスイッチ素子を時間と
ともに変化する抵抗でモデル化した回路モデル7を基に
キルヒホフの法則から導いた回路方程式1を、解析対象
回路20の中のエネルギー蓄積素子に関する状態方程式
3に変換する。状態方程式3を数値積分手段4によって
解き、結果である波形を表示手段6に表示する。この数
値積分手段4における計算ステップ幅は、計算ステップ
幅決定手段8において、状態方程式から動作モードごと
の回路の固有値を求め、この中から最も速く収束する固
有値を選びこれに基づいて決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【本発明の属する技術分野】本発明装置は、スイッチ素
子とダイオードを組合せたDC−DCコンバータ、サイ
リスタ式単相倍電圧整流器、三相電圧型高力率PWMコ
ンバータ、スイッチング方式の電流増幅器などのスイッ
チモード電力変換回路に統一的に適用可能な回路解析ツ
ールにかかわる。
【0002】
【従来の技術】従来から、パワー半導体素子を用いたス
イッチモード電力変換回路の計算機援用解析には、個々
の構成回路要素の特性法則を表す式とその接続関係を表
す式を連立させた非線形微分代数方程式として解析する
タブロー法、並びに、動作モード(回路中の電流の流れ
方)の変化ごとに状態方程式を切り替えて時刻ごとの回
路動作状態を逐次詳細に数値計算する回路解析ツールな
どが知られている。また、回路の動作を大局的に解析す
る方法として、高周波でスイッチングする電力変換回路
の各部の周期的な動作波形がその前後の周期の波形と類
似していることを利用して、いくつか飛び飛びに選んだ
周期に対してのみ動作を正確に解析し、残りの多くの周
期の動作波形を包絡的に構成する包絡追跡法や、解析対
象回路について全ての動作モードを求め、各動作モード
状態にある時間の割合に応じて入力や動作波形を平均的
に取扱う状態平均化法がある。また包絡追跡法や状態平
均化法等の時間領域回路解析法とは別にある周波数の正
弦波入力に対して解析対象回路がどのような応答を示す
かを定式化し、次に全ての周波数に対する応答波形を合
成することによって定常応答特性を求める周波数領域回
路解析法などによる回路解析ツールも開発されている。
【0003】これらの回路解析ツールにおいて、コンデ
ンサやリアクトルなどのエネルギー蓄積をともなう回路
素子の状態を表す微分方程式(状態方程式と呼ぶ)を数
値積分計算によって解くにあたり、その計算のステップ
幅Δtをどの程度に選ぶべきかは重要な問題であり、計
算ステップ幅が細かすぎると計算機による演算時間の増
大を招き、粗すぎると数値積分演算による解が発散して
解析結果を求められない。このために次のような項目が
考慮される。
【0004】(1)スイッチモード電力変換回路におけ
る計算のステップ幅は、スイッチの動作周期に対して十
分小さくなければならず、また、もし周波数変調やパル
ス幅変調によって出力を制御しているなら、その操作量
に対して十分な分解能をもっている必要もある。出力の
電圧や電流波形が急激に変化するのか緩やかに変化する
のかによって要求される分解能は異なるが、特殊なケー
スを除けば、スイッチング周期の1/100〜1/1000程度を
選べば問題ない。
【0005】(2)ステップ幅が小さ過ぎると計算時間
が長くなり、丸めによる累積誤差も懸念される。このう
ち丸め誤差については、現在、倍精度浮動小数点演算が
主流であることから問題になることは少ない。もしデジ
タル制御回路を用いて、クロックパルスから周波数やパ
ルス幅を生成している場合には、そのクロックパルスの
周期と計算のステップ幅を同じにとれば実際のスイッチ
モード電力変換回路に近い特性を得ることができる。
【0006】(3)状態方程式の解が収束しなければな
らない。
【0007】このような条件を考慮し、多くの技術が開
発されており、例えば、一度の数値計算中は計算のステ
ップ幅を一定とし、はじめに大きめのΔtでテストし、
次に、Δt/2、Δt/4などを試み、結果がステップ幅にほ
とんど影響しなくなるまで繰り返す方法がある。また、
計算のステップ幅を動的に調節する方法がとられること
もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これら従来の回路解析
ツールは、以下で述べるようないくつかの技術的な課題
が残されている。
【0009】まず第一に、タブロー法や、モード変化ご
とに状態方程式を切り替えて時刻ごとの回路動作状態を
逐次詳細に数値計算する方法では、状態方程式を解くに
あたって、非常に細かい計算ステッ プ幅で多くの繰り
返し計算を必要とする。特に、タブロー法では、連立非
線形微分方程式からエネルギー蓄積素子の電流電圧波形
を数値積分で計算するためにこの連立された式全体を繰
り返し演算をしなければならず、回路が複雑になるほど
演算時間が増大する。
【0010】動作モードの変化ごとに状態方程式を立て
る方法では、あらかじめ全ての動作モードを調べてお
き、各動作モードごとに状態方程式を立てる必要があ
る。数値積分を進めるごとに、回路の状態がどのモード
に対応するかを判定して、状態方程式を切り換えながら
解析を進めることになる。この場合には、全ての動作モ
ードを把握することが困難であったり、動作モードが数
十に及ぶ複雑なスイッチング回路を解析することは事実
上非常に困難である。
