JP4160859B2 - プラズマ滅菌装置及びプラズマ滅菌方法 - Google Patents
プラズマ滅菌装置及びプラズマ滅菌方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4160859B2 JP4160859B2 JP2003158940A JP2003158940A JP4160859B2 JP 4160859 B2 JP4160859 B2 JP 4160859B2 JP 2003158940 A JP2003158940 A JP 2003158940A JP 2003158940 A JP2003158940 A JP 2003158940A JP 4160859 B2 JP4160859 B2 JP 4160859B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- plasma
- sterilization chamber
- sterilization
- pressure
- gas
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマ滅菌装置及びプラズマ滅菌方法に関し、更に詳細にはプラズマ発生装置で発生したプラズマを滅菌室内に供給するプラズマ滅菌装置及びプラズマ滅菌方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療材や食品等の被滅菌物に対し、非加熱で滅菌を施すことができる滅菌装置として、下記特許文献1にはプラズマ滅菌装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−99415号公報(請求項1、図1)
【0004】
上記特許文献1に提案されているプラズマ滅菌装置の概要を図4に示す。図4に示すプラズマ滅菌装置では、大気圧でプラズマを発生するプラズマ発生装置100が設けられた第1チャンバ102と、被滅菌物104,104・・が収容された耐圧構造の第2チャンバ106とを連結する配管108,108には、第1チャンバ102内のプラズマを含むプラズマ含有気体の第2チャンバ106への供給量を制御するバルブ110,110とコンプレッサー112,112とが設けられている。
更に、第2チャンバ106には、第2チャンバ106内の気体を吸排して内部圧力を一定に保持する圧力調整器112及び排気ガス分解装置114が設けられている。
【0005】
図4に示すプラズマ滅菌装置の第2チャンバ106に収容した被滅菌物104,104・・に滅菌を施す際には、酸素等の気体と過酸化水素の液体とをプラズマ発生装置100に供給し、大気圧下でプラズマを発生させて、プラズマ含有気体を第1チャンバ102に蓄積する。
第1チャンバ102に蓄積されたプラズマ含有気体は、配管108,108の制御するバルブ110,110によって流量を制御されつつ、必要に応じてコンプレッサー112,112を駆動して、真空状態の第2チャンバ106に供給される。
プラズマ含有気体が供給された第2チャンバ106の圧力を、大気圧よりもやや高い所定圧力に調整した状態を所定時間保持し、被滅菌物104,104・・に滅菌を施す。
滅被滅菌物104,104・・の滅菌が終了した後には、第2チャンバ106の気体を、圧力調整器112を介して排出する。その排出ガス中には、人体に有害なオゾン等が含まれているため、排気ガス分解装置114を通過させて無害化処理を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示すプラズマ滅菌装置では、被滅菌物104,104・・に非加熱で滅菌を施すことができ、熱劣化されやすい医療材や食品等の被滅菌物に滅菌処理を施すことができる。
しかし、図4に示すプラズマ滅菌装置では、滅菌終了後にも、第2チャンバ106内に人体に有害なオゾン等が存在するため、第2チャンバ106内の気体を直接大気中に排出できず、排気ガス分解装置114を通過させて無害化処理を施してから大気中に排出することを要する。
したがって、図4に示すプラズマ滅菌装置では、排気ガス分解装置114のメンテナンス等を必要とする他に、排気ガス分解装置114の処理性能によってプラズマ滅菌装置の処理能力も左右される。
