JPH10211263A - 可搬式滅菌装置 - Google Patents

可搬式滅菌装置

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JPH10211263A
JPH10211263A JP1566397A JP1566397A JPH10211263A JP H10211263 A JPH10211263 A JP H10211263A JP 1566397 A JP1566397 A JP 1566397A JP 1566397 A JP1566397 A JP 1566397A JP H10211263 A JPH10211263 A JP H10211263A
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sterilizing
gas
booth
factor
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Akira Mizuno
彰 水野
Masanori Nagata
政令 永田
Shigeki Konno
茂樹 今野
Toshio Ishida
敏雄 石田
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Fujimori Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医療設備、包装装置や食品貯蔵庫などの
任意の閉鎖空間を滅菌ブースとなしうる、安全で、被処
理物を変質させることが少なく、信頼性の高い滅菌を短
時間で効率よく行い得るとともに、自立、移動可能で構
成が簡易な可搬式滅菌装置を提供する。 【解決手段】 可搬式滅菌装置10は、大気圧でプラ
ズマを発生させるプラズマ発生12を備えており、ここ
に殺菌因子の原料を供給するためのパイプが連結されて
いる。所望のキャリアガスは圧縮空気を導入口14から
バルブ16を開放して導入しても、装置内に配置された
キャリアガスボンベ18から供給してもよい。プラズマ
発生器12で生成した殺菌因子は所望の殺菌ブースに滅
菌因子供給装置22を経て供給され、殺菌ブース内で使
用後の排気ガスは、排気回収口24より、滅菌装置10
内に回収され、再使用されるか、又は排気ガス処理装置
28を経て有害成分が除去された後、排気口30から大
気中へと排気される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、滅菌装置に関し、
詳しくは、所望の閉鎖された空間を無菌状態とすること
ができ、安全で、かつ効率よく滅菌できる可搬式滅菌装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】手術室等の医療設備や食料品などの包装
に用いられる包装装置、或いは米、麦、大豆などの食品
貯蔵室などを無菌状態とする場合、これらの閉鎖された
空間を効率よく、安全に滅菌しうる装置を用いることが
必要である。このような場合用いられる滅菌方法として
は、乾式の殺菌方法であることが重要であり、例えば、
酸化エチレンガス等の殺菌剤を用いる方法、ガンマ線や
電子線等の放射線を照射する方法等が知られている。
【0003】酸化エチレンガス等の殺菌剤を用いる殺菌
方法は、使用する殺菌剤そのものが毒性を有することが
多い。そのため、連続処理が困難であり、さらに、被処
理物に殺菌剤が残存する虞もある。
【0004】ガンマ線や電子線等の放射線を照射する方
法は、前記殺菌剤を用いた場合の如き殺菌因子が残存す
る虞はない。しかし、放射線照射により被処理物の機械
的強度を低下させたり、物品が樹脂である場合には、樹
脂が分解等して悪臭を発生したり、変色する等の問題点
がある(特公平3−73309号公報参照)。さらに、
大規模な装置と放射線を扱うための専任者を必要とする
ため、汎用性に問題がある。
【0005】これら従来技術が有する課題を解決できる
殺菌方法としてプラズマを用いる方法が知られている
(特開平5−229530号)。この方法は、例えば、
複合酸化物からなるエネルギー変換体に電磁波を照射
し、励起したエネルギー変換体と希ガス等を接触させた
プラズマ状態とし、プラズマ状になった希ガス等を被殺