【0011】数値積分演算における計算ステップ数を低
減し、計算機の演算時間を短縮するために開発された包
絡追跡法や状態平均化法による時間領域回路解析法や周
波数領域回路解析法は、解析対象回路中に共振現象や電
流の断続モードが頻繁に現われる非線形性の強い回路の
過渡的な回路動作を完全に再現することがむずかしい。
【0012】一方、高速なマイクロプロセッサやDSP
(Digital Signal Processor)を用いたデジタル制御方
式は、回路の動作を柔軟に補償し、広い動作条件で安定
で高精度な出力を得られるメリットを活かして汎用イン
バータや無停電電源装置、医用特殊電源装置などの産業
分野で広く適用されてきた。しかし、このような電力変
換回路を詳細に解析するためには、実機と同じ制御アル
ゴリズムを解析回路モデルに組み入れることが必要であ
るが、現在までに市販されているSPICE(Simulati
on Program with Integrated Circuit Emphasis)に代
表される汎用の回路解析ツールは、これらデジタル制御
のアルゴリズムを組み込むことができない。
【0013】そこで、本発明は、プログラム言語で記述
したデジタル制御アルゴリズムを容易に組み込むことが
でき、さまざまなスイッチモード電力変換回路に統一的
に適用可能な新しい、実用的な回路解析ツールを提供す
ることを目的とする。また本発明は、状態方程式を解く
当り、計算ステップを最小にしてしかも解の収束性が保
証される計算ステップの決定方法及びこの方法を組込ん
だ回路解析ツールを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の回路解析ツールは、解析対象回路のスイッ
チ素子を時間とともに変化する抵抗でモデル化した時変
抵抗回路モデルとして入力する手段と、この時変抵抗回
路モデルに基づき状態方程式を導出し、この状態方程式
を解く演算手段と、演算手段の結果である解析対象回路
の状態量を波形として表示する表示手段とを備え、演算
手段は時変抵抗回路モデルに基づきキルヒホフの法則か
ら導いた回路方程式を、解析対象回路の中のエネルギー
蓄積素子に関する状態方程式に変換する代数計算手段
と、状態方程式を解くための数値積分手段とを備えたも
のである。
【0015】より詳細には本発明の回路解析ツールにお
いて、回路方程式は、キルヒホフの法則から導出された
式(1)と、 E=IR (1) (式中、Rは回路構成要素の抵抗で決まる抵抗マトリク
ス、Eはエネルギー蓄積素子に関する状態変数及び入力
を要素として含むベクトル、以下電圧ベクトルと称す。
Iは式(1)を満たすベクトル、以下電流ベクトルと称
す。) 電圧ベクトルEを状態ベクトルxの項と入力ベクトルV
iの項に分離した式(2)とで表され、 E=Kxx+KuVi (2) (式中、Kx及びKuはそれぞれ電圧ベクトルEから導か
れる係数を表す。) 代数計算手段は、 1)抵抗マトリクスRからその逆マトリクスR-1を求め
る工程、 2)逆マトリクスR-1からエネルギー蓄積素子に関わる
要素を抜出したマトリクスR*を定義する工程、及び 3)マトリクスR*、係数Kx、Ku及びエネルギー蓄積
素子の定数に基づき、次式(3)で表される状態方程式
の係数A、Bを導出する工程を実行する。
【0016】
【数2】 本発明の回路解析ツールの好適な態様は、上述した代数
計算手段の演算は、更に回路方程式の抵抗マトリクスR
にスイッチ素子のスイッチング条件を組込む工程を含
む。
【0017】本発明の回路解析ツールでは、回路方程式
からリアクトルやコンデンサなどのエネルギー蓄積素子
に関する状態方程式を機械的に導くことができ、このよ
うに導出された状態方程式を繰り返し演算すればよいの
で、速やかに所望の解析結果を得ることができる。また
スイッチング条件及びそれを制御する制御アルゴリズム
をプログラムとして記述し、解析ツールの演算工程に組
込むことができるので、制御方式を採用する回路であっ
ても解析が可能となる。
【0018】本発明の回路解析ツールの別の態様は、解
析対象回路を記述する状態方程式を数値積分演算によっ
て所定の計算ステップ幅で解く数値積分手段を備えた回
路解析ツールにおいて、計算ステップ幅は、状態方程式
から動作モードごとの回路の固有値を求め、これら固有
値の中から最も速く収束する固有値を選び、この選択さ
れた固有値に基づいて数値積分手段の計算ステップ幅を
決定する計算ステップ幅決定手段を備えている。
【0019】回路の固有値に着目し、それに基づき計算
ステップ幅を決定することにより、計算回数を最小と
し、しかも解の収束を保証した数値積分演算が可能とな
る。これにより動作が確実で短時間で解が得られる回路
解析ツールを提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の回路解析ツール
10の第一の実施例を示すもので、主として解析対象回
路20のスイッチを時刻とともに変化する抵抗(以下、
時変抵抗)で置き換えた時変抵抗モデル回路7を入力す
る手段(図示せず)と、この回路モデル7を基にキルヒ
ホッフ回路の法則から導かれた回路方程式1を状態方程
式3に変換する代数計算手段2と、得られた状態方程式
3を数値積分によって解く数値積分手段4と、この数値
積分演算における計算ステップ幅を決定する手段8と、
数値積分手段4で求められた解を波形表示する手段6を
備えている。
