JPH10194974A - 凍結乾燥製剤およびその製造法 - Google Patents

凍結乾燥製剤およびその製造法

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JPH10194974A
JPH10194974A JP9004802A JP480297A JPH10194974A JP H10194974 A JPH10194974 A JP H10194974A JP 9004802 A JP9004802 A JP 9004802A JP 480297 A JP480297 A JP 480297A JP H10194974 A JPH10194974 A JP H10194974A
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dried preparation
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Masahiro Akimoto
雅裕 秋元
Fuminori Tamura
文則 田村
Yumi Ozawa
ゆみ 小澤
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】下記式 【化1】 で代表される白金(II)錯体を主成分とする凍結乾燥
製剤に関する。 【効果】本発明の凍結乾燥製剤は、保存安定性が良好で
あり、さらに注射用水に対する溶解性が迅速であり、医
療の場における製剤の投与時の取扱が容易となる。ま
た、冷蔵、冷凍等の特殊な保存を必要としない特徴を有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白金(II)錯体
を主成分とする凍結乾燥製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】白金系悪性腫瘍治療剤として、シスプラ
チン、カルボプラチン等の化合物が知られているが、こ
れらの化合物は、腎性毒性あるいは骨髄毒性などの副作
用を有する。これらは、水、生理食塩水、糖類溶液およ
び/または凍結乾燥粉末として医療の場に供給されてお
り、希釈剤で希釈した後、静脈注射で投与される。しか
し、希釈するにあたり、水への溶解度、溶解性が低いた
め、大量の希釈剤を必要とすること、再構成中のはねか
えり現象等の問題が生ずることが知られている(特開平
7−53368 2頁)。
【0003】本発明の主成分である、一般式(I)
【化2】 (ここでR1は炭素数1〜3の低級炭化水素基、R2、R
3は水素原子または炭素数1〜3の低級炭化水素基を示
し、1,2−ジアミノシクロヘキサンの立体配置は、シ
ス,トランス−l−もしくはトランス−d−を示す。)
で表される白金(II)錯体は、シスプラチン、カルボ
プラチン等と同様悪性腫瘍の治療に有効であるが、副作
用の軽減が期待できる化合物であり(ChemLett
529〜532(1993))、その原末は淡黄ない
し白色の結晶性粉末である。この白金(II)錯体は、
従来、水溶液または結晶性原末の粉末充填製剤として供
することが可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の水溶液
製剤では、注射として投与する場合、医療の場での取扱
が容易であるが、長期保存に対し物理的、化学的安定性
が十分でなかった。また、粉末充填製剤は長期保存安定
性には優れるが、投与時の溶解、再構成において迅速な
溶解性が十分でなく、振とう、攪拌等の操作を必要とす
るため取扱上の注意が必要であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく検討を行い、本発明に至った。すなわち、
本発明は、下記一般式(I)
【化3】 (ここでR1は炭素数1〜3の低級炭化水素基、R2、R
3は水素原子または炭素数1〜3の低級炭化水素基を示
し、1,2−ジアミノシクロヘキサンの立体配置は、シ
ス,トランス−l−もしくはトランス−d−を示す。)
で表される白金(II)錯体を主成分とする凍結乾燥製