菌体と接触させるものである。このプラズマを用いる方
法は、包装材料等の被処理物を安全で、容易に殺菌で
き、かつ殺菌した物品を変質させることが少なく、優れ
た方法といえる。本発明者らはプラズマを用いる方法に
ついて検討を進め、先に、より小型の装置で実施しう
る、安全性の高い殺菌方法を見出し、出願を行った(特
開平8−168516号)。本発明は、その殺菌方法の
応用であり、その方法を任意の空間に適用して、所望の
閉鎖空間を滅菌ブースとなしうるための好適な装置に関
するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明の目的
は、医療設備、包装装置や食品貯蔵庫などの任意の閉鎖
空間を滅菌ブースとなしうる、安全で、被処理物を変質
させることが少なく、信頼性の高い滅菌を短時間で効率
よく行い得る滅菌装置、さらには、自立、移動可能で構
成が簡易な可搬式滅菌装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、大気圧プラズ
マを応用した可搬式滅菌装置であり、本発明の可搬式滅
菌装置は、所望の滅菌ブースへプラズマ発生装置により
生成される殺菌因子を供給するための可搬式滅菌装置で
あって、大気圧でプラズマを発生させるプラズマ発生器
と、該プラズマ発生器からのプラズマにより生成される
殺菌因子を所望の滅菌ブースへ搬送する殺菌因子供給装
置と、該滅菌ブース内の圧力を陽圧にする圧力調整器
と、該滅菌ブースから回収される殺菌因子を分離して処
理する排気処理装置と、を有することを特徴とする。
【0008】この可搬式滅菌装置には前記プラズマ発生
器へ不活性ガスなどのキャリアガスを供給するボンベを
有することが滅菌効率上好ましい。また、殺菌因子を滅
菌ブースへ搬送する殺菌因子供給装置は、ポンプ、コン
プレッサー等の簡易な装置から選択して用いることもで
きる。
【0009】さらに、この可搬式滅菌装置においては、
プラズマ発生器、殺菌因子供給装置、圧力調整器及び排
気処理装置等の構成部材が全て、可動式の枠体内に配置
されていることが、搬送の容易性の観点から好ましい。
【0010】本発明の可搬式滅菌装置においては、任意
の滅菌ブースと連結することにより、プラズマ発生器に
より生成される滅菌因子を滅菌ブースに供給して殺菌因
子によりブース内を短時間で満たすことにより、簡易に
クリーンルームに匹敵する滅菌条件を達成することがで
きる。さらに、該滅菌ブースからの排気を装置内に取り
込んで安全に処理したのち、大気中へ排気することがで
きるため、任意の場所で使用することができ、設置場所
の制約がないという利点を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0012】本発明の滅菌装置に用いる大気圧下でプラ
ズマを発生させるプラズマ発生器は、電界を発生させる
ためにパルス電圧を用い、気体と液体との混合物の少な
くとも一部を電離させる機能を有している。本発明の滅
菌装置においては、この気体と液体との混合物を電離さ
せて得た殺菌因子を被処理物に接触させて滅菌すること
が特徴である。
【0013】図1は本発明の可搬式滅菌装置の一態様を
示す概略断面図である。可搬式滅菌装置10は、プラズ
マ発生器12を備えており、ここにキャリアガスと過酸
化水素水等の殺菌因子の原料を供給するためのパイプが
連結されている。キャリアガスは図示されないコンプレ
ッサーから供給される圧縮空気を導入口14からバルブ
16を開放して導入してもよく、装置内に配置された不
活性ガスなどを充填したキャリアガスボンベ18から切
り替えバルブ20を調整することにより供給してもよ
い。プラズマ発生器12で生成した殺菌因子は所望の殺
菌ブース(図示せず)に滅菌因子供給装置22を経て供
給される。供給を円滑に行うため、滅菌因子供給装置2
2にはポンプが配置されている。
【0014】殺菌ブース内で使用されたのちの排気は、
吸引用ポンプを備えた排気回収口24より、可搬式滅菌
装置10内に回収され、バルブ25により一部が排気ガ
ス処理装置28へと導入され、そこで活性炭処理などに
より有害成分が除去された後、排気口30から大気中へ
と排気される。また、一部がキャリアガスとして再利用
に供されるために搬送パイプ32から水分吸収装置34