【0021】解析対象回路20は、スイッチとダイオー
ドを含むスイッチモード電力変換回路で、回路の動作を
補償し、広い動作条件で安定で高精度な出力を得るため
のデジタル制御が採用されていてもよい。このデジタル
制御アルゴリズム9と回路20中のスイッチ及びダイオ
ードのスイッチング条件を記述したアルゴリズム5は、
代数計算手段2において状態方程式3を導く過程でプロ
グラムとして組込まれ、回路方程式の抵抗マトリクスR
を決定するために用いられる。
【0022】回路モデル7は、解析対象回路のスイッチ
を時刻とともに変化する抵抗(以下、時変抵抗)で置き
換えたものである。回路方程式1は、この時変抵抗回路
モデル7に基づいてキルヒホフの法則から導くことがで
き、総括的に式(1)で表される。
【0023】 E=IR (1) ここでRは回路の抵抗が決まれば求められるマトリック
スで抵抗マトリックスと呼ぶ。Eは要素として状態変数
と入力電圧を含むベクトルで電圧ベクトルと称す。Iは
式(1)を満たすベクトルで、電流ベクトルと称す。
【0024】また回路方程式は、電圧ベクトルEを状態
ベクトルxの項と入力ベクトルViの項に分離して、式
(2) E=Kxx+KuVi (2) で表すことができる。
【0025】代数計算手段2は、抵抗マトリクスRから
その逆マトリクスR-1を求め、逆マトリクスR-1からエ
ネルギー蓄積素子に関わる要素を抜出したマトリクスR
*を定義し、更にこれらマトリクスR*、式(2)の係数
x、Ku及び回路のリアクトルやコンデンサのようなエ
ネルギー蓄積素子の定数に基づき、式(3)で表される
状態方程式の係数A、Bを導出する。
【0026】
【数3】 この計算において、デジタル制御のアルゴリズム9とス
イッチとダイオードのスイッチング条件5が導入され
る。
【0027】数値積分手段4は、公知の方法、例えばRu
nge-Kutta法を採用し、所定の計算ステップ幅で状態方
程式を数値積分手段4で解く。この数値積分手段4にお
ける計算ステップ幅は、上記状態方程式から動作モード
ごとの固有値を求めこの中から最も速く収束する固有値
を選びこれに基づいて求められる。
【0028】波形表示手段6は、数値積分手段4におけ
る解析結果を波形として表示する。
【0029】次に、このように構成された本発明の回路
解析ツールを具体的なスイッチングモードの電力変換回
路の動作の解析に適用した実施例について詳細に説明
し、本発明の解析ツールの理論的な裏付けを行う。
【0030】図2は、本回路解析ツールの解析理論を説
明するために用いる解析対象回路の一例を示す図であ
る。これはDC−DCコンバータで、複数のスイッチで構成
されるインバータブリッジのスイッチングのタイミング
を制御することによって、出力電圧V0をゼロから最大
まで制御するものである。ここでViは直流電源(入
力)、Rwは直流電源の内部抵抗と配線の抵抗の合成抵
抗、SwlからSw4はスイッチ、D1〜D4はスイッチSwl〜S
w4に逆並列に接続されたダイオード、Csはインバータ
ブリッジのー方の出力に接続された直列共振用コンデン
サ、Lrは直列共振コンデンサCsに直列に接続された直
列共振用リアクトル、Cpは直列共振用リアクトルLrと
インバータブリッジの出力端のもうー方に接続された並
列共振用コンデンサ、D5〜D8は並列共振コンデンサの
両端に発生する交流電圧を整流するダイオード整流器、
CLはこのダイオード整流器の出力電圧を平滑する平滑
コンデンサ、RLは負荷抵抗である。RrとRiはそれぞ
れ回路中に生じる損失を抵抗で表現したものである。
【0031】この回路例では、負荷RLに対して直列に
接続されている、コンデンサCsとリアクトルLrによる
直列共振回路と、負荷RLに対して並列に接続されてい
る、リアクトルLrとコンデンサCpによる並列共振回路
とが同時に作用し回路の動作が非常に複雑である。ま
た、負荷抵抗RLが大きいときには整流器D5〜D8に流れ
る電流が不連続となり、出力電圧が非線形な応答波形と
なる。また、図示省略するがこの回路は、高速なマイク
ロプロセッサやデジタルシグナルプロセッサによるデジ
タル制御回路がインバータブリッジの各スイッチのオン
オフのタイミングを調節し、どのような負荷抵抗RLに
対しても所望の出力電圧が得られるように最適に制御し
ている。
【0032】本発明において、このような解析対象回路
は時変抵抗モデル回路として回路解析ツールに入力され
る。図3は時変抵抗モデル回路を示す図で、図2に示す
回路の各スイッチSwl〜Swlとこれと逆並列に接続された
ダイオードD1〜D4とを時刻とともに変化する時変抵抗R
s1〜Rs4としてモデル化し、更に、ダイオードブリッジ
のD5〜D8をそれぞれ時変抵抗RD5〜RD8としてモデル化
している。
【0033】この時変抵抗でモデル化する方法では、ス
イッチング損失などを表現するために、パワー半導体デ
バイスの動的な詳細モデルを導入することも可能である
が、ここでは理想的なオン、オフの2つのスイッチング
状態だけをとりあげて説明する。
【0034】次にこのようにモデル化した回路の動作を
回路方程式で記述する。このため各回路構成素子の接続
点はそれぞれNode0〜Node7と名付けてある。また電流の
流れる閉じた回路をLoop1〜Loop7として表したものを図
4に示した。図3から分るように、この回路では接続点
の数j=8、岐路の数b=15であるから、キルヒホフ