そこで、本発明の課題は、被滅菌物が収容された滅菌室内にプラズマを供給し、被滅菌物の滅菌処理を終了した滅菌室内の気体を、直接大気中に排出できるプラズマ滅菌装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、滅菌室内にガス状の過酸化水素を供給して、減圧下で被滅菌物に第1次滅菌を施してから滅菌室内をアルゴンガス又は空気により大気圧近傍に復圧した後、プラズマ発生装置からプラズマを滅菌室内に供給することによって、被滅菌物に対するプラズマによる第2次滅菌を施すと共に、滅菌室内に残留している過酸化水素やオゾン等を無害化でき、滅菌室内のガスを直接大気中に排出できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、被滅菌物が収納される滅菌室が設けられた耐圧容器と、プラズマによって無害化されるガス状の殺菌剤を前記滅菌室内に供給する殺菌剤供給手段と、前記滅菌室内に非反応性ガスを供給する非反応性ガス供給手段と、前記耐圧容器の外部に設けられ、前記ガス状の殺菌剤と異なるプラズマ発生用ガスに大気圧下で発生したプラズマを前記滅菌室内に供給するプラズマ発生装置と、前記滅菌室内を減圧状態とする真空ポンプと、前記滅菌室内が加圧状態となったとき、前記真空ポンプをバイパスして前記滅菌室内のガスを排気し、前記滅菌室内を大気圧近傍の圧力に保持するバイパス排気路とが設けられている排気手段とを具備するプラズマ滅菌装置であって、前記排気手段によって、内圧が供給される前記ガス状の殺菌剤の蒸気圧以下の減圧状態となるように排気された前記滅菌室内に、前記殺菌剤供給手段によってガス状の殺菌剤を供給して、前記被滅菌物に対して第1次滅菌を施し、前記第1次滅菌を施した滅菌室には、前記非反応性ガス供給手段によって非反応性ガスを供給し、前記滅菌室内が大気圧近傍に到達したとき、前記プラズマ発生装置からプラズマを前記滅菌室内に供給し、且つ前記排気手段によって滅菌室内を大気圧近傍の圧力に保持して、前記被滅菌物に対して第2次滅菌を施すと共に、前記滅菌室内に残留するガス状の殺菌剤を無害化するように、前記殺菌剤供給手段、非反応性ガス供給手段、プラズマ発生装置及び排気手段を制御する制御部が設けられていることを特徴とするプラズマ滅菌装置にある。
また、本発明は、被滅菌物を収納した滅菌室内に、ガス状の殺菌剤とプラズマ滅菌装置からのプラズマとを供給し、前記被滅菌物に滅菌を施す際に、前記ガス状の殺菌剤として、前記プラズマによって無害化されるガス状の殺菌剤を用い、前記ガス状の殺菌剤の蒸気圧以下の減圧状態となるように排気した、前記被滅菌物を収納した滅菌室に、前記プラズマによって無害化されるガス状の殺菌剤を供給して被滅菌物に第1次滅菌を施し、次いで、前記滅菌室に非反応性ガスを供給して大気圧近傍に昇圧した後、前記被滅菌物に対して第2次滅菌を施すと共に、前記滅菌室内に残留するガス状の殺菌剤を無害化するように、前記滅菌室外に設けたプラズマ滅菌装置によって、前記ガス状の殺菌剤と異なるプラズマ発生用ガスに大気圧下で発生したプラズマを前記滅菌室に供給しつつ、前記滅菌室内を大気圧近傍の圧力に保持することを特徴とするプラズマ滅菌方法でもある。
【0008】
かかる本発明において、滅菌室には、供給されたガス状の殺菌剤の露点温度以上に前記滅菌室内を加熱する加熱手段を設けることによって、滅菌室内に供給された殺菌剤をガス状に保持でき、被滅菌物の内部に充分に殺菌剤を浸透させることができる。
更に、殺菌剤供給手段には、液状の殺菌剤をガス化する気化器を設けることによって、取扱が容易な液状の殺菌剤を用いることができる。かかる殺菌剤としては、過酸化水素を好適に用いることができる。
また、プラズマ発生装置としては、少なくとも一対の対向電極が外接して設けられた反応管に導入されたプラズマ発生用ガスに、前記対向電極の間に交流電界を印加し、大気圧下で生成したプラズマを前記反応管から放出するプラズマ発生装置を好適に用いることができ、プラズマ発生用ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、水素、酸素及び窒素から成る群から選ばれた一種又は二種以上から成る混合ガス、或いは前記群から選ばれた一種又は二種以上と水蒸気との混合ガスを好適に用いることができる。
尚、耐圧容器の外部に、第2次滅菌の際に、滅菌室内のガスの少なくとも一部をプラズマ発生装置に供給できるように、前記滅菌室内のガスをプラズマ発生装置との間で循環する循環手段を設けることによって、滅菌室内に残留しているガス状の殺菌剤を更に一層無害化できる。
【0009】
本発明に係るプラズマ滅菌装置では、真空状態とした滅菌室内に、殺菌剤供給手段によってガス状の殺菌剤を供給して、被滅菌物に対して減圧下で第1次滅菌を施した後、非反応性ガスによって滅菌室内を大気圧近傍まで昇圧する。このため、ガス状の殺菌剤は被滅菌物の内部まで充分に浸透し、被滅菌物の内部の滅菌を充分に施すことができる。