剤およびその製造法に関する。
【0006】
【本発明の実施の形態】本発明の凍結乾燥製剤は、主成
分として、一般式(I)
【化4】 (R1は炭素数1〜3の低級炭化水素基、R2、R3は水
素原子または炭素数1〜3の低級炭化水素基を示し、
1,2−ジアミノシクロヘキサンの立体配置は、シス,
トランス−l−もしくはトランス−d−を示す。)で表
される白金(II)錯体である。この低級炭化水素基
は、アルキル基、アルケニル基が好ましく、具体的に
は、メチル、エチル、プロピル、ビニル、イソプロピ
ル、アリル、イソプロペニル基などを示す。
【0007】特に好ましくは、下記式
【化5】 で示される、[(5S)−3−アセチル−5−メチル−
2,4(3H,5H)−フランジオナト−O3,O4
[(1R,2R)−シクヘキサンシアミン−N,N’]
プラチナム(1+)(5S)−3−アセチル−5−メチ
ル−2,4(3H,5H)−フランジオン エノレート
である(以下「化合物1」という。)。
【0008】また、本発明においては、一般式(I)の
異性体および誘導体も主成分とすることが可能である。
誘導体とは、溶媒和物、錯体、水和物、幾何異性体およ
び下記一般式(II)
【化6】 (ここでR1は炭素数1〜3の低級炭化水素基、R2、R
3は水素原子または炭素数1〜3の低級炭化水素基を示
し、1,2−ジアミノシクロヘキサンの立体配置は、シ
ス,トランス−l−もしくはトランス−d−を示す。X
-は、無機酸のアニオンまたは有機カルボン酸のアニオ
ンを示す。)で表されるアニオン部分の置換体あるいは
同類体を意味する。
【0009】本発明で用いる主成分の白金(II)錯体
は、米国特許第5302587号、国際公開95−02
8408号に記載された方法で製造が可能である。
【0010】また、本発明で用いる主成分の白金(I
I)錯体の悪性腫瘍治療剤としての有用性は、米国特許
第5302587号、国際公開95−028408号、
Chem. Lett.529〜532(1993)に
おいて報告されており、本発明の凍結乾燥剤は悪性腫瘍
治療剤として使用することができる。但し、特にこれに
限定されるものではない。
【0011】本発明においては、主成分のみから構成す
ることができ、特に賦形剤等を必要としない。しかし、
必要に応じて、医薬上許容される賦形剤を配合すること
もできる。賦形剤の配合により、本発明の効果は影響さ
れない。賦形剤を配合する場合、配合量は、主成分の5
0%〜200%重量部が好ましい。特に好ましくは、5
0〜100%重量部である。賦形剤としては、例えば、
乳糖、マンニトール、グルコース、マルトース、デキス
トラン、セルロース誘導体などが挙げられる。
【0012】本発明の凍結乾燥製剤は、溶解液で溶解
し、静脈注射に適している。溶解液は、注射用水が好ま
しい。また、水とある種のポリアルキレングリコールお
よび/または糖溶液等で、主成分の白金(II)錯体の
有効性、安定性に悪影響を及ぼさない医薬上許容される
ものの混合物により希釈して投与することができる。注
射が好ましい投与方法であるが、経口その他のルートも
用いることができる。
【0013】本発明の製造は、例えば以下の方法で製造
することが可能である。主成分の白金(II)錯体を
水、低級アルコールおよびその混合物から成る溶解液
に、濃度0.5〜5(重量/容量)%になるように溶解
する。溶解液は、滅菌された水(注射用水)が好まし
い。また、主成分の濃度は、1〜4%が好ましい。この
時、必要に応じて賦形剤を添加することができる。
【0014】次いで、該溶液を孔径0.2μmのメンプ
ランフィルターを用いて除菌ろ過し、主成分の固形分換
算重量が50〜500mgとなる容量を、バイアルなど
の容器に分注する。バイアルは、容量5〜100mlの
硬質ガラス製および医療用プラスチック製の使用が可能
である。
【0015】主成分溶液を分注したバイアルを、ゴム栓
を半打栓した状態で、凍結真空乾燥機に入れ、棚温を−
50〜−30℃まで急速冷却し、5〜15時間凍結させ
る。好ましくは、棚温約−40℃を10時間以上維持す
る。次いで、棚温を25℃に設定し、真空度約5〜15