の第一法則(電流則)からj−1=8−1=7本、キル
ヒホフの第二法則(電圧則)からb+1−j=15+1
−8=8本の式を立てればよいことになる。そこで、後
で述べる状態変数として扱うリアクトルの電流iLrとコ
ンデンサの電圧ecs、ecp、ecL及び、入力として扱う
入力電圧Viが左辺にくるように以下の式を導くことが
できる。
【0035】 Node1:0=iw−is1−is3 Node2:0=−ics+is1−is2 Node3:0=−iw+is2+is4 Node4:iLr=−ii+ics Node5:−iLr=−icp−iD5+iD6 Node6:0=−iL−icL+iD5+iD7 Node7:0=iL+icL−iD6−iD8 Loop1:Vi=Rww+Rs1s1+Rs2s2 Loop2:ecs=−Rii+Rs2s2−Rs4s4 Loop3:ecp+RrLr=−eLr+Rii Loop4:ecs+RrLr=−eLr−RD5D5+RD7D7
−Rs1s1+Rs3s3 Loop5:ecL=−RD5D5−RD6D6 Loop6:ecL=RLL Loop7:0=RLL+RD7D7+RD8D8 Loop8:ecp=−RD6D6+RD8D8 これらをマトリックスを用いて表現すると次のようにな
る。
【0036】 E=RI (1) ここで、R、I、Eは、それぞれ次式(4)〜(6)で
定義する。
【0037】
【数4】 マトリクスRは回路構成要素の抵抗が決まれば求められ
るので、ここでは抵抗マトリクスと呼ぶ。同様にEは、
主に各回路構成要素の電圧を表しているので電圧ベクト
ル、Iは主に電流を表しているので電流ベクトルと呼ぶ
ことにする。抵抗マトリクスRと電圧ベクトルEが分か
れば、電流ベクトルIは次式(7)で求められる。
【0038】 I=R-1E (7) ここでR-1はマトリクスRの逆行列であり、その各要素
を次式(8)のように表現する。
【0039】
【数5】 次に、上記回路方程式からリアクトルとコンデンサに関
する微分方程式である状態方程式を導出する。状態方程
式の標準形は次式(3)で表わすことができる。
【0040】
【数6】 ここで、x(t)は状態変数ベクトル、AとBは係数マ
トリクス、u(t)は入力ベクトルである。図3の回路
でリアクトルLrの電流iLrと各コンデンサの電圧
cs、ecp、ecLを状態量として選び、状態ベクトルx
を次のように定める。 x=[iLrcscpcLt (9) 次に、電圧ベクトルEを状態ベクトルxの項と入力への
項とに分解し、それぞれの係数をKx、Kuとおいて次式
(10)で表す。
【0041】 E=Kxx+Kui (10) また式(6)からKx、Kuを求めると次のようになる。
【0042】
【数7】 u=[000000010000000]t (12) この式(10)の右辺を式(7)の右辺に代入すると、 I=R-1(Kxx+Kui)=(R-1x)x+(R-1u)Vi (13) となる。この式(13)の右辺は、状態方程式(3)の
右辺とよく似ている。
【0043】ところで、電流ベクトルIの要素のうちe
Lr、ics、icp、icLと状態変数(iLr、ecs、ecp
cL)との間には次の関係がある。
【0044】
【数8】 ここでLrは図3の回路におけるリアクトルのインダク
タンス、Cs、Cp及びCLはそれぞれコンデンサのキャ
パシンタンスを表す。これらの式(14)〜(17)の
左辺は状態方程式の左辺であり、右辺は、式(7)で求
められる電流ベクトルIのうち4要素(eLr、ics、i
cp、icL)を各々リアクトルのインダクタンスLrやコ
ンデンサのキャパシタンスCs、Cp、CLで割ったもの
であり、式(7)の電流ベクトルIと回路定数とから算
定できる。
【0045】このことと式(13)の右辺と状態方程式
の一般形(3)との類似性に着目すれば、以下の手順で
状態方程式(3)のAとBを機械的に求めることができ
る。即ち、まずR-1からマトリクスR*を次式(18)
で定義する。R*は、電流ベクトルIを参照しながらR
-1のうち、Lr、Cs、Cp、CLにかかわる4行だけを抜
き出した4行15列のマトリクスである。
【0046】
【数9】 また、便宜上、インダクタンスLrとコンデンサのキャ
パシタンスCs、Cp、CLをベクトルL*で表しておく。
【0047】 L*=[LrCsCpCL]t (19) 式(13)の右辺の第1項の係数(R-1x)で、電流
ベクトルIのうち4要素(eLr、ics、icp、icL)を
求める行だけを抜出してA*とすれば、これは4行4列
の正方マトリクスとなる。
【0048】 A*=R*x (20) 式(18)〜(20)からマトリクスAは、A*の要素
をA*j,k、L*の要素をL*jとおいて次のように求める
ことができる。
【0049】
【数10】 同様に式(13)の右辺の第2項の係数(R-1u
で、電流ベクトルIの4要素(eLr、ics、icp
cL)を求める行だけを抜出してB*とすれば、これは
4行1列のベクトルとなり、 B*=R*u (22) で与えられる。BはB*の要素をB*j、L*の要素をL*j
とおいて次のように求めることができる。
【0050】
【数11】 このように回路方程式から状態方程式の係数AとBを機
械的に導出することができる。
【0051】次いでこの状態方程式を数値積分演算によ
り解くのであるが、既に述べたように図2の回路におけ
るパワー半導体スイッチやダイオードは、時変抵抗とし