更に、滅菌室内が大気圧近傍に到達したとき、プラズマ発生装置からプラズマを滅菌室内に供給することによって、被滅菌物の表面の滅菌を再度行うと共に、滅菌室内に残留するガス状の殺菌剤を無害化できる。
その結果、ガス状の殺菌剤及びプラズマによって被滅菌物の滅菌を充分を行うことができ、且つ滅菌処理が終了した際に、滅菌室内の気体を大気中に直接排出できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係るプラズマ滅菌装置の一例を説明する概略図を図1に示す。図1に示すプラズマ滅菌装置では、被滅菌物が収納される滅菌室10が設けられた耐圧容器12と、滅菌室10内にガス状の殺菌剤として過酸化水素を供給する殺菌剤供給手段14と、滅菌室10内に非反応性ガスとしてのアルゴンガスを供給する非反応性ガス供給手段16と、耐圧容器12の外部に設けられ、滅菌室10内に供給するプラズマを大気圧下で発生するプラズマ発生装置18と、滅菌室10内を真空状態とする排気手段としての真空ポンプ20とが設けられている。
この排気手段には、真空ポンプ20をバイパスするバイパス排気路27が設けられている。このバイパス排気路27には、滅菌室10が加圧状態となったとき、滅菌室10内のガスの一部を大気中に排出し、滅菌室10が減圧状態となったとき、大気が滅菌室10内に流入しない様に、逆止弁25が設けられている。
殺菌剤供給手段14では、容器20の過酸化水素水は、ポンプ22によって制御弁24を経由して気化器26でガス化されて滅菌室10に供給される。この過酸化水素水は、過酸化水素の濃度が60%以下、好ましくは30〜35%の水溶液を用いることができる。
かかる過酸化水素水を気化する気化器26は、その内部に加熱装置が設けられていると共に、内部が減圧状態とすることができる。この気化器26に供給された過酸化水素水をガス化する際には、供給された過酸化水素水を50〜100℃、好ましくは65〜80℃でガス化するように減圧状態とする。大気圧下で過酸化水素水を蒸発すると、過酸化水素が熱分解するおそれがあるためである。
【0011】
この様に、蒸発された過酸化水素が供給される滅菌室10は、供給された過酸化水素の露点温度以上(35〜80℃、好ましくは50〜55℃)に加熱できるように、ヒータ等の加熱手段が設けられている。
また、非反応性ガス供給手段16には、ガスボンベ(図示せず)のアルゴンガスは、減圧弁28、逆支弁30、制御弁32、フィルタ34及びニードル弁36を経由して滅菌室10に供給される。
更に、真空ポンプ20は、滅菌室10内の気体を吸引する際に、制御弁38を経由して吸引して逆支弁40を経由して排出する。
尚、滅菌室10には、空気がフィルタ42及び制御弁44を経由して供給される。
【0012】
図1に示すプラズマ滅菌装置に用いるプラズマ発生装置18は、プラズマを大気圧下で発生し得るプラズマ発生装置であれば用いることができるが、特開2001−145689号公報で提案されたプラズマ発生装置を好適に用いることができる。
かかるプラズマ発生装置18は、プラズマ発生用ガスに大気圧下での放電によってプラズマを発生するプラズマ発生装置である。このプラズマ発生装置18を図2に示す。図2に示すプラズマ発生装置18は、一対の電極52,54が反応管50の外周面に上下に対向して配設されており、電極52,54の間に放電空間が形成されている。かかる電極52,54を、反応管50に外接するように設けることによって、滅菌室10内への金属不純物成分の侵入を防止できる。
この一対の電極52,54のうち、電極52は、高周波を発生する電源55に接続されて高電圧が印加される高圧電極に形成され、他方の電極54は、接地されて低電圧となる設置電極に形成されている。
かかる一対の電極52,54の内部には、冷媒が流通する流路が形成されており、この流路に冷媒を供給する冷媒供給管58,58と、流路から冷媒を排出する冷媒排出管60,60とが接続されている。
また、反応管50の下端部は、先細り形状に形成されたテーパー構造の集束部56となっており、この集束部56からはジェット状のプラズマを噴出させることができる。
尚、一対の電極52,54間には、周波数が1kHz〜2.5GHzの交流電界を印加することが好ましく、パルス状電界を印加してもよい。
【0013】
図2に示すプラズマ発生装置18の反応管50には、図1に示す様に、プラズマ発生用ガスとして、酸素ボンベ(図示せず)からの酸素ガスとアルゴンボンベ(図示せず)からのアルゴンガスとの混合ガス(以下、単に混合ガスと称することがある)が減圧弁46及び制御弁48を経由して供給される。反応管50に供給された混合ガスは、一対の電極52,54の大気圧下での放電によってプラズマ化されて集束部56から噴出し、滅菌室10内に供給される。