パスカルで溶解液を昇華させる。昇華がほぼ終了した
後、1.5パスカル以下の真空度で5〜20時間乾燥さ
せる。約1.5パスカル以下での乾燥時間は、製品収率
の点から8時間以上が好ましい。20時間を超える乾燥
は、経済性、作業性等を勘案し任意に設定できる。ま
た、1.5パスカル以下で一定時間処理した後、主成分
の白金(II)錯体に悪影響を及ぼさない範囲で、棚温
を25℃より高い温度で長時間の乾燥を行うことも可能
である。
【0016】乾燥終了後、ゴム栓全打栓およびアルミキ
ャップでバイアルを密閉し、凍結乾燥製剤を得る。以上
のように、本発明の製造法の一つとして、急速に凍結す
ることと、5〜15パスカルおよび1.5パスカルの2
段階の真空度で乾燥を行う方法がある。
【0017】次に、本発明の凍結乾燥製剤の特徴につい
て記載する。本発明における安定性とは、化学的および
物理的な安定性を意味する。温度のストレスによる経時
的分解により、主成分の残存量が減少し、製剤外観に顕
著な着色が見られるため、化学的安定性においては、残
存量が安定性の指標となる。高い温度でストレスを受け
た場合に見られるわずかな着色は、通常主成分の力価や
効能の重大な低下を示すものではない。しかし、顕著な
着色が見られる製剤の使用は、溶解時に濁り、沈殿が生
ずる可能性があるため好ましくない。また、物理的安定
性においては、経時的形状変化がその指標となり、安定
性が劣る場合、室温より高い温度において製剤内容物の
縮小等の変形が見られる。
【0018】ここで、残存率は次の方法で定義される。
通常、50〜500mgの主成分を含むバイアルを密閉
した状態で、室温〜60℃の範囲から選ばれる温度雰囲
気下に保存する。一定温度で一定期間保存した後、主成
分濃度が0.5〜2%になるようにバイアルに水を加え
て全量を溶解する。主成分について、HPLC測定によ
り濃度を求め、保存開始時の濃度に対する残存率(%)
を次の式により算出する。
【0019】
【数1】
【0020】本発明の凍結乾燥製剤は、室温で少なくと
も2年保存した場合の残存率95%以上が望ましい。ま
た、40℃で6か月保存した場合においても、残存率9
5%以上が望ましい。特に、長期の安定性を確保するた
めには、60℃で2か月保存した場合においても、95
%以上の残存率を有し、内容物の変形を生じないことが
好ましい。
【0021】本発明の凍結乾燥製剤の水分は、以下の方
法により定義される。通常、主成分50〜500mgの
白金(II)錯体を含むバイアルに、2−メトキシエタ
ノールを主成分の濃度が1〜10%になるように加え
る。該溶解液全量を注射シリンジ等で回収し、カールフ
ィッシャー法(電量滴定法)により水分定量を行い、水
分量(WH)μgを得る。必要に応じて、1バイアルに
ついて1〜5回同じ操作を繰り返し、水分量(WH)の
和をとることも可能である。それぞれの定量において
は、2−メトキシエタノールについてブランク測定を行
い(WB)、水分量(WH)を補正し、下記の式により算
出する。カールフィッシャー水分滴定装置は、平沼微量
水分測定装置AQ−7(平沼産業株式会社)等を使用す
る。測定溶媒は、ケトン類分析用を使用する。
【0022】
【数2】
【0023】本発明による凍結乾燥製剤は、主成分であ
る白金(II)錯体の長期保存安定性を確保することが
できる。製剤中の白金(II)錯体の安定性は、錯体が
有する水分により影響を受け、40℃以上の室温より高
い温度条件下では、その安定性が損なわれ、かつ加速さ
れる。
【0024】本発明においては、凍結乾燥製剤1バイア
ル中の白金(II)錯体の内容量に対し2.5重量%以
下の水分が好ましい。さらに、室温の季節変動を考慮
し、より長期の安定性を得るためには1重量%以下であ
ることが好ましい。
【0025】本発明の凍結乾燥製剤の溶解性は、以下の
方法で定義される。通常、内容量50〜500mgのバ
イアルに、注射用水の10mlを注射筒あるいはホール
ピペット等を用いて静かに加える。静置した状態で、注
射用水添加直後からバイアル内容物が完全に溶解するま
での時間を計測する。
【0026】凍結乾燥製剤を注射用水等の溶解液により