てモデル化しているので、抵抗マトリクスRを決める際
に、これらスイッチやダイオートのスッチング条件5が
与えられる必要がある。
【0052】そこで以下、デジタル回路あるいはアナロ
グ回路で実現される制御アルゴリズム9と、ダイオード
のように回路の動作状態によって受動的にオンオフ状態
が決まってしまうスイッチのスイッチング状態5を本発
明の回路解析ツール10に組み込むための方法につい
て、具体的に説明する。
【0053】ここでは既に述べたようにパワー半導体ス
イッチは、理想的にオン、オフの2つのスイッチング状
態だけをとる時変抵抗としてモデル化している。そのオ
ン時の抵抗をRon、オフ時の抵抗をRoffと表し、現在
時刻をtと表し、図3のモデル回路においてダイオード
が逆並列に接続されたスイッチSw1〜Sw4の抵抗をRs1
s4で、これらに流れる電流をis1〜is4で表すと、ス
イッチング条件は、所定のスイッチSw1が時刻t1〜t2
の間にオンしている場合にはRs1をRonとする或いオフ
している場合はRs1をRoffとするという条件となる。
この条件は、例えば、これをC言語で表現すると、
【0054】
【数12】 となり、シミュレーションプログラムにそのまま導入す
ることができる。
【0055】同様にダイオードをモデル化した抵抗はR
D5〜RD8、そのダイオードの電流はiD5〜iD8で表され
るので、C言語で
【0056】
【数13】 を実行すればよいことになる。このようにスイッチやダ
イオードのスイッチング条件を”if…then”形式を用い
てシミュレーンョンブログラムの中に容易に組み込むこ
とができる。これらスイッチング条件は、上述した状態
方程式を数値積分演算により解く際に、計算ステップご
とに実行される。
【0057】尚、実際のプログラミングにおいては上記
の条件だけでは1計算ステップ間だけインバータの上下
のスイッチが同時にオンして過大電流が流れたり、同時
に上下のスイッチがオフして電圧の跳ね上がりが生じる
ことがある。このような場合には、別途これらを防ぐ工
夫が必要である。
【0058】また一般にデジタル制御アルゴリズムは、
所定のサンプリング時間毎に回路、ここではDC−DCコン
バータの状態量を入力して各スイッチSw1〜Sw2のデュー
ティ(オン時間)を制御するように記述されたプログラ
ムからなるので、本発明のシミュレーションプログラム
にそのまま組込むことができ、具体的には数値積分演算
の各計算ステップ毎に、サンプリング時刻に達している
か否かを判断し、サンプリング時刻であれば制御アルゴ
リズムを実行するようにすればよい。
【0059】尚、一度作成したシミュレーションプログ
ラムを他の電力変換回路に適用する場合には、プログラ
ムで、R、Kx、Ku、R*、L*及び上記のスイッチング
条件を定義し直せばよい。
【0060】図5に以上述べた本発明の回路解析ツール
による解析手順をフローチャートで示した。まず、定数
x、Ku、状態ベクトルx(t)、入力ベクトルu
(t)から電圧ベクトルEを求める。次に、このEとR
-1とから電流ベクトルIを求め、これと現在時刻tか
ら”if・・・then”形式のプログラムによってスイッチ
とダイオードをモデル化した抵抗Rsk、RDm(k=1-4、
m=5-8)を求める。ここで、前回の計算時と比べて
sk、RDmに変化があった場合には、R、R-1、R*
求め、またR*、Kx、L*からAを、R*、Ku、L*から
Bをそれぞれ算定する。A、Bが決まれば、計算ステッ
プ幅Δt後の状態ベクトルx(t+Δt)を数値積分演
算により求める。そしてこのとき時刻tがデジタル制御
のサンプリング時刻であればプログラムされたフィード
バック制御を施し、計算経過を保存する。これらをあら
かじめ定めた計算終了時刻まで繰り返して所望の結果を
得ることができる。即ち、以上のフローで求められた電
圧ベクトルE、電流ベクトルI、抵抗マトリクスR、状
態変数xなどから回路中の必要な情報が全て得られる。
【0061】これら回路の情報は、波形表示手段6(図
1)により例えば回路の過渡特性や定常状態としてグラ
フィカルに表示される。
【0062】尚、以上の説明ではスッチング条件を”if
・・・then”形式でプログラムとして導入した場合を説
明したが、動作モード数が比較的少ない回路では、数値
計算を効率良く進めるために、あらかじめすべての動作
モードに対して、R-1あるいは状態方程式の係数A、B
を計算しておくことができる。この場合、スイッチまた
はダイオードをモデル化した抵抗がn個あったとして2
n個のモードだけこれらを用意することになる。これら
のモードの中に実現しないものがある場合には演算処理
を省略することができる。
【0063】また、数値積分演算手法としては、Runge-
Kutta法やEuler法など一般な数値積分法を採用すること
ができる。
【0064】以上説明した回路解析理論を実際に組み入
れた回路解析ツールを構成する計算機システムのハード
ウエアの一例を図6に示す。この計算機システムは、高
速サーバ60と各種ワークステーシヨン61、マイコン
開発支援装置62、バーソナルコンピュー夕63、プリ
ンタ64などがイーサネットを中心とするネットワーク
で接続されており、高速サーバ60やワークステーショ
ン61で数値計算処理を実行し、ネットワークにつなが
ったパーソナルコンピュータ63上に解析結果を表示し