プラズマ発生装置18からプラズマが供給される滅菌室10内の少なくとも一部のガスは、循環手段としてのエジェクタ29によって滅菌室10とプラズマ発生装置18との間で循環できる。このエジェクタ29は、滅菌室10に供給される混合ガスによって駆動され、制御弁23を経由してエジェクタ29に吸引された滅菌室10内のガスは、混合ガスと共にプラズマ発生装置18を経由して滅菌室10に再供給される。
図1に示すプラズマ滅菌装置には、真空ポンプ20、ポンプ22の駆動・停止、制御弁23,24、32,38,44,48の開閉、及びプラズマ発生装置18の駆動・停止を制御する制御部62が設けられている。
【0014】
かかる制御部62による各部材の制御については、図3に示す滅菌サイクルパターンと共に説明する。図3は、縦軸に滅菌室10内の圧力を示すと共に、横軸に経時時間を示し、滅菌サイクルパターンを滅菌室10の圧力の経時変化を示すグラフである。
先ず、制御部62からは、制御弁38を開く開信号と真空ポンプ20を駆動する駆動信号とを発信し、滅菌室10内の気体を真空ポンプ20により排気する。
この際に、滅菌室10内を35〜80℃、好ましくは50〜55℃に加熱しつつ、滅菌室10の内圧を、供給されるガス状の殺菌剤の蒸気圧力以下の減圧状態とする。滅菌室10内の圧力は、圧力計11によって知ることができる。
ここで、ガス状の殺菌剤として、ガス状の過酸化水素を用いる場合には、滅菌室10内を過酸化水素の蒸気圧力以下の圧力(真空度)とする。具体的には、滅菌室10の到達真空度を、0.13×102〜1.33×102Paとすることが好ましい(50℃での過酸化水素の蒸気圧は13.3×102Paである)。
滅菌室10内が所定の真空度に到達したとき、制御部62からは、制御弁38を閉じる閉信号と真空ポンプ20を停止する停止信号とを発信すると共に、ポンプ22を駆動する駆動信号と制御弁32を開く開信号とを発信し、容器20内の過酸化水素水を気化器26でガス状の過酸化水素にして真空状態の滅菌室10内に供給する。
過酸化水素水の供給量は、滅菌室10の圧力によって決定され、滅菌室10の圧力を依然として減圧状態を保持できる量である。この滅菌室10の圧力は、滅菌室10の温度と後述する復圧との関係で決定されるが、滅菌室10が55℃の場合には、滅菌室10の圧力が30×102Paに到達するまで過酸化水素水を供給することが好ましい。
【0015】
滅菌室10の圧力が所定圧力に到達したとき、制御部62からは、制御弁24を閉じる閉信号とポンプ22を停止する停止信号とを発信する。
滅菌室10は、ガス状の過酸化水素で所定圧力に到達した状態を所定時間保持し、滅菌室10内の被滅菌物に過酸化水素による第1次滅菌を施す。
かかる第1次滅菌を施す所定保持時間が経過したとき、制御部62からは、制御弁32を開く開信号を発信し、アルゴンガスを滅菌室10内に供給して、減圧状態の滅菌室10を大気圧近傍まで復圧する。かかる復圧によって、ガス状の過酸化水素は、被滅菌物の内部まで充分に浸透して滅菌を施すことができる。
滅菌室10が所定の圧力まで復圧したとき、制御部62からは、制御弁32を閉じる閉信号を発信し、アルゴンガスの滅菌室10内への供給を停止する。
更に、滅菌室10の圧力を、大気圧近傍の所定の圧力で所定時間保持し、ガス状の過酸化水素が被滅菌物の内部に更に一層の浸透を図る。
【0016】
滅菌室10の圧力を大気圧近傍の所定圧力で所定時間保持した後、制御部62からは、プラズマ発生装置18の一対の電極52,54に通電を開始する信号と制御弁48を開く開信号とを発信し、大気圧下で発生したプラズマを滅菌室10内に送り込む。
この際に、酸素ボンベ(図示せず)からの酸素ガスとアルゴンボンベ(図示せず)からのアルゴンガスとの混合ガスが、プラズマ発生装置18の反応管50に供給され、一対の電極52,54の大気圧下での放電によってプラズマ化されて集束部56から噴出し、滅菌室10内に供給される。
集束部56からは噴出されたジェット状のプラズマには、短寿命のラジカル等の反応性ガス活性粒子も含まれており、プラズマが被滅菌物に衝突して第2次滅菌を施すと共に、滅菌室10内に残存する過酸化水素を分解する。
かかる第2次滅菌の際に、プラズマ発生装置18に供給される混合ガスによってエジェクタ29が駆動されているため、制御部62からの開信号で制御弁23が開いたとき、滅菌室10内のガスがエジェクタ29に吸引されてプラズマ発生装置18に混合ガスと共に供給されて滅菌室10に戻る。この様に、滅菌室10内のガスを、滅菌室10とプラズマ発生装置18との間を循環することによって、滅菌室10内に残存する過酸化水素の分解を更に一層完全なものにできる。