溶解し、再構成することは、注射による投与においては
必須である。医療の場において、この製剤を治療に用い
るにあたり、溶解液注入後迅速に溶解することが望まし
く、30秒以内に溶解するのが好ましい。製剤の迅速な
溶解性あるいは易溶解性は、効力の保証および安全性を
提供する。本発明の凍結乾燥製剤は、溶解、再構成が、
迅速かつ容易であるために、溶解液添加時の手によるバ
イアルの浸とう、攪拌が不十分であることに由来する、
主成分の白金(II)錯体の未溶解結晶を含む溶液を、
静脈内投与してしまうといった危険性を生じない。
【0027】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0028】実施例1 長期安定性試験のための凍結乾燥製剤の作成:以下の手
順により、本発明による製剤1と製剤2および比較製剤
1を得た。
【0029】製剤1 注射用水1mlあたり、「化合物1」10mgを溶解し
た。該「化合物1」の水溶液全量を孔径0.2μmのメ
ンブランフィルター(ミリパック20 日本ミリポア株
式会社)を用いて除菌ろ過した。ろ液の10mlずつを
容量20mlのバイアル(白V−TR20CS 不二硝
子株式会社)に分注し、ゴム栓(V10−F8W 株式
会社大協精工)を半打栓し、凍結真空乾燥機(Edwa
rds−Kniese 2.3m2shelfsurf
ace(com8032) Edwards−Knie
se)に入れた。 凍結乾燥機の棚温を、室温から約−
40℃まで急速に冷却し、10時間維持した。ついで、
棚温を25℃に制御し、真空度13パスカルで水分を昇
華させた。品温が棚温と一致した後、真空度を1.3パ
スカルにし、20時間乾燥させた後、全打栓した。バイ
アルを取り出し、アルミキャップ(20FLIPキャッ
プ石田プレス工業)をして、凍結乾燥製剤を得た。本品
1バイアル中には、「化合物1」100mgが含まれ、
本品の水分は、0.8重量%であった。
【0030】製剤2 注射用水1mlあたり、「化合物1」10mgを溶解し
た。該「化合物1」の水溶液全量を孔径0.2μmのメ
ンブランフィルター(ミリパック20 日本ミリポア株
式会社)を用いて除菌ろ過した。ろ液の10mlずつを
容量20mlのバイアル(白V−TR20CS 不二硝
子株式会社)に分注し、ゴム栓(V10−F8W 株式
会社大協精工)を半打栓し、凍結真空乾燥機(VIRT
IS SUBLIMATOR MODEL25−SR
C−MS VerTis Company Inc.)
に入れた。凍結乾燥機の棚温を、室温から約−40℃ま
で急速に冷却し、10時間維持した。ついで、棚温を2
5℃に制御し、真空度13パスカルで水分を昇華させ
た。品温が棚温と一致した後、真空度を1.3パスカル
にし、20時間乾燥させた後、全打栓した。バイアルを
取り出し、アルミキャップ(20FLIPキャップ石田
プレス工業)をして、凍結乾燥製剤を得た。本品1バイ
アル中には、「化合物1」100mgが含まれ、本品の
水分は、2.5重量%であった。
【0031】比較製剤1 注射用水1mlあたり、「化合物1」10mgを溶解し
た。該「化合物1」の水溶液全量を孔径0.2μmのメ
ンブランフィルター(フロロダインIIDFP日本ポー
ル株式会社)を用いて除菌ろ過した。ろ液の10mlず
つを容量20mlのバイアル(白V−TR20CS 不
二硝子株式会社)に分注し、該バイアルに、ゴム栓(V
10−F8W 株式会社大協精工)を全打栓した。アル
ミキャップ(20FLIPキャップ 石田プレス工業)
をした。本品は、「化合物1」の濃度10mg/ml、
内容量10mlの製剤とした。
【0032】実施例2 凍結乾燥製剤の長期安定性:製剤1と製剤2および比較
製剤1について、室温あるいは40℃で保存し、保存安
定性として製剤内容物の外観の変化および「化合物1」
の残存率を評価した。HPLCによる濃度測定は、以下
の方法に従った。
【0033】 カラム:CAPCELL PAK C18 SG-120(4.6x150mm) 検 出:230nm 注入容量:10μl 移動相 :蒸留水 90% /メタノール 10% /酢酸 0.