を経て余分な水分を除去された後、再びプラズマ発生器
12へと導入される。
【0015】図2は、本発明の可搬式滅菌装置10に好
適に用いられる大気圧プラズマ発生器12の一例を示す
概略断面図である。石英被覆電極36と金属電極37に
よって筒状の接地電極38を構成しており、その筒状の
接地電極38の略中央部には棒状の金属電極40が配置
されて高圧電極を構成する。電圧を印加することによ
り、この接地電極38と高圧電極40との間に電界が形
成される。ここに気体又は気体と液体の混合物の導入管
(パイプ42)及び気体と液体の混合物の導入管(パイ
プ44)が配置されている。
【0016】パイプ42は、図示していないが、過酸化
水素水等の液体を満たしたネブライザーを介してまた直
接気体の供給源と連絡している。また、パイプ44は、
図示していないが、過酸化水素水等の液体を満たしたネ
ブライザーを介して気体の供給源と連絡している。
【0017】気体と液体との混合物を直接電離させる場
合には、気体を過酸化水素水等の液体を満たしたネブラ
イザーに通して得られる霧状の混合物をパイプ42から
電界中に供給する。接地電極38と高圧電極40の間を
通過したガスは、少なくとも一部が電離し、殺菌因子を
形成する。この場合には、パイプ44は使用しない。ま
た、気体を電離させ、次いで電離した気体と、気体と液
体との混合物を混合する場合には、電離用の気体をパイ
プ42から導入し、パイプ44からは、気体を過酸化水
素水等の液体を満たしたネブライザーに通して得られる
霧状の混合物を導入する。接地電極38と高圧電極40
との間を通過した気体は、少なくとも一部が電離し、こ
の電離気体はパイプ44から供給される霧状の混合物と
混合され、殺菌因子を形成する。
【0018】このような電界の発生装置は、例えばコロ
ナ放電等に用いられる高圧電極と接地電極とをそのまま
用いることができ、高圧電極及び接地電極の少なくとも
いずれか一方の表面が固体誘電体で被覆されているもの
を用いることができる。なお、固体誘電体には特に制限
はないが、例えば石英等のセラミックスやハイパロンラ
バー、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルの
積層体等を用いることができる。また、高圧電極40及
び接地電極38のいずれもが、金属電極であることもで
きる。
【0019】また、大気圧プラズマ発生器12の高圧電
極40と接地電極38の数及び形状等には特に制限はな
く、発生させた電界内を通過する気体又は気体と液体の
混合物をどの程度電離させる必要があるか否かにより適
宜決定できる。例えば、気体又は気体と液体の混合物の
流量が多い場合は 電離の方法には、電界中に気体と液
体の混合物を通して、前記混合物の少なくとも一部を電
離させる方法と、電界中に気体を通して得られる少なく
とも一部を電離させた気体と、気体と液体の混合物とを
前記電界外で混合して少なくとも一部が電離した気体と
液体の混合物を得る方法とがある。
【0020】これら、殺菌因子の原料となる気体、液体
を一定以上の割合で電離させる目的で、電界中における
滞在時間が長くなるように調整することができ、その手
段としては、高圧電極と接地電極を並列に複数設けた
り、或いは高圧電極と接地電極の少なくとも一方を帯状
の形状にすることもできる。また、局部放電を防止する
目的で、高圧電極の表面積を大きくするために、電極に
突起や凹凸等を設けることもできる。
【0021】本発明の滅菌装置に用いられる大気圧プラ
ズマ発生装置において、殺菌因子を発生させるための、
パルス電圧の立ち上がり速度は、いずれも0.01kV
/ns〜10kV/nsの範囲にあることが適当であ
る。パルス電圧の立ち上がり速度が0.01kV/ns
未満では、滅菌効果も低下する傾向がある。パルス電圧
の立ち上がり速度が10kV/nsを超えても、滅菌効
果に悪影響はないが、電圧発生が困難となる。
【0022】パルス電圧の立ち上がり速度の好ましい範
囲は0.1kV/ns〜1kV/nsの範囲である。
【0023】また、上記パルス電圧のパルス幅は10-9
秒〜10-1秒の範囲にあることが適当である。パルス幅
が滅菌効果には大きな影響はないが、発振可能なパルス
幅は上記の範囲である。パルス幅の好ましい範囲は10