かかるプラズマの滅菌室10内への送り込みを所定時間行い、滅菌室10内に残存する過酸化水素を充分に分解した後、制御部62からは、プラズマ発生装置18の一対の電極52,54への通電を停止する信号と制御弁23,48を閉じる閉信号とを発信し、第1回目の滅菌サイクルを終了する。
【0017】
ところで、プラズマ発生装置18に供給された混合ガスは、プラズマ発生装置18でプラズマ化されて滅菌室10に供給されるため、滅菌室10内の圧力が大気圧以上に加圧状態となることがある。このとき、滅菌室10内のガスは、真空ポンプ20をバイパスするバイパス排気路27の逆止弁25を経由して大気中に排出される。この様にして排出される滅菌室10内のガスは、プラズマ発生装置18からのプラズマが照射されており、且つその排気量は少量であるため、人体等に対する安全性には問題ない。
【0018】
通常の滅菌処理では、第1回目の滅菌サイクルの終了では滅菌処理は終了せず、滅菌サイクルが複数回繰り返して行われる。このため、制御部62からは、制御弁38を開く開信号と真空ポンプ20を駆動する駆動信号とを再度発信して、滅菌室10内の気体を真空ポンプ20により排気し、滅菌室10の内圧を、再度、供給されるガス状の殺菌剤の蒸気圧力以下とする。
この際に、真空ポンプ20からの排気は、特別な処理を施すことなく直接大気中に放出できる。滅菌室10内には、前回の滅菌操作で用いたアルゴン等の気体が充填されているが、殺菌剤として用いたガス状の過酸化水素の残留分は、前回の滅菌操作でのプラズマの供給によって分解されており、滅菌室10内の気体を直接大気中に放出しても、人体等に何等悪影響を与えないからである。
次いで、同様な操作を繰り返し、所定回数の滅菌サイクルを繰り返した後、制御部62からは、制御弁44を開く開信号を発信し、真空状態の滅菌室10内にフィルタ42を経由した空気がフィルタ42及び制御弁44を経由して供給して大気圧近傍まで復圧する。
更に、制御部62からは、制御弁38を開く開信号と真空ポンプ20を駆動する駆動信号とを発信して、滅菌室10内の空気を真空ポンプ20により排気し、滅菌室10を再度真空状態とする。
かかる空気の供給及び真空とを繰り返して、滅菌室10及び被滅菌物を空気に置換して、一連の滅菌を終了する。
この様な、図1〜図3に示すプラズマ滅菌装置を用い、Tyvek包装のプラスチック製器具での殺菌実験を行ったところ、106個のB.stearothermophilus胞子を滅菌できることを確認できた。
【0019】
図1〜図3のプラズマ滅菌装置では、プラズマ発生用ガスとして、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスを用いたが、アルゴン、ヘリウム、水素、酸素及び窒素から成る群から選ばれた一種又は二種以上から成る混合ガス、或いはこの群から選ばれた一種又は二種以上と水蒸気との混合ガスを用いることができる。
かかるプラズマ発生用ガスとしては、図1〜図3のプラズマ滅菌装置で用いたアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスの他に、アルゴンガス、ヘリウムガス及び酸素ガスの混合ガスを好適に用いることができる。具体的には、アルゴンガス97.5vol%及び酸素ガス2.5vol%から成る混合ガス、或いはアルゴンガス80.6vol%、ヘリウムガス16.1vol%及び酸素ガス3.3vol%から成る混合ガスを用いることができる。
更に、図1〜図3のプラズマ滅菌装置で用いるガス状の殺菌剤としては、過酸化水素を用いていたが、プラズマ処理によって安全な物質に分解し得る殺菌剤を用いることができる。かかる殺菌剤としては、例えば過酢酸等の過酸化剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール、ホルムアルデヒド、エチレンオキサイド、グルタラールアルデヒド等のアルキル化剤を挙げることができる。
【0020】
また、図1〜図3のプラズマ滅菌装置では、循環手段として滅菌室10に供給される混合ガスによって駆動されエジェクタ29を用いているが、エジェクタ29に代えて電動駆動のポンプを用いることができる。かかるポンプを用いることによって、図3に示すプラズマ導入工程において、プラズマ発生装置18を経由して滅菌室10に供給する混合ガス量を低減でき、バイパス排気路27を経由して滅菌室10から大気中に排気される排気量の低減を図ることができる。