1%相当容量添加 移動速度:1ml/分 温度 :40℃ 内部標準:2,6−ジメチル−γ−ピロン水溶液(0.
15w/v%) 試料濃度:約0.6mg/ml
【表1】
【0034】製剤1は、25℃で1年間の保存後に、外
観の変化は認められず、残存率は100%であった。製
剤2は、40℃で6カ月の保存後は、外観にわずかな黄
色の着色が見られたが、残存率は、98%であった。い
ずれの製剤についても、保存安定性は良好であった。そ
れに対し、比較製剤1は、40℃、6カ月の保存により
無色澄明の溶液は、黄色に変色し、残存率は94%であ
った。
【0035】実施例3 安定性に対する水分の効果確認試験のための凍結乾燥製
剤の作成:以下の手順により、製剤3〜5および比較製
剤2〜3を得た。
【0036】製剤3 注射用水1mlあたり、「化合物1」10mgを溶解し
た。該「化合物1」の水溶液全量を孔径0.2μmのメ
ンブランフィルター(フロロダインIIDFP日本ポー
ル株式会社)を用いて除菌ろ過した。ろ液の10mlず
つを容量20mlのバイアル(白V−TR20CS 不
二硝子株式会社)に分注し,ゴム栓(V10−F8W
株式会社大協精工)を半打栓し、凍結真空乾燥機(DF
B−2030−1MS−ST/CIP 日本真空技術株
式会社)に入れた。凍結乾燥機の棚温を、室温から約−
40℃まで急速に冷却し、10時間維持した。ついで、
棚温を25℃に制御し、真空度13パスカルで水分を昇
華させた。品温が棚温と一致した後、真空度を1.3パ
スカルにし、8時間乾燥させた後、全打栓した。バイア
ルを取り出し、アルミキャップ(20FLIPキャップ
石田プレス工業)をして、凍結乾燥製剤を得た。本品
1バイアル中には、「化合物1」100mgが含まれ,
本品の水分は、0.3重量%であった。
【0037】製剤4 注射用水1mlあたり、30mgの「化合物1」を溶解
し、以降の操作は製剤3と同様に製造した。ただし、品
温と棚温の一致後の真空度1.3パスカルで8時間の乾
燥を行った。本品1バイアル中には、「化合物1」30
0mgが含まれ,本品の水分は、0.2重量%であっ
た。
【0038】製剤5 注射用水1mlあたり、10mgの「化合物1」とマン
ニトール10mgを溶解し、以降の操作は製剤3と同様
に製造した。ただし、品温と棚温の一致後の真空度1.
3パスカルでの乾燥を18時間行った。本品1バイアル
中には、「化合物1」100mgが含まれ,本品の水分
は、0.2重量%であった。
【0039】比較製剤2 注射用水1mlあたり、10mgの「化合物1」と乳糖
10mgを溶解し、以降の操作は製剤3と同様に製造し
た。ただし、本比較製剤は、真空度13パスカルでの乾
燥工程のみ実施し、2段階の乾燥は行わなかった。本品
1バイアル中には、「化合物1」100mgが含まれ,
本品の水分は、2.4重量%であった。
【0040】比較製剤3 注射用水1mlあたり、30mgの「化合物1」を溶解
し、以降の操作は製剤3と同様に製造した。ただし、品
温と棚温の一致後の真空度1.3パスカルでの乾燥を4
時間行った。本品1バイアル中には、「化合物1」30
0mgが含まれ,本品の水分は、3.8重量%であっ
た。
【0041】実施例4 凍結乾燥製剤の安定性に対する水分の効果:本発明の凍
結乾燥製剤を60℃で1か月の期間保存し、安定性に対
する水分の効果を調べた。以下に記載する製剤につい
て、60℃保存の安定性試験を行い、製剤の外観と残存
率を評価した。HPLCによる濃度測定は、以下の方法
に従った。
【0042】カラム:YMC PAK CN A−50
3(4.6x150mm) 検 出:230nm 注入容量:5μl 移動相 :pH7リン酸緩衝液 90%/アセトニトリ
ル 10% 移動速度:1ml/分 温度 :40℃ 内部標準:2,6−ジメチル−γ−ピロン水溶液(0.