て評価する。計算結果から電流の実効値、平均値などの
数値データを得ることも可能で、こういった場合には必
ずしも電流電圧波形を表示する必要はない。解析結果は
バーソナルコンピュータ63上に表示したり、プリンタ
64に出力することができる。更に、回路解析に用いた
制御アルゴリズムはネットワークを介してマイ コン開
発支援装置62へ転送し、実際の電力変換装置上65の
制御用マイクロプロセッサを動作させることも可能であ
る。
【0065】次に、以上説明した本発明による回路解析
ツールにおける状態方程式の数値積分演算に適用可能な
本発明の計算ステップ幅の決定手法について説明する。
【0066】既に述べたように数値積分演算における計
算ステップ幅を決定するに際しては(1)スイッチモード
電力変換回路におけるスイッチの動作周期に対して、ス
テップ幅は十分小さくなければならず、更に周波数変調
やパルス幅変調によって出力を制御している場合には、
その操作量に対して十分な分解能をもっている必要があ
る、(2)ステップ幅が小さい過ぎると計算時間が長くな
る、(3)状態方程式の解が収束しなければならない、等
を考慮することが必要である。本発明では、上記(1)
及び(2)の条件に加えて、状態方程式から動作モード
ごとの固有値に求め、これに基づき計算のステップ幅を
求めることにより、繰り返し計算回数を最小にしつつ、
解の収束性が保証されるステップ幅決定法を与える。
【0067】まず動作モードごとの固有値を求める。状
態方程式(3)は、1つの動作モード(全てのスイッチ
のオンオフ状態が一定である状態)においては、線形の
微分方程式である。従って状態方程式を数値計算で解く
ときには、その動作モードが終了するときの状態変数の
値を、次の動作モードの初期値として引渡しながら繰り
返し積分演算し、時刻毎の状態変数を求めることにな
る。
【0068】ところで一般に入力ゼロの線形常微分方程
式は次式(24)で与えられ、その解は式(25)で与
えられる。
【0069】
【数14】 この式(25)におけるλ1〜λnは固有値で、通常、制
御系の安定性判別などに用いられる。固有値が負の実数
なら、これは時定数の逆数にあたり、共役複素数の場合
にはその虚数部が角振動数に、実部が減衰の速さに対応
する。
【0070】繰り返し計算で微分方程式の解を求めると
きは、式(25)の全ての項が収束する必要がある。こ
れは、線形常微分方程式(24)を解く場合にもあては
まる。そこで、ここでは一つの計算ステップ幅で状態方
程式(3)を解くものとし、最も速く収束する項に注目
し、固有値の実部の値(減衰の速さ)が最も大きい項の
固有値を基に決定する。即ち、その固有値に対応する解
が収束する計算ステップ幅が回路の時定数(固有値の逆
数)の2倍を超えないように、好適には時定数程度とな
るように決めることが適当である。
【0071】図7に3次のRunge-Kutta法を用い、一次
遅れ系
【0072】
【数15】 を数値解析によって求めたときに、計算ステップ幅の影
響を比較したものを示した。図7からもわかるように計
算ステップ幅がΔt=1/λの場合は厳密解に近く、Δ
t>2/λでは解が収束しない。これらは解法によって
多少の違いがあるが、Euler法や2次〜4次のRunge-Kut
ta法ではΔt<2/λが解が収束する条件であり、好適
にはΔt<1.5/λである。
【0073】尚、各モードにおける固有値λi(i:1〜
n)を求めるにはいくつかの方法があるが、次数が小さ
ければ単位行列をJとしてdet(λJ-A)からλを求める
ことができる。また次数が高ければ状態方程式のマトリ
クスA、BからFadeevの方法を用いて一旦伝達関数に変
換し、その分母をゼロとした特性方程式から固有値を求
めればよい。
【0074】次に図2に示した回路において具体的に計
算ステップ幅を決定した結果と、この計算ステップ幅を
用いてシミューレーションした結果について説明する。
【0075】表1は図2の回路で実現する8つのモード
について固有値を求めた結果を示したもので、これらは
オン状態の抵抗がRon=10mΩ、オフ状態の抵抗がR
off=100kΩであるとして求めたものである。また
Ron=10mΩである場合をモード2’として1例のみ
示した。
【0076】
【表1】 この表1のモード2について、対応する回路を太線で表
した図8を参照して詳細に考察してみると、モード2の
固有値λ1、λ2は、いずれも共役複素数で、虚数部6.76
2×104は角周波数(6.762×104/2π=10.8kHz)を表
し、これはコンデンサCsとリアクトルLrによる直列共
振周波数(10.6kHz)に対応している(図8(a))。
またλ1、λ2の実部はこの共振の減衰の速さを表してい
る。固有値λ3は、コンデンサCLのキャパシタンスが十
分に大きくこれを電圧源とみなせるとき、オン状態のダ
イオードD5とD8を経由するコンデンサCpの充放電回路
の時定数に対応している(同図(b))。即ち、直列接
続された2つのダイオードの抵抗=10mΩ×2で、コン
デンサCpのキャパシタンス=5μFとしたとき、これ
らが形成する充放電回路の時定数は(10×10-3×2)×5
×10-6F=100×10-9sとなり、これはλ3の逆数の絶対
値(1.016×107-1=98.4×10-9sに対応している。同
様に固有値λ4は、コンデンサCLと負荷抵抗RLの時定
数に対応している(同図(c))。固有値はスイッチと
ダイオードの抵抗モデルや負荷抵抗によって変化する
が、図で示したようにそれぞれの固有値が回路と対応し
ていることが分かる。
【0077】既に述べたように本発明によるステップ幅
決定においては、最も速く収束する固有値λに対し、ス
テップ幅Δtは、Δt<2/λを満たすように決められ
る。上述したモード2において最も速く収束する固有値
はλ3であり、固有値λ3に対応する解が収束する計算ス
テップ幅Δtはこの回路の時定数程度(1/λ3)に決
定される。図9(a)に、ステップ幅Δtを、Δt=10
0ns(約1/λ3)としたときと、Δt=250nsとしたと
きについて、それぞれコンデンサCpに流れ込む電流ic
pをシミュレートした結果を示す。λ3に対応する時定数
(1/λ3=98ns)程度のステップ幅で演算した場合に
は良好な電流波形が得られているのに対し、その2倍を
越えるステップ幅(250ns)で演算した場合には解が収
束していないことがわかる。
【0078】図9(b)は、ダイオードD5〜D8のオン時
の抵抗Ron=20mΩの場合(表1のモード2’)のシミ
ュレート結果(icp)を示すもので、モード2’の固有
値λ3(=-5.078×106)から求めた時定数が1/λ3=197
nsのとき、計算ステップ幅をΔt=350ns(=1.75/λ
3)として求めたものである。このように、ダイオード
ブリッジとコンデンサが接続された回路でスイッチのオ
ン抵抗を大きめに選んだ場合には、比較的あらい計算ス
テップ幅でも解は収束することがわかる。これにより計
算時間の短縮が可能である。
【0079】尚、以上の説明では共役複素数の固有値の
実部、即ち減衰に関わる部分についてのみ考察したが、
共役複素数の固有値については振動と収束の両方を考慮
する必要がある。この場合は、計算ステップ幅Δtは、
Δt<2/λを満たし、且つ固有値の虚部ωから求めら
れる振動周期2π/ωの1/10〜1/100程度を選ぶのが現
実的である。いずれにしても回路の固有値から計算ステ
ップ幅を決めることができる。
【0080】以上説明したように本発明によれば、回路
の固有値から計算ステップ幅を決めることにより、計算
回数を最小にして、しかも解の収束するステップ幅を設
定することができる。尚、この計算ステップ幅の決定手
法は、図1に示すような回路方程式を状態方程式に変換
する手段2を含む回路解析ツール10に適用することに
よって本発明の回路解析ツールをより有効なものとする
ことができるが、このような回路解析ツールのみなら
ず、一般に回路の状態方程式を数値積分演算によって解
く場合に適用することができ、この場合にも同様の効果
を得ることができる。
【0081】計算ステップ幅決定手段8として上記計算
ステップ幅決定法を採用した回路解析ツールにより、図
2に示す回路のスイッチSw2の電圧Vce2と電流is2をシ
ミュレートした結果を図10(a)に示す。同図(b)
に実験結果を比較して示した。これらの図からも分るよ
うにシミュレーンョン結果と実験結果とは比較的よく一
致している。
【0082】尚、実験装置ではスナバを設けているた
め、スイッチと逆並列に接続されたダイオードがオフす
るときに電圧Vce2の急激な変化は見られないが、シミ
ュレーションではスナバがないためダイオードがオフす
るときにに急激な変化がある。また、電流波形の絶対値
がやや小さめに計算されているが、これは図3の回路モ
デルと実験装置との差異と考えられる。
【0083】以上、本発明の回路解析ツールを図2のD
C・DCコンバータ回路に適用した実施例に基づいて説
明してきたが、本発明の回路解析ツールは、回路モデル
を基にキルヒホッフ回路の法則から回路方程式を導く手
段(プログラム)において抵抗マトリクスR、電圧ベク
トルE、電流ベクトルI、変換マトリクスKx、Ku、ス
イッチングシーケンスを定義し直すだけで、サイリスタ
式単相倍電圧整流器、三相電圧型高力率PWMコンバー
タ、スイッチング方式の電流増幅器などの解析に適用す
ることが可能である。
【0084】また、ここではスイッチのオン、オフの2
状態のみを議論してきたが、スイッチを連続的に変化す
る時変抵抗でモデル化することも可能である。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、解
析対象回路のスイッチを時変抵抗でモデル化した回路モ
デルに基づき、回路方程式を導き、この回路方程式をリ
アクトルやコンデンサなどのエネルギー蓄積素子に関す
る状態方程式に変換する手法が与えられ、その手法を取
入れた回路解析ツールが提供される。この回路解析ツー
ルは、タブロー法のように、個々の構成回路要素の特性
法則を表す式とその接続関係を表す式を全て連立させた
非線形微分代数方程式を解く場合に比べ、リアクトルや
コンデンサなどのエネルギー蓄積素子だけに関する状態
方程式だけを繰り返し演算すればよいので、最小限の演
算回数で、速やかに所望の解析結果を得ることができ
る。
【0086】また、回路の動作モードごとに状態方程式
を立てる方法と違い、あらかじめ動作モードを知る必要
がなく、ただスイッチのオンオフ動作条件をプログラム
として記述すればよい。さらに、時間領域回路解析法や
周波数領域回路解析法とは違い、回路のマクロモデル化
をする必要がないので、マクロ化に伴う近似的な処理を
必要としないので、共振現象や不連続動作を含む複雑な
電力変換回路の解析をも厳密に扱うことが可能である。
【0087】さらに、本発明の回路解析ツールではデジ
タル制御アルゴリズムをプログラムとして記述し、組み
込むことも可能であり、回路解析ツールで用いたものと
同じプログラムを実際にマイクロプロセッサやDSPを
用いて制御される電力変換機器の制御プログラムの中に
移植することも可能である。
【0088】また本発明の回路解析ツールでは、状態方
程式を解く際の計算ステップ幅を回路の固有値に基づき
決定する手法が提供され、このような手法を採用するこ
とにより、計算回数を最小にして、しかも解の収束性を
保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による本発明の第一の実施例の第一の実
施例を示す図
【図2】解析対象回路の一例を示す図
【図3】図2の回路のスイッチを時変抵抗としてモデル
化した回路モデル
【図4】図3の回路モデルから回路方程式を導くための
説明図
【図5】本発明の回路解析ツールによる解析処理の一例
を示すフローチャート図
【図6】本発明の回路解析ツールを実現する計算機シス
テムの構成例を示す図
【図7】一次遅れ系における計算ステップ幅と回路の固
有値との関係を示す図
【図8】図2の回路における動作モードとその固有値を
示す図
【図9】(a)および(b)はそれぞれ図2の回路の抵
抗値を変えた場合について本発明の回路解析ツールでシ
ミュレートした結果を示す図で、固有値が計算結果に及
ぼす影響を示す。
【図10】(a)は図2の回路を本発明の回路解析ツー
ルでシミュレーションした結果、(b)は図2の回路の
実機による実験波形を示す図。
【符号の説明】
2・・・回路方程式−状態方程式変換手段(代数計算手
段) 4・・・数値積分手段 6・・・波形表示手段 7・・・時変抵抗回路モデル 8・・・計算ステップ幅決定手段 9・・・デジタル制御アルゴリズム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畠山 敬信 東京都千代田区内神田1丁目1番14号 株 式会社日立メディコ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】解析対象回路のスイッチ素子を時間ととも
    に変化する抵抗でモデル化した時変抵抗回路モデルとし
    て入力する手段と、この時変抵抗回路モデルに基づき状
    態方程式を導出し、この状態方程式を解く演算手段と、
    前記演算手段の結果である前記解析対象回路の状態量を
    波形として表示する表示手段とを備えた回路解析ツール
    であって、 前記演算手段は前記時変抵抗回路モデルに基づきキルヒ
    ホフの法則から導いた回路方程式を、解析対象回路の中
    のエネルギー蓄積素子に関する状態方程式に変換する代
    数計算手段と、前記状態方程式を解くための数値積分手
    段とを備えたことを特徴とする回路解析ツール。
  2. 【請求項2】前記回路方程式は、キルヒホフの法則から
    導出された式(1)と、 E=IR (1) (式中、Rは回路構成要素の抵抗で決まる抵抗マトリク
    ス、Eはエネルギー蓄積素子に関する状態変数及び入力
    を要素として含むベクトル、以下、電圧ベクトルとい
    う。Iは式(1)を満たすベクトルを表す。) 電圧ベクトルEを状態ベクトルxの項と入力ベクトルV
    iの項に分離した式(2)とで表され、 E=Kxx+KuVi (2) (式中、Kx及びKuはそれぞれ電圧ベクトルEから導か
    れる係数を表す。) 前記代数計算手段が実行する演算は、 1)前記抵抗マトリクスRからその逆マトリクスR-1
    求める工程、 2)逆マトリクスR-1から前記エネルギー蓄積素子に関
    わる要素を抜出したマトリクスR*を定義する工程、及
    び 3)マトリクスR*、前記係数Kx、Ku及び前記エネル
    ギー蓄積素子の定数に基づき、次式(3)で表される状
    態方程式の係数A、Bを導出する工程を含むことを特徴
    とする請求項1記載の回路解析ツール。 【数1】
  3. 【請求項3】前記代数計算手段が実行する演算は、更に
    前記回路方程式の抵抗マトリクスRに前記スイッチ素子
    のスイッチング条件を組込む工程を含むことを特徴とす
    る請求項1記載の解析ツール。
  4. 【請求項4】解析対象回路を記述する状態方程式を数値
    積分演算によって所定の計算ステップ幅で解く数値積分
    手段を備えた回路解析ツールにおいて、 前記計算ステップ幅は、前記状態方程式から動作モード
    ごとの回路の固有値を求め、これら固有値の中から最も
    速く収束する固有値を選び、この選択された固有値に基
    づいて前記数値積分手段の計算ステップ幅を決定する計
    算ステップ幅決定手段を備えていることを特徴とする回
    路解析ツール。
  5. 【請求項5】前記数値積分手段は、請求項4に記載の計
    算ステップ幅決定手段を備えていることを特徴とする請
    求項1ないし3に記載の回路解析ツール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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