尚、滅菌室10内のガスを滅菌室10とプラズマ発生装置18との間で循環しなくても、滅菌終了後に排気する排気中のガス状の殺菌剤を実質的に皆無にできる場合には、制御弁23を閉じた状態で一連の滅菌を行ってもよい。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、被滅菌物の滅菌処理を終了した滅菌室内の気体を、直接大気中に排出できる。
このため、従来のプラズマ滅菌装置では必要としていた排気ガス分解装置を不要にでき、プラズマ滅菌装置の構造等を簡略できると共に、そのメンテナンス等も簡易化できる。
更に、従来のプラズマ滅菌装置の如く、排気ガス分解装置の能力でプラズマ滅菌装置の処理能力が左右されることがなく、プラズマ滅菌装置の処理能力の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るプラズマ滅菌装置の概要を説明する概要図である。
【図2】 図1に示すプラズマ滅菌装置に用いるプラズマ発生装置を説明するための正面図である。
【図3】 図1に示すプラズマ滅菌装置の滅菌サイクルパターンを説明するための説明図である。
【図4】 従来のプラズマ滅菌装置の概略図である。
【符号の説明】
10 滅菌室
14 殺菌剤供給手段
16 非反応性ガス供給手段
18 プラズマ発生装置
20 真空ポンプ
22 ポンプ
24,32,38,44,48 制御弁
26 気化器
50 反応管
52,54 電極
55 電源
56 集束部
62 制御部
Claims (8)
- 被滅菌物が収納される滅菌室が設けられた耐圧容器と、
プラズマによって無害化されるガス状の殺菌剤を前記滅菌室内に供給する殺菌剤供給手段と、
前記滅菌室内に非反応性ガスを供給する非反応性ガス供給手段と、
前記耐圧容器の外部に設けられ、前記ガス状の殺菌剤と異なるプラズマ発生用ガスに大気圧下で発生したプラズマを前記滅菌室内に供給するプラズマ発生装置と、
前記滅菌室内を減圧状態とする真空ポンプと、前記滅菌室内が加圧状態となったとき、前記真空ポンプをバイパスして前記滅菌室内のガスを排気し、前記滅菌室内を大気圧近傍の圧力に保持するバイパス排気路とが設けられている排気手段とを具備するプラズマ滅菌装置であって、
前記排気手段によって、内圧が供給される前記ガス状の殺菌剤の蒸気圧以下の減圧状態となるように排気された前記滅菌室内に、前記殺菌剤供給手段によってガス状の殺菌剤を供給して、前記被滅菌物に対して第1次滅菌を施し、
前記第1次滅菌を施した滅菌室には、前記非反応性ガス供給手段によって非反応性ガスを供給し、前記滅菌室内が大気圧近傍に到達したとき、前記プラズマ発生装置からプラズマを前記滅菌室内に供給し、且つ前記排気手段によって滅菌室内を大気圧近傍の圧力に保持して、前記被滅菌物に対して第2次滅菌を施すと共に、前記滅菌室内に残留するガス状の殺菌剤を無害化するように、前記殺菌剤供給手段、非反応性ガス供給手段、プラズマ発生装置及び排気手段を制御する制御部が設けられていることを特徴とするプラズマ滅菌装置。 - 滅菌室には、供給されたガス状の殺菌剤の露点温度以上に前記滅菌室内を加熱する加熱手段が設けられている請求項1記載のプラズマ滅菌装置。
- 殺菌剤供給手段には、液状の殺菌剤をガス化する気化器が設けられている請求項1又は請求項2記載のプラズマ滅菌装置。
- 殺菌剤が、過酸化水素である請求項1〜3のいずれか一項記載のプラズマ滅菌装置。
- プラズマ発生装置が、少なくとも一対の対向電極が外接して設けられた反応管に導入されたプラズマ発生用ガスに、前記対向電極の間に交流電界を印加し、大気圧下で生成したプラズマを前記反応管から放出するプラズマ発生装置である請求項1〜4のいずれか一項記載のプラズマ滅菌装置。
- プラズマ発生用ガスが、アルゴン、ヘリウム、水素、酸素及び窒素から成る群から選ばれた一種又は二種以上から成る混合ガス、或いは前記群から選ばれた一種又は二種以上と水蒸気との混合ガスである請求項1〜5のいずれか一項記載のプラズマ滅菌装置。
- 耐圧容器の外部には、第2次滅菌の際に、滅菌室内のガスの少なくとも一部をプラズマ発生装置に供給できるように、前記滅菌室内のガスをプラズマ発生装置との間で循環する循環手段が設けられている請求項1〜6のいずれか一項記載のプラズマ滅菌装置。
- 被滅菌物を収納した滅菌室内に、ガス状の殺菌剤とプラズマ滅菌装置からのプラズマとを供給し、前記被滅菌物に滅菌を施す際に、
前記ガス状の殺菌剤として、前記プラズマによって無害化されるガス状の殺菌剤を用い、