2w/v%) 試料濃度:約0.4mg/ml
【表2】
【0043】2段階の真空度で乾燥し、水分2.5重量
%以下とした製剤2〜5については、60℃で2か月保
存した後の残存率は、98〜101%であり、形状にも
変化は認められなかった。一方、水分2.4重量%であ
るが1段階の真空度で乾燥した比較製剤2は、残存率9
4%まで減少し、形状の縮小が見られた。また、水分
3.8重量%の比較製剤3については、残存率98%で
あるが、黄土色に着色し、形状は著しく縮小し、安定性
に劣る結果となった。
【0044】実施例5 本発明の溶解性への効果:製剤1と製剤3〜5の凍結乾
燥製剤5本について、溶解性を評価した。比較として、
比較製剤3と次の方法により得る比較製剤4を用いた。
【0045】比較製剤4 「化合物1」の原末100mgを容量20mlのバイア
ルに入れ、比較製剤とした。
【0046】
【表3】
【0047】製剤1と3〜5は、いずれも良好な溶解性
を示した。それに対し、水分3.8%と比較的多い比較
製剤3では、溶解性の良いものと劣るものがあり、溶解
性にばらつきがある。原末を充填した比較製剤は、溶解
性のばらつきが大きく、300秒以上要するものも見ら
れた。
【0048】
【発明の効果】本発明の凍結乾燥製剤は、保存安定性が
良好であり、さらに注射用水に対する溶解性が迅速であ
るため、医療の場における製剤の投与時の取扱が容易と
なる。また、冷蔵、冷凍等の特殊な保存を必要としない
特徴を有する。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) 【化1】 (ここでR1は炭素数1〜3の低級炭化水素基、R2、R
    3は水素原子または炭素数1〜3の低級炭化水素基を示
    し、1,2−ジアミノシクロヘキサンの立体配置は、シ
    ス,トランス−l−もしくはトランス−d−を示す。)
    で表される白金(II)錯体を主成分とする凍結乾燥製
    剤。
  2. 【請求項2】水分が2.5重量%以下であることを特徴
    とする請求項1記載の凍結乾燥製剤。
  3. 【請求項3】注射用水で30秒以内に再溶解することを
    特徴とする請求項1または2記載の凍結乾燥製剤。
  4. 【請求項4】1製剤単位あたり50〜500mgの白金
    (II)錯体を含有する事を特徴とする請求項1〜3記
    載の凍結乾燥製剤。
  5. 【請求項5】60℃、2か月保存した場合の白金(I
    I)錯体の残存率が95%以上であり、かつ、形状の縮
    小変化を生じないことを特徴とする請求項1〜4記載の
    凍結乾燥製剤。
  6. 【請求項6】室温で少なくとも2年保存した場合の白金
    (II)錯体の残存率が95%以上であることを特徴と
    する請求項1〜4記載の凍結乾燥製剤。
  7. 【請求項7】白金(II)錯体の溶液を、−50〜−3
    0℃で急速凍結する工程、真空度5〜15パスカルおよ
    び真空度1.5パスカル以下の2段階で乾燥する工程か
    らなることを特徴とする請求項1〜6記載の凍結乾燥製
    剤の製造法。
  8. 【請求項8】白金(II)錯体の溶液の濃度が、0.5
    〜5(重量/容量)%であることを特徴とする請求項7
    記載の凍結乾燥製剤の製造法。
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