-8秒〜10-6秒である。
【0024】パルス電圧のピーク電圧は1kVp〜10
0kVpの範囲にあることが適当である。ピーク電圧が
1kVp未満では、電界強度が小さく、ピーク電圧が1
00kVpを超えると装置を大型化する必要がでてくる
等の問題がある。ピーク電圧の好ましい範囲は8〜50
kVpである。
【0025】パルス電圧の周波数は1Hz〜100kH
zの範囲であることが適当である。周波数が1Hz未満
では、滅菌効率が低下し、100kHzを超えると電界
内のガスの温度が大幅に上昇する。パルス電圧の周波数
の好ましい範囲は、50Hz〜500Hzの範囲であ
る。
【0026】殺菌因子である電離混合物発生のために、
大気圧プラズマ発生器内で電界を通過させる原料となる
気体は、前記の電界中で電離可能な気体である。そのよ
うな気体として、例えば、酸素、窒素、希ガス(アルゴ
ン、ヘリウム及びネオン)、水素、空気等を挙げること
ができる。空気を用いる場合は、直接、大気中からコン
プレッサーを経て取り込んだ圧縮空気を用いることがで
きる。また、希ガスを用いてもよく、なかでも、アルゴ
ンは電離し易く、コスト的に優れているので好ましい。
また、ヘリウムは電離が連続的になり易いという観点か
ら好ましい。特に、アルゴンは、ヘリウムよりも比重が
空気により近く、大気圧下での取扱が容易であるため、
より好適に使用することができる。また、上記気体の2
種以上を混合して併用することもできる。
【0027】また、液体は、例えば、水、過酸化水素
水、過酢酸、過酢酸水溶液、エタノール、エタノールと
水との混合物等であることができる。
【0028】過酸化水素水を用いる場合、過酸化水素水
の濃度は、市販され、入手が容易であるという観点から
は、例えば過酸化水素濃度50%以下のものであること
が適当である。それ以下の濃度においては、滅菌条件等
を考慮して、市販の過酸化水素水を水で希釈して適宜濃
度を調整することができる。但し、滅菌効果を考慮する
と1%以上の過酸化水素水を用いることが好ましい。
【0029】上記液体は、霧状であることが好ましく、
霧状の液体は、液体の供給源と接続しているネブライザ
ーに上記気体をキャリアーガスとして通すことにより発
生させることができる。また、霧状の気体は、これらに
キャリアーガスをバブリングさせることによっても発生
させることができる。また、気体の一部をキャリアーガ
スとし、気体とキャリアーガスとで得られた霧状物を残
りの気体と混合することによっても調製することができ
る。
【0030】気体(キャリアーガスも含む全ての気体)
と液体との割合は、特に制限はないが、気体1リットル
当たり1mg〜100mgの範囲とすることが、放電持
続と被処理物への圧力と言う観点から適当である。
【0031】さらに、霧状物の粒子径は、例えば約5〜
3000μmの範囲とすることが局所放電防止と言う観
点から好ましい。
【0032】電界中を通過させる気体又は気体と液体の
混合物は、前記の如く少なくとも一部が電離して殺菌因
子を形成することが必要である。そこで、気体又は気体
と液体の混合物の流量、電界発生のため投入する電圧及
び電流(電力)量、電極の数及び形状、等は、気体又は
気体と液体の混合物は、少なくとも一部が電離できるよ
うに適宜決定する。又、ガス圧は、通常は大気圧付近で
あることが、操作が容易であることから好ましい。
【0033】以下に、本発明の可搬式滅菌装置10によ
る滅菌処理の工程について説明する。
【0034】本発明の可搬式滅菌装置10は所望の滅菌
ブースに連結して使用するものであり、閉鎖された空間
であれば滅菌ブースとして適用が可能である。具体的に
は、手術室などの医療設備、食品包装装置(クローズさ
れたもの)あるいはそれらを配置したクリーンルーム、
米、麦、豆などの食料品貯蔵庫、公知のチャンバー類等
が挙げられる。
【0035】この滅菌ブースに所定の開口部を2ヵ所設
けて、それぞれを可搬式滅菌装置10の滅菌因子供給装
置(供給口)22および排気回収口24と連結する。
【0036】その後、可搬式滅菌装置10のプラズマ発
生器12を作動させて、気体又は気体と液体の混合物を
電離して得られた殺菌因子を供給口22を経て滅菌ブー
ス内に供給する。有効量の殺菌因子を供給するために、
プラズマ発生器12の電離混合物生成能力から予め設定
された所定時間、プラズマ発生器12を作動させ、その
後、滅菌処理を開始することが好ましい。
【0037】また、系内の滅菌処理を開始する前に滅菌
装置及び/又は滅菌ブース内にスチームを流して殺菌し
ておくこともできる。スチームを滅菌装置外から供給す
る場合には、系内の滅菌状態を阻害しないように、スチ
ームの導入経路に図1に示すような滅菌用フィルター4
6を設けることが好ましい。
【0038】滅菌ブース内に殺菌因子が満たされること
によって、滅菌ブース内の雰囲気及びそこに配置された
被処理物が滅菌ブース内に充満している殺菌因子と接触
することにより、滅菌処理が行われる。
【0039】ここで、滅菌因子の供給時間と滅菌ブース
内の圧力等を制御して、滅菌ブースの内部が殺菌因子と
接触する時間や条件を調整する。滅菌ブース内に十分な
殺菌因子の貯留がなされた場合には、滅菌ブース内での
滞留時間は15秒間以上、好ましくは30秒間程度で十
分な滅菌処理を行うことができる。
【0040】このとき、滅菌ブース内が大気圧よりやや
加圧状態(大気圧より最大1気圧までの陽圧)になるよ
うにして操作することが、滅菌効果を高めることができ
るという観点から好ましい。従って、滅菌ブースに連結
する供給口22に配置されたポンプを作動させて滅菌ブ
ース内の気圧が所定の範囲に保持されるように調整す
る。
【0041】このように滅菌ブース内は、前記のように
大気圧よりやや加圧状態(本発明ではこの大気圧よりや
や加圧状態とした状態を陽圧状態と称する)、例えば、
2〜10mmH2 O、好ましくは2.5〜5mmH2
程度の微加圧状態(陽圧)として処理を行うことが、滅
菌効果の向上の観点から好ましい。また、滅菌ブース内
を陽圧にすることにより、滅菌ブース内の無菌状態を維
持することが容易となる。
【0042】滅菌ブースを構成する材料は気密性や耐オ
ゾン性などの物性の要求を満たす限りにおいて特に制限
はないが、強度、耐久性及び入手容易性の観点から、S
US304などの金属材料、硬質樹脂材料、セラミック
等を好適に挙げることができる。
【0043】所定時間、滅菌ガスを供給して滅菌処理を
完了したのち、供給口22および排気回収口24のバル
ブ23、25を閉めて、滅菌ブース内の滅菌因子の濃度
が減衰して滅菌性がなくなるまでその状態を保持するこ
とができる。
【0044】処理が終了した後、無菌の滅菌ブース内に
滅菌用フィルター46でろ過された無菌エアーを導入
し、排気回収口24から滅菌ブース内の殺菌因子が残留
した排気を回収しながら、滅菌ブース内の残留ガスを置
換させて滅菌工程を終了する。
【0045】滅菌処理を完了した後、滅菌ブース内より
回収された気体の排気は、排気中に残存する殺菌因子に
よる環境への影響を低減するため、排気ガス分解装置
(排気処理装置)28によってオゾンなどの有害物質が
分解処理された後、外気へと排出される。
【0046】殺菌因子が残存する排気は一部が排気ガス
分解装置(排気処理装置)28により処理された後、外
気へと排出されるが、この殺菌因子が残存する排気をす
べて排出せずに、その一部又は全部を移送管32を設け
て滅菌ブースからプラズマ発生器12へ移送して再利用
することもできる。このように、殺菌因子が残存する排
気を循環、再利用することは、環境及び処理効率の観点
から好ましい。
【0047】本発明の可搬式滅菌装置10の各構成要素
を図1に示すように一つの枠体、例えば、移動式の車輪
を備えた金属製や樹脂製の箱体内に配置することによ
り、コンパクトで移動を円滑に行いうる小型の可搬式滅
菌装置とすることができる。
【0048】本発明の可搬式滅菌装置によれば所望の滅
菌ブースと連結することにより、簡易に クリーンルー
ムを形成できるのみならず、好適な閉鎖空間を形成でき
る密閉容器等を用いて、容器内に滅菌したい被処理物を
配置することにより、滅菌処理を行うことができる場所
が任意に選択できるという利点を有する。ここで、滅菌
ブース内に配置される被処理物には特に限定はないが、
例えば、カテーテル、注射針などの医療材料及びその包
装材料、食料品、飲料、医薬品及びその包装材料等に対
して、好適に使用することができる。
【0049】滅菌できる細菌にも特に限定はない。本発
明の可搬式滅菌装置を用いれば、例えば、大腸菌(E.
coli)、サルモネラ・ティフィ(Sal.typh
i)、枯草菌(B.subtilis)、黄色ブドウ球
菌(Staphylococcus.aureus)、
アスペルギルス・ニガー(Asp.niger)等の菌
を滅菌することができる。
【0050】本発明の可搬式滅菌装置は、小型で移動が
可能であり、所望の滅菌ブース内部の雰囲気を加熱を行
わず、常温で、且つ、僅かな加圧条件で滅菌状態となす
ことができるため、耐圧性チャンバーや加熱装置等の高
価な装置や多大なエネルギーを要さず、効率よく、信頼
性の高い滅菌条件を有する空間を所望の場所にて達成す
ることができる。
【0051】また、本発明の可搬式滅菌装置は所望の閉
鎖された空間(滅菌ブース)に連結して使用するもので
あるが、生成する殺菌因子に対して大過剰の被処理物、
例えば、土壌、砂場の砂等の滅菌に使用する場合には、
被処理物と接触せずにそのまま大気中に放出される殺菌
因子の後処理を必要としないことから、開放部位に対し
ても適用が可能である。この場合、排気回収口24は閉
鎖し、供給口22のパイプ先端を滅菌を行う土壌や砂等
に所定の深さに挿入したのち、装置を作動させて滅菌処
理を行えばよい。
【0052】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに説明する。 (実施例1)図1に示す可搬式滅菌装置10を用いて、
無菌充填包装装置のチャンバー内の滅菌処理を行った。
図3は、無菌充填包装装置48を配置したチャンバー5
0に可搬式滅菌装置10を接続した状態を、チャンバー
50内部を可視状態として表した概略図である。
【0053】滅菌チャンバー50としては、肉厚2mm
のステンレス鋼(sus304)で、長さ2.0m、幅
2.0m、高さ1.0mのサイズの直方体で、気密状態
に構成されている箱体を用いた。
【0054】また、チャンバー50の一壁面の下方に
は、滅菌因子を導入するための開口部52が設けられ、
可搬式滅菌装置10の供給口22と連結され、同じ壁面
の上方には可搬式滅菌装置10の排気回収口24と連結
された排気用の開口部54が備えられている。
【0055】プラズマ発生器12として、高電圧方形波
パルス発生器(ピーク電圧18〜20kV、波形:方形
波、周波数:240Hz〜328.5Hz)を用い、さ
らに気体と液体の混合にはネプライザーを用い、パイプ
42から気体(O2 、供給量400リットル/分)と液体
(35%H2 2 )の混合物を電界内に供給した。ま
た、液体の消費量は300g/hrであった。
【0056】まず、プラズマ発生器12を15分間作動
させてチャンバー50内に殺菌因子を貯留した後、供給
口22に備えられたポンプを稼働させて、チャンバー5
0内の圧力が2.5mmH2 Oになった場合、供給を停
止し、3.5mmH2 Oになった場合には排気回収口2
4のバルブ25を開放して排気するようになしてチャン
バー50内の圧力を微陽圧(2.5〜3.5mm/H2
O)に調整しながら滅菌処理をスタートさせた。
【0057】殺菌因子の供給を30分間行うことにより
チャンバー50内及びその内部に配置された充填包装装
置48は、内部の殺菌因子と接触することにより滅菌処
理が行われる。殺菌因子の供給を30分間行った後、殺
菌因子を減衰させるために滅菌処理工程を終了した後、
無菌フィルター46を介して得られる無菌エアーをチャ
ンバー50に供給して、チャンバー50内に残留するガ
スを排気回収口24のポンプを作動させて回収する。
【0058】回収された排気ガスの一部は、滅菌中は循
環パイプ32によって再びプラズマ発生器12へ送られ
て再利用されるが、他の一部及び最終的に処理が完了
し、滅菌処理が完了した場合には、チャンバー内より回
収された排気ガスは、排気ガス分解装置(排気処理装
置)28によって排気ガス中に残存する殺菌因子や有害
なオゾン等を除去された後、大気中へ排出される。
【0059】本実施例では、滅菌効果の確認のために、
テストピースとしてポリエステルフィルムを短冊状に切
断し、この一部に枯草菌(バシルス・スブチリス:B.
subtilis)の芽胞子(endspore)を1
ピース当たり1×106 個になるように付着させて強制
汚染し、このテストピースをチャンバー内面及び充填包
装装置48の図3中に示す各部分(a)〜(h)、即
ち、(a)給袋部吸盤(右側)、(b)グリッパー、
(c)円盤上面(中央)、(d)円盤下面(側面)、
(e)開袋口枡、(f)充填ノズル下方、(g)ホッパ
ー側面及び(h)冷却シールバー側面に貼付して、滅菌
処理後に無菌状態で当該部分を回収して菌数の測定を行
った。
【0060】滅菌処理後の被処理物に貼付した各テスト
ピースに残存する菌数を以下の方法で算出し、測定結果
を下記表1に示した。
【0061】
【表1】
【0062】評価方法(残存胞子数検査) 殺菌試験に供した被処理物を、滅菌した界面活性剤0.
2%トゥイーン80(Tween80:商品名、東京化
成工業(株)製)を含む生理食塩水10mlに1時間浸
漬後攪拌して、残存胞子を抽出した。得られた残存胞子
抽出液を、標準寒天培地を用いて、35℃で72時間培
養した。培養後、出現したコロニー数から1ピース当た
りの残存胞子を算出した。結果を表1に示す。なお、表
1中、未処理品とは、滅菌処理を行わず、同じ時間常温
にて放置したものであり、残存胞子数は1.0×106
(胞子数/ピース)であった。
【0063】表1から明らかな如く、各テストピースか
らはいずれも常法による測定操作において生菌は検出さ
れず、本発明の可搬式滅菌装置を用いることにより、所
望の滅菌雰囲気が形成され、チャンバー内に配置された
被処理物の滅菌処理が完全に達成された。
【0064】同程度の滅菌処理に通常のエチレンオキサ
イドガスを用いた場合、数時間を要し、且つ、殺菌用の
薬剤残留の危険性が常に伴うことから、本実施例の可搬
式滅菌装置が効率よく、信頼性の高い滅菌処理を達成し
うることがわかる。
【0065】
【発明の効果】本発明の可搬式滅菌装置によれば、医療
設備、包装装置や食品貯蔵庫などの任意の閉鎖空間を滅
菌ブースとなしうる、安全で、被処理物を変質させるこ
とが少なく、信頼性の高い滅菌を短時間で効率よく行い
得るという効果を奏する。さらに、本発明の可搬式滅菌
装置は、自立、移動可能で構成が簡易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた可搬式滅菌装置の一態様を示
す概略断面図である。
【図2】本発明の可搬式滅菌装置に好適に用いられる大
気圧プラズマ発生器を示す概略断面図である。
【図3】実施例1で用いた可搬式滅菌装置を接続した滅
菌チャンバー内に包装充填装置を配置した状態を示す概
略図である。
【符号の説明】
10 可搬式滅菌装置 12 大気圧プラズマ発生器 18 キャリアガス用ボンベ 22 滅菌因子供給装置(滅菌因子供給口) 24 排気回収口 28 排気ガス分解装置(排気処理装置) 36 石英被覆電極 37 金属電極 38 接地電極 40 高圧電極 46 滅菌フィルター 48 充填包装装置 50 チャンバー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所望の滅菌ブースへプラズマ発生装置に
    より生成される殺菌因子を供給するための可搬式滅菌装
    置であって、 大気圧でプラズマを発生させるプラズマ発生器と、 該プラズマ発生器からのプラズマにより生成される殺菌
    因子を所望の滅菌ブースへ搬送する殺菌因子供給装置
    と、 該滅菌ブース内の圧力を陽圧にする圧力調整器と、 該滅菌ブースから回収される殺菌因子を分離して処理す
    る排気処理装置と、 を有する可搬式滅菌装置。
  2. 【請求項2】 前記プラズマ発生器へキャリアガスを供
    給するボンベを有することを特徴とする請求項1に記載
    の可搬式滅菌装置。
  3. 【請求項3】 前記殺菌因子供給装置が、ポンプ、コン
    プレッサーから選択されることを特徴とする請求項1に
    記載の可搬式滅菌装置。
  4. 【請求項4】 前記プラズマ発生器、殺菌因子供給装
    置、圧力調整器及び排気処理装置が、可動式の枠体内に
    配置されていることを特徴とする請求項1に記載の可搬
    式滅菌装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003080059A (ja) * 2001-09-10 2003-03-18 Yaskawa Electric Corp 反応性ガスを用いた物質処理方法およびその装置
JP2015029554A (ja) * 2013-07-31 2015-02-16 大和製罐株式会社 殺菌装置及び殺菌方法
JP2015512673A (ja) * 2012-02-22 2015-04-30 アメリカン ステリライザー カンパニー 過酸化水素蒸気除染構造
JP2016539738A (ja) * 2013-12-30 2016-12-22 アメリカン ステリライザー カンパニー ポータブル除染ユニット
JP2021510093A (ja) * 2017-12-29 2021-04-15 トミー エンバイロンメンタル ソリューションズ インコーポレイテッドTOMI Environmental Solutions,Inc. 小さいエンクロージャを除染するための方法およびシステム

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