前記ガス状の殺菌剤の蒸気圧以下の減圧状態となるように排気した、前記被滅菌物を収納した滅菌室に、前記プラズマによって無害化されるガス状の殺菌剤を供給して被滅菌物に第1次滅菌を施し、
次いで、前記滅菌室に非反応性ガスを供給して大気圧近傍に昇圧した後、前記被滅菌物に対して第2次滅菌を施すと共に、前記滅菌室内に残留するガス状の殺菌剤を無害化する ように、前記滅菌室外に設けたプラズマ滅菌装置によって、前記ガス状の殺菌剤と異なるプラズマ発生用ガスに大気圧下で発生したプラズマを前記滅菌室に供給しつつ、前記滅菌室内を大気圧近傍の圧力に保持することを特徴とするプラズマ滅菌方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003158940A JP4160859B2 (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | プラズマ滅菌装置及びプラズマ滅菌方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003158940A JP4160859B2 (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | プラズマ滅菌装置及びプラズマ滅菌方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004357888A JP2004357888A (ja) | 2004-12-24 |
JP4160859B2 true JP4160859B2 (ja) | 2008-10-08 |
Family
ID=34052147
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003158940A Expired - Fee Related JP4160859B2 (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | プラズマ滅菌装置及びプラズマ滅菌方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4160859B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8431077B2 (en) * | 2007-07-10 | 2013-04-30 | Helder da Costa Goncalves | Hydrogen peroxide sterilization process and device |
JP5694964B2 (ja) * | 2009-02-23 | 2015-04-01 | ノクシライザー, インコーポレイテッドNoxilizer, Incorporated | ガス滅菌装置及びガス滅菌方法 |
KR101298730B1 (ko) * | 2011-06-21 | 2013-08-21 | 한신메디칼 주식회사 | 플라즈마 멸균 방법 |
JP2013095764A (ja) * | 2011-10-28 | 2013-05-20 | Sakura Color Products Corp | 不活性ガスプラズマ処理検知用インキ組成物及び不活性ガスプラズマ処理検知インジケーター |
WO2013179964A1 (ja) * | 2012-05-28 | 2013-12-05 | サラヤ株式会社 | 滅菌処理装置およびそれを用いた滅菌処理方法 |
JP5972195B2 (ja) | 2013-03-11 | 2016-08-17 | サントリーホールディングス株式会社 | Pet製ボトルの殺菌装置及び殺菌方法 |
JP6344948B2 (ja) * | 2014-03-31 | 2018-06-20 | パナソニック株式会社 | 殺菌成分除去装置、除菌装置、除菌環境維持システム及び殺菌成分除去方法 |
KR101756550B1 (ko) * | 2015-12-01 | 2017-07-11 | 성균관대학교산학협력단 | 플라즈마 멸균기 및 플라즈마 멸균기의 과산화수소 기체 발생장치 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3706695B2 (ja) * | 1996-10-02 | 2005-10-12 | 藤森工業株式会社 | 滅菌装置 |
JP2001145689A (ja) * | 1999-11-24 | 2001-05-29 | Matsushita Electric Works Ltd | プラズマ滅菌処理装置及びプラズマ滅菌処理方法 |
-
2003
- 2003-06-04 JP JP2003158940A patent/JP4160859B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004357888A (ja) | 2004-12-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5413758A (en) | Apparatus for plasma sterilizing with pulsed antimicrobial agent treatment | |
US6261518B1 (en) | Process and apparatus for plasma sterilizing with pulsed antimicrobial agent treatment | |
CA2302888C (en) | Method of enhanced sterilization with improved material compatibility | |
CA2443046C (en) | Improved ozone sterilization method | |
US9623132B2 (en) | Plasma-generated gas sterilization method | |
EP0207417B1 (en) | Hydrogen peroxide plasma sterilization system | |
US20040022673A1 (en) | Sterilisation process and apparatus therefor | |
KR101250748B1 (ko) | 저온 대기압 플라즈마를 이용한 의료용 소형 멸균장치 | |
KR20120028413A (ko) | 과산화수소, 오존 및 저온 플라즈마를 이용한 소독 멸균장치 및 방법 | |
JP4160859B2 (ja) | プラズマ滅菌装置及びプラズマ滅菌方法 | |
US10039849B2 (en) | Plasma-generated gas sterilization method and device | |
KR101215928B1 (ko) | 오존을 이용한 소독 멸균장치 및 방법 | |
JP3706695B2 (ja) | 滅菌装置 | |
JP3704129B2 (ja) | プラズマ滅菌処理方法 | |
JP6689007B1 (ja) | 滅菌方法及び滅菌装置 | |
JP4433296B2 (ja) | 活性酸素殺菌装置及び活性酸素殺菌方法 | |
JP3909110B2 (ja) | 可搬式滅菌装置 | |
CN114828901A (zh) | 灭菌方法以及灭菌装置 | |
KR200227390Y1 (ko) | 오존살균장치 | |
CN114786735A (zh) | 灭菌方法以及灭菌装置 | |
JPH01293871A (ja) | 過酸化水素プラズマ滅菌方法 | |
EP1459771A2 (en) | Method of reducing sterilant residuals |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060525 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20080408 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080415 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080612 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080708 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080718 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725 Year of fee payment: 3 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110725 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |